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「物言う株主」(アクティビスト・ファンド)(その4)(アクティビストは「必要悪」 企業経営に改善の余地、この金余り時代に活発化するアクティビストはどんな企業を狙うのか?、モノ言う株主対策で打ち出した「ある奇策」 村上系ファンドと西松建設「株買い増し」で緊迫の攻防戦) [企業経営]

「物言う株主」(アクティビスト・ファンド)については、昨年4月11日に取上げた。今日は、(その4)(アクティビストは「必要悪」 企業経営に改善の余地、この金余り時代に活発化するアクティビストはどんな企業を狙うのか?、モノ言う株主対策で打ち出した「ある奇策」 村上系ファンドと西松建設「株買い増し」で緊迫の攻防戦)である。なお、昨日取上げた「東芝問題」にもこの問題は関連している。

先ずは、昨年12月17日付け日経ビジネスオンラインが掲載したみずほ証券エクイティ調査部、チーフ株式ストラテジストの菊地 正俊氏による「アクティビストは「必要悪」 企業経営に改善の余地」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00225/121500001/
・『2020年を振り返ると物言う株主、つまりアクティビストによる日本企業への株主提案、要求が目立った年だった。アイ・アールジャパンの集計では、2020年はアクティビストが出した株主提案の案件数が11月末時点で前年比6割増の26件と過去最高になった。新型コロナウイルス感染拡大がもたらした景気悪化を反映してか、単純な株主還元を求める提案は影を潜めた。その一方、企業の経営改善につながるだろう建設的な提案もあり、全体として過去最高になったことは資本市場の発展にとってポジティブではないか。 議案の中身ではバランスシートの改善に関するものが38%、役員選解任が25%、ガバナンスが20%、事業戦略や運営が18%と多岐にわたった。 日本企業の経営が完璧であればアクティビストはいらない。しかしガバナンス、経営戦略で不十分な会社が少なくない。株価純資産倍率(PBR)も解散価値である1倍を割っている会社が多く、資産効率が悪く、設備投資や賃上げ、株主還元にも及び腰な企業が少なくない。物言う株主の介入によってそうした企業の経営が活性化するならば、その存在は「必要悪」ではないか。日本の株式市場を良くするためにもアクティビストは役立つ。これが筆者の見方だ。 ただアクティビストが増えているとはいえ、依然として日本企業は外部の株主発の改革案をすんなり受け入れることには抵抗感がある。かつてサイレント株主と批判された国内機関投資家の賛成を取り付けられないケースもまだ多い。またアクティビストによる株主提案の中には極端な増配や自社株買いを求めるなど、これは絶対通らないという無理筋の提案もあり、玉石混交なのは否めない。提案数は増加傾向だが総会で可決したものはほとんどないのが現状だ。 その中で香港のオアシス・マネジメントによるサン電子への株主提案が可決されたことが話題を集めた。サン電子は通信機器やゲームソフトを手掛ける企業だ』、「単純な株主還元を求める提案は影を潜めた。その一方、企業の経営改善につながるだろう建設的な提案もあり、全体として過去最高になったことは資本市場の発展にとってポジティブではないか」、「資産効率が悪く、設備投資や賃上げ、株主還元にも及び腰な企業が少なくない。物言う株主の介入によってそうした企業の経営が活性化するならば、その存在は「必要悪」ではないか。日本の株式市場を良くするためにもアクティビストは役立つ」、立場上、企業経営者の側に立たざるを得ないにしても、「必要悪」というのはやや後ろ向き過ぎる印象だ。
・『変わり種提案をするアクティビスト、オアシス  話を進める前に、まずオアシスというファンドを簡単に紹介しておこう。オアシスは少し変わった、興味深い提案をたまにすることで知られる。親子上場をしている企業や対話が難しいとされるオーナー系企業にも投資をする。19年、20年には準大手ゼネコンの安藤ハザマに対して「安全衛生管理の徹底」を定款に入れるよう株主提案した。過去に重大事故が発生したためだ。17年、18年には片倉工業に「ROEを意識した経営」を定款に盛り込むよう提案した。いずれもそれぞれの株主総会で否決された。わざわざ定款に入れることではないと他の株主が判断したためだろう。ただ一石を投じる意味合いは大きい。企業として当たり前のことをあえて提案されたことで、その後の経営陣の意識改革にもつながる効果が期待できる。実際、片倉工業は経営トップが代わったことが大きかったが、事業再編など構造改革に踏み切った。オアシスも経営方針の転換を高く評価している。) ではオアシスとサン電子の話題に戻りたい。4月に開催されたサン電子の臨時株主総会で、オアシスの株主提案によって、サン電子の社長を務めた山口正則氏を含む4人の取締役が解任されて、オアシス提案の3人が新たに取締役に選任された。いずれも賛成率は高かった。 勝因としてオアシスは一定数の株式を持つ創業家側を味方に付けたことが効いたようだ。そのうえサン電子は2020年3月期まで最終損益が4期連続で赤字だったため、経営責任を問う機関投資家も多かった。サン電子の企業価値は、2007年に買収したイスラエルのモバイルデータソリューションのセレブライト社がほとんどを占めた。そのため、3人の外国人取締役がどのように経営改善に貢献するのかが今後問われそうだ。2009年の株主総会で米スティール・パートナーズの取締役選任案が可決されて社長が交代したアデランスホールディングスは、その後経営混乱が続き、結局2017年、上場廃止になった。サン電子の経営の先行きは要注目だ』、「サン電子の企業価値は、2007年に買収したイスラエルのモバイルデータソリューションのセレブライト社がほとんどを占めた」、情けない話だ。
・『世界最大級アクティビスト、ソフトバンクに迫る  20年は著名の巨大ファンドがソフトバンクグループ(SBG)、ソニーに要求を突きつけたことも印象的だった。 運用資産4兆円超と世界最大級のアクティビスト・ファンドである米エリオット・マネジメントは、コロナ禍が世界中に広がる前の2月にSBGの株式の約3%を取得し、株主還元の強化、SBGが運用する投資ファンドの情報開示充実などを促した。SBGの株価は急落後、2兆5000億円と巨額の自社株買い枠を設定したことで急反発した。このためエリオットの投資は結果として成功したと言っていいだろう。エリオットは4月のユニゾホールディングスの従業員による買収(エンプロイー・バイアウト=EBO)時にも保有株を売却して利益を得た。 19年9月にはエリオットは米通信・メディア大手のAT&Tに経営改善を求める書簡を送った。エリオットが約32億ドル(約3300億円)と巨費を投じて株式を保有していたため、AT&Tは資産売却を含む経営改善計画の発表を余儀なくされた。エリオットは国家をも恐れないことで知られ、01年、債務不履行に陥ったアルゼンチンを相手に債務返済を巡って訴訟を起こした。こうした経緯もあり米国でも企業の脅威となっている』、「エリオット・マネジメント」が「ソフトバンクグループ」に要求を突き付け、「結果として成功」とは大したものだ。「アルゼンチン」との争いでは、米裁判所が示した返済額の75%を支払わせることで合意。
・『ソニーを狙い続けるサード・ポイント  著名投資家ダニエル・ローブ氏率いる米国大手アクティビストのサード・ポイントは、1月に投資家向け書簡の中でソニーに対して半導体部門のスピンオフ、金融子会社など上場株の保有見直しを要求した。ソニーは拒否したが、ソニー株が高値を付けた際に一部を売却したとみられる。 サード・ポイントとソニーの因縁は深い。13年にソニー株を保有していると公表し、映画などのエンターテインメント事業を分離して株式上場するよう要求した。この際、ソニーは要求を拒否し、サード・ポイントはソニー株をいったん売却。19年にサード・ポイントはソニー株に再投資し、「ストロンガー・ソニー」なる専用ウェブサイトを開いて、書簡を公開した。 複数の事業部門を抱えて経営効率が悪いとする「コングロマリット(複合企業)ディスカウント」批判を展開した。ソニー側も吉田憲一郎会長兼社長兼CEO(最高経営責任者)が「ソニーのDNAである技術が多様な事業を貫き、力を与える」と反論するなど緊張が高まっていた。 経営者が事業の選択と集中を怠ったツケで経営資源が分散した「コングロマリット・ディスカウント」の企業は数多い。複合企業は何人ものアナリストがいないと正味の企業価値を分析できないケースが多い。このなかで経営効率が良くない企業は、今後もアクティビストに目を付けられやすいと見ている。 筆者は30年以上のキャリアということもあり多くのアクティビストとコンタクトし、投資先の傾向も分かっている。次回は2020年に起こったアクティビストによる企業経営参加の事例、アクティビストに狙われやすい企業について取り上げたい』、「ソニー」が。「サード・ポイント」と長年争い、正論を主張して一歩も譲ってないのは大したものだ。なお「次回」は有料なので紹介省略。

次に、本年4月16日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したみさき投資株式会社 代表取締役社長の中神康議氏による「この金余り時代に活発化するアクティビストはどんな企業を狙うのか?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/268389
・『楠木建 一橋大学教授が「経営の王道がある。上場企業経営者にぜひ読んでもらいたい一冊だ」と絶賛、青井浩 丸井グループ社長が「頁をめくりながらしきりと頷いたり、思わず膝を打ったりしました」と激賞。経営者界隈で今、にわかに話題になっているのが『経営者・従業員・株主がみなで豊かになる 三位一体の経営』だ。 著者はアンダーセン・コンサルタント(現アクセンチュア)やコーポレート・ディレクションなど約20年にわたって経営コンサルタントを務めたのち、投資業界に転身し「みさき投資」を創業した中神康議氏。経営にも携わる「働く株主だからこそ語れる独自の経営理論が満載だ。特別に本書の一部を公開する』、興味深そうだ。
・『アクティビストに狙われる企業の2つの特徴  アクティビスト、いわゆる「物言う株主」と言うと、経営者のみなさんは身構えると思います。長期視点に立った経営の阻害要因となってきた歴史を振り返ると当然です。 2000年代中盤のスティール・パートナーズや村上ファンドの活動はまだ記憶に新しいうえに、2010年代後半にはサード・ポイントがソニーやセブン&アイといった規模の大きな企業を対象に、事業の切り離しや経営人事に介入するアクティビズムを展開しました。最近ではJR九州、TBSといった企業も、アクティビストからの提案を受けています。 このようなアクティビズムというものは、今後どのような存在になっていくのでしょう。株式市場の鬼っ子のような存在だったアクティビストはいま、どんどん進化しています。この流れをきっちりと押さえ、本質的な対応方針を立てておかなければ、「みなで豊かになる経営」への道筋を攪乱されかねません。 図表1を見てください。これはダイヤモンド・オンラインの特集(*1)に載った「アクティビストに狙われやすい日本企業ランキング」のリストです。ここで挙げられている企業が実際に狙われているのか否かは別として、ここで把握しておきたいことは、狙われやすい企業の特徴です。 (図表1 アクティビストに狙われやすい日本企業ランキング(リンク先参照)』、「図表1」はなかなかよく出来ているようだ。
・『アクティビストに狙われる企業の特徴1 PBR1倍以下  一つめは、株価回りに見られる特徴です。業界内の同業他社と比べて株価そのものが長期低迷していることは、経営陣の責任を追及する格好の口実になります。 PBR(Price to Book-value Ratio、株価純資産倍率)が1を切った株価水準は、アクティビストが改善を迫ってくる典型的なきっかけを作ります。ある企業の株価が、一株当たりの純資産額より低いということは、株式を買い占めて会社を丸ごと買収したあと、持っている資産を全部売り払えば大儲けできるということです。アクティビストが喜んで買いあげてくる典型的な株価水準がこの水準です』、「会社を丸ごと買収したあと、持っている資産を全部売り払えば大儲けできる」、というのは素人向けに単純化した言い方だが、現実には継続企業の前提で作成されるバランスシートよりも、解散を前提で作成されるバランスシートの方が悪くなるので、そうはいかないのが通例だ。
・『アクティビストに狙われる企業の特徴2 「みさきの黄金比を守れていない  アクティビストが狙う会社の二つめの特徴は、経営回り、特にBS回りにあります。 図表1を見ると、「ネットキャッシュ倍率」とか、「金融資産比率」、あるいは「自己資本比率」というように、いくつか警戒すべき指標が示されています。これはこれでその通りなのですが、もっと体系的にアクティビスト対策を講じることができます。実はここに、『三位一体の経営』でご紹介する「みさきの黄金比の大きな役割が出てくるのです(図表2)。 (図表2 みさきの黄金比はリンク先参照) アクティビストの攻撃対象になりがちなBS回りの特徴が、すべてここに集約されています。(1)調達した平均資本コストをROAが上回っていないこと、(2)BSに余剰資産が溜まっていること、そして(3)事業特性に応じた適切なレバレッジをかけていないことは、鵜の目鷹の目で攻撃対象を探しているアクティビストのレーダーには、すぐに映ってきます。 BSをこのように放置している企業は、アクティビスト格好の攻撃対象であることを、みずから公言しているようなものなのです。 (本原稿は『経営者・従業員・株主がみなで豊かになる 三位一体の経営』 の内容を抜粋・編集したものです)) (著者略歴はリンク先参照)』、「図表2」は一見したところ、なかなかよく出来ている印象だ。(これ以降の「著者からのメッセージ」などは紹介を省略)

第三に、6月16日付け東洋経済Plus「モノ言う株主対策で打ち出した「ある奇策」 村上系ファンドと西松建設「株買い増し」で緊迫の攻防戦」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/27248
・『準大手ゼネコンの西松建設をめぐるアクティビストとの攻防。村上系ファンドとどんなやりとりがあったのか。 準大手ゼネコン「西松建設」の株式買い増しをめぐり、同社とアクティビスト(モノ言う株主)の激しい攻防の経緯が明らかになった。 1874(明治7年)創業の老舗ゼネコンである西松建設は6月2日、同月末の定時株主総会に提出予定だった議案の一部を取り下げると発表した。アクティビストとして知られる村上世彰氏らの株式買い増しについて、村上氏側から買い増し中止の同意が得られたため、株主総会で決議予定だった一般株主に中止の賛同を求める議案を取り下げた。 シティインデックスイレブンスなど、いわゆる「村上系ファンド」は5月24日時点で、西松建設株の23.87%を保有している。西松建設は村上系ファンド側に25%超の株式を購入しないことを要請。紆余曲折を経て、村上系ファンドは5月21日から2022年3月期第2四半期決算発表がなされるまでの間、25%超となる買い付けを行わないことに合意した。 シティインデックスイレブンスは6月2日付けリリースの中で、「2022年3月期第2四半期決算発表までという期限付きのものであり、株主総会に当議案が出されることによって株主価値が毀損されることを防ぐため、不本意ながら誓約書を提出した」としている』、「25%超の株式を購入しないことを要請」とあるが、これは犯罪収益移転防止法で、25%を超える議決権を有するものは、実質的支配者として、実質的支配者申告書により必ず申告する必要があり、こうした面倒を避けるためと思われる。
・『株買い増しで「過去最大の経営ピンチ」に  村上系ファンドの動きは西松建設側にどんなインパクトを与えたのか。 「長い歴史のある西松建設はこれまで、2000年代に有力政治家への違法献金問題が発覚するなど経営危機もあったが、一連の村上系ファンドによる株の買い増しの攻防は、過去最大の経営ピンチだったと言える。今の水準以上に株を買い増されると、西松建設が食いつぶされるだけでなく、(業界再編を仕掛けてくるなど)ゼネコン業界全体に波及する恐れもあった。それを食い止めることができたので、危機はいったん乗り越えたと見ていい」。西松建設の関係者はこのように語る。 アクティビストに株の買い増し中止を要請したケースとしては、ジャスダック上場のセゾン情報システムズが2012年6月に開催した株主総会で、シンガポールを拠点とするエフィッシモ・キャピタル・マネジメントに対して行った前例がある。上場株式の売買は自由であり、買い増し中止の要請は拘束力はないとはいえ、稀有なケースであることは確かだ。 村上系ファンドが西松建設株を取得し始めたのは、2020年の初めごろのことだ。西松建設は不動産や投資有価証券などの優良資産が豊富なのに、PBR(株価純資産倍率)が0.5~0.7倍と1倍を大きく割り込んでいた点に付け込まれた(当時)。村上系ファンドはその後も買い増しを続け、同年4月17日には大量保有報告書の提出を義務付けられる5.09%を保有した。 西松建設側が村上氏と初めて接触したのは同年3月3日。「キャッシュや資産の使途をどのように考えているのか」「自社株取得や増配に対する計画はどうか」「不動産や政策保有株式の売却への考えはどうか」。村上氏は独特の早口で、西松建設側を質問攻めにしたようだ。 その後も、村上氏の長女である野村絢氏らは西松側と電話会議などを行う一方、2021年に入って西松建設株の買い増しを加速していく。同年2月26日には村上系ファンドの保有比率は16.42%に達した。 そして、同年3月3日の「ひな祭り会談」で村上系ファンドは踏み込んだ。西松建設に対して、①西松建設を軸にした同業者との経営統合(具体的には、村上系ファンドが現在30%超を保有する大豊建設との統合)、②MBO(マネジメント・バイアウト)による株式の非公開化、③自社株買いなどによる株主価値の向上、のいずれかを実行するよう書簡で迫ったのだ。 これに対し、西松建設は①と②は受け入れがたいと判断。③に沿う形で中期経営戦略を打ち出す方針を固めた。5月11日に発表した2023年度までの中期経営計画では、連結配当性向を従来の30%超から70%以上に引き上げ、かつ今後3年間で純資産の1割に相当する200億円以上の自社株買いを実施する株主還元策をぶち上げた』、この程度の「株主還元策」であれば、問題はさほどなさそうだ。
・『「2000億円の自社株買い」を追加提案  「うちとしては精一杯の対応をした」(関係者)という内容で、ゼネコン関係者からは「西松は前2021年3月期に、首都圏マンションの施工不備で約90億円もの完成工事補償引当金を積んだばかり。いくらなんでも還元しすぎではないか」という驚きの声が出たほどだ。 ところが、新中計発表翌日の5月12日。ZOOMで行われたリモート会談で、村上氏はさらなる要望を加える。最大で2000億円の自社株買いを提案したのだ。シティインデックスイレブンスのリリースによると、「極端に言えば」という前置きを述べたうえで、「最大で2000億円の自社株式取得が可能であると述べたにすぎない」としている。 結局は、25%以上を保有されることにより、特別決議事項に実質的に拒否権を有することを嫌う西松建設と、3分の1超の株式を持つことを主張する村上系ファンド側の溝は埋まることはなかった。 「(これ以上、株を買い増す意向であれば)うちも何らかの対策を打たざるを得なくなりますよ」。西松建設側は村上氏にそう伝えたうえで、冒頭のように株の買い増し中止を要請し、村上系ファンドが受け入れると表明したため、ひとまず「休戦」となった。 村上系ファンドはなぜ西松側の要請を受け入れたのか。投資ファンドの動向に詳しい建設業界の関係者は、「自己資本とほぼ同じ規模の2000億円もの自社株買い提案は、会社に『つぶれてください』と言っているようなもの。あまりにも無茶な要望で、他の株主から強い批判を招く可能性があり、村上氏がこの流れを嫌ったのではないか」と話す。なお、西松建設の2021年3月期末の純資産は2075億円だ。 村上系ファンドが以前から「西松建設の株主価値向上が実現すれば、株式を売却する意向」としていることから、別の業界関係者は「PBR1倍以上の水準に株価が上昇すれば、十分な売却益を得ることができると判断したのかもしれない」とみる』、「「2000億円の自社株買い」を追加提案」は、いくらなんでも無茶だ。ただ、「25%以上を保有されることにより、特別決議事項に実質的に拒否権を有することを嫌う西松建設」、とあるが、これは「3分の1超」の間違いだろう。東洋経済にあるまじき間違いだ。
・『ファンド対西松建設、「第2ラウンド」の焦点  西松建設内には安堵感が広がっているようだが、もちろんこれで幕引きになったのではない。ポイントは「2022年3月期第2四半期決算発表まで」という期限があることだ。西松建設の同決算発表は11月15日前後になるとみられる。西松建設のPBRは6月10日時点で0.9倍まで上昇しており、1倍のハードルは高くないように見える。 しかし、村上系ファンドは「西松建設には保有不動産に多額の含み益があることから、その含み益(2020年3月期有価証券報告書では約400億円)を加算したうえでのPBR1倍は最低でも達成していただきたい」とする。400億円を純資産に単純合算した場合のPBR1倍の株価はおよそ4300円。現在の株価水準を20%以上引き上げなければならない計算になる(6月10日終値は3395円)。 西松建設の河埜祐一副社長は、「企業価値向上に向けて新中計を策定した。これを実行することによって、PBR1倍以上を目指す。これがわれわれの考え方だ」と強調する。 建設事業では得意のトンネル技術を武器にリニューアル工事などを獲得。開発・不動産事業では賃貸を中心にしたストック型ビジネスから、私募REITなどを活用した循環型再投資ビジネスに軸足を移す。これらの成長戦略を愚直に推進することで、中長期的に企業価値を高めていく算段だ。 【2021年6月16日9時40分追記】初出時の表記を一部修正いたします。 新中計を発表して以降、西松建設の株価は上昇トレンドにある。このまま株価が上昇し続ければ、村上系ファンドはタイミングをはかりながら西松株を売却していく可能性がある。だが、西松建設のシナリオどおりに成長戦略による株価上昇が実現しなければ、村上ファンドとの攻防「第2ラウンド」が待ち受ける。 大豊建設、東急建設、前田建設工業などのゼネコン株も保有する村上系ファンド。業界関係者は同ファンドの動きを固唾をのんで見守っている』、さあ、どうなるか大いに注目される。
タグ:日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン 「物言う株主」 (アクティビスト・ファンド) 東洋経済Plus (その4)(アクティビストは「必要悪」 企業経営に改善の余地、この金余り時代に活発化するアクティビストはどんな企業を狙うのか?、モノ言う株主対策で打ち出した「ある奇策」 村上系ファンドと西松建設「株買い増し」で緊迫の攻防戦) 菊地 正俊 「アクティビストは「必要悪」 企業経営に改善の余地」 「単純な株主還元を求める提案は影を潜めた。その一方、企業の経営改善につながるだろう建設的な提案もあり、全体として過去最高になったことは資本市場の発展にとってポジティブではないか」、「資産効率が悪く、設備投資や賃上げ、株主還元にも及び腰な企業が少なくない。物言う株主の介入によってそうした企業の経営が活性化するならば、その存在は「必要悪」ではないか。日本の株式市場を良くするためにもアクティビストは役立つ」、立場上、企業経営者の側に立たざるを得ないにしても、「必要悪」というのはやや後ろ向き過ぎる印象だ。 「サン電子の企業価値は、2007年に買収したイスラエルのモバイルデータソリューションのセレブライト社がほとんどを占めた」、情けない話だ。 「エリオット・マネジメント」が「ソフトバンクグループ」に要求を突き付け、「結果として成功」とは大したものだ。「アルゼンチン」との争いでは、米裁判所が示した返済額の75%を支払わせることで合意。 「ソニー」が。「サード・ポイント」と長年争い、正論を主張して一歩も譲ってないのは大したものだ。 中神康議 「この金余り時代に活発化するアクティビストはどんな企業を狙うのか?」 「図表1」はなかなかよく出来ているようだ 「会社を丸ごと買収したあと、持っている資産を全部売り払えば大儲けできる」、というのは素人向けに単純化した言い方だが、現実には継続企業の前提で作成されるバランスシートよりも、解散を前提で作成されるバランスシートの方が悪くなるので、そうはいかないのが通例だ。 「図表2」は一見したところ、なかなかよく出来ている印象だ。 「モノ言う株主対策で打ち出した「ある奇策」 村上系ファンドと西松建設「株買い増し」で緊迫の攻防戦」 「25%超の株式を購入しないことを要請」とあるが、これは犯罪収益移転防止法で、25%を超える議決権を有するものは、実質的支配者として、実質的支配者申告書により必ず申告する必要があり、こうした面倒を避けるためと思われる。 この程度の「株主還元策」であれば、問題はさほどなさそうだ。 「「2000億円の自社株買い」を追加提案」は、いくらなんでも無茶だ。ただ、「25%以上を保有されることにより、特別決議事項に実質的に拒否権を有することを嫌う西松建設」、とあるが、これは「3分の1超」の間違いだろう。東洋経済にあるまじき間違いだ。 さあ、どうなるか大いに注目される。
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