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鉄道(その4)(欧州の「フリーゲージ」はなぜ成功しているか 日本のFGTは技術的難易度が高すぎる、欧州の鉄道「スピード最優先」の時代に終止符 イタリアは時速350km運転を無期限延期、羽田アクセス線構想の落とし穴 首都圏に鉄道はこれ以上必要か、新幹線の手荷物検査 「51%超が導入賛成」なのにJR東海が拒否する理由) [産業動向]

鉄道については、3月25日に取上げた。今日は、(その4)(欧州の「フリーゲージ」はなぜ成功しているか 日本のFGTは技術的難易度が高すぎる、欧州の鉄道「スピード最優先」の時代に終止符 イタリアは時速350km運転を無期限延期、羽田アクセス線構想の落とし穴 首都圏に鉄道はこれ以上必要か、新幹線の手荷物検査 「51%超が導入賛成」なのにJR東海が拒否する理由)である。

先ずは、欧州鉄道フォトライターの橋爪 智之氏が4月7日付け東洋経済オンラインに寄稿した「欧州の「フリーゲージ」はなぜ成功しているか 日本のFGTは技術的難易度が高すぎる」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/215507
・『スイスの私鉄、モントルー・オーベルラン・ベルノワ鉄道(MOB)は3月12日、車両メーカーのシュタドラー社(スイス)との間で、線路幅が異なる路線同士を直通できる「軌間可変装置」付き客車20両を供給する契約を結んだと発表した。日本でいう「フリーゲージトレイン」だ。 軌間可変装置は、すでにスペインのタルゴ社によって実用化されているが、今回は同社製品ではなく、アルストム・ドイツ社で製造される台車を使用し、車体製造および組み立てをシュタドラー社で行う』、なるほど。
・『なぜ「軌間可変」が必要なのか  MOBは、スイス最大の湖、レマン湖のほとりにある高級リゾート地モントルーを起点として、ベルン州南西部に位置するツヴァイジンメンまでを結ぶ本線を中心に、総計75kmの路線を持つ。このうち、ゴールデンパスラインと銘打った62kmの風光明媚な本線に運行されるパノラマ客車を使用した列車「ゴールデンパス・パノラミック」が同鉄道最大の目玉で、年間通して多くの観光客が利用する人気列車となっている。 ところが、この鉄道には一つだけ大きな悩みがあった。軌間(線路の幅)1000mmの狭軌路線である同鉄道は、スイス国鉄をはじめ多くの鉄道で一般的な「標準軌」、軌間1435mmの他路線へ乗り入れできない。ツヴァイジンメンは単なる田舎の村で、多くの旅行客はそのまま先へ旅を続けるが、ここから先は標準軌の私鉄ベルン・レッチュベルク・シンプロン鉄道(BLS)となっており、必ず乗り換えが必要となる。 この乗り換えが不便とみなされ、敬遠されているのか、スイス旅行の代名詞のようにも扱われる観光列車「氷河急行」と比較すると、ゴールデンパス・パノラミックはいまいち知名度が上がらない。MOBにとってツヴァイジンメンから先、リゾート地として人気が高いインターラーケンまでゴールデンパス・パノラミックの直通運転を実現させることは、いわば悲願でもあった。 MOBは過去10年以上にわたり、この直通運転に関してさまざまな検討を重ねてきた。標準軌の線路にもう1本の線路を敷いて、車輪を変えなくても直通運転できる「3線軌条」案も検討されたが、乗り入れ先のBLSの協力が不可欠なのと、複雑な線路構造でメンテナンスコストがかさむことなどから実現しなかった。今回、軌間可変装置の技術的なメドが立ったことで、ようやく実現する運びとなった』、乗り換えのハンディは確かに大きそうだ。
・『2020年末には営業運転  軌間可変装置を作動させるための地上設備は、現在ツヴァイジンメン駅構内に建設中で、2018年8月頃には完成する予定だ。当初計画では2019年12月の冬ダイヤ改正から営業運転を始めたいとしていたが、計画の遅れから2020年12月へずれ込むことになるとアナウンスされている。なお、軌間可変装置を搭載するのは客車だけで、機関車はMOB、およびBLSがそれぞれの軌間のものを用意し、ツヴァイジンメンで軌間変更と同時に、機関車の交代も行う。 軌間可変装置付きの車両は、日本でもフリーゲージトレイン(FGT)として開発が進められてきた。だが、開発が思うように進んでいないことに加え、車両維持費が通常車両よりかなり高額となるため、長崎新幹線への導入を予定していたJR九州は運営が困難であると表明している。 日本では一向に実用化のメドが立たない軌間可変車両だが、スペインでは「タルゴ」と呼ばれる客車によって何十年も前から実現している。欧州ではほかにも異なる方式の軌間可変車両が開発されており、今回MOBへ導入される車両はスペインの技術とは異なるものだ。日本と欧州の軌間可変車両にはどのような違いがあるのだろうか。 欧州で問題なく実用化されている理由の一つとして、そのほとんどが動力装置を持たない客車である点が挙げられる。日本のFGTは、各台車にモーターなどの駆動装置を搭載する電車方式の車両のため、モーターやギアなどを可変装置の中に組み込まなければならず、台車そのものが複雑な構造となる。各部の耐久性にも問題が生じてくることは想像に難くない。 また、装置が複雑になれば重量も増加し、路盤が弱い日本の在来線で運行した場合、インフラ側のメンテナンス費用にも影響が及ぶおそれがある。車両側、地上側双方に未解決の問題がある状態では、早期の営業運転実現は難しい』、漸くJR九州がFGTを断念した理由が理解できた。これだけの問題があるのであれば、当然の決断だ。
・『日本に比べれば開発は容易  一方、欧州で採用されている軌間可変技術は、スペインの一部の車両を除いて動力装置を持たない客車に採用されており、構造を複雑にする動力装置を搭載しない分、日本のFGTに比べれば開発は難しくないといえる。 スペインでは動力装置を持った軌間可変車両もあるが、同国の場合は標準軌と、より線路幅の広い広軌(1668mm)との変換であるため、装置そのものの搭載スペースを十分確保することができる。日本や今回のスイス・MOBのように、標準軌と狭軌に対応させる場合はスペースに限りがあるため、設計は容易ではない。駆動装置を搭載する電車方式ならなおさらだ。 欧州の鉄道と日本の鉄道は、同じ鉄道ではあっても車両・インフラともに規格が異なるため、単純に比較することはできない。軌間可変車両も同様だ。欧州では一見簡単に成功しているようにも見えるが、日本のFGTは新幹線での高速運転を実現しながら在来線、それも路盤の弱いローカル区間へ直通運転させるという、現状では限りなく困難に近い高度な技術が求められており、それが実現の難しさに結び付いているのである』、日本が技術的に遅れてい訳ではないことを知って、一安心した。

次に、同じ橋爪氏が7月29日付けで同誌に寄稿した「欧州の鉄道「スピード最優先」の時代に終止符 イタリアは時速350km運転を無期限延期」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/231122
・『イタリア交通省と同国の鉄道安全機関ANSFは2018年5月28日、イタリア国内における時速350km運転の無期限延期、およびこの先の速度向上テストの中止を発表した。 イタリア国内における時速350km運転への取り組みは、これまで最新のETR400型(フレッチャロッサ・ミッレ)によって行われてきた。2016年2月にはイタリア国内最高速度記録となる時速393.8kmを記録しており、350km運転の認可を取得するための条件である営業速度+10%(350km×10%=385km)に到達している。 実際、ETR400型は最高速度400km、営業最高速度360kmで設計されており、車両側のスペックとしては、条件を余裕でクリアしている。 しかし交通省およびANSFは、試験走行で技術面と経済面に問題点が浮かび上がったと結論づけている』、「認可を取得するための条件」に到達しながら、商用化を無期限延期とは、思い切った決断だ。
・『時速350km運転はコストに見合わず  技術面においては、高速走行中のすれ違い時に、風圧によって線路のバラスト(敷石)が巻き上げられ、反対方向を走っていた列車に当たり、車体が破損するという事例が発生した。これは軌道がコンクリート製のスラブ軌道ではないことから発生した問題で、その解決にはバラスト飛散防止剤を線路へ塗布しなければならないが、時速350km運転を行う約500kmの区間にわたってこの薬剤を撒くのは、大変な労力とコストが掛かる。 経済面では、たとえば主要区間であるミラノ―ローマ間で350キロ運転を行った場合、現在は2時間55分の所要時間が約10分短縮の2時間45分程度になると試算されているが、前述の薬剤塗布に加え、より多くのエネルギーを消費することから、それらがコストとして跳ね返ってくる』、ミラノ―ローマ間で350キロ運転を行っても、所要時間が僅か約10分しか短縮できないというのは、意外だが、途中停車駅が多いなどの理由があるのかも知れない。
・『鉄道の高速化にはそれ相応のコストが発生するが、そのコストを加味してもなお、高速化への意義があるならば、鉄道会社は惜しむことはなく投資するだろう。しかしイタリアは、高速化によってコストに見合うだけの利益を得ることはできない、と結論づけた。 2018年現在、世界最速の列車を運行するのは中国高速鉄道で、すでに時速350km運転を実現している。中国がなぜ、いち早く350km運転を実現できたのか、それは偶然でもなんでもなく、ある意味当然の結果と言えるかもしれない。 まず、中国は圧倒的に国土が広く、離れた主要都市を結ぶ高速列車は停車駅間の距離も長い。発車と停止の繰り返しが最もエネルギーを消費するので、高速運転を行ううえでは最高速度をどれだけ維持できるかが重要な要素となってくる。欧州ではそもそも主要都市間が何百キロと離れているわけではないため、必然的に時速350kmを維持できる区間が短くなり、メリットがあまりない。その点、中国は国土そのものが高速運転に適した土地だったと言える。 また、中国が高速鉄道建設において後発だった点も、高速化に有利だったと言える。建設された各路線とも、バラスト飛散の心配がないスラブ軌道を全線の90%以上で採用、複線の線路中心間隔も、欧州の多くの国は4.2~4.8mと狭いが、中国では全線で5m間隔となっている。 中国では、さらなる高速化を研究しているようだが、そうなるともう鉄車輪である必要はなくなり、それこそリニアが最適な選択肢の1つとなるのではないか。アメリカもそうだが、リニアは数百キロ程度の短区間を結ぶものではなく、広大な土地があり1000キロ単位の区間を運転することで、その真価を発揮できるのではないだろうか。 中国は上海空港へのアクセス用として、ドイツからトランスラピッド(常電導磁気浮上式リニア)の技術を取得したが、本国ドイツでは実現せず早々に手放したこの技術が、いずれ中国国内の都市間輸送で日の目を見るかもしれない』、中国は確かに高速鉄道に適しているようだが、遠距離であればやがては航空機との競争に晒される筈だ。
・『欧州は今後どうする?  話を欧州へ戻すと、この先欧州の高速鉄道はどのような方向性へ進んでいくのだろうか。 イタリアは当面、時速350km運転計画の無期限延期を表明したが、これを再開するためには、一部に点在するカーブ区間を改良するなど、350kmをある程度維持できるための路線改良が必要となってくるだろう。だが、そのためには土地収用も必要となってくるため、かなりの時間と労力を費やさなければならず、現実問題としては厳しいと言える。 フランスやドイツは、現時点では計画路線の大半が完成に近づきつつあるので、今後、既存路線の改良を行うかどうかが焦点となってくる。 たとえば、フランスの高速新線LGVは、最初に開業した南東線とその次の大西洋線(最初に開業した区間)では複線間隔が4.2mであったが、北線では4.5mに、地中海線以降は4.8mと、後発になるほど間隔が広がっており、複線間隔が広い東ヨーロッパ線では、欧州最速となる時速320km運転が行われている。 ただし、既存路線の高速化については、複線間隔の拡大や線形改良など多岐にわたることから、特に金銭的な面で非現実と言わなければならない』、。
・『高速化一辺倒から方向転換  一方ドイツは、もともと各地方に都市が点在しており、高速化に対する必要性がさほど高くないことから、時速300km以上での運転を行う積極的な理由が見つからない。 現在、同国内で運行される高速列車の多くは最高速度250kmまでの中速列車となっており、ベルリン―ヴォルフスブルク間のように300km運転ができる区間においても、運行は250kmまでとなっている。300km運転が行われているのは、ケルン―フランクフルト間やニュルンベルク―ハレ間など、一部区間のみだ。将来的に、300km以上の速度で運行する可能性はほとんどないと言える。 スペインも、かつて時速350km運転を行うと表明していたが、最近ではまったく聞かれなくなった。スペインの高速鉄道網も建設は一段落し、現在ではフランスとも結ばれたため、今後は在来線との直通運転など、利便性の向上などに注力していくものと思われる。 LCCや高速バスなど、さまざまな交通機関が群雄割拠する欧州。鉄道は、他交通機関とのすみ分けを明確にするなど、高速化一辺倒ではない「鉄道ならではのサービス」を提供できる方向へ転換する時期に来ている』、ケルン―フランクフルト間のような近距離で300km運転をしているというのは、首を傾げざるを得なが、何か理由があるのだろう。欧州では、高速化熱は冷めたようだが、翻って、日本では効果があと1つ不明確なリニアに邁進するJR東海の姿勢には、首を傾げざるを得ない。

第三に、百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏が7月6日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「羽田アクセス線構想の落とし穴、首都圏に鉄道はこれ以上必要か」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/174151
・『羽田空港アクセス線構想が本格化 利便性が向上する一方で課題も  JR東日本が「羽田空港アクセス線」構想の実現へと、本格的に舵を切り始めた。羽田空港アクセス線は、海外からの日本への玄関口を充実させる路線計画として、2020年の東京五輪に向けて検討がなされていたが、その経費負担をめぐって調整が難航し、東京五輪に向けた計画としては、一旦棚上げにされていた』、東京五輪関連経費抑制のあおりを受けたのだろう。
・『今回JR東日本は、2028年の開業を目指して計画の検討を再開することを表明したわけである。この羽田空港アクセス線は、実は興味深い論点を持つ計画なのだが、まず、その構想について簡単に説明しよう。 現在、都心から羽田空港へは、東京モノレール(JR東日本傘下)と京浜急行空港線(京浜急行傘下)の2つの路線が運行している。羽田空港アクセス線構想は、これらの鉄道に代わる第三のアクセス手段をつくる計画だ。 この計画、まず羽田空港のターミナルから約6キロメートル離れたJRの東京貨物ターミナルまで新線を建設する。羽田空港アクセス線はここからJR東日本の既存の線路を使って3方向に分かれる。それは田町駅から東京駅に向かう東山手ルート、りんかい線経由で大崎駅から新宿を経由し埼京線につながる西山手ルート、そして同じりんかい線を東京テレポート経由で新木場までつなぐ臨海部ルートである。 この路線が開通すると、東京駅から羽田空港までは18分(現在は東京モノレール経由で28分)、新宿駅から羽田空港までは23分(現在は京浜急行経由で41分)、新木場駅から羽田空港へは20分(現在は東京モノレール経由で41分)と、いずれも羽田空港へのアクセスが飛躍的によくなると期待されている。 さて、「アクセスがよくなるのだから、基本的に歓迎すべきこと」でよいのだろうか。鉄道の新線計画においては、いくつか考えなければいけないことがある。順に説明していこう。 鉄道事業は、そもそも公益事業に位置付けられている。私鉄も含め鉄道会社が完全な営利企業になってしまうと、採算の悪い路線や駅を安易に閉鎖してしまうなど、人々の足をなくしてしまうような事態が起きかねない。だから、鉄道の開業や運賃設定は国がコントロールしているし、鉄道会社の経営に関してもきちんと監督している』、当然のことだ。
・『複雑多岐にわたる首都圏の鉄道網 これから新線をつくる3つの意義  では、その前提で考えると、鉄道の新線の建設にはどのような意義があるのだろうか。大きく分けて3つの意義がある。その観点で費用対効果が高ければ、新線建設は「是」と考えることができる。 1つ目は、その新線建設によって新たな、そして大きな経済効果が上がるという意義だ。最近のわかりやすい事例では、北陸新幹線の開通で金沢や軽井沢といった観光地への人の流れが、以前よりも格段に活発化したことが挙げられる。 2つ目に、時間短縮の効果が大きいという意義がある。2015年に上野東京ラインが開通したが、路線としては特に新駅ができたわけではない。しかし東海道本線と東北本線、高崎線、常磐線が相互直通運転することで、乗り換え時間が不要になった。時間短縮としてはわずかな時間だとしても、毎日乗り入れる数百万人の足という観点で延べ時間を考えると、これも経済効果としては大きいものがある。 3つ目は、首都圏のような場所でネットワーク効果が向上するという意義だ。東京の中心部の場合、JRと東京メトロ、都営地下鉄が網の目のようにネットワークを結んでおり、その結果、同じ場所に行く場合でも複数の経路をオプションとして持つことができる。混雑も分散するし、たとえば列車事故などによる運休時でも他のネットワークを経由することで、それほど大きな混乱に遭わずに目的地へ辿り着けることが、ネットワーク効果の意義である。 余談だが、ネットワークというものは便利を追求し過ぎると、人間がついていけなくなるという欠点はある。最近の複雑多岐にわたる地下鉄の乗り入れ問題は、そのような新しい課題を生み出し始めている。 たとえば事故の際に、連鎖運休が起きる問題が発生するし、渋谷駅や池袋駅のようにJRとメトロ、私鉄の乗り換えの仕方が素人にはよくわからないという鉄道網のユーザビリティの問題も、ネットワーク過剰における課題の1つである。とはいえ、ネットワーク過剰自体は利便性の副産物のようなものなので、あえて目くじらを立てるような問題ではないと私は考えている。 そもそも今回話題にしている羽田空港アクセス線の場合、2つ目と3つ目の意義を考えると、公益事業として新線を建設する意義は大いにありそうだ。では、課題はないのか。 実は私は、羽田空港アクセス線構想について、1つ気になっていることがある。それは、この路線が開通すると羽田空港アクセス線が東京モノレール、京浜急行羽田線と比べて、あまりにも「ひとり勝ち」してしまうのではないか、という懸念だ。 つまり東京駅方面からも、新宿・渋谷駅方面からも、千葉方面からも、埼玉方面からも、茨城方面からも、羽田空港アクセス線が一番便利な鉄道路線になる。しかも横浜方面から見ても、大井町で乗り換えて羽田に向かうほうが、京浜急行から蒲田駅経由で羽田に向かうよりも、便利になる可能性がある。 一方で、従来路線である東京モノレールと京浜急行羽田線については、公益事業であるから、赤字路線になったとしても路線を簡単には廃止できない。それはそうだろう。「大井競馬場前」や「昭和島」、「大鳥居」や「穴守稲荷」近辺の住民が困ってしまうからだ。 とはいえ、もう一方で鉄道会社は赤字路線をそのまま運営することもしない。だからダイヤの本数を減らすことでコストを下げながら、路線を維持することになるだろう。東京モノレールと京浜急行羽田線という、これまで堅調に利益を上げてきた路線が、事業縮小へと向かう恐れがあるのだ』、東京モノレールはJR東日本傘下なので、問題は比較的少ないとしても、京浜急行羽田線にとっては大問題だろう。
・『羽田空港を取り巻く「ゼロサムゲーム」の行方  結局のところ、羽田空港アクセス線の開通とは、その生み出す利益が、空港からのアクセスの利便性を他の手段から奪うことで実現されるという「ゼロサムゲーム」なのかもしれない。そう考えると、企業としてのJR東日本にとっては問題のない計画ではあるものの、税金の一部も投入される公益事業としては、全く問題がないとは言えなそうだ。他の路線から奪ってくる収益は除いた上で、実質的にどれほどの経済効果があるのかということが、私には少しだけ気になるのだ。 実はこれ、今後の首都圏における全ての新線に関わる問題である。これだけ便利になった首都圏で、まだいくつもの新線計画が温められている。果たしてそれは「ゼロサムゲーム」以上に意義があることなのかどうか。今後の首都圏の鉄道計画には新しい尺度が必要になるのかもしれない』、その通りだろう。

第四に、10月2日付けダイヤモンド・オンライン「新幹線の手荷物検査、「51%超が導入賛成」なのにJR東海が拒否する理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/181015
・『17年末までに防犯カメラ設置も 繰り返される悲劇  ・・・「8月、JR東海は「不測の事態に対する現場の教育訓練」の様子を公開した。実際の新幹線車両を使ってのデモンストレーションには、乗務員や警備員のみならず、鉄道警察まで参加する力の入れようだ。 新幹線の安全神話を崩す事件が相次いでいる。2015年には東海道新幹線の車内で男が焼身自殺を図り、火災が発生。今年6月には男が刃物を振り回す無差別殺人事件が起きた。1993年にのぞみ車内で覚せい剤常用者による刺殺事件が起きて以来の大惨事だ。 JR東海は焼身自殺事件を受けて、17年末までに全編成の9割に防犯カメラを設置したが、抑止力にはならず悲劇は繰り返された』、防犯カメラはそれを責任をもってきちんとモニターする体制があってこそ、有効だが、そのような体制なしにいくら設置したところで、効果は知れている。
・『51.2%が新幹線で手荷物検査導入賛成  抜本的な保安対策として、手荷物検査の是非が問われている。欧州の一部でも検査が実施されているし、中国の高速鉄道では検査どころか身分証の提示まで求められる。JR東海は「乗客の利便性を損なう」(金子慎社長)ことを理由に検査をかたくなに拒否しており、導入の検討すらされていない。 確かに、JR東海の言い分は一面では正しい。利用者アンケートでも、半数以上が「検査を導入すべき」としながらも、その大半が許容できる検査時間は10分だ。 東海道新幹線の強みは、1編成で1300人を運べる大量輸送と定時運行だ。この強みを発揮させた効率運行は、乗客の便益であると同時にJR東海の利益の源泉でもある。検査の実施は、効率運行で稼ぐ新幹線のビジネスモデルを崩壊させるインパクトがあるのだ』、「乗客の利便性を損なう」との理由で一蹴するJR東海の姿勢はどうかと思う。公共輸送機関として利便性以上に重視すべき、安全性について触れられてないのは、大問題だ。
・『新幹線で手荷物検査を導入すべき  検査の可否は、リニア中央新幹線でも試されることになろう。「リニアは品川も名古屋も新駅。検査スペースが確保できないことが導入不可の理由にはならない」(木村嘉男・元JTB時刻表編集長)からだ。仮にリニアで検査を実施すれば、スピードで飛行機を追い越すはずだった夢がついえてしまう。 しかし、である。一連の事件を通して新幹線の安全対策には抜け穴があることを、世界中に知らしめてしまった事実は重い。世界から注目されるリニアは、テロリストの格好の標的になり得るだろう』、「仮にリニアで検査を実施すれば、スピードで飛行機を追い越すはずだった夢がついえてしまう」としても、少なくともリニアでは、手荷物検査を導入すべきだろう。
・『飛行機は「テロに強い空港」目指して対策強化中  遅々として進まない新幹線のセキュリティー対策を尻目に、飛行機は国際線事業で培った保安対策を国内線にも導入し、先を行く。さらに東京五輪に向けて国と空港、航空会社、そして検査受託会社が一体となり「テロに強い空港」を目指して対策を強化中だ。 例えばボディースキャナーや高性能X線検査装置、爆発物検査装置など先進的な機器は、床の耐荷重工事も含めて最大で1台数億円もの投資になるが、国による補助も追い風となり導入が進む。 ANAは独自の手法で検査の時短化に取り組んでいる。従来、保安検査員が搭乗券確認と検査の二つをしていたが、ANAスタッフを増員し検査場のレイアウトを変更することで、時間短縮につながった(下図参照)。 飛行機は航空法で保安検査の実施が定められている。検査を通過した乗客や荷物を業界用語で「クリーン」というが、新幹線との最大の違いは航空会社がクリーンに対して責任を負っていることだ。保安強化と時間短縮の両方で改善を重ねることが、結果的に顧客満足度を上げることになる』、新幹線やリニアで事故が起こってからでは遅い。安全のためには、利便性の犠牲もやむを得ないと割り切るべきだろう。
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