中国経済(その19)(内部レポート入手!公式発表とは正反対 中国のコロナ感染こんなにヤバかった 東アジア「深層取材ノート」(第168回)、長すぎたゼロコロナでワクチンの効果激減 中国の感染爆発の本番はこれから なぜ中国の習近平国家主席のゼロコロナ政策は破綻したのか、春節を控えた中国で再び“コロナ感染爆発”が起こっている「2つの根本的原因」 なぜ今「ゼロコロナ政策」をやめたのか) [世界情勢]
中国経済については、昨年12月25日に取上げた。今日は、(その19)(内部レポート入手!公式発表とは正反対 中国のコロナ感染こんなにヤバかった 東アジア「深層取材ノート」(第168回)、長すぎたゼロコロナでワクチンの効果激減 中国の感染爆発の本番はこれから なぜ中国の習近平国家主席のゼロコロナ政策は破綻したのか、春節を控えた中国で再び“コロナ感染爆発”が起こっている「2つの根本的原因」 なぜ今「ゼロコロナ政策」をやめたのか)である。
先ずは、昨年12月25日付けJBPress が掲載したジャーナリストの近藤 大介氏による「内部レポート入手!公式発表とは正反対、中国のコロナ感染こんなにヤバかった 東アジア「深層取材ノート」(第168回)」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73283
・『日本はクリスマスで浮かれているというのに、中国がこの世の地獄のような事態に陥っている。全土に凄まじい勢いでコロナウイルスが蔓延し、数億人の発熱者と、大量の死者を出しているもようだ。 中国で日本の厚生労働省にあたる国家衛生健康委員会の12月24日の発表によれば、23日の中国全土の新規感染者数は4128人で、死亡者はゼロである。また前日の22日の新規感染者数は3761人で、死亡者数はゼロ。まったく問題のない状況だ。 だがこれこそ、「大本営発表」というものだ。実は、国家衛生健康委員会は12月21日午後4時から、極秘の緊急テレビ電話会議を開いていた。この会議の正式名称は、「新型コロナウイルス患者の医療救急活動を強化することに関するテレビ電話会議」。主催したのは、同委員会の李斌副主任で、全国の衛生健康委員会や主要病院などと回線をつないで行った』、死者急増で火葬場に長い順番待ちができているというのと、「大本営発表」には余りに大きなギャップがある。
・『当局によってSNS上から削除された「極秘会議」の概要 この極秘会議の概要を、おそらく参加者の一人が、あまりにいたたまれなくなって、SNS上にアップした。それはほどなく、当局によって削除されたが、その前にかなり拡散しており、私もその内容を入手した。 私はその概要を読んで、2019年の大晦日に、湖北省の省都・武漢で、李文亮医師が世界に先駆けて、新型コロナウイルスの感染爆発を告発したことを思い出した。李医師は公安(警察)に出頭命令を受けて、「デマを流した」ことにされた。 そしてそれから1カ月余り後に、新型コロナウイルスの治療に当たっていて自らも感染し、34歳の若さでこの世を去った。今回、内部告発した中国人も、おそらく李文亮医師と同じ気持ちから行ったのだろう。以下に、その内容を訳す』、どんな内容なのだろう。
・『12月20日の新規感染者数、3699万6400人! <国家衛生健康委員会の馬暁偉主任は、次のような見解を示した。全国の防疫措置をさらに一歩、調整するにつれ、春節(2023年1月22日)の大移動と春節期間中、人々が大規模に流動するようになる。 おそらくさらに多くの地域で、ウイルスの蔓延は増加していくだろう。都市部と農村部の感染率が、ともに伸びていくことが見込まれる。 かつ農村部の医療体制は底が薄い。慢性病にかかった老人が多い。いったん感染が加速的に蔓延していけば、局面はさらに厳しいものとなるだろう。 全国31の省級行政地域の中で、北京市と四川省の感染状況が最も深刻で、それぞれ1位と2位だ。どちらも累計の感染率は、すでに50%を超えている。続いて、感染率が20%から50%の間が、深刻な順に、天津市、湖北省、河南省、湖南省、安徽省、甘粛省、河北省となっている。 12月20日の新規感染者数は、おそらく3699万6400人に上る。これは総人口の2.62%にあたる。18日よりも19日の方が、そして19日よりも20日の方が感染者数が増えている。 省別に言えば、20日の感染率が高かったベスト5は、四川省、安徽省、湖北省、上海市、湖南省の順だ。都市別で言うなら、トップ4都市は、成都市、蘭州市、合肥市、上海市の順だ。 累計の感染者数で言えば、2000万人を超えたのが、多い順に四川省、河南省、湖北省だ。1000万人から2000万人の間が、多い順に湖南省、河北省、広東省、北京市、安徽省、山東省だ。都市別に言えば、累計の感染者数が500万人を超えたのが、多い順に北京市、成都市、武漢市、天津市、鄭州市、重慶市だ』、「北京市と四川省の感染状況が最も深刻で・・・どちらも累計の感染率は、すでに50%を超えている」、「累計の感染率」の定義がよく分からないが、かなり高いことに驚かされる。
・『一部の都市ではピークアウトの兆しも見られるものの… このように現在、各地域のウイルスの蔓延状況は、比較的大きな差異がある。そしてウイルスが多発している地域は、「密集空間」という特徴がある。 中でも、北京市・天津市・河北省、四川省と重慶市、湖北省と湖南省、華中地域のウイルスの拡散が比較的早い。一方、長江三角州、珠江三角州、西北と東北地方のウイルスの流行は、相対的に緩慢だ。 北京市・天津市・河北省地域のウイルス状況は現在、「高止まりの流行」の段階だ。ただ北京市はすでにピークを過ぎ、ここ数日は「緩やかに下降」の態勢だ。 それでも日々、大量の新規感染者が出ている。加えて現在、重症者のピークを迎えている。そのため、医療救急治療サービスは大きなプレッシャーに直面している。 天津市は、いままさに流行のピークを迎えている。おそらくあと2日か3日で、山を越えるだろう。河北省は全体的に「ウイルスの拡散スピードが速く、感染者が急増」している。おそらくあと3日から5日で、ウイルスのピークを迎えるだろう』、流行にはサイクルがあるので、「ピーク」も何度も来るようだ。
・『医療逼迫 四川省と重慶市地域、湖北省と湖南省地域のウイルスの拡散は迅速だ。特に四川省全域でウイルスは急速に増えており、北京に次いで2番目に感染率が50%を超えた地域となった。成都市を含む多くの都市が同時に流行のピークを迎えており、全省の救急医療の圧力は大きい。 重慶市に至っては、市内の主要地域から遠く郊外へと、急速に広がりつつある。おそらくこれから一週間前後でウイルスのピークを迎えるだろう。 湖北省全省はまさに、ウイルス流行のピークを迎えている。直近の二日間は、感染の波が下向きの傾向を示した。 12月1日以降、中国の19省で累計1100例の感染者のウイルスのゲノムから、12種類の配列のオミクロン変異株が発見されている。主要な流行株は「BA.5.2」「BF.7」「BM.7」だ。 その中で、北京市、黒竜江省、貴州省、新疆ウイグル自治区では「BF.7」の比重が高い。その他の省ではすべて、「BA.5.2」の比重が高い。いまのところ拡散力、感染力、免疫逃避で具体的に明らかにこれまでとは異なる新たな変異株は発見されていない』、単に偶然見つからなかったに過ぎないのだろう。
・『猛烈な感染拡大で新たな変異株発生のリスクも増大 昨今、全国のウイルスは全体的に、加速的に広がっている段階にある。一日の新規感染者数も増え続けている。12月になってから、人々の累計の感染率は(全人口の)17%を超えた。おそらく12月下旬が、全国の多くの省で、引き続き感染のピークを迎えるだろう。 加えて、現在ウイルスが広がっている省では、現在もしくはこれから「省の中心都市から中小の都市や農村地域への広がり」が進んでいく状況にある。そしてウイルス流行のピークの1週間前後に、重症及び非重症患者のピークを迎える。 全国の各地域では確実に、流行のピークに対する応対準備の活動を強化し、ウイルスの流行の進み具合に応じて、全面的な医療救急治療など各種の準備活動を行っていかねばならない。 馬暁偉主任はこう総括した。各地域の病院は、大量の病人の面倒を看るにあたって、「病人が病院の前にいまにもやって来るのに、(一部の病院は)まだ粗暴な対処しかできていなかったり、逃避しようとしている」。どの病院もそれぞれの地域に置かれた病院として、「あれこれ考えずに、これはやらねばならない任務なのだ」として、早めに準備し、チャレンジに立ち向かうのだ> 以上である。「大本営発表」の感染者数とはゼロが4つも違う「阿鼻叫喚の世界」が広がっているのだ。大半の若者たちは、数日の高熱の後、回復に向かっているようだが、少なからぬ高齢者が犠牲になっているもようだ。ちなみに中国国家衛生健康委員会は、12月25日より、感染者数の「大本営発表」すらやめてしまった。 それにしても、一日に約3700万人もが感染したと衛生健康委員会が推定した12月21日、習近平主席はロシアからドーミトリー・メドベージェフ前大統領(統一ロシア党党首)を北京に招いて、会見した。その時の「満面の笑顔」が、CCTV(中国中央広播電視総台)のトップニュースで流されたが、「恐るべき鈍感力」の持ち主だと畏れ入ってしまった。 今後、何より恐ろしいのが、概要でも指摘されていた「新たな突然変異」である。これだけ同時期にウイルスが拡散すれば、当然ながら「新たな突然変異」が起こる確率も高まってくる。 私たちはコロナウイルスを、「もはやカゼのようなもの」と認識し始めているが、とてつもなく深刻なウイルスに変異するかもしれないということだ。その意味で、いま中国で起きている惨事は、日本人にとっても他人事ではない』、「これだけ同時期にウイルスが拡散すれば、当然ながら「新たな突然変異」が起こる確率も高まってくる。 私たちはコロナウイルスを、「もはやカゼのようなもの」と認識し始めているが、とてつもなく深刻なウイルスに変異するかもしれないということだ。その意味で、いま中国で起きている惨事は、日本人にとっても他人事ではない」、その通りだ。
次に、12月28日付けJBPressが掲載した在英ジャーナリストの木村 正人氏による「長すぎたゼロコロナでワクチンの効果激減、中国の感染爆発の本番はこれから なぜ中国の習近平国家主席のゼロコロナ政策は破綻したのか」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73295
・『中国各地でゼロコロナ政策に反対する抗議デモが続発したことを受け、行動制限を緩和した中国の習近平国家主席が感染の急拡大に苦しめられている。英国の医療系調査会社エアフィニティは「現在、われわれのモデルでは1日当たりの感染者が100万人、死者は5000人を超えている恐れがある」との推計を12月21日に発表した。 直近の1週間で感染者数は1800人、死者はわずか7人(そのあと1人削除)という中国の“大本営発表”とは非常に大きな開きがある。エアフィニティのモデルでは新年1月に最初のピークを迎え、1日当たりの感染者は北京や広東省を中心に370万人、第二のピークとなる同年3月には他の地域にも広がり420万人に達すると予測している。 (中国におけるゼロコロナ政策転換後の感染者予測(英国の医療系調査会社エアフィニティの発表 はリンク先参照) エアフィニティのワクチン・疫学部長ルイーズ・ブレア博士はこう指摘している。「中国は集団検査を中止するとともに、無症状の感染者を報告しなくなっている。この組み合わせは公式データが中国全土で発生している感染の流行を正確に反映しているとは考えにくいことを意味している」 「中国はコロナ死者数の記録方式も変更し、陽性反応後に呼吸不全または肺炎で死亡した人のみを記録するようになった。これは陽性反応から一定期間内の死亡や、死因がコロナに起因していた場合にカウントする他の国の方式とは異なる。この変更により中国で報告される死者数の程度が過小評価されてしまう恐れがある」(ブレア博士)』、「中国はコロナ死者数の記録方式も変更」、「中国で報告される死者数の程度が過小評価されてしまう恐れ」、中国の「大本営発表」は何でもありのようだ。
・『「ゼロコロナ政策終了なら130万~210万人死亡」 英国家統計局(ONS)のデータから年齢、基礎疾患別の死者を見てみよう。年齢層別のコロナ死者の割合は85歳以上が40%、75~84歳が29%、65~74歳が17%、55~64歳が9%、45~54歳が4%、25~44歳が2%となっている。新型コロナウイルスが変異して弱毒化しても、基礎疾患を持っていることが多い高齢者の死亡率がずば抜けて高いことが分かる。) 基礎疾患別にみると、不定愁訴(原因ははっきりとは分からないが、体調が悪い状態)が27%、慢性下気道疾患が16%、泌尿器系の疾患15%、認知症およびアルツハイマー病14%、糖尿病13%、心不全および合併症と定義が不明確な心臓病13%、虚血性心疾患12%、高血圧性疾患10%、不整脈9%、脳血管障害6%。基礎疾患のない死亡例は13%だった。 コロナに感染した状態で死亡した人をコロナ死者として計上した英国や米国では膨大な死者を数えた。新型コロナウイルス変異株のオミクロン株は肺に与える影響が他の株に比べて小さい。さらに呼吸不全が直接の原因で死亡した感染者に数を限定すると統計上、コロナ死者の数を小さく抑えることができる半面、本当の被害を覆い隠してしまう恐れがある。 エアフィニティは11月にも「中国がゼロコロナ政策を終了した場合、低いワクチン接種率とブースター率、ハイブリッド免疫(感染とワクチン接種の両方)の欠如により、130万~210万人の命が危険にさらされる恐れがある」と警鐘を鳴らしている。中国では国産ワクチンが接種されたが、感染や死亡に対する防御力が低いことが明らかになっている。中国・シノバック製のワクチンを接種しても米欧のmRNAワクチンの接種者よりも3倍重症化しやすいという』、「エアフィニティは11月にも「中国がゼロコロナ政策を終了した場合、低いワクチン接種率とブースター率、ハイブリッド免疫(感染とワクチン接種の両方)の欠如により、130万~210万人の命が危険にさらされる恐れがある」と警鐘」、「中国・シノバック製のワクチンを接種しても米欧のmRNAワクチンの接種者よりも3倍重症化しやすい」、中国の「コロナ対応」の遅れは致命的だ。
・『米欧はワクチン接種後の集団感染でハイブリッド免疫(注)を獲得 エアフィニティによると、ワクチンによる免疫力は時間とともに低下する。中国ではブースター接種率が低く、ゼロコロナ政策で自然感染もしなかったため重症化しやすい。80歳以上のブースター接種率は40%。中国で感染が拡大した場合、1億6700万~2億7900万人の感染者が発生し、130万~210万人が死亡、医療システムは限界に達する恐れがあるという。 「高齢者人口を考えると、免疫力を高めるためワクチン接種を強化することが不可欠だ。将来の感染の波に対する抵抗力を強めるハイブリッド免疫を獲得することが必要だ。他の国や地域でも有効であることが証明されている。米欧では接種後の集団感染でハイブリッド免疫が形成され、感染拡大による影響を小さく抑えることができた」(前出のブレア博士)) 米保健指標評価研究所(IHME)は「中国では今後数カ月で大規模なオミクロン株の感染が起きる。新年4月ごろピークを迎え、総死者数は32万3000人と推定される。その後も感染しやすい人口は維持される。中国で使用されている国産ワクチンのオミクロン株に対する効果は比較的低く、人口の8割が感染しやすい状態だ」と警戒を呼びかけている。 中国の国産ワクチンのシノバックやシノファームは米欧のmRNAワクチンに比べ効果が低い。抗ウイルス剤も普及していない。ゼロコロナ政策を解除すれば80歳以上の死者数が大幅に増え、新年の死者数は100万人をはるかに上回る恐れがある。mRNAワクチンに切り替えるとともに高齢者のワクチン接種率を上げ、抗ウイルス剤を使えるようにする必要がある』、「中国の国産ワクチンのシノバックやシノファームは米欧のmRNAワクチンに比べ効果が低い。抗ウイルス剤も普及していない。ゼロコロナ政策を解除すれば80歳以上の死者数が大幅に増え、新年の死者数は100万人をはるかに上回る恐れがある」、恐ろしいことだ。
(注)ハイブリッド免疫:ワクチンと感染の両方による免疫を海外ではハイブリッド免疫と呼ぶ(日経新聞)。集団免疫とも呼ばれる
・『コロナ、インフルエンザ、RSウイルスの「トリプルデミック」の恐れも これまで中国はゼロコロナ政策で感染爆発を回避してきたため、国民は感染しやすい状態にある。感染率が高ければ高いほど、新型株が発生する確率は高くなる。IHMEのモデルでは流行は新年1月中旬に始まるため、地方政府は病院の支援策を講じ、社会的距離政策やマスクの義務付けを再実施し、感染を遅らせる対策をとらなければならないという。 米国ではコロナ、インフルエンザ、RSウイルスの「トリプルデミック(三大流行)」が医療現場の病床を逼迫させており、中国も同じように「トリプルデミック」に直撃される恐れがあるという。中国当局は景気と学校教育への影響と、80歳以上の死亡のバランスをとる難しい選択を迫られることになるとIHMEは分析している。) 中国のソーシャルメディアでは「国家衛生健康委員会議事録」が出回り、それによると中国では12月20日の新規感染者数が3700万人にのぼり、同月1~20日までの累積感染者数が2億4800万人に達したという。“大本営発表”では同月1~22日の累積感染者数は約28万4700人とされ、大きな食い違いが生じている。 英イースト・アングリア大学医学部のポール・ハンター教授はこう指摘する。「中国は現在、明らかに非常に困難な状況にある。すべての国でコロナ規制を終了すると感染が急増した。これは避けられないことだ。ワクチン接種も自然感染も数カ月以上の防御を与えないことが分かっている。しかし重症化(呼吸困難、入院、死亡)に対する免疫はある程度長く続く」』、「中国のソーシャルメディアでは「国家衛生健康委員会議事録」が出回り、それによると中国では12月20日の新規感染者数が3700万人にのぼり、同月1~20日までの累積感染者数が2億4800万人に達したという。“大本営発表”では同月1~22日の累積感染者数は約28万4700人とされ、大きな食い違いが生じている」、こんな「“大本営発表”」では、中国国民も信じなくなるだろう。「ワクチン接種も自然感染も数カ月以上の防御を与えないことが分かっている。しかし重症化(呼吸困難、入院、死亡)に対する免疫はある程度長く続く」、なるほど。
・『英専門家「中国の問題はコロナ規制の解除が早すぎたことではない」 ハンター教授は続ける。「ワクチン接種後の免疫(50%以上の人)はおそらく1年程度だが、自然感染でやや長くなり、ハイブリッド免疫ではさらに長くなる。ハイブリッド免疫は少なくとも数年間は重症化に対する良好な予防効果を発揮する。中国では2月ごろからワクチン接種をほとんど行っていないため、感染に対する防御はほとんど失われている」 中国の人々は最近まであまり感染してこなかったので、ハイブリッド免疫を持っている人は非常に少ない。重症化に対する免疫も失われている。感染が拡大した米欧ではほとんどの人がハイブリッド免疫を持っているため、感染による死亡率は1年前よりはるかに低くなっている。一方で中国では高齢者のワクチン接種が若者に比べて遅れていると報じられる。) 「中国でのコロナ致死率がどの程度なのか現状では分からない。公表されているデータでは死者はほとんどいないようだが、多数の死者が出ているとの報道と矛盾する。現在、中国で何が起きているのか、統計の信頼性はどうなのか、全くわからない」とハンター教授は首を傾げた。 「中国の問題はコロナ規制の解除が早すぎたからではなく、ワクチン接種後のゼロコロナ政策が長すぎたため、ワクチン接種の予防効果がほとんどなくなってしまったことにある。ニュージーランドはワクチン接種後すぐに制限を解除し、予想通り感染者が急増したにもかかわらず、死者はほとんど出なかった」』、「「中国の問題はコロナ規制の解除が早すぎたからではなく、ワクチン接種後のゼロコロナ政策が長すぎたため、ワクチン接種の予防効果がほとんどなくなってしまったことにある」、なるほど。
・『ウィズコロナ政策に転換するタイミング ハンター教授は世界保健機関(WHO)緊急事態対応責任者マイク・ライアン氏と同じように「ゼロコロナ政策が転換されたからではなく、規制が解除される以前から感染は猛烈に広がっていた」との見方を示した。ゼロコロナ政策で感染を食い止めることができなかったため、ゼロコロナは最善の選択ではないと判断して習氏は政策を転換したというわけだ。 ワクチンの集団接種で社会全体に「免疫の丘」を築いたあと、ゼロコロナではなくウィズコロナ政策への転換を唱えたハンター教授はロックダウン(都市封鎖)支持派から罵詈雑言を浴びせられた。効果的なワクチンで社会全体の免疫が高まっている時にわざわざ都市封鎖をする必要はないと主張した。この決断のおかげでハイブリッド免疫を獲得することができた。 「コロナは永遠に続くのだから、パンデミックは終わらない。私たちの孫の孫が感染することになる。しかし少なくとも米欧では感染の波が来るたびに、医療サービスへの影響が小さくなっている。中国の現在の状況が他の多くの国々に大きなリスクをもたらすとは思えない。 他の国はハイブリッド免疫を持っているのだから」とハンター教授は断言した。 英国の死者は21万人超。米国は約111万6000人。一方、ゼロコロナ政策を続けてきた中国の死者は“大本営発表”で5240人超。効果に限りのある国産ワクチンに見切りをつけ、米欧のmRNAワクチンに切り替えて再び集団接種を急ぎ、ウィズコロナ政策に転換できるのか。中国は14億人と人口が多いだけに死者も大きく膨らむ恐れがある』、「米欧のmRNAワクチンに切り替えて再び集団接種を急ぎ」、現在のところ「国産ワクチン」にこだわっているようなので、「ウィズコロナ政策に転換」は容易ではなさそうだ。
第三に、本年1月10日付け現代ビジネスが掲載した『週刊現代』特別編集委員・『現代ビジネス』編集次長の近藤 大介氏による「春節を控えた中国で再び“コロナ感染爆発”が起こっている「2つの根本的原因」 なぜ今「ゼロコロナ政策」をやめたのか」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/104472?imp=0
・『「民族大移動」の季節 1月22日、中国は春節(旧正月)を迎える。14億中国人は、1月1日の元日を「単なる一休日」としか見なしていない。春節こそが、絶対的に故郷で親族と過ごすべき「最重要の祝日」である。 中国政府の予測では、今年の春節期間(前後を含めた40日間)、延べ20億9500万人の「民族大移動」になる見込みだという。これは、「コロナ前」の2019年の延べ29億8000万人の約7割にあたる。すでに7日から、鉄道や航空などで、「春運」(チュンユン)と呼ばれる春節の帰省ラッシュが始まった。 「春運」で恐れられているのが、現在、都市部で猛威を振るっているコロナウイルスが、農村部にも拡散し、いよいよ「全民感染」の状態になることだ。 当然ながら農村部は都市部と較べて、医療体制が整っていない。かつ高齢者の住民が多いので、彼らが重症化して多数の死者を出すことも考えられる。すでに都市部では、火葬場に人々が殺到し、どこも機能不全に陥っている。 だがそれでも、最悪のコロナ禍の中で、「春運」は始まった……。 中国で、なぜいま再びコロナウイルスが猛威を振るっているのか。現地での個々の現象については、すでに様々な報道があるので重複しないが、その根本的原因とも言える中国の政治システムの「欠陥」について指摘しておきたい。 中国の政治システムには、少なくとも二つの大きな「欠陥」がある。一つは時期的なもので、もう一つは普遍的なものだ』、「中国の政治システム」には「少なくとも二つの大きな「欠陥」がある。一つは時期的なもので、もう一つは普遍的なものだ」、なるほど。
・『5年に一度の「空白の5ヵ月」 まず前者から述べる。 中国の政治は、憲法前文などが法的根拠となり、「共産党が政府を指導する」システムである。具体的には、5年に一度、秋に共産党大会を開催し、その人事と方針に基づいて、翌年3月に新政府が発足する。そして新政府が5年間、行政を司っていくというものだ。 ところがこのシステムを進めると、5年に一度、「陥穽(かんせい)」が生まれる。「空白の数ヵ月」と言ってもよい。 つまり、秋に共産党大会で新たな人事と方針が決まっても、それを実行していく新政府は、翌年3月にならないと発足しないのだ。それまでは「旧政府」が継続して行っていくことになる。 特に、10年に一度、政権が代わる時が要注意である。巨大な官僚機構から見ると、新しいボスは3月にならないとやって来ない。それまでは以前からのボスたちが司っているが、彼らは3月には去っていく。そのため万事「後ろ向き」で、「膨大な不作為」が起こるのである。 つまり、諸政策が停滞する。そしてそうした中から、「重大な危機」が起こるというわけだ。 一例を示そう。2002年11月に第16回共産党大会が開かれて、江沢民総書記から胡錦濤総書記にバトンタッチされた。しかし胡錦濤政権が発足したのは2003年3月で、その間に「空白の4ヵ月」が生まれた。その時起こったのが、SARS(重症急性呼吸器症候群)だった。 突如発生した未知のウイルスに対して、時の江沢民政権は有効な手立てを打てないまま、2003年3月に胡錦濤政権にバトンタッチした。その結果、新政権発足が華々しく行われた北京は、SARSが蔓延して修羅場と化した。 最終的には、中国を中心に8096人の感染者が報告され、うち774人が死亡したのだった。いまの新型コロナウイルスに較べれば小規模に思えるかもしれないが、感染者の1割近くが死亡するという点では、SARSの方が恐ろしかったとも言える。 ともあれ、それから20年を経た現在も、「空白の5ヵ月」の真っただ中なのである。本来なら、「2期10年」で引退すべき習近平総書記が、昨年10月の第20回共産党大会で、トップの座に居座った。しかも、序列2位の李克強首相を始めとする「気に入らない幹部たち」を、あまねく蹴散らしてしまった。それでも蹴散らされた面々は、3月まで残っているのだ。 こうした「変則形」は、巨大な官僚組織に、とてつもない「停滞」をもたらしている。国務院(中央政府)の「本丸」からして、李克強首相は共産党大会で「否定」されたのにまだ残っていて、代わって「肯定」された李強新首相が就くのは3月だ。そのため部下たちは、いま李克強首相に従えば、3月に李強新首相に蹴飛ばされると思うから、戦々恐々と委縮している。 そうした巨大な官僚機構の機能不全の中で起こっているのが、いまの中国の新型コロナウイルス騒動なのである。そのため、中国政府が万事、適正な政策を講じられるはずもないのだ』、「10年に一度、政権が代わる時が要注意である。巨大な官僚機構から見ると、新しいボスは3月にならないとやって来ない。それまでは以前からのボスたちが司っているが、彼らは3月には去っていく。そのため万事「後ろ向き」で、「膨大な不作為」が起こるのである。 つまり、諸政策が停滞する」、「国務院(中央政府)の「本丸」からして、李克強首相は共産党大会で「否定」されたのにまだ残っていて、代わって「肯定」された李強新首相が就くのは3月だ。そのため部下たちは、いま李克強首相に従えば、3月に李強新首相に蹴飛ばされると思うから、戦々恐々と委縮している。 そうした巨大な官僚機構の機能不全の中で起こっているのが、いまの中国の新型コロナウイルス騒動なのである。そのため、中国政府が万事、適正な政策を講じられるはずもないのだ」、その通りだ。
・『すでに14億中国人の過半数が感染 中国は、それまで3年近く続けてきた「ゼロコロナ政策」を転換するにあたって、ウイルスの急激な蔓延と、それに伴う影響などについて、適切な措置を取るよう準備していなかった。「空白の5ヵ月」にあたるため、「誰も責任を取らない状況」だったのだ。1月8日からは、新型コロナウイルスは「乙類乙管」という、それまでより低レベルの感染症に切り替えられた。 こうしたことによって「全民感染」という状況を引き起こした。中国では「津波」にたとえられている。はっきり統計を取っていないので実数は不明だが、すでに14億中国人の過半数が感染したとも言われる。 おそらく多数の重症化した高齢者が、死亡していることだろう。「おそらく」というのは、圧倒的多数のコロナウイルスによる死者が、「別の要因」をつけて葬られているため、実態が掴みきれないからだ。 昨年12月20日から、コロナウイルスによって心臓、脳、血管などに障害が起こって死亡した場合は、「コロナウイルスによる死亡」とはしないと定めた。ちなみに、国家衛生健康委員会が発表した1月7日の新規感染者数は7074人で、死者は2人である。 こうした状況に、憤りを隠せない現場の医師も多い。上海のある医師は、1月6日にSNSにこんな投稿をした。 〈 本来ならこんな文章を発表したくはない。だがあれこれ迷った末に、やはり出すことにした。(この文章を題材に)討論したり憤ったりすることを歓迎する。 私は上海で仕事をしていて、最近は大量の新型コロナウイルスの患者が入院しに来る。その中の少なからぬ人々に対して、病院側は新型コロナウイルスの患者と診断するなと言ってくる。 病人は咳(せき)と発熱で入院している。PCR検査をしたら陽性だった。胸部のCTスキャン検査をしたら肺に炎症を起こしている。入院後も肺の症状が悪化し、家族が延命措置を拒否したため、最後は血圧や心拍数が下がるなどして死亡した。 私は死亡通知書に、「死亡の原因は重症化した肺炎で、そこに至ったのは新型コロナウイルスのせいだった」と書いた。すると翌日、病院側から電話が来て、「死亡原因を変更するように」と言われた。「では何と書けばいいのか?」と聞いたら、向こうも押し黙ってしまった。 私は問いたい。一体なぜなのか? なぜ新型コロナウイルスにかかって死亡したと書いてはいけないのか? 患者の家族に対して、もうこれ以上の書き換えはしたくない 〉 まさに、「無理が通れば道理が引っ込む」というわけだ。この医者の投稿は瞬く間に削除されたが、多くの人々に回覧され、共感が広がった。 ともあれ、「空白の5ヵ月」の間、適切な政策が臨機応変に打てないことが、中国の政治システムの「時期的な欠陥」である。こうした状況が、春節を挟んであと2ヵ月ほど続くことになる』、「「空白の5ヵ月」の間、適切な政策が臨機応変に打てないことが、中国の政治システムの「時期的な欠陥」である。こうした状況が、春節を挟んであと2ヵ月ほど続くことになる」、やれやれだ。
・『「2023年世界の10大リスク」第2位 もう一つの中国の政治システムの「普遍的な欠陥」とは、先の第20回共産党大会によって、習近平総書記という今年、古稀を迎える高齢の政治家に、権力が集中してしまったことである。 このことは、アメリカで地政学を研究する著名な民間組織「ユーラシア・グループ」が、「2023年世界の10大リスク」の第2位に挙げている。ちなみに第1位は、「ならず者ロシア」だ。 以下、ユーラシア・グループの発表を引用する。 〈 リスクNo.2 「絶対的権力者」習近平 中国の習近平国家主席(共産党総書記)は2022年10月の第20回党大会で、毛沢東以来の比類なき存在となった。 共産党の政治局常務委員を忠実な部下で固め、国家主義、民族主義の政策課題を事実上自由に追求することができる。しかし、彼を制約するチェック・アンド・バランスがほとんどなく、異議を唱えられることもないため、大きな誤りを犯す可能性も一気に大きくなった。 習近平の中国では、恣意的な決定、政策の不安定さ、不確実性の増大が常態化することになる。国家資本主義の独裁国家が世界経済でこれほど大きな位置を占めるという前例のない現実を考えると、このグローバルで巨大な問題は過小評価されている…… 〉 一人に権力が集中することは、物事の決定を早めるというメリットもありそうだが、実際はそうなっていない。そもそも、これだけ複雑化している世の中で、森羅万象を一人で決めることなど、神でもなければ不可能だ。しかも小国ならまだしも、中国は14億という世界最大の人口大国なのだ。 ユーラシア・グループは、「習近平主席が犯した不手際」の例として、やはりコロナ対策を挙げている。 〈 昨年、私たちは中国がゼロコロナの罠に自らはまったと警告したが、残念ながらその通りであった。習近平は高品質の外国製mRNAワクチンを拒否し、国産ワクチンの接種率も不十分だった。中国国民は重症化しやすく、突然のゼロコロナ政策からの転換は致命的となった。(中略) わずか数週間前、習近平は2年以上前にゼロコロナ政策を開始した際と同様、恣意的な方法で同政策を終了させた。高齢者のワクチン接種率が低いにもかかわらず、市民や地方政府に警告することもなく、その結果発生する集団感染に対処する十分な準備もないまま、すべての制限を解除してウイルスを野放しにするという彼の即断により、100万人以上の中国人が死ぬことになるだろう(ほとんどはコロナによる死者と報告されないだろうが)。 このような途方もない、そして巨大なコストのUターンを実行できるのは、無敵の権力を持つ指導者だけである 〉 読んでいて、いずれも納得のいく指摘である。ちなみに先日、中国外交部の関係者と雑談していたら、外交部の退職者だけで、すでに50人以上「急死」していて、そのリストが回覧されているのだとか』、「習近平の中国では、恣意的な決定、政策の不安定さ、不確実性の増大が常態化することになる。国家資本主義の独裁国家が世界経済でこれほど大きな位置を占めるという前例のない現実を考えると、このグローバルで巨大な問題は過小評価されている……」、「ゼロコロナ政策を開始した際と同様、恣意的な方法で同政策を終了させた。高齢者のワクチン接種率が低いにもかかわらず、市民や地方政府に警告することもなく、その結果発生する集団感染に対処する十分な準備もないまま、すべての制限を解除してウイルスを野放しにするという彼の即断により、100万人以上の中国人が死ぬことになるだろう」、全く酷い話だ。
・『中国国内で噂される「4つの説」 それでは、習近平主席は昨年末になぜ突然、あれほど固執していた「ゼロコロナ政策」を放棄したのか? これには中国国内で、4つの説が噂されている。いずれも噂の域を出ないが、一応、列挙しておく。 【1.経済悪化深刻説】(昨年3月5日、全国人民代表大会の初日に、李克強首相が「今年は5.5%前後の経済成長を達成する」と華々しく述べた。ところが、「ゼロコロナ政策」が足を引っ張り、2022年の中国経済は悪化する一方だ。 足元で、第3四半期までの経済成長率3.0%、11月の輸出は前年同期比-8.7%、輸入は-10.6%、小売売上高(消費)は-5.9%、10月の若年層(16歳~24歳)失業率は17.9%……。 このままでは政府が掲げる「復工復産」(仕事と生産の復活)は厳しいと判断し、「ゼロコロナ政策」に終止符を打った。 【2.「白紙運動」影響説】(昨年11月24日に、新疆ウイルグル自治区の中心都市ウルムチで、マンション火災が発生。極端な「ゼロコロナ政策」によって住民が逃げ遅れたり、消防隊が駆けつけられなかったりして、10人が死亡した。 この事件の実態がSNSで拡散されたことで、中国各地の大学や市街地などで、いわゆる「白紙運動」が起こった。若者たちが白紙の紙をかざして、「習近平下台!」(習近平は退陣せよ)「共産党下台!」(共産党は退陣せよ!)などと叫んで抗議する様子は、日本でも広く報道された。 このように、あからさまに共産党や最高指導者を非難するデモが中国で発生したのは、1989年の天安門事件以来、33年ぶりのことだった。習近平総書記としては、10月に第20回共産党大会を開いて、異例の「総書記3期目」を確定させたばかりというのに、その威信にすっかり傷がついてしまった。 中国の若者たちが、ここまで怒りを爆発させたのは、中国がいつまでも理不尽極まりない「ゼロコロナ政策」を続けていたからだった。しかも、このままでは、習近平指導部としては望まない若者たちとの全面対決になるリスクがあった。 そこで、ひとまず「ゼロコロナ政策」の看板を一気に下ろして、国内的な宥和を図ろうとした。 【3.習近平主席感染説】(昨年11月18日と19日、タイのバンコクでAPEC(アジア太平洋経済協力会議)が開かれ、習近平主席も参加した。その中で習主席は19日、自らが昨年7月1日に任命した李家超香港行政長官と会談した。二人はマスクをつけずに握手を交わし、近距離で比較的長時間、話し込んだ。 その翌日に李家超長官が香港に戻った時、空港でPCR検査を受けたところ、コロナに感染していることが判明した。おそらく李長官は、自らが感染したこと以上に、畏れ多い習近平主席に移してしまったのではないかということを懸念したに違いない。何せ自分を香港トップに押し上げてくれた恩人なのだ。 だがやはり、習近平主席に感染していた。ただちに「中南海」(最高幹部の職住地)で緊急医療体制が組まれ、習主席は隔離静養生活に入った。 実際、19日の晩にバンコクから帰国して以降、25日にキューバのディアス・カネル主席と人民大会堂で会談するまで、丸5日間も公の場に姿を現さなかった。こうしたことは極めて異例だ。 ところが、習主席はほぼ無症状だった。「なんだ、コロナって、こんなものか」。それで習主席は、「ゼロコロナ政策」の解除を決断した。 【4.WHO圧力説】(WHO(世界保健機関)のテドロス・アダノム事務局長は、「習近平主席の盟友」とも揶揄されているが、昨年来、中国の極端な「ゼロコロナ政策」に頭を悩ませていた。そこでコロナ対策に関して、世界と足並みを揃えるよう、中国に何度も要請してきたが、馬耳東風だった。 WHOは昨年秋、中国が今後とも極端な「ゼロコロナ政策」を継続するならば、世界から中国だけを切り離して、2023年以降のコロナ対策を実行していくと、最終通告を出した。中国が一番恐れるのは、中国を除外することによって、台湾を加盟させたり、オブザーバーとして迎え入れたりすることだ。そこで渋々、「ゼロコロナ政策」に終止符を打った。 重ねて言うが、これ4説は、いずれも噂の域を出ておらず、何ら確証を得られたものではない。だが1月8日、中国は完全に「ゼロコロナ政策」と決別した』、4要因いずれも、当てはまりそうだ。
・『より深刻な新型が出現した場合 今後の展開だが、前述の「ユーラシア・グループ」が、こんな警鐘を鳴らしていることを、おしまいに紹介しておこう。 〈 もしコロナに深刻な新型が出現した場合、習近平の存在が理由で、中国国内外に広く拡散する可能性が高くなる。 中国は検査やゲノム解析に力を入れていないため、新型のウイルスを特定することができないだろう。医療制度が貧弱すぎるため、感染症が変化してより深刻になっていても気づくことができない。 これまでの習近平の透明性のなさから考えると、強力な変異体のニュースを公表することもできないだろう。世界はより致命的なウイルスに備えるための時間をほとんど、あるいは全く持てないだろう 〉』、「中国は検査やゲノム解析に力を入れていないため、新型のウイルスを特定することができないだろう。医療制度が貧弱すぎるため、感染症が変化してより深刻になっていても気づくことができない。 これまでの習近平の透明性のなさから考えると、強力な変異体のニュースを公表することもできないだろう。世界はより致命的なウイルスに備えるための時間をほとんど、あるいは全く持てないだろう」、中国を完全に切り離すことは不可能だ。現在でも、日韓両政府の水際対策強化に対し、中国側は理不尽な言いがかりをつけてきた。困ったことだ。
先ずは、昨年12月25日付けJBPress が掲載したジャーナリストの近藤 大介氏による「内部レポート入手!公式発表とは正反対、中国のコロナ感染こんなにヤバかった 東アジア「深層取材ノート」(第168回)」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73283
・『日本はクリスマスで浮かれているというのに、中国がこの世の地獄のような事態に陥っている。全土に凄まじい勢いでコロナウイルスが蔓延し、数億人の発熱者と、大量の死者を出しているもようだ。 中国で日本の厚生労働省にあたる国家衛生健康委員会の12月24日の発表によれば、23日の中国全土の新規感染者数は4128人で、死亡者はゼロである。また前日の22日の新規感染者数は3761人で、死亡者数はゼロ。まったく問題のない状況だ。 だがこれこそ、「大本営発表」というものだ。実は、国家衛生健康委員会は12月21日午後4時から、極秘の緊急テレビ電話会議を開いていた。この会議の正式名称は、「新型コロナウイルス患者の医療救急活動を強化することに関するテレビ電話会議」。主催したのは、同委員会の李斌副主任で、全国の衛生健康委員会や主要病院などと回線をつないで行った』、死者急増で火葬場に長い順番待ちができているというのと、「大本営発表」には余りに大きなギャップがある。
・『当局によってSNS上から削除された「極秘会議」の概要 この極秘会議の概要を、おそらく参加者の一人が、あまりにいたたまれなくなって、SNS上にアップした。それはほどなく、当局によって削除されたが、その前にかなり拡散しており、私もその内容を入手した。 私はその概要を読んで、2019年の大晦日に、湖北省の省都・武漢で、李文亮医師が世界に先駆けて、新型コロナウイルスの感染爆発を告発したことを思い出した。李医師は公安(警察)に出頭命令を受けて、「デマを流した」ことにされた。 そしてそれから1カ月余り後に、新型コロナウイルスの治療に当たっていて自らも感染し、34歳の若さでこの世を去った。今回、内部告発した中国人も、おそらく李文亮医師と同じ気持ちから行ったのだろう。以下に、その内容を訳す』、どんな内容なのだろう。
・『12月20日の新規感染者数、3699万6400人! <国家衛生健康委員会の馬暁偉主任は、次のような見解を示した。全国の防疫措置をさらに一歩、調整するにつれ、春節(2023年1月22日)の大移動と春節期間中、人々が大規模に流動するようになる。 おそらくさらに多くの地域で、ウイルスの蔓延は増加していくだろう。都市部と農村部の感染率が、ともに伸びていくことが見込まれる。 かつ農村部の医療体制は底が薄い。慢性病にかかった老人が多い。いったん感染が加速的に蔓延していけば、局面はさらに厳しいものとなるだろう。 全国31の省級行政地域の中で、北京市と四川省の感染状況が最も深刻で、それぞれ1位と2位だ。どちらも累計の感染率は、すでに50%を超えている。続いて、感染率が20%から50%の間が、深刻な順に、天津市、湖北省、河南省、湖南省、安徽省、甘粛省、河北省となっている。 12月20日の新規感染者数は、おそらく3699万6400人に上る。これは総人口の2.62%にあたる。18日よりも19日の方が、そして19日よりも20日の方が感染者数が増えている。 省別に言えば、20日の感染率が高かったベスト5は、四川省、安徽省、湖北省、上海市、湖南省の順だ。都市別で言うなら、トップ4都市は、成都市、蘭州市、合肥市、上海市の順だ。 累計の感染者数で言えば、2000万人を超えたのが、多い順に四川省、河南省、湖北省だ。1000万人から2000万人の間が、多い順に湖南省、河北省、広東省、北京市、安徽省、山東省だ。都市別に言えば、累計の感染者数が500万人を超えたのが、多い順に北京市、成都市、武漢市、天津市、鄭州市、重慶市だ』、「北京市と四川省の感染状況が最も深刻で・・・どちらも累計の感染率は、すでに50%を超えている」、「累計の感染率」の定義がよく分からないが、かなり高いことに驚かされる。
・『一部の都市ではピークアウトの兆しも見られるものの… このように現在、各地域のウイルスの蔓延状況は、比較的大きな差異がある。そしてウイルスが多発している地域は、「密集空間」という特徴がある。 中でも、北京市・天津市・河北省、四川省と重慶市、湖北省と湖南省、華中地域のウイルスの拡散が比較的早い。一方、長江三角州、珠江三角州、西北と東北地方のウイルスの流行は、相対的に緩慢だ。 北京市・天津市・河北省地域のウイルス状況は現在、「高止まりの流行」の段階だ。ただ北京市はすでにピークを過ぎ、ここ数日は「緩やかに下降」の態勢だ。 それでも日々、大量の新規感染者が出ている。加えて現在、重症者のピークを迎えている。そのため、医療救急治療サービスは大きなプレッシャーに直面している。 天津市は、いままさに流行のピークを迎えている。おそらくあと2日か3日で、山を越えるだろう。河北省は全体的に「ウイルスの拡散スピードが速く、感染者が急増」している。おそらくあと3日から5日で、ウイルスのピークを迎えるだろう』、流行にはサイクルがあるので、「ピーク」も何度も来るようだ。
・『医療逼迫 四川省と重慶市地域、湖北省と湖南省地域のウイルスの拡散は迅速だ。特に四川省全域でウイルスは急速に増えており、北京に次いで2番目に感染率が50%を超えた地域となった。成都市を含む多くの都市が同時に流行のピークを迎えており、全省の救急医療の圧力は大きい。 重慶市に至っては、市内の主要地域から遠く郊外へと、急速に広がりつつある。おそらくこれから一週間前後でウイルスのピークを迎えるだろう。 湖北省全省はまさに、ウイルス流行のピークを迎えている。直近の二日間は、感染の波が下向きの傾向を示した。 12月1日以降、中国の19省で累計1100例の感染者のウイルスのゲノムから、12種類の配列のオミクロン変異株が発見されている。主要な流行株は「BA.5.2」「BF.7」「BM.7」だ。 その中で、北京市、黒竜江省、貴州省、新疆ウイグル自治区では「BF.7」の比重が高い。その他の省ではすべて、「BA.5.2」の比重が高い。いまのところ拡散力、感染力、免疫逃避で具体的に明らかにこれまでとは異なる新たな変異株は発見されていない』、単に偶然見つからなかったに過ぎないのだろう。
・『猛烈な感染拡大で新たな変異株発生のリスクも増大 昨今、全国のウイルスは全体的に、加速的に広がっている段階にある。一日の新規感染者数も増え続けている。12月になってから、人々の累計の感染率は(全人口の)17%を超えた。おそらく12月下旬が、全国の多くの省で、引き続き感染のピークを迎えるだろう。 加えて、現在ウイルスが広がっている省では、現在もしくはこれから「省の中心都市から中小の都市や農村地域への広がり」が進んでいく状況にある。そしてウイルス流行のピークの1週間前後に、重症及び非重症患者のピークを迎える。 全国の各地域では確実に、流行のピークに対する応対準備の活動を強化し、ウイルスの流行の進み具合に応じて、全面的な医療救急治療など各種の準備活動を行っていかねばならない。 馬暁偉主任はこう総括した。各地域の病院は、大量の病人の面倒を看るにあたって、「病人が病院の前にいまにもやって来るのに、(一部の病院は)まだ粗暴な対処しかできていなかったり、逃避しようとしている」。どの病院もそれぞれの地域に置かれた病院として、「あれこれ考えずに、これはやらねばならない任務なのだ」として、早めに準備し、チャレンジに立ち向かうのだ> 以上である。「大本営発表」の感染者数とはゼロが4つも違う「阿鼻叫喚の世界」が広がっているのだ。大半の若者たちは、数日の高熱の後、回復に向かっているようだが、少なからぬ高齢者が犠牲になっているもようだ。ちなみに中国国家衛生健康委員会は、12月25日より、感染者数の「大本営発表」すらやめてしまった。 それにしても、一日に約3700万人もが感染したと衛生健康委員会が推定した12月21日、習近平主席はロシアからドーミトリー・メドベージェフ前大統領(統一ロシア党党首)を北京に招いて、会見した。その時の「満面の笑顔」が、CCTV(中国中央広播電視総台)のトップニュースで流されたが、「恐るべき鈍感力」の持ち主だと畏れ入ってしまった。 今後、何より恐ろしいのが、概要でも指摘されていた「新たな突然変異」である。これだけ同時期にウイルスが拡散すれば、当然ながら「新たな突然変異」が起こる確率も高まってくる。 私たちはコロナウイルスを、「もはやカゼのようなもの」と認識し始めているが、とてつもなく深刻なウイルスに変異するかもしれないということだ。その意味で、いま中国で起きている惨事は、日本人にとっても他人事ではない』、「これだけ同時期にウイルスが拡散すれば、当然ながら「新たな突然変異」が起こる確率も高まってくる。 私たちはコロナウイルスを、「もはやカゼのようなもの」と認識し始めているが、とてつもなく深刻なウイルスに変異するかもしれないということだ。その意味で、いま中国で起きている惨事は、日本人にとっても他人事ではない」、その通りだ。
次に、12月28日付けJBPressが掲載した在英ジャーナリストの木村 正人氏による「長すぎたゼロコロナでワクチンの効果激減、中国の感染爆発の本番はこれから なぜ中国の習近平国家主席のゼロコロナ政策は破綻したのか」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73295
・『中国各地でゼロコロナ政策に反対する抗議デモが続発したことを受け、行動制限を緩和した中国の習近平国家主席が感染の急拡大に苦しめられている。英国の医療系調査会社エアフィニティは「現在、われわれのモデルでは1日当たりの感染者が100万人、死者は5000人を超えている恐れがある」との推計を12月21日に発表した。 直近の1週間で感染者数は1800人、死者はわずか7人(そのあと1人削除)という中国の“大本営発表”とは非常に大きな開きがある。エアフィニティのモデルでは新年1月に最初のピークを迎え、1日当たりの感染者は北京や広東省を中心に370万人、第二のピークとなる同年3月には他の地域にも広がり420万人に達すると予測している。 (中国におけるゼロコロナ政策転換後の感染者予測(英国の医療系調査会社エアフィニティの発表 はリンク先参照) エアフィニティのワクチン・疫学部長ルイーズ・ブレア博士はこう指摘している。「中国は集団検査を中止するとともに、無症状の感染者を報告しなくなっている。この組み合わせは公式データが中国全土で発生している感染の流行を正確に反映しているとは考えにくいことを意味している」 「中国はコロナ死者数の記録方式も変更し、陽性反応後に呼吸不全または肺炎で死亡した人のみを記録するようになった。これは陽性反応から一定期間内の死亡や、死因がコロナに起因していた場合にカウントする他の国の方式とは異なる。この変更により中国で報告される死者数の程度が過小評価されてしまう恐れがある」(ブレア博士)』、「中国はコロナ死者数の記録方式も変更」、「中国で報告される死者数の程度が過小評価されてしまう恐れ」、中国の「大本営発表」は何でもありのようだ。
・『「ゼロコロナ政策終了なら130万~210万人死亡」 英国家統計局(ONS)のデータから年齢、基礎疾患別の死者を見てみよう。年齢層別のコロナ死者の割合は85歳以上が40%、75~84歳が29%、65~74歳が17%、55~64歳が9%、45~54歳が4%、25~44歳が2%となっている。新型コロナウイルスが変異して弱毒化しても、基礎疾患を持っていることが多い高齢者の死亡率がずば抜けて高いことが分かる。) 基礎疾患別にみると、不定愁訴(原因ははっきりとは分からないが、体調が悪い状態)が27%、慢性下気道疾患が16%、泌尿器系の疾患15%、認知症およびアルツハイマー病14%、糖尿病13%、心不全および合併症と定義が不明確な心臓病13%、虚血性心疾患12%、高血圧性疾患10%、不整脈9%、脳血管障害6%。基礎疾患のない死亡例は13%だった。 コロナに感染した状態で死亡した人をコロナ死者として計上した英国や米国では膨大な死者を数えた。新型コロナウイルス変異株のオミクロン株は肺に与える影響が他の株に比べて小さい。さらに呼吸不全が直接の原因で死亡した感染者に数を限定すると統計上、コロナ死者の数を小さく抑えることができる半面、本当の被害を覆い隠してしまう恐れがある。 エアフィニティは11月にも「中国がゼロコロナ政策を終了した場合、低いワクチン接種率とブースター率、ハイブリッド免疫(感染とワクチン接種の両方)の欠如により、130万~210万人の命が危険にさらされる恐れがある」と警鐘を鳴らしている。中国では国産ワクチンが接種されたが、感染や死亡に対する防御力が低いことが明らかになっている。中国・シノバック製のワクチンを接種しても米欧のmRNAワクチンの接種者よりも3倍重症化しやすいという』、「エアフィニティは11月にも「中国がゼロコロナ政策を終了した場合、低いワクチン接種率とブースター率、ハイブリッド免疫(感染とワクチン接種の両方)の欠如により、130万~210万人の命が危険にさらされる恐れがある」と警鐘」、「中国・シノバック製のワクチンを接種しても米欧のmRNAワクチンの接種者よりも3倍重症化しやすい」、中国の「コロナ対応」の遅れは致命的だ。
・『米欧はワクチン接種後の集団感染でハイブリッド免疫(注)を獲得 エアフィニティによると、ワクチンによる免疫力は時間とともに低下する。中国ではブースター接種率が低く、ゼロコロナ政策で自然感染もしなかったため重症化しやすい。80歳以上のブースター接種率は40%。中国で感染が拡大した場合、1億6700万~2億7900万人の感染者が発生し、130万~210万人が死亡、医療システムは限界に達する恐れがあるという。 「高齢者人口を考えると、免疫力を高めるためワクチン接種を強化することが不可欠だ。将来の感染の波に対する抵抗力を強めるハイブリッド免疫を獲得することが必要だ。他の国や地域でも有効であることが証明されている。米欧では接種後の集団感染でハイブリッド免疫が形成され、感染拡大による影響を小さく抑えることができた」(前出のブレア博士)) 米保健指標評価研究所(IHME)は「中国では今後数カ月で大規模なオミクロン株の感染が起きる。新年4月ごろピークを迎え、総死者数は32万3000人と推定される。その後も感染しやすい人口は維持される。中国で使用されている国産ワクチンのオミクロン株に対する効果は比較的低く、人口の8割が感染しやすい状態だ」と警戒を呼びかけている。 中国の国産ワクチンのシノバックやシノファームは米欧のmRNAワクチンに比べ効果が低い。抗ウイルス剤も普及していない。ゼロコロナ政策を解除すれば80歳以上の死者数が大幅に増え、新年の死者数は100万人をはるかに上回る恐れがある。mRNAワクチンに切り替えるとともに高齢者のワクチン接種率を上げ、抗ウイルス剤を使えるようにする必要がある』、「中国の国産ワクチンのシノバックやシノファームは米欧のmRNAワクチンに比べ効果が低い。抗ウイルス剤も普及していない。ゼロコロナ政策を解除すれば80歳以上の死者数が大幅に増え、新年の死者数は100万人をはるかに上回る恐れがある」、恐ろしいことだ。
(注)ハイブリッド免疫:ワクチンと感染の両方による免疫を海外ではハイブリッド免疫と呼ぶ(日経新聞)。集団免疫とも呼ばれる
・『コロナ、インフルエンザ、RSウイルスの「トリプルデミック」の恐れも これまで中国はゼロコロナ政策で感染爆発を回避してきたため、国民は感染しやすい状態にある。感染率が高ければ高いほど、新型株が発生する確率は高くなる。IHMEのモデルでは流行は新年1月中旬に始まるため、地方政府は病院の支援策を講じ、社会的距離政策やマスクの義務付けを再実施し、感染を遅らせる対策をとらなければならないという。 米国ではコロナ、インフルエンザ、RSウイルスの「トリプルデミック(三大流行)」が医療現場の病床を逼迫させており、中国も同じように「トリプルデミック」に直撃される恐れがあるという。中国当局は景気と学校教育への影響と、80歳以上の死亡のバランスをとる難しい選択を迫られることになるとIHMEは分析している。) 中国のソーシャルメディアでは「国家衛生健康委員会議事録」が出回り、それによると中国では12月20日の新規感染者数が3700万人にのぼり、同月1~20日までの累積感染者数が2億4800万人に達したという。“大本営発表”では同月1~22日の累積感染者数は約28万4700人とされ、大きな食い違いが生じている。 英イースト・アングリア大学医学部のポール・ハンター教授はこう指摘する。「中国は現在、明らかに非常に困難な状況にある。すべての国でコロナ規制を終了すると感染が急増した。これは避けられないことだ。ワクチン接種も自然感染も数カ月以上の防御を与えないことが分かっている。しかし重症化(呼吸困難、入院、死亡)に対する免疫はある程度長く続く」』、「中国のソーシャルメディアでは「国家衛生健康委員会議事録」が出回り、それによると中国では12月20日の新規感染者数が3700万人にのぼり、同月1~20日までの累積感染者数が2億4800万人に達したという。“大本営発表”では同月1~22日の累積感染者数は約28万4700人とされ、大きな食い違いが生じている」、こんな「“大本営発表”」では、中国国民も信じなくなるだろう。「ワクチン接種も自然感染も数カ月以上の防御を与えないことが分かっている。しかし重症化(呼吸困難、入院、死亡)に対する免疫はある程度長く続く」、なるほど。
・『英専門家「中国の問題はコロナ規制の解除が早すぎたことではない」 ハンター教授は続ける。「ワクチン接種後の免疫(50%以上の人)はおそらく1年程度だが、自然感染でやや長くなり、ハイブリッド免疫ではさらに長くなる。ハイブリッド免疫は少なくとも数年間は重症化に対する良好な予防効果を発揮する。中国では2月ごろからワクチン接種をほとんど行っていないため、感染に対する防御はほとんど失われている」 中国の人々は最近まであまり感染してこなかったので、ハイブリッド免疫を持っている人は非常に少ない。重症化に対する免疫も失われている。感染が拡大した米欧ではほとんどの人がハイブリッド免疫を持っているため、感染による死亡率は1年前よりはるかに低くなっている。一方で中国では高齢者のワクチン接種が若者に比べて遅れていると報じられる。) 「中国でのコロナ致死率がどの程度なのか現状では分からない。公表されているデータでは死者はほとんどいないようだが、多数の死者が出ているとの報道と矛盾する。現在、中国で何が起きているのか、統計の信頼性はどうなのか、全くわからない」とハンター教授は首を傾げた。 「中国の問題はコロナ規制の解除が早すぎたからではなく、ワクチン接種後のゼロコロナ政策が長すぎたため、ワクチン接種の予防効果がほとんどなくなってしまったことにある。ニュージーランドはワクチン接種後すぐに制限を解除し、予想通り感染者が急増したにもかかわらず、死者はほとんど出なかった」』、「「中国の問題はコロナ規制の解除が早すぎたからではなく、ワクチン接種後のゼロコロナ政策が長すぎたため、ワクチン接種の予防効果がほとんどなくなってしまったことにある」、なるほど。
・『ウィズコロナ政策に転換するタイミング ハンター教授は世界保健機関(WHO)緊急事態対応責任者マイク・ライアン氏と同じように「ゼロコロナ政策が転換されたからではなく、規制が解除される以前から感染は猛烈に広がっていた」との見方を示した。ゼロコロナ政策で感染を食い止めることができなかったため、ゼロコロナは最善の選択ではないと判断して習氏は政策を転換したというわけだ。 ワクチンの集団接種で社会全体に「免疫の丘」を築いたあと、ゼロコロナではなくウィズコロナ政策への転換を唱えたハンター教授はロックダウン(都市封鎖)支持派から罵詈雑言を浴びせられた。効果的なワクチンで社会全体の免疫が高まっている時にわざわざ都市封鎖をする必要はないと主張した。この決断のおかげでハイブリッド免疫を獲得することができた。 「コロナは永遠に続くのだから、パンデミックは終わらない。私たちの孫の孫が感染することになる。しかし少なくとも米欧では感染の波が来るたびに、医療サービスへの影響が小さくなっている。中国の現在の状況が他の多くの国々に大きなリスクをもたらすとは思えない。 他の国はハイブリッド免疫を持っているのだから」とハンター教授は断言した。 英国の死者は21万人超。米国は約111万6000人。一方、ゼロコロナ政策を続けてきた中国の死者は“大本営発表”で5240人超。効果に限りのある国産ワクチンに見切りをつけ、米欧のmRNAワクチンに切り替えて再び集団接種を急ぎ、ウィズコロナ政策に転換できるのか。中国は14億人と人口が多いだけに死者も大きく膨らむ恐れがある』、「米欧のmRNAワクチンに切り替えて再び集団接種を急ぎ」、現在のところ「国産ワクチン」にこだわっているようなので、「ウィズコロナ政策に転換」は容易ではなさそうだ。
第三に、本年1月10日付け現代ビジネスが掲載した『週刊現代』特別編集委員・『現代ビジネス』編集次長の近藤 大介氏による「春節を控えた中国で再び“コロナ感染爆発”が起こっている「2つの根本的原因」 なぜ今「ゼロコロナ政策」をやめたのか」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/104472?imp=0
・『「民族大移動」の季節 1月22日、中国は春節(旧正月)を迎える。14億中国人は、1月1日の元日を「単なる一休日」としか見なしていない。春節こそが、絶対的に故郷で親族と過ごすべき「最重要の祝日」である。 中国政府の予測では、今年の春節期間(前後を含めた40日間)、延べ20億9500万人の「民族大移動」になる見込みだという。これは、「コロナ前」の2019年の延べ29億8000万人の約7割にあたる。すでに7日から、鉄道や航空などで、「春運」(チュンユン)と呼ばれる春節の帰省ラッシュが始まった。 「春運」で恐れられているのが、現在、都市部で猛威を振るっているコロナウイルスが、農村部にも拡散し、いよいよ「全民感染」の状態になることだ。 当然ながら農村部は都市部と較べて、医療体制が整っていない。かつ高齢者の住民が多いので、彼らが重症化して多数の死者を出すことも考えられる。すでに都市部では、火葬場に人々が殺到し、どこも機能不全に陥っている。 だがそれでも、最悪のコロナ禍の中で、「春運」は始まった……。 中国で、なぜいま再びコロナウイルスが猛威を振るっているのか。現地での個々の現象については、すでに様々な報道があるので重複しないが、その根本的原因とも言える中国の政治システムの「欠陥」について指摘しておきたい。 中国の政治システムには、少なくとも二つの大きな「欠陥」がある。一つは時期的なもので、もう一つは普遍的なものだ』、「中国の政治システム」には「少なくとも二つの大きな「欠陥」がある。一つは時期的なもので、もう一つは普遍的なものだ」、なるほど。
・『5年に一度の「空白の5ヵ月」 まず前者から述べる。 中国の政治は、憲法前文などが法的根拠となり、「共産党が政府を指導する」システムである。具体的には、5年に一度、秋に共産党大会を開催し、その人事と方針に基づいて、翌年3月に新政府が発足する。そして新政府が5年間、行政を司っていくというものだ。 ところがこのシステムを進めると、5年に一度、「陥穽(かんせい)」が生まれる。「空白の数ヵ月」と言ってもよい。 つまり、秋に共産党大会で新たな人事と方針が決まっても、それを実行していく新政府は、翌年3月にならないと発足しないのだ。それまでは「旧政府」が継続して行っていくことになる。 特に、10年に一度、政権が代わる時が要注意である。巨大な官僚機構から見ると、新しいボスは3月にならないとやって来ない。それまでは以前からのボスたちが司っているが、彼らは3月には去っていく。そのため万事「後ろ向き」で、「膨大な不作為」が起こるのである。 つまり、諸政策が停滞する。そしてそうした中から、「重大な危機」が起こるというわけだ。 一例を示そう。2002年11月に第16回共産党大会が開かれて、江沢民総書記から胡錦濤総書記にバトンタッチされた。しかし胡錦濤政権が発足したのは2003年3月で、その間に「空白の4ヵ月」が生まれた。その時起こったのが、SARS(重症急性呼吸器症候群)だった。 突如発生した未知のウイルスに対して、時の江沢民政権は有効な手立てを打てないまま、2003年3月に胡錦濤政権にバトンタッチした。その結果、新政権発足が華々しく行われた北京は、SARSが蔓延して修羅場と化した。 最終的には、中国を中心に8096人の感染者が報告され、うち774人が死亡したのだった。いまの新型コロナウイルスに較べれば小規模に思えるかもしれないが、感染者の1割近くが死亡するという点では、SARSの方が恐ろしかったとも言える。 ともあれ、それから20年を経た現在も、「空白の5ヵ月」の真っただ中なのである。本来なら、「2期10年」で引退すべき習近平総書記が、昨年10月の第20回共産党大会で、トップの座に居座った。しかも、序列2位の李克強首相を始めとする「気に入らない幹部たち」を、あまねく蹴散らしてしまった。それでも蹴散らされた面々は、3月まで残っているのだ。 こうした「変則形」は、巨大な官僚組織に、とてつもない「停滞」をもたらしている。国務院(中央政府)の「本丸」からして、李克強首相は共産党大会で「否定」されたのにまだ残っていて、代わって「肯定」された李強新首相が就くのは3月だ。そのため部下たちは、いま李克強首相に従えば、3月に李強新首相に蹴飛ばされると思うから、戦々恐々と委縮している。 そうした巨大な官僚機構の機能不全の中で起こっているのが、いまの中国の新型コロナウイルス騒動なのである。そのため、中国政府が万事、適正な政策を講じられるはずもないのだ』、「10年に一度、政権が代わる時が要注意である。巨大な官僚機構から見ると、新しいボスは3月にならないとやって来ない。それまでは以前からのボスたちが司っているが、彼らは3月には去っていく。そのため万事「後ろ向き」で、「膨大な不作為」が起こるのである。 つまり、諸政策が停滞する」、「国務院(中央政府)の「本丸」からして、李克強首相は共産党大会で「否定」されたのにまだ残っていて、代わって「肯定」された李強新首相が就くのは3月だ。そのため部下たちは、いま李克強首相に従えば、3月に李強新首相に蹴飛ばされると思うから、戦々恐々と委縮している。 そうした巨大な官僚機構の機能不全の中で起こっているのが、いまの中国の新型コロナウイルス騒動なのである。そのため、中国政府が万事、適正な政策を講じられるはずもないのだ」、その通りだ。
・『すでに14億中国人の過半数が感染 中国は、それまで3年近く続けてきた「ゼロコロナ政策」を転換するにあたって、ウイルスの急激な蔓延と、それに伴う影響などについて、適切な措置を取るよう準備していなかった。「空白の5ヵ月」にあたるため、「誰も責任を取らない状況」だったのだ。1月8日からは、新型コロナウイルスは「乙類乙管」という、それまでより低レベルの感染症に切り替えられた。 こうしたことによって「全民感染」という状況を引き起こした。中国では「津波」にたとえられている。はっきり統計を取っていないので実数は不明だが、すでに14億中国人の過半数が感染したとも言われる。 おそらく多数の重症化した高齢者が、死亡していることだろう。「おそらく」というのは、圧倒的多数のコロナウイルスによる死者が、「別の要因」をつけて葬られているため、実態が掴みきれないからだ。 昨年12月20日から、コロナウイルスによって心臓、脳、血管などに障害が起こって死亡した場合は、「コロナウイルスによる死亡」とはしないと定めた。ちなみに、国家衛生健康委員会が発表した1月7日の新規感染者数は7074人で、死者は2人である。 こうした状況に、憤りを隠せない現場の医師も多い。上海のある医師は、1月6日にSNSにこんな投稿をした。 〈 本来ならこんな文章を発表したくはない。だがあれこれ迷った末に、やはり出すことにした。(この文章を題材に)討論したり憤ったりすることを歓迎する。 私は上海で仕事をしていて、最近は大量の新型コロナウイルスの患者が入院しに来る。その中の少なからぬ人々に対して、病院側は新型コロナウイルスの患者と診断するなと言ってくる。 病人は咳(せき)と発熱で入院している。PCR検査をしたら陽性だった。胸部のCTスキャン検査をしたら肺に炎症を起こしている。入院後も肺の症状が悪化し、家族が延命措置を拒否したため、最後は血圧や心拍数が下がるなどして死亡した。 私は死亡通知書に、「死亡の原因は重症化した肺炎で、そこに至ったのは新型コロナウイルスのせいだった」と書いた。すると翌日、病院側から電話が来て、「死亡原因を変更するように」と言われた。「では何と書けばいいのか?」と聞いたら、向こうも押し黙ってしまった。 私は問いたい。一体なぜなのか? なぜ新型コロナウイルスにかかって死亡したと書いてはいけないのか? 患者の家族に対して、もうこれ以上の書き換えはしたくない 〉 まさに、「無理が通れば道理が引っ込む」というわけだ。この医者の投稿は瞬く間に削除されたが、多くの人々に回覧され、共感が広がった。 ともあれ、「空白の5ヵ月」の間、適切な政策が臨機応変に打てないことが、中国の政治システムの「時期的な欠陥」である。こうした状況が、春節を挟んであと2ヵ月ほど続くことになる』、「「空白の5ヵ月」の間、適切な政策が臨機応変に打てないことが、中国の政治システムの「時期的な欠陥」である。こうした状況が、春節を挟んであと2ヵ月ほど続くことになる」、やれやれだ。
・『「2023年世界の10大リスク」第2位 もう一つの中国の政治システムの「普遍的な欠陥」とは、先の第20回共産党大会によって、習近平総書記という今年、古稀を迎える高齢の政治家に、権力が集中してしまったことである。 このことは、アメリカで地政学を研究する著名な民間組織「ユーラシア・グループ」が、「2023年世界の10大リスク」の第2位に挙げている。ちなみに第1位は、「ならず者ロシア」だ。 以下、ユーラシア・グループの発表を引用する。 〈 リスクNo.2 「絶対的権力者」習近平 中国の習近平国家主席(共産党総書記)は2022年10月の第20回党大会で、毛沢東以来の比類なき存在となった。 共産党の政治局常務委員を忠実な部下で固め、国家主義、民族主義の政策課題を事実上自由に追求することができる。しかし、彼を制約するチェック・アンド・バランスがほとんどなく、異議を唱えられることもないため、大きな誤りを犯す可能性も一気に大きくなった。 習近平の中国では、恣意的な決定、政策の不安定さ、不確実性の増大が常態化することになる。国家資本主義の独裁国家が世界経済でこれほど大きな位置を占めるという前例のない現実を考えると、このグローバルで巨大な問題は過小評価されている…… 〉 一人に権力が集中することは、物事の決定を早めるというメリットもありそうだが、実際はそうなっていない。そもそも、これだけ複雑化している世の中で、森羅万象を一人で決めることなど、神でもなければ不可能だ。しかも小国ならまだしも、中国は14億という世界最大の人口大国なのだ。 ユーラシア・グループは、「習近平主席が犯した不手際」の例として、やはりコロナ対策を挙げている。 〈 昨年、私たちは中国がゼロコロナの罠に自らはまったと警告したが、残念ながらその通りであった。習近平は高品質の外国製mRNAワクチンを拒否し、国産ワクチンの接種率も不十分だった。中国国民は重症化しやすく、突然のゼロコロナ政策からの転換は致命的となった。(中略) わずか数週間前、習近平は2年以上前にゼロコロナ政策を開始した際と同様、恣意的な方法で同政策を終了させた。高齢者のワクチン接種率が低いにもかかわらず、市民や地方政府に警告することもなく、その結果発生する集団感染に対処する十分な準備もないまま、すべての制限を解除してウイルスを野放しにするという彼の即断により、100万人以上の中国人が死ぬことになるだろう(ほとんどはコロナによる死者と報告されないだろうが)。 このような途方もない、そして巨大なコストのUターンを実行できるのは、無敵の権力を持つ指導者だけである 〉 読んでいて、いずれも納得のいく指摘である。ちなみに先日、中国外交部の関係者と雑談していたら、外交部の退職者だけで、すでに50人以上「急死」していて、そのリストが回覧されているのだとか』、「習近平の中国では、恣意的な決定、政策の不安定さ、不確実性の増大が常態化することになる。国家資本主義の独裁国家が世界経済でこれほど大きな位置を占めるという前例のない現実を考えると、このグローバルで巨大な問題は過小評価されている……」、「ゼロコロナ政策を開始した際と同様、恣意的な方法で同政策を終了させた。高齢者のワクチン接種率が低いにもかかわらず、市民や地方政府に警告することもなく、その結果発生する集団感染に対処する十分な準備もないまま、すべての制限を解除してウイルスを野放しにするという彼の即断により、100万人以上の中国人が死ぬことになるだろう」、全く酷い話だ。
・『中国国内で噂される「4つの説」 それでは、習近平主席は昨年末になぜ突然、あれほど固執していた「ゼロコロナ政策」を放棄したのか? これには中国国内で、4つの説が噂されている。いずれも噂の域を出ないが、一応、列挙しておく。 【1.経済悪化深刻説】(昨年3月5日、全国人民代表大会の初日に、李克強首相が「今年は5.5%前後の経済成長を達成する」と華々しく述べた。ところが、「ゼロコロナ政策」が足を引っ張り、2022年の中国経済は悪化する一方だ。 足元で、第3四半期までの経済成長率3.0%、11月の輸出は前年同期比-8.7%、輸入は-10.6%、小売売上高(消費)は-5.9%、10月の若年層(16歳~24歳)失業率は17.9%……。 このままでは政府が掲げる「復工復産」(仕事と生産の復活)は厳しいと判断し、「ゼロコロナ政策」に終止符を打った。 【2.「白紙運動」影響説】(昨年11月24日に、新疆ウイルグル自治区の中心都市ウルムチで、マンション火災が発生。極端な「ゼロコロナ政策」によって住民が逃げ遅れたり、消防隊が駆けつけられなかったりして、10人が死亡した。 この事件の実態がSNSで拡散されたことで、中国各地の大学や市街地などで、いわゆる「白紙運動」が起こった。若者たちが白紙の紙をかざして、「習近平下台!」(習近平は退陣せよ)「共産党下台!」(共産党は退陣せよ!)などと叫んで抗議する様子は、日本でも広く報道された。 このように、あからさまに共産党や最高指導者を非難するデモが中国で発生したのは、1989年の天安門事件以来、33年ぶりのことだった。習近平総書記としては、10月に第20回共産党大会を開いて、異例の「総書記3期目」を確定させたばかりというのに、その威信にすっかり傷がついてしまった。 中国の若者たちが、ここまで怒りを爆発させたのは、中国がいつまでも理不尽極まりない「ゼロコロナ政策」を続けていたからだった。しかも、このままでは、習近平指導部としては望まない若者たちとの全面対決になるリスクがあった。 そこで、ひとまず「ゼロコロナ政策」の看板を一気に下ろして、国内的な宥和を図ろうとした。 【3.習近平主席感染説】(昨年11月18日と19日、タイのバンコクでAPEC(アジア太平洋経済協力会議)が開かれ、習近平主席も参加した。その中で習主席は19日、自らが昨年7月1日に任命した李家超香港行政長官と会談した。二人はマスクをつけずに握手を交わし、近距離で比較的長時間、話し込んだ。 その翌日に李家超長官が香港に戻った時、空港でPCR検査を受けたところ、コロナに感染していることが判明した。おそらく李長官は、自らが感染したこと以上に、畏れ多い習近平主席に移してしまったのではないかということを懸念したに違いない。何せ自分を香港トップに押し上げてくれた恩人なのだ。 だがやはり、習近平主席に感染していた。ただちに「中南海」(最高幹部の職住地)で緊急医療体制が組まれ、習主席は隔離静養生活に入った。 実際、19日の晩にバンコクから帰国して以降、25日にキューバのディアス・カネル主席と人民大会堂で会談するまで、丸5日間も公の場に姿を現さなかった。こうしたことは極めて異例だ。 ところが、習主席はほぼ無症状だった。「なんだ、コロナって、こんなものか」。それで習主席は、「ゼロコロナ政策」の解除を決断した。 【4.WHO圧力説】(WHO(世界保健機関)のテドロス・アダノム事務局長は、「習近平主席の盟友」とも揶揄されているが、昨年来、中国の極端な「ゼロコロナ政策」に頭を悩ませていた。そこでコロナ対策に関して、世界と足並みを揃えるよう、中国に何度も要請してきたが、馬耳東風だった。 WHOは昨年秋、中国が今後とも極端な「ゼロコロナ政策」を継続するならば、世界から中国だけを切り離して、2023年以降のコロナ対策を実行していくと、最終通告を出した。中国が一番恐れるのは、中国を除外することによって、台湾を加盟させたり、オブザーバーとして迎え入れたりすることだ。そこで渋々、「ゼロコロナ政策」に終止符を打った。 重ねて言うが、これ4説は、いずれも噂の域を出ておらず、何ら確証を得られたものではない。だが1月8日、中国は完全に「ゼロコロナ政策」と決別した』、4要因いずれも、当てはまりそうだ。
・『より深刻な新型が出現した場合 今後の展開だが、前述の「ユーラシア・グループ」が、こんな警鐘を鳴らしていることを、おしまいに紹介しておこう。 〈 もしコロナに深刻な新型が出現した場合、習近平の存在が理由で、中国国内外に広く拡散する可能性が高くなる。 中国は検査やゲノム解析に力を入れていないため、新型のウイルスを特定することができないだろう。医療制度が貧弱すぎるため、感染症が変化してより深刻になっていても気づくことができない。 これまでの習近平の透明性のなさから考えると、強力な変異体のニュースを公表することもできないだろう。世界はより致命的なウイルスに備えるための時間をほとんど、あるいは全く持てないだろう 〉』、「中国は検査やゲノム解析に力を入れていないため、新型のウイルスを特定することができないだろう。医療制度が貧弱すぎるため、感染症が変化してより深刻になっていても気づくことができない。 これまでの習近平の透明性のなさから考えると、強力な変異体のニュースを公表することもできないだろう。世界はより致命的なウイルスに備えるための時間をほとんど、あるいは全く持てないだろう」、中国を完全に切り離すことは不可能だ。現在でも、日韓両政府の水際対策強化に対し、中国側は理不尽な言いがかりをつけてきた。困ったことだ。