鉄道(その11)(富士山登山鉄道「LRTありきでない」発言の矛盾 水面下では事業化に向け専門家会合が同時進行、開業後どうなった?2023年誕生「新路線」の通信簿 宇都宮ライトレールや七隈線は予想以上の好調) [産業動向]
鉄道については、本年9月1日に取上げた。今日は、(その11)(富士山登山鉄道「LRTありきでない」発言の矛盾 水面下では事業化に向け専門家会合が同時進行、開業後どうなった?2023年誕生「新路線」の通信簿 宇都宮ライトレールや七隈線は予想以上の好調)である。
先ずは、本年12月4日付け東洋経済オンライン「富士山登山鉄道「LRTありきでない」発言の矛盾 水面下では事業化に向け専門家会合が同時進行」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/718700
・『富士山のふもとと5合目を結ぶ自動車道路・富士スバルライン上に軌道を整備して、富士山にLRT(軽量軌道交通)の車両を走らせるという「富士山登山鉄道構想」が山梨県で進められている。これに対し、スバルライン5合目の所在地である富士吉田市の堀内茂市長は「電気バスで十分」と反対、「そもそも地元への説明なしに進めているのがおかしい」と批判する。 合意形成を急ぐ長崎幸太郎知事は地元自治体向けの説明会を始めた。その第1弾は11月21日の山中湖村。さらに2024年1月にかけて忍野村、鳴沢村などでも開催する。とくに2回目の説明会となった11月23日は富士吉田市内で行われ、堀内市長も住民の1人として説明会に参加するとあって、がぜん盛り上がりを見せた』、「とくに2回目の説明会となった11月23日は富士吉田市内で行われ、堀内市長も住民の1人として説明会に参加するとあって、がぜん盛り上がりを見せた」、なるほど。
・『富士山「世界遺産の地位喪失」の危機 当日、会場となったふじさんホールにやってきた住民の数はおよそ780人。会場はほぼ満席で後方には立ち見客も出るほど。説明会は定刻の16時にスタートし、冒頭から約45分は知事が登山鉄道構想について説明した。 知事はまず、かなり長い時間をかけて現在の富士山が置かれた状況について説明した。アメリカのCNN、フランスのAFP、イギリスのロイターといった海外メディアの報道を引き合いに、弾丸登山が登山者を危険にさらしていることや、登山道沿いの汚れたトイレやゴミの山で「世界遺産の地位喪失」の危機に直面しているとした。) こんなエピソードも紹介された。富士山は2013年に世界文化遺産として登録されたが、登録に際して「人が多く来訪者のコントロールが必要」とユネスコの諮問機関であるイコモスから注文を付けられていた。登録前年となる2012年のの5合目来訪者数は231万人だったが、2019年には506万人に増えた。来訪者は減るどころか2倍以上になった。イコモスが求めるコントロールがまったくできていない。 さらに、今夏にイタリアが気候変動やオーバーツーリズムからベネチアを守る努力が足りないとして、ベネチアを危機遺産に登録するかどうかをめぐって協議されたことも話題となった。「富士山がそうならないよう、私たちは最悪の場合に備えてあらかじめ手を打つ必要がある」(長崎知事)。 富士山の現状に関する説明に続き、知事は会場に2つの同意を求めた。「富士山が地元の宝、日本の宝であるということに対して、私たちの間に意識の違いはないと思う」、「富士山の世界文化遺産としての価値を後世に引き継がないといけないということに反対する人はいないと思う」。知事が会場に対して「これらの点において私たちとみなさんは共通している。いかがでしょうか」と問うと大きな拍手が起きた』、「登録に際して「人が多く来訪者のコントロールが必要」とユネスコの諮問機関であるイコモスから注文を付けられていた。登録前年となる2012年のの5合目来訪者数は231万人だったが、2019年には506万人に増えた。来訪者は減るどころか2倍以上になった。イコモスが求めるコントロールがまったくできていない。 さらに、今夏にイタリアが気候変動やオーバーツーリズムからベネチアを守る努力が足りないとして、ベネチアを危機遺産に登録するかどうかをめぐって協議されたことも話題となった。「富士山がそうならないよう、私たちは最悪の場合に備えてあらかじめ手を打つ必要がある」・・・」、私は「富士山」が「世界遺産」から外されても、鉄道建設には絶対反対だ。
・『電気バスにも「大いに関心がある」 登山鉄道構想の反対派も拍手をしたかどうかはわからない。しかし、富士山が日本の宝であり、その価値を守らなくてはいけないという理念に反対する人はいないだろう。その点において、知事は登山鉄道構想の賛成派と反対派の共通認識を明確にすることには成功した。 「ではどうやって共通の目標を実現するか。その方法を議論したい」として、知事が「県の案」として持ち出したのが登山鉄道構想である。その内容は9月19日付記事(富士山「登山鉄道」、山梨県がこだわる真の理由)にあるとおりだが、それだけではなく、「LRTは街中にも延ばせる」として、富士山麓から山口湖や河口湖方面への延伸の可能性についても付け加えた。1400億円とされる総事業費については、「すべて県が負担するわけではない」として、国の補助金や民間企業の参加を示唆した。 電気バスについては「大いに関心がある」としつつも、「ゆったりした眺望や会話を楽しめる座席空間、食事など車両でしか体験できないサービス、シンボル性」という点でバスよりもLRTのほうが優れているとした。最後に、知事は「あくまで提案であり、もっとよいアイデアはあるはず。ご関心のある人といっしょに考えて最善のアイデアを作り上げたい」と発言し、説明の内容を締めくくった。 その後は、会場の参加者との質疑応答に移った。すべての質問は知事が自ら回答した。堀内市長が会場から質問することはなかったため、知事と市長の直接対決を見たかった人は肩すかしをくらったことになるが、県と市は富士山のオーバーツーリズム対策で協力関係を築いていることもあり、あからさまな対決は避けたのだろう。大人の対応だ』、「電気バスについては「大いに関心がある」としつつも、「ゆったりした眺望や会話を楽しめる座席空間、食事など車両でしか体験できないサービス、シンボル性」という点でバスよりもLRTのほうが優れているとした」、「電気バス」の優先順位は低いようだ。
・『地元住民「本当の議論をしていない」 気になった会場からの質問とそれに対する知事の回答をいくつか挙げてみる。たとえば、LRTの運賃が1万円というのは高すぎるという質問が出た。知事は「県民は1万円でなくてもいい。無料にすることも考えられる」と回答した。しかし、国費投入を想定するプロジェクトであることを考えれば、山梨県民が無料でそれ以外の日本国民が1万円というのは虫がよすぎる。あくまで地元向けのリップサービスと理解したい。 世界文化遺産登録が抹消されたらどんな影響があるかという質問もあった。知事は「想像もつかない。調べてみる」と回答した。登録抹消とは世界中から「富士山の価値を守っていない」と非難されることを意味するのだからそれを望む人はいないだろう。しかし、世界遺産登録が富士山の来訪者増に拍車をかけたのは間違いなく、登録が抹消されると登山者数は減り、オーバーツーリズムの問題も解消されるかもしれない。その意味では問題の本質を突く”怖い”質問だった。 「地元には反対意見が多いと思う。それは本当の議論をしていないからだ」という地元住民からの発言もあった。これはまったくそのとおり。県はあらゆる交通モードを比較検討してLRTが最善だと判断を下したというが、その過程で地元への説明が行われていなかった。それだけに、なんの議論もなくいきなりLRTという案が出てきたことに不信感を抱く地元住民は少なくない。知事は「今日は議論の始まりだ。LRTはあくまで1つのアイデアだ」と返した。) 数多くの質疑応答の中でも、知事は「これからみなさんといっしょに考えていきたい」と何度も繰り返した。その意味で「鉄道ありきではない」ことを宣言する説明会だったともいえる。 ところが、水面下では大学教授、JR職員など専門家による「富士山登山鉄道構想事業化検討会」が設けられており、事業面、技術面の課題を洗い出し、構想を事業化レベルまで引き上げるための検討が進められている。その第1回の会合が10月30日に都内で行われた。今後も議論を重ね、今年度末をめどに報告書をまとめる予定だ』、「富士山登山鉄道構想事業化検討会」は秘密会なのだろうか。「報告書をまとめる」前に検討状況を開示すべきだ。
・『本当に「鉄道ありきでない」のか 第1回会合の後、県で富士山登山鉄道推進事業を担当する和泉正剛知事政策局次長に「登山鉄道構想の事業化に関する研究を進めているということは、結局のところ”鉄道ありき、LRTありき”ということなのか」と尋ねると、「LRTありきではない。現実的かつ具体的な提案が出れば検討する」という返答があった。とはいえ、「登山鉄道構想事業化検討会」という名前の検討会で、委員が電気バスなど鉄道以外の交通モードについて提案するということは考えにくい。 また、知事が今後行う説明会の質疑応答の場で会場からほかの交通モードの検討を求める発言があったとして、知事がそれを「現実かつ具体的な提案」と認めるかどうか。知事は地域住民と「議論をしたい」「いっしょに考えていきたい」というが、それはどのような形を指すのだろう。少なくとも今回のような説明会で議論をしたり、いっしょに考えたりすることは難しい。 LRTと電気バスのどちらがふさわしいのかはさておき、知事が「鉄道ありきではない」というなら、今後についてはそれを前提に進めていくべきだ。山梨県の組織図を見ると、知事政策局の中に「富士山登山鉄道推進グループ」という部署がある。こういう部署があること自体、「鉄道ありきではない」という発言と矛盾している。本当に知事が「鉄道ありきではない」と考えているなら、この部署名を変えることが先決だろう』、「本当に知事が「鉄道ありきではない」と考えているなら、この部署名を変えることが先決だろう」、その通りだ。
次に、12月30日付け東洋経済オンライン「開業後どうなった?2023年誕生「新路線」の通信簿 宇都宮ライトレールや七隈線は予想以上の好調」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/722179
・『2023年の鉄道界は、新幹線の開業のような「大物」はなかったものの、地域の交通や鉄道ネットワークの姿を変える注目すべき新路線の開業や延伸があった。 3月18日には、東急電鉄東横線・目黒線と相模鉄道(相鉄)線を新横浜駅経由で結ぶ「相鉄・東急新横浜線」が開業。同月27日には、福岡市地下鉄七隈線が従来の終点だった天神南駅から博多駅まで延伸した。そして8月26日には、日本初の全線新設LRT(次世代型路面電車)として、栃木県宇都宮市と隣接する芳賀町を結ぶ「芳賀・宇都宮LRT」(ライトライン)が走り始めた。 地域の期待を集めて開業した各線。「その後」の姿はどうなっているのだろうか』、「その後」の姿をフォローする意味は大きい。
・『予想を下回る新横浜線 首都圏の鉄道ネットワークに新たな変化をもたらしたのが、相鉄・東急直通線だ。2023年3月に新規開業したのは、東急線の日吉駅から新横浜駅を経て、相鉄線の羽沢横浜国大駅までの約10km。東急線側の日吉―新横浜間を「東急新横浜線」、相鉄線側は新横浜―羽沢横浜国大間と、2019年に開業した同駅―西谷間を合わせて「相鉄新横浜線」と呼ぶ。 新規に開業した区間は約10km。これによって相鉄線と東急東横線・目黒線、そして両線に直通する東京メトロ副都心線・東武東上線、メトロ南北線・埼玉高速鉄道、都営地下鉄三田線を結ぶ直通運転がスタートした。直接の乗り入れはないものの、東横線と副都市線を介して線路のつながる西武鉄道を含めると、神奈川・東京・埼玉の1都2県にまたがる7社局14路線、計約250kmにおよぶネットワークが誕生した。 新横浜駅を経由することから、東海道新幹線へのアクセス路線としても注目される同線。JR東海も新横浜駅6時03分発の臨時「のぞみ」を新設し、東京駅や品川駅の始発列車よりも大阪方面へ早く着けることをPRしている。 では、開業後の利用実態はどうか。相鉄ホールディングスの2023年度第2四半期決算発表時の資料によると、相鉄新横浜線の輸送人員は2023年度上期の計画が1日当たり約8万4000人だったのに対し、実績は約7.9万人と計画値を下回る結果となった。東急新横浜の輸送人員は第2四半期までの実績が約1340万人で、こちらも計画を約3割下回っている。 相鉄にとっては2019年11月開業の「相鉄・JR直通線」に次ぐ2つ目の都心直通ルート、東急にとっては東海道新幹線と接続する新横浜へのアクセス路線として期待を集めて開業した相鉄・東急新横浜線。定期外客の利用は堅調というが、定期客の利用が定着するまでにはまだ時間がかかりそうだ』、「相鉄新横浜線の輸送人員は2023年度上期の計画が1日当たり約8万4000人だったのに対し、実績は約7.9万人と計画値を下回る結果・・・東急新横浜の輸送人員は第2四半期までの実績が約1340万人で、こちらも計画を約3割下回っている」、「定期客」の利用が思わしくないようだが、この要因はもっとじっくり分析する必要がありそうだ。
・『大混雑の七隈線、予測上回る宇都宮LRT 一方、好調なのが3月27日に天神南―博多間約2kmが延伸開業した福岡市地下鉄七隈線だ。同線は2005年2月に福岡市西南部の橋本と天神南を結ぶ約12kmが開業。東京の都営地下鉄大江戸線や大阪メトロ長堀鶴見緑地線などと同じ、リニアモーター駆動によってレールの上を車輪で走る「鉄輪式リニアモーター」の地下鉄で、JR在来線などの一般的な車両と比べてやや小ぶりな電車が4両編成で走る。 同線は開業以来、輸送人員が予想を大きく下回る状態が続いていた。当初の1日平均乗車人員の目標値は11万人だったが、2005年4月の1日平均乗車人員は約4万6000人と4割程度で、その後も低迷。天神南駅が繁華街である天神地区の中心から外れており、福岡市地下鉄空港線や西日本鉄道(西鉄)天神大牟田線の駅とも離れていることなどが要因だったとみられる。 だが、博多駅への直結で利用者数は急増。3月に1日当たり約7万5000人だった輸送人員は、延伸開業後の4月には約12万人と一気に1.6倍に。混雑の緩和が課題として急浮上し、8月にはダイヤ改正を実施してラッシュ時の列車を増便するまでになった。約2kmの延伸が大変貌をもたらした。) 8月26日には、栃木県宇都宮市と芳賀町に、LRT(次世代型路面電車)「芳賀・宇都宮LRT」(ライトライン)が開業した。同線はJR宇都宮駅東口から市内の清原工業団地などを経由し、隣接する芳賀町の芳賀・高根沢工業団地まで約15kmを結ぶ。 日本で初めて全線を新設したLRTとしても話題を呼んだ同線。開業初年度の需要予測は平日が1日当たり約1万2800人、休日は約4400人だったが、開業後1カ月の実績は平日がほぼ同程度の一方、休日は1万5000~1万6000人と大幅に予測を上回った。その後も利用は堅調で、11月15日には開業以来の累計利用者数が100万人に達した。 建設費の度重なる増加などで批判を受けたものの、クルマ社会の宇都宮で好調な滑り出しを見せているLRT。開業後の熱気が一段落する2024年からが本番といえる。今後はさらなる増発や快速運転の実施予定なども注目される』、「宇都宮」「LRT」の2024の「本番」が注目される。
・『2024年は北陸新幹線と北急(2024年も新たな路線が開業する。「目玉」となるのは、3月16日に開業する北陸新幹線の金沢(石川県)―敦賀(福井県)間だ。同区間は約125kmで、福井駅や敦賀駅など6駅を新設。東京―福井間は最短で2時間51分と、従来の北陸新幹線・在来線乗り継ぎに比べて約30分短縮される。 初の新幹線開業となる福井県は「100年に1度のチャンス」として、観光振興などに期待を寄せる。一方で並行在来線は第三セクターに分離され、関西方面とを結ぶ在来線特急は敦賀止まりとなり、乗り換えを強いられることになる。 もう1つは北陸新幹線の1週間後、3月23日に開業する北大阪急行電鉄(大阪府)の千里中央―箕面萱野(みのおかやの)間約2.5kmだ。同線は大阪の大動脈、大阪メトロ御堂筋線に直通して一体的に運行しており、箕面市内から新大阪や梅田、難波などへ1本でアクセス可能となる。 新路線の開業は鉄道界にとって明るい話題だが、重要なのは「その後」だ。2023年開業の路線はおおむね好調に推移しているといえる。2024年開業の路線は期待通りの効果を生み出せるか』、「北陸新幹線の金沢―敦賀・・・間だ。同区間は約125kmで、福井駅や敦賀駅など6駅を新設。東京―福井間は最短で2時間51分と、従来の北陸新幹線・在来線乗り継ぎに比べて約30分短縮される、これは便利そうだ。「北大阪急行電鉄・・・の千里中央―箕面萱野・・・間約2.5kmだ。同線は大阪の大動脈、大阪メトロ御堂筋線に直通して一体的に運行しており、箕面市内から新大阪や梅田、難波などへ1本でアクセス可能となる」、これも注目路線だ。
先ずは、本年12月4日付け東洋経済オンライン「富士山登山鉄道「LRTありきでない」発言の矛盾 水面下では事業化に向け専門家会合が同時進行」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/718700
・『富士山のふもとと5合目を結ぶ自動車道路・富士スバルライン上に軌道を整備して、富士山にLRT(軽量軌道交通)の車両を走らせるという「富士山登山鉄道構想」が山梨県で進められている。これに対し、スバルライン5合目の所在地である富士吉田市の堀内茂市長は「電気バスで十分」と反対、「そもそも地元への説明なしに進めているのがおかしい」と批判する。 合意形成を急ぐ長崎幸太郎知事は地元自治体向けの説明会を始めた。その第1弾は11月21日の山中湖村。さらに2024年1月にかけて忍野村、鳴沢村などでも開催する。とくに2回目の説明会となった11月23日は富士吉田市内で行われ、堀内市長も住民の1人として説明会に参加するとあって、がぜん盛り上がりを見せた』、「とくに2回目の説明会となった11月23日は富士吉田市内で行われ、堀内市長も住民の1人として説明会に参加するとあって、がぜん盛り上がりを見せた」、なるほど。
・『富士山「世界遺産の地位喪失」の危機 当日、会場となったふじさんホールにやってきた住民の数はおよそ780人。会場はほぼ満席で後方には立ち見客も出るほど。説明会は定刻の16時にスタートし、冒頭から約45分は知事が登山鉄道構想について説明した。 知事はまず、かなり長い時間をかけて現在の富士山が置かれた状況について説明した。アメリカのCNN、フランスのAFP、イギリスのロイターといった海外メディアの報道を引き合いに、弾丸登山が登山者を危険にさらしていることや、登山道沿いの汚れたトイレやゴミの山で「世界遺産の地位喪失」の危機に直面しているとした。) こんなエピソードも紹介された。富士山は2013年に世界文化遺産として登録されたが、登録に際して「人が多く来訪者のコントロールが必要」とユネスコの諮問機関であるイコモスから注文を付けられていた。登録前年となる2012年のの5合目来訪者数は231万人だったが、2019年には506万人に増えた。来訪者は減るどころか2倍以上になった。イコモスが求めるコントロールがまったくできていない。 さらに、今夏にイタリアが気候変動やオーバーツーリズムからベネチアを守る努力が足りないとして、ベネチアを危機遺産に登録するかどうかをめぐって協議されたことも話題となった。「富士山がそうならないよう、私たちは最悪の場合に備えてあらかじめ手を打つ必要がある」(長崎知事)。 富士山の現状に関する説明に続き、知事は会場に2つの同意を求めた。「富士山が地元の宝、日本の宝であるということに対して、私たちの間に意識の違いはないと思う」、「富士山の世界文化遺産としての価値を後世に引き継がないといけないということに反対する人はいないと思う」。知事が会場に対して「これらの点において私たちとみなさんは共通している。いかがでしょうか」と問うと大きな拍手が起きた』、「登録に際して「人が多く来訪者のコントロールが必要」とユネスコの諮問機関であるイコモスから注文を付けられていた。登録前年となる2012年のの5合目来訪者数は231万人だったが、2019年には506万人に増えた。来訪者は減るどころか2倍以上になった。イコモスが求めるコントロールがまったくできていない。 さらに、今夏にイタリアが気候変動やオーバーツーリズムからベネチアを守る努力が足りないとして、ベネチアを危機遺産に登録するかどうかをめぐって協議されたことも話題となった。「富士山がそうならないよう、私たちは最悪の場合に備えてあらかじめ手を打つ必要がある」・・・」、私は「富士山」が「世界遺産」から外されても、鉄道建設には絶対反対だ。
・『電気バスにも「大いに関心がある」 登山鉄道構想の反対派も拍手をしたかどうかはわからない。しかし、富士山が日本の宝であり、その価値を守らなくてはいけないという理念に反対する人はいないだろう。その点において、知事は登山鉄道構想の賛成派と反対派の共通認識を明確にすることには成功した。 「ではどうやって共通の目標を実現するか。その方法を議論したい」として、知事が「県の案」として持ち出したのが登山鉄道構想である。その内容は9月19日付記事(富士山「登山鉄道」、山梨県がこだわる真の理由)にあるとおりだが、それだけではなく、「LRTは街中にも延ばせる」として、富士山麓から山口湖や河口湖方面への延伸の可能性についても付け加えた。1400億円とされる総事業費については、「すべて県が負担するわけではない」として、国の補助金や民間企業の参加を示唆した。 電気バスについては「大いに関心がある」としつつも、「ゆったりした眺望や会話を楽しめる座席空間、食事など車両でしか体験できないサービス、シンボル性」という点でバスよりもLRTのほうが優れているとした。最後に、知事は「あくまで提案であり、もっとよいアイデアはあるはず。ご関心のある人といっしょに考えて最善のアイデアを作り上げたい」と発言し、説明の内容を締めくくった。 その後は、会場の参加者との質疑応答に移った。すべての質問は知事が自ら回答した。堀内市長が会場から質問することはなかったため、知事と市長の直接対決を見たかった人は肩すかしをくらったことになるが、県と市は富士山のオーバーツーリズム対策で協力関係を築いていることもあり、あからさまな対決は避けたのだろう。大人の対応だ』、「電気バスについては「大いに関心がある」としつつも、「ゆったりした眺望や会話を楽しめる座席空間、食事など車両でしか体験できないサービス、シンボル性」という点でバスよりもLRTのほうが優れているとした」、「電気バス」の優先順位は低いようだ。
・『地元住民「本当の議論をしていない」 気になった会場からの質問とそれに対する知事の回答をいくつか挙げてみる。たとえば、LRTの運賃が1万円というのは高すぎるという質問が出た。知事は「県民は1万円でなくてもいい。無料にすることも考えられる」と回答した。しかし、国費投入を想定するプロジェクトであることを考えれば、山梨県民が無料でそれ以外の日本国民が1万円というのは虫がよすぎる。あくまで地元向けのリップサービスと理解したい。 世界文化遺産登録が抹消されたらどんな影響があるかという質問もあった。知事は「想像もつかない。調べてみる」と回答した。登録抹消とは世界中から「富士山の価値を守っていない」と非難されることを意味するのだからそれを望む人はいないだろう。しかし、世界遺産登録が富士山の来訪者増に拍車をかけたのは間違いなく、登録が抹消されると登山者数は減り、オーバーツーリズムの問題も解消されるかもしれない。その意味では問題の本質を突く”怖い”質問だった。 「地元には反対意見が多いと思う。それは本当の議論をしていないからだ」という地元住民からの発言もあった。これはまったくそのとおり。県はあらゆる交通モードを比較検討してLRTが最善だと判断を下したというが、その過程で地元への説明が行われていなかった。それだけに、なんの議論もなくいきなりLRTという案が出てきたことに不信感を抱く地元住民は少なくない。知事は「今日は議論の始まりだ。LRTはあくまで1つのアイデアだ」と返した。) 数多くの質疑応答の中でも、知事は「これからみなさんといっしょに考えていきたい」と何度も繰り返した。その意味で「鉄道ありきではない」ことを宣言する説明会だったともいえる。 ところが、水面下では大学教授、JR職員など専門家による「富士山登山鉄道構想事業化検討会」が設けられており、事業面、技術面の課題を洗い出し、構想を事業化レベルまで引き上げるための検討が進められている。その第1回の会合が10月30日に都内で行われた。今後も議論を重ね、今年度末をめどに報告書をまとめる予定だ』、「富士山登山鉄道構想事業化検討会」は秘密会なのだろうか。「報告書をまとめる」前に検討状況を開示すべきだ。
・『本当に「鉄道ありきでない」のか 第1回会合の後、県で富士山登山鉄道推進事業を担当する和泉正剛知事政策局次長に「登山鉄道構想の事業化に関する研究を進めているということは、結局のところ”鉄道ありき、LRTありき”ということなのか」と尋ねると、「LRTありきではない。現実的かつ具体的な提案が出れば検討する」という返答があった。とはいえ、「登山鉄道構想事業化検討会」という名前の検討会で、委員が電気バスなど鉄道以外の交通モードについて提案するということは考えにくい。 また、知事が今後行う説明会の質疑応答の場で会場からほかの交通モードの検討を求める発言があったとして、知事がそれを「現実かつ具体的な提案」と認めるかどうか。知事は地域住民と「議論をしたい」「いっしょに考えていきたい」というが、それはどのような形を指すのだろう。少なくとも今回のような説明会で議論をしたり、いっしょに考えたりすることは難しい。 LRTと電気バスのどちらがふさわしいのかはさておき、知事が「鉄道ありきではない」というなら、今後についてはそれを前提に進めていくべきだ。山梨県の組織図を見ると、知事政策局の中に「富士山登山鉄道推進グループ」という部署がある。こういう部署があること自体、「鉄道ありきではない」という発言と矛盾している。本当に知事が「鉄道ありきではない」と考えているなら、この部署名を変えることが先決だろう』、「本当に知事が「鉄道ありきではない」と考えているなら、この部署名を変えることが先決だろう」、その通りだ。
次に、12月30日付け東洋経済オンライン「開業後どうなった?2023年誕生「新路線」の通信簿 宇都宮ライトレールや七隈線は予想以上の好調」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/722179
・『2023年の鉄道界は、新幹線の開業のような「大物」はなかったものの、地域の交通や鉄道ネットワークの姿を変える注目すべき新路線の開業や延伸があった。 3月18日には、東急電鉄東横線・目黒線と相模鉄道(相鉄)線を新横浜駅経由で結ぶ「相鉄・東急新横浜線」が開業。同月27日には、福岡市地下鉄七隈線が従来の終点だった天神南駅から博多駅まで延伸した。そして8月26日には、日本初の全線新設LRT(次世代型路面電車)として、栃木県宇都宮市と隣接する芳賀町を結ぶ「芳賀・宇都宮LRT」(ライトライン)が走り始めた。 地域の期待を集めて開業した各線。「その後」の姿はどうなっているのだろうか』、「その後」の姿をフォローする意味は大きい。
・『予想を下回る新横浜線 首都圏の鉄道ネットワークに新たな変化をもたらしたのが、相鉄・東急直通線だ。2023年3月に新規開業したのは、東急線の日吉駅から新横浜駅を経て、相鉄線の羽沢横浜国大駅までの約10km。東急線側の日吉―新横浜間を「東急新横浜線」、相鉄線側は新横浜―羽沢横浜国大間と、2019年に開業した同駅―西谷間を合わせて「相鉄新横浜線」と呼ぶ。 新規に開業した区間は約10km。これによって相鉄線と東急東横線・目黒線、そして両線に直通する東京メトロ副都心線・東武東上線、メトロ南北線・埼玉高速鉄道、都営地下鉄三田線を結ぶ直通運転がスタートした。直接の乗り入れはないものの、東横線と副都市線を介して線路のつながる西武鉄道を含めると、神奈川・東京・埼玉の1都2県にまたがる7社局14路線、計約250kmにおよぶネットワークが誕生した。 新横浜駅を経由することから、東海道新幹線へのアクセス路線としても注目される同線。JR東海も新横浜駅6時03分発の臨時「のぞみ」を新設し、東京駅や品川駅の始発列車よりも大阪方面へ早く着けることをPRしている。 では、開業後の利用実態はどうか。相鉄ホールディングスの2023年度第2四半期決算発表時の資料によると、相鉄新横浜線の輸送人員は2023年度上期の計画が1日当たり約8万4000人だったのに対し、実績は約7.9万人と計画値を下回る結果となった。東急新横浜の輸送人員は第2四半期までの実績が約1340万人で、こちらも計画を約3割下回っている。 相鉄にとっては2019年11月開業の「相鉄・JR直通線」に次ぐ2つ目の都心直通ルート、東急にとっては東海道新幹線と接続する新横浜へのアクセス路線として期待を集めて開業した相鉄・東急新横浜線。定期外客の利用は堅調というが、定期客の利用が定着するまでにはまだ時間がかかりそうだ』、「相鉄新横浜線の輸送人員は2023年度上期の計画が1日当たり約8万4000人だったのに対し、実績は約7.9万人と計画値を下回る結果・・・東急新横浜の輸送人員は第2四半期までの実績が約1340万人で、こちらも計画を約3割下回っている」、「定期客」の利用が思わしくないようだが、この要因はもっとじっくり分析する必要がありそうだ。
・『大混雑の七隈線、予測上回る宇都宮LRT 一方、好調なのが3月27日に天神南―博多間約2kmが延伸開業した福岡市地下鉄七隈線だ。同線は2005年2月に福岡市西南部の橋本と天神南を結ぶ約12kmが開業。東京の都営地下鉄大江戸線や大阪メトロ長堀鶴見緑地線などと同じ、リニアモーター駆動によってレールの上を車輪で走る「鉄輪式リニアモーター」の地下鉄で、JR在来線などの一般的な車両と比べてやや小ぶりな電車が4両編成で走る。 同線は開業以来、輸送人員が予想を大きく下回る状態が続いていた。当初の1日平均乗車人員の目標値は11万人だったが、2005年4月の1日平均乗車人員は約4万6000人と4割程度で、その後も低迷。天神南駅が繁華街である天神地区の中心から外れており、福岡市地下鉄空港線や西日本鉄道(西鉄)天神大牟田線の駅とも離れていることなどが要因だったとみられる。 だが、博多駅への直結で利用者数は急増。3月に1日当たり約7万5000人だった輸送人員は、延伸開業後の4月には約12万人と一気に1.6倍に。混雑の緩和が課題として急浮上し、8月にはダイヤ改正を実施してラッシュ時の列車を増便するまでになった。約2kmの延伸が大変貌をもたらした。) 8月26日には、栃木県宇都宮市と芳賀町に、LRT(次世代型路面電車)「芳賀・宇都宮LRT」(ライトライン)が開業した。同線はJR宇都宮駅東口から市内の清原工業団地などを経由し、隣接する芳賀町の芳賀・高根沢工業団地まで約15kmを結ぶ。 日本で初めて全線を新設したLRTとしても話題を呼んだ同線。開業初年度の需要予測は平日が1日当たり約1万2800人、休日は約4400人だったが、開業後1カ月の実績は平日がほぼ同程度の一方、休日は1万5000~1万6000人と大幅に予測を上回った。その後も利用は堅調で、11月15日には開業以来の累計利用者数が100万人に達した。 建設費の度重なる増加などで批判を受けたものの、クルマ社会の宇都宮で好調な滑り出しを見せているLRT。開業後の熱気が一段落する2024年からが本番といえる。今後はさらなる増発や快速運転の実施予定なども注目される』、「宇都宮」「LRT」の2024の「本番」が注目される。
・『2024年は北陸新幹線と北急(2024年も新たな路線が開業する。「目玉」となるのは、3月16日に開業する北陸新幹線の金沢(石川県)―敦賀(福井県)間だ。同区間は約125kmで、福井駅や敦賀駅など6駅を新設。東京―福井間は最短で2時間51分と、従来の北陸新幹線・在来線乗り継ぎに比べて約30分短縮される。 初の新幹線開業となる福井県は「100年に1度のチャンス」として、観光振興などに期待を寄せる。一方で並行在来線は第三セクターに分離され、関西方面とを結ぶ在来線特急は敦賀止まりとなり、乗り換えを強いられることになる。 もう1つは北陸新幹線の1週間後、3月23日に開業する北大阪急行電鉄(大阪府)の千里中央―箕面萱野(みのおかやの)間約2.5kmだ。同線は大阪の大動脈、大阪メトロ御堂筋線に直通して一体的に運行しており、箕面市内から新大阪や梅田、難波などへ1本でアクセス可能となる。 新路線の開業は鉄道界にとって明るい話題だが、重要なのは「その後」だ。2023年開業の路線はおおむね好調に推移しているといえる。2024年開業の路線は期待通りの効果を生み出せるか』、「北陸新幹線の金沢―敦賀・・・間だ。同区間は約125kmで、福井駅や敦賀駅など6駅を新設。東京―福井間は最短で2時間51分と、従来の北陸新幹線・在来線乗り継ぎに比べて約30分短縮される、これは便利そうだ。「北大阪急行電鉄・・・の千里中央―箕面萱野・・・間約2.5kmだ。同線は大阪の大動脈、大阪メトロ御堂筋線に直通して一体的に運行しており、箕面市内から新大阪や梅田、難波などへ1本でアクセス可能となる」、これも注目路線だ。
タグ:「その後」の姿をフォローする意味は大きい。 「本当に知事が「鉄道ありきではない」と考えているなら、この部署名を変えることが先決だろう」、その通りだ。 東洋経済オンライン「開業後どうなった?2023年誕生「新路線」の通信簿 宇都宮ライトレールや七隈線は予想以上の好調」 「北陸新幹線の金沢―敦賀・・・間だ。同区間は約125kmで、福井駅や敦賀駅など6駅を新設。東京―福井間は最短で2時間51分と、従来の北陸新幹線・在来線乗り継ぎに比べて約30分短縮される、これは便利そうだ。「北大阪急行電鉄・・・の千里中央―箕面萱野・・・間約2.5kmだ。同線は大阪の大動脈、大阪メトロ御堂筋線に直通して一体的に運行しており、箕面市内から新大阪や梅田、難波などへ1本でアクセス可能となる」、これも注目路線だ。 「宇都宮」「LRT」の2024の「本番」が注目される。 「相鉄新横浜線の輸送人員は2023年度上期の計画が1日当たり約8万4000人だったのに対し、実績は約7.9万人と計画値を下回る結果・・・東急新横浜の輸送人員は第2四半期までの実績が約1340万人で、こちらも計画を約3割下回っている」、「定期客」の利用が思わしくないようだが、この要因はもっとじっくり分析する必要がありそうだ。 「富士山登山鉄道構想事業化検討会」は秘密会なのだろうか。「報告書をまとめる」前に検討状況を開示すべきだ。 「電気バスについては「大いに関心がある」としつつも、「ゆったりした眺望や会話を楽しめる座席空間、食事など車両でしか体験できないサービス、シンボル性」という点でバスよりもLRTのほうが優れているとした」、「電気バス」の優先順位は低いようだ。 「富士山がそうならないよう、私たちは最悪の場合に備えてあらかじめ手を打つ必要がある」・・・」、私は「富士山」が「世界遺産」から外されても、鉄道建設には絶対反対だ。 「登録に際して「人が多く来訪者のコントロールが必要」とユネスコの諮問機関であるイコモスから注文を付けられていた。登録前年となる2012年のの5合目来訪者数は231万人だったが、2019年には506万人に増えた。来訪者は減るどころか2倍以上になった。イコモスが求めるコントロールがまったくできていない。 さらに、今夏にイタリアが気候変動やオーバーツーリズムからベネチアを守る努力が足りないとして、ベネチアを危機遺産に登録するかどうかをめぐって協議されたことも話題となった。 「とくに2回目の説明会となった11月23日は富士吉田市内で行われ、堀内市長も住民の1人として説明会に参加するとあって、がぜん盛り上がりを見せた」、なるほど。 東洋経済オンライン「富士山登山鉄道「LRTありきでない」発言の矛盾 水面下では事業化に向け専門家会合が同時進行」 (その11)(富士山登山鉄道「LRTありきでない」発言の矛盾 水面下では事業化に向け専門家会合が同時進行、開業後どうなった?2023年誕生「新路線」の通信簿 宇都宮ライトレールや七隈線は予想以上の好調) 鉄道