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クレーマー(その3)(「シルバークレーマー」はなぜ増えるのか そしてその対応策とは、生活保護を申請しホテルに971泊 市は「ハードクレーマー」にどう対応すべきか、鴻上尚史「複雑化する日本のクレームに対応するには“不寛容車両”しかない」 世間ってなんだ(4)) [人生]

クレーマーについては、2020年2月27日に取上げた。今日は、(その3)(「シルバークレーマー」はなぜ増えるのか そしてその対応策とは、生活保護を申請しホテルに971泊 市は「ハードクレーマー」にどう対応すべきか、鴻上尚史「複雑化する日本のクレームに対応するには“不寛容車両”しかない」 世間ってなんだ(4))である。

先ずは、昨年6月23日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した(株)エンゴシステム代表取締役の援川 聡氏による「「シルバークレーマー」はなぜ増えるのか、そしてその対応策とは」を紹介しよう。
・『現場を混乱させるクレーマーたち  ここのところ毎日、新型コロナウイルスワクチンの話がニュースや身の回りで大きな話題になっています。ワクチン接種の申し込みを受ける役所や、接種会場などでよく見聞きするのが、「接種ができずに感染したら責任を取れるのか!」「孫に会えないのはお前のせいだ!」などとキレる人たち。こうしたクレーマーへの対応に疲弊し、ストレスで心が折れてしまう職員が全国で発生しています。 納得できないことがあると毒を吐き、現場をマヒさせるモンスタークレーマー。なかでも、シルバー世代のクレーマーは、正論で世の中を正そうとする傾向があるようです。よく言えば豊富な人生経験に基づいた説得力があり、悪く言えば頑固で理不尽な言い分の中には、「おっしゃる通り」の部分もあるため、対応は面倒で厄介な作業となり、現場のマンパワーを低下させます。 対応する側の医療・行政やコールセンターの職員は、基本的にみな真面目。一生懸命対応しようとしますが、納得させることは非常に困難なのが現実です。コロナ禍時代の特徴として、「誠実で心優しい人」ほど心をやられる(心が折れる)時代がやってきたともいえるのです。 クレーマーに突然怒鳴りつけられた職員はどうすることもできません。萎縮し、泣きそうになりながら、ひたすら謝罪を繰り返すのみ……。ワクチン接種の現場で対応する(医療・行政)職員にとってはあまり想像したくない、クレーム対応の現実です。 しかし、長く続くコロナ禍で日頃から不満をためている人が増え、ちょっとしたことで爆発しやすくなっている今は、こうしたクレーマーに遭遇し、トラブルに巻き込まれる可能性が高まっています。いつ何時、あなたに降りかかるかわかりません』、「シルバー世代のクレーマーは、正論で世の中を正そうとする傾向があるようです。よく言えば豊富な人生経験に基づいた説得力があり、悪く言えば頑固で理不尽な言い分の中には、「おっしゃる通り」の部分もあるため、対応は面倒で厄介な作業となり、現場のマンパワーを低下させます」、これはやっかいだ。
・『シルバー世代のクレーマーたちは、なぜ“キレる”のか  「いきなり大声で威嚇された」という場合、視野を少し広く持ってみると、相手の声の大きさに過剰に反応して「怒声」と思い、そんな相手を理不尽だと決めつけているケースが多いのも事実です。 冒頭でシルバー世代のクレーマーがワクチン接種現場を混乱させていると書きましたが、年齢によるものも大きいのです。人間、年を取れば心身が衰えますが、実は脳も衰えます。老化により前頭葉が衰えると、怒りの沸点が低くなるといわれています。いきなり怒鳴りだすクレーマーがシルバー世代に多いのは、ある意味では自然現象ともいえるのです。 とはいえ、いくら業務上のお客様対応とはいえ、いきなり怒鳴りつけられたら気持ちはへこみますし、面白くありません。なかには対応の不備や従業員の言葉尻をとらえ、個人を攻撃してくる者もいます。 「いったいどんな教育を受けてきたんだ」「親の顔が見てみたい!」 こんな怒声を浴びせられ、心が悲鳴を上げない人はいないでしょう。 あなたの心を怒れる理不尽クレーマーから守るには、どうしたらよいのでしょうか? ここからは、得体の知れないクレーマーに対して、焦らず対応するための“心構え”を紹介します』、「老化により前頭葉が衰えると、怒りの沸点が低くなるといわれています。いきなり怒鳴りだすクレーマーがシルバー世代に多いのは、ある意味では自然現象ともいえるのです」、「得体の知れないクレーマーに対して、焦らず対応するための“心構え”」とは興味深そうだ。
・『「老人だから」を理由にゴリ押し、時間を奪う人たち  例えば、順番待ちの列に割り込んだ高齢男性。こちらが最後尾に案内するも、 「耳が遠いからよく聞こえない!」「立ってるのも、しんどいんだ!それくらい特別扱いをしろよ!」「年寄りだからってばかにしてんのか!?」 などと、老化に伴う身体的な衰えを理由に、過度な要求を無理やり通そうとする人。 また、社会通念を逸脱した行為に対して注意をすると、「耳が遠いんだ」「ボケたかな」などとうそぶいて相手の話を聞こうとしない人。 女性スタッフの体に直接触るなど、セクハラまがいな行動をし、とがめられると「年寄りだから」などと言い訳する人。 こうした「老人だから」を理由に、過度で理不尽な要求を押し通そうとする人は少なくありません。業務上の理由や公益性の観点からお断りすると、いきなりキレだすのも特徴です。さらに、一度キレだすと、不満と怒りがどんどん雪だるま式に大きくなり、直接的には店に関係のない文句を言い始めるなど、最後には本人もどうしたら怒りが収まるのかわからなくなってしまいます。興奮状態になって土下座を強要するような行為も、自分で怒りの収拾が付かなくなっているからだといえます。 そうなると、自身の理不尽な加害行為を棚に上げ、被害者意識にスイッチが入ります。 「ばかにしているのか!!!!」「年寄りは死ねばよいのか!」 と、怒鳴ることも珍しくありません。 また、他にも、話しぶりは穏やかでも 「私が子どもの頃はね……」「あなたはどこの出身なの?」「うちの息子がね……」などと、自身の身の上話や職員のプライベートについてなど脈絡なく延々と話し続け、長時間の接遇を求める困ったお年寄りもいます。 こういう人は、迷惑ではありますが、業務を妨害するクレーマーだとも一概に言いづらく、現場にとっては非常にやりにくいタイプかもしれません。要求がわかりにくく、話が長く支離滅裂。静かに話を聞いていたつもりが、何かのきっかけで不満が爆発してびっくりすることもあります』、「老化に伴う身体的な衰えを理由に、過度な要求を無理やり通そうとする人。 また、社会通念を逸脱した行為に対して注意をすると、「耳が遠いんだ」「ボケたかな」などとうそぶいて相手の話を聞こうとしない人。 女性スタッフの体に直接触るなど、セクハラまがいな行動をし、とがめられると「年寄りだから」などと言い訳する人。 こうした「老人だから」を理由に、過度で理不尽な要求を押し通そうとする人は少なくありません」、断固として特別扱いはすべきではない。「セクハラ」には警察を呼ぶなど断固たる対応が必要だ。
・『「心の上から目線」で対応する  ここからは、私が刑事時代に身につけた対処法をお話しします。 「いったいどんな教育を受けてきたんだ」 「親の顔が見てみたい!」 いきなりこんな怒声を浴びせられると萎縮し、心が悲鳴を上げてしまうものです。私はこうした言葉を真正面から受けません。スルーしたり、「そうですか……」などと返してやり過ごしたりしながら、相手の真意(第二の感情)を見出そうと試みます。元刑事である私は人に対するとき、言葉の意味や声の大きさだけではなく、表情やしぐさ、その視線などで真意を探るのです。 私がおすすめするのは、心が折れそうな局面になったら、クレーマーを別の角度から見てみるということです。 「怒鳴り続けているこの人は、きっと寂しい人なんだ」「家族や近所で疎んじられているんだ。かわいそうに」 などと、別の感情を持ちながら接するのです。 私はこれを「心の上から目線」と呼んでいます。実際に上から目線でクレーム対応することはありませんし、できませんが、心の中でだけ、上から目線でクレーマーを見つめ直す。そうすることで、落ち着いて冷静な対応をすることができるのです』、「心の上から目線」とは面白い対応方法だ。
・『根底にあるのは「孤独感」と「承認欲求」  ほとんどのケースで、シルバーモンスターの根底には、「孤独感」と「承認欲求」があります。年配者であることをカサに高圧的に説教してくる人も、高齢者としての弱者強調型も、その怒声の裏には、何らかの抑うつした感情があるのは事実です。 このように少し落ち着いて、客観的に分析することなどで相手のキャラクターや別の感情を早めにつかむことができれば、対応する側の感情も落ち着きを取り戻しやすくなります。すると、怒鳴りつけられて一瞬パニックになったときもその状態から回復しやすくなりますし、相手の罵声や非難、中傷が心に刺さらなくなります。 クレーム対応するときには、顧客の心に配慮する心配りは大切なポイントです。しかし、クレーマーに正面から対応しようとすると、感情がとらわれ、心が折れやすくなります。こうした局面でのクレーム対応においては、ここまで書いたような“心構え”があるだけで、結果は違ってきます。自らの心にバリアを張り、シャッターを下ろして、理不尽な攻撃から身を守るイメージです。 正義と弱者、善(白)と悪(黒)、セクハラ(ピンク)などなど……クレーマーたちはさまざまな色や形の仮面をかぶっています。時には弱者、時に敬うべき先人として振る舞い、イライラを無責任に爆発させ、理不尽な言葉でマウントを取ってきます。別角度から相手を探り、上手にスルーすることでクレーマーの理不尽な攻撃をかわし、“心構え”をしておくことで自らの感情と心を守ってください』、「少し落ち着いて、客観的に分析することなどで相手のキャラクターや別の感情を早めにつかむことができれば、対応する側の感情も落ち着きを取り戻しやすくなります。すると、怒鳴りつけられて一瞬パニックになったときもその状態から回復しやすくなりますし、相手の罵声や非難、中傷が心に刺さらなくなります。 クレーム対応するときには、顧客の心に配慮する心配りは大切なポイントです。しかし、クレーマーに正面から対応しようとすると、感情がとらわれ、心が折れやすくなります。こうした局面でのクレーム対応においては、ここまで書いたような“心構え”があるだけで、結果は違ってきます。自らの心にバリアを張り、シャッターを下ろして、理不尽な攻撃から身を守るイメージです」、確かにその通りなのだろう。

次に、昨年10月13日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した(株)エンゴシステム代表取締役の援川 聡氏による「生活保護を申請しホテルに971泊、市は「ハードクレーマー」にどう対応すべきか」を紹介しよう。
・『家賃滞納で立ち退きを命じられ、生活保護を申請中の男性がホテルで971泊。かかったお金を市に水増し請求するという事件がありました。男性は「ハードクレーマー」として有名だったとのことで、市職員も対応に苦慮したものと思われます。こうしたモンスタークレーマーを生まないためにはどうしたらいいのでしょうか?』、「「ハードクレーマー」として有名」とのことで、行政が増長させてしまったのだろう。
・『生活保護を受けている男性が971泊分のホテル代を市に請求  9月末、ちょっと驚くような事件の裁判がありました。 ●「ハードクレーマー」で有名、生活保護でホテル971泊…市に水増し請求(約2年8か月にわたりホテルに宿泊しながら、盛岡市から生活保護費の住宅扶助計約1440万円をだまし取ったとして詐欺罪に問われた無職の男(53)(青森県八戸市)と妻(47)(同)の初公判(加藤亮裁判長)が27日、盛岡地裁であった。 <略> 捜査関係者によると、男らは盛岡市内で被告の90歳代の父親と3人で同居していた。しかし、14年10月に家賃滞納で立ち退きを命じられ、同市に生活保護を申請。一家が住居を確保するまでの間、市は一時的にホテル代を住宅扶助として支給することを認めた。同市は3人家族に対する1か月の住宅扶助の支給上限額を4万円と定めているが、男らが受給した額は1か月あたり約45万円にのぼった。 検察側の冒頭陳述によると、男は担当者をどなりつけるなど、市職員の間では「ハードクレーマー」として有名だった。市は再三、住居の確保を要請したが、「高齢の父親がいるので身動きがとれない」とホテル暮らしを継続。「一定額までしか給付できない」との市の説明にも「全額でなければ困る」などと執拗(しつよう)に主張したという。 (引用:読売オンライン 2021年9月28日記事より) この記事を読んで最初に思ったのは、「なぜこんなことになるまで放置してしまったのか」という残念な気持ちでした。細かい事情は分からないので断定はできませんが、長期間にわたる後手後手の対応によって、超ド級の巨大モンスタークレーマーを育ててしまった、といってもいいかもしれません。 「役所としてはルール通りの金額を支給すればいい。もし怒鳴り散らすようなことがあれば通報すればよいだけでは? なぜそれができないのか」 この事件の記事を読んだ方はおそらく、このような感想を持ったのではないでしょうか。 このクレーマーはおそらく、市の職員に対して「高齢の父親の命に関わる問題だ!」「納得できない!」「弱者は死ねというのか!」「市民のための行政機関ではないのか!」「ばかじゃないのか!この税金泥棒!」などと怒鳴りつけたのではないでしょうか(あくまで想像ですが)。記事で「ハードクレーマーで有名」と説明されているということは、おそらく現場の職員がいくら丁寧に説明しても受け入れず、こうした暴言を吐き、何をやってもキレて怒鳴り散らす……。まさにモンスター状態だったのだろうと想像します。 さて、このような巨大なモンスターが育ってしまったきっかけは何だったのでしょうか? おそらくそれは「初期対応のミス」にあったのだろうと私は予想します』、「巨大なモンスターが育ってしまったきっかけは」「「初期対応のミス」にあった」、とはその通りだろう。
・『怒鳴りつけてくるクレーマーに対応するコツとは  初期対応で毅然と対応していれば、ここまでの悪質な事件にまでは至っていなかった――私だけでなく、多くの皆さんもそう思っているのではないでしょうか。 しかし、これまでの連載でも説明してきましたが、怒鳴り散らす相手に毅然とした対応をとることは実はとても難しい。ましてや、相手は生活保護の対象である「弱者」であり、最初から詐欺を働こうなどの悪意はなかったでしょう。初期の段階では、単に「怒鳴る・罵声を浴びせる」ことはあったかもしれませんが、それだけでは悪意があるとは断定でない状況であり、あくまでグレーゾーンです。 対応する職員の立場からすると、現場で突然浴びせられる罵声の威力は強烈で、ちょっとしたパニック状態になります。冷静になってから判断すれば、理不尽な要求だと分かっても、いきなり“弱い立場”の市民から怒鳴りつけられ、責任追及の罵声を浴びせられたら、あまりの剣幕にあらがえず屈してしまう――。そうした状況は、容易に想像できます。職員は、他の業務もある中、長時間拘束されてしまえば判断力も鈍るでしょう。そのストレスは計り知れません』、「冷静になってから判断すれば、理不尽な要求だと分かっても、いきなり“弱い立場”の市民から怒鳴りつけられ、責任追及の罵声を浴びせられたら、あまりの剣幕にあらがえず屈してしまう――。そうした状況は、容易に想像できます。職員は、他の業務もある中、長時間拘束されてしまえば判断力も鈍るでしょう。そのストレスは計り知れません」、確かにその通りだろう。
・『対応の限界「K点」を設定する  こうしたとき、私が現場で対応する人たちに推奨したいのは、対応の限界「K点」(レッドライン)を明確に設定することです。もしこのレッドラインを超えてしまったら、個人で対応するのをやめ、組織対応に切り替えます。このような明確なラインを設けることで、現場の負担も軽減し、後々で組織の首を絞めるような対応を避けることができるのです。 今回のケースの場合、基準は「他の市民(客)にもできるかどうか」になります。 「この人(クレーマー)の言う通り、特別に対応しても大したことではない……」と、事なかれ主義が頭をもたげたとしても、一人にそうした特別対応をすれば、二人目、三人目と当然特別対応しなくてはならない相手が増えていきます。このような特別待遇が他に知られたら、その対応についての二次クレームの電話が増え、その処理にも追われるでしょう。対応する職員のモチベーションが低下するのは間違いありません。 「面倒な人ほどシンプルに対応する」ことで現場担当者の負担が減り、ストレスも軽減するはずです。納得しない、理不尽な人、「ああ言えばこう言う」人に対してこそ、どのように向き合うか「心構えの基準」を組織で明確に持つことが重要なのです』、「対応の限界「K点」(レッドライン)を明確に設定することです。もしこのレッドラインを超えてしまったら、個人で対応するのをやめ、組織対応に切り替えます。このような明確なラインを設けることで、現場の負担も軽減し、後々で組織の首を絞めるような対応を避けることができるのです。 今回のケースの場合、基準は「他の市民(客)にもできるかどうか」になります」、「「面倒な人ほどシンプルに対応する」ことで現場担当者の負担が減り、ストレスも軽減するはずです。納得しない、理不尽な人、「ああ言えばこう言う」人に対してこそ、どのように向き合うか「心構えの基準」を組織で明確に持つことが重要なのです」、なるほど。
・『初期対応ができていない人は、クレーマーにつけこまれやすい  その証拠のようなエピソードもあります。 以前、自らを「理論派のクレーマー」と称する男性と話したことがあります。この男性がはっきり言っていたのは「つけ込みやすいのは初期対応ができていない、ダメな人」ということでした。 「クレームをつけたとき、相手の最初の対応が良ければいい(そこで諦める)が、中途半端な説明で逃げようとしたら、怒りのスイッチが入ります。そうなったら、自分たちの立場を押し付けるような“上から目線の態度”で、ガンガンいくしかない」 「逆に、クレームをエスカレートさせにくいのは、自分の言い分をしっかり聞こうとする姿勢や、できることとできないことの基準が明確な姿勢の相手。こういう人には、むやみなことは言えないと思う。『できないことはできない』ときっぱり言われれば、『しっかりしているな』と一目置きます」 あり得ない要求を突きつけるモンスターだとしても、相手は人間。こちらは明確な基準をもって対応するのが一番です。納得しない人が増える中で、多少担当者によって対応に差が出たとしても、基本は「公平・公正」、はっきりした基準を決めておくことが重要になります。 今回の事件では、この男性のホテル代に多額の税金が使われたことも気になりますが、この対応の最大の誤りは、うるさいハードクレーマーを特別扱いした結果、他の困っている人や声すら出せない真の弱者を放置してしまっている点です。 企業でも、行政機関や医療機関でも、何事も「できることとできないこと」ははっきりとあるはずです。 次回は、困ったクレーマーへの具体的な言い回しや具体的な対応について解説します』、「基本は「公平・公正」、はっきりした基準を決めておくことが重要になります。 今回の事件では、この男性のホテル代に多額の税金が使われたことも気になりますが、この対応の最大の誤りは、うるさいハードクレーマーを特別扱いした結果、他の困っている人や声すら出せない真の弱者を放置してしまっている点です。 企業でも、行政機関や医療機関でも、何事も「できることとできないこと」ははっきりとあるはずです」、その通りだ。

第三に、10月3日付け現代ビジネスが掲載した作家・演出家の鴻上 尚史氏による「鴻上尚史「複雑化する日本のクレームに対応するには“不寛容車両”しかない」 世間ってなんだ(4)」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/100289?imp=0
・『多くの書籍を通じて、日本社会の特徴ともいえる「空気」と「世間」について、さまざまな角度から考えてきた鴻上さん。 30年にわたる連載をもとに刊行した『世間ってなんだ』では、ずっと中途半端に壊れ続ける世間が私たちの生活、心に何をもたらしてきたのか、世間が息苦しいと感じたときに、そこから抜け出す方法を語っている』、「鴻上」氏の見方はユニークなので、これまでから注目してきた。
・『クレームに弱い日本  大阪に仕事に行って、帰りの新幹線の中で、たこ焼きと肉まんを食べるのが至福の時間でした。 それが2017年夏、いきなり、新大阪駅改札内で販売されている「たこ家道頓堀くくる」のパッケージに、「新幹線車内および駅構内でのお召し上がりはご遠慮願います。空き容器は店内のくずもの入れにお捨て願います」という注意書きシールが貼られました。 最初、このシールを見た時は凍りました。新幹線の中でたこ焼きの臭いがするのがダメなのかなあ、しょうがないなあ、と駅のホームで出発前までの短い時間に必死であふあふしながら頬張りました。口の中を若干火傷しながら、もう一度シールを見ると、「駅構内でのお召し上がりはご遠慮願います」と書かれていることに、あらためて気付きました。ということは、ホームでもダメじゃんとひりひりする口で気付きました。 でも、車内で隣の人が文句を言うのはまだ分かるけど、屋外のホームのベンチで食べるのがどうしていけないのと、臭いは風と共に消えていくよと、猛烈に悲しい気持ちになりました。 そもそも、買って食べないままずっと車内に置いておくと、臭いが長時間にわたってずっと出続けないかと心配になりました。 ネットの記事によれば、それは「くくる」さんの決断ではなく、JR東海からの要請だそうです。 で、JR東海さんの言い分は、もうこれは当然ながら、「車内でたこ焼きを食わすな。禁止しろ!」という臭いに対するクレームの電話があったからだということだそうです。 昔は、新幹線の中で「たこ焼き」が売られていました。1980年代です。けれど、今、新幹線の中ではたこ焼きは食べられません』、「JR東海からの要請だそうです。 で、JR東海さんの言い分は、もうこれは当然ながら、「車内でたこ焼きを食わすな。禁止しろ!」という臭いに対するクレームの電話があったからだということだそうです」、「JR東海」は「クレーム」には弱いようだ。
・『「社会」と「世間」の違いをよく分かってない日本人  そして、衝撃的なネット記事「IT media ビジネスオンライン(窪田順生、2018年3月13日)」を見つけました。 なんと、「551蓬莱」の豚まんが問題になっているというのです。 「551蓬莱」の豚まん、美味しいですよね。ホカホカをあふあふと食べれば、幸せを感じますよね。 でも、「豚まんのように強烈な臭いのするモノを車内で広げられたら、気分が悪くなる人もいるし、目的地まで眠りたい人の邪魔になる」とか「食欲がそそられるので、『豚まんテロ』」と、新幹線の車内で食べることは重大なマナー違反で、禁止すべきだという声が上がっているというのです。 現在、「くくる」さんは、改札内のお店なのでJR東海さんの指導に従い、「551蓬莱」さんは駅構内なので、JR東海直接の管轄ではないことが、「ご遠慮願います」というシールのあるなしを分けているようです。 でも、ニュースサイト『しらべぇ』がJR東海に問い合わせたところ、「駅弁や豚まんなど『シールがないもの』については一概にはお答えできませんが、周囲からご意見があった際は、ご協力いただくこともあるかもしれません」とその可能性を否定しなかったそうです。 つまりは、「クレームがあったら、豚まんも駅弁も禁止にしますから」ということです。もう、お客様の声が一番なんですね。 「社会」と「世間」の違いをよく分かってない日本人は、クレームに対してとても弱いです。どんなTVCMも、クレームの電話数本でオンエア中止になります。 お客様は神様だから、その言葉は「世間」様の声で、従うべき身内の指摘だと思うのです。 でも、それは「社会」の声です。神様ではなく他人の声です。客観的に分析し、実証し、判断するべきデータなのです。 いったい、一日、何人の人が「たこ焼き」を新幹線に持ち込み、何件の苦情があったのかを調べるべきなのです。 それが、例えば1割なら無視してはいけないと判断します。でも、1日5000人がたこ焼きを持ち込み、3人の人が苦情の電話をかけてきたら、割合は0.06%です。それは逆に問題にしてはいけない数字だと思います。 最近は、「隣で酒を飲まれると、臭いが漂ってきて不愉快だという人が出てきた」そうです。 たこ焼きから豚まん、そして、駅弁、お酒とどんどんクレームと共に新幹線はクリーンになっていくのでしょう。コーヒーの臭いが不快な人もいるでしょう。そういう人のクレームにも、JR東海さんはやがて対応していくのでしょうか。 担当編集者の鈴木さんが、「いずれ、『飲酒可車両』とかできるんじゃないかと思いますね。心おきなくタコ焼きを食べられる車両。それで、他人の食べもののニオイがイヤ、子供が泣くのもイヤ、酒飲みもイヤという人が乗る『不寛容車両』も作ればいいのにw」というメールをくれました。 なんてするどい。たしかに、JR東海さんは「たこ焼きの臭いに対するクレーム」に対して、誠実に対応して禁止にしたわけですから、これから増えていくであろう、お酒や駅弁の臭いや子供の泣き声に対するクレームにも誠実に対応するでしょう』、「最近は、「隣で酒を飲まれると、臭いが漂ってきて不愉快だという人が出てきた」そうです。 たこ焼きから豚まん、そして、駅弁、お酒とどんどんクレームと共に新幹線はクリーンになっていくのでしょう。コーヒーの臭いが不快な人もいるでしょう。そういう人のクレームにも、JR東海さんはやがて対応していくのでしょうか。 担当編集者の鈴木さんが、「いずれ、『飲酒可車両』とかできるんじゃないかと思いますね。心おきなくタコ焼きを食べられる車両。それで、他人の食べもののニオイがイヤ、子供が泣くのもイヤ、酒飲みもイヤという人が乗る『不寛容車両』も作ればいいのにw」というメールをくれました」、さすがに『不寛容車両』に乗れば、自らが「不寛容」であることを認めることになるので、乗ろうとする人はいないような気がする。
・『「子供は泣くもんだ」が許せない日本人  しかし、子供の泣き声に関しての、日本のお母さんの気の使い方は、痛々しいくらいです。 バスでも電車でも、子供がちょっとした声を上げると「しっ! 静かにしなさい」と叱ります。それで、静かになるなら、子供ではありません。小学校に入るぐらいなら、物事の分別がつく奴もそれなりに出てきますが、保育園・幼稚園のガキんちょに、「声を出すな。音をたてるな」と強制することは不可能です。 まして、赤ん坊に「泣くな」というのはありえません。でも、泣き始めると、母親は真っ青になって周りに気を使います。座っていては泣き止まないから、通路を歩いたり、車両の間に立ったり、見ていて胸が痛くなります。 僕は「子供が騒ぐ(泣く)に任せて放っている日本人親」より「子供が騒いだり(泣いたり)すると、オロオロして、周りに気を使い、子供をきつく叱り続けている日本人親」の方をたくさん見てきました。 海外では、子供が泣いても「子供は泣くもんだ」と自然にしている親をたくさん見ました。オロオロと立ち上がり、通路を歩き、「すみません。すみません」と謝り続ける親を見た記憶がありません。 やがて、日本ではクレームの結果、「子供不可」という車両が生まれるかもしれません。 じつは、世界で車内の携帯電話を禁止している国はほとんどありません。本当は日本以外ゼロと言いたいのですが、中に、地下鉄はダメとかバスはダメという国がほんの少数あります。 この規則は外国人からすると意味不明です。「うるさいから」というのなら、車内で大声で会話している二人組はうるさくないのか、迷惑なのにこれは禁止しないのか、という議論に当然なります。 一度、「電話は相手の声が聞こえないから意味不明の会話にしかならない。それが聞いていて不快なんだ」と説明している人がいました。そんなの、二人いてとんでもない会話を聞く方がもっと不快です。 以前、電車の中で、おばちゃん二人が、「日野の2トントラック」のTVCMに出ていたリリー・フランキーさんの話をしていました。おばちゃんは当然のようにリリー・フランクさんと言い、もう一人のおばちゃんが、「違うわよ、あれは吉田鋼太郎さんよ」と訂正し、フランクのおばちゃんが「あら、芸名変えたの?」と驚き、もう一人のおばちゃんが「本名にしたんじゃないの? 日本人だからいつまでもリリーじゃダメよ」とメデタシメデタシという顔で答えました。 二人の目の前でシートに座っていた僕は、「二人とも違う!」と、もう少しで叫びそうでした。 車内でどんなにトンチンカンなことを話してもいいのに、どうして携帯はダメなのか、というのは、理窟では説明できません。 唯一できるとしたら、「日本人は静かな環境が好きなので、本当は電車の中では話してもいけないんだ。やがて、電車では沈黙することがマナーになるだろう」という言い方でしょう。これなら、一応論理的に矛盾はしていません。 そういう車両を表向きは「クリーン車両」なんて言うようになるんじゃないかと思います。 でも、それは裏からいえば、編集鈴木女史が言ったように「不寛容車両」です。この言い方、すごくいいです。自分が不寛容であることを周りに宣言してるんですからね。 もうクレームに誠実に対応するなら、これしか方法はないと思います。 僕はうるさくて、臭いがあっても我慢します。「不潔車両」別名「寛容車両」で「くくる」のたこ焼きも、「551」の豚まんもたらふく食べたいと思います!(2018年3月)』、「「子供が騒いだり(泣いたり)すると、オロオロして、周りに気を使い、子供をきつく叱り続けている日本人親」の方をたくさん見てきました」、子供の泣き声などには寛容にすべきだ。「「日本人は静かな環境が好きなので、本当は電車の中では話してもいけないんだ。やがて、電車では沈黙することがマナーになるだろう」という言い方でしょう。これなら、一応論理的に矛盾はしていません。 そういう車両を表向きは「クリーン車両」なんて言うようになるんじゃないかと思います。 でも、それは裏からいえば、編集鈴木女史が言ったように「不寛容車両」です。この言い方、すごくいいです。自分が不寛容であることを周りに宣言してるんですからね。 もうクレームに誠実に対応するなら、これしか方法はないと思います」、「僕はうるさくて、臭いがあっても我慢します。「不潔車両」別名「寛容車両」で「くくる」のたこ焼きも、「551」の豚まんもたらふく食べたいと思います!」、「鴻上」氏らしい締めだ。
タグ:(その3)(「シルバークレーマー」はなぜ増えるのか そしてその対応策とは、生活保護を申請しホテルに971泊 市は「ハードクレーマー」にどう対応すべきか、鴻上尚史「複雑化する日本のクレームに対応するには“不寛容車両”しかない」 世間ってなんだ(4)) クレーマー ダイヤモンド・オンライン 援川 聡氏による「「シルバークレーマー」はなぜ増えるのか、そしてその対応策とは」 「シルバー世代のクレーマーは、正論で世の中を正そうとする傾向があるようです。よく言えば豊富な人生経験に基づいた説得力があり、悪く言えば頑固で理不尽な言い分の中には、「おっしゃる通り」の部分もあるため、対応は面倒で厄介な作業となり、現場のマンパワーを低下させます」、これはやっかいだ。 「老化により前頭葉が衰えると、怒りの沸点が低くなるといわれています。いきなり怒鳴りだすクレーマーがシルバー世代に多いのは、ある意味では自然現象ともいえるのです」、「得体の知れないクレーマーに対して、焦らず対応するための“心構え”」とは興味深そうだ。 「老化に伴う身体的な衰えを理由に、過度な要求を無理やり通そうとする人。 また、社会通念を逸脱した行為に対して注意をすると、「耳が遠いんだ」「ボケたかな」などとうそぶいて相手の話を聞こうとしない人。 女性スタッフの体に直接触るなど、セクハラまがいな行動をし、とがめられると「年寄りだから」などと言い訳する人。 こうした「老人だから」を理由に、過度で理不尽な要求を押し通そうとする人は少なくありません」、断固として特別扱いはすべきではない。「セクハラ」には警察を呼ぶなど断固たる対応が必要だ。 「心の上から目線」とは面白い対応方法だ。 「少し落ち着いて、客観的に分析することなどで相手のキャラクターや別の感情を早めにつかむことができれば、対応する側の感情も落ち着きを取り戻しやすくなります。すると、怒鳴りつけられて一瞬パニックになったときもその状態から回復しやすくなりますし、相手の罵声や非難、中傷が心に刺さらなくなります。 クレーム対応するときには、顧客の心に配慮する心配りは大切なポイントです。 しかし、クレーマーに正面から対応しようとすると、感情がとらわれ、心が折れやすくなります。こうした局面でのクレーム対応においては、ここまで書いたような“心構え”があるだけで、結果は違ってきます。自らの心にバリアを張り、シャッターを下ろして、理不尽な攻撃から身を守るイメージです」、確かにその通りなのだろう。 援川 聡氏による「生活保護を申請しホテルに971泊、市は「ハードクレーマー」にどう対応すべきか」 「「ハードクレーマー」として有名」とのことで、行政が増長させてしまったのだろう。 「巨大なモンスターが育ってしまったきっかけは」「「初期対応のミス」にあった」、とはその通りだろう。 「冷静になってから判断すれば、理不尽な要求だと分かっても、いきなり“弱い立場”の市民から怒鳴りつけられ、責任追及の罵声を浴びせられたら、あまりの剣幕にあらがえず屈してしまう――。そうした状況は、容易に想像できます。職員は、他の業務もある中、長時間拘束されてしまえば判断力も鈍るでしょう。そのストレスは計り知れません」、確かにその通りだろう。 「対応の限界「K点」(レッドライン)を明確に設定することです。もしこのレッドラインを超えてしまったら、個人で対応するのをやめ、組織対応に切り替えます。このような明確なラインを設けることで、現場の負担も軽減し、後々で組織の首を絞めるような対応を避けることができるのです。 今回のケースの場合、基準は「他の市民(客)にもできるかどうか」になります」、「「面倒な人ほどシンプルに対応する」ことで現場担当者の負担が減り、ストレスも軽減するはずです。納得しない、理不尽な人、「ああ言えばこう言う」人に対してこそ、どのように向き合うか「心構えの基準」を組織で明確に持つことが重要なのです」、なるほど。 「基本は「公平・公正」、はっきりした基準を決めておくことが重要になります。 今回の事件では、この男性のホテル代に多額の税金が使われたことも気になりますが、この対応の最大の誤りは、うるさいハードクレーマーを特別扱いした結果、他の困っている人や声すら出せない真の弱者を放置してしまっている点です。 企業でも、行政機関や医療機関でも、何事も「できることとできないこと」ははっきりとあるはずです」、その通りだ。 現代ビジネス 「鴻上尚史「複雑化する日本のクレームに対応するには“不寛容車両”しかない」 世間ってなんだ(4)」 「鴻上」氏の見方はユニークなので、これまでから注目してきた。 「JR東海からの要請だそうです。 で、JR東海さんの言い分は、もうこれは当然ながら、「車内でたこ焼きを食わすな。禁止しろ!」という臭いに対するクレームの電話があったからだということだそうです」、「JR東海」は「クレーム」には弱いようだ。 「最近は、「隣で酒を飲まれると、臭いが漂ってきて不愉快だという人が出てきた」そうです。 たこ焼きから豚まん、そして、駅弁、お酒とどんどんクレームと共に新幹線はクリーンになっていくのでしょう。コーヒーの臭いが不快な人もいるでしょう。そういう人のクレームにも、JR東海さんはやがて対応していくのでしょうか。 担当編集者の鈴木さんが、「いずれ、『飲酒可車両』とかできるんじゃないかと思いますね。心おきなくタコ焼きを食べられる車両。それで、他人の食べもののニオイがイヤ、子供が泣くのもイヤ、酒飲みもイヤという人が乗る『不寛容車両』も作ればいいのにw」というメールをくれました」、さすがに『不寛容車両』に乗れば、自らが「不寛容」であることを認めることになるので、乗ろうとする人はいないような気がする。 「「子供が騒いだり(泣いたり)すると、オロオロして、周りに気を使い、子供をきつく叱り続けている日本人親」の方をたくさん見てきました」、子供の泣き声などには寛容にすべきだ。 「「日本人は静かな環境が好きなので、本当は電車の中では話してもいけないんだ。やがて、電車では沈黙することがマナーになるだろう」という言い方でしょう。これなら、一応論理的に矛盾はしていません。 そういう車両を表向きは「クリーン車両」なんて言うようになるんじゃないかと思います。 でも、それは裏からいえば、編集鈴木女史が言ったように「不寛容車両」です。この言い方、すごくいいです。自分が不寛容であることを周りに宣言してるんですからね。 もうクレームに誠実に対応するなら、これしか方法はないと思います」、「僕はうるさくて、臭いがあっても我慢します。「不潔車両」別名「寛容車両」で「くくる」のたこ焼きも、「551」の豚まんもたらふく食べたいと思います!」、「鴻上」氏らしい締めだ。
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