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小売業(一般)(その7)(小売の常識覆した「素人集団」はなぜ挫折したか 「ハンズを手放す」決断下した東急不動産の苦悶、年間300本以上の取材に対応!? 各局のニュース番組が「スーパーアキダイ」を取材し続ける“納得の理由” 『いつか小さくても自分の店を持つことが夢だった スーパーアキダイ式経営術』より #2、コストコと業務スーパー、「値上げ時代の救世主」が競合しない事情) [産業動向]

小売業(一般)については、昨年12月11日に取上げた。今日は、(その7)(小売の常識覆した「素人集団」はなぜ挫折したか 「ハンズを手放す」決断下した東急不動産の苦悶、年間300本以上の取材に対応!? 各局のニュース番組が「スーパーアキダイ」を取材し続ける“納得の理由” 『いつか小さくても自分の店を持つことが夢だった スーパーアキダイ式経営術』より #2、コストコと業務スーパー、「値上げ時代の救世主」が競合しない事情、)である。

先ずは、本年1月28日付け東洋経済Plus「小売の常識覆した「素人集団」はなぜ挫折したか 「ハンズを手放す」決断下した東急不動産の苦悶」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/576606
・『グループの「顔」でもあったハンズの売却に、なぜ踏み切らざるをえなかったのか。東急不動産ホールディングスの西川弘典社長に聞いた。 素人の発想――。1976年の創業当時、小売業界は東急ハンズを嘲笑した。 きっかけは渋谷・宇田川町で取得した土地だ。駅から遠い、形が悪い、場所は渋谷の裏通り。「3悪」と呼ばれた土地を活用する苦肉の策として、ハンズは誕生した。 「どこにもない店を作れば客が来る」という発想のもと、小売業未経験の東急不動産社員が自ら仕入れ、販売を行った。DIY用品や日用雑貨がひしめくごった煮の店舗は予想外の評判を呼び、売上高や店舗数は右肩上がり。1990年代後半には、ハンズ単体での株式上場も計画された。 だが、2000年代から成長に陰りが見え始める。雑貨店やホームセンターなど競合の増加に加え、PB(プライベートブランド)やEC(ネット通販)の波にも乗り遅れた。そこへコロナ禍が追い討ちをかけ、創業から46年が経った2022年、「素人集団」の再建はカインズという小売の玄人へと託された。 東急不動産グループの「顔」でもあったハンズの売却に、なぜ踏み切らざるをえなかったのか。東急不動産ホールディングスの西川弘典社長に聞いた(Qは聞き手の質問、Aは西川社長の回答)』、「東急ハンズ」は私のお気に入りだっただけに、経営主体が変わるのは残念な気もする。「東急不動産」が親会社だったとは初めて知った。
・『ハンズは社員の「精神的支え」だった  Q:売却はいつごろから検討されていましたか。 A:2020年4月に社長に就任して以来、東急不動産グループとしてコロナ禍収束後を見据えた長期ビジョンの策定に取りかかった。「2030年度にどうありたいか」をグループ会社ごとに提示してもらったところ、ハンズからは「(物販を通じて新しい発見や発想を提案する)『ヒント・マーケット』をデジタルでも表現したい」という提案があった。 当初は私も納得したが、次第に「東急不動産グループにとどまっていては、ハンズの成長は難しい」と思うようになった。 ハンズはPB(プライベートブランド)とEC(ネット通販)の展開が決定的に遅れていた。私も社長就任以前からハンズのデジタル化を急ぐべきだと考え、いずれもコロナ禍以前から取り組みを進めていた。 Q:いざやってみると、そう簡単ではなかったと。 A:取り組むにつれ、PBやECに対する経営資源が当社グループに不足しているとわかってきた。同じデジタル化でも、不動産業と小売業とでは明らかに異なる。 投資家からはよく「ハンズを売却したらどうか」という提案を受けていたが、これまで取締役会で公式に議論されることはなかった。 東急ハンズはグループの中で最も認知度があり、東急不動産を象徴する会社だ。「ハンズを作ったのは俺だ」と自負するOBやOGも多く、社員にとっての精神的な支えになっていた。自力再建ができるならそうしたかった。 そのため、ハンズを保有することの是非を議論することは、非常に勇気のいる判断だった。私としても気持ちの整理には時間がかかった。取締役の間でもハンズに対してさまざまな考えがあったが、(売却の意義を)丁寧に説明して理解を得た。 Q:同業の雑貨店やホームセンターと比較して、人件費の重さが課題でした。 A:“人”こそ(商品知識の豊富な仕入れ担当者が販売まで行う)ハンズの特徴だ。同業他社と比べて高い人件費を前提に、業績を伸ばしていく必要があった。 これは笑い話だが、ハンズに来店して商品を見て重さを確認し、説明書に書いていない使い方まで教えてもらった末に最安値のECで買うという顧客もいる。だったら入場料取れ!と冗談混じりで言ったこともある。 本来であれば、もっと早い段階でハンズなりのPBやECのあり方を提示できていればよかったのだろう。 80年代から90年代にかけてハンズが一世を風靡したという過去の成功体験も、強烈すぎた。当時、ハンズのような小売業はブルーオーシャンだった。消費者の生活もどんどん豊かになった時代だ。現在は雑貨店なども増え、市場はレッドオーシャンに変わった。ハンズ売却後、東急不動産として新たにハンズのような小売業を始めることもないだろう。 Q:2021年5月に策定された長期ビジョンでは「顧客データの活用」を成長戦略にうたっています。不採算と割り切ってでも、消費者に最も近い現場である東急ハンズを顧客データの収集元として活用する手があったのでは。 A:不動産と小売では、得られる個人データの深さや質がまったく異なる。不動産の場合、例えば管理会社を通じて居住者の属性を多面的に把握できる。個人情報保護に配慮しつつも、活用の余地は大きい。 一方、小売で得られるのは、何十代の男性がどんな趣味を持っていて、どんな商品を買っている、といったデータだ。 購買データが不要というわけではないが、不動産業が本業の当社にとっては中途半端なデータであり、マネタイズにも時間がかかる。(ハンズの業績不振が続くことで)お客さんをがっかりさせて社員に雇用不安を抱かせるくらいなら、購買データを諦めてでもハンズの経営課題を解決することを優先した』、賢明な選択だ。
・『今回の売却はハンズにとっての「婚活」  Q:売却にあたっては、カインズ以外の会社にも声をかけたのでしょうか。 まず、ハンズに関心を抱く会社があるかを探ることから始めた。(フィナンシャルアドバイザーに選定した)野村証券を通じて数十社に声をかけたところ、すでに小売業を手がけている会社や投資ファンドなどが関心を示した。 カインズの高家(正行)社長は「日本のDIYを一緒にやっていきましょう」と話されていた。私は社内に対して「今回の売却はハンズにとっての婚活だ」と説明していたが、ハンズとカインズはまさに組織風土が合うと感じた。 ハンズにとって遅れていたPBやECの体制がすでに構築されている点も大きい。決して売却価格で決めたわけではない。 売却の事実は社内でも非公表であり、ハンズ社員も報道で知ったのではないか。だから発表直後に全国の支店長を集めて社員向けの説明を依頼したり、フランチャイズの加盟店や取引先、ハンズが入居する商業施設に対しても説明を行ったりした。) Q:ゆくゆくは社名から「東急」が消える予定です。ハンズ株式の一部を保有し続けて、社名を残す選択肢はありましたか。 株式の一部を売却して、共同でハンズを再建しようとも考えた。ただ、それでは売却先の企業がどこまで経営資源を差し出してくれるかわからない。 当社が少数株主だったとしても、株式の3分の1以上を保有して特別決議を阻止できる状態であれば、相手は本気になってくれないだろう。そうであれば、信頼できる相手に全株を持ってもらったほうがいい。 ただし、「東急」の社名は(売却後も)当面使ってもらう予定だ。いきなり東急の名前が外れることは、ハンズファンとしては受け入れがたい。ハンズ社員としてもショックが大きい。 そこで東急(旧東急電鉄)と話をして、緩衝材の意味でも当面社名を使わせてもらうことにした。そのため、売却後も顧客にとって大きな変化はない』、「当社が少数株主だったとしても、株式の3分の1以上を保有して特別決議を阻止できる状態であれば、相手は本気になってくれないだろう。そうであれば、信頼できる相手に全株を持ってもらったほうがいい」、賢明な判断だ。「ただし、「東急」の社名は(売却後も)当面使ってもらう予定だ」、持株関係はなくなっても、「名前」だけは使うというのは、一般顧客向けなのだろう。
・『直営店を廃止すれば、やせ細ってしまう  Q:ハンズは直営店舗のほか、フランチャイズ方式での出店も行っています。ロイヤルティ収入に軸足を移すことは検討しましたか。 フランチャイズ方式に転換すれば生き残れるのではないか、とも考えた。だが、それもその場しのぎにすぎない。販売を通じて顧客の声を吸い上げる小売現場があるから、ハンズらしさができている。直営店舗を廃止すれば(会社と社員が)現場から離れることになり、時間とともにハンズはやせ細ってしまうだろう。 Q:今後の東急不動産HDとハンズとの関係は。 A:資本関係はなくなるが、お互いにとっていい関係を継続していきたい。ハンズに対して当社が協力できることがあれば、考えていきたい。 Q:ハンズ売却後の事業展開は。 A:本業である不動産開発では、渋谷再開発や住宅分譲に加えて、再生可能エネルギーの電源開発を推進する。太陽光や風力といった開発中の施設が完成すれば、原子力発電所1基分にあたる約40万世帯の電力を確保できる。 管理や仲介、施設運営といった労働集約型の事業では、DXを通じて業務効率化や新たな顧客体験創出を果たしたい。 ホテルやリゾート、スキー場などは、足元の業績こそ振るわないが、インバウンドが回帰すれば元に戻る。国際航空運送協会は2024年をメドに航空需要が回復すると見込んでおり、それまでに事業の立て直しを進めていく。施設単位での売却はあり得るが、事業そのものの清算を行うことは考えていない』、「太陽光や風力といった開発中の施設が完成すれば、原子力発電所1基分にあたる約40万世帯の電力を確保できる」、「原発1基分」とはかなりの規模だ。「東急ハンズ」が「カインズ」傘下で発展することを期待する。

次に、5月16日付け文春オンライン「年間300本以上の取材に対応!? 各局のニュース番組が「スーパーアキダイ」を取材し続ける“納得の理由” 『いつか小さくても自分の店を持つことが夢だった スーパーアキダイ式経営術』より #2」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/54008
・『天候不順による野菜の高騰、レジ袋の有料化、消費税の増額といった、生活に直結するニュースが出るたびに、「スーパーアキダイ」社長の秋葉弘道氏は、市井の景況感についてコメントを求められる。なんと、その取材量は年間300本以上。なぜ、数ある八百屋・スーパーのなかで「スーパーアキダイ」は取材先として選ばれ続けるのか。 ここでは、秋葉氏の著書『いつか小さくても自分の店を持つことが夢だった スーパーアキダイ式経営術』(扶桑社)の一部を抜粋。TV局からの取材が殺到する理由について紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)』、確かに、テレビのニュースでは、「スーパーアキダイ」が「取材先として選ばれ」ることが多いようだ。
・『年間300本! テレビに出る本当の理由  近年、アキダイには年間300本以上のテレビ局の取材が来ています。 いつ頃から取材依頼が舞い込むようになったかははっきりと覚えていませんが、記憶に残っているのは、農林水産省が作成した「野菜高騰」と書かれた資料を手にしたテレビや新聞の記者さんたちが、取材でウチを訪れたのが始まりです。 その資料に目を通して、すぐに気づいたのは書いてある情報が古いことでした。役所のデータは僕らのような小売業の情報を収集・集計して、分析を加えてから公表されるので、どうしてもリアルタイムの情報とはタイムラグが生じてしまう。そうした点を指摘して丁寧に説明すると、記者の方にとても喜んでもらえました。 そのことで信頼を得られたのか、徐々に取材が増え始めて、東日本大震災が起きた2011年を境に、現在のように店の前にテレビ局のクルーが取材の順番待ちの列を作るようになったんです。震災によって日本の物流網が寸断され、野菜や果物の価格が高騰していたのと、原発事故によって福島県産の青果物の風評被害が懸念されていたので、当時、テレビ局のみなさんはこの点について話を聞きたがっていました。 現在では、民放をはじめ、NHKのEテレまで、テレビは地上波の全局がよく取材に来ています。なぜ、アキダイばかりに取材が集中するのか? よく聞かれる質問ですが、決して僕が目立ちたがりというわけではないのです』、「年間300本以上のテレビ局の取材」、「2011年を境に、現在のように店の前にテレビ局のクルーが取材の順番待ちの列を作るようになった」、通常はヒアリング先は分散するのが一般的だが、「アキダイ」だけは例外のようだ。
・『番組ディレクターが「今日、これから行ってもいいですか?」  取材を受ける理由は大きく二つあります。 一つめの理由としては、メディアの方々が野菜の価格について誰かに話を聞くにしても、たとえば大手スーパーなどの大企業に取材を申請する際には、通常は企画書を送って、それを精査され、何日か後に取材ができるかどうかの返事が来るようです。でも、アキダイの場合、朝に僕の携帯電話が鳴って「今日、これから行ってもいいですか?」と番組ディレクターの方が直接交渉してくる。よほどの用事が入っていない限り、僕は二つ返事で取材を受けるので、今日アポを取って、今日取材というパターンばかり。 取材に来るテレビはニュースか情報番組が大多数で、彼らは鮮度の高い情報を求めているので、リアルタイムで取材を取り付けることができるアキダイは使い勝手がいいのかもしれません。だから僕のスマホには、テレビ各局の情報番組のディレクターの電話番号がたくさん入っています。当日お昼に「夕方のニュースに間に合わせたい」と電話が入っても、すぐに対応できるのはそのためです。 二つめの理由は、6店舗の八百屋を経営しているとはいえ、ウチが個人店だからでしょう。 通常、テレビ番組がどこかの企業や店に取材する場合、事前にADさんがリサーチを重ねて、ここなら大丈夫だろうと判断して取材先が決まるようです。アキダイは1日の仕入れ量が金額にして800万~1000万円ほどと個人店にしては多く、長年の付き合いで関係を構築した青果市場がいくつかあり、仕入れ値も比較的安定しています。 一般的に、個人店の八百屋さんは、仕入れる量が多くないので価格にばらつきが出てしまう。テレビ局の取材テーマはたいてい野菜の値段についてなので、価格が店の個別事情でばらついていては情報として扱いにくいが、ウチはそうしたことがないので取材しやすいというわけです。 また、ウチが東京の八百屋というのも、テレビ局が取材したがる理由の一つでしょう。日本の首都で人口がもっとも多い東京は物流が多いので、地方のように隣町と野菜の値段が大きく変わるようなことはない。平均的な価格相場の中心になっているから、ウチに取材に来る民放キー局の立ち場で考えると全国放送に適しているのかもしれません』、「大手スーパーなどの大企業に取材を申請する際には、通常は企画書を送って、それを精査され、何日か後に取材ができるかどうかの返事が来るようです。でも、アキダイの場合、朝に僕の携帯電話が鳴って「今日、これから行ってもいいですか?」と番組ディレクターの方が直接交渉してくる」、「よほどの用事が入っていない限り、僕は二つ返事で取材を受けるので、今日アポを取って、今日取材というパターンばかり。 取材に来るテレビはニュースか情報番組が大多数で、彼らは鮮度の高い情報を求めているので、リアルタイムで取材を取り付けることができるアキダイは使い勝手がいいのかもしれません」、これならテレビ局にとっては、確かに「取材しやすい」ようだ。
・『毎日市場に行き、店頭に立つから言えること  さらに言うなら、取材に答える僕は経営者ではあるけれど、今も毎朝市場に仕入れに行き、店頭にも立つし、商品を実際に見て、触れて、食べていることも大きい。売上げも数字というデータではなく、現実にお客さんが買っていく姿をこの目で見ているので、お客さんの気持ちがわかるし、取材で仕入れ値を聞かれてもすぐに答えられる。自分で言うのも何ですが、この他にも経営状況や従業員のことも把握しているし、経営者の立場で受け答えもできれば、経営者目線も消費者目線も持ち併せている……等々、引き出しが多いところがお声がけいただいている理由なのかもしれません。 関西や九州から東京に転勤してきたディレクターさんの中には、「『スーパー関係の取材で困ったら、秋葉社長は信用できるんで電話してみな』とプロデューサーに言われて、連絡しました」という人も何人かいました。とはいえ、信頼されているということは、当然、責任も生じます。 取材に答えるときに自分の責任と思っているのは、いい加減なことは言わないということ。 アキダイはいくつかの市場とお付き合いさせてもらっていて、それぞれの市場は個々の産地からの情報を持っています。そうやって貴重な情報を入手するラインがいくつもあるおかげで、産地の生産者も僕のことを知ってくれている。 だから、生産者は市場の売り子さんを介して、たとえば「洪水の影響でどの程度の被害が出たか」「大雪で今後どれくらい出荷が落ち込む見通しか」といったリアルタイムの情報を提供してくれるし、何かあれば写真をスマホに送ってきてくれることもあります。 2016年8月、北海道に1週間で三つの台風が上陸し、道東が豪雨に襲われたときも、多くの畑が冠水し、プカプカ浮いた玉ねぎが流されていく様子を撮った動画を送ってくれました。それを知ったテレビ局のディレクターにこの動画データを貸してくれと頼まれて、その日のうちにニュースで映像が放送されたのです。報道は早い者勝ちで、マスコミ各社が競争しているので、北海道に画を撮りに行っていたのでは遅すぎますからね。 こうしたことは自分の役割だと思っているんです。生産者も産地の惨状を伝えたいけれど、どう発信していいかわからない……。だから、僕はその橋渡し役を務めたい。 たとえば、豊作で生産過剰になっていたら、商品を無駄にしないために少しでも消費したいで、ウチで「今、安いからお買い得ですよ!」と一所懸命売るわけです。大したきっかけで取材を受け始めたわけじゃないのですが、多くの取材を通して産地の事情や生産者の気持ちがわかるようになったのは、僕にとっても大きな財産になっています』、「アキダイはいくつかの市場とお付き合いさせてもらっていて、それぞれの市場は個々の産地からの情報を持っています。そうやって貴重な情報を入手するラインがいくつもあるおかげで、産地の生産者も僕のことを知ってくれている。 だから、生産者は市場の売り子さんを介して、たとえば「洪水の影響でどの程度の被害が出たか」「大雪で今後どれくらい出荷が落ち込む見通しか」といったリアルタイムの情報を提供してくれるし、何かあれば写真をスマホに送ってきてくれることもあります」、「産地」からの「情報」も持っているとは強味だろう。
・『テレビ出演はすべてノーギャラ  店頭での取材の収録が終わり、オンエアの映像でテレビ画面の中の自分を見ると、すごく新鮮でワクワクするというのも本音です。取材にきちんと答えられていれば、それは僕の商品知識がしっかりしている証でもありますから。 取材を通して、いわば自分で自分をテストしているようなものです。普段はこうした商品知識を、お客さんに品質のいい野菜や果物を美味しく食べてもらい、喜んでもらうために役立てていますが、取材では僕の知識が正しくてタイムリーな報道に繋がる。アキダイのお客さんの役に立つことが嬉しいのと同じくらい、メディアのみなさんのお役に立てることも嬉しいんです。 ちなみに取材はすべてノーギャラで、一銭ももらったことはありません。アキダイという店の名前はずいぶん知名度が上がりましたが、僕がテレビに出たくらいで店の売上げが増えるなどということはない。八百屋という商売はお客さんの日々の買い物によって成り立っているので、少しくらい名前が売れたから業績が上がるほど甘くはない。 それでも取材を受けるのは、困っている人がいたら放っておけない性分だから。テレビ局のディレクターさんが僕を頼りにして取材を申し入れてきたのに、断ったら困るでしょう。だから、ノーギャラでも何の不満もありません。誰だって街で人に道を聞かれたら教えてあげますよね。そのときにお金なんて要求しませんよね。僕からすれば、テレビの取材も一緒。 前にも述べたように、これは人のためというより自分のため。仮に、僕が困っている人を放っておいたら、その後、「あの人どうなったかな?」って気になってしょうがない。そんなふうに気を揉むのが嫌なんです。 それと、これは僕が“ブーメランの法則”と呼んでいるんですけれど、人にいいことをすると、いつか巡りめぐって自分に返ってくるような気がする。それを見込んで困っている人を助けているわけではないし、たとえ見返りがなくても、僕は放っておけないんでしょうね』、「取材はすべてノーギャラで、一銭ももらったことはありません」、「アキダイという店の名前はずいぶん知名度が上がりましたが、僕がテレビに出たくらいで店の売上げが増えるなどということはない」、「これは人のためというより自分のため。仮に、僕が困っている人を放っておいたら、その後、「あの人どうなったかな?」って気になってしょうがない。そんなふうに気を揉むのが嫌なんです」、なかなか感心な心がけだ。

第三に、8月26日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏による「コストコと業務スーパー、「値上げ時代の救世主」が競合しない事情」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/308595
・『ついに、業務スーパーとコストコでも値上げが行われています。コストコでは3~6割値上げした商品も。「値上げがきついコストコから、値上げがマイルドな業務スーパーへと需要が流れるのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、コストコと業務スーパーは実質的には競合しないのです。その理由を解説しましょう』、「コストコと業務スーパーは実質的には競合しない」、どうしてだろう。
・『業務スーパーが値上げしても庶民の救世主なのは「もともと安すぎる」から  相変わらず、私の自宅の近所にある業務スーパーの店頭は賑わっています。安さで人気の業務スーパーですが、実は、地味に商品の価格が値上げされています。たとえば、その安さで人気だったうどんや焼きそばの麺は、去年は1玉21円(税込み、以下同じ)だったものが今では22円。私の事務所で使っているアラビカ種100%のリッチブレンドコーヒー豆は、430円だったのが497円という具合です。 世の中は値上げラッシュで、その品目を並べると肉製品に食用油、海産物、小麦製品という具合です。考えてみれば業務スーパーで売られている製品は、みんなこの一年間に価格が上昇した製品ばかりです。にもかかわらず、体感で言えば業務スーパーは今でも安い。なぜか。ここが救世主としてのポイントです。 その秘密は、もともと安すぎるからです。冒頭に紹介したうどん1玉の価格の上げ幅は、計算してみると5%の値上げです。でも値上げ後の価格が22円だと思うと、相変わらず消費者から見ればびっくりの激安価格です。一方で面白いと思うのは、業務スーパーが行っている値上げは十分に利幅を取っている点です。 今年4月に、政府の輸入小麦の売り渡し価格が17.3%も値上げになったので、小麦製品の値上げラッシュが大問題になりました。ですが、実は政府の試算でも小麦製品に占める原料小麦代金の割合はそれほど大きくありません。食パンにしてもゆでうどんにしても、小麦の原材料コストは全体の8%程度。農水省の公式試算では原材料の小麦を17.3%値上げしても、パンやうどんの末端価格は1.5%しか上がらないとしています。 業務スーパーで1円値上げされた値上げ幅は、その1.5%よりもはるかに大きい5%です。もちろん包装紙に使うプラスチックや、運送に使う軽油の原材料である原油価格も上昇していますから、小麦分だけを値上げするわけにはいかないのでしょう。けれども業務スーパーの場合は、必要分だけ値上げをしてもまだ庶民から見れば「値上げ時代の救世主」のような価格が維持できている。 低価格ビジネスモデルの小売業は値上げ時代にはよりそのインパクトを増すようです』、「業務スーパーの場合は、(もともと低価格なので)必要分だけ値上げをしてもまだ庶民から見れば「値上げ時代の救世主」のような価格が維持できている」、なるほど。
・『コストコの商品には3〜6割値上げしたものも  さて、業務スーパーと同じ低価格の救世主的立場の小売店に、会員制ホールセールクラブのコストコがあります。私は、業務スーパーもコストコもどちらもよく使います。どちらの小売店もよく似ている点は、1パッケージあたりの量がめちゃくちゃ多い点です。 冒頭のうどん1玉は、業務スーパーでは例外的にばら売りをしている商品で、それ以外の商品の多くはボリュームが多い業務用サイズで販売しています。たとえばラーメンに入れる豚バラ肉の煮込みは600g、お徳用のソーセージは1kg、ブルドックの中濃ソースは業務用の1.8リットルサイズで430円という感じです。 コストコも同様で、もともとのサイズが一般のスーパーで売られているサイズよりもずっと大きいのが特徴です。コストコで私がよく買うコーヒー豆はカークランドシグネチャーという商品です。コストコのPBブランドでありながら、スターバックスが製造しているハウスブレンドコーヒーです。これが1.13kgで2998円。スタバの店頭で売られる豆と同じ250gに換算すると663円ですから、高品質のコーヒー豆としては相対的にかなりお得です。 高級チョコレートとして有名なリンツのリンドールもコストコでよく買う商品ですが、こちらも600gの巨大パッケージ。街中の公式ショップで売っている10個入り1000円の袋詰めがだいたい120gですから、大きさは約5倍。それでも600gで2598円なので、これもかなりお安い気がします。 ただ、ここにきてコストコに出かけると、業務スーパーとは少し違う感覚を覚えます。「なんかかなり高くなったなあ」という感覚です。 さきほどと同じように古いレシートを取り出して確認すると、2年前は同じハウスブレンドコーヒーが1868円でした。同様にリンツも当時は2038円で売られていました。電卓で計算してみると、3割から6割も値段が上がっているのです。この違いはいったい何でしょうか?』、「コストコ」は結婚した娘が会員になっており、一度、連れて行ってもらった。商品の売買の単位の大きさに驚かされた。「業務スーパー」は近くにあるので、昔から利用している。
・『コストコ「値上げ」の原因はインフレとドル高のダブルパンチだ  実は、業務スーパーとコストコの最大の違いは商品の調達先です。業務スーパーの食品の多くが中国から開発輸入している一方で、コストコはアメリカの商品ラインナップを日本に持ってきているものが多いのです。 経済通の読者の方はよくご存じのとおり、今、アメリカでは年率8.6%という大幅なインフレが起きています。日本の2.4%のインフレなど比較にならないほど物の価格が上がっています。 そしてコストコはそれを日本に輸入してくるのですが、これも皆さんご存じのとおり一年前に115円前後だった為替レートが、直近で137円と2割近いドル高が起きています。 最近海外旅行に行った方から、「リベンジ消費するつもりが、あまりに物価が高くて何も買えなかった」という話を聞きますが、これは物価とドル高の掛け合わせ効果です。 8.6%のインフレと約2割のドル高が掛け合わさると、日本人から見ればアメリカの物価は3割高になってしまいます。 コストコの人気商品も、それと同じです。特にアメリカ産や同じく物価高騰に悩むEUの先進国の製品の場合、ふと気が付くとずいぶんな値幅で値上げされていることに気づくのです。ただコストコでは、値上げ後の現在でも同じ商品を普通のスーパーマーケットなどで買うよりも半額近くで買えるということから、やはりまだ大幅に安いという状況は続いているわけです』、「コストコでは、値上げ後の現在でも同じ商品を普通のスーパーマーケットなどで買うよりも半額近くで買えるということから、やはりまだ大幅に安いという状況は続いている」、「業務スーパー」と似ている。
・『値上げ幅が大きくなってもコストコと業務スーパーは競合しない  とはいえ、たくさん買って節約するという顧客から見れば、値上げがきついコストコから値上げがマイルドな業務スーパーへと需要が流れたりしないのでしょうか? ここが面白いところですが、コストコと業務スーパーは実質的には競合しないのです。 実はアメリカでも日本でもそうなのですが、コストコは中流の上から富裕層の顧客が利用する小売店です。会員制というとおり年会費4840円を払ったうえで、自家用車に乗らなければならない距離にある倉庫店まで出かけて買い物をする。しかも、お店に置いてあるのはPBを除けば、主に有名ブランドの商品ばかりというのがコストコの特徴です。 一方で、業務スーパーは基本的に業務用の仕入れを想定した品ぞろえのスーパーです。それが、店舗数が増えた結果、住宅街にも進出してきました。そして実は、業務用の世界では一般のスーパーマーケットと少し売れ筋商品が違うという特徴があります。 たとえば、一般のスーパーで売れ筋の野菜は国産が中心です。中国産の野菜も安く売られていますが、売れ行きを見ると国産の方が勢いがいい。とはいえ、貿易統計を見ると中国産の野菜は結構輸入されています。どこで消費されているのかというと、中国産野菜は圧倒的に飲食店で使われています。 そして業務スーパーで人気の冷凍野菜を裏返してみるとわかるのですが、その多くは原産国が中国になっています。それが業務スーパーでは売れている。ここにコストコと業務スーパーが競合しない理由が隠れています。 業務スーパーの主要な顧客層は、実は庶民です。生活費を切り詰めたいニーズがあって、大手のスーパーマーケットよりも業務スーパーで買い物をしたいという層がここに流れてきます。 実は経済の専門家から見れば、中国産の野菜というのは決して悪い商品ではありません。かつては品質が悪かった時期もあったかもしれませんが、現在では日本の商社や現地の生産者が日本向けの野菜をきちんと管理して育てているので、品質や安全性は向上しています。 しかし一般のスーパーでは、一種の風評で国産に押されている。その観点で言えば、業務スーパーで安い冷凍野菜を買う顧客は、実は賢い買い物をしているとも言えるのです。 値上げラッシュの日本にあって、まだ生活水準は豊かな方できちんとした水準の商品をできるだけ安く買いたい顧客層は、コストコを選びます。そして商品が値上がりしても収入はそれほど増えない顧客層は、賢く業務スーパーで乗り切ろうとします。 どちらの小売店も値上げラッシュの救世主であり、それぞれを利用する顧客層はそれぞれ違う事情から異なるお店を選んでいるというのが実情だということなのです』、「コストコは中流の上から富裕層の顧客が利用する小売店です。会員制というとおり年会費4840円を払ったうえで、自家用車に乗らなければならない距離にある倉庫店まで出かけて買い物をする。しかも、お店に置いてあるのはPBを除けば、主に有名ブランドの商品ばかりというのがコストコの特徴です」、「業務スーパーは基本的に業務用の仕入れを想定した品ぞろえのスーパーです。それが、店舗数が増えた結果、住宅街にも進出してきました。そして実は、業務用の世界では一般のスーパーマーケットと少し売れ筋商品が違うという特徴があります」、「まだ生活水準は豊かな方できちんとした水準の商品をできるだけ安く買いたい顧客層は、コストコを選びます。そして商品が値上がりしても収入はそれほど増えない顧客層は、賢く業務スーパーで乗り切ろうとします」、上手い具合に棲み分けが出来ているようだ。いずれにしろ、良質の商品が安く手に入るのは有難いことだ。
タグ:小売業(一般) (その7)(小売の常識覆した「素人集団」はなぜ挫折したか 「ハンズを手放す」決断下した東急不動産の苦悶、年間300本以上の取材に対応!? 各局のニュース番組が「スーパーアキダイ」を取材し続ける“納得の理由” 『いつか小さくても自分の店を持つことが夢だった スーパーアキダイ式経営術』より #2、コストコと業務スーパー、「値上げ時代の救世主」が競合しない事情) 東洋経済Plus「小売の常識覆した「素人集団」はなぜ挫折したか 「ハンズを手放す」決断下した東急不動産の苦悶」 「東急ハンズ」は私のお気に入りだっただけに、経営主体が変わるのは残念な気もする。「東急不動産」が親会社だったとは初めて知った。 賢明な選択だ。 賢明な判断だ。「ただし、「東急」の社名は(売却後も)当面使ってもらう予定だ」、持株関係はなくなっても、「名前」だけは使うというのは、一般顧客向けなのだろう。 「太陽光や風力といった開発中の施設が完成すれば、原子力発電所1基分にあたる約40万世帯の電力を確保できる」、「原発1基分」とはかなりの規模だ。「東急ハンズ」が「カインズ」傘下で発展することを期待する。 文春オンライン「年間300本以上の取材に対応!? 各局のニュース番組が「スーパーアキダイ」を取材し続ける“納得の理由” 『いつか小さくても自分の店を持つことが夢だった スーパーアキダイ式経営術』より #2」 確かに、テレビのニュースでは、「スーパーアキダイ」が「取材先として選ばれ」ることが多いようだ。 「年間300本以上のテレビ局の取材」、「2011年を境に、現在のように店の前にテレビ局のクルーが取材の順番待ちの列を作るようになった」、通常はヒアリング先は分散するのが一般的だが、「アキダイ」だけは例外のようだ。 「大手スーパーなどの大企業に取材を申請する際には、通常は企画書を送って、それを精査され、何日か後に取材ができるかどうかの返事が来るようです。でも、アキダイの場合、朝に僕の携帯電話が鳴って「今日、これから行ってもいいですか?」と番組ディレクターの方が直接交渉してくる」、「よほどの用事が入っていない限り、僕は二つ返事で取材を受けるので、今日アポを取って、今日取材というパターンばかり。 取材に来るテレビはニュースか情報番組が大多数で、彼らは鮮度の高い情報を求めているので、リアルタイムで取材を取り付けることができるアキダイは使い勝手がいいのかもしれません」、これならテレビ局にとっては、確かに「取材しやすい」ようだ。 「アキダイはいくつかの市場とお付き合いさせてもらっていて、それぞれの市場は個々の産地からの情報を持っています。そうやって貴重な情報を入手するラインがいくつもあるおかげで、産地の生産者も僕のことを知ってくれている。 だから、生産者は市場の売り子さんを介して、たとえば「洪水の影響でどの程度の被害が出たか」「大雪で今後どれくらい出荷が落ち込む見通しか」といったリアルタイムの情報を提供してくれるし、何かあれば写真をスマホに送ってきてくれることもあります」、「産地」からの「情報」も持っているとは強味だろう。 「取材はすべてノーギャラで、一銭ももらったことはありません」、「アキダイという店の名前はずいぶん知名度が上がりましたが、僕がテレビに出たくらいで店の売上げが増えるなどということはない」、「これは人のためというより自分のため。仮に、僕が困っている人を放っておいたら、その後、「あの人どうなったかな?」って気になってしょうがない。そんなふうに気を揉むのが嫌なんです」、なかなか感心な心がけだ。 ダイヤモンド・オンライン 「コストコと業務スーパーは実質的には競合しない」、どうしてだろう。 「業務スーパーの場合は、(もともと低価格なので)必要分だけ値上げをしてもまだ庶民から見れば「値上げ時代の救世主」のような価格が維持できている」、なるほど。 「コストコ」は結婚した娘が会員になっており、一度、連れて行ってもらった。商品の売買の単位の大きさに驚かされた。「業務スーパー」は近くにあるので、昔から利用している。 「コストコでは、値上げ後の現在でも同じ商品を普通のスーパーマーケットなどで買うよりも半額近くで買えるということから、やはりまだ大幅に安いという状況は続いている」、「業務スーパー」と似ている。 「コストコは中流の上から富裕層の顧客が利用する小売店です。会員制というとおり年会費4840円を払ったうえで、自家用車に乗らなければならない距離にある倉庫店まで出かけて買い物をする。しかも、お店に置いてあるのはPBを除けば、主に有名ブランドの商品ばかりというのがコストコの特徴です」、 「業務スーパーは基本的に業務用の仕入れを想定した品ぞろえのスーパーです。それが、店舗数が増えた結果、住宅街にも進出してきました。そして実は、業務用の世界では一般のスーパーマーケットと少し売れ筋商品が違うという特徴があります」、「まだ生活水準は豊かな方できちんとした水準の商品をできるだけ安く買いたい顧客層は、コストコを選びます。そして商品が値上がりしても収入はそれほど増えない顧客層は、賢く業務スーパーで乗り切ろうとします」、 上手い具合に棲み分けが出来ているようだ。いずれにしろ、良質の商品が安く手に入るのは有難いことだ。
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