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誇大広告(その3)(血液クレンジング騒動で見えた広告規制の限界 SNSの「医療ステマ投稿」は野放し状態、化粧水が「肌の奥まで浸透できない」納得の理由 「美容常識」のウソを形成外科医が深く解説、消費者庁の露骨な「クレベリン潰し」 背景に片山さつき氏の影がチラつく空間除菌連合?) [社会]

誇大広告については、2018年6月18日に取上げた。久しぶりの今日は、(その3)(血液クレンジング騒動で見えた広告規制の限界 SNSの「医療ステマ投稿」は野放し状態、化粧水が「肌の奥まで浸透できない」納得の理由 「美容常識」のウソを形成外科医が深く解説、消費者庁の露骨な「クレベリン潰し」 背景に片山さつき氏の影がチラつく空間除菌連合?)である。

先ずは、2019年11月3日付け東洋経済オンライン「血液クレンジング騒動で見えた広告規制の限界 SNSの「医療ステマ投稿」は野放し状態」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/311940
・『「施術中、指先がポカポカしたので効果があると信じ込んでしまった」 ブロガーの「はあちゅう」こと伊藤春香氏は2012年、当時運営していたサイトのクーポンを使って血液クレンジングの施術を受けたことを、ブログに投稿していた。 「血液クレンジング」とは、100ccほどの血を抜き、オゾンを混ぜて再度体内に戻すという仕組みで、オゾン療法とも呼ばれる。冷え性や美容に効果があるとして、はあちゅう氏だけでなく多数の芸能人や著名人(インフルエンサー)が、黒っぽい血が鮮やかな赤に変わる写真とともにSNSで拡散していた。 これについてネット上で疑問視する声が飛び交い、10月17日には美容外科医の高須克弥氏がツイッターで「意味ねぇよ。おまじないだよ」と効果を否定。はあちゅう氏も過去の投稿を削除するなどの炎上を巻き起こした。 血液クレンジングを行っている各クリニックのホームページには、冷え性、アレルギー、認知症、がん、HIV、ヘルペスなどのさまざまな症状への効果が謳われている。過去にも何度かブームがあったが、その効果ははっきりしない面がある。『「ニセ医学」に騙されないために』を執筆した医師の名取宏氏は、「信頼できる臨床試験での検証が少なく、エビデンスに基づいた医療(EBM)とはいえない」と、厳しい見方だ。 一方、日本酸化療法医学会の渡井健男会長は、「ドイツ発祥の治療法で、海外では保険が効く国もある。日本ではオゾンは毒というイメージが強く誤解を持たれているが、がんや線維筋痛病などで症状改善の実績がある。EBMに基づいた実証やデータ開示は、今後さらに進めていく」と主張している』、「日本酸化療法医学会」なるものがあることは初めて知ったが、「EBMに基づいた実証やデータ開示」はすぐには無理なようだ。
・『医療広告規制強化でも取り締まりは難航  血液クレンジングの効果の真偽について記事上で断定することは避けるが、血液クレンジングをはじめとして効果検証がされていない医療サービスをSNSに投稿する事態が横行している。それだけでなく、それらがしっかりと取り締まられていないという大きな問題がある。) 医療機関が広告をする場合、医療法に基づいた「医療広告ガイドライン」に従う必要がある。このガイドラインは、一般的な商品やサービスの広告に対する規制と比較しても厳しい。近年は美容医療の被害が急増したことを受け、2017年には医療法が改正され、ホームページにも広告規制が及ぶことになった。 厚生労働省の担当課によると、効果が検証されていない治療について「がんに効果がある」といった書き方をしている場合、指導の対象になる可能性があるという。ガイドラインでは虚偽広告や誇大広告、「著名人も〇〇医師を推薦しています」といった、他の医療機関よりも優良であると示す比較優良広告を禁止している。 だがガイドラインには、ホームページ上に問い合わせ先を明記し、自由診療の場合、治療の内容や費用、リスクや副作用に関する情報提供を明確に行っていれば、掲載してもよい項目が増える「限定解除」という仕組みがある。そのため、実際に禁止されている広告内容の線引きはあいまいだ。 また、実効的な罰則が実施されることはきわめてまれで、取り締まりの実権がない、いうなれば「お飾り」に近い状態だ。広告規制に詳しい丸の内ソレイユ法律事務所の成眞海氏によると、「2017年の医療法改正以来、美容医療などを中心に指導の件数は増えているが、行政処分や刑事処罰を受けた事例は、まだ聞いたことがない」という』、「実効的な罰則が実施されることはきわめてまれで、取り締まりの実権がない、いうなれば「お飾り」に近い状態だ」、金融商品では「広告規制」は極めて厳格なのに、健康に直結する医療分野で緩いのは納得できない。
・『厚労省が民間業務委託も捜査権はなし  ネット上の違法医療広告の取り締まりは、2017年8月から厚生労働省が民間に業務委託している「医療機関ネットパトロール」が行っている。通報などにより違法な広告を発見し、医療機関に通達を行うが、それでも改善が見られない場合は、個別案件ごとに自治体の保健所が指導を行うという仕組みだ。 ところが、規定上は罰則に当たるものであっても、保健所に警察のような捜査権がないため、手詰まりになってしまう。 今回の炎上のきっかけとなったSNSの投稿に目を向けても、インフルエンサーによる投稿が一般の投稿か、それとも消費者に宣伝と気づかれないように宣伝行為をする「ステマ(ステルスマーケティング)」なのかどうか判別することは非常に難しい。 前述の渡井会長も「美容系に多いが、規定の治療法を守らない医師が適切な説明をせず、内容をわかっていない芸能人が『ステマ』的な投稿をしていることを問題視している」と懸念を示す。 インフルエンサーマーケティングが広まるなか、ステマを防ぐための仕組みは広まっている。企業が広告投稿を依頼し、謝礼などを提供する場合は「#PR」といった表記をし、両者の関係性を明示しなくてはならないことが、WOMマーケティング協議会のガイドラインで定められている。 他方、医療サービスの広告投稿は「著名人との関係性を強調する」比較優良広告と見なされ、それ自体が法に触れる。そのため、本人の興味で行ったプライベートの投稿であることが前提となり、#PRの表記が載る投稿は存在しない。 #PRの有無で判断できないからこそ、両者が「金銭のやりとりや謝礼はない」と主張しても、表面から判断することは不可能に近い、という大きな落とし穴がある。 都内の保健所の担当者によると「通報があった場合に個別に聞き取りをすることはありうるが、どういうスタンスで投稿しているかまでは調べる権限がない」と話し、SNS上の投稿まではターゲットにしていないという。 かといって規制を強化することは、言論の自由を侵すことにもなりかねないジレンマもある。前述の担当者は「制度が立ち上がってまだ2年だが、マーケティング手法に、法令が追いついていないのが現状だ」と認める』、「通報などにより違法な広告を発見し、医療機関に通達を行うが、それでも改善が見られない場合は、個別案件ごとに自治体の保健所が指導を行うという仕組みだ。 ところが、規定上は罰則に当たるものであっても、保健所に警察のような捜査権がないため、手詰まりになってしまう」、「マーケティング手法に、法令が追いついていないのが現状」、本当に必要なのであれば、「保健所」への「捜査権」付与も前向きに検討すべきだ。
・『情報にふりまわされるインフルエンサー  インフルエンサーもステマとの誤解を避けるため、発信には細心の注意を払うが、あふれる情報にふりまわされているのも実情だ。 はあちゅう氏は、血液クレンジングに関する投稿はステマではないとしたうえで、「インフルエンサーには、いいと思ったことを発信する役割があるが、大きな責任も伴う。自分の興味から行った投稿であればなおさら、ひとりだけでなく周りにも相談して、その真偽を判断するべきだと、今回の件で改めて学んだ」と、炎上に対して反省を述べた。) ただ、「専門家にもいろんな意見の人がいて、血液クレンジングをニセ医療だと断定する根拠も持っていない」と吐露する。 近年は「インスタ映え」の名目のもと、パフォーマンス性の高いものや、見栄えのするエステや治療などが大量にSNSにアップされている。それらの中には、危険な治療や、効果を誇大に強調するなど、医療広告上違法とみられるものも紛れている。 それらを取り締まることができない以上は、最終判断は消費者側に委ねられる。前述の名取氏は「基本的に保険適用の治療以外は、効果が公に検証されていないと考えていい。エセ医療で、本来よくなるべき症状が悪化することもあり、気をつけてほしい」と注意喚起する。 厚生労働省は、自治体による適切な指導を浸透させるため、今年から「医療広告協議会」を立ち上げた。現場の担当者や業界関係者を集めて、課題の論点整理や意見交換を行っていくという。 制度の甘さにつけこむ悪徳な医療機関を野放しにすれば、最悪の場合、国民の健康や命にかかわる問題も引き起こしかねない。取り締まり体制の整備は急務だ』、「取り締まり体制の整備は急務だ」、同感である。

次に、昨年1月6日付け東洋経済オンラインが掲載した国立病院機構東京医療センター形成外科長 の落合 博子氏による「化粧水が「肌の奥まで浸透できない」納得の理由 「美容常識」のウソを形成外科医が深く解説」を紹介しよう。
・『今大注目の〇〇美容法」「〇〇が新しく開発した新成分」「シミやシワに本当に効くのはこれ!」――テレビCMや美容雑誌、コスメサイトなどにはいつも新しい単語が並んでいます。しかし、新しい美容法や成分が本当に効果があるのか見抜くのは困難です。巷に流れる美容情報をどう正しく読み解くか、現役の形成外科医であり肌の構造に精通している落合博子氏が解説します』、興味深そうだ。
・『形成外科医から見るといまの美容常識は時々疑問  形成外科医の観点から、いま世の中にあふれているさまざまな美容情報を眺めていると、「なんでそんなことをする必要があるんだろう?」「効果があるとは思えないな」と感じることが、本当にたくさんあるのです。 たとえば、とても単純な例でいうと、わたしの場合「肌をイメージしてください」といわれたら、断面図を思い浮かべます。ちょっと怖いかもしれませんが、日々皮膚を切ったり縫ったりしているので、肌の断層が浮かぶのです。 でも、みなさんはおそらく、肌の表面をイメージするのではないでしょうか。肌表面の下がどんな構造になっているのか、肌の仕組みがわかると、美容情報の見え方もガラッと変わってきます。まずは肌の仕組みを正しく知ること。 それが、美肌を手に入れるためのいちばんの近道です。正しく知れば、巷の宣伝広告に乗せられることもなくなるでしょう。あなた自身が情報のウソホントを見極められるようになります。けっしてむずかしいことではありませんので、どうぞ安心してください。 ひとつ、みなさんに質問です。化粧品のCMなどで見聞きする「肌の奥まで浸透する」の「奥」とは、いったいどこのことでしょうか? 答えは「角質層」です。「角質層まで浸透してプルプルのお肌に」などの宣伝文句もお馴染みなので、ご存じの方も多いと思います。 ただ、わたしがここで質問するポイントは、この角質層がどれくらい「奥」にあるかという点。じつは、わたしたちの肌のいちばん表面にあるのが、この角質層(=角層とも呼ばれます)です。) 「あれ? どういうこと?」と思うかもしれません。角質層まで浸透するといわれると、なんだかものすごく奥のほうまで染みわたってお肌によいような気がしてしまいますが、角質層というのは、肌表面の厚さ0.01から0.03ミリの部分を指します』、「角質層まで浸透するといわれると、なんだかものすごく奥のほうまで染みわたってお肌によいような気がしてしまいますが、角質層というのは、肌表面の厚さ0.01から0.03ミリの部分を指します」、一般の素人に誤解させるような説明は罪が深い。
・『死んだ細胞の表面をうるおわせているだけ?  ここで肌の構成についてお話ししておきましょう。わたしたちの肌――皮膚は、真皮と表皮からなりたっています。そのうちの表皮が肌表面にあたる部分で、厚さは平均0.2ミリほどです。 この肌の表面(=表皮)はさらに分類され、外側から順に「角質層」「顆粒層」「有棘(ゆうきょく)層」「基底層」の4層から構成されています。つまり、いちばん外側にあるのが角質層です。 そして、この角質層は、表皮の第4層目にあたる基底層が絶えず分裂をくりかえすことで押し上げられた“死んだ細胞”からつくられています。少々ショッキングな表現かもしれませんが、肌の表面は“死んだ細胞”で覆われているのです。 イメージ図をご覧いただいてもわかるように、角質層の次にある顆粒層より下の部分には細胞核の点が見えますが、角質層にはありません。細胞が生きていないので、血液中から栄養が補給されることもないのです。化粧水などの薬物が浸透するのは一般的に、この死んだ角質細胞で形成されている「角質層」まで。その下で細胞分裂している肌の「奥」に、届くことはありません。 また、角質層はいちばん外側にあるので、見た目の美しさを左右します。それゆえ、この角質層を一生懸命ケアしようとするわけですが、角質層はそもそも、しばらくすれば垢となって剥がれる運命なのです。実は、化粧品の管理をおこなっている「薬事法」という法律でも、化粧品が角質層(=角層)よりも奥まで浸透するという広告は禁じられています。 ですから、どんなに効果があるように思える宣伝広告でも、よく目を凝らすとかならず、「浸透するのは角(質)層まで」とどこかに明記されているはずです。 多くの人が、このたった0.01~0.03ミリの死んだ細胞の表面をうるおわせるために、化粧水をせっせと使っている、ということになるわけですが、果たして意味があるでしょうか。 では、角質層のさらに奥まで届くものがあるのかといえば、特殊な医療技術を用いない限り基本ありません。というのも、皮膚本来の機能を考えると、それはあってはならないことだからです。わたしたちの肌は、そもそも何のために存在するのでしょうか?肌の最大の役割は、「からだを守ること」。異物が体内に侵入するのを防ぐ「バリア」の役割を果たしているのが、皮膚なのです。 そのバリア機能のおかげで、わたしたちの細胞や血管、神経が守られています。全身の約16 パーセントの皮膚にやけどを負うと、致命的だといわれます。そして忘れがちですが、皮膚はわたしたちの臓器のひとつ。皮膚は体重の約30パーセントを占める、人体で最大の臓器です』、「どんなに効果があるように思える宣伝広告でも、よく目を凝らすとかならず、「浸透するのは角(質)層まで」とどこかに明記されているはずです」、こんな消費者の誤解に基づいた「広告」が長年続いているとは、驚かされた。「多くの人が、このたった0.01~0.03ミリの死んだ細胞の表面をうるおわせるために、化粧水をせっせと使っている、ということになるわけですが、果たして意味があるでしょうか」、「皮膚は」「異物が体内に侵入するのを防ぐ「バリア」の役割を果たしている」、「皮膚は体重の約30パーセントを占める、人体で最大の臓器」、「皮膚」が「臓器」の1つとは初めて知った。
・『肌の持っている4つの役割  外の世界に直接触れる臓器ですから、さまざまな役割を持っているわけですが、おもには、①水分の喪失や侵入を防ぐ、②体温を調節する、③微生物や物理化学的な刺激から生体を守る、④感覚器としての役割を果たす、の4つ。 いずれも生命を維持するために必要不可欠な機能です。また、「からだを防御する」機能として、最表面にある角質層がもっとも重要な役割を果たしています。この角質層の厚さは平均0.02ミリしかありませんが、健全であれば同じ厚さのプラスチック膜と同じくらい、水分を通しにくい性質があります。 もし、角質層がバリア機能を失って何でもかんでも浸透させてしまうようになると、局所だけでなく全身が危険にさらされる可能性があるということです。実際に皮膚にバリアを超えて異物が侵入したことで、アレルギー症状を引き起こした例も報告されています。 お肉の切り身を想像してみてください。肌にバリア機能がなければ、お肉の切り身のように塩や胡椒や?油などの下味をすり込めるということになるでしょう。そんなことが肌に起こったら大変です。肌は外界の異物からからだを守っています。そのバリアに対して、外からすり込んだり、押し込んでみたり、温めてみたり、ラップをしてみたりとがんばっても、バリアより奥深くに成分が届くことは、そもそもないのです。) そして、「からだから逃がさない」機能としても、皮脂のバリアが重要です。健全な皮膚の表面は皮脂で覆われ、脂質や天然保湿因子・水分が逃げないように守られています。しかし、一旦バリアが破壊されると保持されるべき物質が角層から外に流出し、乾燥を引き起こすのです。 肌へ化粧品の成分を浸透させようと思うと、バリアを破壊する必要があります。しかし、バリアを破壊すれば肌の大事な成分が保持できなくなり、頻回に化粧品をつけても乾燥するという悪循環を生みます。大事なのは、正常なバリア機能を邪魔しないこと。化粧品を浸透させるのではなく、バリアとなる皮脂を補強するような化粧品の使い方を意識することです』、「大事なのは・・・化粧品を浸透させるのではなく、バリアとなる皮脂を補強するような化粧品の使い方を意識すること」、「皮膚」への「化粧」の意味が理解できた。
・『バリア機能さえ壊さなかったら肌は美しくなる  ここまででもおわかりかと思いますが、巷にあふれている広告はとても魅力的ですが、文字どおりほとんどが「宣伝」です。たしかにさまざまな研究が進み、新しい成分がつぎつぎに登場し、あらたな効能のエビデンス(検証結果)がとれているものもあるかもしれません。しかし、肌トラブルが生じたときにいつも立ち返って思い出していただきたいのは、肌本来の役割。そう、バリア機能です。 このバリア機能をしっかり維持することができれば、肌はおのずと美しくなる力を備えています。肌トラブルが生じたとしても、わたしたちの体内では絶えず細胞が生まれ変わっていますから、少し待っていれば新しい肌に生まれ変わるのです。 手術で皮膚をどんなにうまく切り貼りし、美しく縫合する技術を施せたとしても、傷が最終的にキレイに治っていく過程は、人体の自己再生力なくしてはありえません。そして、どんな肌にも、その力は備わっているのです。 ちなみに、表皮のターンオーバーは約28~30日間サイクルでおこなわれるといわれています。ですから、ちょっと乱暴ないい方をすれば、40日間肌の機能を邪魔しないように何もせずに待てばいいのです。もちろん、食べものや生活習慣、ストレスなども肌の状態に影響しますが、肌に関する正しい知識を持っていれば、何をして何をしなくていいかが、わりとスッキリ見えてくると思います』、「ちょっと乱暴ないい方をすれば、40日間肌の機能を邪魔しないように何もせずに待てばいいのです」、なるほど。

第三に、本年2月3日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「消費者庁の露骨な「クレベリン潰し」、背景に片山さつき氏の影がチラつく空間除菌連合?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/295115
・『なぜ消費者庁は「クレベリン」だけをターゲットにするのか? 消費者庁が、大幸薬品の空間除菌剤「クレベリン」を露骨に潰しにかかっている。 1月20日、「空間に浮遊するウイルス・菌を除去」などの表示に合理的根拠がなく、消費者に誤解を与えるおそれがあるとして、消費者庁は、景品表示法に基づく措置命令を下した。 対象となったのは、スティックペンタイフ?、スティックフックタイフ?、スプレー、ミニスプレーという4商品で、定番である「置き型」タイプ2商品は含まれていない。昨年12月、消費者庁から措置命令の事前通達を受けた大幸薬品は東京地裁に差止訴訟を提起しており、「置き型」に関してはそれが認められているからだ。ただ、消費者庁は即時抗告しており、高裁の結果ではこの2商品も対象となる可能性が高い。 このような流れを聞くと、「潰しているとは人聞きが悪い、われわれ消費者のために誇大広告で儲ける企業にお灸を据えてくれているんだろ」と消費者庁を応援したくなる人もいるかもしれない。しかし、実は今回の一連の動きには、「消費者のため」という話では説明できない、おかしな点がたくさんある。 まず、大型ドラッグストアに行けばわかるが、除菌コーナーの「クレベリン」の隣には同じような空間除菌剤がたくさん並んでいて、措置命令を受けていないものもかなりある。 例えば、その中のひとつが興和の「ウィルス当番」。こちらのパッケージには「空間除菌」「ウイルス除去」という言葉が並び、「空間に浮遊する」という表現こそないものの、「身近にひそむウィルス・菌に」という言葉の横で、クリアポットから放射線状に二酸化塩素を放出しているイメージ図が描かれている。消費者にほぼ同じイメージを訴求していてこちらはお咎めもなしで、「クレベリン」は「大幸薬品株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について」(消費者庁ホームページ)と名指しで吊し上げられる。 「有名人・有名企業を晒し者にして、社会全体に注意喚起」というのは中央官庁、自治体、警察が好む定番の手法だとしても、これはさすがにちょっと度を超えた不公平さではないか』、確かに「大幸薬品」「に対する景品表示法に基づく措置命令」、は「度を超えた不公平さ」だ。
・『行政がなりふり構わず措置命令、消費者も混乱  さらにおかしいのは、司法の判断を待つことなく措置命令に踏み切った点である。とにかく「空間除菌に根拠なし」という結論にもっていくため、なりふり構わず措置命令をゴリ押ししているようにも見える。 先ほども申し上げたように、大幸薬品側は仮の差し止めを勝ち取っているのだが、これはかなり異例のことだ。だから、大幸薬品は自社HPで、司法によって「消費者庁に提出している試験結果などが、二酸化塩素による除菌・ウイルス除去効果の裏付けとなる合理的根拠に当たることを認め」られたと胸を張っている。 しかし、消費者庁はその事実をもみ消すかのようにすぐさま4商品の措置命令を出した。「消費者庁の命令は、東京高等裁判所での審理が開始される前に行われたものであり、極めて遺憾」と大幸薬品側が恨み節を述べていることからもわかるように、こんな形で措置命令を出しても、対立と混乱を招くだけで、消費者にメリットもない。 筆者が、先ほど近所の商店街をのぞいてきたら、措置命令に従ってペン型やスプレー型を引っ込めた大手チェーン店があった。一方で、数百メートル離れた別のドラックストアでは、一番目立つ場所に「クレベリン」専用の棚を設けて、置き型はもちろん、ペン型、スプレー型など今回対象の4商品すべてを売っていた。つまり、措置命令は出したものの、大幸薬品側が全面対決の姿勢を崩さないことで、店側も対応が定まらないのである。当然、消費者も混乱する。 こういう事態を避けるのも消費者庁の役目のはずだが、「そんなもん知るか」とばかりに措置命令に執着している。とにかく1日でも早く措置命令のリリースを出して、マスコミに「ウイルス除去 根拠なし」(NHK政治マガジン1月20日)『クレベリン、「空間除菌」根拠なし』(毎日新聞1月21日)という印象のニュースを流させたかったとしか思えないほど強引だ。 さて、そこで次に疑問に浮かぶのは、消費者庁はなぜそこまで「クレベリン」と「空間除菌」を目の敵にしているのかということではないか。そして、なぜこのタイミングでの措置命令にこだわったのか、ということも気にならないか』、確かに「消費者庁」のやり方には極めて疑問点が多い。
・『「日本除菌連合」という存在が今回の騒動の一因か  マスコミの解説によれば、コロナ感染を防ぐ効果があるとか、空間の殺菌・除菌効果があるなどとうたう製品の相談が多く寄せられていることを、問題視した消費者庁が、「空間除菌市場」を牽引するリーダー的な存在である「クレベリン」に狙いを定めたという。 一見、説得力のあるストーリーではあるが、個人的にはちょっと引っかかる。 空間除菌関連製品の広告表示を適切な方向へ指導したいのなら、今回のように企業との「全面対立」を避けるべきなのは言うまでもない。もし裁判で負けでもしたら、消費者庁のメンツは丸潰れで、不当な広告表示をする業者がさらに勢いづいて手がつけられなくなってしまうからだ。 そんなリスクがありながらも「全面対立」に踏み切ったのは、もっと切実な目的があったからではないか。これは筆者の想像だが、シンプルに「空間除菌」というものの社会的信用を失わせることではなかったかと思っている。 「おいおい、役所がそんな風に民間企業のビジネスを邪魔をするわけがないだろ」と思うかもしれないが、役所だからこそ、それを必死にやらないといけない「オトナの事情」があるのだ。 実世間一般ではまだあまり知られていないが今、厚労省、経産省、そして消費者庁に対して「空間除菌の科学的根拠を認めろ」と強く迫っている団体があるのだ。「日本除菌連合」である。 この団体は、「除菌の力で新型コロナウイルスの感染を防ごうという技術を持ったメーカー、業界が大同団結する有志連合」(ホームページより)で、主に加盟しているのは、「次亜塩素酸水」による除菌機器を扱うメーカーが多くを占めており、そこに大幸薬品の名前はない。 だが、目指すところは空間除菌剤メーカーとも微妙に重なっている。「政府のアクションプランに除菌を加えること、国の空間環境除菌への全面的バックアップ、政府機関によるエビデンス取得、研究技術開発の支援、研究補助金、普及補助金、海外展開助成など」を求めていくということだからだ。 その「日本除菌連合」が昨年秋、医療界で話題になったことがある。《2021.10.27 厚労省から次亜塩素酸の空間噴霧を認める通達が出されました》というプレスリリースを出したのだ』、なるほど。
・『厚労省と「日本除菌連合」のすれ違い  実は厚生労働省は「次亜塩素酸水の空間噴霧」については国際的に評価方法は確立されていないとして、「推奨できません」という立場であり、コロナ関連の情報をまとめた厚労省サイトにもそう明記されている。WHOをはじめ医療界も同様のスタンスで、医療関係者の間では、効果に否定的な意見が多い。 そこで、Buzzfeedニュースが厚労省に確認したところ、このリリースを「ミスリーディング」と見解を示した。 が、今度はそれを除菌連合に伝えると、「感染対策としての次亜塩素酸水の活用については厚生労働省、経済産業省、消費者庁の代表と度重なる打ち合わせの結果今回の事務連絡の通達となっています」と回答して、このように主張が返ってきたという。 「次亜塩素酸水の活用におけるリスクとベネフィットにつきましては当然ベネフィットの方が勝っているというのが事実です。過去20年以上にわたり酪農業、農業、食品加工業、ホテル、介護施設、病院、学校、保育園、家庭などで使われてきた次亜塩素酸水は除菌消臭の効果で社会に貢献してきている一方で人命や健康に関わるリスクはほとんど報告がありません」(『厚労省が「空間除菌」を認めた? 業界団体が誤情報を発信。専門家は改めて注意喚起』21年12月14日) つまり、Buzzfeedに対応した担当者の見解が間違いであり、「次亜塩素酸水の空間噴霧による除菌」は、厚労省、経産省、消費者庁もその効果と安全性を認めているものだ、というのだ。 そう聞くと、「空間除菌」というものに否定的な方は、「こういう主張をするメーカーの製品にもクレベリンにやったようなガツンと措置命令を出せばいいのでは」と思うかもしれないが、消費者庁にはそれが簡単にできない事情がある』、どういうことだろう。
・『片山さつき議員も「応援」、日本除菌連合の政治的な後ろ盾  実は日本除菌連合は、「感染対策を資材と方法から考える超党派議員連盟」(本稿では「空間除菌議連」と呼びたい)と連携しているのだ。「次亜塩素酸、オゾン、光触媒などの技術を活用した空間除菌を行うことがウイルス対策として有効であること」という考えのもとで設立されたこの「空間除菌議連」は21年5月時点で、自民党が24名、公明党が8名、立憲民主党が10名、日本維新の会3名、国民民主党が1名が名を連ね、会長を片山さつき参議院議員が務めている。 片山氏と言えば、議連発足時の昨年5月、こんなツイートをして医療関係者から批判を受けて話題になった。 《感染症対策を資材と方法論から考える超党派議員連盟、この状況下まだまだやれる事があります!自民、公明、立民、国民、維新の5党約50名の衆参国会議員で発足!空間除菌、空気除菌、O3 、HOCL 、光触媒、他三重大教授から全体像の講演。東工大からもご参加。政府機関が有効性を科学的に認定を》(21年5月12日) 除菌連合が厚労省、経産省、消費者庁の名を挙げて「空間除菌」の有効性を主張できるのは、エビデンスへの絶対的な自信もさることながら、片山氏を筆頭とした「空間除菌議連」という政治的な後ろ盾が、まったく同じ主張をしてくれているからなのだ。 さて、ここまで説明をすれば、筆者が消費者庁の露骨な「クレベリン潰し」が、「空間除菌」というものの社会的信用を失わせるという目的のために行われたのではないかと考える理由がわかっていただけのではないか』、「片山氏」がこのような一方的な肩入れをしているとは失望した。
・『「クレベリン」は流れ弾にあたった?  財務省の改ざん問題などを見てもわかるように、官僚というのはどうしても政治家の顔色をうかがいながら仕事を進めなくてはいけない。有力議員に逆らえば簡単に島流しにされてキャリアはパア、逆に忖度ができれば異例の出世もある。 そういう世界で生きる消費者庁幹部のもとに、「自民党総務会長代理」という重い看板を背負い、50人近い議連を率いる元官僚の議員が、「空間除菌の科学的有効性を認めよ」と迫ってきた、としよう。 先ほども申し上げたようにこれに関して医療界は否定的だが、国会議員が首を突っ込んできた以上、厚労省も経産省も、そして消費者庁も「そんなの認められるわけないでしょ」と、あしらうこともできない。そうこうしているうちに議連とガッチリ手を握る業界団体が、「厚労省が次亜塩素酸の空間噴霧を認めた」とまで主張してきた。このままいけば、押し切られてしまう恐れも出てきた。 政治力学とエビデンスの板挟みで、消費者庁幹部は頭を抱えたはずだ。しかし、そこは受験勉強で鍛えた優秀な頭脳である。片山氏や空間除菌議連の顔を潰すことなく、除菌連合を敵に回すことなく、どうにかしてこの無理筋の要求をのらりくらりとかわす方法がひねり出される。それが「クレベリン」を利用して、「空間除菌」の社会的信用を貶めるというスピンコントロール(情報操作)ではなかったか。 「空間除菌」を代表する「クレベリン」にとにかく措置命令を下して、マスコミに「空間除菌、根拠なし」と書かせれば、世論は空間除菌にネガな印象を抱く。自分たちの手を汚すことなく、除菌連合や片山氏たちの「空間除菌の有効性を認めよ」というロビイングの足を引っ張ることができる。「選挙に落ちればタダの人」の政治家は結局、人気商売なので、あまりに「空間除菌」に対して世論の逆風が吹けば、沈黙せざるを得ない。つまり、「クレベリン」の社会的イメージを貶めるだけで、厚労省や消費者庁は除菌連合と議連に対して「戦わずして勝つ」ことができるのだ。 おりしも、「クレベリン」と大幸薬品は昨年から、さまざまな医療機関に無償提供したり、その功績が認められて政府から紺綬褒章を授与されたりして、一部の「空間除菌」に否定的な人々から批判されていた。「空間除菌」のネガキャンには、まさにうってつけの存在だ。 もちろん、これはすべて筆者の想像である。しかし、今回の措置命令のタイミングといい、不可解なまでの強引さは、このような「官僚の事情」があったと考えれば、つじつまは合う。 いずれにせよ、コロナ禍が続く中で、「空間除菌」の有効性をめぐるバトルも続いていく。今回、流れ弾に当たったのは、「クレベリン」だが、近いうちに他の除菌・殺菌製品、ウィルス対策製品も否応なしにこの「不毛な戦場」の最前線に駆り出されていくのではないか』、「厚労省や消費者庁」の戦略は確かに極めて高度なようだ。「他の除菌・殺菌製品、ウィルス対策製品も否応なしにこの「不毛な戦場」の最前線に駆り出されていくのではないか」、今後の展開が楽しみだ。
タグ:東洋経済オンライン「血液クレンジング騒動で見えた広告規制の限界 SNSの「医療ステマ投稿」は野放し状態」 「日本酸化療法医学会」なるものがあることは初めて知ったが、「EBMに基づいた実証やデータ開示」はすぐには無理なようだ。 「実効的な罰則が実施されることはきわめてまれで、取り締まりの実権がない、いうなれば「お飾り」に近い状態だ」、金融商品では「広告規制」は極めて厳格なのに、健康に直結する医療分野で緩いのは納得できない。 「通報などにより違法な広告を発見し、医療機関に通達を行うが、それでも改善が見られない場合は、個別案件ごとに自治体の保健所が指導を行うという仕組みだ。 ところが、規定上は罰則に当たるものであっても、保健所に警察のような捜査権がないため、手詰まりになってしまう」、「マーケティング手法に、法令が追いついていないのが現状」、本当に必要なのであれば、「保健所」への「捜査権」付与も前向きに検討すべきだ。 「取り締まり体制の整備は急務だ」、同感である。 東洋経済オンライン 落合 博子氏による「化粧水が「肌の奥まで浸透できない」納得の理由 「美容常識」のウソを形成外科医が深く解説」 「角質層まで浸透するといわれると、なんだかものすごく奥のほうまで染みわたってお肌によいような気がしてしまいますが、角質層というのは、肌表面の厚さ0.01から0.03ミリの部分を指します」、一般の素人に誤解させるような説明は罪が深い。 「どんなに効果があるように思える宣伝広告でも、よく目を凝らすとかならず、「浸透するのは角(質)層まで」とどこかに明記されているはずです」、こんな消費者の誤解に基づいた「広告」が長年続いているとは、驚かされた。 「どんなに効果があるように思える宣伝広告でも、よく目を凝らすとかならず、「浸透するのは角(質)層まで」とどこかに明記されているはずです」、こんな消費者の誤解に基づいた「広告」が長年続いているとは、驚かされた。「多くの人が、このたった0.01~0.03ミリの死んだ細胞の表面をうるおわせるために、化粧水をせっせと使っている、ということになるわけですが、果たして意味があるでしょうか」、「皮膚は」「異物が体内に侵入するのを防ぐ「バリア」の役割を果たしている」、「皮膚は体重の約30パーセントを占める、人体で最大の臓 「大事なのは・・・化粧品を浸透させるのではなく、バリアとなる皮脂を補強するような化粧品の使い方を意識すること」、「皮膚」への「化粧」の意味が理解できた。 「ちょっと乱暴ないい方をすれば、40日間肌の機能を邪魔しないように何もせずに待てばいいのです」、なるほど。 ダイヤモンド・オンライン 窪田順生氏による「消費者庁の露骨な「クレベリン潰し」、背景に片山さつき氏の影がチラつく空間除菌連合?」 確かに「大幸薬品」「に対する景品表示法に基づく措置命令」、は「度を超えた不公平さ」だ。 確かに「消費者庁」のやり方には極めて疑問点が多い。 消費者庁にはそれが簡単にできない事情がある』、どういうことだろう。 「片山氏」がこのような一方的な肩入れをしているとは失望した。 「厚労省や消費者庁」の戦略は確かに極めて高度なようだ。「他の除菌・殺菌製品、ウィルス対策製品も否応なしにこの「不毛な戦場」の最前線に駆り出されていくのではないか」、今後の展開が楽しみだ。
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