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外国人労働者問題(その16)(相次ぐ摘発 在日ベトナム人の真実:(<28>菅首相が入国継続に固執した理由 出稼ぎ労働者の確保、<30>PCR検査せず入国…緩和措置は出稼ぎ労働者確保のため、<34>ベトナム人留学生を増やすための「国ぐるみのペテン」)、「見殺し」にされたスリランカ女性 事件の背後に「内規違反」も…名古屋入管の闇、「33歳の女性が施設内で死亡」難民をあからさまに迷惑がる日本の入国管理制度 国連からも問題視される閉鎖性) [社会]

外国人労働者問題については、昨年8月3日に取上げた。今日は、(その16)(相次ぐ摘発 在日ベトナム人の真実:(<28>菅首相が入国継続に固執した理由 出稼ぎ労働者の確保、<30>PCR検査せず入国…緩和措置は出稼ぎ労働者確保のため、<34>ベトナム人留学生を増やすための「国ぐるみのペテン」)、「見殺し」にされたスリランカ女性 事件の背後に「内規違反」も…名古屋入管の闇、「33歳の女性が施設内で死亡」難民をあからさまに迷惑がる日本の入国管理制度 国連からも問題視される閉鎖性)である。

先ずは、本年1月20日付け日刊ゲンダイが掲載したジャーナリストの出井康博氏による「相次ぐ摘発 在日ベトナム人の真実」のうち「<28>菅首相が入国継続に固執した理由 出稼ぎ労働者の確保」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/284122
・『自民党には二階俊博幹事長の他にも“ベトナム好き”の政治家がいる。菅義偉首相である。 昨年10月、菅氏が首相として初の外遊先に選んだのがベトナムだった。こうしたベトナム重視の背景には、「出稼ぎ労働者の確保」という命題がうかがえる。そのことは、コロナ水際対策の外国人入国制限をめぐる菅氏の姿勢からも見て取れる。) 今月7日に1都3県に緊急事態宣言が発令された直後、政府がベトナムなど11カ国・地域に限定して認めていた「ビジネス関係者」の入国に関し、自民党内部からも停止を求める声が相次いだ。しかし、菅氏は「コロナ陰性証明」を条件に入国継続にこだわった。 なぜ、菅氏は外国人の入国を止めたくなかったのか。そもそも新聞やテレビが報じた「ビジネス関係者」とは、具体的にどういった外国人なのか。 法務省出入国在留管理庁は、政府が外国人の入国制限を緩和した昨年11月以降の「国際的な人の往来再開に向けた段階的措置等による入国者数」を週ごとに公開している。このデータを集計すると、同措置のもと入国した外国人は、同11月初めから今年1月10日までの10週間で10万9262人だ。 在留資格別では、「技能実習」が4万809人、「留学」が3万6914人と、2つの資格で全体の7割を超える。実習生はもちろん、留学生にも出稼ぎ目的の外国人が多数含まれる。つまり、「ビジネス関係者」の過半数は、出稼ぎ労働者なのである。) 国籍別はベトナム人が3万6343人で最も多く全体の3分の1を占める。その8割以上は実習生と留学生だ。外国人の入国継続に執着する菅氏の本音が、ベトナムなどからの出稼ぎ労働者の受け入れであることは数字上で明らかだ。 菅氏は安倍政権で官房長官を務めていた頃から、外国人労働者の受け入れに積極的だった。「西日本新聞」(2018年8月23日電子版)のインタビューで、こう語っている。 「外国人材の働きなくして日本経済は回らないところまで来ている。高齢者施設をつくった私の知人も、施設で働く介護人材が集まらないと言っていた」 つまり、産業界の声に応え、外国人労働者を受け入れたいわけだ。そのスタンスは、政界で最もベトナムとつながりが深く、また菅氏と「Go To キャンペーン」を推し進めた二階氏と重なる。) 外国人の入国継続は、「実習生」や「留学生」という低賃金の労働者を欲する産業界には恩恵が大きい。日本語学校をはじめとする留学生頼みの学校業界も大喜びだ。だからといって、国民全体の利益に沿うわけではない。 菅氏は今月13日、緊急事態宣言に7府県を追加した際、急きょ方針を変え、同宣言中は11カ国・地域からの入国も停止するとした。しかし、出稼ぎ労働者の受け入れと引き換えに、肝心のコロナ水際対策が後手に回った可能性は否めない』、「「ビジネス関係者」の過半数は、出稼ぎ労働者なのである。 国籍別はベトナム人が3万6343人で最も多く全体の3分の1を占める。その8割以上は実習生と留学生だ」、てっきり出張者や駐在員だと思っていたが、何のことはない。「ベトナム」からの「実習生と留学生」が太宗のようだ。

次に、この続き、1月23日付け日刊ゲンダイ「<30>PCR検査せず入国…緩和措置は出稼ぎ労働者確保のため」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/284122
・『菅義偉首相は今月13日、緊急事態宣言を11都府県に拡大した際、一部の外国人に限って認めていた入国緩和も「一時停止」した。ただし、すでに日本のビザを取得している実習生や留学生の入国は21日まで続いた。わざわざ1週間の猶予を設けてまで、彼らを受け入れたかったのである。 昨年11月から年明けまでの10週間で、11万人近い外国人が来日した。そのうち7割は実習生と留学生だ。そして、全体の3分の1に当たる3万6000人以上がベトナム人である。入国緩和措置の目的が、ベトナムなどからの出稼ぎ労働者受け入れだったことがわかる。 菅氏は万全の水際対策を取ったと胸を張る。だが、本当にそうなのか』、「入国緩和措置の目的が、ベトナムなどからの出稼ぎ労働者受け入れだった」、やれやれだ。
・『ザルのような水際対策  12月、東京都内の日本語学校に留学するため来日したフーンさん(26)には、日本の対応が驚きだったという。 「私はベトナム出発前も成田空港でもPCR検査なしに日本へ入りました。空港からの移動や、その後の生活もほとんど制限なし。ベトナムではありえないことです」 ベトナムは12月以降、全世界からの入国を実質止めている。それ以前も入国者は皆、2週間の厳格な隔離措置が義務づけられた。フーンさんが言う。 「外国人は高級ホテル、ベトナム人だと軍の施設などに拘束されて2週間を過ごします。その間、2回のPCR検査を受け、完全に陰性だと証明されて、やっと解放されるのです」 結果、ベトナムは台湾などと並び、コロナの封じ込めに成功している。 「それでも完璧とは言えません。隣の中国から密入国する人もいるし、変異種に感染したベトナム人も見つかっている」 フーンさんは成田空港へ到着後、知人の車でアパートまで移動した。そして2週間は、外出は極力控えたという。 「留学先の日本語学校が、私の居場所をスマホの位置情報で確認するようになっていました。でも、スマホをアパートに置いていれば、何をするのも自由です。友だちとパーティーだってできてしまう。日本でコロナ感染が広まった理由がわかりました」 ベトナム人が日本へウイルスを持ち込んだ可能性は低い。だが、ベトナムを含め、入国制限緩和措置の対象となっていた11カ国・地域の多くでは、問題の変異種もすでに確認されている。 1月7日に緊急事態宣言がまず1都3県に出された後も、菅首相は「コロナ陰性証明」を条件に外国人の入国継続にこだわった。出稼ぎ労働者の受け入れを重視してのこと。こうした姿勢が、水際対策の緩みにつながった可能性は否めない。 現在の感染爆発の要因としては、やはり菅氏肝いりの「Go To キャンペーン」も指摘されている。だとすれば、2つの「経済優先」政策が招いた人災と言うしかない』、当該の「ベトナム人」にまで「ザルのような水際対策」と驚かれているのでは世話はない。

第三に、この続きを、1月29日付け日刊ゲンダイ「<34>ベトナム人留学生を増やすための「国ぐるみのペテン」」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/284493
・『「アルバイトがなくなって学費が払えない」 北関東の専門学校で日本語教師をしているBさん(30代女性)のもとには、教え子のベトナム人留学生から相談が殺到している。 年末から、留学生たちのバイト先である食品関連工場などでクラスターが相次ぎ発生した。コロナ感染者は留学生が大半だったとみられる。そのため工場側は、PCR検査で陰性となった者を含め、留学生を皆解雇した。Bさんが言う。 「確かに、留学生の感染者は多い。でも『留学生』というだけで、陰性者まで解雇されているんです。しかも留学生へのバイト切りは、クラスターの出ていないスーパーなどでも起こっています」』、「工場側は、PCR検査で陰性となった者を含め、留学生を皆解雇」、「留学生を皆解雇」とは「工場側」の対応も安易過ぎる。
・『学費の分割払いすら認めず  留学生たちは3月までに、来年度の学費70万円を学校に納めなくてはならない。見かねたBさんは学校に対し、学費の分割払いを認めるよう提案した。しかし、学校側の対応は冷たかった。「アルバイトがなくなったから学費を払えないというのはおかしい。留学生は皆、アルバイトしなくても学費を払える経済力があるはずですよね」と指摘されたという。) 留学生は専門学校や日本語学校に入学する際、学費の支払い手段が記された「経費支弁書」を提出している。だが、書類の中身はデタラメだ。アルバイトなしでも生活できるよう、つじつまを合わせるため、母国の家族などからの仕送りがあると書かれている。しかし実際には、ベトナムなどアジア新興国出身の留学生で仕送りがある者は少ない。書類にウソを書いて入学しているのだ。 学校側は、それを承知で入学を認める。学費稼ぎのためである。Bさんの学校もそうだ。にもかかわらず、留学生が学費を払えなくなった途端、知らんぷりを決め込む。 留学生たちのウソを黙認してきたのは学校だけではない。彼らの入国時、留学ビザを審査する法務省入管当局や外務省在外公館も同様だ。ビザの発給要件を満たす経済力がないと分かっていながら、偽装留学生にまで入国を認めてきた。日本人が嫌がる人手不足の仕事に従事する低賃金の労働者として利用するためだ。つまり、学校業界のみならず、国ぐるみのペテンなのである。) しかし、コロナで人手不足は緩和した。留学生バイトが不要となる職場も増えた。結果、バイトを失い、生活に行き詰まる留学生が急増している。Bさんは、やり場のない思いをこう話す。 「学校やバイト先は留学生を散々利用しておいて、まさに使い捨てようとしているんです」 学費を払えなければ、学校には残れない。Bさんにこんな言葉を漏らす1年生の留学生がいた。 「先生とは、3月で会えなくなりますね」 学校から姿を消し、不法就労に走る留学生も現れるだろう。コロナで不法就労先すら見つからず、困った末に罪を犯す者も出るかもしれない。それは留学生だけの罪と言えるだろうか。=つづく』、「留学生たちのウソを黙認してきたのは学校だけではない。彼らの入国時、留学ビザを審査する法務省入管当局や外務省在外公館も同様だ。ビザの発給要件を満たす経済力がないと分かっていながら、偽装留学生にまで入国を認めてきた。日本人が嫌がる人手不足の仕事に従事する低賃金の労働者として利用するためだ。つまり、学校業界のみならず、国ぐるみのペテンなのである」、「国ぐるみのペテン」とは言い得て妙だ。つくづく日本の罪深さを感じる。

第四に、3月27日付け弁護士ドットコム「「見殺し」にされたスリランカ女性、事件の背後に「内規違反」も…名古屋入管の闇」を紹介しよう。
・『名古屋出入国在留管理局(名古屋入管)に収容されていたスリランカ人の女性(30代)が3月6日に亡くなった問題で、女性が生前、著しい体調不良を訴えていたにもかかわらず、適切な医療を受けさせなかったとして、国会でも入管の対応が追及されている。入管での人権侵害に詳しい児玉晃一弁護士に聞いた』、興味深そうだ。
・『体重悪化で吐血も点滴をさせなかった  亡くなった女性への面会を続けていた「START」(外国人労働者・難民と共に歩む会)によると、女性は来日後、日本語学校で勉強をしていたが、仕送りが途絶え、学費が払えなくなったことからビザが失効し、昨年8月に収容された。 だが、コロナ禍で帰国できず、収容が長引く中で、今年1月から体調が悪化。嘔吐や吐血を繰り返すようになり、体重は最終的に20キロも減少してしまった。 支援者は、女性を入院させて、点滴を打たせたりするよう繰り返し求めたが、入管側は今年2月5日に女性を病院で受診させたものの、入院は認めず、点滴もおこなわなかったという』、「体重は最終的に20キロも減少」、尋常ではない減り方だ。
・『生命・健康に対する全責任は入管にある  名古屋入管の対応は、素人目に見ても酷いものであるが、法務省の内規にも反している。 入管施設内や退去強制過程での死亡事件に関する訴訟や証拠保全で代理人をつとめた経験がある児玉弁護士は「大原則として被収容者の生命・健康に対する全責任は、拘束している側の入管にあります」と話す。 「収容されている方の処遇に関する被収容者処遇規則30条では"所長等は、被収容者がり病し、又は負傷したときは、医師の診療を受けさせ、病状により適当な措置を講じなければならない"と定めています」(児玉弁護士) ところが、入管側が点滴を認めなかった。児玉弁護士は「被収容者は、移動の自由について一定の制限を受ける以上の制約を受ける謂れはまったくありません」「入管収容はあくまで強制送還の準備のために認められているものにすぎないのですから」と指摘する』、「生命・健康に対する全責任は入管にある」、本件は恐らく支援者たちが「入管」の義務違反に対して提訴する可能性がある。
・『仮放免をみとめていれば「死亡」は防げた  そもそも、入管側が仮放免(一定の条件の下で、収容施設外での生活を認めること)を許可していれば、女性は入院できたし、命を落とすこともなかっただろう。 実際、女性を支援していたSTARTは、入管側が適切な医療を受けさせないのであれば、仮放免するべきと求めていたし、仮放免の申請もしていた。しかし、入管側はこれを許可しようとしなかったのである。 入管の運用指針(2018年2月28日仮放免指示)では「刑事罰を受けたことがある」など、8類型に該当するケースについては「仮放免を許可すべきではない」(※)としているが、児玉弁護士は「現在わかっている情報から言えば、女性はこの8類型に該当していたわけではなさそうです」と言う。 「仮に該当していたとしても、"重度の傷病等、よほどの事情無い限り"との但し書きが入管の運用指針にも明記されています。つまり、仮放免を許可しうるわけです。 しかし、仮放免するか否かは、入管の胸先三寸で決められ、収容の継続の是非について司法など第三者の判断が介在することはありません。このことは、国連の恣意的拘禁作業部会からも国際人権規約に反すると指摘されています」(同)』、「国連の恣意的拘禁作業部会からも国際人権規約に反すると指摘されています」、いくら指摘されても、無視できるが、そんなことを続けていると「日本」の発言力は小さくなる一方だ。
・『入管による内部調査では全然ダメ  名古屋入管での女性死亡について、上川陽子法務大臣は、入管による内部調査を指示している。だが、児玉弁護士は「入管内部の調査に任せては駄目です」と強調する。 「2010年に強制送還のため飛行機に乗せられて制圧され、亡くなったガーナ人男性の事件における入管当局の内部報告書では『送還便搭乗直前から激しく抵抗し、搭乗後も抵抗したことから護送官が制圧した』とされています。しかし、訴訟で開示されたビデオを見たところ、男性がまったく抵抗していないことが誰の目にも明らかになりました」(同) 「2014年3月30日に、胸などの身体の痛みを訴えていたカメルーン人男性がでの入管内部報告書では『前日(3月29日)夕食を摂取し、異変に気づく直前(3月30日午前5時58分)には体動があり、呼吸をしていたことが確認されていることから、急死事案である』とあります。 ところが、午前5時58分に顔を動かす場面が出ていたとされているビデオは、誤操作で消去されたと入管が述べています。そして、この報告書では、後に私たちが提出させたビデオで、男性が『I'm dying(死にそうだ)!!!!』と叫び続けている場面について何ら言及がありません」(同)。 つまり、入管の内部調査は都合の悪い部分が隠蔽され、捏造すらおこなわれてきた、ということだ。同じことは、名古屋の調査でも起こりうる。国会では3月12日の参院予算委員会で、石川大我参議院議員が独立した調査を求めた。これまでのような入管や法務省を擁護するための調査であっては、再発を防げない』、「収容施設内で死亡した事件」が意外に多いのにh驚かされた。「独立した調査」を求めた。これまでのような入管や法務省を擁護するための調査であっては、再発を防げない」、その通りだ。
・『入管法「改正」案にも影響  法務省は今国会で入管法の「改正」を目指している。長期収容への批判から「監理措置」として、入管側のコントロールの下で、収容施設の外での生活を認める制度を新設するとしている。 一見、長期収容の解消につながるように見えるが、児玉弁護士は「収容するか否かが、入管の胸先三寸だけで決められることには変わりありません。今回のスリランカ人女性が入管内部の基準に照らしても仮放免されるべきなのにされなかったことからも裏付けられます」と指摘する。 入管法「改正」以前に、まずは女性死亡の独立した調査がおこなわれるべきだし、内部基準すら守れない入管に収容の適否判断を委ねること自体が見直されるべきだといえるだろう。(※)そもそも、過去に刑事罰を受けたことがある等で仮放免を許可しないこと自体が、まだ犯罪を犯していないのに予防の目的で身体の自由を奪う「予防拘禁」的なものであり、入管の運用は治安維持法のそれより酷いと児玉弁護士は指摘している・・・』、「「予防拘禁」的なもの」は、「治安維持法のそれより酷い」、確かにその通りだ。

第五に、6月2日付けPRESIDENT Online:ジャーナリスト、元ジャパンタイムズ執行役員・論説委員 大門 小百合氏による「33歳の女性が施設内で死亡」難民をあからさまに迷惑がる日本の入国管理制度 国連からも問題視される閉鎖性」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/46481
・『国会で審議された入管法の改正案には、SNSなどで一般市民だけでなく、作家の中島京子さん、ラサール石井さん、小泉今日子さんら著名人も反対の声を挙げて大きなうねりとなり廃案となった。この議論で焦点となった、日本の入国管理の問題はどこにあるのか、ジャーナリストの大門小百合さんがリポートする――』、興味深そうだ。
・『海外メディアも大きく報じた入管法改正案議論  普段、日本のメディアで在日外国人、とりわけ入国管理の問題が大きく取り上げられることは少ない。だから、自分とは関係のないことだと思っている人も多いのではないだろうか。 しかし、今国会で与野党の攻防ののち見送られることになった「出入国管理及び難民認定法」(入管法)の改正案は、出入国在留管理庁の施設(入管施設)に収容されていたスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさん(33)が施設内で3月に亡くなったこともあり、この種の法案には珍しくメディアで大きく取り上げられ、海外メディアでも報道された。 “Japan is shaken after a detainee, wasting away, dies alone in her cell”(衰弱した収容者が独房で孤独死し、揺らぐ日本)という衝撃的な見出しで、ウィシュマさんの死亡と今回の入管法改正案の話を報じたのは、ニューヨークタイムズだ。彼女の死によって、入管行政の不透明さに加え、施設に収容されている外国人に対して入管が絶大な権力を持っていることが明らかになったとの記事を掲載した。 また、イギリスのBBC放送も、“Japan pulls controversial asylum seeker bill after criticism”(政府、批判を受け、難民法を撤回)と報じている。 「難民認定申請中の外国人の強制送還をしやすくする」という、人道的観点での問題点も指摘されたこの法案をきっかけに、日本の入管のあり方や難民をとりまく状況が、今まで以上に注目されている』、なるほど。
・『なぜ収容が長期化しているのか  今回の改正案について、政府は「オーバーステイなどで国外退去処分を受けた外国人の送還拒否が相次ぎ、入管施設での収容が長期化している」ことを解消するためと説明していた。しかし、そもそもなぜ収容長期化が状態化しているのだろう? 認定NPO法人難民支援協会の石川えり代表理事は、2018年に収容のルールが厳格化されたことも影響しているという。 2015年9月の入管局長通達では、送還の見込みが立たない人については、さらなる仮放免の活用をはかり、仮放免者の動静の監視に努めるとされていた。しかし、2018年2月には、「収容に耐えがたい傷病者でない限り、原則送還が可能となるまで収容を継続する」という入管局長指示が出され、仮放免の要件がかなり厳しくなった。 「その頃から、収容が長期化し2年を超える人も珍しくなくなりました。『収容に耐えがたい疾病者でない限り』というので、施設から出るためには体を痛めつけるしかない、ハンストするしかないと、ハンストを始める方々も増え、その中で餓死された方までいるという状況です」と石川さんは言う』、「仮放免の要件がかなり厳しくなった。「その頃から、収容が長期化し2年を超える人も珍しくなくなりました」、「収容」の「長期化」は問題だ。
・『施設内で何が起こっているのか  そんな中、今回の法案の審議の中で焦点があたったのは、入管の手続きや入管施設内での処遇だ。 入管の施設で亡くなったウィシュマさんは、留学ビザで来日。日本語学校の在学中にパートナーである男性からDVを受け、退学せざるをえなくなり、在留資格を失った。パートナーから逃げ、静岡県沼津市の交番に駆け込み助けを求めたが、ビザが切れていたことを理由に昨年8月に入管施設に収容された。 その後、体調をくずし、亡くなる直前には歩けなくなるほど衰弱していたという。入管施設内で必要な医療が受けられなかった可能性が国会の議論で指摘されている。彼女が収容されていた名古屋入管は、「保安上の理由」として、遺族や国会議員に対して、ウィシュマさんの収容中の最後の様子を写したビデオの公開を拒んでいる。 「一番の問題は、施設内部の実態が、外からはよくわからないことです。閉鎖された、人を拘禁する施設で、『殴った』『殴らない』、お医者さんに『行けた』『行けない』という話がでた時に、外部の第三者が入らないと実態を知ることが非常に難しい。また、入管から独立して入管のことを監視する機関がないのも問題です」と石川さんは指摘する』、確かに「入管」は問題山積のようだ。
・『国連も「国際法違反」と指摘  「たとえばイギリスには、査察委員会があり、オンブズマンがあって、収容施設を重層的にモニタリングする体制があります。査察委員会は、予告なく施設を査察できる。施設の全てにアクセスでき、収容されている人たちとも話すことができる。日本の入管にも査察委員会はありますが、事務局が入管になっていて、入管から指定された日に査察に行くことになっています」(石川さん) また、多くの国が、在留資格のない外国人の収容の必要性や仮放免の審査については、入管とは別の、独立した司法組織が判断する仕組みをもっている。日本の場合はこうした審査は入管が行い、仮放免の許可、不許可に関わらず、理由は明らかにされない。また、収容期間にも上限が設けられていない。 国連の「恣意的拘禁作業部会(WGAD)」は、昨年9月、日本の入管施設の、このような上限のない長期収容や、司法判断を得ない収容を「国際法違反」とし、日本政府に改善を促している』、「国連の「恣意的拘禁作業部会(WGAD)」」から「国際法違反」と認定されたとは、不名誉なことで、早急に是正すべきだ。
・『難民申請者に厳しい国、日本  ウィシュマさんのケースでは、入管施設の閉鎖性に注目が集まったが、今回の入管法改正案ではさらに、難民申請者の処遇についても議論された。 日本は難民申請がなかなか認められない国として国際社会で知られていることは、すでに多くの人がご存じだろう。昨年の日本での難民申請件数は1万1914人だったが、難民認定されたのはそのうち47人にすぎない。また、2019年のデータでは、日本での難民認定率が0.4%だったのに対し、カナダは55.7%、イギリスは46.2%、アメリカは29.6%、ドイツは25.9%だった。一番低いフランスでも18.5%と、日本の認定率は格段に低い』、「日本の認定率」の「低さ」はやはり、異常だ。
・『難民条約違反の可能性も  入管法改正案の議論の中で、野党や難民支援団体、弁護士などから、人道的配慮に欠けるとして問題視されたのが、送還のルールだ。今までの「難民認定の手続き中は送還しない」とする規定に対し、今回の法案では、3回目以降の申請者については原則としてこのルールの適用外にするとされた。 さらに、送還に従わない人は刑事罰の対象になり、帰国できない人は、1年間の懲役または20万円以下の罰金となる可能性がある。 これらは、日本も加盟している、難民保護を定めた「難民条約」に反するおそれがある。難民条約には、「難民を彼らの生命や自由が脅威にさらされるおそれのある国へ強制的に追放したり、帰還させてはならない(難民条約第33条ノン・ルフルマンの原則)」「庇護申請国へ不正入国しまた不法にいることを理由として、難民を罰してはいけない(難民条約第31条)」と明記されている。 国連高等弁務官事務所も法案に対し「重大な懸念」を表明していた。 「『難民申請を3回繰り返すのは制度の乱用だ』と政府は言います。ただ、1回目であれ2回目であれ3回目であれ、日本の難民認定率は0パーセントに近い。その状況で、『3回目だから乱用です。国に帰ってください』ということにはできません」と、入管法改正に反対していた弁護士の一人、高橋済弁護士は、5月に開かれた記者会見で語った』、「日本も加盟している、難民保護を定めた「難民条約」に反するおそれがある」、法務省は国際的な潮流を無視して唯我独尊の姿勢をいつまで続けるのだろう。恥ずかしいことだ。
・『見知らぬ国で、一人で審査官と向き合う難しさ  また日本では、難民申請する際、一次審査に弁護士などの代理人が同席できない。2019年時点のデータによると、オーストラリア、フランス、イギリスなどの主要な国では、一次審査時の代理人の同伴が可能だ。 日本にたどりついたばかりの外国人が、たった一人で審査官と向き合い、母国に帰れない理由を客観的証拠に基づいて証明するのは、ハードルが高すぎはしないだろうか。そもそも、どれだけの難民が、「帰国すれば命の危険がある」ことを証明する証拠を携えて母国を脱出できるのだろう。 もちろん、不法滞在をしている外国人を取り締まることは必要だし、入管が大切な役割を担っているのも事実だ。ただ、難民問題の専門家は、諸外国のように、入国審査で厳しく取り締まる役割を持つ入管と、難民を保護する機関は別であるべきだと指摘する。つまり、難民の審査は、専門性、独立性のある別の政府機関が行うべきではないかという』、「入管」と「難民を保護する機関」は「別であるべきだ」、筋論からはその通りだろう。
・『審査は平均4年以上  また、難民支援協会の石川さんは、日本には難民の包括的な保護に関する法律が必要だと訴える。 「難民申請してから審査が終わるまで、昨年の平均では52カ月(4.3年)かかっています。難民をどう認定するかというだけでなく、その間の彼ら・彼女らの生活をどうするか、認定された人が自立して日本に定住するために何が必要かまでを踏まえた、包括的な制度が必要だと思います」 特に来日直後の難民は、短期間で困窮生活に陥ることが少なくない。知り合いもなく、住むところもなく、日本語もできないため情報へのアクセスも限定的という状況で、ホームレスになってしまう人も多い。民間の支援団体につながることができた人たちは、こうした団体の援助に頼りながらなんとか生活している状態だという。 単純に比較はできないが、フランスなど、多くの難民が来る国では、政府が難民向けのシェルター、仮の住宅などさまざまな施設を供給している。フランス政府によると、2020年には、こうした施設の収容可能人数は10万7000人。2021年には、受け入れ可能人数を4500人分拡大し、審査に要する期間の短縮(最大6カ月)も行ったそうだ。ホテルの部屋などを国が借り上げ、緊急のシェルターとして提供する場合もあるという。 一方、日本にも難民認定申請者のための宿泊施設はあるが、利用できる人数は極めて限定的だ。たとえば、2019年度に利用した実績は30人と国会で報告されている』、「2019年度に利用した実績は30人」、殆どないに等しいようだ。
・『企業と難民申請者をマッチング  現在、難民申請者が長期に安定的に日本に住むことができる唯一の方法は、政府による難民認定だが、実際は、申請をしても認定される可能性は低い。 そこで、もし、難民申請者が正規に就職できれば、彼らの在留資格を「技術・人文知識・国際業務」という、就労先がある限り日本で安定的に暮らし、働き続けることができる資格に切り替えることができるのではないかと考えたのが、難民問題に取り組むNPO法人WELgee(ウェルジー)だ。 WELgeeは、企業とパートナーシップを組み、難民を人材として企業に紹介する「JobCopass」(ジョブコーパス)という事業を行っており、今までに12件の事例をつくった。うち2件では在留資格の切り替えに成功している』、「WELgee」の活動は有効そうだ。
・『「難民」ではなく「一人のグローバル人材」  「私たちが出会った難民の方たちは、母国ではプログラマー、ジャーナリスト、教師、医者、コンサルタント、社会起業家などで、中には4か国語を話せる人もいます。学歴もあり、リーダーシップを発揮し、活躍してきた人が多いんです」と話すのは、WELgeeで就労伴走事業部を統括する山本菜奈さんだ。 山本さんたちがこれまでに関わった190人の半数以上が、大学か大学院卒の学位を持っているという。母国で民主化運動や平和運動に参加したり、宗教を変えたりしたなどのさまざまな理由で弾圧をうけるなどし、命の危険を感じて日本に逃げてきた人たちだ。 難民申請中の外国人に付与される在留資格は「特定活動」と呼ばれ、6カ月ごとに在留期間を更新しながら、長い場合は10年以上も難民認定の結果を待つ人もいる。WELgeeは、企業と接点を作ることで、彼らに難民認定以外の新しい選択肢を作ったというわけだ。 ある西アジア出身の男性は、WELgeeの事業を通じてゼロからプログラミング技術を学び、IT系のベンチャー企業に就職した。また、西アフリカから来た男性は、大手オートバイメーカーの新規事業開発部のアフリカ事業チームに参画した。 とはいえ、マッチング先の企業を探すのは容易ではない。日本語スキルの問題や「難民」という言葉のイメージが障害になるという。ダイバーシティ&インクルージョンを掲げ、女性やLGBTの人たちを積極的に採用しているという企業でさえ、採用には消極的だったそうだ。 「難民という言葉が抱えるあいまいな響きに加え、『貧しい』『かわいそう』というイメージが強すぎて、なかなか一人のグローバル人材としてみてもらえないんです。そこで、プロセスの初期に実際に会ってもらい、彼ら・彼女らの社会に対する視点や、ありあまる向上心、バイタリティに触れてもらうようにしました」』、「山本さんたちがこれまでに関わった190人の半数以上が、大学か大学院卒の学位を持っているという。母国で民主化運動や平和運動に参加したり、宗教を変えたりしたなどのさまざまな理由で弾圧をうけるなどし、命の危険を感じて日本に逃げてきた人たちだ」、高度なスキルを持った人が多いのは.意外だ。そうであれば、戦力になってくれそうだ。
・『「受け入れないともったいない」  山本さんは、日本のビジネスセクターと一緒に、「日本社会として、難民の人を受け入れないともったいない。彼ら・彼女らがいたほうが、日本の企業も社会も豊かにカラフルになる」という価値観を広げたいと話す。 また、今回注目を集めた入管法についても、「難民保護」という視点だけではない関心の持ち方があるのではないかという。 「『かわいそう、知らなきゃいけない』という入り口から難民の存在を知る人もいますが、『同じ職場で難民の人が働いているんだよね』『難民の人が立ち上げた面白いサービスを新聞で見たんだよね』という人も増えてくればいいなと。そこをきっかけに、入管法の問題を自分ごととしてとらえ、『難民の人たちが日本で安心して働いたり、暮らしたりできるようにするためには、どんな政策が必要か、誰に投票すべきか』を考えるようになってほしいです」』、「日本」も「難民」に対してもう少し開かれた社会になってほしいものだ。 
タグ:外国人労働者問題 (その16)(相次ぐ摘発 在日ベトナム人の真実:(<28>菅首相が入国継続に固執した理由 出稼ぎ労働者の確保、<30>PCR検査せず入国…緩和措置は出稼ぎ労働者確保のため、<34>ベトナム人留学生を増やすための「国ぐるみのペテン」)、「見殺し」にされたスリランカ女性 事件の背後に「内規違反」も…名古屋入管の闇、「33歳の女性が施設内で死亡」難民をあからさまに迷惑がる日本の入国管理制度 国連からも問題視される閉鎖性) 日刊ゲンダイ 出井康博 「相次ぐ摘発 在日ベトナム人の真実」 「<28>菅首相が入国継続に固執した理由 出稼ぎ労働者の確保」 「「ビジネス関係者」の過半数は、出稼ぎ労働者なのである。 国籍別はベトナム人が3万6343人で最も多く全体の3分の1を占める。その8割以上は実習生と留学生だ」、てっきり出張者や駐在員だと思っていたが、何のことはない。「ベトナム」からの「実習生と留学生」が太宗のようだ。 「<30>PCR検査せず入国…緩和措置は出稼ぎ労働者確保のため」 「入国緩和措置の目的が、ベトナムなどからの出稼ぎ労働者受け入れだった」、やれやれだ。 当該の「ベトナム人」にまで「ザルのような水際対策」と驚かれているのでは世話はない。 「<34>ベトナム人留学生を増やすための「国ぐるみのペテン」」 「工場側は、PCR検査で陰性となった者を含め、留学生を皆解雇」、「留学生を皆解雇」とは「工場側」の対応も安易過ぎる。 「留学生たちのウソを黙認してきたのは学校だけではない。彼らの入国時、留学ビザを審査する法務省入管当局や外務省在外公館も同様だ。ビザの発給要件を満たす経済力がないと分かっていながら、偽装留学生にまで入国を認めてきた。日本人が嫌がる人手不足の仕事に従事する低賃金の労働者として利用するためだ。つまり、学校業界のみならず、国ぐるみのペテンなのである」、「国ぐるみのペテン」とは言い得て妙だ。つくづく日本の罪深さを感じる。 弁護士ドットコム 「「見殺し」にされたスリランカ女性、事件の背後に「内規違反」も…名古屋入管の闇」 「体重は最終的に20キロも減少」、尋常ではない減り方だ 「生命・健康に対する全責任は入管にある」、本件は恐らく支援者たちが「入管」の義務違反に対して提訴する可能性がある 「国連の恣意的拘禁作業部会からも国際人権規約に反すると指摘されています」、いくら指摘されても、無視できるが、そんなことを続けていると「日本」の発言力は小さくなる一方だ。 「収容施設内で死亡した事件」が意外に多いのにh驚かされた。「独立した調査」を求めた。これまでのような入管や法務省を擁護するための調査であっては、再発を防げない」、その通りだ。 「「予防拘禁」的なもの」は、「治安維持法のそれより酷い」、確かにその通りだ。 PRESIDENT ONLINE 大門 小百合 「33歳の女性が施設内で死亡」難民をあからさまに迷惑がる日本の入国管理制度 国連からも問題視される閉鎖性」 「仮放免の要件がかなり厳しくなった。「その頃から、収容が長期化し2年を超える人も珍しくなくなりました」、「収容」の「長期化」は問題だ。 確かに「入管」は問題山積のようだ 「国連の「恣意的拘禁作業部会(WGAD)」」から「国際法違反」と認定されたとは、不名誉なことで、早急に是正すべきだ 「日本の認定率」の「低さ」はやはり、異常だ。 「日本も加盟している、難民保護を定めた「難民条約」に反するおそれがある」、法務省は国際的な潮流を無視して唯我独尊の姿勢をいつまで続けるのだろう。恥ずかしいことだ。 「入管」と「難民を保護する機関」は「別であるべきだ」、筋論からはその通りだろう 「2019年度に利用した実績は30人」、殆どないに等しいようだ 「WELgee」の活動は有効そうだ 「山本さんたちがこれまでに関わった190人の半数以上が、大学か大学院卒の学位を持っているという。母国で民主化運動や平和運動に参加したり、宗教を変えたりしたなどのさまざまな理由で弾圧をうけるなどし、命の危険を感じて日本に逃げてきた人たちだ」、高度なスキルを持った人が多いのは.意外だ。そうであれば、戦力になってくれそうだ。 「日本」も「難民」に対してもう少し開かれた社会になってほしいものだ。
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