ビッグモーター(その1)(《「やってもーたー」と嗤っている場合でもない》BMを中心とする中古車と損保の問題はどう着地させるべきか、まさかの生き残り計画も…四面楚歌BMに数百億円貸している"メガバンク"が悶絶する大人の事情 生殺与奪の権を持つ三井住友 広島 三菱UFJ みずほ 中国は融資するのか、《ルールや方針が「BM化」》中古車販売業界第2位「ネクステージ」の不正を現役社員、元社員が続々告発!「BMよりエグい」「わざとタイヤをパンクさせて…」、BM買収に伊藤忠が意欲「最高年収5000万円」超高待遇社員はど [企業経営]
ビッグモーター(以下BM)については、ある程度、記事が出てきたので、取上げることにした。今日は、(その1)(《「やってもーたー」と嗤っている場合でもない》BMを中心とする中古車と損保の問題はどう着地させるべきか、まさかの生き残り計画も…四面楚歌BMに数百億円貸している"メガバンク"が悶絶する大人の事情 生殺与奪の権を持つ三井住友 広島 三菱UFJ みずほ 中国は融資するのか、《ルールや方針が「BM化」》中古車販売業界第2位「ネクステージ」の不正を現役社員、元社員が続々告発!「BMよりエグい」「わざとタイヤをパンクさせて…」、BM買収に伊藤忠が意欲「最高年収5000万円」超高待遇社員はどうなる?大損もあり得る5大リスクとは)である。
先ずは、本年7月28日付け文春オンライン「《「やってもーたー」と嗤っている場合でもない》BMを中心とする中古車と損保の問題はどう着地させるべきか」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/64656
・『街路樹も枯れる勢いで急成長した俺たちのBM社が、ついに公式の記者会見に追い込まれてしまいました。創業者で代表取締役社長であった兼重宏行さんが、一連の騒動の責任を取って辞任。新たに就任した経営者が国土交通省の聞き取り調査にようやく応じたという流れになったようです。 また損保大手3社のうち、出向者を出しBM社経由の大口保険獲得をしたと見られる損保ジャパンも金融庁に本件絡みで虚偽の報告をしていたことが判明したことで、こりゃもう業務改善命令ではなく業務停止命令待ったなしだよねという流れになっていますね。謹慎ではなく切腹でお願いします』、興味深そうだ。
・『中古車流通大手が民間車検制度を悪用することの影響 事件の経緯は、いままでさんざんBM社からの広告で潤ってきたマスコミが盛大に手のひら返しをしている実況生中継が行われておりますので、皆さん各自、その辺を見ておいていただければと存じます。 大変な大騒ぎになり収まる気配もないわけですけれども、それもそのはず、国民にとって自動車は文字通り移動の足であり、その中古車流通大手のBM社が事故車両に関して保険金の不正請求をしたり、民間車検制度を悪用したりすれば、自動車(モビリティ)行政の根幹の信頼が揺らぐことを意味します。騒いで騒ぎ足りないってことは本件については無いのかなとすら思います。ええじゃないか』、不祥事のオンパレードなので、「騒いで騒ぎ足りないってことは・・・無い」。
・『「遅刻で1000円」「殺すぞ」BM“地獄職場” どんなに慎重で上手なドライバーでも車を運転していれば事故ることは確率的には必ず発生する以上、何事が起きても自身の支払い能力を超えて賠償しなければならなくなる危険を考えて損害保険の一種である自動車保険に入ることは各都道府県で義務化が進んでいます。最近では、チャリも自転車保険加入を義務付けする県も出るぐらい、事故に対する被害者への弁済・補償はマストの世界になってきています』、任意保険の付保も広がっている。
・『みんな癒着があったとは知らずに損保会社の入庫誘導に従っていた ただ、万が一事故を起こした際に、自分の自動車も含めて発生する事故対応や損害の弁済・補償に対し、損害保険の事故査定はドライバーが誰であれプロに任せざるを得ません。そこへ、今回は事故評価をする保険会社から強く斡旋(入庫誘導)されるBM社の板金部門や工場・営業所と内々で癒着があれば、事故を起こした当人がそれが妥当な事故査定なのかは分からないことになります。 つまり、損保ジャパンなど損保会社とBM社など事業者との間には、そもそも明確な利益相反の関係があるはずなのです。うっかり多額の保険金を被保険者に払いたくない損保会社と、本来は職業倫理に基づいてシビアかつ公正に事故車の査定を行う、麗しいプロ同士の緊張感ある本番勝負があると信じるから、みんな癒着があったとは知らずに損保会社の入庫誘導に従っていたわけですよ。まさにプロの世界、秘密の花園、サンクチュアリ(聖域)であります。) しかし、何でお前らつるんでるのと言われれば、損保会社は新たな契約をBM社経由で獲得するために自社の事故案件では事故査定などをBM社で行うよう事故を起こした本人に強く要望し、その本人の車には「ここ壊れてたっス」とわざと傷をつけたりパンクさせたりするなどの鬼ヤバ査定を行い、さらにその本人に新たに「損保ジャパンの自動車保険どうスか」とお薦めするなどの癒着具合があったのだとするならば最悪です。事故を起こしたって、日々の生活をするのに車は必要ですから、どうせ車を使わないといけない契約者からすればしぶしぶでも従わざるを得ません。 こうなってしまうと、素人はただただシャブられる話ですよね』、「損保ジャパンなど損保会社とBM社など事業者との間には、そもそも明確な利益相反の関係があるはずなのです・・・麗しいプロ同士の緊張感ある本番勝負があると信じるから、みんな癒着があったとは知らずに損保会社の入庫誘導に従っていたわけですよ・・・損保会社は新たな契約をBM社経由で獲得するために自社の事故案件では事故査定などをBM社で行うよう事故を起こした本人に強く要望し、その本人の車には「ここ壊れてたっス」とわざと傷をつけたりパンクさせたりするなどの鬼ヤバ査定を行い、さらにその本人に新たに「損保ジャパンの自動車保険どうスか」とお薦めするなどの癒着具合があったのだとするならば最悪です」、なるほど。
・『過去に車検不正で行政処分を受けたことも さらには、事故を起こしているわけですから、その本人は保険等級が上がってしまい、毎月の保険料は高額になってしまいます。美味しい商売になっておったわけですよ。そりゃ急成長もしますって。 実に踏んだり蹴ったりですが、そんなBM社は保険金の不正請求と並んで民間車検制度でも問題を起こしていました。全国各地に自動車整備士を多数抱えており、23年3月には熊本県で、同6月には栃木県で不正車検が行われていたことが発覚したのです。 BMなど自動車販売店における車検は、公道を走る車両の安全性を確保する目的で国が行うべき業務を民間企業が委託を請け代行するものであって、販売店には「指定工場」として、また自動車整備士には「自動車検査員」の資格が国から与えられています。今回の不正請求事件で大騒動になる前に、車検不正の舞台となったBM南宇都宮店は関東運輸局により、指定自動車整備事業指定取り消しの行政処分をしめやかに受けています。 これらは、自動車やバスなどを扱うモビリティ関連行政そのものの根幹を担う民間車検制度をも大きく揺るがす問題の入り口だったのであって、これらの監督官庁である国土交通省からすれば、まさに一丁目一番地、やるべき行政対応の本丸とも言える大事な分野で起きた大変な事態であると言えます』、「BM社は保険金の不正請求と並んで民間車検制度でも問題を起こしていました。全国各地に自動車整備士を多数抱えており、23年3月には熊本県で、同6月には栃木県で不正車検が行われていたことが発覚した・・・民間車検制度をも大きく揺るがす問題の入り口だったのであって、これらの監督官庁である国土交通省からすれば、まさに一丁目一番地、やるべき行政対応の本丸とも言える大事な分野で起きた大変な事態である」、なるほど。
・『他の会社でも類似の不正が芋づる式に発覚 そこへ、同じく便利な自動車には残念ながら付き物の事故対応において、前述の通り損害保険(自動車保険)においても完全な利益相反による癒着が発生し、国民の足である自動車が割と雑な感じで業界大手の食い物にされていたというのはかなりの衝撃となっておるわけです。 そればかりか、一連のBM問題が世間的に着火すると、BM社だけでなく、ほかの中古車販売大手でもほぼ類似の不正請求や書類偽造、さらには不正車検を懸念させる公益通報が急増。似たようなことはどこでもしているのよという中森明菜少女A状態となっております。ネタが古くて申し訳ございません。 言うなれば、中古車販売や民間車検、車両整備にいたるまで、かなり広範囲に、業界全体で、適法とは言えない方法で素人を食い物にする仕組みがあったのではないかと懸念される事態であると言えます。まあ、業界大手同士に資本関係があったり、不正も含めて仕事の仕方を覚えて独立する人もいたりで、儲けるノウハウは違法性含め共通なのも仕方がないのかもしれませんが、やられた側はたまったものではありませんね。) この記事を読んでいるあなた。そう、あなた、あなたが過去に「変だな」と思う車両整備や車検、保険取り扱いがあるようであれば、いますぐこちらの窓口に書式揃えて「変だったぞ」と通報してみてください。 指定自動車整備事業者における不正車検通報窓口のご案内https://www.mlit.go.jp/jidosha/fuseishaken_tsuho.html』、「一連のBM問題が世間的に着火すると、BM社だけでなく、ほかの中古車販売大手でもほぼ類似の不正請求や書類偽造、さらには不正車検を懸念させる公益通報が急増。似たようなことはどこでもしているのよという中森明菜少女A状態となっております」、なるほど。
・『通報窓口などからの不正取引の相談は5年間で4万件以上 あまりにも不正の種類や件数が多くてめまいがする状態なのですが、それもそのはず、BM社の悪しき業界慣行が産経新聞により報じられたのは2016年であり、しかもこれらの問題はその5年前の2011年からBM社内で行われていたと指摘されています。 折しも、BM社が2012年7店舗だったものが2016年には97店舗と急拡大している時期に行われていたものであることは間違いなく、中古車販売を本業とする上場企業も買収して拡大基調にありました。これらの猛烈なノルマ主義によって支えられた成長路線は、結果的に、ヤバいことでも除草剤散布でもなんでもやって、客を食い物にしないと達成できない目標を背負わされた現場によって実現されてきた面もあります。 そして、国会が開けば議員から質問も多数飛び出すでしょうが、国土交通省でもこれらの問題は一部把握されており、通報窓口などからの不正取引の相談は5年間で4万件以上にも上ると見られます(証拠が揃わず調査に着手できないなど、窓口が正式に受理できた件数は少数であるとも言われていますが)。言うなれば、10年以上前からBM社の適切とは言えない取引は業界の中でも知るところとなっていたが、なんとなく行政対応するべき機運が生まれずそのまま15年ぐらい経過しちゃった、ということになります。 国土交通省の人たちも「疑わしいけど確証はなく、いずれ爆発するものという認識はあった」ようなので、人事のたびに申し送りされる赤ひげ危機一発のようなものだったのでしょう』、「通報窓口などからの不正取引の相談は5年間で4万件以上にも上ると見られます(証拠が揃わず調査に着手できないなど、窓口が正式に受理できた件数は少数であるとも言われていますが)。言うなれば、10年以上前からBM社の適切とは言えない取引は業界の中でも知るところとなっていたが、なんとなく行政対応するべき機運が生まれずそのまま15年ぐらい経過しちゃった、ということになります」、とんでもない話だ。
・『23年1月に第三者委員会が設置されるが… 最初にBM社に関するタレコミなどから日本損害保険協会の知るところとなったのは2021年9月ごろからで、翌22年に損保ジャパン、東京海上日動、三井住友海上3社がおのおの抜き取り調査を実施した結果クロ判定。さすがにマズかろうということで、一斉にBM社への事故車両などの入庫誘導・紹介を停止しています。そりゃそうですね。 しかし、BM社が「(保険金の不正請求などの)疑いとなる事案は(担当した工場の)スキル不足や連携ミスによるもので、組織的な不正ではない」と回答し、それをうっかり信じた損保ジャパンが報告を受けた翌月22年7月には疑いは晴れたとばかりに入庫誘導を再開。あ、保険加入の件数を増やして売り上げが欲しかったんすね』、「BM社が「(保険金の不正請求などの)疑いとなる事案は(担当した工場の)スキル不足や連携ミスによるもので、組織的な不正ではない」と回答し、それをうっかり信じた損保ジャパンが報告を受けた翌月22年7月には疑いは晴れたとばかりに入庫誘導を再開」、「損保ジャパン」は保険契約欲しさに不正請求をまともに調べなかったようだ。
・『BM「調査報告書」その内容は? ・・・ただ、なにぶんBM社はBM社ですので、翌々月の9月には再び派手にやらかして工場長ら(当時)による会社ぐるみの組織的関与が告発され、これが発覚すると、損保ジャパンがまた入庫誘導を取りやめ。さすがにアカンやろということで、23年1月にBM社の中で第三者委員会が設置されるも、その報告書は一部が隠蔽された形でひっそりとBM社のサイトの中に掲載され、何事もなかったかのように騒ぎを黙殺し、スルーするタマホーム作戦に打って出ます』、「報告書は一部が隠蔽された形でひっそりとBM社のサイトの中に掲載され、何事もなかったかのように騒ぎを黙殺」、悪どいやり方だ。
・『どういう着地とするべき 不正請求問題にあたっては、東洋経済オンラインが22年8月から年末にかけて、BM社と損保ジャパンほかの問題について中村正毅さんが記事にしておりましたが、そこから約10か月かけて、ようやく代表取締役の辞任も含めた事後対応を軸とした記者会見と、国土交通省や金融庁からの怒られに発展することになります。 さらには、BM社が車両用部品や修繕において下請けで使っていた会社からの告発(下請法違反)や、本来取り扱う顧客の個人情報は自動車修理など特定業務を実施するためだけに使われるべきところ、不正に名簿屋などに売却されていた疑いなども取り沙汰され、内部通報制度に不備があったとの指摘も出たため、公正取引委員会や個人情報保護委員会、消費者庁マターの事案も出てきています。何というか、いまごろ出てきたオールスターな感じすらします。 もちろん、刑法詐欺罪での告訴が結成される被害弁護団から出されるとなれば、警察庁や法務省の話にもなり、本社のある六本木ヒルズに東京地検特捜部が段ボールもってやってくることもあり得ます。そのぐらい、熱量の高い事件となり大炎上前の焦げ臭さを強く感じます。 問題は、BM社に限って言うならば、本件はどう着地させるべきかになってきます』、「BM社が車両用部品や修繕において下請けで使っていた会社からの告発(下請法違反)や、本来取り扱う顧客の個人情報は自動車修理など特定業務を実施するためだけに使われるべきところ、不正に名簿屋などに売却されていた疑いなども取り沙汰され、内部通報制度に不備があったとの指摘も出たため、公正取引委員会や個人情報保護委員会、消費者庁マターの事案も出てきています。何というか、いまごろ出てきたオールスターな感じすらします」、なるほど。
・『少なくとも、2011年から現在まで26万台以上の再検査と補償が必要に かつて、大変な問題となった耐震偽装問題(2005年)では姉歯建築設計事務所とヒューザー社が断罪され、広く耐震偽装に関わったとされる一級建築士や建築事務所、建設会社の問題は不問とされ、その代わり、建築基準法が改正されて、実質的に問題に蓋がされましたが、こちらも建設と設計というプロが関わる仕事で起きた、利益優先の民間が適当にやった仕事の結果、業界全体が不信感に見舞われるという一件となりました。 この耐震偽装問題の根幹は、99年に建築確認申請制度において、建築設計における確認検査処分を民間確認検査機関に委譲できるようになったことです。これまで地方自治体に置かれた「建築主事」が携わる業務を、民間でもおこなえるように開放したため、本来なら疑われることがない前提で運用されていた 国土交通大臣認定の構造計算プログラムの改竄を行い、その改竄された計算結果で建築確認申請が承認されるという、民間委託あるあるが勃発した結果、4万棟以上とも言われる耐震偽装の疑いがある建築物があるのではないかと大きな騒動となったのです。) 同様に、今回のBM社の民間車検制度が実質的に悪用され、国土交通省が顔真っ赤になるのも当然です。また俺のお膝元で派手にやらかしやがって。車検なんてその辺で走ってる車全部が対象ですから、そこらじゅうで適当な感じで車検やっちったオンボロが走ってる可能性は否定できず、車検制度全体に対する不信感にならないように手当てをし、過去に遡及して、車検をやり直さなければならないかもしれません。 21年には車検制度の指定工場であったトヨタ系列の販売会社が不正車検を派手にやらかして、18年から21年までの違反行為の対象5,158台すべてが再検査の対象となったことを鑑みると、行政の公平性の観点から、BM社の不正車検が問題だとするならば少なくとも2011年から現在に至るまで年間26万台以上(もちろん廃車となった車両も含め)の再検査と補償が必要になります。 最後まで、BM社や創業家で当時経営者だった兼重宏行さん、宏一さん父子が今後民事刑事両面から責任を問われて最後まで再検査や補償を行うのかが見ものです。 やっちゃえ再検査。 これに関わった自動車整備士も、悪質なものは全員資格剥奪になってしまいます。大変なことだよねと思うんですが、そもそも車検できた車両を見てもいなかったレベルから意図的に部品を外すなどして不正に車検費用を請求したレベルまであらゆる犯罪のデパートになっていたことを考えれば、ケツ毛抜かれるまで追い込まれても仕方がないことなのかなと思います』、「21年には車検制度の指定工場であったトヨタ系列の販売会社が不正車検を派手にやらかして、18年から21年までの違反行為の対象5,158台すべてが再検査の対象となったことを鑑みると、行政の公平性の観点から、BM社の不正車検が問題だとするならば少なくとも2011年から現在に至るまで年間26万台以上(もちろん廃車となった車両も含め)の再検査と補償が必要になります」、大変だ。
・『今回一番損をしたのは… さらに、損害保険の保険金の不正請求に関しては、過去の事例では武富士事件(99年)やグッドウィル事件(07年)、商工ファンド事件(14年)と同様に、事件発生からの営業停止処分、そこから会社更生法申請後に、被害者への補償を充分にすることなく大金を持った創業者が資産を逃避させ、民事裁判で長く争われるも逃げ切られるという事案も想起されます。単に長年の悪事を暴くというだけでは駄目で、これらの悪質な経営を行った立役者から、過去やらかした分の責任を取らせて私財を吐き出させるまでが遠足ですよとも言えるのです。 BM社についても、豪邸がどうだとか、豪邸に生えている樹木に除草剤を撒けなどと中傷の対象になってしまっていますが、個人的には組織的関与を認めないまま経営から退いた創業者が、業界の信頼だけでなく行政の有りようまでも崩壊させた責任を取らず、被害者とも言える被保険者・普通の国民への賠償責任もきちんと担うことなく逃げ切られないようにするためにどうするべきか、というのは、強く問われなければならないと思うのです。 日頃あれだけ検査業務で銀行マンを奔走させている金融庁なのだから、さぞかしきちんと指導してくださるのは間違いないだろうと思うのですが、同様に、今回組織的関与が無かった、経営陣も知らなかったとぬけぬけと公言した損保ジャパンの詰め腹もきっちり取らせる必要があるのではないでしょうか。客観的に見て、お前ら嘘ばっかりついとるやろ。 今回の不正請求に関しては、実際のところ一番損をしたのは損保ジャパンではなく、損保ジャパンに加入していて問題を起こしていない一般契約者ということになるからです。まともな契約者・被保険者が、行政の怠慢とも言える損保会社のやらかしの犠牲者となることに他ならず、鎌倉幕府の伝統に基づいて族滅の処分を下して欲しいと願うところです。) 中古車市場については、前述の通り今回のBM社だけでなく他の大手2社でも程度の差はあれ同じようなことを繰り返していた疑いは強くあります。今回の問題が非常に厄介なのは、起きている事件それもこれも、自動車業界全体が大変革の真っただ中にあるからです。 今後EV自動車が増えていき、車がすべてコネクテッドになっていく将来の日本の自動車移動(モビリティ)環境において、シェアライドからスマートシティまで「どのようにして、国民が安心して自動車に乗り、できる限り少ない事故で安全に、少ないエネルギー消費にしていくのか」という業界全体のグランドデザインをどう国土交通省が描くつもりなのかという長期的なビジョンが求められています。 ぶっちゃけ、中国製EVバスが大量に市中に走ったり、軽自動車がすべてガソリンから電池に置き換わり、自動運転技術が確立してすべての車がネットに繋がるぞといったとき、自動車業界、モビリティ行政はどうなるのか。依存する電力インフラからネットへの接続、自動車の所有に関する問題にいたるまで、さまざまな問題が予見不能な状態で議論が重ねられているのがいまです。 この自動車整備や車検制度もさることながら、耐用年数が過ぎたらゴミ同然となる電池を乗せたEVが無価値になって中古車市場に流れてくるところでどうやって環境整備をするつもりなのかという話になるわけですよ』、「組織的関与を認めないまま経営から退いた創業者が、業界の信頼だけでなく行政の有りようまでも崩壊させた責任を取らず、被害者とも言える被保険者・普通の国民への賠償責任もきちんと担うことなく逃げ切られないようにするためにどうするべきか、というのは、強く問われなければならないと思うのです・・・今回組織的関与が無かった、経営陣も知らなかったとぬけぬけと公言した損保ジャパンの詰め腹もきっちり取らせる必要があるのではないでしょうか・・・耐用年数が過ぎたらゴミ同然となる電池を乗せたEVが無価値になって中古車市場に流れてくるところでどうやって環境整備をするつもりなのかという話になるわけですよ」、その通りだ。
・『支持率回復のチャンスカード到来? 一昨年、日本自動車整備振興会連合会が提出した資料などを見ていても、たぶん過渡的な環境で法的整備や人材育成をどうしていきましょうかという手探りの状態ですので、BM事件を機に、政府主導でも国交省でも構わないのでどーんと未来を見せて欲しいんですよね。 これらの課題は、いま何故か静かですが本来ならば岸田文雄政権が中心となって捌かなければならない問題のはずです。 本件こそ、国民生活の基盤に関わる問題であることは間違いございませんので、支持率回復のチャンスカード到来という発想で、どうか前のめりで岸田文雄さんにはご対応賜りたいと願う次第です』、いまや岸田政権にはそんな余裕はなくなっており、残念ながら殆ど期待できない。
第三に、8月15日付けPRESIDENT Onlineが掲載した小宮コンサルタンツ会長CEOの小宮 一慶氏による「まさかの生き残り計画も…四面楚歌BMに数百億円貸している"メガバンク"が悶絶する大人の事情 生殺与奪の権を持つ三井住友、広島、三菱UFJ、みずほ、中国は融資するのか」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/72803
・『自動車保険の保険金を不正に水増し請求していたBM。経営コンサルタントの小宮一慶さんは「同社の純利益は年150億~200億円と推測されるが、今後の業績悪化は必至。命運を握っているのは3メガバンクを含む銀行団の融資動向だ」という――』、興味深そうだ。
・『四面楚歌のBMの現状 ビッグモーター(以下、BM)の問題が大きく取り上げられています。修理に預けられた車を故意に傷つけ保険金を多く請求するという詐欺的行為や、店舗前の歩道にある街路樹を枯らせるなど言語道断と言っていい行為を繰り返していたわけで、経営コンサルタントとしてももちろん許せる話ではありません。そして、世間の大きな関心のひとつは、この後、BMの命運はどうなるのかということでしょう。今回は、財務状況などを勘案しながら、今後を占っていきたいと思います。 BMは上場していないため、正確な財務状況は分かりません。ここで説明するのは、あくまでも新聞やテレビで報道されている内容がベースで、その報道内容も推測の域を出ないことをあらかじめご了承ください。 まず、売上高ですが、昨年度で5800億円程度といわれています。そのうちの大半が中古車の販売です。記者会見で兼重宏行社長(当時)が修理部門を「2%程度」という話をしていましたが、売り上げの大部分(9割程度)が中古車販売で、残りが修理や保険販売などと考えられます。 中古車販売の利益率は車によって大きな差があると考えられますが、競争の激しい業界でもあり、おおむね15%から20%前後であると見られます。粗利率がその程度だと仮定すると、ざっくり1000億円程度を全事業から得ていると考えられます。 一方の経費ですが、従業員が正社員5000人、非正規従業員が1000人の合計6000人と同社ホームページにはあります。給料は比較的高いと言われており、正社員の年収が平均800万円、非正規社員の年収が500万円と仮定すれば、450億円程度の人件費がかかっていることになります。 また、よく見かけたテレビCMなど広告宣伝費も膨大な額、おそらく年間で数百億円程度に達するはずです。他に、店の維持費や賃借料、店舗設備などの減価償却費などを考えると、あくまで推測ですが、全体で700億から800億円程度の経費がかかっており、営業利益で200億から300億円程度と推測できます。税金を30%程度と考えると、純利益でざっくり150億円から、200億円程度と考えられ、営業キャッシュフローも同程度だと推測できます。つまり、1年でそれくらいのキャッシュフローは通常の営業活動で稼いでいたということです』、売上は「1000億円程度を全事業から得ている」、「営業利益で200億から300億円程度と推測」、「純利益でざっくり150億円から、200億円程度と考えられ、営業キャッシュフローも同程度」、まずまずだ。
・『急拡大のため3メガバンクなどから数百億円借り入れ BMは膨大な広告宣伝費を投じるとともに、店舗を急拡大することで業容を拡大していました。300店舗を超える店舗を擁しています。 店舗拡大には、土地の取得とともに、店舗建設の費用が必要となります。土地は賃借物件が多いと考えられますが、店舗は自前で立てる必要があります。また、拡大にともなう人件費の増加もあり、いずれにしても多額の資金が必要なことは言うまでもありません。 店舗展開で事業を拡張するビジネスモデルの場合には、店舗建設のためや中古車の在庫確保のために、先に資金が必要なことが多いのです。BMのホームページには、取引銀行として、三井住友、広島、三菱UFJ、みずほ、中国の各銀行名が取引銀行として記載されています。他にもあると記されています。通常は関係の深い順に記載することが多いので、これが融資順位に近いと考えられます。 山口県岩国市がスタートのBMですが、当初は地元の取引銀行で資金を賄っていたのが、業容拡大によりメガバンクなどと取引を拡大していったと考えられます。 融資残高を推測するのは難しいですが、3メガバンクを含むこれだけの銀行と取引があることを考えれば、数百億円規模の借り入れがあると考えて間違いはないでしょう。8月11日付けの日経朝刊では昨年9月末で600億円規模の借入れがあったとされています。 先にも述べましたが、店舗拡大をともなう業容の拡大を行う場合には、多額の設備投資資金が必要になるとともに、在庫の維持や人件費などの資金も必要となるため、数百億円規模の借り入れを今でも長短合わせてしていると推測できます。 つまり、のちに詳しく述べますが、同社の命運を握っているのは、各銀行の融資姿勢だと言えます』、「昨年9月末で600億円規模の借入れ」、「同社の命運を握っているのは、各銀行の融資姿勢」、なるほど。
・『生き残りをかけて中古車の買い取りに活路 評判の急激な悪化により、業績が大きく落ちていることは間違いありません。 具体的には、この状況でBMに修理や車検を出す人はいないでしょう。私の知り合いも、同社に車検に出したら、法外な費用を請求され、さんざん交渉しても一切それには応じず泣く泣く支払ったと言っていましたが、もともと評判が悪い同社に、今後修理や車検を持ち込む人はまずいないと考えられます。 さらに、損保各社も、深い関係を取りざたされている損保ジャパンはじめ、代理店契約の継続は難しいと考えられます。金融庁が調査に入っていますが、金融庁としてもある意味メンツがつぶされたわけですから、別に起こっている損保各社の談合問題も影響し、今後はBMと関わりを持たない方向で進むものと考えられます。 注目は、中古車の買い入れ、販売の事業です。このうち、この状況で中古車をBMから買う人も減少する、少なくとも当面は激減すると予想できます。さらに、中古車にローンをつけるリース会社も、BMとの関係を見直す動きが進んでおり、また、広告掲載も手控えの動きが出ていることともあいまって、中古車販売も当面は苦境に立たされることは間違いないでしょう。 中古車の買い取りはどうでしょうか。こちらも取り扱いは減ると考えられますが、ある程度はビジネスを維持できるかもしれません。買った後で値引かれるなどの苦情は出ているようですが、とにかく他社よりも数万円高い値段を提示すれば、車を売る人は一定数いると考えられます。 中古車市場はクレームの多い業界ですが、消費者からのクレームのうち約2割はビッグモーターに対するものだと言われています。違う見方をすれば、残りの8割は他社だということで、ある意味クレームが絶えないマーケットだと言えます。その点を考えれば、他社に持ち込んでも似たり寄ったりで、そうなると買い取り価格が大きな決定要素です。 この状況でBMは、生き残りをかけて中古車の買い取りに活路を見いだそうとするでしょう。その際には、買取り後の値引きなどクレームの極力回避とともに、他社より少し高い値段での買い取りを行う可能性もあり、そうであれば、業容は縮小するものの中古車買い取りの事業はある程度は継続できると考えます。 もちろん、買い取った中古車を自社店舗で売却することは難しくなっているので、オークションに出品することで売却を行うものと考えられます』、「他社より少し高い値段での買い取りを行う可能性もあり、そうであれば、業容は縮小するものの中古車買い取りの事業はある程度は継続できると考えます。 もちろん、買い取った中古車を自社店舗で売却することは難しくなっているので、オークションに出品することで売却を行う」、なるほど。
・『銀行の態度いかんで「生きるか死ぬか」が決まる こうした状況の中で、利益、そしてキャッシュフローの確保ができるかというのが最大の焦点ですが、業容が大きく落ちている中での利益確保はかなり難しいと考えます。先に説明したように、中古車の買い取りおよびそのオークションへの販売である程度のビジネスはやれると思いますが、これまでのような利益確保は到底望むべくもありません。 また、従業員の給与のかなりの部分は歩合だったらしく、その引き留めのために、今後は給与の補塡ほてんを行うとBMは言っています。辞めた従業員が同社のことを非難することも多く、それを避けたい意味合いもあると考えられますが、これも資金負担がかかります。 こういう点を考えれば、今後、銀行が融資を継続するかが焦点です。金融庁の保険を担当する部門と銀行を担当する部門はもちろん違いますが、金融庁は各取引行のBMに対する融資姿勢を厳しくチェックする可能性もあります。ただ、銀行としてはビッグモーターが破綻した場合には、十分な担保も取れていないでしょうから大きな損失が出るという問題があります。 こうした状況でBMの命運は取引銀行の融資姿勢にかかっていると言えますが、BMにとっては簡単な話ではないことは容易に想像がつきます。 8月10日にBMは都内で取り引きのある銀行団と会合を開き、8月半ばに期限を迎える借入金90億円の借り換えを要請したものの、銀行団はこれに応じない方針を伝えたとの報道がありました。 これを受けて、「犯罪行為をしたことが濃厚な会社にお金を貸さないでほしい」「反社的企業は救済しない、という判断を下すべき」といった声も上がっています。銀行も難しい選択を迫られています』、「銀行としてはビッグモーターが破綻した場合には、十分な担保も取れていないでしょうから大きな損失が出るという問題があります。 こうした状況でBMの命運は取引銀行の融資姿勢にかかっている・・・8月10日にBMは都内で取り引きのある銀行団と会合を開き、8月半ばに期限を迎える借入金90億円の借り換えを要請したものの、銀行団はこれに応じない方針を伝えたとの報道がありました」、なるほど。
・『兼重親子が保有する住宅などの財産を担保にするか こうした中、前社長と前副社長の兼重親子は、BMの経営から退きました。責任を取った形にはなっていますが、経営責任は法的には追及できないということです。兼重前社長が保有するビッグアセットという資産管理会社がBMの全株式を保有しており、議決権を確保したまま経営責任から逃れた形となっています。 ちろん、BM株の価値が落ちた場合には、かれらの資産価値は減りますが、それだけで終わりということになりかねません。現場で器物損壊などの刑法犯が大量に出る可能性があるにもかかわらずです。 銀行は、BMの資金繰りを助けるのに際して、ビッグアセットが保有する(つまり兼重親子が実質的に保有する)住宅などの財産を担保に入れることを要求するかもしれませんが、法的にはその義務はありません。 いずれにしても、今後の銀行のスタンスとBMの命運に注目です』、あとの記事にある「伊藤忠」がBMへのTOB検討」が最大の注目点だ。
第四に、9月6日付け文春オンライン「《ルールや方針が「BM化」》中古車販売業界第2位「ネクステージ」の不正を現役社員、元社員が続々告発!「BMよりエグい」「わざとタイヤをパンクさせて…」」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/65587
・『BMによる保険金の不正請求問題が明るみに出て、中古車販売業者に注目が集まる中、BMに次ぐ業界第2位「ネクステージ」でも同様の不正が横行している疑いがあることが「週刊文春」の取材でわかった。複数の現役社員、元社員が告発した。 ネクステージは中古車販売でBMに次ぐ業界第2位の大手企業だ。東証プライムに上場しており、売上高は2022年に4100億円を突破。この10年で10倍の成長を遂げている。車だけではなく、車両保険、タイヤ・ガラス保証、塗装など、さまざまな付帯サービスを販売している。 BM内で横行していた保険金の不正請求が大きな騒ぎになっていた先月、ネクステージは率先して社内調査を実施。「不正な案件は確認されなかった」と公表している。 ところが、同社の元社員はこう語る。 「不正がないなんてありえませんよ。なんならBMよりエグいことをしていましたから」 一体、どのような不正が行われているのか。代表的な事例の1つが“パンク不正”だ。現役の営業社員が明かす。 「保証サービスのひとつであるタイヤの無料交換はパンクしていることが条件。ですが中古車を買うとき、保証への加入を渋る客がいたら、保証を売るために『タイヤが古くなったら、パンクさせればいいんですよ』と客に“悪知恵”を吹き込む営業マンは非常に多かった。小さなことかもしれませんが、これは詐欺行為です」 タイヤを無料で交換する時でも整備の工賃代は別途かかり、それも売り上げとして計上できる。そのため、わざとタイヤをパンクさせたり、パンクしたように見せかける不正も横行していたという。 「太めのネジの頭だけを残してタイヤの上に載せれば、釘が刺さっているように見える。客には『パンクしていました』と写真を見せて報告し、新品のタイヤに交換する。これで工賃分数字が稼げる。無傷の古いタイヤは自分の懐に入れて、オークションで横流しするんです」』、「ネクステージは中古車販売でBMに次ぐ業界第2位の大手企業だ。東証プライムに上場しており、売上高は2022年に4100億円を突破。この10年で10倍の成長を遂げている。車だけではなく、車両保険、タイヤ・ガラス保証、塗装など、さまざまな付帯サービスを販売している・・・ネクステージは率先して社内調査を実施。「不正な案件は確認されなかった」と公表している。 ところが、同社の元社員はこう語る。 「不正がないなんてありえませんよ。なんならBMよりエグいことをしていましたから」 一体、どのような不正が行われているのか。代表的な事例の1つが“パンク不正”だ・・・タイヤが古くなったら、パンクさせればいいんですよ』と客に“悪知恵”を吹き込む営業マンは非常に多かった。小さなことかもしれませんが、これは詐欺行為・・・無傷の古いタイヤは自分の懐に入れて、オークションで横流しするんです」、BM同様に悪辣だ。
・『不正が蔓延する理由は「ビッグモーター化」? ネクステージでも不正が蔓延する理由について、10年以上勤める別の社員は「当たり前ですよ」と呆れて笑う。 「今の社長の浜脇浩次さんはBMで常務取締役まで務めた後にウチにヘッドハンティングされた。浜脇さんが入ってきた2016年頃からルールや方針が『ビッグモーター化』していった。そして、数字が全てだというおかしな社風になっていったんです」 現社長の浜脇氏は1993年にBMに入社。子会社の取締役を歴任した後、2016年に副社長としてネクステージに迎え入れられた。「BM仕込み」の経営手法で同社の右肩上がりの成長を牽引し、2022年には社長に就任している。 「週刊文春」に寄せられた現役社員らによる不正の告発。ネクステージの広報にひとつひとつ事実関係の確認を求めたところ、公式サイトに質問とそれに対する回答の全文を公表した』、「「今の社長の浜脇浩次さんはBMで常務取締役まで務めた後にウチにヘッドハンティングされた」、これではBM同様になるのは当然だ。
・『ネクステージが公開した「週刊文春」の“質問状” タイヤの交換については、「タイヤが古くなれば、パンクさせれば無料で新品に交換できます」というセールストークをしていたのは事実かという問いに対しては〈当該案件は(中略)当社内で把握しており、当時はこのようなセールストークを想定していなかったため、厳重注意のみで対応致しました〉〈以降は社内文書にて懲罰基準を明記、(中略)詐欺行為となる旨記載しております〉と回答した。 業界第2位のネクステージの内部で何が起こっているのか。 現在配信中の「週刊文春電子版」では、“パンク不正”に加え、社員の間で行われていた保険契約数の“売買”、不正の温床を作っている「あまりにきつい」ノルマ、元BM社員の評判と社内での言動、元BM社員が起こした“パワハラ騒動”など現役社員と元社員の告発を詳しく報じている』、問題はBMと同根のようだ。
第五に、12月8日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏による「BM買収に伊藤忠が意欲「最高年収5000万円」超高待遇社員はどうなる?大損もあり得る5大リスクとは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/335169
・『伊藤忠の岡藤会長が、「BM買収」に前向きなコメントをしたことが話題です。しかし、BMの買収には伊藤忠が大損を引き起こすかもしれない「5大リスク」があります。さらに「最高年収5000万円」の超高待遇社員にも変化が訪れるかもしれません』、興味深そうだ。
・『伊藤忠のBM買収は「5大リスク」を伴うもの 12月5日、伊藤忠商事の岡藤正広会長がメディアの前でBM買収について前向きなコメントを話したことが話題になっています。 「中古車市場のナンバーワン」「(BMの)5500人の人たちの雇用も守ってあげたいという気持ちもある」「リスクはあるがやりたい」といった言葉です。しかしその一方で、「買収のリスクもある」とも語っています。 BMについては、伊藤忠と子会社の伊藤忠エネクス、投資ファンドのJWPの3社が資産査定を行っていて、来年春までには何らかの判断が下る予定です。 会長が前向きだからといって買収の判断になるかどうかはわかりませんが、一般論としてあれだけの悪評判を広めてしまった会社を買収することで、伊藤忠が大損をすることはないのでしょうか? 実は、伊藤忠のBM買収には大損を招きかねない「5大リスク」があるのです』、「伊藤忠」は中国の政府系企業CITICと深い関係があるので、中国経済低迷の影響も受ける筈だが、そんなことはものともせずに、BMに色気を示すとは、さすが大商社だ。
・『伊藤忠が最初に直面するのは「訴訟問題」 5大リスクとは、(1)訴訟問題、(2)事業継続リスク、(3)レピュテーションリスク、(4)人と風土の問題、そして(5)買収価格です。それぞれ順番に検討していきたいと思います。 まずは、(1)の訴訟問題から。 これは、買収条件の問題です。ビッグモーターの創業家が訴訟問題も一緒に引き受けない限りは売却しないスタンスにあるのです。 伊藤忠が乗り出す前も、ガリバーとオリックスが買収を検討したのですが、買収条件が合わずに断念しました。その際には事業だけ、つまり営業権と人員、店舗・工場などの資産のみを買い取り、損害賠償の支払いなどの簿外債務の整理は既存のBMに残したままにする営業譲渡方式を求めたのですが、それが通らなかったというのが断念の理由です。 買収する側としては営業権だけ手に入れば都合がいいためそのような条件を提示したのですが、創業家としては破産リスクを抱えたくないわけです。 伊藤忠が「訴訟問題を引き受ける」という条件までのむかどうかが、注目点です。ただこの事件、アメリカなら訴訟リスクがどれだけ膨らむかわからないぐらいの事件ですが、日本国内の事件なので賠償額は過去の事例などからある程度概算できます。 さらに、伊藤忠の強力な弁護士軍団が相手になるとなれば、多少なりとも後ろ暗い気持ちのある損保ジャパンがきちんとは訴えづらくなるなど減額要素もありえます。 そう考えると、訴訟の問題はむしろ大幅な減額の交渉材料として考えてもよいのかもしれません。 仮に伊藤忠がこの条件をのみ、買収を成功させたとしましょう。すると、(2)の事業継続と(3)のレピュテーションリスクも一緒に抱えることになります。 この二つの点で誤算が生まれた場合、今回の買収で伊藤忠が大損をする可能性が高まります』、「伊藤忠が乗り出す前も、ガリバーとオリックスが買収を検討したのですが、買収条件が合わずに断念しました。その際には事業だけ、つまり営業権と人員、店舗・工場などの資産のみを買い取り、損害賠償の支払いなどの簿外債務の整理は既存のBMに残したままにする営業譲渡方式を求めたのですが、それが通らなかったというのが断念の理由です」、「ガリバーとオリックスが買収を検討したのですが、買収条件が合わずに断念」とは初めて知った。「仮に伊藤忠がこの条件をのみ、買収を成功させたとしましょう。すると、(2)の事業継続と(3)のレピュテーションリスクも一緒に抱えることになります。 この二つの点で誤算が生まれた場合、今回の買収で伊藤忠が大損をする可能性が高まります」、なるほど。
・『「事業継続」を成功させるスキームを再建する必要も あくまで頭の体操として、こんなスキームを考えてみましょう。伊藤忠がBMを買い取り、そのまま営業権だけを伊藤忠エネクスに売却したらどうなるでしょう。 これはジャニーズ問題のときと同じで、BMは訴訟や賠償を担当する会社として存続させ、営業権を譲渡された伊藤忠エネクスが中古車販売事業を担当する会社になるというスキームです。 店舗の看板はすべて「伊藤忠」に書き換えて営業を再開したら、中古車市場のシェアナンバーワンとしてのビジネスをその日から開始できるのではないかという考え方がベースになるのですが、もしそこに落とし穴があったとしたら…? BMは金融庁から保険代理店の資格を剥奪されていますし、国交省から34の整備工場に事業停止の行政処分が下されています。伊藤忠としては「営業権は買い取ったが別の会社だ」という主張が通らなければ、そもそも事業が再開できない可能性があるわけです。 ですから、国や損保各社と再建計画についてすり合わせをしておく必要があり、その感触次第ではゴーサインというわけにはいかないかもしれません』、「BMは金融庁から保険代理店の資格を剥奪されていますし、国交省から34の整備工場に事業停止の行政処分が下されています。伊藤忠としては「営業権は買い取ったが別の会社だ」という主張が通らなければ、そもそも事業が再開できない可能性があるわけです。 ですから、国や損保各社と再建計画についてすり合わせをしておく必要があり、その感触次第ではゴーサインというわけにはいかないかもしれません」、なるほど。
・『中身が変わったことを世間に示せなければ巨額の損失が生まれる大失敗に 仮にそれらの処分は伊藤忠の買収後に解消されるめどがたったとしても、顧客から見た評判を回復できるかどうかが、3番目のレピュテーションリスクでの課題です。 「あれは結局のところBMだろう」 と言われて顧客が戻ってこなければ、手に入れた人員、店舗・工場などがすべて負の資産へと形を変えてしまいます。 つまり、ただ看板を書き換えただけではなく、伊藤忠の買収によって中身も変わったことを世間に知らしめることができなければ、巨額の損失が生まれてしまうことになりかねないということです。 このレピュテーションリスクを回避するために重要なことは「変わった」ことを象徴する変化を起こすこと、そのわかりやすい例が著名なプロ経営者を招聘(しょうへい)することです。 伊藤忠では過去に、傘下のファミリーマートの経営を、元ファーストリテイリング副社長だったプロ経営者の澤田貴司氏に託したことがあります。それと同じぐらいのビッグネームを見つけてこなければ、BMの悪評判を覆すのは難しいかもしれません』、「「あれは結局のところBMだろう」 と言われて顧客が戻ってこなければ、手に入れた人員、店舗・工場などがすべて負の資産へと形を変えてしまいます。 つまり、ただ看板を書き換えただけではなく、伊藤忠の買収によって中身も変わったことを世間に知らしめることができなければ、巨額の損失が生まれてしまうことになりかねないということです。 このレピュテーションリスクを回避するために重要なことは「変わった」ことを象徴する変化を起こすこと、そのわかりやすい例が著名なプロ経営者を招聘することです」、なるほど。
・『平均年収1100万円、最高5000万円「超高待遇」社員たちをどうするか? そして伊藤忠にとって4番目の問題が、人と風土の問題です。BM事件のニュースで多くの人を驚かせたことが、社員の平均年収が1100万円、最高年収が5000万円と、今の日本経済の中では異常ともいえる高水準だったことです。 社員がまじめに頑張って業界首位の業績を上げた結果の高報酬であれば何の問題もないのですが、事実としては不正を行った結果の高業績や、パワハラを行ったことで昇進した人たちがいたわけで、そのような社員が全体でどれだけいるのかが外部からは計り知れないという問題があります。 それが幹部社員なのか、一般の社員なのかわかりませんが、新会社に移行させてはいけない人材も買収の過程で一部を伊藤忠は抱えることになる。ここを切り離すことができるかどうかが、新会社の課題です。 ここを失敗すると、新会社も風土としては不正やパワハラが横行する組織になってしまい、いかにカリスマプロ経営者を起用としたとしても、事業を崩壊させてしまう結果になりかねません。 このように3番目のレピュテーションリスクと4番目の人や風土の問題は表裏の問題で、ここを解決できる自信がなければ伊藤忠は買収に進むべきではないという判断を下すことになるでしょう』、「不正を行った結果の高業績や、パワハラを行ったことで昇進した人たちがいたわけで、そのような社員が全体でどれだけいるのかが外部からは計り知れないという問題があります・・・新会社に移行させてはいけない人材も買収の過程で一部を伊藤忠は抱えることになる。ここを切り離すことができるかどうかが、新会社の課題です。 ここを失敗すると、新会社も風土としては不正やパワハラが横行する組織になってしまい、いかにカリスマプロ経営者を起用としたとしても、事業を崩壊させてしまう結果になりかねません」、確かにその通りだ。
・『買収価格の折り合いをいかにつけるかが最大の関門 そして5番目の問題ですが、これだけ問題が多い、言い換えると難易度が高いM&A(企業の合併・買収)案件ですから、買収価格はある程度低く抑えなければ経済的に採算が合わない可能性があります。 この買収案件は、すべてがうまくいけば伊藤忠商事がモビリティー事業の川上であるガソリンなどのエネルギー事業から、川下の自動車販売へと進出するチャンスとなります。同時に最初から業界最大規模の営業資産を手に入れて、結果としてモビリティー事業のバリューチェーンを一気に拡大できる可能性のある案件です。成功すれば当然、大きなリターンがあります。 一方で、もし問題がクリアできなければ伊藤忠は今後長期間にわたって負の資産と向き合って、だらだらと損失を垂れ流し続けることになる。そのリスクを勘案すれば、買収価格は企業価値よりもかなり低く抑える必要があるはずです。 そのためには創業家側の苦境を測ったうえで、売りたくなるタイミングを見極める作戦が必要かもしれません。 オリックスが直面したように、ビッグモーターの創業家側には「売らない」という切り札があります。さらに「BMの事業自体には、伊藤忠以外の候補にとってもそれを欲しいという魅力がある」ことも創業家は知っているのです。 このように五つの問題を整理してみると、伊藤忠にとってはこの買収案件、容易ならざる案件になりそうです。 とはいえこのままで進んでいけば、BMの企業価値は徐々に失われていくことも確かな話。どこかで折り合いがつくのかどうか、ディール(取引)はこの先数カ月かけて出口を模索することになりそうです』、「BMの創業家側には「売らない」という切り札があります。さらに「BMの事業自体には、伊藤忠以外の候補にとってもそれを欲しいという魅力がある」ことも創業家は知っているのです。 このように五つの問題を整理してみると、伊藤忠にとってはこの買収案件、容易ならざる案件になりそうです。 とはいえこのままで進んでいけば、BMの企業価値は徐々に失われていくことも確かな話。どこかで折り合いがつくのかどうか、ディール(取引)はこの先数カ月かけて出口を模索することになりそうです」、確かに「この先数カ月かけて出口を模索」が要注目だ。
先ずは、本年7月28日付け文春オンライン「《「やってもーたー」と嗤っている場合でもない》BMを中心とする中古車と損保の問題はどう着地させるべきか」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/64656
・『街路樹も枯れる勢いで急成長した俺たちのBM社が、ついに公式の記者会見に追い込まれてしまいました。創業者で代表取締役社長であった兼重宏行さんが、一連の騒動の責任を取って辞任。新たに就任した経営者が国土交通省の聞き取り調査にようやく応じたという流れになったようです。 また損保大手3社のうち、出向者を出しBM社経由の大口保険獲得をしたと見られる損保ジャパンも金融庁に本件絡みで虚偽の報告をしていたことが判明したことで、こりゃもう業務改善命令ではなく業務停止命令待ったなしだよねという流れになっていますね。謹慎ではなく切腹でお願いします』、興味深そうだ。
・『中古車流通大手が民間車検制度を悪用することの影響 事件の経緯は、いままでさんざんBM社からの広告で潤ってきたマスコミが盛大に手のひら返しをしている実況生中継が行われておりますので、皆さん各自、その辺を見ておいていただければと存じます。 大変な大騒ぎになり収まる気配もないわけですけれども、それもそのはず、国民にとって自動車は文字通り移動の足であり、その中古車流通大手のBM社が事故車両に関して保険金の不正請求をしたり、民間車検制度を悪用したりすれば、自動車(モビリティ)行政の根幹の信頼が揺らぐことを意味します。騒いで騒ぎ足りないってことは本件については無いのかなとすら思います。ええじゃないか』、不祥事のオンパレードなので、「騒いで騒ぎ足りないってことは・・・無い」。
・『「遅刻で1000円」「殺すぞ」BM“地獄職場” どんなに慎重で上手なドライバーでも車を運転していれば事故ることは確率的には必ず発生する以上、何事が起きても自身の支払い能力を超えて賠償しなければならなくなる危険を考えて損害保険の一種である自動車保険に入ることは各都道府県で義務化が進んでいます。最近では、チャリも自転車保険加入を義務付けする県も出るぐらい、事故に対する被害者への弁済・補償はマストの世界になってきています』、任意保険の付保も広がっている。
・『みんな癒着があったとは知らずに損保会社の入庫誘導に従っていた ただ、万が一事故を起こした際に、自分の自動車も含めて発生する事故対応や損害の弁済・補償に対し、損害保険の事故査定はドライバーが誰であれプロに任せざるを得ません。そこへ、今回は事故評価をする保険会社から強く斡旋(入庫誘導)されるBM社の板金部門や工場・営業所と内々で癒着があれば、事故を起こした当人がそれが妥当な事故査定なのかは分からないことになります。 つまり、損保ジャパンなど損保会社とBM社など事業者との間には、そもそも明確な利益相反の関係があるはずなのです。うっかり多額の保険金を被保険者に払いたくない損保会社と、本来は職業倫理に基づいてシビアかつ公正に事故車の査定を行う、麗しいプロ同士の緊張感ある本番勝負があると信じるから、みんな癒着があったとは知らずに損保会社の入庫誘導に従っていたわけですよ。まさにプロの世界、秘密の花園、サンクチュアリ(聖域)であります。) しかし、何でお前らつるんでるのと言われれば、損保会社は新たな契約をBM社経由で獲得するために自社の事故案件では事故査定などをBM社で行うよう事故を起こした本人に強く要望し、その本人の車には「ここ壊れてたっス」とわざと傷をつけたりパンクさせたりするなどの鬼ヤバ査定を行い、さらにその本人に新たに「損保ジャパンの自動車保険どうスか」とお薦めするなどの癒着具合があったのだとするならば最悪です。事故を起こしたって、日々の生活をするのに車は必要ですから、どうせ車を使わないといけない契約者からすればしぶしぶでも従わざるを得ません。 こうなってしまうと、素人はただただシャブられる話ですよね』、「損保ジャパンなど損保会社とBM社など事業者との間には、そもそも明確な利益相反の関係があるはずなのです・・・麗しいプロ同士の緊張感ある本番勝負があると信じるから、みんな癒着があったとは知らずに損保会社の入庫誘導に従っていたわけですよ・・・損保会社は新たな契約をBM社経由で獲得するために自社の事故案件では事故査定などをBM社で行うよう事故を起こした本人に強く要望し、その本人の車には「ここ壊れてたっス」とわざと傷をつけたりパンクさせたりするなどの鬼ヤバ査定を行い、さらにその本人に新たに「損保ジャパンの自動車保険どうスか」とお薦めするなどの癒着具合があったのだとするならば最悪です」、なるほど。
・『過去に車検不正で行政処分を受けたことも さらには、事故を起こしているわけですから、その本人は保険等級が上がってしまい、毎月の保険料は高額になってしまいます。美味しい商売になっておったわけですよ。そりゃ急成長もしますって。 実に踏んだり蹴ったりですが、そんなBM社は保険金の不正請求と並んで民間車検制度でも問題を起こしていました。全国各地に自動車整備士を多数抱えており、23年3月には熊本県で、同6月には栃木県で不正車検が行われていたことが発覚したのです。 BMなど自動車販売店における車検は、公道を走る車両の安全性を確保する目的で国が行うべき業務を民間企業が委託を請け代行するものであって、販売店には「指定工場」として、また自動車整備士には「自動車検査員」の資格が国から与えられています。今回の不正請求事件で大騒動になる前に、車検不正の舞台となったBM南宇都宮店は関東運輸局により、指定自動車整備事業指定取り消しの行政処分をしめやかに受けています。 これらは、自動車やバスなどを扱うモビリティ関連行政そのものの根幹を担う民間車検制度をも大きく揺るがす問題の入り口だったのであって、これらの監督官庁である国土交通省からすれば、まさに一丁目一番地、やるべき行政対応の本丸とも言える大事な分野で起きた大変な事態であると言えます』、「BM社は保険金の不正請求と並んで民間車検制度でも問題を起こしていました。全国各地に自動車整備士を多数抱えており、23年3月には熊本県で、同6月には栃木県で不正車検が行われていたことが発覚した・・・民間車検制度をも大きく揺るがす問題の入り口だったのであって、これらの監督官庁である国土交通省からすれば、まさに一丁目一番地、やるべき行政対応の本丸とも言える大事な分野で起きた大変な事態である」、なるほど。
・『他の会社でも類似の不正が芋づる式に発覚 そこへ、同じく便利な自動車には残念ながら付き物の事故対応において、前述の通り損害保険(自動車保険)においても完全な利益相反による癒着が発生し、国民の足である自動車が割と雑な感じで業界大手の食い物にされていたというのはかなりの衝撃となっておるわけです。 そればかりか、一連のBM問題が世間的に着火すると、BM社だけでなく、ほかの中古車販売大手でもほぼ類似の不正請求や書類偽造、さらには不正車検を懸念させる公益通報が急増。似たようなことはどこでもしているのよという中森明菜少女A状態となっております。ネタが古くて申し訳ございません。 言うなれば、中古車販売や民間車検、車両整備にいたるまで、かなり広範囲に、業界全体で、適法とは言えない方法で素人を食い物にする仕組みがあったのではないかと懸念される事態であると言えます。まあ、業界大手同士に資本関係があったり、不正も含めて仕事の仕方を覚えて独立する人もいたりで、儲けるノウハウは違法性含め共通なのも仕方がないのかもしれませんが、やられた側はたまったものではありませんね。) この記事を読んでいるあなた。そう、あなた、あなたが過去に「変だな」と思う車両整備や車検、保険取り扱いがあるようであれば、いますぐこちらの窓口に書式揃えて「変だったぞ」と通報してみてください。 指定自動車整備事業者における不正車検通報窓口のご案内https://www.mlit.go.jp/jidosha/fuseishaken_tsuho.html』、「一連のBM問題が世間的に着火すると、BM社だけでなく、ほかの中古車販売大手でもほぼ類似の不正請求や書類偽造、さらには不正車検を懸念させる公益通報が急増。似たようなことはどこでもしているのよという中森明菜少女A状態となっております」、なるほど。
・『通報窓口などからの不正取引の相談は5年間で4万件以上 あまりにも不正の種類や件数が多くてめまいがする状態なのですが、それもそのはず、BM社の悪しき業界慣行が産経新聞により報じられたのは2016年であり、しかもこれらの問題はその5年前の2011年からBM社内で行われていたと指摘されています。 折しも、BM社が2012年7店舗だったものが2016年には97店舗と急拡大している時期に行われていたものであることは間違いなく、中古車販売を本業とする上場企業も買収して拡大基調にありました。これらの猛烈なノルマ主義によって支えられた成長路線は、結果的に、ヤバいことでも除草剤散布でもなんでもやって、客を食い物にしないと達成できない目標を背負わされた現場によって実現されてきた面もあります。 そして、国会が開けば議員から質問も多数飛び出すでしょうが、国土交通省でもこれらの問題は一部把握されており、通報窓口などからの不正取引の相談は5年間で4万件以上にも上ると見られます(証拠が揃わず調査に着手できないなど、窓口が正式に受理できた件数は少数であるとも言われていますが)。言うなれば、10年以上前からBM社の適切とは言えない取引は業界の中でも知るところとなっていたが、なんとなく行政対応するべき機運が生まれずそのまま15年ぐらい経過しちゃった、ということになります。 国土交通省の人たちも「疑わしいけど確証はなく、いずれ爆発するものという認識はあった」ようなので、人事のたびに申し送りされる赤ひげ危機一発のようなものだったのでしょう』、「通報窓口などからの不正取引の相談は5年間で4万件以上にも上ると見られます(証拠が揃わず調査に着手できないなど、窓口が正式に受理できた件数は少数であるとも言われていますが)。言うなれば、10年以上前からBM社の適切とは言えない取引は業界の中でも知るところとなっていたが、なんとなく行政対応するべき機運が生まれずそのまま15年ぐらい経過しちゃった、ということになります」、とんでもない話だ。
・『23年1月に第三者委員会が設置されるが… 最初にBM社に関するタレコミなどから日本損害保険協会の知るところとなったのは2021年9月ごろからで、翌22年に損保ジャパン、東京海上日動、三井住友海上3社がおのおの抜き取り調査を実施した結果クロ判定。さすがにマズかろうということで、一斉にBM社への事故車両などの入庫誘導・紹介を停止しています。そりゃそうですね。 しかし、BM社が「(保険金の不正請求などの)疑いとなる事案は(担当した工場の)スキル不足や連携ミスによるもので、組織的な不正ではない」と回答し、それをうっかり信じた損保ジャパンが報告を受けた翌月22年7月には疑いは晴れたとばかりに入庫誘導を再開。あ、保険加入の件数を増やして売り上げが欲しかったんすね』、「BM社が「(保険金の不正請求などの)疑いとなる事案は(担当した工場の)スキル不足や連携ミスによるもので、組織的な不正ではない」と回答し、それをうっかり信じた損保ジャパンが報告を受けた翌月22年7月には疑いは晴れたとばかりに入庫誘導を再開」、「損保ジャパン」は保険契約欲しさに不正請求をまともに調べなかったようだ。
・『BM「調査報告書」その内容は? ・・・ただ、なにぶんBM社はBM社ですので、翌々月の9月には再び派手にやらかして工場長ら(当時)による会社ぐるみの組織的関与が告発され、これが発覚すると、損保ジャパンがまた入庫誘導を取りやめ。さすがにアカンやろということで、23年1月にBM社の中で第三者委員会が設置されるも、その報告書は一部が隠蔽された形でひっそりとBM社のサイトの中に掲載され、何事もなかったかのように騒ぎを黙殺し、スルーするタマホーム作戦に打って出ます』、「報告書は一部が隠蔽された形でひっそりとBM社のサイトの中に掲載され、何事もなかったかのように騒ぎを黙殺」、悪どいやり方だ。
・『どういう着地とするべき 不正請求問題にあたっては、東洋経済オンラインが22年8月から年末にかけて、BM社と損保ジャパンほかの問題について中村正毅さんが記事にしておりましたが、そこから約10か月かけて、ようやく代表取締役の辞任も含めた事後対応を軸とした記者会見と、国土交通省や金融庁からの怒られに発展することになります。 さらには、BM社が車両用部品や修繕において下請けで使っていた会社からの告発(下請法違反)や、本来取り扱う顧客の個人情報は自動車修理など特定業務を実施するためだけに使われるべきところ、不正に名簿屋などに売却されていた疑いなども取り沙汰され、内部通報制度に不備があったとの指摘も出たため、公正取引委員会や個人情報保護委員会、消費者庁マターの事案も出てきています。何というか、いまごろ出てきたオールスターな感じすらします。 もちろん、刑法詐欺罪での告訴が結成される被害弁護団から出されるとなれば、警察庁や法務省の話にもなり、本社のある六本木ヒルズに東京地検特捜部が段ボールもってやってくることもあり得ます。そのぐらい、熱量の高い事件となり大炎上前の焦げ臭さを強く感じます。 問題は、BM社に限って言うならば、本件はどう着地させるべきかになってきます』、「BM社が車両用部品や修繕において下請けで使っていた会社からの告発(下請法違反)や、本来取り扱う顧客の個人情報は自動車修理など特定業務を実施するためだけに使われるべきところ、不正に名簿屋などに売却されていた疑いなども取り沙汰され、内部通報制度に不備があったとの指摘も出たため、公正取引委員会や個人情報保護委員会、消費者庁マターの事案も出てきています。何というか、いまごろ出てきたオールスターな感じすらします」、なるほど。
・『少なくとも、2011年から現在まで26万台以上の再検査と補償が必要に かつて、大変な問題となった耐震偽装問題(2005年)では姉歯建築設計事務所とヒューザー社が断罪され、広く耐震偽装に関わったとされる一級建築士や建築事務所、建設会社の問題は不問とされ、その代わり、建築基準法が改正されて、実質的に問題に蓋がされましたが、こちらも建設と設計というプロが関わる仕事で起きた、利益優先の民間が適当にやった仕事の結果、業界全体が不信感に見舞われるという一件となりました。 この耐震偽装問題の根幹は、99年に建築確認申請制度において、建築設計における確認検査処分を民間確認検査機関に委譲できるようになったことです。これまで地方自治体に置かれた「建築主事」が携わる業務を、民間でもおこなえるように開放したため、本来なら疑われることがない前提で運用されていた 国土交通大臣認定の構造計算プログラムの改竄を行い、その改竄された計算結果で建築確認申請が承認されるという、民間委託あるあるが勃発した結果、4万棟以上とも言われる耐震偽装の疑いがある建築物があるのではないかと大きな騒動となったのです。) 同様に、今回のBM社の民間車検制度が実質的に悪用され、国土交通省が顔真っ赤になるのも当然です。また俺のお膝元で派手にやらかしやがって。車検なんてその辺で走ってる車全部が対象ですから、そこらじゅうで適当な感じで車検やっちったオンボロが走ってる可能性は否定できず、車検制度全体に対する不信感にならないように手当てをし、過去に遡及して、車検をやり直さなければならないかもしれません。 21年には車検制度の指定工場であったトヨタ系列の販売会社が不正車検を派手にやらかして、18年から21年までの違反行為の対象5,158台すべてが再検査の対象となったことを鑑みると、行政の公平性の観点から、BM社の不正車検が問題だとするならば少なくとも2011年から現在に至るまで年間26万台以上(もちろん廃車となった車両も含め)の再検査と補償が必要になります。 最後まで、BM社や創業家で当時経営者だった兼重宏行さん、宏一さん父子が今後民事刑事両面から責任を問われて最後まで再検査や補償を行うのかが見ものです。 やっちゃえ再検査。 これに関わった自動車整備士も、悪質なものは全員資格剥奪になってしまいます。大変なことだよねと思うんですが、そもそも車検できた車両を見てもいなかったレベルから意図的に部品を外すなどして不正に車検費用を請求したレベルまであらゆる犯罪のデパートになっていたことを考えれば、ケツ毛抜かれるまで追い込まれても仕方がないことなのかなと思います』、「21年には車検制度の指定工場であったトヨタ系列の販売会社が不正車検を派手にやらかして、18年から21年までの違反行為の対象5,158台すべてが再検査の対象となったことを鑑みると、行政の公平性の観点から、BM社の不正車検が問題だとするならば少なくとも2011年から現在に至るまで年間26万台以上(もちろん廃車となった車両も含め)の再検査と補償が必要になります」、大変だ。
・『今回一番損をしたのは… さらに、損害保険の保険金の不正請求に関しては、過去の事例では武富士事件(99年)やグッドウィル事件(07年)、商工ファンド事件(14年)と同様に、事件発生からの営業停止処分、そこから会社更生法申請後に、被害者への補償を充分にすることなく大金を持った創業者が資産を逃避させ、民事裁判で長く争われるも逃げ切られるという事案も想起されます。単に長年の悪事を暴くというだけでは駄目で、これらの悪質な経営を行った立役者から、過去やらかした分の責任を取らせて私財を吐き出させるまでが遠足ですよとも言えるのです。 BM社についても、豪邸がどうだとか、豪邸に生えている樹木に除草剤を撒けなどと中傷の対象になってしまっていますが、個人的には組織的関与を認めないまま経営から退いた創業者が、業界の信頼だけでなく行政の有りようまでも崩壊させた責任を取らず、被害者とも言える被保険者・普通の国民への賠償責任もきちんと担うことなく逃げ切られないようにするためにどうするべきか、というのは、強く問われなければならないと思うのです。 日頃あれだけ検査業務で銀行マンを奔走させている金融庁なのだから、さぞかしきちんと指導してくださるのは間違いないだろうと思うのですが、同様に、今回組織的関与が無かった、経営陣も知らなかったとぬけぬけと公言した損保ジャパンの詰め腹もきっちり取らせる必要があるのではないでしょうか。客観的に見て、お前ら嘘ばっかりついとるやろ。 今回の不正請求に関しては、実際のところ一番損をしたのは損保ジャパンではなく、損保ジャパンに加入していて問題を起こしていない一般契約者ということになるからです。まともな契約者・被保険者が、行政の怠慢とも言える損保会社のやらかしの犠牲者となることに他ならず、鎌倉幕府の伝統に基づいて族滅の処分を下して欲しいと願うところです。) 中古車市場については、前述の通り今回のBM社だけでなく他の大手2社でも程度の差はあれ同じようなことを繰り返していた疑いは強くあります。今回の問題が非常に厄介なのは、起きている事件それもこれも、自動車業界全体が大変革の真っただ中にあるからです。 今後EV自動車が増えていき、車がすべてコネクテッドになっていく将来の日本の自動車移動(モビリティ)環境において、シェアライドからスマートシティまで「どのようにして、国民が安心して自動車に乗り、できる限り少ない事故で安全に、少ないエネルギー消費にしていくのか」という業界全体のグランドデザインをどう国土交通省が描くつもりなのかという長期的なビジョンが求められています。 ぶっちゃけ、中国製EVバスが大量に市中に走ったり、軽自動車がすべてガソリンから電池に置き換わり、自動運転技術が確立してすべての車がネットに繋がるぞといったとき、自動車業界、モビリティ行政はどうなるのか。依存する電力インフラからネットへの接続、自動車の所有に関する問題にいたるまで、さまざまな問題が予見不能な状態で議論が重ねられているのがいまです。 この自動車整備や車検制度もさることながら、耐用年数が過ぎたらゴミ同然となる電池を乗せたEVが無価値になって中古車市場に流れてくるところでどうやって環境整備をするつもりなのかという話になるわけですよ』、「組織的関与を認めないまま経営から退いた創業者が、業界の信頼だけでなく行政の有りようまでも崩壊させた責任を取らず、被害者とも言える被保険者・普通の国民への賠償責任もきちんと担うことなく逃げ切られないようにするためにどうするべきか、というのは、強く問われなければならないと思うのです・・・今回組織的関与が無かった、経営陣も知らなかったとぬけぬけと公言した損保ジャパンの詰め腹もきっちり取らせる必要があるのではないでしょうか・・・耐用年数が過ぎたらゴミ同然となる電池を乗せたEVが無価値になって中古車市場に流れてくるところでどうやって環境整備をするつもりなのかという話になるわけですよ」、その通りだ。
・『支持率回復のチャンスカード到来? 一昨年、日本自動車整備振興会連合会が提出した資料などを見ていても、たぶん過渡的な環境で法的整備や人材育成をどうしていきましょうかという手探りの状態ですので、BM事件を機に、政府主導でも国交省でも構わないのでどーんと未来を見せて欲しいんですよね。 これらの課題は、いま何故か静かですが本来ならば岸田文雄政権が中心となって捌かなければならない問題のはずです。 本件こそ、国民生活の基盤に関わる問題であることは間違いございませんので、支持率回復のチャンスカード到来という発想で、どうか前のめりで岸田文雄さんにはご対応賜りたいと願う次第です』、いまや岸田政権にはそんな余裕はなくなっており、残念ながら殆ど期待できない。
第三に、8月15日付けPRESIDENT Onlineが掲載した小宮コンサルタンツ会長CEOの小宮 一慶氏による「まさかの生き残り計画も…四面楚歌BMに数百億円貸している"メガバンク"が悶絶する大人の事情 生殺与奪の権を持つ三井住友、広島、三菱UFJ、みずほ、中国は融資するのか」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/72803
・『自動車保険の保険金を不正に水増し請求していたBM。経営コンサルタントの小宮一慶さんは「同社の純利益は年150億~200億円と推測されるが、今後の業績悪化は必至。命運を握っているのは3メガバンクを含む銀行団の融資動向だ」という――』、興味深そうだ。
・『四面楚歌のBMの現状 ビッグモーター(以下、BM)の問題が大きく取り上げられています。修理に預けられた車を故意に傷つけ保険金を多く請求するという詐欺的行為や、店舗前の歩道にある街路樹を枯らせるなど言語道断と言っていい行為を繰り返していたわけで、経営コンサルタントとしてももちろん許せる話ではありません。そして、世間の大きな関心のひとつは、この後、BMの命運はどうなるのかということでしょう。今回は、財務状況などを勘案しながら、今後を占っていきたいと思います。 BMは上場していないため、正確な財務状況は分かりません。ここで説明するのは、あくまでも新聞やテレビで報道されている内容がベースで、その報道内容も推測の域を出ないことをあらかじめご了承ください。 まず、売上高ですが、昨年度で5800億円程度といわれています。そのうちの大半が中古車の販売です。記者会見で兼重宏行社長(当時)が修理部門を「2%程度」という話をしていましたが、売り上げの大部分(9割程度)が中古車販売で、残りが修理や保険販売などと考えられます。 中古車販売の利益率は車によって大きな差があると考えられますが、競争の激しい業界でもあり、おおむね15%から20%前後であると見られます。粗利率がその程度だと仮定すると、ざっくり1000億円程度を全事業から得ていると考えられます。 一方の経費ですが、従業員が正社員5000人、非正規従業員が1000人の合計6000人と同社ホームページにはあります。給料は比較的高いと言われており、正社員の年収が平均800万円、非正規社員の年収が500万円と仮定すれば、450億円程度の人件費がかかっていることになります。 また、よく見かけたテレビCMなど広告宣伝費も膨大な額、おそらく年間で数百億円程度に達するはずです。他に、店の維持費や賃借料、店舗設備などの減価償却費などを考えると、あくまで推測ですが、全体で700億から800億円程度の経費がかかっており、営業利益で200億から300億円程度と推測できます。税金を30%程度と考えると、純利益でざっくり150億円から、200億円程度と考えられ、営業キャッシュフローも同程度だと推測できます。つまり、1年でそれくらいのキャッシュフローは通常の営業活動で稼いでいたということです』、売上は「1000億円程度を全事業から得ている」、「営業利益で200億から300億円程度と推測」、「純利益でざっくり150億円から、200億円程度と考えられ、営業キャッシュフローも同程度」、まずまずだ。
・『急拡大のため3メガバンクなどから数百億円借り入れ BMは膨大な広告宣伝費を投じるとともに、店舗を急拡大することで業容を拡大していました。300店舗を超える店舗を擁しています。 店舗拡大には、土地の取得とともに、店舗建設の費用が必要となります。土地は賃借物件が多いと考えられますが、店舗は自前で立てる必要があります。また、拡大にともなう人件費の増加もあり、いずれにしても多額の資金が必要なことは言うまでもありません。 店舗展開で事業を拡張するビジネスモデルの場合には、店舗建設のためや中古車の在庫確保のために、先に資金が必要なことが多いのです。BMのホームページには、取引銀行として、三井住友、広島、三菱UFJ、みずほ、中国の各銀行名が取引銀行として記載されています。他にもあると記されています。通常は関係の深い順に記載することが多いので、これが融資順位に近いと考えられます。 山口県岩国市がスタートのBMですが、当初は地元の取引銀行で資金を賄っていたのが、業容拡大によりメガバンクなどと取引を拡大していったと考えられます。 融資残高を推測するのは難しいですが、3メガバンクを含むこれだけの銀行と取引があることを考えれば、数百億円規模の借り入れがあると考えて間違いはないでしょう。8月11日付けの日経朝刊では昨年9月末で600億円規模の借入れがあったとされています。 先にも述べましたが、店舗拡大をともなう業容の拡大を行う場合には、多額の設備投資資金が必要になるとともに、在庫の維持や人件費などの資金も必要となるため、数百億円規模の借り入れを今でも長短合わせてしていると推測できます。 つまり、のちに詳しく述べますが、同社の命運を握っているのは、各銀行の融資姿勢だと言えます』、「昨年9月末で600億円規模の借入れ」、「同社の命運を握っているのは、各銀行の融資姿勢」、なるほど。
・『生き残りをかけて中古車の買い取りに活路 評判の急激な悪化により、業績が大きく落ちていることは間違いありません。 具体的には、この状況でBMに修理や車検を出す人はいないでしょう。私の知り合いも、同社に車検に出したら、法外な費用を請求され、さんざん交渉しても一切それには応じず泣く泣く支払ったと言っていましたが、もともと評判が悪い同社に、今後修理や車検を持ち込む人はまずいないと考えられます。 さらに、損保各社も、深い関係を取りざたされている損保ジャパンはじめ、代理店契約の継続は難しいと考えられます。金融庁が調査に入っていますが、金融庁としてもある意味メンツがつぶされたわけですから、別に起こっている損保各社の談合問題も影響し、今後はBMと関わりを持たない方向で進むものと考えられます。 注目は、中古車の買い入れ、販売の事業です。このうち、この状況で中古車をBMから買う人も減少する、少なくとも当面は激減すると予想できます。さらに、中古車にローンをつけるリース会社も、BMとの関係を見直す動きが進んでおり、また、広告掲載も手控えの動きが出ていることともあいまって、中古車販売も当面は苦境に立たされることは間違いないでしょう。 中古車の買い取りはどうでしょうか。こちらも取り扱いは減ると考えられますが、ある程度はビジネスを維持できるかもしれません。買った後で値引かれるなどの苦情は出ているようですが、とにかく他社よりも数万円高い値段を提示すれば、車を売る人は一定数いると考えられます。 中古車市場はクレームの多い業界ですが、消費者からのクレームのうち約2割はビッグモーターに対するものだと言われています。違う見方をすれば、残りの8割は他社だということで、ある意味クレームが絶えないマーケットだと言えます。その点を考えれば、他社に持ち込んでも似たり寄ったりで、そうなると買い取り価格が大きな決定要素です。 この状況でBMは、生き残りをかけて中古車の買い取りに活路を見いだそうとするでしょう。その際には、買取り後の値引きなどクレームの極力回避とともに、他社より少し高い値段での買い取りを行う可能性もあり、そうであれば、業容は縮小するものの中古車買い取りの事業はある程度は継続できると考えます。 もちろん、買い取った中古車を自社店舗で売却することは難しくなっているので、オークションに出品することで売却を行うものと考えられます』、「他社より少し高い値段での買い取りを行う可能性もあり、そうであれば、業容は縮小するものの中古車買い取りの事業はある程度は継続できると考えます。 もちろん、買い取った中古車を自社店舗で売却することは難しくなっているので、オークションに出品することで売却を行う」、なるほど。
・『銀行の態度いかんで「生きるか死ぬか」が決まる こうした状況の中で、利益、そしてキャッシュフローの確保ができるかというのが最大の焦点ですが、業容が大きく落ちている中での利益確保はかなり難しいと考えます。先に説明したように、中古車の買い取りおよびそのオークションへの販売である程度のビジネスはやれると思いますが、これまでのような利益確保は到底望むべくもありません。 また、従業員の給与のかなりの部分は歩合だったらしく、その引き留めのために、今後は給与の補塡ほてんを行うとBMは言っています。辞めた従業員が同社のことを非難することも多く、それを避けたい意味合いもあると考えられますが、これも資金負担がかかります。 こういう点を考えれば、今後、銀行が融資を継続するかが焦点です。金融庁の保険を担当する部門と銀行を担当する部門はもちろん違いますが、金融庁は各取引行のBMに対する融資姿勢を厳しくチェックする可能性もあります。ただ、銀行としてはビッグモーターが破綻した場合には、十分な担保も取れていないでしょうから大きな損失が出るという問題があります。 こうした状況でBMの命運は取引銀行の融資姿勢にかかっていると言えますが、BMにとっては簡単な話ではないことは容易に想像がつきます。 8月10日にBMは都内で取り引きのある銀行団と会合を開き、8月半ばに期限を迎える借入金90億円の借り換えを要請したものの、銀行団はこれに応じない方針を伝えたとの報道がありました。 これを受けて、「犯罪行為をしたことが濃厚な会社にお金を貸さないでほしい」「反社的企業は救済しない、という判断を下すべき」といった声も上がっています。銀行も難しい選択を迫られています』、「銀行としてはビッグモーターが破綻した場合には、十分な担保も取れていないでしょうから大きな損失が出るという問題があります。 こうした状況でBMの命運は取引銀行の融資姿勢にかかっている・・・8月10日にBMは都内で取り引きのある銀行団と会合を開き、8月半ばに期限を迎える借入金90億円の借り換えを要請したものの、銀行団はこれに応じない方針を伝えたとの報道がありました」、なるほど。
・『兼重親子が保有する住宅などの財産を担保にするか こうした中、前社長と前副社長の兼重親子は、BMの経営から退きました。責任を取った形にはなっていますが、経営責任は法的には追及できないということです。兼重前社長が保有するビッグアセットという資産管理会社がBMの全株式を保有しており、議決権を確保したまま経営責任から逃れた形となっています。 ちろん、BM株の価値が落ちた場合には、かれらの資産価値は減りますが、それだけで終わりということになりかねません。現場で器物損壊などの刑法犯が大量に出る可能性があるにもかかわらずです。 銀行は、BMの資金繰りを助けるのに際して、ビッグアセットが保有する(つまり兼重親子が実質的に保有する)住宅などの財産を担保に入れることを要求するかもしれませんが、法的にはその義務はありません。 いずれにしても、今後の銀行のスタンスとBMの命運に注目です』、あとの記事にある「伊藤忠」がBMへのTOB検討」が最大の注目点だ。
第四に、9月6日付け文春オンライン「《ルールや方針が「BM化」》中古車販売業界第2位「ネクステージ」の不正を現役社員、元社員が続々告発!「BMよりエグい」「わざとタイヤをパンクさせて…」」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/65587
・『BMによる保険金の不正請求問題が明るみに出て、中古車販売業者に注目が集まる中、BMに次ぐ業界第2位「ネクステージ」でも同様の不正が横行している疑いがあることが「週刊文春」の取材でわかった。複数の現役社員、元社員が告発した。 ネクステージは中古車販売でBMに次ぐ業界第2位の大手企業だ。東証プライムに上場しており、売上高は2022年に4100億円を突破。この10年で10倍の成長を遂げている。車だけではなく、車両保険、タイヤ・ガラス保証、塗装など、さまざまな付帯サービスを販売している。 BM内で横行していた保険金の不正請求が大きな騒ぎになっていた先月、ネクステージは率先して社内調査を実施。「不正な案件は確認されなかった」と公表している。 ところが、同社の元社員はこう語る。 「不正がないなんてありえませんよ。なんならBMよりエグいことをしていましたから」 一体、どのような不正が行われているのか。代表的な事例の1つが“パンク不正”だ。現役の営業社員が明かす。 「保証サービスのひとつであるタイヤの無料交換はパンクしていることが条件。ですが中古車を買うとき、保証への加入を渋る客がいたら、保証を売るために『タイヤが古くなったら、パンクさせればいいんですよ』と客に“悪知恵”を吹き込む営業マンは非常に多かった。小さなことかもしれませんが、これは詐欺行為です」 タイヤを無料で交換する時でも整備の工賃代は別途かかり、それも売り上げとして計上できる。そのため、わざとタイヤをパンクさせたり、パンクしたように見せかける不正も横行していたという。 「太めのネジの頭だけを残してタイヤの上に載せれば、釘が刺さっているように見える。客には『パンクしていました』と写真を見せて報告し、新品のタイヤに交換する。これで工賃分数字が稼げる。無傷の古いタイヤは自分の懐に入れて、オークションで横流しするんです」』、「ネクステージは中古車販売でBMに次ぐ業界第2位の大手企業だ。東証プライムに上場しており、売上高は2022年に4100億円を突破。この10年で10倍の成長を遂げている。車だけではなく、車両保険、タイヤ・ガラス保証、塗装など、さまざまな付帯サービスを販売している・・・ネクステージは率先して社内調査を実施。「不正な案件は確認されなかった」と公表している。 ところが、同社の元社員はこう語る。 「不正がないなんてありえませんよ。なんならBMよりエグいことをしていましたから」 一体、どのような不正が行われているのか。代表的な事例の1つが“パンク不正”だ・・・タイヤが古くなったら、パンクさせればいいんですよ』と客に“悪知恵”を吹き込む営業マンは非常に多かった。小さなことかもしれませんが、これは詐欺行為・・・無傷の古いタイヤは自分の懐に入れて、オークションで横流しするんです」、BM同様に悪辣だ。
・『不正が蔓延する理由は「ビッグモーター化」? ネクステージでも不正が蔓延する理由について、10年以上勤める別の社員は「当たり前ですよ」と呆れて笑う。 「今の社長の浜脇浩次さんはBMで常務取締役まで務めた後にウチにヘッドハンティングされた。浜脇さんが入ってきた2016年頃からルールや方針が『ビッグモーター化』していった。そして、数字が全てだというおかしな社風になっていったんです」 現社長の浜脇氏は1993年にBMに入社。子会社の取締役を歴任した後、2016年に副社長としてネクステージに迎え入れられた。「BM仕込み」の経営手法で同社の右肩上がりの成長を牽引し、2022年には社長に就任している。 「週刊文春」に寄せられた現役社員らによる不正の告発。ネクステージの広報にひとつひとつ事実関係の確認を求めたところ、公式サイトに質問とそれに対する回答の全文を公表した』、「「今の社長の浜脇浩次さんはBMで常務取締役まで務めた後にウチにヘッドハンティングされた」、これではBM同様になるのは当然だ。
・『ネクステージが公開した「週刊文春」の“質問状” タイヤの交換については、「タイヤが古くなれば、パンクさせれば無料で新品に交換できます」というセールストークをしていたのは事実かという問いに対しては〈当該案件は(中略)当社内で把握しており、当時はこのようなセールストークを想定していなかったため、厳重注意のみで対応致しました〉〈以降は社内文書にて懲罰基準を明記、(中略)詐欺行為となる旨記載しております〉と回答した。 業界第2位のネクステージの内部で何が起こっているのか。 現在配信中の「週刊文春電子版」では、“パンク不正”に加え、社員の間で行われていた保険契約数の“売買”、不正の温床を作っている「あまりにきつい」ノルマ、元BM社員の評判と社内での言動、元BM社員が起こした“パワハラ騒動”など現役社員と元社員の告発を詳しく報じている』、問題はBMと同根のようだ。
第五に、12月8日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏による「BM買収に伊藤忠が意欲「最高年収5000万円」超高待遇社員はどうなる?大損もあり得る5大リスクとは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/335169
・『伊藤忠の岡藤会長が、「BM買収」に前向きなコメントをしたことが話題です。しかし、BMの買収には伊藤忠が大損を引き起こすかもしれない「5大リスク」があります。さらに「最高年収5000万円」の超高待遇社員にも変化が訪れるかもしれません』、興味深そうだ。
・『伊藤忠のBM買収は「5大リスク」を伴うもの 12月5日、伊藤忠商事の岡藤正広会長がメディアの前でBM買収について前向きなコメントを話したことが話題になっています。 「中古車市場のナンバーワン」「(BMの)5500人の人たちの雇用も守ってあげたいという気持ちもある」「リスクはあるがやりたい」といった言葉です。しかしその一方で、「買収のリスクもある」とも語っています。 BMについては、伊藤忠と子会社の伊藤忠エネクス、投資ファンドのJWPの3社が資産査定を行っていて、来年春までには何らかの判断が下る予定です。 会長が前向きだからといって買収の判断になるかどうかはわかりませんが、一般論としてあれだけの悪評判を広めてしまった会社を買収することで、伊藤忠が大損をすることはないのでしょうか? 実は、伊藤忠のBM買収には大損を招きかねない「5大リスク」があるのです』、「伊藤忠」は中国の政府系企業CITICと深い関係があるので、中国経済低迷の影響も受ける筈だが、そんなことはものともせずに、BMに色気を示すとは、さすが大商社だ。
・『伊藤忠が最初に直面するのは「訴訟問題」 5大リスクとは、(1)訴訟問題、(2)事業継続リスク、(3)レピュテーションリスク、(4)人と風土の問題、そして(5)買収価格です。それぞれ順番に検討していきたいと思います。 まずは、(1)の訴訟問題から。 これは、買収条件の問題です。ビッグモーターの創業家が訴訟問題も一緒に引き受けない限りは売却しないスタンスにあるのです。 伊藤忠が乗り出す前も、ガリバーとオリックスが買収を検討したのですが、買収条件が合わずに断念しました。その際には事業だけ、つまり営業権と人員、店舗・工場などの資産のみを買い取り、損害賠償の支払いなどの簿外債務の整理は既存のBMに残したままにする営業譲渡方式を求めたのですが、それが通らなかったというのが断念の理由です。 買収する側としては営業権だけ手に入れば都合がいいためそのような条件を提示したのですが、創業家としては破産リスクを抱えたくないわけです。 伊藤忠が「訴訟問題を引き受ける」という条件までのむかどうかが、注目点です。ただこの事件、アメリカなら訴訟リスクがどれだけ膨らむかわからないぐらいの事件ですが、日本国内の事件なので賠償額は過去の事例などからある程度概算できます。 さらに、伊藤忠の強力な弁護士軍団が相手になるとなれば、多少なりとも後ろ暗い気持ちのある損保ジャパンがきちんとは訴えづらくなるなど減額要素もありえます。 そう考えると、訴訟の問題はむしろ大幅な減額の交渉材料として考えてもよいのかもしれません。 仮に伊藤忠がこの条件をのみ、買収を成功させたとしましょう。すると、(2)の事業継続と(3)のレピュテーションリスクも一緒に抱えることになります。 この二つの点で誤算が生まれた場合、今回の買収で伊藤忠が大損をする可能性が高まります』、「伊藤忠が乗り出す前も、ガリバーとオリックスが買収を検討したのですが、買収条件が合わずに断念しました。その際には事業だけ、つまり営業権と人員、店舗・工場などの資産のみを買い取り、損害賠償の支払いなどの簿外債務の整理は既存のBMに残したままにする営業譲渡方式を求めたのですが、それが通らなかったというのが断念の理由です」、「ガリバーとオリックスが買収を検討したのですが、買収条件が合わずに断念」とは初めて知った。「仮に伊藤忠がこの条件をのみ、買収を成功させたとしましょう。すると、(2)の事業継続と(3)のレピュテーションリスクも一緒に抱えることになります。 この二つの点で誤算が生まれた場合、今回の買収で伊藤忠が大損をする可能性が高まります」、なるほど。
・『「事業継続」を成功させるスキームを再建する必要も あくまで頭の体操として、こんなスキームを考えてみましょう。伊藤忠がBMを買い取り、そのまま営業権だけを伊藤忠エネクスに売却したらどうなるでしょう。 これはジャニーズ問題のときと同じで、BMは訴訟や賠償を担当する会社として存続させ、営業権を譲渡された伊藤忠エネクスが中古車販売事業を担当する会社になるというスキームです。 店舗の看板はすべて「伊藤忠」に書き換えて営業を再開したら、中古車市場のシェアナンバーワンとしてのビジネスをその日から開始できるのではないかという考え方がベースになるのですが、もしそこに落とし穴があったとしたら…? BMは金融庁から保険代理店の資格を剥奪されていますし、国交省から34の整備工場に事業停止の行政処分が下されています。伊藤忠としては「営業権は買い取ったが別の会社だ」という主張が通らなければ、そもそも事業が再開できない可能性があるわけです。 ですから、国や損保各社と再建計画についてすり合わせをしておく必要があり、その感触次第ではゴーサインというわけにはいかないかもしれません』、「BMは金融庁から保険代理店の資格を剥奪されていますし、国交省から34の整備工場に事業停止の行政処分が下されています。伊藤忠としては「営業権は買い取ったが別の会社だ」という主張が通らなければ、そもそも事業が再開できない可能性があるわけです。 ですから、国や損保各社と再建計画についてすり合わせをしておく必要があり、その感触次第ではゴーサインというわけにはいかないかもしれません」、なるほど。
・『中身が変わったことを世間に示せなければ巨額の損失が生まれる大失敗に 仮にそれらの処分は伊藤忠の買収後に解消されるめどがたったとしても、顧客から見た評判を回復できるかどうかが、3番目のレピュテーションリスクでの課題です。 「あれは結局のところBMだろう」 と言われて顧客が戻ってこなければ、手に入れた人員、店舗・工場などがすべて負の資産へと形を変えてしまいます。 つまり、ただ看板を書き換えただけではなく、伊藤忠の買収によって中身も変わったことを世間に知らしめることができなければ、巨額の損失が生まれてしまうことになりかねないということです。 このレピュテーションリスクを回避するために重要なことは「変わった」ことを象徴する変化を起こすこと、そのわかりやすい例が著名なプロ経営者を招聘(しょうへい)することです。 伊藤忠では過去に、傘下のファミリーマートの経営を、元ファーストリテイリング副社長だったプロ経営者の澤田貴司氏に託したことがあります。それと同じぐらいのビッグネームを見つけてこなければ、BMの悪評判を覆すのは難しいかもしれません』、「「あれは結局のところBMだろう」 と言われて顧客が戻ってこなければ、手に入れた人員、店舗・工場などがすべて負の資産へと形を変えてしまいます。 つまり、ただ看板を書き換えただけではなく、伊藤忠の買収によって中身も変わったことを世間に知らしめることができなければ、巨額の損失が生まれてしまうことになりかねないということです。 このレピュテーションリスクを回避するために重要なことは「変わった」ことを象徴する変化を起こすこと、そのわかりやすい例が著名なプロ経営者を招聘することです」、なるほど。
・『平均年収1100万円、最高5000万円「超高待遇」社員たちをどうするか? そして伊藤忠にとって4番目の問題が、人と風土の問題です。BM事件のニュースで多くの人を驚かせたことが、社員の平均年収が1100万円、最高年収が5000万円と、今の日本経済の中では異常ともいえる高水準だったことです。 社員がまじめに頑張って業界首位の業績を上げた結果の高報酬であれば何の問題もないのですが、事実としては不正を行った結果の高業績や、パワハラを行ったことで昇進した人たちがいたわけで、そのような社員が全体でどれだけいるのかが外部からは計り知れないという問題があります。 それが幹部社員なのか、一般の社員なのかわかりませんが、新会社に移行させてはいけない人材も買収の過程で一部を伊藤忠は抱えることになる。ここを切り離すことができるかどうかが、新会社の課題です。 ここを失敗すると、新会社も風土としては不正やパワハラが横行する組織になってしまい、いかにカリスマプロ経営者を起用としたとしても、事業を崩壊させてしまう結果になりかねません。 このように3番目のレピュテーションリスクと4番目の人や風土の問題は表裏の問題で、ここを解決できる自信がなければ伊藤忠は買収に進むべきではないという判断を下すことになるでしょう』、「不正を行った結果の高業績や、パワハラを行ったことで昇進した人たちがいたわけで、そのような社員が全体でどれだけいるのかが外部からは計り知れないという問題があります・・・新会社に移行させてはいけない人材も買収の過程で一部を伊藤忠は抱えることになる。ここを切り離すことができるかどうかが、新会社の課題です。 ここを失敗すると、新会社も風土としては不正やパワハラが横行する組織になってしまい、いかにカリスマプロ経営者を起用としたとしても、事業を崩壊させてしまう結果になりかねません」、確かにその通りだ。
・『買収価格の折り合いをいかにつけるかが最大の関門 そして5番目の問題ですが、これだけ問題が多い、言い換えると難易度が高いM&A(企業の合併・買収)案件ですから、買収価格はある程度低く抑えなければ経済的に採算が合わない可能性があります。 この買収案件は、すべてがうまくいけば伊藤忠商事がモビリティー事業の川上であるガソリンなどのエネルギー事業から、川下の自動車販売へと進出するチャンスとなります。同時に最初から業界最大規模の営業資産を手に入れて、結果としてモビリティー事業のバリューチェーンを一気に拡大できる可能性のある案件です。成功すれば当然、大きなリターンがあります。 一方で、もし問題がクリアできなければ伊藤忠は今後長期間にわたって負の資産と向き合って、だらだらと損失を垂れ流し続けることになる。そのリスクを勘案すれば、買収価格は企業価値よりもかなり低く抑える必要があるはずです。 そのためには創業家側の苦境を測ったうえで、売りたくなるタイミングを見極める作戦が必要かもしれません。 オリックスが直面したように、ビッグモーターの創業家側には「売らない」という切り札があります。さらに「BMの事業自体には、伊藤忠以外の候補にとってもそれを欲しいという魅力がある」ことも創業家は知っているのです。 このように五つの問題を整理してみると、伊藤忠にとってはこの買収案件、容易ならざる案件になりそうです。 とはいえこのままで進んでいけば、BMの企業価値は徐々に失われていくことも確かな話。どこかで折り合いがつくのかどうか、ディール(取引)はこの先数カ月かけて出口を模索することになりそうです』、「BMの創業家側には「売らない」という切り札があります。さらに「BMの事業自体には、伊藤忠以外の候補にとってもそれを欲しいという魅力がある」ことも創業家は知っているのです。 このように五つの問題を整理してみると、伊藤忠にとってはこの買収案件、容易ならざる案件になりそうです。 とはいえこのままで進んでいけば、BMの企業価値は徐々に失われていくことも確かな話。どこかで折り合いがつくのかどうか、ディール(取引)はこの先数カ月かけて出口を模索することになりそうです」、確かに「この先数カ月かけて出口を模索」が要注目だ。
タグ:文春オンライン「《「やってもーたー」と嗤っている場合でもない》BMを中心とする中古車と損保の問題はどう着地させるべきか」 (その1)(《「やってもーたー」と嗤っている場合でもない》BMを中心とする中古車と損保の問題はどう着地させるべきか、まさかの生き残り計画も…四面楚歌BMに数百億円貸している"メガバンク"が悶絶する大人の事情 生殺与奪の権を持つ三井住友 広島 三菱UFJ みずほ 中国は融資するのか、《ルールや方針が「BM化」》中古車販売業界第2位「ネクステージ」の不正を現役社員、元社員が続々告発!「BMよりエグい」「わざとタイヤをパンクさせて…」、BM買収に伊藤忠が意欲「最高年収5000万円」超高待遇社員はど ビッグモーター 不祥事のオンパレードなので、「騒いで騒ぎ足りないってことは・・・無い」。 任意保険の付保も広がっている。 「損保ジャパンなど損保会社とBM社など事業者との間には、そもそも明確な利益相反の関係があるはずなのです・・・麗しいプロ同士の緊張感ある本番勝負があると信じるから、みんな癒着があったとは知らずに損保会社の入庫誘導に従っていたわけですよ・・・ 損保会社は新たな契約をBM社経由で獲得するために自社の事故案件では事故査定などをBM社で行うよう事故を起こした本人に強く要望し、その本人の車には「ここ壊れてたっス」とわざと傷をつけたりパンクさせたりするなどの鬼ヤバ査定を行い、さらにその本人に新たに「損保ジャパンの自動車保険どうスか」とお薦めするなどの癒着具合があったのだとするならば最悪です」、なるほど。 「BM社は保険金の不正請求と並んで民間車検制度でも問題を起こしていました。全国各地に自動車整備士を多数抱えており、23年3月には熊本県で、同6月には栃木県で不正車検が行われていたことが発覚した・・・民間車検制度をも大きく揺るがす問題の入り口だったのであって、これらの監督官庁である国土交通省からすれば、まさに一丁目一番地、やるべき行政対応の本丸とも言える大事な分野で起きた大変な事態である」、なるほど。 「一連のBM問題が世間的に着火すると、BM社だけでなく、ほかの中古車販売大手でもほぼ類似の不正請求や書類偽造、さらには不正車検を懸念させる公益通報が急増。似たようなことはどこでもしているのよという中森明菜少女A状態となっております」、なるほど。 「通報窓口などからの不正取引の相談は5年間で4万件以上にも上ると見られます(証拠が揃わず調査に着手できないなど、窓口が正式に受理できた件数は少数であるとも言われていますが)。言うなれば、10年以上前からBM社の適切とは言えない取引は業界の中でも知るところとなっていたが、なんとなく行政対応するべき機運が生まれずそのまま15年ぐらい経過しちゃった、ということになります」、とんでもない話だ。 「BM社が「(保険金の不正請求などの)疑いとなる事案は(担当した工場の)スキル不足や連携ミスによるもので、組織的な不正ではない」と回答し、それをうっかり信じた損保ジャパンが報告を受けた翌月22年7月には疑いは晴れたとばかりに入庫誘導を再開」、「損保ジャパン」は保険契約欲しさに不正請求をまともに調べなかったようだ。 「報告書は一部が隠蔽された形でひっそりとBM社のサイトの中に掲載され、何事もなかったかのように騒ぎを黙殺」、悪どいやり方だ。 「BM社が車両用部品や修繕において下請けで使っていた会社からの告発(下請法違反)や、本来取り扱う顧客の個人情報は自動車修理など特定業務を実施するためだけに使われるべきところ、不正に名簿屋などに売却されていた疑いなども取り沙汰され、内部通報制度に不備があったとの指摘も出たため、公正取引委員会や個人情報保護委員会、消費者庁マターの事案も出てきています。何というか、いまごろ出てきたオールスターな感じすらします」、なるほど。 「21年には車検制度の指定工場であったトヨタ系列の販売会社が不正車検を派手にやらかして、18年から21年までの違反行為の対象5,158台すべてが再検査の対象となったことを鑑みると、行政の公平性の観点から、BM社の不正車検が問題だとするならば少なくとも2011年から現在に至るまで年間26万台以上(もちろん廃車となった車両も含め)の再検査と補償が必要になります」、大変だ。 「組織的関与を認めないまま経営から退いた創業者が、業界の信頼だけでなく行政の有りようまでも崩壊させた責任を取らず、被害者とも言える被保険者・普通の国民への賠償責任もきちんと担うことなく逃げ切られないようにするためにどうするべきか、というのは、強く問われなければならないと思うのです・・・今回組織的関与が無かった、経営陣も知らなかったとぬけぬけと公言した損保ジャパンの詰め腹もきっちり取らせる必要があるのではないでしょうか・・・ 耐用年数が過ぎたらゴミ同然となる電池を乗せたEVが無価値になって中古車市場に流れてくるところでどうやって環境整備をするつもりなのかという話になるわけですよ」、その通りだ。 いまや岸田政権にはそんな余裕はなくなっており、残念ながら殆ど期待できない。 PRESIDENT ONLINE 小宮 一慶氏による「まさかの生き残り計画も…四面楚歌BMに数百億円貸している"メガバンク"が悶絶する大人の事情 生殺与奪の権を持つ三井住友、広島、三菱UFJ、みずほ、中国は融資するのか」 売上は「1000億円程度を全事業から得ている」、「営業利益で200億から300億円程度と推測」、「純利益でざっくり150億円から、200億円程度と考えられ、営業キャッシュフローも同程度」、まずまずだ。 「昨年9月末で600億円規模の借入れ」、「同社の命運を握っているのは、各銀行の融資姿勢」、なるほど。 「他社より少し高い値段での買い取りを行う可能性もあり、そうであれば、業容は縮小するものの中古車買い取りの事業はある程度は継続できると考えます。 もちろん、買い取った中古車を自社店舗で売却することは難しくなっているので、オークションに出品することで売却を行う」、なるほど。 「銀行としてはビッグモーターが破綻した場合には、十分な担保も取れていないでしょうから大きな損失が出るという問題があります。 こうした状況でBMの命運は取引銀行の融資姿勢にかかっている・・・8月10日にBMは都内で取り引きのある銀行団と会合を開き、8月半ばに期限を迎える借入金90億円の借り換えを要請したものの、銀行団はこれに応じない方針を伝えたとの報道がありました」、なるほど。 あとの記事にある「伊藤忠」がBMへのTOB検討」が最大の注目点だ。 文春オンライン「《ルールや方針が「BM化」》中古車販売業界第2位「ネクステージ」の不正を現役社員、元社員が続々告発!「BMよりエグい」「わざとタイヤをパンクさせて…」」 「ネクステージは中古車販売でBMに次ぐ業界第2位の大手企業だ。東証プライムに上場しており、売上高は2022年に4100億円を突破。この10年で10倍の成長を遂げている。車だけではなく、車両保険、タイヤ・ガラス保証、塗装など、さまざまな付帯サービスを販売している・・・ネクステージは率先して社内調査を実施。「不正な案件は確認されなかった」と公表している。 ところが、同社の元社員はこう語る。 「不正がないなんてありえませんよ。なんならBMよりエグいことをしていましたから」 一体、どのような不正が行われているのか。代表的な事例の1つが“パンク不正”だ・・・タイヤが古くなったら、パンクさせればいいんですよ』と客に“悪知恵”を吹き込む営業マンは非常に多かった。小さなことかもしれませんが、これは詐欺行為・・・無傷の古いタイヤは自分の懐に入れて、オークションで横流しするんです」、BM同様に悪辣だ。 「「今の社長の浜脇浩次さんはBMで常務取締役まで務めた後にウチにヘッドハンティングされた」、これではBM同様になるのは当然だ。 問題はBMと同根のようだ。 ダイヤモンド・オンライン 鈴木貴博氏による「BM買収に伊藤忠が意欲「最高年収5000万円」超高待遇社員はどうなる?大損もあり得る5大リスクとは」 「伊藤忠」は中国の政府系企業CITICと深い関係があるので、中国経済低迷の影響も受ける筈だが、そんなことはものともせずに、BMに色気を示すとは、さすが大商社だ。 「伊藤忠が乗り出す前も、ガリバーとオリックスが買収を検討したのですが、買収条件が合わずに断念しました。その際には事業だけ、つまり営業権と人員、店舗・工場などの資産のみを買い取り、損害賠償の支払いなどの簿外債務の整理は既存のBMに残したままにする営業譲渡方式を求めたのですが、それが通らなかったというのが断念の理由です」、 「ガリバーとオリックスが買収を検討したのですが、買収条件が合わずに断念」とは初めて知った。「仮に伊藤忠がこの条件をのみ、買収を成功させたとしましょう。すると、(2)の事業継続と(3)のレピュテーションリスクも一緒に抱えることになります。 この二つの点で誤算が生まれた場合、今回の買収で伊藤忠が大損をする可能性が高まります」、なるほど。 「BMは金融庁から保険代理店の資格を剥奪されていますし、国交省から34の整備工場に事業停止の行政処分が下されています。伊藤忠としては「営業権は買い取ったが別の会社だ」という主張が通らなければ、そもそも事業が再開できない可能性があるわけです。 ですから、国や損保各社と再建計画についてすり合わせをしておく必要があり、その感触次第ではゴーサインというわけにはいかないかもしれません」、なるほど。 「「あれは結局のところBMだろう」 と言われて顧客が戻ってこなければ、手に入れた人員、店舗・工場などがすべて負の資産へと形を変えてしまいます。 つまり、ただ看板を書き換えただけではなく、伊藤忠の買収によって中身も変わったことを世間に知らしめることができなければ、巨額の損失が生まれてしまうことになりかねないということです。 このレピュテーションリスクを回避するために重要なことは「変わった」ことを象徴する変化を起こすこと、そのわかりやすい例が著名なプロ経営者を招聘することです」、なるほど。 「不正を行った結果の高業績や、パワハラを行ったことで昇進した人たちがいたわけで、そのような社員が全体でどれだけいるのかが外部からは計り知れないという問題があります・・・新会社に移行させてはいけない人材も買収の過程で一部を伊藤忠は抱えることになる。ここを切り離すことができるかどうかが、新会社の課題です。 ここを失敗すると、新会社も風土としては不正やパワハラが横行する組織になってしまい、いかにカリスマプロ経営者を起用としたとしても、事業を崩壊させてしまう結果になりかねません」、確かにその通りだ。 「BMの創業家側には「売らない」という切り札があります。さらに「BMの事業自体には、伊藤忠以外の候補にとってもそれを欲しいという魅力がある」ことも創業家は知っているのです。 このように五つの問題を整理してみると、伊藤忠にとってはこの買収案件、容易ならざる案件になりそうです。 とはいえこのままで進んでいけば、BMの企業価値は徐々に失われていくことも確かな話。どこかで折り合いがつくのかどうか、ディール(取引)はこの先数カ月かけて出口を模索することになりそうです」、確かに「この先数カ月かけて出口を模索」が要注目