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エネルギー(その11)(“太陽光パネル”の知られざる闇 「米ができない」農家が嘆く理由とは、埼玉・小川町メガソーラー 事業化困難で大誤算 経産省が大量の認定失効に踏み切った背景、日本で地熱発電が普及しない「本当の理由」を米紙が報道─なぜ純国産エネルギーを利用しないのか?) [産業動向]

エネルギーについては、昨年4月11日に取上げた。今日は、(その11)(“太陽光パネル”の知られざる闇 「米ができない」農家が嘆く理由とは、埼玉・小川町メガソーラー 事業化困難で大誤算 経産省が大量の認定失効に踏み切った背景、日本で地熱発電が普及しない「本当の理由」を米紙が報道─なぜ純国産エネルギーを利用しないのか?)である。

先ずは、本年1月29日付け日刊SPA!「“太陽光パネル”の知られざる闇。「米ができない」農家が嘆く理由とは」を紹介しよう。
https://nikkan-spa.jp/1882821/2
・『道路や水道など、生活を支えるインフラが全国各地で崩壊の一途を辿っている。しかし維持管理できない自治体も出てきているという。一体現場では何が起きているのか。全国で顕になりつつある“荒廃する日本”の実態に迫る』、興味深そうだ。
・『「米ができない」地元農家が嘆く太陽光パネルの闇  メガソーラーを巡っては、利益重視で運営を行う業者と住民間でのトラブルが全国で相次ぐ。中国系企業が運営する太陽光発電所の建設が進められている山口県岩国市もそのひとつ。市議会議員の石本崇氏はこう喝破する。 「太陽光パネルが破損し、有害物質が流出したのではと疑念を持つ人も少なくありません。使用するパネルは、世界でもシェアを広げる格安な中国メーカーのものです」』、「中国系企業が運営する太陽光発電所」で「太陽光パネルが破損し、有害物質が流出したのではと疑念を持つ人も少なくありません」、やれやれ、「中国系企業」らしい。
・『水田の土砂からは有害物質が検出  工事中の発電所下で農業を営む人々も重い口を開く。 「工事が始まってから水田の土砂を調査してみると、ヒ素、鉛など有害物質が検出されて、それからは稲作のできない状態が続いています」』、「ヒ素、鉛など有害物質が検出」とは深刻だ。自治体は工事業者に現状回復命令などを出したのだろうか。
・『「水害でパネルが水没することも想定すべき」  その危険性に鑑み、パネル設置を規制する条例を定める自治体も少なくないが、東京都は’22年12月、新築住宅太陽光パネル設置義務条例を制定した。東京都議会議員の上田令子氏は声を上げる。 「水害でパネルが水没することも想定すべきですよ。屋根から外れたパネルが水たまりに落ちれば、そこで勝手に発電してしまい、ガレキの片づけにあたる住民が感電する危険性もありますから」 再生可能エネルギー=環境に良いとの幻想が打ち砕かれる現実を目の当たりにした』、「新築住宅太陽光パネル設置義務条例」は「東京都」が制定したようだが、全国レベルでも規制すべく、法制化すべきだろう。

次に、4月6日付け東洋経済オンラインが掲載したジャーナリストの河野 博子氏による「埼玉・小川町メガソーラー、事業化困難で大誤算 経産省が大量の認定失効に踏み切った背景」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/664196
・『この夏で創設11年となる再生可能エネルギーの固定価格買い取り(FIT)制度。日本の発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合を飛躍的に伸ばした反面、太陽光発電では土砂災害、景観、自然環境破壊を懸念する地域住民との紛争が絶えない。経済産業省資源エネルギー庁は4月3日、認定失効の可能性が高い大量の案件について失効確認作業を本格化、失効分の公表を始めた。失効案件の一つ、経済産業相が厳しい勧告を出した埼玉県の「さいたま小川町メガソーラー」を例に、失効をめぐる事情を探った』、興味深そうだ。
・『事業者は失効回避に自信を見せていた  さいたま小川町メガソーラーは、国の環境影響評価(環境アセス)制度に基づいて手続き中。2022年2月、事業者による環境アセス準備書に対し、経済産業相が事業の抜本的見直しを求める異例の勧告を行い注目された。 事業者は、小川エナジー合同会社(埼玉県寄居町、代表社員=株式会社サンシャインエナジー、職務執行者・加藤隆洋氏)。官ノ倉山と石尊山の一部、約86ヘクタールに太陽光パネルを敷き、出力約3万9600kWの発電を行う計画だった。 1月28、29日の両日で小川エナジーは事業計画地近くの公民館で住民説明会を開き、経済産業相の勧告を受けて事業計画を変更すると説明した。勧告は約72万立法メートルという大量の盛り土を行い、その約半分にあたる土砂を外から搬入するという点を問題視した。 当初計画された盛り土の量は、2021年夏に起きた静岡県熱海市の土石流の起点となった源流部に盛り土された量の10倍以上。また、周辺の農家には有害物質を含む建設残土が持ち込まれるのでは、との懸念もあった。 説明会で事業者は計画変更を明らかにした。 ①外からの建設残土の搬入を一切中止する ②パネル設置方法を工夫し、地面に垂直に立てる架台を利用して傾斜をつけて並べる  会場からは事業の現実性や持続性について質問が相次いだ。それにひるむことなく加藤代表は「認定の失効にはならない。(固定価格で電気を買い取ってもらえる期間の)20年間事業を行える」と自信を見せた。 認定失効制度には、事業者側が失効を回避する手立ても用意されている。一定の期限までに電力会社の系統につなぎますという「系統への着工申し込み(系統連携着工申込書)」を出し、受領されることが失効回避の一つのステップになっている。) 1月29日の説明会終了後、住民に対応した加藤代表によると、東京電力側に着工申し込み文書を提出し、受領されたという。またこれとは別に、国の環境アセス制度に沿って手続きを進めていることを経済産業省に確認してもらう段取りも踏んでおり、「認定失効は回避された」と判断したようだ。 4月3日に公表された認定失効情報は、資源エネルギー庁のホームページの「失効情報紹介」コーナーに知りたいメガソーラーの設備IDを入力しすると、認定が失効している場合には「〇年〇月〇日以降、認定が無効です」と表示される仕組み。 「さいたま小川町メガソーラー」の設備IDを入力すると、4月1日に認定が失効していることがわかった。小川エナジーの「回避できた」という理解は「誤解」だったといえる。 電力会社に系統への着工申し込みを行う際には、県から林地開発許可を得ていることなどが要件になっている。着工申込書にそれを証明する文書を添付する必要はない。しかし申込書には、要件をクリアしていないことが判明した場合、「失効となる可能性がある」と明記されてもいる。 小川エナジーは、埼玉県からの林地開発許可をまだ受けていない。環境アセス手続きを早く終え、林地開発許可を得ていれば、認定失効を免れることができただろう』、「小川エナジーは、埼玉県からの林地開発許可をまだ受けていない」のであれば、「誤解」との認識は事実誤認だ。
・『国が認定失効制度を新設し、大量処分に踏み切った背景  認定失効制度は2020年の法改正で盛り込まれ、2022年度に本格施行された。FIT制度では、認定を受けた時点で設定される調達価格で20年間にわたり、電力会社(送配電事業者)に売電できる。小川エナジーが認定を受けたのは2017年3月で、設定された調達価格(電力会社による買い取り価格)は1kWh(キロ・ワット・時)当たり24円。 太陽光発電の場合、調達価格は大きく下がってきた。2022年度は1kWh当たり10円を切っている。いったん認定を受ければ、年数がたってからの稼働でも、認定時の高い値段で電気を売れるが、この仕組みは国民の賦課金によって支えられている。2022年度の賦課金は再生可能エネルギー全体で1kWh当たり3.45円。平均的な使用量の家庭では年1万6560円だった。 0.22円だったFIT導入時から約16倍にも膨らんだ賦課金。当然批判は強く、国民負担の増大抑制が喫緊の課題となった。経済産業省は「高い調達価格の権利を保持したまま運転を開始しない案件が大量に滞留する」(資源エネルギー庁)事態に、メスを入れる必要に迫られた。発電事業者の中からも「無理筋な未稼働案件が消えてくれれば、容量が限られている電力会社の送配電網を優良な事業で使える」との声が出ていた。) 高い調達価格で電気を売れる権利を持ったまま運転を開始していない案件の中には、地元住民から反対の声が高いケースがある。国は「地域との共生」をうたい、2022年4月に経済産業、環境、国土交通、農林水産の4省のもとで再エネ発電設備の適正導入・管理の検討会を設けた。 背景には「地域で太陽光発電イコール悪という認識が広まってしまうと、脱炭素の取り組みが難しくなる」(環境省)という危機感があった』、「高い調達価格で電気を売れる権利を持ったまま運転を開始していない案件の中には、地元住民から反対の声が高いケースがある。国は「地域との共生」をうたい」、そんな案件を「認可」取り消しするべきだが、大義名分に欠けるのだろうか。
・『小川メガソーラーはどうなる  FIT認定の失効を受け、小川エナジーはどうするのか。3月31日、小川エナジーに電話したところ、同社の加藤代表は「失効については聞いていない。環境アセス準備書に対する経産相の勧告を受け、昨年末まで調査を続け、評価書を出す準備を進めているところだ。事業を中止するという噂は何回も流されたが、そういう事実はない」と話した。 確かに、FIT認定失効イコール事業中止ではない。固定価格買い取り制度による売電のほかにも、電力の売り先企業を探して相対取引で売電するなど太陽光発電事業を行う方法はある。 しかし、さいたま小川メガソーラー事業の実現には、いくつものハードルがある。特に、住民団体「比企の太陽光発電を考える会」が事業の悪影響について調査を続け、小川町、埼玉県、国に事業化への懸念を伝えていることは大きい。3月21日には「雨水を浸透させ、蓄える能力」が事業地の土地にどのくらいあるかの調査が行われた。 「比企の太陽光発電を考える会」の依頼を受けて調査を実施したのは、法政大学エコ地域デザイン研究センターの神谷博・客員研究員。事業地内の4カ所でインフィルトロメーターという透明なプラスチック製の筒状の計測器を使い、地面の雨水浸透能力を測った。地面に置いた計測器に用意した水を入れ、筒の中を下がった水面の高さを30秒ごとに読み取っていった。 その結果、事業敷地の治水蓄雨高(単位面積当たりの雨をしみ込ませる能力)はソーラーパネルを設置した場合に37mmと算定された。「一戸建てが並び、敷地面積の半分は建物で、そのほかにも駐車スペースなどがあり、雨がしみ込む場所が少ない住宅地とほぼ同程度」(神谷研究員)。 パネルを設置せず、現状のままの林地の場合、治水蓄雨高は60mmと算定された。事業地は森林土壌が比較的薄く、全体として保水性の乏しい丘陵地として知られており、それが裏付けられた形だ。) 神谷研究員は土地の雨水浸透能力に着目する理由をこう説明する。「2014年の水循環基本法制定、雨水利用推進法施行により、雨水の流出を抑え、地下浸透を促進することが求められている」。また事業地の大部分は「埼玉県水源地域保全条例」により水源地域に指定され、多くのため池や集落の井戸の水源地にあたるが、神谷研究員は「そこの雨水浸透能力を奪ってしまうのではないか」と指摘する。 資源エネルギー庁の認定失効情報検索サイトによると、さいたま小川町メガソーラーのほかにも埼玉県内で地域住民の反対があるメガソーラーの認定が失効していた』、「事業敷地の治水蓄雨高・・・はソーラーパネルを設置した場合に37mmと算定された。「一戸建てが並び、敷地面積の半分は建物で、そのほかにも駐車スペースなどがあり、雨がしみ込む場所が少ない住宅地とほぼ同程度」・・・パネルを設置せず、現状のままの林地の場合、治水蓄雨高は60mmと算定」。「事業地の大部分は「埼玉県水源地域保全条例」により水源地域に指定され、多くのため池や集落の井戸の水源地にあたるが、神谷研究員は「そこの雨水浸透能力を奪ってしまうのではないか」と指摘」、「水源地域」の「雨水浸透能力を奪ってしまう」のはやはり大きな問題だ。
・『地域や自治体とのトラブル案件の認定失効続々  埼玉県日高市で、2019年8月に公布・施行された「日高市太陽光発電設備の適正な設置等に関する条例」により太陽光発電事業が禁止された区域内に計画地があったため、事業を進められなくなったメガソーラーも「4月1日以降、認定が無効」となった。 さいたま小川町メガソーラーの事業地近くの炭鉱跡地の丘に計画されているメガソーラー、やはり小川町内の谷津にある棚田に隣接した遠ノ平山に計画されたメガソーラーをめぐっては住民の反対が根強いが、この2件については「2023年4月1日に失効期限日を超過している可能性があり、認定状況を確認中」との表示が出た。 こうした案件に共通するのは、なだらかな丘陵の山林に計画されたこと。大雨の際の土砂崩れの恐れや景観の破壊を挙げ、周辺住民が懸念を強めていた。 西村康稔経済産業相は3月31日、閣議後の記者会見で2022年度末の失効見込み数を「50000件」程度、その容量の総計を「約400万kW」としている。しかし、現時点で全国の失効総数については明らかにしていない。確認作業を進めており、失効が確認されたケースから五月雨式に公表しているとみられる』、「こうした案件に共通するのは、なだらかな丘陵の山林に計画されたこと。大雨の際の土砂崩れの恐れや景観の破壊を挙げ、周辺住民が懸念を強めていた」、熱海市の盛土崩壊事故を踏まえると、慎重にも慎重な判断が求められる。

第三に、5月16日付けCOURRiERが転載したニューヨーク・タイムズ「日本で地熱発電が普及しない「本当の理由」を米紙が報道─なぜ純国産エネルギーを利用しないのか?」を紹介しよう。これは有料記事だが。無料閲覧は今月あと2本。
https://courrier.jp/news/archives/325542/#paywall_anchor_325542
・『日本には膨大な地熱エネルギーが眠っているが、不可解なことに、その豊富な資源はまったく生かされていない。なぜ安価でクリーンな純国産エネルギーを開発しないのか。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が答えを探ってみると、日本ならではの葛藤が見えてきた』、興味深そうだ。
・『総発電量のわずか0.3%  日本を旅する人々に愛される保養地といえば、山あいや風光明媚な沿岸部に位置する温泉リゾートだ。国内に何千ヵ所もある温泉地のなかには、何世紀にもわたって観光客でにぎわってきたところもある。 そうした温泉地のすべてを支えているのが、日本の豊富な地熱エネルギーだ。実際、日本の地下には膨大な地熱エネルギーが眠っており、発電に利用されれば、国内の石炭・ガス火力発電や原子力発電に代わる重要な役割を果たす可能性がある。 だが、地熱エネルギーの普及を目指す日本の野望は何十年もの間、驚くほど強力な温泉地の抵抗に阻まれている。 福島県の山中にたたずむ隠れ家的旅館「二岐温泉大丸あすなろ荘」の佐藤好億社長は、「地熱開発が乱立すれば、私たちの文化が脅かされる」と話す。二岐温泉は開湯1300年の歴史があるとされる。「万が一にでも私たちの温泉に何かあったら、誰が代償を払うのでしょうか」 日本は世界3位の地熱資源国とされるが、不可解なことに、その豊富な資源をほとんど利用していない。総発電量に占める地熱発電の割合は約0.3%にとどまる。新しくクリーンな発電方法を切望している資源の乏しい国にとって、せっかくの機会が生かされていないとアナリストらは指摘する。 この謎に対する答えの一つは、佐藤が経営する旅館のような由緒ある温泉にある。こうした旅館は何十年もの間、ミネラル成分の豊富な泉質に害が及ぶことを恐れ、地熱開発に抵抗してきた。 佐藤はあすなろ荘に水流と水温をリアルタイムで計測できるモニタリング装置を設置し、全国の温泉地にも同様の対応を呼びかけている。「日本秘湯を守る会」の会長を務める佐藤は、地熱開発反対運動の陣頭指揮を執っている。 政府官僚や日本の電力大手、さらには製造業大手でさえ太刀打ちできない。東京に本社を置く電源開発(Jパワー)の阿島秀司は「開発を無理やり進めるわけにはいかない」と話す。地熱発電所を国内で1ヵ所のみ運営するJパワーは、過去数十年の間、多数の地熱開発を断念せざるを得なかった。 「地熱発電所は決してゲームチェンジャーにはなれませんが、(二酸化炭素を排出しない)カーボンフリーエネルギーの一翼を担うことはできると考えています」と阿島は言う』、「日本は世界3位の地熱資源国とされるが、不可解なことに、その豊富な資源をほとんど利用していない。総発電量に占める地熱発電の割合は約0.3%にとどまる」、その理由は、「由緒ある温泉にある。こうした旅館は何十年もの間、ミネラル成分の豊富な泉質に害が及ぶことを恐れ、地熱開発に抵抗してきた。 佐藤はあすなろ荘に水流と水温をリアルタイムで計測できるモニタリング装置を設置し、全国の温泉地にも同様の対応を呼びかけている。「日本秘湯を守る会」の会長を務める佐藤は、地熱開発反対運動の陣頭指揮を執っている」、「地熱発電所を国内で1ヵ所のみ運営するJパワーは、過去数十年の間、多数の地熱開発を断念せざるを得なかった」、なるほど。
・『アイスランドが「再生可能エネルギー」100%で電力をまかなえている理由 「日本に必要なものはそろっている」  温泉は、岩石に浸透した雨水が地熱で温められ、数年から数十年の歳月をかけて地表に湧き出してくる自然界の小さな奇跡だ。 日本全国に点在する温泉旅館や立ち寄り湯は1万3000ヵ所を超える。入浴には厳しいルールがあり、壁の張り紙にはさまざまな言語で注意事項が書かれている。水着の着用禁止、せっけんのついた体での入湯禁止……。 一方、地熱発電所は、地下深く掘った井戸から高温の蒸気・熱水をくみ上げ、巨大なタービンを回して発電する。開発事業者によると、地熱発電所は温泉の地下深くにある源泉を利用するため、どちらか一方が他方に影響する可能性は低い。 それでも、温泉と地熱の関係は依然として謎めいた部分がある。温泉の流れが変わった場合、その原因を突き止めるのは難しいことが多い。 京都大学名誉教授で、地熱科学の専門家である由佐悠紀は、地熱開発がもたらす影響の全容はまだ充分に理解されていないと語る。 世界5位の温暖化ガス排出国である日本は、気候関連目標を達成し、化石燃料の輸入依存を低減するため、よりクリーンなエネルギーを必要としている。2011年に起きた福島第一原子力発電所の事故以降、国内の原発は多くが稼働を停止したままだ。 そうしたなか、環境に配慮した地熱発電は比較的安価であるうえ、24時間安定的に電力を供給できることから、再生可能エネルギー源として有望視されている。 2030年までに国内の地熱発電容量を3倍にすることを目指す日本政府は、国立・国定公園内の地熱開発にかかる規制を緩和し、環境アセスメント(影響評価)を迅速化することで、より多くのプロジェクトに道を開こうとしている。 NPO法人「環境エネルギー政策研究所」によると、日本が地熱資源をすべて発電用に開発した場合、総電力の約10%を供給できる。これは2019年の水力、太陽光、風力、原子力の発電量を上回る。 地熱エネルギーは「国産であり、再生可能」だと語るのは、南カリフォルニア大学のエネルギー専門家ジャック・ハイマンスだ。「日本に必要なものはすべてそろっているのです」 しかし、全国各地の地方自治体はこのところ新たな規制を導入している。 草津温泉で知られる群馬県草津町は2022年、地熱開発が地元の温泉に影響しないことを証明するため、掘削事業者に町から許可を得ることを義務付ける条例を可決した。厳しいハードルが設けられたといえる。 日本一温泉の多い大分県は最近、国内最大の温泉地とされる別府市の掘削禁止区域を拡大した。 全国の温泉を代表する日本温泉協会の関豊専務理事は「国のエネルギー需要は理解している」と話す。「私たちは地熱開発に反対するために声を上げているわけではありません。ただ、野放図な大規模開発には強く警告します」』、「開発事業者によると、地熱発電所は温泉の地下深くにある源泉を利用するため、どちらか一方が他方に影響する可能性は低い。 それでも、温泉と地熱の関係は依然として謎めいた部分がある。温泉の流れが変わった場合、その原因を突き止めるのは難しいことが多い」、「日本が地熱資源をすべて発電用に開発した場合、総電力の約10%を供給できる。これは2019年の水力、太陽光、風力、原子力の発電量を上回る」、しかし、「全国各地の地方自治体はこのところ新たな規制を導入している。 草津温泉で知られる群馬県草津町は2022年、地熱開発が地元の温泉に影響しないことを証明するため、掘削事業者に町から許可を得ることを義務付ける条例を可決した。厳しいハードルが設けられたといえる。 日本一温泉の多い大分県は最近、国内最大の温泉地とされる別府市の掘削禁止区域を拡大」、やはり「温泉」側の抵抗は強力だ。
・『湯けむりに包まれる街  大分県別府では、いたるところに湯けむりがたちこめ、蒸気が通りや家々を包み込む。この数十年、大型ホテルや旅館、個人宅までもが地域の温泉を引き込み、温泉資源の著しい枯渇を招いた。 そんな状況で大規模な地熱開発はとうてい考えられないようだ。別府市役所温泉課の樋田英彦課長は「別府の文化、確立された生活様式を維持するために何をすべきか話し合っています」と語る。 別府から65キロほど離れた場所には、国内最大の地熱発電所、九州電力の八丁原発電所が建っている。運転開始から40年余りがたつが、同社はこれ以降、同規模の発電所を建設できていない。 九州電力の地熱部グループ長の千手隆徳は「(建設の)受け入れに前向きな場所を見つけるのは難しい」と明かす』、「別府から65キロほど離れた場所には、国内最大の地熱発電所、九州電力の八丁原発電所が建っている。運転開始から40年余りがたつが、同社はこれ以降、同規模の発電所を建設できていない。 九州電力の地熱部グループ長の千手隆徳は「(建設の)受け入れに前向きな場所を見つけるのは難しい」と明かす」、やはり「温泉側」の抵抗は強いようだ。
・『別府温泉 地熱エネルギー  日本政府は、地熱発電などの再生可能エネルギーの売電価格に一定の補助を上乗せする制度を導入した。この補助金制度「FIP」により、最近は小規模の地熱開発が盛んになっている。ただ、制度導入後に建設された発電所のほとんどは、おそらく数百世帯分の電力を賄う規模にとどまる。そうすることで環境アセスメントや規制を回避できるからだ。 しかし、日本のエネルギー市場全体に大きな影響を与えるには不充分だと専門家たちは言う』、「地熱発電などの再生可能エネルギーの売電価格に一定の補助を上乗せする制度を導入した。この補助金制度「FIP」により、最近は小規模の地熱開発が盛んになっている。ただ、制度導入後に建設された発電所のほとんどは、おそらく数百世帯分の電力を賄う規模にとどまる。そうすることで環境アセスメントや規制を回避できるからだ。 しかし、日本のエネルギー市場全体に大きな影響を与えるには不充分」、残念だ。
・『地熱と共存する湯沢温泉  秋田県の豪雪地帯・湯沢市は、地熱エネルギーを取り入れた温泉地として珍しい例だ。 初期開発を手がけた同和鉱業(現DOWAホールディングス)は、湯沢市出身の優秀な学生を採用したり、地元の祭りに職員を派遣したりするなど、地域社会のリーダーを巻き込んで計画を進めた。 自治体側も、人里離れた地域で新たな産業を育てることに意欲的だった。地元の酪農家は現在、牛乳やヨーグルトの低温殺菌処理に地熱を利用している。 日本は第2、第3の湯沢の誕生に期待したが、思うようにはいかなかった。1966年に国内初の商業用大型地熱発電所が運転を開始し、それから数十年の間に湯沢を含む十数ヵ所で発電所が建設された。 しかし各地の温泉旅館からの反発が強まるなか、1990年代以降は地熱発電設備がほとんど増設されていない。東芝など日本の大手メーカーが地熱タービンの世界市場を席巻しているにもかかわらず、この状況だ。各社の地熱事業に占める国内向けの割合は極めて小さい。 それゆえ、2019年に湯沢で山葵沢地熱発電所が運転を開始したことは、突破口の一つとなった。約10万世帯の電力を賄える大規模地熱発電所の新規稼動は、国内では実に23年ぶりだった。 湯沢で20年近く地元住民の理解向上に取り組んだ同和鉱業元幹部の岩田峻は、日本の地熱開発が直面する最も困難な課題は地質や技術とは関係がないと話す。「それ以上に重要なのは、地域社会に働きかけ、関係を築くことです」 とはいえ、そんな湯沢でも問題がないわけではない。地元のある温泉旅館は2020年後半から、湯量の減少に伴い、定期的に休業せざるを得なくなった。市は、地熱開発が原因ではないとしている。 湯沢の温泉旅館の一つ、阿部旅館で働く柴田昌美は「不安がないとは言い切れません」と話す。それでも地熱エネルギーは、湯沢という街を形作る重要な要素の一つになっていると言う。「温泉と地熱の共存は可能だと思っています」』、「湯沢」の「初期開発を手がけた同和鉱業(現DOWAホールディングス)は、湯沢市出身の優秀な学生を採用したり、地元の祭りに職員を派遣したりするなど、地域社会のリーダーを巻き込んで計画を進めた。 自治体側も、人里離れた地域で新たな産業を育てることに意欲的だった。地元の酪農家は現在、牛乳やヨーグルトの低温殺菌処理に地熱を利用」、「2019年に湯沢で山葵沢地熱発電所が運転を開始したことは、突破口の一つとなった。約10万世帯の電力を賄える大規模地熱発電所の新規稼動は、国内では実に23年ぶりだった。 湯沢で20年近く地元住民の理解向上に取り組んだ同和鉱業元幹部の岩田峻は、日本の地熱開発が直面する最も困難な課題は地質や技術とは関係がないと話す。「それ以上に重要なのは、地域社会に働きかけ、関係を築くことです」、「湯沢」だけは例外的に上手くいっている。これは、「湯沢で20年近く地元住民の理解向上に取り組んだ同和鉱業元幹部」の存在が大きいようだ。 
タグ:エネルギー (その11)(“太陽光パネル”の知られざる闇 「米ができない」農家が嘆く理由とは、埼玉・小川町メガソーラー 事業化困難で大誤算 経産省が大量の認定失効に踏み切った背景、日本で地熱発電が普及しない「本当の理由」を米紙が報道─なぜ純国産エネルギーを利用しないのか?) 日刊SPA!「“太陽光パネル”の知られざる闇。「米ができない」農家が嘆く理由とは」 「中国系企業が運営する太陽光発電所」で「太陽光パネルが破損し、有害物質が流出したのではと疑念を持つ人も少なくありません」、やれやれ、「中国系企業」らしい。 「ヒ素、鉛など有害物質が検出」とは深刻だ。自治体は工事業者に現状回復命令などを出したのだろうか。 「新築住宅太陽光パネル設置義務条例」は「東京都」が制定したようだが、全国レベルでも規制すべく、法制化すべきだろう。 東洋経済オンライン 河野 博子氏による「埼玉・小川町メガソーラー、事業化困難で大誤算 経産省が大量の認定失効に踏み切った背景」 「小川エナジーは、埼玉県からの林地開発許可をまだ受けていない」のであれば、「誤解」との認識は事実誤認だ。 「高い調達価格で電気を売れる権利を持ったまま運転を開始していない案件の中には、地元住民から反対の声が高いケースがある。国は「地域との共生」をうたい」、そんな案件を「認可」取り消しするべきだが、大義名分に欠けるのだろうか。 「事業敷地の治水蓄雨高・・・はソーラーパネルを設置した場合に37mmと算定された。「一戸建てが並び、敷地面積の半分は建物で、そのほかにも駐車スペースなどがあり、雨がしみ込む場所が少ない住宅地とほぼ同程度」・・・パネルを設置せず、現状のままの林地の場合、治水蓄雨高は60mmと算定」。「事業地の大部分は「埼玉県水源地域保全条例」により水源地域に指定され、多くのため池や集落の井戸の水源地にあたるが、神谷研究員は「そこの雨水浸透能力を奪ってしまうのではないか」と指摘」、「水源地域」の「雨水浸透能力を奪ってしまう」 のはやはり大きな問題だ。 「こうした案件に共通するのは、なだらかな丘陵の山林に計画されたこと。大雨の際の土砂崩れの恐れや景観の破壊を挙げ、周辺住民が懸念を強めていた」、熱海市の盛土崩壊事故を踏まえると、慎重にも慎重な判断が求められる。 COURRIER ニューヨーク・タイムズ「日本で地熱発電が普及しない「本当の理由」を米紙が報道─なぜ純国産エネルギーを利用しないのか?」 「日本は世界3位の地熱資源国とされるが、不可解なことに、その豊富な資源をほとんど利用していない。総発電量に占める地熱発電の割合は約0.3%にとどまる」、その理由は、「由緒ある温泉にある。こうした旅館は何十年もの間、ミネラル成分の豊富な泉質に害が及ぶことを恐れ、地熱開発に抵抗してきた。 佐藤はあすなろ荘に水流と水温をリアルタイムで計測できるモニタリング装置を設置し、全国の温泉地にも同様の対応を呼びかけている。「日本秘湯を守る会」の会長を務める佐藤は、地熱開発反対運動の陣頭指揮を執っている」、「地熱発電所を国内で1ヵ所のみ運営するJパワーは、過去数十年の間、多数の地熱開発を断念せざるを得なかった」、なるほど。 「開発事業者によると、地熱発電所は温泉の地下深くにある源泉を利用するため、どちらか一方が他方に影響する可能性は低い。 それでも、温泉と地熱の関係は依然として謎めいた部分がある。温泉の流れが変わった場合、その原因を突き止めるのは難しいことが多い」、 「日本が地熱資源をすべて発電用に開発した場合、総電力の約10%を供給できる。これは2019年の水力、太陽光、風力、原子力の発電量を上回る」、しかし、「全国各地の地方自治体はこのところ新たな規制を導入している。 草津温泉で知られる群馬県草津町は2022年、地熱開発が地元の温泉に影響しないことを証明するため、掘削事業者に町から許可を得ることを義務付ける条例を可決した。厳しいハードルが設けられたといえる。 日本一温泉の多い大分県は最近、国内最大の温泉地とされる別府市の掘削禁止区域を拡大」、やはり「温泉」側の抵抗は強力だ。 「別府から65キロほど離れた場所には、国内最大の地熱発電所、九州電力の八丁原発電所が建っている。運転開始から40年余りがたつが、同社はこれ以降、同規模の発電所を建設できていない。 九州電力の地熱部グループ長の千手隆徳は「(建設の)受け入れに前向きな場所を見つけるのは難しい」と明かす」、やはり「温泉側」の抵抗は強いようだ。 「地熱発電などの再生可能エネルギーの売電価格に一定の補助を上乗せする制度を導入した。この補助金制度「FIP」により、最近は小規模の地熱開発が盛んになっている。ただ、制度導入後に建設された発電所のほとんどは、おそらく数百世帯分の電力を賄う規模にとどまる。そうすることで環境アセスメントや規制を回避できるからだ。 しかし、日本のエネルギー市場全体に大きな影響を与えるには不充分」、残念だ。 「湯沢」の「初期開発を手がけた同和鉱業(現DOWAホールディングス)は、湯沢市出身の優秀な学生を採用したり、地元の祭りに職員を派遣したりするなど、地域社会のリーダーを巻き込んで計画を進めた。 自治体側も、人里離れた地域で新たな産業を育てることに意欲的だった。地元の酪農家は現在、牛乳やヨーグルトの低温殺菌処理に地熱を利用」、 「2019年に湯沢で山葵沢地熱発電所が運転を開始したことは、突破口の一つとなった。約10万世帯の電力を賄える大規模地熱発電所の新規稼動は、国内では実に23年ぶりだった。 湯沢で20年近く地元住民の理解向上に取り組んだ同和鉱業元幹部の岩田峻は、日本の地熱開発が直面する最も困難な課題は地質や技術とは関係がないと話す。 「それ以上に重要なのは、地域社会に働きかけ、関係を築くことです」、「湯沢」だけは例外的に上手くいっている。これは、「湯沢で20年近く地元住民の理解向上に取り組んだ同和鉱業元幹部」の存在が大きいようだ。
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ハラスメント(その21)(女性記者が“告発”できないのはなぜ? 細田衆院議長「セクハラ疑惑」報道から見えてきた マスコミ業界の“体質” 、ジャニー喜多川氏の性加害を“なかったこと”にした博報堂の言い分 ジャニーズ事務所への配慮を公言、【スクープ】市川猿之助が共演者やスタッフに“過剰な性的スキンシップ”のセクハラ・パワハラ「拒否した途端に外された」、市川猿之助の浮世離れしたハラスメント体質 「お前らは家畜だよ!」と弟子を怒鳴り散らす) [社会]

ハラスメントについては、昨年5月22日に取上げた。今日は、(その21)(女性記者が“告発”できないのはなぜ? 細田衆院議長「セクハラ疑惑」報道から見えてきた マスコミ業界の“体質” 、ジャニー喜多川氏の性加害を“なかったこと”にした博報堂の言い分 ジャニーズ事務所への配慮を公言、【スクープ】市川猿之助が共演者やスタッフに“過剰な性的スキンシップ”のセクハラ・パワハラ「拒否した途端に外された」、市川猿之助の浮世離れしたハラスメント体質 「お前らは家畜だよ!」と弟子を怒鳴り散らす)である。

先ずは、昨年5月31日付け文春オンライン「女性記者が“告発”できないのはなぜ? 細田衆院議長「セクハラ疑惑」報道から見えてきた、マスコミ業界の“体質”」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/54751
・『細田博之衆院議長の「セクハラ」問題。週刊文春が2週にわたり報道した。 流れをおさらいする。まず5月19日発売の週刊文春が『細田博之議長 女性記者に深夜に「今から家に来ないか」』という記事を掲載。 大勢の政治部記者から文春に“告発”が寄せられたとし、細田氏が過去に複数の女性記者らにセクハラ発言を繰り返していたと報道。たとえば女性記者が細田氏に取材をすると「添い寝をしたら教えてあげる」と言われたという話が“常識”のように記者たちの間に広まっているという。 実際に文春が被害に遭っていたといわれるA記者に話を聞くと「無かったと言えば、嘘になりますね」というコメントが。さらにB記者は「深夜に本人から『今から来ないか?』」と電話がかかってきた。断るわけにもいかず、足を運びました。自宅に呼ばれたのは、私だけではないと聞きます」と証言。 こうした話は本当なのか文春が細田事務所に事実関係を尋ねたところ、期日までに回答が無かった。しかし報道後に細田氏は「事実無根」と抗議。 すると翌週の週刊文春(5月26日発売号)で、細田セクハラ問題の第2弾を報じたのだ。タイトルと見出しはこれ』、本当に手クセが悪い人物が、何と衆議院議長というのだから、日本政治のおさとが知れ、みっともないことだ。
・『「うちに来て」細田衆院議長の嘘を暴く「セクハラ記録」  ・女性記者たちの告発「二人きりで会いたい」「愛してる」 ・党女性職員が周囲に嘆いた「お尻を触られた」 ・最も狙われた女性記者が漏らした「文春はほぼ正しい」 ・カードゲーム仲間人妻の告白「抱きしめたいと言われ…」 どれを読んでもギョッとする。細田氏はこの報道に対し、改めて抗議する文書を出し、「通常国会閉会後、訴訟も視野に入れて検討したい」などと真っ向から反論した。 ここまでが現時点の流れである』、「訴訟」は単なる脅しだろう。
・『「最も狙われている」女性記者の回答  さて、細田氏とは別に、私にはどうしても気になる点があったのです。それは取材する記者の側のことだ。 記事の後半に「H記者」が登場している。多数の記者から、細田氏に「最も狙われている」と言われていた女性記者である。 以前からH記者は国会議員のセクハラ発言に強い問題意識を持ち「女性記者は多かれ少なかれ経験している。被害が出た時に担当を外せば解決する問題ではない」と話していたという。前週の文春記事についても「文春はしっかり取材している。記事の内容はほぼ正しい」などと周囲に語っていた。 そんななか文春がH記者に事実確認のために電話をした。ここでH記者から出た言葉は、 「それについては即答できる状況にないんです」「考える時間も必要なので、またご連絡させて下さい」 というもの。 翌日、H記者から文春に電話があった。その内容は「やはり今、お答えできることはありません……」という“回答”だった』、何故なのだろう。
・『彼女たちが“告発”できない理由  記事では細田氏の「セクハラ記録」を提供した人物が次のように解説している。 「大手マスコミは、自社の女性記者が細田氏から受けたセクハラ発言を把握しているはずです。ただ、彼女たちはオフレコ取材が前提なので、同僚に迷惑がかかるのでは、とも悩んでいる。自ら名乗り出ることは容易ではありません。上層部としても“貴重な情報源”である細田氏を守りたいから、『あったこと』をなかなか報じられずにいます」 この「解説」を何度も読み返してしまった。恐ろしいことが書かれているではないか。 セクハラ、パワハラ被害にあった人が「仕事のために」被害をなかなか言いだせないという状況がもし本当なら、これは新聞業界、もしくはマスコミ業界全体の問題だと思う。 これは「マスコミ論」でもある。そう思って今回の細田氏のセクハラ疑惑をめぐる報道を新聞各紙で確認するとサラッとしている印象を受ける。 朝日新聞は社説で『細田氏の言動 衆院議長の資質欠く』(5月28日)と書いた。 《女性記者らに対するセクハラの指摘に対し、説明責任を果たそうとしない。これでは、議長の資質に欠けるというほかなく、国会に対する国民の信頼をも損ないかねない。》 確かにそうなのだが、まず自社の政治部記者に詳しく尋ねたらどうなのだろう。そのほうが何か新事実や新証言が出てくるのではないか? 「野党は、引き続き追及する構えだ」(5月27日)とも書いているが、どこか他人事である。でも、実は政治家のセクハラ問題は、マスコミがいちばん「知っている」のでは? 私はいま朝日を例に挙げたが、ほかの新聞社やテレビ局も同じだ』、「彼女たちはオフレコ取材が前提なので、同僚に迷惑がかかるのでは、とも悩んでいる。自ら名乗り出ることは容易ではありません。上層部としても“貴重な情報源”である細田氏を守りたいから、『あったこと』をなかなか報じられずにいます」、「セクハラ、パワハラ被害にあった人が「仕事のために」被害をなかなか言いだせないという状況がもし本当なら、これは新聞業界、もしくはマスコミ業界全体の問題だと思う」、「実は政治家のセクハラ問題は、マスコミがいちばん「知っている」のでは?」、まさに「マスコミ論」だ。
・『「女性の番記者を付けている社が目立ちます」  「細田氏の女性好きは昔から有名です。(略)『細田氏は女性にしか話さない』と言われ、女性の番記者を付けている社が目立ちます」(ベテラン政治記者、週刊文春5月19日発売号) 私は政治面によくある「関係者」「党幹部」「重鎮」など、匿名だからこそ言えるコメントを読むのも好きだ。役に立つと思っている。しかし女性記者がパワハラやセクハラに遭っても言いだせない上で成立するものなら、私も楽しんではいられない。 いやいや、取材はそれだけじゃないよ、ちゃんとやってるよ、と言うなら今回の「政治家のセクハラと取材者」の問題を取り上げてほしい。私は嫌味や皮肉で言ってるのではなくマスコミ内部の姿勢を見たいのです。 今回の件で2018年の「財務省セクハラ」問題を思い出した人も多いだろう。女性記者にセクハラ発言を繰り返したと報じられて財務省事務次官・福田淳一氏が辞任した件。あれも発端は週刊誌報道だった。あのときは「週刊新潮」で、今回は「週刊文春」。女性記者へのセクハラは自社の媒体ではなく、週刊誌に訴えてやっと報じられる案件なのか。 細田セクハラ問題は、やはりマスコミ論でもある』、「女性記者へのセクハラは自社の媒体ではなく、週刊誌に訴えてやっと報じられる案件なのか。 細田セクハラ問題は、やはりマスコミ論でもある」、誠に情けないことだ。

次に、本年5月16日付け文春オンライン「ジャニー喜多川氏の性加害を“なかったこと”にした博報堂の言い分 ジャニーズ事務所への配慮を公言」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/62859
・『5月14日21時、ジャニーズ事務所が公式HPで動画を配信し、藤島ジュリー景子社長自らが「創業者ジャニー喜多川の性加害問題について、世の中を大きくお騒がせしておりますこと心よりお詫び申し上げます。何よりまず被害を訴えられている方々に対して深く、深くお詫び申し上げます」などと語った。 ジャニー氏(享年87)の性加害については、1999年に「週刊文春」が14週にわたって報じ、キャンペーン開始直後の1999年11月、ジャニー氏とジャニーズ事務所は、小社・文藝春秋に対し名誉毀損の損害賠償を求めて提訴。2003年の東京高裁判決では、性加害が認定され、翌年、最高裁で確定した。しかし、多数の元ジャニーズ・ジュニアの証言によれば、これ以降も性加害は続いていた。判決後も性加害が続いてきた理由の一つにあると見られるのが、ジャニーズ事務所とビジネスで深くつながるメディアや広告代理店による性加害“黙殺”だ。そうした実例の一つが、日本を代表する大手広告代理店の博報堂の原稿削除問題である。本件を報じた「週刊文春」4月20日号の記事を公開する。(初出:週刊文春 2023年4月20日号 肩書きは公開時のまま)。 「ジャニーズを優先してこっちをないがしろにして。誠実ではないですよね」 そう憤るのは、批評家の矢野利裕氏である。 大手広告代理店・博報堂が発行している『広告』。 「博報堂の社員が編集に携わっています。その号の特集テーマに沿った、様々な筆者の論考・対談などが掲載される。2019年からは小野直紀氏が編集長を務めている」(博報堂社員) いま問題となっているのは、「文化」をテーマとした最新号(3月31日発売)。この号では、矢野氏と社会学者の田島悠来氏が「ジャニーズは、いかに大衆文化たりうるのか」というテーマで対談している。この中で、矢野氏がジャニー喜多川氏のセクシャルハラスメントや、ジャニーズ事務所のメディアへの影響力について言及した発言が、博報堂の広報室長の判断で勝手に削除されていたのだ。 この件が公になったのは、3月31日。矢野氏の「note」への投稿だった。矢野氏が語る。 「対談は去年12月1日にZoomでしました。編集長の小野氏も同席しました」』、「2003年の東京高裁判決では、性加害が認定され、翌年、最高裁で確定した。しかし・・・これ以降も性加害は続いていた。判決後も性加害が続いてきた理由の一つにあると見られるのが、ジャニーズ事務所とビジネスで深くつながるメディアや広告代理店による性加害“黙殺”だ」、「矢野氏と社会学者の田島悠来氏が「ジャニーズは、いかに大衆文化たりうるのか」というテーマで対談している。この中で、矢野氏がジャニー喜多川氏のセクシャルハラスメントや、ジャニーズ事務所のメディアへの影響力について言及した発言が、博報堂の広報室長の判断で勝手に削除されていた」、悪質だ。
・『「性犯罪」という言葉を「ハラスメント」に修正  英BBCがジャニー氏の問題を取り上げた番組の取材も受けていた矢野氏。話の流れで、性加害についても触れることになった。 『ジャニーズの文化は、ジャニー氏の自宅である合宿所での濃密な人間関係と共に培われた。ただそれが一方で性犯罪を生んだ』などと言いました。客観的な事実として語った。裁判で認定されたことも言った覚えがあります」(同前) 編集部から届いた原稿では性犯罪という言葉はハラスメントに修正されたが、「編集部としてはそのラインなんだと割り切った」(同前)。矢野氏は原稿に手を入れて返送。そこではジャニーズが帝国と呼ばれるほど影響力を持つことを述べた上で、こう発言している。 〈囲い込み、独占するようなコントロールをマスメディアに対して影響力を持ってやってきて……。いまの時代はとくに、メディアの独占的なコントロールやハラスメントなどはその問題性を追及されるべきところだと思います〉 矢野氏が驚いたのは、12月23日の編集部からのメールの内容だ。 「『弊社の確認により、修正が入る可能性があります。もし大きな修正となりましたらご連絡致します』などと書かれていました。この後にまだあるんだと」』、「「性犯罪」という言葉を「ハラスメント」に修正」、これだけでイメージ悪化を緩和できるので、悪質だ。
・『〈ビジネスパートナーであるジャニーズ事務所への配慮〉  その後、連絡はなく、3月末に雑誌が届く。すると先ほどの発言が削除されており、対談の最後にこう注意書きが記されていた。 〈ビジネスパートナーであるジャニーズ事務所への配慮の観点から、博報堂広報室長の判断により一部表現を削除しています〉 これを見た矢野氏は、すぐさまnoteを執筆する。 「外の人間が話している者の責任で語っていることを、広報室長の判断で削除するというのがよくわからなかった。気分としては、変ですねぇっていう」 すると小野氏も4月4日、noteに投稿。広報室長から削除要求があった際に抗議したが、聞き入れられなかったと明かした。 ジャニーズへの「配慮」により、ハラスメントの文言を削除した博報堂。水島正幸社長に見解を尋ねたが、「会社の方に」と繰り返すばかり。広報室に性加害を容認したかのような判断が適切かなどと聞くと、概ね以下のように回答した。 「記事は最終的には博報堂広報室長がその内容について確認をしています。この件に限らず配慮が必要と判断した原稿に関しては、編集長と相談の上、修正の必要性などの判断をおこなっています。矢野氏へは、ご迷惑をおかけしたことにつきましてお詫びさせていただきたいと考えております」 かくしてジャニーズの性加害は、なかったことにされていく。 【動画】ジャニー氏性加害 元ジュニア橋田康氏(37)が語った13歳の時の性被害とジュリー社長の会見に感じた”問題点”  ジャニー喜多川“性加害” 新たな被害者が実名顔出し告白「話をしたら両親は泣きました」 〈回答全文公開〉ジャニーズ事務所スポンサー116社+テレビ局6社独自アンケート「説明文書の評価は?」「ジャニー氏の性加害への見解は?」
「ジャニーさんに15回されました」被害少年がついに実名、顔出し告発』、「ジャニーズへの「配慮」により、ハラスメントの文言を削除した博報堂」、「かくしてジャニーズの性加害は、なかったことにされていく」、情けない限りだ。「博報堂」以外にも、事実を知っていて隠蔽に協力していたマスコミの罪も重い。

第三に、5月18日付けNEWSポストセブン「【スクープ】市川猿之助が共演者やスタッフに“過剰な性的スキンシップ”のセクハラ・パワハラ「拒否した途端に外された」」を紹介しよう。
https://www.news-postseven.com/archives/20230518_1870283.html?DETAIL
・『厳然たる上下関係のもと、密室で繰り広げられていたのは、あられもない痴態だった──。歌舞伎俳優の市川猿之助(47才)によるセクハラ・パワハラ行為が浮かび上がってきた、いったい何があったというのだろうか。 「奮闘歌舞伎公演」の名にふさわしく、市川猿之助は舞台上を縦横無尽に立ち廻り、ワイヤーに吊られて舞う「宙乗り」には万雷の拍手が起きた。 明治座(東京・中央区)で5月3日にスタートした『市川猿之助奮闘歌舞伎公演』で、猿之助は演目の異なる昼夜の2公演に出演中だ(28日まで)。昼の部では、1979年に植田紳爾の作・演出で初演されて以来、今回が2度目となる「不死鳥よ 波濤を越えて ─平家物語異聞─」を上演している。 猿之助は、“不死鳥”をほうふつとさせる白い衣装に身を包み宙乗りするほか、歌唱も披露。夜の部では三代目猿之助(現・市川猿翁・83才)が1984年に明治座で初演した「御贔屓繋馬」を、約40年ぶりに上演し、クライマックスの大喜利所作事「蜘蛛の絲宿直噺」では、6役早替わりの変化舞踊で観客を圧倒した。舞台に立つだけでなく、昼夜ともに演出も猿之助自身が務めており、名実ともに「猿之助の公演」だ。 「300人ほどいる歌舞伎役者の中でも、自分の名前を前面に出して大きな興行を打てるのは、成田屋の市川團十郎(45才)や音羽屋の尾上菊之助(45才)などほんの一握り。澤瀉屋の中心である猿之助は、歌舞伎はもちろん、大河ドラマ『風林火山』(NHK、2007年)に武田信玄役でドラマ初出演を果たして以降、『半沢直樹』(TBS系、2020年)や『鎌倉殿の13人』(NHK、2022年)などの話題作にも出演経験があり、トップレベルの人気を誇ります。当然、集客力も折り紙付きで、いまの歌舞伎界の屋台骨を支える名優、トップスターと言っていい」(歌舞伎関係者) さらに澤瀉屋は、「ワンピース歌舞伎」など新作歌舞伎にも積極的で、歌舞伎役者だけでなく、現代劇の俳優やアクション俳優など、幅広い役者たちを束ねる存在だ。しかし、澤瀉屋一門を引っ張る猿之助の行動に不安を覚える声が漏れてくる──。 「猿之助さんの舞台に立った経験を持つある役者は、猿之助さんとの“関係性”にかなり苦悩していました。たとえば、地方興行などの際、頻繁に猿之助さんのホテルの部屋に誘われ、お酒につきあわされていた。そればかりか“隣に寝なさい”と指示され、横になると布団の中に潜り込んできて、キスをされたり、身体を弄ばれたりと過剰な性的スキンシップをされるというのです」(劇場関係者) 拒絶という手段に訴えられないのは、一門で絶対的な力を持つリーダーの猿之助と、一門の弟子筋や俳優、スタッフの力関係に理由がある。 「師匠と弟子、座長と役者・裏方の関係は絶対で、無言の圧力のなかで、間違っても口答えしたりすることはできません。性被害に悩んだ役者も“がまんするしかない”と無言で耐えていたといいます。厳然たる上下関係を感じ、泣き寝入りするしかないんです。澤瀉屋周辺では、そうした猿之助さんの行動は知られた話で、周囲は、“今日は彼が腕枕要員だったんだな”という目で見るばかりだと言います」(前出・劇場関係者) 別の劇場関係者が続ける。 「劇場のスタッフが、猿之助さんからキスを求められたことがあったそうです。そのスタッフは猿之助さんの公演に携わってきていた人でしたが、キスを拒否した途端、次の公演から担当を外されてしまいました。それがキスを拒絶したことが理由なのかはわかりませんが、周囲はそう理解しています」) 猿之助の周囲では、そうした証言が後を絶たない。ある澤瀉屋関係者が告白する。 「猿之助さんは陽気でチャーミングで洒脱で、“いいお兄さんキャラ”なのはその通りです。ただ、夜にお酒を飲んだ後、2人きりになるのが怖いんです。私の場合はタクシーで手をつなぐのは当たり前で、キスをされたり、下半身を好き勝手にされたりする程度でしたが、周りにはもっと深刻な接触を求められている人もいました。 拒否したらどうなるか。舞台で役を与えられなかったり、無視されたり、スタッフなら仕事を取り上げられたり……。狭い世界なので断るのは本当に勇気がいることなんです」 ハリウッド発の「#Me Too」運動を例に挙げずとも、性加害やハラスメントは許されざるべき行為で、社会の視線は厳しさを増している。 5月14日、ジャニーズ事務所は、前社長であるジャニー喜多川氏の性加害問題を巡って、現社長の藤島ジュリー景子氏が動画で謝罪し見解を発表した。ジャニー氏に対しては、元ジャニーズJr.のカウアン・オカモト氏が性被害を訴えたほか、ほかの少年も被害を受けていたことを4月の記者会見で明かした。ほかにも複数の元ジャニーズJr.が性被害を証言しており、実態解明を求める世間の声に応えた格好だ。 また、宝塚歌劇団は、元演出家との間で訴訟に発展している。発端は、昨年12月に元演出家による歌劇団の演出助手への性加害や、団員へのパワハラが報じられたことだった。退団を迫られたと主張する元演出家はハラスメントを「事実無根」として、従業員としての地位確認と未払い賃金などの支払いを求める訴えを起こした。一方、歌劇団は報道当時「ハラスメント事案があったことは弊団として確認」とコメントし、毅然とした対応をとった格好だった。 いま、社会全体が性加害やハラスメントに向き合おうとしている。当事者が自身を省みることはもちろん、組織としても性加害やハラスメントの防止に目を光らせなければならないのは当然のことだ』、「集客力も折り紙付きで、いまの歌舞伎界の屋台骨を支える名優、トップスターと言っていい」(歌舞伎関係者) さらに澤瀉屋は、「ワンピース歌舞伎」など新作歌舞伎にも積極的で、歌舞伎役者だけでなく、現代劇の俳優やアクション俳優など、幅広い役者たちを束ねる存在だ。しかし、澤瀉屋一門を引っ張る猿之助の行動に不安を覚える声が漏れてくる──。 「猿之助さんの舞台に立った経験を持つある役者は、猿之助さんとの“関係性”にかなり苦悩していました。たとえば、地方興行などの際、頻繁に猿之助さんのホテルの部屋に誘われ、お酒につきあわされていた。そればかりか“隣に寝なさい”と指示され、横になると布団の中に潜り込んできて、キスをされたり、身体を弄ばれたりと過剰な性的スキンシップをされるというのです」(劇場関係者) 拒絶という手段に訴えられないのは、一門で絶対的な力を持つリーダーの猿之助と、一門の弟子筋や俳優、スタッフの力関係に理由がある」、ここまで「過剰な性的スキンシップをされる」噂はかなり広まっていた筈なので、自殺した父親が注意すべきだった。
・『「お風呂に入ったら」  猿之助のご乱行は、それに留まらない。前出のある澤瀉屋関係者が明かす。 「コロナ禍の前から、誕生日会や新年会、忘年会、公演の打ち上げといった名目で、猿之助さんが主催するパーティーが頻繁に行われていました。参加するのは、澤瀉屋の一門にいる若手の歌舞伎役者や、猿之助さんの興行などに出演する舞台俳優やアクション俳優などです。 ただコロナ禍を迎え、飲食店など人目がある場所での大人数の集まりは憚られるようになった。そのため、ここ数年は歌舞伎座近くの名門高級ホテルのスイートルームや、横浜や鎌倉、葉山、河口湖などの隠れ家的な高級ホテルを一棟貸し切ったりして、ドンチャン騒ぎをやっていました。コロナ禍になる前より、周囲の目がないところで身内ばかりで遊べるので、“淫靡な濃厚接触”がよりエスカレートしたんです」) 5月8日に新型コロナは感染症法上の「5類」に移行し、日常は戻りつつある。しかし、コロナが猛威を振るっていた期間中は、歌舞伎に限らず、舞台公演の関係者や、コンサートに携わる音楽関係者が細心の注意を払っていた。 「もちろん、どんなに気をつけていても感染してしまうことはあります。ですが、猿之助さんのように主役級だと、簡単に代役を立てられない。公演が中止になれば、歌舞伎興行を行う松竹にも、一門にも大打撃です。もちろん、チケットを買って観劇するお客さんにもご迷惑がかかります。にもかかわらず、人目を忍んだパーティーはコロナが猛威を振るう時期にも行われていました」(芸能関係者) 猿之助は、2021年7月30日と、2022年7月22日に新型コロナ感染を松竹を通じて発表した。1回目では、翌8月の「八月花形歌舞伎」には代役が立てられたが、2回目はほかの感染者がいたことも背景に、「七月大歌舞伎」は7日間休演になった。 「1度目の感染の直前にも、猿之助さん主催のパーティーは開かれていました」(前出・芸能関係者) 『女性セブン』が確認したところ、2021年7月7~8日に神奈川県葉山町にあるホテル、7月29~30日には、神奈川県鎌倉市材木座のホテルで内々のパーティーが行われたという。前者は東京と神奈川にまん延防止等重点措置が取られていたタイミングであり、後者に至っては、東京は緊急事態宣言下にあった。 「コロナ感染への意識の低さもさることながら、そのパーティーも、夜が深くなると雰囲気が変わります。猿之助さんが“お風呂に入ったら”とすすめることがあり、参加者が複数人で一緒に入浴させられるんです。 そのうちに、猿之助さんも酔っ払ってきて一緒に入浴することもありましたし、手を握ったり、体を触ってスキンシップをとったり、キスをするといったことは、平然と行われていました。猿之助さんの周囲では、パワハラにセクハラを上乗せしたような行為が日常茶飯事です。 内心ではそれを嫌がっている人もいます。ですが、次の猿之助さんの公演にかかわることができるかどうかなど考えると、拒否できない雰囲気になるんです」(前出・芸能関係者) ここでもまた、猿之助が興行で持つ大きな「パワー」が厳然と影響をおよぼしているのだ。 「一般社会では、絶対に許されませんよ。ですが、猿之助さんはそういった行為が、許されないことだと認識できていないようにも感じられるんです。澤瀉屋のリーダーという立場上、誰も“それはおかしいことだよ”と注意できない。当たり前のように行われ、それがエスカレートして、上下関係で下にあたる人の気持ちをまったく考えられなくなってしまう。まるで“裸の王様”です。 もし発覚したら社会的にも、組織のなかでも処罰されるようなことでも、誰にも指摘されないので、猿之助さんは、ある意味で無邪気に“悪気”なくやっているようなんです」(前出・劇場関係者)) 本誌『女性セブン』は5月15日夜、公演後の猿之助を直撃した。飲食店から出てきた猿之助は笑顔だったが、本誌が名乗ると途端に不機嫌な表情を浮かべ、「答える義務はありません」とだけ話した。 ハラスメント行為は、歌舞伎界という特殊な世界で、興行にまつわって起きた。その興行のほとんどに携わり、各々の歌舞伎役者と業務委託契約を結ぶ松竹にも、責任の一端はあるはずだ。調査、指導をすべきではないのか。松竹に見解を求めた。 「(猿之助のハラスメントについては)プライベートの動向については、俳優と弊社は雇用関係に無いこともあり、弊社が関与・管理することには限界がございます。ご指摘の事象は承知しておりません。 (コロナ禍のパーティーについては)市川猿之助が休演に至りましたことは遺憾でございますが、現状では、弊社から市川猿之助に対し、申し入れをすべきと判断する確たる事実は把握しておりません。 (今後の対応については)ハラスメント行為は決して許されないものであり、俳優の私行においても社会規範や倫理を逸脱する行為は厳に慎むべきと考えております。公演製作・主催企業としての社会的責任の見地から、弊社の興行等に関連した看過し難い事象の発生が懸念されました場合には事実確認を行い、適正に対応して参る所存です」』、「ここ数年は歌舞伎座近くの名門高級ホテルのスイートルームや、横浜や鎌倉、葉山、河口湖などの隠れ家的な高級ホテルを一棟貸し切ったりして、ドンチャン騒ぎをやっていました。コロナ禍になる前より、周囲の目がないところで身内ばかりで遊べるので、“淫靡な濃厚接触”がよりエスカレートしたんです」、「「コロナ感染への意識の低さもさることながら、そのパーティーも、夜が深くなると雰囲気が変わります。猿之助さんが“お風呂に入ったら”とすすめることがあり、参加者が複数人で一緒に入浴させられるんです。 そのうちに、猿之助さんも酔っ払ってきて一緒に入浴することもありましたし、手を握ったり、体を触ってスキンシップをとったり、キスをするといったことは、平然と行われていました。猿之助さんの周囲では、パワハラにセクハラを上乗せしたような行為が日常茶飯事です。 内心ではそれを嫌がっている人もいます。ですが、次の猿之助さんの公演にかかわることができるかどうかなど考えると、拒否できない雰囲気になるんです」(前出・芸能関係者) ここでもまた、猿之助が興行で持つ大きな「パワー」が厳然と影響をおよぼしているのだ」、「ハラスメント行為は、歌舞伎界という特殊な世界で、興行にまつわって起きた。その興行のほとんどに携わり、各々の歌舞伎役者と業務委託契約を結ぶ松竹にも、責任の一端はあるはずだ。調査、指導をすべきではないのか。松竹に見解を求めた。 「(猿之助のハラスメントについては)プライベートの動向については、俳優と弊社は雇用関係に無いこともあり、弊社が関与・管理することには限界がございます。ご指摘の事象は承知しておりません。現状では、弊社から市川猿之助に対し、申し入れをすべきと判断する確たる事実は把握しておりません」、と逃げているが、やはり責任は重大だと思う。

第四に、この続きを、5月18日付けNEWSポストセブン「市川猿之助の浮世離れしたハラスメント体質 「お前らは家畜だよ!」と弟子を怒鳴り散らす」を紹介しよう。
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・『歌舞伎の名門「澤瀉屋」を率いる市川猿之助(47才)の浮世離れしたハラスメント体質が浮かび上がった。歌舞伎界でもトップレベルの人気を誇る猿之助だが、劇場関係者はこう証言する。 「猿之助さんの舞台に立った経験を持つある役者は、猿之助さんとの“関係性”にかなり苦悩していました。たとえば、地方興行などの際、頻繁に猿之助さんのホテルの部屋に誘われ、お酒につきあわされていた。そればかりか“隣に寝なさい”と指示され、横になると布団の中に潜り込んできて、キスをされたり、身体を弄ばれたりと過剰な性的スキンシップをされるというのです」(劇場関係者) こういった証言は後を絶たず、ある澤瀉屋関係者はこう告白する。 「猿之助さんは陽気でチャーミングで洒脱で、“いいお兄さんキャラ”なのはその通りです。ただ、夜にお酒を飲んだ後、2人きりになるのが怖いんです。私の場合はタクシーで手をつなぐのは当たり前で、キスをされたり、下半身を好き勝手にされたりする程度でしたが、周りにはもっと深刻な接触を求められている人もいました。 拒否したらどうなるか。舞台で役を与えられなかったり、無視されたり、スタッフなら仕事を取り上げられたり……。狭い世界なので断るのは本当に勇気がいることなんです」(澤瀉屋関係者) また、猿之助はコロナ禍においてパーティーを開いていたという。 「コロナ禍の前から、誕生日会や新年会、忘年会、公演の打ち上げといった名目で、猿之助さんが主催するパーティーが頻繁に行われていました。参加するのは、澤瀉屋の一門にいる若手の歌舞伎役者や、猿之助さんの興行などに出演する舞台俳優やアクション俳優などです。 ただコロナ禍を迎え、飲食店など人目がある場所での大人数の集まりは憚られるようになった。そのため、ここ数年は歌舞伎座近くの名門高級ホテルのスイートルームや、横浜や鎌倉、葉山、河口湖などの隠れ家的な高級ホテルを一棟貸し切ったりして、ドンチャン騒ぎをやっていました。コロナ禍になる前より、周囲の目がないところで身内ばかりで遊べるので、“淫靡な濃厚接触”がよりエスカレートしたんです」(前出・澤瀉屋関係者) そのパーティーでは、猿之助の指示で複数の参加者が入浴させられたことがあったほか、酔っ払った猿之助も一緒に入浴し、参加者にキスをしたり、体を触ったりなどのスキンシップが平然と行われていたというのだ。 「澤瀉屋」という屋号は、初代猿之助の生家が、薬草の澤瀉を扱う薬屋だったことに由来するという。初代猿之助は、九代目市川團十郎に成田屋を破門にされた後に澤瀉屋を掲げ「市川猿之助」「市川段四郎」の名跡を二枚看板としてきた。澤瀉屋には「猿翁」の名跡もあるが、「猿之助」の名を後継者に譲った人間が名乗る隠居名のため、猿之助がれっきとした中心である。 「猿之助さんは、もともとの『市川亀治郎』を終生名乗りたいと公言していたし、父親の『段四郎』を継ぐかもしれないと考えていたはずです。しかし、風向きが変わったのは、伯父で三代目猿之助(当代の猿翁)が高齢と体調不良のため猿之助を退くことになり、当時の亀治郎に白羽の矢が立ったこと。2012年に『四代目猿之助』を襲名すると、それまで古典歌舞伎ばかり演じていたのが一転、新作へと没頭していきました」(歌舞伎関係者)) かねて、「猿之助」という名跡は歌舞伎界に新風を送り込む存在だった。 「二代目は大正の時代に海外の演劇の感覚を歌舞伎に持ち込み、特にロシアバレエの要素を加えた立体感のある振り付けが反響を呼びました。三代目の功績は1986年の『スーパー歌舞伎』の旗揚げでしょう。古典芸能とは対となる現代風歌舞伎で、第1作の『ヤマトタケル』は語り継がれる名作です」(前出・歌舞伎関係者) 猿之助自身、その名跡が持つ特性を理解していた。 《僕が継承すべきは、作品をそのまま真似ることではなく、“猿之助”の精神だと思っています。その最たるものが、成功した作品でも常に洗い直す心。亀治郎時代は自分の工夫を加えることはできませんでしたが、僕はもう猿之助です》(『婦人画報』2014年11月号) 実際、猿之助はスーパー歌舞伎をさらに昇華させ、大人気コミックを基にして2015年に『ワンピース』を初演し好評を博した。2024年にはこちらも人気コミックの『鬼滅の刃』の歌舞伎上演を控えている。 「名門・澤瀉屋において『猿之助』の力は絶大です。今回の明治座の公演もそうですが、座頭として自分の名を冠する興行ですから、演目や内容の決定に始まり、キャスティングにも意見が反映されます。そればかりか、舞台を裏側で支える劇場関係者、衣装関係者、大道具関係者なども、猿之助の一言の影響力は大きく、権力が集中する立場にあるんです。トップ役者であると同時に、有力プロデューサーでもあるわけです」(前出・歌舞伎関係者) 興行の成否に重大な責任を負うからこその構図だが、歪な力関係をもたらしてしまったようだ。 「かつて、猿之助さんは一門の弟子に向かって“弟子なんか家畜だからな! お前らは家畜だよ!”と怒鳴り散らしたことがあったと言います。澤瀉屋のリーダーとして絶大な力を持っている分、一門に関係する役者たちは猿之助さんには絶対に逆らえない。そうした業務上の上下関係が、一般社会で言うハラスメント行為に発展してしまっているのです。 もちろん猿之助さんは独身なので、業務上の上下関係があっても、お互いが求め合えば自由恋愛です。ただ、業務で優越な立場にある側が性的な関係を求めることは、相手の受け止め方によってはパワハラやセクハラにあたるのはいまや常識です」(前出・劇場関係者) それでも拒絶できないのは、先述したように、猿之助が興行において絶対的な権力を持っている構図にある。こんな証言もある。 「ある俳優は猿之助と深い関係だった。ところが、あるときに関係を断ったら舞台に上げてもらえなくなったばかりか、一定期間、楽屋にさえ出入りできなくなったそうです」(別の劇場関係者) そうしたことが重なり、「猿之助さんを拒絶したら怖い」というイメージが、一門の中には充満しているのだという。 「逆に、仕事のため、将来のためと自分に言い聞かせてがまんすれば、猿之助さんの覚えがめでたくなり、芸歴や実力には不相応ともいえる『役』を与えてもらえるんです。近年はそれが露骨になっている。10年、20年と歌舞伎をやってきた役者がエキストラのような役をやり、覚えめでたい駆け出しのアクション俳優が突然、新作歌舞伎で大役を任されるんです。 一方、そうして役をもらった役者は、周囲からは“猿之助のお気に入りなんだろう”“役をもらうために媚を売っているのだろう”などとうがった見られ方をされて、それもつらい状況なんです」(前出・劇場関係者)』、「「かつて、猿之助さんは一門の弟子に向かって“弟子なんか家畜だからな! お前らは家畜だよ!”と怒鳴り散らしたことがあったと言います。澤瀉屋のリーダーとして絶大な力を持っている分、一門に関係する役者たちは猿之助さんには絶対に逆らえない。そうした業務上の上下関係が、一般社会で言うハラスメント行為に発展してしまっているのです」、こんなに増長してしまってはどうしようもない。「猿之助さんは独身なので、業務上の上下関係があっても、お互いが求め合えば自由恋愛です。ただ、業務で優越な立場にある側が性的な関係を求めることは、相手の受け止め方によってはパワハラやセクハラにあたるのはいまや常識です」、「「名門・澤瀉屋において『猿之助』の力は絶大です。今回の明治座の公演もそうですが、座頭として自分の名を冠する興行ですから、演目や内容の決定に始まり、キャスティングにも意見が反映されます。そればかりか、舞台を裏側で支える劇場関係者、衣装関係者、大道具関係者なども、猿之助の一言の影響力は大きく、権力が集中する立場にあるんです。トップ役者であると同時に、有力プロデューサーでもあるわけです」、やはりこうした異常な世界を許容していた「松竹」の責任も重大だ。
・『レモンを「甘い」と感じるまで稽古しろ  歌舞伎の伝統が長い歴史を紡ぐなかで、その世界の特殊性も醸成されていった。「師匠」と「弟子」の関係は絶対であると同時に、師匠の引き立てをもらうことで、歌舞伎役者は初めて舞台に立つことができる。しかし、「芸の相伝」と「ハラスメント」の境界が曖昧なのもまた事実だ。 「歌舞伎界には、“とにかく汗を流して、汗を流して、レモンをなめたときに『甘い』と感じるまで踊らなければ、稽古したとはいえない”という話があります。まるで昭和の部活動で、科学的とはまったく言えない。しかし、そういった考えがまかり通る世界なのです」(前出・歌舞伎関係者) 旧態依然とした上下関係に、ハラスメントは隠されている。2001年、当代一の女形と呼び声高い坂東玉三郎(73才)は、元弟子(当時19才)とその母親から1200万円を求める民事訴訟を起こされている。元弟子の入門直後の1996年、地方公演で宿泊したホテルで、玉三郎がズボンの上から弟子の股間を触ったことへの精神的苦痛にともなう慰謝料請求だった。 また、昨年8月、市川中車(香川照之、57才)の銀座クラブホステスへの性加害が『週刊新潮』で報じられた。 「表舞台から姿を消すきっかけになった性加害は銀座の夜の女性に対するものでしたが、騒動渦中には『週刊文春』で、香川さんの理詰めの叱責を繰り返し受けた若手の男性マネジャーが精神を病み、退職を余儀なくされたとも報じられました」(スポーツ紙記者) さらに本誌『女性セブン』は、今年4月27日発売号で、尾上菊之助と、一門に長年仕えた弟子・尾上音三郎(50才)の衝突を詳報した。菊之助の長男・丑之助(9才)への指導を巡って、菊之助は音三郎を繰り返し叱責。菊之助は音三郎を自宅に呼びつけたうえ散々に罵倒し、「息子に土下座しろ!」と迫ったこともあったという。 ハラスメント行為は、歌舞伎界という特殊な世界で、興行にまつわって起きた。その興行のほとんどに携わり、各々の歌舞伎役者と業務委託契約を結ぶ松竹にも、責任の一端はあるはずだ。調査、指導をすべきではないのか。松竹に見解を求めた。 「(猿之助のハラスメントについては)プライベートの動向については、俳優と弊社は雇用関係に無いこともあり、弊社が関与・管理することには限界がございます。ご指摘の事象は承知しておりません。 (コロナ禍のパーティーについては)市川猿之助が休演に至りましたことは遺憾でございますが、現状では、弊社から市川猿之助に対し、申し入れをすべきと判断する確たる事実は把握しておりません。 (今後の対応については)ハラスメント行為は決して許されないものであり、俳優の私行においても社会規範や倫理を逸脱する行為は厳に慎むべきと考えております。公演製作・主催企業としての社会的責任の見地から、弊社の興行等に関連した看過し難い事象の発生が懸念されました場合には事実確認を行い、適正に対応して参る所存です」 歌舞伎は世界に轟く伝統芸能だ。守らなければならない文化である。しかし、それは時代が求める「健全性」に即していることが大前提だろう。社会が性加害やハラスメントの捉え方を変容させたように、歌舞伎界もまた、変わるべきときを迎えているのかもしれない。 ※女性セブン2023年6月1日号』、「その興行のほとんどに携わり、各々の歌舞伎役者と業務委託契約を結ぶ松竹にも、責任の一端はあるはずだ。調査、指導をすべきではないのか。松竹に見解を求めた。 「(猿之助のハラスメントについては)プライベートの動向については、俳優と弊社は雇用関係に無いこともあり、弊社が関与・管理することには限界がございます。ご指摘の事象は承知しておりません。 (コロナ禍のパーティーについては)市川猿之助が休演に至りましたことは遺憾でございますが、現状では、弊社から市川猿之助に対し、申し入れをすべきと判断する確たる事実は把握しておりません」、と責任を否定しているが、「市川猿之助」以外にも、「坂東玉三郎」、「香川照之」、「尾上菊之助と、一門に長年仕えた弟子・尾上音三郎(50才)の衝突」、など多くの問題を引き起こしている。やはり、様々な問題を放置してきた「松竹」の責任は本当に重大なようだ。  
タグ:「訴訟」は単なる脅しだろう。 本当に手クセが悪い人物が、何と衆議院議長というのだから、日本政治のおさとが知れ、みっともないことだ。 文春オンライン「女性記者が“告発”できないのはなぜ? 細田衆院議長「セクハラ疑惑」報道から見えてきた、マスコミ業界の“体質”」 「セクハラ、パワハラ被害にあった人が「仕事のために」被害をなかなか言いだせないという状況がもし本当なら、これは新聞業界、もしくはマスコミ業界全体の問題だと思う」、「実は政治家のセクハラ問題は、マスコミがいちばん「知っている」のでは?」、まさに「マスコミ論」だ。 「彼女たちはオフレコ取材が前提なので、同僚に迷惑がかかるのでは、とも悩んでいる。自ら名乗り出ることは容易ではありません。上層部としても“貴重な情報源”である細田氏を守りたいから、『あったこと』をなかなか報じられずにいます」、 何故なのだろう。 ハラスメント (その21)(女性記者が“告発”できないのはなぜ? 細田衆院議長「セクハラ疑惑」報道から見えてきた マスコミ業界の“体質” 、ジャニー喜多川氏の性加害を“なかったこと”にした博報堂の言い分 ジャニーズ事務所への配慮を公言、【スクープ】市川猿之助が共演者やスタッフに“過剰な性的スキンシップ”のセクハラ・パワハラ「拒否した途端に外された」、市川猿之助の浮世離れしたハラスメント体質 「お前らは家畜だよ!」と弟子を怒鳴り散らす) 「女性記者へのセクハラは自社の媒体ではなく、週刊誌に訴えてやっと報じられる案件なのか。 細田セクハラ問題は、やはりマスコミ論でもある」、誠に情けないことだ。 文春オンライン「ジャニー喜多川氏の性加害を“なかったこと”にした博報堂の言い分 ジャニーズ事務所への配慮を公言」 「2003年の東京高裁判決では、性加害が認定され、翌年、最高裁で確定した。しかし・・・これ以降も性加害は続いていた。判決後も性加害が続いてきた理由の一つにあると見られるのが、ジャニーズ事務所とビジネスで深くつながるメディアや広告代理店による性加害“黙殺”だ」、「矢野氏と社会学者の田島悠来氏が「ジャニーズは、いかに大衆文化たりうるのか」というテーマで対談している。この中で、矢野氏がジャニー喜多川氏のセクシャルハラスメントや、ジャニーズ事務所のメディアへの影響力について言及した発言が、博報堂の広報室長の判断で 勝手に削除されていた」、悪質だ。 「「性犯罪」という言葉を「ハラスメント」に修正」、これだけでイメージ悪化を緩和できるので、悪質だ。 「ジャニーズへの「配慮」により、ハラスメントの文言を削除した博報堂」、「かくしてジャニーズの性加害は、なかったことにされていく」、情けない限りだ。「博報堂」以外にも、事実を知っていて隠蔽に協力していたマスコミの罪も重い。 NEWSポストセブン「【スクープ】市川猿之助が共演者やスタッフに“過剰な性的スキンシップ”のセクハラ・パワハラ「拒否した途端に外された」」 「集客力も折り紙付きで、いまの歌舞伎界の屋台骨を支える名優、トップスターと言っていい」(歌舞伎関係者) さらに澤瀉屋は、「ワンピース歌舞伎」など新作歌舞伎にも積極的で、歌舞伎役者だけでなく、現代劇の俳優やアクション俳優など、幅広い役者たちを束ねる存在だ。しかし、澤瀉屋一門を引っ張る猿之助の行動に不安を覚える声が漏れてくる──。 「猿之助さんの舞台に立った経験を持つある役者は、猿之助さんとの“関係性”にかなり苦悩していました。たとえば、地方興行などの際、頻繁に猿之助さんのホテルの部屋に誘われ、お酒につきあわされていた。そればかりか“隣に寝なさい”と指示され、横になると布団の中に潜り込んできて、キスをされたり、身体を弄ばれたりと過剰な性的スキンシップをされるというのです」(劇場関係者) 拒絶という手段に訴えられないのは、一門で絶対的な力を持つリーダーの猿之助と、一門の弟子筋や俳優、スタッフの力関係に理由がある」、ここまで「過剰な性的スキンシップをされる」噂はかなり広まっていた筈なので、自殺した父親が注意すべきだった。 「ここ数年は歌舞伎座近くの名門高級ホテルのスイートルームや、横浜や鎌倉、葉山、河口湖などの隠れ家的な高級ホテルを一棟貸し切ったりして、ドンチャン騒ぎをやっていました。コロナ禍になる前より、周囲の目がないところで身内ばかりで遊べるので、“淫靡な濃厚接触”がよりエスカレートしたんです」、「「コロナ感染への意識の低さもさることながら、そのパーティーも、夜が深くなると雰囲気が変わります。猿之助さんが“お風呂に入ったら”とすすめることがあり、参加者が複数人で一緒に入浴させられるんです。 そのうちに、猿之助さんも酔っ払ってきて一緒に入浴することもありましたし、手を握ったり、体を触ってスキンシップをとったり、キスをするといったことは、平然と行われていました。猿之助さんの周囲では、パワハラにセクハラを上乗せしたような行為が日常茶飯事です。 内心ではそれを嫌がっている人もいます。ですが、次の猿之助さんの公演にかかわることができるかどうかなど考えると、拒否できない雰囲気になるんです」(前出・芸能関係者) ここでもまた、猿之助が興行で持つ大きな「パワー」が厳然と影響をおよぼしているのだ」、 「ハラスメント行為は、歌舞伎界という特殊な世界で、興行にまつわって起きた。その興行のほとんどに携わり、各々の歌舞伎役者と業務委託契約を結ぶ松竹にも、責任の一端はあるはずだ。調査、指導をすべきではないのか。松竹に見解を求めた。 「(猿之助のハラスメントについては)プライベートの動向については、俳優と弊社は雇用関係に無いこともあり、弊社が関与・管理することには限界がございます。ご指摘の事象は承知しておりません。現状では、弊社から市川猿之助に対し、申し入れをすべきと判断する確たる事実は把握しておりません」、と逃 げているが、やはり責任は重大だと思う。 NEWSポストセブン「市川猿之助の浮世離れしたハラスメント体質 「お前らは家畜だよ!」と弟子を怒鳴り散らす」 「「かつて、猿之助さんは一門の弟子に向かって“弟子なんか家畜だからな! お前らは家畜だよ!”と怒鳴り散らしたことがあったと言います。澤瀉屋のリーダーとして絶大な力を持っている分、一門に関係する役者たちは猿之助さんには絶対に逆らえない。そうした業務上の上下関係が、一般社会で言うハラスメント行為に発展してしまっているのです」、こんなに増長してしまってはどうしようもない。 「猿之助さんは独身なので、業務上の上下関係があっても、お互いが求め合えば自由恋愛です。ただ、業務で優越な立場にある側が性的な関係を求めることは、相手の受け止め方によってはパワハラやセクハラにあたるのはいまや常識です」、「「名門・澤瀉屋において『猿之助』の力は絶大です。今回の明治座の公演もそうですが、座頭として自分の名を冠する興行ですから、演目や内容の決定に始まり、キャスティングにも意見が反映されます。 そればかりか、舞台を裏側で支える劇場関係者、衣装関係者、大道具関係者なども、猿之助の一言の影響力は大きく、権力が集中する立場にあるんです。トップ役者であると同時に、有力プロデューサーでもあるわけです」、やはりこうした異常な世界を許容していた「松竹」の責任も重大だ。 「その興行のほとんどに携わり、各々の歌舞伎役者と業務委託契約を結ぶ松竹にも、責任の一端はあるはずだ。調査、指導をすべきではないのか。松竹に見解を求めた。 「(猿之助のハラスメントについては)プライベートの動向については、俳優と弊社は雇用関係に無いこともあり、弊社が関与・管理することには限界がございます。ご指摘の事象は承知しておりません。 (コロナ禍のパーティーについては)市川猿之助が休演に至りましたことは遺憾でございますが、現状では、弊社から市川猿之助に対し、申し入れをすべきと判断する確たる事実は把握して おりません」、と責任を否定しているが、「市川猿之助」以外にも、「坂東玉三郎」、「香川照之」、「尾上菊之助と、一門に長年仕えた弟子・尾上音三郎(50才)の衝突」、など多くの問題を引き起こしている。やはり、様々な問題を放置してきた「松竹」の責任は本当に重大なようだ。
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司法の歪み(その17)(有罪判決でも返り咲いた37歳の美濃加茂市長が語る検察の矛盾「河井事件は不問。法は不平等」〈dot.〉、なぜ日本の刑事事件の99.5%が有罪になるのか…「捜査能力が高いから」ではない驚きの理由 何が何でも有罪にするやり方が横行している、「刑務所が無料の老人ホーム化」「刑務官は廃墟のような家に…」 杉良太郎が64年間、刑務所改革に取り組み続ける理由) [社会]

司法の歪みについては、2021年10月8日に取上げた。久しぶりの今日は、(その17)(有罪判決でも返り咲いた37歳の美濃加茂市長が語る検察の矛盾「河井事件は不問。法は不平等」〈dot.〉、なぜ日本の刑事事件の99.5%が有罪になるのか…「捜査能力が高いから」ではない驚きの理由 何が何でも有罪にするやり方が横行している、「刑務所が無料の老人ホーム化」「刑務官は廃墟のような家に…」 杉良太郎が64年間、刑務所改革に取り組み続ける理由)である。

先ずは、昨年2月3日付けAERAdo「有罪判決でも返り咲いた37歳の美濃加茂市長が語る検察の矛盾「河井事件は不問。法は不平等」〈dot.〉」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2022020200033.html?page=1
・『「有罪判決を受けて、また選ばれるという市長は私の他にいないでしょう。今も再審請求中で最後まで争うつもりです。せっかくなので稀有な経験を市政に反映させていきたいですね」 こう苦笑するのは、1月23日投開票の岐阜県美濃加茂市で4度目の当選を果たした、藤井浩人市長(37)だ。 藤井氏が28歳で美濃加茂市選挙に初当選したのは2013年。当時は、全国最年少市長だった。 だが、そのキャリアは1年あまりで暗転する。藤井氏が美濃加茂市議時代に愛知県の浄水設備会社の社長から、現金30万円を受け取ったとして2014年6月、受託収賄罪の容疑で愛知県警と岐阜県警に逮捕された。 藤井氏は一貫して無罪を主張し、市長職にとどまった。 そして、一審の名古屋地裁で無罪判決とされた。しかし、2016年11月の控訴審では一転して有罪判決が言い渡される。 そこで、同年12月に市長を辞職し、出直し選挙に出馬し、圧勝。 事件については最高裁に上告したが、2017年12月に棄却され確定、公民権も3年停止となり、辞職を余儀なくされた。 藤井氏は市長時代の幹部、伊藤誠一氏を「後継」として推し、後を託した。 2020年12月に執行猶予が満了、公民権停止も終わった藤井氏は21年末、市長選に出馬を表明する。 市長選は藤井氏が後継を託した現職の伊藤氏と一騎打ちとなった。藤井氏は出馬に至った心境をこう振り返る。 「伊藤氏に後をお願いしたのは私です。尊敬する方でもあり、出馬するのは複雑な心境でした。なぜ出馬したのか、それは選挙の最大の争点、市役所の移転、建設場所の問題です。市内のホテルを取り壊しそこに建てると伊藤氏は説明したが、市民からは反対意見も多かった。私には事件の経験がある。被告という立場でしたが、徹底的に情報公開して、警察や検察、裁判所のおかしいところなど問題をどんどん発信してきた」 藤井氏はそのおかげで地裁では無罪判決を勝ち取り、最高裁まで戦い、再審請求もできた、という』、「美濃加茂市長」をめぐる冤罪問題については、このブログでも元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏による記事を、2017年5月18日、12月14日、12月19日、2018年3月23日に紹介した。「市長選は藤井氏が後継を託した現職の伊藤氏と一騎打ちとなった」、「伊藤氏」は「藤井氏」が出馬するにも拘らず、選挙に出て、「藤井氏」に敗れたようだ。
・『「2016年の出直し選挙で勝てたのも、自身の情報公開で事件が冤罪だと市民に理解していただけたからです。市役所の移転計画は、4か所の候補地があるのに、なぜホテルを取り壊して建て替えが必要なのか。そのプロセス、過程が判然としない。一部の意見、偏った情報で進んでいるのではないかと市民が不信感を抱いていたので、出馬を決意した」 名古屋高裁への再審請求を公表したのは、昨年11月30日と選挙が差し迫っていた。 「再審請求をすれば、また裁判があって、市政に支障をきたさないか」との声が市民から寄せられた。藤井氏はこう話す。 「これも市長時代から、自分の事件についても積極的に情報公開してきたことで、市民にも事件の概要はご理解いただいていた。多くの方が無罪をとも言ってくださった。再審請求についても、司法制度を詳しく説明することで、不安が払しょくされ、私の思いが通じたと思います」 藤井氏のホームページには、有罪判決を隠すどころか、<前科者と呼ばれても政治家として闘うワケ 私は誰に嵌められたのか>と堂々と書いている。 その姿勢が評価されたのか、選挙の結果はダブルスコアに近い大差での圧勝だった。 「市役所は新しくしなければならないと思うが、建設場所や規模、予算などは白紙にして市民に意見を聞いて、考えたい」 最近、藤井氏が気になったというのが2019年の参院選で2900万円をばらまいて、公職選挙法違反(買収)に問われ、有罪が確定している河井克行、案里夫妻の事件だ。 河井夫妻からカネを受け取った被買収の広島県議ら地方議員ら99人を検察が不起訴としていた。しかし、後に検察審査会では99人の地方議員のうち35人を起訴相当と議決した。 藤井氏と同じ市長という立場で、河井夫妻から150万円を受け取り辞職に追い込まれた、元三原市長の天満祥典氏も起訴相当だった。藤井氏は河井事件と自身の事件とで、矛盾した対応をする検察にこう怒る。) 「私の支援者の中には『藤井君より桁違いのカネもらって、罪に問われない、不起訴はおかしい』と言ってきた方もいらっしゃる。その通りです。国民から選ばれた検察審査会こそ正義がある。検察の不起訴って、法の下の平等ってなんでしょうか」 市長に返り咲いても、事件は再審請求で徹底的に争うと公言する。 「私が冤罪に陥れられた事件の事実を警察、検察、裁判所が正面から受け入れようとしない。警察には長時間、過酷な取り調べで真実を言っても聞く耳を持たなかった。私を有罪にするストーリーに沿った都合のいい話だけをしろ、という傲慢さだった。私が容疑を認めないと検察は贈賄側と連日、打合せを繰り返し、でっち上げを法廷で証言させる。私は名古屋地裁で無罪となったが、有罪とした名古屋高裁は一度も私の被告人質問を認めなかった。つまり、話を聞かないまま、判決を出した。このまま引き下がることはできません。警察、検察、裁判所はある意味、国民の最後の砦ですから、正義がないと困ります。市長としてのこの経験をもとにしっかりと地方行政が腐敗しないよう取り組みたい」』、「有罪とした名古屋高裁は一度も私の被告人質問を認めなかった」、「このまま引き下がることはできません。警察、検察、裁判所はある意味、国民の最後の砦ですから、正義がないと困ります。市長としてのこの経験をもとにしっかりと地方行政が腐敗しないよう取り組みたい」、「このまま引き下がることはできません」の意味は不明だが、今後の活躍を期待したい。

次に、5月16日付けPRESIDENT Onlineが掲載した郷原総合コンプライアンス法律事務所代表弁護士の郷原 信郎氏による「なぜ日本の刑事事件の99.5%が有罪になるのか…「捜査能力が高いから」ではない驚きの理由 何が何でも有罪にするやり方が横行している」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/69468
・『日本の刑事事件では、起訴されると有罪になる確率は99.5%を超える。なぜこれほど高いのか。弁護士の郷原信郎さんは「検察の捜査能力が高いわけではなく、内情は起訴内容に都合のいい自白を引き出すまで、被告人の身柄を延々と拘束する『人質司法』が横行している。そこには、特捜部等の判断で事件化される『立件型事件』特有の構図がある」という――。 ※本稿は、郷原信郎『“歪んだ法”に壊される日本 事件・事故の裏側にある「闇」』(KADOKAWA)の第1章「刑事司法が『普通の市民』に牙をむくとき」を加筆、再編集したものです』、「被告人の身柄を延々と拘束する『人質司法』」と、「特捜部等の判断で事件化される『立件型事件』特有の構図」、をクローズアップしたのは興味深い。
・『大阪地検特捜部による「人質司法」の非道  大阪市に本社を置く総合ディベロッパー・プレサンスコーポレーション元社長の山岸忍氏は、大阪地検特捜部に逮捕されたが、無実を訴えていた同氏の保釈は6回にわたって却下され、248日にわたって勾留された。典型的な「人質司法」だった。2021年11月に一審無罪判決に対して検察は控訴を断念、無罪が確定した山岸氏は、取調べ担当検察官らの不法行為について国賠訴訟を提起している。 大阪地検特捜部の証拠改ざん事件等の不祥事の際には、検察は、「引き返す勇気」を強調していたが、山岸氏の事件では、逮捕、勾留容疑について、当初の見立てが誤っていたことが明らかになっても、検察は、引き返そうとしないどころか、山岸氏の無罪の訴えを、「人質司法」で封じ込めようとする「非道」を続けた。山岸氏のように、検察と戦い勝利するケースは、極めて稀だ。 そのような刑事司法の脅威に、突然さらされるのは、普通に仕事をし、暮らしている企業人や市民だ。読者の貴方にとっても、決して他人事ではない。拙著『“歪んだ法”に壊される日本 事件・事故の裏側にある「闇」』(KADOKAWA)第1章では、銀行出身の経営コンサルタント、人材紹介サービスの起業家など「普通の市民」が、検察捜査の脅威にさらされ、圧し潰されいく“恐ろしい現実”を描いている』、「プレサンスコーポレーション事件」の話は、初めて知った。「保釈は6回にわたって却下され、248日にわたって勾留された。典型的な「人質司法」だった。2021年11月に一審無罪判決に対して検察は控訴を断念、無罪が確定した山岸氏は、取調べ担当検察官らの不法行為について国賠訴訟を提起している」、「国賠訴訟を提起」は当然だ。
・『「発生型事件」と「立件型事件」  日本では、日々、現場警察官の犯罪捜査、犯人検挙、検察官の捜査・処理などによって犯人が検挙され、事件の真相が解明され、大部分の事件については「適切な刑事処分」が行われている。しかし、その中でも、警察・検察の誤った判断によって事件が立件され、逮捕・起訴が行われることもあり得る。そのような場合に、裁判所が、被告人の無罪主張に十分に耳を傾け、「疑わしきは被告人の利益に」という原則にしたがっていると言えるのか、そこには多くの疑問がある。 刑事裁判の展開も、窃盗、強盗、殺人などのように被害の「発生」によって捜査が開始される「発生型事件」と贈収賄、経済犯罪などのように、捜査機関が刑事事件としての「立件」の判断をする「立件型事件」とでは、かなり状況が異なる。) 「発生型犯罪」では、人が殺された、物が盗まれた、強奪された、という被害が現実に発生し、被害者がいる。 警察は、犯罪発生を受けて捜査を開始し、犯人を特定し、逮捕し、犯罪を立証する証拠を収集する。それを受けて、検察官は十分な証拠があると判断すれば起訴し、公判で有罪判決を得るための立証を行う。犯罪発生から、検挙、起訴、裁判という流れになるのは必然であり、捜査機関側には、事件が発生している以上、捜査をやるかやらないかの選択や裁量の余地はない。 しかし、贈収賄、経済犯罪、脱税などのような「立件型事件」はそうではない。捜査を開始する契機となるネタ、端緒には様々なものがあり、一方で、捜査に投入できる人員、予算は限られている。多くの端緒の中のどれを捜査の対象とするのか、どれだけの捜査のリソースを投入するのかは、その捜査機関の幹部の価値判断、政策判断による。同程度に犯罪の疑いがあっても、捜査機関内部での「検討と判断」の結果、捜査に着手しないこともあるし、内偵捜査だけで強制捜査などの本格的な捜査には至らないこともある。 「発生型」「立件型」いずれでも、捜査機関が判断を間違えることはあり得るが、「判断の誤り」の可能性が生じた場合の構図が大きく異なる』、なるほど。
・『「立件型」の冤罪には「真犯人」はいない  「発生型」であれば、もし、犯人ではない人間が逮捕され、それを検察が起訴したとすれば、別に真犯人がいるということになる。その場合、警察、検察の捜査や公判での立証活動は、逮捕・起訴された者にとっては「冤罪えんざい」であるとともに、真犯人の検挙を妨げる行為だったことになる。それゆえ、被疑者が無実だと訴え、被告人が無罪を主張しても、そして、犯人であることへの疑問が生じても、警察、検察は誤認逮捕、誤認起訴であることは容易に認めようとしない。 しかし、被害があり、事件は存在しているのであるから、警察が犯人検挙に向けて捜査をすること、検察が誰かを犯人として起訴すること自体は当然であり、「捜査をしない」ということでは済まない。捜査を行ったこと自体には問題はなく、「犯人の特定」に問題があったということだ。 一方、「立件型」の場合は、被害が発生したわけでもなく、誰かが被害を訴えているわけでもない。「その事件を刑事事件として立件し捜査の対象とする」と捜査機関側が判断して捜査を始めたものだ。 もし仮に、その前提事実が異なっていて、捜査機関が判断を誤った疑いが生じた場合、それは犯罪自体が存在しなかった疑いが生じるのであり、別に真犯人がいるということではない』、「「立件型」の場合は、被害が発生したわけでもなく、誰かが被害を訴えているわけでもない。「その事件を刑事事件として立件し捜査の対象とする」と捜査機関側が判断して捜査を始めたものだ。 もし仮に、その前提事実が異なっていて、捜査機関が判断を誤った疑いが生じた場合、それは犯罪自体が存在しなかった疑いが生じるのであり、別に真犯人がいるということではない」、なるほど。
・『「立件型」では、有罪判決断念で捜査機関の面子がつぶれる  しかし、実際には、「立件型」の事件の場合、捜査機関側は被疑者が無実だと訴え、被告人が無罪を主張し、捜査機関側の当初の判断が誤っていた可能性が生じても、誤りを認めようとはしない。有罪判決に持ち込むために異常なまでの拘こだわりを見せる。不利な状況になっても、決して諦めない。まさに、山岸氏の事件がその典型例だ。 それは、有罪判決を断念することで、その事件を「立件」したこと自体が間違っていたと認めることになり、捜査機関側の面子がつぶれ、立件の判断をしたことの責任が問われることになるからだ。 このように、同じ刑事事件でも、「発生型」と「立件型」では、事件をめぐる構造が大きく異なる。しかも、一般的に言えば「発生型」の事件は、犯罪の世界とかなり親和性を持っている人間が犯人とされる場合が多いが、「立件型」の事件は、それまで犯罪とは全く縁がなかった「普通の市民」が突然に犯罪の疑いを受けることも多い』、「「立件型」では、有罪判決断念で捜査機関の面子がつぶれる」、みっともともないが、やむを得ない。「有罪判決に持ち込むために異常なまでの拘こだわりを見せる。不利な状況になっても、決して諦めない」、こうした「捜査機関側」の無用なこだわりは止めてほしいものだ。
・『無罪主張をすれば、身柄拘束が延々と続く  立件の判断が不合理で理不尽なものであっても、捜査機関側は、一度立件したら、決して引き返そうとしない。検察官は、有罪判決を得ることに拘り続ける。そこで、無罪主張を抑え込むための手段として使われるのが、犯罪事実を否認し、無罪主張をしようとする被告人は、身柄拘束が延々と続くという「人質司法」だ。 裁判所も、「人質司法」を容認して保釈を認めず、捜査機関や検察官の主張を何とか認めようとし、被告人の訴えに耳を傾けようとしない。 特捜検察が関わった「立件型」事件での「人質司法」の代表的事例が、冒頭でも述べた山岸氏の冤罪事件だ。 山岸氏はある土地の売買をめぐり、業務上横領容疑で大阪地検特捜部に逮捕、起訴された。自身の横領容疑についての逮捕から裁判までの経過を描いた迫真のノンフィクション『負けへんで! 東証一部上場企業社長vs地検特捜部』(文藝春秋)には、248日に及ぶ勾留中の記録が克明に綴られている』、「捜査機関側は」ともかく、「裁判所も、「人質司法」を容認して保釈を認めず、捜査機関や検察官の主張を何とか認めようとし、被告人の訴えに耳を傾けようとしない」、中立であるべき「裁判所」が「捜査機関側」に偏っているのでは、公正は期待できない。
・『検察官はデタラメな意見書を書いて保釈を妨害していた  山岸氏の保釈請求は、検察の強硬な反対意見で、却下され続けた。「人質司法」で耐えられない状況に追い込んで、無罪主張を断念させようとしているとしか思えないやり方だった。その検察の反対意見を受け入れ、裁判所は保釈を却下し続けた。 国賠訴訟の対象にはなっていないが、堀木博司という当時の大阪地検特捜部の検察官が、人間の心を持っているとは思えない冷酷非道な意見書を書いて保釈を妨害していたことが、山岸氏の著書で赤裸々に描かれている。保釈請求が却下されたワンシーンを以下に抜粋する。山岸氏にとっては、実に勾留から約半年が経過した5度目の保釈請求だったという。 極めつけは、〈被告人の精神的肉体的負担が限界に達している〉という請求書の記載への反論だった。 弁護人が誇張なくありのまま記載したわたしの現状について、検察官は、〈裏付け資料がない〉〈3月から5月まで平日毎日弁護人と接見している。4月30日と5月25日には合計4時間以上も接見している〉などと言って、〈被告人の精神的肉体的負担が限界に達しているとは到底思えない〉と冷笑した』、「〈3月から5月まで平日毎日弁護人と接見している。4月30日と5月25日には合計4時間以上も接見している〉などと言って、〈被告人の精神的肉体的負担が限界に達しているとは到底思えない〉と冷笑した」、確かに「冷酷非道な意見書」だ。
・『三畳一間の部屋に閉じ込められ、何もできない  こんな無責任な言い草があるだろうか。検察官は、自分がやっていることがわかっていないのだ。〈断固として保釈を許可すべきでない〉とコピペで張り付けただけの意見書のせいで、わたしがどれだけ苦しんでいるか、まったく認識していない。だからこんないい加減なことが言えるのだ。暴力を振るった加害者が、「被害者は全然痛がっていませんよ」と言うようなものである。 前年12月16日に逮捕されてから、半年弱である。その間、わたしは狭い三畳一間の部屋に閉じ込められ、どこにも行けず、やりたいこともできず、好きなものも食べられず、一日の行動を逐一管理されて過ごしている。 就寝の時間も起床の時間も運動の時間も食事の時間も、自分では決められない。テレビも見られない。電話もメールもできない。会いたい人と会うことができない。話したい人と話すことができない。(中略) この堀木意見書が提出された翌日、大阪地方裁判所は保釈請求を却下、準抗告も特別抗告も棄却されてしまった。(山岸忍『負けへんで! 東証一部上場企業社長vs地検特捜部』第三章「通らぬ保釈請求と持ち株売却」より一部抜粋)』、「三畳一間の部屋に閉じ込められ、何もできない」、しかし、「この堀木意見書が提出された翌日、大阪地方裁判所は保釈請求を却下、準抗告も特別抗告も棄却されてしまった」、裁判官もいい加減だ。
・『これは「権力ヤクザ」による監禁犯罪である  山岸氏によると、堀木検事は自身がそれまでに提出した(保釈請求に反対する)意見書の文面を「コピペ」しながら、情緒的で論理性を欠いた意見書の提出による対応に終始したという。それをもって、裁判所も保釈申請を却下し、山岸氏は結果、248日もの拘留を強いられ、「拘禁症状」も心身に表れるなど、大きな負担を強いられることとなった。 このような悪辣あくらつなやり方で、山岸氏を痛めつけ続けた堀木検事は、このような意見書を裁判所に提出したことの責任は全く問われず、今は、東京地検特捜部に所属し、保釈に対してデタラメな内容を書き並べた意見書を書いて強硬に保釈に反対するという「非道」を繰り返している。 プレサンス事件で典型的に表れた特捜検察のやり方は、まさに「権力ヤクザ」そのものであり、「人質司法」を悪用した“監禁犯罪”と言っても過言ではない。)』、「堀木検事は自身がそれまでに提出した(保釈請求に反対する)意見書の文面を「コピペ」しながら、情緒的で論理性を欠いた意見書の提出による対応に終始したという。それをもって、裁判所も保釈申請を却下し、山岸氏は結果、248日もの拘留を強いられ、「拘禁症状」も心身に表れるなど、大きな負担を強いられることとなった」、「悪辣あくらつなやり方で、山岸氏を痛めつけ続けた堀木検事は、このような意見書を裁判所に提出したことの責任は全く問われず、今は、東京地検特捜部に所属し、保釈に対してデタラメな内容を書き並べた意見書を書いて強硬に保釈に反対するという「非道」を繰り返している」、「プレサンス事件で典型的に表れた特捜検察のやり方は、まさに「権力ヤクザ」そのものであり、「人質司法」を悪用した“監禁犯罪”と言っても過言ではない」、同感である。

第三に、2月3日付けデイリー新潮「「刑務所が無料の老人ホーム化」「刑務官は廃墟のような家に…」 杉良太郎が64年間、刑務所改革に取り組み続ける理由」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2023/02041057/?all=1
・『半世紀を優に超えて歌手や俳優として活躍する杉良太郎(78)は、60年以上にわたって私財を投じた福祉活動に取り組んできた。「特別矯正監」「特別防犯対策監」などに任じられている杉は、どのように矯正施設の改革に携わってきたのか。その思いを本人が語った。 15歳の時に刑務所の慰問を始め、国内外で福祉活動を続けて64年が過ぎました。人からはよく「なぜ」「どうして」と聞かれますが、そういう質問が一番困ります。自分でも明確な答えを持ち合わせていないからですが、おそらくこれは私の性分。生まれる前、母親の胎内にいた頃に染みついた、一種の性(さが)だと思います。母は「人に親切、慈悲、情け」が口癖のような人でしたから。 現在は法務省・特別矯正監(永久委嘱)、厚生労働省・健康行政特別参与、警察庁・特別防犯対策監(永久委嘱)として福祉活動だけではなく対策活動を行う機会も増えています。すでに全国の税関、刑務所は視察を終えており、警察はこの2月、すべての都道府県警察本部を訪問し終えます。その後は各警察署にも足を運び、現場に近い声を聞いて対策に生かす考えです』、「杉良太郎」氏が、「60年以上にわたって私財を投じた福祉活動に取り組んできた」とは初めて知った。
・『名誉矯正監になった理由  なぜ、全国を回る必要があるのか。例えば警察組織にしてもそれぞれの地域特有の県民性や地域性があります。だから、治安の維持という使命は同じでも、アプローチの仕方は微妙に異なる。それは私が矯正監として接している、受刑者や刑務官たちも同じです。 私が矯正施設で見るのは、彼らがどんな所で生まれ育ち、なぜ犯罪を起こしたのかという、根っこのところ。私が矯正監に任命されるまでには、幾つかの段階がありました。まず、15歳から始めた慰問を続けるうちに一日所長として視察するようになった。すると当時、5~6人の閣僚が集まる席があって、「何十年も取り組んでいる杉さんが一日だけの所長っていうのはおかしいんじゃないの?」という話になり、その後「一日所長じゃなく、何かポジションを作れないのか」と、法務大臣に伝えたという。そんなことはまったく知りませんでしたが、名誉矯正監や名誉所長という肩書きを受けてくれないか、と打診をいただきました。 そもそも私は「名誉」では引き受けたくなかったのですが、お飾りではないということを念押しし、名誉矯正監を拝命しました』、「そもそも私は「名誉」では引き受けたくなかったのですが、お飾りではないということを念押しし、名誉矯正監を拝命しました」、なるほど。
・『刑務官に「何が欲しいか」と聞くと…  それまでは受刑者の更生を促進する活動が中心でしたが、刑務官や職員の方の規律や指揮監督、処遇といったあらゆる角度から矯正施設の問題に取り組むようになりました。とくに現場の声を聞くことを大切にし、その後も全国の矯正施設を回り続けました。「なるべく若い人たちの意見を聞きたい」と思っても、所長や部長などの上司が横にいると、彼らはなかなか率直な気持ちを言えません。だから、看守長ぐらいまでの中堅クラスにメンバーを限定し、話を聞いていきました。 多くは30代半ばから後半ぐらいです。処遇から教育、経理や医務といったすべての部門から出席してもらいます。最初はまったく意見が出ませんでしたが、こちらから「日頃、仕事をする中での不満を聞かせてほしい」と促したら、多くの声が上がるようになりました。 例えば、勤続年数によって時計がもらえる制度がありました。私が「時計をもらってうれしいか?」と尋ねると「うれしくない」と。「じゃあ、うれしくないものはうれしくないと言いなさい」と話した。それで「本当は何が欲しいんだ?」と聞くと「長期休暇です」と言う。 当時は休日にポケベルが鳴ったり、受刑者が過剰収容されていた関係で仕事が多くて息つく暇もない。長期休暇がないから、お盆に墓参りすら行けないとも。「それじゃあ、まずは長期休暇を出そう」と、すぐに本省に掛け合って休暇制度を見直しました。長期の休暇が取れないことは、離職率の上昇にもつながるからです』、「勤続年数によって時計がもらえる制度がありました。私が「時計をもらってうれしいか?」と尋ねると「うれしくない」と・・・「本当は何が欲しいんだ?」と聞くと「長期休暇です」と言う。 当時は休日にポケベルが鳴ったり、受刑者が過剰収容されていた関係で仕事が多くて息つく暇もない。長期休暇がないから、お盆に墓参りすら行けないとも。「それじゃあ、まずは長期休暇を出そう」と、すぐに本省に掛け合って休暇制度を見直しました。長期の休暇が取れないことは、離職率の上昇にもつながるからです」、素人ならではの発想が上手くいった例だろう。
・『自己犠牲の精神  刑務官がしっかり受刑者を指導・監督できるようになるには、広い知識や見聞、人間的な包容力を持つことも大切です。塀の中しか知らないような世間知らずでは務まりません。長期休暇を活用して、旅行も含めて見聞を広め、体験を重ねることも重要なのです。 また、この仕事は成果が見えにくいという側面があるので、職員にはやりがいとプライドを持たせることが必要です。自身の職業へのプライド、誇りがなければ、海千山千の受刑者にはなかなか対峙できません。そこで、専門官を作るなど、刑務官の心理面での育成につながることも考えました。 刑務官たちが最も喜んだのは、彼らが住む官舎の改善でした。これを言うと大抵の人に驚かれますが、刑務官を含めた職員たちに「刑務所と自分たちの官舎と、どっちを先にリフォームしてほしい?」と尋ねると、100人が100人とも「刑務所を先にお願いします」と答えます。職場を優先してほしいというわけです。 世間的にはこうしたイメージは薄いかもしれませんが、職員たちも人間です。受刑者に情が移るのか、「ちょっとでも甘い物を食べさせてあげたい」とか「少しでも処遇を良くしてあげたい」という気持ちの人が多い。自己犠牲の精神というのか、自分より受刑者の待遇改善を優先する意識が強いんです。だから私は、「あまりそっち寄りに行くなよ。被害者を忘れるな」と注意しているほどです』、「職員たちも人間です。受刑者に情が移るのか、「ちょっとでも甘い物を食べさせてあげたい」とか「少しでも処遇を良くしてあげたい」という気持ちの人が多い。自己犠牲の精神というのか、自分より受刑者の待遇改善を優先する意識が強いんです。だから私は、「あまりそっち寄りに行くなよ。被害者を忘れるな」と注意しているほどです」、なるほど。
・『刑務官は6畳と4畳半の2間で子どもを育てている  官舎というと「公務員住宅だから、さぞ良いところに住んでいるんだろう」といったイメージが強いと思います。赤坂や青山の国会議員宿舎などの印象があるからでしょうが、とくに地方にある国家公務員宿舎の多くは、想像以上に老朽化が進んでいるのが現状です。 施設課長が「居住環境を改善しないと職員が居着かない」と訴えてきたことがあります。そこで実際に足を運び、「どうしていままでこの事実を誰も口にしなかったのか?」と、気付けなかった自分にもがくぜんとしたことがあります。 視察に行く前に、法務省の職員に「間取りは幾つ?」と聞いたら「二間あります」という。私は「8畳と6畳の二間かな」と想像しましたが、実際には6畳と4畳半でした。いまどき4畳半なんて一間に含まれるのかと驚きましてね。受刑者には三食が付き、夜中でもガードマンが見回ってくれるから安心で安全な住環境にある。一方で、彼らを監督する刑務官は6畳と4畳半、そして台所という狭い部屋で、子どもを育てていることが分かった。 すぐに全国の官舎の写真を取り寄せ、それを超党派の再犯防止議員連盟のメンバーたちに見ていただいた。それで「近いうちに川越少年刑務所に行きます。みなさんも一緒に来て下さい」とお誘いしました』、「彼らを監督する刑務官は6畳と4畳半、そして台所という狭い部屋で、子どもを育てていることが分かった」、「全国の官舎の写真を取り寄せ、それを超党派の再犯防止議員連盟のメンバーたちに見ていただいた。それで「近いうちに川越少年刑務所に行きます。みなさんも一緒に来て下さい」とお誘いしました」、なかなか上手い仕掛けだ。
・『「これ、廃墟じゃないですか」  実際に現地を視察した後で、議員の方たちに「みなさんはここに住めますか?」と聞くと、全員が「住めません」と口をそろえた。中には「これ、廃墟じゃないですか」と驚く議員までいたほどです。そこで私は「ご自分が住めないところに、職員に住めと言うのはいかがなものでしょう」と窘(たしな)めるように続けた。率直な印象として「ひどいな、こんな住宅がまだあるのか」というほど老朽化が進んでいたので、いまも少しずつ住宅の建て替えやリフォームを進めているところです。 警察官とは違って、刑務所の職員にはなかなか陽が当たらない。子どもに「お父さんは何の仕事?」と聞かれて「刑務官だよ、とは言いにくい」と話す職員はいまも少なくありません。「自分の子どもに胸を張れない」というのです。だから私は全国の施設を回って「プライドを持て」と、指導したり勇気づけたりしてきたのです』、「実際に現地を視察した後で、議員の方たちに「みなさんはここに住めますか?」と聞くと、全員が「住めません」と口をそろえた。中には「これ、廃墟じゃないですか」と驚く議員までいたほどです」、巧みな誘導だ。
・『医官の処遇改善  刑務所に勤務する医師である、医官の離職も深刻な問題でした。以前の規則では、彼らが診療の対象にできるのは受刑者に限られていました。国家公務員だからというだけで、刑務官がちょっと体調を崩した時でも診察すらできない。以前はこんな非常識なことがまかり通っていたんです。だから私は、刑務官はもとより、近所に住む町の人々も診られるようにすべきだと訴えたことがありました。 医官は刑務所の近くに住んでいます。同じ地域の人々の理解や信頼は、人間的な触れ合いや結びつきから生まれてきます。高額な予算を投じて最新鋭のMRIを導入したのに、それを使ってもらえるのは受刑者だけ。それではあまりにもったいない。だから、医官の仕事は臨床に限らず、希望すれば研究もしていいようにした。給与水準のアップを含めた処遇改善にも手を付けて、医官の離職率が下がるように工夫したわけです』、「高額な予算を投じて最新鋭のMRIを導入したのに、それを使ってもらえるのは受刑者だけ。それではあまりにもったいない。だから、医官の仕事は臨床に限らず、希望すれば研究もしていいようにした。給与水準のアップを含めた処遇改善にも手を付けて、医官の離職率が下がるように工夫したわけです」、素人的発想が役人的慣行を打破した好例だ。
・『「長く刑務所にいたい」という受刑者たち  さまざまな刑務所の改革には、受刑者の処遇改善も不可欠です。ところが衣食住の快適さが増すと、居心地の良さから「長くここに置いて下さい」と訴える受刑者が増えてしまった。当たり前ですが、刑務所は「置いて下さい」なんて言われる場所じゃありません。 とくに高齢の受刑者ほどその傾向が強い。理由の多くは「出所したら死ぬしかない」「保険証がないから医者に診てもらえない」というもので、実際、持病があったり、身寄りがなくて出所しても身を置く場所がないんです。一方で刑務所なら食事はあるし、布団で寝られます。病気をすれば治療だって受けられますから、受刑者が高齢になればなるほど刑務所を「無料の老人ホーム」みたいな感覚で捉えているんですね。 刑務所にもさまざまな種類がありますが、最近は医療刑務所が非常に大きな役割を持つ時代だと感じます。違法な薬物に関する治療もありますが、心臓や脳の病気をはじめ、がんを患う受刑者も珍しくはありません。 麻薬や薬物の常習者の更生には、専門の病院や施設で徹底的に対応する必要があります。専門医も必要ですが、何よりものすごい手間がかかるんですよ』、「刑務所なら食事はあるし、布団で寝られます。病気をすれば治療だって受けられますから、受刑者が高齢になればなるほど刑務所を「無料の老人ホーム」みたいな感覚で捉えているんですね」、これは由々しい問題だ。
・『受刑者の認知症問題  加えて最近の医療刑務所の守備範囲はかなり広がっていますが、喫緊の課題の一つが、仮に受刑者が刑務所内で認知症を発症したらどうするか、という問題です。自分が誰だか認識できない受刑者にはどう罪を償わせればいいのか。こういった贖罪のあり方の本質に関わる問題への対処など、刑務官の役割やありようは大きく変化しています。 心臓病や胃がんという具合に脳の機能に影響がない時はいいですが、アルツハイマー型認知症などの場合は罪を犯した事実やその罪名どころか、自分の名前すら覚えていないこともあります。入る刑務所もA級(犯罪傾向の進んでいない者)とB級(再犯や累犯、反社会的勢力といった犯罪傾向の進んでいる者)、L級(刑期が10年以上の者)などの等級によって分かれますが、長期で入っている人は症状がどんどん進んでしまいます。 認知症を患う受刑者の面倒、つまり介護も刑務官の任務とするのか。あるいは、別に収容する施設を造るのか。仮に介護施設を造った場合、刑務所とは異なる環境で生活する受刑者は本当に罪を償っているといえるのか。そもそも、介護施設が罪を償う場所になり得るのか、といった問題も出てきます』、「認知症を患う受刑者の面倒、つまり介護も刑務官の任務とするのか。あるいは、別に収容する施設を造るのか。仮に介護施設を造った場合、刑務所とは異なる環境で生活する受刑者は本当に罪を償っているといえるのか。そもそも、介護施設が罪を償う場所になり得るのか、といった問題も出てきます」、これは審議会などで有識者の意見を参考にすべきだろう。
・『資格取得まで導いても出所すると…  かねて私は、刑務官が受刑者の介護に苦労していることを知って、「これは本来の刑務所の姿じゃない」と感じていました。だから刑務官だけでなく受刑者も介護ができるよう、さらに出所後にその経験が生かせるようにと、刑務所で介護福祉士の国家資格を取得できるようにしました。 ところが、ここで新たな問題が出てきました。仮に500人の介護資格を手にした受刑者がいたとして、その中の何人が出所後に介護職に就くのか。私の感覚ではせいぜい30人ぐらいだと思います。そもそも受刑者には勤労意欲が乏しかったり、働くのが苦手という人が多い。幾らこっちが「再犯防止につながるように」と資格取得まで導いても、ほとんどが出所したら働かない。 よく耳にする話に「出所後に雇ってくれるところがないので働けない」「収入が得られないから再犯してしまう」というものがありますが、「働きたくない」「仕事は苦手」という人たちの再犯率を下げることが、いかに難しいかということがお分かりいただけるでしょう』、「刑務官だけでなく受刑者も介護ができるよう、さらに出所後にその経験が生かせるようにと、刑務所で介護福祉士の国家資格を取得できるようにしました」、「そもそも受刑者には勤労意欲が乏しかったり、働くのが苦手という人が多い。幾らこっちが「再犯防止につながるように」と資格取得まで導いても、ほとんどが出所したら働かない」、確かに悩ましい問題だ。
・『欧米では寄付が節税対策に  私は平成8年に「名誉矯正監」を、平成20年に「特別矯正監」を拝命し、それに伴って私の役割も変わってきました。最も大きなものは、改善すべき点を明確にして必要な予算を獲得することです。平成28年4月に発生した熊本地震の後には刑務所や少年院などすべての刑事施設を、地震や津波、河川の氾濫といった災害が起きた際、市民が避難場所として利用できるようにしました。 本来、こうした取り組みは政治の役割かもしれません。しかし、特別矯正監という立場だからこそできることがある。だから私は全国の矯正施設を回り、目で見て耳で聞いて問題点を炙(あぶ)り出している。それがいまの私の役割だからです。東日本大震災で炊き出しなどの支援活動をした時など、これまでには「売名だ」とか「偽善では」と言われました。しかし、私はただ自分にできること、すべきだと思ったことを行動に移してきたに過ぎません。 ところで、日本と欧米のボランティアや寄付のありようには大きな違いがあります。文化や習慣も異なるからでしょうが、実は税制面でも大きな差があります。 例えばアメリカでは、個人が100万円をチャリティーとして寄付すると、手続きをすることでほぼ全額が所得から控除される。つまりは税金対策にもなるわけです。日本で杉良太郎が1億円を寄付するのと、ハリウッドスターが1億円を寄付するのとでは本質的な意味合いがまったく異なる。それを多くの日本人はご存じない。 いま、私がどこかの慈善団体に1億円を寄付したとしても、控除されて戻ってくる額はごくわずかです。もちろん、私はそれも寄付しますが、アメリカで1億円を寄付したら、日本よりも還付される額ははるかに多いんです』、日本の寄付金控除は極めて僅かだが、その拡大は別途検討すべき課題だ。
・『1億円借金してまで寄付  日本テレビに「24時間テレビ 愛は地球を救う」というチャリティー番組がありますね。以前その会場へ、新聞紙に包んだ現金を会社の経理担当に持って行かせたことがありました。すると、たまたまテレビに映った彼を見た税務署の職員から「あれは杉さんの会社の人ですよね。課税の対象です」と連絡がきたことがあります。世間の多くは「寄付金は全額が控除の対象になる」と思っているようです。ところが実際は違います。日本は軽々に寄付ができない制度になっているんです。 昭和61年ごろに中国に残留していた日本人孤児の問題に取り組んだ時、自分で何とか4億円は都合できたものの、どうしても残りの1億円が不足したことがありました。そこで住友銀行(当時)の磯田一郎会長に「5億円のうち4億円は用意できたけど1億円足りない。1億円、私の体を担保に貸して下さい」とお願いに行ったんです。 会長は「銀行は体を担保に金を貸さないよ。だけど杉さん、老後はどうすんの?」と。私は「お粥を啜って生きていきますから」と答えた。そうしたら会長は1億円を融資して下さった。返済額は利子を含めて1億7500万円になりましたが、会長は「金を借りてまで寄付する人は初めてだ」と仰っていましたね』、「中国に残留していた日本人孤児の問題に取り組んだ時、自分で何とか4億円は都合できたものの、どうしても残りの1億円が不足したことがありました」、「住友銀行」で「1億円借金してまで寄付」、とは大したものだ。
・『刑務所を株式会社に  私は十数年以上前から刑務所の株式会社化を提言しています。これは民営化や半官半民とはまったく異なる世界初の試みです。受刑者の数が減少傾向にあるいま、廃止される刑務所などを活用し、株式会社化して運営したい。ここを社宅付きの職場にして、出所者や定年退職した刑務官たちを雇い入れる。互いに見知った関係ですから何でも相談できるだけでなく、出所者は得た収入から1カ月に千円でも2千円でも被害者への送金が可能になる。いつまでも被害者のことを心に留める意識が大切ですから、その一助となる取り組みとして、近いうちに本格化させるつもりです。 そこでは受刑者が出所後に即戦力として仕事を得られるよう、畜産や農業などの知識と技術を教えたい。すでに網走刑務所では「網走監獄和牛」という名前でA5ランクの黒毛和牛を育成したり、〈おつとめごくろうさまです〉といったロゴ入りのTシャツを販売していますし、鹿児島刑務所では日本茶に加えて紅茶作りが始まっています。函館少年刑務所では〈〇(マル)獄シリーズ〉という、「獄」の文字を丸で囲ったデザインがプリントされた前掛けや手提げバッグなど数多くのグッズが人気を集めています。 ▽達成感はない(このように、私は刑務所を一種のブランドにして新たな価値を生み出そうと考えている。そこが元受刑者の再就職先になれば、彼らの勤労意欲の喚起だけでなく、働くことの意味を理解させられると思うからです。 私は法務省のほかにも、厚生労働省で予防医療や未病という概念の普及と対策活動を、警察庁で特殊詐欺対策を中心とした防犯のあり方や、犯罪加担者を減らす取り組みに従事しています。私の活動は多岐にわたりますが、すべてに共通して言えるのは、「自分ができること」や「こうすべきだ」と思ったら、それを、すぐ行動に移してきたということです。 とはいえ、私は一度も「やってよかった」というような達成感や満足を覚えたことがありません。次々と問題が出てきますし、新たなアイデアが浮かんでくるからです。私にはいまも多くの課題が残されていますから、この道はずっと続いていく。まだまだ、これからですよ。 杉 良太郎(すぎりょうたろう) 昭和19年兵庫県生まれ。同40年に歌手デビュー。同42年にNHK「文五捕物絵図」の主演で脚光を浴び、以降は長年にわたってテレビや舞台で活躍。法務大臣顕彰、文部科学大臣表彰など数々の大臣表彰にとどまらず、紫綬褒章や芸能人として初めて緑綬褒章も受けた。平成26年に内閣総理大臣より感謝状を贈呈されたほか、同28年には長年にわたる国内外での文化交流が評価され文化功労者に選出されている』、「十数年以上前から刑務所の株式会社化を提言しています。これは民営化や半官半民とはまったく異なる世界初の試みです。受刑者の数が減少傾向にあるいま、廃止される刑務所などを活用し、株式会社化して運営したい。ここを社宅付きの職場にして、出所者や定年退職した刑務官たちを雇い入れる」、これは難しい課題もありそうだが、今後の展開を注目したい。
タグ:AERAdo「有罪判決でも返り咲いた37歳の美濃加茂市長が語る検察の矛盾「河井事件は不問。法は不平等」〈dot.〉」 司法の歪み (その17)(有罪判決でも返り咲いた37歳の美濃加茂市長が語る検察の矛盾「河井事件は不問。法は不平等」〈dot.〉、なぜ日本の刑事事件の99.5%が有罪になるのか…「捜査能力が高いから」ではない驚きの理由 何が何でも有罪にするやり方が横行している、「刑務所が無料の老人ホーム化」「刑務官は廃墟のような家に…」 杉良太郎が64年間、刑務所改革に取り組み続ける理由) 「美濃加茂市長」をめぐる冤罪問題については、このブログでも元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏による記事を、2017年5月18日、12月14日、12月19日、2018年3月23日に紹介した。「市長選は藤井氏が後継を託した現職の伊藤氏と一騎打ちとなった」、「伊藤氏」は「藤井氏」が出馬するにも拘らず、選挙に出て、「藤井氏」に敗れたようだ。 「有罪とした名古屋高裁は一度も私の被告人質問を認めなかった」、「このまま引き下がることはできません。警察、検察、裁判所はある意味、国民の最後の砦ですから、正義がないと困ります。市長としてのこの経験をもとにしっかりと地方行政が腐敗しないよう取り組みたい」、「このまま引き下がることはできません」の意味は不明だが、今後の活躍を期待したい。 PRESIDENT ONLINE 郷原 信郎氏による「なぜ日本の刑事事件の99.5%が有罪になるのか…「捜査能力が高いから」ではない驚きの理由 何が何でも有罪にするやり方が横行している」 郷原信郎『“歪んだ法”に壊される日本 事件・事故の裏側にある「闇」』(KADOKAWA) 「被告人の身柄を延々と拘束する『人質司法』」と、「特捜部等の判断で事件化される『立件型事件』特有の構図」、をクローズアップしたのは興味深い。 「プレサンスコーポレーション事件」の話は、初めて知った。「保釈は6回にわたって却下され、248日にわたって勾留された。典型的な「人質司法」だった。2021年11月に一審無罪判決に対して検察は控訴を断念、無罪が確定した山岸氏は、取調べ担当検察官らの不法行為について国賠訴訟を提起している」、「国賠訴訟を提起」は当然だ。 「「立件型」の場合は、被害が発生したわけでもなく、誰かが被害を訴えているわけでもない。「その事件を刑事事件として立件し捜査の対象とする」と捜査機関側が判断して捜査を始めたものだ。 もし仮に、その前提事実が異なっていて、捜査機関が判断を誤った疑いが生じた場合、それは犯罪自体が存在しなかった疑いが生じるのであり、別に真犯人がいるということではない」、なるほど。 「「立件型」では、有罪判決断念で捜査機関の面子がつぶれる」、みっともともないが、やむを得ない。「有罪判決に持ち込むために異常なまでの拘こだわりを見せる。不利な状況になっても、決して諦めない」、こうした「捜査機関側」の無用なこだわりは止めてほしいものだ。 「捜査機関側は」ともかく、「裁判所も、「人質司法」を容認して保釈を認めず、捜査機関や検察官の主張を何とか認めようとし、被告人の訴えに耳を傾けようとしない」、中立であるべき「裁判所」が「捜査機関側」に偏っているのでは、公正は期待できない。 「〈3月から5月まで平日毎日弁護人と接見している。4月30日と5月25日には合計4時間以上も接見している〉などと言って、〈被告人の精神的肉体的負担が限界に達しているとは到底思えない〉と冷笑した」、確かに「冷酷非道な意見書」だ。 「三畳一間の部屋に閉じ込められ、何もできない」、しかし、「この堀木意見書が提出された翌日、大阪地方裁判所は保釈請求を却下、準抗告も特別抗告も棄却されてしまった」、裁判官もいい加減だ。 「堀木検事は自身がそれまでに提出した(保釈請求に反対する)意見書の文面を「コピペ」しながら、情緒的で論理性を欠いた意見書の提出による対応に終始したという。それをもって、裁判所も保釈申請を却下し、山岸氏は結果、248日もの拘留を強いられ、「拘禁症状」も心身に表れるなど、大きな負担を強いられることとなった」、 「悪辣あくらつなやり方で、山岸氏を痛めつけ続けた堀木検事は、このような意見書を裁判所に提出したことの責任は全く問われず、今は、東京地検特捜部に所属し、保釈に対してデタラメな内容を書き並べた意見書を書いて強硬に保釈に反対するという「非道」を繰り返している」、「プレサンス事件で典型的に表れた特捜検察のやり方は、まさに「権力ヤクザ」そのものであり、「人質司法」を悪用した“監禁犯罪”と言っても過言ではない」、同感である。 デイリー新潮「「刑務所が無料の老人ホーム化」「刑務官は廃墟のような家に…」 杉良太郎が64年間、刑務所改革に取り組み続ける理由」 「杉良太郎」氏が、「60年以上にわたって私財を投じた福祉活動に取り組んできた」とは初めて知った。 「そもそも私は「名誉」では引き受けたくなかったのですが、お飾りではないということを念押しし、名誉矯正監を拝命しました」、なるほど。 「勤続年数によって時計がもらえる制度がありました。私が「時計をもらってうれしいか?」と尋ねると「うれしくない」と・・・「本当は何が欲しいんだ?」と聞くと「長期休暇です」と言う。 当時は休日にポケベルが鳴ったり、受刑者が過剰収容されていた関係で仕事が多くて息つく暇もない。長期休暇がないから、お盆に墓参りすら行けないとも。 「それじゃあ、まずは長期休暇を出そう」と、すぐに本省に掛け合って休暇制度を見直しました。長期の休暇が取れないことは、離職率の上昇にもつながるからです」、素人ならではの発想が上手くいった例だろう。 「職員たちも人間です。受刑者に情が移るのか、「ちょっとでも甘い物を食べさせてあげたい」とか「少しでも処遇を良くしてあげたい」という気持ちの人が多い。自己犠牲の精神というのか、自分より受刑者の待遇改善を優先する意識が強いんです。だから私は、「あまりそっち寄りに行くなよ。被害者を忘れるな」と注意しているほどです」、なるほど。 「彼らを監督する刑務官は6畳と4畳半、そして台所という狭い部屋で、子どもを育てていることが分かった」、「全国の官舎の写真を取り寄せ、それを超党派の再犯防止議員連盟のメンバーたちに見ていただいた。それで「近いうちに川越少年刑務所に行きます。みなさんも一緒に来て下さい」とお誘いしました」、なかなか上手い仕掛けだ。 「実際に現地を視察した後で、議員の方たちに「みなさんはここに住めますか?」と聞くと、全員が「住めません」と口をそろえた。中には「これ、廃墟じゃないですか」と驚く議員までいたほどです」、巧みな誘導だ。 「高額な予算を投じて最新鋭のMRIを導入したのに、それを使ってもらえるのは受刑者だけ。それではあまりにもったいない。だから、医官の仕事は臨床に限らず、希望すれば研究もしていいようにした。給与水準のアップを含めた処遇改善にも手を付けて、医官の離職率が下がるように工夫したわけです」、素人的発想が役人的慣行を打破した好例だ。 「刑務所なら食事はあるし、布団で寝られます。病気をすれば治療だって受けられますから、受刑者が高齢になればなるほど刑務所を「無料の老人ホーム」みたいな感覚で捉えているんですね」、これは由々しい問題だ。 「認知症を患う受刑者の面倒、つまり介護も刑務官の任務とするのか。あるいは、別に収容する施設を造るのか。仮に介護施設を造った場合、刑務所とは異なる環境で生活する受刑者は本当に罪を償っているといえるのか。そもそも、介護施設が罪を償う場所になり得るのか、といった問題も出てきます」、これは審議会などで有識者の意見を参考にすべきだろう。 「刑務官だけでなく受刑者も介護ができるよう、さらに出所後にその経験が生かせるようにと、刑務所で介護福祉士の国家資格を取得できるようにしました」、「そもそも受刑者には勤労意欲が乏しかったり、働くのが苦手という人が多い。幾らこっちが「再犯防止につながるように」と資格取得まで導いても、ほとんどが出所したら働かない」、確かに悩ましい問題だ。 日本の寄付金控除は極めて僅かだが、その拡大は別途検討すべき課題だ。 「中国に残留していた日本人孤児の問題に取り組んだ時、自分で何とか4億円は都合できたものの、どうしても残りの1億円が不足したことがありました」、「住友銀行」で「1億円借金してまで寄付」、とは大したものだ。 「十数年以上前から刑務所の株式会社化を提言しています。これは民営化や半官半民とはまったく異なる世界初の試みです。受刑者の数が減少傾向にあるいま、廃止される刑務所などを活用し、株式会社化して運営したい。ここを社宅付きの職場にして、出所者や定年退職した刑務官たちを雇い入れる」、これは難しい課題もありそうだが、今後の展開を注目したい。
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高齢化社会(その22)(精神科医が70歳からの「シニア恋愛」を勧めるワケ アウトプットできる人は「前頭葉」が元気な人、更年期に起こりやすい「ブレインフォグ」って一体なに?症状と対処法、増える70歳以上のシニア破産 身近な転落の経路 現役時は乗り切っても 人生の終盤に落とし穴) [社会]

高齢化社会については、本年4月21日に取上げた。今日は、(その22)(精神科医が70歳からの「シニア恋愛」を勧めるワケ アウトプットできる人は「前頭葉」が元気な人、更年期に起こりやすい「ブレインフォグ」って一体なに?症状と対処法、増える70歳以上のシニア破産 身近な転落の経路 現役時は乗り切っても 人生の終盤に落とし穴)である。

先ずは、本年5月4日付け東洋経済オンラインが掲載した精神科医の和田 秀樹 氏による「精神科医が70歳からの「シニア恋愛」を勧めるワケ アウトプットできる人は「前頭葉」が元気な人」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/665500
・『年をとったらあとはひっそりと枯れていく……。一昔前ならあたりまえのような生き方ですが、そんな生き方に大反論をしているのが精神科医の和田秀樹さんです。70歳を過ぎてからは、むしろ自由にやりたいことをやるべき、とくに恋愛がお勧めだと語ります。人生100年時代、「ときめく心」がなぜ必要なのかを、和田さんの最新刊『70歳からのボケない勉強法』から抜粋、再編集して紹介します』、「70歳を過ぎてからは、むしろ自由にやりたいことをやるべき、とくに恋愛がお勧めだと語ります」、「「ときめく心」がなぜ必要なのか」、なにやら嬉しくなる話だ。
・『脳の萎縮は「前頭葉」から始まる  認知症にはさまざまなタイプがありますが、もっとも多いアルツハイマー型認知症の場合、脳の前頭葉から萎縮が進んでいきます。 前頭葉は脳の前方にある領域です。意欲、思考、感情、創造性などを司るとされ、非常に大事な部位なのですが、実は、前頭葉は脳のほかの部位に比べて、老化が始まるのが早いといわれています。一般的には40代から、早い人では30代から前頭葉の萎縮が始まります。 老化で前頭葉が萎縮すると、脳を使うことがおっくうになります。あなた自身または身近な人に、こんな現象が起きていませんか。 ・実際にやってみることをせず、あれこれ考えただけであきらめてしまう ・異論を受け入れることができなくて、ガンコになる ・思考が凝り固まり、人の話を鵜呑みにしてしまう ・感情が平坦になり、何をしてもつまらなく感じる ・ささいなことでイライラし、しかも、なかなかおさまらない  このようなことが年をとって起きてきたら、前頭葉の萎縮が始まっているかもしれません。) 前頭葉が活発に働いている人は、ひとつの物事を前にして、たくさんの答えを出していけます。つまり、思考のスイッチをどんどん切り替えることができますし、何か問題があるときでも安易に投げ出さず、よく考えることができるのです。 前頭葉が関わっているとされているのはアウトプットする機能です。インプット機能は側頭葉(言語理解)や頭頂葉(計算能力)が担っていると考えられています。つまり、これまで蓄積してきた記憶や知識をひっぱり出すのは前頭葉なのです。 だから、非常に高度な内容でも、いつも繰り返している単調な作業ならば、側頭葉や頭頂葉でこなすことができます。しかし、想定外のこと、先の読めないことに対処するのは前頭葉です。つまり、答えがいくつも考えられるような問題を考えるためには前頭葉が元気でなければなりません』、「前頭葉は脳のほかの部位に比べて、老化が始まるのが早いといわれています。一般的には40代から、早い人では30代から前頭葉の萎縮が始まります。 老化で前頭葉が萎縮すると、脳を使うことがおっくうになります」、「想定外のこと、先の読めないことに対処するのは前頭葉です。つまり、答えがいくつも考えられるような問題を考えるためには前頭葉が元気でなければなりません」、なるほど。
・『熟年離婚の陰にホルモンの男女差あり  前頭葉の最大の敵は「ルーティン」です。正解がひとつとは限らない問題や予想外の出来事に対処するのが前頭葉ですから、同じことを繰り返して慣れっこになった状況がずっと続くと、前頭葉を使うチャンスが訪れないまま、脳の老化が加速してしまいます。 このルーティンについて説明するときに、よく私が挙げる例が「恋愛」です。昨今、同居期間20年以上の、いわゆる「熟年離婚」が増えているそうです。厚生労働省の統計(2020年)によると、全体の離婚件数のうち2割以上が熟年離婚でした。 熟年離婚の割合が増加している背景として、女性の社会進出や年金の分割など社会経済的な理由はよく知られています。しかし、これとは別に、男女の身体的な差について、ひとつ知っておくべきことがあります。 男性は、加齢によって男性ホルモンの分泌が減ります。男性ホルモンが減ると、どんどん意欲を失っていきます。一方、女性は閉経後、男性ホルモンが増えるので、以前より元気で活動的になる人が多いのです。すると、必然的に夫婦ふたりで楽しむ機会も減り、一緒に暮らす意味も薄れてくるでしょう。 もし、夫婦のあいだでまともな会話がなくなって久しいというのであれば、熟年離婚の決断をするのも悪いことではありません。だらだらと惰性で結婚生活を続けているだけという状態は、前頭葉にも多大なストレスをかけて老化を早めます。マンネリに慣れるよりも、いっそ婚姻関係の解消を検討してみるというのは、けっして悪いことではないと思います。) 味気ないルーティンと化した結婚生活は前頭葉の敵ですが、シニアの恋愛は前頭葉を元気にします。恋愛は、展開の読めない出来事の連続です。相手を観察して好みや気分を推し量ったり、身だしなみに気を配ったり、食事に誘うための店を検索したり、ケンカのあとに謝るきっかけを探したり。正解がひとつではない問題ばかりです。 若いころなら恋愛マニュアルや雑誌の情報を頼りにするかもしれませんが、シニアの皆さんはそういった知識はすでに頭に入っていますし、経験値もそれなりにあります。そうした知識や経験=コンテンツを臆せずアウトプットしていけば、若いころとは違う、シニア恋愛ならではの喜びやときめきが待っているでしょう。先の読めない状況で、どう振る舞えばよいのか。前頭葉をフル回転させながら、恋愛を楽しんでください。 前頭葉の萎縮を進行させないために、どうすればよいのか。とにかく前頭葉の血流を増やすことです。そのためには、新しいこと、新しい情報、新しい人との交流に関心を持ち、積極的にアプローチして「へえ」「なるほど」「おもしろい」などと感情面での刺激を経験することがきわめて有効です。恋愛中は誰しもドキドキしたり、ワクワクしたり、感情を揺さぶられ続けます。前頭葉の活性化のためにも、老後の楽しい暮らしのためにも、シニア恋愛を大いにおすすめしたいと思います』、「男女の身体的な差について、ひとつ知っておくべきことがあります。 男性は、加齢によって男性ホルモンの分泌が減ります。男性ホルモンが減ると、どんどん意欲を失っていきます。一方、女性は閉経後、男性ホルモンが増えるので、以前より元気で活動的になる人が多いのです。すると、必然的に夫婦ふたりで楽しむ機会も減り、一緒に暮らす意味も薄れてくるでしょう」、「必然的に夫婦ふたりで楽しむ機会も減り、一緒に暮らす意味も薄れてくるでしょう。 もし、夫婦のあいだでまともな会話がなくなって久しいというのであれば、熟年離婚の決断をするのも悪いことではありません。だらだらと惰性で結婚生活を続けているだけという状態は、前頭葉にも多大なストレスをかけて老化を早めます。マンネリに慣れるよりも、いっそ婚姻関係の解消を検討してみるというのは、けっして悪いことではないと思います。 味気ないルーティンと化した結婚生活は前頭葉の敵ですが、シニアの恋愛は前頭葉を元気にします。恋愛は、展開の読めない出来事の連続です。相手を観察して好みや気分を推し量ったり、身だしなみに気を配ったり、食事に誘うための店を検索したり、ケンカのあとに謝るきっかけを探したり。正解がひとつではない問題ばかりです」、その通りだ。
・『70歳からは「頭のよさ」より「楽しさ」を大切に  私たちはこれまで、医学の進歩によって多くの病気を克服してきました。日本人の平均寿命はまだまだ延びていくでしょう。たとえば近い将来、がんの治療法が発見されるのではないかという話も聞こえてきます。いずれはiPS細胞に関する技術が、老化した臓器を若返らせることも可能にするでしょう。 しかし、医学の進歩がどれだけ目覚ましくても、脳の老化を止めたり、脳を再生したりすることはできません。ここで私が申し上げたいのは、私たちはただ健康でいられれば幸せなのだろうかということです。70歳を過ぎても健康である、それのみに甘んじているのはよいことなのでしょうか。) 私が提唱している「70歳からの勉強」は、楽しい生き方を探すための大切なスキルです。人生後半を楽しめるような生き方を模索するための勉強です。それまでの勉強の目的が「頭がよくなること=知識を蓄えること」だったのが、70歳からは楽しさを探す、つまり、よりよい人生を楽しむための勉強になるのだと私は思っています』、「私が提唱している「70歳からの勉強」は、楽しい生き方を探すための大切なスキルです。人生後半を楽しめるような生き方を模索するための勉強です。それまでの勉強の目的が「頭がよくなること=知識を蓄えること」だったのが、70歳からは楽しさを探す、つまり、よりよい人生を楽しむための勉強になるのだと私は思っています」、「私が提唱している「70歳からの勉強」は、楽しい生き方を探すための大切なスキルです。人生後半を楽しめるような生き方を模索するための勉強です・・・70歳からは楽しさを探す、つまり、よりよい人生を楽しむための勉強になるのだ」、「よりよい人生を楽しむための勉強になる」、というのは結構なことだ。
・『高齢者こそがリスキリングに取り組むべき  最近、リスキリングの重要性が叫ばれるようになりました。リスキリングとは「DX時代を迎えるなか、技術革新やビジネスモデルの変化に対応するために、新しい知識やスキルを学ぶこと」です。国はリスキリングに取り組む企業を支援し、社内でのリスキリングに積極的に投資する企業も増えています。私は、高齢者こそがリスキリングに取り組むべきだと思っています。 世界最高齢のプログラマー、若宮正子さんは、「高齢者もリスキリングして社会参加する必要があると思います。人生100年時代です。学び続ければ、80~90代でも社会貢献できます」と語っています。 若宮さんは現在87歳ですが、なんと81歳のときにiPhoneアプリを開発しました。アップル社CEOのティム・クック氏は自社イベントに若宮さんを招待しました。社会貢献にはいろいろな形があります。「70歳からの勉強」は自分の好きなこと、得意なことを伸ばすのに最適な勉強法です。そうして得た知見やスキルをアウトプットし続ければ、やがて社会貢献につながるでしょう。 勉強は自分自身を強くして、人生の選択肢を増やすものです。それは何歳になっても変わりません。勉強は、あなたの人生を豊かにしてくれる「最高の道具」です。好きなことや得意なことを伸ばして、恋愛を楽しみ、社会貢献をする。「70歳の勉強」は、そんな喜びや楽しみに満ちた毎日を過ごすための勉強なのです』、「世界最高齢のプログラマー、若宮正子さんは、「高齢者もリスキリングして社会参加する必要があると思います。人生100年時代です。学び続ければ、80~90代でも社会貢献できます」と語っています。 若宮さんは現在87歳ですが、なんと81歳のときにiPhoneアプリを開発しました。アップル社CEOのティム・クック氏は自社イベントに若宮さんを招待しました。社会貢献にはいろいろな形があります」、確かに「若宮正子さん」は素晴らしいが、あくまで例外と考えるべきではなかろうか。

次に、5月13日付けWomen’sHealth「更年期に起こりやすい「ブレインフォグ」って一体なに?症状と対処法」を紹介しよう。
https://www.womenshealthmag.com/jp/wellness/a39921788/brain-fog-during-menopause-is-a-reality-we-need-to-talk-about-20220515/
・『女性の約3分の2は、閉経に伴って記憶力が低下する。 生理が12カ月連続で来なかった女性は閉経したことになる。この自然な現象が睡眠や体調に及ぼす影響は、広く認知されるようになってきた。でも、閉経に伴う「認知機能の低下」が女性に及ぼす影響を知る人は未だに少ない。 閉経に伴う認知機能(思考力、推論力、記憶力)の低下は、ほとんどの場合わずかなもので、場合によっては一時的。でも、それで仕事に悪い影響が出たり、認知症が心配になったりする人がいるのは否めない。今回は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから更年期の女性に起こる「ブレインフォグ」について見ていこう』、「女性の約3分の2は、閉経に伴って記憶力が低下する」、こんなに割合が高いとは初めて知った。「ブレインフォグ」とは何なのだろう。
・『閉経と更年期  閉経は、生殖可能期間の終わりを告げる現象で、平均49歳で卵胞が枯渇したときに自然と起こる。 また、卵巣がんのリスクを下げる目的などで、卵巣を2つとも取り除く手術を受けた場合にも閉経が訪れる。 生殖可能期間から閉経後までの4~10年は、俗にいう閉経周辺期または更年期。 更年期の症状には、ホットフラッシュや寝汗といった血管運動症状、膣の乾燥、不眠、うつ、不安、ブレインフォグなどがある。こういった症状とは10年近いつき合いになることも』、「生殖可能期間から閉経後までの4~10年は、俗にいう閉経周辺期または更年期。 更年期の症状には、ホットフラッシュや寝汗といった血管運動症状、膣の乾燥、不眠、うつ、不安、ブレインフォグなどがある。こういった症状とは10年近いつき合いになることも」、「10年近いつき合い」とはずいぶん長いようだ。
・『ブレインフォグとは  更年期の女性の6割強は、認知機能の低下を訴える。 人の名前を覚えたり、会話のなかで適切な言葉を見つけたりするのが難しくなったという人もいれば、集中力や決断力が衰えたという人もいる。最近の論文レビューによると、この本人だけが認知機能の低下を自覚している状態を指す“主観的認知機能障害”は、記憶力、回想力、情報処理力のテスト結果に表れるそう。 更年期の女性は、言語記憶(新しい言葉を覚えたり暗記したりする能力)、発話流ちょう性(記憶から素早く言葉を取り出す能力)、注意力のテストで苦労しがち』、「ブレインフォグとは  更年期の女性の6割強は、認知機能の低下を訴える。 人の名前を覚えたり、会話のなかで適切な言葉を見つけたりするのが難しくなったという人もいれば、集中力や決断力が衰えたという人もいる」、「本人だけが認知機能の低下を自覚している状態を指す“主観的認知機能障害”は、記憶力、回想力、情報処理力のテスト結果に表れるそう」、なるほど。
・『更年期と仕事  認知機能の低下といってもわずかなもので、職場におけるパフォーマンスも通常は正常な範囲に収まるけれど、子育てが落ち着いて、経験的にも年齢的にも「これから」というタイミングで更年期の症状が出てしまい、出鼻をくじかれる女性は多い。 更年期の症状が仕事に及ぼす影響に注目する研究者は増えており、いくつかのエビデンスは、更年期の症状で職場における生産性と満足度が低下する可能性を示している。 その要因の1つとして挙げられるのが集中力と記憶力の低下。更年期の女性を職場にとどめておくのは、彼女たち自身のためにも、現代の職場における多様性を広げるためにも重要なこと』、「更年期の症状で職場における生産性と満足度が低下する可能性を示している。 その要因の1つとして挙げられるのが集中力と記憶力の低下。更年期の女性を職場にとどめておくのは、彼女たち自身のためにも、現代の職場における多様性を広げるためにも重要なこと」、なるほど。
・『ブレインフォグが起こる仕組み  “ブレインフォグ”は医学用語でも心理学用語でもないけれど、更年期の“思考にモヤがかかった状態”を適切に表現する一般用語。 更年期で認知機能が低下するのは、単に歳をとったからじゃない。閉経に伴って卵巣ホルモンの分泌量が減り、最終的に失われることが主な要因。 卵巣から分泌されるエストラジオール(エストロゲンの一種)とプロゲステロンは強力な脳内化学物質で、脳を守り、思考力と記憶力を高めるとされている。ゆえにエストラジオールの減少と喪失は、認知機能の低下につながるといわれている。 ほかの更年期の症状が一切なくても、認知機能の低下が見られることはある。よって、認知機能の低下は、ほかの更年期の症状が引き起こすものじゃない。とはいえ、更年期のうつ、不安、不眠、血管運動症状が認知機能の低下を促す可能性は否定できない』、「更年期で認知機能が低下するのは・・・閉経に伴って卵巣ホルモンの分泌量が減り、最終的に失われることが主な要因。 卵巣から分泌されるエストラジオール・・・とプロゲステロンは強力な脳内化学物質で、脳を守り、思考力と記憶力を高めるとされている。ゆえにエストラジオールの減少と喪失は、認知機能の低下につながるといわれている」、「更年期のうつ、不安、不眠、血管運動症状が認知機能の低下を促す可能性は否定できない」、なるほど。
・『ブレインフォグとアルツハイマー病  アルツハイマー病は認知症のもっとも一般的な形態で、残念ながら、女性であること自体がリスクファクター。これは女性の寿命が男性より長いからじゃない。 原因は、閉経に伴うエストラジオールの喪失。これまでの研究により、手術による45歳以前の早期閉経は、認知症のリスクを高め、認知機能の低下を加速させることが分かっているそう。 更年期とアルツハイマー病の初期ではもの忘れや発話流ちょう性の低下といった似たような症状が現れるため、更年期の女性の多くは認知症を懸念する。 でも、65歳以前で始まる若年性認知症は家族歴がある場合を除き、非常に稀。更年期でもの忘れをはじめとする認知機能の低下が見られるのは、よくあることだし、いたって普通』、「アルツハイマー病は認知症のもっとも一般的な形態で、残念ながら、女性であること自体がリスクファクター。これは女性の寿命が男性より長いからじゃない。 原因は、閉経に伴うエストラジオールの喪失。これまでの研究により、手術による45歳以前の早期閉経は、認知症のリスクを高め、認知機能の低下を加速させることが分かっているそう」、初めて知った。
・『ブレインフォグを防ぐには  認知機能の低下にはエストロゲンの減少が関わっているけれど、ホルモン補充療法で認知機能が向上するとは限らない(エビデンスが限られている)。 もっと研究が進まないと、生活習慣を変えることでブレインフォグが改善するともいい切れない。ただ、エクササイズが中年期の認知機能を向上させることは分かっているし、マインドフルネスと瞑想が役立つ可能性はある。 オーストラリアのモナシュ大学は、更年期の認知症状に対する理解を深める目的で、45~60歳の女性を対象としたオンラインアンケートを行っている(2022年1月時点)。 違法薬物の使用、処方薬の乱用、喫煙、過剰な飲酒をしないのも効果的な予防策。また、地中海式ダイエットなどの非加工の植物性食品が中心の食生活、社会との密接なつながりや関わり、高い水準の教育は、認知機能の保護に役立つとされている。 ※この記事は当初、『The Conversation』に掲載されました』、「もっと研究が進まないと、生活習慣を変えることでブレインフォグが改善するともいい切れない。ただ、エクササイズが中年期の認知機能を向上させることは分かっているし、マインドフルネスと瞑想が役立つ可能性はある」、もっと研究が進んでほしいものだ。

第三に、5月17日付け東洋経済オンラインが掲載したジャーナリストの山田 稔氏による「増える70歳以上のシニア破産、身近な転落の経路 現役時は乗り切っても、人生の終盤に落とし穴」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/671499
・『日本の総人口は50年後に8700万人と現在の7割に減少し、65歳以上の人口が4割になるーー。 4月に発表された国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の将来推計人口は、あらためて我々に衝撃を与えた。 社人研から2018年に発表された「日本の世帯数の将来推計」では、今から7年後の2030年に単独世帯が2025万と全体の約4割を占め、75歳以上の単独世帯は500万を突破するとも予測されていた。その推移は以下のグラフの通りだ。 (※外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください) 人口の減少に伴い、総世帯数は減少していくが、65歳以上の単独シニア世帯は増え続けていく。2040年には65歳以上の単独シニア世帯が全体の約18%に、65歳以上世帯に占める割合は4割に達する。 老人ホームなどの施設に入っていない一人暮らしの「独居率」(対象世代人口に対する割合)は、65歳以上では2030年に男性18.2%、女性23.9%、2040年に男性20.8%、女性24.5%へ。こうして「高齢者ソロ社会」に突入していくことになる。) 高齢者単身世帯の増加で懸念されるのが、シニア破産の急増だ。総務省の家計調査(2022年)によると、65歳以上の高齢者単身世帯の実収入は月額13万4915円。税金、社会保険料が1万2356円なので、可処分所得は12万2559円となっている。一方、消費支出は14万3139円だから、不足額は2万580円。年間では約24万7000円の赤字となる。 収入では社会保障給付(年金など)が12万円余りで9割を占め、事業・内職収入が1707円、仕送り金769円という状況だ。支出でもっとも多いのは食費の3万7485円で全体の4分の1。次いで多いのが意外なことに交際費で1万7893円で12.5%、光熱・水道、交通・通信、教養娯楽がそれぞれ1万4000円程度となっている。 1日あたり約1200円の食費でまかない、普段は読書や音楽を楽しみ、月に何度かは友人らとの付き合いに興じる。そんなつつましい暮らしぶりが目に浮かぶようだ。 もっとも、このデータはあくまで平均値である。たとえば住居費が1万2746円となっているが、都会の賃貸住宅に暮らしている場合はその3~4倍はかかる。それだけ毎月の赤字額が増えている可能性がある。いずれにしても、家計データからは資産を取り崩していかなければ暮らしていけないことが数字からもうかがえる』、「不足額は2万580円。年間では約24万7000円の赤字となる」、「家計データからは資産を取り崩していかなければ暮らしていけないことが数字からもうかがえる」、なるほど。
・『60代以上のシニア破産が全体の4分の1を占める  当然ながら生活が破綻するケースも増えている。日本弁護士連合会(日弁連)の「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査」では、60歳代以上の「シニア破産」は全体の4分の1を占めている。このうち60歳代の破産は16.37%。2002年の14.23%から約2%増えただけだが、深刻なのは70歳代以上だ。2.73%から9.35%へと大幅に増加している。 破産に至った負債の原因(全世代)は、「生活苦・低所得」が25.68%、「病気・医療費」9.70%、「負債の返済(保証以外)」8.53%、「失業・転職」7.32%、「事業資金」6.71%、「生活用品の購入」6.14%など。このほかに「浪費・遊興費」4.73%、「ギャンブル」2.99%と、破産者自身の行動に起因する例もみられる。これらのうち、事業資金以外は引退した高齢者にとっても切実な問題であることは間違いない。) サラリーマン生活を過ごしてきたシニアには、定年時に退職金という資産が手に入る。厚労省の調査では大卒のモデル退職金額は2563万9000円(令和2年度・調査対象=資本金5億円以上の大企業92社)となっている。従業員300人未満の中小企業は東京都調査で1091万8000円(令和3年・調査対象276社)だった。 注意すべきは、定年退職後にスタートする年金生活において、退職金が満額残せるとは限らないことだ。筆者の知人のファイナンシャルプランナーがこう指摘する。 「退職時までに住宅ローンを完済している人がどれだけいるでしょうか。ある大手建設企業の管理職だった方は、3000万円の退職金のうち1200万円は住宅ローンの繰り上げ返済に充て、実質1800万円で年金生活に入りました。この方は大企業で退職金額も恵まれていたからまだいいのですが、中小企業勤務の方が1000万円を住宅ローンの完済に充てれば、残りはほとんどなくなってしまうこともあります。40代以降になって億ションのような高額物件を35年ローンで購入した人たちは、定年時にもローンがかなり残っている点に留意するべきです」』、「「退職時までに住宅ローンを完済している人がどれだけいるでしょうか。ある大手建設企業の管理職だった方は、3000万円の退職金のうち1200万円は住宅ローンの繰り上げ返済に充て、実質1800万円で年金生活に入りました。この方は大企業で退職金額も恵まれていたからまだいいのですが、中小企業勤務の方が1000万円を住宅ローンの完済に充てれば、残りはほとんどなくなってしまうこともあります」、「40代以降になって億ションのような高額物件を35年ローンで購入した人たちは、定年時にもローンがかなり残っている点に留意するべきです」、その通りだ。
・『現役時の感覚で暮らし続けると…  また、年金生活に突入したにもかかわらず、生活水準を落とせないパターンもよくあるという。週末のゴルフや友人との会食など、現役時代は会社の経費でまかなえたものもあっただろうが、組織を離れればそうはいかない。すべて自腹である。時間ができたからと毎週のようにゴルフや付き合いをしていれば、毎月の「不足額」はどんどん膨らんでいく。毎月の赤字が10万円とすれば年間120万円、10年間では1200万円にもなる。10年後に退職金はどれだけ残っているだろうか。 定年を迎える段階で住宅ローン以外の借金を抱え込んでいるケースも少なからずある。 「子どもの教育費やふだんの贅沢な生活のため銀行カードローンなどに手を出していた人、高齢の親の介護が長期化し、家計の資金繰りが苦しく多重債務に陥っていて退職金はその返済に充てざるを得なかった人などがいます。その結果、退職後に住宅ローンが残ってしまったケースがあります。 また、退職金対象者にはさまざまな誘惑が待ち構えています。マンション投資や株、投資信託、高級車、海外クルーズツアーなどです。これらに資金を回して、結局は大きく目減りさせてしまう人も少なくありません」(前出のファイナンシャルプランナー)) また、定年を機に熟年離婚した人、年金生活の中で伴侶を亡くした人などは、それまでの暮らしから生活環境や経済状況が激変してしまう。精神的にもダメージを受けやすい。先の家計調査データでは、単身シニアの生活は年間約25万円の赤字だから、20年でも500万円。1000万円以上の退職金があれば十分暮らしていけるだろうと思いがちだが、データはあくまで平均値。平均から外れるケースもある。 施設にいる老親の介護問題、自身の健康問題、住居の修繕費用、自動車の維持費、長引く物価高など経済的な悩みは尽きない。いつ本人が介護を受ける側になるか分からない。一人暮らしの人が介護を必要とする場合、「主たる介護者」の約半数が事業者というデータもある。医療費に自身の介護費用も加われば生活は一気に暗転するかもしれない。 孤独な単身シニアを狙ったロマンス詐欺やオレオレ詐欺などの被害者となるケース、あるいは孤独感からギャンブル依存に陥ったり、万引きに手を出したりするケースも報告されている。破産にまで至らなくても落とし穴にはまる危険性が常につきまとうということだ』、「年金生活に突入した」以上、「生活水準を落とすべきだ」、「退職金対象者にはさまざまな誘惑が待ち構えています。マンション投資や株、投資信託、高級車、海外クルーズツアーなどです」、「破産にまで至らなくても落とし穴にはまる危険性が常につきまとう」、ことを踏まえて冷静に判断すべきだ。
・『孤独な単身生活を避けるには  ここまで悲観的なシナリオに言及してきたが、単身生活をエンジョイしているシニアがいることも事実だ。都内に住んでいた70代前半の男性は妻を亡くした後、住んでいたマンションを売却して千葉に移り住み、ゴルフや釣り、趣味で始めた菜園の作業に興じている。 75歳の女性は夫と死別後、地域のボランティア活動に週1回参加しているほか、着付け技能士の資格を活かして結婚式や成人式などで活躍。それなりの収入も得ている。このほかにも、65歳を過ぎてから人と触れ合う仕事をしたいからとコンビニで働き始めたというケースなど、単身ライフをポジティブに過ごしている人も少なくない。短時間のパートや得意分野を活かしたアルバイトで月に5万円、10万円の収入と他人との触れ合いがあれば、生活環境はずいぶんと変わってくる。 労働力調査(総務省=2022年平均)によると、65歳以上の就業者数は19年連続で増加し、912万人もいる。このうち70歳以上が527万人となっている。この20年間で65歳以上は1.9倍に、70歳以上は2.3倍と激増している。働かざるを得ないと言えばそれまでだが、人手不足の業種を中心にシニアが働くことができる環境があることは紛れもない事実。シニア生活のスタート地点に立つ段階で、大きな負債や健康不安を抱えていない限り、ポジティブな生き方に向けた選択肢は確実に広がっている。 人口減、高齢化が急速に進んでいくなか、ソロ高齢者は確実に増加していく。その時にどんな生き方をするのか。悲観的になるだけでなく、柔軟な発想でとらえ、備えていきたいテーマである』、私の場合は、まだ女房も元気なので、「ソロ」生活はまだだが、今後の様々な環境変化にそなえたシミュレーションはしておきたい。
タグ:「想定外のこと、先の読めないことに対処するのは前頭葉です。つまり、答えがいくつも考えられるような問題を考えるためには前頭葉が元気でなければなりません」、なるほど。 「前頭葉は脳のほかの部位に比べて、老化が始まるのが早いといわれています。一般的には40代から、早い人では30代から前頭葉の萎縮が始まります。 老化で前頭葉が萎縮すると、脳を使うことがおっくうになります」、 「70歳を過ぎてからは、むしろ自由にやりたいことをやるべき、とくに恋愛がお勧めだと語ります」、「「ときめく心」がなぜ必要なのか」、なにやら嬉しくなる話だ。 和田 秀樹 氏による「精神科医が70歳からの「シニア恋愛」を勧めるワケ アウトプットできる人は「前頭葉」が元気な人」 東洋経済オンライン 高齢化社会(その22)(精神科医が70歳からの「シニア恋愛」を勧めるワケ アウトプットできる人は「前頭葉」が元気な人、更年期に起こりやすい「ブレインフォグ」って一体なに?症状と対処法、増える70歳以上のシニア破産 身近な転落の経路 現役時は乗り切っても 人生の終盤に落とし穴) 「必然的に夫婦ふたりで楽しむ機会も減り、一緒に暮らす意味も薄れてくるでしょう。 もし、夫婦のあいだでまともな会話がなくなって久しいというのであれば、熟年離婚の決断をするのも悪いことではありません。だらだらと惰性で結婚生活を続けているだけという状態は、前頭葉にも多大なストレスをかけて老化を早めます。マンネリに慣れるよりも、いっそ婚姻関係の解消を検討してみるというのは、けっして悪いことではないと思います。 「男女の身体的な差について、ひとつ知っておくべきことがあります。 男性は、加齢によって男性ホルモンの分泌が減ります。男性ホルモンが減ると、どんどん意欲を失っていきます。一方、女性は閉経後、男性ホルモンが増えるので、以前より元気で活動的になる人が多いのです。すると、必然的に夫婦ふたりで楽しむ機会も減り、一緒に暮らす意味も薄れてくるでしょう」、 味気ないルーティンと化した結婚生活は前頭葉の敵ですが、シニアの恋愛は前頭葉を元気にします。恋愛は、展開の読めない出来事の連続です。相手を観察して好みや気分を推し量ったり、身だしなみに気を配ったり、食事に誘うための店を検索したり、ケンカのあとに謝るきっかけを探したり。正解がひとつではない問題ばかりです」、その通りだ。 「私が提唱している「70歳からの勉強」は、楽しい生き方を探すための大切なスキルです。人生後半を楽しめるような生き方を模索するための勉強です。それまでの勉強の目的が「頭がよくなること=知識を蓄えること」だったのが、70歳からは楽しさを探す、つまり、よりよい人生を楽しむための勉強になるのだと私は思っています」、 「私が提唱している「70歳からの勉強」は、楽しい生き方を探すための大切なスキルです。人生後半を楽しめるような生き方を模索するための勉強です・・・70歳からは楽しさを探す、つまり、よりよい人生を楽しむための勉強になるのだ」、「よりよい人生を楽しむための勉強になる」、というのは結構なことだ。 確かに「若宮正子さん」は素晴らしいが、あくまで例外と考えるべきではなかろうか。 Women’sHealth「更年期に起こりやすい「ブレインフォグ」って一体なに?症状と対処法」 「生殖可能期間から閉経後までの4~10年は、俗にいう閉経周辺期または更年期。 更年期の症状には、ホットフラッシュや寝汗といった血管運動症状、膣の乾燥、不眠、うつ、不安、ブレインフォグなどがある。こういった症状とは10年近いつき合いになることも」、「10年近いつき合い」とはずいぶん長いようだ。 「ブレインフォグとは  更年期の女性の6割強は、認知機能の低下を訴える。 人の名前を覚えたり、会話のなかで適切な言葉を見つけたりするのが難しくなったという人もいれば、集中力や決断力が衰えたという人もいる」、「本人だけが認知機能の低下を自覚している状態を指す“主観的認知機能障害”は、記憶力、回想力、情報処理力のテスト結果に表れるそう」、なるほど。 「更年期の症状で職場における生産性と満足度が低下する可能性を示している。 その要因の1つとして挙げられるのが集中力と記憶力の低下。更年期の女性を職場にとどめておくのは、彼女たち自身のためにも、現代の職場における多様性を広げるためにも重要なこと」、なるほど。 「更年期で認知機能が低下するのは・・・閉経に伴って卵巣ホルモンの分泌量が減り、最終的に失われることが主な要因。 卵巣から分泌されるエストラジオール・・・とプロゲステロンは強力な脳内化学物質で、脳を守り、思考力と記憶力を高めるとされている。ゆえにエストラジオールの減少と喪失は、認知機能の低下につながるといわれている」、「更年期のうつ、不安、不眠、血管運動症状が認知機能の低下を促す可能性は否定できない」、なるほど。 「アルツハイマー病は認知症のもっとも一般的な形態で、残念ながら、女性であること自体がリスクファクター。これは女性の寿命が男性より長いからじゃない。 原因は、閉経に伴うエストラジオールの喪失。これまでの研究により、手術による45歳以前の早期閉経は、認知症のリスクを高め、認知機能の低下を加速させることが分かっているそう」、初めて知った。 「もっと研究が進まないと、生活習慣を変えることでブレインフォグが改善するともいい切れない。ただ、エクササイズが中年期の認知機能を向上させることは分かっているし、マインドフルネスと瞑想が役立つ可能性はある」、もっと研究が進んでほしいものだ。 山田 稔氏による「増える70歳以上のシニア破産、身近な転落の経路 現役時は乗り切っても、人生の終盤に落とし穴」 「不足額は2万580円。年間では約24万7000円の赤字となる」、「家計データからは資産を取り崩していかなければ暮らしていけないことが数字からもうかがえる」、なるほど。 「「退職時までに住宅ローンを完済している人がどれだけいるでしょうか。ある大手建設企業の管理職だった方は、3000万円の退職金のうち1200万円は住宅ローンの繰り上げ返済に充て、実質1800万円で年金生活に入りました。この方は大企業で退職金額も恵まれていたからまだいいのですが、中小企業勤務の方が1000万円を住宅ローンの完済に充てれば、残りはほとんどなくなってしまうこともあります」、 「40代以降になって億ションのような高額物件を35年ローンで購入した人たちは、定年時にもローンがかなり残っている点に留意するべきです」、その通りだ。 「年金生活に突入した」以上、「生活水準を落とすべきだ」、「退職金対象者にはさまざまな誘惑が待ち構えています。マンション投資や株、投資信託、高級車、海外クルーズツアーなどです」、「破産にまで至らなくても落とし穴にはまる危険性が常につきまとう」、ことを踏まえて冷静に判断すべきだ。 、私の場合は、まだ女房も元気なので、「ソロ」生活はまだだが、今後の様々な環境変化にそなえたシミュレーションはしておきたい。
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百貨店業界(その5)(西武HDがホテルなどを大量売却、「身軽な経営」シフトで本当に生き残れるか、西武池袋「ヨドバシ」出店 元社長が語る“三つのハードル”「ありえないと思う」、そごう・西武売却延期「史上最低ディール」の裏側 契約実行の無期限延期に「仕切り直すべき」の声) [産業動向]

百貨店業界については、2021年9月9日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その5)(西武HDがホテルなどを大量売却、「身軽な経営」シフトで本当に生き残れるか、西武池袋「ヨドバシ」出店 元社長が語る“三つのハードル”「ありえないと思う」、そごう・西武売却延期「史上最低ディール」の裏側 契約実行の無期限延期に「仕切り直すべき」の声)である。

先ずは、昨年2月15日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏による「西武HDがホテルなどを大量売却、「身軽な経営」シフトで本当に生き残れるか」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/296175
・『西武ホールディングス(HD)は、ホテルやゴルフ場、スキー場など31施設をシンガポールの政府系ファンドであるGICに売却する。売却額は約1500億円、売却益は約800億円となる見通し。資産売却によって身軽になる=「アセットライト」経営へ方針転換を図り、ウィズコロナ時代に生き残りをかける』、興味深そうだ。
・『ホテルやゴルフ場、スキー場など31施設を海外ファンドに売却  西武ホールディングス(HD)は、ホテルなど31施設をシンガポールの政府系ファンドであるGICに売却する。今回の決定の背景には、新型コロナウイルス感染再拡大など経営環境が激変する中で、生き残るために資産売却に踏み切らざるを得ない危機感がある。 西武HDは、資産売却後もホテルなど施設の運営は続ける。そうした動きを見ると、同社が資産売却によって身軽になる=「アセットライト」経営へと方針転換を図っているといえる。 資産の売却は、基本的に財務内容の改善や収益性の向上にプラスに働く。同社がホテルなどの運営に集中することによって、事業運営の効率性向上が期待できる。 国内外でコロナ変異株・オミクロン株の影響が深刻化し、人流や物流が寸断あるいは不安定な状況が続いている。そうした状況下、「ウィズコロナ」の経済運営に取り組む国や企業が増えている。西武HDがウィズコロナ時代において、どのように効率的なアセットライト経営を実現し、新しいビジネスモデルを作り出すことができるか注目される』、「西武HDは、資産売却後もホテルなど施設の運営は続ける。そうした動きを見ると、同社が資産売却によって身軽になる=「アセットライト」経営へと方針転換を図っているといえる」、「資産の売却は、基本的に財務内容の改善や収益性の向上にプラスに働く。同社がホテルなどの運営に集中することによって、事業運営の効率性向上が期待できる」、結構なことだ。
・『ウィズコロナ時代に生き残りを目指す西武 交通や飲食、宿泊は以前と同様には戻らない  当面、世界経済はウィズコロナを余儀なくされる。どこかの時点では感染を克服するだろうが、いつまた違う変異株が出現するかわからないため、先行きは見通しづらい。 不確定要素が増大する環境下で企業が生き残るためには、身軽になって損益分岐点を引き下げ、収益を獲得しやすい体制整備が不可欠だ。西武HDがアセットライト経営に大胆にかじを切った背景には、そうした危機感がある。 コロナ禍で人々の生き方は激変した。交通や飲食、宿泊などの業界では、コロナ禍以前と全く同じ様相には戻らないだろう。ただし、それは単純に需要が減退するだけでなく、新しい価値観を生み出してもいる。 例えば、ワーケーションやテレワークの一環としてホテルを利用する人が増えている。シェアオフィスを利用する手もあるが、落ち着いた環境で安心して仕事をするのに、相応のサービスが行き届いたホテルやレジャー施設の利用に意義を感じる人が多い。「ホテルは宿泊施設」という既成概念は、コロナ禍の発生によって崩れた。また、コロナ禍を境にアウトドアやキャンプの需要も急増している。  感染状況が落ち着けば、国内の観光需要は急速に回復する可能性が高い。飲食や宿泊、音楽イベントへの参加など、これまで我慢してきた需要(ペントアップ・ディマンド)が一気に表出する。その際にホテル・レジャー施設やイベントの運営者が、どれだけ鮮烈な参加体験を提供できるかが、中長期的な収益獲得に大きく影響する。 西武HDが環境変化に柔軟に応じて業績を回復させるには、そうした新しい価値観に沿った、消費者にとって鮮烈な体験の場を増やす必要がある。強化すべきは、体験の中身(コンテンツ)の創出だ。その分野に集中するために、同社はホテル・レジャー施設の所有と運営を一体的に行う従来戦略を改める。 グループ経営としては建設子会社を売却する一方、ホテル運営に特化した新会社、西武・プリンスホテルズワールドワイドを設立し、構造改革を加速させる』、「西武HDが環境変化に柔軟に応じて業績を回復させるには、そうした新しい価値観に沿った、消費者にとって鮮烈な体験の場を増やす必要がある。強化すべきは、体験の中身(コンテンツ)の創出だ。その分野に集中するために、同社はホテル・レジャー施設の所有と運営を一体的に行う従来戦略を改める」、「消費者にとって鮮烈な体験の場を増やす」、どんな「体験の場」が出てくるのだろう。
・『世界最大手ホテルチェーン 米マリオットもアセットライトを推進   2021年5月に西武HDが発表した中期経営計画では、アセットライトをテーマに経営改革を断行すると明記された。その後、所有するホテルなどの売却先を探し始め、2月10日に売却先と内容の詳細を発表した。 アセットライト経営とは、バランスシート上の資産(アセット)を圧縮して、財務面の負担を軽く(ライトに)する経営をいう。今回、西武HDは資産を投資ファンドに売却することで、事業運営の効率性向上が期待される。 具体的には、保有資産の減少はコスト削減につながる。また、得られた資金を成長期待の高い分野に再配分することによって、資本の収益率は高まる可能性がある。売却資金を負債返済に充てる場合、財務内容は改善するだろう。 事業運営の観点から考えると、新しいサービスの創出やホテルブランドの価値向上などに集中しやすくなる。その成果によって、投資ファンドなどホテルの所有者は利得を手にする。 もし、期待する利得が実現できなければ、オーナーは別の企業に運営を任せようとするだろう。アセットライト経営によって、所有を前提としたビジネスモデルは大きく変わる。 海外では、積極的にアセットライト経営を強化してきた企業がある。世界最大手のホテルチェーン、米マリオット・インターナショナルだ。同社はホテルの運営受託に特化し、低価格帯から高付加価値型まで多種多様なブランドを確立している。それは、より多くの需要を取り込むために欠かせない戦略だ。 米国では金利が上昇し金融政策の大転換が近づいているが、マリオット株は上昇基調だ。それは主要投資家が、ウィズコロナ時代でもマリオットが人々の価値観の変容に柔軟に対応し、安定的に収益を生み出せると考えているからに他ならない。 わが国ではモノを所有し、その利用権を独占することに意義を見いだす個人や企業が多い。しかし、そうした発想が、常に人々の満足度向上につながるとは限らない。ウィズコロナで事業運営の効率性を高めるために、アセットライト経営を目指す日本企業は増えるだろう』、「海外では、積極的にアセットライト経営を強化してきた企業がある。世界最大手のホテルチェーン、米マリオット・インターナショナルだ。同社はホテルの運営受託に特化し、低価格帯から高付加価値型まで多種多様なブランドを確立している。それは、より多くの需要を取り込むために欠かせない戦略だ。 米国では金利が上昇し金融政策の大転換が近づいているが、マリオット株は上昇基調だ」、「ウィズコロナで事業運営の効率性を高めるために、アセットライト経営を目指す日本企業は増えるだろう」、その通りだ。
・『施設の魅力を磨くだけでなく潜在的な顧客の目を向けさせることが必要  今後の注目点は、西武HDがいかに高付加価値型のサービスを創出できるかだ。20年に実施された国の支援策、Go Toトラベルキャンペーンの際、多くのシニアが自宅から近いエリアで旅行を楽しんだ。特に、首都圏からほど近い箱根や軽井沢などのリゾートが多くの人気を集めた。 どんなに困難な状況下でも、私たちは「日常と異なる空間を楽しみたい」という欲求がある。国の家計調査によると、60歳を超える世代の貯蓄額は、他の世代を大きく上回る。シニア層のレジャーへの支出余地は大きい。 ウィズコロナで、感染に留意しつつ自宅から1~2時間圏内で旅行を楽しむ「マイクロツーリズム」への潜在的な需要は増えるだろう。また、訪日外国人(インバウンド)需要は蒸発しているが、「コロナ禍が収束すれば日本を訪れたい」と考えている外国人は多い。そうした需要を取り込み、業績の回復と拡大につなげるためには、客単価の高い富裕層向けビジネスの強化も必要だ。 西武HDは、国内外の需要を取り込む、新しい動線の確立に取り組むべきだ。そのためには施設の魅力を磨くだけでなく、潜在的な顧客の目を施設に向けさせることが必要だ。 例えば、施設周辺の自然環境の美しさをコンテンツで創出し、それを拡張現実(AR)や仮想現実(VR)などの先端技術を駆使して、より鮮烈な体験につながる形で潜在顧客に伝える。他には、プライベートジェット運営会社との連携を強化し、より快適な移動体験を提供するのはどうだろうか。 そうした取り組みが成果につながれば、新しいホテル運営会社がグループ外施設の運営を受託する展開もあるだろう。アセットライト経営の実践には、自社の経営資源に、社外の新しい発想を結合させる施策が必要だ。より効率的に付加価値を獲得することが、西武HDには求められている』、「西武HDは、国内外の需要を取り込む、新しい動線の確立に取り組むべきだ。そのためには施設の魅力を磨くだけでなく、潜在的な顧客の目を施設に向けさせることが必要だ。 例えば、施設周辺の自然環境の美しさをコンテンツで創出し、それを拡張現実(AR)や仮想現実(VR)などの先端技術を駆使して、より鮮烈な体験につながる形で潜在顧客に伝える。他には、プライベートジェット運営会社との連携を強化し、より快適な移動体験を提供するのはどうだろうか」、「アセットライト経営の実践には、自社の経営資源に、社外の新しい発想を結合させる施策が必要だ。より効率的に付加価値を獲得することが、西武HDには求められている」、その通りだ。

次に、3月9日付けAERAdot「西武池袋「ヨドバシ」出店 元社長が語る“三つのハードル”「ありえないと思う」」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/wa/2023030800031.html?page=1
・『セブン&アイ・ホールディングス(HD)が子会社の「そごう・西武」を米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに売却する。注目はフォートレスと連携する家電量販ヨドバシホールディングスの動向だ。西武池袋本店などへの出店が取りざたされるが、元西武百貨店社長の水野誠一さん(76)は「三つのハードルがある」と指摘する(Qは聞き手の質問、Aは水野氏の回答)。 Q:かつて売り上げ日本一を誇ったそごうと、消費文化をリードしたセゾングループの中核を担った西武百貨店は、ともに経営危機に陥り、統合して持ち株会社制に移行した。その持ち株会社(現そごう・西武)は2006年にセブン&アイHDの完全子会社となったが、低価格専門店やネット通販の台頭で閉店は止まらなかった。 21年度までの10年間で赤字は7度にのぼる。 A:私は西武百貨店にいた当時から「百貨店は中途半端な存在だ」と言っていました。マーケットが成熟し、合理性では量販店に、専門性では専門店に、利便性ではコンビニにかなわなくなっていた。これでは消費の高度化に対応できません。「百貨店には一通りの商品があるけど欲しいものがない。そんな業態になるぞ」って。 社長になる話があった時は社内に総投資額約3千億円の出店計画がありましたが、堤清二さん(元セゾングループ代表)に「全部やめたい。先を考えると店を減らして質の高さを目指すべきだと思う」と言って、すべての投資計画をやめたんです。 地域一番店以外の既存店は、ロフトのような専門大店に転換すべきだと考えていました。全国百貨店の総売り上げは当時約10兆円でしたが、「20~30年で半分になるだろう」と取材に答えたこともあります。実際、そうなりました。 前任社長時代の不祥事が発覚し、後処理を見届けた上で辞任しましたが、その後の西武は「普通の百貨店」に逆行してしまい、セブン&アイHDの傘下に入ってからも閉店が進みました。店の質的な変革はなく、売り場を取引先に任せ、ボリュームゾーンだった平場(既製服売り場のように一般的商品を集めた売り場)は利益を生まなくなっています。) 若い人も来てくれません。専門大店をもっと拡充すべきでした。 Q:フォートレスは「1日の乗降客数が約270万人と世界でも3番目の交通量を誇る池袋駅に隣接する池袋本店を含む店舗に、200億円以上の改装と設備投資を行う予定」と発表。ヨドバシHDは「百貨店と連携した新たな店舗」を出す方針だ。注目が集まるのは西武池袋本店(東京都豊島区)で、低層階や北側にヨドバシが入る案が浮上しているという。ただ、水野さんは三つのハードルを指摘する。 第一に雇用を守れるのかという問題があります。ヨドバシカメラに無理に転籍させるなら、辞めたいと言う人も出てくるでしょう。もう一つは土地の多くを所有する西武鉄道側の了承が得られるのかということ。 あと一つは売り場。ほぼ半分がヨドバシになるなら、いまのテナントには移動か退店をしてもらわないといけません。仮に地下1階から4階を渡すなら費用は安く見積もっても700億~800億円はかかるのではないでしょうか。最近改装したばかりの北側部分を渡す話もあるやに聞いていますが、こんな話をテナントに持ちかければ、そごう・西武との信頼関係に大きく影響します。 調整には時間がかかるし、訴訟にでもなれば、さらに長期化することになりかねません。この三つのハードルをどう越えるつもりなのか、全く見えてきません。 Q:調整は難航し、当初2月1日とされた売却時期は3月中に延期された。現役社員らは売却差し止めの仮処分を東京地裁に申し立てた。エルメスやルイ・ヴィトンといった高級ブランドがある百貨店と家電量販店の連携は難しいのか』、「フォートレスは「1日の乗降客数が約270万人と世界でも3番目の交通量を誇る池袋駅に隣接する池袋本店を含む店舗に、200億円以上の改装と設備投資を行う予定」と発表。ヨドバシHDは「百貨店と連携した新たな店舗」を出す方針だ。注目が集まるのは西武池袋本店(東京都豊島区)で、低層階や北側にヨドバシが入る案が浮上」、しかし、「水野さんは三つのハードルを指摘する。 第一に雇用を守れるのかという問題があります。ヨドバシカメラに無理に転籍させるなら、辞めたいと言う人も出てくるでしょう。もう一つは土地の多くを所有する西武鉄道側の了承が得られるのかということ。 あと一つは売り場。ほぼ半分がヨドバシになるなら、いまのテナントには移動か退店をしてもらわないといけません。仮に地下1階から4階を渡すなら費用は安く見積もっても700億~800億円はかかるのではないでしょうか。最近改装したばかりの北側部分を渡す話もあるやに聞いていますが、こんな話をテナントに持ちかければ、そごう・西武との信頼関係に大きく影響します。 調整には時間がかかるし、訴訟にでもなれば、さらに長期化することになりかねません。この三つのハードルをどう越えるつもりなのか、全く見えてきません。 Q:調整は難航し、当初2月1日とされた売却時期は3月中に延期された。現役社員らは売却差し止めの仮処分を東京地裁に申し立てた。エルメスやルイ・ヴィトンといった高級ブランドがある百貨店と家電量販店の連携は難しいのか」、「ほぼ半分がヨドバシになるなら、いまのテナントには移動か退店をしてもらわないといけません。仮に地下1階から4階を渡すなら費用は安く見積もっても700億~800億円はかかるのではないでしょうか」。「調整は難航し、当初2月1日とされた売却時期は3月中に延期された」、確かに「エルメスやルイ・ヴィトンといった高級ブランドがある百貨店と家電量販店の連携は難しい」、ようだ。
・『百貨店の役割を理解しているか  A:私はヨドバシカメラを否定しているわけではありません。大阪の梅田では複合商業施設を運営していますし、必需品を中心にネット販売も大いに結構だと思います。配送態勢がしっかりしていて便利ですから私も時々利用しています。 ただ、百貨店の役割と意味をどれほど理解しているのでしょうか。百貨店はお客様にじっくりと商品を試していただき、店員と商品にまつわる会話を楽しんでいただき、豊かな気分でお買い上げいただく。そうしたプロセスを楽しんでいただく場所です。物質的な充足を得る文明的消費ではなく、心の豊かさにつながる文化的消費を提供するのが役割で、売り方なども含めたクオリティーが問われます。つまり存在意義が異なるのです。) エルメスやルイ・ヴィトンといった高級ブランドは西武が他に先駆けて日本に導入したものですが、(西武池袋本店の)現在の最適な場所から、ヨドバシの都合で移動しろということになれば、かなりの軋轢(あつれき)が生じることになるでしょう。ヨドバシの名前がついている店舗にブランド品を買いに来るのかという問題もあります。 ヨドバシカメラと百貨店の混在は、私はありえないと思います。 Q:昨年12月には豊島区の高野之夫区長(今年2月に死去)が西武池袋本店の存続を西武鉄道の親会社の西武ホールディングスに嘆願した。池袋の文化戦略の中心が西武だとして、ヨドバシの参入により文化のまちの土壌が喪失してしまうと訴えたが……。 A:高野さんは池袋を文化都市にする強い思いを持っておられました。美術館をいち早くつくり、書籍や音楽の専門店も立ち上げた西武に対し、文化の担い手としての期待感があったと思います。しかし最近の西武は、そのあたりがおろそかになっていました。街に人を呼ぶには演劇や映画、食事、買い物など総合的なアートやアミューズメントが必要ですし、百貨店も画廊や展覧会、催事などにもっと注力しなければいけません』、「エルメスやルイ・ヴィトンといった高級ブランドは西武が他に先駆けて日本に導入した」、かつての「西武」は先進的だったようだ。「文化の担い手としての期待感があったと思います。しかし最近の西武は、そのあたりがおろそかになっていました」、なるほど。
・『「初めて」のもの強く求められる  百貨店は入居するブランドのおかげで一定の客が動員できるので、自ら文化的魅力を作り上げる力が退化しています。その結果どの百貨店も差異がなくなってしまっています。その代わりブランド側が文化的発信をしています。 いまルイ・ヴィトンではアーティストの草間彌生さんとのコラボが人気です。伝統にあぐらをかくのではなく、新しい文化を先取りして進化し続けているわけです。 Q:かつての西武百貨店はどんな店だったのだろうか。水野さんは高校生時代に、流行し始めていたアイビールックのブランドを扱う西武百貨店に興味を持ち、通い始めたという。 A:大阪で産声を上げた「VAN」が、東京では池袋の西武など数カ所にしかなかったんです。西武は情報に敏感だと感じ、始終入り浸っていた思い出があります。入社後は婦人服の売り場に配属されました。) 若手でもアイデアを出すと「面白いからやってみろよ」と言ってくれるような風土でした。堤さんからはモノではなくライフスタイルを売る生活総合産業を目指す意思が非常に伝わってきましたね。 かつての西武は「よそが売れているからウチも……」ということは絶対にやらず、絶えず他社がやっていないことに挑戦しました。歴史がないので老舗と同じことをやっては勝てない。冒険して新しいことを提案する必要があったのです。 お客様に「初めて」のものをどれだけ提供できるか。これはいまも変わらない百貨店の役割ですし、今後はむしろそれが強く求められる時代になっていくのではないでしょうか。 Q:では水野さんならどうするのか。 A:様々なサブカルチャーやライフスタイルを打ち出す専門店の集積に力を入れます。現代は「必要なモノ」はいくらでもネットで買える時代ですから、まさに「欲しくなるモノ」を見つけられなければ、専門店や百貨店までわざわざ来てくれない。 また、同じモノを売ればおのずから価格競争に陥ってしまいます。デフレが続いた日本で安いものが売れるのはわかりますが、他方では質の高い商品を求める人は確実にいます。明確な「ワケ」と「ナットク」があれば高くても買ってくれる顧客です。これは家電量販店とは完全に異なる風景です。 さらに世界に目を向けると、欧州ではSDGsの時代に即して、人や社会、環境に配慮したエシカル消費に特化した小型百貨店が出現しています。また中国の北京にある「SKP」という小ぶりな百貨店はハイブランドに特化し、店内に最新のアートロボットなどを展示するなどアミューズメント性のある店づくりを進め、年間2千億円以上売り上げています。 今回の売却話は、百貨店のあり方をゼロから考え直すラストチャンスだと思うのですが……』、「若手でもアイデアを出すと「面白いからやってみろよ」と言ってくれるような風土でした。堤さんからはモノではなくライフスタイルを売る生活総合産業を目指す意思が非常に伝わってきましたね。 かつての西武は「よそが売れているからウチも……」ということは絶対にやらず、絶えず他社がやっていないことに挑戦しました。歴史がないので老舗と同じことをやっては勝てない。冒険して新しいことを提案する必要があったのです」、かつての「西武」は堤の影響もあって、文化的な香りがあり、「絶えず他社がやっていないことに挑戦しました。歴史がないので老舗と同じことをやっては勝てない。冒険して新しいことを提案する必要があったのです」、なるほど。「デフレが続いた日本で安いものが売れるのはわかりますが、他方では質の高い商品を求める人は確実にいます。明確な「ワケ」と「ナットク」があれば高くても買ってくれる顧客です。これは家電量販店とは完全に異なる風景です」、やはり「ヨドバシカメラと百貨店の」相性は悪いようだ。

第三に、5月15日付け東洋経済オンライン「そごう・西武売却延期「史上最低ディール」の裏側 契約実行の無期限延期に「仕切り直すべき」の声」を紹介しよう。
・『業績は絶好調のセブン&アイ・ホールディングス。しかし物言う株主から揺さぶられて袋小路から抜け出せない。『週刊東洋経済』5月15日(月)発売号では「漂流するセブン&アイ」を特集。イトーヨーカ堂の改革やそごう・西武売却の舞台裏を徹底取材、なぜ構造改革を進められないのかその理由を探る。「抵抗するなら(そごう・西武の)社長をさっさと交代させるしかないんじゃないか!」 今年2月、セブン&アイ・ホールディングスの本社では、こんな怒鳴り声が響いた。 事情に詳しい関係者によれば、声の主はフォートレス・インベストメント・グループ日本法人の山下明男氏。セブン&アイから傘下の百貨店、そごう・西武の全株式を購入する契約を結んでいる米投資ファンドの日本代表だ。 山下氏は、「机をたたきながら、かなり怒っていた」(セブン&アイ関係者)というが、それも無理はない。セブン&アイが契約を一向に実行せず、期日の延期を繰り返しているからだ。 2022年2月、セブン&アイはコンビニエンスストア以外の事業からの撤退を求める米バリューアクト・キャピタル・マネジメントに応える形でそごう・西武の売却を決断。2度の入札を経て、11月11日にフォートレスに全株式を2000億円超で売却する契約を締結した』、「米投資ファンドの日本代表」が怒るのも当然だ。
・『契約が実行されないばかりかメドさえ立たず  ところがだ。期日の2月1日になっても契約が実行されないばかりか、メドさえ立たず、セブン&アイは「3月中」に実施すると期日を延期したのだ。 「延期になっている障害が何も解消していないのに、解決しますから大丈夫です』と繰り返していた。それで結局、契約を実行できないのだから山下さんも怒るよ」とセブン&アイ関係者はあきれる。 しかし、いよいよ3月に入って延ばした期日さえ守れそうにないことがわかると、さすがに井阪隆一社長ら幹部は慌てて、対処方法の検討を始める。そこで出たのが、①2月、3月と延期したから、さらに4月まで延期、②株主総会前の5月に延期、③期限を定めない無期限延期、の3案だった。) 最終的に井阪社長らは、繰り返し延期するのは印象が悪いとの理由から無期限を選択。3月30日になって、「譲渡が完了した際に速やかにお知らせいたします」という前代未聞のリリースを発表した』、「最終的に井阪社長らは、繰り返し延期するのは印象が悪いとの理由から無期限を選択・・・「譲渡が完了した際に速やかにお知らせいたします」という前代未聞のリリースを発表」、無責任な姿勢だ。
・『仕切り直すべしとの声も  投資ファンドの幹部たちが、「無期限延期なんて、聞いたことがない史上最低のディール」と口をそろえる今回の売却劇。話がまとまらないのは、フォートレスが家電量販大手のヨドバシホールディングスをビジネスパートナーに選んだことにある。 ヨドバシは多額の資金を拠出し、西武池袋本店や、そごう千葉店の一部などの不動産を取得する見込み。そこにヨドバシカメラを出店する意向だ。関係者によると、ヨドバシは西武池袋本店について、「当初、最も好立地の本館北エリア地下1階から地上6階への出店を主張していた。それが今では中央エリアや別館にも拡大し、全体の5割をよこせと言っている」。フォートレスの山下氏もセブン&アイに「四の五の言わずに半分、よこせばいいんですよ」と言い放ったという。) だが百貨店の顔である1階を含めた半分がヨドバシの店舗になるのは、そごう・西武としては受け入れがたい。ヨドバシと隣り合わせになる高級ブランドが逃げるのは必至で、客離れが加速し事業継続すら危ぶまれかねないからだ。 こじれているのはそれだけではない。フォートレスへの売却には、そごう・西武の労働組合、西武池袋本店の土地の一部を所有する地権者の西武ホールディングス(HD)、そして地元自治体である豊島区の3者の承諾を得ることが条件。だがセブン&アイは、いまだ得ていないのだ。 「契約に盛り込まれているなら即座に話し合いの場を持ち、時間をかけて説得に当たるべきなのに、井阪社長は西武HDの後藤高志会長の元に、あいさつに行っていなかった。最近になってようやく後藤会長と面談したようだが、あまりに遅すぎる」(そごう・西武関係者)との声が上がる。 そもそも西武HDは、ヨドバシの進出に否定的だった前豊島区長が進めてきた「文化を基軸としたまちづくり」を支持しており、西武池袋本店の低層階へのヨドバシ入居に難色を示している。 そうした経緯があるにもかかわらず「何の説明もなかった」と、西武HD側は不満を募らせていた。それゆえ「こじれた関係をほぐすハードルは高い」(西武HD関係者)との見方がもっぱらだ』、「フォートレスへの売却には、そごう・西武の労働組合、西武池袋本店の土地の一部を所有する地権者の西武ホールディングス(HD)、そして地元自治体である豊島区の3者の承諾を得ることが条件。だがセブン&アイは、いまだ得ていないのだ」、「井阪社長は西武HDの後藤高志会長の元に、あいさつに行っていなかった。最近になってようやく後藤会長と面談したようだが、あまりに遅すぎる」・・・との声が上がる。 そもそも西武HDは、ヨドバシの進出に否定的だった前豊島区長が進めてきた「文化を基軸としたまちづくり」を支持しており、西武池袋本店の低層階へのヨドバシ入居に難色を示している。 そうした経緯があるにもかかわらず「何の説明もなかった」と、西武HD側は不満を募らせていた。それゆえ「こじれた関係をほぐすハードルは高い」、放置してきた「井阪社長」の責任は重大だ。
・『組合側も態度を硬化  組合側も態度を硬化させている。「インサイダー情報に当たる」としてセブン&アイが説明してこなかったためだ。つまり、「バリューアクトにいい顔をしたくてディールの成立を急ぐがあまり、事前にやっておくべき対応をおろそかにした結果」(投資ファンド幹部)なのだ。 さらにここにきて混迷に拍車をかける出来事が起きている。売却話が出てから1年が経過した今年2月、セブン&アイの株主が取締役を相手取り、売却の差し止めを求める仮処分を申し立てたのだ。東京地裁は却下したものの株主はこれを不服とし、東京高裁に即時抗告。近々、取締役を相手取り、株主代表訴訟にも打って出る構えだ。 「ここまできたら一度、ディールを取りやめ、仕切り直すべきではないか」と市場関係者は口をそろえる。だが、そうなればフォートレスはヨドバシに多額の違約金を支払わなくてはならなくなり、認めるはずがない。そごう・西武の売却は袋小路から抜け出せそうにない』、「セブン&アイが説明してこなかったためだ。つまり、「バリューアクトにいい顔をしたくてディールの成立を急ぐがあまり、事前にやっておくべき対応をおろそかにした結果」・・・なのだ」、「セブン&アイが説明してこなかったため」、問題をこじらせた責任は極めて重い。「井坂」氏が「バリューアクトにいい顔をしたくてディールの成立を急ぐがあまり、事前にやっておくべき対応をおろそかにした」とは、信じられないような不手際だ。本当にどうするつもりなのだろう。 
タグ:ダイヤモンド・オンライン 百貨店業界 (その5)(西武HDがホテルなどを大量売却、「身軽な経営」シフトで本当に生き残れるか、西武池袋「ヨドバシ」出店 元社長が語る“三つのハードル”「ありえないと思う」、そごう・西武売却延期「史上最低ディール」の裏側 契約実行の無期限延期に「仕切り直すべき」の声) 真壁昭夫氏による「西武HDがホテルなどを大量売却、「身軽な経営」シフトで本当に生き残れるか」 「西武HDは、資産売却後もホテルなど施設の運営は続ける。そうした動きを見ると、同社が資産売却によって身軽になる=「アセットライト」経営へと方針転換を図っているといえる」、「資産の売却は、基本的に財務内容の改善や収益性の向上にプラスに働く。同社がホテルなどの運営に集中することによって、事業運営の効率性向上が期待できる」、結構なことだ。 「西武HDが環境変化に柔軟に応じて業績を回復させるには、そうした新しい価値観に沿った、消費者にとって鮮烈な体験の場を増やす必要がある。強化すべきは、体験の中身(コンテンツ)の創出だ。その分野に集中するために、同社はホテル・レジャー施設の所有と運営を一体的に行う従来戦略を改める」、「消費者にとって鮮烈な体験の場を増やす」、どんな「体験の場」が出てくるのだろう。 「海外では、積極的にアセットライト経営を強化してきた企業がある。世界最大手のホテルチェーン、米マリオット・インターナショナルだ。同社はホテルの運営受託に特化し、低価格帯から高付加価値型まで多種多様なブランドを確立している。それは、より多くの需要を取り込むために欠かせない戦略だ。 米国では金利が上昇し金融政策の大転換が近づいているが、マリオット株は上昇基調だ」、「ウィズコロナで事業運営の効率性を高めるために、アセットライト経営を目指す日本企業は増えるだろう」、その通りだ。 「西武HDは、国内外の需要を取り込む、新しい動線の確立に取り組むべきだ。そのためには施設の魅力を磨くだけでなく、潜在的な顧客の目を施設に向けさせることが必要だ。 例えば、施設周辺の自然環境の美しさをコンテンツで創出し、それを拡張現実(AR)や仮想現実(VR)などの先端技術を駆使して、より鮮烈な体験につながる形で潜在顧客に伝える。他には、プライベートジェット運営会社との連携を強化し、より快適な移動体験を提供するのはどうだろうか」、 「アセットライト経営の実践には、自社の経営資源に、社外の新しい発想を結合させる施策が必要だ。より効率的に付加価値を獲得することが、西武HDには求められている」、その通りだ。 AERAdot「西武池袋「ヨドバシ」出店 元社長が語る“三つのハードル”「ありえないと思う」」 「フォートレスは「1日の乗降客数が約270万人と世界でも3番目の交通量を誇る池袋駅に隣接する池袋本店を含む店舗に、200億円以上の改装と設備投資を行う予定」と発表。ヨドバシHDは「百貨店と連携した新たな店舗」を出す方針だ。注目が集まるのは西武池袋本店(東京都豊島区)で、低層階や北側にヨドバシが入る案が浮上」、しかし、「水野さんは三つのハードルを指摘する。 第一に雇用を守れるのかという問題があります。ヨドバシカメラに無理に転籍させるなら、辞めたいと言う人も出てくるでしょう。もう一つは土地の多くを所有する西武鉄道側の了承が得られるのかということ。 あと一つは売り場。ほぼ半分がヨドバシになるなら、いまのテナントには移動か退店をしてもらわないといけません。仮に地下1階から4階を渡すなら費用は安く見積もっても700億~800億円はかかるのではないでしょうか。最近改装したばかりの北側部分を渡す話もあるやに聞いていますが、こんな話をテナントに持ちかければ、そごう・西武と の信頼関係に大きく影響します。 調整には時間がかかるし、訴訟にでもなれば、さらに長期化することになりかねません。この三つのハードルをどう越えるつもりなのか、全く見えてきません。 Q:調整は難航し、当初2月1日とされた売却時期は3月中に延期された。現役社員らは売却差し止めの仮処分を東京地裁に申し立てた。エルメスやルイ・ヴィトンといった高級ブランドがある百貨店と家電量販店の連携は難しいのか」、 「ほぼ半分がヨドバシになるなら、いまのテナントには移動か退店をしてもらわないといけません。仮に地下1階から4階を渡すなら費用は安く見積もっても700億~800億円はかかるのではないでしょうか」。「調整は難航し、当初2月1日とされた売却時期は3月中に延期された」、確かに「エルメスやルイ・ヴィトンといった高級ブランドがある百貨店と家電量販店の連携は難しい」、ようだ。 「エルメスやルイ・ヴィトンといった高級ブランドは西武が他に先駆けて日本に導入した」、かつての「西武」は先進的だったようだ。「文化の担い手としての期待感があったと思います。しかし最近の西武は、そのあたりがおろそかになっていました」、なるほど。 「若手でもアイデアを出すと「面白いからやってみろよ」と言ってくれるような風土でした。堤さんからはモノではなくライフスタイルを売る生活総合産業を目指す意思が非常に伝わってきましたね。 かつての西武は「よそが売れているからウチも……」ということは絶対にやらず、絶えず他社がやっていないことに挑戦しました。歴史がないので老舗と同じことをやっては勝てない。冒険して新しいことを提案する必要があったのです」、 かつての「西武」は堤の影響もあって、文化的な香りがあり、「絶えず他社がやっていないことに挑戦しました。歴史がないので老舗と同じことをやっては勝てない。冒険して新しいことを提案する必要があったのです」、なるほど。「デフレが続いた日本で安いものが売れるのはわかりますが、他方では質の高い商品を求める人は確実にいます。明確な「ワケ」と「ナットク」があれば高くても買ってくれる顧客です。これは家電量販店とは完全に異なる風景です」、やはり「ヨドバシカメラと百貨店の」相性は悪いようだ。 東洋経済オンライン「そごう・西武売却延期「史上最低ディール」の裏側 契約実行の無期限延期に「仕切り直すべき」の声」 「米投資ファンドの日本代表」が怒るのも当然だ。 「最終的に井阪社長らは、繰り返し延期するのは印象が悪いとの理由から無期限を選択・・・「譲渡が完了した際に速やかにお知らせいたします」という前代未聞のリリースを発表」、無責任な姿勢だ。 「フォートレスへの売却には、そごう・西武の労働組合、西武池袋本店の土地の一部を所有する地権者の西武ホールディングス(HD)、そして地元自治体である豊島区の3者の承諾を得ることが条件。だがセブン&アイは、いまだ得ていないのだ」、「井阪社長は西武HDの後藤高志会長の元に、あいさつに行っていなかった。最近になってようやく後藤会長と面談したようだが、あまりに遅すぎる」・・・との声が上がる。 そもそも西武HDは、ヨドバシの進出に否定的だった前豊島区長が進めてきた「文化を基軸としたまちづくり」を支持しており、西武池袋本店の低層階へのヨドバシ入居に難色を示している。 そうした経緯があるにもかかわらず「何の説明もなかった」と、西武HD側は不満を募らせていた。それゆえ「こじれた関係をほぐすハードルは高い」、放置してきた「井阪社長」の責任は重大だ。 「セブン&アイが説明してこなかったためだ。つまり、「バリューアクトにいい顔をしたくてディールの成立を急ぐがあまり、事前にやっておくべき対応をおろそかにした結果」・・・なのだ」、「セブン&アイが説明してこなかったため」、問題をこじらせた責任は極めて重い。 「井坂」氏が「バリューアクトにいい顔をしたくてディールの成立を急ぐがあまり、事前にやっておくべき対応をおろそかにした」とは、信じられないような不手際だ。本当にどうするつもりなのだろう。
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日本の政治情勢(その64)(世襲政治家の目に余る無神経ぶりと小手先テク…バラマキと増税で日本経済崩壊へ、旧N党党首・立花孝志氏に対し「被害届」提出 性的暴行の被害者女性が「立花氏に相談したらネットで晒された」、「泣いたり怒ったり…」立花孝志氏が旧NHK党「お家騒動」で〝メンタル崩壊〟を心配する声、7月総選挙後の政界再編を予測 「自民・維新大連立」誕生で馬場伸幸氏が副総理 橋下徹氏が内閣顧問の可能性も) [国内政治]

日本の政治情勢については、本年4月20日に取上げた。今日は、(その64)(世襲政治家の目に余る無神経ぶりと小手先テク…バラマキと増税で日本経済崩壊へ、旧N党党首・立花孝志氏に対し「被害届」提出 性的暴行の被害者女性が「立花氏に相談したらネットで晒された」、「泣いたり怒ったり…」立花孝志氏が旧NHK党「お家騒動」で〝メンタル崩壊〟を心配する声、7月総選挙後の政界再編を予測 「自民・維新大連立」誕生で馬場伸幸氏が副総理 橋下徹氏が内閣顧問の可能性も)である。

先ずは、本年4月4日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したイトモス研究所所長の小倉健一氏による「世襲政治家の目に余る無神経ぶりと小手先テク…バラマキと増税で日本経済崩壊へ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/320527
・『昔から世襲政治家は、批判の的だった。その全てを否定するわけではないが、多くの国民の感覚からずれてしまったり、小手先のテクニックばかりもてあそんで国の発展に寄与できていなかったりする世襲政治家は今も数多い』、興味深そうだ。
・『岸田首相の「お土産外交」は小泉純一郎元首相と雲泥の差  岸田文雄首相がウクライナの首都キーウを訪問した際、ポーランド南東部プシェミシルの駅からキーウ行きの列車に乗り込む首相をとらえたNHKの映像に、日本政府関係者がうまい棒の段ボール箱を一緒に運び込む様子が映っていた。 産経新聞(3月23日)は次のように報じている。 「政府関係者への取材によれば、箱の中身は、首相の地元・広島県の宮島で作られた50センチ大の『しゃもじ』だという。しかも、ゼレンスキー氏宛てに『必勝』の文字と『岸田文雄』の署名入り。しゃもじは『敵を召し(飯)取る』との意味で、験担ぎにも使われている。首相はロシア相手に勝利できるよう、ゼレンスキー氏にエールを送った」 本件で想起されるのが、小泉純一郎首相(当時)が実施したジョージ・W・ブッシュ米大統領(ジュニアの方)へのお土産外交だろう。) 2001年、小泉元首相にとって初期の訪米時に、「武田流の流鏑馬(やぶさめ)奉納で用いる鶴岡八幡宮の『かぶら矢』」を手渡した。これは、ブッシュ元大統領が、かつて知人から贈られた「明治神宮の破魔矢」に毎日勝利を祈願し、下馬評の低かった1994年のテキサス州知事選挙に勝利したという情報を基に実施された。事実、ホワイトハウスの執務室に、その「明治神宮の破魔矢」が飾られていたのだという。 首脳同士の付き合いに限ったことではないが、相手の欲しいものを調べて渡すというのは、当然のことだろう。それが、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領への贈り物は「首相のサイン入り、地元県産の必勝しゃもじ」だという。甲子園のアルプススタンドにでもありそうな「しゃもじ」をプレゼントされることを、ウクライナの大統領は望んでいたのだろうか。 外交の場は、岸田首相の地元アピールの場ではないのだ。G7サミット(主要7カ国首脳会議)の開催地も「核抑止の場」として、広島が選ばれたようだが、選挙対策ではないかという疑念を抱かせたくないなら、もう一つの被爆地「長崎」を選ぶべきではなかったのだろうか』、「相手の欲しいものを調べて渡すというのは、当然のことだろう。それが、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領への贈り物は「首相のサイン入り、地元県産の必勝しゃもじ」だという。甲子園のアルプススタンドにでもありそうな「しゃもじ」をプレゼントされることを、ウクライナの大統領は望んでいたのだろうか」、「外交の場は、岸田首相の地元アピールの場ではないのだ」、「岸田首相」は外交には慣れている筈だが、このセンスの悪さには呆れ果てた。
・『「3世議員」の岸田首相もその息子の政務秘書官も詰めが甘い  その辺り、形式的には過去の事例を踏襲しつつも、根本的なところで詰めが甘い「世襲政治家」のデメリットを感じてしまう。岸田首相は祖父・父も衆議院議員を務めた3世議員だ。 一方、前述のブッシュ元大統領への『かぶら矢』を提案したのは、小泉政権の首相首席秘書官だった飯島勲氏だ。相手の歓心を得るにはどうすればいいかを、たたき上げの秘書官は徹底的に調べ上げたわけだ。 世襲政治家も、何かお土産を持っていくのがしきたりだ、とまでは、思いをはせることができるのだろうが、何を持っていくかは「よきに計らえ」となってしまったのだろう。 岸田首相の長男で、政務秘書官をしている翔太郎氏も詰めが甘い。 日本のエアフォース・ワン(政府専用機)では、海外を訪れたときは買い物をしても免税されない。これはエアフォース・ワンが免税に必要なフライトナンバーがないためだとされている。翔太郎氏は、英ロンドンの高級百貨店でブランド物のネクタイを大量に買って閣僚たちのお土産にしたというが、なぜ免税にもならないネクタイを大量に購入したのだろうか。 外国での国家公務員の買い物は厳しくチェックされているはずで、その辺りの詳細がこれから明らかになることを望みたい。) 翔太郎氏は、免税にもならない高級ネクタイを大量購入したいのであれば、公務を抜け出さず、日本で時間のある時にゆっくりやったらよかった。閣僚以外にお土産を配ったのかどうかは報道で明らかになっていないが、ロンドンで買ってきました!というのが、地元支援者の心に刺さるのだろうか。 もはや、機密費やら、政務秘書官の多額の報酬で金額が気にならなくなっているのかもしれない。とにかく、ゼレンスキー大統領への「必勝しゃもじ」にも似た無神経ぶりと通じるものがある』、「ブッシュ元大統領への『かぶら矢』を提案したのは、小泉政権の首相首席秘書官だった飯島勲氏だ。相手の歓心を得るにはどうすればいいかを、たたき上げの秘書官は徹底的に調べ上げたわけだ」、「岸田首相の長男で、政務秘書官をしている翔太郎氏も詰めが甘い。 日本の・・・(政府専用機)では、海外を訪れたときは買い物をしても免税されない」、「ロンドンで買ってきました!というのが、地元支援者の心に刺さるのだろうか」、「ゼレンスキー大統領への「必勝しゃもじ」にも似た無神経ぶりと通じるものがある」、その通りだ。
・『安倍元首相が伯父、岸前防衛相が父 岸信千世氏の残念な見解  安倍晋三元首相が伯父、岸信夫前防衛相が父であり、その二人の志を引き継ぐとうたう岸信千世氏も、世襲政治家の最たる例だろう。衆院山口2区の補選(4月23日投開票)に出馬を予定する信千世氏は、「すばらしい」「お手本にしたい政治家」を強いて一人挙げろと言われて、麻生太郎自民党副総裁の名を出している。その理由は、こうだという。 「(父・信夫氏と二人で麻生事務所へ信夫氏の政界引退のあいさつへ行ったとき)大変丁寧に接していただき、最後は部屋の外まで出て自ら見送ってくださった。麻生さんの会館の事務所は一番奥まった位置にあるんですが、車椅子に乗った父と私たちがエレベーターホールに向かって歩いているその姿が消えるまで、ずっと私たちの後ろ姿を見送り、最後は深々とお辞儀をしてくださった」(月刊Hanada、23年5月号) 彼は、家族・親族である安倍元首相や岸前防衛相の近くで、何を学んできたのだろうか。 このお手本にしたいという場面は、礼儀作法としては100点かもしれないが、それが、日本をどう導くか、日本経済をどう発展させるかというリーダーシップという観点が一切欠けている。 この麻生氏が見せた丁寧なお見送り(元首相の実弟で元防衛相が、引退するとわざわざあいさつしに来たのだから、それぐらいして当然だと思う)は、地元の有権者や党内の人間関係には有効かもしれない。しかし、これが日本を引っ張っていこうとする人が真っ先に挙げるエピソードなのだろうか』、「このお手本にしたいという場面は、礼儀作法としては100点かもしれないが、それが、日本をどう導くか、日本経済をどう発展させるかというリーダーシップという観点が一切欠けている」、「これが日本を引っ張っていこうとする人が真っ先に挙げるエピソードなのだろうか」、確かにその通りだ。
・『一部の世襲政治家が繰り出す小手先のテクニック  日本の一部世襲政治家による小手先のテクニックというのは、たたき上げの政治家にとっては脅威となっているのではないだろうか。 岸田首相の誕生前夜、目前に迫った衆議院選挙を乗り切るため、自民党では21年9月、当選3回以下の議員90人による「党風一新の会」が結成された。その発足時の世話人代表が福田達夫氏、副代表が武部新氏だった。言うまでもないかもしれないが両人とも、世襲である(福田康夫元首相の子どもと武部勤元自民党幹事長の子ども)。) 武部氏は、この会の結成について「これまでも自民党では金権スキャンダルや政策への不信感などで党の支持が失われていったとき、若手が声をあげてきた歴史があります。遠くさかのぼれば福田赳夫先生が設立した党風刷新連盟もそう」と述べている(文藝春秋、21年11月号)。つまり党風を変えると国民に言い張れば、難を逃れることができると確信していたということだろう。 事実、福田赳夫氏(福田達夫氏の祖父で同じく元首相)の党風刷新連盟も、先だっての「党風一新の会」であっても、発足して自民党の何かが変わったと感じている人など誰もいないだろう。果たして、自民党は選挙に圧勝し、自民党は自民党のままである』、「党風刷新連盟も、先だっての「党風一新の会」であっても、発足して自民党の何かが変わったと感じている人など誰もいないだろう。果たして、自民党は選挙に圧勝し、自民党は自民党のままである」、その通りだ。
・『政治家の世襲にはメリットもあるが「発動条件」がある  世襲に対して、肯定的意見もある。青山学院大学教授の福井義高氏などだ。福井氏は、世襲にはメリットがあるとするが、そのためには以下のような条件が必要だという(産経新聞、23年1月18日より)。 「自分の地盤を豊かにするため、他から収奪する『ねずみ小僧』戦略が不可能な体制でなければならない。そのためには、国家財政による地域間の所得移転は極力抑え、地域ごとの独立採算を前提に、地方分権を進めることが必須である。地域間の政府サービス競争は国家の独占的性格を弱め、その暴力団性を抑える効果がある。他の地域から収奪することができなければ、国全体や自らの地盤の経済活動を盛んにしないと、政治家も分け前にあずかれない」 「世襲議員大いに結構。よそからおカネを奪ってくるのではなく、国や地域の経済的発展に尽くしてください」 実際に、日本の地方で起きていることは世襲政治家による利権の差配でしかない。信千世氏が立候補する山口県には五つも新幹線の駅があるが、地域は何一つ発展していない。東京都に新幹線駅は三つ、神奈川県には二つのみだ。いくら地域に公共事業を(大半は国の金で)誘導しようと、どうにもなっていない。 地域が没落すればするほど、新興企業や若者は出ていくため、浮動票は減り、残った住民は利権の差配を期待しがちになる。世襲政治家にとって選挙で当選しやすい地盤が強化されていくことになる。 「世界の政治家の世襲状況を調べた米国の研究者ダニエル・スミス氏の調査では、国会議員で世襲が多いのは1位がタイ、2位がフィリピン、3位がアイスランド、4位が日本」(朝日新聞、23年3月10日)だという。一切の世襲を否定するつもりはないが、小手先のテクニックをもてあそび、結局のところ国内で利権の奪い合いやバラマキを繰り返し、そのしわ寄せを増税で国民に押し付ける…。そんな何一つ国の経済発展に寄与できない世襲政治家には、即刻退場を願いたい』、「国会議員で世襲が多いのは1位がタイ、2位がフィリピン、3位がアイスランド、4位が日本」、「アイスランド」が3位とは驚かされた。「青山学院大学教授の福井義高氏は、世襲にはメリットがあるとするが、そのためには以下のような条件が必要」、「自分の地盤を豊かにするため、他から収奪する『ねずみ小僧』戦略が不可能な体制でなければならない。そのためには、国家財政による地域間の所得移転は極力抑え、地域ごとの独立採算を前提に、地方分権を進めることが必須である。地域間の政府サービス競争は国家の独占的性格を弱め、その暴力団性を抑える効果がある。他の地域から収奪することができなければ、国全体や自らの地盤の経済活動を盛んにしないと、政治家も分け前にあずかれない」 「世襲議員大いに結構。よそからおカネを奪ってくるのではなく、国や地域の経済的発展に尽くしてください」。しかし、現実には、「信千世氏が立候補する山口県には五つも新幹線の駅があるが、地域は何一つ発展していない。東京都に新幹線駅は三つ、神奈川県には二つのみだ」、「一切の世襲を否定するつもりはないが、小手先のテクニックをもてあそび、結局のところ国内で利権の奪い合いやバラマキを繰り返し、そのしわ寄せを増税で国民に押し付ける…。そんな何一つ国の経済発展に寄与できない世襲政治家には、即刻退場を願いたい」、同感である。

次に、5月9日付けNEWSポストセブン「旧N党党首・立花孝志氏に対し「被害届」提出 性的暴行の被害者女性が「立花氏に相談したらネットで晒された」」を紹介しよう。
https://www.news-postseven.com/archives/20230509_1867449.html?DETAIL&from=imagepage_f-1-10
・『いまや内紛が“御家芸”ともいえる政治家女子48党(旧NHK党)。創設者の立花孝志氏が対立する大津綾香・前党首を解任して党首復帰を決めたかと思うと、それに納得できない大津氏は「代表権の地位確認」を求めて千葉地裁に仮処分を申し立て、さらに立花氏に対して「刑事告訴の手続きを鋭意進めております」とツイートするなど泥沼化している。 その渦中の立花氏に新たなトラブルが発覚した。警察担当記者が語る。 「この4月にある女性が立花氏に名誉を傷つけられたなどとして千葉県警に被害届を出し、受理されたのです。党内のゴタゴタだけでなく、こちらの対応も大変になるのではないか」 何が起きているのか。本誌・週刊ポストは当該女性の関係者から詳しい話を聞くことができた。女性をA子さんとしよう。 「A子さんは3年前に妊娠し、中絶することになったのですが、それがある男性による性的暴行によるものだったそうです。悩んでいるときに立花さんがその男性を批判していることをネットで知って連絡したところ、立花氏から『弁護士を連れてくるから資料を持ってくるように』と言われて、会ったそうです。 ところが、やってきたのは立花さんとスタッフの2人だけ。その場で話をして言われたとおりに詳しい経緯などを記した資料を渡したものの、それきり弁護士を紹介してくれることはなかった」 その後、事態は彼女が全く予期しなかった方向に進んだという。 「立花氏は彼女から得た情報をネットで勝手に流したり、配信されている記者会見の場で彼女の実名まで明かしてしまった。そんなことになるとは思わなかったA子さんが立花氏に資料を返すように求めると、『それはできません』と返してくれなかった。 A子さんは暴行事件で苦しんでいたうえ、信用してプライバシーにかかわることを相談した相手からそんな仕打ちを受けたことですごいショックを受けて、しばらく何も考えられなかったようです。最近、ようやく少し落ち着いて、今回、警察に被害届を出すことにしたそうです」(同前) 本誌が千葉県警本部に事実確認を求めると、「個別の案件にはお答えはしていません。(被害届を)どこの所轄で受理したかもお伝えしていません」(広報県民課)という回答だった。そこでA子さんに取材を申し込むと、「警察に被害届を出して受理されたことは事実です。ただ、申し訳ありませんが、詳細については申し上げられません」と言葉少なに語るのだ』、「「立花氏は彼女から得た情報をネットで勝手に流したり、配信されている記者会見の場で彼女の実名まで明かしてしまった。そんなことになるとは思わなかったA子さんが立花氏に資料を返すように求めると、『それはできません』と返してくれなかった。 A子さんは暴行事件で苦しんでいたうえ、信用してプライバシーにかかわることを相談した相手からそんな仕打ちを受けたことですごいショックを受けて、しばらく何も考えられなかったようです。最近、ようやく少し落ち着いて、今回、警察に被害届を出すことにしたそうです」、酷い話だ。いい加減そうな「立花氏」を信用した「A子さん」にも問題がありそうだ。
・『一方の当事者の立花氏はどう受け止めているのか、話を聞いた。Qは聞き手の質問   Q:千葉県警に立花氏に対する被害届が出されたことを知っていますか。捜査などは受けましたか。 立花氏「全く何もないですよ」 Q:被害届を出したのは、自分が受けた性的暴行について立花さんに相談した女性です。 立花氏「はい、覚えてますよ、それ。何だか変な女性だなというのを」 Q:その女性は、立花氏に「弁護士を紹介する」と言われて資料などを持っていったのに、弁護士を紹介することもなく、立花氏が記者会見の場でその女性の名前を言ったり、ネットで発信されたことを名誉毀損だとして警察に被害届を出したようですが。 立花氏「(会見で)名前を言った?」 Q:心当たりはありますか。 立花氏「自覚なんて、何も。名誉毀損なんて、こっちも言いますよ。全然そういうのがあれば、受けますよと。そういうの(相談)があったのは、覚えてますけれど、だいぶ前の話でしょ。だいぶ前だから、無視しているだけです」 その後、立花氏から本誌記者に改めて被害届の経緯を確認する電話がかかってきた。 立花氏「誰が訴えてるの? その女の子が訴えてるの?」 記者「関係者からはその女性が被害届を出したと聞いている」 立花氏「女性が訴えているんだったら、全く問題ない。虚言癖っていうか、男性に暴行されたと言っている人でしょう。その子が、その子の名誉を毀損したって言っているわけね。はいはい、了解です」 そういうと、電話は切れた。このトラブルの行方は果たして──』、「立花氏」の応対は、誠実さがみじんも感じられない酷いものだ。こんないい加減な人物に投票した選挙民も反省すべきだ。

第三に、5月15日付けFRIDAY「「泣いたり怒ったり…」立花孝志氏が旧NHK党「お家騒動」で〝メンタル崩壊〟を心配する声」を紹介しよう。
https://friday.kodansha.co.jp/article/310901
・『怒って泣いて――。 政治家女子48党(旧NHK党)のお家騒動で、連日ヒートアップしている立花孝志氏のメンタルを心配する声が各方面から上がっている。 ガーシー容疑者の除名処分に端を発した内紛は現在、代表の座をめぐって大津綾香氏と立花孝志氏の間でバチバチの争いが続いている。数にモノ言わす立花氏サイドは5月10日に党総会を強行し、党員による投票の結果、ホリエモン(堀江貴文氏)の秘書を務める齊藤健一郎氏が新たな代表に選ばれた。これが有効かどうかは今後の情勢次第だが、少なくとも多くの党員が〝選んだ〟という既成事実を作る事には成功した』、興味深そうだ。
・『総会で立花氏は同党を作った経緯を振り返り  「立花は去るだとか降りるだとか言うんですけど、立花孝志と一緒に国民から認められる党に…」 と語ると、思わず涙。天井を見上げる場面もあり、リアルタイム視聴者からは 「立花さんが泣いてる!」 の声が飛んだ。現場取材したスポーツ紙政治担当記者の話。 「齊藤氏が『身内で争っている場合なのでしょうか』と訴え、立花氏が涙ながらにうなずいていたシーンが印象的でしたね。もともと1人でNHKに対して戦いを挑んだ人。 そこから仲間ができて今や国政政党になった。そのあたりの苦労を思い出したのかもしれません」 一方でメディアの報道に訴訟をチラつかせて恫喝する〝激情家〟の一面も健在だ。 発端は5月9日配信の『NEWSポストセブン』の記事。同サイトによれば、過去に男性トラブルで立花氏を頼った女性が、その後、同意なしに相談内容をユーチューブなどで〝晒された〟として、立花氏を相手取り、千葉県警に被害届を提出したという。 これに立花氏はすかさずツイッターで 《このデタラメ記事 直ちに裁判所に提訴します!》 と宣言。記事を引用して立花氏をディスった実業家のひろゆき氏に対しても 《こんなデタラメな記事を引用したので、、、週刊誌を提訴するより、拡散力のある、西村ひろゆき氏を提訴する事にしました!》 と宣戦布告した。 立花氏は前出のポストセブンの直撃取材で、告発女性を「何か変な女性」と評し、 「女性が訴えているんだったら、全く問題ない。虚言癖っていうか、男性に暴行されたと言っている人でしょう。その子の名誉を毀損したって言っているわけね。はいはい、了解です」 と答えている。 「 政女党が党総会を開催した同日、大津氏サイドも都内で記者会見を行い、改めて党の不透明なカネの流れを調べ、立花氏を刑事告訴すべく、 「警察とすでに連動している」 と報告した。 「実際に警察が動くかは未知数ですが、立花氏サイドは公にされたくない部分が多々ある可能性はある。政女党No.2の丸山穂高氏がこのほど役職を辞することを表明したが、立花氏の周囲では早めに〝避難〟する者も出てきているようだ」(政界関係者) 立花氏のメンタルがさらに悪化しなければいいが…』、「発端は5月9日配信の『NEWSポストセブン』の記事」、これは前述の第二の記事だ。「「立花は去るだとか降りるだとか言うんですけど、立花孝志と一緒に国民から認められる党に…」 と語ると、思わず涙。天井を見上げる場面もあり、涙もろい性格なのかも知れない、「「まがりなりにも国政政党の元党首だった人の受け答えではないよね。まずは報道に対して説明責任があると思いますよ。にもかかわらず、頭ごなしに訴訟をチラつかせて抑え込みにいくのだから、逆に焦りを感じてしまうね。冷静さを欠いているというか…」(永田町関係者)、この見方は妥当だ。「これに立花氏はすかさずツイッターで 《このデタラメ記事 直ちに裁判所に提訴します!》 と宣言。記事を引用して立花氏をディスった実業家のひろゆき氏に対しても 《こんなデタラメな記事を引用したので、、、週刊誌を提訴するより、拡散力のある、西村ひろゆき氏を提訴する事にしました!》 と宣戦布告した」、「西村ひろゆき氏を提訴」とは三面記事的な面白さがますます出てきた。

第四に、5月11日付けNEWSポストセブン「7月総選挙後の政界再編を予測 「自民・維新大連立」誕生で馬場伸幸氏が副総理、橋下徹氏が内閣顧問の可能性も」を紹介しよう。
・『吹き出した解散風。政治ジャーナリストの野上忠興氏は、通常国会会期末の6月21日解散、大安の7月23日投票が有力と見ている。一方、統一地方選と衆参補選の結果から浮かび上がったのは、日本維新の会の躍進と公明党の集票力大幅低下だ。いざ総選挙となれば、政界勢力図が大きく塗り替えられる可能性が指摘されている。もしも、総選挙で自公が過半数(233議席)を割った場合、自民党では岸田下ろしと「連立組み替え」をめぐる政争が始まる。 過半数までわずかであれば、岸田首相は補完勢力として国民民主党を自公連立に加えることで過半数を確保し、政権延命を図ろうとするはずだ。 すでに布石は打たれている。 国民民主の連立参加構想は昨年末にも報じられた。同党の玉木雄一郎・代表は政権参加に前向きとされ、昨年は予算案に賛成、今国会は予算案反対に回ったものの、岸田首相が打ち出した「子育て支援」について自公は野党である国民民主を加えた3党で異例の実務者協議を続けている。 だが、自民党にはそれを良しとしない勢力がある。 野上氏は「国民民主と組むか、維新と組むか」の激しい路線対立が起きると指摘する。 「自公が過半数割れすれば岸田首相の引責辞任は避けられないでしょうが、首相はやめる前に国民民主との連立に動くでしょう。自公+国民の新たな連立の枠組みさえ残せば岸田派、麻生派、茂木派という現在の主流3派の主導で後継首相を担ぎ、影響力を残すことができるからです。しかし、それに対抗して、安倍派などから“敗戦責任がある岸田主導の亜流政権は認めない”と、維新とのいわば救国大連立を目指す勢力が出てきて激しく争うことになる」 まさに政界大激震だ。そのとき「自民・維新大連立」のキーマンとなるのは菅義偉・元首相だという。岸田首相の政敵で、維新の中枢とも、公明党・創価学会の中枢とも太いパイプを持つことで知られる。 「打倒岸田を鮮明にしている維新は岸田首相とは絶対に組まない。自民党で維新と交渉できるのは菅氏だけです。維新は連立の条件として岸田退陣と、自民党が維新が受け入れられる後継総理を選ぶことを当然要求するでしょう。そうなれば安倍派や菅グループ、二階派などによる主流派の入れ替えという自民党内の政権交代が起きる。 問題は公明党の動向です。自民と維新の大連立となれば、公明党が反発して連立離脱や閣外協力に転じることが予想されるが、公明とパイプのある菅氏であればそれを引き止められる可能性がある」(野上氏) 大連立政権ができたとき、次期首相に「維新が受け入れられる首相」として菅氏が返り咲くか、あるいは前回の自民党総裁選で菅氏が後継者として担いだ河野太郎氏など他の人物が就任するかはまさに「維新次第」ということになる』、「「自公が過半数割れすれば岸田首相の引責辞任は避けられないでしょうが、首相はやめる前に国民民主との連立に動くでしょう。自公+国民の新たな連立の枠組みさえ残せば岸田派、麻生派、茂木派という現在の主流3派の主導で後継首相を担ぎ、影響力を残すことができるからです。しかし、それに対抗して、安倍派などから“敗戦責任がある岸田主導の亜流政権は認めない”と、維新とのいわば救国大連立を目指す勢力が出てきて激しく争うことになる」 まさに政界大激震だ。そのとき「自民・維新大連立」のキーマンとなるのは菅義偉・元首相だという。岸田首相の政敵で、維新の中枢とも、公明党・創価学会の中枢とも太いパイプを持つことで知られる。 「打倒岸田を鮮明にしている維新は岸田首相とは絶対に組まない。自民党で維新と交渉できるのは菅氏だけです。維新は連立の条件として岸田退陣と、自民党が維新が受け入れられる後継総理を選ぶことを当然要求するでしょう。そうなれば安倍派や菅グループ、二階派などによる主流派の入れ替えという自民党内の政権交代が起きる。 問題は公明党の動向です。自民と維新の大連立となれば、公明党が反発して連立離脱や閣外協力に転じることが予想されるが、公明とパイプのある菅氏であればそれを引き止められる可能性がある」(野上氏) 大連立政権ができたとき、次期首相に「維新が受け入れられる首相」として菅氏が返り咲くか、あるいは前回の自民党総裁選で菅氏が後継者として担いだ河野太郎氏など他の人物が就任するかはまさに「維新次第」ということになる」、なるほど。
・事実上の“政権乗っ取り”  維新にとっても、自民党と大連立を組むメリットは小さくない。野上氏が語る。「維新が自民党と大連立を組めば、たとえば馬場伸幸・代表が副総理、藤田文武・幹事長が総務大臣など何人かの閣僚を送り込めるし、創設者の橋下徹氏もすでに引退してはいますが、本人が望めば内閣参与や内閣顧問などに就任して政権に影響力を行使できるでしょう。 しかし、メリットはそれだけではない。維新には政治経験が浅い若い議員が圧倒的に多い。野党経験しかないままでは、3年後や4年後に政権を取ったとしても彼らが大臣や副大臣を務めるのは難しいでしょう。その点、自民党には若手議員に政調の各部会長や省庁の政務官、副大臣などを経験させ、行政経験を積ませる仕組みがある。維新にとって連立参加の最大のメリットは、若手議員を政務官などに就けて政権を動かす経験を積ませることができることです」 もともと維新は3段階の政権戦略を立てていた。前回の総選挙で41議席に伸ばした後、馬場代表(当時は幹事長)がこう語っている。 「今回の衆院選の結果は、三段跳びでいえば、『ホップ』。次の衆院選では100議席獲得を目標に『ステップ』を踏み、最後は『ジャンプ』作戦で政権を狙いたい」 政権は取ることより、維持することが難しい。 それは民主党政権(2009年)が衆参で過半数を占める完全政権交代を成し遂げながら、行政手腕の未熟さと政策の迷走、党内の内紛でたちまち国民の信を失い、わずか3年で崩壊したことが物語っている。政権を担った経験がない政党が、国政を担うのはそれほど難しい。 自民との大連立は維新の議員が「国政」を経験する機会になるのだ。 実は、かつての民主党にもそのチャンスがあった。政権交代2年前の福田内閣時代(2007年)、福田康夫・首相は野党第一党だった民主党の小沢一郎・代表(当時)に党首会談で大連立を持ちかけた。 民主党内の「大連立は自民党を延命させる」という猛反対で実現しなかったが、小沢氏は後に狙いをこう振り返っている。 「与党としての経験を積むというのと同時に、もう一つは、福田さんは、ポストも何でもやると、ほぼ言いなりだったから、それによって権力の半分を握れるわけです。そうすると、選挙にも絶対有利だと。だから、庇を借りて母屋を取ってしまおうと」(本誌2019年5月17・24日号インタビュー) 民主党はチャンスを棒に振ったが、総選挙後に自民党が維新に大連立を持ちかければ、今度は維新が、総理を誰にするか、大臣ポストも思うまま。事実上、維新による“政権乗っ取り”という状況が生まれる可能性さえある』、「福田康夫・首相は野党第一党だった民主党の小沢一郎・代表(当時)に党首会談で大連立を持ちかけた。 民主党内の「大連立は自民党を延命させる」という猛反対で実現しなかった」、「小沢氏は後に狙いをこう振り返っている。「与党としての経験を積むというのと同時に、もう一つは、福田さんは、ポストも何でもやると、ほぼ言いなりだったから、それによって権力の半分を握れるわけです。そうすると、選挙にも絶対有利だと。だから、庇を借りて母屋を取ってしまおうと」。そんなことがあったとは初めて知った。「民主党はチャンスを棒に振ったが、総選挙後に自民党が維新に大連立を持ちかければ、今度は維新が、総理を誰にするか、大臣ポストも思うまま。事実上、維新による“政権乗っ取り”という状況が生まれる可能性さえある」、しかし、自民党も「福田康夫」時代とは違ってもっとしっかりしているので、「維新による“政権乗っ取り”」はそう簡単ではないだろう。
タグ:日本の政治情勢 (その64)(世襲政治家の目に余る無神経ぶりと小手先テク…バラマキと増税で日本経済崩壊へ、旧N党党首・立花孝志氏に対し「被害届」提出 性的暴行の被害者女性が「立花氏に相談したらネットで晒された」、「泣いたり怒ったり…」立花孝志氏が旧NHK党「お家騒動」で〝メンタル崩壊〟を心配する声、7月総選挙後の政界再編を予測 「自民・維新大連立」誕生で馬場伸幸氏が副総理 橋下徹氏が内閣顧問の可能性も) ダイヤモンド・オンライン 小倉健一氏による「世襲政治家の目に余る無神経ぶりと小手先テク…バラマキと増税で日本経済崩壊へ」 「相手の欲しいものを調べて渡すというのは、当然のことだろう。それが、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領への贈り物は「首相のサイン入り、地元県産の必勝しゃもじ」だという。甲子園のアルプススタンドにでもありそうな「しゃもじ」をプレゼントされることを、ウクライナの大統領は望んでいたのだろうか」、 「外交の場は、岸田首相の地元アピールの場ではないのだ」、「岸田首相」は外交には慣れている筈だが、このセンスの悪さには呆れ果てた。 「ブッシュ元大統領への『かぶら矢』を提案したのは、小泉政権の首相首席秘書官だった飯島勲氏だ。相手の歓心を得るにはどうすればいいかを、たたき上げの秘書官は徹底的に調べ上げたわけだ」、「岸田首相の長男で、政務秘書官をしている翔太郎氏も詰めが甘い。 日本の・・・(政府専用機)では、海外を訪れたときは買い物をしても免税されない」、「ロンドンで買ってきました!というのが、地元支援者の心に刺さるのだろうか」、「ゼレンスキー大統領への「必勝しゃもじ」にも似た無神経ぶりと通じるものがある」、その通りだ。 「このお手本にしたいという場面は、礼儀作法としては100点かもしれないが、それが、日本をどう導くか、日本経済をどう発展させるかというリーダーシップという観点が一切欠けている」、「これが日本を引っ張っていこうとする人が真っ先に挙げるエピソードなのだろうか」、確かにその通りだ。 「党風刷新連盟も、先だっての「党風一新の会」であっても、発足して自民党の何かが変わったと感じている人など誰もいないだろう。果たして、自民党は選挙に圧勝し、自民党は自民党のままである」、その通りだ。 「国会議員で世襲が多いのは1位がタイ、2位がフィリピン、3位がアイスランド、4位が日本」、「アイスランド」が3位とは驚かされた。「青山学院大学教授の福井義高氏は、世襲にはメリットがあるとするが、そのためには以下のような条件が必要」、「自分の地盤を豊かにするため、他から収奪する『ねずみ小僧』戦略が不可能な体制でなければならない。 そのためには、国家財政による地域間の所得移転は極力抑え、地域ごとの独立採算を前提に、地方分権を進めることが必須である。地域間の政府サービス競争は国家の独占的性格を弱め、その暴力団性を抑える効果がある。他の地域から収奪することができなければ、国全体や自らの地盤の経済活動を盛んにしないと、政治家も分け前にあずかれない」 「世襲議員大いに結構。よそからおカネを奪ってくるのではなく、国や地域の経済的発展に尽くしてください」。 しかし、現実には、「信千世氏が立候補する山口県には五つも新幹線の駅があるが、地域は何一つ発展していない。東京都に新幹線駅は三つ、神奈川県には二つのみだ」、「一切の世襲を否定するつもりはないが、小手先のテクニックをもてあそび、結局のところ国内で利権の奪い合いやバラマキを繰り返し、そのしわ寄せを増税で国民に押し付ける…。そんな何一つ国の経済発展に寄与できない世襲政治家には、即刻退場を願いたい」、同感である。 NEWSポストセブン「旧N党党首・立花孝志氏に対し「被害届」提出 性的暴行の被害者女性が「立花氏に相談したらネットで晒された」」 「「立花氏は彼女から得た情報をネットで勝手に流したり、配信されている記者会見の場で彼女の実名まで明かしてしまった。そんなことになるとは思わなかったA子さんが立花氏に資料を返すように求めると、『それはできません』と返してくれなかった。 A子さんは暴行事件で苦しんでいたうえ、信用してプライバシーにかかわることを相談した相手からそんな仕打ちを受けたことですごいショックを受けて、しばらく何も考えられなかったようです。 最近、ようやく少し落ち着いて、今回、警察に被害届を出すことにしたそうです」、酷い話だ。いい加減そうな「立花氏」を信用した「A子さん」にも問題がありそうだ。 「立花氏」の応対は、誠実さがみじんも感じられない酷いものだ。こんないい加減な人物に投票した選挙民も反省すべきだ。 FRIDAY「「泣いたり怒ったり…」立花孝志氏が旧NHK党「お家騒動」で〝メンタル崩壊〟を心配する声」 「発端は5月9日配信の『NEWSポストセブン』の記事」、これは前述の第二の記事だ。「「立花は去るだとか降りるだとか言うんですけど、立花孝志と一緒に国民から認められる党に…」 と語ると、思わず涙。天井を見上げる場面もあり、涙もろい性格なのかも知れない、 「「まがりなりにも国政政党の元党首だった人の受け答えではないよね。まずは報道に対して説明責任があると思いますよ。にもかかわらず、頭ごなしに訴訟をチラつかせて抑え込みにいくのだから、逆に焦りを感じてしまうね。冷静さを欠いているというか…」(永田町関係者)、この見方は妥当だ。「これに立花氏はすかさずツイッターで 《このデタラメ記事 直ちに裁判所に提訴します!》 と宣言。記事を引用して立花氏をディスった実業家のひろゆき氏に対しても 《こんなデタラメな記事を引用したので、、、週刊誌を提訴するより、拡散力のある、西 村ひろゆき氏を提訴する事にしました!》 と宣戦布告した」、「西村ひろゆき氏を提訴」とは三面記事的な面白さがますます出てきた。 NEWSポストセブン「7月総選挙後の政界再編を予測 「自民・維新大連立」誕生で馬場伸幸氏が副総理、橋下徹氏が内閣顧問の可能性も」 「「自公が過半数割れすれば岸田首相の引責辞任は避けられないでしょうが、首相はやめる前に国民民主との連立に動くでしょう。自公+国民の新たな連立の枠組みさえ残せば岸田派、麻生派、茂木派という現在の主流3派の主導で後継首相を担ぎ、影響力を残すことができるからです。しかし、それに対抗して、安倍派などから“敗戦責任がある岸田主導の亜流政権は認めない”と、維新とのいわば救国大連立を目指す勢力が出てきて激しく争うことになる」 まさに政界大激震だ。 そのとき「自民・維新大連立」のキーマンとなるのは菅義偉・元首相だという。岸田首相の政敵で、維新の中枢とも、公明党・創価学会の中枢とも太いパイプを持つことで知られる。 「打倒岸田を鮮明にしている維新は岸田首相とは絶対に組まない。自民党で維新と交渉できるのは菅氏だけです。維新は連立の条件として岸田退陣と、自民党が維新が受け入れられる後継総理を選ぶことを当然要求するでしょう。そうなれば安倍派や菅グループ、二階派などによる主流派の入れ替えという自民党内の政権交代が起きる。 問題は公明党の動向です。自民と維新の大連立となれば、公明党が反発して連立離脱や閣外協力に転じることが予想されるが、公明とパイプのある菅氏であればそれを引き止められる可能性がある」(野上氏) 大連立政権ができたとき、次期首相に「維新が受け入れられる首相」として菅氏が返り咲くか、あるいは前回の自民党総裁選で菅氏が後継者として担いだ河野太郎氏など他の人物が就任するかはまさに「維新次第」ということになる」、なるほど。 「福田康夫・首相は野党第一党だった民主党の小沢一郎・代表(当時)に党首会談で大連立を持ちかけた。 民主党内の「大連立は自民党を延命させる」という猛反対で実現しなかった」、「小沢氏は後に狙いをこう振り返っている。「与党としての経験を積むというのと同時に、もう一つは、福田さんは、ポストも何でもやると、ほぼ言いなりだったから、それによって権力の半分を握れるわけです。そうすると、選挙にも絶対有利だと。だから、庇を借りて母屋を取ってしまおうと」。そんなことがあったとは初めて知った。 「民主党はチャンスを棒に振ったが、総選挙後に自民党が維新に大連立を持ちかければ、今度は維新が、総理を誰にするか、大臣ポストも思うまま。事実上、維新による“政権乗っ取り”という状況が生まれる可能性さえある」、しかし、自民党も「福田康夫」時代とは違ってもっとしっかりしているので、「維新による“政権乗っ取り”」はそう簡単ではないだろう。
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保険(その7)(癌になって思う「がん保険は やっぱり不要だ」、保険営業がいまだ抜け出せない不祥事の連鎖 再発防止を妨げる大量採用・大量離職問題、あんしん生命 元営業職員4億円詐取に透ける課題 大量離職問題がもたらす再発防止の高い壁) [金融]

保険については、昨年5月27日に取上げた。今日は、(その7)(癌になって思う「がん保険は やっぱり不要だ」、保険営業がいまだ抜け出せない不祥事の連鎖 再発防止を妨げる大量採用・大量離職問題、あんしん生命 元営業職員4億円詐取に透ける課題 大量離職問題がもたらす再発防止の高い壁)である。

先ずは、本年2月22日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏による「癌になって思う「がん保険は、やっぱり不要だ」」を紹介しよう。
・『「がん保険は要らない」と言っていた筆者が癌になった。それでも「がん保険は、やっぱり不要だ」と思った。これは筆者としての結論だが、その判断に影響を与えた要素が筆者と同様の方は少なくないはずだ。今回はその要素についてお伝えするので、読者は、ご自身としての結論を得てほしい』、興味深そうだ。
・『私の癌と治療経過  冒頭から私事で恐縮だが、筆者は昨年不幸にして癌にかかった。ステージIIIの食道癌である。そして、幸いにして治療は順調であり、体力はかなり回復した。現在、再発防止目的で薬剤を投与しており、向こう一年ほど検査なども含めて1カ月に一度程度通院する予定だが、仕事を含めて日常生活に支障はない。 ただし、「不幸」と「幸い」の比較は、残念ながら「不幸」の勝ちだ。最大限に治っても病前の状態までは回復しない。端的に言って、以前と同じように飲んだり食べたりできるようにはならない。飲んだり、食べたりは、本当に楽しかった。ビジネスや人間関係の上でも大変有効だった。そして、何よりも再発のリスクを抱えている。食道癌は再発や転移が多い癌なのだ。読者は癌にかからない方がいい。 さて、癌になってみると、筆者の元にはがん保険に関する質問が多数寄せられた。「がん保険は要らない」と言っていた人物が、実際に癌になってどう感じたか興味を持たれたのだろう。 本稿では、筆者の癌とその治療経過を手掛かりに、がん保険の要否について考える。筆者と似た条件にある方は多いと思うが、読者と筆者とで意思決定のための条件が同じでない点はあるかもしれない。もとより自分一人の経験を一般化して押しつけるつもりはない。 読者は、ご自分の問題として改めて考え直してご自身の結論を得てほしい。) なお本記事では、病気としての癌の表記として漢字の「癌」を充てる一方、「がん保険」への言及では「がん」を充てる。保険会社は癌が恐ろしい病気ではないというイメージを醸し出したいのだろうと推察して、その慣行を尊重する。 患者になってみた実感としても、文章の字面としても、癌一般には「癌」が適切だと強く思う。ひらがなの「がん」は間抜けだし、それで病気が軽くなるわけでもない』、「「不幸」と「幸い」の比較は、残念ながら「不幸」の勝ちだ。最大限に治っても病前の状態までは回復しない。端的に言って、以前と同じように飲んだり食べたりできるようにはならない。飲んだり、食べたりは、本当に楽しかった。ビジネスや人間関係の上でも大変有効だった。そして、何よりも再発のリスクを抱えている。食道癌は再発や転移が多い癌なのだ。読者は癌にかからない方がいい』、「最大限に治っても病前の状態までは回復しない。端的に言って、以前と同じように飲んだり食べたりできるようにはならない」、「食道癌は再発や転移が多い癌なのだ」、なるほど。
・『癌患者としての筆者の条件  筆者の癌治療の概要を簡単に説明する。 癌が見つかったのは昨年の夏だ。ある大学病院を選んで治療することにした。手術で病変部分を取り切れると見込まれる食道癌の現在の標準治療は、先に抗癌剤治療を二度程度入院して行い、その後に手術を行うものだ。筆者は、つごう三度、合計40日程度入院した。 手術を受けたのは昨年の10月下旬で、術後13日で退院した。治療の進歩とともに厚生労働省の方針もあってか、入院は意外に短かった。 現在、手術後3カ月と少々が経過し、再発防止のための投薬治療を続けている。幸い、概ね順調な回復過程をたどっていて、先般の術後3カ月目のCT(コンピュータ断層撮影)検査では再発・転移は見つかっていない。 筆者は発病時も現在も満64歳で、証券会社の社員であり、東京証券業健康保険組合に加入している。民間保険会社のがん保険には一切入っていなかった。さて、筆者の癌に治療費はいくらかかったのだろうか?』、「つごう三度、合計40日程度入院」、した場合の「治療費」はいくらかかったのだろう。
・『筆者の場合の治療費負担  確定申告を控えた時節柄、筆者の手元には医療費の領収書がまとめられている。支払いで大きなものは、3回の入院から退院した際に行った支払いだが、1回目の入院の際に67万円、2回目の入院で55万円、手術を含む3回目の入院の際の支払いが83万円だ。合計で205万円である。なお、以下も含めて、金額は1万円単位で大まかに記述する。 それぞれの支払いは、まず診察券を支払い用の端末機に入れ、次にクレジットカードを入れて暗証番号を打ち込むだけだった。その後に、機械から領収書と診療明細書など数枚がプリントアウトされて完了だ。支払い自体には3分もかからない。 手術入院の退院までを一区切りと考えると、ここまでに、大学病院で支払ったその他の医療費(検査費用、処方薬代など)と、大学病院に至る前の段階でお世話になった街のお医者さん3軒や調剤薬局で払った費用の領収書が、「合計で、20万円を超えるかもしれないけれども、30万円には至るまい」と思える程度に存在する。多めに見て、医療費の合計を235万円と見積もっておこう。 この235万円の支払いの大きな部分は、いわゆる差額ベッド代だ。一泊約4万円で、合計40泊している。この大学病院は個室(シャワー付き)の部屋代が相対的にやや高めだと後から分かった。近隣の大きな病院は3万円台半ばくらいの設定が多い。地方の病院だともっと安い場合が多いだろう。 病院の選択に当たっては、個室代などの価格を全く気にしていなかった。病院の症例数や執刀してくれる医師の経験や評判などで決定した。結果的に「当たり」だったと思うが、この点は真剣に選んだ。少々の値段の差よりも、受けられる治療の質が重要だと考えた(普通の考えだと思う)。 個室を選んだ理由は、主に、消灯時間が自由であることや、原稿書きや電子メール、オンライン会議ができることなどだ。個室代分を稼ぎ出すほど熱心に仕事をしたわけではないが、仕事に穴を空けずに済んだし、他の患者さんに気を遣わずに済んだので、これで良かったと思っている。 同じ病院でもっと高い部屋のオプションが複数あったし、4人一部屋の入院だと一泊約7000円なのだが、この辺を自分の現状にとってほどほどだと判断した。もう入院せずに済むといいのだが、仮に再入院するとしたら、同様の条件の部屋をまた選ぶだろう』、「病院の選択に当たっては、個室代などの価格を全く気にしていなかった。病院の症例数や執刀してくれる医師の経験や評判などで決定した。結果的に「当たり」だったと思うが、この点は真剣に選んだ。少々の値段の差よりも、受けられる治療の質が重要だと考えた」、オーソドックスな考え方だ。「個室を選んだ理由は、主に、消灯時間が自由であることや、原稿書きや電子メール、オンライン会議ができることなどだ。個室代分を稼ぎ出すほど熱心に仕事をしたわけではないが、仕事に穴を空けずに済んだし、他の患者さんに気を遣わずに済んだので、これで良かったと思っている」、私が大腸ヘルニアで聖路加国際病院で手術した際には、「個室」以外の選択肢はなく、高いけど優雅な入院生活を送った。
・『健康保険組合の給付金制度で医療費は思ったより安く  ちなみに、差額ベッド代は健康保険の対象外だ。また、税務的にも医療費として控除の対象にはならないと聞いている。この一泊4万円は、筆者の「自発的贅沢(ぜいたく)」だと思ってくれていい。もっと安く済ませることが十分可能だ。 加えて、差額ベッド代を除いた約75万円が全て自己負担の医療費になるかというと、現実はもっともっとお財布に優しかった。筆者の場合、健康保険組合独自の給付金制度があるからだ。 東京証券業健康保険組合の場合、一回に2万円を超える保険診療の医療費支払いは、2万円との差額が給付される制度がある。給付のタイミングは自己負担額の支払いの3カ月後だ。 他の健康保険組合では、医療費の支払い一回当たりに自己負担の上限を設けて計算するケースもあるし、1カ月の医療費に上限があって差額が後から補填されるケースもあるようだ。 また、加入員の自己負担における上限金額の設定に違いがある。個々の健康保険組合によって条件が異なるが、企業や業界単位の健康保険組合の場合は何らかの補填的給付があるケースが多い。特に、サラリーマンはご自身が加入する健康保険組合の条件をホームページなどで確認しておくといい。 例えば、初回の入院費を支払った昨年9月分の医療費では、保険診療分として筆者が窓口で機械に支払った金額が25万円だった。ところが、「一部負担還元金現金給付」として健康保険組合が支給してくれた金額が23万円あって、この支払いは12月半ばに行われている。 2度目の入院の支払い27万円と、2万円を超える通院の支払い3万円があった10月分には、後から26万円が支給されている。支給額の決定は支払い一件単位なので、前者の支払いに対して25万円と、後者の支払いに対して1万円の合計が26万円だということなのだろう。この月は2万円を超える支払いが2回あったので、筆者は4万円負担した。 3度目の入院の支払いがあった11月は、筆者の支払いが14万円で、健保組合からの給付は12万円だ。ここまでの3回で合計61万円支給されている。 なお、煩雑になるが本記事の性質上記しておくと、筆者が窓口で支払った金額のうち保険診療に該当する金額については、国民健康保険の高額療養費制度の上限額が支払いの上限になるように病院側が調整する仕組みがある。一回当たりの支払い額があまり大きくならないようにとの配慮だろう。 これが先に適用されて高額療養費制度で支払いの上限があり、まずこれを支払う。その支払い額に対して健康保険組合が一件2万円を超える分をさらに負担してくれる仕組みだ』、「健康保険組合独自の給付金制度」とはいい仕組みだ。
・『健康保険の保障は手厚い  ここまでのところ、個室代の160万円を筆者の個人的贅沢として考えて除外すると、健康保険でカバーされなかった「どうしても必要だった」医療費の支払いは、手術の入院が終わって治療が一段落した段階で十数万円だった(75万円マイナス61万円は14万円だ)ということになる。 今後の医療費はどうなるか。筆者は主治医と相談して、再発防止のための薬剤投与を行うことにした。毎月一回、1年間である。その他に、定期的に検査があったり、飲み薬の処方があったりするが、大きな金額ではない。 高価な薬だが、毎月の窓口の支払いは、保険適用部分が12万円に、時間を予約して診療できる仕組みの利用料が1万円の合計で13万円見当の予定だ。そして、12万円の方は健康保険組合の給付金を考えると負担が2万円に減る。結局、1カ月当たり3万円を1年間負担することになると見込んでいる。 改めて計算してみて、そもそものわが国の健康保険制度および健康保険組合(筆者の場合は東京証券業健康保険組合)の付加的な給付制度が、こんなに手厚いものなのかと感心する。 証券会社のサラリーマンである筆者の場合、どうしても必要な医療費支出は煎じ詰めると十数万円だった。本人の収入によって負担額が変わるが、国民健康保険の高額療養費制度までが負担の上限額になるフリーランスの場合も、筆者程度の癌にかかった場合の負担額は数十万円の単位だろう。「治療費が足りなくなる心配」だという理由からがん保険に加入する必要性はない場合が多いだろう。 読者は何らかの健康保険に加入しているに違いない。ならば、少々余裕を見るとして自由になる預金が200万円か300万円くらいあれば、入院の条件などをその都度考えるとして、健康保険が適用される標準的な治療を行う限り、がん保険に入っていなければ癌の治療費が払えないという事態はまずないだろう。 がん保険の保険料を毎月支払うよりも、預金なり積立投資なりで早く何百万円かの備えを作ることを考えた方がいいと筆者は思う。老後の生活に備えた蓄えの形成も必要なのだから、同時に行うといい』、「読者は何らかの健康保険に加入しているに違いない。ならば、少々余裕を見るとして自由になる預金が200万円か300万円くらいあれば、入院の条件などをその都度考えるとして、健康保険が適用される標準的な治療を行う限り、がん保険に入っていなければ癌の治療費が払えないという事態はまずないだろう。 がん保険の保険料を毎月支払うよりも、預金なり積立投資なりで早く何百万円かの備えを作ることを考えた方がいいと筆者は思う」、その通りだろう。
・『意思決定は結果論ではなく「事前」がベース  筆者が、がん保険に加入していたらどうだっただろうか。例えば、癌と診断を受けた時に50万円とか100万円といった一時金をもらえるケースもあるだろうし、入院一日当たり1万円とか2万円といった保険金も大いに助けになったはずだ。 筆者の場合も、癌にかかることが前から分かっていたなら、何らかのがん保険に入っておいた方が金銭的に「得」だった可能性は大きい。 しかし、がん保険に加入するか否かの意思決定は、自分が将来癌にかかるかどうかが分からない「事前の」時点で行うものだ。かつての筆者にとってもそうだったし、多くの読者にとってもそうあるべきだ。 筆者が思うに、特定の結果の損得と、確率を考えた「事前の」損得を区別して、後者のロジックに従って判断できるかどうかが、経済的に正しい意思決定ができるか否か、いわゆる「カモになるか否か」の一つの大きな分岐点だ。せっかく人間に生まれて、多少なりとも確率の概念が分かるのなら、正しく考えたいものだ。 ここで、しゃくし定規に真面目な人なら、将来自分が癌にかかる確率、その場合に支払われる保険金の予想額などを考え、他方の保険料負担と、保険料を他の運用に回した場合の期待リターンなどを考慮して、損得の期待値を計算するのかもしれないが、これは賢くない。本気でやるなら人生の時間の浪費だ。 保険会社が商品設計の際の計算に失敗しない限り、がん保険の条件は保険会社が十分利益を期待できる水準に設定されていて、加入者側にとって損であるに決まっている。なぜなら、平均的に加入者が得をするのであれば、原理的に保険会社はつぶれてしまうからだ。そして、商品としてのがん保険は長年にわたって継続しており、保険会社はもうかっているし、保険を売るための熱心なセールスの努力が続いている。推測の根拠は十分だ。 損得の点に関しては、営利会社であり保険の専門家でもある保険会社を大いに信用していいはずだ。「大人の経済常識」を働かせた判断として、確率と期待値を考えた損得の問題として、保険会社がもうかっているなら、加入者は損をしていると考えて間違いない』、「保険会社が商品設計の際の計算に失敗しない限り、がん保険の条件は保険会社が十分利益を期待できる水準に設定されていて、加入者側にとって損であるに決まっている」、「保険会社がもうかっているなら、加入者は損をしていると考えて間違いない」、その通りだ。
・『「がん保険には入らない」という結論を何度でも出すだろう  従って、仮に筆者が30代、40代の時分に戻って、将来癌にかかるかどうか分からない時点でがん保険の加入について検討するなら、「がん保険には入らない」という結論を、自信を持って出すはずだ。 なぜなら、がん保険に入ることが確率を考えると大幅に損である一方、万一癌にかかっても自分の手元のお金で十分対処できるからだ。この意思決定に不安はない。そして、この種の架空の状況の繰り返しが何度も可能であるとすれば、何度でもそうするだろう。 ただし、架空の人生のうち、何度かに一度は癌にかかって何らかの治療費を自己負担することになるに違いない。しかし、架空の人生を何度も通算すると、保険に加入しない方が大いに得になっているはずだ。 保険はお金の問題だ。感情を交えずに損得と必要性の有無で判断したい。 例えば、通院には交通費が掛かるが、この交通費をがん保険が支給してくれると嬉しいといった声がある。結果論として、嬉しかったり、助かったりする場合があるのはその通りだろう。しかし、保険会社は交通費を支払うような保険の場合に、交通費の発生確率や期待値も計算して保険料を設定しているはずだ。 また、そもそもがん保険に入る動機の小さくない部分が、癌にかかることへの不安の感情だろう。冷静に考えると、がん保険に入っても癌に罹患(りかん)する確率は少しも小さくならないのだが、不安な問題に何らかの対処を行ったということが、精神的な満足感につながることがある。率直に言ってこの満足感は賢くないし、賢くないことが我慢できても相当に高く付く。 保険一般として、利用の判断基準は、「損か、得か?」ではなく、「損だけれども、必要か?」であるべきだ。保険の専門家ほど、これが当たり前だと思っているはずだ。 自動車を運転する際の自賠責保険のように、平均的に損ではあろうけれども必要な保険というものはある。 他方、がん保険は、それ自体が損であることと同時に、がん保険がなくても治療費の支払いに心配はないので不要である。 これは、筆者の状況での判断だが、意思決定に影響を与える要素が筆者と同様の方は少なくないはずだ。ご参考になれば幸いだ。 読者ご自身の場合はどうなのか。ご判断は読者にお任せする』、「保険一般として、利用の判断基準は、「損か、得か?」ではなく、「損だけれども、必要か?」であるべきだ」、「がん保険は、それ自体が損であることと同時に、がん保険がなくても治療費の支払いに心配はないので不要である」、同感である。

次に、4月10日付け東洋経済オンライン「保険営業がいまだ抜け出せない不祥事の連鎖 再発防止を妨げる大量採用・大量離職問題」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/664676
・『「未然防止や再発防止のための取り組みが形式的・表面的なものにとどまらず、営業現場の隅々にまで浸透するよう、実効性のある管理態勢を整備・確立していくことが課題となっている」 これは金融庁が昨秋に公表した「保険モニタリングレポート」で、生命保険業界が抱える課題として記した一節だ。 大手生保を中心に、営業職員による金銭詐取事案が依然として頻発する中で、業界を挙げて取り組みを徹底するよう圧力をかける意味合いがあった。 『週刊東洋経済』4月10日(月)発売号では「保険動乱」として、契約者に加えて保険会社の営業職員が引き起こす不正行為とその舞台裏について特集している。 同レポートの公表と時を同じくして、業界団体の生命保険協会(生保協)は、営業職員の管理態勢をめぐる新たな指針の策定に着手。協会長の稲垣精二氏(第一生命会長)が旗振り役となり、営業職員チャネルを持つ20社のトップと意見交換するなど、急ピッチで策定作業を進めることになった』、「大手生保を中心に、営業職員による金銭詐取事案が依然として頻発」、由々しい状況だ。
・『生保協が新たな指針を策定  「ガイドライン(指針)として、業界に一律での自主規制を求めるのは筋が違うのではないか」 複数の生保からそうした反発の声が出る状況で、複雑に絡み合った利害関係のひもをほどくのは、簡単ではなかった。当初は2022年中に指針を取りまとめるとしていたが、実際にこぎ着けたのは今年2月になってからだ。 そのタイトルは「営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理態勢の更なる高度化にかかる着眼点」。「指針」の文字が抜け落ち「着眼点」となっているあたりに、一部生保の後ろ向きな姿勢がにじみ出ている。 ただし、その中身はというと、各社が管理態勢の強化に向けて取り組む際の原理・原則を、大きく15項目に分けて詳細に記しており、後々に言い訳できる逃げ場をなくそうとしていることが伝わってくる内容だ。 協会長会社として、管理指針取りまとめに奔走した第一生命の苦労がしのばれるが、そもそも新たな指針が必要な状況をつくったのは、第一生命でもある。) 今から2年半前の20年10月、第一生命は元営業職員が総額19億円の金銭詐取事件を引き起こしたと公表した。元職員は、特別調査役という第一生命で唯一与えられた肩書を利用し、「特別調査役に特別な特権・権限が与えられた。私にお金を預けたほうがよい」などと言って、顧客などに架空の投資話を持ちかけては金銭をだまし取っていた。 全国で約4万人いる営業職員の中で、優秀成績職員として第一生命の新聞広告にもたびたび登場していただけに、一営業職員の不祥事では済まされず、稲垣氏は当時社長として謝罪会見に追い込まれている』、「20年10月、第一生命は元営業職員が総額19億円の金銭詐取事件を引き起こしたと公表」、こんな巨額の「金銭詐取事件」を起こすとは、と驚いた記憶がある。
・『金銭詐取事案が頻発  その後、事態を重くみた金融庁は生保協を通じて、営業職員の管理に関する実態調査に踏み切ることになった。 21年4月に公表した実態調査では、19億円の金銭詐取事件を「特異な事例」としたうえで、当時の根岸秋男会長(当時の明治安田生命社長)は営業職員の管理について「各社に共通する課題や見直すべき問題点、また業界として課題視すべき事態は認められなかった」という発言をしていた。 ところが、それ以降も第一生命をはじめとして、金銭詐取事案が各社で継続的に発生。「いったい何をもってして、課題が認められなかったと言っていたのか」(金融庁幹部)と、金融庁の不興を買うことになった。 さらに金融庁と生保協は、22年1月にかけて2度目の実態調査に踏み切り、それが新たな管理指針を策定する契機になった。 指針を公表した直後の今年3月には、日本生命の長崎支社の元営業職員が、架空の保険商品を提案するなどして、約1530万円をだまし取る事案が発覚している。 不祥事が連鎖する事態を現場の営業職員はどうみているのか。 「伝説の営業職員」と呼ばれた柴田和子氏が名誉会長を務め、生保の営業職員を中心に約4万人の会員を抱えるJAIFA(生命保険ファイナンシャルアドバイザー協会)は、「営業職員は、お客様一人ひとりに真摯に向き合い『安心』と『満足』を提供する顧客本位の活動が重要であると考えている。そのため、一部の営業職員による不祥事案が起こってしまったことはとても残念であり、今後、不祥事がなくなることを望んでいる」と文書で回答した。 生保協が策定した管理指針については、「内容に対する評価をする立場にはないが、当協会としても連携できることは連携していきたい」としている』、「当時の根岸秋男会長(当時の明治安田生命社長)は営業職員の管理について「各社に共通する課題や見直すべき問題点、また業界として課題視すべき事態は認められなかった」という発言をしていた。 ところが、それ以降も第一生命をはじめとして、金銭詐取事案が各社で継続的に発生。「いったい何をもってして、課題が認められなかったと言っていたのか」(金融庁幹部)と、金融庁の不興を買うことになった」、確かに「根岸秋男会長」の発言はお粗末だ。
・『大量離職が招く悪弊  生保協調べの営業職員数は全国で24万人。そのうち6割強に当たる15万人は国内大手4社の営業職員が占めている。 「これだけの数がいれば、年間数件の不祥事に対して、いちいち目くじらを立てるのもどうなのか」という声が業界関係者から時折聞こえてくる。だが、生保は免許制の金融機関だ。法令順守に対する体制や意識が、その程度で本当によいのだろうか。 そもそも、不祥事が頻発する構造的な要因に対して、生保各社がどれだけ正面から向き合い、解消しようとしているのか。構造的な要因とは、営業職員の大量採用・大量退職、いわゆる「ターンオーバー問題」だ。下表でわかるとおり、入社から25カ月目の在籍率は、10年前に比べ改善してはいるものの、各社5割前後にとどまっている。いまだに、採用した人のおよそ半数が2年の間に退職してしまうという状態だ。 コンプライアンス研修で意識を徹底させようにも、短いスパンで顔ぶれが大幅に変わってしまってはどうしても実効性が乏しくなる。) さらに、ターンオーバー問題は別の問題も引き起こす。それは優秀成績職員への依存と忖度(そんたく)だ。支社ごとに契約獲得数などの営業目標を課すケースが多い状況で、新人が定着しないのであれば、おのずと優績職員に頼らざるをえない。 そうなると、優績職員の立場が強くなり、部長や支社長でも口を挟めなくなる。何か注意でもしようものなら、「役員の携帯に直接電話して不満をぶちまけるといったことは、この業界ではよくある話」(大手生保幹部)。そうしたことが、優績職員が日中どこで何をしているのか、誰もわからないという状況を招くわけだ。 第一生命の19億円事件をはじめとして、生保各社の金銭詐取事案は、そうした優績者に対する管理・監督不足に起因している場合が多い。 第一生命では、長年にわたって染み付いてしまった悪弊を改善しようと、特別調査役などの肩書を見直した。採用についても人材の質を高めるために、ピーク時の半分以下に新規採用数を絞り込むといった取り組みを進めている。 業界内では、営業職員チャネルの改革が最も進んでいるのは第一生命という声が多い。だが実は、その裏側で、経営陣主導による必死の取り組みに冷や水を浴びせるような事案が発生していたことはほとんど知られていない』、「ターンオーバー問題」・・・入社から25カ月目の在籍率は、10年前に比べ改善してはいるものの、各社5割前後にとどまっている。いまだに、採用した人のおよそ半数が2年の間に退職してしまう」、「優秀成績職員への依存と忖度」、確かに不祥事の温床だ。
・『損失を自腹で補塡  同事案が発覚したのは、21年秋のこと。当時、高齢の優績職員が付き合いの深い顧客に、投資話を持ちかけていたことがわかったのだ。預かった金銭をだまし取ったり、投資仲介で手数料を得たりしていたわけでは決してない。 ただ、投資先が筋悪の業者とは知らずに紹介したことで顧客が損失を抱えてしまい、優績職員はそれに焦ったのか「損失を自腹で補塡していた」(第一生命元役員)という。 これは保険業法に照らして、直ちに違反になるような行為ではない。しかし、第一生命が優績職員の営業適正化を進める中で、あってはならないグレーな行為だった。 第一生命社内でも一定の影響力を持つ優績職員だっただけに、同事案を知った役員たちの衝撃はそうとう大きかったようだ。 同事案について、第一生命は「営業職員を守りたいので、個人が特定できるような形で記事にしないでもらいたい」としているが、はたして今後どこまで隠し通せるだろうか。 この事案がきっかけかは定かでないが、金融庁は今、明治安田生命への立ち入り検査で、副業や投資勧誘行為の有無について、営業職員へヒアリングを進めている。もし同様の事例が多数見つかるようなことがあれば、金融庁の逆鱗(げきりん)に触れ、さらなる処分や規制強化があるかもしれない』、「明治安田生命への立ち入り検査」の結果が注目される。

第三に、5月11日付け東洋経済オンライン「あんしん生命、元営業職員4億円詐取に透ける課題 大量離職問題がもたらす再発防止の高い壁」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/671567
・『2022年末、保険業界に衝撃を走らせた東京海上日動あんしん生命の元営業職員による巨額詐欺事件。 同社は事件発覚後、弁護士などを中心とする特別調査委員会を設置し、事件発生の経緯や営業管理体制など組織上の問題点について調査。2023年4月に報告書をまとめた。 報告書を読み進める中で見えてくるのは、あんしん生命に限らず業界全体に横たわる人材難という根深い問題と、それがもたらす再発防止に向けた高い壁だ。事件の経緯を振り返りながら、そうした問題点について詳しく解説していこう』、興味深そうだ。
・『巧妙だった詐欺の手口  まず元社員による巨額の金銭詐取事件が発覚したのは、2022年10月のこと。ライフパートナー(LP)と呼ばれる40代の男性営業職員が、警察署に駆け込み自供したことがきっかけだ。 その主な手口は、契約内容の変更などと顧客に虚偽の説明をしながら、名義を元LPの知人などに巧妙に変更したうえで、その後解約や契約者貸し付けなどを利用し金銭をだまし取るというものだった。 元LPは顧客が不審に思わないように、「名義変更」などと書かれた部分に付箋を貼り隠しながら手続きさせていたといい、書類を記入した顧客が名義変更の手続きだったと気付いていなかったケースもあったという。 あんしん生命では事件発覚前まで、契約名義を変更しても変更前の名義人には通知を送付しない対応をとっており、元LPはその仕組みを熟知したうえで悪用したとみられる。このほか架空契約といった手口も駆使しており、被害者は個人7人、法人13社で被害金額は合計で4.1億円にも上るという。) あんしん生命では2022年12月以降、名義変更手続きをした場合は変更前の名義人にも手続き完了の通知を送付するように対応を改めているが、それによって同様の手口を今後封じ切れるわけではない。なぜなら「『システム上どうしても通知が送付されてしまうけれども、不要なので廃棄してください』などと事前に言っておけば、顧客は不審に思わず、発覚しにくいからだ」と大手生保のある幹部は話す。 あんしん生命では、再発防止策として上記のほかに支社や本社における営業管理体制や新規契約に偏った人事評価・報酬制度の抜本的な見直し、コンプライアンス(法令順守)部門の増員なども打ち出している。だがそれらも結局は泥縄式の対応でしかなく、それさえこなせば根本的な原因の解消につながるというものではない。 では、再発防止策の実効性を高めるために求められる取り組みとはいったい何なのか。その1つは、今回の報告書ではまったく触れられていない「ターンオーバー」と呼ばれる営業職員の大量採用・大量離職問題への対応だ。 そもそもあんしん生命に在籍する約650人のLPのうち、入社から25カ月目に残っている人の割合は50.5%にとどまる。2年間で約半分の人が入れ替わってしまうというのが実情で、これはほかの生保にも共通する構造的な問題だ。 そうした状況の中で、不正を働いた元LPは中途採用で2010年に入社している。報告書によると、元LPは少なくとも入社から3年後には契約締結の見返りに金銭を契約者に提供するといった保険業法の違反行為に手を染め始めていたといい、もともとコンプライアンス意識の低い人物だったとみられる』、「主な手口は、契約内容の変更などと顧客に虚偽の説明をしながら、名義を元LPの知人などに巧妙に変更したうえで、その後解約や契約者貸し付けなどを利用し金銭をだまし取るというものだった。 元LPは顧客が不審に思わないように、「名義変更」などと書かれた部分に付箋を貼り隠しながら手続きさせていたといい、書類を記入した顧客が名義変更の手続きだったと気付いていなかったケースもあった」、「契約名義を変更しても変更前の名義人には通知を送付しない対応をとっており、元LPはその仕組みを熟知したうえで悪用したとみられる。このほか架空契約といった手口も駆使しており、被害者は個人7人、法人13社で被害金額は合計で4.1億円にも上る」、悪質だ。「再発防止策の実効性を高めるために求められる取り組みとはいったい何なのか。その1つは、今回の報告書ではまったく触れられていない「ターンオーバー」と呼ばれる営業職員の大量採用・大量離職問題への対応だ。 そもそもあんしん生命に在籍する約650人のLPのうち、入社から25カ月目に残っている人の割合は50.5%にとどまる。2年間で約半分の人が入れ替わってしまうというのが実情で、これはほかの生保にも共通する構造的な問題だ」、こんなに「ターンオーバー」が高いのであれば、コンプラインスに目がいく筈もないだろう。
・『人材の質を確保するには  不正の再発防止に向けたさまざまな仕組みを会社として整えたところで、そうした人物が営業部隊にひとたび入り込めば、管理の網をすり抜けるようにして不正行為が発生してしまう。その現状において、頼みの綱になるのは個々の職員の高い倫理観だ。しかしながら、たった2年で半数の顔ぶれが変わるような状況で、倫理観の高い人材を集め続けるというのは至難の業だろう。 もし現状の運用では人材の質を保てないというのであれば、おのずと採用者を厳選して質を維持できる水準まで営業の陣容を縮小するしかない。今から3年前、19億円の巨額詐欺事件を引き起こした大手生保の第一生命では、すでに営業職員の年間採用数をピーク時の約3分の1にまで絞り込んでいる。 東京海上グループの子会社として、これまで親会社から高い業績目標を課され、業容拡大を最優先してきたあんしん生命が、規模縮小という真逆の経営判断に踏み込めるかどうか。それが今後の経営改革の本気度を測る一つの指標になりそうだ』、「頼みの綱になるのは個々の職員の高い倫理観だ・・・もし現状の運用では人材の質を保てないというのであれば、おのずと採用者を厳選して質を維持できる水準まで営業の陣容を縮小するしかない。今から3年前、19億円の巨額詐欺事件を引き起こした大手生保の第一生命では、すでに営業職員の年間採用数をピーク時の約3分の1にまで絞り込んでいる」、「これまで親会社から高い業績目標を課され、業容拡大を最優先してきたあんしん生命が、規模縮小という真逆の経営判断に踏み込めるかどうか。それが今後の経営改革の本気度を測る一つの指標になりそうだ」、その通りだ。 
タグ:保険 (その7)(癌になって思う「がん保険は やっぱり不要だ」、保険営業がいまだ抜け出せない不祥事の連鎖 再発防止を妨げる大量採用・大量離職問題、あんしん生命 元営業職員4億円詐取に透ける課題 大量離職問題がもたらす再発防止の高い壁) ダイヤモンド・オンライン 山崎 元氏による「癌になって思う「がん保険は、やっぱり不要だ」」 「「不幸」と「幸い」の比較は、残念ながら「不幸」の勝ちだ。最大限に治っても病前の状態までは回復しない。端的に言って、以前と同じように飲んだり食べたりできるようにはならない。飲んだり、食べたりは、本当に楽しかった。ビジネスや人間関係の上でも大変有効だった。そして、何よりも再発のリスクを抱えている。食道癌は再発や転移が多い癌なのだ。読者は癌にかからない方がいい』、 「最大限に治っても病前の状態までは回復しない。端的に言って、以前と同じように飲んだり食べたりできるようにはならない」、「食道癌は再発や転移が多い癌なのだ」、なるほど。 「つごう三度、合計40日程度入院」、した場合の「治療費」はいくらかかったのだろう。 「病院の選択に当たっては、個室代などの価格を全く気にしていなかった。病院の症例数や執刀してくれる医師の経験や評判などで決定した。結果的に「当たり」だったと思うが、この点は真剣に選んだ。少々の値段の差よりも、受けられる治療の質が重要だと考えた」、オーソドックスな考え方だ。 「個室を選んだ理由は、主に、消灯時間が自由であることや、原稿書きや電子メール、オンライン会議ができることなどだ。個室代分を稼ぎ出すほど熱心に仕事をしたわけではないが、仕事に穴を空けずに済んだし、他の患者さんに気を遣わずに済んだので、これで良かったと思っている」、私が大腸ヘルニアで聖路加国際病院で手術した際には、「個室」以外の選択肢はなく、高いけど優雅な入院生活を送った。 「健康保険組合独自の給付金制度」とはいい仕組みだ。 「読者は何らかの健康保険に加入しているに違いない。ならば、少々余裕を見るとして自由になる預金が200万円か300万円くらいあれば、入院の条件などをその都度考えるとして、健康保険が適用される標準的な治療を行う限り、がん保険に入っていなければ癌の治療費が払えないという事態はまずないだろう。 がん保険の保険料を毎月支払うよりも、預金なり積立投資なりで早く何百万円かの備えを作ることを考えた方がいいと筆者は思う」、その通りだろう。 「保険会社が商品設計の際の計算に失敗しない限り、がん保険の条件は保険会社が十分利益を期待できる水準に設定されていて、加入者側にとって損であるに決まっている」、「保険会社がもうかっているなら、加入者は損をしていると考えて間違いない」、その通りだ。 「保険一般として、利用の判断基準は、「損か、得か?」ではなく、「損だけれども、必要か?」であるべきだ」、「がん保険は、それ自体が損であることと同時に、がん保険がなくても治療費の支払いに心配はないので不要である」、同感である。 東洋経済オンライン「保険営業がいまだ抜け出せない不祥事の連鎖 再発防止を妨げる大量採用・大量離職問題」 「大手生保を中心に、営業職員による金銭詐取事案が依然として頻発」、由々しい状況だ。 「20年10月、第一生命は元営業職員が総額19億円の金銭詐取事件を引き起こしたと公表」、こんな巨額の「金銭詐取事件」を起こすとは、と驚いた記憶がある。 「当時の根岸秋男会長(当時の明治安田生命社長)は営業職員の管理について「各社に共通する課題や見直すべき問題点、また業界として課題視すべき事態は認められなかった」という発言をしていた。 ところが、それ以降も第一生命をはじめとして、金銭詐取事案が各社で継続的に発生。「いったい何をもってして、課題が認められなかったと言っていたのか」(金融庁幹部)と、金融庁の不興を買うことになった」、確かに「根岸秋男会長」の発言はお粗末だ。 「ターンオーバー問題」・・・入社から25カ月目の在籍率は、10年前に比べ改善してはいるものの、各社5割前後にとどまっている。いまだに、採用した人のおよそ半数が2年の間に退職してしまう」、「優秀成績職員への依存と忖度」、確かに不祥事の温床だ。 「明治安田生命への立ち入り検査」の結果が注目される。 東洋経済オンライン「あんしん生命、元営業職員4億円詐取に透ける課題 大量離職問題がもたらす再発防止の高い壁」 「主な手口は、契約内容の変更などと顧客に虚偽の説明をしながら、名義を元LPの知人などに巧妙に変更したうえで、その後解約や契約者貸し付けなどを利用し金銭をだまし取るというものだった。 元LPは顧客が不審に思わないように、「名義変更」などと書かれた部分に付箋を貼り隠しながら手続きさせていたといい、書類を記入した顧客が名義変更の手続きだったと気付いていなかったケースもあった」、 「契約名義を変更しても変更前の名義人には通知を送付しない対応をとっており、元LPはその仕組みを熟知したうえで悪用したとみられる。このほか架空契約といった手口も駆使しており、被害者は個人7人、法人13社で被害金額は合計で4.1億円にも上る」、悪質だ。「再発防止策の実効性を高めるために求められる取り組みとはいったい何なのか。その1つは、今回の報告書ではまったく触れられていない「ターンオーバー」と呼ばれる営業職員の大量採用・大量離職問題への対応だ。 そもそもあんしん生命に在籍する約650人のLPのうち、入社から25カ月目に残っている人の割合は50.5%にとどまる。2年間で約半分の人が入れ替わってしまうというのが実情で、これはほかの生保にも共通する構造的な問題だ」、こんなに「ターンオーバー」が高いのであれば、コンプラインスに目がいく筈もないだろう。 「頼みの綱になるのは個々の職員の高い倫理観だ・・・もし現状の運用では人材の質を保てないというのであれば、おのずと採用者を厳選して質を維持できる水準まで営業の陣容を縮小するしかない。今から3年前、19億円の巨額詐欺事件を引き起こした大手生保の第一生命では、すでに営業職員の年間採用数をピーク時の約3分の1にまで絞り込んでいる」、 「これまで親会社から高い業績目標を課され、業容拡大を最優先してきたあんしん生命が、規模縮小という真逆の経営判断に踏み込めるかどうか。それが今後の経営改革の本気度を測る一つの指標になりそうだ」、その通りだ。
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相次ぐ警察の重大ミス(その8)(なぜ警察は助けを求める人を見殺しにするのか…「博多ストーカー殺人事件」を防げなかった根本原因 法律があれば犯罪がなくなると錯覚している、あの時本腰を入れていれば…「ルフィ事件」被害拡大の裏に日本の警察の“怠慢”、警視庁公安部の闇 報告書に「私が言ってもないことが書かれている」 防衛医大校長がずさんな捜査に怒り) [社会]

相次ぐ警察の重大ミスについては、2020年4月10日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その8)(なぜ警察は助けを求める人を見殺しにするのか…「博多ストーカー殺人事件」を防げなかった根本原因 法律があれば犯罪がなくなると錯覚している、あの時本腰を入れていれば…「ルフィ事件」被害拡大の裏に日本の警察の“怠慢”、警視庁公安部の闇 報告書に「私が言ってもないことが書かれている」 防衛医大校長がずさんな捜査に怒り)である。

先ずは、本年2月3日付けPRESIDENT Onlineが掲載したジャーナリストの元木 昌彦氏による「なぜ警察は助けを求める人を見殺しにするのか…「博多ストーカー殺人事件」を防げなかった根本原因 法律があれば犯罪がなくなると錯覚している」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/66122
・『「女性のほうも悪かった」と自己弁護  ストーカー殺人事件はなぜなくならないのか。 2000年にストーカー規制法が成立し、2021年には「EメールやSNSメッセージの連続した送信」や「転送を前提にして空の封筒にGPS機器を入れ、送付して住所を調べる、宅配便を送り受領通知を受けることで行動を把握するといったケース」も処罰の対象にする改正が行われた。 だが、警察には年間2万件、一日50件以上の相談が寄せられ、相談に行かない人を含めると大変な数の被害者がいると思われる。 今年の1月16日夕刻、川野美樹さん(当時38歳)が、JR博多駅前の路上で頭や胸など10カ所を刺され、帰らぬ人となってしまった。 週刊文春(2月2日号、以下文春)は、なぜこの事件が起きてしまったのかを詳細に報じているので見てみたい。 川野さんは福岡県那珂川市の会社員で、11歳の娘を持つシングルマザーだった。 事件から2日後に逮捕されたのは元交際相手の飲食店店員・寺内進容疑者(31)。 「寺内は『復縁を求めたが、かなわずに刺した』と動機を語る一方、『女性のほうも悪かった』と自己を正当化する供述をしている」(社会部記者) 文春によれば、川野さんは愛知県名古屋市に生まれたが、彼女が幼い頃に両親が離婚して、女手一つで育てられたそうだ。 母親は自宅でエステ店を開き、彼女は歌が上手くて評判の美少女だった』、「歌が上手くて評判の美少女だった」のであれば、「沖縄」の「名門アクターズスクールに入所」もさもありなんだ。
・『名門アクターズスクールに入所するも…  中学生になると、 「安室ちゃんみたいに、歌って踊れるアーティストになりたい」 という夢を持つ。友人の前で安室奈美恵の『CAN YOU CELEBRATE?』を歌うと拍手喝采されたという。 そんな彼女が、沖縄のアクターズスクールに入学したいと思うようになるのは必然だった。 中学卒業後、単身で安室奈美恵やSPEEDを輩出した念願のアクターズスクールに入った。 「恩納村のムーンビーチにあった、アクターズスクール系のインターナショナル・スクール『ドリームプラネット』に通いながら日々、レッスンを受けていました。 同期は三十~五十人。美樹ちゃんは県外から来ているだけあって、エネルギーとやる気に満ち溢れ、いつも輪の中心にいた。仲間思いで誰からも慕われ、人気者でしたね」(当時の恩師) 同じ志を持った仲間と、休日は北谷町や名護市に遊びに出かけ、夢を語り合った。だが、1年余りスクールに通ったが、歌手デビューすることは叶わなかった。 歌手になる夢を諦めて、彼女が向かった先は東京だった。 下町にある家賃約6万円の単身者用マンションから、東京の狭い空を見上げて何を思ったのだろう。 「東京への憧れも強かったのでしょう。といっても働き口はなく、当時はキャバクラで働いて生計を立てていました。美人なので人気があり、彼氏にも困らなかった」(名古屋時代の知人) 母親は福岡県出身の男性と再婚して、名古屋を離れ福岡で暮らし始めたが、その結婚生活は楽ではなかったという』、「1年余りスクールに通ったが、歌手デビューすることは叶わなかった。 歌手になる夢を諦めて、彼女が向かった先は東京」、「当時はキャバクラで働いて生計を立てていました」、なるほど。
・『結婚するもほどなく離婚し、福岡へ  彼女も東京を離れる時が来た。大阪府出身の男性と結婚したのだ。2011年に長女を出産。大阪府岸和田市に移り、母親と娘3人で、東京ディズニーランドへ旅行したのは、娘が2歳の誕生日を迎える頃だったという。 だが、結婚生活は長くは続かず、数年後に離婚。母親と同じシングルマザーの道を選び、佐川急便に事務職として勤務しながら生きることになる。 「苦労はしていたが、いつも笑顔でイキイキしていた。ただ、お酒が好きで、呂律が回らなくなるまで飲むこともあった」(元夫の友人) 生きていく苦しさを酒で紛らわせていたのだろうか。 約6年前、家族ぐるみで付き合っていた友人に彼女から電話が入る。娘を育てながらの生活は大変だから、母親のいる福岡へ行くというのだ。 母親は快く娘を受け入れてくれたという。住まいは福岡市から少し離れた那珂川市にある2階建ての賃貸住宅。 彼女には歌手とは別にもう一つの夢があった。母親がエステ業界に関わっていたため、彼女も「人を綺麗にすることが好き」だったという。 自宅から歩いて行けるマンションの一室を借り、200万円以上のローンを組み、大阪府にあるエステチェーンのフランチャイズ店を開いたのだ。 だが、思惑通りにはいかず、コロナ蔓延という不幸な事態もあったためか、初期投資が回収できず間もなく店を畳んでしまった。 2020年8月に破産手続きをして、翌年4月には自己破産。 生活を立て直すために彼女が足を向けたのは、九州一の歓楽街・中洲の高級クラブ「S」だった。 寺内容疑者は「突然キレて物を投げたり、どついたり…」 昼間は派遣会社で働き、夜は蝶として舞い、週末は子育て。楽しみは大のファンである中日ドラゴンズの応援と、娘と一緒に通うジムだったという。 娘とお揃そろいのドラゴンズのユニフォームを着て、仲よくトレーニングする写真が、友人限定のフェイスブックに上げられた。 娘との笑顔の写真。思い出の沖縄にも、たびたび娘を連れて訪れていたそうである。 だが、川野さんが昨年春、中洲のバー「X」で寺内と出会ったことで大きく人生が暗転する。 「茶色の短髪に鋭く切り込んだ細い眉。関西弁を操るアヒル口の男が寺内だった」(文春) この店は「S」の系列店で、昨年1月に店を辞めていたが、時々ヘルプで店に入ることもあり、「X」のようなバーに遊びに行くこともあったという。 寺内は1991年8月生まれ。大阪市福島区で、父親が働く運輸会社の寮で育った。母親はラウンジで働いていて夜はいない。父親もほとんど家にいなかったそうだ。 そんな寺内は中学進学後に変わってきたという。 「友達の家で突然キレて物を投げたり、どついたりして喧嘩を始める。中学はお弁当だったけど、彼はいつもファミリーマートのおにぎり。部活はしてなかったが、ボクシングを習っていた」(学校関係者) 目が合っただけで殴られた生徒もいた。日に日に暴力沙汰を起こす寺内は、教師にも牙をむいた』、「結婚するもほどなく離婚し、福岡へ」、「自宅から歩いて行けるマンションの一室を借り、200万円以上のローンを組み、大阪府にあるエステチェーンのフランチャイズ店を開いたのだ。 だが、思惑通りにはいかず、コロナ蔓延という不幸な事態もあったためか、初期投資が回収できず間もなく店を畳んでしまった。 2020年8月に破産手続きをして、翌年4月には自己破産。 生活を立て直すために彼女が足を向けたのは、九州一の歓楽街・中洲の高級クラブ「S」だった」、「川野さんが昨年春、中洲のバー「X」で寺内と出会ったことで大きく人生が暗転する。 「茶色の短髪に鋭く切り込んだ細い眉。関西弁を操るアヒル口の男が寺内だった」(文春) この店は「S」の系列店で、昨年1月に店を辞めていたが、時々ヘルプで店に入ることもあり、「X」のようなバーに遊びに行くこともあったという」、「寺内は中学進学後に変わってきた・・・部活はしてなかったが、ボクシングを習っていた」・・・目が合っただけで殴られた生徒もいた。日に日に暴力沙汰を起こす寺内は、教師にも牙をむいた」かなり危険な男のようだ。
・『「俺のバックには山健組がいとるんや」  「ボクシングの強豪校に推薦が決まっていたけど、教頭先生を殴って推薦が飛んだんですわ。学校が被害届を出し、更生施設送りになったと校内で噂が立った。実際、三年生の大半は学校に来ていなかった」(同) 地元の高校に進むも中退した寺内は、大阪市中央卸売市場に勤め始めるが、祭りですれ違った同級生に対して、 「お前、金持ってるか。俺のバックには神戸の山健組がいとるんや」 と凄んだという。 髪を金色に染め、バラのタトゥーを右胸に刻んで、どっぷり夜の世界に浸かっていった。 「十三年、大坂のショーパブ『K』に二十歳そこそこの寺内が入店してきた。すると直後、酔って先輩従業員に暴行したのです。警察沙汰にはしなかったものの、本社のある東京で教育し直すことに。ところが、指導を厳しく感じたのか、あいつは二~三カ月で飛んでしまった」(元同店経営者) 逃げるように大坂に舞い戻った寺内はさまざまな飲食店を渡り歩いたという。 2015年3月、窃盗容疑で大阪府警に逮捕される。そんな寺内を拾ったのは兵庫県内のキャバクラだった。 黒服として働いていたが、見かけによらずレディファーストだったという。女性には一途で、高級バッグをプレゼントしたりしていたそうだが、信じられないほど幼稚な面があったという』、「髪を金色に染め、バラのタトゥーを右胸に刻んで、どっぷり夜の世界に浸かっていった」、「そんな寺内を拾ったのは兵庫県内のキャバクラだった。 黒服として働いていたが、見かけによらずレディファーストだったという」、なるほど。
・『「自分は別れていない。許さんぞ」  当時の交際相手はこう語っている。 「束縛が激しく、携帯を盗み見るなんて日常。友達と遊びに行くときは、いつでも連絡できるようにしておかないと彼は怒り狂うから、遊びにも行けへんかった」 その過度な束縛癖が嫌になり、彼女は警察に相談に行ったという。しかし、別れた後も家に来て、「別れてない」としつこくいい続けたそうだ。 大阪市東淀川区に知人と一緒に「ぼったくりバー」をオープンさせたが、数カ月で潰れた。 周囲に「人生をやり直す」といって、縁もゆかりもない九州へ飛び立ち、鹿児島や熊本を経て、福岡の地に足を踏み入れたのは約1年前だったそうである。 そして昨年春、川野さんと知り合い、交際を始めたという。男と女というものは不思議なものだ。寺内のどこに彼女は惹かれたのだろう。 だが寺内は本性を現し、彼女を束縛していく。寺内の言動に危険を感じた彼女が、初めて福岡県警に相談に行ったのは昨年の10月21日のことだった。 「携帯電話を盗られた。相手とも別れたい」 切羽詰まった様子で被害を訴え、その翌日、寺内に別れを告げたという。だが寺内は、「自分は別れていない。許さんぞ」と繰り返した。 10月24日に警察から警告を受け、それでも、寺内が彼女の職場に押しかけたり、電話をしたり、つきまとい行為を止めなかったため、11月26日に春日署はストーカー規制法に基づく禁止命令を出した』、「福岡の地に足を踏み入れたのは約1年前だったそうである。 そして昨年春、川野さんと知り合い、交際を始めたという。男と女というものは不思議なものだ。寺内のどこに彼女は惹かれたのだろう。 だが寺内は本性を現し、彼女を束縛していく。寺内の言動に危険を感じた彼女が、初めて福岡県警に相談に行ったのは昨年の10月21日のことだった。 「携帯電話を盗られた。相手とも別れたい」 切羽詰まった様子で被害を訴え、その翌日、寺内に別れを告げたという。だが寺内は、「自分は別れていない。許さんぞ」と繰り返した。 10月24日に警察から警告を受け、それでも、寺内が彼女の職場に押しかけたり、電話をしたり、つきまとい行為を止めなかったため、11月26日に春日署はストーカー規制法に基づく禁止命令を出した」、なるほど。
・『福岡県警の対応に問題はなかったのか  川野さんは勤務先の人材派遣会社で昇進が決まり、喜んでいたそうだ。11歳になった娘を絵画教室に送り迎えする姿は、幸せそのものに見えたという。 だがその幸せを、寺内の刃渡り20センチの刃物が切り裂いてしまったのである。 周囲を明るく照らす太陽のようだった彼女は、生きていれば39歳の誕生日だった日に、親しい友人らに囲まれて荼毘に付された。 文春は触れていないが、川野さんから相談を受けた福岡県警と那珂川市を管轄する春日署の事件対応に問題はなかったのだろうか。 たしかに、寺内の逮捕歴や威嚇、粗暴な性格などを鑑かんがみて、規制法に基づいて接近禁止令を出し、本人にも伝えたようだが、これまでの事例を見ても分かるように、「法的対応を受けることで動揺して不安を強めたり、逆恨みしたりする恐れもある」(産経新聞1/19〈木〉20:49配信)のだ。 私事で恐縮だが、はるか昔、私が月刊現代という部署にいるとき、講談社の女性社員から、妹が右翼で暴力団員を名乗る男に付きまとわれ、困っていると相談を受けたことがあった。 私は友人の右翼の大物に相談して、その男と対峙しようとなった。だが、それを察知した男は、娘ではなく身体の悪い父親を自宅から拉致し、どこかに監禁してしまったのだ。 当時はストーカー規制法などない時代で、娘が警察に相談に行っても、「民事不介入」を盾に動いてくれない』、「私が月刊現代という部署にいるとき、講談社の女性社員から、妹が右翼で暴力団員を名乗る男に付きまとわれ、困っていると相談を受けた・・・ことがあった。 私は友人の右翼の大物に相談して、その男と対峙しようとなった。だが、それを察知した男は、娘ではなく身体の悪い父親を自宅から拉致し、どこかに監禁・・・娘が警察に相談に行っても、「民事不介入」を盾に動いてくれない」、なるほど。
・『毎年のように何度も起きている  私と彼で、男のヤサを探し出して踏み込んだ。父親が縛られて地下室にいるのを見つけたが、男は逃げた後だった。ストーカーではなく父親の拉致・監禁罪で訴え、男は捕まった。だが、出てきたらまた同じことを繰り返すのではないかと数年、彼女と連絡を取り続けた。 今は規制法ができたために、当時よりはよくなったと思うが、今回のようなストーカー行為から殺人事件に至る悲劇は毎年のように何度も起きている。 朝日新聞デジタルで「ストーカー殺人」で検索すると、いくつも出てくる。 小金井ストーカー殺人未遂事件(2016年5月21日)。芸能活動を行っていた女性のファンを自称する男が、ライブハウスで彼女を刺殺しようとした。 2018年2月6日。フィリピン国籍の女性をストーカーしていた男が刃物を持って家に押し入り、一家3人を襲撃して家に火をつけた。 2020年6月。静岡県沼津市の女子大生が、同じ大学に通う21歳の男に腹や首などを刺されて殺害された。好意を抱き、一方的にLINEを送ったがブロックされたことで、「生きがいを奪われた」と逆恨みしたという。 2020年8月30日。東京中野区の38歳の女性が、元交際相手に殺害された。男はすぐカッとする性格で、別れを切り出すと、「死ぬ」「恨んでやる」というメールを送り付け、彼女の首を絞めたり殴ったりする傷害容疑で書類送検されていた。警視庁からも注意を受けていたが、犯行を止めることはできなかった』、「私と彼で、男のヤサを探し出して踏み込んだ。父親が縛られて地下室にいるのを見つけたが、男は逃げた後だった。ストーカーではなく父親の拉致・監禁罪で訴え、男は捕まった」、「今回のようなストーカー行為から殺人事件に至る悲劇は毎年のように何度も起きている。 朝日新聞デジタルで「ストーカー殺人」で検索すると、いくつも出てくる。 小金井ストーカー殺人未遂事件・・・東京中野区の38歳の女性が、元交際相手に殺害」などは、このブログでも紹介した。
・『ストーカー規制法のきっかけになった「桶川事件」  こうして見てくると、相手が一方的に好意を持ち、ストーカー行為をしてくると、女性の側(男性の場合もあるが)は、周囲に彼女を守ってくれる人間や、まれに、親身になってくれる警察官に出会えないと、自分の身を守ることは不可能かもしれないと思えてくる。 よくいわれることだが、法的な対応だけではなく、臨床心理士の面談などを通して加害者の心の問題にもアプローチしないと、根本的な解決にはならない。 しかし、今回の事件の寺内容疑者のように、粗暴で独占欲の強い人間が相手では、決め手になるとは思えない。 よく知られているように、ストーカー規制法ができたきっかけは、埼玉県桶川市で起きた女子大生殺人事件だった。 1999年10月に女子大生の猪野詩織さん(当時21歳)がJR高崎線桶川駅前で刺殺されるという事件が起きた。 当時写真週刊誌FOCUSの記者だった清水潔さんは、偶然、取材中に詩織さんと親しかった友人2人と知り合った。 2人から「詩織は小松(犯人)と警察に殺された」と聞き、詩織さんは「私が殺されたら犯人は小松」という遺言を残していたことを知る。 詩織さんは、小松(最初は偽名)とゲーセンで知り合い、付き合うようになった。自称青年実業家の小松は、高価なものをプレゼントしてくれた』、「桶川事件」は「写真週刊誌FOCUSの記者」の存在があったからこそ明らかになったようだ。
・『別れを切り出すと「徹底的にお前を潰す」  だが、そのうち態度が怪しくなり、「プレゼントの代金を払え、払えないならソープに行って働いて金を稼げ」と脅すようになった。 詩織さんは別れてほしいと何度も切り出したが、「別れるというのなら、徹底的にお前を叩き潰す」といい出し、見知らぬ男たちに尾行され、2人組が家に乗り込んできたこともあった。 家族と話し合った結果、埼玉県警上尾警察署に出向いて、相談する。だが刑事たちは、「これは事件にならない」「男と女の問題だから警察は立ち入れない」というばかり。 警察が何もしてくれないうちに事態は悪化していく。都内で彼女の写真入りのカードがバラまかれた。そこには「援助交際OK」と彼女の自宅の電話番号が書かれていた。 父親の会社に、根も葉もない中傷の匿名手紙が千通も送られてきた。そこで詩織さんは、このままでは殺されると思い立ち、警察に動いてもらうために刑事告訴することを決意する。だが警察は動かないばかりか、驚くことに、彼女の家に刑事が来て、「告訴を取り下げてほしい」といったのである。 そして惨劇が起こった』、「埼玉県警上尾警察署に出向いて、相談する。だが刑事たちは、「これは事件にならない」「男と女の問題だから警察は立ち入れない」というばかり。 警察が何もしてくれないうちに事態は悪化していく」、「警察に動いてもらうために刑事告訴することを決意する。だが警察は動かないばかりか、驚くことに、彼女の家に刑事が来て、「告訴を取り下げてほしい」といったのである。 そして惨劇が起こった」、酷い話だ。
・『12人が処分を受ける前代未聞の事態に  清水記者は、小松が池袋の性風俗店のオーナーであることを突き止め、実行犯も特定して撮影することに成功する。それらの情報を上尾署に伝えるが、動かない。 ようやく警察が動いて共犯者3人を逮捕したのは撮影してから3週間がたってからだった。主犯の小松は翌年の1月、道東の屈斜路湖で自殺体として発見された。 しかし、それだけでは終わらなかった。警察は告訴を取り下げるよういってきただけではなく、捜査や報告義務が必要になる「告訴状」を、面倒なために「被害届」に改竄していたことまで明るみに出たのである。 新聞、テレビはその間、警察から情報をもらって、彼らのいいなりに嘘情報を垂れ流していた。 「結局、改竄に関わった警察官三人は懲戒免職となり、虚偽公文書作成などの容疑で刑事責任も問われることになった。また、県警本部長を含む十二人が処分を受けるという前代未聞の事態となった」(清水潔『騙されてたまるか 調査報道の裏側』新潮新書) これは調査報道の「金字塔」としていまだに語り継がれている。 尊い命が失われたことをきっかけにできたのがストーカー規制法である。 この法律ができたために思わぬ副作用もあった。週刊誌の記者たちは取材者を追いかけ回したり、家の周りをうろうろできなくなったりしてしまったのだ。相手がストーカーだと警察に訴えれば、排除されてしまうからである』、「警察は告訴を取り下げるよういってきただけではなく、捜査や報告義務が必要になる「告訴状」を、面倒なために「被害届」に改竄していたことまで明るみに出たのである。 新聞、テレビはその間、警察から情報をもらって、彼らのいいなりに嘘情報を垂れ流していた。 「結局、改竄に関わった警察官三人は懲戒免職となり、虚偽公文書作成などの容疑で刑事責任も問われることになった。また、県警本部長を含む十二人が処分を受けるという前代未聞の事態となった」、本当に酷く腹立たしい事件だ。
・『法律があれば犯罪がなくなると錯覚しているのか  この規制法、何度も改正もしてきているが、ストーカー殺人を根絶するところまでいかないのはなぜなのだろう。 私は、警察がいまだに民事不介入のしっぽを残し、ストーカーもそうだが、家庭内の子どものDV被害にも消極的だからではないかと考えている。 それに、私の住んでいるような下町でも、警察官の巡回が少なくなったと感じている。 国家防衛という名目でテロ対策のような大犯罪に人を割かれ、昔のように「おまわりさん」として、近所を回って年寄りと話し込むというような余裕がないのであろう。 おまわりさんから警察官。そのうち特高警察となるのではないかと危惧している。ストーカーのような犯罪は、被害者に寄り添って、親身になってやらなければ、被害を防ぐことはできない。 法律だけ作れば犯罪がなくなるとでも錯覚しているのではないか。今度の事件を機に、いま一度原点に返り、ストーカー被害者を救うために何ができるのか、警察やメディアが共に、真剣に考えるべきだと、私は思う』、「この規制法、何度も改正もしてきているが、ストーカー殺人を根絶するところまでいかないのはなぜなのだろう。 私は、警察がいまだに民事不介入のしっぽを残し、ストーカーもそうだが、家庭内の子どものDV被害にも消極的だからではないかと考えている。 それに、私の住んでいるような下町でも、警察官の巡回が少なくなったと感じている。国家防衛という名目でテロ対策のような大犯罪に人を割かれ、昔のように「おまわりさん」として、近所を回って年寄りと話し込むというような余裕がないのであろう。 おまわりさんから警察官。そのうち特高警察となるのではないかと危惧している。ストーカーのような犯罪は、被害者に寄り添って、親身になってやらなければ、被害を防ぐことはできない。 法律だけ作れば犯罪がなくなるとでも錯覚しているのではないか。今度の事件を機に、いま一度原点に返り、ストーカー被害者を救うために何ができるのか、警察やメディアが共に、真剣に考えるべきだと、私は思う』、全く同感である。

次に、3月14日付け文春オンライン「あの時本腰を入れていれば…「ルフィ事件」被害拡大の裏に日本の警察の“怠慢”」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/61266
・『各地に点在する狼藉の痕跡が、元凶へと繋がっていく。その輪郭が見え始めた頃、既に1人の命が失われていた。「ルフィグループ」による犯行は、なぜ食い止められなかったのか』、興味深そうだ。
・『強盗事件の主要メンバー4人が日本に強制送還される  2月28日、強盗犯・加藤臣吾(24)を乗せた新幹線が東京駅に到着した。 「昨年12月の広島市の事件で、強盗傷害などで起訴済。この日、狛江事件にも関与したとして警視庁が再逮捕した。この事件では5人目の逮捕者」(社会部記者) 今年1月19日、東京都狛江市の民家で大塩衣与さん(90)が惨殺された強盗殺人。複数の強盗事件に関わった狂暴な永田陸人(21)ほか、最年長の野村広之(52)、都内私大生のY(19)、犯行に使うレンタカーを調達した福島聖悟(34)が逮捕されていた。 寄せ集めの兵隊を遠隔操作していた首謀者が「ルフィグループ」。主要メンバーは渡邉優樹、今村磨人(きよと)、藤田聖也(としや)(それぞれ38)、小島智信(とものぶ)(45)の4人である。 「首魁を解明、検挙することが重要だ」 露木康浩警察庁長官がそう明言したのは、狛江事件から1週間後のこと。そこから急転直下、2月2週目にはフィリピンのビクタン収容所に潜伏していた4人の身柄が日本に強制送還された。一見、スピード感ある展開だ。しかし――。 4人の逮捕容疑は、2019年、特殊詐欺に関与したとするもので、警視庁が逮捕状を取っていた。つまり、警察当局は3年以上前から後の「ルフィ」たちを認識していたことになる。) 「今村が19年、渡邉ら3人が21年にフィリピンの入管に拘束され、警視庁は警察庁を通じてフィリピンに身柄の引き渡しを求めた。だが、渡邉らは元妻など協力者に虚偽の告訴をさせたため、フィリピン側は国内で別の事件に関与したとして、引き渡し要請に応じなかった」(警視庁関係者) その間、4人は賄賂の横行する収容所内でスマホを入手。「ルフィ」や「キム」などテレグラムのアカウントを使い分け、犯行を続けた。特殊詐欺に加え、やがて強盗にも手を広げる』、「渡邉らは元妻など協力者に虚偽の告訴をさせたため、フィリピン側は国内で別の事件に関与したとして、引き渡し要請に応じなかった」、実に巧妙な「日本」への「引き渡し要請」遅延戦略だ。
・『日本の警察が本腰を入れて外交交渉をしていれば…  ルフィたちは縦割りの警察組織の間隙を突いた。 「関連事件は少なくとも14都府県、20件に及んでいた。京都府警など、フィリピンを発信源とする『ルフィ』なる指示役を把握していた警察本部もある。しかしそれらが共有され、渡邉や今村たちの存在と繋がるには、かなりタイムラグがあった」(前出・記者) 結果、ルフィの犯行に歯止めがかからず、死者を出してしまう。 「その後、日本側がフィリピンに引き渡しを要求したら、渡邉たちのスマホは押収され、虚偽告訴も退けられた。マルコス大統領が資金援助を求めて来日するタイミングでもあったが、日本の警察が本腰を入れて外交交渉をすれば、もっと早期に身柄の移送を実現できたのではないか」(警察OB)』、「死者を出してしまう・・・その後、日本側がフィリピンに引き渡しを要求したら、渡邉たちのスマホは押収され、虚偽告訴も退けられた・・・日本の警察が本腰を入れて外交交渉をすれば、もっと早期に身柄の移送を実現できたのではないか」、その通りだろう。
・『犯罪に加担する者をどう減らしていくか  被害がここまで拡大した裏には、警察の“怠慢”があったのだ。今村から強盗事件の盗品を受け取っていたとされるフィリピン人の女も日本にいたが、 「今年2月に逮捕状を取った時には、既に帰国されていた」(捜査関係者) 一方、ルフィ逮捕後も強盗や特殊詐欺が後を絶たない。2月3日、いわき市の高齢女性宅での強盗殺人事件は、実行犯もまだ逮捕されていない。ジャーナリストの多田文明氏が指摘する。 「犯罪組織の上位を摘発できるに越したことはありませんが、加担する者をどう減らしていくかも重要。実行役の入り口となる闇バイトに目を光らせる対策など、携帯会社を含めた官民一体の努力が必要です。実行役を確実に捕まえ、加担すれば必ず逮捕されることを徹底して周知すべきでしょう」 地道な捜査に、警察の威信がかかっている』、「「犯罪組織の上位を摘発できるに越したことはありませんが、加担する者をどう減らしていくかも重要。実行役の入り口となる闇バイトに目を光らせる対策など、携帯会社を含めた官民一体の努力が必要です。実行役を確実に捕まえ、加担すれば必ず逮捕されることを徹底して周知すべきでしょう」 地道な捜査に、警察の威信がかかっている」、その通りだろう。

第三に、5月8日付けデイりー新潮が掲載したジャーナリストの粟野仁雄氏による「「警視庁公安部の闇 報告書に「私が言ってもないことが書かれている」 防衛医大校長がずさんな捜査に怒り」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2023/05081104/?all=1
・『2020年3月、大川原化工機株式会社(本社・神奈川県横浜市)の社長ら3人が「武器に転用できる機械を中国に違法輸出した」という外為法違反の容疑で警視庁公安部に逮捕された。3人は1年近く勾留された末、公判直前に起訴が取り消され、検察は事実上の「敗北」を認めた。有識者の立場で警察に意見を伝えた防衛医科大学校の四ノ宮成祥(※正しくは示へんに羊)校長は、警察が作成した報告書の内容に異議を唱える。事件の詳細については、〈警視庁公安部のお粗末すぎる捜査…国賠訴訟を起こした大川原化工機幹部が語る「中国不正輸出冤罪事件」全真相〉で解説している。 【写真】生物兵器に転用できるとされた「噴霧乾燥機(スプレードライヤ)」と大川原社長』、「3人は1年近く勾留された末、公判直前に起訴が取り消され、検察は事実上の「敗北」を認めた」、国策捜査の酷い失敗だ 
・『滅菌、殺菌、消毒を誤用  生物兵器の製造に転用できる機械の輸出を規制する外国為替及び外国貿易法(外為法)違反の対象とされたのは、大川原化工機の主力製品「噴霧乾燥機(スプレードライヤ)」だった。 規制の対象となるのは、扉を開けたり移動したりせずに内部で滅菌または殺菌できる装置という条件があった。この「滅菌」と「殺菌」の定義について、警察は微生物学を専門とする防衛医科大学校(埼玉県所沢市)の四ノ宮成祥校長に意見を求めた。 四ノ宮氏は大川原化工機事件を取り上げた2022年11月16日放送の「クローズアップ現代」(NHK総合)のインタビュー取材に応じた。その中で、自身が話したことが警察の主張に合わせた内容に変えられて報告書が作成されていることを知り、「何とかならなかったのか」と悔いた。 「警視庁の方が何度か防衛医科大学校に来られました。電話でも話を聞かれました。実は私が事前に見せてもらって『これでよければサインしてください』と言われて了承して、サインと押印した文書がひとつだけあります」と四ノ宮氏は話す。 四ノ宮氏は微生物の専門家で、病原体に係る輸出規制の関係で経済産業省とも関わりがあり、国際輸出管理レジームであるオーストラリア・グループ(AG)を担当する経産省の官僚からも意見を求められてきた。生物兵器禁止条約(BWC)の国際会議にも参加している。 「供述調書」と題されたその文書には、2018年3月28日の聴取が再現されている。 《次に、噴霧乾燥機において、定置した状態で病原菌微生物を滅菌または殺菌することが求められる範囲について説明します。結論としまして、機器内部の病原体が粉体の状態で残留している箇所と言えます》 《したがって、被曝防止という規制の趣旨を鑑みると、機器において定置滅菌又は殺菌を擁する部分は、原液を粉体化するノズルなどの微粒化装置の先から、排気口に設置されたフィルタまでであり、原液を当該装置に送り込む個所などは含まないと解されます》 四ノ宮氏は「滅菌、殺菌、消毒という言葉は、われわれ専門家の間では厳密に区別されていますが、警察が作成した報告書を確認すると、かなり誤用されていた。しかし、経産省の省令でも翻訳の間違いなどで混同して使っていることがあるので、ある程度は仕方ないとは思っていた。『この辺は違いますよ』と例示して、但し書きつきであることを十分に説明してサインしてしまった。しかし、出来た文面を見ると言葉が独り歩きしている感じでした」と振り返る。 供述調書の大半は、炭疽菌やペスト菌などの危険性を説明した内容である。噴霧乾燥機についても四ノ宮氏が詳しく述べたようになっているが、こうした機器類の構造に詳しいわけではなく、警視庁の聴取者が説明したのに合わせて返事をしていただけだという』、「「滅菌、殺菌、消毒という言葉は、われわれ専門家の間では厳密に区別されていますが、警察が作成した報告書を確認すると、かなり誤用されていた。しかし、経産省の省令でも翻訳の間違いなどで混同して使っていることがあるので、ある程度は仕方ないとは思っていた。『この辺は違いますよ』と例示して、但し書きつきであることを十分に説明してサインしてしまった。しかし、出来た文面を見ると言葉が独り歩きしている感じでした」」、「噴霧乾燥機についても四ノ宮氏が詳しく述べたようになっているが、こうした機器類の構造に詳しいわけではなく、警視庁の聴取者が説明したのに合わせて返事をしていただけだという」、「四ノ宮氏が詳しく述べたようになっているが」、事実に反することはその場で訂正を申し入れるべきだった。
・『経産省の曖昧な判断基準を逆手に取る  さらに、警視庁は四ノ宮氏が話していない内容を混ぜ込んだ内部資料を同氏の預かり知らぬところで作成していたのである。四ノ宮氏は大川原化工機の顧問弁護士の高田剛氏(和田倉門法律事務所)からその資料を受け取り、驚いたという。 2017年11月16日付の四ノ宮氏からの「聴取結果報告書」には、結論部分にこう書かれている。 《噴霧乾燥機を空運転させて熱風を送り込めば装置内部が百度以上となり、結果的に大腸菌などの病原性細菌が死滅することになるからです》 外為法の規制の対象となる「内部を殺菌することができるかどうか」の判断基準は、規制をつかさどる経産省からも明確に提示されていなかった。そのため警視庁は、容器全体を100度を超える高温にすることができれば、この規制要件に該当することにしようとした。そこで微生物学の専門家である四ノ宮氏に警視庁の思惑通りの供述をさせ、自ら打ち立てた理論を正当化しようとしたのだろう。 調書は「わたしの意見としては」と完全に四ノ宮氏の「ひとり語り」で書かれている。しかし同氏は私の取材に「全くそんなことは話していませんよ。そもそも私は微生物や病原菌の専門家ではあっても、そういう機械の専門家ではなく、そんなことを言うはずもありません」と打ち明けた。 「ひとり語り」は「一人称独白体」と言われ、警察や検察が被疑者についての供述調書で使う形式だ。取調官が「おまえ、相手が死んでも構わんと思って刺したんやろう」と言って相手が「はあ」「まあ」などと生返事をしても、「私は」としてそう語った供述調書にしてしまう。 もちろん四ノ宮氏は被疑者ではないが、警察や検察は参考意見を調書にする時もこの手法を巧みに使うのだ』、「同氏は私の取材に「全くそんなことは話していませんよ。そもそも私は微生物や病原菌の専門家ではあっても、そういう機械の専門家ではなく、そんなことを言うはずもありません」と打ち明けた。 「ひとり語り」は「一人称独白体」と言われ、警察や検察が被疑者についての供述調書で使う形式だ。取調官が「おまえ、相手が死んでも構わんと思って刺したんやろう」と言って相手が「はあ」「まあ」などと生返事をしても、「私は」としてそう語った供述調書にしてしまう」、「警察や検察」のやり方は、余りに悪どい。
・『話してもいないことが記録されていた  さらに、決定的なのが聞き取り内容を書き留めた2017年11月15日作成の「捜査メモ」である。 《一方、噴霧乾燥機は、末端付近まで100度以上の熱風がいきわたるのであれば、細菌は水分が枯渇すれば死んで感染能力を失うため、機器が機能として持つ温度で殺すことができる。》 《規制に差異があるのは、この点を理由としているのではないか。また、乾熱による滅菌・殺菌は、蒸気などと同様に一般的な方法であることから、乾熱で大腸菌などを殺菌できるのであれば、特段問題なく輸出規制に該当する機器と判断できる。》 これを読んだ四ノ宮氏は仰天した。 「『炭疽菌のように相当の高温にならないと死なない菌もある一方、大腸菌は比較的低い温度、100度にもならなくても死にます』というようなことは説明しましたが、噴霧乾燥機が100度以上にいきわたるなどということは言ってもいないし、機械の専門家でもない私にわかるはずもない。第一、噴霧乾燥機を私は見たこともないのです。ですからどの辺がどんな温度になるということも分かりません。『熱風を送り込めば装置内が100度以上になる』なんて言うはずもありません」(四ノ宮氏) 高田弁護士は「それでも、このメモを見た当時の捜査幹部らが『いけるぞ』と大川原化工機の立件に大きく歩みを進めたのです。四ノ宮氏の見解をまとめたとされる報告書は、警視庁の殺菌理論の根拠として経産省の説得に用いられました。当初、難色を示していた経産省でしたが、最終的には警視庁の殺菌理論を受け入れ、2018年10月の捜索、差し押さえとつながったのです」と説明する。 「警察は『こうした場合、大腸菌はどうなりますか? 死滅しますか?』のようにオブラードに包んだような聞き方をしてきました。私は『そういう可能性はあります』と可能性を言っただけです。それが断定したように書かれていました」と四ノ宮氏は不信感を隠さない。 こうして理論武装を行った警視庁であったが、実は大川原化工機の噴霧乾燥機は内部の構造が複雑で、熱風を送り込んでも100度以上にならない箇所がいくつか存在した。起訴後、高田弁護士から指摘を受けた検察官は、警視庁の打ち立てた殺菌理論の軌道修正を試みたものの、実験を重ねた結果、内部の細菌を死滅させる性能を有していないことを認めざるを得なくなった。大川原化工機の噴霧乾燥器は、そもそも輸出規制に抵触するものではまったくなかった。 そして、2021年8月に予定されていた公判期日の直前(なんと4日前)に突然、検察は起訴を取り消したのだ。 防衛医科大学校を何度も訪れたり、電話で四ノ宮氏からの聞き取りを実施していたのは、警視庁公安部外事第一課に所属していた安積伸介警部補である。 安積警部補が自身の判断で四ノ宮氏が言ってもいないことを「創作」し、立件に都合のよい調書やメモを仕立てたとは思われるが、報告先は第一課長の高濱裕章警視、さらには後任の高橋靖夫警視である。彼らの階級は安積警部補よりずっと上である。 階級社会の警察組織で、間に位置する警部クラスの中間管理職が、警視クラスへの報告を見ていないはずはないだろう。安積警部補から概要説明を受けた上司が同警部補に書き方を指示したか、あるいは書いてきたものを修正したのかもしれない』、「噴霧乾燥機が100度以上にいきわたるなどということは言ってもいないし、機械の専門家でもない私にわかるはずもない。第一、噴霧乾燥機を私は見たこともないのです。ですからどの辺がどんな温度になるということも分かりません。『熱風を送り込めば装置内が100度以上になる』なんて言うはずもありません」(四ノ宮氏)」、「警視庁公安部外事第一課に所属していた安積伸介警部補である。 安積警部補が自身の判断で四ノ宮氏が言ってもいないことを「創作」し、立件に都合のよい調書やメモを仕立てたとは思われるが、報告先は第一課長の高濱裕章警視、さらには後任の高橋靖夫警視である。彼らの階級は安積警部補よりずっと上である。 階級社会の警察組織で、間に位置する警部クラスの中間管理職が、警視クラスへの報告を見ていないはずはないだろう。安積警部補から概要説明を受けた上司が同警部補に書き方を指示したか、あるいは書いてきたものを修正したのかもしれない」、極めて悪質な捏造だ。
・『起訴取り消しは立証の断念ではなく隠蔽  もう一つ重要なことは、当時、四ノ宮氏が警察の目的をまったく知らずに応対していたことだ。 「捜査上の秘密なのでしょうが、警察は私への聴取中、何の目的なのかは一切言わなかった。それでも警視庁だから、テロ対策などの役に立てたくて参考意見を私に訊きに来ているのだろうとは思いました。起訴した時には『裁判で証人になっていただくかもしれませんのでよろしく』という連絡がありました。しかし、起訴の取り消しの連絡がきた記憶はありません。その後、高田弁護士から連絡がありましたが、恥ずかしいことですが大川原化工機の事件に強く興味を持つことはありませんでした」と四ノ宮氏は打ち明ける。 起訴が取り消されたのは、高田弁護士が開示請求を行い、四ノ宮氏をはじめとする有識者からの聞き取りをもとに警視庁が経産省を説得する過程が記されたメモが証拠開示されかけたのともタイミングが一致していた。「被疑事実を立証できない」と考えたからではなく、警視庁が独自の理論で経産省を説得し、無理やりに立件した事実経過を隠蔽する思惑があったのではないだろうか』、「「被疑事実を立証できない」と考えたからではなく、警視庁が独自の理論で経産省を説得し、無理やりに立件した事実経過を隠蔽する思惑があったのではないだろうか」、可能性が大いにありそうだ。
・『「申し訳なく、後悔」  起訴取り消しの際、警視庁は冤罪だったことを認めたが、謝罪ひとつなかった。  逮捕された大川原正明社長、島田順司専務、相嶋静夫顧問の3人は否認を貫いていたため、平均330日も保釈なしで勾留されていた。このうち相嶋氏は、勾留中にがんが進行しながら適切な処置を受けられずに72歳で亡くなった。現在、東京地裁では、大川原化工機が東京都と国に対して起こした約5億6000万円の損害賠償請求の裁判と、相嶋氏の妻ら家族が起こした裁判が進んでいる。 四ノ宮氏は「特定の会社の人を起訴するような目的で彼らが来ていたのなら、もう少し説明の仕方があったかもしれないと思い、亡くなった方をはじめ大川原化工機の皆様には本当に申し訳なく、後悔しています」と話す。 3月1日の東京地裁での口頭弁論で、高田弁護士は証人尋問の予定者を裁判長に説明した。大川原社長、島田氏、相嶋氏の長男の他、法に関与した経産省関係者、当時の公安部捜査官、起訴した検事らを予定している。 警視庁の捏造工作が民事訴訟の場で衆人に晒されることになるのか――。 警視庁公安部外事第一課に対して「安積警部補は四ノ宮教授が言ってもいないことを供述調書や捜査メモに記録したことは全くないか」「あったとすれば本人の判断か、それとも上司の判断か」という質問を文書で送ったところ、5月1日に同庁広報課広報4係から電話で「係争中の事案につき回答を控えさせていただきます」と予想通りの回答があった』、「逮捕された大川原正明社長、島田順司専務、相嶋静夫顧問の3人は否認を貫いていたため、平均330日も保釈なしで勾留されていた。このうち相嶋氏は、勾留中にがんが進行しながら適切な処置を受けられずに72歳で亡くなった。現在、東京地裁では、大川原化工機が東京都と国に対して起こした約5億6000万円の損害賠償請求の裁判と、相嶋氏の妻ら家族が起こした裁判が進んでいる」、「警視庁」、「経産省」、「起訴した検事ら」にとっては全くみっともない裁判だ。特に警視庁の捏造工作が民事訴訟の場で衆人に晒されることになることを期待している。裁判官が「警視庁」などに忖度して筋を曲げることのないよう要請したい。
タグ:相次ぐ警察の重大ミス (その8)(なぜ警察は助けを求める人を見殺しにするのか…「博多ストーカー殺人事件」を防げなかった根本原因 法律があれば犯罪がなくなると錯覚している、あの時本腰を入れていれば…「ルフィ事件」被害拡大の裏に日本の警察の“怠慢”、警視庁公安部の闇 報告書に「私が言ってもないことが書かれている」 防衛医大校長がずさんな捜査に怒り) PRESIDENT ONLINE 元木 昌彦氏による「なぜ警察は助けを求める人を見殺しにするのか…「博多ストーカー殺人事件」を防げなかった根本原因 法律があれば犯罪がなくなると錯覚している」 「歌が上手くて評判の美少女だった」のであれば、「沖縄」の「名門アクターズスクールに入所」もさもありなんだ。 「1年余りスクールに通ったが、歌手デビューすることは叶わなかった。 歌手になる夢を諦めて、彼女が向かった先は東京」、「当時はキャバクラで働いて生計を立てていました」、なるほど。 「結婚するもほどなく離婚し、福岡へ」、「自宅から歩いて行けるマンションの一室を借り、200万円以上のローンを組み、大阪府にあるエステチェーンのフランチャイズ店を開いたのだ。 だが、思惑通りにはいかず、コロナ蔓延という不幸な事態もあったためか、初期投資が回収できず間もなく店を畳んでしまった。 2020年8月に破産手続きをして、翌年4月には自己破産。 生活を立て直すために彼女が足を向けたのは、九州一の歓楽街・中洲の高級クラブ「S」だった」、「川野さんが昨年春、中洲のバー「X」で寺内と出会ったことで大きく人生が暗転する。 「茶色の短髪に鋭く切り込んだ細い眉。関西弁を操るアヒル口の男が寺内だった」(文春) この店は「S」の系列店で、昨年1月に店を辞めていたが、時々ヘルプで店に入ることもあり、「X」のようなバーに遊びに行くこともあったという」、 「寺内は中学進学後に変わってきた・・・部活はしてなかったが、ボクシングを習っていた」・・・目が合っただけで殴られた生徒もいた。日に日に暴力沙汰を起こす寺内は、教師にも牙をむいた」かなり危険な男のようだ。 「髪を金色に染め、バラのタトゥーを右胸に刻んで、どっぷり夜の世界に浸かっていった」、「そんな寺内を拾ったのは兵庫県内のキャバクラだった。 黒服として働いていたが、見かけによらずレディファーストだったという」、なるほど。 「福岡の地に足を踏み入れたのは約1年前だったそうである。 そして昨年春、川野さんと知り合い、交際を始めたという。男と女というものは不思議なものだ。寺内のどこに彼女は惹かれたのだろう。 だが寺内は本性を現し、彼女を束縛していく。寺内の言動に危険を感じた彼女が、初めて福岡県警に相談に行ったのは昨年の10月21日のことだった。 「携帯電話を盗られた。相手とも別れたい」 切羽詰まった様子で被害を訴え、その翌日、寺内に別れを告げたという。だが寺内は、「自分は別れていない。許さんぞ」と繰り返した。 10月24日に警察から警告を受け、それでも、寺内が彼女の職場に押しかけたり、電話をしたり、つきまとい行為を止めなかったため、11月26日に春日署はストーカー規制法に基づく禁止命令を出した」、なるほど。 「私と彼で、男のヤサを探し出して踏み込んだ。父親が縛られて地下室にいるのを見つけたが、男は逃げた後だった。ストーカーではなく父親の拉致・監禁罪で訴え、男は捕まった」、「今回のようなストーカー行為から殺人事件に至る悲劇は毎年のように何度も起きている。 朝日新聞デジタルで「ストーカー殺人」で検索すると、いくつも出てくる。 小金井ストーカー殺人未遂事件・・・東京中野区の38歳の女性が、元交際相手に殺害」などは、このブログでも紹介した。 「桶川事件」は「写真週刊誌FOCUSの記者」の存在があったからこそ明らかになったようだ。 「埼玉県警上尾警察署に出向いて、相談する。だが刑事たちは、「これは事件にならない」「男と女の問題だから警察は立ち入れない」というばかり。 警察が何もしてくれないうちに事態は悪化していく」、「警察に動いてもらうために刑事告訴することを決意する。だが警察は動かないばかりか、驚くことに、彼女の家に刑事が来て、「告訴を取り下げてほしい」といったのである。 そして惨劇が起こった」、酷い話だ。 「警察は告訴を取り下げるよういってきただけではなく、捜査や報告義務が必要になる「告訴状」を、面倒なために「被害届」に改竄していたことまで明るみに出たのである。 新聞、テレビはその間、警察から情報をもらって、彼らのいいなりに嘘情報を垂れ流していた。 「結局、改竄に関わった警察官三人は懲戒免職となり、虚偽公文書作成などの容疑で刑事責任も問われることになった。また、県警本部長を含む十二人が処分を受けるという前代未聞の事態となった」、本当に酷く腹立たしい事件だ。 「この規制法、何度も改正もしてきているが、ストーカー殺人を根絶するところまでいかないのはなぜなのだろう。 私は、警察がいまだに民事不介入のしっぽを残し、ストーカーもそうだが、家庭内の子どものDV被害にも消極的だからではないかと考えている。 それに、私の住んでいるような下町でも、警察官の巡回が少なくなったと感じている。国家防衛という名目でテロ対策のような大犯罪に人を割かれ、昔のように「おまわりさん」として、近所を回って年寄りと話し込むというような余裕がないのであろう。 おまわりさんから警察官。そのうち特高警察となるのではないかと危惧している。ストーカーのような犯罪は、被害者に寄り添って、親身になってやらなければ、被害を防ぐことはできない。 法律だけ作れば犯罪がなくなるとでも錯覚しているのではないか。今度の事件を機に、いま一度原点に返り、ストーカー被害者を救うために何ができるのか、警察やメディアが共に、真剣に考えるべきだと、私は思う』、全く同感である。 文春オンライン「あの時本腰を入れていれば…「ルフィ事件」被害拡大の裏に日本の警察の“怠慢”」 「渡邉らは元妻など協力者に虚偽の告訴をさせたため、フィリピン側は国内で別の事件に関与したとして、引き渡し要請に応じなかった」、実に巧妙な「日本」への「引き渡し要請」遅延戦略だ。 「死者を出してしまう・・・その後、日本側がフィリピンに引き渡しを要求したら、渡邉たちのスマホは押収され、虚偽告訴も退けられた・・・日本の警察が本腰を入れて外交交渉をすれば、もっと早期に身柄の移送を実現できたのではないか」、その通りだろう。 「「犯罪組織の上位を摘発できるに越したことはありませんが、加担する者をどう減らしていくかも重要。実行役の入り口となる闇バイトに目を光らせる対策など、携帯会社を含めた官民一体の努力が必要です。実行役を確実に捕まえ、加担すれば必ず逮捕されることを徹底して周知すべきでしょう」 地道な捜査に、警察の威信がかかっている」、その通りだろう。 デイりー新潮 粟野仁雄氏による「「警視庁公安部の闇 報告書に「私が言ってもないことが書かれている」 防衛医大校長がずさんな捜査に怒り」 「3人は1年近く勾留された末、公判直前に起訴が取り消され、検察は事実上の「敗北」を認めた」、国策捜査の酷い失敗だ 「「滅菌、殺菌、消毒という言葉は、われわれ専門家の間では厳密に区別されていますが、警察が作成した報告書を確認すると、かなり誤用されていた。しかし、経産省の省令でも翻訳の間違いなどで混同して使っていることがあるので、ある程度は仕方ないとは思っていた。『この辺は違いますよ』と例示して、但し書きつきであることを十分に説明してサインしてしまった。しかし、出来た文面を見ると言葉が独り歩きしている感じでした」」、 「噴霧乾燥機についても四ノ宮氏が詳しく述べたようになっているが、こうした機器類の構造に詳しいわけではなく、警視庁の聴取者が説明したのに合わせて返事をしていただけだという」、「四ノ宮氏が詳しく述べたようになっているが」、事実に反することはその場で訂正を申し入れるべきだった。 「同氏は私の取材に「全くそんなことは話していませんよ。そもそも私は微生物や病原菌の専門家ではあっても、そういう機械の専門家ではなく、そんなことを言うはずもありません」と打ち明けた。 「ひとり語り」は「一人称独白体」と言われ、警察や検察が被疑者についての供述調書で使う形式だ。取調官が「おまえ、相手が死んでも構わんと思って刺したんやろう」と言って相手が「はあ」「まあ」などと生返事をしても、「私は」としてそう語った供述調書にしてしまう」、「警察や検察」のやり方は、余りに悪どい。 「噴霧乾燥機が100度以上にいきわたるなどということは言ってもいないし、機械の専門家でもない私にわかるはずもない。第一、噴霧乾燥機を私は見たこともないのです。ですからどの辺がどんな温度になるということも分かりません。『熱風を送り込めば装置内が100度以上になる』なんて言うはずもありません」(四ノ宮氏)」、 「警視庁公安部外事第一課に所属していた安積伸介警部補である。 安積警部補が自身の判断で四ノ宮氏が言ってもいないことを「創作」し、立件に都合のよい調書やメモを仕立てたとは思われるが、報告先は第一課長の高濱裕章警視、さらには後任の高橋靖夫警視である。彼らの階級は安積警部補よりずっと上である。 階級社会の警察組織で、間に位置する警部クラスの中間管理職が、警視クラスへの報告を見ていないはずはないだろう。安積警部補から概要説明を受けた上司が同警部補に書き方を指示したか、あるいは書いてきたものを修正したのかもしれない 」、極めて悪質な捏造だ。 「「被疑事実を立証できない」と考えたからではなく、警視庁が独自の理論で経産省を説得し、無理やりに立件した事実経過を隠蔽する思惑があったのではないだろうか」、可能性が大いにありそうだ。 「逮捕された大川原正明社長、島田順司専務、相嶋静夫顧問の3人は否認を貫いていたため、平均330日も保釈なしで勾留されていた。このうち相嶋氏は、勾留中にがんが進行しながら適切な処置を受けられずに72歳で亡くなった。現在、東京地裁では、大川原化工機が東京都と国に対して起こした約5億6000万円の損害賠償請求の裁判と、相嶋氏の妻ら家族が起こした裁判が進んでいる」、 「警視庁」、「経産省」、「起訴した検事ら」にとっては全くみっともない裁判だ。特に警視庁の捏造工作が民事訴訟の場で衆人に晒されることになることを期待している。 裁判官が「警視庁」などに忖度して筋を曲げることのないよう要請したい。
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日本の構造問題(その28)(受け入れざるを得ない悲しい現実 アジアの中でも「小国」に転落する日本 インドネシアにも抜かされる?日本は抜本的な意識の転換を、円安政策と金融緩和 「賃金停滞」をもたらした経済政策の罪は重い) [経済政治動向]

日本の構造問題については、本年3月2日に取上げた。今日は、(その28)(受け入れざるを得ない悲しい現実 アジアの中でも「小国」に転落する日本 インドネシアにも抜かされる?日本は抜本的な意識の転換を、円安政策と金融緩和 「賃金停滞」をもたらした経済政策の罪は重い)である。

先ずは、本年4月17日付けJBPressが掲載した経済評論家の加谷 珪一氏による「受け入れざるを得ない悲しい現実、アジアの中でも「小国」に転落する日本 インドネシアにも抜かされる?日本は抜本的な意識の転換を」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/74801
・『コロナ危機を経て、新興国が驚異的な経済成長を実現している。国内では日本のGDPがドイツに抜かされつつあることが話題となっているが、本当の脅威はそこではない。アジアやアフリカなど新興国の成長が本格化することで、大国の概念が大きく変わりつつある。日本は将来、インドネシアにも抜かれ、アジアの小国に転落する可能性が高く、それを前提にした戦略に転換する必要がある』、「日本は将来」、「アジアの小国に転落する可能性が高く」、薄々、予想してきたことではあるが、改めて指摘されるとやはり衝撃的だ。
・『東南アジアが急激に豊かになっている  フィリピン政府は2023年1月、2022年の実質GDP(国内総生産)成長率が前年比でプラス7.6%になったと発表した。この数字は、政府の目標値を上回っており、しかも過去2番目の大きさである。 高成長を実現したのはフィリピンだけではない。同年におけるマレーシアの成長率はプラス8.7%、ベトナムの成長率はプラス8.0%、インドネシアは5.3%と軒並み高い数字が並ぶ。 各国に共通しているのは消費の強さである。これまでアジアの新興国は、米国や日本、韓国の下請けとして工業製品を製造するケースが多く、基本的に輸出に依存していた。だが一連の高成長の原動力となっているのは内需であり、とりわけ個人消費の伸びが大きい。) 東南アジア各国が個人消費によって高成長を実現していることから分かるのは、各国で資本蓄積が進み、国内のインフラが整ったことで、国民生活が豊かになってきたという現実である。 一般的に新興工業国は、輸出とそれを支えるための生産設備への投資で経済を伸ばしていく。かつての中国や日本がそうだったが、GDPに占める設備投資の比率が高く、個人消費はそれほど成長には寄与しない。だが十分に資本蓄積が進んでくると内需の寄与度が大きくなり、本格的な消費社会が到来することになる。 こうした変化が発生するしきい値となるのは、1人あたりGDPで1万ドル前後と言われており、これは多くの文化圏に共通した現象である。1人あたりGDPが1万ドルを超えてくると、当該国は相当程度、豊かな生活を送れるようになり、消費パターンも先進国と似通ってくる。 この法則は過去の日本にも当てはまる。日本の1人あたりGDPが現在価値で1万ドルに達したのは1960年代であり、70年代以降、国内の風景は一変した。筆者は1969年生まれだが、小学校に入学する頃までは街中は汚く、一部では戦後の貧しい時代の雰囲気を色濃く残していた。ところが70年代後半から社会は急速に豊かになり、施設も見違えるように立派になっていった。 現在の中国における1人あたりGDPは1万2500ドルとなっており、しきい値を超えている。中国人の生活は劇的に変化しており、従来の中国とはまったく違う国になったと考えてよい。 ひるがえって東南アジア各国の1人あたりGDPは、マレーシアが1万3000ドル、タイが7600ドルとなっており、マレーシアはすでに中国並みの豊かさを実現し、タイが準先進国入りするのも時間の問題である。 ベトナムは4000ドル、フィリピンは3600ドル、インドネシアは4700ドルなので、1万ドルに到達するまでには少し時間がかかる。だが逆に言えば、1万ドルまでは青天井となる可能性が高く、当分の間、驚異的な成長を実現するだろう』、「十分に資本蓄積が進んでくると内需の寄与度が大きくなり、本格的な消費社会が到来することになる。 こうした変化が発生するしきい値となるのは、1人あたりGDPで1万ドル前後と言われており、これは多くの文化圏に共通した現象である。1人あたりGDPが1万ドルを超えてくると、当該国は相当程度、豊かな生活を送れるようになり、消費パターンも先進国と似通ってくる」、「東南アジア各国の1人あたりGDPは、マレーシアが1万3000ドル、タイが7600ドルとなっており、マレーシアはすでに中国並みの豊かさを実現し、タイが準先進国入りするのも時間の問題である。 ベトナムは4000ドル、フィリピンは3600ドル、インドネシアは4700ドルなので、1万ドルに到達するまでには少し時間がかかる」、なるほど。
・『日本はインドネシアにも抜かされる?  今の議論はあくまでも1人あたりGDP、つまり社会の豊かさに関するものだが、東南アジア各国の脅威はそれだけではない。中国ほどではないにせよ東南アジア各国は人口が多く、GDPの絶対値も大規模になる可能性が高いのだ。 日本の人口は1億2500万人であり、相対的には人口が多い国である。日本が戦後、工業国として成長できた理由のひとつは人口の多さであり、低賃金を武器に大量生産を実現したことで先進国の仲間入りを果たした。ビジネスや外交において規模は重要であり、人口が多いことが強力な武器になるのは今の中国を見れば明らかだろう。) 東南アジアで最も人口が多いのはインドネシアで約2.8億もの人口を抱えている。ベトナムやフィピンもインドネシアほどではないが人口が多く、ベトナムは約1億人、フィリピンは1億1000万人、タイも7000万人なのでかなりのボリュームだ。 多くの人口を抱えた東南アジア各国が今後、急激に成長し、豊かになってくると、中国のような爆買いを行うことは容易に想像できる。中国に加えて東南アジアが爆買いを開始した場合、アジアのビジネス環境が激変するのはほぼ間違いないだろう。 特に脅威となるのがインドネシアである。 インドネシアの1人あたりGDPはまだ5000ドルだが、今後、急激に豊かになり、今のタイやマレーシア並みに成長するのは確実である。3億人近い人口を抱えた国が経済成長すると、GDPの絶対値も大きな数字となる。多くの専門家が今後20年以内にインドネシアのGDPは日本を抜き、世界で5本の指に入る経済大国になると予想している。 東南アジアではないが、意外なところではアフリカのナイジェリアもそれに該当する。 同国はまだ貧しい新興国だが、人口は2億を超えた。東南アジアに続いて急成長を実現するのはアフリカ諸国と言われており、そうした新時代においてナイジェリアは大国になる可能性を秘めている』、「多くの人口を抱えた東南アジア各国が今後、急激に成長し、豊かになってくると、中国のような爆買いを行うことは容易に想像できる。中国に加えて東南アジアが爆買いを開始した場合、アジアのビジネス環境が激変するのはほぼ間違いないだろう。 特に脅威となるのがインドネシアである。 インドネシアの1人あたりGDPはまだ5000ドルだが、今後、急激に豊かになり、今のタイやマレーシア並みに成長するのは確実である。3億人近い人口を抱えた国が経済成長すると、GDPの絶対値も大きな数字となる。多くの専門家が今後20年以内にインドネシアのGDPは日本を抜き、世界で5本の指に入る経済大国になると予想」、「インドネシアのGDPは日本を抜き、世界で5本の指に入る経済大国になる」、確かに「脅威」ではある。
・『日本は小国であるという現実を受け入れよ  これまでの日本は、相応の人口を抱え、GDPの絶対値が大きかったことから、私たちは日本について大国であると認識してきた。だが、一連の現実からも分かるように、豊かさ(1人あたりのGDP)という点ではすでに台湾に抜かれ、韓国に追い付かれるのも時間の問題となっている。GDPの絶対値においても、新興国が驚異的なペースで規模を拡大させており、すでに日本は大国ではなくなりつつある。 日本における最大の貿易相手国は輸出入とも中国となっており、望むと望まざるとにかかわらず、日本は中国を中心とするアジア経済圏に取り込まれつつある。中国の人口は14億、東南アジア全体では7億人近くの人口があり、各国が今後、急激に豊かになるという現実を考えると、アジア経済圏において日本は小国の1つに過ぎない。 繰り返しになるが、外交や軍事力、ビジネスなど、対外的な交渉力や国家覇権という点では、1人あたりのGDPではなく、GDPの絶対値がモノを言う。戦後の国際社会はすべて米国を中心に回ってきたといっても過言ではないが、米国が世界のリーダーとして君臨できたのは、ひとえにその巨大な経済規模のおかげといってよい。 日本は世界最大の経済大国である米国と同盟国であり、かつGDPの規模が米国に次いで2位であった。この絶対値の大きさがあらゆる面でメリットになっていたことは疑いようのない事実であり、残念なことに日本は中国と東南アジアの台頭によって、その両方(「同盟国である米国が突出して大きな経済規模を持っていたこと」と「GDPの絶対値」)を失いつつある。 小国として経済や外交を運営するには、大国とはまったく異なるパラダイムが必要だが、日本人にその準備ができているとは思えない。これまでの価値観をすべてゼロにするくらいの意識改革を行わなければ、次の50年を生き抜くのは極めて難しいだろう』、「これまでの価値観をすべてゼロにするくらいの意識改革を行わなければ、次の50年を生き抜くのは極めて難しいだろう」、いささか寂しいが、同感である。

次に、5月11日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏による「円安政策と金融緩和、「賃金停滞」をもたらした経済政策の罪は重い」を紹介しよう。
・『物価が上っても賃金は上がらない 「賃金停滞」の本当の“犯人”は?  賃金が上がらない。これが、日本経済の最大の問題だ。 日本の賃金は1990年代の中頃からほとんど上がっておらず、それに対して世界の多くの国でこの間に賃金が上昇した。そのため、日本の国際的な地位が著しく低下した。 「日本で賃金上がらないのは、物価が上がらないからだ」と言われてきた。物価が上がれば賃金も上がるとされて、金融緩和が行われた。だが金融緩和は止めどもなく続けられたが、効果は一向に現われなかった。 2022年には金融緩和の結果ではなく、海外発のインフレーションが日本に輸入されたことと円安が進んだために日本の物価上昇率が3%を超えた。しかし、賃金上昇率はそれに追いつかず、実質賃金は下落した。つまり、物価が上昇しても賃金はそれに見合って上がらないということがはっきりした。 では日本の賃金はなぜ上がらないのか?それを変えるには何が必要なのか。「植田日銀の」緩和維持が役に立つのか?。以下は有料だが、今月の閲覧本数残り3本までは無料』、「「賃金停滞」の本当の“犯人”は?」、興味深そうだ。
・『1990年代中頃から続く停滞 60~97年度は18.1倍の“高成長”  まずは法人企業統計調査の長期データを用いて、賃金の停滞問題を考えることにする。ここでは、「金融業、保険業を除く全法人」を対象とする。 図表1に示すように、従業員一人当たりの給与・賞与(以下、「賃金」という)は、1990年代までは大きく伸びた。60年度に21.6万円だったものが、97年度には390.9万円となった。この間に18.1倍に増えたことになる。世界でも稀にみる“高成長”だ。  円安政策と金融緩和、「賃金停滞」をもたらした経済政策の罪は重い  しかし、97年度をピークに2005年度までは低下した。その後はほぼ横ばいで、21年度には377.6万円となっている。なぜこのような変化が起きたのか』、「円安政策と金融緩和、「賃金停滞」をもたらした経済政策の罪は重い」、その通りだ。
・『賃金を決める2つの要素 資本装備率と全要素生産性  経済理論によれば、賃金は、「資本装備率」と「全要素生産性」で決まる。 一定の仮定の下で、賃金は、資本装備率の(1-a)乗と、全要素生産性の積に等しいことが導ける。つまり次の関係が成立する。 賃金=(資本装備率)^(1-a)×(全要素生産性) ここで資本装備率とは、従業員一人当たりの有形固定資産額、つまり設備などの保有状況をいう(なお、法人企業統計調査は、これを「労働生産性」と呼んでいる。ここでは、通常の用語法にしたがって、「資本装備率」と呼ぶ。また同調査では1960年度の値が欠如している。そこで、ここでは期末固定資産期末有形固定資産額を従業員数で割ることによって資本装備率を算出した)。 全要素生産性というのは、資本や労働といった量的な生産要素の増加以外の質的な成長要因で、技術進歩や生産の効率化などが該当する。 aは、労働の弾力性だ。従業員数(労働力)が1%増加すれば、付加価値生産がa%だけ増加する。一定の条件の下で、労働分配率はaに等しいことを証明できる。 上式から分かるように、資本装備率が1%増えると、賃金は(1-a)%増加する。aの値は安定的であり、0.4から0.6程度だ』、なるほど。
・資本装備率の停滞も原因だが最大原因は全要素生産性の停滞  図表2に示すように、資本装備率は1990年代までは上昇した。しかし、その後は低下し、2005年頃以降はほとんど一定の値だ。 (図表2 資本装備率の長期的推移 はリンク先参照) 図には示していないが、この間に、従業員数もほぼ不変だ(05年度に4158万人、21年度に4157万人)。したがって、有形固定資産がほぼ一定ということになる。投資と資本減耗(減価償却)とがほぼ等しくなっているのだ。 つまり従業員一人当たりの有形固定資産=資本装備率が変わらないことが賃金停滞の原因の一つになっていることは否定できない。 しかし、90年代までの賃金の上昇は、資本装備率の上昇だけでは説明できない。その理由は次の通りだ。 資本装備率は、60年度の67万円から、97年度の1295万円まで、19.3倍になった。aが0.5だとすると、上式から賃金は4.4倍になるはずだ。しかし、上述のようにこの間に賃金は18.1倍になった。 これは、資本装備率と並んで賃金に影響を与えるもう一つの要因である全要素生産性がこの間に4.1倍になったことを意味する。 (なお、上記の値は、aの値をどのように取るかによって変わる。また、先に挙げた式は、実質値の関係を表しているので、本来は実質賃金のデータを用いるべきだ。しかし、ここで考えているような長期の実質賃金データは得られない。ここでは、資本装備率も名目値なので、名目賃金を用いることの問題は緩和されていると思われる)。 つまり、90年度までの賃金上昇に対して、全要素生産性は資本装備率とほぼ同程度の影響を与えたのだ。全要素生産性が賃金の動向に大きな影響を与えることは、諸外国でも見られる現象だ なぜ90年代以降に設備や研究開発などの投資が鈍ってしまったのだろうか。) 90年代後半の金融危機と混乱が、企業の投資に影響したことは否定できない。しかし、2000年代になってからも資本装備率低迷の状況が変わらず、継続してしまったことが重要だ。 これには理由がある』、「投資と資本減耗(減価償却)とがほぼ等しくなっているのだ。 つまり従業員一人当たりの有形固定資産=資本装備率が変わらないことが賃金停滞の原因の一つになっていることは否定できない」、過小設備投資は企業経営者の保守的姿勢を示している。
・『「円安政策」が企業の活力を削いだ金融緩和と相まって成長メカニズム破壊  全要素生産性は「技術進歩」と呼ばれることもあるが、狭い意味での技術進歩だけでなく、新しいビジネスモデルの開発や産業構造の変化をも含む概念だ。 1990年度までは非常に高い値であり、高度成長の最も重要な要因の一つだった。それが90年代以降停滞してしまったのだ。なぜ停滞したのか?その大きな原因は、「円安政策」だったと考えられる。 改革開放政策で工業化を進め急速に台頭した中国に対抗するために、政府や企業は円安に頼った。ドルで評価した日本人の賃金を低くした。つまり安売り戦略をとったのだ。 円安になれば、企業の利益は自動的に増える。技術開発したり、ビジネスモデルを考案したりする必要はない。そして、産業構造の変化に伴うさまざまな摩擦現象も回避できる。 このために全要素生産性の伸びが止まり、そして賃金の伸びも止まってしまったのだ。 「円安政策」は2000年代頃から始まり、アベノミクス以降の10年間さらに強化された。金融緩和と円安によって成長のための基本的なメカニズムは破壊されてしまったのだ。 日本の産業構造は、2000年ごろから基本的には変わらない。変わったのは、それまで日本の主力産業だった電機産業が凋落したことくらいだ。新しい産業が登場したり、新しい技術が開発されたり、新しいビジネスモデルが使われたりするような変化はなかった』、「全要素生産性は「技術進歩」と呼ばれることもあるが、狭い意味での技術進歩だけでなく、新しいビジネスモデルの開発や産業構造の変化をも含む概念だ」、「それが90年代以降停滞してしまったのだ。なぜ停滞したのか?その大きな原因は、「円安政策」だった」、「改革開放政策で工業化を進め急速に台頭した中国に対抗するために、政府や企業は円安に頼った。ドルで評価した日本人の賃金を低くした。つまり安売り戦略をとったのだ。 円安になれば、企業の利益は自動的に増える。技術開発したり、ビジネスモデルを考案したりする必要はない。そして、産業構造の変化に伴うさまざまな摩擦現象も回避できる。 このために全要素生産性の伸びが止まり、そして賃金の伸びも止まってしまったのだ」、アベノミクスという安易な「円安政策」の罪は深い。
・『再生には、企業や産業の新陳代謝 労働力の自由な移動進める政策を  進歩する世界の中で変化することを止めれば、凋落するのは当然だ。この意味で、日本の衰退は経済政策によってもたらされたものだ。金融緩和を続けても賃金は上がらない。 日本経済を再生させるには、経済の構造が変わらなければならない。そのためには、新しい企業が登場して産業の新陳代謝が起こり、人々が一つの企業に固定化されるのでなく、企業間を自由に移動できる仕組みが構築されることが必要だ。 いま求められているのは、そのような方向に向けて経済政策の基本的なあり方を変えることだ』、「日本経済を再生させるには、経済の構造が変わらなければならない。そのためには、新しい企業が登場して産業の新陳代謝が起こり、人々が一つの企業に固定化されるのでなく、企業間を自由に移動できる仕組みが構築されることが必要だ。 いま求められているのは、そのような方向に向けて経済政策の基本的なあり方を変えることだ」、同感である。
タグ:(その28)(受け入れざるを得ない悲しい現実 アジアの中でも「小国」に転落する日本 インドネシアにも抜かされる?日本は抜本的な意識の転換を、円安政策と金融緩和 「賃金停滞」をもたらした経済政策の罪は重い) 日本の構造問題 JBPRESS 加谷 珪一氏による「受け入れざるを得ない悲しい現実、アジアの中でも「小国」に転落する日本 インドネシアにも抜かされる?日本は抜本的な意識の転換を」 「日本は将来」、「アジアの小国に転落する可能性が高く」、薄々、予想してきたことではあるが、改めて指摘されるとやはり衝撃的だ。 「十分に資本蓄積が進んでくると内需の寄与度が大きくなり、本格的な消費社会が到来することになる。 こうした変化が発生するしきい値となるのは、1人あたりGDPで1万ドル前後と言われており、これは多くの文化圏に共通した現象である。1人あたりGDPが1万ドルを超えてくると、当該国は相当程度、豊かな生活を送れるようになり、消費パターンも先進国と似通ってくる」、 「東南アジア各国の1人あたりGDPは、マレーシアが1万3000ドル、タイが7600ドルとなっており、マレーシアはすでに中国並みの豊かさを実現し、タイが準先進国入りするのも時間の問題である。 ベトナムは4000ドル、フィリピンは3600ドル、インドネシアは4700ドルなので、1万ドルに到達するまでには少し時間がかかる」、なるほど。 「多くの人口を抱えた東南アジア各国が今後、急激に成長し、豊かになってくると、中国のような爆買いを行うことは容易に想像できる。中国に加えて東南アジアが爆買いを開始した場合、アジアのビジネス環境が激変するのはほぼ間違いないだろう。 特に脅威となるのがインドネシアである。 インドネシアの1人あたりGDPはまだ5000ドルだが、今後、急激に豊かになり、今のタイやマレーシア並みに成長するのは確実である。 3億人近い人口を抱えた国が経済成長すると、GDPの絶対値も大きな数字となる。多くの専門家が今後20年以内にインドネシアのGDPは日本を抜き、世界で5本の指に入る経済大国になると予想」、「インドネシアのGDPは日本を抜き、世界で5本の指に入る経済大国になる」、確かに「脅威」ではある。 「これまでの価値観をすべてゼロにするくらいの意識改革を行わなければ、次の50年を生き抜くのは極めて難しいだろう」、いささか寂しいが、同感である。 ダイヤモンド・オンライン 野口悠紀雄氏による「円安政策と金融緩和、「賃金停滞」をもたらした経済政策の罪は重い」 「「賃金停滞」の本当の“犯人”は?」、興味深そうだ。 「円安政策と金融緩和、「賃金停滞」をもたらした経済政策の罪は重い」、その通りだ。 「投資と資本減耗(減価償却)とがほぼ等しくなっているのだ。 つまり従業員一人当たりの有形固定資産=資本装備率が変わらないことが賃金停滞の原因の一つになっていることは否定できない」、過小設備投資は企業経営者の保守的姿勢を示している。 「全要素生産性は「技術進歩」と呼ばれることもあるが、狭い意味での技術進歩だけでなく、新しいビジネスモデルの開発や産業構造の変化をも含む概念だ」、「それが90年代以降停滞してしまったのだ。なぜ停滞したのか?その大きな原因は、「円安政策」だった」、 「改革開放政策で工業化を進め急速に台頭した中国に対抗するために、政府や企業は円安に頼った。ドルで評価した日本人の賃金を低くした。つまり安売り戦略をとったのだ。 円安になれば、企業の利益は自動的に増える。技術開発したり、ビジネスモデルを考案したりする必要はない。そして、産業構造の変化に伴うさまざまな摩擦現象も回避できる。 このために全要素生産性の伸びが止まり、そして賃金の伸びも止まってしまったのだ」、アベノミクスという安易な「円安政策」の罪は深い。 「日本経済を再生させるには、経済の構造が変わらなければならない。そのためには、新しい企業が登場して産業の新陳代謝が起こり、人々が一つの企業に固定化されるのでなく、企業間を自由に移動できる仕組みが構築されることが必要だ。 いま求められているのは、そのような方向に向けて経済政策の基本的なあり方を変えることだ」、同感である。
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年金制度(その6)(2022年度年金額マイナス改定の裏にある重要課題 マクロ経済スライドの給付調整が再び繰り越し、巷で話題、「公的年金をめぐる2つの提案」の背景 2024年財政検証は出生数減少で一段と厳しく、「年金崩壊」シナリオに現実味 厚生年金は2040年代前半に単年度10兆円赤字で破綻する!?) [経済政策]

年金制度については、2021年11月16日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その6)(2022年度年金額マイナス改定の裏にある重要課題 マクロ経済スライドの給付調整が再び繰り越し、巷で話題、「公的年金をめぐる2つの提案」の背景 2024年財政検証は出生数減少で一段と厳しく、「年金崩壊」シナリオに現実味 厚生年金は2040年代前半に単年度10兆円赤字で破綻する!?)である。

先ずは、昨年1月10日付け東洋経済オンラインが掲載した慶應義塾大学 経済学部教授の土居 丈朗氏による「2022年度年金額マイナス改定の裏にある重要課題 マクロ経済スライドの給付調整が再び繰り越し」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/501222
・『今月にも開会される通常国会では、2022年度予算政府案が審議される。2022年度予算案では、一般会計歳出総額が107.6兆円と、当初予算案として過去最大規模となっている。そのうち、社会保障関係費が36.3兆円と33.7%を占めて、全費目の中で最大となっている。 社会保障関係費の中で最も多いのが、年金給付費(12.8兆円)である。これは、年金給付のすべてではなく、基礎年金給付の2分の1を賄う国庫負担に相当する。 2022年度予算案を決めるためには、2022年度にいくら年金給付をするかも同時に決めておかなければならない。そうしなければ、予算が組めないからである。実際に個々人が受け取る年金額は毎年見直されているが、前年度に比べてどれだけ変化するかを示すのが年金額改定率である』、年金制度の基本を改めて考えるのは、興味深そうだ。
・『2022年度の年金額改定率はマイナス0.4%  年金額改定率は、あらかじめ定められたルールに基づいて決める。それに基づいて決まった2022年度の年金額改定率は、マイナス0.4%となった。つまり、2022年度の年金額は、2021年度よりも0.4%減るということである。 ただし、厳密に言うと、マイナス0.4%というのは、予算政府案が閣議決定された2021年12月時点での物価上昇率の推計を基にした予算積算上の値であり、今月公表される2021年平均の全国消費者物価指数の上昇率に基づいて実際の年金額改定率は確定する。 では、このマイナス0.4%は、どのようなルールに従って決まったものなのか。それは、次のとおりである。まず、年金額改定率は、原則として、名目手取り賃金変動率とマクロ経済スライド調整率の和で決まる。 名目手取り賃金変動率が、年金額改定率に反映されるのは、年金の給付水準は現役世代の名目手取り賃金の水準との比率(所得代替率)を見極めながら制度が運営されていることに基づいている。さらには、年金保険料を払う現役世代の手取り賃金が減っているのに、年金の給付水準は減らなかったり、むしろ増えたりすれば、現役世代へのしわ寄せが大きくなるという関係も見逃せない。) マクロ経済スライドとは、東洋経済オンラインの拙稿「新首相を待ち受ける『基礎年金問題』という難題給付水準低下で高齢の生活保護受給者が増える」でも言及しているように、給付水準の世代間格差是正と年金財政の維持のために設けられた仕組みである。 少子化によって将来の年金保険料収入が減るが、それに合わせて将来の年金給付を減らすと給付水準の世代間格差が拡大する。それを防ぐためにも、今の高齢世代の給付水準を抑制することを意図している。 これを踏まえて、マクロ経済スライド調整率は、公的年金被保険者数の変動率と平均余命の伸び率を加味して決めることとなっている。2022年度のマクロ経済スライド調整率は、マイナス0.2%と算出されていた。 2022年度の年金額改定率に反映する名目手取り賃金変動率は、予算案の閣議決定時点では、マイナス0.4%と算出された。これらの和は、マイナス0.6%となる』、「マクロ経済スライド調整率」は、「給付水準の世代間格差是正と年金財政の維持のために設けられた仕組みで、「2022年度」は、「マイナス0.2%と算出」、「年金額改定率に反映する名目手取り賃金変動率は」「マイナス0.4%と算出」、「これらの和は、マイナス0.6%となる」、なるほど。
・『影響が大きい「名目下限措置」ルール  ところが、年金額改定率の算定ルールには、もう1つ別の条件が定められている。それは、マクロ経済スライドを発動する際には、マクロ経済スライド調整率を加えた最終的な年金額改定率はゼロ%を下限とするというものだ。名目下限措置とも呼ばれる。そして、名目手取り賃金変動率自体がマイナスの場合は、マクロ経済スライド調整自体を行わないというルールになっている。 2022年度については、この名目下限措置に該当する状況となり、これに従い年金額改定率は名目手取り賃金変動率と同率とすることとなったのである。つまり、マクロ経済スライドは発動しないこととしたのである。 結局、2022年度は、2021年度に続き2年連続で、マクロ経済スライドは、「抜かずの伝家の宝刀」となり下がったのである。) マクロ経済スライドは、2004年の年金制度改正で導入されて以降、23年間で2015年度と2019年度と2020年度の3回しか発動されていない。特に、初めて発動されたのが制度導入から10年経ってからだったこともあり、発動されないことにより年金財政の持続可能性に支障を来しうるとして、マクロ経済スライド調整率にキャリーオーバー制を設けることとした。2018年度の年金額改定以降においてである。 キャリーオーバー制とは、前述の名目下限措置によってマクロ経済スライドが発動されなかった場合、その調整率分を翌年度に繰り越す仕組みである。 2018年度の年金額改定で、マクロ経済スライドが発動されず、早速キャリーオーバー制が適用され、マイナス0.3%分が2019年度に繰り越された。 2019年度は物価上昇率が上がったことから、名目下限措置には該当せず、マクロ経済スライドが発動されることとなったため、2018年度からキャリーオーバーされた分も含めて年金額改定率に反映された』、「マクロ経済スライドを発動する際には、マクロ経済スライド調整率を加えた最終的な年金額改定率はゼロ%を下限とするというものだ・・・名目手取り賃金変動率自体がマイナスの場合は、マクロ経済スライド調整自体を行わないというルールになっている。 2022年度については、この名目下限措置に該当する状況となり、これに従い年金額改定率は名目手取り賃金変動率と同率とすることとなった」、「マクロ経済スライドは、2004年の年金制度改正で導入されて以降、23年間で2015年度と2019年度と2020年度の3回しか発動されていない。特に、初めて発動されたのが制度導入から10年経ってからだったこともあり、発動されないことにより年金財政の持続可能性に支障を来しうるとして、マクロ経済スライド調整率にキャリーオーバー制を設けることとした。2018年度の年金額改定以降においてである。 キャリーオーバー制とは、前述の名目下限措置によってマクロ経済スライドが発動されなかった場合、その調整率分を翌年度に繰り越す仕組みである」、「2018年度の年金額改定で、マクロ経済スライドが発動されず、早速キャリーオーバー制が適用され、マイナス0.3%分が2019年度に繰り越された。 2019年度は物価上昇率が上がったことから、名目下限措置には該当せず、マクロ経済スライドが発動されることとなったため、2018年度からキャリーオーバーされた分も含めて年金額改定率に反映された」、なるほど。
・『2022年度は2年連続のキャリーオーバー  2021年度には再び名目下限措置に該当して、マクロ経済スライドが発動されず、その調整率マイナス0.1%が2022年度に繰り越された。そして、2022年度も、前述のとおりマクロ経済スライドが発動されず、2年連続でのキャリーオーバーとなった。これにより、2年分合計の調整率マイナス0.3%が2023年度に繰り越される。新型コロナウイルス禍という状況下とはいえ、2年連続でのキャリーオーバーは、制度導入後初めてである。 キャリーオーバーされた分は、近い将来いずれマクロ経済スライドが発動されれば、年金額改定に反映されるから、そのときにはマクロ経済スライドが毎年度発動されたも同然となる。だから、一時的にキャリーオーバーされたところで、年金財政の持続可能性に疑義が生じることはない。 しかし、キャリーオーバー制が導入された2018年度以降、5年のうち3年はマクロ経済スライド調整率がキャリーオーバーされている。こうも頻繁にキャリーオーバーされていると、いざマクロ経済スライドが発動されるときには、年金額改定率を大きく引き下げることとなり、激変が起きる恐れがある。) キャリーオーバー制は、ないよりあったほうがよく、年金財政の持続可能性を大いに高めることは間違いない。ところが、キャリーオーバーがたまりにたまると、逆にマクロ経済スライドを発動するときの影響が大きくなり、そこで国民の反発を招きかねない。 それならば、キャリーオーバーするのではなく、マクロ経済スライドを毎年度フルに発動して、緩やかに年金額改定を進めて行くほうが、かえって国民の反発が避けられるだろう。 2022年度では、マクロ経済スライド調整率は、前掲のとおりマイナス0.2%だった。もしこれを年金額改定に反映すれば、基礎年金1人分の満額給付額では年約1600円減るに過ぎない。厚生年金の報酬比例部分(1人分)では、平均で年約2200円減るに過ぎない。 他方、2023年度にキャリーオーバーして、そこでマクロ経済スライドを発動するとどうなるか。仮に2023年度単年度のマクロ経済スライド調整率がマイナス0.2%とすると、キャリーオーバー分マイナス0.3%分も合わせてマイナス0.5%年金額改定率を引き下げる。これを年金額に換算すると、基礎年金1人分の満額給付額では年約4000円に相当し、厚生年金の報酬比例部分(1人分)では、平均で年約5500円になる。 このように、キャリーオーバー分もまとめて引き下げると、インパクトは大きいのである。 年金財政の持続可能性を高めるために導入したキャリーオーバー制だが、こうも頻繁に用いられるとなると、いざ発動するときにはその調整率が大きくなってしまい、マクロ経済スライドへの反感を募らせる意味でアダとなりかねない』、「年金財政の持続可能性を高めるために導入したキャリーオーバー制だが、こうも頻繁に用いられるとなると、いざ発動するときにはその調整率が大きくなってしまい、マクロ経済スライドへの反感を募らせる意味でアダとなりかねない」、確かにその通りだ。
・『名目下限措置撤廃への合意形成が必要  むしろ、マクロ経済スライドを毎年度フルに発動できるように名目下限措置を撤廃したほうがよい。フル発動によって、年金財政の持続可能性がより高まるだけでなく、厚生労働省が試算したように将来の年金給付をより多く維持できる意味で給付水準の世代間格差を是正でき、今の高齢世代が受け取る年金額をより緩やかに調整できて激変を回避できる。 2024年には5年に1度の年金の財政検証が待っている。それに向けた年金制度の改善策の議論が予定されている。その際には、名目下限措置を撤廃してマクロ経済スライドを毎年度フルに発動できるよう、国民的なコンセンサスを醸成することが望まれる』、「2024年には5年に1度の年金の財政検証が待っている・・・その際には、名目下限措置を撤廃してマクロ経済スライドを毎年度フルに発動できるよう、国民的なコンセンサスを醸成することが望まれる」、確かにその方が、調整がスムースでよさそうだ。

次に、昨年10月31日付け東洋経済オンラインが掲載した慶應義塾大学 経済学部教授 の土居 丈朗氏による「巷で話題、「公的年金をめぐる2つの提案」の背景 2024年財政検証は出生数減少で一段と厳しく」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/629384
・『このところ、公的年金をめぐる新たな提案がちまたの話題となっている。「国民年金保険料の納付期間の5年延長」や「国民年金の厚生年金による穴埋め」である。 なぜこんな話題が、今取り沙汰されるのか。 それは、2024年央に予定されている年金の「財政検証」(将来の公的年金の財政見通し、5年に1度実施)を見据えた議論が、厚生労働大臣の諮問機関である社会保障審議会年金部会で10月25日から始まったことによる。その会合の開催前に、観測記事などが出たことから、にわかに世間の注目を集めた。ただ、これらの「新たな提案」は、以前にも提起されたことがあるものだから、新しいわけではない』、興味深そうだ。
・『大幅な給付低下が見込まれる基礎年金を「救済」  「国民年金の厚生年金による穴埋め」ともいわれる提案は、東洋経済オンラインの本連載の記事「国民年金・厚生年金『積立金統合案』、何が問題か」ですでに言及したものである。 そもそも、従業員が101人以上の企業に勤務し、週20時間以上働き、2カ月以上の雇用の見込みがある、などの要件を満たした被用者は、厚生年金に加入して老後に基礎年金と所得比例年金の両方を受けることができる。その要件を満たさない人は厚生年金には加入できず、国民年金に入って老後に基礎年金の給付のみを受けることができる。 ところが、現行の公的年金制度のままでは、基礎年金の給付は将来大きく低下することが見込まれることから、基礎年金給付が目減りしないように、厚生年金が国民年金を「救済」するのが、この案の肝である。 今ある厚生年金の積立金と国民年金の積立金とを文字どおり統合するというわけではないのだが、厚生年金の積立金のほうが圧倒的に多いため、基礎年金給付の財源に厚生年金の積立金を現行制度が想定しているよりも多く拠出してもらうことで、基礎年金の給付が目減りしないようにする、という仕組みだ。) もう1つの話題である「国民年金保険料の納付期間の5年延長」は、現行の受給開始年齢は65歳なのに、国民年金の保険料納付は60歳になるまでだから、保険料納付を受給開始直前まで5年延ばすことで、受給開始後の給付を増やそうという案である。 この案も、実はすでに2019年の財政検証の際にも出されており、オプション試算としてその影響が分析されている。確かに、これによって、厚生年金が国民年金を救済する形ではない方法で、基礎年金の給付水準を維持することができる。 現に、厚生年金加入者は、60歳を超えて引き続き勤務するならば、要件を満たす限り70歳になるまで保険料を払い続ける仕組みとなっている。だから、今回の案は、国民年金加入者もそれに倣って保険料を納付し続けるものとみることができる。巷間、無理やり保険料を払わせられるといった報道も見られるが、そのように解することは妥当でない。 むしろ、厚生年金加入者は60歳を超えて保険料を払い続けているのに、国民年金加入者は60歳を超えたら保険料を払わない、というのでは、国民年金加入者の年金給付は少なくなっても致し方ない。 ただでさえ、基礎年金の給付が目減りすることが懸念されているのだから、国民年金加入者も、厚生年金加入者と同様にせめて65歳になるまでは保険料を払えば、老後の年金給付の水準を上げることができる』、「国民年金加入者も、厚生年金加入者と同様にせめて65歳になるまでは保険料を払えば、老後の年金給付の水準を上げることができる」、その通りだ。
・『2分の1を負担する税財源の確保が課題に  しかし、国民年金保険料の納付期間の5年延長でも、厚生年金積立金による国民年金の負担軽減でも、越えなければならない難関がある。 それは、基礎年金給付の財源は2分の1が税財源(国庫負担)となっていることから、その税財源をどう確保するかである。率直に言えば、基礎年金給付の水準を目減りさせないようにするためには追加的な増税が必要であり、それに国民が応じるかどうかという問題だ。 国民年金の保険料納付期間を5年延ばすということは、これに合わせて基礎年金給付に必要な税財源を5年分別途確保しなければならないということを意味する。国民年金加入者に5年多く保険料を納付してもらうとしても、それは給付に必要な財源の半分にとどまる。ましてや、その間に、保険料の減免が適用されれば、減免された分までも税財源で穴埋めしなければならない。 2019年財政検証のオプション試算によると、将来このための追加の税財源確保のために、消費税率に換算すると最低でも1~2%ほどは上げなければならないほどの税収が必要となる。 それは、厚生年金積立金による国民年金の負担軽減であっても同様だ。要するに、基礎年金の給付水準を上げる際には、その半分は、税財源を現行で予定しているよりも多く注ぎ込まなければならない。 前掲の「国民年金・厚生年金『積立金統合案』、何が問題か」でも述べたように、基礎年金の給付水準が目減りして、高齢の生活保護受給者が増えれば、それはそれで生活保護給付は全額税財源で賄わなければならない。だから、基礎年金の給付水準を維持することは重要だ。 しかし、基礎年金の給付水準を維持するのに、増税なしに実現できると安直に考えることは禁物だ。税財源の確保なくして、基礎年金の給付水準の維持はありえない』、「税財源の確保なくして、基礎年金の給付水準の維持はありえない」、その通りだ。
・『厚生年金のさらなる加入者拡大は必要  他方、国民年金加入者のうち、厚生年金に加入できる人を増やす取り組みも進んでいる。これによって、基礎年金だけでなく所得比例年金も受け取れる対象者が増えるから、老後の年金給付の目減りを防ぐ効果が期待できる。 今年10月からは中小企業等への厚生年金の適用拡大が実施された。それまでは、従業員が501人以上の企業に勤務し、1年以上の雇用の見込みがある人までが厚生年金に加入することとされていたが、10月からはそれが、従業員が101人以上の企業に勤務し、2カ月以上の雇用の見込みがある人まで厚生年金に加入することとなった。 しかし、10月から新たに厚生年金の適用を受けることとなった人は、約45万人にとどまる。厚生年金のさらなる適用拡大が今後の課題である。) 岸田文雄首相は、自民党総裁選に立候補した時から、「勤労者皆保険」を掲げている。わが国では、国民皆年金であるから、国民は必ず国民年金か厚生年金のいずれかには加入している。 ここでいう「勤労者皆保険」を年金についていえば、従業員規模が100人以下の企業に勤めている人であっても、週20時間未満の短時間労働者であっても、娯楽業や宿泊業、飲食サービス業など被用者保険の非適用業種に勤めている人であっても、雇われている人(被用者)であれば原則として厚生年金に加入する、ということを意図している。 それは、年金財政の救済のためではなく、年金加入者本人の老後の所得保障のためである。厚生年金のさらなる適用拡大を行って、基礎年金だけでなく所得比例年金も受け取れる形で、給付水準を維持することが必要である。現在、さらなる適用拡大については、全世代型社会保障構築会議で議論が進んでいる』、「10月からは・・・従業員が101人以上の企業に勤務し、2カ月以上の雇用の見込みがある人まで厚生年金に加入することとなった。 しかし、10月から新たに厚生年金の適用を受けることとなった人は、約45万人にとどまる。厚生年金のさらなる適用拡大が今後の課題である」、「約45万人にとどまる」、その理由は何なのだろう。それを解明することが、「さらなる適用拡大」の前提条件だ。
・『出生数の減少で年金財政は一段と厳しくなる  2024年に行われる年金の財政検証では、2019年の検証結果よりも厳しい結果になることが予想される。というのも、コロナ禍で出生数が減少しているからである。 2017年に公表された将来人口推計における中位推計では、2028年に出生数が約80万人となると見込まれていたが、既に2021年の出生数は81.2万人まで減っており、7年も早く出生数の減少が実現してしまっている。この出生数の減少は、約20年先から就業者数の減少となって影響が出始め、年金保険料収入の減少という形で年金財政に効いてくる。 保険料水準固定方式をとっている現行の公的年金制度では、保険料率は今後上がらないものの、保険料を納める就業者が減ることは、保険料収入の減少を通じて年金給付を抑制する方向に作用する。だから、老後の年金給付の水準を維持する方策について、今まで以上に真剣に検討しなければならないのである。 2024年の年金の財政検証は、こうした人口動態や就業実態を踏まえつつ、保守的な経済見通しに基づいて議論されることが望まれる。年金改革にトラウマを持つ政治家に忖度して、楽観的な経済見通しに基づいて年金制度の改革を先送りしても支障がないと思わせるような試算結果を出すことは、日本の将来のためにならない』、「2024年の年金の財政検証は、こうした人口動態や就業実態を踏まえつつ、保守的な経済見通しに基づいて議論されることが望まれる。年金改革にトラウマを持つ政治家に忖度して、楽観的な経済見通しに基づいて年金制度の改革を先送りしても支障がないと思わせるような試算結果を出すことは、日本の将来のためにならない」、同感である。

第三に、5月4日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏による「「年金崩壊」シナリオに現実味、厚生年金は2040年代前半に単年度10兆円赤字で破綻する!?」を紹介しよう。この記事は有料だが、今月、無料で読めるのは私の場合、残り4本。
https://diamond.jp/articles/-/322331
・『厚生年金の収支見通し 国庫支出増えても経常収入は減少  日本の公的年金制度は、幾つかの制度がある。 支出給額でみると、厚生年金が48.1兆円、国家公務員共済組合3.0兆円、地方公務員共済組合が8.3兆円、私立学校教職員共済が0.9兆円。自営業者らの国民年金の国民年金勘定が3.7兆円。そして各制度に共通する基礎年金勘定が24.5兆円だ。 国庫支出金は、各制度から基礎年金制度に対する拠出金の2分の1を国庫が負担するものだ(負担割合は従来、3分の1だったが、2004年度から段階的に引上げられ、09年度に2分の1となった)。 厚生年金の場合、20年度で、経常収入(積立金運用益を除く収入をこのように呼ぶこととする)が約47.2兆円、そのうち保険料収入が約32.1兆円、国庫支出金(国庫・公経済負担)が約10.1兆円だ(厚生労働省「公的年金各制度の財政収支状況」による)。 厚生年金から拠出金を基礎年金勘定に繰り入れ、そこから基礎年金として支出される。 20年度で、厚生年金から基礎年金への拠出額は19.4兆円だ。上にみた厚生年金の経常収入中の国庫・公経済負担約10.1兆円は、この約半分になる。 厚生年金について経常収支の推移を示すと、図表1のとおりだ。 (図表1:給付と経常収入の推移(厚生年金) はリンク先参照) ここでは、支給開始年齢が65歳のままであり、物価上昇率も実質賃金上昇率もゼロであるような経済を考えている。 すると、給付は2020年度の48.1兆円から始まり、65歳以上人口の増加に伴って増えていき、40年度には20年度の約1.083倍である52.1兆円となる。これが、図表1のABによって示されている。 他方で、経常収入の約3分の2は保険料だ(正確な比率は20年度で32.0兆円÷47.2兆円=0.678)。これは、15歳~64歳人口の減少に伴って、20年度から40年度にかけて0.807倍に減少する。) 経常収入の残りは国庫支出金などで、これは、65歳以上人口の増加に従って増えると考えると、20年度から40年度にかけて1.083倍に増加する。 したがって、経常収入全体としては、20年度の47.2兆円から40年度までの間に0.678×0.807+0.322×1.083=0.896倍になって、42.3兆円となる。 これが、図表1のDCによって示されている。国庫支出金を含めても、なお厚生年金の経常収入は1割以上減少するのだ』、「厚生年金」では、「給付は2020年度の48.1兆円」から「40年度には・・・52.1兆円」、「経常収入全体」では。「20年度の47.2兆円から40年度・・・42.3兆円」となる。
・『40年以降は単年度赤字10兆円超 厚生年金の積立金が枯渇する  2020年度では、厚生年金の経常収支はほぼ均衡している。しかし、その後は赤字が拡大する。 赤字額の累計は、40年度までだと、四辺形ABCDの面積によって表される。この四辺形の面積は、AとDを同一視した三角形で近似すれば、約100兆円だ。 この赤字を積立金の取り崩しによって賄うとしよう(実際には、積立金の運用益を考慮する必要があるが、それについては後述する。ここでは運用益がない場合を想定する)。 22年12月末の積立金残高は、年金積立金全体で191兆円だ(年金積立金管理運用独立行政法人「2022年度の運用状況」による)。 このうち厚生年金の比率は、過去のデータからすると79%程度と考えられるので、約150兆円だ。したがって、前述のことから40年頃には残高が50兆円程度にまで減る。 ところが、40年度以降は経常収支の単年度の赤字が10兆円を超す。積立金からの繰り入れを続けるとすれば、40年代の前半に積立金が枯渇することになる』、「積立金残高」のうち「厚生年金」の分は、「約150兆円・・・40年頃には残高が50兆円程度にまで減る」、「40年度以降は経常収支の単年度の赤字が10兆円を超す。積立金からの繰り入れを続けるとすれば、40年代の前半に積立金が枯渇することになる」、その通りだ。
・『将来の経済情勢に依存 積立金運用収益には頼れない  年金会計の収入としては、以上で考えた経常収入のほかに積立金の運用収入がある。 運用収入がどの程度の額になるかは、時々の経済情勢によって大きく変動する。 2020年には、35.7兆円という巨額の運用益が発生した(収益率では24.0%)。しかし、収益率がマイナスになった年もある。22年は四半期連続で赤字になった。 01年度からの21年度の間の平均運用利回りは3.7%だ(年金積立金管理運独立行政法人「年金積立金の運用目標」による)。 現在の積立金が約150兆円だから、積立金の額が変わらないとすれば、年間で5.6兆円程度の収入を期待できることになる。 しかし、30年代の後半には経常収支の赤字が6兆円を超える。そうなると、積立金の取り崩しが必要になり、残高が減り始める。すると運用収益も減少する。こうして、積立金の残高が急速に減少するという悪循環が始まる。 したがって、運用益を考慮したとしても、上で述べた収支見通しに大きな違いはないだろう。破綻時点が若干後にずれることはあるだろうが、大勢に影響はないと考えられる。 しかも、運用収益がどうなるかは、将来の経済情勢に依存する。積立金の評価が減少することもある。 だから、運用収入をあてにすることはできない。経常収支についてのバランスを実現することが重要だ。 年金財政の破綻を回避するには、年金支給開始年齢の再引き上げの議論を早急に始める必要がある』、「30年代の後半には経常収支の赤字が6兆円を超える。そうなると、積立金の取り崩しが必要になり、残高が減り始める。すると運用収益も減少」、「運用収益がどうなるかは、将来の経済情勢に依存する。積立金の評価が減少することもある。 だから、運用収入をあてにすることはできない。経常収支についてのバランスを実現することが重要だ。 年金財政の破綻を回避するには、年金支給開始年齢の再引き上げの議論を早急に始める必要がある」、同感である。
タグ:年金制度 (その6)(2022年度年金額マイナス改定の裏にある重要課題 マクロ経済スライドの給付調整が再び繰り越し、巷で話題、「公的年金をめぐる2つの提案」の背景 2024年財政検証は出生数減少で一段と厳しく、「年金崩壊」シナリオに現実味 厚生年金は2040年代前半に単年度10兆円赤字で破綻する!?) 東洋経済オンライン 土居 丈朗氏による「2022年度年金額マイナス改定の裏にある重要課題 マクロ経済スライドの給付調整が再び繰り越し」 年金制度の基本を改めて考えるのは、興味深そうだ。 「マクロ経済スライド調整率」は、「給付水準の世代間格差是正と年金財政の維持のために設けられた仕組みで、「2022年度」は、「マイナス0.2%と算出」、「年金額改定率に反映する名目手取り賃金変動率は」「マイナス0.4%と算出」、「これらの和は、マイナス0.6%となる」、なるほど。 「マクロ経済スライドを発動する際には、マクロ経済スライド調整率を加えた最終的な年金額改定率はゼロ%を下限とするというものだ・・・名目手取り賃金変動率自体がマイナスの場合は、マクロ経済スライド調整自体を行わないというルールになっている。 2022年度については、この名目下限措置に該当する状況となり、これに従い年金額改定率は名目手取り賃金変動率と同率とすることとなった」、「マクロ経済スライドは、2004年の年金制度改正で導入されて以降、23年間で2015年度と2019年度と2020年度の3回しか発動されていない。特に、初めて発動されたのが制度導入から10年経ってからだったこともあり、発動されないことにより年金財政の持続可能性に支障を来しうるとして、マクロ経済スライド調整率にキャリーオーバー制を設けることとした。 2018年度の年金額改定以降においてである。 キャリーオーバー制とは、前述の名目下限措置によってマクロ経済スライドが発動されなかった場合、その調整率分を翌年度に繰り越す仕組みである」、「2018年度の年金額改定で、マクロ経済スライドが発動されず、早速キャリーオーバー制が適用され、マイナス0.3%分が2019年度に繰り越された。 2019年度は物価上昇率が上がったことから、名目下限措置には該当せず、マクロ経済スライドが発動されることとなったため、2018年度からキャリーオーバーされた分も含めて年金額改定率に反映された」、なるほど。 「年金財政の持続可能性を高めるために導入したキャリーオーバー制だが、こうも頻繁に用いられるとなると、いざ発動するときにはその調整率が大きくなってしまい、マクロ経済スライドへの反感を募らせる意味でアダとなりかねない」、確かにその通りだ。 「2024年には5年に1度の年金の財政検証が待っている・・・その際には、名目下限措置を撤廃してマクロ経済スライドを毎年度フルに発動できるよう、国民的なコンセンサスを醸成することが望まれる」、確かにその方が、調整がスムースでよさそうだ。 土居 丈朗氏による「巷で話題、「公的年金をめぐる2つの提案」の背景 2024年財政検証は出生数減少で一段と厳しく」 「国民年金加入者も、厚生年金加入者と同様にせめて65歳になるまでは保険料を払えば、老後の年金給付の水準を上げることができる」、その通りだ。 「税財源の確保なくして、基礎年金の給付水準の維持はありえない」、その通りだ。 「10月からは・・・従業員が101人以上の企業に勤務し、2カ月以上の雇用の見込みがある人まで厚生年金に加入することとなった。 しかし、10月から新たに厚生年金の適用を受けることとなった人は、約45万人にとどまる。厚生年金のさらなる適用拡大が今後の課題である」、「約45万人にとどまる」、その理由は何なのだろう。それを解明することが、「さらなる適用拡大」の前提条件だ。 「2024年の年金の財政検証は、こうした人口動態や就業実態を踏まえつつ、保守的な経済見通しに基づいて議論されることが望まれる。年金改革にトラウマを持つ政治家に忖度して、楽観的な経済見通しに基づいて年金制度の改革を先送りしても支障がないと思わせるような試算結果を出すことは、日本の将来のためにならない」、同感である。 ダイヤモンド・オンライン 野口悠紀雄氏による「「年金崩壊」シナリオに現実味、厚生年金は2040年代前半に単年度10兆円赤字で破綻する!?」 「厚生年金」では、「給付は2020年度の48.1兆円」から「40年度には・・・52.1兆円」、「経常収入全体」では。「20年度の47.2兆円から40年度・・・42.3兆円」となる。 「積立金残高」のうち「厚生年金」の分は、「約150兆円・・・40年頃には残高が50兆円程度にまで減る」、「40年度以降は経常収支の単年度の赤字が10兆円を超す。積立金からの繰り入れを続けるとすれば、40年代の前半に積立金が枯渇することになる」、その通りだ。 「30年代の後半には経常収支の赤字が6兆円を超える。そうなると、積立金の取り崩しが必要になり、残高が減り始める。すると運用収益も減少」、「運用収益がどうなるかは、将来の経済情勢に依存する。積立金の評価が減少することもある。 だから、運用収入をあてにすることはできない。経常収支についてのバランスを実現することが重要だ。 年金財政の破綻を回避するには、年金支給開始年齢の再引き上げの議論を早急に始める必要がある」、同感である。
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