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韓国(一般的問題)(韓国大統領はどうして悲惨な結末を迎えるのか、「米韓同盟消滅」にようやく気づいた韓国人、IMF危機を思い出す韓国人 21年前とだんだん似てきた……、米韓同盟“消滅”か 韓国政府が将兵向け教材から『同盟』章削除) [外交]

一昨日、昨日に続いて、韓国を取上げよう。今日は、韓国(一般的問題)(韓国大統領はどうして悲惨な結末を迎えるのか、「米韓同盟消滅」にようやく気づいた韓国人、IMF危機を思い出す韓国人 21年前とだんだん似てきた……、米韓同盟“消滅”か 韓国政府が将兵向け教材から『同盟』章削除)(一般的問題)(韓国大統領はどうして悲惨な結末を迎えるのか、「米韓同盟消滅」にようやく気づいた韓国人、IMF危機を思い出す韓国人 21年前とだんだん似てきた……、米韓同盟“消滅”か 韓国政府が将兵向け教材から『同盟』章削除)である。

先ずは、アン・ヨンヒ氏が昨年3月20日付けJBPressに寄稿した「韓国大統領はどうして悲惨な結末を迎えるのか 検察に呼ばれた李明博元大統領を待つ容赦のない捜査」を紹介しよう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52611
・『韓国では、李明博元大統領の逮捕が秒読みになってきた。すでに彼の身内は外堀を埋めるように一人ひとり検察に呼ばれ、ついに本人への捜査が始まった。 海外から見れば、毎度毎度よくそんなに一国のトップだった人が汚職にからむものだと思うかもしれない。実際、韓国人だってそう思っている。 韓国は直接選挙で大統領を選んでいるだけに「今度こそは」と思って投票するわけだが、なぜこんな結果になるのか――』、確かに不思議な国だ。
・『検察に召喚された5人の大統領  これまで検察に召喚された元大統領は盧泰愚、全斗煥、廬武鉉、朴槿恵、李明博(呼ばれた順)と、5人目である。 こうした汚職を繰り返す原因は、大統領という地位が包括的かつ広範囲な公務上の権限を持っており、その権限をチェックする相手がいないことにある。 一例として、検察は政権の不正や汚職を抜本的に摘発する任務のある最高査定機関だが、実際は青瓦台(大統領府)の意に背くわけにはいかない。 行政部の傘下にある検察が、行政部の首長であり国家元帥である大統領を監視するのは不可能に近い。検察の人事権は大統領にあるからだ。 そのため、政権が変わると(特に反対派の政権になると)、元大統領の汚職事件が明るみに出る仕組みなのだ。 そして、この時は徹底して罪を暴かれるが、なぜか刑の執行は中途半端な形で終わる。それについて、現大統領も元大統領になった時、あまり追いつめられないように前例を作っているのではないかと疑う人たちもいる。 検察に呼ばれずとも大統領を退いてから国外追放(李承晩)、暗殺(朴正熙)、死刑宣告(盧泰愚、全斗煥)、自殺(廬武鉉)、弾劾(朴槿恵)と、悲惨な末路である』、「徹底して罪を暴かれるが、なぜか刑の執行は中途半端な形で終わる」「現大統領も元大統領になった時、あまり追いつめられないように前例を作っているのではないかと疑う人たちもいる」、なるほど。
・『韓国人はこれらを踏まえ自嘲気味に、歴代の大統領を釜めしに例えたジョークがまことしやかにネットで出回っているのでまとめてみた。 李承晩大統領(大統領在職期間:1948~60年)は、米国の援助で釜を買ったが、お米がなかった。 尹潽善大統領(1960~62年)は、お米はないけど薪だけ準備し、内輪もめしているうちに、朴正煕に追放された。 朴正煕大統領(1962~79年)は、お米をこしらえ一生懸命釜で飯を炊いたが、拳銃に撃たれ自分は食べられなかった。 崔圭夏大統領(1979~80年)は、人が見ぬ間にそっと釜に手を出し、蓋を開けようとしたら火傷した。 全斗煥大統領(1980~88年)は、朴大統領が炊いたご飯を親戚中が全部平らげた。 盧泰愚大統領(1988~93年)は、全斗煥大統領に食べ尽くされたので、自分1人でおこげをそいで食べた。 金泳三大統領(1993~98年)は、何か残っていないかと、釜をつつきまわした挙句、釜に穴をあけてしまった。 金大中大統領(1998~2003年)は、国民が集めてくれたお金とクレジットカードで新しい電気釜を買った。 廬武鉉大統領(2003~2008年)は、新しい釜は110V専用なのに、220Vにつないでしまって電気釜が壊れた。そして、コードが合わないと不平を言った。 李明博大統領(2008~2013年)は、「飯炊きの達人」というフレコミだったので壊れた電気釜を直すと思ったら、新しい電気釜を買った。だが、電気釜を昔の釜のように火にくべて炊いた。 朴槿恵大統領(2013~2017年)は、大きな釜を高額で仕入れて、チェ・スンシルという家政婦に釜ごと預けてしまった。 文在寅大統領(2017年~)は、ロウソクで飯を炊いているので、国民には待てと言う。それに、もしかしたら金正恩に釜を渡すかもしれない。先日ヒョン・ソンウォルという女が釜を見に来たのだから。 この話で例えられているのは、お米は食料であり経済力、釜は国庫の状態』、「釜めしに例えたジョーク」はなかなかよく出来ている。
・『 終戦後、日本から独立した韓国は世界の最貧国だった。初代の李承晩大統領は米国に依存し、米国の援助で経済を発展させようとした。 しかし、権力に目がくらみ国民をないがしろにして長期的な権力維持に励んだため、4.19革命により国外追放され、ハワイで最期を迎えた。 2人目の尹潽善(ユン・ボソン)大統領は、李承晩大統領が追放された後に大統領になったが、党内で新派と旧派に分かれてもめている間に5.16クーデターによりのし上がってきた朴正煕に大統領の地位を奪われた。 軍事クーデターにより大統領になった朴正煕は、日韓国交正常化により援助を得て、高度経済成長を成し遂げる。 だが、彼は長期間政権を維持したものの、やはり権力の虜になってしまい部下に暗殺されてしまう。「漢江の奇跡」はこの時代に生まれた用語。 朴大統領の急死により、たまたま国務総理から大統領になった崔圭夏大統領。しかし、新軍部勢力の全斗煥によって8か月で権力を奪われた。 1980年代を迎え最貧国から脱し、漢江の奇跡を成し遂げた韓国は、86年アジア大会、88年ソウル五輪と世界に名を知らしめる国際的なスポーツイベントを開催するに至る。 全斗煥大統領は、韓国人の間で高まり始めた政治的な不満を、スポーツイベントなどを利用して気をそらすことに専念した。 全大統領は、学生デモを抑圧し、光州事件という悲惨な事件を起こしたが、それでも高度経済成長のおかげでおこぼれを頂戴した輩が多いせいか、この時代を懐かしむ年配の人たちも多い。 学生デモが続く中、新軍部勢力の仲間であった盧泰愚が後を継いだが、高度経済成長に積み立てた国庫はすでに底を尽き始めていた。 全斗煥大統領と盧泰愚大統領は同じ穴のムジナであったが、全斗煥大統領は部下たちをねぎらうカリスマ上司なのに比べ、盧泰愚大統領は根暗なオタクぽい性格で独り占めが好きなようだ。 そのため、通帳に29万ウォンしかないと言う彼を慕う人たちがいる半面、盧泰愚大統領は身内からも匙を投げられ、隠し持っていた財産はまんまと乗っ取られた。現在、財閥に嫁がせた長女も夫から見放され離婚訴訟の真っ最中である。 長い野党生活を終え与党に寝返り清廉潔白さを売りにして当選した金泳三大統領。しかし、生まれてこの方、お金を自分で稼いだことがないボンボンだった。 そのせいで、国をデフォルト寸前まで危機にさらし、IMF(国際通貨基金)という機関がどんな国際機関なのかを国民に知らしめた。 金泳三大統領は、ことあるごとに清廉潔白を謳っていたが、顔のそっくりな次男が不正を働き、政権末期には次男が逮捕された。 万年野党の党首であった金大中氏が齢70を超えて大統領になった時、国の経済はガタガタだった。経済立て直しのため、国民から「金集め」をし、クレジットカードの活性化、ベンチャー企業の育成などを行った。 そして、北朝鮮の金正日委員長と南北会談を成立させ、念願のノーベル平和賞も手にした。だが、彼もまた政権末期に息子たちの不正が発覚した。 廬武鉉大統領は、自分と同じような考え方をする人たちに対してはコードが合うと言っていたことから、電気釜のコードと彼の言うコードをもじっている。退任後、贈賄の被疑者として検察に何度か呼ばれた後、自殺した。 現在、時の人となっている李明博大統領は、財閥のサラリーマン社長を経てソウル市長、そして大統領となっただけに、「経済大統領」だと期待された。 しかし、蓋を開けてみると、私腹を肥やしただけで韓国の4大河川は環境汚染がひどくなった。 李明博大統領より先に刑務所に入っている朴槿恵大統領は、親の七光りで大統領になったが、一昨年任期も終えずに弾劾された』、これほど政権交代で前大統領が糾弾されるのでは、官僚機構も距離の取り方に苦労するに違いない。
・『ちなみに、ネットでは統治スタイルをドライバーに例えて大統領を説明しているのもある。だが、よく見ると、保守派か進歩派かによって評価が異なる。 まず、保守派の人が解説する大統領の運転スタイルを見ると、 李承晩は国際免許ドライバー 朴正煕は模範タクシードライバー 崔圭夏は代行運転 全斗煥は乱暴運転  盧泰愚は初心者マーク 金泳三は無免許 金大中は飲酒運転  廬武鉉は逆走行 李明博大統領は自分勝手  朴槿恵大統領は大型事故を起こしたドライバー。 進歩派の評価は、 李承晩は初心者マーク 朴正煕はスピード違反ドライバー 崔圭夏は代行運転  全斗煥は乱暴運転 盧泰愚は居眠り運転 金泳三は飲酒運転 金大中は安全運転  廬武鉉は模範運転  李明博大統領は逆走行  朴槿恵大統領は無免許ドライバーとなる。 大きく異なる点は、金大中大統領と廬武鉉大統領への評価。 保守派は、金大中大統領の太陽政策を快く思わずマイナスイメージで、廬武鉉大統領に対しても時代を逆走していると思っていたようだ。 一方、進歩派は李明博大統領こそが時代を逆走しており、金大中・廬武鉉大統領はまさしく正しい運転をしたと評価する。 まさしくこれが韓国人の中で2派に分かれていることの証明でもある。 現在は文在寅大統領が政権を握っている。彼は、金大中・廬武鉉大統領の流れを汲んでいるだけに、「李明博」という過去の清算を徹底して行うことは火を見るように明らかである』、こんなに熱し易く冷め易い国には、大統領制は適していないのかも知れない。

次に、昨年12月7日付け日経ビジネスオンラインが掲載した元日経新聞編集委員でジャーナリストの鈴置 高史氏へのインタビュー「「米韓同盟消滅」にようやく気づいた韓国人 文在寅は米国に「縁切り」を言わせたい」を紹介しよう。Qは聞き手の質問。文中の出所の説明などは省略した。
https://business.nikkei.com/atcl/report/15/226331/120600206/?P=1
・『駐韓米国大使が「米韓同盟はいつまであるか分からない」と語った。 米大使が警告  鈴置:韓国に駐在するハリス(Harry Harris Jr.)米国大使が「米韓同盟がいつまでもあると思うな」と韓国に警告しました。文在寅(ムン・ジェイン)政権が制裁緩和を唱えるばかりで、北朝鮮の非核化に不熱心――はっきり言えば非核化を妨害しているからです。 ハリス大使は「2018年統一貢献大賞」を受賞。11月26日にソウル市内で開いた授賞式での発言でした・・・大使の発言を記事から拾います。式の参加者が同誌に伝えたものです。 +(米朝首脳会談により)北朝鮮に肯定的な変化が生まれる可能性が無限にあると考えている。しかしこれは金正恩(キム・ジョンウン)委員長が非核化に関する自身の約束を守る時にのみ可能になる。 +北朝鮮が非核化に関する具体的な措置をとるまで、現在の制裁が維持されるということだ。文大統領が語ったように、南北対話は非核化の進展と必ず連携されることだろう。 「南北対話は非核化の進展と必ず連携される」とは外交的な修辞です。「北朝鮮が非核化しない限り、米国は制裁緩和を認めない」と韓国にクギを刺したのです』、「外交的な修辞」は慣れない素人には本当に分かり難い。
・『金正恩の使い走り  9月下旬に訪米した際、文在寅大統領はあちこちで「北朝鮮は平和に向け動き出した」「金正恩委員長は信頼できる」などと強調しました。 このため米メディアが「文在寅は金正恩の首席報道官」と揶揄するなど「韓国は北朝鮮の別働隊」との見方が広がったのです・・・10月10日、トランプ(Donald Trump)大統領はホワイトハウスで「韓国は米国の承認なしに何もできない」と3度も繰り返し語りました。韓国が対北援助の再開に動くことに関し、記者から聞かれての答えです。 もちろん「勝手に動くな」と叱責したのです・・・それでも文在寅政権はめげませんでした。10月中旬の欧州歴訪では、仏、英、独の首脳と会談し対北制裁をやめさせようと画策しました。 ローマ法王まで利用する徹底ぶりでした。欧州を味方に付け、米国を孤立させようとしたのです。もちろん、そんな試みは失敗しました・・・』、「米国を孤立させようとした」文在寅大統領もなかなかしたたかなようだ。
・『同盟を当然と思うな  Q:露骨になる一方の「韓国の裏切り」。それに対しハリス大使は警告したのですね。 鈴置:その通りです。そうした文脈の中で「米韓同盟消滅」に言及したのです。記事からその部分を引用します。最後に一言申し上げたい。我々の同盟は確固として維持されているが、我々はこれを当然視してはいけない。 韓国がこんなに同盟をないがしろにするのなら、打ち切ってもいいのだぞ――と匂わせたのです。月刊朝鮮も前文で、以下のように解説しました。非核化もしないのに韓国政府が南北対話や対北制裁解除を推進する場合、同盟が揺れることもあり得ると暗示した。 私の記憶する限り、米政府高官が公開の席で「同盟破棄」に言及して韓国を脅したのは初めてです。韓国の親米保守は驚愕しました』、米国の怒り心頭になったのだろう。
・『フィリピンを思い出せ  朝鮮日報の元・主筆の柳根一(ユ・グンイル)氏がこの発言に直ちに反応し、保守系サイトの趙甲済(チョ・カプチェ)ドットコムに記事を載せました・・・柳根一氏はまず「米国は韓国を見捨てない」との思い込みに警告を発しました。 ハリス大使の発言は韓国に対する米国の断固とした警告に聞こえる。米国は卑屈に同盟を求める国ではない。 一部の人は言う。米国は自分の利益のために韓国に軍隊を置いているのであって、韓国のためではないと。バカも休み休み言うべきだ。 在韓米軍基地がたとえ、米国の戦略的な利益のために必要であったとしても、韓国人たちが望まなければいつでも離れる用意があると見なければならない。 フィリピンの政治家たちが「民族主義」を掲げて米軍撤収を言いだすと、米国はピナツボ火山噴火を口実にクラーク基地をある朝に捨て、去った。米軍が離れるや否や、比海域には中国海軍が忍び寄った。 韓国では左派に限らず普通の人も、そして多くの保守派までも「米国は自分の利益のために軍を韓国に駐屯させている」「だから少々我がまま言っても同盟は打ち切られない」と信じています。 柳根一氏はハリス大使の発言を聞いて「単なる脅しではなく本気で韓国を捨てるハラを固めたな」と焦った。そしてこの記事を書くことで韓国人に、状況が大きく変わった。幻想を捨てよ、と訴えたのです』、ここまで米韓関係が悪化していたとは驚きだ。
・『左派の陰謀  Q:「状況が変わった」とは? 鈴置:次のくだりを読むと分かります。ポイントを翻訳します。 +韓国の運動圏(左派)は内心、米国が韓国に愛想を尽かして自ら離れて行くことを望んでいるのかもしれない。だから米国が愛想尽かしするようなことばかり選ぶ手法をとっているとも言える。 +「我々がいつ、出て行けと言ったか。我々はただ、自主的であろうとしただけなのに、あなたたちが公然と怒って出て行ったのだ」というわけだ。 +この方式はすでにある程度、実行に移されている。米国は今や十分に怒っている。少し前、韓国外交部を担当する記者らがワシントンに行った時、あるシンクタンクの研究員が米国の官僚らが韓国のやり方に猛烈に怒っていると伝えたのではなかったか? +そうなのだ。韓国人は韓米同盟を当然視してはいけない。いったいどの国が、自尊心を傷付けられてまで同盟という見せかけに縛られると言うのか? 文在寅政権は米国から「縁切り」を言わせたい。そこで米国が怒るよう仕向けている。「そんな卑怯なやり方をすれば、米国は本当に怒って出て行くぞ」と、柳根一氏は「左派が演出した危い状況」に警鐘を鳴らしたのです。 Q:その見方は正しいのですか? 鈴置:私もそう見ます。文在寅大統領はじめ、政権中枢の運動圏出身者は、米韓同盟こそが民族を分断する諸悪の根源と考えているからです・・・ただ、文在寅政権が同盟破棄を言い出せば、韓国の保守や普通の人、あるいは左派の一部も反対するでしょう。米国を分断の元凶となじる韓国人にも、米国に守ってもらいたい人が多い。 だから文在寅政権は米国から同盟破棄を言わせるよう仕向けているのです・・・』、やはり文在寅大統領はなかなかしたたかなようだ。
・『なぜイライラさせるのか  Q:米国もそれに気付いているのでしょうか。 鈴置:もちろんです。米国人は韓国人が考えるほどバカではありません。文在寅大統領の9月の訪米で、韓国が北朝鮮の使い走りに堕ちたことは天下に知れ渡りました。当然、米国は韓国の裏切りを監視する体制を強化しました。 米政府は日本にも安保・外交専門家を送り込み、「文在寅政権は何を考えているのか」を聞いて回りました。10月、そんな1人からヒアリングを受けました。何と、最初の質問が「韓国はなぜ、我々をイライラさせるのか」でした。 Q:どう答えたのですか? 鈴置:「米国側から同盟解消を言わせたいのだろう。もし文在寅政権が先に言い出せば、青瓦台(大統領府)は保守派のデモで取り囲まれるであろうから」と答えました。 すると相手は大きくうなずいてメモを取りました。新しい知見に感動して、というよりも「日本の専門家もそう見ているのか」といった感じでした。 米政府も、同盟廃棄に向けた韓国のやり口はすっかり見抜いています・・・』、「米政府も、同盟廃棄に向けた韓国のやり口はすっかり見抜いています」、というのは一安心だ。
・『「韓国疲れ」とこぼす米高官  ・・・トランプ大統領は北朝鮮の非核化が実現するなら、米韓同盟を廃棄してもいいと考えている。 注目すべきは、米政府や米軍の高官たちもそう考え始めたことです。日本のカウンターパートに対し「韓国疲れ(Korea fatigue)」とこぼす軍出身の高官が増えたそうです。大統領と同様に、非核化と同盟廃棄の取引を進めるハラを米軍も固めた可能性があります。 12月に実施予定だった米韓空軍の合同演習「ヴィジラント・エース(Vigilant Ace)」が10月に中止が決まりましたが、米国側の発案でした・・・CNNは「国防総省、米韓軍事演習の中止を発表 米朝交渉に配慮」(10月21日、日本語版)で「トランプ大統領が高額の出費を強いられる演習を嫌う」「米朝関係に配慮した」などの理由を挙げました。 ただ、日本の専門家によると米軍の現場からは「韓国軍と肩を並べて戦うことはもうない。である以上、合同演習などは無駄だ」との声が漏れてくるそうです。 米軍内にも「米韓同盟は長くは持たない」との意識が広がった。米海軍大将で、太平洋軍司令官だったハリス大使が「米韓同盟を当然視するな」と韓国人に警告したのも別段、不思議ではないのです』、「米韓空軍の合同演習」の中止は、「米朝関係に配慮した」というより、「米軍の現場からは「韓国軍と肩を並べて戦うことはもうない。である以上、合同演習などは無駄だ」」といことであれば、これは深刻だ。
・『日韓関係も破壊  Q:韓国が日本を「イライラさせる」のも……。 鈴置:米韓同盟破棄の伏線を敷いているつもりでしょう。10月30日、戦時の朝鮮人労働者に賠償するよう、韓国大法院(最高裁判所)が新日鉄住金に命じました・・・日韓国交正常化の際に取り交わした請求権協定を完全に否定する判決でした。これにより日韓両国は国交の基本的あり方を確認した条約を失いました。無条約時代とも言うべき状況に突入したのです・・・11月21日には韓国政府は、従軍慰安婦問題に関する「和解・癒やし財団」――いわゆる「慰安婦財団」の解散を発表しました 。慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した2015年末の日韓合意を踏みにじりました。 日本を怒らせ日韓関係を破壊すれば、米韓同盟にもヒビが入ります。日本では「韓国防衛のために日本が戦争に巻き込まれる危険性を冒すべきではない」との主張が高まり、朝鮮半島有事の際の在日米軍基地の使用が難しくなるのは間違いありません。 在韓米軍は日本という強力な兵站基地があって十分に機能します。米国はますます在韓米軍を維持する意欲を失うでしょう』、「在韓米軍」撤退ということにでもなれば、日本が最前線に押し出されることになる。
・『日米からのけ者にされた  11月30日、12月1日の両日にアルゼンチンの首都、ブエノスアイレスで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議が象徴的でした。この場を利用し、各国は相次いで2国間の首脳会談を持ちました。 最高裁判決などで無茶苦茶なことをして来る韓国に怒った日本は、いつもなら開く日韓首脳会談を実施しませんでした。 トランプ大統領は11月30日に文在寅大統領と会いましたが、ホワイトハウスはわざわざ「会談はpull asideである」と断りました。「pull aside」とはイベント会場の片隅で実施する立ち話のような、非公式の会談を意味するのだそうです。米国は韓国をはっきりと「格下げ」して見せたのです。 「米国と日本から見捨てられた」と、もっと大きなショックを韓国人に与えたのが、日米がインドを安全保障上のパートナーに引きこもうと開いた初の3カ国首脳会談(11月30日)でした。 中央日報の金玄基(キム・ヒョンギ)ワシントン総局長は・・・以下のように書きました。インドのモディ首相は「日本(Japan)、米国(America)、インド(India)の頭文字を足した「JAI」なる新語を創り出し「民主主義の価値を象徴するJAIが平和と繁栄を共に創ろう」と語った。すると安倍首相が待っていたかのように相槌を打った。「自由で開放されたインド太平洋に向けこの3カ国で進もう」。 昨年7月のG20首脳会議と9月の国連総会では韓米日の3カ国首脳会談が行われた。だがそれ以降途絶えた。北朝鮮にオールインし、米中間でどちらにつこうかとうろうろする韓国は除かれ、代わりにインドが入ったのだ』、ただ、インドはパキスタンとの間で長年の争いを抱えているなかでは、必ずしも多くは期待出来ないのkじゃも知れない。
・『保守に期待できるか  Q:米国はどうするつもりでしょうか? 鈴置:保守派に期待しているフシがあります。彼らをして、文在寅政権の対北支援を阻止させたいと考えているようです。米国の専門家からのヒアリングでも「保守派に期待できるか」との質問がありました。 Q:何と答えたのですか? 鈴置:「保守勢力は分裂しており力がない。左派の対北傾斜をどこまで防げるかは不透明だ、と韓国の友人は言っている」と答えました。ついでに「ご質問が『クーデターは可能か』ということなら、それは不可能と見られている」と言っておきましたが。 Q:「クーデターに期待できない」米国はどう出ますか? 鈴置:過去、韓国が逆らった時は「通貨」で脅しました。1997年の通貨危機も米韓関係が悪化した状況下で起きました・・・現在、韓国は資本逃避が起きやすい状況に陥っています。米国の今後予想される利上げで米韓金利差が広がるというのに、韓国は個人負債の膨張のため金利を上げにくい。半導体市況の低迷で貿易黒字も減ると見込まれています。いずれも通貨危機の危険信号です』、通貨危機はあり得るシナリオだ。
・『日米共同で対韓制裁?  「通貨」で韓国を脅すやり方には大きな副作用があります。韓国の反米感情を育てるからです。1997年の通貨危機は米韓関係悪化の大きな引き金となりました。 ただ、同盟を長く続けるつもりがないのなら、米国は反米感情に神経を払う必要はなくなる。それは日本も同じです。韓国が米国の同盟国から外れるのなら、これまでのように遠慮しなくてよいのです。 ちょうど今、日本も韓国に対し経済制裁を検討し始めたところです。朝鮮人労働者の判決の是正を求めているのに、韓国政府は馬耳東風。このまま放っておけば、韓国の無法を認めることになります。日本は何らかの形で韓国に対抗措置を取らざるを得ません。 一方、米国も北朝鮮の核武装を助ける韓国をここで叩いておきたい。日米が一緒になって韓国の弱点たる「金融」を攻める可能性が出てきました』、これは面白くなりそうだ。

第三に、上記の続きを12月15日付け日経ビジネスオンライン「IMF危機を思い出す韓国人 21年前とだんだん似てきた……」を紹介しよう。Qは聞き手の質問。
https://business.nikkei.com/atcl/report/15/226331/121400208/?P=1
・『韓国人は今、1997年の通貨危機を思い出す。資本逃避が始まるなか日米との関係が悪化し、金融の命綱を失う。というのに政権は手をこまねき、政界は抗争に明け暮れる――。21年前とだんだん似てきたからだ』、なるほど。
・『面子も職も失った  鈴置: 11月28日封切りの映画「国家不渡りの日」が韓国でヒットしています。初めの1週間で157万人が見たと報じられています。 韓国は1997年秋から通貨危機に見舞われ結局、IMF(国際通貨基金)に救われました。タイトルが示すように、当時の経済危機を描いた映画です。 実録風の映画ではありますが、この危機を利用して大儲けしたという架空の人物も登場します。韓国語の予告編はここで見られます。 Q:「IMF危機」ですね。 鈴置:そうです。韓国に乗りこんできたIMFは構造改革と称し、金融、貿易の保護政策をすべて撤廃させました。韓国人は経済の国家主権を失ったと嘆き、日本による植民地化に続く「第2の国恥」と呼んだのです。 韓国人が失ったのは面子だけではありませんでした。IMFが実施した厳しい緊縮政策で、多くの人が職を失いました。 経済が回復した後も、企業は非正規職の比率を高めたうえ、正規職に対しても「名誉退職」の名の下、40歳代定年制を導入するなど、厳しい姿勢を維持しました。 IMF危機を境に韓国経済の国際競争力は格段に高まり、サムスン電子や現代自動車など世界に冠たる企業が登場しました。しかし同時に雇用の不安定、貧富格差など現在、韓国が抱える問題も生んだのです』、IMF危機を「日本による植民地化に続く「第2の国恥」」と捉えているとは、相当辛い体験だったのだろう。ただ、産業界は、もっけの幸いと雇用を企業に都合よく改革し、国際競争力を高めたとはさすがだ。
・『お灸をすえた米国  Q:なぜ今、「国家不渡りの日」がヒットしているのでしょうか。 鈴置:状況が当時と似てきたからです。・・・この映画は最後のシーンで「危機の再来」を訴えているそうです。 実際、外国人が株を売り、資本逃避が起き始めています・・・しかし、いざという時にドルを貸してくれていた日本や米国との関係が極度に悪化しました。韓国は北朝鮮の核武装を幇助する裏切り者と見切られたのです・・・政府がこの危さに気付き、経済や外交政策を根本から変えれば何とかなるかもしれない。しかし文在寅(ムン・ジェイン)政権は唯我独尊。経済政策の失敗で失業率が上がろうが、異様な対北接近で米国や日本との関係が悪化しようが、全く気にとめません。 IMF危機を招いた金泳三(キム・ヨンサム)政権も強気の外交を展開し、米国や日本との関係を悪化させました。 半面、中国にすり寄ったので、怒った米国は韓国が最も必要とする時にドルを貸さず、日本の対韓緊急融資も止めました。IMFに行かせるため――韓国にお灸をすえるためです・・・』、米国は「日本の対韓緊急融資も止めました」とは、怒らせると本当に怖い存在だ。
・『金泳三のデジャヴ  Q:金泳三政権は危い状況に気が付かなかったのですか? 鈴置:大統領選挙を控え野党との政争に没頭するあまり、経済にまで気が回らなかったのです。政権末期で士気が落ちており、重要な情報が大統領に上がらなかった、とも言われています。 次の大統領選挙は2022年なので、現在は政権末期ではありません。が、文在寅政権も経済音痴ぶりを発揮しています。 「所得を増やせば景気はよくなる」との単細胞的な発想で、最低賃金を一気に1割以上も引き上げました。 多くの零細・中小企業の採算が取れなくなり、従業員を解雇したり廃業に追い込まれました。その結果、若者の雇用は減少し、景気も悪化しました。 政策ミスが明らかになったにもかかわらず、文在寅政権は軌道修正しません。「現実から目をそらすな」と韓国各紙は激しく批判しています。この辺りも「金泳三のデジャヴ」なのです。 そんな状況下で、日本との関係悪化が新たな懸念材料に浮上しました。韓国経済新聞は韓国政府が慰安婦合意を事実上破棄した11月21日、社説「外交がせねばならぬこと、してはならぬこと、見分けているか」(韓国語版)で以下のように書きました。 国際金融市場の揺れが次第に激しくなる中、通貨スワップの締結が不振だ。カナダ、スイスなどとは結んだが、米国や日本といった重要国とはなしの礫(つぶて)だ。 日本とのスワップ協定は少女像(慰安婦像)などの問題で交渉チャネルまで途絶えた。「韓国が再び通貨危機に陥った際、以前のように助けてくれる国があるのか」との憂慮が国内外から聞こえてくる。韓国の通貨スワップ(表省略)』、「文在寅政権も経済音痴ぶりを発揮」とは困ったことだ。
・『警告を始めた保守系紙  Q:日韓関係の悪化が通貨危機につながるとの懸念ですね。 鈴置:初めは経済紙がそれを訴えていました。12月に入ると一般紙にも「日本との関係を悪化させると経済危機に陥るぞ」と警告する記事が載り始めました。 東京特派員を経験した朝鮮日報の鄭権鉉(チョン・グォンヒョン)論説委員が12月5日「『反日の代価』は高い」(韓国語版)を書きました。 韓国が日本に対し外交戦争を仕掛けるたびに、日本から反撃された事実を思い出せ、という趣旨の記事です。次の1文があります。日本は通貨スワップ中止など金融制裁という切り札を随時、使ってきた。 同じ保守系メディアでも、ネットはさらにはっきりと日本との関係悪化が通貨危機を呼ぶと警告しました』、いくら警告しても、経済音痴の文在寅政権に届くかは疑わしい。
・『失敗を繰り返す愚かな国民  趙甲済(チョ・カプチェ)ドットコムで・・・+1997年当時、通貨危機が深刻になると、日本からドルを借りる案が浮上した。だが、その前に香港証券市場が大暴落したため、日本の政府と民間銀行は資金事情が厳しくなり、韓国に貸す余裕がなくなっていた。 +そのうえ金泳三大統領が「日本の悪い癖をしつけ直す」と会見で語っていたため日韓関係は最悪の状況に陥っていた。日本からの支援は得られず、IMFを頼るしかなかった。 当時を振り返ったうえ、ファンド・ビルダー氏は「失敗を繰り返す韓国人」を嘆きました。 +日本に対し「悪い癖をしつけ直す」と一喝した後、IMFの世話になった前轍を踏んではならない。 +というのに今、韓国人は対策もなしに「慰安婦」「徴用工」の件で日本に対し「差し押さえ」まで云々するなど大声を出している。そんな姿を見ていると、第2のIMF事態が起きるのではないかと本当に心配になる。 +愚かな国民は過去から何の教訓も得られず、ひたすら同じ失敗を無限に繰り返す傾向が強い。朝鮮時代に我らの先祖がそうであったし、現在の韓国人もまた、同じであるようだ』、正論ではあるが、こんな手厳しい政権批判はまだ少数派なのだろう。
・『実録・IMF事態の内幕  Q:金泳三大統領の発言のせいで日本はスワップを拒否したのですか? 鈴置:それは誤りです。「香港市場の暴落」も関係ありません。日本銀行は韓国銀行の要請に応じ、ドルを貸そうとしました。しかし、米FRB(連邦準備理事会)がそれを止めたのです・・・しかし韓国では「日本を怒らせたからスワップ獲得に失敗した」ことになっています。ただ、今度は本当にそうなります。韓国にやりたい放題されている日本が、スワップを与えることはまずないでしょう・・・』、
・『大統領はいなかった  この記事は韓国経済研究者の必読文献です。1997年11月7日以降、青瓦台(大統領府)、財政経済院、韓銀の関係者がどう危機に対応したかを日報の形で克明に記録した、文字通り「実録」なのです・・・今回の再掲記事の見出しに「大統領はいなかった」とあるように、趙甲済氏はこの記事で金泳三大統領の経済危機に対する無関心さや、IMFによる救済がどういう結果をもたらすかまったく理解できなかった無能さを、たんたんと事実を記すことで浮き彫りにしています。 普通の韓国人がこの記事を読んだら、文在寅大統領の無関心さと無能さにたちどころに思い当たるのです』、青瓦台はともかく、プロである「財政経済院、韓銀」は事態を把握していたのだろうが、青瓦台に正しく伝えることが出来なかったのかも知れない。
・『怒りを米国に向けさせる  Q:深い意味のある再掲載なのですね。 鈴置:もう1つ目的があると思われます。映画「国家不渡りの日」は実録風ではありますが、かなり脚色されていて米国陰謀論の色彩が濃い。 この映画によって「米国のために通貨危機に陥った」との認識が深まり、反米ムードが盛り上がりかねない。韓国政府の無能ぶりを明らかにすることで、それを防ぐ狙いと思います。 Q:韓国人は「日本のせいでIMF危機が起きた」と信じているようですが。 鈴置:その通りです。「米国ではなく日本が悪い」というのが長い間、韓国の常識となっていました。興味深いのはこの映画が、韓国人の怒りの矛先を日本から米国に向けさせようとしている点です。 朝鮮日報・・・も、「IMFの後ろには米国がいて韓国との交渉を操っていたと描いているが、IMFの最大の出資者は米国であり、その声が大きいのは当然だ」と、この映画を批判しています。 1990年前後に毎日新聞のソウル特派員を務め、韓国映画に詳しい下川正晴氏は「時代性」「同時性」がその特徴と解説します。今起きていること、あるいはこれから起きそうなことを好んで題材に取り上げるのが韓国映画というわけです。 韓国映画は日本のそれと比べ、世論を誘導する役割がはるかに大きい。「米国こそが自分たちを南北に分断する元凶なのだ」とのメッセージも娯楽大作「JSA」などの映画によって韓国人に刷り込まれてきました・・・』、「韓国人の怒りの矛先を日本から米国に向けさせようとしている」とは興味深い指摘だ。
・『同盟破棄の起爆剤に  そして、韓国の「反日」は「反米」の伏線であることが多い。左派は国民の合意を容易に得られる「反日」を盛り上げ、次第にそれを「反米」へと転化していく――と保守派は言います。 例えば、「南北共同で民族の核を持つ」という夢を語る映画が時々制作されます。1995年の「ムクゲノ花ガ咲キマシタ」では民族の核は日本に落とされました。 しかし、2017年の「鋼鉄の雨」では米国を念頭にした「民族の核」に変質しました・・・。 「国家不渡りの日」がIMF危機という民族の苦痛も、日本ではなく米国の陰謀によってもたらされたとの刷りこみを狙う映画とすれば、韓国の左派とその背後にいる北朝鮮は、近く再燃するかもしれない通貨危機を米韓同盟廃棄の起爆剤に利用するつもりかもしれません』、「通貨危機を米韓同盟廃棄の起爆剤に」というのはありそうなシナリオで、注視してゆく必要がありそうだ。

第四に、4月6日付けZAKZAK「米韓同盟“消滅”か 韓国政府が将兵向け教材から『同盟』章削除…識者「韓国軍自体が左翼化しつつある」」を紹介しよう。
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/190406/soc1904060004-n1.html
・『ドナルド・トランプ米大統領と、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領による首脳会談(11日)が「大荒れ」になりそうだ。これまでも、米国の不信を招く言動を繰り返してきた韓国政府が、今度は韓国軍の将兵向けの教材から、「米韓同盟」の章を丸ごと削除したというのだ。トランプ政権が北朝鮮に「完全な非核化」を迫るなか、文氏は相変わらず北朝鮮を利する言動を続けている。同盟解除を視野に入れているのか。文政権の発足後、悪化の一途をたどっている米韓関係は危機的状況に直面している。 「国防省は、誰が韓国の敵で、誰が韓国の同盟なのかを教える肝心の科目だけをそっくり取り除いた」 野党「正しい未来党」のキム・ジュンロ議員は、韓国軍の教材から、「米韓同盟」の章が消えたことについて、こう語った。朝鮮日報(日本語版)が3日伝えた。 記事によると、昨年まで使用していた将兵向けの精神戦力教育用基本教材では、「韓米同盟の歴史と未来」の章に、「韓米同盟と国家安保」「大韓民国を守る強い力、韓米同盟」という内容が含まれていた。 ところが、新たに改定された教材で韓米同盟関連の章が取り除かれ、下位テーマの1つへと格下げされた。軍の内部からは、米韓同盟を軽視しているように映る教材発行に不満の声が上がっているという』、韓国軍は武器から戦術まで米軍式に慣れ親しんできたので、戸惑いが強いに違いないだろう。
・『文政権では、軍事面でも「米国離れ・北朝鮮接近」の動きが目立っている。米韓合同軍事演習の中止が相次ぐ一方で、今年1月に発表された国防白書では、これまでの「北朝鮮の政権と軍はわれわれの敵」という表現が削除された。 韓国情勢に精通するジャーナリスト、室谷克実氏は「韓国軍自体が左翼化しつつある。現在の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相は、北朝鮮の完全な味方になっている。文政権は本音では、米国との関係について『今すぐやめるというわけにはいかないが、そこそこの関係でしばらく時間稼ぎをしたい』ということだろう」と解説する。 北朝鮮の「核・ミサイル問題」についても、文政権の「反米的言動」が目立っている。 トランプ政権は最大限の圧力・制裁を維持し、北朝鮮の「完全な非核化」を達成しようとしている。同盟国の韓国としては協力的姿勢を示すのが当然だが、逆に制裁破りという裏切りを犯していた。 中央日報(日本語版)によると、韓国外務省関係者は2日、国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議に違反した疑いで、韓国国籍の船舶1隻が昨年10月から釜山(プサン)港に抑留中と明らかにした。 韓国国籍の船舶の出港がこうした容疑で保留されたのは今回が初めてで、洋上での違法な積み荷の移し替えである「瀬取り」で北朝鮮船舶に精製油を供給したとの情報があり、政府が調査に着手したという』、「瀬取り」には文政権の暗黙の了解があった筈なので、「調査に着手」とは笑わせる。
・『韓国を率いる文氏の「従北姿勢」も沈静化するどころか、暴走加速の気配すらある。 聯合ニュースは2日、文氏が同日に南北軍事境界線がある非武装地帯(DMZ)の観光活性化について、「世界唯一の分断国家で、地球最後の冷戦地帯である韓国は逆説的に平和観光、環境生態観光で飛躍できる」として、「未来の世代が平和と安全保障を考え、きれいで美しい環境を享受できるよう、平和観光を積極的に支援する」と伝えた。 2月にベトナムの首都ハノイで行われたトランプ氏と、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長による首脳会談が決裂したことを受け、北朝鮮には弾道ミサイル発射準備の動きが見られる。 そうした情勢で、「平和観光」を打ち出す姿勢は能天気としかいいようがない。 北朝鮮に融和的な発言を繰り返す文氏には、トランプ氏も嫌気がさしているようだ。昨年5月にホワイトハウスで行われた米韓首脳会談では、韓国語で文氏が話した後、トランプ氏が「通訳を聞く必要はない。以前聞いた話だと確信している」と述べる一幕があった。 前出の室谷氏は「首脳会談の日程を4月11日にしたことに、トランプ政権の韓国への姿勢が現れている。実は『大韓民国臨時政府』の設立から100周年に当たる日で、記念式典などがある。会談日として11日を提示したのは、文氏に対して『来なくていいよ』というメッセージだったのではないか。世界各国で『北朝鮮への制裁解除』を訴える文氏の頭の中では、『米国も変えることができる』ぐらいに思っているかもしれないが、米韓首脳会談では冷たい扱いを受けることになるだろう」と話している』、明日の会談の結果がどうなるにせよ、米韓関係は薄氷に乗っているようなものなのだろう。
タグ:フィリピンを思い出せ アン・ヨンヒ 金正恩の使い走り (韓国大統領はどうして悲惨な結末を迎えるのか、「米韓同盟消滅」にようやく気づいた韓国人、IMF危機を思い出す韓国人 21年前とだんだん似てきた……、米韓同盟“消滅”か 韓国政府が将兵向け教材から『同盟』章削除) ネットでは統治スタイルをドライバーに例えて大統領を説明しているのも 9月下旬に訪米した際、文在寅大統領 鈴置 高史 (一般的問題) 日経ビジネスオンライン 検察に召喚された5人の大統領 JBPRESS 「韓国大統領はどうして悲惨な結末を迎えるのか 検察に呼ばれた李明博元大統領を待つ容赦のない捜査」 韓国 駐韓米国大使が「米韓同盟はいつまであるか分からない」と語った 同盟を当然と思うな 歴代の大統領を釜めしに例えたジョーク 「「米韓同盟消滅」にようやく気づいた韓国人 文在寅は米国に「縁切り」を言わせたい」 左派の陰謀 なぜイライラさせるのか 「韓国疲れ」とこぼす米高官 日韓関係も破壊 日米からのけ者にされた 保守に期待できるか 日米共同で対韓制裁? 韓国の弱点たる「金融」を攻める可能性 「IMF危機を思い出す韓国人 21年前とだんだん似てきた……」 面子も職も失った 通貨危機 IMF(国際通貨基金)に救われました IMF危機 お灸をすえた米国 金泳三のデジャヴ 警告を始めた保守系紙 失敗を繰り返す愚かな国民 実録・IMF事態の内幕 大統領はいなかった ZAKZAK 「米韓同盟“消滅”か 韓国政府が将兵向け教材から『同盟』章削除…識者「韓国軍自体が左翼化しつつある」」 韓国政府が、今度は韓国軍の将兵向けの教材から、「米韓同盟」の章を丸ごと削除 「韓米同盟の歴史と未来」 「韓米同盟と国家安保」「大韓民国を守る強い力、韓米同盟」 韓米同盟関連の章が取り除かれ、下位テーマの1つへと格下げされた 文政権では、軍事面でも「米国離れ・北朝鮮接近」の動きが目立っている 韓国を率いる文氏の「従北姿勢」も沈静化するどころか、暴走加速の気配すらある 会談日として11日を提示したのは、文氏に対して『来なくていいよ』というメッセージ 米韓首脳会談では冷たい扱いを受けることになるだろう
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韓国(財閥問題)(その3)(ロッテ トップ収監で「お家騒動」の構図に異変発生、ロッテ副会長の重光氏に再び代表権 代表取締役は2人体制に、かつての新星 韓国現代自動車はなぜ輝きを失ったか、大韓航空 深まる混迷 韓進・趙会長死去) [世界情勢]

昨日の日韓関係に続いて、今日は、韓国(財閥問題)(その3)(ロッテ トップ収監で「お家騒動」の構図に異変発生、ロッテ副会長の重光氏に再び代表権 代表取締役は2人体制に、かつての新星 韓国現代自動車はなぜ輝きを失ったか、大韓航空 深まる混迷 韓進・趙会長死去)を取上げよう。なお、このテーマでは2016年11月13日に取上げた。

先ずは、やや古いが、昨年3月6日付けダイヤモンド・オンライン「ロッテ、トップ収監で「お家騒動」の構図に異変発生」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/162254
・『ロッテホールディングスの重光昭夫副会長が、韓国で実刑判決を受け拘束された。昭夫氏は日本では例を見ない獄中経営を行うことになるが、こと日本のかじ取りは難しくなってきそうだ。 ロッテホールディングス(HD)は、現職の代表取締役が実刑判決を受けて収監されるという、日本の企業としてはまず異例の事態に直面している。有罪判決を受けた重光昭夫副会長は代表権を返上したが、いかにもお茶を濁した対応だ。 本誌2月24日号で既報の通り、ソウル中央地裁は、朴槿恵前韓国大統領側への贈賄罪で起訴されていた昭夫氏に懲役2年6カ月の実刑判決を下した。 判決を受け、即日拘束された昭夫氏は自らロッテHDの代表を辞任する意向を示し、21日の取締役会で代表辞任が認められた。ロッテHDは佃孝之社長が単独で代表を務めることになった。 だが、昭夫氏は代表権の返上後も、取締役副会長としてロッテHDにとどまり続ける。ロッテHDの発表によれば、あくまで今回の判決は「日本の法制上、取締役の資格に直ちに影響を及ぼすものではない」としており、代表の辞任で経営体制が大きく変わることはない。 事実、獄中経営が一般的な韓国では、昭夫氏は韓国ロッテグループの代表に残り続けており、今後、ロッテHDの株主総会で昭夫氏を取締役そのものから解任するということについても、現時点ではないとロッテHDは強調する』、「獄中経営が一般的な韓国」とは驚かされた。昭夫氏は父親や兄からの権力奪取には成功したが、「朴槿恵前韓国大統領側への贈賄罪」で収監とは身から出たサビだろう。
・『唯一の代取となった佃社長はどう動く? 兄弟争いも再燃必至  しかし、昭夫氏が物理的に拘束されることで、今後のロッテグループのかじ取りは大きな岐路に立たされる。 特に、昭夫氏の求心力の低下が避けられない中、注目が集まるのが単独で代表取締役となった佃社長の動向だ。もともと佃社長は、創業者であり昭夫氏の実父の重光武雄名誉会長が引き抜いてロッテへ招聘した人物だ。昭夫氏と兄の重光宏之氏の兄弟による経営権争いの中で昭夫氏サイドになる前は、むしろ「昭夫氏とは犬猿の仲」(ロッテ関係者)であったという。 そのため、「この機に乗じてロッテHDの中で、佃氏が独自色を強めようとするのでは」という疑念が、韓国を中心に根強い。 そもそも、代表権の返上を昭夫氏が自主的に行ったのも、取締役そのものから解任されるという最悪の事態を回避するための周囲へのけん制だったのではという見方もある。 昭夫氏個人が所有するロッテHDの株式は現在4%と、事実上経営陣が支配する従業員持株会の約30%よりもはるかに少ない。また、同じく約3割の株式を保有する筆頭株主の光潤社(創業家の資産管理会社)は、兄の宏之氏が支配している。 仮に昭夫氏の取締役解任という話になれば、経営権をめぐって争う宏之氏が反対する理由もなく、「昭夫氏解任自体は、やろうと思えばたやすい」(関係者)のだ。 昨年10月に韓国のロッテグループ4社を再編して誕生させたロッテ持ち株会社は、グループ内の複雑な循環出資を改めるという大義がある一方で、その裏には今回のように有罪判決を受けたときに、韓国内で自身が影響を与え続けられる基盤をつくる狙いがあったともいわれる。実際、昭夫氏は現在韓国のロッテ持ち株会社については約10%の株式を保有する個人筆頭株主だ。 韓国のロッテ持ち株会社の代表を共に務める黄ガク圭(ファン・ガクキュ)氏は昭夫氏が若いころからの最側近で、黄代表と比較しても昭夫氏と佃氏の間には距離感がある。 昭夫氏はいずれにせよさまざまな制約の中、人心をまとめ上げることにも注力せねばならない。 また、ロッテHDにとっての大きなリスクは、昭夫氏と宏之氏の経営権をめぐる争いの再燃だ。 宏之氏が狙うのは、依然として株主総会に大きな影響を与える従業員持株会の切り崩しだ。現在は昭夫氏支持を鮮明にしている持株会だが、議案に賛否の両方を投じられる議決権の不統一行使をさせることで、宏之氏は支持者を囲い込む狙いだ。 昭夫氏が求心力を失いつつある今、持株会の説得がより容易になり、持株会だけでなくほかの取締役へのアプローチも選択肢に入ってくるだろう。 早晩、宏之氏側がアクションを起こすのは間違いない。そのタイミングが、新たなロッテ激変の端緒となる。 日本では現在、製造子会社などの事業会社3社を合併し、上場する計画が進んでいる。だが、実刑判決を受けた取締役がいることで、上場審査に影響を与える可能性を否定できず、子会社上場のハードルが上がるなど、経営そのものへの影響も懸念される・・・』、佃代表取締役社長はかつては、「昭夫氏とは犬猿の仲」だったとは面白くなってきたが、次の記事でその後の展開をみておこう。

次に、本年2月21日付けSankeiBiz「ロッテ副会長の重光氏に再び代表権 代表取締役は2人体制に」を紹介しよう。
https://www.sankeibiz.jp/business/news/190221/bsd1902210500003-n1.htm
・『ロッテホールディングス(HD、東京)は20日、重光昭夫取締役副会長が再び代表権を取得したと発表した。重光昭夫氏は創業者の次男で事実上のトップ。昨年2月に韓国の国政介入事件に絡み贈賄罪で実刑判決を受け、代表権を返上したが、昨年10月に保釈されていた。ロッテHDが20日の取締役会で決議した。代表取締役は佃孝之社長との2人体制になる。同社は「外部の有識者からの意見を参考にした上で、慎重に検討した」と説明した』、昨年10月に保釈されたのは、控訴審で、ソウル高裁が10月5日、懲役2年6月、執行猶予4年(求刑は懲役14年)を宣告したためのようだ。佃孝之社長の動きが当面の注目点だろう。

第三に、昨年11月9日付けロイター「焦点:かつての新星、韓国現代自動車はなぜ輝きを失ったか」を紹介しよう(会社コードは省略)
https://jp.reuters.com/article/hyundai-motor-mojo-idJPKCN1NE08K
・『中国重慶にある人影まばらな韓国の現代(ヒュンダイ)自動車販売店では、大型でより安価なスポーツタイプ多目的車(SUV)といった世界最大の同国市場で人気の車種がなく、客足が遠のいている、と店長が嘆いていた。 たとえ最大25%値引きしても、月間販売台数は100台程度にすぎないと、リーと名乗るこの店長はこぼす。近くにある日産自動車の販売店では、月間販売台数が400台程度だという。 「単純に売り上げが悪い。隣の日産を見てくれ。何十人も客が来ているのに、うちの店には2人しかいない」と、リー店長は愚痴った。 現代自動車は、ここから車で1時間の場所に総工費10億ドル(1130億円)の巨大製造工場を構えている。年間生産台数30万台を目標に、昨年稼動が始まった。 だが、販売の伸び悩みに、中国市場の急減速が重なり、同工場の稼働率は3割程度にとどまっている。事情に詳しい関係者2人がロイターに明かした。 業界で世界5位の現代自動車は、重慶工場の稼働状況や販売店の売り上げについては触れなかったが、中国事業の回復に向けて、提携先の北京汽車(BAIC)と「緊密に協力」しているとコメントした・・・この苦境は、急拡大する市場に素早く安価な人気モデルを投入することで現代自動車が中国進出当初に収めた成功からの劇的な凋落ぶりを物語っている。 2009年には、中国市場における現代自動車と傘下の起亜自動車の合計販売台数は、米ゼネラル・モーターズ(GM)と独フォルクスワーゲンに続く、第3位につけていた。 だが昨年、現代と起亜の合計販売台数は9位に沈み、中国での市場シェアも2010年代初めの10%超から4%へ、半分以下に落ち込んだ。 かつて現代自動車が誇っていた低価格帯モデルにおける市場優位を、吉利汽車(ジーリー)や比亜迪(BYD)など急成長する中国メーカーに譲ってしまった、と業界幹部や専門家は指摘する。 一方、海外のライバルメーカーは、高価格帯モデルで優勢を守っただけでなく、大衆市場向けに価格競争力のある自動車を投入し続けることで、現代自動車の「買いやすい外車」という地位を揺るがした。 世界第2位の自動車市場である米国においても、現代自動車のシェアは昨年4%に低下し、この10年で最低水準となっている。 中国や米国で同社が苦境に陥った理由は似ている。それは、SUV人気の高まりなど消費者の嗜好が変化していることに気づかず、ブランドイメージにそぐわない高価格車を追求してしまったことだ、と中国のディーラー4人と現職も含めた米国ディーラー6人、そして業界幹部や従業員は、そう口をそろえる。 現代自動車は、デザインの一新や新型SUV投入、そして地元の嗜好に合った自動車を素早く開発できるよう現地での裁量を拡大するなど、米国と中国という重要市場における問題改善に取り組んでいる、とロイターに文書で回答した』、驚くほどの凋落ぶりだ。中国の巨大製造工場の「稼働率は3割程度」であれば、かなり収益を圧迫するだろう。
・『間違った製品、間違った価格  長年、韓国メーカーの「お手本」となってきたホンダなど日本車メーカーも、自動運転車や電気自動車(EV)など業界変化に向けた対応に苦戦している。 先月発表された現代自動車の第3・四半期決算は、純利益が68%減少した。2011年には営業利益率が10.3%と、独BMWに次ぐ高水準を誇っていたが、今年1─9月期は2・7%に落ち込んだ。 主要市場におけるSUVのラインアップが魅力に欠けることも、現代自動車にとって痛手となった。米調査会社オートデータによると、同社の米国販売に占めるSUVの割合は昨年36%にとどまり、GMの76%や業界平均の63%に対して、大きく見劣りする。 「当時も今も変わらず課題となっているのは、(本社)経営陣のセダン重視路線だ」。2004年─08年に米国で同社の製品マネジャーを務め、現在は米カリフォルニア州の自動車コンサルタント会社オート・パシフィックで副社長のエド・キム氏はそう語る。 「(米国の)製品プランニング部門やマーケティング部門の担当者は、トラックやSUVのさらなる投入を切望していたが、多くの場合、経営陣を説得するのが非常に難しかった」とキム氏。 米国事業の最高執行責任者(COO)ブライアン・スミス氏は、同社が市場の急速な大型自動車化に、「やや不意をつかれた」ことを認める。 だが、現代自動車が2020年に投入するクロスオーバー型ピックアップトラックなどの新型SUVによって、売り上げは「緩やかだが確実」に回復するだろう、とスミスCOOはロイターに語った。 同社の市場シェアが、ピークだった2011年の5.1%まで回復するかを質問すると、「何年かかかるだろう」と同COOは語った』、米国ではSUVブームなのに、「(本社)経営陣のセダン重視路線」では負け戦となって当然だろう。
・『デザインの平凡化  現代自動車は4年前、主力セダン「ソナタ」のデザインを刷新する際に、特徴だったスポーティーでしなやかな車体の曲線を取りやめるなど、「平凡化」という重大なミスを犯した。このことが、販売台数が減少する一因となった、と米国のディーラーや現代の元幹部は指摘する。 販売台数で米国最大の現代自動車ディーラーを経営するスコット・フィンク氏は、2014年に同社が米国ディラー約20人をソウルに招き、発表前の新型「ソナタ」を披露した時のことを鮮明に覚えている。 「あれを忘れることはないだろう。布が(ソナタから)取り払われたとき、部屋には20人ほどの人がいたが、拍手した人は1人もいなかった」と、フロリダ州を拠点とするフィンク氏は振り返った。 新型ソナタのデザインは、保守的でありきたりで、ディーラーや消費者にまったく受けなかったと、フィンク氏は言う。 「そして、何よりも、ただの価格競争になってしまった」と、フィンク氏は言う。 ソナタは2007年時点で、トヨタ自動車の人気セダン「カムリ」よりも10%程度安かったが、2014年にはカムリより高くなったと、米市場調査会社Edmund.comは分析。ソナタの米販売台数は、2010年には20万台弱だったが、昨年はわずか13万1803台だった・・・』、「発表前の新型「ソナタ」を披露した時」、「部屋には20人ほどの人がいたが、拍手した人は1人もいなかった」さすがアメリカ人ディーラーだけあって、遠慮がない。
・『売り上げ低迷  一方、ロイターが取材した中国の重慶にある現代ディーラー4店では、今年発売された小型SUV「コナ」の中国モデルである「エンシノ」の売り上げが低調だという。 世界の自動車メーカーは、中国市場向けに仕様を変更し、後部座席のスペースをより豪華に仕上げることが多い。運転手を抱えている購入者が多いためだ。 「エンシノは売れない。単純に、中国市場に合わない」。重慶にある現代販売店のリウと名乗るマネージャーはそう語る。「大半の中国人は、より大きくて、より安くて、より見た目のいい車を好むからだ」 事情を知る関係者によると、現代自動車が立てたエンシノの年間生産台数目標は6万台だった。だが4月の発売以降、6カ月間の売り上げはわずか6000台強にとどまっていることが、当局への提出書類から明らかだ。 若い消費者が増えて市場トレンドの変化が速い中国では、新型モデルの開発期間を短縮すると、現代自動車のKoo Zayong副社長は、最近の決算発表の電話会見で述べた。 同社は8月、中国市場向けモデルの向上に特化した部門を設置した。7月には中国事業の責任者を交代させている。 だが、経済減速と競争激化により、中国事業の回復は「段階的」になる可能性が高いと、同社はロイターに文書で語った』、肝心の中国人の嗜好を度外視したとは、ずいぶん思い上がった姿勢だったようだ。
・『父の遺産  事業再興の重荷は創業家3代目のリーダーとなる鄭義宣(チョン・ウィソン)副会長(48)の肩にのしかかることになる、と同社の社員やディーラー、そしてアナリストは指摘する。 今年9月に総括首席副会長に昇進した同氏は、80歳になる父親の鄭夢九(チョン・モング)会長の後継にまた一歩近づいたとみられている。 品質を劇的に向上し、国内外での生産能力を急速に拡大させて現代を世界の主要メーカーの一角に押し上げた立役者とされる鄭会長は、この2年、公の場や重要社内会議に姿を見せていない。 巨大な財閥とその中央化された意思決定を一手に握る同会長の下で、現代自動車は他社との提携を避け、鉄鋼からエンジンやトランスミッションなどの重要部品に至るまで、すべてをグループ内でまかなってきた。 一方で、研究開発費用は他社に劣る水準で推移した。現代自動車の昨年の研究開発費は売り上げの2.6%にとどまった。この数字は競合他社であるフォルクスワーゲンの6.7%、トヨタの3・8%、そしてBYDの3・6%と比べて大きく見劣りする。 鄭副会長はこれまでの慣例を破り、スタートアップに投資したり、外部からの人材引き抜きや、自動運転技術を巡る提携にも乗り出している。 現代自動車は昨年、ライドシェアやロボティクス、人工知能(AI)の開発部門を指揮する最高イノベーション責任者(CIO)に、サムソン電子の出身者を起用した。 鄭副会長は、これまでに「つまづき」も経験している。2011年の米デトロイト自動車ショーでは、これまでの「お値打ち品」のイメージ刷新を狙い、新たなブランドビジョン「モダン・プレミアム」を披露、4年後には同社初の高級車ブランド「ジェネシス」を発表した。 しかし、米国では、今年1─10月のジェネシスの販売台数は、前年同期比45%減の9281台と落ち込んでいる 鄭副会長は、インタビューの要請に応じなかった。 現代自動車のブランドイメージは向上しているものの、「まだプレミアムブランドの足元に及ばない」とGMの韓国事業責任者を務めたニック・ライリー氏は指摘する。「そのため、規模を維持するには、価格競争力を追求する考え方に立ち返らなければならなだろう」』、読んだ限りでは、経営の姿勢がずいぶん酷いようだが、3代目のリーダーとなる鄭義宣副会長の手腕が試されるようだ。

第四に、本日付けの日経新聞「大韓航空、深まる混迷 韓進・趙会長死去、ナッツ事件から4年余り 創業家長男の継承 道半ば」を紹介しよう。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43479370Y9A400C1FFJ000/
・『大韓航空を傘下に持つ韓国財閥、韓進グループの趙亮鎬(チョ・ヤンホ)会長(70)が8日、死去した。相次ぐ不祥事でグループの信頼が失墜し、アクティビスト(物言う株主)から不透明なガバナンスの改革を突きつけられている非常事態のなかでの急逝となった。長男の趙源泰(チョ・ウォンテ)氏(43)への経営継承は道半ば。グループの針路はさらに視界不良となった。 韓進グループは持ち株会社の韓進KALを筆頭に、大韓航空などの企業群から成る。特に大韓航空は趙氏の長女が2014年に乗務員のナッツの出し方に怒り航空機を引き返させた「ナッツリターン事件」で知られる。死去した趙氏自身も18年にグループ企業の資金の使い方を巡る罪で起訴され経営が揺らいでいた』、「ナッツリターン事件」などは経営の私物化の極致で、世界中に韓国財閥の問題点を知らしめた。
・『グループ総帥の趙氏の死去が伝わった8日、かねて同グループの経営に不満があったアクティビストが早速動いた。韓国のKCGI(コリア・コーポレート・ガバナンス・インプルーブメント)が同日、韓進KAL株の買い増しを公示した。 KCGIは、証券アナリスト出身の姜成富(カン・ソンブ)氏が代表を務める韓国のファンド。創業家一族による不祥事続きの韓進グループは「攻め時」とみて、昨秋から韓進KALの株の買い占めに走り、1月には同社と傘下の大韓航空に経営改革案を要求した。 3月27日の大韓航空の株主総会では、亡くなった趙氏の取締役の再任が阻止される異例の出来事があったが、そこでも同ファンドが間接的な役割を果たしている。その後も着々と韓進KAL株の買い増しを進め、持ち株比率は昨年12月末の10.71%から8日時点で13.47%まで高まった』、「亡くなった趙氏の取締役の再任が阻止される異例の出来事」の背後に、アクティビストKCGIがいたとは初めて知った。
・『防戦にまわる韓進グループに趙会長の死は早すぎた。グループ全体の後継者と目される長男の趙源泰氏は現在、傘下の大韓航空の社長を務めるが、継承作業が進まないうちに急逝してしまったためだ。韓国の大手財閥は創業2世から3世への世襲が進む。サムスンや現代自動車はすでに3世が事実上のトップ。だが、韓進グループは趙氏が直前まで韓進KAL、大韓航空の最高経営責任者(CEO)を務めていた。 グループの支配構造をみても、趙氏が韓進KAL株の17.84%を握る筆頭株主で、趙源泰氏は2.34%にすぎない。 韓進グループは8日、「非常経営体制」に突入したと発表した。当面、会長職は空席のままとし、グループの複数の社長による集団指導体制「社長団会議」で当面は懸案処理に対応しつつ、次期本命トップの長男である趙源泰氏の次期体制への移行を急ぐとみられる。だが先行きは不透明だ。 まずは趙源泰氏の経営者としての手腕が未知数であることだ。ある韓国のアナリストは「これまで経営は趙会長と専門経営者が担ってきたため、大韓航空の社長としての成果が見えない」と指摘する。その大韓航空は経営不振が続く。直近5年間の業績をみても17年を除いて最終赤字だ。趙氏の弟の会社で経営破綻した韓進海運への経営支援や、不動産など無理な投資が影響している。 創業家出身の会長が引責辞任したライバルの錦湖アシアナグループのような資金繰り面での問題はないとされるが、投資家からは負債の圧縮を求められている。大韓航空の負債比率はピークの16年に1000%を超え、18年は744%まで下がったものの、シンガポール航空などアジアの同業他社に比べて高い。 グループ全体の成長戦略もみえない。2月発表の中期経営計画では年間16兆5000億ウォン(約1兆6000億円)の売上高を23年に22兆ウォンに増やし、10%の営業利益率をめざす目標を掲げた。ただ具体策はなく、経営の透明性など株主の改革圧力を表面的にかわす内容にとどまっている』、中期経営計画に「具体策はなく」というのでは、絵に描いた餅に過ぎない。
・『趙氏の保有株の行方も焦点だ。現在、趙氏と長男の趙源泰氏、長女の趙顕娥(チョ・ヒョナ=44)氏、次女の趙顕●(日へんに文)(チョ・ヒョンミン=35)氏ら親族や役員らが持つ株式は28.95%。株の相続に最大50%の相続税率が適用されれば趙源泰氏は資金捻出のため、一部株式の売却を迫られる可能性がある。そうなれば安定株主比率は下がる。 それは韓進KAL株の買い増しを進めるKCGIにとっては有利な展開だ。韓進グループのガバナンスに批判的な大株主の国民年金公団を合わせれば、創業者一族との保有株の差も縮まる。 長男の趙源泰氏は来年、韓進KALの取締役の改選期も迎える。KCGIは来年の株主総会で取締役の再任に反対する可能性が高い。こうした読みが一般的で、韓進KAL、大韓航空の株価は8日そろって上昇した。市場もガバナンス改革に期待を寄せる。韓進グループは防戦を迫られる』、韓国経済を支配してきた財閥には、ほころびが目立ってきた。現在の文政権は財閥に冷淡なようだ。先ずは、韓進グループが趙一族の支配から、KCGIや国民年金公団のようなプロ投資集団の支配に移行するのか、大いに注目される。
タグ:韓国 (その3)(ロッテ トップ収監で「お家騒動」の構図に異変発生、ロッテ副会長の重光氏に再び代表権 代表取締役は2人体制に、かつての新星 韓国現代自動車はなぜ輝きを失ったか、大韓航空 深まる混迷 韓進・趙会長死去) (財閥問題) ダイヤモンド・オンライン 「ロッテ、トップ収監で「お家騒動」の構図に異変発生」 重光昭夫副会長 韓国で実刑判決を受け拘束 獄中経営 代表権を返上 ソウル中央地裁は、朴槿恵前韓国大統領側への贈賄罪で起訴されていた昭夫氏に懲役2年6カ月の実刑判決 ロッテHDは佃孝之社長が単独で代表を務めることに 唯一の代取となった佃社長はどう動く? 兄弟争いも再燃必至 経営権争いの中で昭夫氏サイドになる前は、むしろ「昭夫氏とは犬猿の仲」 日本では現在、製造子会社などの事業会社3社を合併し、上場する計画が進んでいる SankeiBiz 「ロッテ副会長の重光氏に再び代表権 代表取締役は2人体制に」 保釈されたのは、控訴審で、ソウル高裁が10月5日、懲役2年6月、執行猶予4年(求刑は懲役14年)を宣告したため ロイター 「焦点:かつての新星、韓国現代自動車はなぜ輝きを失ったか」 重慶 巨大製造工場を構えている。年間生産台数30万台を目標 稼働率は3割程度 現代と起亜の合計販売台数は9位に沈み、中国での市場シェアも2010年代初めの10%超から4%へ、半分以下に落ち込んだ 米国においても、現代自動車のシェアは昨年4%に低下し、この10年で最低水準 SUV人気の高まりなど消費者の嗜好が変化していることに気づかず、ブランドイメージにそぐわない高価格車を追求してしまったことだ 間違った製品、間違った価格 SUVのラインアップが魅力に欠ける (本社)経営陣のセダン重視路線 デザインの平凡化 売り上げ低迷 今年発売された小型SUV「コナ」の中国モデルである「エンシノ」の売り上げが低調 エンシノは売れない。単純に、中国市場に合わない 父の遺産 研究開発費用は他社に劣る水準で推移 日経新聞 「大韓航空、深まる混迷 韓進・趙会長死去、ナッツ事件から4年余り 創業家長男の継承 道半ば」 大韓航空を傘下に持つ韓国財閥、韓進グループ 趙亮鎬(チョ・ヤンホ)会長(70)が8日、死去 長男の趙源泰(チョ・ウォンテ)氏(43)への経営継承は道半ば 「ナッツリターン事件」 趙氏自身も18年にグループ企業の資金の使い方を巡る罪で起訴され経営が揺らいでいた アクティビスト KCGI 株主総会では、亡くなった趙氏の取締役の再任が阻止される異例の出来事 趙氏が韓進KAL株の17.84%を握る筆頭株主で、趙源泰氏は2.34%にすぎない グループの複数の社長による集団指導体制「社長団会議」で当面は懸案処理に対応しつつ、次期本命トップの長男である趙源泰氏の次期体制への移行を急ぐとみられる 負債比率 アジアの同業他社に比べて高い 株の相続に最大50%の相続税率が適用されれば趙源泰氏は資金捻出のため、一部株式の売却を迫られる可能性
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日韓関係(除く慰安婦)(その3)(日韓対立 米は仲裁せず ヘリテージ財団クリングナー氏、「日韓関係改善は15年必要」外交評論家の岡本行夫氏、韓国への報復「日本が絶対にやってはいけない制裁」とは何か) [外交]

日韓関係(除く慰安婦)については、3月9日に取上げた。今日は、(その3)(日韓対立 米は仲裁せず ヘリテージ財団クリングナー氏、「日韓関係改善は15年必要」外交評論家の岡本行夫氏、韓国への報復「日本が絶対にやってはいけない制裁」とは何か)である。

先ずは、3月11日付け日経ビジネスオンライン「日韓対立、米は仲裁せず、ヘリテージ財団クリングナー氏」を紹介しよう(Qは聞き手の質問、Aはクリングナー氏の回答。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00023/030700003/?P=1
・『日経ビジネス、3月11日号特集「韓国 何が起きているのか」では韓国の経済や社会の情勢と同時に、関係修復の糸口が見えなくなっている日韓関係について世界の有識者の意見を掲載した。米ヘリテージ財団のブルース・クリングナー上級研究員は「日韓の対立はこれまでと異なる。米政府は仲介していない」とみている。 Q:日韓関係が再び厳寒期に入っています。 A:日米韓の安全保障に関わる官僚や将校は2国間、3カ国間の軍事協力が重要だということを認識している。とりわけ北朝鮮の脅威や、中国の懸念が増大していることを考えれば、ミサイル防衛システムの統合や協調とまでは言わないにしても、日米韓の3カ国で協力することは重要だ。 日韓は常に難しい関係にある。北東アジアをウォッチしているわれわれのような人間、そして日米同盟や米韓同盟に関わる米国人が特に懸念しているのは、日韓を巡る対立が以前とは異なっているように見えるからだ。これまでとは異なる3つの点がある。 第一の要素は日韓の防衛関係者が事態を収拾しようとしていないことだ。これまでも日韓の防衛関係者は世論の反発を防ぐため、防衛面で協力関係をおおっぴらに語ることはなかった。だが、韓国駆逐艦による今回のレーダー照射問題を見ると、両国の防衛関係者は影響の広がりを抑えようとしていないように見える。その点は気がかりだ。 第二の要素は経済だ。新日鉄住金の韓国内の資産差し押さえを認めた韓国の地裁の判決によって、他の日本企業も同様のリスクにさらされる可能性が生じた。日本企業が韓国でリスク資産を減らそうとするのか、それとも韓国でのビジネスそのものを縮小するのかは分からない。徴用工問題に伴う経済的な影響はこれまでとは次元が異なる。 第三の要素は日韓の対立に米国が関与していないように見える点だ。米国にとって、日韓は北東アジアの決定的に重要な同盟国であり、経済、外交上のパートナーだ。歴史問題のようなイシューは基本的に解決できないもので、公平な仲介者として関与するメリットはない。ただ、朴槿恵政権の時に日韓の歴史問題が再燃した時は当時のオバマ政権が舞台裏で動き、東京とソウルにかなり強いメッセージを送った。それが、2015年12月の慰安婦問題の「最終解決」合意につながったと考えている。 米政府による水面下の動きは分からないことが常だが、トランプ政権は現状で、そういった舞台裏の調整をしていないようだ。日韓の対立は誰かが水面下で解決に向けて動かない限り悪化し続ける。米国は日韓両国に関係改善に向けたメッセージを送るべきだ』、トランプ政権にもオバマ政権のように舞台裏で動いてくれればいいのだが、全く期待できそうもないのは困ったことだ。
・『文大統領はお人好し  Q:文在寅政権をどう評価しますか。 A:文大統領はあらゆる観点で見て、北朝鮮の擁護者、あるいは弁護士として行動している。北朝鮮の体制を承認しているし、北朝鮮以上に平和宣言に熱心だ。文大統領が北朝鮮の主張を受け入れると、韓国は北朝鮮に対する制裁解除に向けて動くようになった。 韓国政府の高官は平和宣言があくまでも政治的で、外交上のもので、世界に影響を与えるようなものではないと考えている。彼らは平和宣言の重要性を過小評価している。平和宣言にサインしても北朝鮮が行動を改める保証にもならなければ、核兵器や従来型兵器を用いないという保証にもならない。逆に、経済制裁の効果を弱め、国連軍の撤退や米軍縮小につながるといった恐れがある。 先に北朝鮮にメリットを与えようとする点では、文大統領も金大中元大統領や盧武鉉元大統領と同様にお人好しだ。最終的に北朝鮮が国際法や米国法、国連決議に従うというナイーブな希望を持っている。 Q:米韓関係をどう見ていますか。 A:米韓関係や米韓同盟は良好で力強い。問題が発生しても乗り越えてきた。ただ、北朝鮮の非核化については米国と韓国に相違がある。韓国は非核化を米国と北朝鮮の2国間関係としてみる傾向があるのに対して、米国は非核化を多国間のイシューとして見ているという点だ。 北朝鮮の非核化を米朝の2国間の問題にすると「米国の敵視政策に対応しているだけだ」という北朝鮮の理論的枠組みを認めることになる。それは、北朝鮮の譲歩を得るために米国が譲歩しなければならないという圧力につながる。その状況を避けるには、多国間の問題と捉え、国連決議に違反しているために行動を取っているという形にする必要がある。 ブッシュ政権の時に北朝鮮の核問題で6カ国協議を主張したのも同じ理由だ。北の核の影響を受ける国々はそれぞれ異なる優先順位を持っている。米国の焦点は長距離弾道ミサイルと核兵器だが、日本は中距離ミサイルと拉致問題かもしれない。利害関係国が同じテーブルに着く6カ国協議であれば自国が懸念している問題を提起できる。今回の米朝首脳会談のように、トランプ政権のやり方はあくまでも2国間であり、米国対北朝鮮という構図になっている。これは避けなければならない』、保守系シンクタンクにも、2国間ではなく、6カ国協議でやるべきという見解があるのは、多少の救いだが、トランプ政権の姿勢が変わる可能性は薄いだろう。
・『「非核化は懐疑的にみている」  Q:2月27、28日にベトナム・ハノイで米朝首脳会談が開催されました。何の合意も得られていませんが、将来的な北朝鮮の非核化についてはどう見ていますか。 A:非核化に向けたブレイクスルーも関係断絶もなかったという印象だ。トランプ大統領は首脳会談前、国連制裁を緩和するハードルを引き下げるかもしれないと示唆していた。だが、実際は派手だが中身の乏しい合意をはねのけて、北朝鮮の核開発に対する米政府の原理原則と同盟国を重視するという正しい判断を下した。悪いディールは何もしないより最悪だ。 今回の首脳会談の決裂は朝鮮半島危機につながると思う向きもあるかもしれないが、現時点ではその可能性はなさそうだ。トランプ大統領は金正恩委員長が核実験とミサイル実験を再開しないと約束したとコメントしている。経済制裁の強化など、北朝鮮の反発を招くような行動はしないということも示唆した。 事態を収拾するために、同盟国を含むすべての政府は次のステップを思案することになるだろう。今は軽はずみな行動を取る時ではないし、脅威を拡大させる時でも、米国と北朝鮮の間の認識のずれを埋めるためにさらなる譲歩をする時でもない。 Q:首脳会談に先立って開催された実務者協議では非核化などの定義からズレが目立ちました。 A:北朝鮮の高官が私に実際に語ったことで、過去数十年にわたって米国が確認してきたことだが、北朝鮮はグローバルな軍縮として首脳会談を見ている。米国をはじめ他国が核兵器を捨て去れば、自分たちも核兵器を捨て去るということだ。一方、米国は国連決議の下、核兵器やミサイル、生物・化学兵器を完全かつ検証可能で不可逆的な手段で破棄することを求めている。 朝鮮半島の定義についても米朝で異なる。米国にとっての朝鮮半島があくまでも朝鮮半島なのに対して、北朝鮮は朝鮮半島に影響を与えるすべてのものを朝鮮半島に含めている。例えば、グアム基地に配備されている戦闘機は6時間で朝鮮半島に到達する。米軍の核抑止力や在韓米軍、日本に寄港している核兵器が搭載可能な戦術航空機、空母、潜水艦なども“朝鮮半島”に含まれる。このように、非核化の定義や朝鮮半島の定義からして米朝は異なっている。 Q:実際に非核化はあり得ると思いますか。 A:私は26年間、北朝鮮を見てきた。その間、合意の反故は8回だ。北朝鮮の非核化についてはかなり懐疑的、悲観的に見ている・・・』、「北朝鮮は朝鮮半島に影響を与えるすべてのものを朝鮮半島に含めている」というのでは、確かに「非核化は懐疑的にみている」というのもうなずける。米朝交渉の溝はやはり深いようだ。

次に、3月15日付け日経ビジネスオンラインが掲載した外交官で外交評論家の岡本行夫氏へのインタビュー「「日韓関係改善は15年必要」外交評論家の岡本行夫氏」を紹介しよう(Qは聞き手の質問、Aは岡本氏の回答)
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00023/031200007/?P=1
・『日経ビジネスの3月11日号特集「韓国 何が起きているのか」では政治から経済まで日韓を取り巻く環境の変化を取り上げた。かつてないほど冷え込んだ二国間関係をどうみればいいのか。外交評論家の岡本行夫氏に聞いた。 Q:国際社会の中で韓国は日本にとってどんな存在なのでしょうか。 A:本来、韓国は日本のいちばん重要なパートナーになっておかしくない国だと思っています。国際会議で同じような立場を取り、自由貿易圏を形成し、国民の交流も増やしていくという相手のはずです。 金大中大統領の時はそういう方向になるのかという望みがありました。1998年に日本の国会で「未来志向的な関係を築く」と演説したときは私も感動しました。指導者が前向きかどうかは二国間関係において大変重要です。しかし、盧武鉉、李明博、朴槿恵、文在寅各大統領は自らの政権基盤を強化するために国民の反日感情をあおって、国内の政策を推進していくという道をとりました』、金大中大統領時代には日韓が正常化しかけたのに、拉致され失脚したとはかえすがえすも残念だ。
・『Q:文在寅政権は過去の歴史問題にいまだに言及します。日韓関係は改善できないのでしょうか。 A:植民地支配の歴史については、日本は韓国に虚心坦懐に反省すべきだと思っています。1910年の日韓併合で日本の一部とし、彼らの国民性、国家としてのアイデンティティを奪いました。これが韓国の日本に対する怨念の淵源であり、我々はこのことをきちんと認識しないといけません。しかし戦後、日本は経済協力もし、反省もして、歴史的な問題にきちんとした対応をとっています。 ところが韓国の国民性なのでしょうか。朴槿恵前大統領は就任直後の抗日独立運動の式典で「加害者と被害者という立場は1000年たってもかわらない」と演説し、特に若者の反日感情を煽りました。これは大きな責任があったと思います。そして中国に対して、伊藤博文を暗殺した安重根の記念館を共同でハルビンにつくろうと働きかけて実現してしまいました。意図的に歴史的な怨念を掘り起こしています。それが続く限りは日韓関係の改善は無理です。 日本政府も少し問題があると思います。たとえば、どうして日本は慰安婦に日本人女性が多くいたということを国際社会にきちんと言わないのでしょうか。戦場に婦女子を送るという野蛮な制度はもちろん非難されるべきですが、韓国が主張する「性奴隷」というシステムなどは存在しませんでした。実態についての日本政府の立場を事実をもって説明すれば、少なくとも欧米の印象は随分変わるでしょう。日本にとって深刻なのは韓国にどう思われているかということ以上に、国際社会で日本がどう思われているか、なのです』、慰安婦問題についての日本政府批判はその通りだ。恥ずかしいことは隠蔽するという体質は、国際的にも受け入れられないだろう。
・『次も親日的な政権は現れない  Q:韓国国会議長が天皇陛下に謝罪を求める発言をしました。 A:相手の歴史と国民感情を知らないということでしょう。国会議長は本来は親日的な人なのに、日本人の神経を逆なでにする。これでは日韓関係の改善はおぼつかない。今上天皇がどれだけ戦争に対して正面から向き合ってこられたか。政治サイドが忘れたようなことを天皇は自分の心の重荷としてずっと担いでこられて、日本国民全員が大変に尊敬している。それが分かっていたら出るような言葉ではない。親日層、知日層でもあんなものかとがっかりしました。 Q:文在寅政権の対北朝鮮、対米、対中、対日政策をどのように評価していますか。 A:北朝鮮との融和に前のめりになっていることが心配です。そのことにすべての優先順位を置いているがゆえに、日本との関係が悪くなっている。今までの韓国の政権は米国との関係を重視して中国、北朝鮮との関係を悪くするか、中国、北朝鮮との関係を重視して、米国との関係を悪化させるかのどちらかでした。ところが文政権は米中とうまくやっている。その代わりに日本を切り捨てている。対日関係は文大統領が改善したいと思わない限り、前に進みません。 米国は韓国が北朝鮮に寄り過ぎていると懸念しはじめていますが、韓国が米朝協議のお膳立てをしたという意識はあります。日韓関係については、もう少し韓国は日本に対する態度をかえるべきという意見が徐々にワシントンで強くなっています』、「文政権は米中とうまくやっている。その代わりに日本を切り捨てている」というのは困ったことだ。「もう少し韓国は日本に対する態度をかえるべきという意見が徐々にワシントンで強くなっています」というのがさらに強まることを期待したいが、そう虫がいい話にはならないだろう。
・『中国で次に指導部になるのは「第6世代」といわれる、今の40代後半から50代半ばの人たちです。欧米に留学し、日中関係の蜜月時代、胡耀邦氏の時代に育った、日本に対して中立的な人々です。ところが韓国でその世代に対応するのは60年代生まれで、80年代に民主化運動に参加した反米、反日の「386世代」。文氏から次の世代の政権に移ると、世代の平均値としては対日感情が厳しくなっていきます。 文政権の次に親日的な政権が突然現れることは考えにくく、次が保守政権であっても難しいでしょう。韓国の大統領は任期が終わると逮捕される人が何人も出る。だから国民受けする政策をとって政権基盤を盤石にしないといけなくなる。最も手を付けやすいのが対日批判、という構図は変わっていません。 だから、当面打つ手は無いのではないでしょうか。関係改善には15年は必要だと思います。「よく話し合って相互理解を深めるべき、未来志向でいくべき」と言いたいですが、正直なところ難しい。ダメージコントロール、つまり国際社会に説明することなどにより、日本がどうしたら被害を極小化できるかを考えるべきと思っています』、文政権は余りに反日的過ぎると思っていたが、「文氏から次の世代の政権に移ると、世代の平均値としては対日感情が厳しくなっていきます」、というのでは、確かに「関係改善には15年は必要」なのだろう。
・『しかし、日韓関係には期待できる面もあります。人口が5100万人の韓国から年間750万人の観光客が日本に来ている。これは韓国の対日感情を着実に変えていくことになります。日本に来てみれば徴用工や慰安婦で連想するような日本とは全く違うことがわかってもらえると思います。 Q:日韓関係が悪いままで、安全保障上の問題は生じませんか。 A:米国も含めた東アジアの安保関係は、これから困ることになるでしょう。自衛隊と韓国軍が共同行動をすることはあり得ません。しかし、在日米軍と在韓米軍は、ともにハワイのインド太平洋司令部のもとにある同じ軍隊で、それぞれの役割によって日本と韓国に置かれています。在日米軍は韓国防衛にもあたるし、在韓米軍は日本防衛にもあたります。これは米軍の集団的自衛権の適用です。ところが米軍を置いている日本と韓国の関係がこれだけぎくしゃくすると、それがうまく運用できるのでしょうか。 トランプ大統領が在韓米軍の削減の方向に向かった場合、日本の安全保障を脆弱化させます。そういうこともあって本来、日韓の協力体制は必須ですが、それができる状況でないなら、日本としては米国と協力しながら独自に北朝鮮に対する抑止力を増強することが一層重要になると思います・・・』、北朝鮮に対する抑止力については、直ぐに増強に走るのではなく、米朝会談の行方も見ながら考えてゆくべきと思う。

第三に、4月7日付けNEWSポストセブン「元在韓国大使で、外交経済評論家の武藤正敏:韓国への報復「日本が絶対にやってはいけない制裁」とは何か」を紹介しよう。
https://www.news-postseven.com/archives/20190407_1343511.html
・『元徴用工の補償問題で、原告側はすでに新日鉄住金と三菱重工業が韓国内にもつ資産を差し押さえ、機械メーカー・不二越に対する訴訟では、判決が出る前から裁判所は賠償金確保のため資産の差し押さえを認めている。メディアでは韓国に対するさまざまな報復措置が論じられており、自民党の部会などでも検討されているが、日本が対抗策を打てば、韓国側が再報復に出ることは十分予想される。報復の連鎖が始まれば、国交断絶へと突き進みかねない。 経済・貿易の分野の報復措置には効果と副作用があり、民間企業や民間人が巻き添えになることが避けられない。日本側の目的は、1965年の日韓請求権協定を反故にして、この問題を放置している文在寅政権を動かすことにある。そこで考えられるのが政治的な報復措置だ。元在韓国特命全権大使で、外交経済評論家の武藤正敏氏に、その効果と副作用について解説してもらった』、そんな上手い報復措置があるのだろうか。
・『韓国人の「ビザなし渡航廃止」で困るのは…  現在、韓国から日本へは90日以内の短期滞在(観光や娯楽等が目的)であれば、ビザなしで渡航が可能になっている。麻生太郎財務相は3月12日の衆院財務金融委員会で、韓国への報復措置として「入国ビザ差し止め」に言及したが、完全に入国を拒否するというのは現実的ではない。考えられるのはビザなしでの渡航を廃止するという対抗策だろう。 ビザなし渡航が始まったのは愛知万博が開催された2005年からで、それ以前の状態に戻るだけという見方もできるが、当時と今ではかなり状況が異なる。 日本を訪れた韓国人観光客の数は、2004年で159万人だったが、2018年には754万人と5倍近くに膨れあがり、外国人観光客のなかで韓国人の占める割合は約24%(日本政府観光局調べ)。中国に次いで2位となっている。 一方、日本から韓国を訪れる観光客は295万人なので(2018年、同)、訪日韓国人のほうがはるかに多い。 「韓国からの観光客が激減して困るのは日本で、観光業や飲食業などが大きなダメージを受けます。観光や就職のために日本にやってくる韓国人は親日的と言え、そうした人たちを敵に回すような報復はすべきではありません」(武藤正敏氏、以下同) 日本への観光が減れば、その分、富の流出を防げるので、韓国政府はむしろ喜ぶだろう』、確かにインバウンドの柱になっているのでは、マイナスでしかない。
・『絶対にやってはいけない「在日韓国人の在留資格停止」  観光客ではなく、在日韓国人の在留資格を停止せよという意見もネット上では見られる。 「在日韓国人の在留資格を停止しても、韓国政府は日本批判の材料に使うだけで、打撃は少ない。韓国の人たちは、在日韓国人を韓国語がわからない人も多く、むしろ日本人に近い人と思っているので、自分のことのようには感じないのではないか。こんなことをすれば、日本の品位を傷つけるだけで、絶対にやってはいけない」 感情に流されてはいけないのだ』、その通りだろう。
・『「韓国企業の資産差し押え」は世界の信用を失う  韓国内の日本企業の資産を差し押さえるというのなら、日本側も国内の韓国企業の資産を差し押さえるべきだという報復案。「目には目を」の論理である。 「日本は法治国家です。どんな法的根拠で、韓国企業の資産を差し押さえるのでしょうか。これは韓国側のめちゃくちゃな論理と同じレベルなので、やめるべきです」 確かに法的根拠はないし、どの韓国企業をターゲットにするのかと問われたら、合理的な選択は不可能だ。 「日本に投資したら、いきなり資産を差し押さえられる」となれば、日本は韓国と同様、国際社会からの信用を失うことにもなりかねない』、確かに論外の措置だ。
・『「朝鮮半島に残した日本人資産」の賠償請求はできるか  終戦時に朝鮮半島に残した日本人の個人資産は現在の貨幣価値で数兆円にものぼると試算されている。しかし、1965年に結ばれた日韓請求権協定で、日本は韓国に5億ドルの無償・有償援助を提供するかわりに、日韓間の個人の賠償請求権問題は「完全かつ最終的に解決」することになった。これは韓国人だけでなく日本人も同様で、半島に残した個人資産の賠償請求はできなくなったのである。 しかし、韓国側がこの日韓協定を無視して元徴用工への補償を要求するのなら、日本側も日本人資産の賠償を要求すべきとする意見がネット上で見られる。 「請求したところで、韓国側は『そんなものは認めない』で終わりです。そんな理屈が通用する国なら、初めから元徴用工の補償裁判なんて起きていません。韓国内の資産を物理的に差し押さえることはできないのだから、この報復案には何の意味もありません」 日本側から日韓協定を反故にするような請求をするのも、得策とは言えない』、その通りだ。
・『「国際司法裁判所への提訴」はアピールとしては有効  日本政府は、韓国政府が元徴用工への賠償を肩代わりする措置などを取らなければ、国際司法裁判所(ICJ)に提訴する方針である。ただ、日本が提訴しても、韓国が同意しなければICJで裁判を開くことはできず、竹島領有問題と同様、韓国側は同意しないと見込まれる。 「韓国側は必ず勝てるとの確信がない限り、提訴に同意しません。だから、直接的な効果はありませんが、日本の立場を国際社会に向けてアピールするうえで、やらないよりはやったほうがいい」 竹島問題の推移を見ればわかるが、実効性はほとんど期待はできない』、実効性はなくてもやるべきだろう。
・『「国交断絶」で「日本と台湾」のような関係になれるか  『デジタル大辞泉』では、「国交断絶」について〈国家間の平和的関係を、外交・通商・交通などあらゆる面で断絶すること〉と定義している。国交断絶まで進んだら終わりのようなイメージがある。 しかし、1972年に田中角栄首相(当時)が日中国交正常化を実現したとき、同時に日本は台湾と「断交」したが、それ以降も日本と台湾は貿易をしているし、日本人や日本企業が台湾で経済活動もしている。双方のビザなし渡航も可能だ。 現在の日韓関係を眺めていると、韓国政府とは一切対話をせず、民間企業、民間人だけで交流をするというのは、むしろ理想的な関係のようにさえ見える。 「韓国と国交断絶になれば、民間交流も途絶えるでしょう。台湾のように冷静に対応することは考えられません」 韓国側から断交を言い出してきたのなら別だが、日本から断交すると火に油を注ぐだけになりかねない』、その通りだろう。
・『このように見てくると、決定打と呼べるような対抗策はない。だが、重要なのは、文在寅政権に対して圧力をかけていくというポイントを見失わないことだ。武藤氏はこういう。 「国際世論に韓国の問題点を訴えてゆくべきです。文在寅大統領は“北朝鮮ファースト”と揶揄されていますが、北朝鮮に対する国連の安保理制裁に違反しているのではないかという疑いが強くもたれています。実際に韓国が開城で届け出なしに石油を供給したのは制裁破りだと国連安保理は指摘している。 自衛隊機へのレーダー照射も、漂流中の北朝鮮船が瀬取りをしているのを韓国の警備艦が保護していて、それをごまかすためだったとも言われています。こうした疑いを調べ上げて、制裁違反を国際社会に訴えていくべきです」 日本は国際社会を味方につけていくことが大事なのである』、決定打を欠くのは残念ながらしょうがない。ただ、4月2日付けのNEWSWEEK日本版は「米国警備艦が北朝鮮の「瀬取り」監視で異例の韓国入り 韓国への警告の意図も?」と伝えた。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/04/post-11919.php
米国も「瀬取り」への韓国の協力を疑っているのだから、日本としても情報収集に努め、制裁違反を国際社会に訴えるなどして、「国際社会を味方につけていくことが大事」なのだろう。 
タグ:日韓関係 (除く慰安婦) (その3)(日韓対立 米は仲裁せず ヘリテージ財団クリングナー氏、「日韓関係改善は15年必要」外交評論家の岡本行夫氏、韓国への報復「日本が絶対にやってはいけない制裁」とは何か) 日経ビジネスオンライン 「日韓対立、米は仲裁せず、ヘリテージ財団クリングナー氏」 朴槿恵政権の時に日韓の歴史問題が再燃した時は当時のオバマ政権が舞台裏で動き、東京とソウルにかなり強いメッセージを送った トランプ政権は現状で、そういった舞台裏の調整をしていないようだ 文大統領はお人好し 非核化は懐疑的にみている 「「日韓関係改善は15年必要」外交評論家の岡本行夫氏」 次も親日的な政権は現れない 文政権は米中とうまくやっている。その代わりに日本を切り捨てている 文氏から次の世代の政権に移ると、世代の平均値としては対日感情が厳しくなっていきます Newsポストセブン 「元在韓国大使で、外交経済評論家の武藤正敏:韓国への報復「日本が絶対にやってはいけない制裁」 韓国人の「ビザなし渡航廃止」で困るのは… 絶対にやってはいけない「在日韓国人の在留資格停止」 「韓国企業の資産差し押え」は世界の信用を失う 「朝鮮半島に残した日本人資産」の賠償請求はできるか 「国際司法裁判所への提訴」はアピールとしては有効 「国交断絶」で「日本と台湾」のような関係になれるか 決定打と呼べるような対抗策はない 国際世論に韓国の問題点を訴えてゆくべきです 北朝鮮船が瀬取りをしているのを韓国の警備艦が保護 Newsweek日本版 「米国警備艦が北朝鮮の「瀬取り」監視で異例の韓国入り 韓国への警告の意図も?」
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安倍内閣の問題閣僚等(その8)(血税で人工島も 安倍首相の地元でムダな公共事業が常態化、「下関北九州道」争点に浮上 北九州市長選 10年前に白紙 現職 自民が推進、小田嶋氏:「がっかり大臣」によく似た人々) [国内政治]

安倍内閣の問題閣僚等については、昨年12月16日に取上げた。今日は、(その8)(血税で人工島も 安倍首相の地元でムダな公共事業が常態化、「下関北九州道」争点に浮上 北九州市長選 10年前に白紙 現職 自民が推進、小田嶋氏:「がっかり大臣」によく似た人々)である。

先ずは、4月6日付け日刊ゲンダイ「血税で人工島も 安倍首相の地元でムダな公共事業が常態化」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/251368
・『安倍首相と麻生副総理の地元を結ぶ道路整備計画をめぐり、「忖度発言」をした塚田一郎国交副大臣が5日辞任した。塚田氏は、整備計画について「公正な判断だった」「忖度した事実はない」とすっとぼけたが、とんでもない。安倍首相の地元では、首相の政治力で進んでいく無駄な公共事業が常態化しているのだ。 塚田氏の命取りになった「下関北九州道路」は、地元では“安倍・麻生道路”と言われている。関門橋とトンネルに続く3本目の関門ルートは必要性に乏しく、凍結されていたが、「整備促進を図る参議院議員の会」会長の吉田博美自民参院幹事長が、昨年12月に塚田氏と面談し、「首相と副総理の地元事業なんだよ」と猛プッシュ。はたして、今年度予算で国直轄調査費として4000万円が計上された。 塚田氏がどう言い繕おうと、安倍首相と麻生副総理に忖度した利益誘導だ。 実は安倍首相の地元では、よく似た安倍案件がある。「週刊SPA!」(2014年1月28日号)で、ジャーナリストの横田一氏が詳細を報じている。こんな内容だ』、「今年度予算で国直轄調査費」が計上されたということは、国直轄事業として将来、予算がつくことを意味する。下関北九州道路についての詳細は次の記事。
・『安倍アイランド  安倍首相の父・晋太郎時代から推進されてきた人工島「長州出島」は“安倍アイランド”と呼ばれている。「大型船が入港可能な国際港」を掲げ、755億円もかけて造成された。2009年から供用が始まったが、強風な上、既存の下関港の方が使い勝手がよく、期待していた外資のコンテナ船は寄りつかなかった。利用がほとんどない状態なのに、安倍政権は人工島と本州と結ぶ6・8キロの巨大バイパス整備に動き、720億円もの血税が投じられた』、殆ど使われない人工島と巨大バイパスで合わせて1475億円もの血税投入とは、かつての田中元首相も形無しの地元への利益誘導そのものだ。
・『安倍道路  安倍家の故郷である山口県長門市を通る「山陰自動車道」(下関市―鳥取市)が“安倍道路”だ。未開通区間(100キロ)は整備に推定4500億円もかかる。沿線人口わずか36万人で、県内にはすでに東西を結ぶ高速道路が2つもあり、渋滞もない。費用対効果が乏しく、建設が見送られてきたが、安倍政権になって急に進み始めた。 必要性があやしい事業が、なぜか安倍政権で次々に花開いているのだ。横田一氏が言う。 「塚田副大臣の発言は、架空でもなければ、レアなことを言ったわけではありません。普段、起きていることをありのままに話したまでです。安倍首相の地元では、首相の政治力でムダな公共事業が前に進むことは、日常茶飯のことなのです。モリカケと同様に、問われるべきは安倍案件で行政が歪められ、巨額の血税が無駄にされていることです」 塚田副大臣辞任で幕引きは許されない』、「4500億円もかかる」安倍道路はさらに酷い。建設費用だけでなく、完成後は、道路を保有・管理する筈の道路公団の赤字が膨らむことになる。野党はこんな明白な利益誘導の建設を中止に追い込むべきだろう。

次に、昨年12月17日付け西日本新聞「「下関北九州道」争点に浮上 北九州市長選 10年前に白紙 現職、自民が推進」を紹介しよう。
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/kitakyushu_city_election/article/473556/
・『現職と共産系新人の対決構図が固まりつつある来年1月の北九州市長選で、同市中心部と山口県下関市を新たに結ぶ「下関北九州道路」(下北道路)建設の是非が争点に急浮上してきた。「コンクリートから人へ」の風潮を受け、10年前に1度は白紙に戻った計画だが、安倍政権の下、国による本格的な事業評価に進む直前まで“復活”した。1600億~1800億円の巨大事業。統一地方選や参院選も見据え、自民党などが推進に躍起になっている 「国の本格調査へ早期に移行してほしい」。16日、北九州市内であった下関北九州道路整備促進大会。4選への立候補を表明している北橋健治市長(65)は、福岡、山口両県出身の与野党国会議員や経済界の重鎮らが名を連ねた決議文を力強く読み上げた。 民主党衆院議員だった北橋氏。2007年の市長選で「土木事業に偏る予算配分を改める」と訴え、国土交通省の元官僚候補を破り初当選した。09年には民主党政権が発足。公共事業の見直しが大きく進み、下北道路の推進は後退した。 一方で、市長就任後の北橋氏は、市議会最大会派の自民党との関係改善を進める中で、関係自治体と歩調を合わせる道を選んだ。関門トンネルや関門橋の老朽化などを理由に、推進の立場に軸足を置く。市議会の与党会派も、市長選の公約に「早期実現」を盛り込むよう要望している。 推進の北橋氏に対し、共産党推薦で立候補する新人永田浩一氏(53)は、不明確な地元負担などを問題視。「不要不急の下北道路は中止すべきだ」と、市長選の争点に位置付け対決姿勢を鮮明にしている。 「民主党が(下北道路を)パーにした」。ベテランの北九州市議は今でもこう憤る。ねじれ国会だった08年3月、野党民主党などから道路特定財源への批判にさらされていた当時の自公政権は、下北道路を含む全国6カ所の海峡横断プロジェクトの調査中止を決めた。その後の政権交代、奪還を経て、調査が再開されたのは昨年度だった。 「安定した安倍政権の時だからこそ、早く建設を決定してほしい」。16日の促進大会で九州経済連合会の麻生泰会長はこう訴えた。 山口、福岡両県は、安倍晋三首相と麻生太郎副総理の地元だけに「安倍・麻生道路」ともやゆされる。関係自治体の調査が終わる来年3月以降、国の本格的な事業評価に移行できるかが最大の焦点になっている。 11月に発足した「整備促進を図る参議院議員の会」会長の吉田博美議員(自民)は促進大会前、北九州市側の建設予定エリアを視察した。「やっぱり必要な公共事業もある。地方創生の中で(下北道路が)一丁目一番地だ」と打ち上げた』、「民主党が(下北道路を)パーにした」のに、北九州市長になった民主党出身の北橋氏が、当選後は推進に転じたとは、いくら地元からの要望があるとはいえ、節操がない話だ。これでは、野党も国会で追及し難いのだろう。

第三に、コラムニストの小田嶋 隆氏が2月15日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「「がっかり大臣」によく似た人々」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00116/00007/?P=1
・『例によって「バカッター」の話題がメディアを駆け巡っている。 本当ならこの種の炎上案件には関わり合いたくない。というよりも、黙殺するのが大人としての正しいリアクションだと思っている。こんな話題に乗っかったら、私もバカッターの仲間になってしまう。 別の言い方で言えば、バカな映像をSNSにアップした若者の愚かさよりも、その若者たちの愚かさをネタにVTRの尺を稼いでいるメディア関係者の心根の卑しさの方が、問題としてより深刻だということでもある。 マタンゴ(注)を食べた者はマタンゴになる。そういう映画があった。炎上案件をネタに商売をしている書き手は炎上ライターになる。そういうあさましい展開は、避けられるのであれば避けるべきだ』、賢明な姿勢だ。
(注)マタンゴ:日本の特撮ホラー映画
・『にもかかわらず、私が今回バカッターを話題のとっかかりとして利用する決意を固めたのは、桜田義孝五輪担当大臣の発言を伝え聞いたからだ。 以下、関連を説明する。 桜田五輪担当相は、2月の12日、競泳の池江璃花子選手が自身に白血病の診断を得た旨を発表したことを受けて、記者団に対して以下のような言葉を述べた。「金メダル候補で、日本が本当に期待している選手なので、がっかりしている。早く治療に専念して頑張ってもらいたい。また、元気な姿を見たい。1人リードする選手がいると、みんなつられて全体が盛り上がるので、その盛り上がりが若干、下火にならないか心配している」 このコメントは、そもそも、誰がどんな立場で言ったのだとしても論外なのだが、五輪担当相という立場の人間が記者団に向けて語った公式の発言であることを考慮すると、論外どころか、暴力に等しい。 大臣は、自分の言葉が、命にかかわる病気の診断を得たばかりの10代のアスリートの耳に届くことを認識していたはずだ。 とすれば、コメントの内容は、大臣ご自身がどう感じたのかということより先に、なによりもまず、今後、白血病と闘病することになる池江璃花子さんの心にどう響くのかということを念頭に置くカタチで発語されなければならなかった。 ところが、大臣の言葉は、新橋界隈で収録される酔っ払いのおっさんの街頭インタビューの発言以上に脊髄反射的かつ無作法だった。 正直であること以外に何の取り柄もないのみならず、正直であることの残酷さに満ち溢れた、どうにも無神経かつ失礼な救いようのないコメントだった』、「大臣の言葉は、新橋界隈で収録される酔っ払いのおっさんの街頭インタビューの発言以上に脊髄反射的かつ無作法だった」、とは言い得て妙だ。
・『で、このコメントを聞いて、私はバカッター動画との類似点に思い至ったわけだ。 だから、彼らは、一歩離れた公共的な視点から見て、自分たちの言動がどんなふうに評価されるのかを事前に予測することができず、それゆえ、床の間で用便をするみたいな場違いな結果を招いた。 もうひとつ、バカッターによるバカ動画が炎上し、バカ大臣によるバカコメントが問題化せねばならなかった背景についても、当面の見解を述べておきたい。今回は、どちらかといえば、こちらの話がメインだと思っている。 思うに、私的な人間による私的な感想や、個人として振る舞う人間の個人的な行動が、社会の中で生きる人間の言動として許容されなくなっているのは、われら21世紀の日本人が、ある時期から自分たちを「公共的な」存在だと思いこみはじめている事情を反映した変化だ。 というよりも、われらメディアの受け手である一般大衆が、いつしか、個々の「個人」であることをやめて、集団的な「公共」の一部として、個々の出来事やコメントを評価しにかかっていること自体が、個人のバカさが許されなくなっていることの根本理由なのである。 これはかなり思いがけないことだが、われわれは、個人としての正直な感想や、私人としての自由な振る舞いを「非常識」ないしは「無神経」であると決めつける集団的な公共心を、ある時期から、自分の「本心」だと思い込むに至っている』、これは思いがけない深い考察で、確かにその通りなのかも知れない。
・『だからこそ、われわれは、「公共」を理解しないバカッターや、「公共」に向けたコメントを発信できない大臣のバカさを容認することができない。 ここまではわかる。 もっとも、ここで言っている「わかる」というのは、「理解できる」「理屈としてわかる」ということであって、必ずしも「共感する」とか「支持する」ということではない。 「われこそは公共なり」てなことで他人を裁くことを常態化させているネット世論の生成理由を、把握したつもりになっている旨を申し述べているに過ぎない。 ただ、常に自分を「公共」の側に置いて世界に対峙している人間は、自分自身が何かに対して「私見」や「本音」を抱いた時に、その「私見」と自分の中にある「公共」との齟齬と分裂に苦しむことになるはずだとは思う。 目下の私の興味はそこにある。 今後、われわれが、このまま「個人」であることを断念する方向を極めて行くのか、それとも、どこかの段階で引き返すことになるのかは、まだわからない。 先の話は、また別の機会にゆずろうと思っている』、「ネット世論」が「「われこそは公共なり」てなことで他人を裁くことを常態化させている」、というのも、言われてみればその通りの鋭い指摘だ。
・『ともあれ、私自身、この10年ほど、文頭に 「個人的には」「私見だが」「あくまでも個人の感想だが」「私個人の受け止めかたを申し上げるに」という感じの、事前弁解に似た断り書きを配置する機会が増えたことを自覚している。 で、気がつくと推敲の段階で 「個人的には」という不要な断り書きを削除していたりするわけなのだが、「オレは、どうしていつもこう『個人的には』という前置きを置きたがるのだろうか」と 考え込むうちに思い至ったのは、「コラム」というジャンルそのものが置かれている状況の厳しさだった。 話がズレていると思う読者がいるはずだ。 大丈夫。ズレていない。 私はいま「コラムというジャンルが危機に瀕している」「コラムニストは片隅に追いやられている」という意味のことを書いている。 このことは、実は、「21世紀の日本人が自分たちを公共的な人間だと思いこんでいる」ということと、奥深いところでつながっている。 というのも、インターネットやSNSを通じて常に他人(あるいは「多数派」)とつながっている21世紀の大衆は、「自分がどう思うのか」という「私見」や、「自分がどう感じるのか」という「個人的感情」よりも、「世間ではどう評価されているのか」「常識的にはどう考えるのがマトモなのか」を重視する方向に変化しており、その21世紀型の群生動物ライクなリトル公共ピープルは、そもそもが「私見」であり、個人としての立場を堅持する書き手による「個人的な見解」たる「コラム」を、マトモな論として評価しないだろうからだ。 そうでなくても、個人の偏見を掲げる稼業たるコラムニストのオダジマにしてからが、反論のありそうな見解を開陳するにあたって、いちいち「私見だが」「個人的には」などと、予防線を張らずにおれないのだからして、まして、一般人がコラムを読むにあたって色眼鏡で見ないはずがないではないか。 「だってこれ、こいつの私見だろ?」「はいはい個人的見解個人的見解」「お前がそう思うんならそうなんだろう。お前ん中ではな」てな調子で、読者は、書き手の「私見」を、たいして重要視しなくなっている。その変化を、私は肌で感じている』、最後の部分は、小田嶋氏自身が感じているのであれば、異論をはさむ余地はなさそうだが、若干の違和感を感じる。というのも、私は「コラム」に、切り口や加工など、個人的見解ならではの面白さを求めているからだ。でも、そのような読み方はもはや少数派なのかも知れない。
・『同じ変化は、アルバイトの若者たちの職場にも及んでいる。 私が学生だった40年前の時点では、アルバイトがバカなのはデフォルト設定というか、大前提だった。 昭和の時代は、高校生が、「学校の教室よりもちょっとだけ広い公共」に接する最初の場所(あるいは機会)がすなわちアルバイトだったわけで、であるからして、はじめて世間の風に当たったティーンエイジャーが、はしゃぎ返ったり、荒れ狂ったり、おびえ上がったり、取り乱したりするのは、半ば必然の反応と見なされていた。実際、われわれは、無責任な失敗と思い上がった失敗を交互に繰り返していた。 平成最後のバカッターの子たちが、食材をおもちゃにしたバックヤードの悪ふざけを撮影したのは、撮影できるガジェットを持っていたからに過ぎない。それをSNSにアップした理由にしたところで、仲間内でシェアして笑い合いたかっただけのことだと思う。 で、それが、仲間内の外に漏れて、メディアに嗅ぎつけられた結果、炎上した。 以上が、真相だ。 たいした話ではない。 もちろん、SNSが全世界とつながっていることは、常識として知っておくべき事実だった。 でも、毎日踏切を渡るドライバーが、1日に1回しか列車の通らない踏切の危険性をやがて無視してしまうのと同じように、ほとんどまったく仲間以外には閲覧されることのないSNSのやりとりが炎上する1%以下の可能性を彼らが無視したことは、そんなに責められるべきことだろうか。 1%でも、バレる危険性があることは、かえって彼らの冒険心をくすぐったかもしれない。 私自身そうだったが、高校生というのは、その程度には愚かなものだ』、最後の部分はその通りだ。メディア報道に流されずに冷静に分析する小田嶋氏はさすがだ。
・『むしろ驚愕すべきなのは、「高校生がバカだ」という、誰もが知ってるはずのこのありふれた事実を、ニュースとして拡散するメディア関係者が日本中にあふれかえっていたことと、そのニュースを株式売買の理由として利用する投資家が一定数存在したことだ。ついでに言えば、その変動した株価を理由に、アルバイトの雇用主にあたる企業が訴訟を起こす旨を発表したことも、私には、驚きだった。これ以上評判を落として、彼らはいったい何を売り込むつもりでいるのだろう。 2月の12日には、経団連の会長が、この度の不適切動画についてコメントを発信している。《−略− 経団連の中西会長は、12日の記者会見で「やってしまった人に対する措置はいろいろと厳しいことはあったとしても、経営者として考えれば、やはり仕組みから直していかないとうまくいかない。個人の善意に依存したオペレーションは、どこかでほころびが出る」などと述べ、企業がアルバイト従業員に対する教育や訓練の見直しを含めて、再発防止に取り組むべきだという考えを示しました。》 経団連は、本気でアルバイトを「教育」し「訓練」するつもりでいるのだろうか。 資格は臨時雇いで、給与は時給で、待遇が非正規のアルバイターに関して、責任と意欲と能力については正規社員と同じ水準を求めるということなのか? コストをかけずに品質を求めるのは、経営者として道を外れた態度だと私は思うのだが、それでも中西会長は、あくまでも時給1000円足らずで働く高校生に責任と自律を求めるのだろうか』、「コストをかけずに品質を求めるのは、経営者として道を外れた態度だ」との中西会長批判には諸手を挙げて賛成だ。
・『この原稿がちょっとわかりにくいのは、アルバイトの高校生の非公共的な態度を擁護している一方で、桜田大臣の非公共的なコメントを強く断罪しているところに起因している。 つまり、書き手であるオダジマが、公共の福祉の側に立っているのか、個人の自由の側に立っているのかが、いまひとつはっきりしていないわけだ。 自分で読み返してみて、あらためてそう思う。この原稿はわかりにくい。 実際、私は、バカッターの事件に関連して、ネットのコメント欄に集まる人々やワイドショーのコメンテーターが、やたらと公共的な視点ばかりを強調することに、反発を感じている。 その一方で、桜田大臣のあまりといえばあまりに公共的な視点を欠いたコメントには、失望を禁じ得ないでいる。 両方とも本当なのだから仕方がない。 公共な立場が常に正しいとか、個人であることがなによりも尊いというふうに言い切れたら良かったのだが、正直なところ、いずれの立場にも居心地の悪さを感じる。これはどうしようもない。 自分ながら歯切れの悪い結論になってしまった。 私見は、時に歯切れの悪いものだ。最後に歯切れの良いことを言っておく。 桜田大臣は辞任すべきだ。時期を誤らない方が本人のためでもあると思う』、「公共の福祉の側に立っているのか、個人の自由の側に立っているのかが、いまひとつはっきりしていないわけだ」、と正直に述懐しているが、確かに「私見は、時に歯切れの悪いものだ」との開き直った言い訳には納得できる。きっと、問題如何で、どちらの立場に立つかが決まるのだろう。 
タグ:安倍内閣 問題閣僚等 (その8)(血税で人工島も 安倍首相の地元でムダな公共事業が常態化、「下関北九州道」争点に浮上 北九州市長選 10年前に白紙 現職 自民が推進、小田嶋氏:「がっかり大臣」によく似た人々) 日刊ゲンダイ 「血税で人工島も 安倍首相の地元でムダな公共事業が常態化」 安倍首相と麻生副総理の地元を結ぶ道路整備計画 「忖度発言」 塚田一郎国交副大臣が5日辞任 下関北九州道路 “安倍・麻生道路” 吉田博美自民参院幹事長 「首相と副総理の地元事業なんだよ」と猛プッシュ 今年度予算で国直轄調査費として4000万円が計上 倍首相と麻生副総理に忖度した利益誘導 よく似た安倍案件がある 安倍アイランド 人工島「長州出島」 755億円もかけて造成 期待していた外資のコンテナ船は寄りつかなかった 安倍政権は人工島と本州と結ぶ6・8キロの巨大バイパス整備に動き、720億円もの血税が投じられた 安倍道路 「山陰自動車道」(下関市―鳥取市) 推定4500億円もかかる 西日本新聞 「「下関北九州道」争点に浮上 北九州市長選 10年前に白紙 現職、自民が推進」 「コンクリートから人へ」の風潮を受け、10年前に1度は白紙に戻った計画 1600億~1800億円の巨大事業 北橋健治市長 市長就任後の北橋氏は、市議会最大会派の自民党との関係改善を進める中で、関係自治体と歩調を合わせる道を選んだ 小田嶋 隆 日経ビジネスオンライン 「「がっかり大臣」によく似た人々」 バカッター 本当ならこの種の炎上案件には関わり合いたくない 炎上案件をネタに商売をしている書き手は炎上ライターになる 桜田五輪担当相 池江璃花子選手が自身に白血病の診断を得た旨を発表したことを受けて 「金メダル候補で、日本が本当に期待している選手なので、がっかりしている。早く治療に専念して頑張ってもらいたい。また、元気な姿を見たい。1人リードする選手がいると、みんなつられて全体が盛り上がるので、その盛り上がりが若干、下火にならないか心配している」 大臣の言葉は、新橋界隈で収録される酔っ払いのおっさんの街頭インタビューの発言以上に脊髄反射的かつ無作法だった バカッター動画との類似点 彼らは、一歩離れた公共的な視点から見て、自分たちの言動がどんなふうに評価されるのかを事前に予測することができず、それゆえ、床の間で用便をするみたいな場違いな結果を招いた われらメディアの受け手である一般大衆が、いつしか、個々の「個人」であることをやめて、集団的な「公共」の一部として、個々の出来事やコメントを評価しにかかっていること自体が、個人のバカさが許されなくなっていることの根本理由なのである われわれは、個人としての正直な感想や、私人としての自由な振る舞いを「非常識」ないしは「無神経」であると決めつける集団的な公共心を、ある時期から、自分の「本心」だと思い込むに至っている 「公共」を理解しないバカッターや、「公共」に向けたコメントを発信できない大臣のバカさを容認することができない 常に自分を「公共」の側に置いて世界に対峙している人間は、自分自身が何かに対して「私見」や「本音」を抱いた時に、その「私見」と自分の中にある「公共」との齟齬と分裂に苦しむことになるはずだとは思う 21世紀の大衆は、「自分がどう思うのか」という「私見」や、「自分がどう感じるのか」という「個人的感情」よりも、「世間ではどう評価されているのか」「常識的にはどう考えるのがマトモなのか」を重視する方向に変化しており、その21世紀型の群生動物ライクなリトル公共ピープルは、そもそもが「私見」であり、個人としての立場を堅持する書き手による「個人的な見解」たる「コラム」を、マトモな論として評価しないだろうからだ 同じ変化は、アルバイトの若者たちの職場にも及んでいる ほとんどまったく仲間以外には閲覧されることのないSNSのやりとりが炎上する1%以下の可能性を彼らが無視したことは、そんなに責められるべきことだろうか 私自身そうだったが、高校生というのは、その程度には愚かなものだ その変動した株価を理由に、アルバイトの雇用主にあたる企業が訴訟を起こす旨を発表したことも、私には、驚きだった。これ以上評判を落として、彼らはいったい何を売り込むつもりでいるのだろう 経団連の中西会長 経団連は、本気でアルバイトを「教育」し「訓練」するつもりでいるのだろうか コストをかけずに品質を求めるのは、経営者として道を外れた態度だと私は思う アルバイトの高校生の非公共的な態度を擁護している一方で、桜田大臣の非公共的なコメントを強く断罪 バカッターの事件に関連して、ネットのコメント欄に集まる人々やワイドショーのコメンテーターが、やたらと公共的な視点ばかりを強調することに、反発を感じている その一方で、桜田大臣のあまりといえばあまりに公共的な視点を欠いたコメントには、失望を禁じ得ないでいる。 私見は、時に歯切れの悪いものだ
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教育(その16)(「テスト結果を賞与に反映」が失敗する理由 「点取り教育」の被害者となるのは子どもだ、[議論]N高校に聞く子どもの「やりたいこと」の探し方、日本人の「教育改革論」がいつも的外れなワケ 課題は「子ども」ではなく「社員教育」にある) [国内政治]

教育については、昨年7月17日に取上げた。久しぶりの今日は、(その16)(「テスト結果を賞与に反映」が失敗する理由 「点取り教育」の被害者となるのは子どもだ、[議論]N高校に聞く子どもの「やりたいこと」の探し方、日本人の「教育改革論」がいつも的外れなワケ 課題は「子ども」ではなく「社員教育」にある)である。

先ずは、教育社会学者の福島 創太氏が昨年9月11日付け東洋経済オンラインに寄稿した「「テスト結果を賞与に反映」が失敗する理由 「点取り教育」の被害者となるのは子どもだ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/237091
・『「具体的にどうやってボーナスが決まるのか」「どのテスト結果がどの時点の評価につながるのか」「学力テストに該当しない教科の教員はどうなるのか」「結局現場にはどのような影響が起きるのか」――。 大阪市の吉村洋文市長が、「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)の結果を来年度から校長や教員の人事評価に反映する制度を検討していると発言してから1カ月。大阪市の教員の間では、依然として混乱が広がっている。 テレビやネットメディアでも、吉村市長の発言の是非は大いに議論された。それらの多くは「そんなことでは子どもの学力は上がらない!」という批判的なものだったが、「成果に対応した報酬を与えることはビジネスでは当たり前」「アメとムチによって教師のモチベーションが高まる」とお思いの読者もたくさんいらっしゃるだろう』、本件とは離れるが、吉村市長は大阪府知事に立候補、代わりに松井知事が大阪市長に立候補する形で、維新の会のなかで市長と知事を回すという驚くべき党利党略の選挙戦がスタートした。
・『制度の是非を問うのに必要な論点とは?  大阪市がこうした制度を検討している背景には、大阪市の学力テストの結果が小学校・中学校ともに全科目で全国平均を下回り、他の政令指定都市と比較しても最低水準となったことがある。吉村市長はその不名誉な現状を打破するために「劇薬」を投じようとしている訳だが、この制度の是非を問うには、2つの論点から整理する必要がある。 「学力テストの結果と教員の評価を連動させれば、児童・生徒の学力向上につながるのか」と、「学力テストの順位を高めることに意味があるのか」の2点だ。今回は、これらを検討するとともに、いま教員に本当に届けるべき価値は何なのかについても考えたい。 まず、「学力を上げるための方策として学力テストの結果と教員の評価を連動させることは効果があるのか」という点について考えてみよう。 確かに企業においては、全社や部署の業績、個人の成績に応じて賞与の金額が変動する制度は一般的だ。このような「業績連動型賞与制度」は、業績に対する従業員の意識向上や、業績に応じた人件費の適正化が主な目的となっている。つまり、従業員一人ひとりが業績アップを目指すよう、動機付けを行っているのだ。この論理で言えば、教員のボーナスを児童・生徒の学力テストの点数と連動させれば、「児童・生徒の学力テストの点数を上げよう!」という意欲は高まるかもしれない』、民間企業ですら従業員の業績評価は簡単ではないのに、教育の場で学力テストの点数を使うというのは余りに安易だ。
・『しかし、今回の議論の中で多く指摘されている通り、生徒の成績を高める、あるいは下げる要素は無数に存在する。特にその子の家庭環境や学校外における勉強時間などが成績に与える影響は非常に大きい。 教育格差をなくすことを目的に活動を展開するNPO法人「Learning for All」は、子どもたちは生活習慣の乱れ、家庭での学習習慣、愛着形成の遅れ、言語能力の遅れといった「学力以前の複雑な課題」を抱えており、それを解消することが彼らの学習支援にもつながるという考え方の下、「子どもの家事業」を2016年から始めている。学習自体のサポートにとどまらない、子どもの貧困対策の一面を持つこの事業には、日本財団が50億円を投じるとすでに発表している。 こうした活動が広まりつつあることを踏まえると、教師の努力だけで学力向上を実現することは実は非常に難しいのではないだろうか。学力が低い児童・生徒の点数を高めようとすると特にそうだろう。こうした条件の下では、当然受け持った生徒がどういった生徒なのか、エリアがどういったエリアなのかということが、教師の評価に大きく影響してくることになる。 公立の学校の教師も、自治体に雇われた一人の労働者である。所属先から対価をもらって仕事をしている労働者が、自らの仕事に対して得られる対価を高めるために努力することは決して不思議なことではない。 しかしその努力が、あまりにも不平等な状況下での評価や、適切な規準で測られなかったとしたらどうだろうか。いくら頑張っても結果が出ない教師がいる反面、通常業務を続ける中で生徒の学力が高まり、高い報酬が得られる教師もいる。そのなかで前者の教師は、努力を続けられるだろうか。純粋な気持ちで生徒の学びを支援し続けられるだろうか。 点数を高めようとするあまり、過去には不正が行われたという事実もある。東京都足立区の小学校で、特定の児童の答案を無断で除外し、先生が試験中に生徒に誤答を気づかせるといった不正行為が2007年に発覚し、大きく報道された。当時、足立区教育委員会は、区立小中学校に学力テストにおける各校の順位や成績によって予算の配分に傾斜をつけるなどを行っており、学力テストと予算を関連付けることによって起きた弊害であると、指摘された。これでは児童の学力向上は見込めず本末転倒であるが、このときと同じことが起こらないとは限らない』、不正という副作用も問題だが、地域による学力テスト点数の格差はかなり大きいと予想され、点数の絶対値では地域格差が如実に表れ不公平すぎる。点数の前年との改善幅にすると、今度は点数の低い地域が有利になるなど、誰もが納得する評価は容易ではない。
・『「数値による評価」がはらむリスク  筆者は以前「全国の高校で導入中、活動記録サイトの正体」で、海外の企業で広がり始めている「ノーレイティング」という考え方を紹介した。年次での評価やランク付けを廃止するというこの考えは、評価を気にして従業員が萎縮することやチャレンジを避けるようになったり、一律の規準や軸をもうけてランク付けをすることで、特殊な技能や専門性、長期的な成果を目指す取り組みが評価されづらくなったりすることを避ける狙いがある。 松丘啓司氏は著書『人事評価はもういらない』のなかで、脳科学によると、数値によってランク付けされることによって、人は学習や成長に対してネガティブになる「硬直的なマインドセット(スタンフォード大学のキャロル・S・ドゥエック教授が提唱)」が強化されるということを紹介している。 また、アメリカUCLAで神経科学を専攻し、脳神経科学の知見を人材開発や教育に活かすために株式会社ダンシングアインシュタインを起こした青砥瑞人氏は、恐怖や不安を抱えるいわゆる心的危険状態では、扁桃体など脳のなかの恐怖や不安を司る部分が活性し、前頭前皮質の機能が失われ、自分が思い描いている行動を脳が誘導する確率が下がると指摘する。 つまり、先生を数値によって評価しモチベートすること自体が、子どもたちの学力を向上させることに対してネガティブな影響を及ぼす可能性すらあると言えるのではないだろうか。 よって、「学力テストの結果と教員の評価を連動させれば、児童・生徒の学力向上につながるのか」といえば、甚だ疑問が残ると言わざるをえない』、その通りだろう。
・『では、2つ目の論点「学力テストの順位を高めることに意味があるのか」についてはどうだろうか。この点についてもやはり否定的な見解を持たざるをえない。なぜなら、学力テストの点数向上のための指導偏重となり、本質的でこれから必要な能力の育成が疎かになる懸念があるからだ。 学力テストは、「主に知識」を問うA問題と、「主に活用」の力を問うB問題で構成されている。教育心理学や発達心理学を専門とする東京大学の藤村宣之教授は、日本の子どもは、概念的理解やそれに関連する思考プロセスの表現が相対的に苦手であると指摘している。こうした能力は解や解法が多様である非定型的な問題解決によって測ることができるわけだが、それはB問題に該当する問題が多い。 そして藤村氏はこの概念的理解や思考は、①他者から新たな情報を得ること、②他者に対して説明することで思考を精緻化すること、③他者とともに知識を協働構築することから成る、「協同的探究学習」によって培われると説いている。しかし単純に、短期間で点数を上げようとするならば、反復によって習得が可能となるA問題のほうが上げやすいとされている。理解や思考が深まらなくても、ある種トレーニングによって点数を高めることが可能なのがA問題なのである。来年度からA問題、B問題を統合させるという報道もあるが、「どのような学力を伸ばそうとするか」というのは問題が統合されたとしても残る論点である。 つまり、学力ではなく「学力テストの点数」を短期間で上げようとするばかりに、「上げやすい指標」に取り組み、生徒たちにとって苦手だったり、本当に身につけなければならない学力だったりがなおざりになってしまう可能性があるのだ』、確かに日本人は与えられた目標に遮二無二進むことは得意なので、「学力ではなく「学力テストの点数」を短期間で上げようとする」のは大いにありそうな事態だ。
・『「本当に身につけなければならない学力」とは何   経済協力開発機構(OECD)が行う「生徒の学習到達度調査(PISA調査・3年に1度実施)」では、それまで主要3分野として「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」を測ってきた。しかし、2015年調査より革新分野として「協働問題解決能力」調査が加わったのだ。 この「協働問題解決能力」の調査は、OECDが2030年に向けた教育のあり方を世界に提案することを目的に推進している「Education 2030」プロジェクトの一環として行われた。さらに、グローバル・コミュニケーション力、文化横断的・相互的なものの考え方、多様性の尊重などをその内容とする「世界で生きるためのグローバル・コンピテンス」なる項目が2018年調査から加わり、日本は今回参加を見送ったが、2021年調査への参加については引き続き検討をしている。 文部科学省が2020年度以降に小中学校で全面的に導入する「新学習指導要領」においても、大学入学者選抜改革などを含めた「高大接続改革」においても、同様の方向を向いている。入学者選抜改革では「学力の3要素」として、「知識・技能」に加え、「思考力・判断力・表現力」そして「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」が掲げられている。 もちろん、PISA調査や新しい入学者選抜の中で測定しようとするスキルの中身やその妥当性、それを測ることの是非についても議論はあるが、従来重視されてきたスキルとは別の、新たなスキルを重視する流れがあることは事実である。 学力テストで測られる国語、算数(数学)、理科の点数を伸ばすということ自体が無駄であるということは決してないだろう。知識の習得はこれまでもこれからも一定程度の価値があるだろう。しかし、変化の激しい時代を生きる子どもたちに対して、知識偏重の指導をすることにはリスクがある。 そのため、「学力テストの順位を高めることは意味があるのか」という問いに対しても、否定的な見解を持たざるをえない。 こうしてみると、やはり今回の吉村大阪市長の主張が、大阪市の生徒・児童にとってポジティブな影響を大きく与えるようには思えない。ただ、大阪市の教員に話を聞いてみると「教師の意識を学力向上に向けることには意義がある」「方法はどうあれモチベーションを高めることの重要性は感じる」という現状に対する危機感を感じさせる言葉もあった。もちろん、教師の意識の変容によって、生徒の学びが深まったり、結果的に学力が高まったりすることはあるはずだ。 しかし、大切なのはそれをどのように行うか、なのだ。筆者は、行政が教員にコミットすべきは「報酬」ではなく「育成」だと考える。それはどういうことなのか、大阪市とは対照的な改革を始めた自治体を例に説明していこう。 大阪府のもう一つの政令指定都市である堺市は2018年7月、「堺市教育デベロップメントプログラム」という教員研修を始めた。民間と教育委員会が連携した自治体初の取り組みで、生徒の主体性を引き出し、探究的な学びを促進する次世代型の教員を「育成」することを目的としている。具体的には、「アクティブ・ラーニング」や「探究型の学び」といった、いま求められている教育をまず学習者として教員自身が体験し、そのうえで理論や学びのデザインの手法を学ぶことで自らの授業実践や学校改革に活かしていくというものだ。 新しい学び方や教育が求められていくなかで手法だけが独り歩きしてしまっていることを課題と捉え、まずは自分が体験し、教育観や教育における信念を見つめ直したり、社会の変化やこれからの未来を見据えて「いま本当に必要な教育とはどんなものか」ということを改めて考え、議論することからはじめるのが特徴である。また、教育学にとどまらない研究者やグローバルカンパニーの組織開発に関わるビジネスマンとともに開発された研修は、最先端の学習理論や教育メソッドが盛り込まれている。 この研修によって、生徒の主体性や創造性を向上させられる教員が育てば、それは「Education 2030」プロジェクトや新学習指導要領、新しい入学者選抜でも注目される能力を育めることになる。ノウハウやスキルではなく、教員自らが「主体的な学び」を体験し、その理論や技術を学び実践することで、生徒一人ひとりの自ら学ぶ喜びをとらえられるようになり、一人ひとりに合った学びを最大化できるようになるかもしれない。その結果、児童・生徒の学力も上がる可能性もある』、「行政が教員にコミットすべきは「報酬」ではなく「育成」だと考える」というのは正論だ。その意味で隣の堺市がやっているのはまともだ。。
・『育成と「働き方改革」を両立させるには?  ただ、こうした育成を可能にするには、教師の多忙問題に着手しないことには始まらない。世界一忙しいとされる日本の学校の先生にも、当然働き方改革の波は来ている。そのため新たな研修や取り組みに対し、多くの自治体が非常にネガティブになっている。 しかし、ひと足先に働き方改革が始まった産業界で、「サービス残業が増えた」「業務量は減らないのに時間だけチェックされるようになった」という苦情が散見されていることからも明らかなように、必要なのは「業務を減らす」働き方改革ではなく「本質的な取り組みによって業務を効率化させる」働き方改革である。 学校がそこに向かうためには、教師の教育観のシフトや、学校外のリソースをうまく用いることのできる教師となることのほうがよっぽど効果的だろう。長期的な価値も間違いなく大きい。堺市の研修では教育分野外、特にビジネスの分野からの情報収集や人的な交流も行われるので、そうした学びが業務の効率化につながるかもしれない。 報酬か育成か。どちらが、真に生徒たちの学びを最大化させる教師を生み出すのか。この段階では誰もまだわからない。大阪府を代表する2つの都市が繰り広げる教員に向けた新たな改革の動向をこれからもウォッチしていきたい』、「世界一忙しいとされる日本の学校の先生にも、当然働き方改革の波は来ている。そのため新たな研修や取り組みに対し、多くの自治体が非常にネガティブになっている」というのは由々しいことだ。きっと無駄な報告などが多く残っているのだろう。そうした無駄を定期的にそぎ落していくべきだ。「「世界一忙しい」を言い訳に使ってはならない。

次に、2月22日付け日経ビジネスオンラインが掲載したN高校の上木原孝伸副校長へのインタビュー「[議論]N高校に聞く子どもの「やりたいこと」の探し方」を紹介しよう(Qは聞き手の質問)。
・『現在の議論のテーマ  子どもの「やりたいこと」どうやって見つけますか? どうやって伸ばしますか? メディア・出版大手のカドカワが設立した学校法人角川ドワンゴ学園の運営する通信制高校、N高等学校。ネットによる授業をメーンとする従来型に縛られない方法を採用。2016年4月に開校すると、VR(仮想現実)を使った入学式などで注目を集めた。 授業だけでなく、生徒同士のコミュニケーションやレポートの提出、部活でさえもネットを使う。その独自性ゆえに「協調性が育まれないのではないか」などの批判もあったが、「圧倒的な自由度にひかれた」「やりたいことを見つけられる」と支持を受け、順調に生徒数を増やしている。現在の在校生は7875人に上る(1月時点)。 IT×グローバル社会を生き抜く“想像力”を身につけ、世界で活躍する人材を育成するーー。ネットの高校だからこそ生徒の「やりたいこと」「学びたいこと」に時間を使えるというのがN高校の言う魅力だ。 Raise「提言 子育ての未来」ではこれまで「子どもに必要な能力とは何か」を読者と議論してきた。今回はN高校の上木原孝伸副校長を招き、どうやって「学びたいこと」を見つけるのか、その学びたいことをどう伸ばしていけばいいのかを議論していく』、なかなか面白そうな取り組みだ。
・『ルートに沿って歩けば安心という神話は崩壊している  Q:N高等学校では「これからの時代に子どもたちに必要な能力」をどのように考えていますか? 上木原孝伸・N高等学校副校長(以下、上木原氏):当たり前のことかもしれませんが、必要な能力は子どもによって違うのだろうと考えています。だから我々は「こうあらねばならない」というイデオロギーは持たないという方針を掲げています。 通信制高校なので、生徒には自由に使えるたっぷりとした時間がある。その時間を使って、卒業後に何をしたいのか考えて欲しい。そのために何が必要なのか。そのスキルを高校でつけていく。エンジニアなら当然、ドワンゴのトップエンジニアによるプログラムを用意しています。他にも多様なプログラムを用意しています。「何をしたいのか」の過程に大学進学があるのなら、受験勉強も否定しません。 Q:Raiseでは子育てについて読者と議論を重ねてきました。多くの読者から「変化の激しい環境の中で、今後はその変化に対応できる柔軟性が重要ではないか」との意見が挙がっています。 上木原氏:「柔軟性」は私も重要だと思います。私が受験産業で働いていた時は、ある程度のルートを歩いていけば人生が約束されていると考える人が多かった。今は違いますよね。SNSで誰とでも繋がれるし、アイデアをすぐ形にできる。誰でもスターダムにのしあがるチャンスがたくさんある。そういう意味で、柔軟であることも大事ですが、自分がやりたいことを見つけることも大事になってきます。 Q:昔と比べて子どもが身につけなければならない力が変わってきた? 上木原氏:あるルートに沿って歩んでいけば安心という方程式は、実はバブル崩壊ですでに成り立たなくなっているんですよね。私はロスジェネ世代で大学卒業時は就職氷河期だったので、よく分かります。大企業が潰れるのをみていたから。友人たちも高い偏差値の大学を卒業したけど就職先が見つからなかったりしました。神話は20年以上前にすでに崩れていたんです』、「あるルートに沿って歩んでいけば安心という方程式は、実はバブル崩壊ですでに成り立たなくなっているんですよね」というのはその通りだ。
・『「多くの問題は検索しても答えが出ない」  上木原氏:しかし、それでも何となく信じられてきた。ただ、私のようなロスジェネ世代を親に持つ子どもが小学生、中学生のような世代になってきた。親ももう神話を信じていないんです。レールに乗っているだけではうまくいかないことを実感として知っているから。 この10年でいうと、スマートフォンの登場で、知識を圧倒的に手に入れやすくなった。黒板に書いてあることはスマホで「Siri」に聞けばいい。 私は国語が専門なのですが、よく生徒たちに「何も考えずに辞書を引くな」と伝えてきました。文脈から類推する思考力が重要なんだと。これは検索でも一緒です。検索する前に想像する。考える。それが重要なんです。世の中の多くの問題は検索しても分からないのですから、自分で考える癖をつけてほしい。 Q:「やりたいことを見つける」重要性は理解できました。ただ、子どもの見つけた「やりたいこと」が、トップの一握りしか食べていけない分野だった場合、親はどういう対応をすればいいのでしょうか。 上木原氏:子ども自身にそのことを気付かせてあげてください。例えばN高校で、声優になりたいと考えている生徒がいました。声優の授業を受けて、好きだったので自分の自由な時間でとことん調べた。そこで、「声優はとても狭き門だから、単に声優を目指しているだけでは難しい」と気付いた。そこで、その生徒は猛勉強を始め、大学受験を決意したのです。その理由は「高学歴の声優」というポジションなら空いていると考えたから。 別の生徒は絵を描くことを仕事にしたいと思い、N高校でプロのイラストレーターが講師の授業を受けました。我々の授業では「プロならここまで要求する」というレベルまで鍛えます。「全くダメ」「全然レベルに達していない」と厳しく要求され、上には上がいることに気づきました。でも、WEBデザインなどスキルとして身につけられることも多いことも同時に気づいたのです。 「それではダメ」と親が一方的に言えば「やりたいことをさせてもらえない」と反発します。子どもは自分できちんと気づくんですよ。 Q:なるほど。 上木原氏:そのサポートは教師などの第三者がすべきだと考えています。親子では難しいですね。感情的になるから。第三者から言われたほうが子どもは納得する。そういう意味でN高校の担任と生徒の関係は上下ではない。横に並んで走っています。 N高はリアルとネットを組み合わせることで「新しい体験」を提供することをうたっています。なぜこうした教育が必要なのでしょうか。 上木原氏:最近生徒に「なぜ大人はネットとリアルを分けたがるのですか」と言われてショックを受けました。「私たちにとって、ネットは既にリアルの一部なんです」と言うんです。確かに、我々の世代は夜中に友達に電話するだけでもハラハラしていましたが、生徒たちはLINEなどでの連絡がコミュニケーションの半分以上を占めています。社会に出ても、ネットを全く使わない仕事はほとんどない。ネットとリアルを区別しているほうがおかしいのかもしれない。 そういう時代だからこそ、高校としてネットリテラシーを高めるのは責務であると考えています』、「「私たちにとって、ネットは既にリアルの一部なんです」と言うんです。確かに、我々の世代は夜中に友達に電話するだけでもハラハラしていましたが、生徒たちはLINEなどでの連絡がコミュニケーションの半分以上を占めています。社会に出ても、ネットを全く使わない仕事はほとんどない」、ここまできたのかと、大いに考えさせられた。
・『Q:3月に一期生が卒業。進路は? ネットとリアルのすみ分けは?  上木原氏:「ネットで高校生活を実現する」というのが我々のコンセプトです。リアルは「ネットではできないことをやろう」を合言葉にイベントなどを企画しています。例えば職業体験。ネットで検索してすぐに理解できるような職業体験はありません。マタギやイカ釣りなどやってみないと分からないプログラムを用意しています。ニコニコ超会議の会場で開く文化祭などのイベントもそうです。 ネットをきっかけに友人ができ、リアルのイベントで非日常の体験をすると「N高なら通いたい」というニーズが出てきました。そこで自己矛盾にはなりますが「通学コース」を新設し、通える環境をつくりました。 Q:ネットで学習を進めるだけではモチベーションが低下しませんか? 上木原氏:モチベーションの管理は我々にとっても課題だと考えています。ご質問の通り、最初は楽しいのですが徐々にログイン率が低下してくる。一方で、我々はデータをどんどん蓄積しています。何をすればモチベーションが継続するのか。どうすれば上がるのか。1年目は試行錯誤していましたが、データが溜まるにつれて承認欲求を満たしているクラスの学習進捗が良い傾向があることがわかってきました。 「昨日はよく頑張っていたね」「ここまで進んでいるなんてすごい」ーー。そうした言葉で「自分を見てくれている」ということが伝わるとモチベーションは継続する。それを3カ月続けると、学習することが普通になる。習慣に変わる。 Q:一方で、リアルで苦楽を共にしたことで学べることもあるのでは? 上木原氏:子どもが変わるのは非日常の体験によってではないでしょうか?私は何度も子どもたちのキラキラした顔や感動している姿に遭遇しています。一般的な高校でも、子どもが成長するのはイベントなどの非日常なのだと思います。先ほど申し上げた通り、我々はそうしたイベントを多数用意しています。 今年3月末で一期生が卒業します。進路は? 上木原氏:まだ入試が終わっていないので実数はわかりません。ただ、すでにAO入試などで難関大学へ一定数が合格している状況です。自由な時間で身につけたスキルが評価されているようです。海外大学への進学者もいます。単純に偏差値が高いからという理由ではなく「ワクワクするから行きたい」という理由で進学先を選んでいるようです。 希望調査の段階では大学・専門学校への進学希望者が約6割、就職や起業、進路未決定などが残り4割という状況でした。インターン先にそのまま就職する生徒もいます。 一期生は入学時は1480人でしたが、転校などを含め現在の在校生は約2000人。最近は中学校の先生が勧めてくれているようです。最初は反対する先生が多かったようですが、この2年間で賛成に変わりました。この2年で我々が本気で教育していることが認知されてきたということだと考えています』、今後のN高校の展開を注目したい。

第三に、元外資系証券のアナリストで小西美術工藝社社長のデービッド・アトキンソン氏は3月27日付け東洋経済オンラインに寄稿した「日本人の「教育改革論」がいつも的外れなワケ 課題は「子ども」ではなく「社員教育」にある」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/273079
・『オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏。退職後も日本経済の研究を続け、『新・観光立国論』『新・生産性立国論』など、日本を救う数々の提言を行ってきた彼が、ついにたどり着いた日本の生存戦略をまとめた『日本人の勝算』が刊行された。 人口減少と高齢化という未曾有の危機を前に、日本人はどう戦えばいいのか。本連載では、アトキンソン氏の分析を紹介していく』、参考になりそうだ。
・『「子どもの教育」が日本の最優先課題なのか  テレビをつけるたびに、「子どもの教育がおかしい」「今の日本経済が低迷している原因の根本は学校教育にある」などという話が耳に入ってきます。 経済同友会でも経団連でも、またはほかの会合の座談会でも、必ず出るのが教育制度の議論と批判めいた話です。 一方で、「将来の日本を背負う子どもをどう教育していくべきか」という、教育改革についての議論も盛んに行われています。その裏には、教育を改革し、その新しい教育を受けた次世代ならば、日本の将来を劇的によくしてくれるのではないかという、願いにも似た期待が垣間見られます。 実は、以前から何度も教育をテーマとして取り上げてほしいとリクエストを受けてきましたが、これまではお受けするのをあえて避けてきました。それには明確な理由がありました。 それは私自身、日本の教育制度が日本経済の衰退の主因であるという考えには、疑問を持っているからです。 理由は2つあります。1つは、そもそも言われるほど日本の教育が悪いのか、悪者に見えるだけではないのかという疑問です。もう1つは、そもそも日本の教育の問題点は、子どもの教育ではなく成人の教育にあるのではないか。要するに、人生100年時代の日本で、教育の対象が間違えて議論されているのではないかという疑問です。 私が子どもの頃、イギリス経済はどん底の状態にありました。かつて大英帝国と呼ばれた大国も、第二次世界大戦後、輸出の機会が次々に減っていき、戦前の常識が通用しなくなっていったのにもかかわらず、政治も企業も労働習慣もなかなか変革できなかったのが衰退の理由です。 その当時、イギリスでは経済衰退の犯人探しが盛んに行われました。国民性、教育、政治、労働者の質と、なにもかもが犯人にされ、もうなにもかもがダメだという諦めムードが蔓延していきました。しかし、「これさえ変えればよくなる」という提言もあふれていました。今の日本とまったく同じです。 最終的には、サッチャー首相が中心となって大改革が断行され、経済は好転し始めました。マイナス方向に向かっていたイギリスの経済が、プラスの方向に動き出したのです 面白いことに、イギリス経済衰退の真犯人だと言われたにもかかわらず、変わらず放置されていた多くのことが「改善した」と言われるようになりました。結局は「真犯人」などではなかったのだとつくづく感じたのを、今も覚えています。 このイギリスの経験からすると、経済がダメだから教育がダメと言われるのか、教育がダメだから経済もダメになっているかという因果関係をしっかりと検証する必要があります。しかし、今の教育改革論は、いかにも日本的な感情論、感覚論にすぎない可能性が高いのです』、「真犯人」を見つけるのは簡単ではないが、「感情論、感覚論」に流されずに、「しっかりと検証する」姿勢の議論以外は聞く意味もなさそうだ。
・『経済が悪いと何でもダメに見える  年金問題を例にとって説明しましょう。 今の日本では年金制度が崩壊寸前だから、改革しなくてはいけないという意見をよく耳にします。今の年金制度は制度として健全ではないので、制度自体を変えるべきだという考え方が、日本では多数派ではないかと思います。 「健全ではないので、支出を抑えるべき」と主張する人は、年金の支給制度を変えるべきと言います。一方、年金の収入を充実させるべきだという人もいれば、運用を変えるべきだという人もいます。 しかし、分析をしてみると、年金制度の健全性と経済の健全性との間には、非常に強い関係があることがわかります。なかなか芳しくない日本経済の下、日本の年金が健全な状態にあるはずもないのです。 年金制度の健全性は制度の問題ではなく、経済の健全性次第だという分析ができるのであれば、年金制度をいじる前に、大元の経済を改善させていけば、制度自体は変えなくてもすみます。または、経済が改善しない場合に必要とされる改革より、軽く済むことも十分考えられます。 要するに、年金制度そのものに問題の本質・根本があるのか、それとも、より根本的な問題がほかにあるのかを考えるべきなのです。 先ほども述べたように、私は日本の教育制度が日本経済の衰退の主因なのか、甚だ疑問に感じています。というのは、私の分析では、日本経済の最大の問題点は、規模の経済が効かない極めて小さい企業で働く労働人口の割合が高すぎることで、教育云々は少なくても主要因ではない可能性が高いからです』、私も「日本の教育制度が日本経済の衰退の主因」とは思わないが、零細企業で働く労働人口の割合が高すぎるとも思わない。
・『日本の教育論は「対象」を間違えている  一方、『日本人の勝算』を書いているときに、日本の教育の問題についてある発見をしました。 確かに、今の日本の教育には問題があるのかもしれません。しかし、そもそも日本で論じられている教育論は、対象を間違えて進められているということが私の発見です。 前回の「企業に『社員教育を強制』するイギリスの思惑」でも説明したように、人口減少に対応するためには、日本は「高生産性・高所得」経済モデルに移行しなければなりません。そのためには、各企業に最先端技術を普及させることが重要です。新しい技術を導入するとなれば、それを使いこなすために、新たな社員の教育が必要になるのは当然のことです。 前回も紹介したように、社員教育と生産性との間には、極めて強い相関関係が認められます。 日本の場合、社員教育に関しての十分な研究データがないのですが、大変に残念な状況にあることが、専門家から指摘されています。 例えば、日本生産性本部は「日本の人材投資は、1990年代前半は約2.5兆円あったものが、年々減り続けており、2010年以降は約0.5兆円とピークの2割程度に低迷している。欧米諸国と比較しても、GDPに占める人材投資は著しく低い」という、学習院大学の宮川教授の分析を紹介しています。 高知工科大学の論文には、25歳以上の通学率は日本ではわずか2%で、OECDの平均である21.1%を大きく下回っていることが記載されています。 いずれの数字も、日本での「社会人教育」が諸外国に比べて、極めて遅れている事実を如実に物語っています。 このような状況が今後も続くようであれば、高生産性・高所得経済モデルへの移行はまず無理です。逆にいうと、このような状況が続いていることが、日本の生産性が低いまま一向に改善されず、新しい技術も普及しない1つの要因となっていると言えるでしょう。 先ほども指摘したように、社会人教育が進んでいないことは、日本の将来を考えると看過できない大問題です。 こういう話をすると、社員教育に注目して、直ちに是正すべきだという意見が沸き上がります。気持ちはわかりますが、私は、このことは問題の根幹ではないと解釈しています。 物事には原因と結果があります。日本における社会人教育がお寒い状況にあるのは、いわば結果です。経営者が生産性向上を追求していないのであれば、わざわざコストをかけて社員教育をする理由はありません。 日本にはあまりにも小さい企業がたくさんあり、そういった企業は最先端技術を導入できません。社員教育をするお金もないのですが、そもそも社員教育をする理由がないのです。 ですので、社員教育の問題を直接改善しようとしたところで、あまり大きな効果は期待できません。必要なのは経営者を生産性向上にコミットさせる政策です。これまで文部科学省がやってきた生涯教育に関する施策があまり効果が出なかった理由は、ここにあります。 要するに、日本では海外に比べて社員教育が充実していないという事実を基に、社員教育の充実を狙った施策を用意したとしても、それを使おうという経営者たちのインセンティブを高めないかぎり、利用されず無駄になってしまう可能性が高いのです。 日本政府が今まで行ってきた地方創生や中小企業政策、輸出政策などが、ことごとく空振りに終わっている最大の理由は、日本経済の衰退の原因をきちんと分析をしてこなかったことにあると思います。要因分析をしないままで、表面的な違いを見て講じた政策が、大きな効果をもたらすとは思えません』、「日本生産性本部は「日本の人材投資は・・・2010年以降は約0.5兆円とピークの2割程度に低迷」というのには驚かされた。ここまで余裕がなくなっているのだろうか。
・『教育は「人口動態」を無視して語れない  しかし、生産性向上にコミットするなら、どう考えるべきでしょうか。日本の教育を考えるときに、決して見逃してはいけないのは人口動態の変化です。 日本で教育について論じる場合、「子どもの教育」を論じることがほとんどなのではないでしょうか。今の日本では「教育とは22歳までに受けるもの」というのが、圧倒的に支配的な考え方になっているように感じます。 確かに1950年代は国民の55%が24歳以下でした。当時は今に比べると寿命が短かっただけではなく、子どもの絶対数が非常に多かったので、彼らにしっかりとした教育を施しておけば、そう遠くない将来、成長した彼らが企業の過半数を占めるようになり、同時に社会に大きな貢献をもたらす存在になるのです。ですので、彼らをしっかり教育するために知恵を絞るのは、非常に合理的であったと言えるのです。 しかし、2030年には、国民の82%が25歳以上になります。少子化によって子どもの数が減り、今後は、いつまでたっても若い人が人口の過半数を占めることはありません。さらに寿命が延びるのに伴い、仕事から引退する年齢は年々高くなっていきます。つまり、学校教育を受け終えてから、引退するまでの期間がいままでよりずっと長くなるのです。 子どもの教育の充実が重要なのは私も決して否定はしません。しかし、先ほども述べたとおり、全国民の82%以上が25歳以上になるのです。25歳以上の人を対象とした教育のほうが、わずか18%しかいない25歳未満の教育より、ずっと重要になるのは当然でしょう。 日本の教育のうち、幼児教育は世界的にも高く評価されています。一方、高校、大学と高等教育になればなるほど評価が下がっているのが現実です。World Economic Forumの評価では、基礎教育は世界第7位ですが、高等教育以上のランキングは第23位まで下がります。 社会人教育になるとさらに評価は低く、マネジメント・スクールのランキングとなると、第59位まで大きく下がります。 教育のレベルと生産性の相関を測ると、先進国になればなるほど、とくに大学以上の評価と生産性の水準の相関が強くなります。当たり前といえば当たり前の話なのですが、日本ではほとんど意識されていないのも事実です。 日本の教育は、言われたことを忠実に守る、いわば兵隊を作ることに関しては、すばらしい成績を出していますが、リーダー教育は非常に遅れています。 金融問題・文化財行政・観光戦略・生産性問題の関係で仕事をして感じるのですが、日本人のトップは知識を極めることは得意です。現状分析も徹底的にします。しかし、要因分析、予想、問題の本質を追求することは苦手です。というより、今までそういった分析を見たことがほとんどありません。報告書はどの国の誰よりも詳しい。しかし、示唆に欠けるのです。 この状況を打破するために、最も必要なのは大学レベル以上の教育機関と教育内容の改革でしょう。リーダー教育は大学教育の基本ですし、知識を積む高校までの教育を発展させて、示唆を探る教育こそ、大学教育の使命のはずだからです。 とくに、大学は青年だけのものではなく、成人した人が何度も通学する時期があるように改革する必要があります。先日、オックスフォード大学に通っている学生のうち、すでに1回大学を卒業している再就学者の比率が50%を超えたと聞き、びっくりしました。 何度も繰り返し述べているように、日本は人口減少と高齢化が世界一進む国です。この大変な状況を乗り越えるには、日本は世界一の「社員教育大国」にならなくてはいけないのです。 しかし、日本の教育の現状を見ると、まるで1950年代で時間が止まったように見えます。このことも『日本人の勝算』を書いている間に気づいた事実です』、「日本の教育は、言われたことを忠実に守る、いわば兵隊を作ることに関しては、すばらしい成績を出していますが、リーダー教育は非常に遅れています」というのは、その通りだ。
・『すべては「人口減少への対応」に帰結する  さて、今回で本連載は第11回目を迎えました。この連載では人口が激減する今後の日本が取り組むべきさまざまな問題をテーマに取り上げてきました。 小さい企業に勤める人が多い問題、技術の普及が進まない問題、輸出が少なすぎる問題、そして今回は教育の対象が間違っている問題を取り上げました。 これら一つひとつのテーマを見ると、それぞれが独立しているように見えるかもしれませんが、実はすべてつながっています。 日本経済の仕組みが人口増加を前提として出来上がっており、人口減少の時代には相応しくなくなっているので、大改革が必要不可欠だ。 どのテーマを掘り下げても、結局はこの結論に達するのです』、これについては、にわかには同意しかねるので、私なりにもっと考えてみたい。
タグ:教育 (その16)(「テスト結果を賞与に反映」が失敗する理由 「点取り教育」の被害者となるのは子どもだ、[議論]N高校に聞く子どもの「やりたいこと」の探し方、日本人の「教育改革論」がいつも的外れなワケ 課題は「子ども」ではなく「社員教育」にある) 福島 創太 東洋経済オンライン 「「テスト結果を賞与に反映」が失敗する理由 「点取り教育」の被害者となるのは子どもだ」 大阪市の吉村洋文市長 「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)の結果を来年度から校長や教員の人事評価に反映する制度を検討していると発言 「そんなことでは子どもの学力は上がらない!」 制度の是非を問うのに必要な論点とは? 大阪市の学力テストの結果が小学校・中学校ともに全科目で全国平均を下回り、他の政令指定都市と比較しても最低水準となった 「学力テストの結果と教員の評価を連動させれば、児童・生徒の学力向上につながるのか」 「学力テストの順位を高めることに意味があるのか」 生徒の成績を高める、あるいは下げる要素は無数に存在する。特にその子の家庭環境や学校外における勉強時間などが成績に与える影響は非常に大きい 子どもたちは生活習慣の乱れ、家庭での学習習慣、愛着形成の遅れ、言語能力の遅れといった「学力以前の複雑な課題」を抱えており、それを解消することが彼らの学習支援にもつながる 東京都足立区の小学校で、特定の児童の答案を無断で除外し、先生が試験中に生徒に誤答を気づかせるといった不正行為が2007年に発覚し、大きく報道 「数値による評価」がはらむリスク 海外の企業で広がり始めている「ノーレイティング」という考え方 脳科学によると、数値によってランク付けされることによって、人は学習や成長に対してネガティブになる「硬直的なマインドセット(スタンフォード大学のキャロル・S・ドゥエック教授が提唱)」が強化される 先生を数値によって評価しモチベートすること自体が、子どもたちの学力を向上させることに対してネガティブな影響を及ぼす可能性すらある 学力テストの点数向上のための指導偏重となり、本質的でこれから必要な能力の育成が疎かになる懸念 学力ではなく「学力テストの点数」を短期間で上げようとするばかりに、「上げやすい指標」に取り組み、生徒たちにとって苦手だったり、本当に身につけなければならない学力だったりがなおざりになってしまう可能性があるのだ 「本当に身につけなければならない学力」とは何 OECD 行政が教員にコミットすべきは「報酬」ではなく「育成」だと考える 堺市教育デベロップメントプログラム」という教員研修 育成と「働き方改革」を両立させるには? 日経ビジネスオンライン 「[議論]N高校に聞く子どもの「やりたいこと」の探し方」 角川ドワンゴ学園の運営する通信制高校、N高等学校 ネットによる授業をメーンとする従来型に縛られない方法を採用 ルートに沿って歩けば安心という神話は崩壊している 「多くの問題は検索しても答えが出ない」 最近生徒に「なぜ大人はネットとリアルを分けたがるのですか」と言われてショックを受けました。「私たちにとって、ネットは既にリアルの一部なんです」と言うんです デービッド・アトキンソン 「日本人の「教育改革論」がいつも的外れなワケ 課題は「子ども」ではなく「社員教育」にある」 「子どもの教育」が日本の最優先課題なのか 日本の教育が悪いのか、悪者に見えるだけではないのかという疑問 もう1つは、そもそも日本の教育の問題点は、子どもの教育ではなく成人の教育にあるのではないか 今の教育改革論は、いかにも日本的な感情論、感覚論にすぎない可能性が高い 経済が悪いと何でもダメに見える 日本経済の最大の問題点は、規模の経済が効かない極めて小さい企業で働く労働人口の割合が高すぎることで、教育云々は少なくても主要因ではない可能性が高いからです 日本の教育論は「対象」を間違えている 教育は「人口動態」を無視して語れない 日本の教育は、言われたことを忠実に守る、いわば兵隊を作ることに関しては、すばらしい成績を出していますが、リーダー教育は非常に遅れています すべては「人口減少への対応」に帰結
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本日は更新を休むので、明日にご期待を!

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新元号問題(その2)(安倍官邸は逆ギレ「令和=命令と平和」英訳まねいた不手際、小田嶋氏:好きなものは好きな名前で呼びたい) [国内政治]

昨日に続いて、新元号問題(その2)(安倍官邸は逆ギレ「令和=命令と平和」英訳まねいた不手際、小田嶋氏:好きなものは好きな名前で呼びたい)を取上げよう。

先ずは、4月3日付け日刊ゲンダイ「安倍官邸は逆ギレ「令和=命令と平和」英訳まねいた不手際」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/251065
・『「安倍政権の国粋主義を象徴している」――。新元号「令和」を巡り、海外メディアがこう報じたことに、安倍官邸がカンカンになっている。ナント、「令和」の英訳について、外国人記者にメールで反論したのだ。 1日付の米紙「ニューヨーク・タイムズ」(電子版)によると、官邸の石垣友明国際広報室長がメールで、「令和」が<order and peace>(命令と平和)と訳されていることについて、「意図した意味ではない」と指摘してきたという。 安倍官邸は、「令和」が「命令」を意味するとセンセーショナルに報じられていることに、かなり過敏になっているようだ。しかし、そもそも、海外メディアが<order and peace>と訳したのは、政府の対応が不誠実だったからだ。 官邸からのメールを受け取ったある外国人記者は、「新元号を世界に発信するなら、事前にちゃんとした英訳資料をつけるべき」と憤っていたが、まさにその通り。海外メディアの“英訳”にイチャモンをつける前に、官邸がきちんとした英訳を用意していればよかったのだ』、英訳版も用意せずに、やむなく翻訳した外国メディアに反論するとは、とんでもない大失態だ。昨日は官邸スタッフの発表時の演出を褒めたが、こんなことがあっては、評価はマイナスだ。
・『加えて、安倍官邸の不手際は他にもある。 外務省が「令和」の発表に伴い各国の在日大使に送ったとみられるFAXには、肝心の「令和」の意味が一切記されていなかった。オーストラリア放送協会の特派員は、自身のツイッターにFAXのコピーを載せ、こう投稿している。<新元号を各国大使に通知するFAX。「令和」の意味について何の記載もないけど……> 外務省はきのう、慌てて「令和」が「beautiful harmony」(美しい調和)を意味すると発表したが、時すでに遅し。米メディア「デーリー・ビースト」のジェイク・アデルシュタイン記者がこう言う。 「新元号の発表を巡って、安倍政権には、海外への対応が悪かった点が2つあります。まず、エープリルフールに発表したこと。ウソをついてもよいとされる日に国の重大事を発表するのは、国際的にマズイでしょう。さらに、きちんとした英訳資料を用意しなかったせいで、『令』を『冷』と誤解した結果、『令和』を『クールジャパン』と思った外国人記者もいました」 外国人記者の間では、政府による「令和」の説明を額面どおりに受け取ってもいいのか、不信感が広がっているという。 ウソつき政権を信じられなくて当然である』、官邸には外務省の官僚もいる筈だが、事前の情報統制が厳しかったためか、こうしう不手際を生んだのだろう。官邸内の官僚では経産省や警察が幅を利かしているので、外務省出身者は遠慮したのかも知れないが、とんだ失態である。

次に、コラムニストの小田嶋 隆氏が3月29日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「好きなものは好きな名前で呼びたい」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00116/00013/?P=1
・『新元号の公表を間近に控えて、この3日ほど、テレビ・雑誌をはじめとする商業メディアは、平成を振り返る趣旨の特集企画を文字通りに垂れ流し続けている。 読者各位も「平成最後の」という、年が明けてからこっち、何百回となく繰り返されてきた安直な接頭辞にうんざりしはじめている頃合いだと思う。 こんなことを言っている私自身、実は、出版社発の平成回顧企画に乗っかっていたりする。 具体的には 『街場の平成論』(内田樹編著、晶文社刊)という書籍に、9人の共同執筆者(内田樹、小田嶋隆、釈徹宗、白井聡、仲野徹、平川克美、平田オリザ、ブレイディみかこ、鷲田清一)のうちの一人として寄稿しているのだ。 本書について、簡単に説明しておく。 内容的に統一性はあまりない。相応にバラけている。あるいは、支離滅裂という言葉を使ってもそんなに的外れではないかもしれない。 9人の書き手が、事前の相談もなく、それぞれに思うところを思うままに書いたのだからして、統一がとれている方がむしろおかしい。そんなわけなので、全体として食い違いや矛盾が散見されることについては、多様性の然らしむところであると受け止めて、どうか寛容な気持ちで読み進めていただけるとありがたい。 どんなタイプの読者であっても、最低限5本か6本は関心にこたえるテキストを見つけることができるはずだ。 興味や関心とは別に、役には立たなくても、面白い文章はあるものだし、面白くなくても心を打つ原稿に出会える可能性はある。そういうところにこそ、オムニバスの価値が宿っていると思う』、「「平成最後の」という、年が明けてからこっち、何百回となく繰り返されてきた安直な接頭辞にうんざりしはじめている」にも拘らず、「出版社発の平成回顧企画に乗っかっ」たというのは、「物書き」の宿命なのだろう。
・『紹介ついでに、以下、私が担当した部分の原稿の内容を、箇条書きで要約しておく。新作映画のマッシュアップみたいなものだと思ってください。 1.一人の人間の生き死にを起点に時代の名前を付け替える「元号」という制度の不合理さには、常々強い違和感を抱いている。 2.なので、「平成最後の」という思慮の浅い定型句を並べられると、反射的に「うるせえばか」と思う。 3.その意味で、今上天皇が、ご自身の生死と元号の起動/終了を切り離した決断の明晰さには感服している。 4.平成という時代そのものについて言うなら、経済的には停滞の時代だったと思っている。 5.とはいえ、自分は経済の専門家ではないので、平成の経済事情を語ることはできない。 6.いち雑感コラムニストとして常々疑問に感じているのは、躍進と成長の果実を享受し続けていたはずの昭和後期の日本人が、なにかにつけてデモを組織し、ストライキを打ち、授業をボイコットし、バリケードを築いていたのに対して、低迷する経済と拡大する格差に苦しめられている平成の庶民が、ニヤニヤと自足していることだったりする。 7.公正さのために申し添えれば、平成の日本人は、経済的にはたしかに停滞の底に沈んでいるのだが、一方で、スマホとインターネットを手に入れた彼らは、「情報」と「コミュニケーション」の点では、昭和の人間とは比較にならない恵まれた環境を享受している。 8.交通手段の進歩が地理感覚を更新するように、コミュニケーション手段の高度化は人間関係や世界観の持ち方を根本的な次元で書き換える。 9.てなわけで、スマホを常時携帯しつつ、仲間の意図と自己の相対的位置を四六時中チェックしている平成の日本人は、側線を介して水流と水圧の変化を随時感知しながら、群れの中における自己の位置を永遠に微調整しているイワシに似た生き物に変容しつつある。 10.つまり、私ども日本人は、平成の30年を通じて、単なる個人としての自分自身にではなく、より巨大な集団の中の一員であることにアイデンティティを抱く群生動物に進化したわけですね。 11.なので、社会性昆虫ライクな人類である平成の日本人は、実質賃金が伸び悩んでいるみたいなことにいちいち不満は持たない。なんとなれば、賃金もまたあまたある宿命のひとつに過ぎないから。 12.先のことはわからない。まあ、なるようになるっていうか、なるようにしかならないのだろうね』、なかなか面白そうだ。特に、9.と10.は極めて適格な社会風刺だ。
・『一読して、あれこれツッコみたくなった人は、できれば全文を読んだうえで(つまり書籍を購入した後に)反応してくれるとありがたいです。 さて、平成に代わる新しい元号を予想する記事が、1カ月ほど前から、断続的に配信されている。 いずれも、たいした根拠はない。 というよりも、こんな与太話に根拠などあろうはずもないわけで、そもそも商業マスコミの記者ふぜいに予測できるのであれば、元号を変える意味などありゃしないのである。 半月ほど前にちょっと話題になったのは、埼玉県のとある酒販店が、新元号の制定を期に発売するヴィンテージ大吟醸酒のキャンペーンのために、ネット上で募集した新元号予想企画の結果だった。 1月10日段階での集計結果を見ると、トップの「安久」をはじめとして、ベスト10に入った文字列のうちの8個に「安」の字が含まれている。 これが、3月の中旬にテレビやスポーツ紙上で紹介されて、論争を招いたわけだ。 最近では、「東スポWeb」というスポーツ紙のサイトがこんな観測記事を配信している。《新元号候補「安」確定か? ささやかれる根拠》 あれこれ予測する人々が後を絶たないのは、それが彼らにとって安直な娯楽であるからに過ぎない。 当たるか外れるかは、問題外だ。 というよりも、万が一にでも当たる可能性があるのであれば、そんなゲームは許されないのであって、ということはつまり、予測している商業メディアが刺激的な見出しを打つ理由は、注目を引きたいから以上でも以下でもないわけだ。 私個人は、政府が新元号に「安」の字を含んだフレーズを選ぶとは思っていない。 無論、虚心に縁起の良い文字を並べていった結果、その中に「安」の字が含まれている可能性はゼロではない。 とはいえ、李下に冠を正さずという言葉もある。いかに官邸とて、あえて現職の首相の名前を強制挿入したと勘ぐられるような名称をこの期に及んで手づかみで持ち出すほど不用意ではないはずだ。 逆に、総理周辺が本気で「安」含みの元号で中央突破をはかろうとするのだとしたら、新しい時代は、安定や安心とはほど遠い混乱と恐怖の画期になることだろう』、さすがに「安」は使わないだろうとの「読み」は的中したようだ。
・『いずれにせよ、私は、新しい元号の文字面に関心を持っていない。 というよりも、元号予測でオンエア時間を費やしている番組を見る度に、うんざりしてさえいる。 元号は、いずれ役割を終えていく言葉だ。 そもそも、「平成」という言葉自体、「昭和」と比べると、はるかに存在感が希薄だった。 平成の時代を生きた日本人の多くは、自分たちが生きている時代を「平成」とは呼ばず「21世紀」とか「2010年代」とか「90年代」という言い方で区分することを好んだ。 理由は、その方が便利だったからでもあれば、通じやすかったからでもある。 必ずしも「平成」の30年間が冴えない30年間だったから、その言葉が嫌われたということではない。 個人的には、この30年の間に、「元号」ないしは「和暦」に対するわれら日本人の気持が冷めたことが、「平成」という時代名称の使用頻度を低下させたという、わりと単純な話だったのだと思っている。 たとえば、単行本の最後のページに記載されることの多い「著者略歴」の「生年月日」の欄は、私がライターとして文章を書き始めた1980年代(あるいは昭和60年代)当時は、ほとんどの場合元号に沿って表記されていた。 それが、1990年(平成2年)を過ぎた頃から、西暦表記を採用する著者が目立つようになり、2000年を過ぎると、元号スタンダードで著者プロフィールを掲載する書籍はほぼ皆無になった。 そして、現在、いくつかの例外(運転免許証の申請書類、確定申告のための書類などなど)を除けば、われわれの世界はほとんどまったく西暦に沿って動いている。 この流れはもはや誰にもとどめることはできない』、確かに本の著者プロフィールを始め、西暦表記は着実に広がっている。。
・『新しい元号が発表されて、しばらくの間は、メディアも騒ぐだろうし、視聴者や読者も面白がるはずだ。 会社名や商品名でも新元号にあやかったネーミングのブツが誕生することにもなるだろうし、話題性狙いでB級のタレントや下品な界隈の商売が新元号を看板に掲げて顰蹙を買ったりもすることだろう。 でも、2年もすれば多くの日本人は飽きる。 そうこうするうちに、公文書に新元号の記入を強要するような設定も、いずれ改められることになるはずだ。 私自身の話をすれば、私は、この平成の30年間、書類であれプロフィールであれ、元号を書かされる段になると、必ず立ち止まって考え込んでしまう著しくものわかりの悪いオヤジだった。 「えーと、いまは平成の何年に当たるんだっけか」「オレが学校を出たのは1980年だったはずなんだけど、ってことは、そりゃ昭和で言う何年に相当するんだ?」 「えっ? 昭和60年? って、それ西暦では何年だ?」と、西暦と元号のシンクロを求められる場面に遭遇する度に、毎回必ず同じ疑問に突き当たり、毎度まったく同じように検索したり他人に尋ねたりしながら、正しい年号をひねり出さなければならなかった』、西暦に慣れた私も、今回、所得税の確定申告時に、たまたま過去4年分の修正申告もする必要があったため、和暦と西暦の変換は手帳の早見表と首っぴきだった。
・『私が、こんな調子の惑乱に見舞われ続けてきた原因は、もちろん、自分のアタマの悪さに求めるべき話ではあるのだろうが、それ以上に、私自身が内心で、「平成」という外部から与えられた時代意識を、自分の中に取り込むことを頑として拒絶していたからなのだろうと思っている。 とすれば、平成についてさえこれほどまでに冷淡だった私が、新元号に対して宥和的であろうはずがないことは、すでにわかりきっている。 じっさい、私は、新元号みたいな見え透いた手練手管で自分の時代意識を左右されてたまるものかと、名称が決まるずっと以前の段階で、そう思い極めてしまっている。新しい元号がどういう文字の並びになるのであれ、私は、自分の時間がその文字の上を流れるとはついに感じないように気を配って暮らすつもりでいる。 もっとも、私が、元号制度をぜひとも廃止に追い込みたいとか、新元号を改革の炎とともに燃やし尽くしたいと思っているのかというと、そんなことはない。そこまでのことは考えていない。 確かに国際的に広く流布している西暦以外に、別建ての暦年の計算方法を持ち続けることは、不合理でもあれば非効率な話だとも思うのだが、時間の数え方や時代のとらえかたも広い意味で言えば文化の一部ではあるわけで、だとすれば、ひとつの独立した言語を持つ独立した文化圏の人間たちが、独自の時代区分を持ちこたえることを不合理の一言で片付けて良いものでもない。 平成と言いたい人は言えば良いし、新しい元号で何かを言い表したい人たちは好きなようにその言葉を連呼すれば良いと思う。 ただ、私としては、お国なりお役所なりが、公文書上で、国民に対して新しい元号の名前を書き込むことを強要するような制度や取り決めは、できれば廃絶してほしいと思っている。逆に言えば、そこのところさえなんとかしてくれるのであれば、新しい元号がどんな文字面になろうとも基本的には受け入れるつもりでいる』、昨日書いたように、私も全く同感である。
・『話を整理すれば、元号を使いたくない人間がそれを使わずに済む権利を保障してくれるのであれば、元号を使いたい人たちが元号を発音してうっとりすることを妨害しようとは思わないということだ。なんとなれば、自分の好きなものを好きな名前で呼ぶ権利は、民主主義が健全に機能するために、わりと大切な条件だと思うからだ。 なので、話はちょっとズレるのだが、新しい元号が動き出すタイミングで、選択的夫婦別姓制度を実現するための条件を整備しはじめてくれるとありがたい。 自分が好きになった人の姓を奪う(あるいは好きになった人のために自分の姓を捨てる)みたいな無慈悲なことを、どうして国が国民に対して強要できるのかが、私にはどうしてもよくわからない。 きれいごとだと思う人がそう思うのはかまわない。 ついでに言えば、私は、他人の言葉をきれいごとだと思う人間がきたない世界で暮らす権利を妨害しようとは思っていない』、「選択的夫婦別姓制度」にまで広がったことに驚かされたが、確かに小田嶋氏の主張には諸手を挙げて賛成だ。最後のオチも秀逸だ。
タグ:(その2)(安倍官邸は逆ギレ「令和=命令と平和」英訳まねいた不手際、小田嶋氏:好きなものは好きな名前で呼びたい) エープリルフールに発表したこと。ウソをついてもよいとされる日に国の重大事を発表するのは、国際的にマズイ 新元号問題 外務省はきのう、慌てて「令和」が「beautiful harmony」(美しい調和)を意味すると発表 日刊ゲンダイ 6.いち雑感コラムニストとして常々疑問に感じているのは、躍進と成長の果実を享受し続けていたはずの昭和後期の日本人が、なにかにつけてデモを組織し、ストライキを打ち、授業をボイコットし、バリケードを築いていたのに対して、低迷する経済と拡大する格差に苦しめられている平成の庶民が、ニヤニヤと自足していることだったりする 官邸の石垣友明国際広報室長がメールで、「令和」が<order and peace>(命令と平和)と訳されていることについて、「意図した意味ではない」と指摘 自分が好きになった人の姓を奪う(あるいは好きになった人のために自分の姓を捨てる)みたいな無慈悲なことを、どうして国が国民に対して強要できるのかが、私にはどうしてもよくわからない 選択的夫婦別姓制度を実現するための条件を整備しはじめてくれるとありがたい 自分の好きなものを好きな名前で呼ぶ権利は、民主主義が健全に機能するために、わりと大切な条件だと思う お国なりお役所なりが、公文書上で、国民に対して新しい元号の名前を書き込むことを強要するような制度や取り決めは、できれば廃絶してほしいと思っている 私自身が内心で、「平成」という外部から与えられた時代意識を、自分の中に取り込むことを頑として拒絶していたからなのだろう 元号スタンダードで著者プロフィールを掲載する書籍はほぼ皆無になった この30年の間に、「元号」ないしは「和暦」に対するわれら日本人の気持が冷めたことが、「平成」という時代名称の使用頻度を低下させたという、わりと単純な話だったのだと思っている 私が、元号制度をぜひとも廃止に追い込みたいとか、新元号を改革の炎とともに燃やし尽くしたいと思っているのかというと、そんなことはない。そこまでのことは考えていない 逆に、総理周辺が本気で「安」含みの元号で中央突破をはかろうとするのだとしたら、新しい時代は、安定や安心とはほど遠い混乱と恐怖の画期になることだろう いかに官邸とて、あえて現職の首相の名前を強制挿入したと勘ぐられるような名称をこの期に及んで手づかみで持ち出すほど不用意ではないはずだ 10.つまり、私ども日本人は、平成の30年を通じて、単なる個人としての自分自身にではなく、より巨大な集団の中の一員であることにアイデンティティを抱く群生動物に進化したわけですね。 9.てなわけで、スマホを常時携帯しつつ、仲間の意図と自己の相対的位置を四六時中チェックしている平成の日本人は、側線を介して水流と水圧の変化を随時感知しながら、群れの中における自己の位置を永遠に微調整しているイワシに似た生き物に変容しつつある。 5.とはいえ、自分は経済の専門家ではないので、平成の経済事情を語ることはできない。 4.平成という時代そのものについて言うなら、経済的には停滞の時代だったと思っている。 3.その意味で、今上天皇が、ご自身の生死と元号の起動/終了を切り離した決断の明晰さには感服している。 1.一人の人間の生き死にを起点に時代の名前を付け替える「元号」という制度の不合理さには、常々強い違和感を抱いている 『街場の平成論』 私自身、実は、出版社発の平成回顧企画に乗っかっていたりする 「平成最後の」という、年が明けてからこっち、何百回となく繰り返されてきた安直な接頭辞にうんざりしはじめている頃合 2.なので、「平成最後の」という思慮の浅い定型句を並べられると、反射的に「うるせえばか」と思う 「好きなものは好きな名前で呼びたい」 日経ビジネスオンライン 小田嶋 隆 きちんとした英訳資料を用意しなかったせいで、『令』を『冷』と誤解した結果、『令和』を『クールジャパン』と思った外国人記者もいました 安倍政権には、海外への対応が悪かった点が2つ 外務省が「令和」の発表に伴い各国の在日大使に送ったとみられるFAXには、肝心の「令和」の意味が一切記されていなかった ニューヨーク・タイムズ 外国人記者は、「新元号を世界に発信するなら、事前にちゃんとした英訳資料をつけるべき」と憤っていた 「安倍政権の国粋主義を象徴している」――。新元号「令和」を巡り、海外メディアがこう報じたことに、安倍官邸がカンカンになっている 「安倍官邸は逆ギレ「令和=命令と平和」英訳まねいた不手際」 海外メディアの“英訳”にイチャモンをつける前に、官邸がきちんとした英訳を用意していればよかったのだ
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新元号問題(その1)(「昭和」で“元号消滅”の危機もあった? 現憲法で制度は一時廃止 それでも元号が続いた理由とは 元号存続に一役買ったのが 日本会議だった、新元号 皇室の反対で本命封印か 安倍首相の方針転換と マスコミによる「安」の刷り込み、安倍首相は「改元の呪い」を克服できるか 過去3回の改元時には5カ月以内に首相退陣) [国内政治]

今日は、新元号問題(その1)(「昭和」で“元号消滅”の危機もあった? 現憲法で制度は一時廃止 それでも元号が続いた理由とは 元号存続に一役買ったのが 日本会議だった、新元号 皇室の反対で本命封印か 安倍首相の方針転換と マスコミによる「安」の刷り込み、安倍首相は「改元の呪い」を克服できるか 過去3回の改元時には5カ月以内に首相退陣)を取上げよう。

先ずは、4月1日付けハフポスト日本版「「昭和」で“元号消滅”の危機もあった? 現憲法で制度は一時廃止、それでも元号が続いた理由とは 元号存続に一役買ったのが、日本会議だった」を紹介しよう。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/nihon-conference_jp_5ca123e9e4b00ba6327ed477
・『4月1日、新しい元号が公表される。 元号は、明治から大正、昭和、平成、そして新元号と、歴代天皇とともに脈々と受け継がれてきた。 公文書などの年号表記に使われているが、今では西暦の使用が浸透しており、元号も天皇と同様に象徴的な存在になりつつある。 過去には元号制度が廃止され、慣習として存続した時期や、「昭和」で元号が打ち切られる可能性もあった。 元号存続に一役買ったのが、日本最大の保守系団体と言われる日本会議だった』、元号の歴史的経緯を振り返っておく意味は十分にある。
・『「昭和25年」で元号が終わりかけた  元号はもともと、天皇の即位だけでなく、めでたいことや災害などの不吉なことがある度に改められていた。(朝日新聞:1976年6月22日夕刊) 現在のように、天皇が代替わりする時だけ改元するようになったのは、明治時代からだ。ひとりの天皇でひとつの元号とする「一世一元」が法制度化され、元号は天皇統治の象徴となった。(朝日新聞:2018年7月30日朝刊) 第2次世界大戦後、現在の新憲法の施行にともなって、旧元号制度は廃止。元号はどこにも明文化されず、法的根拠を失った。 だが、当時の元号「昭和」は広く浸透していたため、政府は「事実たる慣習」として、元号を存続させた。(週刊アエラ:1989年1月20日)  一方で、廃止論も上がった。 1950年の参議院文部委員会で元号廃止が正式に検討され、「昭和」の元号は「昭和25年」で打ち切られる可能性があった。「昭和26年1月1日」はなく、その日から西暦に変え「1951年1月1日」とする。そんな法案がまとめられた。 ところが、この「元号廃止法案」は、別の法案成立を優先したため国会に提出されず、元号廃止法制定の動きはたち消えた』、元号が廃止の一歩前まで行ったというのは、初めて知った。
・『しかしその後、「慣習としての元号」は別の問題に直面する。「昭和」が終わった後、元号がどうなるのかということだ。 1975年3月18日の衆院内閣委員会で、内閣法制局は「陛下に万一のことがあれば、昭和という元号がその瞬間に消え、空白の時代が始まる」と答弁。元号は法的根拠がないために、天皇崩御で消滅するという見解を示していた。 また保守派の中には、元号が存続できなくなれば、天皇制自体を揺るがす動きも出てくるという危機感が広がっていた。(週刊アエラ:1989年1月20日) このような事情などから元号法制化の動きが加速し、皇室との結びつきなどを重視する人たちが1978年、「元号法制化実現国民会議」を結成。全国的な運動を展開し、1979年の元号法の成立を後押しした。 この「元号法制化実現国民会議」は、「日本を守る国民会議」に姿を変え、「日本を守る会」と合流して後に日本会議を結成する。(朝日新聞:2016年12月7日夕刊) 元号法で、1人の天皇でひとつの元号とする「一世一元」が復活し、旧制度では天皇が行っていた元号の選定は、内閣が政令で定めると明記した。 元号法の下、「昭和」の元号は廃止や“消滅の危機”を免れ、天皇崩御にともなって「平成」に改元された。そして今度は、生前退位という形で、新しい元号へと移ろうとしている』、日本会議の前身が「元号法制化実現国民会議」だったとは、恥ずかしながら初めて知った。
・『 日本会議、政府の事前公表に「遺憾の意」  元号の存続・法制化に大きな影響を与えてきた日本会議。国会議員懇談会には多数の議員が所属し、安倍政権の強力な支持基盤とされている。 だが新元号をめぐっては、政府の方針に異論を唱えている。日本会議国会議員懇談会は、「新天皇即位時に公表されることが原則だ」として、事前公表に反対し、5月1日の公表と新天皇による公布を求めていた。 一方安倍晋三首相は、5月1日当日の新元号公表は混乱を招くとして、国民生活への配慮から事前公表を方針を決定。4月1日に前倒しすることを決めた。 これに対して、日本会議は機関紙「日本の息吹」の2019年2月号に、4月1日公表とした政府の方針に対して「遺憾の意を表明する」見解を掲載した。 皇位継承前の元号決定・公表は、「歴史上なかったことであり、今回の元号制定方式が、将来の先例にならぬよう求める」と要望していた』、安部首相は 日本会議の言いなりにはならなかった訳だが、日本会議の主張は余りに原理主義的で、「国民生活への配慮から事前公表を方針を決定」した安部首相は珍しく正しい判断をしたといえよう。
私自身は、本来は元号を廃止して西暦に一本化すべきとの考えだが、主要国のなかで日本にしかない制度を続ける意味もあるので、元号に反対ではない。ただ、新元号を巡るマスコミの異常なフィーバーぶりには腹を立てているが、今日は、元号について、自分の頭を整理するために、敢えて取上げた次第。

次に、3月31日付けMONEY VOICE「新元号、皇室の反対で本命封印か。安倍首相の方針転換と、マスコミによる「安」の刷り込み」を紹介しよう。
・『新元号の発表を目前に控え、マスコミの報道も過熱している。はたして安倍首相の「安」の文字は入るのか?メディアは「自然な成り行き」を演出してきている。(『世に倦む日日』)・・・』、マスコミ報道の過熱ぶりは、いくら事前に準備をしていたとはいえ、目に余るものだった。
・『選定に関わった面々はいずれわかる?元号の出典をめぐる攻防とは 新元号をめぐる報道が過熱   27日、新元号についての報道が多くあった。4月1日の発表まで残り5日のタイミングであり、事前の最終のマスコミ報道(=政府リーク)である(※編注:原稿執筆時点2019年3月27日)。 その中で、日テレの報道に注目させられた。 「政府関係者によると、安倍首相はかねて『元号の出典は日本で書かれた書物がいい』と話しているということだが、日本の古典は、中国の古典を引用しているものが多いことから、日本と中国の古典の両方を出典とすることも検討しているという」とある。 これが事実なら状況が少し変わったことに気づく。 同じ日テレの1日の記事を確認しよう。こう書いている。「これまでの元号はすべて中国の古典から選ばれているが、安倍首相は周辺に対し、『元号の出典は日本で書かれた書物がいい』と話しているということで、今回は、室町時代までに漢文で書かれた日本の古典に由来する案も候補にあがっているという」』、これは目くらましだったのかも知れない。
・『皇室が政府案に反対か  読売・日テレは安倍晋三氏と昵懇(じっこん)の身内メディアであるため、安倍晋三氏はネタを優先的に漏らして撒かせることが多い。ここまでは、安倍晋三氏の主導で国書の出典が確実視されていたが、国書と漢籍の2つを同時に出典という、特殊な、そして妥協的な形式に変わった。 もしこれが事実なら、看取すべき意味と背景は1つであろう。東宮(皇室)が反対したということだ。2月22日に安倍晋三氏は東宮を訪れている。 そこで元号案が示されたことは推し量ってよく、この後にマスコミに「国書出典」の自らの意思を書かせ、また、国文、漢文、日本史、東洋史の4分野から元号の考案を委嘱する専門家を選ぶ方針を明言している。これは13日の国会で安倍晋三氏が答弁で語った。 元号の文字が日本の古典から採られたことは過去に一度もなく、異例であり、伝統と慣習を破る逸脱で、安倍晋三氏による元号の私物化の一部を成す不当な政策行為に違いないが、マスコミや野党から特に批判もなく、理由を質すことも行われず、そのまま押し通って承認される進行となっていた』、安倍首相の「中国嫌い」はともかく、「過去に一度もなく、異例であり、伝統と慣習を破る逸脱」というのは大げさ過ぎる。生前退位で近年の慣習を破ったのであるから、あとはどうでもいいような気がする。
・『元号選定に関わった面々は4月1日にわかる?  情勢的には、少なくとも3月中旬までは、「国書出典」が既成事実になっていたと言っていい。安倍晋三氏が国書に拘るのは、言うまでもなく反中国のイデオロギー的衝動からであり、すなわち宣長的・国学的な漢意(からごころ)排除の先鋭なナショナリズムに動機づけられた妄動に他ならない。日本会議のイデオロギーをこの政策機会に直截的に投射した方針判断だ。櫻井よしことか、長谷川三千子とか、大原康男とか、毒々しい極右ブレーンの面々が耳打ちする姿が浮かぶ。 日本の元号を漢籍出典のコードから解放し、漢意(からごころ)排除の新ルールにアラインさせることは、中国文化排斥の国粋主義者たちの悲願だったと言ってよい。とりわけPRCに対して敵意と憎悪を剥き出しにし、CPC打倒とPRC(注)解体という政治目標の達成をレゾンデートルにしているファナティシズム集団の日本会議は、この機会にどうしても元号を国書出典に変えねばならず、漢籍出典の方式が従来どおり踏襲されることは生理的に耐えられない不具合なのに違いない』、(注)CPCは中国共産党、PRCは中国
・『考案を委嘱した国文、漢文、日本史、東洋史の専門家について、菅義偉氏はそれが誰なのかは公表しないと言ったが、同志である日本会議系の極右学者が指名されていることは想像に難くない。 私は、これらの面々はすぐにペラペラ喋り出すだろうし、自慢したい者が周辺に内幕を漏らし始めるだろうと予感している。文化的教養ではなくイデオロギーの契機が突出・支配し、安倍晋三氏と仲間たちが私的欲望を満足させる過程となった今回の元号選定では、内面に緊張感や倫理感を欠き、秘密を厳粛に守るということが難しいと思われる。 安倍晋三氏は4月1日に談話を生中継して新元号の宣伝式をやるらしいが、それをやれば、当然、誰がどういう思惑で考案したかが類推・探索されることになる』、予想通り、候補案や最終案提唱者が直ぐに報道された。
・『本命の元号案を変更か  3月中旬までは、国書出典への方式転換を強調し、選抜する2文字も純血主義と固有主義で貫徹するつもりだったのが、発表まで1週間と迫った時点で、急に態度を日和らせ、国書と漢籍の両方に併存するコンパチブルな熟語にすると言い出した。日本会議的・宣長的な強硬なナショナリズムの拘泥から離れた。 つまり、ここで方針を変更している。おそらく、本命の元号案も変えたのだろう』、最終的には「国書」になったので、日本会議もさぞかし満足していることだろう。
・『なぜ安倍首相は方針を変えたのか  なぜ、安倍晋三氏は方針を変え、本命を変えたのか。 理由として考えられるのは、東宮(皇室)の抵抗しかない。皇太子(と両陛下)が、日本会議的なイデオロギーに染まった元号になることを快く思わず、拒否の内意を内閣に伝えたのだろう。 最近の皇室は、徐々に言論の自由を獲得・拡大する方向に進んでいる。聾唖たるを強制する束縛が緩んでいる。もし、2月下旬から始まった安倍晋三氏による皇太子への新元号選考の調整と説得が、皇太子のリベラルな思想信条を傷つけるもので、安倍晋三氏のエゴが皇太子に不快と苦痛を押しつけるものであったなら、その真相は、かなり早い段階で周辺に伝わり広がることになるだろう。それは、安倍晋三氏の不敬として、皇室に対する不遜な冒涜として歴史に刻まれる結果になる。安倍晋三氏(日本会議)は妥協させられたのだ。 25日のNHK-NW9で、西安の碑林博物館を訪れて「地平天成」の字句の前に立つ天皇陛下の映像を見たので、27日の日テレの報道は納得がいく。平仄(ひょうそく)が合う。 どうやら、安倍晋三氏(日本会議)は妥協して折衷案を考え出した可能性がある。 再び3月1日の日テレの記事を検証したい。ここには、「政府関係者によると、今月中旬と下旬に2回さらに説明を行うことを検討している」とあり、安倍晋三氏が3回も皇太子と面会するつもりだったことが書かれている。 結局、2月22日と3月29日の2回だけになった。皇太子が安倍晋三氏の無遠慮で無神経な「内奏」行為を嫌い、新元号を2人で相談して合意の上で決めたかのような形式が既成事実化されるのを避けたのだろう。 いずれにせよ、こうして右翼のイデオロギー的策謀が挫かれたことは歓迎すべきことで、安堵すべきことではある』、この部分は現在では当てはまらないので、参考までに引用。
・『「安」の文字は入るのか?  残る問題は、元号2文字に「安」の字を入れるかどうかに焦点集約されてきた。 ネットの議論では、いくら恥知らずの安倍晋三氏でもそこまではやらないだろうという常識論が多い。だが、そうした逸脱と暴走を貪婪(どんらん)に積み重ね、次々と閾値を超え、言語道断の悪事を「当然化」させて開き直ってきたのが安倍晋三氏だ。安倍晋三氏のマインドとスタイルというのは、金正恩氏と類比させて認識すべきもので、傲慢なエゴイズムを暴散させ、他者を屈服させるところに本質と特徴がある。 新元号発表の時が迫り、NHKのニュースでも、民放のワイドショーでも、新元号への関心と話題でずっと放送時間が埋められる状況が続いているけれど、どの局の番組でも、必ず「安」の字が入った候補を並べる演出で徹底している。 街頭での調査とか、どこかの人気投票とか、得体の知れないエビデンスの説明で、さりげなく「安」の字の元号を並べ、これがデフォルトで本命なのだと言わんばかりの「報道」が溢れかえっている。 3月に入って、「安」入り元号を懸念し牽制する声がネットで上がったが、それを無視するように、お構いなしとでも言いたげに、テレビに出演するレギュラー陣は「安」入り元号を当然視するコメントを吐き続けた。それは問題っではないか、私物化ではないか、権力者が自分の名前を元号に入れる暴挙ではないかというチェックを入れなかった。 一方、右翼はネットで盛んに「安」入り元号を正当化するプロパガンダ運動を始め、「安」入り元号に拒絶反応するのは左翼のアレルギーだと宣伝し、「安」入り元号で何が悪いと吠えまくっている。 当然、そこには自民党(ネトサポ)と日本会議の指令系統があり、匿名右翼を動員した世論工作のオペレーションがある。もし、安倍晋三氏が「安」入り元号を断念していたのなら、ここまで強烈に、凄絶に、テレビとネットで「安」入り元号の刷り込み工作はしないだろう。 少なくとも、これまでのテレビの新元号に関する放送を見るかぎり、安倍晋三氏が「安」入り元号の発表を強行した後で、「安」が「安倍」の「安」だと批判するのは一部による難癖だと言い張ったり、それは左翼のアレルギーだと開き直るための材料をマスコミが提供してきたことは間違いない。 世間一般が「安」入り元号を不審視せず受容する環境を、マスコミがせっせと整備してきた事実は否定できないだろう。マスコミはずっと「安」入り元号の地均しをやり続けてきた。(続きはご購読ください。初月無料です)』、マスコミが「「安」入り元号の刷り込み」をしたのは、最後までそうなる可能性があったということだろう。最終的にそれを断念した安倍首相には、まだ正常な判断力が残っていたようだ。

第三に、政治ジャーナリストの泉 宏氏が4月2日付け東洋経済オンラインに寄稿した「安倍首相は「改元の呪い」を克服できるか 過去3回の改元時には5カ月以内に首相退陣」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/274358
・『平成に代わる新元号は「令和(れいわ)」となった。政府が1日午前の臨時閣議で決定したもので、新天皇の即位に合わせて5月1日午前零時に改元される。 安倍晋三首相は1日の記者会見で、「(新元号には)人々が美しく心を寄せ合う中、文化が育つという意味が込められている」と強調した。出典は中国の古典ではなく、初めて日本の古典である万葉集から導き出した。元号での「令」の使用は初めて。年度替わりでの新元号決定は、天皇の生前退位・新天皇即位という憲政史上初の皇位継承に伴うものだけに、今後は改元に合わせて列島に「令和フィーバー」が巻き起こるのは確実とみられている』、「令和フィーバー」をテレビで見せられると思うと、やれやれだ。
・『首相は「安倍改元」をアピール  政府は1日午前9時半から、首相官邸でノーベル賞受賞者の山中伸弥京都大学教授や直木賞作家の林真理子さんら9人の各界代表・有識者による「元号に関する懇談会」を開催。続く衆参両院正副議長からの意見聴取や全閣僚会議で6つの案から新元号を選び、11時過ぎの臨時閣議で「令和」に決定した。菅義偉官房長官が午前11時半過ぎに発表し、安倍首相が正午過ぎに新元号決定に当たっての首相談話を読み上げるとともに出典など説明。安倍首相は「新しい時代には、国民の一人ひとりがそれぞれ花を大きく咲かせてほしい」などと一億総活躍社会も絡めて令和への希望と期待を込めた。 改元は、竹下政権だった1989年1月7日、昭和天皇の崩御を受けて行われて以来約30年ぶり。政府は基本的に前回の改元手続きを継承し、当時の小渕恵三官房長官(故人)と同様、菅氏が発表役を担った。ただ、前回は竹下登首相(同)は首相談話を出しただけだったが、今回は首相が会見して、内外に「安倍改元」をアピールした。 小渕氏が「平成」と墨書された額を掲げるシーンが象徴するように、前回の改元は「平成イコール小渕」という印象が国民の間に強く残った。行く先々で「平成おじさん」と親しまれた小渕氏は、改元から9年後の1998年に首相の座に上りつめた。新元号の発表方法には明確な規定がないため、今回は政府部内で首相が発表する案も浮上したとされるが、最終的には「閣議の内容は官房長官が発表するのが慣例」(安倍首相)との理由で、前回同様に菅官房長官が記者発表した。 前回の発表方法を決めた竹下氏は当時、「平成を決めたのは自分だが、歴史に残るのは小渕だわな」と周辺に話していたとされる。「汗は自分でかきましょう。手柄は人にあげましょう」が口癖だった竹下氏だけに、政界では「竹さんらしい」(自民長老)との評もあったが、当時の関係者は「小渕さんへの想像以上の反応に、『本当は俺が』と後悔していた節もある」(官邸筋)と振り返る。 今回も菅氏が「令和」と墨書された大きな額を掲げ、カメラのフラッシュを浴びたが、額は台の上に固定され、間をおかず安倍首相が登場して同じ会見台で談話を読み上げたことで、改元発表での主役は首相となった。会見開始時間も菅氏は地上波民放テレビ各局の昼ニュースが始まる午前11時半に合わせ、首相会見は正午のNHK昼ニュースの冒頭に合わせて全国に同時中継された』、「改元発表での主役は首相」とするため、ここまで演出を考えていたとは、官邸スタッフはさすがだ。
・『改元5カ月以内に首相退陣という「呪い」  首相サイドは「首相と官房長官の双方の面子を立て、結果的に首相が主役になるような演出となった」(側近)と解説。自民党幹部は「竹下氏と違って『俺が俺が』の傾向が強い首相だが、元号公表での『独り占め批判』を気にして、2段階にしたのでは」と苦笑する。これにより、首相が退陣後に「令和総理」と呼ばれる機会もありそうだ。 統一地方選前半戦の最中の新元号決定・公表は「安倍政権や与党にとってプラスの要因になる」との見方もある。さらに、政府が新天皇即位など一連の歴史的皇室行事を準備万全でこなすことで、「参院選に向けて政権浮揚の材料になる」(官邸筋)との期待も膨らむ』、「改元5カ月以内に首相退陣という「呪い」」があるとは初めて知ったが、残念ながら今回は当てはまらないようだ。「退陣後に「令和総理」と呼ばれる機会もありそう」というのは、長期政権の割にレガシーが少ない安倍首相にとっては、まんざらでもないだろう。
・『ただ、明治以降の改元に絡んだ政権のその後を検証すると、共通の歴史も見えてくる。明治から大正に元号が改められて以降、いずれも改元から5カ月以内に改元時の首相が退陣に追い込まれているからだ。このため、政界では秘かに「改元の呪い」との噂も広がる。 実際に昭和から平成への変わり目では、1989年1月8日の改元から5カ月足らずの6月3日に竹下首相が退陣した。「大疑獄」となったリクルート事件と、初めての消費税導入で竹下内閣の支持率が消費税(3%=当時)並みの一桁台に落ち込んだのが原因だ。その前は1926年12月15日に大正から昭和に元号が変わったが、当時の第1次若槻礼次郎内閣は昭和金融恐慌での台湾銀行の救済案を枢密院で否決され、翌1927年4月20日に総辞職した。さらに、第2次西園寺公望内閣は1912年7月30日の明治から大正への改元後、閣内での陸軍との対立などが原因で、同年12月21日に総辞職した。 こうした史実について、自民党内では「当時とは政治体制や政権を取り巻く状況が違い、全く参考にはならない」(細田派幹部)との指摘が多い。昨年9月に自民党総裁3選を果たした首相の任期はまだ2年半も残っており、党内では「4選論」もささやかれるような安倍一強も続いている。もちろん、国政選挙で惨敗すれば政権危機は避けられないが、政権交代を目指すはずの野党がバラバラで、選挙共闘協議も進まない現状から、「参院選でも自民党は一定の議席を確保して首相の続投は確実」(自民幹部)というのが政界の常識だ。 また、今回の改元からちょうど5カ月後の10月1日には、政府が消費税を10%に引き上げる予定だ。「景気後退はそれ以降で、しかも、2020年夏の東京五輪までは大きな落ち込みはないはず」(経済界首脳)との見方が多く、増税がすぐ退陣につながることも考えにくい。最大の懸念材料とされるのは首相の体調だが、これも3月末の人間ドックでの定期健診も踏まえ、「首相の体調は就任以来最高」(側近)とされ、「12年前のような急激な体調悪化がない限り、体調不良による退陣もあり得ない」(自民幹部)というのが大方の見方だ』、「10月1日には、政府が消費税を10%に引き上げる予定だ。「景気後退はそれ以降で、しかも、2020年夏の東京五輪までは大きな落ち込みはないはず」(経済界首脳)との見方」は、既に、景気は景気後退局面に入りつつあり、経済界首脳の見方はずいぶん甘いように思う。日米交渉の行方如何では、なんとか持ち堪えている株価も弱含みにならざるを得ないだろう。
・『安倍長期政権に欠ける政治的遺産  とすれば、安倍首相が改元の呪いを克服するのは難しくはないようにみえる。皇位継承が現実化した時点から、安倍首相が「平成のその先の新時代をリードしたい」と繰り返してきたのも、史上最長記録を更新する超長期政権への自信と余裕の表れでもある。 ただ、記録的な長期政権に欠けているのが歴史に残る「レガシー(政治的遺産)」だ。政権の大看板のアベノミクスは「永遠の道半ば」(自民長老)などと揶揄され、首相が悲願とする自衛隊の存在を明記するための憲法改正も在任中の実現は困難視されている。さらに、得意の外交でも、ロシア側の強い姿勢もあって、北方領土問題を含めた日ロ平和条約交渉の長期化は避けられない。首相が任期中の決着を公約してきた北朝鮮の日本人拉致問題も、解決の糸口すら見つけられないのが現状だ。 2021年9月の自民党総裁の任期満了までこの状況が変えられなければ、史上最長政権となっても安倍政権の政治的レガシーは作れず、東京五輪と改元だけが歴史に残ることになる。さらに、2度にわたる消費税増税で景気が悪化すればこちらは「負のレガシー」になる。もし首相が「レガシー無き史上最長政権」を余儀なくされることになれば、後世にはそのことが「改元の呪い」と喧伝されることにもなりかねない』、泉氏の楽観的な景気の見方でも、安部首相にとっては、余りいいことはなさそうだ。
タグ:改元5カ月以内に首相退陣という「呪い」 今回は首相が会見して、内外に「安倍改元」をアピール 前回は竹下登首相(同)は首相談話を出しただけ 首相は「安倍改元」をアピール 「安倍首相は「改元の呪い」を克服できるか 過去3回の改元時には5カ月以内に首相退陣」 東洋経済オンライン 泉 宏 世間一般が「安」入り元号を不審視せず受容する環境を、マスコミがせっせと整備してきた事実は否定できないだろう 右翼はネットで盛んに「安」入り元号を正当化するプロパガンダ運動 どの局の番組でも、必ず「安」の字が入った候補を並べる演出で徹底している 「安」の文字は入るのか? 皇太子(と両陛下)が、日本会議的なイデオロギーに染まった元号になることを快く思わず、拒否の内意を内閣に伝えたのだろう なぜ安倍首相は方針を変えたのか 本命の元号案を変更か 日本の元号を漢籍出典のコードから解放し、漢意(からごころ)排除の新ルールにアラインさせることは、中国文化排斥の国粋主義者たちの悲願だった 反中国のイデオロギー的衝動 「国書出典」 元号選定に関わった面々は4月1日にわかる? 元号の文字が日本の古典から採られたことは過去に一度もなく、異例であり、伝統と慣習を破る逸脱で、安倍晋三氏による元号の私物化の一部を成す不当な政策行為に違いない 皇室が政府案に反対か 新元号をめぐる報道が過熱 「新元号、皇室の反対で本命封印か。安倍首相の方針転換と、マスコミによる「安」の刷り込み」 MONEY VOICE 安倍晋三首相は、5月1日当日の新元号公表は混乱を招くとして、国民生活への配慮から事前公表を方針を決定。4月1日に前倒しすることを決めた 日本会議国会議員懇談会は、「新天皇即位時に公表されることが原則だ」として、事前公表に反対 日本会議、政府の事前公表に「遺憾の意」 今度は、生前退位という形で、新しい元号へと移ろうとしている 元号の選定は、内閣が政令で定めると明記 元号法で、1人の天皇でひとつの元号とする「一世一元」が復活 後に日本会議を結成 「元号法制化実現国民会議」 元号法制化の動きが加速 「元号廃止法案」は、別の法案成立を優先したため国会に提出されず、元号廃止法制定の動きはたち消えた 政府は「事実たる慣習」として、元号を存続させた 現在の新憲法の施行にともなって、旧元号制度は廃止。元号はどこにも明文化されず、法的根拠を失った 「昭和25年」で元号が終わりかけた 「「昭和」で“元号消滅”の危機もあった? 現憲法で制度は一時廃止、それでも元号が続いた理由とは 元号存続に一役買ったのが、日本会議だった」 ハフポスト日本版 「改元の呪い」 もし首相が「レガシー無き史上最長政権」を余儀なくされることになれば、後世にはそのことが「改元の呪い」と喧伝されることにもなりかねない 2度にわたる消費税増税で景気が悪化すればこちらは「負のレガシー」になる 日ロ平和条約交渉の長期化は避けられない 大看板のアベノミクスは「永遠の道半ば」(自民長老)などと揶揄 安倍長期政権に欠ける政治的遺産 政府が消費税を10%に引き上げる予定だ。「景気後退はそれ以降で、しかも、2020年夏の東京五輪までは大きな落ち込みはないはず」(経済界首脳)との見方が多く、増税がすぐ退陣につながることも考えにくい 退陣後に「令和総理」と呼ばれる機会もありそう 新元号問題 「参院選でも自民党は一定の議席を確保して首相の続投は確実」 (その1)(「昭和」で“元号消滅”の危機もあった? 現憲法で制度は一時廃止 それでも元号が続いた理由とは 元号存続に一役買ったのが 日本会議だった、新元号 皇室の反対で本命封印か 安倍首相の方針転換と マスコミによる「安」の刷り込み、安倍首相は「改元の呪い」を克服できるか 過去3回の改元時には5カ月以内に首相退陣)
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レオパレス問題(その1)(レオパレスを待ち受ける修羅場 予想される空室増や前払い契約の返金の打撃、レオパレスが虫の息 施工不良・サブリース契約の2大厄災を蔓延らせた責任は誰にある?、レオパレス21施工不良問題 第三者調査委員会は問題だらけ) [金融]

昨日の「金融関連の詐欺的事件(その8)」に続いて、今日は、レオパレス問題(その1)(レオパレスを待ち受ける修羅場 予想される空室増や前払い契約の返金の打撃、レオパレスが虫の息 施工不良・サブリース契約の2大厄災を蔓延らせた責任は誰にある?、レオパレス21施工不良問題 第三者調査委員会は問題だらけ)を取り上げよう。

先ずは、株式会社さくら事務所創業者・会長の長嶋 修氏が2月14日ダイヤモンド・オンラインに寄稿した「レオパレスを待ち受ける修羅場、予想される空室増や前払い契約の返金の打撃」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/194008
・『33都道府県で1324棟、およそ1万4440人が退去を迫られる事態となった、レオパレス21の施工不良問題。入居者やアパートオーナーの損失はもちろん、レオパレスの経営にも大打撃が予想される。なぜ、こんなずさんな工事を許す事態となってしまったのだろうか?』、日本で上場会社がこのようなことを起こすとは、全く信じられないような酷い話だ。
・『「レオパレス物件はヤバい」という都市伝説を証明してしまった  賃貸アパート大手、レオパレス21のアパートで、使用した外壁などの部材が、建築確認申請とは異なる仕様で耐火性や遮音性について基準を満たしていないなどの施工不良が見つかり、大騒ぎとなっている。 その数、33都道府県で1324棟。およそ1万4440人が退去を迫られる。入居者にはお気の毒というしかない。同社のアパートは「どこかの部屋のドアチャイムを鳴らすと入居者全員が出てくる」とか、「テレビのチャンネルを変えると、隣の部屋のテレビチャンネルが切り替わる」といった、都市伝説的な噂がまことしやかに流れていたが、今回それを証明してしまったような形となった。 コスト削減のため耐火性に劣る違法な部材を使っていた可能性があり、業界では「組織的な不正」を指摘する声も出ている。しかし、当初使う予定だったグラスウールといった素材は、実際に使われたウレタンより低コストであることが多く、この点だけでコストダウンを狙ったわけではないようだ。 レオパレスは7日の会見で「施行性を優先した」としている。つまり、工期を早めることによる「人件費削減」「金利負担の低減」、ひいては月末・年度末などの決算に合わせた「売り上げや利益の確保」が目的だったと推定できよう。 また会見で、同社は「現場がやったことだ」としているが、その主張は受け入れがたい。ここでいう現場とは、各地にある無数の下請け工務店を指すものと思われるが、彼らが全国規模で一斉に不正を行ったとは考えにくいだろう。同社はプレスリリースで、複数の図面が存在していたと認めており、建築確認申請の図面と、現場に渡される図面が異なっていた可能性が高い。 アパートオーナーの怒りも収まらない。この状況で万一火災などの被害が出た場合には、アパートの所有者であるオーナーの責任となる。レオパレスとしては入居者全員に退去を申し入れたうえで、順次建物を改修するとしているが、かなりの時間を要するだろう。工事費はもちろん、空室期間中の家賃もレオパレスが負担するとしているが、工事後に入居者が戻ってくる保証はない』、「「レオパレス物件はヤバい」という都市伝説」があったというのは初めて知った。
・『損失額は現預金の半分!懸念される前払い入居者の解約騒ぎ  なにより懸念されるのは、レオパレスの経営だ。事件公表前の株価は500円前後で推移していたが、公表後は連日のストップ安、現在は約半値の255円(2月13日現在)程度で推移している。今年度の損失予想は、従来の43~61億円から373~391億円へと大幅に上方修正された。同社の現預金は892億円(2018年12月末)だから、およそ半分を喪失することになる。また、こうした損失計上は時間の経過とともに、さらに膨れ上がるのが常である自己資本比率は35.2%あり、すぐにつぶれることはなさそうだが、黄信号が灯った、というところだろう。 問題はこの後である。レオパレスは昨年春にも、屋根裏の壁がないなどの施工不良が発覚しており、空室数は3.6万戸程度から8.3万戸へと急増した。今回の大規模な施工不良発覚を受けて今後、さらなる空き家の増加は必至だろう。入居率は85.38%(2019年1月時点)となっているが、これは要確認だ。こうした空室率の計算方法にはいろいろあり、一般的な感覚では「退去から入居まで」の期間が普通だが、「募集開始から入居者決定まで」「空室が1ヶ月未満であれば、空室とカウントしない」としていることもある。 空室率が増加すれば、アパートオーナーへの家賃保証も減額せざるを得なくなる。また、今回の悪評でレオパレスの借り手はもちろん、アパートを建てるオーナーも大幅に減少すれば経営はジリ貧となり、会社の先行きが危ぶまれる事態となろう。 同社のサービスには「学割プラン」というものがあり、4年分360万円程度を先払いしている学生もいる。このサービスは主に大学生をターゲットとしており、例えば4年分の家賃はおよそ400万円だが、一括払いしてくれれば10%割り引いて約360万円とし、家具家電付き、水道光熱費ゼロ、ほかのレオパレス物件に引っ越しも可能というものだ。今後は、レオパレスの経営を危ぶむ契約者から、解約・返金を求める動きも出るだろう』、株価は今日で219円とますます軟調で、破綻を織り込みつつある。
・『施工不良物件を出さないための再発防止策は2つある  ところで、こうした事態を防ぐにはどうすればよかったのか。「レオパレス違法建築被害者の会」は12日の会見で「現行の検査態勢が違法建築を許したわけで、国にも責任がある」としているが、そもそも建築確認申請と違う書類が存在すれば見抜くことは不可能。また、同シリーズのアパートには天井裏や床下に点検口がついておらず、完了検査時には全て塞がれて内部を確認できない。 建築確認や工事中検査の厳格化にはコストが付きまとい、アパート価格に転嫁されるから、やみくもな検査厳格化は消費者にとってもデメリットがある。また、同被害者の会は金融庁に対し、レオパレスが修繕費用などの負担で倒産しないよう、経済支援を要請したとしているが、これにはいかにも無理があろう。 とりあえずの再発防止策として考えられるのは以下の2つだ。 まず「点検口の設置義務付け」だ。そもそも点検口がなければ雨漏りや水漏れなども発見が遅れ、対応できない。住宅の寿命という観点からも、点検口の設置は義務付けたほうがいいだろう。 次に「工事管理ガイドラインの設定もしくは法制化」。昔も今も現場は人手不足だ。特に現場監督は慢性的に多忙で、全ての現場をくまなく見て回るのは不可能なケースが多いのが実情だ。現場監督1人が担えるのは、せいぜい7~8現場までだろうと考えられるが、12現場、中には15現場程度抱えているケースも少なくない。満足のいく工事管理が行えるレベルを国が示したほうがいいだろう』、とりあえずの再発防止策については、その通りなのだろう。公的検査の問題については、筆者は立場上、厳格化には後ろ向きのようだが、次の記事で詳しく解説している。

次に、3月31日付けMONEY VOICE「レオパレスが虫の息。施工不良・サブリース契約の2大厄災を蔓延らせた責任は誰にある?」を紹介しよう。
https://www.mag2.com/p/money/658971
・『施工不良が発覚して大きな問題となっているレオパレス21。そもそもの元凶は、サブリース契約という「うまい話」で投資家を騙し続けてきたことにあります。(『らぽーる・マガジン』)※本記事は、『らぽーる・マガジン』 2019年3月26日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ』、サブリース契約について、詳しく解説してくれるようだ。
・『騙される方が悪いのか?「サブリース契約」の問題点を総まとめ 元凶は「施工不良」と「サブリース契約」  当メルマガでは2018年4月2日(306号)で「かぼちゃの馬車」問題を取り上げました。そのときにも問題となったのが「サブリース」という契約です。そして昨年発覚したレオパレス21に関する問題でも、再びクローズアップされることになりました。 まずは、昨年発覚した「レオパレス21」問題を整理してみましょう。 この問題は、大きく2つの要素に分けて検証されると思われます。1つは「施工不良」、もう1つは「サブリース契約」です』、なるほど。
・『施工不良〜組織的、構造的な問題と国の責任  レオパレス21は、オーナーの物件を一括で借り上げて、それを転貸(いわゆるまた貸し)することを主な業としています。 今回の件で言えば、レオパレス21の収益は、+投資物件の建築 +賃貸業務および物件管理 から得る仕組みとなっています。 物件建築においては、建築コストを抑えることで収益幅は大きく得られます。建築会社に対しては、違法にコストを抑えることによる収益確保に対しては、国は常に目を光らせなければならないという部分では、国家としての責任が問われるのではとの指摘もあります。 不動産コンサルタントの長嶋修さくら事務所会長はテレビ番組で、投資用物件建築を請け負う時の価格は、通常よりも高めに設定されることが多いそうです。 レオパレス21は、オーナーから依頼の投資用物件建築では、かなり収益を得ているのではと、長嶋氏はおっしゃっておられました。 この施工不良問題は、創業者の深山祐助元社長がかかわっているのではとの指摘があり、レオパレス21という会社の組織的・構造的な問題が問われています。 施工不良を調査している外部調査委員会中間報告書では、2006年まで社長を務めた深山祐助元社長の直轄部署だった商品開発部門で、施工業務の効率化などを目的に、仕様と異なる部材を使う方向性が示されたとしました。 また、アパートを開発する段階において、物件が建築基準法といった法規適合性を満たすかどうかの判断を、専門的に行う部署がなかったとしています。当然のことながら報告書では、屋根裏の界壁が未設置だったことをアパート施工時に見抜けなかったチェック体制を問題としています。 実はレオパレス21は2012年ごろから、オーナーとの民事訴訟を抱えていました。 オーナーは裁判で、屋根裏の界壁が施工されていないことを「建物の瑕疵にあたる」と主張していて、昨春にレオパレス21がこの問題を公表する以前から、経営陣は、界壁問題を認識していたのではないかとの疑いがあります。 「知らなかった…」深山英世現社長の主張ですが、経営陣が把握していたかどうかも今後問われることになりそうです。 事実として、天井の耐火性に問題のある物件で7,700人の入居者が引っ越しを迫られることになり、全国32都府県にわたり、問題のある物件があるということです。 国土交通省は他社物件でも同様の問題がないかを調査するとしています』、「2012年ごろから、オーナーとの民事訴訟を抱えていました」というのでは、「知らなかった…」との深山英世現社長の言葉は嘘になる。
・『施工不良〜確認の不備、監理の不備  欠陥住宅に関しては、2つの不備が指摘されます。 +建築確認システムの不備 +建築監理の不備 前者がまさに、国の責任が問われることにもなります。 たしかにレオパレス21側の組織的な施工不良を行った経緯はありますが、それらの建物はすべて第三者機関による完了検査を受けて合格し、「検査済証」が交付されているはずです。 不正を見抜けなかった検査体制に対する疑問や非難が声高に上がってこないのはなぜでしょうか。 建物の検査には「中間検査」と「完了検査」があり、中間検査に合格しなければ「完了検査」を受けることができず、当然検査済証が発行されることもありません。最低でも2度にわたる検査が行われたにもかかわらず、界壁などの不法行為が見逃される検査体制に問題はないのでしょうか。 検査員は行政庁からの天下りが多く、建築関連退職者の再就職先の大口受け皿となっているのが現実だそうです。行政庁の建築関係部署を定年退職した人が何人も民間建築確認審査機関に再就職しており、大半の検査員はそれらの人が占めているという指摘もあります。 この事実と、今回のレオパレス21の施工不良の問題と関係があるのかどうかはわかりませんが、昔から、官僚の天下りという構造問題、民間企業と官僚の関係を紐付ける意見はあります。 地方公共団体の建築主事のみが建築確認、検査事務を行なってきたものを、人手不足等から生まれる杜撰な検査から欠陥住宅が生まれるという指摘から、1998年に当時の橋本内閣は、「建築確認、検査事務」を民間の指定確認検査機関に門戸を開放するべきと主張し、民間の指定確認検査機関を創設することにより、株式会社を含む民間機関に開放された検査体制を構築しました。 ゼネコンやハウスメーカーなどの株式会社(施工業者)が集まって指定確認検査機関を作ることもできる法案であることから、公正中立な確認検査が本当に担保されないという指摘がある中で、検査業務の民間機関への開放した後に、2005年に耐震偽装問題が発覚しました。 このときも、国が認めた機関が「検査済み」のお墨付きを与えていた物件に問題があったことは、大きくは取り上げられませんでした。 耐震偽装問題の根本は、「経済設計」というもっともらしい言葉によるコスト削減で、物件価格を低く抑えることで、消費者にもメリットがあるような印象を与えていたものでした。 後者の「建築監理」とは、設計図どおりに作業が進められているかを、建築士が現場に赴いて監督するものですが、これが十分になされていれば、こんな屋根の界壁未設置などは防げたはずなのです。 建築監理者である建築士は、レオパレス21側が選んだ人なのでしょうかね』、耐震偽装問題に続いて、検査機関の手抜きが明らかになったのに、「不正を見抜けなかった検査体制に対する疑問や非難が声高に上がってこないのはなぜでしょうか」、背後には国交省がマスコミを誘導した可能性もあるのではなかろうか。
・『閑話休題〜広瀬すず事務所の訴え  レオパレス21のコマーシャルをめぐってこんな話があります。あくまでもネットで拾った「ネタ」であることを説明しておきます。 2015年から「レオパレス21」のCMに出演してきた広瀬すずさん。彼女の“出世作”ともいえるシリーズだったのですが、事務所側が「広瀬すずのイメージ低下懸念とほかのCM出演企業への配慮」から、レオパレス21にCM契約中止を申し入れたところ、レオパレス21側は違約金を請求するという態度に出ました。 その後、国土交通省の調査を受け、レオパレス21の社長は謝罪、逆に広瀬側が謝罪と違約金を求めることになったといういきさつがあるようです。この問題のこぼれ話としてとらえてください』、CMは企業不祥事が起きた場合には、出演タレントのイメージ低下につながる恐れがあるのだから、初めから企業を厳しく選んでおく必要がある。途中から「CM契約中止を申し入れた」とは事務所側もお粗末だ。
・『サブリース契約の問題点〜歴史から考える  サブリースとは、賃貸オーナーに代わり不動産会社が賃貸住宅を借り上げ、入居者の応募や建物メンテナンスまで一括して不動産会社が請負家賃保証や空室保証などを行うところもあります。 平たく言うと「転貸」、いわゆる「また貸し」のことですね。レオパレス21という会社は、このサブリース契約による事業最大手と言えます。 千葉商科大学国際教養学部太田昌志准教授がラジオ番組で、サブリース契約の歴史について語られていました。それを要約しますと「サブリース」制度とは… もともとはアメリカで生まれた制度で、地主さんの使っていない土地を集めて、「使っていないなら自分達でテナントを探すから貸して…」という業者が現れ(今で言う「仲介業者」ですね)、「使っていないのだから安く貸してね…」という感じで取引がなされ、地主さんにしても「税金分が浮けばいいや…」という感覚で始まったものだそうです。 どちらかというと、大きく儲けるよりも、「使っていない土地からお金が生まれるだけで十分…」という感じでした。 ところがこの制度が日本に上陸したとたんに、「これで一発あててやろう…」という「儲け」の仕組みに変わったのだと、太田准教授はラジオ番組で語っていました。 使っていない土地の有効活用というサブリース制度を、不動産には絶対的な価値がある日本においては、「積極的な儲けの道具」となっていったようです。 そもそも土地に大きな価格がつくという日本社会では、土地を持っている者と持っていない者との間には絶対的格差が生じます。土地を持っているだけで「金持ち」となり、土地を持つ者と持たない者との格差は、バブル経済とともに大きく広がっていきました。 土地を持ちたくても高くて買えない人たちが、土地を持っているだけで「金持ち」に属している人たちに逆転勝利を狙う(この場合「勝利」は金持ちになるという意味で使っています)手段として「サブリース」手法が使われたところがあると太田准教授はおっしゃっておられました。 詳しいことは後述しますが、サブリース契約が広まった経緯を知る上で、サブリース制度が「夢のある博打」的な要素があったということです。 また「支配床(ゆか)」という概念も、サブリース制度普及にかかわっています。 自分の裁量でテナントを見つけられる面積を「支配床(ゆか)」と表現するそうです。自分たちの力でこの支配床を広げるには限界があり、仲介業者に頼めば、手数料はかかりますが、支配床を広げることができるという大手企業の思惑も、サブリース制度拡大につながったようです。 大手企業は、東京の一等地を手にすることができ、その土地があるだけで常に優位に立てますが、中堅企業には高い値段が付く土地を持つことができないので、中堅企業が大手企業に肩を並べるには、土地の再開発を進めて価値をつけるしかなく、その際にサブリース制度が用いられた経緯があります』、日本でのサブリースは発祥のアメリカとは、似て非なるものになったようだ。
・『この「再開発」という言葉もポイントで、大きく成長するために強引な手法がとられたことも、レオパレス21問題の背景にあったとも言えそうです。 地主とテナント側が直接契約するよりも、サブリースでは、仲介業者への手数料がかかります。仲介会社の手間賃、いわゆるコストをそれぞれ少しずつ「損」として我慢しようというのが米国制度での考えですが、日本ではこれが少し違ってきます。 仲介業者のコストは、テナント側の賃料に転化されています。通常の賃料よりかは割高に設定されているようです。 またオーナー側は銀行融資で投資物件(アパート等)を建てますので、テナント賃料から仲介会社の取り分を除いたオーナー分は、銀行返済額よりも多くなければなりません。 賃料は、それらの思惑で決められるので割高になる傾向にあります。今回、このバランスが崩れたことにより問題が表沙汰になったと考えられます。 少し高めの賃料でも、経済環境が良ければ許容範囲であったものが、景気悪化でより安い賃料のところが求められるようになると、賃料割高のサブリース物件は空室が目立つようになり、他物件に対抗して賃料を引き下げることが求められてきます。 そうなるとオーナーは銀行への融資返済ができなくなる、いわゆる「赤字」に陥ってしまう恐れが出てきます。 この「賃料引き下げ」にいたる過程が、大きな問題となっています。これが、サブリース問題の本質ともいえる部分で、それが「契約問題」です』、賃料を引き下げた結果、銀行への融資返済ができなくなるのは確かに深刻な問題だ。
・『サブリース契約の問題点〜契約から考える  レオパレス21等の仲介業者とサブリースをお願いする側(一応オーナーと表現:オーナーの詳細は後述)との間の契約事項が問題になっています。 というよりも、セールス・トークと契約内容の違いが問題になっているとも言えます。 米国では、もともと「使っていない土地」にテナントをつけてもらうことでサブリース契約を結びますが、日本の場合は、仲介業者が積極的に土地を持っている人(土地持ちオーナー、いわゆる地主さん)にサブリース契約を勧める、サブリース契約を武器に投資用物件を建てさせるのが目的となっています。 「サブリース契約を武器に」と表現しましたが、武器にするには、オーナーさんにメリットがあるように見えなければなりません。 それが +自動増額特約 +空室保証特約 or 最低賃料保証特約 です。 土地を持っているオーナーには、アパート経営には二の足を踏む人が多く、不動産投資の難しさや面倒さを嫌う人が多いのはよくわかります。 具体的には、地価が上がり固定資産税が上がっても家賃を引き上げられるのかという不安や、もし空室になったときはどうするのかという不安があります。 将来の修理に大きな出費がかかるのではとの心配もあります。 そこでサブリース契約では、将来の賃料値上げに対応する自動増額特約と、一定期間は空室があっても定額を払うという空室保証特約あるいは最低賃料保証特約があり、この特約でオーナーを安心させていました。 サブリース制度が日本に普及した頃はバブル経済に突入する頃で、毎年発表される地価は上昇していました。土地の価値は上がり続けるものという妄想が蔓延していましたね。 オーナーへのセールストークは「儲かる・任せる(任せられる)・保証する」だと、荻上チキ氏がラジオ番組で表現していました。実に本質を言い当てた表現ですね。 この空室保証あるいは最低賃料保証特約ですが、ずっとではなく一定期間だけとなっています。「30年間一括借入れ」という言葉にオーナーは安心するのですが、実は業者側には「中途解約権」が認められているのです。契約書にも書いてあります。 中途解約権は一定の予告期間をおいていつでも契約を解約できる権利で、企業として採算が合わなくなれば撤退できるようにしてあるのです。 契約書は字も小さいですし、契約書を隅々まで読まないでしょうからね。でも、読まないほうが悪いのですがね…』、「業者側には「中途解約権」が認められている」のであれば、「30年間一括借入れ」というのは誇大広告のような気がする。
・『サブリース契約の問題点〜強引なセールストーク  セールストークが強引であることも指摘されています。裁判ではオーナー側から「聞いた話(セールストーク)と契約書が違う」と訴えているようです。 契約書に書いてある「賃料を見直す」可能性については、契約書の表現を「増減」としていて、「減ることばかりを考えていますが増えることだってある」とか「今まで減額した経験がない」と表現していたようです。 またサブリース契約自体を拒んでいるオーナーには「空室になったらどうするんですか」と詰め寄っていたとのことです。 将来の修繕費に関しても、小さく表現し、場合によっては触れないでいることもあるようです』、サブリース契約での説明責任が今後の裁判のなかで、どのように判断されるのかも注目点だ。
・『サブリース契約の問題点〜借地借家法との関連  借地借家法とは、 賃貸人に比べて立場も弱く、経済的にも不利がある借家人や借地人を保護するために、民法の規定を修正したり補った法律です。 サブリースで問題にあるのが「32条」で、これは経済環境が大きく変動し、あるいは物件の周辺環境が変わったことで賃料を見直すことができるというもので、家主の方から賃料を増減することができることが書かれています。 この「増減」という表現を、セールストークでうまく使っていることは紹介しました。 そもそもサブリースにおける定額保証で問題となるときは経済悪化による景気後退時で、最初にサブリースが社会で問題になったのがバブル崩壊時で、その次はリーマン・ショック後です。 バブル崩壊後のサブリース契約での悪質な例として、仲介業者が勝手に賃料を減額してオーナーに減額後の取り分を支払うというケースがあります。 このときの仲介業者の言い分は +バブルが崩壊したから仕方がない +予想できない出来事が起きた +契約内容変更が妥当とされる重大な事態が起きた… でした。 しかし、これは正当化される理論ではないという判断がされています。裁判所では、経済は波であり、乱高下するのは当たり前で、バブル崩壊が予想できないということに説得力はないというものです。 これはオーナー側も反省すべきことで、10年保証とか30年保証といっても、経済環境が変われば賃料が保証されることはありえないことは想像できたはずです。 サブリース契約は、平成4年、5年に契約されているものもたくさんあります。もう既にバブルははじけている時期です。それでも家賃保証もしっかりと謳っているのです。 業者の方は、投資物件を建築して引き渡しただけで収益は十分に得られます。まさに「売り逃げ」とも取れる行為ですが、オーナー側も経済状況を考えれば、将来にわたって定額支払が約束できるのかは疑えたはずではないでしょうか。 平成15年10月21日最高裁判所判決では、サブリース契約が賃貸借契約であることを明言していて、借地借家法が適用されるとしています。よって自動増額特約があっても借地借家法32条1項が適用されるという結論を下しています。 家賃は下げられるということになります。 業者側は、この判例を知っていながら自動増額特約をつけている、つまり自動増額特約は単なるえさで、いつでもはずすことができると思っていたなら悪意を感じざるを得ません。 バブル崩壊後は不良債権が社会問題となっていて、仲介業者が破綻したらオーナーも困るだろうということで、賃料減額を認めています。ただし地価下落による固定資産額減額分と変動金利での銀行融資における金利低下分の範囲としました。 この範囲だと約1割ほどの減額となります。業者は4割の賃料減額を求めていました。そうでないと、空室による賃料減とオーナーへの定額支払分では逆ザヤになってしまうのです。 中途解約権を行使する業者が増えました。サブリース契約から10年経過したものは、大きく家賃を下げる提案をして、それに応じなければ一方的に契約解消を迫っていたようです。 オーナーは、銀行への返済額を下回る賃料は認められないそうなるとサブリース契約は解消される…。 レオパレス21は、物件自体が施工不良で、部屋を借りている人は出て行くことになり、信用失墜で新しい入居者は見込めないでしょう。 結局、残るのは銀行ローンだけということになります』、今後、個人破産が増え、地域金融機関も大量の不良債権を抱えることになりそうだ。
・『オーナーって誰?  ここで「オーナー」という表現をしましたが、オーナーにも3通りあります。 +土地を持っているオーナー +ワンルームマンションオーナー +土地も建物もないオーナー 米国で始まったサブリースは、土地を持っているオーナー向けのものです。繰り返しますが、米国では「使っていない」土地の有効活用目的のサブリースですが、日本では土地持ちオーナーに上物(アパート等の投資用物件)を建てさせるためにあるのがサブリースです。 土地がなくてもワンルームマンションを持っていたり、あるいは新規で購入してもらうオーナーもいます。ワンルームマンションだと、購入と言ってもアパートを建てるよりも何とか手が届く金額になっているでしょう。アパートを建てるよりも身近に考えやすいのかもしれません。この一種の値ごろ感も「曲者」と言えそうですけどね。ワンルームマンションであっても立派な不動産オーナーですからね。でも、ワンルームマンションであってもサブリースのスキームは同じです。 問題とされるのは、土地を持っていない人に土地を購入させて上物を建ててオーナーにするケースです。サラリーパーソンに多く、十分な資産がなくても不動産投資ができるというスキームにサブリースが使われています。 「かぼちゃの馬車」問題では、この不動産投資を小口に分けて、少額で投資できるようにして、資産を持たない人に不動産オーナーになれる「夢」を与えたもので、前述しましたが、弁護士の中には「夢ある博打」と表現している方もいます。 小口と言えど不動産投資です。経済環境や投資環境によりスキームが崩れることを想定しないで、資産が持てる・殖えるというところに目を奪われた人(あえて投資素人と呼びますが)が多かったのでしょう。 「あなたも不動産オーナーになれる…」サラリーパーソンの虚栄心をくすぐるのでしょうか。 サブリース問題が表に出てくるのは景気後退局面に多く、バブル崩壊後には多く見られましたが、最初のうちはサブリース契約者は土地持ちオーナーが多かったようです。 銀行融資も正常に手続が行われていました。リーマン・ショック以降のサブリース問題での登場人物は、土地を持たないサラリーパーソンが多くなりました。土地をローンで買い、アパート建設にもローンを組むとなれば、仲介業者、不動産会社、銀行がチームとなる必要があります。 この間に不正手続があったのが「かぼちゃの馬車」問題です。スルガ銀行の融資書類改ざんは記憶に新しいでしょう』、「土地をローンで買い、アパート建設にもローンを組むとなれば、仲介業者、不動産会社、銀行がチームとなる必要があります」、というのはスルガ銀行のみならず、多くの地域金融機関にも広がっていたようだ。
・『悪質になってきた「サブリース問題」  「サブリース問題は性質が悪くなっている…」ある弁護士の方の言葉です。 銀行から融資を受けて投資を行う、このスキームで思い出すのは、保険会社によるバブル期の変額保険販売手法です。 バブル期では、土地と株が、持っているだけで利益を生んでいました。右肩上がりに上がる土地と株を横目に、保険会社は熟知たる思いでいたところに開発されたのが、特別勘定で保険料を株運用を行う変額保険です。 あろうことか、銀行から融資を受けさせて変額保険契約を勧める手口がとられ、銀行としても手数料がはいる、銀行・保険会社・契約者の「三方良し」の構図ができ上がったのですが、バブル崩壊で株価下落、変額保険評価額も下がり、変額保険を担保に銀行融資を受けていたので、追加の担保が求められ、結局はローンだけが残った契約者だけが損をする構図であったことは、後で気付かされました。確か法人契約だと法人税の節税にも有効というセールストークがあったのではないでしょうか。 今回のケースと全く同じです。 銀行融資でアパートを建てて、家賃保証のえさに飛びつき、経済環境変化によりその契約も解約されローンだけが残るというパターン、まったく同じですね。保険会社が不動産会社に変わっただけで、このスキームのパートナーが銀行であることは変わりません。 厳しい言い方ですが、常に損をするのは「欲に絡んだ無知な消費者」なのです』、「三方良し」の構図は確かに変額保険契約の時と同じだ。「常に損をするのは「欲に絡んだ無知な消費者」なのです」もその通りだ。
・『相続税対策と年金不安が殺し文句  土地を持っているオーナーに向けては、相続対策。 土地を持たないサラリーパーソンに向けては、年金不安による自助努力。 これが殺し文句となっています。でもこれは不動産業界に限らず金融業界全般に言えることで、節税対策は弁護士や税理士も好んで使っている手法と言えます。 相続対策を謳ったサイトも多く見られ、更地のままよりもアパート等の投資用物件を建てたほうが、土地の相続税評価額は大きく下がるとしています。 ただ節税対策は、その効果はその時だけで、納税額を抑えることは魅力ですが、その後の投資という要素を考えると、長期安定を第一に考えるべきです。節税目的で融資を受けることが、長期スパンで考えて得策なのかを熟考するべきです。節税効果は単年で、必ず副作用があることを忘れてはいけません。自己資本で行うならともかく、融資を受けてまで行うべきことなのでしょうか。 年金不安から、給与以外の収入確保手段として不動産投資を行うのはわかりますが、年金代わりとなれば、やはり長期安定を求めたいところです。 世の中に長期安定が確約されている投資手法なんて存在しません。投資だからこそ、収益を得たら撤退しやすい方法を選ぶべきで、そのためには、換金性が良い手法が求められます。 不動産投資には換金性、つまり現金化に難点があります。 投資は「生もの」で、経済環境で投資環境は変化するものです。繰り返しますが、長期安定の投資手法は、絶対に存在しません。イギリス貴族が用いる手法には長期安定手法があるとは聞きますが、私たちは手にすることができるのでしょうかね。 目先の利益(節税等)にとらわれず、リスクもしっかりと把握して、リターンとリスクを冷静に天秤にかけることが大事です。目先のメリットばかりを大きく捉えないようにしたいものです』、これだけ、個人の不動産投資の問題が頻発していても、いまだにTVのCMで老後に備えた不動産投資を流しているのを観ると、「懲りない」人間が多いのに驚かされる。
・『立地は大事〜駅近物件しかダメ  そもそも全ての土地の投資物件が、収益物件になることはありません。やはり立地が重要で、一般的に相続税対策を必要とする人の土地は、駅から遠いところにあることが多いです。 「不動産はどれ1つとして同じ価値のものはない…」法政大学大学院真壁昭夫教授はこう指摘しています。立地条件が全部違うので、価値が同じ不動産は存在しないとのことです。 前述の不動産コンサルタントの長嶋修氏は「駅徒歩2分がベスト、5分以内でないと投資物件としては厳しい」と断言されていました。 長嶋氏によれば、駅から1分離れるごとに120万円価値が下落するとのことです。相続税対策をする土地は駅から遠いことが多く、バス利用の土地もあり、そこに投資用物件を建てても長期安定収入が得られる可能性は決して高くないようです。 長嶋氏曰く、投資の観点から考えるなら、駅から遠い土地を売って駅近の物件を買うほうが良いと解説されています。 「サブリース案件でもうまく言っているケースもある…」それはそうでしょう。立地の良い物件だってあるでしょう。また立地条件が悪くてもオーナーの努力次第で収益を安定化させている物件もあります。人任せで何もしないオーナーの物件では、安定収益を得られるはずがないとも言えます。 国交省が毎年発表する公示地価が上がっているのは、外国人観光客によるもので、商業地区が上がっていると言われています。これらの発表数字をもとに不動産投資の将来を計ってはいけません。 楽して儲けようという考えでは、絶対に投資では成功しません』、その通りだ。
・『サブリース事業を規制する法律がない  賃貸住宅管理者登録制度というのがあります。 賃貸住宅管理業務に関して一定のルールを設けることで、借主と貸主の利益保護を図ることを目的としたもので、登録事業者を公表することにより、消費者は管理業者や物件選択の判断材料として活用することが可能となります。 ただ登録は任意であり、ずっとレオパレス21は登録していませんでした(現在は登録)。国土交通省としても登録は任意なので、全ての業者の状況を把握できているわけではないとコメントしています。 宅地建物取引業法により、不動産取引に関しては厳しい規制を設け指導もされていますが、サブリース事業に関しては、特別な規制はなく、監督指導する法制度はありません。 いまだに国交省による仲介業者へは、監督指導が届かない状況にあると弁護士は指摘しています。 消費者を保護する制度の重要性は言われています。消費者庁もできました。大家と店子の関係は、持つ者と持たざる者との間の力関係がはっきりとしているので、持たざる者である店子が守られる、いわゆる弱者救済措置が取られます。 では、土地を持っているオーナーは消費者なのでしょうか。 これがサブリースにおけるオーナー保護をややこしくしています。オーナーは、土地の所有者ではありますからね。 でもある弁護士は、仲介業者は資金力から情報知識にいたるまで明らかに長けていて、オーナーとのビジネス関係であっても、力の差は歴然だと主張しています。 2度とこのような問題が起こらないように、国としても法整備を急ぐことを望みたいですね…。 うまい話なんかない。そんなにすんなりと信じないで… 性善説はもうやめよう…。1つの土地には、それぞれ立場の違う人の思惑が幾重にも交差しています。土地の活用目的が、かかわる人の立場で全然違ってきます。その土地から得る利益の取り方も違います。土地を、お金を生む道具と見るのか、親からの引継ぎ物と見るのかでも違います。 「人任せ…」これは、投資する以前の話ですね。「難しいから、ややこしいから、面倒だから…」このような考えで投資を行えば、財産をなくしても仕方がありません。 「説明を受けたが良くわからなかった…」「契約書をきちんと読んでいない…」これらは、自己防衛意識の欠落以外のなにものでもありません。 「うまい話なんてない」「そんなにすんなり信じちゃいけない」前述の真壁教授は力説されています。儲かる・任せる(任せられる)・保証する…そんなうまい話はありません。 投資リテラシーという言葉が登場して久しいですが、私たち消費者や投資家が、もっと賢くならなければならないという指摘はずっとこの情報誌でも訴えてきました。 とにかく、都合の良い解釈をしてはいけません。情報を冷静に判断し、くれぐれも自分都合にアレンジして解釈しないようにしましょう。(続きはご購読ください。初月無料です)』、正論ではあるが、人間には、心理学的には、「悪いことは自分の身にふりかからない」と信じる傾向が備わっているという、「楽観バイアス」があるようなので、実際にはなかなか難しいようだ。

第三に、3月30日付け日刊ゲンダイ「レオパレス21施工不良問題 第三者調査委員会は問題だらけ」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/250780
・『耐火性に関する施工不良で1895棟(1月末時点)の賃貸住宅が建築基準法違反に認定され、1324棟が基準法違反の疑いがあることも発覚しているサブリース大手「レオパレス21」(深山英世社長)は弁護士ら有識者を集めた第三者調査委員会(委員長=伊藤鉄男・元最高検察庁次長検事)を設置し、3月18日に中間報告書を提出した。 しかしこの委員会、そして中間報告書にはさまざまな懸念があると、レオパレス問題を追ってきたジャーナリストの村上力氏は疑問を呈する。 「そもそも第三者調査委員会は国交省の外部有識者会議(委員長=秋山哲一東洋大学教授))の日程に合わせて作られました。それでレオパレス問題の原因の一つである国の建築行政の不備や怠慢をきちんと指摘できるのか疑問です。それに国交省から言われたことだけをやるお役所仕事になってしまうと、その後もぽろぽろと違法建築が明らかになった場合、不祥事に収拾がつかなくなります」(以下、コメントは村上氏) 委員会の中間報告書についても問題があるという。第三者委員会の設置当初のお知らせでは、〈「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」(日本弁護士連合会)に準拠して、当社から完全に独立した中立・公正な専門家のみで構成される外部調査委員会を設置する〉としていた。 「しかし中間報告では<当委員会は、本件調査の独立性・客観性を確保するため、日本弁護士連合会のガイドラインにできる限り準拠>となっています(下線は編集部)。「できる限り」などと相当弱腰になってしまいましたが、あとで報告書の内容にケチが付いても、言い逃れできるように含みをもたせたのではないでしょうか」』、「国交省の外部有識者会議の日程に合わせて作られました」というのは、国交省から暗黙の指示があった可能性がある。同省にとって不都合な検査の問題にも触れないよう示唆されたのかも知れない。
・『ハイブリッドの不正調査をするかも不明  さらには国交省が設置した外部有識者会議にも問題があるという。 「国交省は違法建築が見つかった賃貸住宅のシリーズは、建築確認制度の中間検査が導入される99年より前に建てられたことを一時期、指摘していましたが、最近になって、99年以後に建てられたシリーズでも違法建築が見つかっています。そういうことがまだまだ起きているのに、調査委員会による真相究明がされる前から、再発防止のための有識者の人選だけが決まるというのは、普通に考えておかしくないですか」 レオパレスオーナーたちによる被害者の会は3月11日に、一級建築士による調査報告書を国土交通省とレオパレス21に提出している。 「しかし中間報告ではこれらの資料について分析していなかった。資料の中には、ハイブリッドなど賃貸住宅の新しいシリーズが含まれています。第三者委員会ガイドラインでは、類似案件についても調査スコープに入れなければならないと記されており、ハイブリッドの不正は『類似案件』として調査しなければならないはずですが、それをするかどうかも不明ですね」 また報告書では創業者に責任を押し付けるかのような意図も見られるという。 「中間報告では、創業者の深山祐助氏による指示が指摘され、メディアも違法建築の責任の帰趨をそこに求めるような論調になっていますが、現経営陣による隠蔽についての指摘はありません。現経営陣が隠蔽をしていたのはほぼ間違いない話です。とすれば彼らには、公募増資の問題や善管注意義務、宅建業法における重要事項の不告知などの法令違反となる疑いも生じることになり、委員会はその点を精査しなければいけないはずです」 第三者委員会によって国交省や現経営陣にとって都合のよい方向に事態が収束というのか。今後の建築行政のためにも注視しなければならない』、第三者委員会がこのように「便利な方便」として使われるのを阻止するのは、マスコミだが、これにも残念ながら多くを期待することは無理なようだ。やれやれ・・・。
タグ:長嶋 修 悪質になってきた「サブリース問題」 レオパレス21の施工不良問題 「組織的な不正」を指摘する声も 施工不良物件を出さないための再発防止策は2つある サブリース契約の問題点〜強引なセールストーク 「30年間一括借入れ」 もともとはアメリカで生まれた制度で、地主さんの使っていない土地を集めて、「使っていないなら自分達でテナントを探すから貸して…」という業者が現れ(今で言う「仲介業者」ですね)、「使っていないのだから安く貸してね…」という感じで取引がなされ、地主さんにしても「税金分が浮けばいいや…」という感覚で始まったものだそうです リーマン・ショック以降のサブリース問題での登場人物は、土地を持たないサラリーパーソンが多くなりました (その1)(レオパレスを待ち受ける修羅場 予想される空室増や前払い契約の返金の打撃、レオパレスが虫の息 施工不良・サブリース契約の2大厄災を蔓延らせた責任は誰にある?、レオパレス21施工不良問題 第三者調査委員会は問題だらけ) 国が認めた機関が「検査済み」のお墨付きを与えていた物件に問題があったことは、大きくは取り上げられませんでした ダイヤモンド・オンライン 日刊ゲンダイ 楽観バイアス 第三者委員会によって国交省や現経営陣にとって都合のよい方向に事態が収束というのか。今後の建築行政のためにも注視しなければならない 最高裁判所判決では、サブリース契約が賃貸借契約であることを明言していて、借地借家法が適用されるとしています 報告書では創業者に責任を押し付けるかのような意図 ハイブリッドの不正調査をするかも不明 第三者調査委員会 そもそも第三者調査委員会は国交省の外部有識者会議(委員長=秋山哲一東洋大学教授))の日程に合わせて作られました 情報を冷静に判断し、くれぐれも自分都合にアレンジして解釈しないようにしましょう サブリース事業を規制する法律がない 立地は大事〜駅近物件しかダメ 土地をローンで買い、アパート建設にもローンを組むとなれば、仲介業者、不動産会社、銀行がチームとなる必要があります 相続税対策と年金不安が殺し文句 土地を持っているオーナー 問題とされるのは、土地を持っていない人に土地を購入させて上物を建ててオーナーにするケース スルガ銀行の融資書類改ざん 土地も建物もないオーナー 「かぼちゃの馬車」問題 レオパレス21は、物件自体が施工不良で、部屋を借りている人は出て行くことになり、信用失墜で新しい入居者は見込めないでしょう。 結局、残るのは銀行ローンだけということになります 「夢ある博打」 ワンルームマンションオーナー オーナーにも3通り 家賃は下げられるということになります サブリース契約の問題点〜借地借家法との関連 実は業者側には「中途解約権」が認められている +自動増額特約 +空室保証特約 or 最低賃料保証特約 賃料を引き下げた結果、銀行への融資返済ができなくなる サブリース契約の問題点〜契約から考える この「再開発」という言葉もポイントで、大きく成長するために強引な手法がとられたことも、レオパレス21問題の背景にあった サブリース契約の問題点〜歴史から考える 広瀬すず事務所の訴え 2005年に耐震偽装問題が発覚 民間の指定確認検査機関を創設することにより、株式会社を含む民間機関に開放された検査体制を構築 官僚の天下りという構造問題、民間企業と官僚の関係を紐付ける意見 検査員は行政庁からの天下りが多く、建築関連退職者の再就職先の大口受け皿となっているのが現実 「中間検査」と「完了検査」 「工事管理ガイドラインの設定もしくは法制化」 レオパレス21は2012年ごろから、オーナーとの民事訴訟を抱えていました 「知らなかった…」深山英世現社長の主張 楽して儲けようという考えでは、絶対に投資では成功しません 「契約問題」 施工不良〜組織的、構造的な問題と国の責任 「点検口の設置義務付け」 元凶は「施工不良」と「サブリース契約」 MONEY VOICE 「現行の検査態勢が違法建築を許したわけで、国にも責任がある」 「レオパレスが虫の息。施工不良・サブリース契約の2大厄災を蔓延らせた責任は誰にある?」 今回の悪評でレオパレスの借り手はもちろん、アパートを建てるオーナーも大幅に減少すれば経営はジリ貧となり、会社の先行きが危ぶまれる事態 施工不良〜確認の不備、監理の不備 黄信号が灯った 損失計上は時間の経過とともに、さらに膨れ上がるのが常 空室数は3.6万戸程度から8.3万戸へと急増 現預金は892億円 およそ半分を喪失 損失額は現預金の半分!懸念される前払い入居者の解約騒ぎ ただし地価下落による固定資産額減額分と変動金利での銀行融資における金利低下分の範囲としました。 この範囲だと約1割ほどの減額となります 入居者やアパートオーナーの損失はもちろん、レオパレスの経営にも大打撃が予想 「レオパレス物件はヤバい」という都市伝説を証明してしまった 「レオパレス21施工不良問題 第三者調査委員会は問題だらけ」 「レオパレスを待ち受ける修羅場、予想される空室増や前払い契約の返金の打撃」 1324棟、およそ1万4440人が退去を迫られる事態 レオパレス問題
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金融関連の詐欺的事件(その8)(スルガ銀事件がもたらすサラリーマン投資家「大受難時代」の実態、動産バブル崩壊を予感させる融資現場の異変 「かぼちゃ」後遺症で銀行が不動産融資にノー、昭恵夫人が登場?ある「投資詐欺捜査」が1年経っても進まない事情 考えられる二つの要因、社外取締役は役立たず? 不正見逃しに怒るTATERU株主) [金融]

金融関連の詐欺的事件については、2月8日に取上げた。今日は、(その8)(スルガ銀事件がもたらすサラリーマン投資家「大受難時代」の実態、動産バブル崩壊を予感させる融資現場の異変 「かぼちゃ」後遺症で銀行が不動産融資にノー、昭恵夫人が登場?ある「投資詐欺捜査」が1年経っても進まない事情 考えられる二つの要因、社外取締役は役立たず? 不正見逃しに怒るTATERU株主)である。

先ずは、スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタントの沖有人氏が2月28日つけダイヤモンド・オンラインに寄稿した「スルガ銀事件がもたらすサラリーマン投資家「大受難時代」の実態」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/195419
・『スルガ銀事件で不動産融資が縮小 投資家はどんな対策を考えるべきか  不動産市況の変わり目は、今考えるとスルガ銀行の書類改ざん事件だった。事件の後、地銀を中心に個人に対する不動産融資の潮目は拡大から縮小に向かった。金融庁からの締め付けが、今やすべての金融機関に及ぼうとしているからだ。今回の不動産市況反転の主役は金融庁なので、不動産に投資する人はこれを踏まえて対策を考える必要がある。 金融庁がやりたいのは地銀再編である。都市銀行はおおよそ30行が4つのフィナンシャルグループに再編されたのに対して、地銀・第二地銀は100、信金・信組は400もある。金融を取り巻く環境は大手以上に中堅以下で厳しい。今回のスルガ銀不正融資は、金融庁の厳格検査におあつらえ向きの大義を与えたことになる。 不動産は、ローンを組まなければ買えない人が大半だ。だからこそ、不動産投資をする人に対する融資を止めれば、不動産を次に購入する人が買える価格が下がるため、相場が下がることになる。過去に行なわれた最も有名なこの「操作」は、日銀が行ったもので「総量規制」と呼ばれ、1980年代のバブルを終焉させるために実施された。総量規制とは、不動産への融資資金の総量を決めてしまう方法だ』、「総量規制」をしたのは、正しくは日銀ではなく、大蔵省(財務省)。
・『それ以外にも、不動産への資金を止める方法はある。金利を上げることだ。金利を上げると、期待利回りと借入金利との差(これはイールドギャップと呼ばれる)が一定量必要な投資家にとっては、期待利回りを高くして、つまり物件価格が安くなる状況でしか買えなくなる。これを行うのは主に日銀になるが、当面金利が上がる理由はないので、起こることはほぼないだろう。 今回の主役は金融庁だけに、金利などを動かすことはできない。いわゆる口先介入をするわけだが、その論法はローン比率(専門用語ではLTV)で説明できる。 ローン比率とは、物件価格に対するローンの割合を指す。9割なら、頭金を1割用意することになる。これまで9割だったものが8割、7割、6割となっていくと、用意できる頭金が足りない買い手は買えなくなる。たとえば、頭金で1000万円の用意がある人は、ローン比率9割なら9000万円のローンを借りて1億円の物件を購入できる。このローン比率が8割になると、同じ頭金では買える価格は半減し、5000万円になる。7割で3333万円、6割で2500万円という具合に、融資の厳格化は不動産投資にとって「効果覿面」なのだ。 こうして買値が下がっていき、買い手が少なくなることで不動産相場は下落に転じる。これは「銀行あるある」だが、ある日突然融資姿勢が厳しくなることがある。当初「8割融資する」と言っておきながら、口約束が反故にされて「6割になりました」と切り出されるのはよくあることだ。 こうした事情により、今回、投資用不動産への融資は急速に縮小を始めている。当面は資産性がないもの、サラリーマン投資家が手を出しやすい新築・中古のワンルーム投資から規制が厳しくなる。2月より3月、3月より4月と厳しくなっていくはずだ。 そうなると、不動産を保有して売っている事業者はそれらを売れずに価格が下落し、銀行からの返済条件が厳しくなっていき、最終的に倒産に至るケースも出てくるだろう。規模の大きな不動産事業者でも、銀行に貸し剥がしをされたらひとたまりもない。不動産業界では黒字でもキャッシュショートして倒産することが多いし、連鎖的に銀行が再編されることも考えられなくもない。2019年は不動産関連で「受難の大ニュース」が突然飛び込んで来る可能性もあると思っていた方がいい』、スルガ銀行事件をみるまでもなく、投資用不動産は明らかにバブルだったので、調整は必至だ。
・『過度な不安は必要なし 投資向けと自宅向けは違う  しかし、不安ばかりを募らせる必要はない。同じ不動産でも、投資向けと自宅向けは違うのだ。住宅ローンは不動産価格を見ているというよりも、購入者の年収から返済可能かどうかを見ている。それだけ安全債権なのであり、住宅ローンを貸し出す銀行の債権は保証会社によって裏で保証されるなど、リスクフリーになっていたりする。 その点、自宅の住宅ローンは消費者として保護されていると言ってもいい。貸し剥がしにあって自宅を追い出されるようなことはない。自分で売却して住み替えるにしても、住宅ローンの完済が必要なので、頭金以上に値下がりすると売却すらできない。このため、自宅マンションの資産価値は落ちにくい。 実際、リーマンショック後でも新築物件の価格は2割、中古が1割しか下がらなかったのが実情である。100年に一度の金融危機でもこの程度だったので、今回の投資用不動産の下落局面でも、分譲マンション価格の下落はたかが知れていると思われる。 今指摘されていることは、住宅ローンを借りて投資用不動産を手に入れているケースだ。住宅ローンが自宅でない融資に利用されている場合、金融庁は看過しないだろう。こうした手法は規制が厳格化されて、できなくなる可能性がある。そもそも自宅として住むからこそ、低金利になっているのだから』、「住宅ローンを借りて投資用不動産を手に入れているケース」は銀行もそれを承知の上だったのだろう。「自宅マンションの資産価値は落ちにくい」というのは、投資用不動産に比べればということで、下がる時は下がるとみるべきだ。やはり、「不動産コンサルタント」としての筆者の営業トークと考えるべきだろう。
・『投資用物件は早く対応すべき 自分でできることは何か?  では、どうすればいいか。まず、投資用ワンルームを持っている人は損切りになるとしても3月までに売り切ろう。それ以上遅いと手遅れになるかもしれず、ローン完済までキャッシュアウトが続いて苦しむことになる。通常、投資用ワンルームを持っている人は自宅の住宅ローンも厳しいことが多い。ここで売却できれば、自宅も買えるようになるので一挙両得になる。 1棟まるごとのアパート・マンションを持っている人は、再度将来のシミュレーションをしておこう。今後の返済リスクがどの程度あるか、キャッシュフローはどのように変化するかがポイントになる。それらが安定的に推移していくよう、自分ができることは何かを考えよう。物件を組み替えるには時間がないので、持ち続けられるか、切り離すならどれか、それはいくらならいいか、といったことを判断することになる。 自宅を持っている人は慌てないことだ。不動産でも投資と自宅は全くマーケットが異なる。対岸の火事に慌てて売り急ぐ人が増えると、相場自体の軟調に拍車をかけることになりかねない』、これについては、概ね妥当なアドバイスだと思う。

次に、3月18日付け東洋経済オンライン「不動産バブル崩壊を予感させる融資現場の異変 「かぼちゃ」後遺症で銀行が不動産融資にノー」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/271322
・『「アパート用地をお売りできます。ご興味ありませんか。これまで土地を買ってくれていた会社がアパート建設から撤退して、残っているのです」 西日本のアパート建設業者に数カ月前、不動産業者から電話が入った。電話を受けた担当者は難色を示した。「経営環境が厳しいのはウチも同じ。アパートの購入希望者を見つけても銀行からの融資を受けられず、販売できない。昨年からですね、ここまで風向きが変わったのは」。 3月18日発売の『週刊東洋経済』は「不動産バブル崩壊前夜」を特集。2018年は投資用不動産業界にとって悪夢のような1年だった。上期はシェアハウス「かぼちゃの馬車」を展開するスマートデイズが破綻。土地の販売業者などと結託し、無茶な利回り想定など不適切な手法で個人投資家に物件を販売していた。下期は東証1部上場のアパート建設会社TATERU(タテル)の融資書類改ざんが発覚。預金残高を水増しし、銀行から不正に融資を引き出していた』、「投資用不動産業界にとって悪夢」は、銀行の姿勢慎重化で、これからさらに酷くなる可能性がある。
・『アパート建設業者と金融機関のいたちごっこ  これらの事件を経て「不動産業者に対する金融機関の姿勢は急に厳しくなった」(前出のアパート建設業者)。都内の信用金庫幹部は言う。「昨年後半から、今まで付き合いのなかった不動産業者が物件を持ち込んでくることが増えた。地方銀行が一斉に手を引いたため、うちにすがりついてきたようだ」。銀行・信金によるアパートローン(個人による貸家業向け貸し出し)の新規融資額は16年をピークに右肩下がりになっている。 投資家への融資が実行されなければ、物件が在庫として残り、資金を回収できないため、不動産業者は必死だ。冒頭のアパート建設業者は、「融資が受けられるように物件価格を値下げした。その差額はこちらがかぶった」とこぼす。物件価格を下げれば融資の必要額を減らすことができるし、利回り(=賃料収入÷物件価格)もアップして、金融機関から融資を引き出しやすくなる。 だが、いたちごっこ。金融機関も融資のハードルを一段と引き上げている。前出の信金幹部は、「案件がたくさん持ち込まれるようになってから、融資条件を引き上げた」と明かす。従来アパートローンは、物件価格の1割の頭金があれば融資していたが、2割に引き上げたのだ。 「簡単に融資を承認すると、『あそこなら融資が受けられるぞ!』という話が業界内で広まり、どんどん案件が持ち込まれてしまう。不動産業界向け融資の比率を高めるとリスク管理上問題があるので、いい案件に絞って融資するようにしている」(信金幹部)。東海地方が地盤の地銀も、融資に当たってのストレステスト(健全性審査)の条件を厳しくした。 「そこまでするのか」。不動産投資家の依田泰典氏は、横浜銀行の担当者の話に思わず声を上げた。同行は昨年10月から自己資金確認書類の提出を厳格化した。TATERUの不祥事発覚から1カ月後のことだ。 横浜銀行によると、不動産融資の際、これまでは預金通帳のコピーでよかったが、原本の提出も義務づけた。ネットバンキングなら複数人で画面を確認し、確認時の日付を記録することをマニュアルとして定めたという』、横浜銀行の対応は、これまでのズサンさを是正しただけなのに、不動産投資家は不満のようだ。
・『融資手続きを厳格化 法人スキームにもメス  ほかの地銀でも手続きの厳格化が進む。業者や投資家から「融資を受けやすい」と評されるオリックス銀行でさえ、昨年後半から「表明保証」という新たな手続きを取っている。顧客の提出書類について、原本の写しと相違ないと顧客が署名捺印のうえ表明し保証する文書の提出を義務化したのだ。 手続きの厳格化だけではない。「りそな銀行が一部の投資家にローンの返済を求めているようだ」。今年に入り、不動産投資家の間でこんな噂が駆け巡った。 一部の投資家とは、「1法人1物件スキーム」と呼ばれる手法を用いている投資家のこと。購入したい物件ごとに法人を設立し、各法人が融資を受ける。投資家個人の信用情報には借り入れが記載されないため、より多くの融資を引き出せ、資産規模を一気に増やす方法として広まった。 法人を複数設立して融資を引き出すこと自体は違法ではない。問題なのは、複数の法人を設立して融資を受けているにもかかわらず、金融機関にはポートフォリオ全体の状況を伝えていない場合だ。金融機関が確認できるのは融資を求める法人が保有する資産のみ。収益性に難のある物件をほかの法人が保有していても見破るのは難しい。「確定申告書や投資家へのヒアリングなどで保有資産を調べはするが、すべてを把握することはできない」(首都圏の地銀幹部)。 当のりそな銀行の幹部は、「1法人1物件スキームを用いている投資家に対して、昨秋から『資産の全体を見せてください』と厳格に言うようにした」と認める。全体を見せてもらったうえで、信用が悪化している人に対しては今までよりも高い金利や融資の返済を求めたりすることがあるという。 同スキームについてはりそな銀行以外の金融機関も調査を始めている。信金幹部は言う。「合同会社からの申し込みにはとくに気をつけている」。同スキームの法人は合同会社として設立されることも多い。株式会社より設立時や設立後の費用が安く済むからだ。この信金が調べた中では、1人で10の合同会社を設立して不動産投資を行っている人がいた』、「1法人1物件スキーム」とは初耳だが、そこまで融資姿勢を積極化していたことに、改めて驚かされた。
・『金融機関が融資姿勢を厳格化している背景には、金融庁の動きもある。「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査」──。昨年10月下旬、金融庁は全国の金融機関にアンケートを送付した。1棟建てのアパートやマンションなどの融資実行額、件数、債務者数、貸し出し利回りなどを事細かに記載させる。 とくに全42問中33問を割いて聞いたのが、「1棟建てアパート・マンション・シェアハウスなどの土地・建物双方を購入するための融資」に関するもの。金融庁が問題視していることが伝わってくる。「立地や賃料水準から見て不動産価格が妥当かどうか検証しているか」「空室・賃料減のリスクを債務者に説明しているか」などと質問し、「融資姿勢に問題がある金融機関を巧妙にあぶり出そうとしている」(金融機関関係者)。 金融庁はアンケートの回答に加え、投資用不動産向け融資について議論が行われた取締役会や経営会議の議事録の提出も求めた。全国各行から回収したアンケート結果を基に、「個別ヒアリングを検討中」(金融庁)だ』、金融庁は従来から問題に気付いていた筈だが、これだけ問題が拡大した以上、厳しい対応をせざるを得ないようだ。
・『「不動産は買い時」 投資意欲はまだ強い  金融機関の融資姿勢は厳格化しているが、足元で不動産投資に対する意欲は衰えていない。1月、東京ビッグサイトで開催された「資産運用EXPO」。アパートやマンションなど投資用不動産のブースには説明を受ける個人投資家が連なり、セミナーも満席が相次いでいた。不動産仲介大手の野村不動産アーバンネットが同じく1月に会員に対して実施したアンケートでも、4割近い投資家が「不動産は買い時だ」と答えている。 恐怖シナリオとしてチラつくのが、1990年に大蔵省(当時)が金融機関に発した「総量規制」のようなことが再び起きるのか、ということ。地価上昇が続く中で、不動産向け融資の伸び率を全体の伸び率以下に抑制するよう通達した結果、融資が急縮小、不動産や株の価格が下落し、平成バブルの崩壊につながった。 しかし、今の金融庁はアンケートやヒアリングを通じて金融機関に注意を喚起してはいるものの、融資量についての制限までは指示していない。「量の規制は民間部門への過剰介入になりかねず、金融庁が踏み込むことはないだろう」(金融機関関係者)というのが大方の見方だ。 アパートローンなど不動産への新規融資はすでに減速している。また、物件価格高騰に伴うリスク増大で金融機関は、不動産向け融資に一層慎重になる可能性がある。金融庁による規制強化がなくても総量規制時に近い金融収縮や、そこからのバブル崩壊が起きかねない状況にある』、「投資意欲はまだ強い」ようだが、前回の不動産バブル崩壊時も当初は余熱が残っていたことを考えると、萎縮に転じるのも時間の問題だろう。

第三に、ジャーナリストの時任 兼作氏が3月19日付け現代ビジネスに寄稿した「昭恵夫人が登場?ある「投資詐欺捜査」が1年経っても進まない事情 考えられる二つの要因」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/63382
・『スキームも背後関係も似ている  被害者1万3000人、被害額460億円という「テキシアジャパンホールディングス」による巨額投資詐欺事件が2月に立件され注目される中、いま別の大型投資詐欺事件に、警視庁が頭を痛めているという。 「ロゼッタホールディングス」なる会社による事件のことだ。 同社は2013年2月、傘下に株式会社Shunkaという会社を設立し、「中高年の富裕層女性の社交サークル」と銘打った「春華乃会」(その後「Hana倶楽部」に改称)を主催。 様々なイベントなどを通じて女性の会員を募り、高配当と元本保証を謳って会員契約を結ばせ、ロゼッタに投資させていたが、2018年1月に経営破綻。債権者から東京地裁に破産を申し立てられ、破産手続開始決定を受けたのである。 ロゼッタは5年の間に、およそ1万人の会員から300億円の投資資金を集めた。しかし、その大半は消失。同年6月に開かれた債権者集会では、破産管財人の弁護士が「換価可能な資産は現金18万円あまり」と報告。それ以外は見つかっていないと述べた。 この事件について、警視庁捜査関係者が語る。 「テキシアと類似の詐欺事件と言える。しかも、詐欺のスキーム作りや資金の運用などで関わっている人物が、テキシアと重複している。その点からしても、悪質さは同様だ」 詳しく話を聞いてみると、テキシアが行っていたダイヤモンドや仮想通貨を名目とした投資に参画していた人物が、ロゼッタの投資商品にも深く関与していたことがわかった。外形といい、事件の背後で蠢く面々といい、テキシア事件と酷似しているわけである。 だがロゼッタには、同社が破綻してから1年あまりが経った今になっても、警察が摘発に踏み切れない事情がある。同関係者はこう打ち明ける。 「(詐欺事件を担当する)警視庁二課は鋭意、捜査を進めている。だが、実はそこに安倍(晋三)首相の妻・昭恵さんという『問題』が立ちはだかっている。官邸を配慮する上層部がいるため、事件化しにくい」 「Hana倶楽部」が会員向けに発行していた季刊雑誌『Brilliant』の2014年夏号に昭恵夫人が登場していたことは、昨年週刊誌で報じられ一時話題になった。 実際に見てみると、「今、世界で輝き続けるブリリアントレディ スペシャルインタビュー~再び、ファーストレディになって想うこと~」と題して、「私は総理大臣の一番近くにいる存在。皆さんの声を直接届けられる、国民の代表だと思っています」「過去には後悔することもたくさんあるし、未来を考えれば不安もある。だから過去や未来にとらわれず、今を幸せに生きるのが一番ではないでしょうか」などと語っていた。 まるでロゼッタの広告塔だ。事実、この記事を見て出資を決めた会員もいたという。 もっとも、この雑誌には、鳩山由紀夫元首相の妻・幸夫人やファッションデザイナーの桂由美氏らも登場している。その意味では、昭恵夫人もそうしたセレブリティの一人に過ぎないが、「やはり、現役の首相夫人である昭恵さんはわけが違う」と同関係者は言う』、こんな悪質な投資詐欺事件に昭恵夫人が登場するとは、「脇の甘さ」は人並み外れているようだ。野党は何をしているのだろう。
・『動きが取れない…?  一方、官邸筋もこう語る。 「安倍首相や官邸を気遣う向きは、捜査権を持つゆえに政権からの独立性が確保されているはずの警察においても、いまは非常に強い。警察庁出身の内閣官房の重鎮が、警察庁の現役幹部と連携し、さながら茶坊主のように火消しや情報収集に走り回っている」 いわゆる「忖度」は、幹部人事が内閣人事局に掌握され、政権の意向が色濃く反映される官僚だけでなく、いまや警察にも蔓延しているようだ。この人物は以下のような具体例を列挙した。 +元TBS記者事件: 2016年6月、安倍首相をはじめ菅義偉官房長官らとも親交のあったTBSの元記者が、フリーの女性ジャーナリストに薬物を飲ませた上、レイプしたとして準強姦の容疑で逮捕状を請求された。その執行直前に、かつて菅官房長官の秘書官を務めた警察庁の中村格官房長(当時は警視庁刑事部長)が執行停止命令を下したと週刊新潮が報じ、「政権への忖度ではないか」と物議を醸した。同誌の報道では、元記者が北村滋内閣情報官に相談のメールを入れていたことも報じられている。
+マイナス金利:安倍政権の看板政策であるマイナス金利に関連して、2016年2月に開かれた国家公安員会の席上、「こうした(マイナス金利の)状況になると、利殖名目の詐欺などが起こりかねない」「いまでさえ振り込め詐欺のような金融犯罪が多発し、多くの国民被害が出ている以上、こういった観点からの警戒も必要では」などとの指摘がなされ、犯罪防止のために警察庁として広報することになったが、その直後、「アベノミクスのイメージを棄損しかねない」という理由から中止になった。
+前川事件:「加計学園問題」で安倍首相に不利な発言をした前川喜平元文部科学省次官についての情報を内閣官房が収集して、官邸に報告。2017年5月、菅官房長官はそれをもとに、前川氏が売春などの温床となっていると言われる東京・新宿の『出会い系バー』と呼ばれる飲食店に出入りしていたと記者会見で批判。また、この情報は会見以前に読売新聞にもリークされたとされる。
+東京新聞問題:記者会見で菅官房長官と熾烈な争いを繰り広げている東京新聞の女性記者についての情報収集を2017年6月以降、内閣官房が行い、それを官邸に報告している。
+田畑議員事件:2019年2月、自民党の田畑毅議員が、泥酔して意識を失った女性に対して性行為に及んだとして準強制性交等罪の容疑で告訴されたが、その直後、警察庁の中村格官房長が官邸を訪れ、状況報告などを行ったとされる。
 ことほど左様、警察から政権への“忖度”は蔓延しているというのだ。 「こうなると、現場は上から頭を押さえつけられているようなもの。動きが取れないだろう」 官邸筋は、ロゼッタの捜査についてもそう語った』、マイナス金利の広報自粛は初耳だが、ここまで警察が“忖度”しているとは、警察の「政権からの独立性」は画に描いた餅で、法治国家の名を汚すものだ。
・『また囁かれる「警察と犯罪者の癒着」  他方、警視庁の別の捜査関係者は、「捜査を困難にしている要因は、ほかにもある」と明かすのだった。 「実は、ロゼッタと癒着していた警視庁の捜査員が複数いた。内偵の過程で判明し、現在は本庁から所轄署に出されているが、それで問題が解消されたわけではない。いまだ捜査情報が耳に入ることもあり、それが相手方に漏れる危険性がある。 それに加えて、立件すれば、こうした癒着問題が露見し、警視庁が泥をかぶるのは必定だ。捜査が進捗しないのは、そうした不都合があるからだ」 また汚職である。元警察官らが事業に関与していたため、捜査が遅れたテキシア事件と、ロゼッタの事件はこの点でも類似している。いったい何度、同じようなことを繰り返すのか。 「被害額300億円、被害者数1万人といえば、1万3000人から460億円をだまし取ったテキシアに匹敵する規模だ。テキシアを摘発しながら、こちらはやらないと言うのは具合が悪いのだが……」(同捜査関係者) 警察と犯罪者の癒着や、政権への忖度で捜査が左右されるようであれば、もはや警察は公正な捜査機関たりえない。自浄の道は残されているのか――』、「忖度」だけでなく、警察自体が犯罪者との癒着という不都合を抱えているとは、いい加減にしてもらいたいものだ。

第四に、3月27日付け日経ビジネスオンライン「社外取締役は役立たず? 不正見逃しに怒るTATERU株主」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/032700192/
・『アパートの施工・管理を手がけるTATERUが3月26日に開いた株主総会は、株主たちの不満の声が相次いだという。昨年8月にアパート建設希望者に対する融資資料を社員が改ざんしていたことが発覚。これ以降、業績は悪化、足元の株価は1年前の10分の1の水準に低迷しているのだから無理もない。 同社は不正発覚を受け、昨年9月に弁護士などで構成する第三者委員会を設置。同12月にまとめた調査結果報告書によると、預金残高を水増ししたり、他人の預金通帳の写しを顧客のものとして金融機関に提出したりするなどして、融資に通りやすくしていた。こうした改ざんは350件にのぼり、社員31人が関与していた。 不正の横行が明らかになった状況で開かれた今回の株主総会。出席した株主によると、「常勤の監査等委員の設置を求める」との声が出たという。同社で監査・監督の役割を担うのは3人の社外取締役が務める監査等委員。3人とも他の企業の社外監査役や社外取締役を兼ねており、これではTATERUをしっかり監査・監督できない、との不満があるようだ。 そもそもTATERUは「監査等委員会設置会社」と呼ばれる会社形態だ。2015年の会社法改正で導入されたもので、3人以上で構成する「監査等委員会」が経営をチェックする仕組み。委員の過半を社外取締役にすることが求められており、TATERUでは3人の委員がいずれも社外取締役と、独立性の高い体制を整えていた。それでも、不正は見逃されたことになる。 企業統治の強化が求められる中、取締役会で投票権を持たない監査役を置く「監査役会設置会社」から、監査等委員会設置会社に移行する上場企業は増えている。日本取締役協会の調べでは、2018年8月時点で東証1部上場企業のうち513社が移行、全体の4分の1を占めている。 会社の意思決定に外部の見方を取り入れ、ガバナンスの透明性を確保する役割が期待される社外取締役。今秋の臨時国会に提出される見込みの会社法改正案では、上場会社や非上場の大会社を対象に社外取締役の設置を義務付ける方向だ。 だが、カタチを整えても、中身が伴わなければ、不正は防げない。TATERUの株主が提起したように、常勤の取締役がいれば、チェック機能が働くかは分からないが、社外取締役ありきのガバナンス論に一石を投じたのは確かだろう』、「常勤の取締役」がいても、監査等委員だけでなく、営業推進などの責任を担っていれば、独立性は期待できない。むしろ、監査役会設置会社で常勤の監査役を置く方が、はるかに独立性が期待できるだろう。 
タグ:立件すれば、こうした癒着問題が露見し、警視庁が泥をかぶるのは必定 横浜銀行 融資手続きを厳格化 法人スキームにもメス 監査役会設置会社で常勤の監査役を置く方が、はるかに独立性が期待 監査・監督の役割を担うのは3人の社外取締役が務める監査等委員。3人とも他の企業の社外監査役や社外取締役を兼ねており、これではTATERUをしっかり監査・監督できない、との不満 「常勤の監査等委員の設置を求める」との声 足元の株価は1年前の10分の1の水準に低迷 株主総会は、株主たちの不満の声が相次いだ 「社外取締役は役立たず? 不正見逃しに怒るTATERU株主」 日経ビジネスオンライン 政権への忖度で捜査が左右されるようであれば、もはや警察は公正な捜査機関たりえない 元警察官らが事業に関与していたため、捜査が遅れたテキシア事件と、ロゼッタの事件はこの点でも類似 ロゼッタと癒着していた警視庁の捜査員が複数いた また囁かれる「警察と犯罪者の癒着」 田畑議員事件 東京新聞問題 被害者1万3000人、被害額460億円という「テキシアジャパンホールディングス」による巨額投資詐欺事件が2月に立件 前川事件 マイナス金利 警察庁出身の内閣官房の重鎮が、警察庁の現役幹部と連携し、さながら茶坊主のように火消しや情報収集に走り回っている 元TBS記者事件 いまや警察にも蔓延 「忖度」 政権からの独立性が確保されているはずの警察 動きが取れない…? まるでロゼッタの広告塔だ 「Hana倶楽部」が会員向けに発行していた季刊雑誌『Brilliant』の2014年夏号に昭恵夫人が登場 ロゼッタには、同社が破綻してから1年あまりが経った今になっても、警察が摘発に踏み切れない事情がある 安倍(晋三)首相の妻・昭恵さんという『問題』が立ちはだかっている 悪質さは同様だ 詐欺のスキーム作りや資金の運用などで関わっている人物が、テキシアと重複 個別ヒアリングを検討中 5年の間に、およそ1万人の会員から300億円の投資資金を集めた 様々なイベントなどを通じて女性の会員を募り、高配当と元本保証を謳って会員契約を結ばせ、ロゼッタに投資させていたが、2018年1月に経営破綻。債権者から東京地裁に破産を申し立てられ、破産手続開始決定を受けたのである 「中高年の富裕層女性の社交サークル」 過度な不安は必要なし 投資向けと自宅向けは違う 「ロゼッタホールディングス」なる会社による事件 スキームも背後関係も似ている 「昭恵夫人が登場?ある「投資詐欺捜査」が1年経っても進まない事情 考えられる二つの要因」 現代ビジネス 時任 兼作 「不動産は買い時」 投資意欲はまだ強い 「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査」 金融庁の動きも 1人で10の合同会社を設立して不動産投資を行っている人がいた 「1法人1物件スキーム」 自己資金確認書類の提出を厳格化 アパート建設業者と金融機関のいたちごっこ 下期は東証1部上場のアパート建設会社TATERU(タテル)の融資書類改ざんが発覚 上期はシェアハウス「かぼちゃの馬車」を展開するスマートデイズが破綻 2018年は投資用不動産業界にとって悪夢のような1年 「不動産バブル崩壊を予感させる融資現場の異変 「かぼちゃ」後遺症で銀行が不動産融資にノー」 東洋経済オンライン 投資用物件は早く対応すべき 自分でできることは何か? 住宅ローンを借りて投資用不動産を手に入れているケース 2019年は不動産関連で「受難の大ニュース」が突然飛び込んで来る可能性もあると思っていた方がいい スルガ銀不正融資は、金融庁の厳格検査におあつらえ向きの大義を与えたことになる 口先介入をするわけだが、その論法はローン比率(専門用語ではLTV)で説明できる 「総量規制」 金融庁がやりたいのは地銀再編 スルガ銀事件で不動産融資が縮小 投資家はどんな対策を考えるべきか 「スルガ銀事件がもたらすサラリーマン投資家「大受難時代」の実態」 ダイヤモンド・オンライン 沖有人 (その8)(スルガ銀事件がもたらすサラリーマン投資家「大受難時代」の実態、動産バブル崩壊を予感させる融資現場の異変 「かぼちゃ」後遺症で銀行が不動産融資にノー、昭恵夫人が登場?ある「投資詐欺捜査」が1年経っても進まない事情 考えられる二つの要因、社外取締役は役立たず? 不正見逃しに怒るTATERU株主) 金融関連の詐欺的事件
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