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スガノミクス(その8)(菅総理の「誇大妄想」が悲しい途上国日本 古賀茂明 連載「政官財の罪と罰」、作家・佐藤優が読み解く 菅首相がじんわりと怖いのはなぜか 緊急事態宣言とオリンピック開催が両立する菅首相の頭の中の論理、菅政権は末期に 酒取引停止問題で露呈した限界 首相の指導力が急低下 募る衆院選への不安) [国内政治]

スガノミクスについては4月16日に取上げた。今日は、(その8)(菅総理の「誇大妄想」が悲しい途上国日本 古賀茂明 連載「政官財の罪と罰」、作家・佐藤優が読み解く 菅首相がじんわりと怖いのはなぜか 緊急事態宣言とオリンピック開催が両立する菅首相の頭の中の論理、菅政権は末期に 酒取引停止問題で露呈した限界 首相の指導力が急低下 募る衆院選への不安)である。

先ずは、7月6日付けAERAdot「菅総理の「誇大妄想」が悲しい途上国日本 古賀茂明 連載「政官財の罪と罰」」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/wa/2021070300016.html?page=1
・『6月18日、政府は、「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太方針)と「成長戦略実行計画」を決定した。 しかし、その中身にはほとんど意味はない。これらの文書に書かれた項目のほとんどが、各省庁の予算要求の根拠にするための作文に過ぎず、何年か経って振り返ると、大きな目標のほとんどが未達成のままだからだ。 今回の発表劇を見て、私は、2013年6月14日を思い出した。「日本再興戦略」が発表された日だ。12年12月に総理の座に就いた安倍晋三氏は、海外に出かけると、「ジャパン・イズ・バック」、「バイ・マイ・アベノミクス」と胸を張り、大改革を断行するとPRしていた。ところが、当日示された日本再興戦略の中に描かれた「改革」は小粒なものばかり。市場の期待は大きく裏切られ、安倍総理の会見途中で株が暴落。それ以来、安倍総理がいくら大騒ぎをしても、成長戦略に期待する向きはなくなった。 今回は、菅義偉政権最初の成長プランだから、注目度は上がるはずだったが、はっきり言って誰も期待していなかった。ただそれは、菅政権にとってむしろ幸運だったようだ。期待が低かった分、落胆も小さく、市場への影響もなかったからだ。 90年代には携帯電話、液晶パネル、太陽光発電、風力発電などで日本企業が常に世界の上位を占めていたが、それは遠い過去の栄光だ。IT化では、先進国の最後尾に取り残され、先週は、半導体不足で自動車生産が停滞し、鉱工業生産が大幅減少と報じられた。昔は、世界の半導体市場で多くの日本企業がランキング上位を占めていたのが夢のようだ。この間、成長戦略が毎年出されたが、何の意味もなかった。 しかし、だからと言って成長戦略が不要という訳ではない。特に、経済の停滞が著しい日本にとっては、過去の失敗と決別するためにも、新規事業がどんどん生まれ育って行く「ビジネス環境」の整備は喫緊の課題だ。 実は、上述の13年の「戦略」は、そうした認識に基づき、「20 年までに、世界銀行のビジネス環境ランキングで日本が現在の先進国15 位から3位以内に入る」という目標を記していた。先進国とは、OECD(経済協力開発機構)加盟国である』、「13年の「戦略」」は「世界銀行のビジネス環境ランキング」を目標に掲げていただけ、まだ良心的だった。
・『しかし、最近、この話は全く聞かなくなった。それもそのはず、実は、日本の順位は20年版世銀ランキングで、OECD諸国中18位と下がっている。世界全体では、28位のロシアにも及ばず29位。31位の中国に抜かれる寸前だ。もはや先進国とも呼べない状況なのである。失態続きの経済産業省と菅政権は、こうした実態を隠すために、今回の実行計画にこの目標は掲げなかった。 ちなみに、OECD3位は遥か彼方でほぼ実現不可能なのだが、その3位の座にいるのは、何と菅政権が大嫌いな韓国だ。「目標は韓国です」とは、恥ずかしくて言えるはずもない。選挙前に最大の支持層である岩盤右翼の人々がそれを聞いたら、気絶するかもしれない。菅総理は、こうした事実を隠すため、「日本が世界の成長を牽引して行く」と述べている。本気で言っているとしたら「誇大妄想」というしかないだろう。 不都合な真実から目をそらしても状況は改善しない。日本の産業を立て直すには菅政権に退場してもらうしかなさそうだ』、「日本の順位は20年版世銀ランキングで、OECD諸国中18位と下がっている。世界全体では、28位のロシアにも及ばず29位。31位の中国に抜かれる寸前」、「OECD3位・・・の座にいるのは、何と菅政権が大嫌いな韓国だ」、惨憺たる状況だ。格好をつけずに、実態に即した施策が強く求められている。

次に、7月9日付けJBPress「作家・佐藤優が読み解く、菅首相がじんわりと怖いのはなぜか 緊急事態宣言とオリンピック開催が両立する菅首相の頭の中の論理」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/66006
・『「民主主義の消費期限はもう切れているのかもしれない」と話すのは作家で元外務省主任分析官の佐藤優(さとう・まさる)氏だ。コロナの封じ込めに成功した中国を見て、非常事態への対応には非民主な体制の方が強いのではないかと多くの人が不安を抱いた。民主主義が崩壊し、独裁のような形に変わっていくほど、私たちの社会や経済は追い詰められた状況にあるのだろうか。 ウラジーミル・プーチン、習近平、ドナルド・トランプ、金正恩など11人の独裁者を解説する『悪の処世術』(宝島社新書)を上梓した佐藤氏に話を聞いた。(聞き手:長野光 シード・プランニング研究員、Qは聞き手の質問)(※記事の最後に佐藤優氏の動画インタビューが掲載されているので是非ご覧ください)』、興味深そうだ。
・『恐怖政治の仕組みを上手く作ったプーチン大統領  Q:数々の政敵や反体制派をむごたらしく葬ってきたロシアのプーチン大統領こそ、現代の危険な独裁者というイメージにぴったりといった印象を受けます。プーチン大統領の人間性について教えてください。 佐藤優氏(以下、佐藤):反体制派に毒を飲ませたり、記者を殺したりしてもプーチンに得はありません。ロシアは直接選挙ですし、ロシア国民は知的水準も高い。そんな乱暴なことをしたら大統領に当選できません。「プーチンはバカだ」というプーチン観がありますが、そこまでバカな奴が20年以上も権力を握れるはずもない。 一度、「ロシアは怖い」という価値判断を外してロシアを見てみたら面白いですよ。国会議事堂に乱入して銃乱射するような国が民主主義国だと本当に言えますか。ロシアだってロシアなりの基準で民主主義国なんです。 『ウラジーミル・プーチンの大戦略』(2021年7月発売予定、東京堂出版)の著者、アレクサンドル・カザコフは僕のモスクワ大学の同級生で、プーチンの側近グループの一人です。 この本では、デモクラシー(民主主義)が機能しなくなって、今の世界のトレンドはフォビアクラシー(phobiacracy、恐怖政治)だと言っている。プーチンは恐怖政治の仕組みを上手に作っています。忖度の構造を作るのが上手い。そして、日本にもフォビアクラシーがあります。 Q:日本の今の政権に恐怖政治の要素が見られるということですか。 佐藤:菅さん(菅義偉首相)はかなり怖い。彼がやっているのは、完全にフォビアクラシー(恐怖政治)です。少しでも反発する者が出てきたらバサッと切りますから。あれだけ頼りにしている尾身さん(新型コロナウイルス感染症対策分科会・尾身茂会長)だって、近々切られる可能性が十分あると思う』、「日本にもフォビアクラシーがあります・・・菅義偉首相がやっているのは、完全にフォビアクラシー(恐怖政治)です。少しでも反発する者が出てきたらバサッと切りますから」、「菅政治」は「フォビアクラシー」とは言い得て妙だ。
・『菅首相がオリンピックに固執する論理  佐藤:「オリンピックをやめたら、自分の政権が潰れる。だから権力に固執している」と考えると、菅さんという人を読み違える。オリンピックをやれば感染者が増え、世界の変異株がたくさん入って来るなんてことは、彼も百も承知でしょう。 菅さんは、このコロナの中、権力に空白が生じることで政治や経済に混乱が生じないように、自分がやり続けることが唯一の選択肢だと信じている。そして、安定か混乱か、どちらを取るかと考えた場合に、混乱を避けるためにはオリンピックに突入せざるを得ないから苦渋の選択をする、と。 政治は究極の人知を超えた世界にあります。ヒトラーだって、最初から独裁者になると思っていなかった。最初は国民に選ばれた、と思う。その次に神様に選ばれた、と思うようになる。菅さんも神がかり的なところがあると思う。本人でさえ総理大臣になると思っていなかったんだから。今、このコロナ禍の日本で首相をやっているのは自分の天命だと思っていると思う。 彼は究極の現実主義者ですよ。河井克行(元法相)や河井案里(元参院議員)は、ガネーシャの会で菅さんの応援団だった人です。菅原一秀(前経済産業相)や吉川貴盛(元農相)、自分に近かった総務官僚、自分の息子も誰も守らない。単に冷たいというレベルではなく、「混乱を避けるために、申し訳ないけど事実だったらしょうがない、責任を取ってもらうしかない」という思想で切り捨てる。これは官僚や政治家としては怖いですよ。 Q:「ルールを破ったら仲間であろうと容赦しない」という姿勢は、国民の側からすると公正なもので悪くないようにも思えますが。 佐藤:そう思います。コロナの予防接種も思うように進んでいないし、オリンピック開催の不安もあるにも関わらず、菅政権の支持率は30%ある。これはかなり高い。 混乱への恐れ、そういう感覚は国民の中でかなり強いと思います。今の政権が素晴らしいとは思わなくても、安定か混乱かだったら国民は安定を選択する。ただ、この安定か混乱かという選択は、ともすれば独裁を是認する方向に行きかねません』、「この安定か混乱かという選択は、ともすれば独裁を是認する方向に行きかねません」、確かにそのリスクに要注意だ。
・『もう一人の“独裁者”、習近平はどう見る?  Q:長い一人っ子政策の末、人口動態がいびつになった中国。成長が難しくなり、社会や経済の問題に政治が対処できなくなる時、次に民衆の心の拠り所になる可能性として宗教を想定している習近平は、先回りしてキリスト教をはじめ、外国の宗教を体制内部に取り込もうと目論んでいる、と書かれています。習近平政権は自分たちの作り上げたカルチャーが、宗教によって変容される可能性を恐れないのでしょうか。 佐藤:そもそも共産党体制自体に、理想的な社会を作っていこうという宗教的な要素があります。今までのようなマルクス・レーニン主義や毛沢東思想によって体制を維持できなくなったら、帝国を維持するために民心を安定させる宗教を取り込もうとするのは必然です。 でも、中国国内の地下教会や法輪功、「イスラム国」(IS)等は、極端に政治化して共産党体制とぶつかるから困る。矛盾せずに並存できる宗教といえば、カトリック教会です。 カトリック教会は、旧東欧の共産圏とも中南米の独裁政権とも上手くやってきました。今はまだ司教の任命権の問題があり、バチカンと手を握れていませんが、共産党体制に反発せずに社会問題を処理するという点ではカトリックが魅力的です。 それから、創価学会(創価学会インターナショナル)の活動も同時に公認することになるでしょう。創価学会は、日本では戦時中、軍部と対立していましたが、今は自公政権の中で与党化しています。中国共産党政権の中で与党化することも可能ですよ。 Q:日本では創価学会は公明党を持っています。創価学会を大々的に取り入れる場合、中国政府は政治に関与してくる可能性を懸念するのではないでしょうか。 佐藤:そうは思いません。一国二制度の下で、香港とマカオでは創価学会インターナショナルの活動は認められています。それから、中国の各大学には池田思想研究所があります。創価学会が政治活動をしているのは日本だけで、世界百数十カ国の創価学会インターナショナルは政治活動をしていません。政治との関係においては折り合いをつけやすい教団なんです』、「共産党体制に反発せずに社会問題を処理するという点ではカトリックが魅力的です。 それから、創価学会・・・の活動も同時に公認することになるでしょう」、なるほど。
・『トランプが勝ちを想定した民主主義のゲーム  Q:「私は低学歴の人たちが好きだ」と言い放ったトランプ大統領は、下品さを見せびらかすことで、大衆にこいつは気取っていないと思わせて引きつけた。トランプの強さは支持者がカルト化したところにある、と記されています。なぜ米国人は理想主義者のサンダース氏より、ヒールレスラーのトランプ氏をより熱狂的に求めたのでしょうか。 佐藤:政治は論理だけではなく感情で動きます。トランプは安定した支持者さえ掴んでいればこのゲームに勝てると計算していた。最後まで選挙結果を認めなかったことも、次の大統領選挙を考えれば正しいやり方です。 民主党はトランプの逆打ちばかりしています。イランで対話を再開し、イエメンのフーシ派のテロ組織指定を撤回し、アフガニスタンからの米軍撤退に関しては政策がぶれました。 もっとも、アフガニスタンから米軍が撤退しても、米国の民間戦争会社が国際機関や米国企業を防衛しています。軍服からガードマンの服に変えているだけで、本質的な違いはありません。 Q:トランプには政治家になって実現したい具体的な事柄が存在しない。「アメリカファースト」はそのような国づくりを理想としているのではなく、自己表現の一つに過ぎない、と書かれています。政治をエンターテイメントにできるのが不真面目な政治家の強みだと思いますが、これは危険なことでしょうか。 佐藤:危険だけど止められない。ウクライナのゼレンスキー大統領は元コメディアンです。「大統領」というテレビドラマに出たら大ヒットして、その勢いで大統領になっちゃった。プロレスみたいになってるんですよ、民主主義って。 そうなると民主主義以外の選択肢、恐怖政治の方が国民は幸せなんじゃないか。そういう発想も出てくる。 Q:民主主義が崩壊して独裁のような形に変わっていくほど、現在は追い詰められた状況だということでしょうか』、「アフガニスタンから米軍が撤退しても、米国の民間戦争会社が国際機関や米国企業を防衛しています。軍服からガードマンの服に変えているだけで、本質的な違いはありません」、確かにその通りなのだろう。
・『今後生まれてくる社会主義でも共産主義でもない体制  佐藤:中国はコロナを封じ込めることに成功している。この意味は相当に大きい。民主主義の消費期限が切れているのかもしれない。でも社会主義は、ソビエト型の社会主義の負の遺産のせいで無理です。そうすると、恐らく出てくるのは一種のファシズムでしょう。国家の暴力を背景にして、雇用を確保して、経済的な再分配をしていくという思想です。 Q:コミュニズムを装ったような形で、ということですか。 佐藤:利潤を追求する起業家精神は尊重するという点では、コミュニズムとは違います。経済は統制しないで競争はやらせる。でも、競争の成果物は取り上げて、貧しい人々に再分配する、というやり方です。中国は比較的近いと思いますが、共産主義という看板を掲げなくなると思います。 日本で言うとまず、年収3000万円くらいまでの人はいてもいい。でも、年間10億円、20億円稼ぐ奴からは全部召し上げて資産に課税する。消費税はがーんと上げる。それを原資として再分配し、最低700~800万円の世帯収入は皆に保証する、というイメージです。 Q:米国のような超富裕層の少ない日本では、資産家に大きく課税するという考え方は都合がいいと考える人は少なくないかもしれないですね。 佐藤:今のところは事実上、MMT(現代貨幣理論)で世の中が動いてしまっているわけでしょう。いくら国債売っても大丈夫なんだ、と。あれは絨毯にガソリンを撒いているようなものです。すぐに火はつかないけど、朝鮮半島や台湾海峡の有事等、国際情勢によって一気に火がついて極端なハイパーインフレになります。 その時、MMTだと、増税で対応するということになっているけど、そんなことが短期間でできるのか。そうなると、リバタリアン(自由主義)的な発想じゃなくて国家が乗り出してくると僕は思う。 Q:金正恩には求愛を恫喝で示すという独特な表現様式がある、と書かれています。当たり屋のようにトラブルを持ち込み、恫喝し困った相手を交渉の場に引きずり出して、注文をつけて相手が少しでも譲歩したら儲けもの、というあの質の悪いやり口を金正恩総書記はどこから学んだのでしょうか』、「今のところは事実上、MMT・・・で世の中が動いてしまっているわけでしょう・・・あれは絨毯にガソリンを撒いているようなものです。すぐに火はつかないけど、朝鮮半島や台湾海峡の有事等、国際情勢によって一気に火がついて極端なハイパーインフレになります」、同感である。
・『「北朝鮮の人々は今の北朝鮮にそこそこ満足している」  佐藤: 金日成や金正日の時には北朝鮮から輸出するものもあったし、第三世界の支援もしていた。金日成の主体思想に惹かれる人もそれなりにいました。金正日の時はリビアにトンネルを掘っていたし、土木工事なんかで儲けていたんです。 ところが、国連の制裁が加わって、だんだんそういうことができなくなって、ハッキングして仮想通貨を盗むとか犯罪国家的になっていった。ある意味、北朝鮮に対する制裁が効いてるんですよね。 ただし、核兵器を持っているから、迂闊なことはできない。北朝鮮は自分の身を守るために、核兵器が米国に到達するような形にしておかないといけない、と思い込んでいます。特に、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の多弾頭化に成功すれば、北朝鮮の安全は保障されるということになります。 北朝鮮は貧乏ですが、朝鮮戦争直後に比べて人口が増えているし、1990年代後半に多くの餓死者を出した「苦難の行軍」の時期と比べても豊かになっています。 北朝鮮のキャリアパスでは平壌に住むのが頂点だし、農村から地方の中核都市に移ることによって人の移動がある。それを目指して頑張るから、あの体制内でも、みんなそれなりに幸せにやっています。閉ざされた環境の中で、たとえ低い生活水準でも人々はそれを甘受して、そこそこの幸せを感じる、ということは十分あるんです。 Q:「私が20世紀の独裁者の中で最も興味を持っているのが、アルバニアに君臨したエンベル・ホッジャである」と本書で書かれています。日本で一般的に語られる国際政治の主要な人物の中では比較的マイナーな存在ですが、なぜこの独裁者に格別の興味を示されるのでしょうか。 佐藤:政治家にとって一番重要なことは、国民を飢えさせず食べさせることです。アルバニアは荒れた土地の小国なのに、エンベル・ホッジャは自力でちゃんと生き残って国民を食わせることができた。大したものです。しかも、ソ連や中国と喧嘩しながら衛星国にならず、バランスを取っていた。本来だったらユーゴスラビアに吸収されてしまうような小さい国ですからね。 Q:エンベル・ホッジャが尊敬していたのは、鉄の規律で民衆を徹底的に押さえつけ、平等な世界を実現しようとしたソ連の独裁者ヨシフ・スターリンでした。アルバニアもロシアもその後、破滅的な辛い時代に突入しますが、それは過度な理想主義者に無理に矯正された反動でバランスを崩して転倒した結果のように見受けます。完璧な世界の実現を目指す真面目すぎる政治家もまた、ならず者以上に危険な存在なのでしょうか』、「過度な理想主義者」の失敗例は、カンボジアのポルポト政権も記憶に新しいところだ。
・『究極の自己責任社会だった旧ソ連  佐藤:理想で世の中を動かそうとしても短期間しか動かない。最後は恐怖で動かすしかないし、理想的な社会を作るには恐怖政治になる。ただ、恐怖政治だとしても、その仕組みが機能している限りにおいては長期間続くんです。 ソ連はある意味で、非常にいい社会でした。共産主義の理想である「労働時間の短縮」が実現されていました。1日3時間くらいしか働かない。土日は2回休むし、夏休みは2カ月ある。クーポン券が労働組合から配られるから、夏の間はリゾートホテルでみんな遊んでいたんです。 Q:生活が安定して様々なものが享受できたとしても、人々は精神的に幸せにはなれないのでしょうか。 佐藤:旧ソ連はそれなりに幸せだったんです。住宅はタダで分けてくれる仕組みがあって、普通の労働者は別荘を持っていた。郊外のログハウスに10人くらいで集まって、手作りの料理を持ち寄って飲んで・・・。全然悪くない、楽しい生活ですよ。 別荘に集まってタイプライターで詩や作品を作ることもありました。どんな反体制文書でも、製本して20部作って配るくらいは全然問題ない。日本の学術論文の読者だって、実際は3人くらいでしょう。知的な活動をしている人は、20部程度発行できれば満足ですよ。 一人の人が一生の間に知り合える人は150人で、人事評価をきちんとできる人数は8人だと言われています。人というのは10人、15人の人がいればわりと満足なんです。今の日本の場合、10人、15人の友達に会いたいと言っても難しいでしょう。仕事で都合つかないとか、収入に余裕がなくてカツカツだとか。 Q:競争志向型の人は、ソ連時代はどうしていたのでしょうか。 佐藤:ソ連のエリートはハイリスク・ローリターンだったんです。腐っていない卵を買えるくらいの特権しかなかったんです。国家の指導的な立場になっても、政争に巻き込まれてシベリア送りや刑務所送りになるリスクがあった。でも、そこそこの生活でよければ政争に巻き込まれることはない。 しかし、人々はミネラルウォーターやビールを飲む時は、光にかざしてチェックする必要がありました。品質管理がないから、ネズミのうんこが入っている可能性がある。それを飲んで腹を壊しても自己責任、だからみんな一生懸命に目を凝らしていた。究極の自己責任社会だったんです』、「理想的な社会を作るには恐怖政治になる。ただ、恐怖政治だとしても、その仕組みが機能している限りにおいては長期間続くんです。 ソ連はある意味で、非常にいい社会でした。共産主義の理想である「労働時間の短縮」が実現されていました。1日3時間くらいしか働かない。土日は2回休むし、夏休みは2カ月ある。クーポン券が労働組合から配られるから、夏の間はリゾートホテルでみんな遊んでいたんです」、「ソ連」にもそんないい面があったとは初めて知った。
・『今の自由民主主義を守るには  Q:不安が多い社会では、強くて賢くて大いなる何かに導かれたいという願望が人々の間で高まりやすくなる。民主主義による意思決定のシステムが面倒に思えてくる。民主主義のシステムの綻びが大きくなり始めた今、20世紀の妖怪たちが息を吹き返そうとしている、と本書の冒頭で書かれています。この底流にある問題意識を教えてください。 佐藤:私は自由民主主義を守りたいと思う。 自由になると格差がつきすぎるけど、平等にすると競争がなくなって息苦しくなる。自由民主主義というのは、異なるベクトルの間で折り合いをつけていきます。その折り合いをつける基準は、フランス革命の自由、平等、友愛というスローガンの友愛ではないか。 では、その友愛はどう作られるのか。率直に意見を交わして、信頼が積み重なっていくと、その信頼関係がある人たちの間では、折り合いがつけられる。そういうネットワークを、自分の手が触れられるチャンスがある時に作る努力を怠らないこと、それが大事だと思う。(構成:添田愛沙)』、「信頼関係」はテーマ毎に成立する集団が変わってくる筈で、「佐藤氏」が言うほど簡単ではなさそうだ。

第三に、7月16日付け東洋経済オンラインが掲載した政治ジャーナリストの泉 宏氏による「菅政権は末期に、酒取引停止問題で露呈した限界 首相の指導力が急低下、募る衆院選への不安」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/441218
・『コロナ感染抑止策の一環として政府が画策した酒取引停止要請が全面撤回を余儀なくされた。関係する金融機関や酒事業者団体の反発に加え、与党内からも不満が噴出したからだ。 東京でのコロナ感染再拡大による東京五輪・パラリンピックの無観客開催などで苦境が続く菅義偉首相の指導力は一段と低下。頼みのワクチン接種の混乱による内閣支持率の低迷もあって、与党内には次期衆院選への不安も拡大している』、「今のドタバタ劇」はいまだに収まってないようだ。
・『「西村発言」に与野党から批判の声  今のドタバタ劇の主役を演じたのは、コロナ担当の西村康稔経済再生相だ。東京への4度目の緊急事態宣言発令を決めた7月8日の政府対策本部後の記者会見で、酒類提供停止の要請を拒む飲食店の情報を取引金融機関に流し、順守を働き掛けてもらう方針を表明した。 西村氏の発言は、政府がコロナ感染拡大の主犯と位置付ける飲酒を制限するための窮余の一策ともみえた。しかし、取引関係で強い立場にある金融機関を政府が動かすことは、金融機関にとって優越的地位の乱用との批判を招きかねない。野党からは「憲法違反」との声があがる一方、酒事業団体を有力な支持母体とする自民党からも不満が噴出した。 西村氏は9日に金融機関への要請は撤回したが、酒類販売事業者に求めた酒の提供を続ける飲食店との取引停止要請については続ける意向を表明。しかし、自民党が政府に強い不満を伝えたことから、こちらも13日に撤回した。 さらに政府は、酒類販売事業者への支援金をめぐり、給付要件として「酒類提供停止に応じない飲食店との取引停止」を求めていた6月11日付の都道府県向け文書も14日夜に廃止すると発表。まさに、「西村発言で始まった朝令暮改の連鎖で、菅内閣の統治能力や判断力の欠如を露呈」(立憲民主幹部)する結果となった。 問題は、不当な圧力ともみられる取引停止要請が西村氏のスタンドプレーだったのかという疑問だ。主要野党による調査の結果、内閣官房コロナ対策室と国税庁が連名で、酒造メーカーや販売団体に飲食店への酒類取引停止を求める文書を8日付で送付していたことが判明した。) 文書の題名の末尾には「依頼」と記載されており、コロナ対策室が菅首相に事前説明していたことも明らかになった。「まさに政府ぐるみの要請」(自民幹部)だったわけで、菅首相は9日の段階で西村氏発言について「承知していない」としらを切ったが、主要野党は「すべては最高指揮官の菅首相の責任」と勢いづいた。 深刻化する事態に焦った菅首相は14日午前、「先週の事務方の説明の中で言及しているということだが、要請の具体的内容について議論したことはない」と釈明。そのうえで「すでに要請は撤回されているが、多くの皆様に大変ご迷惑をおかけしたことをお詫びしたい」と陳謝した。 集中砲火を浴びた西村氏も、「できるだけ多くの方に協力いただきたいという強い思いからの発言だったが、趣旨を十分に伝えきれず反省している」と釈明。野党からの辞任要求には「私の責任は何としても感染拡大を収めることだ」と繰り返した』、「菅首相」は「責任」を回避し切れなくなると、やむなく「陳謝した」ようだ。
・『与党の重鎮からも苦言が相次ぐ  その一方、麻生太郎副総理兼財務相は13日の記者会見で、「海外出張中に途中段階の報告を受けたが、違うんじゃないかと思って『放っておけ』と言っ た」と苦々し気に発言。梶山弘志経済産業相も「強い違和感を覚えた。了承した事実はない」と明言した。 自民党の二階俊博幹事長は13日午前の総務会で「誤解を受けることがないよう、今後は事前に党に相談してもらい、発言には慎重を尽くしてもらいたい」と苦言を呈した。 緊急事態宣言の発令と同時進行となったのが、今回の一連の迷走劇だ。その経過や結果は、「内閣全体が感染急拡大への焦りで正常な判断ができず、世論の反発で慌てふためいて、西村氏に責任をかぶせて逃げ切りを図った」(閣僚経験者)とみられても仕方がない。 14日午前の菅首相の陳謝も、14、15両日に開催された衆参両院内閣委員会の閉会中審査で、野党の追及をかわす意図があったのは間違いない。閉会中審査で野党の厳しい追及を受けた西村氏は、これまでの「ああいえばこういう」式のしたたかな答弁ぶりが影を潜めた。「私の判断ミス」と殊勝な表情で謝罪し続け、菅首相をかばう姿勢も際立った。 西村氏の説明によると、酒類取引停止に関する金融機関と酒類販売業者への要請を策定したのは、西村氏が所管する内閣官房コロナ対策室。西村氏は「関係者との意見交換の中で最終的に出てきたのが今回の対策」と繰り返したが、発案者については言葉を濁した。) 西村氏は、その対策を菅首相らに示したのは7日のコロナ対策関係閣僚会議だったことも認めた。ただ、菅首相や出席閣僚は関心を示さず、議論の対象にもならなかったと説明。菅首相の「具体的に議論していない」との釈明を裏付けてみせた。 しかし、「金融機関を利用しての関係業者への圧力という異様な提案に何も反応しなかったとすれば、菅首相らの認識不足はひどすぎる」(経済閣僚経験者)との指摘も多い。菅首相サイドは「西村氏が余計なことを言ったからだ」と不満たらたらだが、「内閣全体の責任であることは明らか」(自民長老)にみえる』、「「金融機関を利用しての関係業者への圧力という異様な提案に何も反応しなかったとすれば、菅首相らの認識不足はひどすぎる」、その通りだ。
・『「自公以外」がネット上でトレンド入り  酒類販売事業団体はそもそも自民党の有力な支援組織で、酒類の小売業者は全国小売酒販政治連盟を結成している。今回の要請に対して同連盟会長らが自民党本部を訪れ、「得意先からの注文を拒否することは、長年培ってきた信頼関係を毀損する。取引停止に対する財政的支援が何ら担保されないまま、一方的に協力を求めることは承服できない」とする要望書を突き付けた。 こうした動きと連動する形でネット上では「自民党と公明党以外に投票します」との書き込みがあふれ、ツイッターでは「自公以外」というワードがトレンド入りする事態となった。 これについて自民党内には「所詮はネットの声」(ベテラン議員)と軽視する見方もあったが、若手議員の間では「都議選の自民敗北は、ネットでの都民の反発を見誤った結果」と指摘する声が相次いだ。東京が地盤の有力閣僚も「『自公以外』という言葉がネットを通じて無党派層に広がれば、自民は壊滅的打撃を受けかねない」と危機感を露わにした。 騒動の最中である14日、菅首相は来日中の国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長と会談。「今回の東京大会はオリンピックの歴史を書き換える」(バッハ氏)などと大会成功への連携と協力を確認してみせた。 その五輪は1週間後に開幕となる。ところが、主催都市・東京の新規感染者数は増える一方で、感染症専門家の多くは「五輪開幕時には7日間平均で1000人を大きく超える」と予測している。 菅首相は西村氏の対応について「感染防止のために朝から夜まで頭がいっぱいで」と擁護してみせた。しかし、現状をみる限り、「西村氏以上に、五輪、コロナ、ワクチンで頭がいっぱいなのが菅首相」(自民長老)というのが実態かもしれない』、確かに「菅首相」は私が見ても余裕を失って政権末期を感じさせる。
タグ:東洋経済オンライン JBPRESS AERAdot 泉 宏 スガノミクス (その8)(菅総理の「誇大妄想」が悲しい途上国日本 古賀茂明 連載「政官財の罪と罰」、作家・佐藤優が読み解く 菅首相がじんわりと怖いのはなぜか 緊急事態宣言とオリンピック開催が両立する菅首相の頭の中の論理、菅政権は末期に 酒取引停止問題で露呈した限界 首相の指導力が急低下 募る衆院選への不安) 「菅総理の「誇大妄想」が悲しい途上国日本 古賀茂明 連載「政官財の罪と罰」」 「13年の「戦略」」は「世界銀行のビジネス環境ランキング」を目標に掲げていただけ、まだ良心的だった。 「日本の順位は20年版世銀ランキングで、OECD諸国中18位と下がっている。世界全体では、28位のロシアにも及ばず29位。31位の中国に抜かれる寸前」、「OECD3位・・・の座にいるのは、何と菅政権が大嫌いな韓国だ」、惨憺たる状況だ。格好をつけずに、実態に即した施策が強く求められている。 「作家・佐藤優が読み解く、菅首相がじんわりと怖いのはなぜか 緊急事態宣言とオリンピック開催が両立する菅首相の頭の中の論理」 『悪の処世術』 「日本にもフォビアクラシーがあります・・・菅義偉首相がやっているのは、完全にフォビアクラシー(恐怖政治)です。少しでも反発する者が出てきたらバサッと切りますから」、「菅政治」は「フォビアクラシー」とは言い得て妙だ。 「この安定か混乱かという選択は、ともすれば独裁を是認する方向に行きかねません」、確かにそのリスクに要注意だ。 「共産党体制に反発せずに社会問題を処理するという点ではカトリックが魅力的です。 それから、創価学会・・・の活動も同時に公認することになるでしょう」、なるほど。 「アフガニスタンから米軍が撤退しても、米国の民間戦争会社が国際機関や米国企業を防衛しています。軍服からガードマンの服に変えているだけで、本質的な違いはありません」、確かにその通りなのだろう 「今のところは事実上、MMT・・・で世の中が動いてしまっているわけでしょう・・・あれは絨毯にガソリンを撒いているようなものです。すぐに火はつかないけど、朝鮮半島や台湾海峡の有事等、国際情勢によって一気に火がついて極端なハイパーインフレになります」、同感である。 「過度な理想主義者」の失敗例は、カンボジアのポルポト政権も記憶に新しいところだ。 「理想的な社会を作るには恐怖政治になる。ただ、恐怖政治だとしても、その仕組みが機能している限りにおいては長期間続くんです。 ソ連はある意味で、非常にいい社会でした。共産主義の理想である「労働時間の短縮」が実現されていました。1日3時間くらいしか働かない。土日は2回休むし、夏休みは2カ月ある。クーポン券が労働組合から配られるから、夏の間はリゾートホテルでみんな遊んでいたんです」、「ソ連」にもそんないい面があったとは初めて知った。 「信頼関係」はテーマ毎に成立する集団が変わってくる筈で、「佐藤氏」が言うほど簡単ではなさそうだ。 「菅政権は末期に、酒取引停止問題で露呈した限界 首相の指導力が急低下、募る衆院選への不安」 「今のドタバタ劇」はいまだに収まってないようだ。 「菅首相」は「責任」を回避し切れなくなると、やむなく「陳謝した」ようだ。 「「金融機関を利用しての関係業者への圧力という異様な提案に何も反応しなかったとすれば、菅首相らの認識不足はひどすぎる」、その通りだ。 確かに「菅首相」は私が見ても余裕を失って政権末期を感じさせる。
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