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電子政府(その5)(大前研一「デジタル庁が日本を変えるのは無理」 日本はIT人材の給料が安すぎる、行政のDXは風前のともしび デジタル庁が失敗するこれだけの理由、国政選挙がネット投票に変わらない ちょっとだけ怖い裏事情) [経済政策]

電子政府については、8月4日に取上げた。今日は、(その5)(大前研一「デジタル庁が日本を変えるのは無理」 日本はIT人材の給料が安すぎる、行政のDXは風前のともしび デジタル庁が失敗するこれだけの理由、国政選挙がネット投票に変わらない ちょっとだけ怖い裏事情)である。

先ずは、9月30日付けプレジデント 2021年10月15日号が掲載したビジネス・ブレークスルー大学学長の大前 研一氏による「大前研一「デジタル庁が日本を変えるのは無理」 日本はIT人材の給料が安すぎる」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/50316?page=1
・『デジタル庁トップすら人材がいない  2021年9月1日にデジタル庁が発足した。注目を集めていたデジタル庁トップ「デジタル監」には、これまで何人か候補者の名前が噂されていたが、結局、一橋大学名誉教授(経営学)の石倉洋子氏が就任した。 発足式で石倉氏は「(私は)デジタルの専門家でもエンジニアでもない」「Python(プログラミング言語)にもチャレンジしたが、今のところ挫折している状況」と発言し、話題になった。 デジタル庁のトップがデジタルについて理解していないのも問題だが、それ以上に問題なのは、自分の役割を正しく認識していないことだ。日本のデジタル政策を構想することがデジタル庁の役割であるはずが、自身のプログラミング学習歴の話(しかも中学生でもできるレベルで挫折)をしていて、デジタルで日本をどう変革するかという構想の話がない。幹部人事で迷走したデジタル庁が日本を変えることは無理だろう。 デジタル庁トップに日本人では適任者がいないように、実は企業もIT人材が不足している。日本のIT人材不足には、根深い問題があるのだ。 世界でIT人材といえば、アメリカのシリコンバレー、中国の深圳、インドのバンガロールやプネ、ハイデラバードなどにはスーパースターのような優秀なエンジニアがごまんといる。 しかし、日本のIT業界は、「多重下請け、低賃金の温床」が実情だ。大正時代に紡績工場で過酷な労働をしていた女性たちのルポ『女工哀史』のように、今のデジタル業界もまさに「ITエンジニア哀史」のような悲惨な状況なのだ。 日本には全国各地にプログラミングの専門学校があれば、大学の工学部にもプログラミング教育を前面に出しているところもある。しかし哀しいことに、そういったプログラミング学校を卒業しても、米中印のスーパースターのような構想力を持ったエンジニアになれず、日本独自の年功序列制度の末端に入ることになる。 日本のIT教育の問題点は、作りたいシステムを構想し、それをスペック(仕様)に書き出すということを教えていないことだ。作りたいシステムがないままに、プログラミングのルールばかりを勉強する。だから、人に言われたことをプログラミング(コーディング)するだけの人材しか育たず、「ITエンジニア哀史」の物語が生まれることになるのだ。このような人材は、世界では到底評価されない』、「デジタル庁」担当大臣だった平井卓也氏は小選挙区で落選、新任の牧島かれん氏は当選したようだ。「日本のIT教育の問題点は、作りたいシステムを構想し、それをスペック(仕様)に書き出すということを教えていないことだ。作りたいシステムがないままに、プログラミングのルールばかりを勉強する。だから、人に言われたことをプログラミング・・・するだけの人材しか育たず、「ITエンジニア哀史」の物語が生まれることになるのだ。このような人材は、世界では到底評価されない」、その通りだ。
・『アメリカは事業会社に優秀なIT人材がいる  事実、日本のIT人材の給料は低い。経済産業省によれば、日本のIT人材の平均年収は、20代で413万円、30代で526万円、40代で646万円、50代で754万円と、自分が専門とするシステムが古くなって活躍する場が減っても年功序列で給料は上がってくる。一方、成果主義の米国は20代の平均年収が1023万円と、日本の20代の2.5倍だ。30代が最も高くて1238万円。40代は1159万円、50代で1041万円と年齢が上がっていくと徐々に下がっていくが、いずれの年代も日本よりもはるかに高給取りだ』、「日本」は単なるプログラマーなので、安いのは当然だ。
・『日米のIT人材の年代別平均年収  また、日本のIT人材はIT企業に集中しすぎだというデータもある。米国はIT企業にいるIT人材はわずか35%で、非IT企業にいるIT人材は65%だ。一方で、日本は72%ものIT人材がIT企業におり、非IT企業には28%しかIT人材がいない。 一例を挙げれば、ニューヨークにあるゴールドマン・サックス証券本社は、最盛期の2000年に600人のトレーダーが在籍していたが、今はたった2人しか残っていない。代わりにコンピュータ・エンジニアを大量採用し、200人で同じ量の仕事をしている。つまり、生産性を3倍向上させたわけだ。1人で3人分の成果を生み出すなら、給料も高くなるのは当たり前だ。 一方で、日本は非IT企業にIT人材がいないから、システム開発は外注することになる。外注するにしても、どういうシステムを作るのかというスペックが書けるレベルのIT人材が社内にいない。 会社の中に“情シス”などと呼ばれるシステム部門はあっても、彼らの仕事はベンダー選びにすぎない。ITコンサルタントやベンダーの社員を自社に呼んできて「ここで机を並べて働けば、うちの業務や管理の仕組みが理解できる。常駐しながらわが社に最適のシステムを提案してくれ」とベンダーに頼るのだ。発注側には、はじめから自分たちで必要なシステムを企画するつもりがない。 この仕様書作成の期間に半年、1年とかかることもある。システムの規模によっては、30人単位の派遣になるから、日本のITベンダーはいわば“ヒト入れ業”だ。人海戦術でシステムが構築されていくのだ。 それでシステムができたと思っても、発注側はシステムを評価する力もないから、そのまま運用を始めてしまう。実際に使い始めると営業などの現場から次々と改善要望のクレームが集まる。それを情シスはリストアップして、ベンダーに対して「お金はたくさん払っているから直してくれ」と、追加料金なしで修正事項をぶん投げるのだ。ベンダー側も、不満はあってもお客様に対してNOとは言えないから、“サービス残業”をして徹夜で修正作業に取り掛かるのだ。 こうしてカスタマイズを重ねていくと、その会社独自のシステムができあがる。開発したベンダー以外では、もう改修ができないほどに作り込まれるのだ。運用し始めたが最後、途中で「このベンダーはやめて別のベンダーに乗り換えよう」と思っても、社内常駐からやり直しで多額のコストがまた必要だ。そのため不満だらけのシステムを使い続けなければならず、ベトナム戦争のように泥沼化していくのだ。 この最たる例が、日本の行政だ。12省庁・47都道府県・1718市町村がそれぞれバラバラにシステムを開発しており、どれも開発ベンダー以外は改修できないくらいに作り込まれてしまっている。行政のシステムやデータベースは1つでいいので、この問題にデジタル庁は取り組む必要があるのだ。 しかし、IT企業の社長と頻繁に会食しているだけの自称「IT通」デジタル大臣と、デジタルの専門家でないデジタル監は、使い勝手が悪い「マイナンバー制度」を改修することしか頭にない。日本政府も、日本企業と同じように自治体別、省庁別に泥沼にはまっているのだ(デジタル庁が作るべき国民データベースについては28年前の拙著『新・大前研一レポート』にて詳述)。 アメリカ企業やインド企業であれば、発注側もカーネギー・メロン大学の提唱する厳格なシステム構築の手法を用いて(CMMIレベル5ベースの)スペックを書ける優秀な人材を抱えているから、このような問題はまず起こらない。日本はプロジェクトマネジメントをするのはITコンサルタントやベンダー側だが、アメリカ企業なら発注側にしっかりプロジェクトマネジメントできる人材がいるのだ』、「アメリカ企業なら発注側にしっかりプロジェクトマネジメントできる人材がいる」、うらやましい限りだ。
・『システムがわかる人が経営者になれ  経営者にとって、今やプログラミング思考は必須科目だ。自分のアイデアをどうシステム化するのかを語れることが重要で、優れた経営者たちはプログラミング思考を学び、挫折することなく習得している。 例えば、日本交通の川鍋一朗会長。彼は日本初のタクシー配車システム「日本交通タクシー配車アプリ」(後の「ジャパンタクシー」、現在「GO」)の原型を構築した。このシステムによって、タクシーをスマホで呼ぶことができるし、タブレット端末をタクシーに設置することでキャッシュレス支払いに対応し、乗客の属性に合わせた動画広告配信が可能となり、タクシーに新しい価値を生み出すことに成功した』、「日本交通の川鍋一朗会長」が「日本初のタクシー配車システム・・・の原型を構築した」、大したものだ。
・『彼らのような人材が、本当の「DX人材」  川鍋会長はアメリカでウーバーが登場したとき、「このままではタクシー業界は危ない」と危機感を持ったそうだ。そこで、プログラミングスクールに通ってシステム開発を進めたという。 2020年末にIPOをし、ロボアドバイザー投資事業で業界断トツのウェルスナビ柴山和久社長も、社長自らシステム開発をした経営者だ。柴山社長は、アメリカの家庭では当たり前のように資産運用がされていて、アメリカ人の妻の親は自分の親より資産が10倍もあったことに衝撃を覚えたことから、日本の働く世代のための資産運用サービスが必要だとして起業。自ら(川鍋氏と同じ)プログラミングスクールに通って、ロボアドバイザーによる資産運用システムの原型を構築した。 この2人はともに文系出身だが、見事にプログラミング思考を身につけた経営者だ。経営者の頭の中にある構想をシステムに落とし込むことできる、彼らのような人材が、本当の「DX人材」なのだ。 日本の将来を考えれば、システムがわかる人間が経営者になったほうが早いだろう。(日本では比較的人材開発がうまくいっている)ゲーム業界と同じように彼らに早めに経営を教えて、起業させる仕組みが重要である』、「プログラミングができる中高生を「ITエンジニア哀史」の世界に送り込むのもやめるべきだ」、「彼らに早めに経営を教えて、起業させる仕組みが重要である」、同感である。

次に、10月14日付け日経ビジネスオンラインが掲載した日経クロステック/日経コンピュータ編集長の木村 岳史氏による「行政のDXは風前のともしび、デジタル庁が失敗するこれだけの理由」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00322/091400014/
・『デジタル庁が2021年9月1日に発足したことで、行政のDX(デジタルトランスフォーメーション)はうまくいくだろうか――。そう人から尋ねられたら、私はちゅうちょなく「駄目でしょ」と答える。変革の志に燃えてデジタル庁に集った人たちには申し訳ないが、行政のDXはほぼ無理だ。 「言い出しっぺ」の菅義偉首相がデジタル庁の発足直後に突然、退陣を表明したからこんな話をしているわけではない。菅首相であろうと新首相であろうと、政治家が「デジタル庁をつくっても行政のDXは不可能に近い」という構造問題を深く認識するはずがないからヤバいのだ。深く認識したとしても、これから説明するこの構造問題を解決し、行政のDXを完遂するのは、目まいがするほど困難ではあるが。 「おやおや、デジタル庁が発足した途端、おとしめるつもりだな。木村がやりそうなことだ」と、私を目の敵にする一部のIT関係者が言い出しそうだが、それは違うからな。当事者(当然、国民も当事者)が「ほぼ無理」という現実を認識しているかどうかで、結果は多少なりとも変わってくる。どんなことでも、結果はゼロかイチではない。行政のDXも成功か失敗かの二者択一ではない。目まいがするほど困難であるという認識が広く共有されれば、少しはましな方向に進むはずである。 さて本題に入る前に、読者にこんな謎をかけてみよう。お分かりになるだろうか。「デジタル庁ができたことで行政のDXはうまくいくか」と聞かれたら、私は「駄目でしょ」と答える。だが「行政のDXがうまくいくか、いかないかを賭けるとして、あなたはうまくいかないほうに賭けるか」と聞かれたら、私は「絶対にそんなばかげた賭けはしない」と答える。その賭けがたとえ合法であったとしても、絶対に負けるからである。さて、なぜでしょう。 答えは実に簡単だ。「絶対に成功したことになる」からだ。行政のDXの内実がどんなに悲惨なものであったとしても、行政のDXは成功裏に完遂したことになるのである。別に首相やデジタル相ら政治家だけが「成功した! 成功した!」と騒ぐわけではないぞ。「デジタル化かDXか何か知らんが、そんなことに付き合えないぞ」と足を引っ張っていた抵抗勢力の役人も「成功した」と言い出す。「うまくいかなかった」と失意に沈むデジタル庁の担当者も「成功だ」と語るだろう。 この現象は、民間の企業でおなじみの光景だ。ERP(統合基幹業務システム)導入による業務改革とか、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)など過去の取り組みの多くは皆、壮絶に破綻した。でも、関係者は誰も彼も「成功裏に完遂した」と口裏を合わせ、厚かましくもメディアに成功事例として登場したりした。ただ、これは当たり前である。「失敗した」と正直に話すアホウはどこにもいない。口裏を合わせておけば、ほぼバレないからな。行政のDXも同じ。だから、先ほどの賭けには勝てないのだ』、「「行政のDXがうまくいくか、いかないかを賭けるとして、あなたはうまくいかないほうに賭けるか」と聞かれたら、私は「絶対にそんなばかげた賭けはしない」と答える・・・絶対に負けるからである。さて、なぜでしょう。 答えは実に簡単だ。「絶対に成功したことになる」からだ。行政のDXの内実がどんなに悲惨なものであったとしても、行政のDXは成功裏に完遂したことになるのである」、「この現象は、民間の企業でおなじみの光景だ。ERP・・・導入による業務改革とか、BPR・・・など過去の取り組みの多くは皆、壮絶に破綻した。でも、関係者は誰も彼も「成功裏に完遂した」と口裏を合わせ、厚かましくもメディアに成功事例として登場したりした」、官民を問わず、人間の性なのかも知れない。
・『霞が関では「DX」と「行政改革」は別概念  技術者の読者、ひょっとしたらデジタル庁に関係する読者から「いや、それは違う。バレないはずがない。システム開発に失敗したら断罪されるではないか」といった反論が出るかもしれない。だが、それは勘違いだ。私が言っているのは行政のDXであって、個々のシステム開発の話ではない。DXを単なるデジタル化、システム化の問題に矮小(わいしょう)化して論じてはいけない。 ただ、行政のDXを単なるデジタル化の問題として捉えてしまうのは、仕方がない面もある。何度も言っているように、DXとは「デジタル(=IT)を活用したビジネス構造の変革」だ。広い意味では行政機関の業務も「ビジネス」なので、行政のDXもこの定義で問題ないのだが、もう少し行政寄りにカスタマイズしてみよう。すると「デジタルを活用した行政改革」となる。ところが不思議なことに、霞が関かいわいではDXと行政改革は別の概念なのである。 何でそんなことが言えるのかというと、デジタル改革相(デジタル庁発足後は「デジタル相」)と行政改革相の2人の大臣がいるからだ。大臣が別にいるということは、担当する役人らも別だし、そもそもデジタル改革(DX)と行政改革が別概念であることを示している。これは本当にナンセンスな話である。行政改革は省庁再編など「組織に手を突っ込む」というニュアンスが強いものの、デジタル革命の世なのに「デジタルを前提としない行政改革」なんてあり得るのだろうか。 いずれにせよ行政改革とは別概念なので、行政のDXではDXの魂であるはずの「X」、つまり「トランスフォーメーション=変革」の影が薄くなる。実際、発足したデジタル庁の役割を見ると「行政のDXを担う中核組織にはなり得ないよね」という感がある。そういえば、この「極言暴論」と対をなす私のコラム「極言正論」の記事で、国の行政機関を巨大企業グループと見立てると、デジタル庁はその企業グループの持ち株会社に設置されたIT部門に相当することを示した。 本当に、デジタル庁は持ち株会社に設置されたIT部門とそっくりなのだ。そもそもデジタル庁を設置した問題意識からして、企業のそれと同じだ。従来はグループ会社に相当する各省庁で独自にシステムを構築・運用してきたため、省庁間でのデータ連係ができていなかった。しかも各省庁のIT部門には人材が不足し、システム開発などはITベンダー任せ。ITベンダーに支払う料金が適正かどうかも不透明だった。顧客である国民に向けたシステムも各省庁によってバラバラで、使い勝手の悪い代物だった。 デジタル庁はこの問題の打開を図る。まさに持ち株会社にIT部門を設置するのと同様の発想で、行政のデジタル/ITに関する権限の多くをデジタル庁に集約したわけだ。しかも、システム内製化などのためにIT人材を中途採用するのも、DXを推進しようとする企業の取り組みと同じだ。さらに「サプライチェーンを構成する企業」とのデータ連係などのために、そうした「企業」のシステムの標準化などにも手を伸ばす。何の話かと言うと、デジタル庁が主導する地方自治体のシステムの標準化、クラウド化の件だ。 どれもこれも日本企業が取り組んできた、あるいは取り組みつつあるIT部門改革、システム開発運用体制の見直し、IT予算の一元化などとうり二つである。だから、それ自体は悪くない。どんどん推進すべきことでもある。だが、少しおかしくないかい。極言正論の記事でも指摘したが、これだけなら「デジタルによる変革(行政改革)」ではなく「行政におけるデジタル分野(システム関連)の変革」にすぎない』、「デジタル改革相・・・と行政改革相の2人の大臣がいるからだ。大臣が別にいるということは、担当する役人らも別だし、そもそもデジタル改革(DX)と行政改革が別概念であることを示している。これは本当にナンセンスな話である。行政改革は省庁再編など「組織に手を突っ込む」というニュアンスが強いものの、デジタル革命の世なのに「デジタルを前提としない行政改革」なんてあり得るのだろうか」、確かに一体であるべきものだ。
・『デジタル庁はIT絡みの勧告権しかない  「行政におけるシステム関連の変革」にすぎないにもかかわらず、デジタル庁が主導して行政のDXを推進するという。とても奇妙なロジックだが、恐らく次のようなストーリーだろう。政府機関や自治体のシステム(特に基幹システム)の標準化や再構築を通じて、役所の業務の変革につなげる。つまり、システムを業務に合わせるのではなく、システムに業務を合わせるというやつだ。 読者の中には「あぁ、駄目だ、こりゃ」と思った人が大勢いるはずだ。その通り。駄目だ、こりゃ、である。これはまさに民間の企業におけるしかばね累々の取り組みと同じだ。先ほども述べたERP導入による業務改革とか、システム刷新に伴うBPRの類いだ。IT部門が主導して「全社的に業務を抜本的に変革する」と大風呂敷を広げたものの、利用部門から「ふざけんな。それじゃ業務が回らないじゃないか」とねじ込まれて頓挫、という例のパターンである。 で、どうなったかというと、例えばERP導入による業務改革の場合、アドオンの山をつくることになる。旧来の基幹システムの機能のうち「これがないと業務が回らない」との利用部門のごり押しに負けてアドオンをつくっているうちに、何のことはない、旧システムとほとんど変わらないシステム(ERP+アドオン)が出来上がり、業務改革って何だっけ、という状態になる。もちろん多少の「改革」はやるが、それをもって「改革は成功した」とIT部門や利用部門、そしてITベンダーは口裏を合わせる。 もちろん最近では、企業の経営者がこの問題の重大性に気づき、基幹システム刷新をDXの一環として位置付けるケースも増えている。で、その際には「変革が主」となる。要は、業務をERPなどのシステムに合わせる形で改革を遂行するわけだ。行政機関のシステム刷新もそうなればよいが、それは期待できない。各省庁の大臣や自治体の首長のほとんどは、国民、市民向けのシステムやアプリには多少なりとも関心を持つだろうが、バックヤードの基幹システムなど知ったことではないからだ。 「デジタル庁にはIT予算の権限や監督権があるから、何とかなるんじゃないか」と考える人はまさかいないと思うが、念のために書いておく。デジタル庁が持つのはITに関わる権限だけだからな。他の役所の業務に手を突っ込む権限はない。「予算で縛って余計に機能をつくらせなければよいのでは」というのも甘い。各役所にへばりついている人月商売のITベンダーが、要望に合わせたシステムを予算の枠内でつくるからだ。赤字になってもシステム運用段階で回収すればよい。デジタル庁はそこまで目を光らせることができるだろうか。 特に危ういのは、デジタル庁から「遠い」自治体の基幹システムだ。各自治体のシステムを標準化、クラウド化を推進するという。政府機関のシステムともども、自治体のシステムもデータ連係できるようにしようというわけだが、それだけのために膨大なお金をかける。データ連係できるようにデータ項目やインターフェースなどを標準化したら、後は自治体の利用部門の要望に応じて、旧システムの機能をこれでもかとつくり込む。担当するITベンダーはそれこそ笑いが止まらないだろう。 「これまで役所のシステムは縦割りだったのだから、データを連係できるようになるだけでも画期的なのではないか」との意見もあるかもしれないが、それは違う。膨大なお金、つまり税金をかけたのに、データ連係という行政システムの最低限の要件だけを満たした、代わり映えのしないシステムが出来上がるだけだぞ。行政のDX、つまり行政改革は全く進まないのに、誰もが「DXに成功した」と口裏を合わせる。今のところ、そんな結果しか見えてこない』、「膨大なお金、つまり税金をかけたのに、データ連係という行政システムの最低限の要件だけを満たした、代わり映えのしないシステムが出来上がるだけだぞ。行政のDX、つまり行政改革は全く進まないのに、誰もが「DXに成功した」と口裏を合わせる。今のところ、そんな結果しか見えてこない」、やれやれだ。
・『「世界最高水準」と自賛する電子政府ができても……  さて、ここまで書いてこなかったが、フロントエンドつまり国民とのインターフェースとなる「電子政府」や「デジタル・ガバメント」と呼ばれステムやアプリのほうはどうか。「行政におけるデジタル分野(システム関連)の変革」という矮小化されたDXを担うデジタル庁にとっては、ここが主戦場である。マイナンバーカードとの組み合わせで、国民がワンストップで行政手続きなどを行えるし、必要な行政サービスも迅速に受けられる。そんな電子政府がゴールだろう。 新型コロナウイルス禍の各種対策のためにつくったシステムは軒並み駄目だったが、デジタル庁がつくるシステムは少しはまともになるはずだ。なぜなら、コロナ禍対策のシステムは有事のシステムであり、これからつくるのはアフターコロナの平時のシステムだからだ。そもそも行政関連で有事のシステム構築はうまくいかない。急ぎ構築するのでバグが多いといった理由だけではない。コロナ禍などの有事では各省庁や各自治体の枠を超えた連携が必要になるにもかかわらず、縦割りでシステムをつくってしまうからだ。 2021年8月下旬に、自宅療養中のコロナ感染者が保健所から認識されずに亡くなるという「事件」があった。一義的には保健所のミスだが、行政の縦割りを前提にしたシステムが招いた悲劇だ。亡くなったこの方は厚生労働省の「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)」に症状の悪化を訴える内容を入力していた。厚労働はHER-SYSについて「急変時に気づいてもらえないことがなくなり、きめ細かな安否確認を受けられるようになる」などとうたうが、紙で情報を管理していた保健所は気づかなかった。 一方、デジタル庁がつくる電子政府のシステムは、行政の縦割りを前提にしても問題が露見する可能性は低い。各省庁や各自治体のシステムがデータ連係できるようになれば、電子政府で受け付けた手続き申請を担当組織のシステムに送る仕組みなどを構築すればよい。「データを送ったので、後はそちらで処理をよろしく」というわけだ。もちろん担当する自治体などでは、対応する機能や業務フローを新たにつくらなければならないかもしれないが、何せ有事のシステムではないから対応を検討する時間はある。 かくして、省庁や自治体などの行政の縦割り構造や、それぞれの組織の業務のやり方に手を加えることなく、バックヤードの基幹システムの刷新などを担当するITベンダーを肥え太らせながら、「世界最高水準」と自賛するデジタル・ガバメントが出来上がるだろう。もちろん、各組織の非効率な業務はそのまま、頑強な組織の壁もそのままである。アフターコロナの平時が続けばよいが、再びコロナ禍級の災難に見舞われたとき、果たして変革なき縦割り行政のデジタル・ガバメントは適切な有事対応が可能になるのだろうか。 そもそも官庁や自治体の縦割り行政は大きな問題だ。特に複数の組織をまたぐ課題に対しては、権限争いや消極的権限争い(責任の押し付け合い)を繰り広げ、調整に時間がかかるうえに、思わぬ機能不全を引き起こす。だからこそ菅首相が「行政の縦割り打破」を唱えてきたわけだし、行政のDXの目標はそれでなければならないはずだ。つまりデジタルを活用し、官庁や自治体の壁を越えて政策や実務面で連携できる体制をつくるということだ。 というわけで「行政のDXは無理」との結論になる。ただ、これで終わるのは極言暴論といえども、あまりに無責任なので最後に提言をしておこう。まず行政のDXと行政改革という2つの概念を統一する。そのうえで、発足したばかりなのに恐縮だが、デジタル庁を改組して「デジタル行政改革庁」をつくる。「このままじゃ、まずいんじゃないか」と憂う、志のある官僚らも一本釣りで集める。で、「システムに業務を合わせろ」とか「組織の壁を越えて必要な体制をつくれ」といった強い勧告権を与える。 もちろん、デジタル革命の世にふさわしい行政の在り方を検討し、首相に提言する機能もデジタル行政改革庁のミッションとすればよい。これでどうだ。もちろん、新たな首相の強いリーダーシップが大前提ではあるが』、「亡くなったこの方は厚生労働省の「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム・・・に症状の悪化を訴える内容を入力していた。厚労働はHER-SYSについて「急変時に気づいてもらえないことがなくなり、きめ細かな安否確認を受けられるようになる」などとうたうが、紙で情報を管理していた保健所は気づかなかった」、「縦割りでシステム」が機能せず失敗した典型例だ。「デジタル庁を改組して「デジタル行政改革庁」をつくる。「このままじゃ、まずいんじゃないか」と憂う、志のある官僚らも一本釣りで集める。で、「システムに業務を合わせろ」とか「組織の壁を越えて必要な体制をつくれ」といった強い勧告権を与える。 もちろん、デジタル革命の世にふさわしい行政の在り方を検討し、首相に提言する機能もデジタル行政改革庁のミッションとすればよい」、なるほど、その通りなのだろう。

第三に、10月29日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏による「国政選挙がネット投票に変わらない、ちょっとだけ怖い裏事情」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/286046
・『ネット投票実現の問題点は全て克服できる  衆議院選挙の投票日もだんだん近づいてきました。少し想像していただきたいのですが、スマホで投票ができたら楽ですよね。なぜ日本はネット投票を導入しないのでしょうか? 実は、そこにはある理由が存在しているという話をします。 まずは表向きの話から。ネット投票が実現できたら基本的に良いことばかりです。何より投票が手軽になります。投票所に出かける必要がなくなりますから。そんなことから投票率が上がります。在外投票や障がい者の投票も便利になります。投票を通じて政治に参加する国民が増えることは、民主主義にとっては歓迎すべきことです。 そして、投開票に関わるコストは論理的には減ります。無効票も減り、開票スピードは劇的に上がります。もし投票手段をネット投票のみに限定したら、選挙の投票が20時に締め切られる日本の場合、20時から始まる選挙特番の冒頭で、全議席が確定することになります。 一方で、ネット投票を実現しようとすると問題点が存在します。 (1)個人情報をどう守るか? (2)システム障害が起きたらどうするか? (3)新たなタイプの選挙違反をどう防ぐか? (4)サイバー攻撃によって国政がゆがむリスクをどう防ぐか? (5)有権者がその選挙結果が公正であることをどう検証できるか? 重要なことは、これらの問題点はすべて克服可能だという点です』、なるほど。
・『デジタル庁の発足、出口調査の徹底 法の整備で大半のトラブルは対応可能  1番目の問題は、そもそもこの10月にデジタル庁が発足した理由そのものです。これから5年以内に行政サービスでマイナンバーカードを便利に使えるように世の中の仕組みを一気呵成(かせい)に変えるというのがデジタル庁の存在意義なので、この記事ではそこは克服されることを前提に考えましょう。 2番目の問題ですが、システム障害が起きたら困ることはこの世の中には無数にあります。それでもデジタル社会では、銀行も鉄道の運行も病院のカルテもデジタル放送もすべてシステムは障害を克服しながら稼働を続けています。 メガバンクのシステム障害が起きる現代ですから、国政選挙がネット投票になれば何らかの障害が起きる状況もいつか発生するでしょう。ですから、「そうなったときにどうするのか?」のルールを決めておくことが大切です。最悪の場合、投票のやり直しを含めて、法改正をどうするのか、確かに検討項目は多いと思います。しかし、ネット投票が議論されはじめた2000年代とは違い、現在の情報通信インフラを前提にすればシステムの問題は解決可能な問題になっているはずです。 ひとつ飛んで、4番目の問題は本質的に重大です。システムインフラに携わっていらっしゃる方はよくご存じのように、インフラに対するサイバー攻撃は日常的に発生しています。もし某国が我が国の選挙システムに侵入して巧妙に選挙結果を書き換えたとしたら? それはどう防ぐことができるのでしょうか? 比較的起こりうるサイバー攻撃として有権者のパソコンやスマホをウイルス感染させて投票自体をゆがめられたことが選挙後にわかったとしたら? ないしは、その感染自体に誰も気づかなかったとしたら? この問題は五番目の問題と表裏の関係にあります。みんながAという候補者に投票したと思っているのに、結果としてBという候補者が圧勝したとします。紙の選挙であれば再開票を請求することができますが、ネット投票ならそれがありません。 理由もわからないとします。某国のウイルスが個人の投票をゆがめたのか、秘密裏に集計プログラムをB候補に書き換えたのか、それとも選挙集計プログラム自体に政府の陰謀があって、特定の候補の得票を上積みする秘密のコードが挿入されていたのか? そのような疑惑が無限に起こりうることを考えると、第三者による出口調査的なシステムが抑止力として、政府が運営するネット選挙システムとは別に存在すべきかもしれません。たとえば、NHKや大新聞からの「誰に投票しましたか?」という質問に有権者は積極的に回答するのがひとつの自衛策になります。もちろん、うそを言う人は一定数いるでしょうけれども、統計学的には大量のサンプルがあれば独自調査結果は実際の結果とかなりの確率で一致します。 ですから、どの調査を見てもA候補が当選しているのに、実際の選挙ではB候補が当選したとしたら、その選挙結果は「怪しい」と考えることができるわけです。 この問題の解決としては「ではどうするのか?」について、どのような法律を作るかが重要です。サイバー的な要素での不正が疑われるケースについて、プログラムのコードを検証したり、ウイルスの有無をチェックするよりも、実用的には「結果が疑わしいケースでは何らかの機関が再選挙を命じることができる」ようにするのが現実的かもしれません』、「第三者による出口調査的なシステムが抑止力として、政府が運営するネット選挙システムとは別に存在すべきかもしれません」、「実用的には「結果が疑わしいケースでは何らかの機関が再選挙を命じることができる」ようにするのが現実的かもしれません」、結構大変だ。
・『ネット投票を解禁した場合に起こりそうな新たな「選挙違反」とは?  残る問題としては、これは日本の社会的な問題だとも思うのですが、3番目のネット投票時代の新しい選挙違反への危惧が大きいかもしれません。 非常にわかりやすく例示すると、高齢者施設や障がい者施設で、運営者が入居者のスマホとマイナンバーカードを預かってしまい、勝手に投票したらどうするのか? という問題提起があります。実際に選挙になったら本当にそんな事件が起きそうです。 海外の事例では他人に投票されてしまった人も、後から自分で投票でき、かつ後から投票した票を有効票とするような仕組みが作られています。ただ、それだけではこの例で挙げたような弱者の票を奪う犯罪は防ぎきれません。となるとこの問題を解決するには、私は厳罰化しかないと思います。 そもそも、ネット犯罪は通常犯罪よりも手を染めやすい側面がある分、抑止力としての厳罰化が重要なのです。たとえばネット選挙での選挙違反は実刑でかつ凶悪犯と同等の刑罰になると決められ、それが周知されれば、そこまでして選挙違反に協力しようとする人は減るはずです。 さて、このようにして問題点を克服して、ネット選挙が導入されれば民主主義は一見、よくなりそうです。 日本では若者の投票率が低いことが社会問題だとされています。若者が収めた税金が高齢者の社会福祉にばかり使われているのは、投票率の高い有権者の方を政治家が向いているからだ、という説はそこそこ根拠のある説のようです。若者にとってもよりよい未来を望むのであれば、若者の投票率を上げるべきで、その手段としてネット投票は一番の解決策になるという意見は論理的に見えます。 実際、民主主義国家同士の比較で見ると日本は投票率が低い国のグループに入ります。いわゆる西側諸国であるOECD加盟国を例に取ると、オーストラリアの投票率は90%台、ベルギー、スウェーデン、トルコ、デンマークなどが80%台、ドイツ、イタリア、スペイン、カナダ、イギリスなどが60%台後半から70%台と高いのに対し、日本は50%台の下の方です。 そして、ネット投票の推進がこの状況を変えてくれそうなのですが、ここに新たな問題点として「が登場します』、「裏事情」とはどういうことだろう。
・『国政選挙がネット投票に変わらないちょっとだけ怖い裏事情  先にこの裏の事情を象徴する事実を紹介しておきましょう。技術的にはネット投票が実現できる社会が誕生しているのにもかかわらず、先進国中で国政選挙にネット投票を全面的に取り入れている事例が、いまだにエストニア1国しか存在しないのです。 もちろん国政選挙でもオーストラリアの一部の州で導入したとか、フランスでは在外フランス人の投票に導入したとか、部分的な事例は他にも存在しています。ほとんどの先進国で選挙制度のネット化に興味を示し、日本もそうですが地方自治体選挙での導入例は散見されているにもかかわらず、世界の潮流としてネット選挙へ突き進んでいる国がエストニアしかない。こういう問題にはそれなりの裏事情が存在しているものです。 ここから先は話が生々しくなるので、日本ではなく、日本と同じく投票率が50%台と先進国の中では比較的低いアメリカの事情をもとに、なぜアメリカが低い投票率を放置しているのか、そしてなぜ先進国がエストニアに倣わないのかを検討してみます。 アメリカの社会ドキュメンタリー番組で、選挙制度の問題は何度も題材として取り上げられています。アメリカでは州ごとに選挙制度が微妙に違い、その選挙制度は現職の議員が自分に有利な方向でルールを作る傾向があることが社会問題になっています。 たとえばアメリカ人が選挙に投票するためには登録をしなければならないのですが、その登録方法を不便で面倒にしておくと黒人の登録率が低くなる傾向があるといいます。あからさまにはそうは口に出さないのですが、保守系の政治家にとってはその方が有利だと考えて、不便な仕組みを変更しない。そして実際の選挙では現職の政治家が接戦を制するという結果になっている州がいくつも存在しているのです。 これはアメリカ全体の問題なのですが、政治家の対立軸は大きく保守と革新に分かれていて、世論調査では微妙に革新の方が多数派になるのですが、選挙では結果が拮抗している。この結果を引き起こしている一番の要因が選挙制度だと指摘されているのです。 そのような現職議員が、2007年から始まったエストニアのネット国政選挙から学んだことがあります。ネット選挙を導入したエストニアでは国政選挙に対する国民の投票行動が、がらりと変化しました。そして2003年までは第三党だった改革党が、2007年以降、4回の国政選挙ですべて第一党に躍進したのです。 「ネット選挙を導入すると、得票の傾向が大きく変わってしまう」 これが、ネット先進国エストニアが証明した、選挙のネット化の真実です。そしてこれはアメリカだけではなく、すべての国の現職議員にとって不都合な真実でした。 もちろん、状況証拠だけで証明することはできません。日本でもネット選挙の導入に向けて有識者会議は行われています。でも、そんな日本だけではなく、OECDに加盟する西側先進国でエストニア以外、ほとんどの国がネット国政選挙に踏み切らないことは事実です。そしてそのことと、選挙制度を決めるのが現職議員であるという当たり前の事実の間には、何やら深い因果関係がありそうだと私には見えるのです』、「ネット選挙を導入したエストニアでは国政選挙に対する国民の投票行動が、がらりと変化しました。そして2003年までは第三党だった改革党が、2007年以降、4回の国政選挙ですべて第一党に躍進したのです。 「ネット選挙を導入すると、得票の傾向が大きく変わってしまう」 これが、ネット先進国エストニアが証明した、選挙のネット化の真実です。そしてこれはアメリカだけではなく、すべての国の現職議員にとって不都合な真実でした」、「選挙制度を決めるのが現職議員である」、これでは「ネット選挙」が導入される可能性は限りなくゼロに近いようだ。 
タグ:(その5)(大前研一「デジタル庁が日本を変えるのは無理」 日本はIT人材の給料が安すぎる、行政のDXは風前のともしび デジタル庁が失敗するこれだけの理由、国政選挙がネット投票に変わらない ちょっとだけ怖い裏事情) 電子政府 プレジデント 2021年10月15日号 大前 研一 「大前研一「デジタル庁が日本を変えるのは無理」 日本はIT人材の給料が安すぎる」 「デジタル庁」担当大臣だった平井卓也氏は小選挙区で落選、新任の牧島かれん氏は当選したようだ。「日本のIT教育の問題点は、作りたいシステムを構想し、それをスペック(仕様)に書き出すということを教えていないことだ。作りたいシステムがないままに、プログラミングのルールばかりを勉強する。だから、人に言われたことをプログラミング・・・するだけの人材しか育たず、「ITエンジニア哀史」の物語が生まれることになるのだ。このような人材は、世界では到底評価されない」、その通りだ。 「アメリカ企業なら発注側にしっかりプロジェクトマネジメントできる人材がいる」、うらやましい限りだ。 「日本交通の川鍋一朗会長」が「日本初のタクシー配車システム・・・の原型を構築した」、大したものだ。 「日本」は単なるプログラマーなので、安いのは当然だ。 「プログラミングができる中高生を「ITエンジニア哀史」の世界に送り込むのもやめるべきだ」、「彼らに早めに経営を教えて、起業させる仕組みが重要である」、同感である。 日経ビジネスオンライン 木村 岳史 「行政のDXは風前のともしび、デジタル庁が失敗するこれだけの理由」 「「行政のDXがうまくいくか、いかないかを賭けるとして、あなたはうまくいかないほうに賭けるか」と聞かれたら、私は「絶対にそんなばかげた賭けはしない」と答える・・・絶対に負けるからである。さて、なぜでしょう。 答えは実に簡単だ。「絶対に成功したことになる」からだ。行政のDXの内実がどんなに悲惨なものであったとしても、行政のDXは成功裏に完遂したことになるのである」、「この現象は、民間の企業でおなじみの光景だ。ERP・・・導入による業務改革とか、BPR・・・など過去の取り組みの多くは皆、壮絶に破綻した。でも、 「デジタル改革相・・・と行政改革相の2人の大臣がいるからだ。大臣が別にいるということは、担当する役人らも別だし、そもそもデジタル改革(DX)と行政改革が別概念であることを示している。これは本当にナンセンスな話である。行政改革は省庁再編など「組織に手を突っ込む」というニュアンスが強いものの、デジタル革命の世なのに「デジタルを前提としない行政改革」なんてあり得るのだろうか」、確かに一体であるべきものだ。 「膨大なお金、つまり税金をかけたのに、データ連係という行政システムの最低限の要件だけを満たした、代わり映えのしないシステムが出来上がるだけだぞ。行政のDX、つまり行政改革は全く進まないのに、誰もが「DXに成功した」と口裏を合わせる。今のところ、そんな結果しか見えてこない」、やれやれだ。 「亡くなったこの方は厚生労働省の「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム・・・に症状の悪化を訴える内容を入力していた。厚労働はHER-SYSについて「急変時に気づいてもらえないことがなくなり、きめ細かな安否確認を受けられるようになる」などとうたうが、紙で情報を管理していた保健所は気づかなかった」、「縦割りでシステム」が機能せず失敗した典型例だ。「デジタル庁を改組して「デジタル行政改革庁」をつくる。「このままじゃ、まずいんじゃないか」と憂う、志のある官僚らも一本釣りで集める。で、「システムに業 ダイヤモンド・オンライン 鈴木貴博 「国政選挙がネット投票に変わらない、ちょっとだけ怖い裏事情」 「第三者による出口調査的なシステムが抑止力として、政府が運営するネット選挙システムとは別に存在すべきかもしれません」、「実用的には「結果が疑わしいケースでは何らかの機関が再選挙を命じることができる」ようにするのが現実的かもしれません」、結構大変だ。 「裏事情」とはどういうことだろう。 「ネット選挙を導入したエストニアでは国政選挙に対する国民の投票行動が、がらりと変化しました。そして2003年までは第三党だった改革党が、2007年以降、4回の国政選挙ですべて第一党に躍進したのです。 「ネット選挙を導入すると、得票の傾向が大きく変わってしまう」 これが、ネット先進国エストニアが証明した、選挙のネット化の真実です。そしてこれはアメリカだけではなく、すべての国の現職議員にとって不都合な真実でした」、「選挙制度を決めるのが現職議員である」、これでは「ネット選挙」が導入される可能性は限りなくゼロに
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