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原発問題(その11)(原発汚染水処理 対応を急げ、経団連会長の「原発巡る公開討論」早くも腰砕け 脱原発団体が呼応も 経団連は「時期尚早」、原発事故処理費用「81兆円」衝撃の数字はこうして算出された 「減額」のヒントもここにある、除染後も深刻な高線量 グリーンピース調査 国の除染作業で賃金不払い 違法労働も横行) [国内政治]

原発問題については、昨年3月18日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その11)(原発汚染水処理 対応を急げ、経団連会長の「原発巡る公開討論」早くも腰砕け 脱原発団体が呼応も 経団連は「時期尚早」、原発事故処理費用「81兆円」衝撃の数字はこうして算出された 「減額」のヒントもここにある、除染後も深刻な高線量 グリーンピース調査 国の除染作業で賃金不払い 違法労働も横行)である。

先ずは、昨年9月25日付けNHK時論公論「原発汚染水処理 対応を急げ 水野倫之解説委員」を紹介しよう。
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/306030.html
・『福島第一原発の汚染水を処理した後に残る大量の放射性のトリチウム水をどう処分するのか。 基準以下に薄めて海へ放出することを軸に検討を進めてきた政府が開いた公聴会では、放出に反対する意見が続出、慎重な対応を求める声が強まっている。ただ今のままではいずれ汚染水処理ができなくなるおそれがあり、新たな対応を急がなければ』、確かに敷地を埋め尽くすように林立する汚染水タンクの姿は不気味だ。
・『福島第一原発でなぜトリチウム水がたまり続けるのか。 政府が福島と東京で開いた国民から意見を聞く公聴会では40人あまりが意見を表明。その多くが海への放出に反対。 このトリチウム水とは一体どんなものか。そのサンプルをみると一見きれいで普通の水のよう。しかし基準を超えるトリチウムが含まれており、このままでは処分できない。 福島第一原発ではさまざま対策がとられてきたものの、未だに建屋地下に地下水が流れ込んで冷却水と混じり合い、毎日百数十tの汚染水が発生。 これをALPSと呼ばれる装置で浄化。高性能フィルターで、セシウムなどほとんどの放射性物質を基準以下に取り除くことができると説明。 しかしトリチウムだけは、水の一部として存在するため、除去できず東電はタンクにため続けている。 その量は92万tにのぼり、タンクも800基。今後も最大で毎年10万t弱のペースで増える見通しですが、敷地には限界があり、政府と東電は今のようなタンクによる貯蔵はあと数年が限界と説明。 そこで政府は専門家会合でトリチウム水の処分方法の検討。トリチウムを分離する技術は実用段階にはないと結論づけ、▼基準以下に薄めて海に放出する方法、▼加熱して蒸発させる方法 ▼地下深くに埋設する方法などを提示。このうち海への放出が最も安く、短時間ででき合理的だとする趣旨の報告書をまとめ、事実上、海洋放出を軸に検討。 トリチウムは、宇宙からの放射線で大気中にも存在、原発の運転でも発生。 政府や東電、規制委は、「トリチウムの放射線はほかの物質の放射線よりエネルギーが小さく、体内に取り込んでも水として存在し速やかに排出されるため、濃度が低ければ健康への影響はほとんど考えられない」と説明、全国の原発では基準以下であることを確認して海へ放出。 規制委の更田委員長は「海洋放出が現実的で唯一の選択肢」として早めに判断するよう求めてきた』、全国の原発で海へ放出されるトリチウムに比べ、メルトダウンした福島第一原発の汚染水の濃度は遥かに高いので、水で薄めて海洋放出しようと考えているのだろうが、風評被害がさらに酷くなる恐れがある。
・『トリチウム水の処分を福島の漁業者はどう考えているのか  これを受けて政府は最終判断に向けて公聴会を開いたが反対が続出。中でも目立ったのが漁業者の反発。事故で福島県沖の魚から国の基準を超える放射性物質が検出され、漁は全面自粛。その後安全性が確認された魚から試験的に漁が再開され、ここ数年は国の基準を超える放射性物質が検出されることはなく、現在はほとんどの魚を取ることができる。 それでも福島県産をためらう消費者もいて、水揚げ量は事故前の1割あまり。こうしたなかトリチウム水が海に放出されれば、本格操業が遠のき、苦しい状況に引き戻されるのではないかと懸念。 その背景にあるのは政府・東電への不信。安全という政府・東電の言葉を信じ切れない思いがあるといい、そうであるなら福島で作られた電気を使っていた東京の海・東京湾に流せばいいという意見も。 その政府・東電への不信が増大しかねない問題が。政府・東電は浄化装置でトリチウム以外の放射性物質は基準以下に処理できるとこれまで説明。 ところが一部のタンクに基準以上の放射性のヨウ素が残されていることがわかった。 公聴会でも多くの参加者が「事実を隠していたのではないか。話が違う」と問題視。 これに対して政府や東電は「フィルターを使い続けると一部で基準を上回る場合もあるが、汚染水の浄化は被ばくなどのリスクを下げることが目的で、濃度もホームページで公開してきた。」と、当初問題ないとの立場。 ただ東電は会見や説明会などで積極的に説明しようとはしなかった。東電は不都合な情報の公開には消極的。こうした体質が改善されない限り、信頼回復は進まない』、「一部のタンクに基準以上の放射性のヨウ素が残されている」、ことが判明したとは驚きだ。このような東電・政府の隠蔽体質では、信じろという方が無理だ。。  
・『政府・東電は今後どう対応すべきか  政府・東電がまずやらなければならないのは公聴会で出された意見や疑問に対して一つ一つ丁寧に答えていくこと。浄化装置で基準超えの物質が残っていることをなぜ積極的に公表しないのか。各タンクの放射性物質の濃度は。基準を上回る放射性ヨウ素はどう処理するのか、説明を。 また公聴会ではトリチウムが健康に与える影響を疑問視し、石油備蓄基地で使われる10万t級の大型タンクに置き換えてさらに長期間保管する提案も。 ほかの対策のように安全性やコストなどを試算していかなければ。 さらに今回意見を聞いたのは福島と東京の3か所だけ。政府はさらに広く公聴会などを開催し対話を積み上げていくことも考えていかなければ』、その通りだ。

次に、2月18日付けダイヤモンド・オンライン「経団連会長の「原発巡る公開討論」早くも腰砕け 脱原発団体が呼応も、経団連は「時期尚早」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/266340
・『日本経済団体連合会(経団連)の中西宏明会長(日立製作所会長)が提唱した、原子力発電の是非を巡る「公開討論」が頓挫しかかっている。 中西会長は大手新聞各社との年初に際するインタビューで、「(原発の是非について)一般公開の討論をすべきだと思う」と述べていた。 小泉純一郎元首相が顧問を務める市民グループの「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」(原自連)がこれに呼応。2月14日に記者会見を開催し、事務局長の河合弘之弁護士は、1月11日および2月13日の2度にわたり経団連に公開討論会開催の要請書を手渡したことを明らかにした』、経団連会長としては、珍しい勇み足だ。
・『経団連が火消しに回る  しかし2月13日の申し入れからわずか2日後の15日、経団連は原自連に「現時点において公開討論会を開催する考えはない」と電話で伝えた。 「現在、4月をメドに電力政策に関する提言を取りまとめているところであり、国民の理解を得るための広報のあり方についても検討中であること」(経団連広報本部)が理由だという。 原自連の吉原毅会長(城南信用金庫相談役)は、「書面で回答を求めたのに電話で済ませようとしてきた。あくまでも書面回答を待つ」と粘り強く働きかけていく構えだ。 そもそも事の発端は中西発言だった。1月5日の東京新聞朝刊は、「国民が反対するもの(=原発)はつくれない。全員が反対するものをエネルギー業者や日立製作所といったベンダー(設備納入業者)が無理につくることは民主国家ではない」と、新聞各社のインタビューで中西会長が述べたと伝えている。 この発言について河合氏は「先進的な意見だ」と高く評価した。吉原氏も、「企業は国民によって支えられている。国民の意思の反することをすれば、企業イメージの低下は免れない。(中西会長の)ビジネスマンとしての考え方が滲み出た発言ではないか」と述べた。 吉原氏によれば、顧問を務める小泉元首相からは、「公開討論会はすばらしいことだ。頑張ってくれ。僕も出るよ」と激励されたという。 原自連は昨年1月、「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案(骨子案)」を公表。各政党に脱原発への取り組みを要請した。これに呼応する形で立憲民主党は昨年3月、社民党など3野党とともに「すべての原発の即時停止、5年以内の廃炉」などを柱とした法案を国会に提出した。だが、与党の反対から審議に入れないまま、現在に至っている。 そうした中で、中西会長による「公開討論」の発言が飛び出した。中西会長はその後の1月15日の経団連の定例記者会見で、「原発の再稼働はどんどんやるべきだ」と発言。内容を報じた読売新聞(1月16日朝刊)によれば、この場でも「公開での討論を行いたい考えを示した」という。 同じ時期に、自身が会長を務める日立がイギリスの原発事業の中断を発表、多額の損失処理に見舞われることが明らかになっている。原発推進がままならない中、国(経済産業省)任せでは事が進まないとの焦りからの発言とも読み取れる』、如何に「焦り」があったとしても、原子力ムラの一角をなす経団連会長発言としては、「勇み足」では済まないだろう。
・『試される中西会長の度量  しかし、中西会長は早々にトーンダウンした。2月14日に中部電力・浜岡原発を視察した中西会長は、「まずは提言をつくることが優先課題」と記者団に答えた。 原自連によれば「1月11日の公開討論会の呼びかけに際しても、まずは提言の公表を見てもらいたいとの返答があった」(河合氏)という。河合氏は「それでは意味がない。中身がまとまってから討論しても、今までと同じく意見対立にしかならない。だからこそ再び申し入れた」と説明する。だが、経団連のガードは堅く、門戸は閉ざされている。 日本では原発を含むエネルギー政策が国民的レベルで議論されたことは皆無に等しい。それだけに、中西会長の言動に注目が集まったが、早くも腰砕けになった。 吉原氏は「今こそ経済界と市民が本音で話し、問題解決に取り組むべきだ」と述べたうえで、「時期尚早」とした中西会長の翻意に期待しているという』、どう考えても「翻意」はあり得ないだろう。

第三に、経済ジャーナリストの町田 徹氏が3月12日付け現代ビジネスに寄稿した「原発事故処理費用「81兆円」衝撃の数字はこうして算出された 「減額」のヒントもここにある」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/63366
・『試算の3.7倍…  昨日(3月11日)、旧ソビエト連邦のチェルノブイリ原発と並ぶ人類史上最悪の原子力事故を引き起こした東京電力・福島第一原発では、事故の発生から9年目を迎えた。しかし、事故処理作業は今なお、迷走している。 この事故処理費用について、老舗の民間シンクタンク「日本経済研究センター」が新たなヒアリングを踏まえて2年ぶりに再試算したところ、最大で81兆円と3年前の経済産業省の試算22兆円の3.7倍に膨らむ恐れがあることが明らかになった。 政府の皮算用を大きく上回った理由は、今なお続く膨大な地下水の流入で処理すべき汚染水の量が増え続けていること、廃炉を実現するための核燃料デブリの除去が目論見通りに進まない可能性が高まっていることの2つだ。 電気料金や税金の形で国民負担に転嫁される事故処理費用をどうすれば、少なくできるのか。今週は、「的確な予測・責任ある提言」を標榜する日本経済研究センターのレポートが示唆した解決策を紹介したい』、日本経済研究センターは日経新聞社の関連会社であるが、政府の無策に我慢できなくなったのだろう。
・『なぜ、ごまかそうとするのか  福島第一原発事故は、INES(国際原子力事象評価尺度)で最悪を示す「レベル7」(深刻な事故)に分類されている。これは、1986年のチェルノブイリ原発事故と並び、1979年に米国のスリーマイル島原子力発電所で起きた「レベル5」(事業所外へのリスクを伴う事故)を上回る深刻なものだ。 東京電力の福島第一原発は福島県大熊町と双葉町に立地し、6基の原子炉を持つ発電所だったが、事故当時、運転中だった1~3号機の3機が東日本大震災で全電源を喪失して原子炉を冷却できなくなり、メルトダウン(炉心溶融)に発展。3月12日の1号機を皮切りに次々と水素爆発を起こすなどに至り、大量の放射性物質を広い地域に放出する事態に陥った。 今なお、福島県内の7市町村には帰宅困難地域が残っており、福島県によると、この事故を含み、東日本大震災に被災して同県の内外に避難している人の数はいまだに41299人にのぼっている。 福島第一原発事故の処理に必要な費用は大別して、「廃炉・汚染水処理」「除染」「賠償」の3つある。「廃炉・汚染水処理」は、主に原発敷地内で必要な費用で、作業員の人件費、機材の開発・購入費用、核燃料デブリの冷却に使う水やビル敷地内に流れ込む地下水の浄化費用が該当する。「除染」は、外部に放出された大量の放射性物質の除去の費用だ。そして、「賠償」が、帰宅できなくなった人々への補償や避難にかかる費用である。 この3つを合わせた費用に関する政府・経済産業省の見積もり額は、2011年6兆円、2013年11兆円、2016年12月21.5兆円と膨張を続けてきたが、今なお、算出根拠が曖昧であり、過少見積りではないかとの批判が存在する。これらの費用は、全額を電気料金に転嫁するか、税金で賄うかしかない。 そのため、最初から巨額の国民負担の必要性を明らかにして、世論の反発を受けたくないとか、脱・原発議論が勢いづくのを避けたいといった政治的判断が時々の政権に働いたとみられている』、政府・経済産業省の見積もり額は確かに「政治的判断」如何でどうにでもなる数字だ。
・『さらに11兆円増えた理由  そんな状況に業を煮やしたのだろう。日本の民間シンクタンクの草分け的な存在である日本経済研究センター(理事長:岩田一政元日銀副総裁)は、2年前の2017年3月公表のレポート「エネルギー・環境選択の未来・番外編 福島第一原発事故の国民負担」で、「事故処理費用は 50 兆~70 兆円」とする独自試算を示し、政府の見積もりの3倍以上に達する可能性があると指摘。 また、「負担増なら東電の法的整理の検討を」「原発維持の根拠、透明性高い説明を」といった副題を掲げて、エネルギー政策の抜本的な見直しを提言していた。2017年3月14日付の本コラム『原発廃炉に70兆円必要!? 保守系調査機関が算出した驚くべき数字』・・・でも紹介した通りである。 そして、同センターがこの試算を改定したのが、先週木曜日(3月7日)に公表した「エネルギー・環境選択の未来・番外編 続・福島第一原発事故の国民負担」・・・だ。 筆者は2年前と同じで、岩田一政理事長と、特任研究員の鈴木達治郎氏(長崎大学核兵器廃絶研究センター長・教授)、元日本経済新聞記者で経済部や科学技術部のキャップを歴任した小林辰男主任研究員の3人となっている。 レポートが衝撃的なのは、国民負担が前回(2年前)の試算よりもさらに11兆円強増えて、81兆円に膨らむとした点だ。「2年という時間の経過を踏まえて、関係者へのヒアリングなどを通じて得られた」情報をもとに再試算した結果だという。 その内訳を見ていくと、廃炉・汚染水処理、賠償、除染の3つの費用のうち、「除染費用」は30 兆円から20 兆円に縮小した。というのは、環境省が、除染の必要ながれきや土壌の分量見積もりを従来の2200 万㎥から1400 万㎥に下げたからである。 その一方で、「廃炉・汚染水処理費用」が前回試算より19兆円多い51兆円に急膨張した。 レポートは直接言及していないが、この背景にあるのは、福島第一原発が阿武隈山系から太平洋に流れ込む膨大な地下水の通り道に位置することだ。凍土壁の建設など一定の流入防止策が講じられてきたものの、今なお流れ込む地下水が少なくない問題が影を落としているようだ。 レポートは、福島第一原発の1~3号機の原子炉内にある燃料デブリの冷却に使って汚染されるものとあわせて、空気で冷やす乾式貯蔵が可能になる2030年頃までの間に80万トン程度の新たな汚染水が発生すると指摘。 この結果、処理が必要になる汚染水は、すでに福島第一原発の敷地内のタンクに溜まっている120 万トン弱の汚染水と合わせて、合計200 万トン程度に達すると言及。その前提で試算し直したところ、必要な費用は「40 兆円」になった。その結果、「廃炉・汚染水処理費用」は前回試算より19兆円多い51兆円に増えたという。 残りの「賠償費用」も膨らんだ。東京電力の支払い分がすでに8兆7000 億円を超えていることが原因で、この費用は前回試算の「8兆円」から、「今後10 兆円程度」に膨らむとしている。 これら3つの費用を合算した結果が、総額で、前回の試算より11兆円多い最大で81兆円という結論なのだ』、「除染の必要ながれきや土壌の分量見積もりを・・・下げた」のは、除染をある程度あきらめたためなのかも知れない。それでも、総額81兆円とは巨額だ。
・『レポートが示した二つの方策  81兆円と言えば、今国会で審議中の2019年度予算(一般会計101兆4571億円で、過去最大)の8割に相当する巨大な金額だ。電気料金にしろ、税金にしろ国民負担として転嫁されるのだから、もう少し効率よくできないものか。 実は、レポートは2つ方策を示している。 第一は、200万トンの汚染水の処理方法だ。現在は、ストロンチウムなどの放射性物質だけではなく、自然界に存在するトリチウムも取り除く処理をしたうえで、福島第一原発の敷地内に設置したタンクに保管し続けることになっている。レポートはこの処理に40兆円必要としているが、そのほとんどがいらなくなる方法があるという。 原子力規制委員会が安全上の問題が無いとして推奨していることに従い、放射性物質の除去を終えてトリチウムだけを含む状態の「処理済み汚染水」を薄めて、海に放出する方法に切り替えるのだ。そうすれば、廃炉・汚染水処理費用が51兆円から11兆円に激減する。 従来、この方法がネックとされてきたのは、政府や東京電力が事故以来、迅速に透明性のある情報開示をして来なかったことが原因だ。地元の漁業関係者の信頼を失い、理解を得られる状況にないという。 薄めてもトリチウムを含む処理済み汚染水を海に放出すれば、消費者が不安にかられて風評被害が起きても不思議はないのに、政府・東電がその種の風評被害は無視すべきものだとして海洋放出を強行しようとしたことが、事態の悪化を決定的なものにした。 そこで、 レポートは、風評被害に備えて、漁業関係者に追加的な補償を行う枠組みも予め用意しておくことによって、海洋放出を実現すべきではないかと提言している。試算によると、その補償コストは、「漁業関係者1500人に対して、40年分の補償をしたとしても、賠償費用が3000 億円程度増える」だけだという。事故処理費用を40兆円近く減らして総額41兆円程度に抑えることが可能だと、歴然たる効果を明らかにした』、漁業関係者の反対を追加的な補償で宥められれば、事故処理費用圧縮には確かに大きく寄与しそうだ。しかし、「カネで買う」ようなことに漁業関係者が納得するかが問題だろう。
・『第二の節約策は、ここへ来て技術的な困難さが指摘されている核燃料デブリの取り出しを断念し、チェルノブイリ原発で行ったような「石棺」化、もしくは「水棺」化して、永久管理するというものだ。核燃料デブリとは原子炉の事故で、炉心が過熱し、溶け落ちた核燃料が原子炉に使われていたコンクリートや鉄パイプなどと混ざり合った後、冷えて固まったものを指す。 依然として高レベルの汚染の中にあるうえ、コンクリートや鉄パイプが混じって体積が大幅に大きくなっているため、実態調査が当初予定よりも大幅に遅れているだけでなく、技術的に取り出せるかどうか疑問視する向きが少なくない。先月になって、ようやく本格的な現状調査が始まったものの、東京電力の担当役員らが新聞インタビューに応じ、完全撤去の難しさを認める発言をし始めているのが実情だ』、「「石棺」化」は確かに有力な選択肢だろう。ただ、「石棺」はすぐ劣化するため、補修費用も必要になる筈だ。
・『国民に負担を押し付けるだけでなく  この問題について、レポートはあくまでも、技術的な問題が解決できず、そうせざるを得ない場合のコストとして計算している。 それによると、40兆円の節約が可能な処理済み汚染水の海洋放出とあわせて、核燃料デブリの取り出し(廃炉)を断念し、石棺化(もしくは水棺化)して永久管理する方策に変更すれば、さらに6.7兆円程度の節約が可能だ。「廃炉・汚染水処理費用」が4.3兆円程度に、事故処理費用総額が35兆円程度にそれぞれ抑制できる計算となっている。 ただ、この35兆円には、廃炉を前提として、すでに帰還を果たした住民への新たな賠償や移住問題や、石棺化などをした際の2050 年以降の原子炉の管理費用が含まれていない。 そこで、賠償費用として、福島県内に避難している約9000 人に対して直ちに1人年間 1000 万円の補償を始め、30 年間かけて金額を徐々に減らし、2050 年にゼロにする賠償を行うとすると、その費用は1兆 4000 億円程度になるという試算も示した。廃炉費用に比べれば4分の1以下で賄える計算で、石棺化も検討すべき方策だと解釈することが可能だろう。 福島第一原発事故の発生時の民主党・菅直人内閣、後継だった野田佳彦内閣、そして政権奪還に成功した安倍晋三内閣と、歴代の政権はこれまで、世界最悪の福島第一原発事故の悪影響を少しでも小さく見せようと、事故処理費用の過少見積もりを公表してきた。脱・原発論が勢い付くのを嫌い、直接の被害者にも費用や技術の面から原状復帰はできない可能性が大きいことを告げずに来たのだ。 そのために、不都合な真実には悉く蓋をせざるを得なかった。原子力規制委員会の見解として海洋汚染の懸念はないとしながら、漁業関係者の反発が再燃するのを恐れて、ストロンチウムなどの放射性物質を除去した処理済み汚染水の海洋放出の判断・決定を東電に押し付けてきたことや、住民に帰宅可能だと言い張り続けるために、廃炉を不可能と見る専門家が多いにもかかわらず、核燃料デブリを除去するとの空手形を切り続けてきたのである。 しかし、その費用は電気料金や税金で賄われる仕組みになっている。事故から8年の歳月が経ったにもかかわらず、手をこまねいて、国民負担を膨張させ続けているのだ。将来、重い負担が待っていることを、国民が知らされていない問題は大きい。 日本経済研究センターのレポートは、それらの問題の一端を明らかにした。われわれ国民は、その知見を活かして、福島第一原発の事故処理を抜本的に見直すように、政府に迫るべきだろう。 さらに看過できないのは、不都合な真実をひた隠しにして、国民に膨大な負担を押し付ける政府の無責任な姿勢が、福島第一原発の事故処理だけでなく、エネルギー・原子力政策全般に共通している点だ。 実は、今回のレポートは、後半部分で、この問題に触れている。直近の電源別の1kWhあたりの発電コストの比較表を掲載して、メガソーラー(大規模太陽光発電)をはじめとした再生可能エネルギーと原子力の格差が大幅に縮小していることを明示、経済的に廉価という理由で原子力存続を押し進める政府の姿勢に疑問を呈しているのだ。 筆者から見ても、今なお、最終処分場も決められない政府に、原子力発電・堅持を唱える資格はないだろう。あの深刻な事故から8年。原子力政策の抜本的な見直しが避けて通れない時期を迎えているのである』、確かに政府は、エネルギー・原子力政策の見直しを先送りせずに、正面から取り組むべきだ。そのためには、徹底した情報開示とそれに基づいた選択肢の提示が必要だ。

第四に、3月26日付け東洋経済オンライン「除染後も深刻な高線量、グリーンピース調査 国の除染作業で賃金不払い、違法労働も横行」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/273070
・『2011年の福島第一原子力発電所事故を機に立ち入りが厳しく制限されている福島県内の「帰還困難区域」のほか、すでに避難指示が解除されて住民の帰還が進められている区域でも深刻な放射能汚染が続いていることが、国際環境NGOグリーンピースの調査によって明らかになった。 グリーンピースは2018年10月、福島県浪江町の帰還困難区域のほか、飯舘村と浪江町の避難指示が解除された区域で、空間放射線量を詳細に測定した。それによると、浪江町の帰還困難区域である大堀、津島の3つの測定場所でそれぞれ平均値として毎時4.0マイクロシーベルト、毎時1.2マイクロシーベルト、毎時1.3マイクロシーベルトを記録(地表から1㍍の高さの空間放射線量率を、ヨウ化ナトリウムシンチレータ測定器を用いて1秒ごとに測定)。 すでに避難指示が解除され、居住が認められている浪江町の2カ所と飯舘村内1カ所の計3カ所の測定場所でも、平均値がそれぞれ毎時1.9マイクロシーベルト、1.8マイクロシーベルト、0.7マイクロシーベルトに達していた。 いずれの場所も、追加被ばく線量年間1ミリシーベルトを達成するために日本政府が除染実施の目安としている毎時0.23マイクロシーベルトを大幅に上回っていた。こうした事実を踏まえ、報告書は「避難者が戻って安全に暮らせるレベルになっていない」「日本政府は現状の避難指示解除政策を見直すべきだ」と結論付けている』、最近は除染後の線量についての一般マスコミの報道が殆どないなかで、実際はこんあに酷いとは貴重な情報だ。帰還を進める政府には不都合なので、一般マスコミは自粛しているのかも知れない。
・『居続けると原発労働者を上回る被ばく  グリーンピースは原発事故直後である2011年3月以来、福島県で放射能汚染の実態を調査してきた。29回目となる今回、調査したのは浪江町および飯舘村の計6カ所。それぞれの場所で、ゆっくり歩行しながら一定間隔でそれぞれ数千ポイントに及ぶ詳細な測定を実施した。 そのうち浪江町の大堀、津島は帰還困難区域である一方、その一部が政府から「特定復興再生拠点区域」に認定され、除染を実施したうえで2023年3月の避難指示解除を目指すとされている。しかし、福島原発から西北西約10キロメートルの距離にある大堀地区の汚染レベルは深刻で、グリーンピースが調査した場所の平均値は毎時4.0マイクロシーベルト。最大値は同24.3マイクロシーベルトに達していた。 毎時4.0マイクロシーベルトを政府の計算式に基づいて年換算すると20ミリシーベルトを超えており、そこに居続けた場合、福島第一原発で働く労働者の年間平均被ばく線量3.7ミリシーベルト(2019年1月の月間実績値を年換算)をも大幅に上回る。 また、福島第一原発から北西約30キロメートルの津島地区で避難住民の自宅を測定したところ、平均値が毎時1.3マイクロシーベルトと、国の除染目標である毎時0.23マイクロシーベルトを大幅に上回っていた。この避難者宅は政府のモデル除染事業の実施対象に選ばれ、2011年12月と翌2012年2月に大掛かりな除染が実施されたものの、依然として放射線量が高いままだ。自宅敷地内では最高値として毎時5.9マイクロシーベルトという高線量も記録した。 浪江町や飯舘村のすでに避難指示が解除された地域でも、線量の低減が十分でないことが判明した。浪江町のある小学校・幼稚園に隣接する森を調査した結果、平均値が毎時1.8マイクロシーベルト、最大値は毎時2.9マイクロシーベルトもあった。小型無人機(ドローン)を用いて測定したところ、小学校の敷地と隣接する南側では除染が終わっていたが、小学校の北側の森林では、道路沿いから20メートル離れたエリアが除染されていないこともわかった。「立ち入り制限がなく、子どもも自由に出入りできる場所でこのような放射線レベルが存在するのは憂慮すべきことだ」と、調査に従事したグリーンピース・ドイツのショーン・バーニー核問題シニアスペシャリストは3月8日の記者会見で述べている。 原発から北西約32キロメートルにある、飯舘村の農家の敷地内では、「除染終了後の2016~2018年に放射線量の低下が見られなかった」(バーニー氏)。周囲を森に囲まれており、「山林の未除染部分の放射能が、裏山の下方および家屋近くを再汚染しているとも推定される」とグリーンピースの報告書は述べている。家主はやむなく家屋の解体を迫られ、現在も別の場所での避難生活を余儀なくされている。こうしたことから報告書では、「住宅の除染の効果が限定的であったこと」や「帰還した場合の被ばくリスクの低減も限定的になるだろう」と指摘している』、こんな不十分な除染で帰還させるとは、犯罪的行為だ。
・『ずさんな除染労働、人権侵害も  グリーンピースは、国が進める除染についても問題視している。低賃金や賃金の不払いが横行しており、被ばく管理もずさんだという。 3月8日の記者会見に同席した元除染労働者の池田実さん(66)によれば、「雇われた会社から支給されたのは、サージカルマスクとゴム手袋、軍手、ヘルメットだけ。上着もズボンも長靴もすべて自分で用意し、汚れたままの服装で汚れたままの服装で宿舎と現場を行き来した。除染作業のリスクについてきちんとした説明がないまま現場に配置され、高線量下の場所で、草刈りや汚染土壌の運搬に従事させられた」という。 池田さんが除染作業に従事したのは放射線レベルの高い浪江町の帰還困難区域で、2014年2月から5月までの4カ月間。「現場ではアラーム機能のない積算線量計を配付され、空間線量は知らされないままに作業した。ホールボディカウンターによる内部被ばくの結果も伝えられないまま、退職願いを書かされた」(池田氏)。 池田さんが自分で持っていた空間線量計でためしに測ってみたところ、「現場では毎時25マイクロシーベルトもの高線量が計測された」(池田さん)という。 その後、福島第一原発で廃炉作業にも従事した池田さんは、「仲間ががんや白血病になっていることから、健康に不安を感じている」という。 3月8日の記者会見には国際人権NGOヒューマンライツ・ナウの伊藤和子事務局長も出席し、「原発事故被災者への政府の対応は非常に不十分。人権が侵害されている」と指摘した。問題ある実例として伊藤氏は、「原発事故直後に年間20ミリシーベルトを避難の基準に設定していること」や「山形県内で自主避難者が住宅の明け渡し訴訟を起こされていること」などを挙げた』、現場作業員への被爆対策は、聞きしにまさる酷さだ。
・『外国人技能実習生が除染作業に従事  弁護士でもある伊藤事務局長は「国連の場で日本政府の対応はたびたび問題視され、国際的に認められた被ばく限度の順守や広範囲に及ぶ健康診断実施の勧告を受けている。にもかかわらず、勧告を無視し続けている」と批判した。また、外国人の技能実習生や難民認定申請者らが技能実習計画で説明された仕事とは異なる除染作業に違法に従事していることにも言及した。 2018年以来、国の放射線審議会では、除染の目安として設定した毎時0.23マイクロシーベルトの数値が一人歩きし、「あたかも(0.23マイクロシーベルトを年換算した)年間1ミリシーベルトが安全と危険の境界であるといった誤解が生じている」などといった議論が続いている。追加被ばく線量の計算式そのものを見直し、より高い数値に置き換えようという動きも政府内にある。そうなった場合、「(国際的に合意された)1ミリシーベルト基準が守られなくなる」と伊藤事務局長は警鐘を鳴らしている』、「外国人の技能実習生や難民認定申請者らが技能実習計画で説明された仕事とは異なる除染作業に違法に従事している」というのも酷い話だ。国連でも問題視されるなかで、安倍首相はよくぞ「アンダー・コントロール」などと大見得を切れたものだ。これでオリンピックを迎えるとは、日本も「厚顔無恥」になったものだ。
タグ:東洋経済オンライン 風評被害 ダイヤモンド・オンライン 福島第一原発 原発問題 現代ビジネス 日本経済研究センター NHK時論公論 町田 徹 (その11)(原発汚染水処理 対応を急げ、経団連会長の「原発巡る公開討論」早くも腰砕け 脱原発団体が呼応も 経団連は「時期尚早」、原発事故処理費用「81兆円」衝撃の数字はこうして算出された 「減額」のヒントもここにある、除染後も深刻な高線量 グリーンピース調査 国の除染作業で賃金不払い 違法労働も横行) 「原発汚染水処理 対応を急げ 水野倫之解説委員」 大量の放射性のトリチウム水をどう処分するのか トリチウムだけは、水の一部として存在するため、除去できず東電はタンクにため続けている 92万tにのぼり、タンクも800基 専門家会合でトリチウム水の処分方法の検討 トリチウムを分離する技術は実用段階にはないと結論づけ 海への放出が最も安く、短時間ででき合理的だとする趣旨の報告書 漁業者の反発 背景にあるのは政府・東電への不信 一部のタンクに基準以上の放射性のヨウ素が残されていることがわかった 東電は不都合な情報の公開には消極的。こうした体質が改善されない限り、信頼回復は進まない 政府はさらに広く公聴会などを開催し対話を積み上げていくことも考えていかなければ 「経団連会長の「原発巡る公開討論」早くも腰砕け 脱原発団体が呼応も、経団連は「時期尚早」」 中西宏明会長 が提唱した、原子力発電の是非を巡る「公開討論」が頓挫しかかっている 年初に際するインタビューで、「(原発の是非について)一般公開の討論をすべきだと思う」と述べていた 「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」 2度にわたり経団連に公開討論会開催の要請書を手渡した 経団連が火消しに回る 試される中西会長の度量 「原発事故処理費用「81兆円」衝撃の数字はこうして算出された 「減額」のヒントもここにある」 2年ぶりに再試算したところ、最大で81兆円と3年前の経済産業省の試算22兆円の3.7倍に膨らむ恐れがあることが明らかに 処理すべき汚染水の量が増え続けていること 核燃料デブリの除去が目論見通りに進まない可能性が高まっていること 必要な費用は大別して、「廃炉・汚染水処理」「除染」「賠償」の3つ 政府・経済産業省の見積もり額は、2011年6兆円、2013年11兆円、2016年12月21.5兆円と膨張を続けてきたが、今なお、算出根拠が曖昧であり、過少見積りではないかとの批判が存在 世論の反発を受けたくないとか、脱・原発議論が勢いづくのを避けたいといった政治的判断が時々の政権に働いた さらに11兆円増えた理由 「エネルギー・環境選択の未来・番外編 続・福島第一原発事故の国民負担」 前回(2年前)の試算よりもさらに11兆円強増えて、81兆円に膨らむ 「除染費用」は30 兆円から20 兆円に縮小 環境省が、除染の必要ながれきや土壌の分量見積もりを従来の2200 万㎥から1400 万㎥に下げたから 「廃炉・汚染水処理費用」が前回試算より19兆円多い51兆円に急膨張 80万トン程度の新たな汚染水が発生 タンクに溜まっている120 万トン弱の汚染水と合わせて、合計200 万トン程度に達する 「廃炉・汚染水処理費用」は前回試算より19兆円多い51兆円に増えた 「賠償費用」も膨らんだ 前回試算の「8兆円」から、「今後10 兆円程度」に膨らむ 総額で、前回の試算より11兆円多い最大で81兆円という結論 レポートが示した二つの方策 トリチウムだけを含む状態の「処理済み汚染水」を薄めて、海に放出する方法に切り替えるのだ。そうすれば、廃炉・汚染水処理費用が51兆円から11兆円に激減 風評被害に備えて、漁業関係者に追加的な補償を行う枠組みも予め用意 「漁業関係者1500人に対して、40年分の補償をしたとしても、賠償費用が3000 億円程度増える」だけ 第二の節約策は、ここへ来て技術的な困難さが指摘されている核燃料デブリの取り出しを断念し、チェルノブイリ原発で行ったような「石棺」化、もしくは「水棺」化して、永久管理 国民に負担を押し付けるだけでなく 石棺化(もしくは水棺化)して永久管理する方策に変更すれば、さらに6.7兆円程度の節約が可能だ 賠償費用として、福島県内に避難している約9000 人に対して直ちに1人年間 1000 万円の補償を始め、30 年間かけて金額を徐々に減らし、2050 年にゼロにする賠償を行うとすると、その費用は1兆 4000 億円程度になるという試算 将来、重い負担が待っていることを、国民が知らされていない問題は大きい さらに看過できないのは、不都合な真実をひた隠しにして、国民に膨大な負担を押し付ける政府の無責任な姿勢が、福島第一原発の事故処理だけでなく、エネルギー・原子力政策全般に共通している点だ 今なお、最終処分場も決められない政府に、原子力発電・堅持を唱える資格はない 「除染後も深刻な高線量、グリーンピース調査 国の除染作業で賃金不払い、違法労働も横行」 国際環境NGOグリーンピースの調査 「避難者が戻って安全に暮らせるレベルになっていない」「日本政府は現状の避難指示解除政策を見直すべきだ」と結論付けている 居続けると原発労働者を上回る被ばく ずさんな除染労働、人権侵害も 外国人技能実習生が除染作業に従事 国連の場で日本政府の対応はたびたび問題視され、国際的に認められた被ばく限度の順守や広範囲に及ぶ健康診断実施の勧告を受けている
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