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幼児(児童)虐待(その1)(【新聞に喝!】「児相に期待できない」となぜ書かない 虐待死事件の「嘆き記事」はもうごめんだ 作家・ジャーナリスト・門田隆将、5歳女児虐待の教訓 「警察・児相・自治体」どう使い分ける、日本の児童虐待対策があまりに的外れな「根本的原因」これでは 救える命も救えない、虐待問題解決の本質とは 黒川祥子さんが取材経験から語る) [社会]

今日は、幼児(児童)虐待(その1)(【新聞に喝!】「児相に期待できない」となぜ書かない 虐待死事件の「嘆き記事」はもうごめんだ 作家・ジャーナリスト・門田隆将、5歳女児虐待の教訓 「警察・児相・自治体」どう使い分ける、日本の児童虐待対策があまりに的外れな「根本的原因」これでは 救える命も救えない、虐待問題解決の本質とは 黒川祥子さんが取材経験から語る)を取上げよう。

先ずは、7月8日付け産経新聞「【新聞に喝!】「児相に期待できない」となぜ書かない 虐待死事件の「嘆き記事」はもうごめんだ 作家・ジャーナリスト・門田隆将」を紹介しよう。
https://www.sankei.com/column/news/180708/clm1807080005-n1.html
・『虐待死事件のたびに、新聞は同じ論調を掲げ、識者のコメントを紹介し、事件を「嘆いてみせる」のだ』、という出だしだけは同感だ。
・しかし、『新聞はなぜ問題の本質を突かないのだろうか。それは、「もはや児相には期待できない」ということだ。児童虐待防止法には、児相による自宅立ち入り調査も認められており、その際、警察の援助を求めることもできるようになっている。だが、児相はそれを活用しない。なぜか。 それは職員の能力と意欲の問題であり、一方で「プライバシー侵害」やら「親の権利」を振りかざす“人権の壁”への恐れがあるからだ。子供を虐待死させるような親は、人権を盾に抵抗し、あらゆる言辞を弄して子供への面会を拒む。この壁を突破して子供の命を守るには、逆に、児相に「案件を抱え込ませてはならない」のである。 警察を含む行政組織が全情報を共有し、例えば“街の灯台”たる交番のお巡(まわ)りさんが、絶えず訪問して子供の顔を確認するようなシステムを構築しなければならない』、というのは以下に紹介する記事と比べると暴論に近い。多くの事件でミスを重ねてきた警察が役割を果たすというのは、筆者の「ないものねだり」だ。しかも、警察に委ねることによるデメリットも考慮されてない。こうした暴論をが正々堂々と掲載する産経新聞の良識を疑わざるを得ない。

次に、7月1日付け日刊ゲンダイ「5歳女児虐待の教訓 「警察・児相・自治体」どう使い分ける」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/232420/1
・『児童相談所が持っている虐待情報が、警察と共有されれば、より広範囲で迅速に対応できる――。それが、「虐待情報の警察との全件共有」である。 現在、全件共有を行っているのは高知、茨城、愛知の3県のみ。埼玉も今月、全件共有の方針を打ち出したが、それでもわずか4県だ。 これらの4県なら万全かというと、全件共有は必ずしもメリットばかりではないという』、
・(足立区「こども支援センターげんき」では)『区に相談される虐待案件は、ローリスクのものから複数回通報されているような重度のものまでさまざまです。相談を受けると、まず過去の相談歴(記録)を参考にします。記録がなくても、調査の結果、重篤な案件としたこともあるし、逆に何度かの通報の過程で支援を重ねて自立的な養育が可能になるケースもある。その一方で、悩み苦しみながらも助けを求められずにいる親もいます。虐待情報の取り扱いは十分な注意が必要です」。 たとえば、子育てに悩むあまり、「虐待をしてしまいそう」「ときどき手をあげてしまう」という親がいるとしよう。そういう親は行政などに相談して、悩みが解消されると、深刻な虐待を防ぐこともできるだろうが、全件共有によって虐待情報が警察に共有されてしまうと、「警察」という言葉の響きから、親は「自分は犯罪者か」と萎縮し、内に閉じこもることもある・・・自治体によっては、警察がそんな子供の相談窓口の一つで、子供は警察から児相への全件共有を恐れるという』、警察との情報共有のリスクは確かに認識すべきだ。
・『足立区では子供支援センターに電話してもらうようお願いしています。重度の虐待と判断されると、センターから児童相談所へ連絡します。万が一、子供の生命に危険が及ぶようなときは、すぐ110番してください。警察の判断で子供を保護してから、安全に児童相談所へ送り届けていく仕組みがあります」』、という使い分けが必要なようだ。

第三に、元衆議院議員で経済ジャーナリストの井戸 まさえ氏が6月18日付け現代ビジネスに寄稿した「日本の児童虐待対策があまりに的外れな「根本的原因」これでは、救える命も救えない 」を紹介しよう。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56167
・ごく最近まで児童相談所所長だった(人からの)・・・メッセージに示唆されているのは、以下4つに集約できるだろう。
 1. 児相より「取次店」レベルに終始する市区町村の意識高揚、体制強化が急務
 2. 市町村に機能分担をしなければ、児相に人を増やしても「砂漠で散水」
 3. 街の開業医(市町村)で対応が難しい場合総合病院(児相)への紹介と、権能・役割分担を徹底化 
 4. 現状は風邪で救急車(児相)を呼んでいる状態 虐待児やその家族の支援をしている人々は、実は「初動」も含めこうした支援の最前線にいるのは市町村だということを誰もが知っている。そして、残念なことにその初動で失敗に至っているケースが多いということも』、なるほど実務の第一線にいた人間ならではの説得力がある。
・『原因のひとつは政治関係者が行なう「ヒアリング」にあると思う・・・こうした事件や事故等が起こると、国から地方自治体に至るまで行政をチェックする議会に属する議員たちは対応策の検討に入るが、施策の根拠となる当事者の状況を知るため、諸処のヒアリングを行なうのが常である。 実はこれがくせ者。事態を前に進めることもあれば、逆に大真面目に効果の出ない政策を議論することになったりするのだ・・・対象者について・・・通常は関係省庁等に連絡をとり、意見を聞いて決めるのが基本だ。 つまり、その段階でかなりの「バイアス」がかかっているとみなければならない・・・「当事者の声を聞いた」とか「現場の状況を把握した」といっても、そもそも2次情報、3次情報が多い。それをもとに政策を組んでも思ったような効果に至らないのは当然で、これまでの施策とその結果をみれば一目瞭然である』、というのはさすが元衆議院議員だけあって、なるほどと納得した。
・『また、こうしたヒアリングはたいてい「1時間」と決まっている・・・参加者の発言持ち時間は限られ、複雑な事案を単純化して伝えなくてはならなくなったり、中途半端な内容に終始してしまったり、ヒアリングを受けた当事者の中にかなりの不完全燃焼感、ストレスが残ることも珍しくない・・・先般行なわれたある党のヒアリングでは、関西からわざわざ有識者である大学教授を議員会館に呼んだが、発言時間はたった5分だったという』、政治や行政のいいかげんさに改めてあきれた。
・『ヒアリングや視察では各省庁や時に地方自治体の関係者が呼ばれることもあるが、その場は議員に叱責される時間ともなることが多い。 政治家にとってそれが意図したことではないとしても、権力を持つ彼らが纏うある種の万能感は現場の人々を萎縮させる。 官僚や地方自治体の担当者は事件が起こり、責任を問われた時に「先例に従っている」と逃れられるようにと意識しながら仕事をするようになる、それが支援の幅を狭めさせているのだが。 そんな中で作られた政策はまさに「砂漠に散水する」結果となり、救える命を見過ごすことにつながっていく——』、やれやれだ。

第四に、6月25日付け日刊ゲンダイが掲載したノンフィクション作家 黒川祥子氏へのインタビュー「虐待問題解決の本質とは 黒川祥子さんが取材経験から語る」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/231743/1
・『殺人事件のうち、2件に1件が「身内」で起こっている。一つの家庭で殺人者と被害者を出すようになった背景を知りたい。板橋両親殺害爆破、渋谷「セレブ妻」夫バラバラ殺人など10件の身内の犯行を取り上げました。気付いたのが、10件の殺人者全員が性別、年齢関係なく、被虐待者ということ。虐待がいかに大きな傷になるか。虐待から子供たちを救い出す社会を構築する方法はないものかと考えるようになりました』、取上げた10件がたまたまそうであった可能性もあるが、「殺人者全員が・・・被虐待者」というのには驚かされた。
・『それまで私が見ていたのは、虐待で殺された子供たちでした。だから虐待家庭から保護されることが、虐待問題の解決につながると考えていました。しかし「あいち小児保健医療総合センター」を取材し、それが全く甘い考えだと知り、愕然としました。0歳から15歳までが収容されるこの病院に、二重構造の閉鎖病棟があるのはなぜか』、 『性的虐待を受けていた子供は、未就学児や小学校低学年など小さな子供でも、自分が受けた性的行動を“再現”する。人前でパンツを下ろしたり、性的暴力を他の子供に与えたり。性化行動をどう抑制するかは、児童養護施設の深刻な問題のひとつになっています。厚労省が発表した性的虐待の児童相談所への対応件数(16年度)は虐待相談全体の1・3%ですが、あいち小児保健医療総合センターでは17%(取材した12年当時)。性的虐待が顕在化しづらい現実を示す数字です』、「性化行動」とは初耳だが、確かにありそうだが、余りに深刻なので、それを「表立って」取上げられない問題なのでろう。
・『再チャレンジ高校とは、中学までに持てる力を発揮できなかった生徒に対し、再チャレンジの場を与える趣旨の学校で、選抜基準は「関心・意欲・態度」。入試は作文と面接のみで、学力考査は行わず、中学の成績も考慮しない・・・再チャレンジ高校では卒業後も生徒を支える』、とはなかなかいい取り組みだ。たまたまこの高校だけなのか、或は他にもこうした取り組みがあるのか、などは記事ではさっぱり分からないが、こうした取り組みが広がることを期待したい。
タグ:児童 全件共有は必ずしもメリットばかりではないという 殺人事件のうち、2件に1件が「身内」で起こっている 再チャレンジ高校では卒業後も生徒を支える 発言時間はたった5分だったという 産経新聞 「【新聞に喝!】「児相に期待できない」となぜ書かない 虐待死事件の「嘆き記事」はもうごめんだ 作家・ジャーナリスト・門田隆将」 ヒアリングや視察では各省庁や時に地方自治体の関係者が呼ばれることもあるが、その場は議員に叱責される時間ともなることが多い 日刊ゲンダイ 虐待情報の警察との全件共有 そんな中で作られた政策はまさに「砂漠に散水する」結果となり、救える命を見過ごすことにつながっていく 虐待 政治家にとってそれが意図したことではないとしても、権力を持つ彼らが纏うある種の万能感は現場の人々を萎縮させる。 官僚や地方自治体の担当者は事件が起こり、責任を問われた時に「先例に従っている」と逃れられるようにと意識しながら仕事をするようになる、それが支援の幅を狭めさせているのだが 新聞はなぜ問題の本質を突かないのだろうか。それは、「もはや児相には期待できない」ということだ。児童虐待防止法には、児相による自宅立ち入り調査も認められており、その際、警察の援助を求めることもできるようになっている。だが、児相はそれを活用しない。なぜか。 それは職員の能力と意欲の問題であり、一方で「プライバシー侵害」やら「親の権利」を振りかざす“人権の壁”への恐れがあるからだ。子供を虐待死させるような親は、人権を盾に抵抗し、あらゆる言辞を弄して子供への面会を拒む。この壁を突破して子供の命を守るには、逆に、児 幼児 (その1)(【新聞に喝!】「児相に期待できない」となぜ書かない 虐待死事件の「嘆き記事」はもうごめんだ 作家・ジャーナリスト・門田隆将、5歳女児虐待の教訓 「警察・児相・自治体」どう使い分ける、日本の児童虐待対策があまりに的外れな「根本的原因」これでは 救える命も救えない、虐待問題解決の本質とは 黒川祥子さんが取材経験から語る) 「虐待問題解決の本質とは 黒川祥子さんが取材経験から語る」 それまで私が見ていたのは、虐待で殺された子供たちでした。だから虐待家庭から保護されることが、虐待問題の解決につながると考えていました。しかし「あいち小児保健医療総合センター」を取材し、それが全く甘い考えだと知り、愕然としました。0歳から15歳までが収容されるこの病院に、二重構造の閉鎖病棟があるのはなぜか 井戸 まさえ 産経新聞の良識を疑わざるを得ない 区に相談される虐待案件は、ローリスクのものから複数回通報されているような重度のものまでさまざまです。相談を受けると、まず過去の相談歴(記録)を参考にします。記録がなくても、調査の結果、重篤な案件としたこともあるし、逆に何度かの通報の過程で支援を重ねて自立的な養育が可能になるケースもある。その一方で、悩み苦しみながらも助けを求められずにいる親もいます。虐待情報の取り扱いは十分な注意が必要です」。 たとえば、子育てに悩むあまり、「虐待をしてしまいそう」「ときどき手をあげてしまう」という親がいるとしよう。そうい 親は行政などに相談して、悩みが解消されると、深刻な虐待を防ぐこともできるだろうが、全件共有によって虐待情報が警察に共有されてしまうと、「警察」という言葉の響きから、親は「自分は犯罪者か」と萎縮し、内に閉じこもることもある・・・自治体によっては、警察がそんな子供の相談窓口の一つで、子供は警察から児相への全件共有を恐れるという 板橋両親殺害爆破、渋谷「セレブ妻」夫バラバラ殺人など10件の身内の犯行を取り上げました。気付いたのが、10件の殺人者全員が性別、年齢関係なく、被虐待者ということ。虐待がいかに大きな傷になるか。虐待から子供たちを救い出す社会を構築する方法はないものかと考えるようになりました 再チャレンジ高校 政治関係者が行なう「ヒアリング」 現状は風邪で救急車(児相)を呼んでいる状態 対象者について・ 通常は関係省庁等に連絡をとり、意見を聞いて決めるのが基本だ。 つまり、その段階でかなりの「バイアス」がかかっているとみなければならない 市町村に機能分担をしなければ、児相に人を増やしても「砂漠で散水」 街の開業医(市町村)で対応が難しい場合総合病院(児相)への紹介と、権能・役割分担を徹底化 現代ビジネス 性的虐待を受けていた子供は、未就学児や小学校低学年など小さな子供でも、自分が受けた性的行動を“再現”する。人前でパンツを下ろしたり、性的暴力を他の子供に与えたり。性化行動をどう抑制するかは、児童養護施設の深刻な問題のひとつになっています。厚労省が発表した性的虐待の児童相談所への対応件数(16年度)は虐待相談全体の1・3%ですが、あいち小児保健医療総合センターでは17%(取材した12年当時)。性的虐待が顕在化しづらい現実を示す数字です 「日本の児童虐待対策があまりに的外れな「根本的原因」これでは、救える命も救えない 」 「5歳女児虐待の教訓 「警察・児相・自治体」どう使い分ける」 児相より「取次店」レベルに終始する市区町村の意識高揚、体制強化が急務 現在、全件共有を行っているのは高知、茨城、愛知の3県のみ。埼玉も今月、全件共有の方針を打ち出したが、それでもわずか4県だ
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日本のスポーツ界(その13)(決勝Tベルギー戦惜敗が覆い隠す 日本サッカーの深層と今後、イニエスタの年俸32億円超を赤字のヴィッセル神戸が払える理由、米国NCAAは日本の「体育会系」を変えることができるのか? 日米「大学スポーツ」こんなに違う) [社会]

日本のスポーツ界については、6月22日に取上げた。今日は、(その13)(決勝Tベルギー戦惜敗が覆い隠す 日本サッカーの深層と今後、イニエスタの年俸32億円超を赤字のヴィッセル神戸が払える理由、米国NCAAは日本の「体育会系」を変えることができるのか? 日米「大学スポーツ」こんなに違う)である。

先ずは、7月4日付け日刊ゲンダイ「決勝Tベルギー戦惜敗が覆い隠す 日本サッカーの深層と今後」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/232523/1
・『スポーツマスコミは日本代表の決勝T進出、16強入りを「快挙」「快進撃」と、しきりにヨイショしている。 が、本当にそうか。ほとんどすべてのマスコミが大騒ぎするほどの「快挙」で「快進撃」か』、私も日本のマスコミの報道ぶるには、いささか辟易しており、同感である。
・『16強に進出した過去2大会は、いずれも1次リーグで2勝しているが、今回は1勝(1分け1敗)しただけだ。「日本の戦いぶりを見れば、決勝T進出は単なる僥倖、運に恵まれただけじゃないですか。快挙でも快進撃でもないと思いますね」とスポーツライターの工藤健策氏がこう言った』、というのも同感だ。
・『ハリルホジッチ前監督の解任からしておかしかった・・・最大の理由はハリルホジッチ体制では日本国内で人気も知名度もある「ビッグ3」、本田、香川、岡崎の落選が濃厚になったからだといわれる。それではマズいとサッカー協会がスポンサー筋の意をくんだ。要するに忖度によって誕生したのが今回の西野朗監督率いる日本代表なのだ』、ハリルホジッチ前監督解任には釈然としなかったが、なるほどである。
・『これまでのサッカーでは世界で通用しない、戦術やスタンスを変える必要があると判断したからこそハリルにチームづくりを託したはずなのに、その成否を確かめる以前にクビを切ったのだ。 「要するにサッカー協会はスポンサーへの忖度を優先して、これまでの3年間を丸ごと捨ててしまったわけです。いかに確固たる信念も長期的なビジョンもないかという何よりの証左ですよ」とは前出の工藤氏だ・・・日本の場合はひとまず来てくれる人に任せ、あとは丸投げ。協会にビジョンがないのは昔からで、今に始まったことではありません。けれども、今回決勝Tに出たことで、そういったことまでうやむやになるのが懸念されます。そこが一番の問題です』、何とも情けない話だ。
・『日本サッカー界はまだまだ、成熟しているとは言い難い。スポンサーの顔色をうかがい、波風が立たないからと日本人指揮官を据えているうちは、チームは退化するばかり。よくやったと、はしゃいでいる場合ではないのだ』、全く同感である。
・なお、7月6日の報道では、「西野監督退任 後任にクリンスマン氏や森保氏の名も」ということらしい。これでは、退化するだけだろう。

次に、ノンフィクション・ライターの藤江直人氏が5月29日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「イニエスタの年俸32億円超を赤字のヴィッセル神戸が払える理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/171099
・『MFアンドレス・イニエスタ(34)が、J1のヴィッセル神戸へ完全移籍で加入・・・Jリーグでも最大級のビッグネームは、日本円にして年俸32億5000万円の3年契約(いずれも推定)と条件面でも桁がひとつ違う』、『ヴィッセルの「チーム人件費」は20億6800万円だった。2017年度になって約50%も高騰した背景は昨夏にガラタサライ(トルコ)から加入した、元ドイツ代表FWルーカス・ポドイニエスタルスキの存在を抜きには語れない』、2人も超大物を招聘するとは、さすが三木谷氏だ。
・『2004年1月・・・約42億円もの累計赤字を計上し、東京地方裁判所へ民事再生法の適用を申請していたヴィッセルの運営会社から、三木谷氏が設立した株式会社クリムゾンフットボールクラブが経営権を譲り受けた』、『「純資産」だ。ヴィッセルのそれはJ1では最少となる800万円で、2016年度の1億6300万円から大きく目減りさせている』、どう考えてもヴィッセルには支払い能力はない。
・『32億5000万円は三木谷氏のポケットマネーから?  楽天の世界進出を拡大させるイニエスタの露出効果』、『イニエスタの入団会見には海外メディア14社を含む211社、総勢348人の報道陣もの報道陣が殺到。世界の舞台を含めて、計り知れないほど大きな露出効果がすでに出ている』、どういう実際的な効果が出てくるのか注目点だ。
・より長期的には、『アンドレス・イニエスタという世界で最も美しいプレーをするだけでなく、世界で最も尊敬されているプレーヤーがJリーグでプレーをするということは、単に1プレーヤーが入るということだけではなくて、イニエスタという一滴がJリーグ全体に大きな影響を与える、それが翻って日本のサッカーに大きな影響を与えるのではないかと思っています』、との三木谷氏の言葉に期待したい。

第三に、米国スポーツ教育機関であるIMGアカデミーでフロリダ現地の日本地区代表の田丸 尚稔氏が6月19日付け現代ビジネスに寄稿した「米国NCAAは日本の「体育会系」を変えることができるのか? 日米「大学スポーツ」こんなに違う」を紹介しよう。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56161
・『日本版NCAAがあれば、今回のような件も起こりにくいのではないか、という議論もたくさん出た。結論を言えば、NCAAのような組織を作ったところで根本的な解決は難しいだろう。 大学スポーツの歴史も違えば、スポーツに対するお金のかけ方も異なるし、参考にできることもあれば日本独自の道を探さなければならない点も多々ある・・・今回の議論で一つだけ間違いなく良かった点は、今年度を目処に設立を目指している日本版NCAAが、大学スポーツの観戦チケット販売やテレビの放映権など商業的な側面に注目が集まっていた中、NCAAが本来の役割として”Academics”、”Well-Being”、”Fairness”という3つの柱を掲げ大学アスリートの勉学や安全性、スポーツマンシップなどを統括する組織であるという事実に目が向けられたことだろう』、なるほど即効薬的な考え方は禁物のようだ。
・『NCAAがスタートしたのは20世紀初頭・・・課題になったのは競技や大会運営のルール管理などで、特にコンタクトスポーツであるアメリカンフットボールでは怪我人も続出した。1905年には競技中の事故で少なくとも3人が死亡、168人が深刻な怪我を負ったと記録されており、大学間を超えた第三者機関が求められ・・・当時はテレビがそもそもなかったし、試合の観戦料を取ったのは1915年にピッツバーグ大学が行ったものが初めてで、ナンバー入りのユニフォームを作りたいから、という商業的とは呼べないなんとも可愛らしい理由からで、現在日本で言われるように当時は「NCAA=金になる」という考え方は皆無だった・・・NCAAが組織としてテレビ放映権をコントロールし始めたのが1950年代・・・当初の契約は観客が会場から遠のくとの懸念などもあり放映する試合数も限られ、金額も年間で1億円を超える程度だった』、こうした歴史的経緯を抜きにした議論は危険だ。
・『CBSが2010年から2022年まで契約した放映権料はトータルで$10.8 billionと1兆円を超え、1年あたり1000億円近くにも及ぶ。 この数字を見れば、確かにNCAAの存在は大学スポーツが特大の経済効果を上げる印象を持つのは理解できるが、そもそもの意義は大学スポーツを健全化することにあり、100年を超える歴史の中で魅力が醸成され、テレビ放映されるだけのコンテンツとして育った背景を理解すれば“組織を作ればお金を生み出す”という短絡的な発想はいかに現実味がないか分かるだろう』、日本の一部にある安易な発想に対する鉄槌である。
・『日本の大学スポーツにおいておそらく最も重要で、最も参考にすべき組織が各大学に設置されているAthletic Department(スポーツ部を統括する独立部署)だ。 今回の日大アメフト部に関する一連の報道で大学の対応が後手に回り、運動部のガバナンスが不十分であることが多く指摘され、統括組織として日本版NCAAの創設が一つの解になるような意見が出ているが、いやいや、まずは大学自身の運動部を統制が先だろう。米国の大学スポーツを見ても、NCAAのルールを守り、カンファレンスと連携し、実際に学生たちが健全にスポーツに取り組むことができるように大学の現場で機能しているのがAthletic Departmentだ』、との指摘には説得力がある。
・『米国では大学のスポーツ特待生をStudent-Athleteと呼んでいる。Athlete-Studentの順でもないし、Athleteでもない。つまり、生徒であることが最も重要で文武両道が当然求められるのがスポーツ特待生ということになる。  その考え方に基づき、NCAAはスポーツ特待生になる生徒には様々な条件(NCAA Eligibility)を設定し、管理している。たとえばどんなに競技力が高くても、然るべき成績を出せなかった場合は練習や遠征に参加できなくなるので、大学はスポーツ特待生の勉強をサポートする専門のチームを持っているところも少なくない・・・大学のトップアスリートを目指すなら、中学3年生の時点でスポーツだけでなく勉学についても高い意識を持たなければ遅れをとる、というわけだ』、米国では「スポーツ馬鹿」にさせない姿勢には、大いに学ぶべきだろう。
・なお、本文にはNCAAについて、詳しく解説しているので、リンク先を参照されたい。
タグ:「決勝Tベルギー戦惜敗が覆い隠す 日本サッカーの深層と今後」 ヴィッセルの「チーム人件費」 1905年には競技中の事故で少なくとも3人が死亡、168人が深刻な怪我を負ったと記録されており、大学間を超えた第三者機関が求められ 「イニエスタの年俸32億円超を赤字のヴィッセル神戸が払える理由」 NCAAがスタートしたのは20世紀初頭 純資産」だ。ヴィッセルのそれはJ1では最少となる800万円 20億6800万円だった。2017年度になって約50%も高騰した背景は昨夏にガラタサライ(トルコ)から加入した、元ドイツ代表FWルーカス・ポドイニエスタルスキの存在を抜きには語れない ダイヤモンド・オンライン 藤江直人 田丸 尚稔 協会にビジョンがないのは昔からで、今に始まったことではありません。けれども、今回決勝Tに出たことで、そういったことまでうやむやになるのが懸念されます。そこが一番の問題です CBSが2010年から2022年まで契約した放映権料はトータルで$10.8 billionと1兆円を超え、1年あたり1000億円近くにも及ぶ 要するにサッカー協会はスポンサーへの忖度を優先して、これまでの3年間を丸ごと捨ててしまったわけです。いかに確固たる信念も長期的なビジョンもないかという何よりの証左ですよ 楽天の世界進出を拡大させるイニエスタの露出効果 32億5000万円は三木谷氏のポケットマネーから? ハリルホジッチ前監督の解任からしておかしかった・・・最大の理由はハリルホジッチ体制では日本国内で人気も知名度もある「ビッグ3」、本田、香川、岡崎の落選が濃厚になったからだといわれる。それではマズいとサッカー協会がスポンサー筋の意をくんだ。要するに忖度によって誕生したのが今回の西野朗監督率いる日本代表なのだ 日本版NCAAがあれば、今回のような件も起こりにくいのではないか、という議論もたくさん出た。結論を言えば、NCAAのような組織を作ったところで根本的な解決は難しいだろう 大学のトップアスリートを目指すなら、中学3年生の時点でスポーツだけでなく勉学についても高い意識を持たなければ遅れをとる、というわけだ 。「日本の戦いぶりを見れば、決勝T進出は単なる僥倖、運に恵まれただけじゃないですか。快挙でも快進撃でもないと思いますね」 16強に進出した過去2大会は、いずれも1次リーグで2勝しているが、今回は1勝(1分け1敗)しただけだ 日刊ゲンダイ 米国では大学のスポーツ特待生をStudent-Athleteと呼んでいる。Athlete-Studentの順でもないし、Athleteでもない。つまり、生徒であることが最も重要で文武両道が当然求められるのがスポーツ特待生ということになる まずは大学自身の運動部を統制が先だろう。米国の大学スポーツを見ても、NCAAのルールを守り、カンファレンスと連携し、実際に学生たちが健全にスポーツに取り組むことができるように大学の現場で機能しているのがAthletic Departmentだ (その13)(決勝Tベルギー戦惜敗が覆い隠す 日本サッカーの深層と今後、イニエスタの年俸32億円超を赤字のヴィッセル神戸が払える理由、米国NCAAは日本の「体育会系」を変えることができるのか? 日米「大学スポーツ」こんなに違う) 今回の議論で一つだけ間違いなく良かった点は、今年度を目処に設立を目指している日本版NCAAが、大学スポーツの観戦チケット販売やテレビの放映権など商業的な側面に注目が集まっていた中、NCAAが本来の役割として”Academics”、”Well-Being”、”Fairness”という3つの柱を掲げ大学アスリートの勉学や安全性、スポーツマンシップなどを統括する組織であるという事実に目が向けられたことだろう 「米国NCAAは日本の「体育会系」を変えることができるのか? 日米「大学スポーツ」こんなに違う」 最も重要で、最も参考にすべき組織が各大学に設置されているAthletic Department(スポーツ部を統括する独立部署)だ 日本のスポーツ界 現代ビジネス
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暗号通貨(仮想通貨)(その12)(仮想通貨“認定”6社に処分 「反社取引」黙認の呆れた実態も、暗号通貨 まじめな業界のふざけたスター ビットコイン狂騒曲の舞台アジア 陰でこんな人も暗躍」) [金融]

暗号通貨(仮想通貨)については、5月1日に取上げた。今日は、(その12)(仮想通貨“認定”6社に処分 「反社取引」黙認の呆れた実態も、暗号通貨 まじめな業界のふざけたスター ビットコイン狂騒曲の舞台アジア 陰でこんな人も暗躍」)である。

先ずは、7月4日付けダイヤモンド・オンライン「仮想通貨“認定”6社に処分、「反社取引」黙認の呆れた実態も」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/173742
・『マネーロンダリング(資金洗浄)対策が不十分などの理由で、金融庁は仮想通貨交換業者6社に対して業務改善命令を発令した。問題なのは、いずれも金融庁の審査を通過した“認定済み”業者であったことだ。 今回の処分は、金融庁に対して事実と異なる管理態勢を報告していた、業界最大手のビットフライヤーにも下された。他にも、反社会勢力だと気付いていたにもかかわらず、しばらく取引を停止しなかったあきれた業者もいたという・・・今回、登録業者ですらも多数の不備が発覚。目先の利益に目がくらみ、脇を固めることができていなかったという甘さが再び浮き彫りとなったのだ』、というのは驚くべきことで、金融庁の責任は重大だ。
・『業界不信の引き金になったコインチェックにも動揺が走った・・・インターネット証券大手のマネックスグループの完全子会社となり、取引システムを再構築して「6月末に登録を受ける最終段階に進んでいた」・・・だが、一斉処分の直後であり、金融庁も新たな登録の可否には慎重を期さざるを得まい・・・「金融庁が登録済みの交換業者に鉄拳制裁してしまっては、登録を認められても世間の反応は厳しいものになるだろう(同)と苦悩しているわけだ』、コインチェックやマネックスにとっては、想定外の事態だろう。ご愁傷様という他ない。

次に、6月25日付けJBPressがファイナンシャルタイムズ紙の記事を転載した「暗号通貨、まじめな業界のふざけたスター ビットコイン狂騒曲の舞台アジア、陰でこんな人も暗躍」」を紹介しよう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53399
・『日本は規制を通じてこの現象を正統なものとし、世界をリードしてきた。 今日では日本の暗号通貨トレーダーの数は350万人を突破しており、世界のビットコイン取引の約40%を占めるに至っている』、日本で急拡大したのは、おそらく外為証拠金取引(FX)の業者や投資家が参入したためだろう。それにしても、皮肉ぽい書き出しだ。
・『売買高で世界最大の暗号通貨取引所は、ファイナンスならぬ「バイナンス(Binance)」という看板を掲げている。立ち上げたのは趙長鵬(ジャオ・チャンポン)氏という中国のハイテク起業家だ。 今年2月には「フォーブス」誌の表紙を飾っている。同誌によれば、7カ月間で20億ドルもの財を成したと述べている。 ビットコインやそのほかの仮想通貨はその後急落したが、アジアではこのように短期間で巨額の富を得た話が、いかにも「手っ取り早くお金持ちになりたい」タイプの人々を引きつけている』、「7カ月間で20億ドルもの財を成した」のが仮想通貨取引だけなのかは不明だが、中国人はこれまでマイニング(コンピュータを使った取引の承認)を中心にやっていると思っていたが、投資の方も派手にやっているようだ。
・『香港の高級ホテル、フォーシーズンズで開かれる第1回「Coingeek.com(コインギーク・ドットコム)ビットコイン・コマース・カンファレンス」なるイベント・・・会議後の2次会(に登場するのが)オンライン・ギャンブル業界の親玉、カルヴィン・エアー氏であることが判明する。 2012年に米国でマネーロンダリング(資金洗浄)と違法ギャンブルの罪で連邦当局に起訴された人物だ』、いやはや大変な裏世界の大物が登場してきたものだ。
・『だからといってこの業界全体を退けてしまうのは間違いだ。 暗号通貨は何らかの形で定着しつつあると考え、エアー氏が売り込んでいるイメージとは距離を置こうとしている聡明な、かつ非常に節度のある人々も多いのだ。 電子商取引の巨人アマゾンがドットコム・バブル崩壊の瓦礫の中から立ち上がったことは、覚えておいて損はない。 暗号通貨業界でアマゾンに匹敵するプレーヤーが登場するとしたら、おそらくアジアから出てくるだろう』、というのはさすがファイナンシャルタイムズ紙らしい結びだ。
タグ:マネックスグループの完全子会社となり、取引システムを再構築して「6月末に登録を受ける最終段階に進んでいた」 業界不信の引き金になったコインチェックにも動揺が だが、一斉処分の直後であり、金融庁も新たな登録の可否には慎重を期さざるを得まい 金融庁の責任は重大だ 題なのは、いずれも金融庁の審査を通過した“認定済み”業者であったことだ 金融庁は仮想通貨交換業者6社に対して業務改善命令を発令した 「仮想通貨“認定”6社に処分、「反社取引」黙認の呆れた実態も」 会議後の2次会 だからといってこの業界全体を退けてしまうのは間違いだ。 暗号通貨は何らかの形で定着しつつあると考え、エアー氏が売り込んでいるイメージとは距離を置こうとしている聡明な、かつ非常に節度のある人々も多いのだ オンライン・ギャンブル業界の親玉、カルヴィン・エアー氏 日本は規制を通じてこの現象を正統なものとし、世界をリードしてきた。 今日では日本の暗号通貨トレーダーの数は350万人を突破しており、世界のビットコイン取引の約40%を占めるに至っている 電子商取引の巨人アマゾンがドットコム・バブル崩壊の瓦礫の中から立ち上がったことは、覚えておいて損はない。 暗号通貨業界でアマゾンに匹敵するプレーヤーが登場するとしたら、おそらくアジアから出てくるだろう ダイヤモンド・オンライン (その12)(仮想通貨“認定”6社に処分 「反社取引」黙認の呆れた実態も、暗号通貨 まじめな業界のふざけたスター ビットコイン狂騒曲の舞台アジア 陰でこんな人も暗躍」) アジアではこのように短期間で巨額の富を得た話が、いかにも「手っ取り早くお金持ちになりたい」タイプの人々を引きつけている 売買高で世界最大の暗号通貨取引所は、ファイナンスならぬ「バイナンス(Binance)」という看板を掲げている。立ち上げたのは趙長鵬(ジャオ・チャンポン)氏という中国のハイテク起業家だ 仮想通貨 暗号通貨 「暗号通貨、まじめな業界のふざけたスター ビットコイン狂騒曲の舞台アジア、陰でこんな人も暗躍」」 Coingeek.com(コインギーク・ドットコム)ビットコイン・コマース・カンファレンス 7カ月間で20億ドルもの財を成した ファイナンシャルタイムズ紙 JBPRESS 「金融庁が登録済みの交換業者に鉄拳制裁してしまっては、登録を認められても世間の反応は厳しいものになるだろう(同)と苦悩しているわけだ
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ソーシャルメディアやフェイクニュースによる世論操作(その2)(FBはトランプとロシアにどう使われたか? 言論プラットフォームが民主主義を毀損する皮肉、日本は「偽ニュース」のダメージが小さい国だ 伊藤穰一氏が語る「ニュースメディアの課題」、ネットのデマに踊る人が知らない悪行の正体 そこに広告出稿で手を貸す企業は信用を失う) [メディア]

ソーシャルメディアやフェイクニュースによる世論操作については、昨年2月12日に取上げた。今日は、(その2)(FBはトランプとロシアにどう使われたか? 言論プラットフォームが民主主義を毀損する皮肉、日本は「偽ニュース」のダメージが小さい国だ 伊藤穰一氏が語る「ニュースメディアの課題」、ネットのデマに踊る人が知らない悪行の正体 そこに広告出稿で手を貸す企業は信用を失う)である。

先ずは、日経ビジネスニューヨーク支局長の篠原 匡氏が昨年11月8日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「FBはトランプとロシアにどう使われたか? 言論プラットフォームが民主主義を毀損する皮肉」を紹介しよう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/110700754/
・(TV番組に)『トランプ陣営のデジタル戦略を率いたブラッド・パースカルが登場した。その話を聞くと、フェイスブック(FB)がトランプ勝利にいかに重要な役割を果たしたかが一目瞭然だ。「勝利に導いたのはトランプ自身だが、FBはそのメソッド。FBはトランプが運転する車のハイウェイだった」 パースカルが活用したのはFBのターゲット広告だった・・・その広告は、極めて細かくカスタマイズされていた。「今ではフロリダ州パンハンドルに住む15人を見つけ出すことができる」。そうパースカルが説明したように、FBを使えば従来のテレビ広告では絶対に買うことのできなかったようなローカルの小グループにリーチすることが可能だ。』、というのは確かに選挙戦では有力なツールだ。
・『リベラルなシリコンバレーの生み出したツールがトランプ大統領の勝利に寄与したとすれば、これほど皮肉な話もない』、確かに痛烈な皮肉だ。
・『ターゲット広告に関する技術の活用方法を教え込むため、選挙期間中、パースカルのオフィスに共和党支持の社員が常駐するなど、この作業にはFBも協力している。膨大な広告マネーが飛び交う米大統領選。FBはそこに商機を見いだし、積極的に関わっていたわけだ』、ここまでくると、FBの責任も重大だ。
・『FBは当初、問題のあるアカウント数は470で1000万人以上が閲覧した可能性があると述べていたが、現在では1億2600万人に上方修正されている。FBは2018年までに、広告のチェックのために新たに1000人を採用すると語っているが、広告を自動的に掲載するという仕組み自体に問題があると見る向きも多い』、広告のチェックはAIを使っても、そんなに簡単なことではなさそうだ。
・『主義主張に関係なく自由な意見を交わすことのできるFBは、民主主義を支える言論の自由、表現の自由の構成要素になっている。 ところが、そのFBがもう一つの民主主義の構成要素である選挙を汚したところに、今回の問題の複雑さと本質がある』、なるほど。
・『FBはユーザーの興味や嗜好に応じてAIがニュースフィードをカスタマイズしており、ユーザーに関心のある情報を流そうとする。これが加速すると、ニュースフィードがたこつぼ化し、異なる意見や価値観に触れる機会がなくなっていく』、という『“フィルターバブル』、は確かに民主主義の危機だ。
・『伝統的なメディアは事実確認や校閲、広告のチェックに多くのリソースを割いており、自動化の進んだセルフサービスのFBと比べれば必然的に人件費がかかる。そこにかかっている人件費や作業効率が妥当かどうかはともかく、そういったチェックは対価を得てコンテンツを発信しているメディアの責務と一般には捉えられている』、のに対し、上記のように僅か1000人程度でチェックしようと逃げるFBの姿勢も問題だ。今後、どのようにFBが対応していくのは、大いに注目される。

次に、3月14日付け東洋経済オンラインに掲載されたマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ所長の伊藤穰一氏へのインタビュー「日本は「偽ニュース」のダメージが小さい国だ 伊藤穰一氏が語る「ニュースメディアの課題」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/212218
・『「伝統的なニュースメディアが果たしている役割」とは・・・ネットにエサを投入する役割だ。フェイクニュースを作っている人たちにとっては、ニュースは自らの主張を広げるためのエサにすぎない。新聞やテレビが報じるニュースの持つ信憑性を利用することで、トラフィックを集めている』、というのは面白い比喩だ。
・『ただし、フェイスブックも含めプラットフォームでやり取りされている情報の絶対量からすれば、フェイクニュースの量は、ほんのわずか。だから、フェイスブックにとっては、もっとも重要な役割である身近な人とのコミュニケーションを守るために、タイムラインに流れるニュースを排除する方向に動いた』、なるほど。
・『国によって、フェイクニュースによるダメージには差がある。最も大きなダメージを受けているのはアメリカだ。アメリカは定められたルールの順守によってフェアネスを保ってきた。ところが、大統領の(ドナルド・)トランプですらルールを破っている今、ちゃんとルールを守っているのは一部の人間だけで、もはや民主主義も機能していないのではないか、と疑われるようになった』、というのは困ったことだ。ただ、ここでは触れられてないが、英国のEU離脱時にもフェイクニュースが大きな役割を果たしたようだ。
・『見どころといえるのは、ある程度民主主義が機能してきたドイツだと思う・・・ドイツはちゃんとした民主主義を機能させられるのか。それとも瓦解するのか』、最近のドイツの様子から見る限り、心もとなそうだ。
・『一方で、日本の民主主義は、昔から不透明。アメリカと違って、なんでもかんでも表に出るわけではない。政治もマスコミも透明とはいえない部分がたくさんある。日本の人たちは、本音と建前があるとわかっているから、表に出ていることだけがすべてとは考えていない。だから日本は、アメリカと比べてフェイクニュースに感染した場合のダメージは小さいように思う』、というのはネット右翼の活発な活動を見ると、楽観的過ぎる気もする。
・『振り返ると、日本の「2ちゃんねる」には、今のネットのトレンドがすべて凝縮されていた。話題になっている人を引っ張り出して袋だたきにしたり、フェイクニュース的なものを作ったり。つまり、いま世界で話題になっているフェイクニュース的な手法を輸出したのは日本かもしれない。日本のせいでアメリカでトランプ大統領が生まれたのかもしれない』、というのは面白い見方だ。
・『オープンでボーダーレスなインターネットの世界を保ち、いつか振り子を大きく動かすためには、問題意識が高い若い世代や、その次の世代の人たち、前向きでやや反体制的な人たちに力を与え、そうした人々をつないでいくことが重要だと思っている。僕がいまやっているのは、そういうことです』、大いに期待したい。

第三に、セールスフォース・ドットコム シニアビジネスコンサルタント / エバンジェリストの熊村 剛輔氏が6月29日付け東洋経済オンラインに寄稿した「ネットのデマに踊る人が知らない悪行の正体 そこに広告出稿で手を貸す企業は信用を失う」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/227269
・なお、エバンジェリストとは、IT環境のトレンドや最新テクノロジーをユーザーに向けて分かりやすく解説し、啓蒙を図るのが主な任務です。エバンジェリスト(evangelist)の原義は、キリスト教の「伝道者」(日本の人事部より)
・『インターネット黎明期から絶えず生みだされてきた、いわゆるデマと呼ばれていたものと、現在フェイクニュースと呼ばれているものとの間には、それほど大きな違いは見いだせない。だが、今フェイクニュースがあちこちで生まれる背景には、現在のインターネットの世界における典型的な「ビジネスモデル」と、そのビジネスモデルに乗っかりやすい状況をつくっている「ソーシャルメディア」の存在がある』、なるほど。
・『誰でもサイトを持てるようになり、誰でも広告を掲載できるようになり、そして誰でも(その真偽は別として)ニュースを発信できるようになったことで、誰もが広告費を稼ぐということができるようになった。得られる広告費は、サイトへのアクセス数に左右されるので、収益を上げるためには、サイトへのアクセス数を少しでも多く稼ぐ必要が出てくる。その結果、仮に、それがデマ、つまりフェイクであったとしても、ネタとしてインパクトがあり、アクセス数が稼げればよいというビジネスが増長することとなる』、『ツイッターやフェイスブックといったソーシャルメディアが登場したことで、フェイクニュースはその勢いを増すことになる。ソーシャルメディアにより情報は加速度的に拡散し、より多くの人々に届くようになった。さらに、気の合う友達や考えが近しい友達の投稿を優先的に表示させたりする、ソーシャルメディアが持つ特性も手伝い、フェイクニュースは信じられやすく、拡散しやすいニュースとして強烈なインパクトをもたらすようになった』、恐ろしい時代になったものだ。
・『今後はAIによって数々のバリエーションのフェイクニュースが量産されることも考えられるだろう・・・今後はAIが受け手の思想や思考に合わせ、さまざまな文脈でフェイクニュースが作られていくことも可能になる。テクノロジーの進化に合わせ、フェイクニュースも進化し続けているのが現状だ』、さらに今後も悩まされるのではかなわない。
・ただ、救いも出てきたようだ。『こういったフェイクニュースが拡がることで、企業のビジネスに対してもネガティブなインパクトが引き起こされることは想像に難くない。特にフェイクニュースの“ネタ”として利用された企業やブランドは、そのレピュテーション(評判、世評)が大きく損なわれるうえに、その回復に多大な時間、労力、コストが発生する可能性がある。また、直接“ネタ”にされなくても、フェイクニュースを掲載しているサイトに対する広告出稿が原因で、企業やブランドのレピュテーションが損なわれるケースも少なくない』、『実際、海外では、フェイクニュースを発信しているサイトへ広告が掲載されてしまったことで商品の不買運動に発展してしまうケースも起こっている。そのため、大手広告主企業の中では、インターネット広告に対する予算配分を大幅に見直し、出稿を制限するような動きも見え始めている』、こうしたブレーキが利くまでには時間がかかるだろうが、一抹の期待はできそうだ。
・『欧州では対策に向けて大きな動きが起ころうとしている。今年1月1日付でドイツで施行された、ヘイトスピーチやフェイクニュースを取り締まる新法が、そのひとつだ・・・そしてEU(欧州連合)も本腰を入れ始めた・・・ECは、これらプラットフォーム企業に対して、まず今年の7月までに、フェイクニュースに対する行動規範を設けることを求め、各企業に対し、それぞれ自主規制を強化することを要求している。そのうえで、今年末までにフェイクニュースの減少が見られなかった場合、法的な規制の導入の検討が行われるというものだ』、さすが、欧州の対応は早い。米国の顔色ばかりを見ている日本も、真剣に考え直すべきだろう。
タグ:EU(欧州連合)も本腰を入れ始めた ドイツで施行された、ヘイトスピーチやフェイクニュースを取り締まる新法が、そのひとつだ・ 実際、海外では、フェイクニュースを発信しているサイトへ広告が掲載されてしまったことで商品の不買運動に発展してしまうケースも起こっている。そのため、大手広告主企業の中では、インターネット広告に対する予算配分を大幅に見直し、出稿を制限するような動きも見え始めている フェイクニュースを掲載しているサイトに対する広告出稿が原因で、企業やブランドのレピュテーションが損なわれるケースも少なくない フェイクニュースの“ネタ”として利用された企業やブランドは、そのレピュテーション(評判、世評)が大きく損なわれるうえに、その回復に多大な時間、労力、コストが発生する可能性がある 今後はAIによって数々のバリエーションのフェイクニュースが量産されることも考えられるだろう フェイクニュースは信じられやすく、拡散しやすいニュースとして強烈なインパクトをもたらすようになった それがデマ、つまりフェイクであったとしても、ネタとしてインパクトがあり、アクセス数が稼げればよいというビジネスが増長することとなる 誰でも(その真偽は別として)ニュースを発信できるようになったことで、誰もが広告費を稼ぐということができるようになった 典型的な「ビジネスモデル」 「ソーシャルメディア」の存在 いわゆるデマと呼ばれていたものと、現在フェイクニュースと呼ばれているものとの間には、それほど大きな違いは見いだせない 「ネットのデマに踊る人が知らない悪行の正体 そこに広告出稿で手を貸す企業は信用を失う」 熊村 剛輔 フェイクニュース的な手法を輸出したのは日本かもしれない 日本の「2ちゃんねる」には、今のネットのトレンドがすべて凝縮されていた 日本の人たちは、本音と建前があるとわかっているから、表に出ていることだけがすべてとは考えていない。だから日本は、アメリカと比べてフェイクニュースに感染した場合のダメージは小さいように思う 見どころといえるのは、ある程度民主主義が機能してきたドイツだと思う 国によって、フェイクニュースによるダメージには差がある。最も大きなダメージを受けているのはアメリカだ フェイクニュースを作っている人たちにとっては、ニュースは自らの主張を広げるためのエサにすぎない。新聞やテレビが報じるニュースの持つ信憑性を利用することで、トラフィックを集めている 「日本は「偽ニュース」のダメージが小さい国だ 伊藤穰一氏が語る「ニュースメディアの課題」」 伊藤穰一 東洋経済オンライン 伝統的なメディアは事実確認や校閲、広告のチェックに多くのリソースを割いており、自動化の進んだセルフサービスのFBと比べれば必然的に人件費がかかる フィルターバブル FBは2018年までに、広告のチェックのために新たに1000人を採用 FBは当初、問題のあるアカウント数は470で1000万人以上が閲覧した可能性があると述べていたが、現在では1億2600万人に上方修正されている ターゲット広告に関する技術の活用方法を教え込むため、選挙期間中、パースカルのオフィスに共和党支持の社員が常駐するなど、この作業にはFBも協力している。膨大な広告マネーが飛び交う米大統領選。FBはそこに商機を見いだし、積極的に関わっていたわけだ リベラルなシリコンバレーの生み出したツールがトランプ大統領の勝利に寄与したとすれば、これほど皮肉な話もない パースカルが活用したのはFBのターゲット広告 。「勝利に導いたのはトランプ自身だが、FBはそのメソッド。FBはトランプが運転する車のハイウェイだった」 トランプ陣営のデジタル戦略を率いたブラッド・パースカル 「FBはトランプとロシアにどう使われたか? 言論プラットフォームが民主主義を毀損する皮肉」 日経ビジネスオンライン 篠原 匡 (その2)(FBはトランプとロシアにどう使われたか? 言論プラットフォームが民主主義を毀損する皮肉、日本は「偽ニュース」のダメージが小さい国だ 伊藤穰一氏が語る「ニュースメディアの課題」、ネットのデマに踊る人が知らない悪行の正体 そこに広告出稿で手を貸す企業は信用を失う) ソーシャルメディアやフェイクニュースによる世論操作
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民主主義(その4)(EU離脱国民投票の不正告発者が日本に警鐘 パキスタン系英国人 シャミール・サニ氏に聞く、「それでも、民主主義は優れた政治体制」 民主主義と一党独裁について米コロンビア大学教授に聞く) [政治]

民主主義については、4月6日に取上げた。今日は、(その4)(EU離脱国民投票の不正告発者が日本に警鐘 パキスタン系英国人 シャミール・サニ氏に聞く、「それでも、民主主義は優れた政治体制」 民主主義と一党独裁について米コロンビア大学教授に聞く)である。

先ずは、ロンドン在住フリーテレビディレクターの伏見 香名子氏が6月25日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「EU離脱国民投票の不正告発者が日本に警鐘 パキスタン系英国人、シャミール・サニ氏に聞く」を紹介しよう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/100500021/062000018/?P=1
・『EU(欧州連合)離脱を問う国民投票から2年が経った。英国ではこの3月、離脱派陣営で活動していた内部告発者により、選挙法で定められた活動資金の上限を不正に越えて投入していた疑惑が大騒動となった・・・こうした告発や、有力紙・ガーディアンの調査報道などによって、投票結果の正当性が、現在も激しく議論され続けている。 今回、内部告発者の一人であり、元離脱派団体でボランティアを行なっていた男性に話を聞くことができた』、2年経っても未だに議論されているとは、忘れやすい日本とは大違いだ。
・『国民投票法で定められている、各主要団体が広告やキャンペーンに投じて良い資金の上限700万ポンド(約10億1500万円)を越えた額を使ったのではないか、というものである。同法では、その他の登録された団体には、上限70万ポンドの使用が認められていた・・・700万ポンド以上の金が必要となった離脱の公式団体が、サニさんの団体に彼らの使用上限に迫る62万5000ポンドもの金をキャンペーンとは別の「寄付」として流し、その金をサニさんに命じて、自分たちがキャンペーンで使ったデジタル企業に流させたのではないか、というものだ』、なかなか巧妙な脱法行為だ。
・『サニさんは告発により、それまで家族にもひた隠しにしてきた同性愛者である事実を、当時離脱派団体の主要メンバーであり、一時恋人だった、現職の官邸関係者から暴露された。男性はサニさんに事前の了解も得ず、一連の告発は、恋愛関係のもつれによるものだと、米ニューヨークタイムズ紙に公式に発表した。 突然セクシュアリティを公然と、しかも時の政権関係者から公表された本人や家族のショックは計り知れないが、今も親族の暮らすパキスタンで同性愛はタブーであり、親戚らが深刻な危険にさらされたと言う。告発により、職も失った。それでも、離脱を支持したことや、告発を行ったことを後悔してはいないと語る』、加計疑惑を告発した前川前文科次官に対し、「出会い系バー」への立ち入り疑惑をぶつける人格攻撃したのとまるで瓜二つだ。英国でもこんな汚い手法がまかり通っているとは驚いた。
・『日本の国民投票法において広告キャンペーンなどへの資金投入の上限が存在しない・・・公正な投票法が定まっていない中での改憲は、危険です・・・その票が多額の資金を投じる側に流れてしまうことは、危険なことです』、確かに、日本の国民投票法はザル法で危険だ。

次に、6月26日付け日経ビジネスオンライン「「それでも、民主主義は優れた政治体制」民主主義と一党独裁について米コロンビア大学教授に聞く」を紹介しよう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/16/062100026/062100002/?P=1
・『中国の民主化と民主主義について、民主主義の歴史や成り立ちに詳しい米コロンビア大学のシェリ・バーマン教授に聞いた』、『自由民主主義と資本主義が同時に起きるというのは歴史的にかなり限られた現象だということを理解する必要があります。これは主に1945年以降の産物です。 欧州の国々が独自の資本主義を進め始めた1918年以前に民主的な国はほとんどありませんでした。第一次世界大戦前に欧州で民主的だったフランスも、民主主義は不安定でした。基本的に、民主主義は工業化の後に来る傾向にあります。中国の民主化と経済発展も同時には起きていません』、日本の民主化は遅れていたと思っていたが、フランスでも民主主義が根付いたのは第二次大戦後というのは初めて知った。
・『「秩序と成長」と「民主主義」のどちらかを選ばなければならないとすれば、「秩序と成長」を選ぶ時もあるでしょう。「秩序と成長」は生きるために必要なものです。ただ、いったんそれを手に入れれば、ほとんどの人は自分で決断したいと思うようになると考えています。社会に参加したいと多くの人が考え始めると思います』、後半部分は教授の願望という印象もなくはない。
・『プラトンは独裁は民主主義体制の上に成り立つと書いている』、との質問者の問いかけは、もう少し内容を知りたいところだ。
・『民主党にはトランプ大統領に対抗できる人材はいますが、もっといい案を提供する候補者がいると有権者を説得できなければ、民主党は票を獲得することはできません』、というのは日本の野党にも通じる課題だ。
タグ:サニさんは告発により、それまで家族にもひた隠しにしてきた同性愛者である事実を、当時離脱派団体の主要メンバーであり、一時恋人だった、現職の官邸関係者から暴露された。男性はサニさんに事前の了解も得ず、一連の告発は、恋愛関係のもつれによるものだと、米ニューヨークタイムズ紙に公式に発表した EU(欧州連合)離脱を問う国民投票 内部告発者により、選挙法で定められた活動資金の上限を不正に越えて投入していた疑惑が大騒動となった 「EU離脱国民投票の不正告発者が日本に警鐘 パキスタン系英国人、シャミール・サニ氏に聞く」 日経ビジネスオンライン 伏見 香名子 (その4)(EU離脱国民投票の不正告発者が日本に警鐘 パキスタン系英国人 シャミール・サニ氏に聞く、「それでも、民主主義は優れた政治体制」 民主主義と一党独裁について米コロンビア大学教授に聞く) 民主主義 突然セクシュアリティを公然と、しかも時の政権関係者から公表された本人や家族のショックは計り知れないが、今も親族の暮らすパキスタンで同性愛はタブーであり、親戚らが深刻な危険にさらされたと言う。告発により、職も失った 自由民主主義と資本主義が同時に起きるというのは歴史的にかなり限られた現象だということを理解する必要があります。これは主に1945年以降の産物です 加計疑惑を告発した前川前文科次官 民主党にはトランプ大統領に対抗できる人材はいますが、もっといい案を提供する候補者がいると有権者を説得できなければ、民主党は票を獲得することはできません プラトンは独裁は民主主義体制の上に成り立つと書いている 秩序と成長」と「民主主義」のどちらかを選ばなければならないとすれば、「秩序と成長」を選ぶ時もあるでしょう。「秩序と成長」は生きるために必要なものです。ただ、いったんそれを手に入れれば、ほとんどの人は自分で決断したいと思うようになると考えています 日本の国民投票法において広告キャンペーンなどへの資金投入の上限が存在しない・・・公正な投票法が定まっていない中での改憲は、危険です 出会い系バー 米コロンビア大学のシェリ・バーマン教授 「「それでも、民主主義は優れた政治体制」民主主義と一党独裁について米コロンビア大学教授に聞く」 民主主義は工業化の後に来る傾向にあります
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就活(就職活動)(その4)(「1年以内に辞める若者」が続々生まれるワケ 3年よりもっと早くに辞める心理、マッキンゼー 三菱商事……就活の「勝ち組」から 若手の離職が止まらない理由 気づいた人から辞めている?、採用面接を隠し録り 行き過ぎた「面接の達人」 そんな就活でほんとにいいの?) [社会]

就活(就職活動)については、一昨年11月20日に取上げたままだった。今日は、(その4)(「1年以内に辞める若者」が続々生まれるワケ 3年よりもっと早くに辞める心理、マッキンゼー 三菱商事……就活の「勝ち組」から 若手の離職が止まらない理由 気づいた人から辞めている?、採用面接を隠し録り 行き過ぎた「面接の達人」 そんな就活でほんとにいいの?)である。

先ずは、株式会社セレブレイン社長の高城 幸司氏が4月2日付け東洋経済オンラインに寄稿した「「1年以内に辞める若者」が続々生まれるワケ 3年よりもっと早くに辞める心理」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/214707
・『以前から新入社員は3年で3割が辞めると言われていますが、実は1年以内に結構な数の人が辞めます。厚生労働省の調査によると入社社員は1年以内で約5万人、つまり「10人に1人」が会社を辞めています。しかも、この傾向は長年続いています。この早期退職は会社にとっても、新入社員にとっても大きな機会損失です』、というのは確かにもったいない話だ。
・『入社1年以内の若手社員に限ると・・・エン転職による退職理由の調査で25歳までの若手社員は「やりたい仕事ではなかった」(25歳以下:31%、全体:16%)と「ミスマッチと断定した」からという理由が突出しています。まさに会社を見切ってしまったということ。 寄せられたコメントを見てみると「お客様のことをまったく理解していないと感じ、私に合わないと思った」「自ら考えて自発的に行動することは許されなかった」「ルーチンワークで飽きてしまった」など。おそらく最初に配属された職場の仕事で、この会社での将来を“見切って”しまったのです。人生の先輩たちからすれば早すぎる判断に思えてしまうのですが、果たして新入社員の見切りは正しいのでしょうか?』、ミスマッチはいつの時代でもある話だが、”見切り”は随分早くなったようだ。
・『就活のやり直しともいえる転職市場=第二新卒市場が醸成されているからです。 大手転職紹介会社=いわゆるエージェントには入社1年以内に会社を辞めても「まったく問題ない」と思わせるほどの求人数が集まっています。さらに「3年は我慢しろというのは間違い。3年は長い。我慢してやる気がさらに下がるくらいなら、早く辞めて次の仕事に就くほうが幸せになれる可能性が高い」等と、早々の退職を促すメッセージが転職サイトで随所にみつけることができます』、というのは転職紹介会社によるPR臭もするが、一面の真実でもある。
・『最近の学生は自分なりのキャリアプランを事細かに描く傾向があります。このプラン通りにならないのであれば辞めるという意思が強く、会社が期待通りのキャリアプランを提供できないとすれば、そもそも採用することはお互いにとって不幸な結末になるともいえます』、私が最近まで接触した学生には、キャリアプランを事細かに描いているようには思えなかったが、仮にそこまで描いているのであれば、初回の就活の段階で擦り合わせをしておくべきだったのだろう。

次に、博報堂、ボストンコンサルティンググループを経て、人材ポータルサイトを運営するワンキャリアに参画した北野唯我氏が6月22日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「マッキンゼー、三菱商事……就活の「勝ち組」から、若手の離職が止まらない理由 気づいた人から辞めている?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/173047
・『現代はすでに二人に一人が転職する時代です。加えて「人生100年時代への突入」により、一生のうちに一社だけに勤める人の割合は今後も減っていくと予測されます。僕は最近、そんな「転職が当たり前になりつつある時代」を象徴する出来事を目の当たりにしました』、「二人に一人が転職する時代」とは隔世の感がある。
・『以前、友人と「職業人生の設計」に関するトークイベントを実施したときでした。土日開催で有料。しかも、告知はブログのみ。僕らは10名程度の参加を想定していました。しかし、ふたを開けると定員10名に対して300名の応募がありました。加えて、応募者リストを見ると驚きました。  三菱商事、三井物産、マッキンゼー、ゴールドマン・サックス証券、電通、フジテレビなど就活の「勝ち組」と呼ばれるような若手がゴロゴロ応募してくれていたのです。不思議ではないでしょうか。なぜ、彼らのように「社会的には勝ち組」と呼ばれる人たちが、土日のイベントにわざわざ応募してくれたのか。それは日本の「構造的な問題」に起因しています』、日系の三菱商事、三井物産などについてはその通りだろうが、外資系のマッキンゼー、ゴールドマン・サックス証券などについては、別の理由がある筈だ。おそらく日系と違って、いつクビを切られるのかという不安定性があるため、それに備えての情報収集なのではなかろうか。
・『日本の「一括採用」×「ジョブローテーション」の弱点は「転職価値のない30~40代」を大量に生み出すシステムになっていることです。 日本企業の多くが取り入れる「一括採用からのジョブローテーション」という制度はたしかに「社内のことを知るため」には素晴らしい制度です。20代のうちに3年ずつ3つ程度の部署を経験する。結果的に「社内で顔を知っている人」がどんどん増える。 この社内人脈は40~50代になったときに役に立ちます。関係各所の調整がしやすくなるからです。あるいは、仮に今の部署で活躍できなくても他の部署に回しやすくなる。つまり「社内のキャリアパス」は最大化されています』、『一方、外資系企業のほとんどは違います。彼らの多くには「部署があらかじめ決められた、プロフェッショナルとしてのキャリアパス」が用意されています。3年程度実務経験を積み、若手の育成を担当しはじめ、5-6年すると一つの領域に関してはかなり深い経験を得ます。そして30歳になる頃には、チームマネージャーを経験し、はやくも「プロフェッショナルとしてのキャリア」が完成します・・・「日本型の総合職採用とジョブローテーション制度は、あたかもキャリアの選択肢が広がっているように見えて、実は狭くなっている」』、との対比は説得力がある。
・後半は、著者の著作『転職の思考法』のPRなので紹介は省略

第三に、健康社会学者の河合 薫氏が6月26日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「採用面接を隠し録り、行き過ぎた「面接の達人」 そんな就活でほんとにいいの?」を紹介しよう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/062500165/
・『就職活動で、学生が面接官とのやり取りをスマートフォンで無断録音するケースが増えている、というではないか!・・・いったい何のための録音なのか? 記事によれば、「聞き直して改善点を見つける」ことが目的で、「マナー違反だ」として、やめるよう指導する大学もあり、専門家からは「公開した場合、法的問題になるおそれもある」と指摘する声が出ているという・・・学生数人に確認したところ・・・「面接スキル」向上を目的としているのではなく、圧迫面接対策が主たる目的だと、みな口を揃えた』、無断録音までするのかと驚かされたが、なるほど。
・『「圧迫面接って、どういう面接なの?」(河合)「『死ね』『そんなんで給料もらえると思ってるのか』 とか、『大学の成績、頭悪すぎだろ』って言われたっていうのを聞いたことはあるけど、実際に言われたって人は周りにはいない。 でも、『なぜ責め』は多い。みんななぜ責めにやられるんです」・・・「例えば『キミ、海外留学してるけど、なぜ留学したのか?』とか」・・・「いや、それだけじゃなくて、なぜなぜなぜ、ってず~っと聞いてくるんですよ。例えば『米国の文化に触れてみたかった』って留学の理由を答えると、『なぜ、米国だったのか?』『米国の文化って何か?』とか。とにかく答えるたびに、言葉尻を捉えてツッコミまくる。学生が答えられなくなるまで圧かけて、女子とか泣き出す人もいるって」 「面接する側は、ホントに知りたいから聞いてるだけなのでは?」(河合) 「でも、泣き出すまで圧かけるのって、ひどくないっすか? 普通に聞けばいいと思うんだけど」』、確かに『なぜ責め』を続けられれば、どこかで行き詰まることは必至だ。
・『確かに数年前までは、学生を心理的に追いつめることを目的に圧迫面接する企業があった。だが、メディアが騒ぐほど行っている企業は多くない。さまざまな機関によるアンケートでは「圧迫面接経験あり」とする学生は1~2割だった。そして、今、そんなことをやっている企業はよほどのブラック企業しかないと思う』、でも1~2割の企業ではまだ行われている訳だ。
・『そもそも「圧迫面接」とは何か? 英語では「stress interview」。米国で20年ほど前に流行った面接手法だが、何がしかの確固たる理論で始まったものではない。「面接で候補者に冷や汗をかかせれば本性がわかるだろう」「候補者を不安にさせればストレス耐性がわかるだろう」「面接で追いつめれば臨機応変にたいおうできるかどうかがわかるだろう」 といった思い込みで始まった面接手法である。 どれひとつとして、その効果は科学的に検証されていない。 だいたいこんなことで本性などわかるわけもなければ、働く上で必要なストレス耐性でもない』、そもそも論に遡るとはさすが河合氏だ。素人の考え方のいいかげんさを根底から覆している。
・『「働く人」という役割を演じるスタートである「就職活動」を、もっと人間的な温もりあるものに変えることが、優秀な人材を得ることにつながると信じている』、というのはその通りだ。
タグ:日経ビジネスオンライン 日本型の総合職採用とジョブローテーション制度は、あたかもキャリアの選択肢が広がっているように見えて、実は狭くなっている 外資系企業のほとんどは違います。彼らの多くには「部署があらかじめ決められた、プロフェッショナルとしてのキャリアパス」が用意されています トークイベント 職業人生の設計 『「働く人」という役割を演じるスタートである「就職活動」を、もっと人間的な温もりあるものに変えることが、優秀な人材を得ることにつながると信じている』 。「面接で候補者に冷や汗をかかせれば本性がわかるだろう」「候補者を不安にさせればストレス耐性がわかるだろう」「面接で追いつめれば臨機応変にたいおうできるかどうかがわかるだろう」 といった思い込みで始まった面接手法である。 どれひとつとして、その効果は科学的に検証されていない 現代はすでに二人に一人が転職する時代です 「社内のことを知るため」には素晴らしい制度 北野唯我 やりたい仕事ではなかった ミスマッチと断定した 三菱商事、三井物産、マッキンゼー、ゴールドマン・サックス証券、電通、フジテレビなど就活の「勝ち組」と呼ばれるような若手がゴロゴロ応募してくれていたのです 「採用面接を隠し録り、行き過ぎた「面接の達人」 そんな就活でほんとにいいの?」 米国で20年ほど前に流行った面接手法だが、何がしかの確固たる理論で始まったものではない 厚生労働省の調査によると入社社員は1年以内で約5万人、つまり「10人に1人」が会社を辞めています 「「1年以内に辞める若者」が続々生まれるワケ 3年よりもっと早くに辞める心理」 東洋経済オンライン 30歳になる頃には、チームマネージャーを経験し、はやくも「プロフェッショナルとしてのキャリア」が完成 高城 幸司 転職市場=第二新卒市場が醸成 そもそも「圧迫面接」とは何か? 今、そんなことをやっている企業はよほどのブラック企業しかないと思う さまざまな機関によるアンケートでは「圧迫面接経験あり」とする学生は1~2割だった 学生が答えられなくなるまで圧かけて、女子とか泣き出す人もいるって 、『なぜ責め』は多い 圧迫面接対策が主たる目的 日本の「一括採用」×「ジョブローテーション」の弱点は「転職価値のない30~40代」を大量に生み出すシステムになっていることです ダイヤモンド・オンライン 就活 (就職活動) 就職活動で、学生が面接官とのやり取りをスマートフォンで無断録音するケースが増えている 河合 薫 (その4)(「1年以内に辞める若者」が続々生まれるワケ 3年よりもっと早くに辞める心理、マッキンゼー 三菱商事……就活の「勝ち組」から 若手の離職が止まらない理由 気づいた人から辞めている?、採用面接を隠し録り 行き過ぎた「面接の達人」 そんな就活でほんとにいいの?) 「マッキンゼー、三菱商事……就活の「勝ち組」から、若手の離職が止まらない理由 気づいた人から辞めている?」
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民泊解禁(その4)(民泊が大混乱!自民党と観光庁が招いたお粗末な「人災」の内情、違法民泊にハマった女子が語る「出会い系民泊」の闇 ダークサイドは世界中に広がる、民泊新法「見切り発車」で日本は迷惑外国人の無法地帯に) [経済政策]

民泊解禁については、昨年9月14日に取上げた。解禁直後の今日は、(その4)(民泊が大混乱!自民党と観光庁が招いたお粗末な「人災」の内情、違法民泊にハマった女子が語る「出会い系民泊」の闇 ダークサイドは世界中に広がる、民泊新法「見切り発車」で日本は迷惑外国人の無法地帯に)である。

先ずは、経産省出身で慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授の岸 博幸氏が6月22日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「民泊が大混乱!自民党と観光庁が招いたお粗末な「人災」の内情」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/173017
・『6月に入ってから日本での民泊ビジネスは大混乱となりました・・・しかしその背景には、政府と政治の重大な瑕疵が存在することを見逃してはいけません』、『多くのメディアが見逃していますが、今回の民泊を巡る混乱の本質を理解するには、2つの大事なポイントを忘れてはいけないと思います。 1つは、民泊新法は昨年6月に成立しており、その段階で法律の施行日も決まっていたことです。つまり、法律の施行まで1年もの時間の猶予があったのだから、明らかに混乱するであろう施行日直前よりもっと早い段階で対応できなかったのか、ということです。 もう1つは、法律の世界の常識として、法律の効力が施行日より前に遡及するようなことは、本来あり得ないということです。つまり、6月15日より前の段階で成立した違法施設への宿泊予約は、宿泊する日が施行日以降であろうとも、本来は問題ないはずなのです』、などはマスコミが触れてない論点だけに、大いに参考になる。
・『ただ、法律に基づく届け出を行なうのかどうか、またいつ行なうのかは宿泊施設側の判断なので、施行前の段階でどの施設が違法施設の予備軍かを民泊仲介サイトが見抜けるはずありません。そう考えると、第一の事象にまつわる混乱は、ある程度は止むを得ないものだったと言うことができます』、というのは官僚出身らしい冷静な見方だ。
・『第二の事象は明らかに問題と言わざるを得ません・・・どうやら観光庁の側はもともと、新法の施行日の前に成立した違法施設への宿泊予約は止むを得ないものと考え、その取り消しまでは民泊仲介サイトに求めていなかったようです・・・それもあり、エアビーアンドビーなどの民泊仲介サイトの側も、成立した予約まで取り消す考えはなかったようです』、『ところが、その観光庁が5月下旬になって態度を豹変させ、民泊仲介サイトに対して違法施設への予約の取り消しや、合法物件への予約の変更を求め出しました。それが6月1日付けの課長通知として公になったと言えます。 それでは、なぜ観光庁は突如として、法律の効力を施行日前に遡って適用するような無理筋の要求を、民泊仲介サイトに求めるようになったのでしょうか。 その背景を探ると、5月16日に自民党で開催された観光立国調査会で、自民党議員から違法民泊を取り締まるよう強く要求されたことが、大きく影響しているようです。与党議員に叱責されてビビってしまい、国会で追及されるのを避けたいと考えた観光庁の役人たちが、無茶なことを民泊新法の施行日の直前という最悪のタイミングでやったのです』、というのは酷い話だ。
・『今回の民泊を巡る大混乱は、民泊仲介サイト側の対応の遅れが原因ではありません。むしろ、自民党の政治家と観光庁の役人が引き起こした、法律の常識(法律の効力は施行日前に遡求しない)と政策の常識(法律の施行日前は混乱するのが当たり前なので、必要な手は早めに打つ)を無視した、稚拙な人災と言っても過言ではないのです・・・こうした事実を踏まえると、日本ではライドシェアはもちろん民泊の本格的な普及も期待薄であり、シェアリングエコノミーの後進国となるのは確実と結論づけざるを得ません。日本における政治と行政のレベルの低下は、いよいよヤバい状況になってきたのではないでしょうか』、というのはその通りだろう。

次に、暮らしジャーナリストの吉松 こころ氏が3月4日付け現代ビジネスに寄稿した「違法民泊にハマった女子が語る「出会い系民泊」の闇 ダークサイドは世界中に広がる」を紹介しよう。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54689
・『女子独りで違法民泊に泊まり続けて体当たり取材を行い、現在は「元民泊」の賃貸物件に住んでいるという、民泊を究めたジャーナリスト、吉松こころさん。大阪では民泊を舞台に女性が殺害されたとみられる事件も発生する中、急増する民泊市場のダークサイドを、吉松さんがリポートする』、というのは興味深そうだ。
・『突然、カギを開けようとする「謎の来訪者」』、『大阪・東成区の古いマンションの一部屋だけが無届けのまま民泊として貸し出されていた物件(つまり違法民泊)に、27歳の日本人女性が誘い込まれ、米国人旅行者に殺害されたとみられる事件も発生している。 一部報道によれば、国境をまたいで加害者と被害者の二人をつないだのは、「出会い系マッチングアプリ」だったとされている。 そもそも民泊は、お互いの異文化を理解するという意味で、旅行者と現地の人々をつなぐ、出会いの場ではある。しかし、その「出会い」の意味をはき違えて利用する者が世界中にいるのも事実だ』、「出会い系マッチングアプリ」まで登場しているというのには驚かされた。
・『必要なのは、過剰な規制より自主的なルール作り:大阪の事件で、民泊を転々とする外国人によって物騒な事件が起きてしまったことで、マイナスイメージに拍車がかかってしまったが、民泊は本来、異文化との出会いや交流、体験の場ととらえられてきた・・・せっかく芽生えた「よい交流の場」の萌芽まで摘んでしまわないためには、オーナーや紹介サイトの運営会社などが積極的に立ち上がり、合理的な方法で信用と安全を担保する仕組みを編み出すことが必要だろう』、というのはややキレイ事的で、具体的にどうすべきかが問われているのではなかろうか。

第三に、ジャーナリストの粟野仁雄氏が4月4日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「民泊新法「見切り発車」で日本は迷惑外国人の無法地帯に」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/165826
・これは、前2つの記事とは違い、問題点を中心に取上げたものだ。『届け出が始まった3月15日までにマンションの管理規約が変えられていなければ、原則、民泊にすることは所有者の自由だ。このため、同じ物件内で隣家がある日突然民泊になっていて、住民が迷惑を被る事態も起きかねない』、おそらく管理規約を変更したケースは例外的で、大多数では、今後問題化が懸念されるのではなかろうか。
・『外国人によるごみ出し問題や夜中に騒ぐ騒音などの近隣迷惑、ましてや殺人事件などが噂になれば、マンションの資産価値は下がりかねない。田上氏は「ごみを分ける文化の少ないアジアの人に分別を理解させるのは難しい・・・問題はマンションのような集合住宅。特に家主不在型の投資型のケース」と指摘する。さらに、又貸しの問題もあるという。オーナーが賃貸で貸していたら勝手に無断転貸して民泊として使われたり、さらに民泊の客が無断で他人に転貸してビジネスする「又又貸し」まである・・・「オーナーは高齢者が多く、外国人や外国語が苦手で業者に丸投げになりがち。一方、代行業者もまじめにやれば大変なので、鍵を渡すだけになり、本人確認やトラブル対応が不十分な業者も少なくない」と田上氏は危惧する』、『まだ新法が施行されないうちから法の抜け道がネットなどで取り沙汰されている。典型例は、複数の仲介業者を利用しながら、1つの物件の年間利用上限が同一の仲介業者において180日を超えないように調整し、トータルでの稼働期間では上限を超えて利用するというやり方だ』、など問題点は山積のようだ。
・『「外国人よ、来たれ」の政府の音頭取りで、様々な問題を抱えながらも「見切り発車」する民泊新法。本当に違法民泊を減少させ、近隣住民の生活環境の悪化やトラブルを防止しながら、健全な民泊を日本に根付かせることができるかのかどうか。正念場である』、当面、注視していきたい。
タグ:本当に違法民泊を減少させ、近隣住民の生活環境の悪化やトラブルを防止しながら、健全な民泊を日本に根付かせることができるかのかどうか。正念場である 大混乱は、民泊仲介サイト側の対応の遅れが原因ではありません。むしろ、自民党の政治家と観光庁の役人が引き起こした、法律の常識(法律の効力は施行日前に遡求しない)と政策の常識(法律の施行日前は混乱するのが当たり前なので、必要な手は早めに打つ)を無視した、稚拙な人災と言っても過言ではないのです 「民泊が大混乱!自民党と観光庁が招いたお粗末な「人災」の内情」 外国人によるごみ出し問題や夜中に騒ぐ騒音などの近隣迷惑、ましてや殺人事件などが噂になれば、マンションの資産価値は下がりかねない 粟野仁雄 5月16日に自民党で開催された観光立国調査会で、自民党議員から違法民泊を取り締まるよう強く要求されたことが、大きく影響しているようです。与党議員に叱責されてビビってしまい、国会で追及されるのを避けたいと考えた観光庁の役人たちが、無茶なことを民泊新法の施行日の直前という最悪のタイミングでやったのです ダイヤモンド・オンライン 1つは、民泊新法は昨年6月に成立しており、その段階で法律の施行日も決まっていたことです そもそも民泊は、お互いの異文化を理解するという意味で、旅行者と現地の人々をつなぐ、出会いの場ではある。しかし、その「出会い」の意味をはき違えて利用する者が世界中にいるのも事実だ 一部報道によれば、国境をまたいで加害者と被害者の二人をつないだのは、「出会い系マッチングアプリ」だったとされている オーナーが賃貸で貸していたら勝手に無断転貸して民泊として使われたり、さらに民泊の客が無断で他人に転貸してビジネスする「又又貸し」まである まだ新法が施行されないうちから法の抜け道がネットなどで取り沙汰されている。典型例は、複数の仲介業者を利用しながら、1つの物件の年間利用上限が同一の仲介業者において180日を超えないように調整し、トータルでの稼働期間では上限を超えて利用するというやり方だ の背景には、政府と政治の重大な瑕疵が存在することを見逃してはいけません 現代ビジネス シェアリングエコノミーの後進国となるのは確実と結論づけざるを得ません もう1つは、法律の世界の常識として、法律の効力が施行日より前に遡及するようなことは、本来あり得ないということです 6月に入ってから日本での民泊ビジネスは大混乱となりました 『「外国人よ、来たれ」の政府の音頭取りで、様々な問題を抱えながらも「見切り発車」する民泊新法 吉松 こころ (その4)(民泊が大混乱!自民党と観光庁が招いたお粗末な「人災」の内情、違法民泊にハマった女子が語る「出会い系民泊」の闇 ダークサイドは世界中に広がる、民泊新法「見切り発車」で日本は迷惑外国人の無法地帯に) 「民泊新法「見切り発車」で日本は迷惑外国人の無法地帯に」 観光庁が5月下旬になって態度を豹変させ、民泊仲介サイトに対して違法施設への予約の取り消しや、合法物件への予約の変更を求め出しました 「違法民泊にハマった女子が語る「出会い系民泊」の闇 ダークサイドは世界中に広がる」 日本における政治と行政のレベルの低下は、いよいよヤバい状況になってきたのではないでしょうか 岸 博幸 届け出が始まった3月15日までにマンションの管理規約が変えられていなければ、原則、民泊にすることは所有者の自由だ オーナーは高齢者が多く、外国人や外国語が苦手で業者に丸投げになりがち。一方、代行業者もまじめにやれば大変なので、鍵を渡すだけになり、本人確認やトラブル対応が不十分な業者も少なくない 民泊解禁 無届けのまま民泊として貸し出されていた物件(つまり違法民泊)に、27歳の日本人女性が誘い込まれ、米国人旅行者に殺害されたとみられる事件も発生
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金融規制・行政(その4)(金融庁報告書 地銀統合ありきの声 脱落した日銀調査の海外事例、霞が関「証券市場の番人・セック」知られざる25年目の挫折 カリスマトップが去って 組織が劣化、「最強」と謳われた森信親・金融庁長官の「悲しき最後」 仮想通貨、スルガと躓きが目立って… 、巨大IT企業の銀行業参入に対する「期待と警戒」) [金融]

金融規制・行政については、昨年12月17日に取上げた。今日は、(その4)(金融庁報告書 地銀統合ありきの声 脱落した日銀調査の海外事例、霞が関「証券市場の番人・セック」知られざる25年目の挫折 カリスマトップが去って 組織が劣化、「最強」と謳われた森信親・金融庁長官の「悲しき最後」 仮想通貨、スルガと躓きが目立って… 、巨大IT企業の銀行業参入に対する「期待と警戒」)である。

先ずは、4月24日付けロイター「焦点:金融庁報告書、地銀統合ありきの声 脱落した日銀調査の海外事例」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/boj-fin-idJPKBN1HU136
・『金融庁の「金融仲介の改善に向けた検討会議」・・・は11日、「地域金融の課題と競争のあり方」と題した報告書を公表した。その中で、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)と十八銀行の統合計画について、経営余力のあるうちに承認し、地域に貢献する方が望ましいと指摘。  ともに長崎県を営業地盤とするFFG傘下の親和銀行と十八銀が合併すると、新銀行の県内シェアが70%を超えることなどを理由に統合を認めていない公取委をけん制した』、と公取委に対抗するため、お手盛りの会議から報告書を出させるというのは、強引だ。しかも、『一定の地域シェアをもとに店舗売却などの措置が条件付けられている「海外事例」を日銀が会議で説明したものの、報告書に反映されていなかったことが判明』、というのは、酷過ぎる。不都合な事実も隠蔽するのでなく、それに対する金融庁の考え方を堂々と示した上で、公取委に正面から対抗すべきだ。

次に、6/12現代ビジネス「霞が関「証券市場の番人・セック」知られざる25年目の挫折 カリスマトップが去って、組織が劣化」を紹介しよう。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56019
・『セック(証券取引等監視委員会)は右肩上がりの人員に対比させるように実績を重ねてきた。検察庁への告発は192件(18年3月末現在)に及び、インサイダー取引から粉飾決算、偽計取引、相場操縦まで証券市場にのさばる「悪」を摘発し、摘発能力の劣化に苦しむ検察庁を支える「ドブ浚い」に徹してきた。 その黄金期を牽引したのが、2016年12月まで3期10年近くにわたりセックを率いた「鬼平」こと、佐渡賢一委員長だ・・・そんな佐渡体制下の告発件数は90件近くに及び、セックが四半世紀かけて告発した全件数の約半分を占め、その黄金期の隆盛ぶりがうかがえるが、佐渡体制の真骨頂はむしろ立証のハードルが低く、迅速に対応できる行政処分の課徴金勧告を積極適用したことにある』、というところまでは、諸手を挙げて歓迎された。
・しかし、『東芝による巨額粉飾疑惑の摘発にセックの精鋭をほとんど投入して徹底的に調査したが、摘発に消極的な検察庁との対立が膠着状態に陥り、立件にこぎ着けることはできなかった。その願いを託された後任の元広島高検検事長、長谷川充弘氏の新体制下でも東芝案件の検察庁への説得工作は続けられたが結局、不調に終わったとされる。 そして、佐渡なきあとのセックは低迷時期に突入することになる』、私も東芝の刑事告発には大いに期待したが、佐渡賢一委員長といえども、東芝を守ろうとする安倍政権を含む原子力ムラからの圧力には抗し切れなかったのであろう。誠に残念な1件だった。しかし、通常の監視活動までが勢いを無くしているのは首を傾げざるを得ない。奮起を期待したい。

第三に、ジャーナリストの伊藤 博敏氏が6月21日付け現代ビジネスに寄稿した「「最強」と謳われた森信親・金融庁長官の「悲しき最後」 仮想通貨、スルガと躓きが目立って… 」を紹介しよう。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56199
・『在任期間は3年に及び、「歴代最強」と謳われたが、3年目に入ってからは、フィンテックの柱として期待をかけた仮想通貨で巨額流出事件が発生。「地銀の成功モデル」と推奨したスルガ銀行で発覚したシェアハウス事件など、躓きが目立つ』、 しかし、『懸案の地銀再生を本格化。合併と新たなビジネスモデル構築の二本柱で再生を推し進めようとした。 そうなると森氏が、個人向けのさまざまなローンを開拓、リスクを取る分、金利を高く設定し、貸出金利回り3・6%と他行がうらやむ業績を上げ、それも6期連続で増収増益を続けるスルガ銀行を、「地銀の雄」として推奨するのは当然だった』、と擁護しているが、金融の素人がスルガ銀行を褒めたのであればとも角、検査を通じて経営の実態を熟知している筈の金融庁長官の発言としては、大いに問題ありである。『「森の目は節穴か」と、批判するのはおかしい。誤解を恐れずにいえば、現場を知らない役人とは、所詮その程度のもので、それは評論家、アナリスト、ジャーナリストも同じ。スルガ銀行を誰がどれだけ持ち上げていたかを振り返ったほうがいい』、との擁護に至っては、評論家、アナリスト、ジャーナリスト批判はその通りだが、「現場を知らない役人とは、所詮その程度のもの」というのは暴論以外の何物でもない。 『育成の方針を転換、規制強化に舵を切り、実質的に新規登録を認めないというのは、あまりに無責任で無原則。詐欺を排し、登録業者に規律を守らせ、かつ利便性を高める業者の保護育成が役割であり、それが業界とともに関わるフィデューシャリー・デューティーだろう』、私は交換業者は登録制ではなく、認可制とすべきだったと考えている。規制強化は遅まきながら当然である。

第四に、経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏が6月20日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「巨大IT企業の銀行業参入に対する「期待と警戒」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/172834
・『日本は、銀行以外の業種企業が傘下に銀行を持つ形での銀行業参入に対して、比較的寛容な国だ』、というのは、筆者も指摘しているように、参入当時、銀行は不良債権処理で青息吐息だったことも背景にある。『大きな資金力、新しい技術、ビジネス上有益なデータを持った強力な銀行が参入して、できれば既存の銀行を買収し、傘下に収めてくれるくらいのことがあると好ましいのではないか・・・主に個人向けのビジネスがITジャイアントによって営まれて、当初はデータと判断力が不足しがちな法人向けビジネスを既存の銀行がカバーするといった組み合わせは、ビジネス上も悪くはなさそうだ』、というのは面白い見方だが、既存の銀行を買収するという重荷を彼らが負ってくれる可能性は低いのではなかろうか。 『現実問題として心配なのは、新銀行が持つビッグデータが融資判断に活用されるのではなく、もっぱらマーケティングに活用されることの影響だ』、『個人向けのカードローンは銀行が行うものも早急に総量規制(年収の3分の1まで)の対象にすべきだろう・・・異業種の銀行参入があればなおのこと、ないとしても当然のこととして、消費者保護を進化させる必要がある』、などの指摘はその通りだ。
タグ:消費者保護を進化させる必要がある 現実問題として心配なのは、新銀行が持つビッグデータが融資判断に活用されるのではなく、もっぱらマーケティングに活用されることの影響だ 主に個人向けのビジネスがITジャイアントによって営まれて、当初はデータと判断力が不足しがちな法人向けビジネスを既存の銀行がカバーするといった組み合わせは、ビジネス上も悪くはなさそうだ 大きな資金力、新しい技術、ビジネス上有益なデータを持った強力な銀行が参入して、できれば既存の銀行を買収し、傘下に収めてくれるくらいのことがあると好ましいのではないか 日本は、銀行以外の業種企業が傘下に銀行を持つ形での銀行業参入に対して、比較的寛容な国 「巨大IT企業の銀行業参入に対する「期待と警戒」」 ダイヤモンド・オンライン 山崎 元 現場を知らない役人とは、所詮その程度のもの 経営の実態を熟知している筈の金融庁長官の発言としては、大いに問題ありである スルガ銀行を、「地銀の雄」として推奨するのは当然だった 3年目に入ってからは、フィンテックの柱として期待をかけた仮想通貨で巨額流出事件が発生。「地銀の成功モデル」と推奨したスルガ銀行で発覚したシェアハウス事件など、躓きが目立つ 「「最強」と謳われた森信親・金融庁長官の「悲しき最後」 仮想通貨、スルガと躓きが目立って… 」 伊藤 博敏 東芝を守ろうとする安倍政権を含む原子力ムラからの圧力 その願いを託された後任の元広島高検検事長、長谷川充弘氏の新体制下でも東芝案件の検察庁への説得工作は続けられたが結局、不調に終わったとされる 東芝による巨額粉飾疑惑の摘発にセックの精鋭をほとんど投入して徹底的に調査したが、摘発に消極的な検察庁との対立が膠着状態に陥り、立件にこぎ着けることはできなかった 佐渡賢一委員長 黄金期を牽引したのが 「霞が関「証券市場の番人・セック」知られざる25年目の挫折 カリスマトップが去って、組織が劣化」 現代ビジネス 一定の地域シェアをもとに店舗売却などの措置が条件付けられている「海外事例」を日銀が会議で説明したものの、報告書に反映されていなかったことが判明 公取委に対抗 と十八銀行の統合計画について、経営余力のあるうちに承認し、地域に貢献する方が望ましいと指摘 ふくおかフィナンシャルグループ 「地域金融の課題と競争のあり方」と題した報告書を公表 金融庁の「金融仲介の改善に向けた検討会議」 「焦点:金融庁報告書、地銀統合ありきの声 脱落した日銀調査の海外事例」 ロイター (その4)(金融庁報告書 地銀統合ありきの声 脱落した日銀調査の海外事例、霞が関「証券市場の番人・セック」知られざる25年目の挫折 カリスマトップが去って 組織が劣化、「最強」と謳われた森信親・金融庁長官の「悲しき最後」 仮想通貨、スルガと躓きが目立って… 、巨大IT企業の銀行業参入に対する「期待と警戒」) 金融規制・行政
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「物言う株主」(アクティビスト・ファンド)(その2)(TBSが英国の「モノ言う株主」に突きつけられた痛すぎる 提案 背景には複雑な事情が‥‥、「モノ言う株主」の提案、否決と可決の境目はどこか、記者が見た 正論訴えるアクティビストの素顔 今年もやはり勝てないのか) [企業経営]

「物言う株主」(アクティビスト・ファンド)については、昨年10月26日に取上げた。今日は、(その2)(TBSが英国の「モノ言う株主」に突きつけられた痛すぎる 提案 背景には複雑な事情が‥‥、「モノ言う株主」の提案、否決と可決の境目はどこか、記者が見た 正論訴えるアクティビストの素顔 今年もやはり勝てないのか)である。

先ずは、経済ジャーナリストの磯山 友幸氏が6月7日付け現代ビジネスに寄稿した「TBSが英国の「モノ言う株主」に突きつけられた、痛すぎる提案 背景には複雑な事情が‥‥」を紹介しよう。http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56101
・『TBSHDが持つ東京エレクトロン株は770万株。発行済み株式の4.7%を持ち、事実上の筆頭株主だ。TBSHDが長年にわたって長期保有してきた政策投資株である。長期的な安定株主として株を持つ、いわゆる「持ち合い株」である。 AVIは、この770万株のうち4割に当たる306万4414株を株主に現物配当せよ、と要求しているのだ』、というように、AVIの要求は株式持ち合いの根底を問う内容だ。
・持ち合い企業に対しては、『「改訂・コーポレートガバナンス・コード」・・・株主が納得できるメリットが説明できないなら、持ち合い株は保有できない、としているのだ』、他方、機関投資家に対しては、『生命保険会社や年金基金、信託銀行などの機関投資家は保険契約者や顧客などにとってどちらが利益をもたらすかを検討し、議決権を行使しなければならない。スチュワードシップ・コードという機関投資家の行動規範が示され、行動を縛られるようになったのだ』、という両面から株式持ち合いに対し厳しい環境になった。
・これは、安易な株式持ち合いに安住できなくなるという意味で、基本的には好ましいことと思う。しかし、最終的にはAVIの提案は以下のリンクのように否決されたようだ。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-06-28/PAZ6ST6TTDS001
まだ、日数が経ってないので、AV提案にどの程度の賛成票があったのかなど、詳細は報じられてない。後日報が待たれる。

次に、ジャーナリストの司 理氏が6月20日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「「モノ言う株主」の提案、否決と可決の境目はどこか」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/172765
・『株主提案が相次ぐが  ほとんどが否決』。『アクティビストたちは、口をそろえて株主提案の狙いを「企業価値の向上」だと言い、そのために「株主還元の優先」や「株式価値の向上」を図るよう要求している。だが、そうした要求が、果たして企業価値の向上につながっているかといえば、株価を見る限りそうとも言い切れない。 ゴールドマン・サックスが、トランプ大統領就任以降の株価パフォーマンスを調査したところによると、アクティビストが“溺愛”する、配当を引き上げるために自社株の買い戻しに熱心な企業よりも、研究開発(R&D)に熱心な企業の成績の方が上回っていたという。つまり、アクティビストたちの要求では、目的を達成できていないことになるのだ』、というのはその通りなのかも知れない。
・他方で、『可決された代表例は旧村上ファンド系のレノの提案・・・2017年に・・・レノが、黒田電気に対して行った株主提案が、会社側の反対にもかかわらず可決されたのが代表例かもしれない。 受け入れられた提案内容は、社外取締役を1人選任するというもの。この提案に対して会社側は、・・・こうした提案を受け入れることは、大株主に専横の機会を与える可能性が高く、他の一般の少数株主の皆様の利益を大きく毀損する重大な恐れがあると考えました」としている・・・しかし、2017年6月19日付の日本経済新聞によれば、レノの推す取締役が1人と少なく、経営体制が直ちに急変しにくいことから、ほかの株主も受け入れやすかったと見られる、という』。
・また、『今年1月には、日本ペイントホールディングスに対して、シンガポールの株主であるニプシー・インターナショナルから、社外取締役5人を含む6人の取締役選任議案が提出された。結果的に、この提案は委任状争奪戦に至らず、会社側が提案を受け入れる形で可決された』、『今年の株主総会では、株主提案が多く出されて、「株主提案元年」ともいわれる。今後の日本の資本市場を占う意味で、短期の利益を追求するファンド勢が求める配当引き上げなどに理があるのか、はたまた長期にわたる事業継続や企業価値向上を追求する経営者側が株主提案を退けるのか、あるいは、誰もが納得するようなロジックを掲げた第三者の提案が可決されるのか、注目される』というのはその通りだろう。

第三に、6/21日経ビジネスオンライン「記者が見た、正論訴えるアクティビストの素顔 今年もやはり勝てないのか」を紹介しよう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/062000585/?P=1
・『アクティビスト(物言う株主)と呼ばれる機関投資家から出される提案の多くは「無駄に多くの現預金を持ちすぎているから、増配で株主に還元しろ」「資産の有効活用につながらない持ち合い株を解消しろ」といった類のものだ。 そして困ったことに、これらの要求のほとんどは資本市場の論理からするとまっとうな「正論」なのだ。なぜ困るのか。それは結果がついてこないからだ。 本来、「正論」ならばその提案は多数の支持を得て可決されるはず。だが過去、株主提案が通ったことはほとんどない。このもやもやとした矛盾を毎年のように感じながら取材を続けてきたが、今年もそのもやもやが晴れることはなさそうだ』、というのは私も同感である。 
・『なぜ株主提案は通らないのか。いくつか理由はあるだろう。だがずっと取材をしてきて一貫して感じ続けていることがある。それは「要求が正論“すぎる”から」というものだ。言っていることは資本の論理上、つまりロジック的には正しいのかもしれないが、要求が過激すぎて周りがついていけない、とでも言い換えればいいだろうか』、『総じて、アクティビストたちの要求は日本人的感覚でいうと「過激」に映るのだろう。求める方向性に賛同はしながらも、結局は株主提案に賛成票を入れない株主が多いから、株主提案はなかなか勝てない。 ある個人投資家は、株主提案を繰り返すアクティビストのことを「妥協を知らない原理主義者、過激派」と呼ぶ。思想には共感を覚えながらも共に行動するには気が引けるというのだ』、『アクティビストの多くは、自分たちの主張が絶対に正しいと信じて疑わない猪突猛進型だ。それが逆に株主提案を通りにくくしている理由の一つだろう。主張の多くは正論なのに、戦略ミスで勝利を逃しているケースが多くもったいない。もう少しマイルドなアクティビストはいないものだろうか』、なるほどと納得した。アクティビストが猪突猛進型のスタイルをマイルドに変えるには、まだ時間がかかるのかも知れない。
タグ:「記者が見た、正論訴えるアクティビストの素顔 今年もやはり勝てないのか」 日経ビジネスオンライン 株主提案元年 770万株 アクティビストの多くは、自分たちの主張が絶対に正しいと信じて疑わない猪突猛進型だ。それが逆に株主提案を通りにくくしている理由の一つだろう。主張の多くは正論なのに、戦略ミスで勝利を逃しているケースが多くもったいない。もう少しマイルドなアクティビストはいないものだろうか ある個人投資家は、株主提案を繰り返すアクティビストのことを「妥協を知らない原理主義者、過激派」と呼ぶ 総じて、アクティビストたちの要求は日本人的感覚でいうと「過激」に映るのだろう。求める方向性に賛同はしながらも、結局は株主提案に賛成票を入れない株主が多いから、株主提案はなかなか勝てない 日本ペイントホールディングス ・レノが、黒田電気に対して行った株主提案が、会社側の反対にもかかわらず可決されたのが代表例 そうした要求が、果たして企業価値の向上につながっているかといえば、株価を見る限りそうとも言い切れない 東京エレクトロン株 アクティビストたちは、口をそろえて株主提案の狙いを「企業価値の向上」だと言い、そのために「株主還元の優先」や「株式価値の向上」を図るよう要求している 株主提案が相次ぐが  ほとんどが否決 「「モノ言う株主」の提案、否決と可決の境目はどこか」 ダイヤモンド・オンライン 司 理 機関投資家は保険契約者や顧客などにとってどちらが利益をもたらすかを検討し、議決権を行使しなければならない 「要求が正論“すぎる”から」というものだ。言っていることは資本の論理上、つまりロジック的には正しいのかもしれないが、要求が過激すぎて周りがついていけない、とでも言い換えればいいだろうか なぜ困るのか。それは結果がついてこないからだ。 本来、「正論」ならばその提案は多数の支持を得て可決されるはず。だが過去、株主提案が通ったことはほとんどない。このもやもやとした矛盾を毎年のように感じながら取材を続けてきたが、今年もそのもやもやが晴れることはなさそうだ スチュワードシップ・コードという機関投資家の行動規範 株主が納得できるメリットが説明できないなら、持ち合い株は保有できない、としているのだ 改訂・コーポレートガバナンス・コード ニプシー・インターナショナルから、社外取締役5人を含む6人の取締役選任議案が提出 AVIは、この770万株のうち4割に当たる306万4414株を株主に現物配当せよ、と要求 持ち合い株 長期的な安定株主 TBSHD 困ったことに、これらの要求のほとんどは資本市場の論理からするとまっとうな「正論」なのだ 「TBSが英国の「モノ言う株主」に突きつけられた、痛すぎる提案 背景には複雑な事情が‥‥」 現代ビジネス 磯山 友幸 この提案は委任状争奪戦に至らず、会社側が提案を受け入れる形で可決 (その2)(TBSが英国の「モノ言う株主」に突きつけられた痛すぎる 提案 背景には複雑な事情が‥‥、「モノ言う株主」の提案、否決と可決の境目はどこか、記者が見た 正論訴えるアクティビストの素顔 今年もやはり勝てないのか) (アクティビスト・ファンド) 「物言う株主」 政策投資株 事実上の筆頭株主
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(以上)
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