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防衛問題(その11)(変わる防衛政策 日本は 「矛」を持つべきなのか 日本に厳しい条件を突きつける米トランプ政権、コマツが装甲車輌から引かざるを得ない理由 防衛装備庁 陸幕ともに認識は甘かった) [国内政治]

昨日に続いて、防衛問題(その11)(変わる防衛政策 日本は 「矛」を持つべきなのか 日本に厳しい条件を突きつける米トランプ政権、コマツが装甲車輌から引かざるを得ない理由 防衛装備庁 陸幕ともに認識は甘かった)を取上げよう。

先ずは、政治評論家の田原 総一朗氏が昨年12月28日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「変わる防衛政策、日本は 「矛」を持つべきなのか 日本に厳しい条件を突きつける米トランプ政権」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/16/122000032/122600101/
・『12月18日に防衛計画の大綱が発表され、大きな反響が出ている。 今回の中期防衛力整備計画に盛り込まれたうち、最も注目されるのは、海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」型護衛艦を空母化し、米国製ステルス戦闘機F-35BライトニングIIを離発着させることだ。 これまで日本は、憲法上「専守防衛」を安全保障の基本方針としてきた。つまり、敵に攻撃された時、日本は「盾」となって守り、米国が「矛」となって反撃するということだ。 そのため日本は、攻撃用の船を持たないとしてきた。また、船にヘリコプターを搭載しても、戦闘機は乗せなかったのである。 ところが今回の中期防では、F-35Bという戦闘機を投入することになった。これは明らかに攻撃を意識している。従来の専守防衛を大きく逸脱する可能性があるということだ。一部のメディアは、日本はついに専守防衛をすでに超え、大変な事態となった、と指摘している。 僕はこの問題について、自民党の中堅以上の議員ら7~8人に意見を求めた。すると、「問題あり」だという答えは一つも出なかったのである。防衛問題に関心を持つ文化人らにも話を聞いたが、はっきりと「問題がある」と答える人はごく少数だった。 「専守防衛はいいけれど、日本も米国に協力しながらも自国で国防の役割をするのは当然ではないか」という意見が勝っている。個々の防衛手段がとれるからこそ、他国からの攻撃の抑止力にもなり得るのではないか、という意見が増えているのである』、防衛問題では、安倍首相のみならず、自民党、さらには「防衛問題に関心を持つ文化人」まですっかりタカ派になり、「専守防衛」の原則は吹っ飛んでしまったようだ。
・『戦えない軍隊だったからこそ、日本は平和だった  少し前はまったく状況は違っていた。 例えば、竹下登氏が首相になった時のことだ。僕は竹下氏に、「日本には自衛隊というものがあるけれど、戦えない軍隊じゃないか。それでいいのか」と尋ねたことがある。すると竹下氏は、「だからいいんだ。戦えない軍隊だから、日本は平和なんだ」と答えた。 軍隊というものは、戦えるならば戦ってしまう。太平洋戦争が始まったきっかけも同じである。 戦争を知る世代の総理大臣は、「軍隊というものは、仮に勝てなくても、戦えるなら戦ってしまう」ことをよく分かっていた。戦えない軍隊だからいいんだ、と考えていたのである。これは竹下氏のみならず、歴代総理大臣である宮沢喜一氏、田中角栄氏、小泉純一郎氏も同様の意見を持っていた。 日本は対米従属だが、その代わりに憲法9条を盾にして、70年以上戦争に巻き込まれるのを回避してきた。だからこそ、戦後のほとんどが自民党政権だったが、歴代首相は誰も改憲を掲げなかった。 ところが冷戦が終結し、徐々に日本国内で「自立論」が広がり始めた。冷戦時では、日本の敵はソ連だった。日本が戦って勝てるわけがないから、米国に守ってもらう必要があり「対米従属論」の姿勢が支持されていた。 冷戦後、特にリベラル派は「もうその必要はなくなり、自立すべきではないか」といった意見を主張し始めたが、一方で正反対の見方も強まった。日本はこれまで米国の防衛力に依存してきたが、米軍は日本から撤退する可能性もある、という見方だ。この立場からは、日本は対米関係を今まで以上に密にしなければならないのではないか、となる。こうして「米国からまともに相手にされる国になるべきだ」との意見が出始めたのである。 こういった意見を強く主張したのは保守系の学者たちであった。さらには保守系のメディア、自民党も同様である』、「戦争を知る世代の総理大臣は、「軍隊というものは、仮に勝てなくても、戦えるなら戦ってしまう」ことをよく分かっていた」、安倍首相にはこうした自己抑制的な認識は皆無なのでろう。「米国からまともに相手にされる国」になろうとしても、アメリカ・ファーストを掲げたからには、「まともに相手に」してくれる保証は全くなくなった筈だ。
・『トランプ政権から、米国の日本に対する要求が変わった  保守系の学者や自民党の目標は、集団的自衛権の行使を容認することだった。安倍晋三首相は2015年5月にこれを実現した。さらにその後、16年の参議院総選挙で、改憲勢力は3分の2議席を獲得した。 僕はこの年の9月、安倍首相と直接会って話をした。「そろそろ憲法改正か」と話すと、こんなことを言われた。「大きな声では言えないが、実は、憲法改正をする必要がなくなった」。 なぜかと聞くと、「集団的自衛権の行使ができない時は、米国から相当な圧力があり、日米関係が危なくなるリスクがあった。ところが安全保障関連法が施行されて集団的自衛権を行使できるようになると、米国は何も言ってこなくなった。米国は、これで満足したから、憲法改正をする必要はなくなった」と話した。 オバマ政権までは、確かに安倍首相の言うように、米国は集団的自衛権の行使容認だけで納得していたようだ。 しかし、トランプ氏が大統領に就任すると、流れが大きく変わる。次から次へと高い兵器の購入を迫った。さらにトランプ氏は、「日本の防衛費はGDP比1%となっているが、2%に引き上げるべきだ」と主張してきた。 特に最近は、マティス国防長官の辞任を発表した。彼はトランプ氏の唯一の「抑止力」だった。米政権は12月19日、シリアからの米軍の完全撤退を宣言。さらには今後、アフガンからも撤退する可能性もあるという。とんでもない話である。下手をすれば、韓国からも撤退する可能性すらある。 日本に対しては、貿易や軍事に対し、強いプレッシャーをかけている。ここで日本はどうすべきか。非常に大きな問題である』、安倍首相が、集団的自衛権の行使を可能にしたことで、「実は、憲法改正をする必要がなくなった」と認識しているとは、道理で最近、余り改憲を叫ばなくなった筈だ。
・『日米貿易交渉は、極めて厳しいものになるだろう  もう一つ、大きな問題がある。 19年1月以降に行われる日米貿易交渉において、米政府が対日要求事項22項目を正式に公表した。日本政府はこれに対し、「これは物品貿易協定(TAG)である。サービスなどを含む自由貿易協定(FTA)ではない」と強調している。 TAGとは、モノの貿易に限るという意味であるが、米国が公表した項目を見る限り、情報通信、知的財産、金融サービスも含まれている。これは明らかにTAGではなくFTAである。 交渉は日本にとって相当厳しいものになるのではないかと思われる。19年には大きな問題になるだろう』、安倍首相がいくら「トランプのお気に入り」とはいえ、手加減せずに攻め込んでこられるだろう。その時には安倍首相はどんな顔をするのだろう。

次に、軍事ジャーナリストの清谷 信一氏が3月4日付け東洋経済オンラインに寄稿した「コマツが装甲車輌から引かざるを得ない理由 防衛装備庁、陸幕ともに認識は甘かった」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/268241
・『世界2位の建機メーカーで、自衛隊向けに砲弾や装甲車輌を生産してきたコマツが、装甲車輌の開発、生産から事実上撤退する。新規開発は行わないが、既存の装甲車輌の保守だけは一定期間行う旨をコマツ広報担当者は説明している。複数の防衛産業関係者、陸上自衛隊(陸自)将官OBらによると、天下りの将官も1名を除いて全員解雇したという』、「天下りの将官も1名を除いて全員解雇」とはずいぶん早手回しのようだ。
・『コマツが撤退に至った理由  筆者は2014年に本サイトの記事「コマツが防衛事業から撤退すべき5つの理由」で、コマツの特機(防衛)部門の問題点を指摘していた。 コマツは防衛省の7番目に大きな装備サプライヤーであり、平成30(2018)年で280億円である。だがコマツの売り上げは約2.5兆円、防衛部門の売り上げはその1.1パーセントに過ぎない。かつてはその3分の2が榴弾や戦車砲弾などの弾薬であり、装甲車の売り上げは3分の1程度であったが、近年は装甲車輌の売り上げが落ち込んでいた。 軽装甲機動車は近年の排ガス規制によって改良が必要となり、防衛省はコマツに対して改良を発注し、平成28年の2016年度予算では改良型6輌が3億円で要求された。単価はそれまでの約3000万~3500万円から5000万円へと、約1.5倍に高騰した。このため財務省が難色を示して政府予算に計上されなかった。そもそもこの手の小型4輪装甲車の国際相場は1000万円程度である。コマツ、防衛装備庁、陸幕の認識が甘すぎたとしか言いようがない。 その後、エンジンをカミンズ社のエンジンに換装するなどしてコスト削減を図るなどの案も検討されたが、採用されなかった。またコマツは自社ベンチャーで軽装甲機動車6輪型も開発していたが、これまた陸自には採用されなかった。 さらに現用の陸自の96式装甲車の後継となるべき8輪装甲車、「装輪装甲車(改)」の調達も頓挫した。これは三菱重工業との競作となり、コマツが試作を受注したものだった。だが防衛省は昨年7月27日、「装輪装甲車(改)」の開発事業の中止を発表した。コマツが、同省の求める耐弾性能を満たす車輌を造れなかったためとされている。だが関係者によると機動力などを含めてかなり問題があったようだ。コマツの開発関係者OBは、「コマツは独自技術の開発よりも外国からの技術導入に頼ったことによる技術力の低下が一因」と分析する。 「装輪装甲車(改)」および軽装甲機動車の改良型の不採用が重なり、今後コマツは装甲車輌の生産ラインの維持ができなくなった。なお陸自は軽装甲機動車と高機動車を統合した後継車種の調達を計画している。これにコマツは応じる気はなく、三菱重工や自動車メーカーなどが興味を示している。 今後、コマツが唯一生産を続けるのはNBC偵察車のみである。NBC偵察車はこれまで20輌ほどが調達されたが、これも実は防弾性能に問題があり、また高額である。調達されるのは最大でも30輌程度、実際には20輌も調達されないだろう。これまで平均年に2~3輌が調達されており、このペースであればこれまでの規模のラインは当然維持できず、工芸レベル、町工場レベルの生産となる。これではこれまでの生産ラインを維持できない。 コマツの装甲車の開発能力は高くない。それはひとりコマツのみならず、防衛省、陸上自衛隊の側の当事者意識および能力の欠如が原因である。 例えば軽装甲機動車の防弾能力は紛争地でゲリラなどが多用するライフルで使用される、7.62×39ミリカラシニコフ弾に耐えられればよいとされており、より強力な7.62×51ミリNATO弾および7.62×54ミリロシアン弾には耐えられない。 これはNATO規格のレベル1の防御力すら満たしていないことを意味する。しかも被弾時に装甲内面が剥離して乗員を傷つけるのを防ぐスポールライナーは経費がかかると省略された。当初左右のドアのガラスも防弾ガラスではなく、車内の騒音もひどい。しかも不整地走行能力が低く、軍用装甲車のレベルにない。技術のレベルとしては1970年代の装甲車である。 率直に言って、トルコやUAE(アラブ首長国連邦)など途上国の装甲車よりも技術的に相当遅れている。 そもそも4人乗りの小型装甲車をAPC(主力兵員輸送車)としているような軍隊は世界にはない。8人の分隊が2つに分かれる上に、固有の無線機も機銃も装備していないので分隊長が分隊をまともに把握・指揮できない。下車戦闘の場合は乗員も全員が下車戦闘するので、車輌の機動および、火力支援が得られない。陸幕は発注側としてまともな運用構想も要求仕様も書けなかった。発注の能力が低ければメーカーの能力も相応に低くなるのが当然だろう』、兵員輸送車などは世界各地で頻繁に開催される武器展示会に出品され、防衛省の武官・文官とも出張して見学し、最近の戦闘技術も研究している筈なのに、「陸幕は発注側としてまともな運用構想も要求仕様も書けなかった」、とは開いた口が塞がらない。メーカーの能力は、高く武器輸出も検討されていると一般には報道されてきたのに、実態は途上国よりも劣っているとは、情けない限りだ。守るべき国産技術などないのであれば、高くつく国産での調達から、輸入に切り替えるべきだろう。
・『弾薬は発注数が半減する  弾薬ビジネスも安泰ではない。先に発表された来年度からの防衛大綱は現大綱を引き継ぎ、「戦車及び火砲の現状(平成30年度末定数)の規模はそれぞれ約600両、約500両/門であるが、将来の規模はそれぞれ約300両、約300両/門とする」としている。 つまり、コマツの弾薬は将来的に単純計算で売り上げが半減することが予想される。またコマツは榴弾砲などの精密誘導砲弾の研究を行っていたが、これを中止した。 現在、陸上自衛隊は榴弾砲、迫撃砲に精密誘導砲弾を導入していないが、将来これらを導入することになるだろう。人民解放軍や途上国ですら導入しているからだ。そうなれば当然、精密誘導砲弾は輸入品になる。しかもこれらは通常砲弾の数倍の値段なので、国内の通常弾薬の調達予算はさらに減ることになり、当然コマツの弾薬ビジネスの売り上げは減少するだろう。そうなれば弾薬の製造ラインの維持は極めて困難だ。 近年、財務省は国内の弾薬メーカーの数が多すぎることによる調達コストの高さを批判しており、弾薬メーカーの再編を提案している。これらのことからコマツは近い将来、防衛産業から完全に撤退する可能性が高いと筆者は考えている』、ミサイルが中心の戦闘で、精密誘導砲弾の意味がどれほどあるのは疑問だが、いまだにこれを導入していないとは驚かされた。東富士演習場での大演習とは、旧式兵器のオンパレードだったとは、招待されて見学する各国武官たちも苦笑いしていることだろう。
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