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相次ぐ警察の重大ミス(その8)(犯罪も事故も減ったのに 日本の警察官の仕事が一向に減っていない本当の理由 仕事の範囲がどんどん広がっている、元公安警察官は見た 「國松長官狙撃事件」で公安部と刑事部が対立 その結果起きたこと、「大阪女性殺害の容疑者自殺」なぜ起きた?ずさんな留置管理の実態) [社会]

相次ぐ警察の重大ミスについては、2020年4月10日に取上げた。久しぶりの今日は、(その8)(犯罪も事故も減ったのに 日本の警察官の仕事が一向に減っていない本当の理由 仕事の範囲がどんどん広がっている、元公安警察官は見た 「國松長官狙撃事件」で公安部と刑事部が対立 その結果起きたこと、「大阪女性殺害の容疑者自殺」なぜ起きた?ずさんな留置管理の実態)である。

先ずは、昨年9月21日付けPRESIDENT Onlineが掲載したノンフィクション作家の野地 秩嘉氏による「犯罪も事故も減ったのに、日本の警察官の仕事が一向に減っていない本当の理由 仕事の範囲がどんどん広がっている」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/50049
・『近年、国内の犯罪や交通事故は減少傾向にある。しかし日本の警察官の仕事は一向に減っていない。なぜなのか。ノンフィクション作家の野地秩嘉さんが解説する――。 ※本稿は、野地秩嘉『警察庁長官 知られざる警察トップの仕事と素顔』(朝日新書)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・『犯罪も交通事故も減っているのに仕事は増えている  犯罪白書(令和元年版)を見ると、犯罪、交通事故も、ともに減っていることがわかる。刑法犯の認知件数は2002年の285万3739件をピークに減少し、2018年で81万7338件。検挙率は平成期の前半では低下傾向だが、後半では上昇傾向にある。犯罪の件数が減ったから、検挙にあたる警察のマンパワーが相対的に増えたのだろう。 減っているのは窃盗だ。ここのところ戦後最少を更新し続けている。気になるのは特殊詐欺である。認知件数は2011年から増加している。ただ、2018年だけは前年比9.4%減っている。 特殊詐欺とあおり運転はニュースに取り上げられる頻度が高い。このふたつが話題になっている限り体感治安はなかなかよくはならないだろう。 交通事故も近年は減っている。ピークは2004年の95万2720件で、2018年は43万601件。コロナ禍で緊急事態宣言が発出された2020年は30万9178件だ。前年比で19.0%も減少している。なんとピーク時の3分の1以下になった。 では、なぜ、犯罪は減ったのか』、「刑法犯の認知件数」の激減、「交通事故」の減少は顕著だ。
・『少年犯罪から暴力団対策までを網羅した5箇条  減っているのは2002年以降だ。当時、増えつつある犯罪件数を見て、警察組織は震撼し、警察庁長官、佐藤英彦が犯罪を減らすことに大号令をかけた。 そして、さまざまな施策を打ち出した。2003(平成15)年の犯罪対策閣僚会議では次のような施策を発表している。むろん、起案したのは警察庁のキャリア官僚だ。 「犯罪に強い社会の実現のための行動計画 世界一安全な国、日本の復活を目指して」 1 平穏な暮らしを脅かす身近な犯罪の抑止 地域連帯の再生と安全で安心なまちづくりの実現、犯罪被害者の保護等 2 社会全体で取り組む少年犯罪の抑止 少年犯罪への厳正・的確な対応、少年を非行から守るための関係機関の連携強化等 3 国境を越える脅威への対応 水際における監視、取締りの推進、不法入国・不法滞在対策等の推進等 4 組織犯罪等からの経済、社会の防護 組織犯罪対策、暴力団対策の推進、薬物乱用、銃器犯罪のない社会の実現等 5 治安回復のための基盤整備 刑務所等矯正施設の過剰収容の解消と矯正処遇の強化、更生保護制度の充実強化等』、なるほど。
・『捜査手法が進化した街頭の防犯カメラ  ここにあるような基礎的な治安対策がじわじわと効いてきたから犯罪が減少したのだろうが、ある長官経験者に聞いてみると、「ポイントはふたつ」と言った。 「入国管理を厳しくしたことで外国人の犯罪者が減ったこと、もうひとつは街頭に設置された防犯カメラだ」 特に防犯カメラについてはカメラもそれを使った捜査手法もともに進化したこともあり、効果を上げている。 しかし、防犯カメラを使った捜査とはただ、画面を見ていればそれで済むわけではない。カメラがなかった頃よりもかえって、人手を取られるようになった。警察にとってITの発達はいい面とそうではない面がある。時間と人手がかかる典型だったのが渋谷で起こったクレイジーハロウィーン事件である』、「防犯カメラについてはカメラもそれを使った捜査手法もともに進化したこともあり、効果を上げている。 しかし、防犯カメラを使った捜査とはただ、画面を見ていればそれで済むわけではない。カメラがなかった頃よりもかえって、人手を取られるようになった。警察にとってITの発達はいい面とそうではない面がある」、具体例として挙がっている「クレイジーハロウィーン事件」を見てみよう。
・『約250台のカメラ、約4万人から犯人をあぶりだした  2018年のハロウィーンから2カ月後の年末のことだった。警視庁は渋谷交差点近くの雑踏で軽トラックを横転させた4人を逮捕した。事件にかかわったのは外国籍を含む17~37歳の男、計15人である。いわゆる「クレイジーハロウィーン事件」の犯人たちだ。 ニュースを動画で見た人も多いと思うが、あの日の渋谷には仮装した人、見物に来た人など約4万人であふれかえっていた。お面やマスクをかぶっていた人間もかなりの人数だった。 それなのに捜査官たちは防犯カメラを見て、その後を追跡、犯人を特定したのである。目が充血するのもいとわぬ捜査で容疑者を追い詰めたのだが、近年はこうした捜査が増えているのである。 捜査が始まったのは事件の翌日からだ。警視庁は所轄の渋谷署だけでなく、他の署からも捜査員を集め、渋谷を中心に合計約250台の防犯カメラの映像を回収した。捜査員たちは容疑者の画像を追い、容疑者が使ったとみられる最寄りの駅でICカード乗車券の履歴を調べた。また、容疑者が降りたと思われる駅すべてに聞き込みをし、追跡したのである。 こうした捜査手法が主流になっていくと犯罪は減っているにもかかわらず、仕事は膨らんでいく。画面を見るだけではなく、裏付けのために駅などへの聞き込みをしなくてはならないからだ。捜査員は目も使うし、体も酷使する』、「警視庁は所轄の渋谷署だけでなく、他の署からも捜査員を集め、渋谷を中心に合計約250台の防犯カメラの映像を回収した。捜査員たちは容疑者の画像を追い、容疑者が使ったとみられる最寄りの駅でICカード乗車券の履歴を調べた。また、容疑者が降りたと思われる駅すべてに聞き込みをし、追跡したのである」、確かに「こうした捜査手法が主流になっていくと犯罪は減っているにもかかわらず、仕事は膨らんでいく」、このケースの場合は、「仕事は膨らんでいく」が、そうでないケースもあり得る点は注意が必要だ。
・『捜査手法が多様化し、市民サービス的な仕事も増えた  いくらAIが画面を分析するようになっても、結局のところ、容疑者の家を訪ねたりするのはロボットではない。対人捜査は警察官が行わなければならないから、現場の仕事は減らない。 警察が直面している大きな課題は捜査手法が多様化したために業務の種類が増えたことだろう。加えて、犯罪捜査以外の市民サービス的な仕事も増えている。 業務の量が増えていることに対して、警察庁長官と幹部はどう判断するのだろうか。 警察庁長官が、今やらなくてはいけないのは警察の本質を新たに決め、それに沿った未来の姿を考え、庁内に示すことではないか。 ただし、任期が2年から3年というなかで、ひとりの長官が警察の将来を決定することは簡単ではない。 民間会社の敏腕社長であれば5年から6年の在職中に長期的な計画を立てることができるし、新分野にも足場を築くことができる。一方、警察庁長官の任期を延ばすのは難しいだろうから、2年から3年の間に通常業務とは別に警察の仕事を革新的にしたり、新分野を追加することは極めて困難だ。 市民としては、警察の守備範囲が広がるのは困ることではない。一方で、何から何まで担当してもらわなくともいいとも思っている。 戦前に実在した特高のような思想警察、衛生警察(警視庁及び府県警察部衛生課感染症対策から飲食店の食事、医療の一部まで担当)が出現するのは困る。 「警察の仕事はここからあそこまでですよ」とはっきりさせてほしいのである』、この記事は安倍元首相暗殺事件前だが、暗殺事件で要人警護の穴が明らかになった。
・『「個人の生命、身体及び財産」の解釈が広がっている  警察官なら誰もが知っていて、暗記している法律がある。警察法の第二条第一項がそれだ。 「警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする。」 日本の警察のあり方、守備範囲を決めている法律である。第二条にはふたつの責務が書いてあり、どちらにも軽重はない。ともに大事なものとなっている。 A 「個人の生命、身体及び財産の保護」 B 犯罪の予防、鎮圧および捜査などから始まる「公共の安全と秩序の維持」 世界の警察の場合も両方が責務だが、重点はBの犯罪捜査と公共の安全と秩序の維持だろう。 一方、日本の警察はAの個人の生命、身体及び財産の保護も重要な仕事で、前述のように、この領域は拡大を続けている。そして、遺失物捜査、つまり落とし物を捜すことも市民財産の保護なのである。 ただ、特措法改正のため、今後、新しい感染症が蔓延するたびに何かと言えば警察官は駆り出されるだろう』、「特措法改正のため、今後、新しい感染症が蔓延するたびに何かと言えば警察官は駆り出されるだろう」、「感染症」と「警察官」の関係が理解できない。
・『交番にとって負担の多い「巡回連絡」  しかし、なんでもかんでも引き受けていたら、警察は本来やるべき犯罪捜査に回す人手が足りなくなってしまう。新型コロナウイルスを鎮静させても、窃盗や強盗や詐欺が増えたら、何にもならない。 なんといっても、日本の警察官は世界の警察官よりも忙しい。たとえば彼らは「巡回連絡」をやっている。 巡回連絡とは、交番勤務のおまわりさんが自宅にやってきて、「変わりはないですか? ご家族は何人ですか」などと調べて回る仕事だ。昔は住民も当たり前のように扉を開けて、お茶の一杯も出して話していたけれど、近頃は日中、訪ねても留守の家が多くなった。また、たとえ家にいても、独身女子や高齢者の一人住まいは扉を開けないことが多い。犯罪の抑止、災害防止、住民との良好な関係を保つためには重要な仕事だけれど、交番のおまわりさんにとっては負担の多い仕事でもある。 ただ、巡回連絡がきちんと行われていれば、特殊詐欺の電話の掛け子たちや夜中に豚舎や梨畑で窃盗を繰り返す人間たちがアパートの一室で暮らすような状態の抑止にはなる。市民にとってはありがたいサービス業務なのだけれど、不意打ちのように自宅に来られるのはうれしくはないのが一般の感情だろう』、私は「巡回連絡」は大きなお世話で、必要ないと考えている。
・『でも生活のもめごとは警察に解決してほしい  市民は警察が衛生警察や思想警察になるのは嫌だけれど、生活まわりの支援サービスについてはもっとやってもらいたいと思っている。 たとえば、隣の家がゴミ屋敷だったとする。市役所にいくら連絡してもなかなか返事は来ない。市役所の係員がゴミ屋敷の住人に忠告したとしても、なかなか従わない。しかし、警官が訪ねていくと、それだけで状況は変化することがある。 市民は生活のもめごとに関しては迷惑系ユーチューバーと同じような意識になっている。とにかく面倒くさいことは警察にワンストップでやってもらいたいのである。 警察が「個人の生命、身体、財産の保護」をやらなければならない限り、その範囲は今後もどんどん増えていく。 余計なお世話なのはわかっているけれど、警察庁長官は増える一方の政府と市民からの要請に対して、どこまで応えるかを決めなくてはならない。 具体的に言えば警察法第二条を改正して、「ここまでが警察の仕事ですよ」と記すことなのだが……』、「市民は生活のもめごとに関しては迷惑系ユーチューバーと同じような意識になっている。とにかく面倒くさいことは警察にワンストップでやってもらいたいのである。 警察が「個人の生命、身体、財産の保護」をやらなければならない限り、その範囲は今後もどんどん増えていく」、こんな「市民」の勝手を「警察」が聞き入れる必要はないと思う。
・『なぜ、警察庁は「警察法の改正」をできないのか  だが、警察法の改正はこれまた難しい。 かつての長官、後藤田正晴は大学紛争時代、こんなことを言っている。 「自民党は警察に火炎びん処罰法を立法化せよ、といっているが、政治家のいうなりに警察が法案を立案したら大変だ。最後には与野党の取り引き材料になって法案はつぶれ、警察だけが悪者にされる。(略)日本の国会では『警』の字のつく法案なんて交通以外はムリだ」(前掲『警察庁長官の戦後史』) 後藤田の言ったことは今も続いている。国会でも交通、情報通信以外の警察活動についての法案を通すのは簡単ではない。警察法を改正するというと、国民もマスコミも警戒するから、それを乗り越えるのは簡単ではない。他の中央官庁の最大の仕事は法律の企画、立案だ。しかし、警察庁では事実上、その部分に枷がはめられている』、「警察法を改正するというと、国民もマスコミも警戒」、「警察」に対して「国民もマスコミも」健全な「警戒感」を持っているのは好ましいことだ。

次に、昨年11月16日付けデイリー新潮「元公安警察官は見た 「國松長官狙撃事件」で公安部と刑事部が対立、その結果起きたこと」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2021/11160600/?all=1
・『日本の公安警察は、アメリカのCIAやFBIのように華々しくドラマや映画に登場することもなく、その諜報活動は一般にはほとんど知られていない。警視庁に入庁以後、公安畑を十数年歩き、数年前に退職。この9月『警視庁公安部外事課』(光文社)を出版した勝丸円覚氏に、公安部と刑事部の対立について聞いた。 公安警察と刑事警察は不仲とされる。これは昔から言われていることで、捜査一課の刑事と公安が対立するシーンは映画やドラマでもよく描かれる。 「実際、仲は良くありません。特に刑事警察は、公安に対して一方的に反感を抱く傾向にあります」と語るのは、勝丸氏。 「叩き上げの刑事の中には、公安に対して『あいつら適当に時間を潰して遊んでやがる』と的外れな批判をする人もいます。『スパイなんて大袈裟に騒いでいるけど、会社の情報を売っているただのコソ泥を捕まえるために大層なことしやがって』などと言う人さえいます」』、「刑事と公安」の「対立」は想像以上のようだ。
・『捜査に対する考え方が根本的に違う  なぜ、公安と警察は仲が悪いのか。 「捜査に対する考え方が根本的に違うからです。公安は、事件が起こる前に未然に防ぐことを目的とします。それが防犯に繋がると。ところが刑事警察は、起こった事件を捜査して犯人を逮捕する。悪人を社会から取り除くのです。犯人に刑を負わせれば、それが犯罪の抑止力に繋がると考えています」 そのため公安は事件を解決したという実績が残りにくいという。 「公安の仕事は、数字として表れないので刑事から見れば半ば遊んでいるように見えるんでしょうね。公安と刑事警察の対立による弊害が最も鮮明になったのが、1995年3月に起きた『國松孝次警察庁長官狙撃事件』でした」 オウム真理教による地下鉄サリン事件の10日後の3月30日に起きた。午前8時31分頃、國松長官が東京・荒川区の自宅マンションを出たところ、黒っぽいレインコートに白いマスクをした男が拳銃を4回発砲、うち3発が腹部に当たり瀕死の重傷を負った。 「殺人未遂事件ですから、本来なら刑事警察の領域となります。しかし、犯人がオウム信者の可能性があったので、公安の捜査対象にもなりました」 射撃犯として、すぐにオウム信者の平田信の名前が上がった。一方、公安では、警視庁の元巡査長だった人物の名前が浮上したという。 「オウムは、狙った土地の所有者を監禁し土地の権利書を奪う事件を何度も起こしているのですが、公安が強制捜査を行った時、押収した書類の中に信者の名簿があったのです。そこには、結構な数の自衛官と数名の警察官の名前がありました。そして元巡査長の名前も確認されました」 公安部で、名簿にあった警察官を尾行したところ、元巡査長が活発な信者であることがわかったという』、「公安部で、名簿にあった警察官を尾行したところ、元巡査長が活発な信者であることがわかったという」、なるほど。
・『公安だけで事件を解決  「そこで、公安で元巡査長の事情聴取を行ったところ、國松長官を撃った、拳銃は神田川に捨てたと自供したのです。この情報は、公安内部だけに留め、警視庁刑事部や警察庁とは共有しませんでした。公安の捜査だけで事件を解決に導こうとしたわけです。これで捜査がおかしな方向へ行ってしまった。途中で捜査を止めることもできませんでした」 実際、公安部は警察庁や警視庁刑事部に元巡査長の供述を5カ月間報告しなかったという。 「元巡査長の供述は矛盾が多かった。供述も二転三転として、証拠固めが困難となりました。最初から刑事部と情報を共有していれば、結果は違ったものになったかもしれません。公安はスパイの尾行や監視、資料の分析などを得意としますが、事情聴取や実況見分、鑑識は刑事部のように場数を踏んでいませんからね」 事件発生から数年後、刑事部と公安部で異例の人事異動があったという。 「公安の資料分析担当者が何人も刑事部へ行きました。逆に公安は、刑事部の事情聴取担当者や鑑識担当者を引き抜いたのです。刑事部へ異動となった元公安の知り合いに連絡をすると、オウムのサティアンから押収した大量の薬品や資料を分析しているとのことでした。押収品の中には極めて重要な書類もあったそうですが、その情報は正式には公安に報告されませんでした。刑事部も公安と同様、情報を共有したくなかったのです」 結局、刑事部と公安部の縄張り争いが続き、2010年3月に事件は公訴時効を迎えてしまった。 「時効になった時、青木五郎公安部長が記者会見を行って、この事件がオウムの信者による組織的なテロリズムであるとの見解を示しました。結局、教団から訴えられて損害賠償を払うことになってしまった。なぜ、あんな踏み込んだ発言をしてしまったのか、理解に苦しみます」 勝丸氏は、刑事と公安は絶対に協力関係を築くべきだと言う。 「才能ある刑事や優秀な公安捜査官は、うまく情報交換を行っています。身内で争っている場合ではないのです」』、「公安内部だけに留め、警視庁刑事部や警察庁とは共有しませんでした。公安の捜査だけで事件を解決に導こうとしたわけです。これで捜査がおかしな方向へ行ってしまった。途中で捜査を止めることもできませんでした」 実際、公安部は警察庁や警視庁刑事部に元巡査長の供述を5カ月間報告しなかったという」、「最初から刑事部と情報を共有していれば、結果は違ったものになったかもしれません。公安はスパイの尾行や監視、資料の分析などを得意としますが、事情聴取や実況見分、鑑識は刑事部のように場数を踏んでいませんからね」、「結局、刑事部と公安部の縄張り争いが続き、2010年3月に事件は公訴時効を迎えてしまった」、「青木五郎公安部長が記者会見を行って、この事件がオウムの信者による組織的なテロリズムであるとの見解を示しました。結局、教団から訴えられて損害賠償を払うことになってしまった」、「損害賠償」まで払わされるとは、「公安」はお粗末過ぎる。

第三に、本年9月6日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した事件ジャーナリストの戸田一法氏による「「大阪女性殺害の容疑者自殺」なぜ起きた?ずさんな留置管理の実態」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/309187
・『大阪府高槻市で昨年7月、保険金目的で高井直子さん(当時54)を殺害したとして、殺人と詐欺未遂などの疑いで逮捕されていた養子の凜容疑者(28)が1日、福島署の留置施設で首をつって自殺した。府警の留置管理を巡っては2018年にも、富田林署から樋田淳也受刑者(34)=強盗致傷や強制性交など計20件の罪で懲役17年が確定=の逃走を許し、厳しい批判を浴びた。府警が失態を繰り返したとも言えるが、実は留置施設での自殺は少なくなく、留置管理の難しさも浮き彫りとなった』、「大阪府警」は2度も「留置管理」で失敗するとは、本当にたるんでいる。
・『女装で外出したり殺し屋を探す不可解  高槻市の事件は昨年7月26日、高井さんが自宅の浴槽で右手首に結束バンドを巻かれた状態で死亡しているのが見つかり、府警が殺人事件として捜査を開始。今年7月20日、高井さんと養子縁組届を出した際に証人をねつ造したとして、有印私文書偽造・同行使の疑いで凜容疑者を逮捕した。 同8月25日には、高井さんを浴槽で溺れさせて殺害し、保険金計1億5000万円をだまし取ろうとしたとして、殺人と詐欺未遂の疑いで再逮捕。事件性が疑われ保険金は支払われなかったが、養子として約1億円の遺産を相続していた。 全国紙社会部デスクによると、凜容疑者は殺人と詐欺未遂の容疑について黙秘していたが、高井さんが死亡したとみられる昨年7月22日、東京の自宅マンションから女装して外出。何度も服を着替えながら大阪まで移動する姿があちらこちらの防犯カメラに写っていた。) スマートフォンは自宅に置いたままで、位置情報を利用し在宅を偽装した疑いがある。23日には高井さんのスマホから凜容疑者にメールが送信されており、事前に設定した日時に送信できる機能を使い、死亡推定日時をずらそうとしたのではないかとみられる。 ただ、高井さんは殺害される5カ月前に凜容疑者と養子縁組したが、同居するわけでもなく、なぜ縁組したのか理由は不明のまま。凜容疑者は当時、勤務先の同僚に「殺し屋を知らないか」と物騒な相談を持ちかけていたという』、「東京の自宅マンションから女装して外出。何度も服を着替えながら大阪まで移動」、大阪への「移動」は保険金の審査を考慮したためか、かなり周到な偽装工作をしたようだ。
・『監視が強化される中でTシャツでひもを作る  逮捕後、凜容疑者は取り調べに「逃走を考えている」と話したり、留置施設から署員の様子をうかがったりしていたため、監視を強化する「特異被留置者」に指定。消灯する午後9時から起床時間の翌午前7時まで、1時間に4回程度の巡回を5回に増やしていた。 しかし結局、凜容疑者が自殺を図った当日、留置管理の担当者は午前6時44分、布団で寝ている姿を確認したが、起床の点呼をしていた午前7時2分、意識がない状態で発見された。留置施設には複数のTシャツの裾部分を重ねたひもの様なものが残されていた。 かつて懇意にしていた刑事から聞いた話だが、一般的に容疑者は「あらぬ疑い」を向けられた場合、身の潔白を証明しようと躍起になるものらしい。黙秘は「言質を取られないように」警戒している証拠で「半ば、自供しているようなもの」と話していた(例外として身内をかばうケースもあるらしい)。 凜容疑者の自殺は「もう逃げ切れない」と観念し、犯人であることを認めたとも言える。ただ、やはり公判で本人が真実を語る機会が失われたことで、府警は慚愧(ざんき)の念に耐えないだろう』、「午前6時44分、布団で寝ている姿を確認したが、起床の点呼をしていた午前7時2分、意識がない状態で発見された」、初めの「午前6時44分、布団で寝ている姿を確認」、というのは疑わしいのではなかろうか。
・『繰り返されるずさんな留置管理  府警の留置管理で失態と言えば「富田林署逃走事件」を思い起こす読者も多いのではないだろうか。樋田受刑者が18年8月12日夜、富田林署の接見室で弁護士と面会後、アクリル製の隔離板を蹴破って逃走。自転車を盗み四国で49日間にわたり、1000キロ超をお遍路していた事件だ。 府警は富田林署長を更迭するなど計7人を懲戒処分としたが、接見室の扉が開くとブザーが鳴る装置の電池が1年以上前から入っていなかったり、当時の留置担当だった巡査部長がスマホでアダルト動画を見ていたりというお粗末な実態が明らかになった。 「府警の杜撰(ずさん)な留置管理態勢がなおざりにされた」という見方もできるが、一方で警戒に警戒を重ねても、特定の留置人を24時間常時監視というのはほぼ不可能で、自殺や自傷行為を完全に防止するのは困難とも聞く。 11年11月に兵庫県尼崎市の貸倉庫でドラム缶に入れられた女性(当時66)の遺体が見つかり、その後、8人が死亡、3人が行方不明になっていることが明らかになった「尼崎連続変死事件」をご記憶の読者も多いと思う。 計7人が起訴されたが、主犯格とされる角田美代子元被告(当時64)は「悪いのはすべて私です」と起訴内容を認める一方、留置担当者に「死にたい。どうやったら死ねるか」「生きていても意味がない」などと自殺をほのめかしていた。 そのため「特別要注意者」として監視を強化していたが、最初の逮捕から10カ月後の12年12月、留置担当者が巡回で寝息を立てているのを確認した後のわずか10分の間に、布団の中でシャツの両袖を首に巻き付けて自殺しているのが見つかった。 この時も兵庫県警は厳しい批判にさらされたが、当時の記事によると留置管理課幹部は「現時点で落ち度はなかったと考えている。今後、詳細を調べる」と話していた』、「兵庫県警」の場合は確かに「落ち度はなかった」のかも知れない。
・『留置管理担当は刑事への登竜門  このほかにも最近では▽5月、新潟署で50代の男▽3月、埼玉県警春日部署で37歳の男▽21年10月、同川口署で52歳の男▽19年12月、警視庁本所署で30代の男▽19年10月、福島県警南相馬署で29歳の男、などが留置施設で自殺している。 実はあまり知られていないが、一命は取り留めたものの意識不明で搬送されたり、自傷行為で治療を受けたりするケースは枚挙にいとまがない。 それでは、容疑者や被告と向き合う留置管理の担当者は警察内部でどんな立ち位置なのだろうか。) 留置人の見回りという閑職だから、出世コースを外れた人というイメージを持たれるかもしれないが、実は希望者が多い刑事への登竜門だ。最近はハコヅメ(警察署地域課の交番勤務)から刑事課というパターンもあるようだが、昔は犯罪者の動静や態様を学ぶため、留置管理の担当に配属させるという流れが一般的だった。 標準的な警察署では、捜査には直接かかわらない警務課留置管理係が、3交代制で担当。留置人は午前7時起床、同8時朝食、正午の昼食まで聴取。午後1時から再び聴取、午後6時に夕食で、その後は自由時間で午後9時に消灯というのが一般的だ。聴取もよっぽどの事件でない限り、午前・午後とギチギチに詰め込まれるわけではない。 そのため、留置人と雑談する時間もあり、刑事訴訟法をレクチャーすることで自分の知識を反芻(はんすう)したり、前述のように「動静や態様を学ぶ」ことにつながっていたり、という側面があったらしい。 今回の事件、結果論として福島署留置担当者の失態であったことは否定できないが、すべて人間のやること。留置人が本気で殺を考えたら、おそらく完全に防ぐことは不可能だろう。 死者にむち打つのは気が引けるが、凛容疑者は自身が無関係なのか、犯人なのか、真相を語ることなく自ら命を絶った。事件ジャーナリストとしては、同情する気持ちはさらさらなく「ひきょう者」という感情しかない。 ただ、留置管理のあり方に一石を投じたという意味では、凛容疑者の自殺は意味があったのかもしれない』、「留置人の見回りという閑職だから、出世コースを外れた人というイメージを持たれるかもしれないが、実は希望者が多い刑事への登竜門だ。最近はハコヅメ・・・から刑事課というパターンもあるようだが、昔は犯罪者の動静や態様を学ぶため、留置管理の担当に配属させるという流れが一般的だった」、「留置人」が「刑事への登竜門」とは意外だが、確かに「犯罪者の動静や態様を学ぶ」意味もあったのだろう。
タグ:「大阪府警」は2度も「留置管理」で失敗するとは、本当にたるんでいる。 戸田一法氏による「「大阪女性殺害の容疑者自殺」なぜ起きた?ずさんな留置管理の実態」 「警察法を改正するというと、国民もマスコミも警戒」、「警察」に対して「国民もマスコミも」健全な「警戒感」を持っているのは好ましいことだ。 野地 秩嘉氏による「犯罪も事故も減ったのに、日本の警察官の仕事が一向に減っていない本当の理由 仕事の範囲がどんどん広がっている」 PRESIDENT ONLINE 「警視庁は所轄の渋谷署だけでなく、他の署からも捜査員を集め、渋谷を中心に合計約250台の防犯カメラの映像を回収した。捜査員たちは容疑者の画像を追い、容疑者が使ったとみられる最寄りの駅でICカード乗車券の履歴を調べた。また、容疑者が降りたと思われる駅すべてに聞き込みをし、追跡したのである」、確かに「こうした捜査手法が主流になっていくと犯罪は減っているにもかかわらず、仕事は膨らんでいく」、このケースの場合は、「仕事は膨らんでいく」が、そうでないケースもあり得る点は注意が必要だ。 「防犯カメラについてはカメラもそれを使った捜査手法もともに進化したこともあり、効果を上げている。 しかし、防犯カメラを使った捜査とはただ、画面を見ていればそれで済むわけではない。カメラがなかった頃よりもかえって、人手を取られるようになった。警察にとってITの発達はいい面とそうではない面がある」、具体例として挙がっている「クレイジーハロウィーン事件」を見てみよう。 「刑法犯の認知件数」の激減、「交通事故」の減少は顕著だ。 野地秩嘉『警察庁長官 知られざる警察トップの仕事と素顔』(朝日新書) 「市民は生活のもめごとに関しては迷惑系ユーチューバーと同じような意識になっている。とにかく面倒くさいことは警察にワンストップでやってもらいたいのである。 警察が「個人の生命、身体、財産の保護」をやらなければならない限り、その範囲は今後もどんどん増えていく」、こんな「市民」の勝手を「警察」が聞き入れる必要はないと思う。 「特措法改正のため、今後、新しい感染症が蔓延するたびに何かと言えば警察官は駆り出されるだろう」、「感染症」と「警察官」の関係が理解できない。 この記事は安倍元首相暗殺事件前だが、暗殺事件で要人警護の穴が明らかになった。 「公安内部だけに留め、警視庁刑事部や警察庁とは共有しませんでした。公安の捜査だけで事件を解決に導こうとしたわけです。これで捜査がおかしな方向へ行ってしまった。途中で捜査を止めることもできませんでした」 実際、公安部は警察庁や警視庁刑事部に元巡査長の供述を5カ月間報告しなかったという」、「最初から刑事部と情報を共有していれば、結果は違ったものになったかもしれません。公安はスパイの尾行や監視、資料の分析などを得意としますが、事情聴取や実況見分、鑑識は刑事部のように場数を踏んでいませんからね」、「結局、刑事部と 「公安部で、名簿にあった警察官を尾行したところ、元巡査長が活発な信者であることがわかったという」、なるほど。 ダイヤモンド・オンライン 「刑事と公安」の「対立」は想像以上のようだ。 デイリー新潮「元公安警察官は見た 「國松長官狙撃事件」で公安部と刑事部が対立、その結果起きたこと」 「留置人の見回りという閑職だから、出世コースを外れた人というイメージを持たれるかもしれないが、実は希望者が多い刑事への登竜門だ。最近はハコヅメ・・・から刑事課というパターンもあるようだが、昔は犯罪者の動静や態様を学ぶため、留置管理の担当に配属させるという流れが一般的だった」、「留置人」が「刑事への登竜門」とは意外だが、確かに「犯罪者の動静や態様を学ぶ」意味もあったのだろう。 「兵庫県警」の場合は確かに「落ち度はなかった」のかも知れない。 「結局、刑事部と公安部の縄張り争いが続き、2010年3月に事件は公訴時効を迎えてしまった」、「青木五郎公安部長が記者会見を行って、この事件がオウムの信者による組織的なテロリズムであるとの見解を示しました。結局、教団から訴えられて損害賠償を払うことになってしまった」、「損害賠償」まで払わされるとは、「公安」はお粗末過ぎる。 「午前6時44分、布団で寝ている姿を確認したが、起床の点呼をしていた午前7時2分、意識がない状態で発見された」、初めの「午前6時44分、布団で寝ている姿を確認」、というのは疑わしいのではなかろうか。 「東京の自宅マンションから女装して外出。何度も服を着替えながら大阪まで移動」、大阪への「移動」は保険金の審査を考慮したためか、かなり周到な偽装工作をしたようだ。 相次ぐ警察の重大ミス
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