いじめ問題(その14)(「いじめは犯罪行為」と誤解する親たちの落とし穴 法律の誤解が「解決の可能性」を消す場合も、東大卒ママは問う 「いじめ」という言葉のあいまいさが「助長」しているのでは 偏差値29で東大に合格したなっちゃんの ただいま子育て猛勉強中!、《旭川14歳少女凍死》第三者委員会のイジメ調査“最終報告書”その驚きの詳細「イジメと自殺の因果関係は…」 旭川14歳少女イジメ凍死事件 ♯33、日本ばかり「いじめ加害者に甘い」のはなぜ?厳罰化の海外と広がる格差) [社会]
いじめ問題については、7月16日に取上げた。今日は、(その14)(「いじめは犯罪行為」と誤解する親たちの落とし穴 法律の誤解が「解決の可能性」を消す場合も、東大卒ママは問う 「いじめ」という言葉のあいまいさが「助長」しているのでは 偏差値29で東大に合格したなっちゃんの ただいま子育て猛勉強中!、《旭川14歳少女凍死》「死んだ本人に話を聞けてないから推測の域を出ない」第三者委員会のイジメ調査“最終報告書”その驚きの詳細「イジメと自殺の因果関係は…」 旭川14歳少女イジメ凍死事件 ♯33、日本ばかり「いじめ加害者に甘い」のはなぜ?厳罰化の海外と広がる格差)である。
先ずは、8月14日付け東洋経済オンラインが掲載した教育研究者・ミュージカル俳優の山崎 聡一郎氏による「「いじめは犯罪行為」と誤解する親たちの落とし穴 法律の誤解が「解決の可能性」を消す場合も」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/600645
・『法律は、大人だけでなく、子どもにも役立つもの。いじめや虐待に悩んでいる子どもにとっては、自分の心身を守る知識となる場合もあるでしょう。しかし、法律を正しく理解することは簡単ではありません。 法律を学ぶために大事なこととは。大切な子どもを守るために必要な考え方とは。『こども六法ノベル その事件、こども弁護士におまかせ!』が話題を呼んでいる、山崎聡一郎氏が解説します』、法律面からのアプローチとは、興味深そうだ。
・『法律の文章を小学生向けに「翻訳」 大人の読者が多いワケ 皆さんは「六法」を読んだことはありますか? 学校で習った日本国憲法を除けば、ほとんどの方の答えがNOだと思います。私たちは法の下で生活しているのに、その法律に関してはまったくといっていいほど知らないのです。 しかし、それも無理はありません。 なぜなら法律は非常にわかりにくく、読みにくいからです。法律用語には必要十分な意味がすべてのせられているために、用語の正しい理解が、法律を理解する前提となってしまっています。法律の文章というのは、読解以前に専門的な勉強がある程度必要となることから、みんなのためのものでありながら事実上、専門家のものになってしまっているのです。 しかし困った状況に陥ったとき、法律の知識は大いに役に立ちます。法律を知っていれば、自分の権利を守るヒントを得ることができるからです。そしてそれは大人だけでなく子どもも同じです。特にいじめにあっている子どもや周りの大人は、知っておくとよいこと、そして知っておかなければならない知識が法律には盛り込まれています。 しかし、大人であっても法律を読むのは難しい。「法律はみんなのためのルールなのに、みんなにわかるように書かれていない」。そんな状況を解決するためにスタートしたのが、法律の条文を子どもでも読める文章に書き換えるという「こども六法プロジェクト」でした。 このプロジェクトを始めたのには、理由があります。 私自身、小学5年生から6年生にかけて手首を骨折するほどの壮絶ないじめを受けていました。にもかかわらず、中学に進学した際にはいじめの加害者になってしまった。そしてそんな自分自身に衝撃を受けました。いじめ問題の複雑さを体感し、いじめを減らすために何かできることはないかと考えてたどり着いた答えが、「こども六法」を作成するということでした。スタートしたのは大学時代ですが、現在では関連書籍の出版だけでなく、体験型の学びとしての「こども六法すごろく」などを作成しています』、「私自身、小学5年生から6年生にかけて手首を骨折するほどの壮絶ないじめを受けていました。にもかかわらず、中学に進学した際にはいじめの加害者になってしまった。そしてそんな自分自身に衝撃を受けました。いじめ問題の複雑さを体感し、いじめを減らすために何かできることはないかと考えてたどり着いた答えが、「こども六法」を作成するということでした」、「いじめ」の被害者、加害者双方の体験を踏まえたもののようだ。
・『子どもの「いじめ」と大人の「セクハラ・パワハラ」の関係 いじめと法律という話になると、多くの人が暴力などの犯罪行為と結びつけて考えます。しかし、いじめと犯罪は別物です。法律でのいじめの定義は、「被害者がいやだと思ったらいじめ」というものです。被害者の感じ方が重要である点はセクハラやパワハラと同じです。そしてセクハラやパワハラが起きないように会社に監督責任があるのと同じように、学校はいじめが起きないように生徒を指導しなければならない責任を負っています。まずはこの部分を理解しておく必要があります。 いじめと犯罪は別とはいえ、もちろん「いじめであり、犯罪である」ということはあります。相手を殴ってケガをさせるなどがそうです。裏を返せば、こういった暴力に該当しない行為など、態様によっては犯罪にはならないいじめも多くあるわけです。例えば集団で無視をするなどは、犯罪にはなりません。つまり「いじめ=犯罪」と考えていると、無視したり、悪口を言ったり、にらんだりといった、認識からこぼれ落ちるいじめが生じてしまいます。これらが「犯罪じゃないから」という理由で横行したら、被害者は追い詰められてしまいます。 ですから「いじめと犯罪はまったく別物だ」ということを、子ども自身も周りの大人も、ちゃんと理解しなければいけないのです。「みんなで無視しているけど、犯罪じゃないからいじめじゃないよね」といったことが起こらないように、犯罪としては対処できないけれども、苦しんでいる子どもを救うために、法律で決められたいじめの定義があるのです。) 「いじめは犯罪」と考えすぎたり、「いじめを法律で解決する」という考えが行きすぎている保護者の中には、法律を盾に学校へ乗り込んできたり、「絶対に裁判にしてやる」と、何が何でも裁判で決着をつけようとする方もいます。 しかし裁判というのは、まず時間がかかります。実際5年以上争っている裁判もあります。大人にとっての5年はたいしたことはないかもしれませんが、子どもにとっての5年というのは、小学生時代のほぼすべて、中学・高校なら卒業してしまいます。いじめ裁判を争っているうちに学校生活が終わってしまうとしたら、子どもにとってはメリットよりもデメリットのほうが多いはずです。 結局子どもが一番長い時間を過ごすのは学校なので、基本的には家庭と学校で協力し合って解決することが理想です。その可能性を、法律の誤解によって摘んでしまってはなりません。もちろん、通っている学校や教員が隠蔽体質である場合など、悪質なケースではやむをえず法律によって争う必要があるかもしれませんが、法律が必要になるのはどんなシーンなのかということを状況に応じて慎重に検討しなければならないのです。 この判断のすべてを保護者だけで行うのは、深刻なケースであればあるほど難しくなるでしょう。そんなときに弁護士のような法の専門家が力になってくれるのですが、そのような状況に陥った際に弁護士に相談するかどうかを判断する手助けをしてくれるのが、最低限の法律の知識なのです』、「法律でのいじめの定義は、「被害者がいやだと思ったらいじめ」というものです。被害者の感じ方が重要である点はセクハラやパワハラと同じです。そしてセクハラやパワハラが起きないように会社に監督責任があるのと同じように、学校はいじめが起きないように生徒を指導しなければならない責任を負っています」、「いじめと犯罪は別とはいえ、もちろん「いじめであり、犯罪である」ということはあります。相手を殴ってケガをさせるなどがそうです。裏を返せば、こういった暴力に該当しない行為など、態様によっては犯罪にはならないいじめも多くあるわけです。例えば集団で無視をするなどは、犯罪にはなりません」、「「いじめと犯罪はまったく別物だ」ということを、子ども自身も周りの大人も、ちゃんと理解しなければいけないのです」、なるほど。
・『被害者も加害者も紙一重どんな方法を選択すべきか お子さんは被害者だけでなく、加害者になる可能性もあります。被害者と加害者は結構紙一重なところがあるからです。 例えば、「ふざけてよだれをみんなにこすりつけていた子を集団で無視したら、無視した子たちが加害者とされた」というようなケースを考えてみましょう。道徳教育だと「いじめられている人がかわいそうだから、ダメ」という話になりますが、「よだれをこすりつける子なんてかわいそうでもなんでもない」と感じる子が多ければ、「相手が悪いんだからいじめていいじゃん」となってしまうでしょう。) それに加害者となった子たちにも、「なんでこっちが加害者にされなければならないんだ」という不満が残ります。このような場合、道徳だけでは限界があります。 そういったときには、ロジカルに考えることが大切です。「相手にやめてほしかったんだよね?」「みんなで無視する以外に、方法はなかった?」「どんな方法を取ったら、いじめにならなかったんだろう?」』、「被害者と加害者は結構紙一重なところがある」、「道徳だけでは限界があります。 そういったときには、ロジカルに考えることが大切です」、なるほど。
・『こども六法ノベル その事件、こども弁護士におまかせ! そんなふうに、「問題解決のためにとった行動が間違っていた。無視じゃダメだった」というところにまで落とし込めれば、同じようないじめは起こらないはずです。 大切なのは、相手の子どもによだれをこすりつける行為をやめて欲しいと伝えることだったはずです。直接相手に伝えたり、どうしてそのような行為をしてしまうのかを探ったり、先生に相談したり、いじめ行為以外に取れる手段を検討できるようになることが、自分と相手の両方の権利を守れるようになることです。 世の中には「いじめは被害者にも原因がある」という言説があふれていますが、法律はこれを明確に否定しています。法定手続きの保障、あるいは私刑の禁止と呼ばれる原則です。ロジカルな問題解決の考え方は、唯一の方法とまでは言わずとも、法律から効果的に学ぶことができるのです。 子ども自らが、「いじめだと非難される行為を選択してしまった。次からは別の方法を考え、同じ選択をしないようにしよう」というところに到達するように支援していくのが、保護者と学校の務めです。いじめの解決は、思考を整理する手伝いでもあります。「法律でダメって書いてある行為をしたからダメ」といった単純な話で終わらせてはなりません。そんなふうに教えたら、法律に書いてない行為でのいじめが増えるだけです』、「世の中には「いじめは被害者にも原因がある」という言説があふれていますが、法律はこれを明確に否定しています。法定手続きの保障、あるいは私刑の禁止と呼ばれる原則です」、「いじめの解決は、思考を整理する手伝いでもあります。「法律でダメって書いてある行為をしたからダメ」といった単純な話で終わらせてはなりません。そんなふうに教えたら、法律に書いてない行為でのいじめが増えるだけです」、その通りだろう。
・『多様な人と生きるために そもそも法というのは、異質な他者と誰もが平和に暮らすことができるような社会を実現するために作られてきたという歴史があります。法律が発展してきたのは、多文化・多言語・多民族の社会でした。日本もこれから国際化が進み、外国をルーツとする人の数は学校のみならず増えていくわけです。 もちろん日本人どうしでも、価値観は多様化しています。そういった意味においても、子どもの頃から法律の考え方に触れ、対立が起きたときに適切な方法がとれるようになっておくことは重要です。そうすることは、ひいては自分自身を守ることにもなるのです』、「子どもの頃から法律の考え方に触れ、対立が起きたときに適切な方法がとれるようになっておくことは重要です。そうすることは、ひいては自分自身を守ることにもなるのです」、同感である。
次に、9月4日付けAERAdotが掲載したコラムニストの杉山奈津子氏による「東大卒ママは問う 「いじめ」という言葉のあいまいさが「助長」しているのでは 偏差値29で東大に合格したなっちゃんの ただいま子育て猛勉強中!」を紹介しよう。
・『うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格した杉山奈津子さんも、今や小学生の男の子の母。日々子育てに奮闘する中でとり入れている心理テクニックや教育方法をお届けします。今回は「『いじめ』という言葉のあいまいさ」についてです。杉山さん自身が心理カウンセラーとして学んできた学術的根拠も交えつつ語る『東大ママのラク&サボでも「できる子」になる育児法』も絶賛発売中です。ぜひご覧ください。 私が中学受験をしたときに個人面接があり、先生からこんな質問をされたことを、たまに思い出します。 「あなたはいじめに対してどう思いますか?」 この質問はあまりにも漠然としすぎていて、私は、いじめの何について答えればいいのか分からず、深く考えこんでしまいました。もちろん、いじめは決してすべきことではありませんし、なくすべきものです。とはいえ、なくすための対処方法は一つひとつ異なるでしょうし、簡単にひとことで述べろと言われても、無理でしょう。 さんざん悩んだ末に私は、「分かりません」と答えました。その質問をした先生から、「あなたはいじめに対して何も考えていないのですか」と言われたのを、今でも覚えています。入試の面接なわけですから、何でもいいから、答えるべきだったのでしょう』、「入試の面接」で「「あなたはいじめに対してどう思いますか?」 この質問はあまりにも漠然としすぎていて、私は、いじめの何について答えればいいのか分からず、深く考えこんでしまいました」、「さんざん悩んだ末に私は、「分かりません」と答えました」、いい加減に答えるのではなく、「さんざん悩んだ末に私は、「分かりません」と答えました」、大したものだ。
・『いじめを教師に相談しても、解決しないことが多々ある 帰り道、同じ学校だった友人に聞くと、「いじめが存在することを、先生に言いますって答えたよ」と言っていました。しかし、先生に言ったからといって、解決していないいじめがたくさんあり、悪化する例さえも存在するのです。ですから、やはり私はそれが答えとしてふさわしいのかは「分からない」と思いました。 そんなことがありつつ、無事その中学校には合格できたのですが……入学早々中学1年生のときに、別のクラスで1人の子を仲間外れにしたり、所有物を隠したりする「いじめ」がおきていたそうです。後から聞いた話ですが、その生徒は担任(なんと偶然にも、面接で私にいじめについて聞いてきた先生でした)に、自分が今置かれている状況について相談をしたとのこと。すると担任は、「あなたは生き方が下手くそですね」と答えただけで、何の対応もしてくれなかったのだとか。 この話を聞いた時、私はその先生に対して、「あなた、いじめに対してどう思っているのですか」と問い詰めたいような気持ちに駆られました。 その先生はかなり前に退職していますが……私の記憶には、今でもしっかり残っています。) 現在、故意に相手を傷つけるのも、誰かの所有物を壊したり捨てたりするのも、物理的な暴力を振るうのも、それら全部を一くくりにして「いじめ」という言葉にまとめられています。それならば、もういっそのこと、このあいまいな「いじめ」という言葉を廃止してしまえばいいのではないかと思ってしまいます。 殴ったり蹴ったりしたならば暴行罪、けがをさせてしまったら傷害罪です。物を隠したり壊したりしたら窃盗罪、器物損壊罪になります。一つひとつを、きちんとした名称で呼ぶべきではないでしょうか。 学校側も、もしいじめについて生徒に考えさせたいのならば、面接でいじめについて聞くよりも、入学した初めの時期に授業をして、何をしたらどのような罪に問われるかを教えたほうが良い気がします。そして、警察などを含む外部の組織も積極的に介入できるように、それぞれのいじめの行為を、もっとはっきりとした罪名にして捉え直すべきです』、「現在、故意に相手を傷つけるのも、誰かの所有物を壊したり捨てたりするのも、物理的な暴力を振るうのも、それら全部を一くくりにして「いじめ」という言葉にまとめられています。それならば、もういっそのこと、このあいまいな「いじめ」という言葉を廃止してしまえばいいのではないかと思ってしまいます。 殴ったり蹴ったりしたならば暴行罪、けがをさせてしまったら傷害罪です。物を隠したり壊したりしたら窃盗罪、器物損壊罪になります。一つひとつを、きちんとした名称で呼ぶべきではないでしょうか」、その通りだ。
・『あいまいな表現をやめると、どうすべきかが見えてくる もし今現在、面接で「あなたはいじめについてどう思いますか」と聞かれたら、私はやはり悩むと思います。しかし、「あなたは暴行罪についてどう思いますか」と聞かれたら、キッパリと「警察に連絡します」と答えることができます。 いじめという言葉のあいまいさ、そして軽さこそが、いじめという行為を助長させている部分があるような気がしてなりません。 今後も、子どもたちのいじめに関する、つらいニュースを目にすることがあるでしょう。ただ、その「いじめ」という名称を変更することが、抑止力になり得るのではないかと思います』、「いじめという言葉のあいまいさ、そして軽さこそが、いじめという行為を助長させている部分があるような気がしてなりません」、「「いじめ」という名称を変更することが、抑止力になり得るのではないかと思います」、同感である。
第三に、9月5日付け文春オンライン「《旭川14歳少女凍死》「死んだ本人に話を聞けてないから推測の域を出ない」第三者委員会のイジメ調査“最終報告書”その驚きの詳細「イジメと自殺の因果関係は…」 旭川14歳少女イジメ凍死事件 ♯33」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/57132
・『昨年3月に当時14歳だった廣瀬爽彩(さあや)さんの遺体が見つかって1年半、イジメを受けてから3年半。世間を震撼させた“凄惨な事件”は大詰めを迎えようとしている。 2022年8月31日、イジメについての事実確認や爽彩さんが亡くなったこととの因果関係の再調査を進めてきた第三者委員会は、最終報告書案の一部を遺族側に提出した。文春オンラインの取材で、その最終報告書案には爽彩さんの死とイジメとの因果関係について、検証すらされていなかったことがわかった――』、時間がかかったにも拘らず、「爽彩さんの死とイジメとの因果関係について、検証すらされていなかった」、とは驚かされた。
・『第三者委員会が「8月末までに提出する」はずだった最終報告書は 昨年2月13日に自宅から失踪し、3月に旭川市内の公園で雪の中で亡くなっているのが見つかった爽彩さん。文春オンラインでは2021年4月から記事を公開し、爽彩さんが中学入学直後から凄惨なイジメを受けていたこと、失踪直前までそのイジメによるPTSDに悩まされていた事実などを報じてきた。 再調査を行ってきた第三者委員会は今年4月に公表した中間報告で「イジメとして取り上げる事実があった」として性的なイジメ、深夜の呼び出し、おごらせる行為など中学の先輩7人が関与した6項目をイジメと認定した。それまで「イジメと認知するまでには至らない」としていた旭川市教育委員会もイジメを認め、遺族に謝罪。その席で第三者委員会は最終報告書について、「8月末までに提出する」と遺族側に伝えていた。全国紙社会部記者が打ち明ける。 「期日(8月31日)の6日前の8月25日になって突然、第三者委員会から『報告が間に合わない』と遺族側に通達があったそうです。もともと昨年5月に第三者委員会が発足した当初は、11月までに調査結果をまとめるとの説明でした。しかし、『1000ページ以上の資料の読み込みに時間がかかっている』などの理由で11月の期限は白紙に。その後、昨年9月に今津寛介旭川市長が就任して『年内にまとめてほしい』と要望し、遺族側も『せめて失踪から1年となる2月13日までに』と求めていましたが、第三者委員会が報告時期の見通しやスケジュールなどを示すことはありませんでした。 調査期間が長引くほど関係生徒たちの記憶も薄れ、被害者の同級生たちは今年の春に中学校を卒業してしまいました。高校は道教委の管轄となり、市教委では聞き取り調査を行うことが困難となります」 文部科学省の定める「いじめ重大事態の調査に関するガイドライン」では、調査時期・期間(スケジュール、定期報告)について、「被害児童生徒・保護者に対して、調査を開始する時期や調査結果が出るまでにどのくらいの時期が必要となるのかについて、目途を示すこと」と、明記されている。第三者委員会が最終報告の日程について「8月末」と期限を示したのは今年4月の中間報告後。調査開始から10カ月以上経過してからのスケジュール開示、自ら設定した8月末の期日を反故にするなど、ガイドラインを遵守しない第三者委員会の姿勢に、遺族側は不信感を募らせている』、「昨年5月に第三者委員会が発足した当初は、11月までに調査結果をまとめるとの説明」、「昨年9月に今津寛介旭川市長が就任して『年内にまとめてほしい』と要望し、遺族側も『せめて失踪から1年となる2月13日までに』と求めていましたが、第三者委員会が報告時期の見通しやスケジュールなどを示すことはありませんでした」、「被害者の同級生たちは今年の春に中学校を卒業」、「高校は道教委の管轄となり、市教委では聞き取り調査を行うことが困難となります」、「調査開始から10カ月以上経過してからのスケジュール開示、自ら設定した8月末の期日を反故にするなど、ガイドラインを遵守しない第三者委員会の姿勢」には、「遺族」だけでなく、我々も「不信感」が募る。
・『「迷走」を繰り返した第三者委員会の調査活動 今回の調査の関係者によると、第三者委員会がまとめた最終報告書案は全7章で構成され、遺族側に提出されたのは「廣瀬さんが死亡に至った過程の検証」「いじめの検証及び考察」「認定した事実関係と経緯についての調査結果」の3章分(計120ページ以上)のみ。「当時の学校と市教委の対応」「再発防止策」など残る4章分はさらに時間が必要と説明し、9月5日時点で遺族側には渡っていない。 第三者委員会は小児科医、臨床心理士、大学教授、弁護士ら9名の調査委員で構成されているが、これまで、同委員会の調査活動は文字通り「迷走」を繰り返した。 「イジメ問題に精通した専門家、特にイジメPTSDの治療に当たった臨床経験の豊富な医師や、イジメ被害者のケアに従事した心理士が旭川市内では見つからず、重大事態の調査に必要とされる、遺族の希望していた高度な専門的知見を持った委員は選ばれませんでした。遺族との協議も噛み合わないことが多く、時には激しい怒号が飛び交い“大荒れ”になることもあったそうです」(遺族側の支援者)』、「イジメ問題に精通した専門家、特にイジメPTSDの治療に当たった臨床経験の豊富な医師や、イジメ被害者のケアに従事した心理士が旭川市内では見つからず、重大事態の調査に必要とされる、遺族の希望していた高度な専門的知見を持った委員は選ばれませんでした」、「調査活動は文字通り「迷走」を繰り返した」、やむを得ない面もあるとはいえ、余りにお粗末だ。
・『イジメによるPTSDと“自殺との因果関係”は「疑問」だと判断 さらに遺族側が憤りを感じているのが、予定から大幅に遅れて提出された最終報告書案に爽彩さんの死とイジメの因果関係が全く検証されていないことだった。前出の調査関係者が語る。 「最終報告書案では中間報告通り中学の先輩7人が関与した6項目をイジメと認定しています。また、被害者の死亡についても失踪直前に『きめた』『今日死のうと思う』『ごめんね』とSNSに書き込みを残していたことから、自殺とする見解を示しています。イジメの被害にあってから、天真爛漫だった彼女の表情から笑顔はなくなり、部屋に引きこもるようになった。5月には母親に『ママ、死にたい』と洩らし、ウッペツ川への自殺未遂後はイジメのフラッシュバックに苦しみ、医者からはPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断を受けていました。しかし、16カ月もの期間調査を行ってきた“自殺との因果関係”については医学的な観点から説明が示されていません。調査の放棄とも言えます」 第三者委員会は最終報告書案の中で爽彩さんが自殺に至った背景について、遺族の主張していた「イジメによるPTSD」という診断に不可解な判断を下しているという』、「最終報告書案に爽彩さんの死とイジメの因果関係が全く検証されていない」、「16カ月もの期間調査を行ってきた“自殺との因果関係”については医学的な観点から説明が示されていません。調査の放棄とも言えます」、酷い話だ。
・『亡くなった爽彩さんから「直接話が聞けていない」ことを理由に 「最終報告書では『転校後に前の学校の悪夢を見る』『しばらくの期間、イジメにあった事実を語ろうとしなかった』などの爽彩さんの症状から当時、『PTSDを罹患していた可能性は否定できない』との見解を示している一方、イジメによるPTSDと診断を受けていた爽彩さんに対して、『直接話が聞けていない』ことを理由に、『PTSDと診断された経緯が明らかでないことから、推測の域を出ない』としています。つまりPTSDだったかもしれないけど、本人に話を聞けないし、診断の経緯もよくわからないから、PTSDだったと断定はできないということです」(同前) 当時爽彩さんを診断したのはベテランの主治医。第三者委員会は、経験豊富な医師の確定診断を受けた「PTSD」を誤診だったとでもいうのだろうか。その一方で、PTSDとは別に、生前、被害者が患ったことのない“うつ病”の可能性があったとの推測を立てているという。 「第三者委員会は『何らかの契機や心境の急激な変化があった可能性がある』として、自殺の背景に爽彩さんがうつ病に罹患していた可能性を示唆しています。しかし、爽彩さんは医師にうつ病と診断されたこともないし、当然、その診断書も存在しないわけで、それこそ“実際に話を聞いていないため、推測の域を出ない”話です』、「第三者委員会は、経験豊富な医師の確定診断を受けた「PTSD」を誤診だったとでもいうのだろうか。その一方で、PTSDとは別に、生前、被害者が患ったことのない“うつ病”の可能性があったとの推測を立てている」、なんと勝手な判断をするのだろう。
・『「法律の矛盾するところを直してあげたい」と言っていた爽彩さん 16カ月もの期間、調査をしてきたものの、被害者が受けたイジメがどの程度、自殺に影響したのか具体的な説明の記載は一切なく、因果関係についても何も触れられていません。第三者委員会はイジメと自殺の因果関係の検証から逃げたのです」(同前) 最終報告書案は遺族側の確認を経て、第三者委員会が市教委へ最終報告するという。時期は流動的だが、市教委は9月中旬頃までに会見を行う予定だ。 爽彩さんが生きていれば、今日9月5日で16歳となるはずだった。生前、「法律では助けられないことがある。だから、法律の矛盾するところを直してあげたいの」と法務省で働くことを目標にしていた少女の夢は志半ばで途絶えた。天国の爽彩さんはいまのこの状況に何を思うだろうか。残る最終報告書案も遺族にとって辛いものとなってしまうのか』、「生前、「法律では助けられないことがある。だから、法律の矛盾するところを直してあげたいの」と法務省で働くことを目標にしていた少女の夢は志半ばで途絶えた」、まさに悲劇だ。本日付けの日経新聞は、旭川市、いじめ再調査へ 第三者委の最終報告書を公表。所見書で「調査が不十分」と訴えていた遺族側の要望を受け、今津寛介市長は同日、市が再調査を行う方針を表明。報告書は最大の焦点だった「いじめと死亡の関連性」について「明らかにできるだけの情報を得ることができず不明」と判断を回避。再調査でその判断に踏み込むかどうかが注目。
第四に、9月19日付けダイヤモンド・オンライン「日本ばかり「いじめ加害者に甘い」のはなぜ?厳罰化の海外と広がる格差」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/308550
・『人気K-POPアイドルが7月、過去のいじめ疑惑によってグループを脱退した。背景には韓国の「いじめ」厳罰化がある。一方で、日本はいじめが発覚しても加害者は処分されず、被害者の立場は弱いままだ。いじめ問題に詳しいマモル代表・くまゆうこさんに日本がいじめ加害者に甘い理由を聞いた』、「日本がいじめ加害者に甘い理由」とは興味深そうだ。
・『海外ではいじめ加害者に罰金や禁錮刑のケースも 今年7月、K-POPガールズグループ「ルセラフィム」のメンバーが過去のいじめ疑惑で契約解除となり話題となった。メンバーの同級生を名乗るアカウントから「集団いじめに関わっていた」という投稿が相次ぎ、実際に学校側から重い処分を受けていたことも判明。ネット上での批判も重なり、所属事務所が契約解除を発表したのだ。 デビュー間もない人気アイドルの契約解除。厳しいとも取れる対応の背景には韓国のいじめ厳罰化があると、いじめやハラスメントの相談プラットフォーム「マモレポ」を運営するマモル代表・くまゆうこさんは話す。 「韓国での学暴(学生暴力)委処分は、1号から9号まであり、暴力の内容によってその等級が決まります。たとえば1号なら被害生徒への書面による謝罪、4号なら社会奉仕、6号で登校停止。最も重い9号になると退学処分となります。同じく厳罰化が進むフランスでは、学校のいじめを『犯罪』とする法律が新たに施行されたばかり。いじめによって被害者が8日間以上登校できなかった場合は加害者に最大5年の禁錮刑、または罰金が求められます。さらに、被害者が自殺または自殺未遂をしてしまった場合、加害者には最大で10年の禁錮刑が科される可能性もあります」 スコットランドやイギリスも、フランス同様にいじめが多い国だが、いじめに関する法律を定め、加害者に厳しい処分を下しているという。諸外国に共通するのは、「いじめた側に問題がある」として加害者に転校やカウンセリングを勧め、処分を下している点だ。一方、日本ではいじめ被害者が転校を余儀なくされるなど、被害者の立場がいまだに弱い印象がある。 「最近では旭川のいじめ自殺で、『加害者にも未来がある』と教頭が発言したと報道され、批判されていましたよね。日本では『ムラ社会になじめないほうにも問題がある』という意識がまだ残っていて、いじめが起きると被害者の立場がどうしても弱くなってしまうんです」 実際に教育現場では、いじめ加害者に厳しい処分を下すことを反対する教師も多いという。一体なぜなのか。 「なぜ加害者を守るのか不思議だと思うのですが、いじめというのは境界線が曖昧で、認定が難しい。間違った判断をしてはいけないというリスク回避の側面もあるのだと思います。現場の話を聞いていると、クラスでいじめがあると担任の指導力が悪いと評価が下がったり、問題のないクラスの担任は能力が高いと評価されたり、上辺だけの評価基準が日本の教育現場の事なかれ主義を加速させているのではないかと感じます。なかには問題が表面化しないようにしていて、『傍から見れば平和だけど実は陰湿ないじめだらけ』というケースもあります」 いじめに対する教師の感度の鈍さ、教育現場の事なかれ主義や表面的な評価がいじめの深刻化を招いているのだ』、「フランスでは、学校のいじめを『犯罪』とする法律が新たに施行されたばかり。いじめによって被害者が8日間以上登校できなかった場合は加害者に最大5年の禁錮刑、または罰金が求められます。さらに、被害者が自殺または自殺未遂をしてしまった場合、加害者には最大で10年の禁錮刑が科される可能性もあります」、日本とは正反対だ。「「最近では旭川のいじめ自殺で、『加害者にも未来がある』と教頭が発言したと報道され、批判されていましたよね。日本では『ムラ社会になじめないほうにも問題がある』という意識がまだ残っていて、いじめが起きると被害者の立場がどうしても弱くなってしまうんです」、「いじめに対する教師の感度の鈍さ、教育現場の事なかれ主義や表面的な評価がいじめの深刻化を招いている」、「日本」もこのままでは「いじめ」に甘い国として、悪名が立ってしまう。
・『日本のいじめ問題がまったく改善しない理由 山形マット死事件や大津市中2いじめ自殺事件、そして旭川のいじめ自殺…いじめによる悲痛な報道は後を絶たないが、ここ十数年、日本のいじめ問題はまったく進歩を見せていない。 「大々的に報道され教育現場の問題が一時的に糾弾されても、その体質はなかなか変わりません。その原因の一つは、先生の多忙感。実際に教師と話していても、いじめに対応する時間がない、という声は多いですね。時間がないから後回しになってしまう。きちんと対応している教師がいる一方で、忙しいからいじめは後回しという先生にあうと、『だったらなんで教師になったの?』と私は思ってしまいます。教師の心のゆとりは、こどもの笑顔に繋がると信じているので、多忙化をなんとかしないといけないと思っています」 最近はSNSやネットによりいじめはさらに多様化、複雑化している。一元的な見方では、いじめ問題は一向に解決しないだろう。 「教育現場でマモレポの話をすると、『すべての子どもが使うものじゃないからね』なんて言い方をされることもあります。現場の教師ですらいじめは限られた人のなかでしか起こらないと思っているんですね。だけど、いじめってそんなものじゃない。誰もがちょっとしたことをきっかけに、被害者、加害者になります。いじめは弱い人が強い人にいじめられる、という簡単な図式ではないんですね。 同じグループ、同じカースト(*学校において自然発生する生徒間の固定的な序列をスクールカーストと呼ぶ)内でのいじめもあるし、ネットやライン上でだけ攻撃的な加害者もいる。旭川のいじめのように、写真や動画に撮って拡散する、というケースもあります。いじめではなく、犯罪として行為の悪質性がもっと問われるべきだと思います」 複雑で表面化しにくくなっているいじめに対し、どのような対策を取るべきなのか。いじめは当たり前に起きるという前提で動かないと、いつまでも日本の教育現場は変わらないとくま氏は言う。 「いじめは子どもが複数人いれば、高い確率で起こります。いじめをなくそう、とするから、隠蔽(いんぺい)も起きる。人は仲間をつくりたくなる、自分と意見が合わない人を省きたくなる、気が合わない人がいるというのは当然のことです。『いじめをなくそう』ではなく、起こる前提でその感情は受け入れながらも、『こんな事やっていいんだっけ?』『これはやりすぎじゃない?』と『エスカレートしないためには、どうすればいいのか』を考えなければいけない。もっと積極的に授業でいじめのメカニズムを考える時間を作るなど、大人がいかにいじめをエスカレートさせず、食い止めるかが大事」 そのためにも、いじめの厳罰化は、大きな抑止力につながるのではないかと期待を寄せる。 「6月13日にネットの誹謗(ひぼう)中傷が侮辱罪として厳罰化されたのは、一つの抑止力になるのかなと。もう一つ期待しているのは、自民党文部科学部会の「学校現場のいじめ撲滅プロジェクトチーム(PT)」が提出しているプログラムで、校長判断でいじめ加害者に学校の敷地に入らないよう命じることができるというもの。校長に判断を一任するという点は気になりますが、加害者への具体的な処分が明示されるのは大きな一歩だと思います。目を覆いたくなるようないじめを行う加害者には、加害者自身に何かしら問題があると考えます。厳罰化と共に加害者を作らないために何ができるのかを私たちは考えなければなりません」 いじめ加害者への厳しい処分が、日本でも当たり前となる日は来るのだろうか』、「忙しいからいじめは後回しという先生」、多忙を口実に逃げ回る「先生」を許すべきではない。「いじめの厳罰化」は当然だが、「道徳」のようなくだらない科目を止めて、「いじめ」問題を徹底的にグループディスカッションさせることを検討すべきだ。もっとも、グループディスカッションを指導できる先生がいるかは問題だが、研修で指導力を磨くほかないだろう。
先ずは、8月14日付け東洋経済オンラインが掲載した教育研究者・ミュージカル俳優の山崎 聡一郎氏による「「いじめは犯罪行為」と誤解する親たちの落とし穴 法律の誤解が「解決の可能性」を消す場合も」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/600645
・『法律は、大人だけでなく、子どもにも役立つもの。いじめや虐待に悩んでいる子どもにとっては、自分の心身を守る知識となる場合もあるでしょう。しかし、法律を正しく理解することは簡単ではありません。 法律を学ぶために大事なこととは。大切な子どもを守るために必要な考え方とは。『こども六法ノベル その事件、こども弁護士におまかせ!』が話題を呼んでいる、山崎聡一郎氏が解説します』、法律面からのアプローチとは、興味深そうだ。
・『法律の文章を小学生向けに「翻訳」 大人の読者が多いワケ 皆さんは「六法」を読んだことはありますか? 学校で習った日本国憲法を除けば、ほとんどの方の答えがNOだと思います。私たちは法の下で生活しているのに、その法律に関してはまったくといっていいほど知らないのです。 しかし、それも無理はありません。 なぜなら法律は非常にわかりにくく、読みにくいからです。法律用語には必要十分な意味がすべてのせられているために、用語の正しい理解が、法律を理解する前提となってしまっています。法律の文章というのは、読解以前に専門的な勉強がある程度必要となることから、みんなのためのものでありながら事実上、専門家のものになってしまっているのです。 しかし困った状況に陥ったとき、法律の知識は大いに役に立ちます。法律を知っていれば、自分の権利を守るヒントを得ることができるからです。そしてそれは大人だけでなく子どもも同じです。特にいじめにあっている子どもや周りの大人は、知っておくとよいこと、そして知っておかなければならない知識が法律には盛り込まれています。 しかし、大人であっても法律を読むのは難しい。「法律はみんなのためのルールなのに、みんなにわかるように書かれていない」。そんな状況を解決するためにスタートしたのが、法律の条文を子どもでも読める文章に書き換えるという「こども六法プロジェクト」でした。 このプロジェクトを始めたのには、理由があります。 私自身、小学5年生から6年生にかけて手首を骨折するほどの壮絶ないじめを受けていました。にもかかわらず、中学に進学した際にはいじめの加害者になってしまった。そしてそんな自分自身に衝撃を受けました。いじめ問題の複雑さを体感し、いじめを減らすために何かできることはないかと考えてたどり着いた答えが、「こども六法」を作成するということでした。スタートしたのは大学時代ですが、現在では関連書籍の出版だけでなく、体験型の学びとしての「こども六法すごろく」などを作成しています』、「私自身、小学5年生から6年生にかけて手首を骨折するほどの壮絶ないじめを受けていました。にもかかわらず、中学に進学した際にはいじめの加害者になってしまった。そしてそんな自分自身に衝撃を受けました。いじめ問題の複雑さを体感し、いじめを減らすために何かできることはないかと考えてたどり着いた答えが、「こども六法」を作成するということでした」、「いじめ」の被害者、加害者双方の体験を踏まえたもののようだ。
・『子どもの「いじめ」と大人の「セクハラ・パワハラ」の関係 いじめと法律という話になると、多くの人が暴力などの犯罪行為と結びつけて考えます。しかし、いじめと犯罪は別物です。法律でのいじめの定義は、「被害者がいやだと思ったらいじめ」というものです。被害者の感じ方が重要である点はセクハラやパワハラと同じです。そしてセクハラやパワハラが起きないように会社に監督責任があるのと同じように、学校はいじめが起きないように生徒を指導しなければならない責任を負っています。まずはこの部分を理解しておく必要があります。 いじめと犯罪は別とはいえ、もちろん「いじめであり、犯罪である」ということはあります。相手を殴ってケガをさせるなどがそうです。裏を返せば、こういった暴力に該当しない行為など、態様によっては犯罪にはならないいじめも多くあるわけです。例えば集団で無視をするなどは、犯罪にはなりません。つまり「いじめ=犯罪」と考えていると、無視したり、悪口を言ったり、にらんだりといった、認識からこぼれ落ちるいじめが生じてしまいます。これらが「犯罪じゃないから」という理由で横行したら、被害者は追い詰められてしまいます。 ですから「いじめと犯罪はまったく別物だ」ということを、子ども自身も周りの大人も、ちゃんと理解しなければいけないのです。「みんなで無視しているけど、犯罪じゃないからいじめじゃないよね」といったことが起こらないように、犯罪としては対処できないけれども、苦しんでいる子どもを救うために、法律で決められたいじめの定義があるのです。) 「いじめは犯罪」と考えすぎたり、「いじめを法律で解決する」という考えが行きすぎている保護者の中には、法律を盾に学校へ乗り込んできたり、「絶対に裁判にしてやる」と、何が何でも裁判で決着をつけようとする方もいます。 しかし裁判というのは、まず時間がかかります。実際5年以上争っている裁判もあります。大人にとっての5年はたいしたことはないかもしれませんが、子どもにとっての5年というのは、小学生時代のほぼすべて、中学・高校なら卒業してしまいます。いじめ裁判を争っているうちに学校生活が終わってしまうとしたら、子どもにとってはメリットよりもデメリットのほうが多いはずです。 結局子どもが一番長い時間を過ごすのは学校なので、基本的には家庭と学校で協力し合って解決することが理想です。その可能性を、法律の誤解によって摘んでしまってはなりません。もちろん、通っている学校や教員が隠蔽体質である場合など、悪質なケースではやむをえず法律によって争う必要があるかもしれませんが、法律が必要になるのはどんなシーンなのかということを状況に応じて慎重に検討しなければならないのです。 この判断のすべてを保護者だけで行うのは、深刻なケースであればあるほど難しくなるでしょう。そんなときに弁護士のような法の専門家が力になってくれるのですが、そのような状況に陥った際に弁護士に相談するかどうかを判断する手助けをしてくれるのが、最低限の法律の知識なのです』、「法律でのいじめの定義は、「被害者がいやだと思ったらいじめ」というものです。被害者の感じ方が重要である点はセクハラやパワハラと同じです。そしてセクハラやパワハラが起きないように会社に監督責任があるのと同じように、学校はいじめが起きないように生徒を指導しなければならない責任を負っています」、「いじめと犯罪は別とはいえ、もちろん「いじめであり、犯罪である」ということはあります。相手を殴ってケガをさせるなどがそうです。裏を返せば、こういった暴力に該当しない行為など、態様によっては犯罪にはならないいじめも多くあるわけです。例えば集団で無視をするなどは、犯罪にはなりません」、「「いじめと犯罪はまったく別物だ」ということを、子ども自身も周りの大人も、ちゃんと理解しなければいけないのです」、なるほど。
・『被害者も加害者も紙一重どんな方法を選択すべきか お子さんは被害者だけでなく、加害者になる可能性もあります。被害者と加害者は結構紙一重なところがあるからです。 例えば、「ふざけてよだれをみんなにこすりつけていた子を集団で無視したら、無視した子たちが加害者とされた」というようなケースを考えてみましょう。道徳教育だと「いじめられている人がかわいそうだから、ダメ」という話になりますが、「よだれをこすりつける子なんてかわいそうでもなんでもない」と感じる子が多ければ、「相手が悪いんだからいじめていいじゃん」となってしまうでしょう。) それに加害者となった子たちにも、「なんでこっちが加害者にされなければならないんだ」という不満が残ります。このような場合、道徳だけでは限界があります。 そういったときには、ロジカルに考えることが大切です。「相手にやめてほしかったんだよね?」「みんなで無視する以外に、方法はなかった?」「どんな方法を取ったら、いじめにならなかったんだろう?」』、「被害者と加害者は結構紙一重なところがある」、「道徳だけでは限界があります。 そういったときには、ロジカルに考えることが大切です」、なるほど。
・『こども六法ノベル その事件、こども弁護士におまかせ! そんなふうに、「問題解決のためにとった行動が間違っていた。無視じゃダメだった」というところにまで落とし込めれば、同じようないじめは起こらないはずです。 大切なのは、相手の子どもによだれをこすりつける行為をやめて欲しいと伝えることだったはずです。直接相手に伝えたり、どうしてそのような行為をしてしまうのかを探ったり、先生に相談したり、いじめ行為以外に取れる手段を検討できるようになることが、自分と相手の両方の権利を守れるようになることです。 世の中には「いじめは被害者にも原因がある」という言説があふれていますが、法律はこれを明確に否定しています。法定手続きの保障、あるいは私刑の禁止と呼ばれる原則です。ロジカルな問題解決の考え方は、唯一の方法とまでは言わずとも、法律から効果的に学ぶことができるのです。 子ども自らが、「いじめだと非難される行為を選択してしまった。次からは別の方法を考え、同じ選択をしないようにしよう」というところに到達するように支援していくのが、保護者と学校の務めです。いじめの解決は、思考を整理する手伝いでもあります。「法律でダメって書いてある行為をしたからダメ」といった単純な話で終わらせてはなりません。そんなふうに教えたら、法律に書いてない行為でのいじめが増えるだけです』、「世の中には「いじめは被害者にも原因がある」という言説があふれていますが、法律はこれを明確に否定しています。法定手続きの保障、あるいは私刑の禁止と呼ばれる原則です」、「いじめの解決は、思考を整理する手伝いでもあります。「法律でダメって書いてある行為をしたからダメ」といった単純な話で終わらせてはなりません。そんなふうに教えたら、法律に書いてない行為でのいじめが増えるだけです」、その通りだろう。
・『多様な人と生きるために そもそも法というのは、異質な他者と誰もが平和に暮らすことができるような社会を実現するために作られてきたという歴史があります。法律が発展してきたのは、多文化・多言語・多民族の社会でした。日本もこれから国際化が進み、外国をルーツとする人の数は学校のみならず増えていくわけです。 もちろん日本人どうしでも、価値観は多様化しています。そういった意味においても、子どもの頃から法律の考え方に触れ、対立が起きたときに適切な方法がとれるようになっておくことは重要です。そうすることは、ひいては自分自身を守ることにもなるのです』、「子どもの頃から法律の考え方に触れ、対立が起きたときに適切な方法がとれるようになっておくことは重要です。そうすることは、ひいては自分自身を守ることにもなるのです」、同感である。
次に、9月4日付けAERAdotが掲載したコラムニストの杉山奈津子氏による「東大卒ママは問う 「いじめ」という言葉のあいまいさが「助長」しているのでは 偏差値29で東大に合格したなっちゃんの ただいま子育て猛勉強中!」を紹介しよう。
・『うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格した杉山奈津子さんも、今や小学生の男の子の母。日々子育てに奮闘する中でとり入れている心理テクニックや教育方法をお届けします。今回は「『いじめ』という言葉のあいまいさ」についてです。杉山さん自身が心理カウンセラーとして学んできた学術的根拠も交えつつ語る『東大ママのラク&サボでも「できる子」になる育児法』も絶賛発売中です。ぜひご覧ください。 私が中学受験をしたときに個人面接があり、先生からこんな質問をされたことを、たまに思い出します。 「あなたはいじめに対してどう思いますか?」 この質問はあまりにも漠然としすぎていて、私は、いじめの何について答えればいいのか分からず、深く考えこんでしまいました。もちろん、いじめは決してすべきことではありませんし、なくすべきものです。とはいえ、なくすための対処方法は一つひとつ異なるでしょうし、簡単にひとことで述べろと言われても、無理でしょう。 さんざん悩んだ末に私は、「分かりません」と答えました。その質問をした先生から、「あなたはいじめに対して何も考えていないのですか」と言われたのを、今でも覚えています。入試の面接なわけですから、何でもいいから、答えるべきだったのでしょう』、「入試の面接」で「「あなたはいじめに対してどう思いますか?」 この質問はあまりにも漠然としすぎていて、私は、いじめの何について答えればいいのか分からず、深く考えこんでしまいました」、「さんざん悩んだ末に私は、「分かりません」と答えました」、いい加減に答えるのではなく、「さんざん悩んだ末に私は、「分かりません」と答えました」、大したものだ。
・『いじめを教師に相談しても、解決しないことが多々ある 帰り道、同じ学校だった友人に聞くと、「いじめが存在することを、先生に言いますって答えたよ」と言っていました。しかし、先生に言ったからといって、解決していないいじめがたくさんあり、悪化する例さえも存在するのです。ですから、やはり私はそれが答えとしてふさわしいのかは「分からない」と思いました。 そんなことがありつつ、無事その中学校には合格できたのですが……入学早々中学1年生のときに、別のクラスで1人の子を仲間外れにしたり、所有物を隠したりする「いじめ」がおきていたそうです。後から聞いた話ですが、その生徒は担任(なんと偶然にも、面接で私にいじめについて聞いてきた先生でした)に、自分が今置かれている状況について相談をしたとのこと。すると担任は、「あなたは生き方が下手くそですね」と答えただけで、何の対応もしてくれなかったのだとか。 この話を聞いた時、私はその先生に対して、「あなた、いじめに対してどう思っているのですか」と問い詰めたいような気持ちに駆られました。 その先生はかなり前に退職していますが……私の記憶には、今でもしっかり残っています。) 現在、故意に相手を傷つけるのも、誰かの所有物を壊したり捨てたりするのも、物理的な暴力を振るうのも、それら全部を一くくりにして「いじめ」という言葉にまとめられています。それならば、もういっそのこと、このあいまいな「いじめ」という言葉を廃止してしまえばいいのではないかと思ってしまいます。 殴ったり蹴ったりしたならば暴行罪、けがをさせてしまったら傷害罪です。物を隠したり壊したりしたら窃盗罪、器物損壊罪になります。一つひとつを、きちんとした名称で呼ぶべきではないでしょうか。 学校側も、もしいじめについて生徒に考えさせたいのならば、面接でいじめについて聞くよりも、入学した初めの時期に授業をして、何をしたらどのような罪に問われるかを教えたほうが良い気がします。そして、警察などを含む外部の組織も積極的に介入できるように、それぞれのいじめの行為を、もっとはっきりとした罪名にして捉え直すべきです』、「現在、故意に相手を傷つけるのも、誰かの所有物を壊したり捨てたりするのも、物理的な暴力を振るうのも、それら全部を一くくりにして「いじめ」という言葉にまとめられています。それならば、もういっそのこと、このあいまいな「いじめ」という言葉を廃止してしまえばいいのではないかと思ってしまいます。 殴ったり蹴ったりしたならば暴行罪、けがをさせてしまったら傷害罪です。物を隠したり壊したりしたら窃盗罪、器物損壊罪になります。一つひとつを、きちんとした名称で呼ぶべきではないでしょうか」、その通りだ。
・『あいまいな表現をやめると、どうすべきかが見えてくる もし今現在、面接で「あなたはいじめについてどう思いますか」と聞かれたら、私はやはり悩むと思います。しかし、「あなたは暴行罪についてどう思いますか」と聞かれたら、キッパリと「警察に連絡します」と答えることができます。 いじめという言葉のあいまいさ、そして軽さこそが、いじめという行為を助長させている部分があるような気がしてなりません。 今後も、子どもたちのいじめに関する、つらいニュースを目にすることがあるでしょう。ただ、その「いじめ」という名称を変更することが、抑止力になり得るのではないかと思います』、「いじめという言葉のあいまいさ、そして軽さこそが、いじめという行為を助長させている部分があるような気がしてなりません」、「「いじめ」という名称を変更することが、抑止力になり得るのではないかと思います」、同感である。
第三に、9月5日付け文春オンライン「《旭川14歳少女凍死》「死んだ本人に話を聞けてないから推測の域を出ない」第三者委員会のイジメ調査“最終報告書”その驚きの詳細「イジメと自殺の因果関係は…」 旭川14歳少女イジメ凍死事件 ♯33」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/57132
・『昨年3月に当時14歳だった廣瀬爽彩(さあや)さんの遺体が見つかって1年半、イジメを受けてから3年半。世間を震撼させた“凄惨な事件”は大詰めを迎えようとしている。 2022年8月31日、イジメについての事実確認や爽彩さんが亡くなったこととの因果関係の再調査を進めてきた第三者委員会は、最終報告書案の一部を遺族側に提出した。文春オンラインの取材で、その最終報告書案には爽彩さんの死とイジメとの因果関係について、検証すらされていなかったことがわかった――』、時間がかかったにも拘らず、「爽彩さんの死とイジメとの因果関係について、検証すらされていなかった」、とは驚かされた。
・『第三者委員会が「8月末までに提出する」はずだった最終報告書は 昨年2月13日に自宅から失踪し、3月に旭川市内の公園で雪の中で亡くなっているのが見つかった爽彩さん。文春オンラインでは2021年4月から記事を公開し、爽彩さんが中学入学直後から凄惨なイジメを受けていたこと、失踪直前までそのイジメによるPTSDに悩まされていた事実などを報じてきた。 再調査を行ってきた第三者委員会は今年4月に公表した中間報告で「イジメとして取り上げる事実があった」として性的なイジメ、深夜の呼び出し、おごらせる行為など中学の先輩7人が関与した6項目をイジメと認定した。それまで「イジメと認知するまでには至らない」としていた旭川市教育委員会もイジメを認め、遺族に謝罪。その席で第三者委員会は最終報告書について、「8月末までに提出する」と遺族側に伝えていた。全国紙社会部記者が打ち明ける。 「期日(8月31日)の6日前の8月25日になって突然、第三者委員会から『報告が間に合わない』と遺族側に通達があったそうです。もともと昨年5月に第三者委員会が発足した当初は、11月までに調査結果をまとめるとの説明でした。しかし、『1000ページ以上の資料の読み込みに時間がかかっている』などの理由で11月の期限は白紙に。その後、昨年9月に今津寛介旭川市長が就任して『年内にまとめてほしい』と要望し、遺族側も『せめて失踪から1年となる2月13日までに』と求めていましたが、第三者委員会が報告時期の見通しやスケジュールなどを示すことはありませんでした。 調査期間が長引くほど関係生徒たちの記憶も薄れ、被害者の同級生たちは今年の春に中学校を卒業してしまいました。高校は道教委の管轄となり、市教委では聞き取り調査を行うことが困難となります」 文部科学省の定める「いじめ重大事態の調査に関するガイドライン」では、調査時期・期間(スケジュール、定期報告)について、「被害児童生徒・保護者に対して、調査を開始する時期や調査結果が出るまでにどのくらいの時期が必要となるのかについて、目途を示すこと」と、明記されている。第三者委員会が最終報告の日程について「8月末」と期限を示したのは今年4月の中間報告後。調査開始から10カ月以上経過してからのスケジュール開示、自ら設定した8月末の期日を反故にするなど、ガイドラインを遵守しない第三者委員会の姿勢に、遺族側は不信感を募らせている』、「昨年5月に第三者委員会が発足した当初は、11月までに調査結果をまとめるとの説明」、「昨年9月に今津寛介旭川市長が就任して『年内にまとめてほしい』と要望し、遺族側も『せめて失踪から1年となる2月13日までに』と求めていましたが、第三者委員会が報告時期の見通しやスケジュールなどを示すことはありませんでした」、「被害者の同級生たちは今年の春に中学校を卒業」、「高校は道教委の管轄となり、市教委では聞き取り調査を行うことが困難となります」、「調査開始から10カ月以上経過してからのスケジュール開示、自ら設定した8月末の期日を反故にするなど、ガイドラインを遵守しない第三者委員会の姿勢」には、「遺族」だけでなく、我々も「不信感」が募る。
・『「迷走」を繰り返した第三者委員会の調査活動 今回の調査の関係者によると、第三者委員会がまとめた最終報告書案は全7章で構成され、遺族側に提出されたのは「廣瀬さんが死亡に至った過程の検証」「いじめの検証及び考察」「認定した事実関係と経緯についての調査結果」の3章分(計120ページ以上)のみ。「当時の学校と市教委の対応」「再発防止策」など残る4章分はさらに時間が必要と説明し、9月5日時点で遺族側には渡っていない。 第三者委員会は小児科医、臨床心理士、大学教授、弁護士ら9名の調査委員で構成されているが、これまで、同委員会の調査活動は文字通り「迷走」を繰り返した。 「イジメ問題に精通した専門家、特にイジメPTSDの治療に当たった臨床経験の豊富な医師や、イジメ被害者のケアに従事した心理士が旭川市内では見つからず、重大事態の調査に必要とされる、遺族の希望していた高度な専門的知見を持った委員は選ばれませんでした。遺族との協議も噛み合わないことが多く、時には激しい怒号が飛び交い“大荒れ”になることもあったそうです」(遺族側の支援者)』、「イジメ問題に精通した専門家、特にイジメPTSDの治療に当たった臨床経験の豊富な医師や、イジメ被害者のケアに従事した心理士が旭川市内では見つからず、重大事態の調査に必要とされる、遺族の希望していた高度な専門的知見を持った委員は選ばれませんでした」、「調査活動は文字通り「迷走」を繰り返した」、やむを得ない面もあるとはいえ、余りにお粗末だ。
・『イジメによるPTSDと“自殺との因果関係”は「疑問」だと判断 さらに遺族側が憤りを感じているのが、予定から大幅に遅れて提出された最終報告書案に爽彩さんの死とイジメの因果関係が全く検証されていないことだった。前出の調査関係者が語る。 「最終報告書案では中間報告通り中学の先輩7人が関与した6項目をイジメと認定しています。また、被害者の死亡についても失踪直前に『きめた』『今日死のうと思う』『ごめんね』とSNSに書き込みを残していたことから、自殺とする見解を示しています。イジメの被害にあってから、天真爛漫だった彼女の表情から笑顔はなくなり、部屋に引きこもるようになった。5月には母親に『ママ、死にたい』と洩らし、ウッペツ川への自殺未遂後はイジメのフラッシュバックに苦しみ、医者からはPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断を受けていました。しかし、16カ月もの期間調査を行ってきた“自殺との因果関係”については医学的な観点から説明が示されていません。調査の放棄とも言えます」 第三者委員会は最終報告書案の中で爽彩さんが自殺に至った背景について、遺族の主張していた「イジメによるPTSD」という診断に不可解な判断を下しているという』、「最終報告書案に爽彩さんの死とイジメの因果関係が全く検証されていない」、「16カ月もの期間調査を行ってきた“自殺との因果関係”については医学的な観点から説明が示されていません。調査の放棄とも言えます」、酷い話だ。
・『亡くなった爽彩さんから「直接話が聞けていない」ことを理由に 「最終報告書では『転校後に前の学校の悪夢を見る』『しばらくの期間、イジメにあった事実を語ろうとしなかった』などの爽彩さんの症状から当時、『PTSDを罹患していた可能性は否定できない』との見解を示している一方、イジメによるPTSDと診断を受けていた爽彩さんに対して、『直接話が聞けていない』ことを理由に、『PTSDと診断された経緯が明らかでないことから、推測の域を出ない』としています。つまりPTSDだったかもしれないけど、本人に話を聞けないし、診断の経緯もよくわからないから、PTSDだったと断定はできないということです」(同前) 当時爽彩さんを診断したのはベテランの主治医。第三者委員会は、経験豊富な医師の確定診断を受けた「PTSD」を誤診だったとでもいうのだろうか。その一方で、PTSDとは別に、生前、被害者が患ったことのない“うつ病”の可能性があったとの推測を立てているという。 「第三者委員会は『何らかの契機や心境の急激な変化があった可能性がある』として、自殺の背景に爽彩さんがうつ病に罹患していた可能性を示唆しています。しかし、爽彩さんは医師にうつ病と診断されたこともないし、当然、その診断書も存在しないわけで、それこそ“実際に話を聞いていないため、推測の域を出ない”話です』、「第三者委員会は、経験豊富な医師の確定診断を受けた「PTSD」を誤診だったとでもいうのだろうか。その一方で、PTSDとは別に、生前、被害者が患ったことのない“うつ病”の可能性があったとの推測を立てている」、なんと勝手な判断をするのだろう。
・『「法律の矛盾するところを直してあげたい」と言っていた爽彩さん 16カ月もの期間、調査をしてきたものの、被害者が受けたイジメがどの程度、自殺に影響したのか具体的な説明の記載は一切なく、因果関係についても何も触れられていません。第三者委員会はイジメと自殺の因果関係の検証から逃げたのです」(同前) 最終報告書案は遺族側の確認を経て、第三者委員会が市教委へ最終報告するという。時期は流動的だが、市教委は9月中旬頃までに会見を行う予定だ。 爽彩さんが生きていれば、今日9月5日で16歳となるはずだった。生前、「法律では助けられないことがある。だから、法律の矛盾するところを直してあげたいの」と法務省で働くことを目標にしていた少女の夢は志半ばで途絶えた。天国の爽彩さんはいまのこの状況に何を思うだろうか。残る最終報告書案も遺族にとって辛いものとなってしまうのか』、「生前、「法律では助けられないことがある。だから、法律の矛盾するところを直してあげたいの」と法務省で働くことを目標にしていた少女の夢は志半ばで途絶えた」、まさに悲劇だ。本日付けの日経新聞は、旭川市、いじめ再調査へ 第三者委の最終報告書を公表。所見書で「調査が不十分」と訴えていた遺族側の要望を受け、今津寛介市長は同日、市が再調査を行う方針を表明。報告書は最大の焦点だった「いじめと死亡の関連性」について「明らかにできるだけの情報を得ることができず不明」と判断を回避。再調査でその判断に踏み込むかどうかが注目。
第四に、9月19日付けダイヤモンド・オンライン「日本ばかり「いじめ加害者に甘い」のはなぜ?厳罰化の海外と広がる格差」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/308550
・『人気K-POPアイドルが7月、過去のいじめ疑惑によってグループを脱退した。背景には韓国の「いじめ」厳罰化がある。一方で、日本はいじめが発覚しても加害者は処分されず、被害者の立場は弱いままだ。いじめ問題に詳しいマモル代表・くまゆうこさんに日本がいじめ加害者に甘い理由を聞いた』、「日本がいじめ加害者に甘い理由」とは興味深そうだ。
・『海外ではいじめ加害者に罰金や禁錮刑のケースも 今年7月、K-POPガールズグループ「ルセラフィム」のメンバーが過去のいじめ疑惑で契約解除となり話題となった。メンバーの同級生を名乗るアカウントから「集団いじめに関わっていた」という投稿が相次ぎ、実際に学校側から重い処分を受けていたことも判明。ネット上での批判も重なり、所属事務所が契約解除を発表したのだ。 デビュー間もない人気アイドルの契約解除。厳しいとも取れる対応の背景には韓国のいじめ厳罰化があると、いじめやハラスメントの相談プラットフォーム「マモレポ」を運営するマモル代表・くまゆうこさんは話す。 「韓国での学暴(学生暴力)委処分は、1号から9号まであり、暴力の内容によってその等級が決まります。たとえば1号なら被害生徒への書面による謝罪、4号なら社会奉仕、6号で登校停止。最も重い9号になると退学処分となります。同じく厳罰化が進むフランスでは、学校のいじめを『犯罪』とする法律が新たに施行されたばかり。いじめによって被害者が8日間以上登校できなかった場合は加害者に最大5年の禁錮刑、または罰金が求められます。さらに、被害者が自殺または自殺未遂をしてしまった場合、加害者には最大で10年の禁錮刑が科される可能性もあります」 スコットランドやイギリスも、フランス同様にいじめが多い国だが、いじめに関する法律を定め、加害者に厳しい処分を下しているという。諸外国に共通するのは、「いじめた側に問題がある」として加害者に転校やカウンセリングを勧め、処分を下している点だ。一方、日本ではいじめ被害者が転校を余儀なくされるなど、被害者の立場がいまだに弱い印象がある。 「最近では旭川のいじめ自殺で、『加害者にも未来がある』と教頭が発言したと報道され、批判されていましたよね。日本では『ムラ社会になじめないほうにも問題がある』という意識がまだ残っていて、いじめが起きると被害者の立場がどうしても弱くなってしまうんです」 実際に教育現場では、いじめ加害者に厳しい処分を下すことを反対する教師も多いという。一体なぜなのか。 「なぜ加害者を守るのか不思議だと思うのですが、いじめというのは境界線が曖昧で、認定が難しい。間違った判断をしてはいけないというリスク回避の側面もあるのだと思います。現場の話を聞いていると、クラスでいじめがあると担任の指導力が悪いと評価が下がったり、問題のないクラスの担任は能力が高いと評価されたり、上辺だけの評価基準が日本の教育現場の事なかれ主義を加速させているのではないかと感じます。なかには問題が表面化しないようにしていて、『傍から見れば平和だけど実は陰湿ないじめだらけ』というケースもあります」 いじめに対する教師の感度の鈍さ、教育現場の事なかれ主義や表面的な評価がいじめの深刻化を招いているのだ』、「フランスでは、学校のいじめを『犯罪』とする法律が新たに施行されたばかり。いじめによって被害者が8日間以上登校できなかった場合は加害者に最大5年の禁錮刑、または罰金が求められます。さらに、被害者が自殺または自殺未遂をしてしまった場合、加害者には最大で10年の禁錮刑が科される可能性もあります」、日本とは正反対だ。「「最近では旭川のいじめ自殺で、『加害者にも未来がある』と教頭が発言したと報道され、批判されていましたよね。日本では『ムラ社会になじめないほうにも問題がある』という意識がまだ残っていて、いじめが起きると被害者の立場がどうしても弱くなってしまうんです」、「いじめに対する教師の感度の鈍さ、教育現場の事なかれ主義や表面的な評価がいじめの深刻化を招いている」、「日本」もこのままでは「いじめ」に甘い国として、悪名が立ってしまう。
・『日本のいじめ問題がまったく改善しない理由 山形マット死事件や大津市中2いじめ自殺事件、そして旭川のいじめ自殺…いじめによる悲痛な報道は後を絶たないが、ここ十数年、日本のいじめ問題はまったく進歩を見せていない。 「大々的に報道され教育現場の問題が一時的に糾弾されても、その体質はなかなか変わりません。その原因の一つは、先生の多忙感。実際に教師と話していても、いじめに対応する時間がない、という声は多いですね。時間がないから後回しになってしまう。きちんと対応している教師がいる一方で、忙しいからいじめは後回しという先生にあうと、『だったらなんで教師になったの?』と私は思ってしまいます。教師の心のゆとりは、こどもの笑顔に繋がると信じているので、多忙化をなんとかしないといけないと思っています」 最近はSNSやネットによりいじめはさらに多様化、複雑化している。一元的な見方では、いじめ問題は一向に解決しないだろう。 「教育現場でマモレポの話をすると、『すべての子どもが使うものじゃないからね』なんて言い方をされることもあります。現場の教師ですらいじめは限られた人のなかでしか起こらないと思っているんですね。だけど、いじめってそんなものじゃない。誰もがちょっとしたことをきっかけに、被害者、加害者になります。いじめは弱い人が強い人にいじめられる、という簡単な図式ではないんですね。 同じグループ、同じカースト(*学校において自然発生する生徒間の固定的な序列をスクールカーストと呼ぶ)内でのいじめもあるし、ネットやライン上でだけ攻撃的な加害者もいる。旭川のいじめのように、写真や動画に撮って拡散する、というケースもあります。いじめではなく、犯罪として行為の悪質性がもっと問われるべきだと思います」 複雑で表面化しにくくなっているいじめに対し、どのような対策を取るべきなのか。いじめは当たり前に起きるという前提で動かないと、いつまでも日本の教育現場は変わらないとくま氏は言う。 「いじめは子どもが複数人いれば、高い確率で起こります。いじめをなくそう、とするから、隠蔽(いんぺい)も起きる。人は仲間をつくりたくなる、自分と意見が合わない人を省きたくなる、気が合わない人がいるというのは当然のことです。『いじめをなくそう』ではなく、起こる前提でその感情は受け入れながらも、『こんな事やっていいんだっけ?』『これはやりすぎじゃない?』と『エスカレートしないためには、どうすればいいのか』を考えなければいけない。もっと積極的に授業でいじめのメカニズムを考える時間を作るなど、大人がいかにいじめをエスカレートさせず、食い止めるかが大事」 そのためにも、いじめの厳罰化は、大きな抑止力につながるのではないかと期待を寄せる。 「6月13日にネットの誹謗(ひぼう)中傷が侮辱罪として厳罰化されたのは、一つの抑止力になるのかなと。もう一つ期待しているのは、自民党文部科学部会の「学校現場のいじめ撲滅プロジェクトチーム(PT)」が提出しているプログラムで、校長判断でいじめ加害者に学校の敷地に入らないよう命じることができるというもの。校長に判断を一任するという点は気になりますが、加害者への具体的な処分が明示されるのは大きな一歩だと思います。目を覆いたくなるようないじめを行う加害者には、加害者自身に何かしら問題があると考えます。厳罰化と共に加害者を作らないために何ができるのかを私たちは考えなければなりません」 いじめ加害者への厳しい処分が、日本でも当たり前となる日は来るのだろうか』、「忙しいからいじめは後回しという先生」、多忙を口実に逃げ回る「先生」を許すべきではない。「いじめの厳罰化」は当然だが、「道徳」のようなくだらない科目を止めて、「いじめ」問題を徹底的にグループディスカッションさせることを検討すべきだ。もっとも、グループディスカッションを指導できる先生がいるかは問題だが、研修で指導力を磨くほかないだろう。
タグ:「世の中には「いじめは被害者にも原因がある」という言説があふれていますが、法律はこれを明確に否定しています。法定手続きの保障、あるいは私刑の禁止と呼ばれる原則です」、「いじめの解決は、思考を整理する手伝いでもあります。「法律でダメって書いてある行為をしたからダメ」といった単純な話で終わらせてはなりません。そんなふうに教えたら、法律に書いてない行為でのいじめが増えるだけです」、その通りだろう。 「被害者と加害者は結構紙一重なところがある」、「道徳だけでは限界があります。 そういったときには、ロジカルに考えることが大切です」、なるほど。 「「いじめと犯罪はまったく別物だ」ということを、子ども自身も周りの大人も、ちゃんと理解しなければいけないのです」、なるほど。 「法律でのいじめの定義は、「被害者がいやだと思ったらいじめ」というものです。被害者の感じ方が重要である点はセクハラやパワハラと同じです。そしてセクハラやパワハラが起きないように会社に監督責任があるのと同じように、学校はいじめが起きないように生徒を指導しなければならない責任を負っています」、「いじめと犯罪は別とはいえ、もちろん「いじめであり、犯罪である」ということはあります。相手を殴ってケガをさせるなどがそうです。裏を返せば、こういった暴力に該当しない行為など、態様によっては犯罪にはならないいじめも多くある 「「最近では旭川のいじめ自殺で、『加害者にも未来がある』と教頭が発言したと報道され、批判されていましたよね。日本では『ムラ社会になじめないほうにも問題がある』という意識がまだ残っていて、いじめが起きると被害者の立場がどうしても弱くなってしまうんです」、「いじめに対する教師の感度の鈍さ、教育現場の事なかれ主義や表面的な評価がいじめの深刻化を招いている」、「日本」もこのままでは「いじめ」に甘い国として、悪名が立ってしまう。 「忙しいからいじめは後回しという先生」、多忙を口実に逃げ回る「先生」を許すべきではない。「いじめの厳罰化」は当然だが、「道徳」のようなくだらない科目を止めて、「いじめ」問題を徹底的にグループディスカッションさせることを検討すべきだ。もっとも、グループディスカッションを指導できる先生がいるかは問題だが、研修で指導力を磨くほかないだろう。 「私自身、小学5年生から6年生にかけて手首を骨折するほどの壮絶ないじめを受けていました。にもかかわらず、中学に進学した際にはいじめの加害者になってしまった。そしてそんな自分自身に衝撃を受けました。いじめ問題の複雑さを体感し、いじめを減らすために何かできることはないかと考えてたどり着いた答えが、「こども六法」を作成するということでした」、「いじめ」の被害者、加害者双方の体験を踏まえたもののようだ。 法律面からのアプローチとは、興味深そうだ。 『こども六法ノベル その事件、こども弁護士におまかせ!』 「日本がいじめ加害者に甘い理由」とは興味深そうだ。 ダイヤモンド・オンライン「日本ばかり「いじめ加害者に甘い」のはなぜ?厳罰化の海外と広がる格差」 「生前、「法律では助けられないことがある。だから、法律の矛盾するところを直してあげたいの」と法務省で働くことを目標にしていた少女の夢は志半ばで途絶えた」、まさに悲劇だ。本日付けの日経新聞は、旭川市、いじめ再調査へ 第三者委の最終報告書を公表。所見書で「調査が不十分」と訴えていた遺族側の要望を受け、今津寛介市長は同日、市が再調査を行う方針を表明。報告書は最大の焦点だった「いじめと死亡の関連性」について「明らかにできるだけの情報を得ることができず不明」と判断を回避。再調査でその判断に踏み込むかどうかが注目。 山崎 聡一郎氏による「「いじめは犯罪行為」と誤解する親たちの落とし穴 法律の誤解が「解決の可能性」を消す場合も」 東洋経済オンライン 「第三者委員会は、経験豊富な医師の確定診断を受けた「PTSD」を誤診だったとでもいうのだろうか。その一方で、PTSDとは別に、生前、被害者が患ったことのない“うつ病”の可能性があったとの推測を立てている」、なんと勝手な判断をするのだろう。 (その14)(「いじめは犯罪行為」と誤解する親たちの落とし穴 法律の誤解が「解決の可能性」を消す場合も、東大卒ママは問う 「いじめ」という言葉のあいまいさが「助長」しているのでは 偏差値29で東大に合格したなっちゃんの ただいま子育て猛勉強中!、《旭川14歳少女凍死》第三者委員会のイジメ調査“最終報告書”その驚きの詳細「イジメと自殺の因果関係は…」 旭川14歳少女イジメ凍死事件 ♯33、日本ばかり「いじめ加害者に甘い」のはなぜ?厳罰化の海外と広がる格差) いじめ問題 「最終報告書案に爽彩さんの死とイジメの因果関係が全く検証されていない」、「16カ月もの期間調査を行ってきた“自殺との因果関係”については医学的な観点から説明が示されていません。調査の放棄とも言えます」、酷い話だ。 「イジメ問題に精通した専門家、特にイジメPTSDの治療に当たった臨床経験の豊富な医師や、イジメ被害者のケアに従事した心理士が旭川市内では見つからず、重大事態の調査に必要とされる、遺族の希望していた高度な専門的知見を持った委員は選ばれませんでした」、「調査活動は文字通り「迷走」を繰り返した」、やむを得ない面もあるとはいえ、余りにお粗末だ。 「調査開始から10カ月以上経過してからのスケジュール開示、自ら設定した8月末の期日を反故にするなど、ガイドラインを遵守しない第三者委員会の姿勢」には、「遺族」だけでなく、我々も「不信感」が募る。 「昨年9月に今津寛介旭川市長が就任して『年内にまとめてほしい』と要望し、遺族側も『せめて失踪から1年となる2月13日までに』と求めていましたが、第三者委員会が報告時期の見通しやスケジュールなどを示すことはありませんでした」、「被害者の同級生たちは今年の春に中学校を卒業」、「高校は道教委の管轄となり、市教委では聞き取り調査を行うことが困難となります」、 「子どもの頃から法律の考え方に触れ、対立が起きたときに適切な方法がとれるようになっておくことは重要です。そうすることは、ひいては自分自身を守ることにもなるのです」、同感である。 時間がかかったにも拘らず、「爽彩さんの死とイジメとの因果関係について、検証すらされていなかった」、とは驚かされた。 文春オンライン「《旭川14歳少女凍死》「死んだ本人に話を聞けてないから推測の域を出ない」第三者委員会のイジメ調査“最終報告書”その驚きの詳細「イジメと自殺の因果関係は…」 旭川14歳少女イジメ凍死事件 ♯33」 「いじめという言葉のあいまいさ、そして軽さこそが、いじめという行為を助長させている部分があるような気がしてなりません」、「「いじめ」という名称を変更することが、抑止力になり得るのではないかと思います」、同感である。 「現在、故意に相手を傷つけるのも、誰かの所有物を壊したり捨てたりするのも、物理的な暴力を振るうのも、それら全部を一くくりにして「いじめ」という言葉にまとめられています。それならば、もういっそのこと、このあいまいな「いじめ」という言葉を廃止してしまえばいいのではないかと思ってしまいます。 殴ったり蹴ったりしたならば暴行罪、けがをさせてしまったら傷害罪です。物を隠したり壊したりしたら窃盗罪、器物損壊罪になります。一つひとつを、きちんとした名称で呼ぶべきではないでしょうか」、その通りだ。 「フランスでは、学校のいじめを『犯罪』とする法律が新たに施行されたばかり。いじめによって被害者が8日間以上登校できなかった場合は加害者に最大5年の禁錮刑、または罰金が求められます。さらに、被害者が自殺または自殺未遂をしてしまった場合、加害者には最大で10年の禁錮刑が科される可能性もあります」、日本とは正反対だ。 「入試の面接」で「「あなたはいじめに対してどう思いますか?」 この質問はあまりにも漠然としすぎていて、私は、いじめの何について答えればいいのか分からず、深く考えこんでしまいました」、「さんざん悩んだ末に私は、「分かりません」と答えました」、いい加減に答えるのではなく、「さんざん悩んだ末に私は、「分かりません」と答えました」、大したものだ。 AERAdot 杉山奈津子氏による「東大卒ママは問う 「いじめ」という言葉のあいまいさが「助長」しているのでは 偏差値29で東大に合格したなっちゃんの ただいま子育て猛勉強中!」