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災害(その10)(脱ダム政策への賛否が問題ではない 球磨川治水議論への3つの疑問、関東も危ない豪雨降らせる「線状降水帯」の正体 集中豪雨を引き起こす大きな原因の1つ、熊本豪雨で球磨川「瀬戸石ダム」が決壊危機 現場証拠写真、京大火山学の権威が断言「富士山に大異変」…コロナ後に「日本沈没」は現実だ 噴火前にみられる数々の兆候) [社会]

災害(その10)については、昨年11月5日に取上げた。今日は、(脱ダム政策への賛否が問題ではない 球磨川治水議論への3つの疑問、関東も危ない豪雨降らせる「線状降水帯」の正体 集中豪雨を引き起こす大きな原因の1つ、熊本豪雨で球磨川「瀬戸石ダム」が決壊危機 現場証拠写真、京大火山学の権威が断言「富士山に大異変」…コロナ後に「日本沈没」は現実だ 噴火前にみられる数々の兆候)である。

先ずは、7月14日付けNewsweek日本版が掲載した在米作家の冷泉彰彦氏による「脱ダム政策への賛否が問題ではない 球磨川治水議論への3つの疑問」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2020/07/3-6_1.php
・『<2000年代の「脱ダム」議論はコストだけが問題視されたのではない> 今回の熊本・人吉の水害に関しては胸の潰れる思いがしました。以前、親の実家が人吉という知人に聞かされたことがあるのですが、この地域の人々は「日本三大急流」の1つとして球磨川を誇りにしています。川下りなどの観光資源、透明度の高い水質の清流、鮎などの水産資源などを大切にしつつ、とにかく川とともに生きるというのが、この地方のライフスタイルであり、その川が「暴れてしまった」中での悲劇には言葉もありません。 流域で50人以上の死者を出したなかで、あらためて治水問題が真剣に議論され始めたのは当然と思います。ですが、脱ダム政策への賛否を中心とした現在の議論の延長に解決策があると思えません。少なくとも3つの疑問が残るからです。 疑問の第1は治水政策に対して述べた、蒲島知事の反省の弁です。今回の被害を受けて、知事は「ダムによらない治水を目指してきたが、費用が多額でできなかった。非常に悔やまれる」と述べています。正直な発言と思いますが、この発言は簡単に受け止めることはできません。 何故ならば、2000年代に議論された「脱ダム」という一種の政治運動は、全国的な「ハコモノ行政」見直しの機運の中で起きたものであり、少なくとも中長期の財政規律への危機感などに支えられていたからです。それにもかかわらず、この球磨川に関しては、ダム建設が高価だから反対論が優勢となって知事も断念したのではなく、むしろ「脱ダム」の方が高価だというのは意外感があります。少なくとも、民主党(当時)などが主張していた「脱ダム」政策との整合性はあらためて問われるべきでしょう』、確かに「「脱ダム」政策」を貶める材料として使ったにしては、議論が荒すぎるようだ。
・『球磨川は「資源」  疑問の第2は、仮に極めて高価であっても「脱ダム」を選択したというのは、何故かという点です。それは地域エゴとか利権誘導ではないと思います。冒頭に述べたように流域の人々が、球磨川の流れに特別な思いを抱いていたこと、例えば鮎という水産資源を大切にしていたことなどが背景にあり、それが「高価であってもダムではない方策で治水を」という判断になったのだと思います。 今回の被災で急速に「川辺川ダム建設構想」が浮上しているのは事実です。ですが、流域住民の意思として「清流への愛着」があり、それが一旦はダム以外の対策を選択することとなった事実は重いと思います。そこを無視して、被災したのだからダム派が巻き返せば政治的勢いにできるというのは、短絡的に感じます。 3番目の疑問は、仮に今回の被災を受けて、やはり「川辺川ダム」の建設に踏み切ったとして、ダムさえ作れば安心かというと決してそうではないということです。例えば2018年の西日本豪雨の際、愛媛県西予市などを流れる肱川(ひじかわ)では、流域に降った雨量が想定を上回るなかでダムの緊急放水が行われたのですが、その際の情報伝達の問題から逃げ遅れた住民8人が犠牲になるという悲劇が起きています。 この肱川では、被災後に国と地元が必死になって改善策を協議し、その一方で犠牲の重さに対しては訴訟により責任問題の決着を図る動きも出ています。とにかく、ダムさえ作れば安全ではなく、ダムによる治水を行った場合には、緊急時には放水を判断し、それを事前に下流に的確に伝えるなど「ダムの使い方のソフト」、つまりコミュニケーションの体制を維持していかなければなりません。 この球磨川の問題は「脱ダム」か「ダム建設」といった単純な選択肢の問題におさまる問題ではないと思います。悲劇を受けて、活発な議論がされるのは良いことだと思いますが、ここはやはり現場の復興を進めるなかで、現地と県と国が選択肢を整理しながら合意形成していくことが必要だと思います』、「流域住民の意思として「清流への愛着」があり、それが一旦はダム以外の対策を選択することとなった事実は重い」、「ダムさえ作れば安全ではなく、ダムによる治水を行った場合には、緊急時には放水を判断し、それを事前に下流に的確に伝えるなど「ダムの使い方のソフト」、つまりコミュニケーションの体制を維持していかなければなりません」、全体としても説得力溢れた主張で、全面的に賛成だ。

次に、7月17日付け東洋経済オンラインが掲載した気象予報士・サイエンスライターの今井 明子氏による「関東も危ない豪雨降らせる「線状降水帯」の正体 集中豪雨を引き起こす大きな原因の1つ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/363484
・『2020年7月上旬から日本列島の幅広い範囲で豪雨による災害が発生しています。この7月の豪雨は熊本、鹿児島、福岡、佐賀、長崎、岐阜、長野の7県で大雨特別警報が出され、7月3日0時から15日5時までの総雨量は、高知県馬路村の魚梁瀬で1491.5ミリ、長野県大滝村の御嶽山で1462.0ミリ、大分県日田市の椿ヶ鼻で1351.0ミリとなりました。 また、この豪雨に伴い熊本県の球磨川をはじめとする複数の河川が氾濫を起こし、流域では浸水や土砂災害が発生。7月16日12時現在で、死者は76名、心肺停止が1名、行方不明者が8名となり、この豪雨は「令和2年7月豪雨」と命名されました。 今回のように激甚な災害をもたらした気象現象には名前がつくものですが、気象現象が終わったあとに命名されることがほとんどであり、気象現象が続くさなかに命名されるケースはまれです。いかにこの豪雨による被害が大きいのかがうかがい知れます』、確かに今年の「豪雨」は異常だ。
・『「線状降水帯」とは  200名以上の犠牲者を出した西日本豪雨からたったの2年で、またこのような甚大な被害を出した災害に見舞われてしまうとは。新型コロナウイルスの感染拡大という未曽有の災いが起こっている中で、今度は豪雨が私たちを痛めつけます。本当に自然とは容赦しないものだと思わずにはいられません。 さて、毎年梅雨の後半になると必ずといっていいほど集中豪雨が起こり、大きな災害が発生するものです。特に、今回の令和2年7月豪雨のような数十年に1回レベルの集中豪雨を引き起こす大きな原因のひとつが「線状降水帯の停滞」です。 では、線状降水帯とはいったい何なのでしょうか。具体的には、このレーダーエコーのような状態の現象のことをいいます。 この画像は、気象レーダーでの観測に基づいた降水強度の分布図ですが、赤や黄色などの強い雨が降っている場所が、まるで線のような細長い形で表示されています。 線状降水帯には長さや幅などに厳密な定義があるわけではないのですが、雨の降っている場所の幅が20〜50km、長さがおよそ100km以上であるもののことを線状降水帯と呼ぶことが多いです。 線状降水帯の正体は積乱雲です。積乱雲というのは、いわゆる雷雲と呼ばれるもので、しとしとと降る雨ではなく、土砂降りの雨をもたらします。夏の夕立を発生させる犯人です。 しかし、夏の夕立は1時間程度であがってしまいます。また、夕立が降っているときに気象レーダーの画像を見ても、雨の降っている場所は丸い形をしています。これはなぜかというと、夕立は基本的に単体の積乱雲からもたらされることが多いからです。 積乱雲の水平方向の直径は、だいたい数km~十数km。そして、積乱雲の寿命は1時間程度です。だから、単体の積乱雲がもたらす夕立の範囲は狭く、1時間程度で雨がやんでしまうのです』、「線状降水帯」は恐ろしい現象だ。
・『「積乱雲の世代交代」が行われている  では、なぜ積乱雲の寿命は1時間程度なのでしょうか。まず、積乱雲というのは、強い上昇流によって発生します。空気が上昇流によって上空にまで運ばれると、その空気中の水蒸気が水の粒(雲粒)や氷の粒(氷晶)に変わります。これが積乱雲です。そして、氷晶や雲粒がまわりの水蒸気を取り込んだり、お互いがぶつかりあったりして粒が大きくなると、重力の影響を受けて落下します。これが雨です。 雨粒は落ちるときに周囲の空気も一緒に引きずりおろすので、下降流が発生します。すると、この下降流が積乱雲が発達するために必要だった上昇流を打ち消してしまいます。こうして次第に積乱雲の勢力が弱まり、最後には消えてしまうのです。つまり、積乱雲は強い上昇流によって成長し、雨が降ることで下降流が発生して衰弱していくというわけです。 このように積乱雲単体の寿命は1時間程度なのですが、集中豪雨では土砂降りの雨が数時間続きます。これはなぜなのでしょうか。それは「積乱雲の世代交代」が行われているからです。 たとえば、地面の近く(下層)で温かく湿った風がずっと山や前線に向かって吹きつけていれば、上昇流が発生し続けます。このとき、地面から3kmほど上空(中層)の風が、地面近くの風と同じ方向に吹き続けると、衰弱した積乱雲は風下の方に流されていきます。こうして、イキのいい積乱雲が同じところでずっと発生し続けてしまい、長時間大雨が降り続くことになってしまうのです。 なお、このような線状降水帯のタイプは「バックビルディング型」と呼ばれるもので、線状降水帯にはほかにも、積乱雲を発生させる下層の風と、積乱雲を移動させる中層の風の風向きが約90°の場合に発生する「バックアンドサイドビルディング型」や、下層の風と中層の風がぶつかり合うように吹くと発生する「スコールライン型」があります。 線状降水帯が特に危険視されるのは、線状降水帯が移動せずにその場で停滞する場合です。先ほど挙げた線状降水帯の3つのタイプの中でも、集中豪雨をもたらすのはほとんどが「バックビルディング型」と「バックアンドサイドビルディング型」なのですが、それはこのふたつのタイプが積乱雲が同じ場所にできやすいものだからです』、「積乱雲の世代交代」によって「線状降水帯が移動せずにその場で停滞する」、降水量が史上空前になる訳だ。
・『西日本だけに発生するわけではない  なお、線状降水帯はなにも梅雨末期だけしか登場しないわけではありませんし、西日本にしか発生しないわけでもありません。たとえば2015年の9月に鬼怒川が氾濫した関東・東北豪雨も、線状降水帯が次々と発生したことがわかっています。 このときは、台風から変化した温帯低気圧と、それとは別の台風によって発生しました。つまり、梅雨が明けたら安心だとか、東日本に住んでいるから安心というわけではないのです。 もっと詳しく線状降水帯のことを知りたいのであれば、JAMSTEC(国立研究開発法人海洋研究開発機構)のホームページに掲載された茂木耕作副主任研究員による「線状降水帯の停滞が豪雨災害を引き起こす」というコラムがオススメ。このコラムでは球磨川の氾濫を引き起こした今年の7月3日や4日の集中豪雨の原因や、なぜ線状降水帯が動かなかったかについて考察されています。 茂木研究員は、今年に限らず、以前から線状降水帯が発生しやすい季節にコラムを執筆し、ホームページで発信してきました。それはなぜなのか尋ねたところ、「線状降水帯という言葉をもっと広めたい」という気持ちが発信の原動力になっているとの答えがありました。 「線状降水帯という言葉がメディアに登場したのは、私の記憶でいうと8年ほど前からだったのですが、しばらくはなかなか広まりませんでした。毎年この言葉を発信し続けてきたこともあり、この2~3年ほどでようやく線状降水帯という言葉が一般の人々の会話にも出てくるようになってきたと実感しています」(茂木研究員) なぜ、線状降水帯という言葉を広めたいのか。それは、1人1人の防災意識を高めてほしいという気持ちがあるからと言います。 「大雨が降る前に、天気予報では降水確率がいくらになりそうだとか、予想降水量が何ミリになりそうかなどを伝えますよね。でもこの数字だけを聞くと、どうしても他人事な受け止め方になってしまいがちです。だから、避難指示が出ても避難しない人が出てしまう。 でも、線状降水帯という言葉が浸透すれば、雨が降るとレーダーの観測結果を見るようになると思うんです。もし、自分のいる場所付近で赤や黄色の線が出ていて、それがしばらく動かなさそうなら、『これはまずい』と直感でわかります。そして、どうしようかを自分の頭で考えるようになります。そうやって状況を自分事としてとらえ、主体的に動けるようになってほしい」(茂木研究員)』、「状況を自分事としてとらえ、主体的に動」くことが重要なようだ。
・『15時間先までの降水量分布がわかるサイト  では、事前に線状降水帯をチェックするにはどうすればよいのでしょうか。まずは、気象庁ホームページの「今後の雨(降水短時間予報)」をブックマークしておくことをおすすめします。このページには、レーダーとアメダスなどから観測した降水量分布が表示されています。15時間先までの降水量分布がわかるため、この先自分の住んでいる地域に線状降水帯がかかりつづけるのかどうかがわかるのです。 そのうえで、実際に雨が降りだしたら、「今後の雨(降水短時間予報)」の隣のタブの「雨雲の動き(高解像度降水ナウキャスト)」や「危険度分布」もチェックしましょう。「雨雲の動き」では1時間先までの降水の状況がよりきめこまかに表示されますし、雨雲が今後どの方向に動いていくかもわかります。もし、雨雲がしばらく動かないのなら、それはとても危険な状態になるということが、想像がつくわけです。 さらに、「危険度分布」では自分の近くの場所の洪水・浸水・土砂災害の危険度が色分けされて表示されます。自分のいる場所付近の色を見れば、そこが危険かどうかもすぐにわかります。 大雨災害は、地震と違って事前に予測できるため、適切な行動をとれば命を守ることにつながります。命を守るコツは、自分から主体的に情報を取りに行き、自分の頭で状況を判断して、適切な行動をとれるようになることです。そのためにも気象用語に敏感になり、危険な情報を示す言葉を耳にしたら気象情報をこまめにチェックする習慣を身につけてほしいと思います』、「命を守るコツは、自分から主体的に情報を取りに行き、自分の頭で状況を判断して、適切な行動をとれるようになることです。そのためにも気象用語に敏感になり、危険な情報を示す言葉を耳にしたら気象情報をこまめにチェックする習慣を身につけてほしいと思います」、幸い我が家は、水害の恐れは殆どないが、たまには「チェック」してみよう。

第三に、7月17日付けデイリー新潮が掲載した写真家の村山嘉昭氏による「熊本豪雨で球磨川「瀬戸石ダム」が決壊危機 現場証拠写真」を紹介しよう。
・『熊本県南部を流れる球磨川流域に甚大な被害を発生させた「令和2年7月豪雨」からまもなく2週間。県民の生命財産を脅かす可能性があるにも関わらず、現在もマスコミが報じていない事実がある。球磨川中流にある瀬戸石ダムに決壊のリスクがあるのだ。県や事業者はこの事実を公表していない。 球磨川は過去にも度々水害を発生させてきたが、7月3日から4日にかけて降り続いた雨量はこれまでの記録をゆうに超えるものだった。気象庁によると、人吉市で観測された24時間雨量は410ミリと7月の観測史上1位を記録。1日で7月の平均降水量471.4ミリに迫るほどの雨が降ったことになる。この豪雨によって球磨川は急激に水位が上昇。11ヶ所で河川の氾濫が確認され、人吉市では2ヶ所で堤防が決壊した。さらに流域の生命線でもある国道219号やJR肥薩線も至るところで寸断し、現在も徒歩でしか行けない地域が少なくない。住民ですら地域の被害状況が把握しきれていないのだ。被害の全容はいまだわかっていないが、球磨川流域で発生した災害では戦後最大規模と言えるだろう。 私が熊本県人吉市へ入ったのは5日の深夜で、豪雨による浸水被害から一昼夜経ってのことだった。ライフワークとして取り組んでいる川を遊び場とする子どもたちの撮影で、球磨川流域にはこれまで数えきれないほど足を運んできた。思い出深い土地であるとともに、流域にはお世話になった方々が住んでいる。自宅が浸水し、自衛隊のヘリで救出された友人家族もいる。これまでの恩返しをするため、不織布マスクや消毒エタノール液、被災した友人や知人へ渡す下着や生活用品などを大量に買い込み、車で熊本へ向かった。 現地では連日、人吉市や球磨村、八代市坂本町などを駆け回り、延々と被害が発生しているのを肌身で実感した。浸水した家屋では70才を超える高齢者夫婦が腰を曲げながらスコップで泥をすくい、半ば孤立化した集落では食料品不足を訴える住民とも出会った。それでも毎日のように浸水した家屋、道路の寸断を目にすると、次第にそれらが見慣れた景色となり、感情が揺らぐことが少なくなっていった。非日常であっても慣れるのである。しかし、あるはずの建物が跡形もなく消え、大型の重機でさえ動かせないものが無くなっているのを目撃すると、増水時の球磨川が持つ力の凄さに畏怖を覚えた。 県によると球磨川流域では3本の鉄橋(JR肥薩線2本、くま川鉄道1本)、国道その他の道路橋が14本流失している。土砂崩れや土石流とともに川へ流出した大量の杉や被災材などが欄干や鉄橋トラフに絡みついたことで抵抗が増し、上流からの圧力に耐えきれず落橋したものと思われる。一度の豪雨でここまで橋が落ちたのは近年に例がなく、いかに当時の球磨川が想像以上のエネルギーを持っていたかがわかる。 個人的に依頼された食料品や生活用品を被災地で届けていると、川を良く知る地元住民から「豪雨時に瀬戸石ダムが流れを妨げていた可能性がある」という話を聞いた。話をしてくれた住民も可能性のひとつとして考えていたもので、実際に目撃したわけではなかった。案内役をかって出てくれた男性によると「瀬戸石ダムへ続く道は崩壊と落橋が至るところで発生しており、ダム周辺の住民は全て避難している。確認するためには徒歩で行くしかない」という。天気図と雨雲レーダーで強い雨が降らないことを確認し、事実を知るために現地へ向かった』、「3本の鉄橋」と「道路橋が14本流失」、とは被害は深刻だ。
・『約2時間かけて瀬戸石ダムへ  瀬戸石ダムは堤高26・5メートル、幅が約140メートルの重力式コンクリートダムで、1958年に完成した水力発電のダムである。事業者は電源開発株式会社(Jパワー)で、ダム下流には人口12万5000人の八代市がある。瀬戸石ダムから下流8・5キロの場所にはかつて同じ発電目的の荒瀬ダムがあったが、こちらのダムは地元住民の要望で撤去が実施され、2018年3月に全ての構造物を取り除く工事が完了している。ダム上部に溜まった堆砂による洪水リスクに怯えてきた住民にとって荒瀬ダム撤去は悲願だったが、土木事業者にとっても国内で初めて本格的なダム撤去となる記念すべき事業でもあった。瀬戸石ダムも同じ理由から撤去の要望が何度も出されてきたが、荒瀬ダムと違い、こちらは県も後ろ向きな対応に終始し、具体的な進展に進むことはなかった。その瀬戸石ダムが豪雨によって決壊のリスクが高まっているのだ。 八代市坂本町から球磨川沿いに続く国道219号を車で上流へ向かうと、ほどなくして目の前に崩落箇所の復旧現場が現れた。作業の迷惑にならないところへ車を置き、そこから地元住民の方と歩いて上流へ移動した。予想に反してかなり手前から歩いて向かわなければいけなかったが、仕方ない。 途中、谷筋で発生した土石流や土砂崩れによって、道路が何カ所も寸断。増水した激流が岸辺をさらい、道の面影すら消えてしまったところが珍しくなかった。沢沿いの家屋などは土石流で屋根と柱だけを残して見るも無残な状態で建っており、球磨川沿いの集落は泥に埋まり、全壊した家屋も少なくなかった。 鉄道写真愛好家にとって人気の撮影スポットだった球磨川第一橋梁も、左岸側の一部を残して落橋。発災後、ヘリからの空撮中継で第一橋梁が流失した事実は知っていたが、実際に目の前で見るとショックは大きかった。その先の鎌瀬橋も落ちていたため、国道で向かうことは諦め、被災した肥薩線に沿って上流へ歩くことにした。時折、現場確認する復旧関係者の姿を見かけるぐらいで人の姿はなく、ドコモの携帯電波も圏外。わざわざ歩いて自宅へ向かう住民の姿は皆無だった。 枕木や足元が確かなところを選んで歩き、コンクリートのホームでさえ跡形も無くなった瀬戸石駅“跡地”を通り過ぎると、遠くに瀬戸石ダムが現れた。歩きはじめてから約2時間。到着早々、ダム職員のいるはずの管理棟へ向かい、外から何度も大声で呼びかけたが応答せず。付近の道路上に堆積した土砂に足跡がないことからも、誰もいないことがわかった』、「管理棟」に「誰もいない」、ような状況で大丈夫なのだろうか。
・『水圧でズレた道路  ここで驚くべき事実を見つけた。ダム本体の上部にある管理用道路が水圧に耐えきれず、コンクリート接合部が十数センチもずれていたのだ。川へ落ちた鉄橋のようにダムが仮に決壊した場合、ダム下流の集落ではさらに急激な水位上昇が起こり、屋根に上って救助を待つ人たちが助からなかった可能性も考えられる。 ダムを見下ろす高台の集落に暮らす住民の証言では「4日早朝、外が明るくなった際に外を見ると、すべてのゲートが全開になっていた。すでに管理用道路が水没し、管理棟も浸水していた」という。管理用道路より高い場所に流木などが引っかかっていることからも、ダムへ流入する水量がゲートでの放流能力を超え、オーバーフローを起こしていたのだ。さらに行き場を失った流れはダム本体の左右に分かれ、とくに右岸側へ流れが集中。激流とともに運ばれた大量の流木等が折り重なるようにダム脇の路上に堆積しており、強い圧力で押しつけられたためか、流失物はひとつの塊のように硬く締まっていた。 ダム本体に隣接する変電施設や発電所で使う電気の予備発電施設も、フェンス等に残された洪水跡で1メートル以上浸水していたことを確認した。予備発電施設に不具合が生じた際に使う目的で今年3月に導入されたばかりの移動式発電装置にも洪水跡が残っており、このことからも建屋内で使う発電施設のバックアップは浸水を想定していなかったことがわかる。 浸水した変電施設などを道路上から撮影していると、上流側からこちらへ向かってくる作業着姿のグループを見つけた。上流側の道路事情が知りたくて彼らの元へ向かうと、九州電力の関係者だった。建物被害がない住宅へ住民が避難先から戻れるように上流側から停電状況を歩きながら調査し、ダムまでは約1時間半ほどかかったという。アクセス事情や付近の被害状況についての情報を交換し、お互いの休憩を兼ねて雑談。ダム本体や周辺集落の停電状況を尋ねると、完全に不通状況で、発電所に電気が来ていないことを教えてくれた。 予備発電施設が浸水し、外から給電が止まった瀬戸石ダムは現在、全電源喪失状態にあるといえる。。瀬戸石ダム自体が流れを妨げる構造物になっていたのである。 記事を執筆している16日時点で、Jパワーから瀬戸石ダムが機能不全となった事実及び堰堤を越えるほどの流入量で決壊リスクがあったことの公式発表はされていない。八代市坂本町で被災した住民が発災後、人吉市にある電源開発の南九州電力所に瀬戸石ダムの状況を何度も問い合わせたが、やっと繋がったのは10日だったという。問い合わせた住民によると「ダム事務所で人的な被害がなく、現場機能が停止。現場に職員が辿りつけない状況であるため、現状が説明できない」というものだった。住民からの問い合わせ後、同日中に公式ウェブサイトに掲載されたのは『ダム情報テレホンサービスの電話回線が不通・ないしかかりにくいなどの不具合が続いております。(https://www.jpower.co.jp/oshirase/2020/07/oshirase200710.html)』という一文と問い合わせ先のみである。そこには住民らが知りたいダムの安全性や現在の状況についての情報は一切なく、オーバーフローがあった事実も公表されていない。さらに豪雨時、放流操作時にアナウンスされるサイレンや放流放送をダム下流で被災した住民で聞いた者はおらず、この件に関するアナウンスも現在までなされていない。放送設備が被災し、Jパワー独自での対策は難しいかもしれないが、被災住宅の片付けや溜まった泥を出すために現地での作業を続ける住民にとって、情報不足は安全上の観点からも早く改善すべき問題ではある。 瀬戸石ダム下流に位置する八代市はダム決壊を想定しておらず、決壊時のハザードマップを作成していない。球磨川流域には今回の豪雨によって大量の土砂や流木が川沿いに堆積している。甚大な被害を与えた同規模の豪雨でなくても、それら堆積物が河川へ流入することで、災害が起こる危険性はより高まっており、瀬戸石ダムが次も持ち堪えられるとは限らない。 瀬戸石ダムでの検証を終えたタイミングで、ひとりの地元男性と出会った。ダムの様子を見に来たという。男性による確かな情報では、発災後にJパワー職員が初めて現況を確認したのは13日だという。5日早朝に職員が国道を使って避難する姿が地元住民に目撃されているので、現況確認は避難から8日後のことである。瀬戸石ダムは発電という本来の目的を失い、住民に不安を与えながら今も存在している。 週刊新潮編集部が県に瀬戸石ダムの状況について問い合わせたところ「県では状況を把握していない。Jパワーが管理しているので、そちらに聞いてほしい」(河川課)との返事だった。Jパワーが公式発表をしていないのは先述の通りである。ダムの決壊リスクは依然として高いままだが、そのことを知る県民がどれほどいるだろうか』、「ダム本体の上部にある管理用道路が水圧に耐えきれず、コンクリート接合部が十数センチもずれていた」、「ダムへ流入する水量がゲートでの放流能力を超え、オーバーフローを起こしていた」、これでは決壊の可能性も否定できない。にも拘わらず、「Jパワーから瀬戸石ダムが機能不全となった事実及び堰堤を越えるほどの流入量で決壊リスクがあったことの公式発表はされていない」、恐るべき無責任ぶりだ。県も「県では状況を把握していない。Jパワーが管理しているので、そちらに聞いてほしい」(河川課)、県から直ちに「Jパワー」に問い合わせるのが筋だ。無責任さがここまで酷いことに、改めて怒りを感じた。

第四に、7月30日付けプレジデント Digitalが掲載した京都大学大学院人間・環境学研究科 教授の鎌田 浩毅氏による「京大火山学の権威が断言「富士山に大異変」…コロナ後に「日本沈没」は現実だ 噴火前にみられる数々の兆候」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/37438
・『富士山に何が起こる?  富士山が日本一の活火山であることは広く知られるようになった。そんな富士山がこのコロナ禍のなかで噴火したらどうなるかが話題となっている。今年4月に政府の中央防災会議が富士山噴火のシミュレーション結果を発表したのだ。 富士山は江戸時代の1707年に大噴火した。「宝永噴火」と火山学者が呼ぶもので、近い将来に同じ規模の噴火が起きた場合、首都圏が大混乱に陥る。2~10cmの火山灰が降り積もると予想されているが、もしレールの上に火山灰が0.5mm積もると鉄道は運行できない。 加えて雨が降ると、送電線に付着した火山灰によりショートして、東京・神奈川・千葉・埼玉で大規模な停電が発生する。同時に携帯電話の基地局の電源も切れ、スマホやネットが使用不能になり、3時間ほどで都市機能がまひすると見られる。さらに火山灰はガラス質の細かい破片なので、舞い上がると目やのどを激しく痛めることになる。 本稿では、そもそも富士山の噴火とはどういう現象なのか、地下で何が起きているのかということについて基本から解説する。降ってくる火山灰におびえるだけでは的確な対処ができないからだ』、「レールの上に火山灰が0.5mm積もると鉄道は運行できない。 加えて雨が降ると、送電線に付着した火山灰によりショートして、東京・神奈川・千葉・埼玉で大規模な停電が発生」、「3時間ほどで都市機能がまひする」、深刻な事態だ。
・『富士山の噴火は予測できるか  最初に富士山が噴火するメカニズムを見ていく。現在、富士山の地下約20kmにはマグマで満された「マグマだまり」がある(図表1)。ここには1000℃に熱せられた液体マグマが大量に存在し、それが地表まで上がると噴火が始まる。 噴火の前には前兆現象が観測される。まず、マグマだまり上部で「低周波地震」と呼ばれるユラユラ揺れる地震が起きる(図表1のa)。これは人体に感じられない小さな地震で、しばらく休んでいたマグマの活動が始まったときに起きる。 さらにマグマが上昇すると、通路(火道)の途中でガタガタ揺れるタイプの地震が起きる。人が感じられるような「有感地震」である(図表1のb)。地震の起きる深さは、マグマの上昇にともない次第に浅くなっていくので、マグマがどこまで上がってきたかがわかる。 その後、噴火が近づくと「火山性微動」という細かい揺れが発生する(図表1のc)。マグマが地表に噴出する直前に起きるため、「噴火スタンバイ」状態になったことを示す。 富士山の地下ではときどき低周波地震が起きているが、マグマが無理やり地面を割って上昇してくる様子はまだない。噴火のおよそ数週間から1カ月ほど前にこうした現象が起き始めるので、事前に噴火を把握することができる』、「噴火のおよそ数週間から1カ月ほど前にこうした現象が起き始めるので、事前に噴火を把握することができる」、僅かながら安心させる材料だ。
・『首都圏が機能停止するまで  1707年の宝永噴火では大量の火山灰が富士山の東方面に飛来し、横浜で10cm、江戸で5cmも積もった(写真)。火山灰は2週間以上も降りつづき、昼間でもうす暗くなったという。 今、富士山が大噴火したら江戸時代とは比べものにならない被害が予想される。火山灰が降り積もる風下に当たる東京湾周辺には、多くの火力発電所が設置されている。ここで使用されているガスタービン中に火山灰が入り込むと、発電設備を損傷する恐れがある。 また、雨に濡れた火山灰が電線に付着すると、碍子がいしから漏電し停電に至ることがある。すなわち、火山灰は首都圏の電力供給に大きな障害をもたらす可能性があると言える。 同様に、細かい火山灰は浄水場に設置された濾過装置にダメージを与え、水の供給が停止する恐れもある。大都市のライフラインに火山灰が及ぼす影響が心配されるのだ。 さらに室内に入り込むごく細粒の火山灰は、花粉症以上に鼻やのどを痛める可能性がある。目の角膜を痛めたり気管支炎を起こしたりする人も続出し、医療費が一気に増大するだろう。 富士山の近傍では、噴出物による直接の被害が予想される。富士山のすぐ南には、東海道新幹線・東名高速道路・新東名高速道路が通っている(図表2)。もし富士山から溶岩流や土石流が南の静岡県側に流れ出せば、これら3本の主要幹線が寸断される。首都圏を結ぶ大動脈が何日も止まれば、経済的にも甚大な影響が出るに違いない。さらに、富士山の裾野にはハイテク関係の工場が数多くある。細かい火山灰はコンピューターの中に入り込み、さまざまな障害を起こす可能性が考えられる』、やはり「電力供給」「水の供給が停止する恐れも」、など「大都市のライフラインに火山灰が及ぼす影響」は本当に深刻だ。
・『在日米軍の戦略も変わる可能性  火山灰は航空機にとっても大敵である。上空高く舞い上がった火山灰は、偏西風に乗ってはるか東へ飛来する。富士山の風下には約3500万人の住む首都圏があり、羽田空港はもとより、成田空港までもが使用不能となる。何十日も舞い上がる火山灰は、通信・運輸を含む都市機能に大混乱をもたらすだろう。 かつて火山の噴火が、国際情勢に影響を与えたことがある。1991年のフィリピン・ピナトゥボ火山の大噴火では、風下にあった米軍のクラーク空軍基地が火山灰の被害で使えなくなった。 これを契機に米軍はフィリピン全土から撤退し、極東の軍事地図が書き換えられた。将来の富士山の噴火によって、厚木基地をはじめとする在日米軍の戦略が大きく変わる可能性もあるのだ。 富士山が噴火した場合の災害予測が、内閣府から発表されている。富士山が江戸時代のような大噴火をすれば、首都圏を中心として関東一円に影響が生じ、最大で総額2兆5000億円の被害が発生するという。 これは2004年に内閣府が行った試算であるが、東日本大震災を経験した現在では、この試算額は過小評価だったのではないか、と火山学者の多くは考えている。富士山の噴火が首都圏だけでなく関東一円に影響をもたらすことは確実だ。まさに、富士山の噴火は日本の危機管理項目の一つと言っても過言ではない』、同感だ。
・『巨大地震と富士山噴火の連動  火山の噴火は巨大地震によって引き起こされることがある。2030年代に発生が予測されている南海トラフ巨大地震が、富士山噴火を誘発することが懸念されている(拙著『京大人気講義 生き抜くための地震学』ちくま新書)。巨大地震と噴火というダブルショックが首都圏から東海地域を襲い、日本の政治経済を揺るがす一大事となる恐れがある。 江戸時代には巨大地震が発生した数年後に、富士山が大噴火を起こした事例がある。1703年の元禄関東地震(マグニチュードM8.2)の35日後に、富士山が鳴動を始めた。その4年後の1707年に、宝永地震(M8.6)が発生した。 さらに、宝永地震の49日後に富士山は南東斜面からマグマを噴出し、江戸の街に大量の火山灰を降らせたのである。ちなみに、この火山灰について江戸時代の儒者・新井白石が『折たく柴の記』に書き残しているが、富士山では最大級の噴火だった。 宝永噴火は直前の2つの巨大地震が富士山のマグマだまりに何らかの影響を与えて噴火を誘発したと考えられている。例えば、地震後にマグマだまりにかかる力が増加し、マグマを押し出した可能性が考えられる。 また、巨大地震によってマグマだまりの周囲に割れ目ができ、マグマに含まれる水分が水蒸気となって体積が急増し、外に出ようとして噴火を引き起こしたとも考えられる。いずれにせよ、宝永噴火では、地震被害の復旧で忙殺されている最中に、噴火が追い打ちをかけたのである』、「巨大地震と噴火というダブルショック」、まさに踏んだり蹴ったりで日本沈没に。
・『富士山はいつ噴火するのか  私たち専門家は「火山学的には富士山は100%噴火する」と説明するが、それがいつなのかを前もって言うことは不可能である。たとえば、雑誌やテレビで富士山噴火を年月日まで明言する人が後を絶たないが、科学的にはまったく根拠がない。 確かに噴火予知は地震予知と比べると実用化に近い段階まで進歩したが、残念ながら一般市民が知りたい「何月何日に噴火するのか」に答えることは無理なのだ。火山学者が予測できることは、低周波地震の数週間から1カ月ほど後には噴火が始まる可能性が高い、というだけである。 と言っても、噴火は直下型地震と違って、ある日突然襲ってくるということはない。現在の観測態勢は完璧ではないが、地震や地殻変動などの前兆現象を現在の予知技術は見逃さない。 火山学者は24時間態勢で、観測機器から届けられる情報をもとに富士山を見張っている。なお、現在(2020年7月)の状態は直ちに噴火につながるものではないことも知っておいていただきたい。 火山の噴火には予兆があるとは言っても、具体的に噴火する何時間前か、何週間前かはやってみないとわからない。その難しさは「イチ・ゼロ」ではなく、毎回が「想定外」との勝負なのである。未知の自然現象に人間が対処するという点で、新型コロナの対策とも似ているかもしれない。 こうした状況では、自然災害に対する正確な知識を事前に持ち、起きつつある現象に対してリアルタイムで情報を得ながら、早めに準備することが肝要である。過度の不安に陥るのではなく「正しく恐れる」ことが大切と言えよう』、「「正しく恐れる」ことが大切」、その通りだが、現実には難しそうだ。
・『ハザードマップを活用せよ  「噴火のデパート」と呼ばれる富士山では、溶岩流や噴石、火砕流、泥流など多様な被害が発生する(図表3)。特に噴火の初期には、登山客や近隣住民など、富士山のもっとも近くにいる人へ危険が及ぶ。一方、溶岩流は1日〜数週間くらいかけて流れるので、後になってから流域の経済的被害が発生する。 こうした内容はハザードマップと呼ばれる「火山災害予測図」でくわしく知ることができ、全てインターネットでダウンロードできる。まずハザードマップを入手し、どのような被害が起こりうるのか知識を持っておくことが大切である。 一方、公表されたハザードマップや国の報告書は、市民の目線で書かれていないので読みにくいという評判も聞く。それを受けて私も富士山噴火の解説書(『富士山噴火と南海トラフ』講談社ブルーバックス)を刊行したが、身近な住まいや仕事にどのような影響があるかを、噴火の前にぜひ知っていただきたい。 自然災害では何も知らずに不意打ちを食らったときに被害が最大となる。日本は火山国といっても実際に噴火を見た人はそう多くはない。人間は経験のないことに直面したときにパニックに陥りやすい。 火山灰が降ってきてからでは遅いので、「平時のうちに準備する」のが防災の鉄則なのである。新型コロナの終息が見えない現在、ライフラインの早期復旧手順や避難場所の確保など事前の対策も急務だ。富士山噴火との複合災害だけは起きてほしくない、と火山学者の全員が固唾をのんで見守っている』、「ライフラインの早期復旧手順や避難場所の確保など事前の対策も急務だ」、個人よりも、インフラ企業や国、自治体が中心とならざるを得ないようだ。
タグ:災害 Jパワー 東洋経済オンライン 冷泉彰彦 鎌田 浩毅 Newsweek日本版 村山嘉昭 デイリー新潮 プレジデント Digital (その10)(脱ダム政策への賛否が問題ではない 球磨川治水議論への3つの疑問、関東も危ない豪雨降らせる「線状降水帯」の正体 集中豪雨を引き起こす大きな原因の1つ、熊本豪雨で球磨川「瀬戸石ダム」が決壊危機 現場証拠写真、京大火山学の権威が断言「富士山に大異変」…コロナ後に「日本沈没」は現実だ 噴火前にみられる数々の兆候) 「脱ダム政策への賛否が問題ではない 球磨川治水議論への3つの疑問」 2000年代の「脱ダム」議論はコストだけが問題視されたのではない この地域の人々は「日本三大急流」の1つとして球磨川を誇りにしています 蒲島知事の反省 「ダムによらない治水を目指してきたが、費用が多額でできなかった。非常に悔やまれる」 球磨川に関しては、ダム建設が高価だから反対論が優勢となって知事も断念したのではなく、むしろ「脱ダム」の方が高価だというのは意外感があります 球磨川は「資源」 「川辺川ダム建設構想」が浮上 流域住民の意思として「清流への愛着」があり、それが一旦はダム以外の対策を選択することとなった事実は重い ダムさえ作れば安全ではなく、ダムによる治水を行った場合には、緊急時には放水を判断し、それを事前に下流に的確に伝えるなど「ダムの使い方のソフト」、つまりコミュニケーションの体制を維持していかなければなりません 今井 明子 「関東も危ない豪雨降らせる「線状降水帯」の正体 集中豪雨を引き起こす大きな原因の1つ」 「線状降水帯」とは 「線状降水帯の停滞」 「積乱雲の世代交代」が行われている イキのいい積乱雲が同じところでずっと発生し続けてしまい、長時間大雨が降り続くことになってしまう 西日本だけに発生するわけではない 状況を自分事としてとらえ、主体的に動」く 15時間先までの降水量分布がわかるサイト 気象庁ホームページの「今後の雨(降水短時間予報)」 「熊本豪雨で球磨川「瀬戸石ダム」が決壊危機 現場証拠写真」 「3本の鉄橋」と「道路橋が14本流失」 約2時間かけて瀬戸石ダムへ 水力発電のダム ダム本体の上部にある管理用道路が水圧に耐えきれず、コンクリート接合部が十数センチもずれていた ダムへ流入する水量がゲートでの放流能力を超え、オーバーフローを起こしていた Jパワーから瀬戸石ダムが機能不全となった事実及び堰堤を越えるほどの流入量で決壊リスクがあったことの公式発表はされていない 県では状況を把握していない。Jパワーが管理しているので、そちらに聞いてほしい 「京大火山学の権威が断言「富士山に大異変」…コロナ後に「日本沈没」は現実だ 噴火前にみられる数々の兆候」 富士山に何が起こる? レールの上に火山灰が0.5mm積もると鉄道は運行できない。 加えて雨が降ると、送電線に付着した火山灰によりショートして、東京・神奈川・千葉・埼玉で大規模な停電が発生 3時間ほどで都市機能がまひする 富士山の噴火は予測できるか 噴火のおよそ数週間から1カ月ほど前にこうした現象が起き始めるので、事前に噴火を把握することができる 首都圏が機能停止するまで 大都市のライフラインに火山灰が及ぼす影響 在日米軍の戦略も変わる可能性 巨大地震と富士山噴火の連動 巨大地震と噴火というダブルショック 富士山はいつ噴火するのか 「正しく恐れる」 ハザードマップを活用せよ ライフラインの早期復旧手順や避難場所の確保など事前の対策も急務だ
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ふるさと納税制度(その4)(返礼品の消滅で“制度崩壊”も! ふるさと納税を襲う「宅配クライシス」の実態 総務省の「5割ルール」は形骸化しつつある、ふるさと納税 「国vs泉佐野市」の最高裁判決でも残った根源問題、ふるさと納税「国のいやがらせ」からの逆転勝訴で見えた 官僚の支配構造 「上から目線」の総務省) [国内政治]

ふるさと納税制度については、昨年2月26日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その4)(返礼品の消滅で“制度崩壊”も! ふるさと納税を襲う「宅配クライシス」の実態 総務省の「5割ルール」は形骸化しつつある、ふるさと納税 「国vs泉佐野市」の最高裁判決でも残った根源問題、ふるさと納税「国のいやがらせ」からの逆転勝訴で見えた 官僚の支配構造 「上から目線」の総務省)である。

先ずは、本年4月10日付け文春オンライン「返礼品の消滅で“制度崩壊”も! ふるさと納税を襲う「宅配クライシス」の実態 総務省の「5割ルール」は形骸化しつつある」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/37125
・『2008年の制度開始以来、全国の自治体への寄付額は増加を続け、2018年度には5100億円の寄付金が集まる巨大市場となった「ふるさと納税」。工夫次第で、人口わずか2000人程度の町であっても億円単位の寄付金を集めることができるのがこの制度の面白いところ。ふるさと納税が地方経済を活性化させていることは間違いない。その一方で、寄付額の増加に伴って返礼品の発送量が増えたことで、悲鳴を上げる自治体も出てきた。 いま、ふるさと納税の現場で何が起こっているのか。ジャーナリストの大西康之氏が追った。 昨年6月、総務省は返礼品について「寄付金額の3割以下の地場産品に限る。送料・手数料などの諸経費を含めても5割まで」とする制度改正を行った。地元と無関係な高額の返礼品で巨額の寄付を集めた大阪府泉佐野市のようなケースを防ぐための措置だが、各自治体には大きな負担となってのしかかった。 すでに高知県室戸市は北海道、沖縄、離島地域への返礼品の配送をやめる方針を打ち出した。遠方への配送料の高騰が原因だろう。 だが、それでも室戸市のように返礼品を送ることができるのならばまだマシといえる。配送料の高騰によって、返礼品自体が「消滅」してしまった自治体があるのだ』、興味深そうだ。
・『ふるさと納税で「税収の2割」を稼ぎ出したビール  岩手県西和賀町――前岩手県知事で現日本郵政社長の増田寛也が座長を務めていた「日本創生会議」が、かつて「岩手県内で最も消滅の可能性が高い町」と名指しした町である。 西和賀町の看板返礼品は「銀河高原ビール」だ。1996年に盛岡発祥の住宅メーカー、東日本ハウス(現日本ハウスホールディングス)の創業者、中村功が「これまで日本になかった本格的なクラフトビールを作ろう」と、旧沢内村(現西和賀町)に醸造所を建設し、生産を開始した。 中村はビールの品質にとことんこだわり、1516年にドイツ・バイエルンの国王ヴィルヘルム4世が布告した「ビール純粋令」に倣い、原料はドイツ産の麦芽、ホップと西和賀の軟水しか使わない銀河高原ビールを生み出した。酵母をろ過しないため、麦芽由来のフルーティーな甘みがある。 銀河高原ビールは一部のビール好きの間で熱烈に支持されていたが、ふるさと納税をきっかけにその人気が全国に広まった。税収が5億円弱の西和賀町にあって、2017年からは1億円を超える寄付金を集めてきた。つまり、税収の2割を銀河高原ビールが稼ぎ出しているわけだ。 だが、昨年12月、事態が暗転した。銀河高原ビールが「西和賀町にある醸造所を2020年3月で閉鎖する」と発表したのだ。今後は軽井沢に本社を置く親会社ヤッホーブルーイングの醸造所で銀河高原ビールの生産を続ける予定だが、それでは「西和賀産」ではなくなり、返礼品にすることはできない。 工場閉鎖の背景には配送料の高騰がある。銀河高原ビール社長の岡秀憲が苦しい胸の内を明かす。 「1本267円の缶ビールには77円の酒税がかかります。そもそも利益率が高くありません。さらに、輸送費が大きく上がったことで損益分岐点が上昇してしまった。チルド輸送をお願いしていた物流会社には、値上げどころか、『荷物を受けられない』と言われました。別の会社を探したのですが、これまでの2倍以上の輸送費を提示されたのです」』、「これまでの2倍以上の輸送費を提示された」、のであれば、「「西和賀町にある醸造所を2020年3月で閉鎖」もやむを得ないだろう。
・『「返礼品を送れない」ケースが続出する?  工場閉鎖の決断はやむをえないものだったという。 「醸造設備の更新期にきていたこともあり、東京や大阪から離れた西和賀で醸造して輸送するビジネスは限界だと判断しました。銀河高原ビールのブランドを残すには、(大消費地の東京に近い軽井沢に醸造所を持つ)ヤッホー社に生産委託するしかなかった」 ふるさと納税の魅力は、都会のスーパーでは手に入らない「地方ならでは」の産品が手に入ることにある。だが、産地と寄付者を点で結ぶ「少量多品種」の物流は、明らかに効率が悪い。深刻な人手不足を考慮すれば、物流コストは今後も上昇し続けるだろう。総務省の「5割ルール」は形骸化しつつある。このままでは西和賀町や室戸市のように寄付を受けても、「返礼品を送れない」ケースが続出し、ふるさと納税の制度そのものが崩壊する恐れもある』、「物流コストは今後も上昇し続ける」のであれば、「「返礼品を送れない」ケースが続出」もやむを得ないだろう。「ふるさと納税」は安い「物流コスト」を前提にしたあだ花だったのかも知れない。

次に、7月16日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した金沢大学法学類教授の仲正昌樹氏による「ふるさと納税、「国vs泉佐野市」の最高裁判決でも残った根源問題」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/243220
・『制度からの除外は違法 市が国に逆転勝訴  大阪府の泉佐野市が、それまで過剰な返礼品を提供していたことを理由に「ふるさと納税」制度から除外されたのは不当だとして、国を訴えていた訴訟で、最高裁は6月30日、市側の訴えを認め、国の措置は違法だとして、除外の取り消しを命じた。 これを受けて総務省は、泉佐野市と、同じ理由で除外されていた和歌山県高野町と佐賀県みやき町の3つの自治体を制度に復帰させる方針を表明した。 これによって国と自治体の不協和音は解消されたかにみえる。だが自治体の過剰な返礼品競争を生み出した制度の根本問題が解決したわけではない』、「国」の敗訴というみっともない結果になったが、そもそも論から「制度の根本問題」を詳しくみてみよう。
・『三位一体改革の税源格差 補完する狙いだったが  「ふるさと納税」とはそもそも何を目的とした制度で、どういう理念に基づいているのか、まずはこの問いについて掘り下げて考えてみよう。 ふるさと納税はもともと、小泉政権時代(2001~06年)の、国と地方の行財政改革を進める「三位一体改革」の足りなかったところを補完するための政策として、小泉政権から次の第1次安倍政権への移行期に浮上した。 三位一体改革とは、自治体の特定の事業に対する国の補助金(国庫補助負担金)の削減、自治体間の財政格差を調整するための国からの地方交付税の縮小と引き換えに、地方に税源移譲するというものだった。 これによって地方分権が進み、各自治体が国に頼ることなく、自らの創意工夫によって、それぞれ地域の事情に合った行政サービスを行えるようになるはずだった。 しかし、単純な税源移譲だけだと、東京、大阪、愛知など大都市を抱えた自治体と、人口減少や過疎、地場産業の不振に悩む“地方”との格差がさらに拡大することは明らかだった。 それを補うものとして考案された政策の一つが、大都市圏で働く人たちが住民税の一部を、出身の地元自治体に納めることができるようにする「ふるさと納税」だ。 第1次安倍政権が発足すると、当時の菅総務相(現官房長官)主導で、内閣の目玉政策の一つとして検討が進められた。 石原都知事(当時)ら大都市の首長らが、受けた行政サービスに応じて税を負担する受益者負担の原則に反するとして強く反対したが、総務省が設置したふるさと納税研究会(座長・島田晴雄千葉商科大学学長)で検討が進められ、2008年4月、麻生政権の下で、所得税法や地方税法を改正する形で成立した。 「納税」と通称されているが、法律上は、ある自治体に寄付すれば、ほぼそれに相当する額が、所得税の還付と住民税の控除で還元される仕組みだ』、「当時の菅総務相主導」だったとはいえ、「ふるさと納税研究会」に参加した学識経験者も欠陥のある制度を了承したとは、いい加減なものだ。
・『曖昧だった「ふるさと」 返礼品競争を誘発  ただ、制度には最初から不安定な要因を含んでいた。 「ふるさと」と通称されているが、別に自分の出身地に寄付しなくてもいい。居住の自由と職業選択の自由が保障されている自由主義国家である以上、当然のことだが、それだと、当初、理念として掲げられていた「美しい郷土を愛し、育ててくれた『ふるさと』の恩に感謝する本来の人間性への回帰の貴重な契機」(ふるさと納税研究会報告書)を提供するということから乖離(かいり)する。 「ふるさと」を生まれた所ではなく、かつて生活して、なじみのある「心のふるさと」というような広い意味に解するとしても、何らかの理由でその人とはあまり関係がない自治体に寄付が行われることはあり得た。 より現実的な問題として、住民税の移転が、財政にゆとりのある地方から、人口減少に苦しむ地方へという流れになるとは限らず、ゆとりのない自治体からさらに財源が流出する恐れもあった。 制度が始まった最初の2年間(08~09年度)は、ふるさと納税の総額は70億~80億円台だったが、10年に、東国原英夫氏が知事を務めていた宮崎県を中心に家畜伝染病である口蹄疫の感染が広がるなか、支援の一環として宮崎県にふるさと納税する人が、前年の15人から2千数百人にまで増加した。 翌11年に東日本大震災が起きると、被害の大きかった東北3県に対するふるさと納税が急増し、制度とその存在意義が広く認識されるようになった。 11年度には納税額は121.6億円まで増えた。その後、12年度はいったん104.1億円に落ち着いたが、14年度は145.6億円、15年度は385.5億円と急増、18年度には5127.1億円にまで達している。 この急増の理由として指摘されたのが、自治体間の返礼品競争だ。 単なる感謝の気持ちの表明というよりは、キックバックによる納税の誘導と思えるものも現れた。 200万円相当の宮崎牛の肉や130万円のシルクコートなどの高額なものや、寄付額の半額相当のDMMマネー といった地域色と関係ない返礼品による露骨なキックバックともいえるやり方も登場した』、「急増の理由として指摘されたのが、自治体間の返礼品競争だ。 単なる感謝の気持ちの表明というよりは、キックバックによる納税の誘導と思えるものも現れた」、極めて歪んだ形で成長したようだ。
・『寄付額の3割以下に規制 4自治体は「不指定」に  こうした事態を受けて総務省は17年4月の大臣通知で、プリペイドカード、商品券、電子マネー・ポイント・マイル、通信料金など、「金銭類似性の高いもの」や電気・電子機器、家具、貴金属、宝飾品、時計、カメラ、ゴルフ用品、楽器、自転車など「資産性の高いもの」は返礼品として不適当とし、返礼品の金額も寄付の3割を超えないようにすべきとの方針を示した。 返礼品の寄付に対する割合を表示することも止めるように指示している。 さらに18年4月の通知では、返礼品は「地方団体の区域内で生産されたものや提供されるサービス」に限るようにすべきとしている。 しかしこの通知を出して以降も、返礼率が3割以上の高額のものや地場産品以外のものを返礼品としている自治体がかなりの数に上った。 そのため政府・与党は法律での規制に踏み出し、19年6月から施行された新しい地方税法(37条の2) では、返礼品は「寄付額の3割以下の地場産品」にすることが明記されたうえ、ふるさと納税制度を利用する自治体は大臣の「指定」を受けなければならないようにした。 その結果、泉佐野市のほか、和歌山県高野町、佐賀県みやき町、静岡県小山町の4つの自治体が「指定」から外され、制度から除外された。 泉佐野市は18年度に500億円を集め、2位以下を大きく引き離して全国1位になったが、19年2月からアマゾンギフト券を返礼品としていたことが問題になった。 同市は、法律施行後は返礼品を提供しない旨の申出書を総務省に提出していたが、総務省は過去の“実績”や、法律改正が視野に入っていた時期の市の態度を理由に、除外を決めた。 これに対して泉佐野市は、この決定を不服として、19年6月、総務省に置かれた第三者機関である国地方係争処理委員会に審査を申し立てた。 改正された法律の規定に従う意思を表明しているにもかかわらず、改正以前に、法的拘束力のない国の“助言”に従わなかったことを除外の理由にするのは、「国又は都道府県の職員は、普通地方公共団体が国の行政機関又は都道府県の機関が行った助言等に従わなかつたことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない」とする地方自治法(247条3項)や法治主義の原則に反するというのが市側の言い分だ。 委員会は同年9月、市側の主張を大筋で認め、指定除外の判断に合理性があるか疑問だとして、総務省に再検討を勧告した。 しかし、総務省が勧告にもかかわらず除外を継続したため、泉佐野市が同年11月に、大阪高裁に決定の取り消しを求める訴訟を起こした(国と地方の間の紛争では、国地方係争処理委員会の勧告に不服がある場合、高裁を第一審とする裁判が行われる)。 今回の裁判のポイントの一つは、国の指定除外の妥当性だった。 ただこれについては、答えははっきりしている。最高裁や国地方紛争処理委員会が指摘するように、自治体が法律で許される範囲内で行った工夫を、「責任と良識」を欠くなどと非難し、法改正前の過去の姿勢を後出し条件のように後から法的“ペナルティー”を科すのは、不当だろう。 中央省庁が、自治体や各種法人・団体に対して表面的にはフリーハンドを与えながら、行政指導の形で実質的に強い統制をかけるというのはよくあることだが、今回の場合、国は国民がそれぞれの「ふるさと」に対して持つべき姿勢のようなものを想定し、それに自治体を順応させようとしたようにみえる。 だがもともと「ふるさと」という共同体主義的な価値観と、公平性と効率性を追求すべき税制を、制度の中で結び付けることに無理があった。 「ふるさと」を拡大解釈すれば、共同体主義的な理想とは無関係に、かつ、税制の原則に反する形で、一部の自治体だけが常識的に見て“不当”な利益を得ることが可能になる。「ふるさと納税」はそういう仕組みだった。 国はある意味、そのことに気が付いて、法改正によって矛盾を解消しようとしたわけだ。 だが自分で抜け穴を作っておきながら、それを利用した自治体を罰するのは、法治主義の原則に反する。国自身の制度設計の甘さ、理念が曖昧だったことを反省すべきであって、自治体に責任を負わせるのはおかしい。 親が使い方を曖昧にしか指示しないで、子どもにお金を渡して、子どもがそのお金を変な用途に使ったというので叱るようなものだ。そんな場合には子どもはその親に対して不信感を持つだろう』、「総務省に置かれた第三者機関である国地方係争処理委員会」が「市側の主張を大筋で認め、指定除外の判断に合理性があるか疑問だとして、総務省に再検討を勧告した」、「しかし、総務省が勧告にもかかわらず除外を継続」、とは「総務省」の対応は信じられないほどお粗末だ。「自分で抜け穴を作っておきながら、それを利用した自治体を罰するのは、法治主義の原則に反する。国自身の制度設計の甘さ、理念が曖昧だったことを反省すべきであって、自治体に責任を負わせるのはおかしい」、同感である。
・『保守的価値観と経済的効率 同時に追求する矛盾  理念の曖昧さや制度の矛盾はほかにもある。最高裁判決の補足意見で宮崎裁判長が述べているように、「税」を支払うことに対する「返礼」というのも、確かにおかしい。 返礼割合を3割に限定すれば、多少は矛盾が緩和されるかもしれないが、制度的な矛盾が根本的に解消されるわけではない。 また、何をもって地場産品というのかもそれほどクリアではない。 小山町の場合、地元に工場があるリンガーハットグループの共通商品券を、地場産品とみなして返礼品に加えていたことが問題になったとされている。 これが地場産品だと無理なく考えられる人は少ないだろうが、何をもって、その地域の特徴を表す商品といえるのか、感謝の気持ちを表すにふさわしいというのか、人によってかなり判断が異なるだろう。 当初想定していたように、苦労している地元の人を支援したいという気持ちから寄付することを奨励するのなら、その土地だけでしか作られていない品物に限定しなくてもいいようにも思える。) 現在、新型コロナ問題の影響で売り上げが急減した地元の観光業や飲食業を守るため、返礼品制度を活用しようとしている自治体は少なくない。 確かに返礼品は、その地域の観光業や伝統工芸、食品産業のアピールになる。しかし、限られた税収を、返礼品を武器にして自治体同士が奪い合うというのはやはり不自然である。 コロナ問題で地域間の行き来が現状でもかつてのようには戻っていないだけに、地域間の対立をあおることになる可能性もある。 元はといえば、人と地域のつながりが希薄になっている現在の日本で、「ふるさと」という曖昧な概念でこうした地域振興策を追求することに無理があった。 文教政策的な課題としての「郷土愛」と、地域経済振興を融合するという構想は、魅力的に思えるが、現実を無視した融合を図るべきではない。 ふるさと納税制度の抱える根本問題に、愛国心を核とする保守的な価値観と、経済的効率化を同時に追求する自民党政権の矛盾が集約的に表れているように思える。 今年1月、大阪高裁は国の決定は、法による委任の範囲内であり、租税法律主義に反しないとして、市の訴えを退けたが、今回の最高裁の判決で、市の逆転勝訴になったわけだ』、「ふるさと納税制度の抱える根本問題に、愛国心を核とする保守的な価値観と、経済的効率化を同時に追求する自民党政権の矛盾が集約的に表れている」、「矛盾」を度外視して強引に強行した安部政権のやり方が最高裁から否定された形となったが、「国」の主張を認めてきた地裁、高裁の裁判官はさぞかし気まずい思いをしていることだろう。
・『裁判官が補足意見で指摘 制度設計の甘さや理念の曖昧  最高裁は、国の不指定は明確な根拠を欠いており、違法であるという判断を示した。 ただ、宮崎裕子裁判長 は補足意見で、自治体が受け取るのが「税」だとすれば、その対価を納税者に支払うというのは「税」の定義に反しており、「税」と(返礼があってもおかしくない)「寄付金」という全く異質のものを同じ枠組みで扱うことはもともと矛盾をはらんでおり、法改正によってもそれは解消されないことを指摘している。 また林景一裁判官も同じく補足意見として、国家全体の税収を上げることなく、国と自治体間で税収をめぐるゼロサムゲームを繰り広げることを前提とする制度に疑問を呈した。 そのうえで、ことさら返礼品の金銭的な割合を強調して寄付を集めようとする泉佐野市の姿勢を批判し、「ふるさと納税から得られることが通常期待される水準を大きく上回る収入を得てしまっており、…中略…新たな制度の下で、他の自治体と同じスタートラインに立ってさらなる税収移転を追求することを許されるべきではないのではないか、あるいは、少なくとも、追求することを許される必要はないのではないかという感覚を抱くことは、それほど不当なものだとは思われない」と述べ、国の立場に一定の理解を示している』、私も「泉佐野市の姿勢」にはかねてから腹を立てていたので、「補足意見」での「泉佐野市の姿勢を批判」には同感である。

第三に、7月25日付け現代ビジネスが掲載したドクターZによる「ふるさと納税「国のいやがらせ」からの逆転勝訴で見えた、官僚の支配構造 「上から目線」の総務省」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/74143
・『総務省の「後出しジャンケン」  ふるさと納税の制度除外をめぐる国と地方自治体の争いで、最高裁は国の決定を取り消す判決を下した。これにより、総務省は大阪府泉佐野市や和歌山県高野町、佐賀県みやき町の制度参加を再び認めると発表した。 国の判断が最高裁で取り消されることは異例だが、振り返ると制度から特定の自治体が外されるのはめったにないことだ。結論から言えば、各自治体の財政支出については、それがどのような形であれ、市民が決めるもので、それ以外の人間が口を出すべきではない。 たしかに、自治体のふるさと納税の「返礼品戦争」は一時期過熱を極めており、寄付額より返礼品の方が高価であることもザラだった。これを受け、昨年6月、地方税法等の改正により総務省が返礼品の規制をする流れとなった。 これに対し、泉佐野市は「閉店キャンペーン」を展開し、返礼品に加えてアマゾンギフト券を配布するなど、変更前の駆け込み需要の取り込みに走った。 これが総務省を激怒させた。同省は新制度の対象を選定するに当たり、「'18年11月から'19年3月までの寄付募集について、他自治体に多大な影響を与えていない」との条件を設定し、泉佐野市など4市町が新制度の対象外となったのだ。 これは特定の自治体を狙い撃ちした総務省の露骨な「後出しジャンケン」である。総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」も総務省に再検討を勧告したが、総務省は無視した。 泉佐野市は国を訴えることになったわけだが、今年1月、大阪高等裁判所は、総務省の行政裁量を認め、「制度から除外したことは違法ではない」として同市の訴えを退けた。最高裁で同市の逆転勝訴が決定したのは、6月30日のことだ』、「総務省の露骨な「後出しジャンケン」」とは言い得て妙だ。
・『今回の最高裁判決については、小兵平幕力士が大横綱を土俵際で見事に「うっちゃった」感があり、爽快だ。 大阪の一地方都市が総務省に勝つとは、まさに奇跡的なことだと言える。総務省としても、最高裁判決が出た以上、泉佐野市ら3自治体をふるさと納税の対象とせざるを得ない。 ただし、今回の判決は、あくまで先述した「後出しジャンケン」のような基準が問題だったとしているだけで、総務省によるふるさと納税規制そのものを否定しているわけではない。そのため、以前と同様に、派手なバラマキキャンペーンで納税者を募ることはできないだろう。 結局のところ、今回の判決でも、総務省がふるさと納税のルールを決めている実情を覆してはいない。本来なら、返礼品のルールは地方自治体の財政支出である以上、その地方自治体の市民が市長や市議会議員を選ぶことで決めるべきだ。 今回の騒動の根底には、総務省が「上から目線」で自治体を見ていることがある。地方自治体を「指導・監督」するような国家機関は、先進国ではまず見当たらない。 今の日本では、国と地方自治体が対等であるとされている。であれば、もはや総務省が果たすべき役割はない。むしろ総務省官僚のおごりがあるだけ、地方自治体の足かせになっているのではないか。これを機に、総務省の存在意義を考え直すべきだ』、私は「ふるさと納税」制度そのものに反対だが、それを除けば「ドクターZ」の主張には方向としては賛成だ。総務省は、地方交付税の配分、各種補助金の交付、地方債の認可などを通じて、「地方自治体」をがんじがらめにしている。ただし、自由化するには、地方債への暗黙の保証を外す、「地方自治体」の破綻法制を整備するなどの準備が必要になる。
タグ:仲正昌樹 ふるさと納税制度 ダイヤモンド・オンライン 現代ビジネス ドクターZ 文春オンライン (その4)(返礼品の消滅で“制度崩壊”も! ふるさと納税を襲う「宅配クライシス」の実態 総務省の「5割ルール」は形骸化しつつある、ふるさと納税 「国vs泉佐野市」の最高裁判決でも残った根源問題、ふるさと納税「国のいやがらせ」からの逆転勝訴で見えた 官僚の支配構造 「上から目線」の総務省) 「返礼品の消滅で“制度崩壊”も! ふるさと納税を襲う「宅配クライシス」の実態 総務省の「5割ルール」は形骸化しつつある」 高知県室戸市は北海道、沖縄、離島地域への返礼品の配送をやめる方針を打ち出した。遠方への配送料の高騰が原因 ふるさと納税で「税収の2割」を稼ぎ出したビール 工場閉鎖の背景には配送料の高騰がある 「返礼品を送れない」ケースが続出する? 「ふるさと納税、「国vs泉佐野市」の最高裁判決でも残った根源問題」 制度からの除外は違法 市が国に逆転勝訴 最高裁は6月30日、市側の訴えを認め、国の措置は違法だとして、除外の取り消しを命じた 制度の根本問題 三位一体改革の税源格差 補完する狙いだったが 「ふるさと納税研究会」 曖昧だった「ふるさと」 返礼品競争を誘発 急増の理由として指摘されたのが、自治体間の返礼品競争だ。 単なる感謝の気持ちの表明というよりは、キックバックによる納税の誘導と思えるものも現れた 寄付額の3割以下に規制 4自治体は「不指定」に 総務省に置かれた第三者機関である国地方係争処理委員会に審査 委員会は同年9月、市側の主張を大筋で認め、指定除外の判断に合理性があるか疑問だとして、総務省に再検討を勧告した。 しかし、総務省が勧告にもかかわらず除外を継続 自分で抜け穴を作っておきながら、それを利用した自治体を罰するのは、法治主義の原則に反する。国自身の制度設計の甘さ、理念が曖昧だったことを反省すべきであって、自治体に責任を負わせるのはおかしい 保守的価値観と経済的効率 同時に追求する矛盾 ふるさと納税制度の抱える根本問題に、愛国心を核とする保守的な価値観と、経済的効率化を同時に追求する自民党政権の矛盾が集約的に表れている 裁判官が補足意見で指摘 制度設計の甘さや理念の曖昧 「ふるさと納税「国のいやがらせ」からの逆転勝訴で見えた、官僚の支配構造 「上から目線」の総務省」 総務省の「後出しジャンケン」 地方自治体を「指導・監督」するような国家機関は、先進国ではまず見当たらない 総務省は、地方交付税の配分、各種補助金の交付、地方債の認可などを通じて、「地方自治体」をがんじがらめにしている 自由化するには、地方債への暗黙の保証を外す、「地方自治体」の破綻法制を整備するなどの準備が必要
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日本のスポーツ界(その29)(「太田雄貴」会長で金銭負担が大幅増… フェンシング“選手会”が説明要求の事態に、アスリート800人が語る「暴力指導」の衝撃実態 人権NGOが提起したスポーツ界の深刻な問題、日本の中高生だけが柔道で亡くなる驚きの実態 強豪他国はゼロなのに日本は「121人死亡」) [社会]

日本のスポーツ界については、5月1日に取上げた。今日は、(その29)(「太田雄貴」会長で金銭負担が大幅増… フェンシング“選手会”が説明要求の事態に、アスリート800人が語る「暴力指導」の衝撃実態 人権NGOが提起したスポーツ界の深刻な問題、日本の中高生だけが柔道で亡くなる驚きの実態 強豪他国はゼロなのに日本は「121人死亡」)である。

先ずは、6月11日付けデイリー新潮「「太田雄貴」会長で金銭負担が大幅増… フェンシング“選手会”が説明要求の事態に」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2020/06031700/?all=1
・『五輪メダリスト・太田雄貴(34)が、日本フェンシング協会の会長に就任したのは2017年のこと。以来「改革の騎士」として競技のエンタメ化などを推し進めてきた若き会長に、選手たちから不満の声が上がっていた。 〈これは気合を入れないと続けられないな。〉とのつぶやきと共に、12年五輪のフェンシング男子フルーレ団体の銀メダリスト・三宅諒選手(29)は一枚の写真を公開した。イタリアやフランスなどで行われた国際大会等の遠征費用を求める請求書で、差出人には〈会長 太田雄貴〉とある。三宅選手の自己負担額合計は「計67万323円」にも上っている。 あわせて三宅選手は、同様の請求がほぼ毎月あることも明かした。さる協会関係者は「協会に所属する選手たちは、遠征費用を全額負担させられているのです」とし、こう語る。 「本来、選手は協会から遠征費用の補助を受けられます。日本代表クラスなら協会が全額負担する場合もある。むろん予算は限られており、選手のレベルに応じて自己負担の割合は変わりますが、昨年7月の世界選手権終了後、トップ選手ですら遠征費は自腹になった」 改革の騎士がトップに居ながら、選手たちが苦境に……。先の三宅選手は「ウーバー」配達員をして遠征費などを自分で稼いでいるという』、「銀メダリスト」が「「ウーバー」配達員をして遠征費などを自分で稼いでいる」、とは驚きだ。
・『遠征費が全負担となったことを受け、日本代表クラスの選手たちが集う協会の「アスリート委員会」、いわゆる「選手会」は、協会に対して説明を要求。5月28日にオンライン会議の形で極秘裡に「緊急説明会」が行われたという。 実は1月にも協会が“釈明”する機会が設けられており、自己負担をめぐる選手たちとの会議は二度目。1月の段階では、19年にハンガリーで開かれた世界選手権で「想定外の出費」があり、選手たちに使う金がなくなったと協会は説明したという。 そしてこのたびの「緊急説明会」だが、 「想定外出費の実態は、あまりに杜撰などんぶり勘定でした」(協会に所属するアスリート) そして、選手への補助は難しいことが改めて告げられた。 太田会長は週刊新潮の取材に、 「選手たちから上がった声に対しては、真摯に受け止めて反省すべき点はしないといけません」と話し、のちにメールにこたえる形で、日本オリンピック委員会からの助成金が減少傾向にあることなどを、選手負担増の理由に挙げた。こうした状況で、来年に延期となった東京五輪のメダルの行方は――。6月4日発売の週刊新潮で詳しく報じる』、「19年にハンガリーで開かれた世界選手権で「想定外の出費」」、これが尾を引いているのだろうか。「日本オリンピック委員会からの助成金が減少傾向」、これはスポーツ団体共通の事情だ。この記事だけでは、全くよく分からないが、こんなズサンな運営を許しているスポーツ庁は、一体、何をしているのだろうか。

次に、7月22日付け東洋経済オンラインが掲載したライターの東洋経済オンライン氏による「アスリート800人が語る「暴力指導」の衝撃実態 人権NGOが提起したスポーツ界の深刻な問題」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/364421
・『国際人権NGO(非政府組織)のヒューマン・ライツ・ウォッチが7月20日に発表した報告書が、日本のスポーツ界に衝撃を与えている。報告書のタイトルは「『数えきれないほど叩かれて』:日本のスポーツにおける子どもの虐待」――。 日本のスポーツ界に深く根差している「暴力」について厳しく指摘する内容である。かなりのインパクトのあるタイトルだが、その中身はもっと衝撃的だ』、興味深そうだ。
・『衝撃的な報告書の中身  ヒューマン・ライツ・ウォッチは、これまでも世界の人権状況について調査報告を行い、世界に発信してきた。「調べる、知らせる、世界を変える」という方法論に基づき、調査員を人権侵害の現地へ派遣し、被害者や加害者を直接調査し、報告書という形で発表しているという。 最近でいえば、ミャンマーのロヒンギャ難民、アフガニスタンにおけるタリバンによる人権侵害、LGBTの人権問題、フィリピンの麻薬撲滅戦争など、世界中の人権問題について調査し、厳しく指弾してきた。そんな報告・レポートに交じって、日本のスポーツ界の問題が大々的に取り上げられているのは、なんとも異様だ。 この報告書は、オリンピック・パラリンピックに出場したトップアスリートを含む約800人に実施した調査(757人へのアンケートと、56人へのインタビュー)に基づいている。また、スポーツ庁をはじめとする日本のスポーツ組織の幹部にも面会して話を聞いたという。 その調査から浮かび上がってきたのは、今も続くスポーツの現場での「子どもへの暴力」だ。 例えば、埼玉県の高校球児だったショウタ・Cさん(23歳・仮名)のコメントとして、指導者から「あごを殴られて、口の中が血だらけになりまた。シャツの襟をつかまれ、身体を持ち上げられました」「部員の9割が暴力を振るわれていました。『まだ殴られてないのか。いつになったらお前の番なんだ』と冗談を言っていたものです」といった内容が掲載されている。 暴力の事例は野球だけではない。さらに、過剰な食事の強要、水や食事の制限、罰トレーニング、罰としての短髪、上級生からの暴言、暴力、性虐待などの事例も数々紹介されている。こうした暴力を振るった指導者、つまり加害者は日本のスポーツ界・教育界ではほとんど責任を問われることがない。 もちろん、日本でもスポーツ庁を中心に「スポーツ基本法」「スポーツ界における暴力行為根絶宣言」などが発表され、暴力体質を改革する動きが起きている。しかし報告書では、これらの取り組みでは不十分であるとしている。 そもそも、スポーツをする人の法的権利とスポーツ団体の法的責任の規定が不十分で、スポーツをする子どもの虐待に対応する仕組みが不明確。被害者救済の仕組みも、指導者研修も不十分。要するに「スポーツにおける暴力はいけない」と一応否定はしているが、そのための取り組みはほとんど整備されず、現場のスポーツ指導者の良心に委ねられている、ということなのだ。 世界では「セーフスポーツ」というムーブメントが起こっている。国際オリンピック委員会もスポーツの現場からの暴力の排除に乗り出している。日本は過去3度のオリンピックを開催し、来年には4度目のオリンピックを開催しようとする、スポーツ先進国のはずである。その日本で、スポーツからの暴力の排除がまったく進んでいないのだ』、「世界では「セーフスポーツ」というムーブメントが起こっている」、国際試合などを通じて、情報は入ってくる筈なのに、重要な流れに乗り遅れるとは、日本の内向き志向には呆れる。
・『暴力と"地続き"の日本スポーツ  日本のメディアでは、スポーツに関する暴力・虐待事件のニュースがしばしば報じられてきた。そのときに常套句のように使われるのが「熱心さのあまり」「行きすぎた熱血指導」のような言葉だ。 筆者はこれにつねに違和感を覚えていた。これでは、スポーツ指導の延長線上に「暴力」が存在する、と言っているようなものだ。本来のスポーツは、暴力や虐待を否定するところから始まるのではないか。 これまで筆者は野球だけでなく、多くの高校スポーツの指導者に話を聞いてきた。指導者の多くは、筆者が尋ねる前に「暴力は振るっていない」と言う。そうした風評が広がるのを恐れているのだ。 一方で、そういう指導者が必ず言うのは「昔とは違って世間がうるさいから」「今の子は厳しく指導すると、親や学校に言いつけるから」という類いだ。高校野球の「名将」と呼ばれる指導者の中には「今の子は甘やかされているから、きつい指導をするとやめてしまう」と嘆いて見せる人もいた。 彼らの本音は「今の世の中では暴力が否定されているからやらないが、昔の指導は正しかった」ということになるのではないか。だとすれば、暴力が容認されれば、そうした指導者は再びこぶしを上げると考えられる。 ジャーナリストにしても、教育者にしても、「人権の尊重」と「暴力・暴力的指導の否定」は最も重要視すべきポイントだろう。だが、現状はこのレベルなのだ。 また、親の中にも、指導者の暴力を肯定したり、なかには熱烈に支持したりする人がいる。2013年に大阪市の公立高校のバスケットボール部員が顧問の体罰を苦に自殺した事件では、懲戒免職になった顧問に対して、保護者ら1100人の“有志”が顧問への寛大な処分を求める嘆願書を大阪市教育委員会に提出した。 教育現場の「暴力指導」がなくならないのは、世間にそれを容認する空気があることも大きいだろう』、スポーツ庁が先頭に立って、各スポーツ団体を徹底指導する他ないようだ。
・『教育現場なら刑事事件にならない異常  昨年4月29日に兵庫県尼崎市の公立高校バレーボール部で起こった暴力事件では、練習中に顧問が部員を10回以上も平手打ちにした。その部員は失神したが、顧問は適切な救護措置を行わず、練習中のコートの横に放置。監督も、意識が朦朧とした部員を病院に連れて行かなかった。部員は左鼓膜裂傷の重傷と診断された。 仮に高校生が往来で殴打され失神したとすれば、刑事事件に発展した可能性が高い。しかし尼崎市教育委員会は、加害者の顧問を停職73日、監督を減給10分の1(3カ月)の懲戒処分にするにとどまった。 この学校ではこれ以外にも野球部などで暴力・暴言が見られたが、校長と体育科教頭は減給10分の1(1カ月)の懲戒処分になっただけ。加害者の顧問は退職し、校長と体育科教頭は異動となったものの、これほどの問題行為でありながら、だれも訴追されず、刑事処分も受けていない。 結局、日本のスポーツの「暴力体質」の背景には、「暴力」「暴言」「パワハラ」などを否定しきれない日本社会の体質が横たわっているといえるのではないか。 「スポーツ」という概念は明治期に西欧からもたらされたが、ときの政府要人は「たかが遊びではないか」となかなか理解しなかったそうだ。そこで、導入推進派は「スポーツは西欧列強に負けない強い兵隊を作ることに寄与する」という考え方を打ち出し、「富国強兵」の国是に乗ってスポーツ振興を行った。 日本のスポーツが「軍隊」に通じる、規律を重んじ、上下関係に厳しく、ときには鉄拳制裁も辞さない体質になったのは、こうした経緯があるからだ。 戦後、日本が民主主義国家になっても、そうした体質は一掃されなかった。あるベテランの元野球指導者は「軍隊から帰ってきた人がスポーツ指導者に収まってから、むしろ暴力は増えた印象だ」と語る。 この指導者も含め、暴力・暴言を否定し、まっとうな指導をしていた指導者はいつの時代もいた。それでも、全国大会などで実績を上げるのは「暴力・パワハラ指導者」だったため、つねに少数派にとどまってきた。 2018年11月には、ユニセフ(国連児童基金)と公益財団法人日本ユニセフ協会が、スポーツと子どもの課題に特化したユニセフとして初めての文書『子どもの権利とスポーツの原則』(Children’s Rights in Sport Principles)を発表した。 この原則では、 1. 子どもの権利の尊重と推進にコミットする  2. スポーツを通じた子どものバランスのとれた成長に配慮する  3. 子どもをスポーツに関係したリスクから保護する  4. 子どもの健康を守る  など、子どものスポーツから暴力・パワハラを排除することがうたわれた。 今年6月8日には、日本ユニセフ協会が「ユニセフ『子どもの権利とスポーツの原則』実践のヒント」(明石書店)という書籍を刊行。ユニセフも、ヒューマン・ライツ・ウォッチも、日本のスポーツに対して同様の問題意識を持っている。 一方で、ユニセフが「改善の余地あり」としているのに対し、ヒューマン・ライツ・ウォッチは「日本のスポーツ問題は、人権問題だ」と、より鋭い問題提起をしている』、「「富国強兵」の国是に乗ってスポーツ振興を行った。 日本のスポーツが「軍隊」に通じる、規律を重んじ、上下関係に厳しく、ときには鉄拳制裁も辞さない体質になったのは、こうした経緯があるからだ。 戦後、日本が民主主義国家になっても、そうした体質は一掃されなかった」、こんな悪しき伝統があるのであれば、よほど本腰を入れて取上げないと、絵に描いた餅で終わってしまう。
・『「世界トップレベルの基準を設けるチャンス」  報告書『数えきれないほど叩かれて』は「東京オリンピック・パラリンピック競技大会の1年延期により、日本政府と日本のスポーツ団体には、スポーツをする子どもへの虐待を防止し、加害者の責任を追及するための世界トップレベルの基準を設けるチャンスが訪れているのである」と締めくくられている。 この報告書は、日本語だけでなく、6カ国語で世界に発信された。 ヒューマン・ライツ・ウォッチ東京オフィスの湯村帆名氏は、報告書を発信した経緯について「これは日本だけの問題ではなく、国際的に大きなテーマであるととらえています。これまでにも2008年の北京、2012年のロンドン、2014年のソチ、2016年のリオデジャネイロなど、過去の五輪の際も報告を発表してきました」と語る。 そのうえで、「ヒューマン・ライツ・ウォッチは FIFA(国際サッカー連盟)やIOC(国際オリンピック委員会)などとも頻繁に仕事を共にし、人権ポリシーを策定するよう働きかけを行っています。ヒューマン・ライツ・ウォッチは長年にわたり、アスリートへの虐待について多くの経験を積み重ねてきました。この報告書の提言を真摯に受け止めることを期待します」と付け加えた。 日本のスポーツは、世界からこんな風に見られている。この強烈な問題提起に対して、スポーツ界はどのような対応をするのだろうか』、「日本」の「スポーツ界」は、「世界からこんな風に見られている」のを心から恥じるべきだ。そうすれば、自ずからしかるべき「対応策」が出てくるだろう。「世界トップレベルの基準を設けるチャンス」として、取り組んでほしい。

第三に、7月25日付け東洋経済オンラインが掲載したフリーライターの島沢 優子氏による「日本の中高生だけが柔道で亡くなる驚きの実態 強豪他国はゼロなのに日本は「121人死亡」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/364635?display=b
・『世界100余国の人権状況を調査・モニタリングしているヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW/本部 ニューヨーク)が7月20日、日本のスポーツにおける子どもの虐待やハラスメント調査報告をするオンライン会見を開いた。 25歳未満のアンケート回答者381人のうち、19%がスポーツ活動中に叩かれるなどの暴力を受けたと回答したという。オリパラの経験者を含め、800人以上にインタビューなどで実施した調査は「数えきれないほど叩かれて」と題した報告書にまとめられた。 HRW職員や弁護士らとともに、ただ1人被害者家族として登壇したのが、「全国柔道事故被害者の会」の一員として活動してきた小林恵子さん(70)だ。 「全柔連(全日本柔道連盟)は真剣にこの問題に取り組んでいると感心しているが、残念ながら現場には届いていない。指導者が変われば事故はゼロになる」と訴えた』、「ただ1人被害者家族として登壇」、とは勇気ある行動だ。何があったのだろう。
・『中学校での練習中、息子が脳に重度障害を負った  2004年、中学校3年生だった三男は、顧問から乱取りを受けていた。全国大会で優勝経験のある顧問によって7分間ぶっ続けで投げ技をかけられ続けた。回転技が原因で脳の静脈が切断し、二度の締め技で気を失った。緊急手術を施したのち奇跡的に一命を取り留めたものの、脳に重い障害が残った。 日本スポーツ振興センターの記録が残る1983年度から現在まで、中学校・高校の学校内における柔道事故によって、121人もの尊い命が奪われてきた。こうしたことから、日本では長らく「柔道は格闘技だから事故が起こりやすい」と言われてきた。2015、2016年の2年間にも、学校で3人の中高生が柔道の部活動中に命を失っている。 昨年は、一般道場で小学生が柔道の練習中に頭を打ち急性硬膜下血腫となった重大事故が2件報告されているという。1人は小学4年生の男児で、1月にスポーツ少年団の練習で投げ込みを受けた。命は取り留めたものの重症だった。2人目は5年生男児。9月に、学校ではなく町道場の練習で頭を打って亡くなった。ともに全柔連は明らかにしている。 ところが、海外では、柔道は危険なスポーツとして認識されていない。 小林さんが2010年に語学に堪能な友人らの協力を得て調べた結果、フランス、ドイツ、イギリス、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、イタリアなどすべての国が全世代で死亡者はゼロだった。 海外の柔道強豪国の柔道連盟やスポーツ機関、病院など1件1件メールを送り、粘り強く問い合わせた。なかでもフランスは柔道人口が60万人と日本の4倍以上に上るが、重篤な事故や事件は起きていない。 小林さんは調べた事実をすぐさま文部科学省に報告した。 「ほかの国で柔道事故は起きていません。日本は異常なんです」 ところが、文科省の担当者には「そんなわけありません」と言って信じてもらえなかったそうだ。日本でこれだけ事故が起きているのに、もっと柔道人口の多い他国でゼロなわけがない――そんな受け止めだったのだろう。 20数年間で100人以上が学校で柔道をしていて命を失っていたのだから、無理はないかもしれない。文科省が多額の調査費を投じ各国の柔道事故件数を調査したのは、それから3年後のことだった。 2013年。調査結果は、中学校での武道必修化に伴い事故実態を調べる「調査研究協力者会議」で報告された。 「他国の柔道による死亡事故を、1つも見つけられませんでした」 調査を請け負った民間機関の担当者は全柔連の理事など関係者に、深々と頭を下げたという』、「中学校での武道必修化」した以上、「文科省が多額の調査費を投じ各国の柔道事故件数を調査」、のは遅ればせながら、当然だ。ただ、「「他国の柔道による死亡事故を、1つも見つけられませんでした」 調査を請け負った民間機関の担当者は全柔連の理事など関係者に、深々と頭を下げた」、見つけられなかったことを謝る必要はない筈だが、報告ついでに謝ってしまったのかも知れない。
・『海外主要国と日本、柔道指導の「決定的な違い」  なぜ、他国はゼロで日本だけ121人もの命を失ってきたのだろうか。 小林さんによると、他国には柔道を安全に指導するための施策が構築されているという。例えば、イギリスでは同国柔道連盟が作成した「指導者のための児童保護プログラム“Safelandings”」にのっとって指導されている。 そこには、技術的な正当性を欠く過度の激しい乱取りや、成長期にある選手の身体能力の未熟さを軽視した過度の訓練、罰としての不適切なトレーニング等々は「すべて虐待である」と明記されている。さらには、女子に技を教えるときには「触りますね」「こうしますね」と事前に説明し、了解を得てから始める。子どもへの人権にきちんと配慮されている。 その詳しい内容は、被害者の会のホームページに掲載されている。小林さんが全文和訳したものだ。 そしてイギリス以外の強豪国にも「同様のプログラムがある」(小林さん)という。つまり、安全に指導できるコーチの育成が確立されているのだ。 これと同様の声が、柔道指導者からも聞かれる。 バルセロナ五輪男子柔道86キロ級銅メダリストで筑波大学体育系准教授の岡田弘隆さん(53)は、日本と他国で違いが生じている理由を「指導者の問題であることは間違いない」と話す。 柔道クラブ「つくばユナイテッド柔道」を2008年に設立。少年柔道の指導、普及に尽力するなかで「一部の指導者に安全に対する配慮が足らないのではないか」と感じている。 「安全な指導は、最初に受け身を徹底することが肝心。指導者が上手に投げてあげて、たまに上手に投げられてやる。そのときに子どもは一本を取る喜びや楽しさを味わえる。そんな指導を身に付けなくてはいけないが、目の前の子どもを早く強くしたいと焦るとそこを飛ばしてしまいがちだ。そうするとそこに危険が生まれる」(岡田さん)。 全柔連は2013年にそれまでなかった指導者資格制度を作り、重大事故総合対策委員会を設けるなど安全対策を講じてきた。「初心者には大外刈りの投げ込みを受けさせない」など指導上の禁止事項を通達しているが、指導者の意識改革は道半ばのようだ』、「指導者の意識改革は道半ば」なのは「全柔連」の取り組み姿勢がまだ中途半端なためなのではなかろうか。
・『中高生の競技人口が減る柔道  そんななか、日本の「お家芸」柔道は、競技人口減にあえいでいる。 柔道事故や、2011年の男子金メダリストによる大学の女子部員への準強姦事件、2013年の女子日本代表監督によるパワハラといった不祥事が相次ぎ、柔道はイメージダウン。それらが影響したのか、昨今は競技人口の減少に悩まされている。 全日本柔道連盟によると、6月初めの会員登録者数は5万5000人。コロナの影響で登録手続きがスムーズでないとはいえ、昨年の同時期の半分以下にとどまる。2019年度の登録者数はおよそ14万人。ここ数年は、毎年5000人規模で減少している。 全柔連が有力選手らのメッセージを発信し、登録を促していこうとした矢先の6月中旬、男子90キロ級の東京五輪代表に内定している向翔一郎(24)が、YouTubeで喫煙シーンや特定の人物を中傷するような動画をネットにアップし問題に。出鼻をくじかれた形だ。 他のスポーツの競技人口と比べるとどうなのか。 以下は、中学生の代表的なスポーツの競技人口の推移だ。日本中学校体育連盟(中体連)が発表している加盟生徒数のデータを例に、直近の2019年度と2009年度の10年間の推移を他のメジャースポーツと比較したものだ。幼少期に開始した競技を継続する過程で、受け皿になり得るか否かの分岐点であることから、中学生年代を選択。種目数が多岐に分かれる陸上競技以外で、加盟生徒数10万人以上の主なスポーツと比較した。ここでは男子のみとする。 部活動で柔道をする男子中学生は35%減。47%減となっている軟式野球ともに、状況は深刻だ。 いずれも少子化により2009年から2019年にかけて全中学生の数自体が約180万人から約165万人へ9%減った影響があるものの、バスケットやサッカーよりマイナス幅が大きい。近年露出が増えた卓球は人数が増えている。 柔道については、中体連に残されている最も古い2001年度の4万6067人と2019年度を比べると、18年間で56%も減っている。 前出の岡田さんは「イメージダウンもあるが、中学生に関しては柔道専門の指導者不足が影響している。事故が起きたらと怖がって、柔道を専門としない先生たちが顧問になりたがらないようだ」と話す』、「事故が起きたらと怖がって、柔道を専門としない先生たちが顧問になりたがらないようだ」、やはり「「全柔連」の取り組み姿勢がまだ中途半端」なことも影響しているだろう。
・『中1の息子を失った家族が語る不安  2009年に中学1年生だった長男の康嗣さんを急性硬膜下血腫で失った村川弘美さん(52)は「今でもそんなに(指導が)変わっていないと思う」と言う。12歳だった康嗣さんは入部したばかりの7月、気温30度の武道場で上級生や顧問からおよそ50分間技をかけられた。 「柔道界が変わっていないと思うのは、被害者の会に相談に来た人たちが顧問のパワハラや理不尽な指導に苦しんでいたから。他のスポーツは少しずつ変わってきているのに、柔道は指導が改善されていない」と憤る。 自力で他国の柔道事故ゼロを証明してみせた小林さんは、「私は柔道というスポーツを憎んでいるわけじゃない。息子が大好きだった柔道が、親しまれるスポーツになってほしいだけ」と胸の内を明かす。 会見の最後に、小林さんは柔道関係者に語りかけるように言った。 「他国の施策を参考にすることで、死亡事故をゼロにすることはできる。私は強く信じています」』、「全柔連」には、安全対策をさらに強化してほしいものだ。さもなければ、「国技」と誇ることすら出来なくなってしまうだろう。
タグ:東洋経済オンライン 日本ユニセフ協会 スポーツ庁 ヒューマン・ライツ・ウォッチ 銀メダリスト 島沢 優子 デイリー新潮 日本のスポーツ界 (その29)(「太田雄貴」会長で金銭負担が大幅増… フェンシング“選手会”が説明要求の事態に、アスリート800人が語る「暴力指導」の衝撃実態 人権NGOが提起したスポーツ界の深刻な問題、日本の中高生だけが柔道で亡くなる驚きの実態 強豪他国はゼロなのに日本は「121人死亡」) 「「太田雄貴」会長で金銭負担が大幅増… フェンシング“選手会”が説明要求の事態に」 日本フェンシング協会の会長 「ウーバー」配達員をして遠征費などを自分で稼いでいる 「選手会」 オンライン会議の形で極秘裡に「緊急説明会」 19年にハンガリーで開かれた世界選手権で「想定外の出費」 日本オリンピック委員会からの助成金が減少傾向 「アスリート800人が語る「暴力指導」の衝撃実態 人権NGOが提起したスポーツ界の深刻な問題」 報告書のタイトルは「『数えきれないほど叩かれて』:日本のスポーツにおける子どもの虐待」 衝撃的な報告書の中身 オリンピック・パラリンピックに出場したトップアスリートを含む約800人に実施した調査(757人へのアンケートと、56人へのインタビュー)に基づいている 今も続くスポーツの現場での「子どもへの暴力」 過剰な食事の強要、水や食事の制限、罰トレーニング、罰としての短髪、上級生からの暴言、暴力、性虐待などの事例も 暴力を振るった指導者、つまり加害者は日本のスポーツ界・教育界ではほとんど責任を問われることがない 「スポーツ基本法」「スポーツ界における暴力行為根絶宣言」 「スポーツにおける暴力はいけない」と一応否定はしているが、そのための取り組みはほとんど整備されず、現場のスポーツ指導者の良心に委ねられている 世界では「セーフスポーツ」というムーブメントが起こっている 暴力と"地続き"の日本スポーツ 「熱心さのあまり」「行きすぎた熱血指導」 親の中にも、指導者の暴力を肯定したり、なかには熱烈に支持したりする人がいる 教育現場の「暴力指導」がなくならないのは、世間にそれを容認する空気があることも大きいだろう これほどの問題行為でありながら、だれも訴追されず、刑事処分も受けていない 「富国強兵」の国是に乗ってスポーツ振興を行った。 日本のスポーツが「軍隊」に通じる、規律を重んじ、上下関係に厳しく、ときには鉄拳制裁も辞さない体質になったのは、こうした経緯があるからだ 『子どもの権利とスポーツの原則』 「ユニセフ『子どもの権利とスポーツの原則』実践のヒント」 世界トップレベルの基準を設けるチャンス」 日本のスポーツは、世界からこんな風に見られている。この強烈な問題提起に対して、スポーツ界はどのような対応をするのだろうか 「日本の中高生だけが柔道で亡くなる驚きの実態 強豪他国はゼロなのに日本は「121人死亡」」 全国柔道事故被害者の会 中学校での練習中、息子が脳に重度障害を負った 全国大会で優勝経験のある顧問によって7分間ぶっ続けで投げ技をかけられ続けた。回転技が原因で脳の静脈が切断し、二度の締め技で気を失った 1983年度から現在まで、中学校・高校の学校内における柔道事故によって、121人もの尊い命が奪われ 柔道は格闘技だから事故が起こりやすい 海外では、柔道は危険なスポーツとして認識されていない フランスは柔道人口が60万人と日本の4倍以上に上るが、重篤な事故や事件は起きていない 小林さんは調べた事実をすぐさま文部科学省に報告 文科省の担当者には「そんなわけありません」と言って信じてもらえなかったそうだ 文科省が多額の調査費を投じ各国の柔道事故件数を調査したのは、それから3年後のことだった 「他国の柔道による死亡事故を、1つも見つけられませんでした」 調査を請け負った民間機関の担当者は全柔連の理事など関係者に、深々と頭を下げたという 海外主要国と日本、柔道指導の「決定的な違い」 他国には柔道を安全に指導するための施策が構築 全柔連は2013年にそれまでなかった指導者資格制度を作り、重大事故総合対策委員会を設けるなど安全対策を講じてきた 中高生の競技人口が減る柔道 事故が起きたらと怖がって、柔道を専門としない先生たちが顧問になりたがらないようだ
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働き方改革(その28)(コスト削減のいつか来た道「ジョブ型」雇用の危うさ、安易にリモートワーク導入する企業を襲う悲劇 過去にはたくさんの企業が取りやめている、なぜ「原則出社」に戻ってしまったのか テレワークを阻む5つの壁) [企業経営]

働き方改革については、6月9日に取上げた。今日は、(その28)(コスト削減のいつか来た道「ジョブ型」雇用の危うさ、安易にリモートワーク導入する企業を襲う悲劇 過去にはたくさんの企業が取りやめている、なぜ「原則出社」に戻ってしまったのか テレワークを阻む5つの壁)である。

先ずは、7月14日付け日経ビジネスオンラインが掲載した健康社会学者(Ph.D.)の河合 薫氏による「コスト削減のいつか来た道「ジョブ型」雇用の危うさ」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00082/?P=1
・『新型コロナ感染防止策で、いつも以上に“勝手にひとり在宅勤務”が4月以降続いていたのだが、少しずつ外の方たちとリアルにお会いする仕事が入るようになった。 社長さんとの対談や鼎談(ていだん)、リモート講演会やセミナー、会社の役員さんたちとの意見交換会などなど、年齢や職種、企業規模はバラバラだが、久しぶりに会う皆さまの関心は、もっぱらこれからの働き方、働かせ方だった。 今風の言い方をすると、“アフターコロナ”における“ニューノーマル”といったところだろうか。 が、何か以前と違う。 なぜかこの数日間お会いした方たちから紡がれる言葉には、生臭さがなかった。これまで現場の人たちの言葉には、独特の温度があり、あまりのドロドロした粘っこさに、「人間って……大変」とため息をついたものだった。ところが、今回はどの会合でもそれが全くといっていいほど無い。 アフターコロナという、いつの、どこの、どういう手触りかも分からない世界の話をしているからなのか。ニューノーマルという電車に「乗り遅れないようにしなくちゃ!」という焦りからなのか。とにもかくにも、耳を傾ければ傾けるほど、話の論点があさっての方向にずれ始めていくのだ』、「耳を傾ければ傾けるほど、話の論点があさっての方向にずれ始めていくのだ」、どういうことなのだろう。
・『大企業に広がる「ジョブ型」志向  特に、「ジョブ型」の話題になると(これはどの会合でも出た)、かなり微妙だった。いや、微妙とは失礼、私が皆さんのお話を聞きながら、「なんか……微妙」と思っただけなので、お許しください。 要は、ジョブ型とセットで語られる、生産性だの、優秀な人材だの、評価だの、解雇規制だのという言葉のオンパレードに、私の脳内のサルやトラが大暴れし、「これってバブル崩壊後のあの時と一緒じゃん」「要は成果主義だろ!」「ホワイトカラーなんちゃらというのもあったよね!」と、ジョブ型という言葉の片隅に、デジャブ感、を抱いている。 ……いきなり辛口だが、仕方がない。トップの“あさって思考”は、決まって現場に強い副作用をもたらすものだ。結果として、その痛みは立場の弱い人ほど深刻になる。 というわけで、今回は「覚悟なきジョブ型の末路」について、あれこれ考えてみる。まずは簡単に「ジョブ型」のおさらいから。 ジョブ型雇用は仕事内容を詳細に記述したジョブディスクリプション(JD、職務記述書)に基づいて働く雇用制度のこと。新型コロナウイルス禍を機に、多くの企業で関心が高まっていて、すでに、日立製作所、資生堂、富士通、KDDIなどが、ジョブ型の導入や拡大を発表している。 日立製作所では10年前からジョブ型を取り入れていたが、今後は在宅勤務とジョブ型を同時に拡大し、「職能型」で雇用している国内の一般社員約3万人を対象にJDを作成、21年3月までに完了させる予定。 資生堂は、来年1月から一般社員3800人をジョブ型の人事制度に移行する。魚谷雅彦社長によれば、ジョブ型はあくまでも「究極の適材適所」であり、成果主義とは異なるとのこと。「この仕事は何が必要か」を細かく説明し、性別、年齢、国籍などにかかわらず、一番ぴったり合う人を配置するという。 富士通では、すでに4月から管理職1万5000人にジョブ型の人事制度を導入したが、今後は一般社員全員に拡大する予定だ。テレワークを基本とし、雇用をジョブ型に転換する想定の中で、社員に自律的な成長を促す狙いがあるという。 KDDIは、2020年度入社向け新卒採用で実施していたジョブ型採用枠を約4割に拡大し、あわせて2021年度入社向けの新卒採用から、選考期間の決まった一括採用から通年採用に変更すると2019年末に公表している。 こうした企業は、長い年月をかけて、社員一人ひとりの力を引き出すための様々な「機会」がある環境づくりに取り組んできた経緯がある。世間では「ジョブ型雇用」のことばかりに目が行ってしまいがちだが、あくまでもジョブ型は「社員一人ひとりの力を引き出す取り組みのプロセスの“1つ”」にすぎないと、個人的には理解している。 そんな中、コロナ禍でテレワークを経験した企業が、「ジョブ型に変えるなら今でしょ!」と言わんばかりに、ジョブ型の導入を考えてはじめた。今回、お会いした人たちからも、 「テレワークやってみてはっきりしたけど、ジョブ型にしないとダメだね。何やっていいか分からない社員が多いんだもん」「在宅勤務になると時間管理できないからね。ジョブ型に変えないと無理」「若い人たちは就社じゃなくて、就職の意識が強い。ジョブ型にしないと相手にされないよ」「そうそう。いい人材をゲットするには、ジョブ型を導入しないとね」「ただ、ジョブ型に転換するには、雇用規制の緩和も進めないと」「そのとおり!やらせてはみたが期待通りにできない。能力がないからって、解雇できないしね」といった意見が相次いだ。 ふむ。確かに言いたいことは分かる。 私自身、これまで書いてきた通り、今後は今まで以上に成果主義が重視されることになるに違いないと予想している。だが、なぜ、ジョブ型=良い人材をゲットするため、とか、ジョブ型→解雇規制の緩和といった議論になってしまうのか、まったく腑(ふ)に落ちない。 念のため断っておくが、私は何も「ジョブ型」に反対してるわけじゃない。しかしながら、なんのためのジョブ型なのか。ジョブ型を導入すれば、「今ある問題」はホントに解決するのだろうか』、当然の疑問だ。
・『「ジョブ型」にバブル後の成果主義の臭い  ジョブ型の議論に耳を傾ければ傾けるほど、「あの……そんな都合のいい人材、どこにいるんでしょうか?」と素朴な疑問が湧き、ジョブ型という言葉だけが先行しすぎじゃないのか、と思えてならないのである。 思い出してほしい。バブル崩壊後に「ムダをなくせ!」を合言葉に、多くの企業がリストラと成果主義でコスト削減したことを。文化も習慣も企業の成り立ちも違うのに、米国型経営=成果主義を中途半端に導入したことを、だ。 どんなに先行研究を探しても「終身雇用が会社の生産性を下げる」というエビデンスは見当たらないし、成果主義を導入したからといって生産性が向上するというエビデンスがあるわけでもない。ところが、「今ある問題を解決する最良の手段が成果主義」といわんばかりに、あちこちの企業が中途半端な成果主義に走った。「人」ではなく「カネ」、人件費を減らす手段として、こぞって「成果主義」を輸入したのだ』、「「ジョブ型」にバブル後の成果主義の臭い」、「どんなに先行研究を探しても「終身雇用が会社の生産性を下げる」というエビデンスは見当たらないし、成果主義を導入したからといって生産性が向上するというエビデンスがあるわけでもない」、その通りだろう。
・『その結果、何が起きたか?  上司が部下を育てるというそれまでの企業文化の美徳が失われ、手柄の奪い合いが起こり人間関係が悪化することもあった。中には上司との折り合いの悪さが、成果にマイナスに響いた人たちもいた。 「たまたま異動が評価の時期をまたぐことになった。前の部署で上司と折り合いが悪く飛ばされたんです。新しい部署の上司は僕の働きぶりを知らないので、前の部署の業績で評価するわけです。その結果、僕の評価は3段階も下がり、月10万も賃金を減らされました。年間120万の減額は苦しいです」 この話をしてくれた男性の経験は、まれかもしれない。だが、こんな不合理な事態が成果主義との末路に存在しているとしたら、それはお粗末としかいいようがない。 先行きが見えない「今」大切なのは、「どうやって働く人の能力を最大限に引き出すか?」を徹底的に考えることではないのか。 「いや、だからさ、そのためにはジョブ型が必要なんだってば」と、おそらくこう反論する人は多いことだろう。 だが、ジョブ型導入の先に企業が見ているのは、「生産性の向上」であろう。言葉や法律さえ変われば、企業の生産性が向上するわけじゃないことくらい、誰だって分かるはずだ。なのに、手を替え品を替え、生産性向上をうたう“流行りの言葉”を盾に法律を変えてきた。 たとえば、高度プロフェッショナル制度、いわゆる「高プロ」は今から2年前、連日、新聞紙面に取り上げられて日本中の注目を集めた。当時、裁量労働制で働いている人たちの過労死が問題になっていたにもかかわらず、政府は「問題ない」という認識を一向に変えず、「労働者のニーズに応えるために、待ったなしの課題」と政府は豪語し、法案は成立した』、その結果はどうなったのだろう。
・『あんなに話題になった裁量労働制はどこへ?  ところが、ふたを開けてみると「高プロ」が適用されたのは、法施行から1カ月でたったの1人。あれだけすったもんだの末に導入されたのに、全国でたった1人にしか適用されなかった。 その理由が実にシュールで、報道によれば企業は高プロを適用した社員には「過労防止策の実施状況」を報告する義務があったために企業側がこの制度を適用したがらなかったからだという。 企業側に求めた条件は、 +「4週4日以上、年104日以上の休日確保」の義務、 +「労働時間の上限設定」「2週間連続の休日」「勤務間インターバル導入」「臨時の健康診断」から1つ以上の対策を労使間で選ぶ、の2点だった。 これらは労働者の健康を確保するための最低限の基準だと思うのだが、それさえ嫌だった、あるいは、労基省に監視されることを嫌ったのか。 現在では、この制度の適用者は414人にまで増えたが、もともと対象が少ない「高プロ」を導入したのはここから広く普及させるためのアリの一穴を狙った。が、どういうわけか、あれっきり「裁量労働制」という言葉は聞かれなくなった。 成果主義、ホワイトカラーエグゼンプション、高プロ、そして、「ジョブ型」。言葉を変えているだけで、その先に期待しているのは「コスト削減」による「生産性の向上」なんじゃあるまいか。 「欧米ではジョブ型は当たり前で、日本のメンバーシップ型では、生産性の向上は期待できない」という声も聞こえてくるけど、ジョブ型を適用するには、ジョブ型を適用するためのかなり手間のかかる前段階がある。 欧米では「ジョブ型」に耐えられるだけの人材育成に、国と企業と大学とで取り組んでいる。人に投資することで、人材を育て、その結果として「ジョブ型」は存在しているのだ。 たとえば、ご承知の通り、多くの企業が即戦力を求める米国では、徹底して専門的な知識と実務経験を重視している。 大学で何をどれだけ勉強してきたかが非常に重要とされ、就職においても大学の成績が重視される。早い学生は高校から、一般的には大学在学中から企業の長期インターンシップに参加し、大学で学んだことを生かした実践的な経験をすることで、在学中に求められるキャリア・レディネスをしっかりと高めていく。卒業後に即戦力として働けるように企業と大学が投資する。 頭だけでもダメ、経験だけでもダメ。即戦力にはその両方のトレーニングが必要だという認識が社会に共有されている。学生に「ひとつよろしく!」と丸投げしてるわけじゃない。きちんと育つために「投資」しているのだ』、「「高プロ」が適用されたのは、法施行から1カ月でたったの1人・・・現在では、この制度の適用者は414人にまで増えた・・・あれっきり「裁量労働制」という言葉は聞かれなくなった」、大騒ぎした割に、少ない実態を初めて知った。日本では「大学で何をどれだけ勉強してきたか」は無視され、「学生に「ひとつよろしく!」と丸投げしてる」、全く無責任そのものだ。
・『人材は理論と実践で育ててこそ  デュアルシステムとして知られるドイツの職業教育訓練制度(Vocational Education and Training: VET)も、企業内OJTと公立の職業学校における座学を組み合わせた制度で、企業と国が一緒に「ジョブ型」に耐えられる人材を育成している。この点は米国と同じだ。 デュアルシステムは、従来、9年間の全日制就学義務を終えた若者が職場で職業訓練を受けながら、訓練先企業周辺の職業学校で学ぶことができる初期職業教育訓練制度の最も一般的な仕組みで、商工会議所、労働組合、連邦政府、州政府、職業学校などの産官学のソーシャルパートナーによる連携によって成り立っている。 近年の経済構造の変化や、技術や技能の専門化や高度化に、デュアルシステムも様々な変革を余儀なくされているけど、「個人の能力を最大限生かすための教育を行う」という視点は、1969年の職業教育法の成立時から、全くぶれていない。 特に最近は、グローバルな高学歴化に伴い、大学卒業者でもデュアルシステムによる職業資格を持っていたり、訓練先の企業に就職したりする割合も増えている。 どれもこれも付け焼き刃的に「人材」を見分けるのではなく、育てる努力をしたうえで人材を雇用しているのだ。 「私はね、この会社でずっと働いてきてやりたいことを色々と考えてきたんです。それを社長になって一つひとつ実践しています。テレワークをやって、自分には見えてなかった問題があることも分かった。でもね、ジョブ型だの、中途採用しかしないだの、即戦力だのというけど、じゃあ、誰が人を育てるんですか。会社が育てることを放棄して、生産性だ、働き方改革だ、ダイバーシティーだって、何を言ってるのかと思いますよ」 この数日間お会いした中で、ただ一人こう嘆いた社長さんがいらっしゃった。 まったくもってその通りだと思う。繰り返すが、ジョブ型雇用の導入を進めることに異論はない。だが、ジョブ型は人に投資することで成果を上げる制度であり、コスト削減のためのものではない。ジョブ型は魅力というけど、経営者にそれを使いこなす力量がなければ、その魅力は現場への暴力に変わっていくのだ』、「ジョブ型は魅力というけど、経営者にそれを使いこなす力量がなければ、その魅力は現場への暴力に変わっていくのだ」、大いに注目してみていきたい。

次に、7月15日付け東洋経済オンラインがThe New York Times記事を転載した「安易にリモートワーク導入する企業を襲う悲劇 過去にはたくさんの企業が取りやめている」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/362285
・『新型コロナウイルスの世界的感染拡大でオフィスが閉鎖されて3カ月、アメリカ企業は「自宅勤務はうまく機能している」との結論に達しつつある。従業員の多くはこの先も「ズーム」のビデオ会議や「スラック」のチャットにつながれ、通勤はものの数秒で完了するようになるとみられている。 だが、リモートワークに突進するすべての企業に対し、PR会社RLMパブリック・リレーションズのリチャード・ラーマーCEO(最高経営責任者)はこうクギを刺す。馬鹿なことはよせ、と』、「アメリカ」でも「リモートワーク」に警鐘が鳴ったとは驚かされた。
・『リモート導入で業績悪化  ラーマー氏は数年前、毎週金曜日に従業員を自宅勤務させることにした。完全な在宅勤務に向けた第一歩として、だ。ところが、この小さな一歩は大失敗に終わる。必要なときに必要な人に連絡がつかず、プロジェクトが停滞したのだ。 「毎週末が3連休になっただけ。みんなが物理的に同じ空間にいた方が人ははるかによく働く、ということがわかった」(ラーマー氏) IBMも似たような結論に至っている。IBMでは2009年に173カ国38万6000人の従業員の40%がリモートで働いていた。しかし業績は落ち込み、経営陣は17年、何千人もの従業員をオフィスに呼び戻す決断を下した。 現在、フェイスブック、ツイッター、ネット通販プラットフォーム企業のショッピファイ、不動産データベース企業のジロー(Zillow)など多数の企業が今後も在宅勤務を続ける計画を練っている。しかしラーマー氏やIBMの経験が示すように、リモートワークの歴史は失敗だらけだ。今、猛スピードでリモート街道を突っ走っている企業は、同じ失敗を繰り返す危険を冒している。 「在宅勤務は戦略的な経営判断であって、単なる経費節減とは違う」と語るのは、職場のトレンド調査を手がけるグローバル・ワークプレイス・アナリティクスのケイト・リスター社長だ。「その成否は結局のところ、信頼関係があるかどうかにかかっている。あなたは従業員を信頼していますか?」。 これまでも大小さまざまな企業が在宅勤務を進めてきた。1985年には「在宅勤務が加速」といった見出しが大手メディアに現れるようになっている。経営論の大御所、ピーター・ドラッカー氏が「オフィスに出社して仕事をするのは時代遅れ」と宣言したのは1989年のことだ。 在宅勤務はテクノロジー主導型のイノベーションであり、従業員と経営者の双方に恩恵をもたらすと思われた。まず従業員にとっては、通勤が不要となり、個々の事情に最も適した時間に働ける可能性が出てくる。次に経営側にとっては、オフィスなど高額の不動産費用を削減できるだけでなく、オフィスの所在地に左右されることなく、幅広い地域から優秀な人材を採用できるようになる』、「リモートワークの歴史は失敗だらけだ」、今回は上手くいくのだろうか。
・『在宅勤務の試みの多くは縮小、または撤回  ところが、在宅勤務の試みの多くは結果的に縮小または撤回を余儀なくされてきた。先述のIBMの他にも、この10年間で在宅勤務の巻き戻しを公表した会社には、医療保険会社のエトナ、家電量販大手のベストバイ、バンク・オブ・アメリカ、ヤフー、AT&T、ソーシャルメディア企業のレディットなどがある。 在宅で働く従業員は傍流に追いやられていると感じることが多く、愛社精神の低下をもたらした。それが新たなアイデアやイノベーションなどに悪影響を与えたと考えられたのである。 ヤフーのマリッサ・メイヤーCEO(当時)は2013年に従業員を強引にオフィス勤務に引き戻そうとして激しい怒りを買ったが、ある社内メモにはこう記されていた。「最善の決断や洞察は廊下やカフェテリアの雑談、人々の新たな出会い、即興のチーム会議から生まれることもある」。 テック企業は、従業員が永遠に滞在し続けられる贅沢なコーポレートキャンパスに巨額の資金を注ぎ込んできた。フェイスブックが2018年に発表したのは、要するに寮のような施設をつくるという計画にほかならなかった。アマゾンはシアトル近郊を丸ごと再開発した。 グーグルでCFO(最高財務責任者)を務めていたパトリック・ピシェット氏は「グーグルでは在宅勤務の従業員は何人いるのか」と問われると、好んでこう答えたと話す。「限りなく少ない」。 トレンドの変化は急だった。フェイスブックは今や2025年までには最大で半数の従業員が在宅勤務になると予想する。5000人の従業員を抱えるカナダのショッピファイでは、CEOが5月にこうツイートした。従業員の「大半が永久にリモートワークになるだろう。オフィス中心の時代は終わった」。ウォルマートのCTO(最高技術責任者)も従業員に次のようなメッセージを伝えている。「バーチャルな働き方が新しい日常になる」。 リモートワークの撤回で世間を賑わせたのは、ミネアポリスに本社を置くベストバイだ。在宅勤務プログラムは2004年に始まったもので、当初は全米から注目された。その目的は、従業員を働いた時間や場所ではなく、成果で評価することにあった。 しかし、ベストバイは従業員に自由を与え過ぎたとして2013年に、このプログラムを打ち切った。当時CEOだったヒューバート・ジョリー氏は、このとき、こう語っている。「チームを率いた経験のある者なら誰でも知っていることだが、権限の委譲が最も効果的な統率スタイルとは限らない」』、「ベストバイ」で上手くいかなかった理由は、あと1つ釈然としない。
・『会社はリモートワークを信用していない  業績が思わしくなかったことから会社はパニックに陥ったのだ、と同プログラムの共同立案者で、2007年にベストバイを去ってコンサルタントになったジョディ・トンプソン氏は語る。「『見えるところにいる従業員は働いているに違いない』という発想に逆戻りした」。 新型コロナに伴い、ベストバイでは現在、本部従業員の95%がリモートワークとなっている。これは同社の考え方に再考を促すことになるかもしれない。ベストバイの広報担当者は「柔軟な働き方という選択肢は、今後とも何らかの形で維持していくことになる」とコメントしている。 柔軟な働き方によって従業員はスケジュールの自由度が高まる。しかし、だからといって管理手法が劇的に変わるわけではない。管理手法の変革こそ、トンプソン氏が目指していたものだ。「今こそ働き方を良い方向に変えるチャンスだ」とトンプソン氏は語る。「働き方について新しい文化を創り出す必要がある。完全に透明で、完全に自律した文化、人ではなく仕事だけを管理する文化だ」 しかしトンプソン氏は、こうした状況だからこそ働き方が悪い方向に変化する危険もある、と指摘する。 「世の中は今、普通の状況にはない。部下の姿が見えなくなれば、もっと管理を厳しくしたくなるのが管理職というものだ。従業員の監視ツールに注目する管理職は増えている」(トンプソン氏) リモートワークの従業員は通勤から解放されるかもしれないが、在宅勤務者の立場はもともと弱い。ロサンゼルスで投資会社ダブルライン・キャピタルを経営するジェフリー・ガンドラック氏は、毎月配信している自身のウェブキャストで、新しくリモートワークを始めた従業員について、ある現実が見えてきたと話している。 「本当に仕事をしているのは誰か、見かけほど働いていないのは誰かといったことがある程度わかるようになってきた」。このように述べた上でガンドラック氏はこう付け加えた。「監督する側の人間、中間管理職の中には、本当に必要なのか疑問に感じるような者もいる」。 サンフランシスコ州立大学のジョン・サリバン教授(経営学)によると、在宅勤務に関する「ここ3カ月のデータはとても力強い。驚きの結果だ。生産性に落ち込みは見られず、むしろ生産性が上がったケースも多い。人々は過去1000年にわたって仕事に出かける生活を送ってきたが、それが終わろうとしている。すべての人々の生活が変わろうとしている」』、有力な積極論もあるようだ。
・『2017年と変わったこと  ただ、RLMパブリック・リレーションズのラーマー氏は慎重な姿勢を崩していない。3月にオフィスを閉鎖したとき同氏は、在宅勤務は大失敗に終わると考えていた。2017年に毎週金曜日を在宅勤務の日としたときの5倍はひどい状況になる、と。 現実は違った。今のところ在宅勤務はかなりうまくいっている。ズームを使って会ったこともない人を何人か採用したほどだ。「彼らの働きぶりはすばらしい」。 何が変わったのだろうか。1つには、ズームなどのテクノロジーが進歩したことがある。さらに「当社ではルールづくりも進んだ」とラーマー氏は話す。「午前9時〜午後5時半はいつでも連絡がとれるようしておかなければならない。この時間には子どもの世話はできない」。 だが、ラーマー氏は借りているオフィスを解約するつもりはないという。 「多くの企業は、在宅勤務はすごくうまくいっている、この先もずっと在宅勤務を続けると言っているが、体のいいPRだ。空想ばかり先走って、地に足がまったくついていない。うちの会社ではワクチンが開発されしだい、オフィス勤務を復活させる」』、「ズームなどのテクノロジーが進歩したことがある。さらに「当社ではルールづくりも進んだ」、確かにこれらは積極論を後押しする材料だ。しかし、「うちの会社ではワクチンが開発されしだい、オフィス勤務を復活させる」、と「ラーマー氏」はやはり慎重なようだ。

第三に、7月22日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したリクルートマネジメントソリューションズ シニアコンサルタントの武藤久美子氏による「なぜ「原則出社」に戻ってしまったのか、テレワークを阻む5つの壁」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/243603
・『新型コロナウイルス感染が再び拡大する今、「原則テレワーク」あるいは「出社とテレワークのブレンド」という企業がある一方で、「原則出社」に戻ってしまった企業も少なくありません。こうした対応の違いは、緊急事態宣言中あるいはその前に、テレワーク下で起こる「5つの壁」を乗り越え、テレワークに適した組織になっていたかどうかで生まれているように思います。では、テレワークの定着を阻む「5つの壁」とは一体、何でしょうか』、興味深そうだ。
・『「急激」「一斉」「大規模」な実施が懸念や不安を置き去りにした  テレワークの特徴の一つは、「懸念や不安を抱きやすい施策であるため、導入までの壁は高い」が、「一旦導入すれば、意外と何とかなり、当初の懸念や不安は杞憂であったとわかることが多い」施策であるということです。 つまり、テレワークは実際に実施してみるとメリットが多い施策である一方で、導入前の懸念や不安が解消できないと導入に至りにくい施策だといえます。 しかし、そんなテレワークは今回、コロナの感染拡大を機に「急激に」「一斉に」「大規模に」行われました。よって、企業ごとの対面とリモートの良いバランスは十分に検討されず、社内関係者が抱いていた懸念や不安をいったん脇に置いた状態で導入することとなりました。 緊急事態宣言が明けてから原則出社に戻っているような企業では、未解決だったテレワークへの懸念や不安が顕在化していたのではないでしょうか。特に、テレワーク定着の大きな「壁」として立ちふさがりやすい懸念や不安が、以下の5つです』、「緊急事態宣言が明けてから原則出社に戻っているような企業では、未解決だったテレワークへの懸念や不安が顕在化していたのではないでしょうか」、大いにありそうな話だ。
・『【テレワーク定着を阻む壁(1)】経営層が「メリットがない」と考えている  1つ目は、「メリット不在の壁」です。これは主として経営層や事業責任者など、役職が高く、影響力の強い人物が、テレワークに懸念や不安を持ち、メリットを感じていないために立ちはだかる壁です。このような企業において、緊急事態宣言の下で行われたテレワークはあくまで“非常時の時限的な対応”です。よって、状況が変わればテレワークを推奨していた状況にも揺り戻しが起きます。 それに対して、テレワークの推進を図りたい部門は、しばしば経営層から「テレワークのメリットは何か」「メリットが感じられない」という発言を投げかけられおり、テレワークのメリットを説明する資料を作り、何度も説明を強いられています。しかし、経営層や事業責任者には響いていないことがほとんどです。 なぜなら、彼らの心の中にあるのは、「テレワークはなんだか嫌だ」「当社の良さが失われるのではないか」「業績に悪影響があるのではないか」という漠然とした不安だからです。テレワークの推進を図りたいならば、経営層などのこうした気持ちを踏まえて対応することが大事になります。 解決策として望ましいのは、言葉での説得ではなく「実際にテレワークでも組織運営が可能だと示す」ことです。経営層や事業責任者が抱いている懸念や不安を想像し、小さくても良いので自社でトライアルを行い、それらが杞憂であること、解決可能であることを示すのです。 今回の緊急事態宣言下のテレワークは文字通り「本番」となりましたが、一方で恒久的な実施への「トライアル」という側面も持っていました。しかし、急激に、一斉に、大規模に実施されたため、テレワークの難しさが極端に表れたのも事実です。これをもってそのまま恒久的な対応とするのは難しい企業も多いでしょう。 いったん原則出社となった企業では、今回の緊急事態下でのテレワークで見えてきた課題と解決策と副産物を、定量、定性情報で示し、「このような極端なテレワークでも組織運営できた」ことを示しましょう。そのうえで、仕事内容や状況に合わせて最大週何日までといった、今後の出社とリモートの良いバランスを議論し、改めてトライアルするのが大事になります』、さすが「コンサルタント」らしいアドバイスだ。
・『【テレワーク定着を阻む壁(2)】「業務を切り分けられない」という思い込み 2つ目は、「業務切り分けの壁」です。テレワークが進まない理由の一つとしてよく挙げられるのが、「当社は個人情報や機密情報を扱っている」「当社のお客様は対面でのアポイントを期待している」「私の仕事はリモートでできるような仕事ではない」から無理、というものです。確かにそういう面もあるかもしれません。しかし、このような理由でテレワークが進まない企業は共通して、テレワークの実施を「0か100か」で考えがちです。 まずは、「この業務はテレワークでも可能ではないか?」「この業務をリモートで実施するには、何を解決したらいいだろうか?」と業務の性格を知り、それぞれを切り分けて分解してみてはいかがでしょうか。すると、ある業務のこの部分はテレワークでも対応可能だとわかり、テレワーク定着のきっかけになるかもしれません』、これも前向きなアドバイスだ。
・『【テレワーク定着を阻む壁(3)】上司と部下のコミュニケーションに負荷 3つ目は、「コミュニケーションの壁」です。ここでいうコミュニケーションの壁とは、主としてマネジメント(管理職)の負荷が増えることへの懸念を指します。実際に、テレワークへの懸念や不安が大きい組織では、管理職がテレワーク下におけるマネジメントのあり方と自社のやり方に乖離を感じていることが多い気がします。 これまで目の前に部下がいた状況で行っていたマネジメント方法は、テレワークによって転換を迫られています。当社が2020年3月に行った調査でも、直接支援型マネジメント(部下の業務の進捗に細かく指導するような関わり方)において、テレワーク下での管理職の業務負荷が高いという結果が出ました。一方で、自律支援型マネジメント(部下が自律的に業務を進められるよう、必要な情報提供、リソースの取り付け、部下の心のケアなどで行う関わり方)では、業務負荷の関係性は見られませんでした。 テレワークが拡大・定着すると部下自身が自律的に業務遂行できることが求められるようになります。テレワークをソロワークとせず、会社や組織の方向性に共感しながら、自律的に業務遂行する部下を増やすための管理職の関わりが、今後はさらに求められるでしょう』、「自律支援型マネジメント」が通用するのは、ベテランの部下の場合で、新人やそれに近い部下には「直接支援型マネジメント」も必要なのではなかろうか。
・『【テレワーク定着を阻む壁(4)】IT化、モバイルツールの未整備 4つ目は、「IT化の壁」です。仕事を「テレワーク」で行う準備がツール面で十分でないことが原因です。2点目の壁「業務切り分けの壁」の中でも記載した「個人情報、機密情報が多いのでテレワークできない」という声は、IT化の壁でもあります。この壁は、主としてペーパーレス化とIT環境・モバイルツールの展開によって解消が可能です。 前者のペーパーレス化は、単に紙を電子化すればいいというものではありません。ペーパーレス化に至るには、業務内容や業務フローの見直し、電子化した書類の整理などを行う必要があるため、多くの部署の協力が不可欠です。多くの部署の協力が必要な改革に着手するくらいなら、今のまま業務遂行した方が良いという気持ちもわからなくもありません。 とはいえ、個人情報の多さや機密情報の多さは、もはやペーパーレス化ができない理由にはならなくなってきています。個人情報の宝庫のような業界でもテレワークが進んでいるのはその証左でしょう。また、ITツールの進化が、さまざまな業務プロセスを電子化することを可能としました。元も子もないのですが、ペーパーレス化は「やると決めるか」が大きいテーマです。ぜひ、これを機に着手していただきたいと思います。 後者のIT環境・モバイルツールの展開ですが、緊急事態宣言下では実際にモバイルPCの台数が足りないといったハード面でのツールの問題が中心でした。こうした問題が解消されつつある今、より重要であるのは、コスト面や業務遂行面を両立するリモート環境の整備です。 たとえば、私がお手伝いした企業のある部署では、オフィスでは、20インチ前後のPCモニターを1人2台使って仕事をしていました。テレワークのトライアルをする際に、部署の全メンバーの自宅にオフィスと同じ環境を整備しようとしましたが、コストが膨大にかかることがわかりました。 そこで、トライアル期間に、いくつかの大きさのモニターを用意したり、タブレットでも業務運営可能か、1台でも大丈夫かといった実験を行ったりし、コスト面でも業務運営上も可能である方法を探りました。こうしたIT環境やモバイルツールの整備が、テレワークの推進を後押しするでしょう』、確かに「トライアル期間に」「実験を行ったりし、コスト面でも業務運営上も可能である方法を探りました」、有効そうだ。
・『【テレワーク定着を阻む壁(5)】社員を一人の大人として扱っていない 5つ目は、「社員を一人の大人として扱わないという壁」です。緊急事態宣言下では、人事部門や管理職から、「部下が働き過ぎないか心配」「部下がさぼっていないか気になる」という声を多く聞きました。前者は部下を心配する良い企業、後者はそれとは異なるように見えますが、根っこはあまり変わりません。なぜなら、背景には部下が「心身の健康を保ちながら、自律的に業務遂行できる人だとは思えない」という管理職の気持ちがあるからです。 「人はさぼる生き物だ」というステレオタイプでの見立てか、「Aさんは任せて安心だけれど、Bさんは細かく見ていないと心配だ」と人によって違う見方をするのかは、管理職ごとに異なります。 しかし、3つ目の壁でも少し触れましたが、「部下に業務の進め方を細かく指示して、毎日進捗状況を確認しよう」という管理職よりも、「必要な支援は行いつつ、できるだけ本人の自律的な業務遂行に任せよう」という管理職の方が、部下からすると「自分は信頼されている。頑張ろう」と思えるのではないでしょうか。 ちなみに、部下を信じて任せてほしいと一口にいっても、業務の習熟度などからして、テレワークでの仕事を認めるには早過ぎる、という社員が一定数いる会社もあるでしょう。その場合は、テレワークを利用可能な社員を、自律的な業務遂行可能と判断される等級以上に絞って制度を開始し、会社としてテレワークに慣れてきたらその範囲を拡大するのも一考です。 これからの時代、テレワークを部下の成長への良い機会と考え、自律的な業務遂行を適切な距離で見守り、寄り添うことが、管理職にはより求められるようになるでしょう。 以上、テレワーク定着を阻む5つの壁を紹介しました。企業も社員も、テレワークを体験することでさまざまなメリットを感じました。それぞれの企業が、対面とリモートの良いバランスを探りながら、テレワークという働き方を武器にできることを願っています』、「それぞれの企業が、対面とリモートの良いバランスを探りながら・・・」、確かに「バランス」は「企業」ごと、さらには習熟度に応じて変わるのだろう。
タグ:東洋経済オンライン 日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン 河合 薫 働き方改革 (その28)(コスト削減のいつか来た道「ジョブ型」雇用の危うさ、安易にリモートワーク導入する企業を襲う悲劇 過去にはたくさんの企業が取りやめている、なぜ「原則出社」に戻ってしまったのか テレワークを阻む5つの壁) 「コスト削減のいつか来た道「ジョブ型」雇用の危うさ」 大企業に広がる「ジョブ型」志向 「覚悟なきジョブ型の末路」 なんのためのジョブ型なのか。ジョブ型を導入すれば、「今ある問題」はホントに解決するのだろうか 「ジョブ型」にバブル後の成果主義の臭い どんなに先行研究を探しても「終身雇用が会社の生産性を下げる」というエビデンスは見当たらないし、成果主義を導入したからといって生産性が向上するというエビデンスがあるわけでもない その結果、何が起きたか? あんなに話題になった裁量労働制はどこへ? 「高プロ」が適用されたのは、法施行から1カ月でたったの1人 現在では、この制度の適用者は414人 あれっきり「裁量労働制」という言葉は聞かれなくなった 日本では「大学で何をどれだけ勉強してきたか」は無視され、「学生に「ひとつよろしく!」と丸投げしてる 人材は理論と実践で育ててこそ ジョブ型は魅力というけど、経営者にそれを使いこなす力量がなければ、その魅力は現場への暴力に変わっていくのだ he New York Times 「安易にリモートワーク導入する企業を襲う悲劇 過去にはたくさんの企業が取りやめている」 オフィスが閉鎖されて3カ月、アメリカ企業は「自宅勤務はうまく機能している」との結論に達しつつある PR会社RLM ラーマーCEO 馬鹿なことはよせ リモート導入で業績悪化 IBMでは2009年に173カ国38万6000人の従業員の40%がリモートで働いていた。しかし業績は落ち込み、経営陣は17年、何千人もの従業員をオフィスに呼び戻す決断 フェイスブック、ツイッター、ネット通販プラットフォーム企業のショッピファイ、不動産データベース企業のジロー(Zillow)など多数の企業が今後も在宅勤務を続ける計画を練っている リモートワークの歴史は失敗だらけ 在宅勤務の試みの多くは縮小、または撤回 リモートワークの撤回で世間を賑わせたのは、ミネアポリスに本社を置くベストバイだ。在宅勤務プログラムは2004年に始まったもので、当初は全米から注目 ベストバイは従業員に自由を与え過ぎたとして2013年に、このプログラムを打ち切った 会社はリモートワークを信用していない 部下の姿が見えなくなれば、もっと管理を厳しくしたくなるのが管理職というものだ。従業員の監視ツールに注目する管理職は増えている 2017年と変わったこと ズームなどのテクノロジーが進歩 「当社ではルールづくりも進んだ」 うちの会社ではワクチンが開発されしだい、オフィス勤務を復活させる 武藤久美子 「なぜ「原則出社」に戻ってしまったのか、テレワークを阻む5つの壁」 「急激」「一斉」「大規模」な実施が懸念や不安を置き去りにした 【テレワーク定着を阻む壁(1)】(経営層が「メリットがない」と考えている 【テレワーク定着を阻む壁(2)】「業務を切り分けられない」という思い込み 【テレワーク定着を阻む壁(3)】上司と部下のコミュニケーションに負荷 【テレワーク定着を阻む壁(4)】IT化、モバイルツールの未整備 【テレワーク定着を阻む壁(5)】社員を一人の大人として扱っていない それぞれの企業が、対面とリモートの良いバランスを探りながら、テレワークという働き方を武器にできることを願っています
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安倍政権のマスコミへのコントロール(その14)(フジ産経の世論調査のインチキは“架空回答”だけではない! 安倍政権擁護や極右政策推進のためのペテン的調査手法、実態は総理の慰労会 “国民だまし”に加担するメディアの罪、望月衣塑子 怒る…官邸にしっぽを振る「矜持なき記者たち」のダメっぷり、官邸記者アンケートから見えた政治取材“忖度”の実態…記者たちの苦悩の裏側〈dot.〉) [メディア]

安倍政権のマスコミへのコントロールについては、5月10日に取上げた。今日は、(その14)(フジ産経の世論調査のインチキは“架空回答”だけではない! 安倍政権擁護や極右政策推進のためのペテン的調査手法、実態は総理の慰労会 “国民だまし”に加担するメディアの罪、望月衣塑子 怒る…官邸にしっぽを振る「矜持なき記者たち」のダメっぷり、官邸記者アンケートから見えた政治取材“忖度”の実態…記者たちの苦悩の裏側〈dot.〉)である。

先ずは、6月20日付けLITERA「フジ産経の世論調査のインチキは“架空回答”だけではない! 安倍政権擁護や極右政策推進のためのペテン的調査手法」を紹介しよう。
https://lite-ra.com/2020/06/post-5485.html
・『フジテレビ系列のニュースネットワークFNNと産経新聞社が合同で行う世論調査でとんでもない不正が発覚した。電話調査をせずに架空の回答を入力していたというのだ。不正はわかっているだけでも、2019年5月から20年5月の間の計14回、2500件に及び、全体の1割以上が架空の回答だったことになる。 両社は、2019年5月~20年5月の計14回の世論調査の結果を取り消し、世論調査を当面休止するとしたが、そんな程度で済む話ではないだろう。産経新聞関係者がこう語る。 「19日にフジと産経が同時に発表したんだが、うちがそんな不祥事を自ら進んで発表するわけがない。裏では内部告発があったようだ。FNN産経は調査業務をアダムスコミュニケーションという会社に下請けし、このアダムス社がさらに京都の日本テレネットという会社に孫請けさせていたんだが、この委託業者の関係者から『(日本テレネットで)管理職が指示して架空の回答を入力させている』という告発があったようだ。放っておくと、マスコミに報道される可能性があったため、先に発表するしかないと判断したんだろう。ただ、これは氷山の一角。うちの世論調査は他社に比べて予算が少なく、下請けにかなり負担を強いていたから、ほかにも似たような不正が行われている可能性は十分ある」 しかも、今回は下請け会社の不正だが、FNNと産経の世論調査では、組織をあげて安倍政権に有利な結果になるよう加工しているのではないかという疑惑もささやかれてきた。 実際、内閣支持率以外の安倍政権の政策をめぐる世論調査では、質問を恣意的にすることで、他社よりも評価が高くなる仕掛けも平気で行なっていた。 典型が、2015年9月、国会で安保法案が強行成立した直後の世論調査だ。このとき、共同通信や朝日新聞、毎日新聞の世論調査では6割以上が“安保法案に反対”と答えていたが、FNNと産経の世論調査では、「安保法制が必要と答えた人が69.4%」。これは、質問が、シンプルに安保法制の成立を評価するかどうかでなく、〈あなたは、日本の安全と平和を維持するために、安全保障法制を整備することは、必要だと思いますか、思いませんか〉という誘導的な文章にしたためだった。 2016年8月、天皇の生前退位がクローズアップされたときも同様だ。FNN産経の世論調査では、〈現在の皇室制度では、天皇が生前に退位し、天皇の位を皇太子に譲る「生前退位」の規定がありません。生前退位について、あなたは、政府がどのように対応すべきだと思いますか〉という質問のすぐ次に、〈今後、天皇の「生前退位」が可能となるように、憲法を改正してもよいと思いますか、思いませんか。〉という質問をした。その結果、「生前退位のために憲法改正よいと思う」が84・7%にのぼり、フジテレビや産経新聞でこの数字を大々的に報道した。実際は生前退位に必要なのは皇室典範の改正だけで、改憲が必要というのはネトウヨや安倍応援団お振りまいたデマだったのだが、産経はそのデマに乗っかって、あたかも改憲以外に生前退位の方法はないかのような誘導質問を行うことで、「改憲必要」の高い数字を引き出したのだ』、「(日本テレネットで)・・・告発があったようだ。放っておくと、マスコミに報道される可能性があったため、先に発表するしかないと判断したんだろう」、お粗末極まる。「産経はそのデマに乗っかって、あたかも改憲以外に生前退位の方法はないかのような誘導質問を行うことで、「改憲必要」の高い数字を引き出した」、「産経」の安倍政権擁護もここまでくると明らかに行き過ぎだ。
・『安倍政権も「国民の反対」を否定するためFNN産経の世論調査の恣意的な数字を利用  さらに、2016年12月の日露首脳会談のときも、こうした手口が使われている。この会談では、事前に煽られていた北方領土返還交渉が空振りに終わったことで、国民の間に失望感が広がり、共同通信の世論調査では、日露首脳会談を「評価しない」が54.3%で、「評価する」の38.7%を15.6ポイント上回った。 ところが、FNN産経の調査では全く逆で、「評価する」との回答が63.9%にのぼり、「評価しない」30.7%の倍以上の数字をはじき出した。 もちろん、これにもからくりがあって、FNN産経は質問じたいの前に、日露首脳会談の前にわざわざこんな説明をそえていた。 〈安倍首相とプーチン露大統領の首脳会談で、北方四島での共同経済活動の実現へ協議することで合意し、元島民の自由往来の対応を検討することになった。今回の会談を評価するか〉 こうしたケースは他にも枚挙にいとまがない。ようするにFNN産経の世論調査はもともと「客観的な調査」にほどとおい、世論誘導のための恣意的なシロモノであり、ペテンや詐欺的手法も平気で駆使してきたのだ。 しかも、問題なのは、これ、極右フェイクメディアが世論調査でもインチキをやっていたというだけですまいないことだ。このFNN 産経の世論は、安倍政権が追及に対するエクスキューズにも使われてきた。たとえば、ある政策について、国民の多くが批判の声をあげている、反対の声が多いと追及を受けた安倍政権の幹部が、FNN産経の世論調査の数字をもちだして「別の社の調査では違う結果が出ている」などと強弁したシーンも一度や二度ではない。そういう意味では、FNN産経の世論調査のペテンは政権も共犯関係にあるといっていいだろう。 今回、架空調査が発覚したことをきっかけに、下請けの責任だけでなく、フジテレビや産経が組織的なペテンをしていなかったのか、きちんとメスを入れるべきだろう』、「FNN産経の世論調査はもともと「客観的な調査」にほどとおい、世論誘導のための恣意的なシロモノであり、ペテンや詐欺的手法も平気で駆使してきた」、「このFNN 産経の世論は、安倍政権が追及に対するエクスキューズにも使われてきた」、「FNN産経の世論調査のペテンは政権も共犯関係にあるといっていいだろう」、安部政権にとっては、誠に頼りになる存在のようだ。

次に、6月24日付け日刊ゲンダイが掲載したNHK出身ジャーナリストの立岩陽一郎氏による「実態は総理の慰労会 “国民だまし”に加担するメディアの罪」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/275012
・『国会閉幕を受けた6月18日の安倍総理の会見は、歴史に残るものかもしれない。新型コロナ対策としての一連の総理会見は、2月29日を最初に、その後、定期的に開かれたわけだが、この日、1つの事実が明らかになった。この記者会見が儀式であり、演説会であることは既に明らかになっていたが、実はそのレベルにとどまらず、単なる安倍総理の慰労会だったことが明確になったからだ。そこには暗黙のルールがある。安倍総理に気持ち良く思いのたけを語ってもらう。そうでないやりとりはあってはならない』、「総理会見」が「演説会」であるだけでなく、「単なる安倍総理の慰労会」、とは情けない限りだ。
・『実態は安倍総理の慰労会  当然、記者会見にあるべき厳しい質問も、事実を引き出すような問いも出ない。例えば、その日に逮捕された河井議員夫妻についても、さらりとは触れる。それは事実を確認するという作業ではなく、安倍総理の真摯な姿勢を国民に見せるための仕掛けでしかない。 拉致問題についてのNHKの質問も同じだ。総理が拉致被害者の家族と共有した長い時間を振り返り、「断腸の思いであります」と語るための仕掛けでしかない。本気で拉致問題を解決するには日朝関係を前に進める必要があるわけだが、この政権がその逆の行動しか取ってこなかったことは容易に指摘できる。北朝鮮との対話を拒否することまで国連で各国に求めている。それでどうやって拉致問題を解決できるのか? 当然出てくる疑問はこの場で出ることはない。 ポスト安倍についての質問などは、無上の喜びを噛みしめながら語っていたのではないか。この時、質問した記者が口にした候補者以外にも候補はいると語るなど、キングメーカーとしての存在感まで示している。 この「慰労会」の決まり事の1つが20分に及ぶ総理の独演会だ。ここで安倍総理が最初に思いを語るわけだが、実は、この中には、事実の検証が必要な内容が含まれている。例えば安倍総理は、日本が行ってきた「クラスター対策」について「世界の中で注目が集まっています」と話した。つまりPCR検査を幅広く行わずにクラスター対策に重点的に振り分けたことを世界が評価しているということだ。 それは本当なのだろうか? アメリカ政府が日本でのPCR検査の少なさに懸念を示し在日アメリカ人に帰国を促したことがあるが、評価したとは聞かない。事実を言えば、クラスター対策はPCR検査を拡充できない中での苦肉の策だった。尾身茂専門家会議副座長は記者会見で、PCR検査を拡充できない「根深い」問題があって、その結果としてクラスター対策を選択せざるを得なかったと説明している。もちろん、災い転じて福となすということもあるだろう。では、どの「世界」が注目しているのだろうか? この点を海外のジャーナリストに問い合わせているが、皆、戸惑うばかりだ。しかし、こうした疑問は「慰労会」の場で語られることはない。 この「慰労会」の主催は官邸記者クラブだ。つまりメディアが総理をもてなす場ということだ。もちろん、一部には、まともな記者会見を行ったジャーナリストはいた。恐らく、その人は次の「慰労会」には呼ばれない』、「事実を確認するという作業ではなく、安倍総理の真摯な姿勢を国民に見せるための仕掛けでしかない」、「「慰労会」の主催は官邸記者クラブだ。つまりメディアが総理をもてなす場ということだ。もちろん、一部には、まともな記者会見を行ったジャーナリストはいた。恐らく、その人は次の「慰労会」には呼ばれない」、「官邸記者クラブ」がここまで堕落したとは、「メディア」の劣化もここに極まれりだ。

第三に、7月21日付け現代ビジネスが掲載した東京新聞記者で官邸記者クラブで菅官房長官から無視されている望月衣塑子氏による「望月衣塑子、怒る…官邸にしっぽを振る「矜持なき記者たち」のダメっぷり」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/74104
・『「安倍一強」が叫ばれて久しい。東京新聞記者の望月衣塑子氏と評論家の佐高信氏による新刊『なぜ日本のジャーナリズムは崩壊したのか』は、この政権の恐るべき権力基盤を「メディアとの関係」から描き出す。政権はいかにメディアをコントロールし、メディアはいかに権力に追従しているのか。この国の中枢の真実』、望月衣塑子氏は既に何回か紹介しているが、今回も興味深そうだ。
・『記者の凋落を示すダメ会見  いまの記者は、みな揃っておとなしく、サラリーマン化が進んでいる。型にはまったこと以上の行動をするのを極端に恐れるあまり、取材相手を追及し、本音を吐き出させようとする気迫が感じられない。 六月一八日の午後六時から開かれた首相会見では、わずか会見の三時間前に河井克行前法相と妻の案里議員が公選法違反容疑で逮捕されたのにもかかわらず、事件についての質問は、事前に質問を投げていた幹事社・フジテレビだけ。 しかも、「自民党から振り込まれた一億五〇〇〇万円の一部が買収資金に使われたことはないということでいいのか」と、「ない」を前提にした誘導的な質問で、首相は「任命した者として責任を痛感している」と答えただけだった。 当然、記者は「どう責任を果たすつもりなのか」「買収資金に交付金が使われたか、調査するのか」など追及を重ねなければならないが、だれも続かない。産経新聞は憲法改正についての首相の意気込みを、NHKは北朝鮮対応を、日本テレビはポスト安倍について。その質問に答えるかたちで、首相は自分の支持者向けのメッセージとも聞こえる話を続けた。 質疑を見ていてめまいがした。国会議員二人による大規模な買収疑惑は、憲政史上まれにみる大事件。しかも一人は前法相だ。その質問がわずか一つしか出ないとは……。会見にいる政治部記者は疑惑の重大さを理解していないのだろうか。「黙って挙手して」など、官邸が勝手に決めたルールにおとなしく従っている場合ではない。制止を振り切ってでも追及すべき場面だった。記者の凋落ぶりを示すダメ会見で、これは後世に語り継がれるだろう』、「望月」氏の同僚記者の「凋落ぶり」への舌鋒は相変わらず鋭い。
・『しっぽを振る記者たち  なぜ、内閣記者会は国民と乖離した質疑しかできなくなったのだろう。かつて首相会見の司会進行役は、幹事社の記者が努めていたという。現在は、実質的な司会進行を内閣府広報官の長谷川栄一首相補佐官に委ねており、「内閣記者会主催」はかたちばかりだ。結果、会見を官邸の“宣伝(プロパガンダ)”に利用されている。 さらに長谷川氏の指名を見ていると、NHKやテレビ朝日、日経新聞などが毎度のように指される一方で、朝日新聞や東京新聞、中国新聞などが指されることはまれだ(これらの社が幹事社の場合は除く)。 長谷川氏が政治部の記者を指名すると、首相は毎度、官僚が用意した手元の資料を読みながら答えている。差し障りのない質問を事前に官邸に通告した社ばかり指名されるのであれば、それは権力による選別と事前校閲であり、メディアが官邸に支配されているということに他ならない。 SNSが発達し、首相のプロンプターや資料の読み上げがバレ、国内外の市民やネットメディア、フリーランス、識者から疑問や改善を促されている。にもかかわらず内閣記者会は、事前通告を続け、首相の「猿芝居」の片棒を担ぎ、意識が変わる気配はなかなか見えない。 今年一月、官房長官会見で、私が挙手しても当てられないことが続いた。私が会見場で「まだ(質問が)あります」と声を出したとき、ある社の記者は「指されなくても、声は出さずおとなしくして」と言ってきた。別の社の官邸キャップは「うまく聞かないと引き出せない。(あなたのは)“負け犬の遠吠え”だ」とわざわざ言いにきた。 政治取材に長けたみなさんは、この首相会見でいったい、何をうまく引き出したのだろうか。しっぽをふっているのに餌がもらえなかった犬に見えるが、あとで「路地裏」で残飯でももらえれば「勝ち犬」なのだろう』、「内閣記者会・・・現在は、実質的な司会進行を内閣府広報官の長谷川栄一首相補佐官に委ねており、「内閣記者会主催」はかたちばかりだ。結果、会見を官邸の“宣伝(プロパガンダ)”に利用されている」、司会進行を内閣府広報官の長谷川栄一首相補佐官に委ねているというのは、初めて知った。「政治取材に長けたみなさんは、この首相会見でいったい、何をうまく引き出したのだろうか。しっぽをふっているのに餌がもらえなかった犬に見えるが、あとで「路地裏」で残飯でももらえれば「勝ち犬」なのだろう」、最大限の嫌味だ。
・『政権のメディアコントロール  付記しておくと、「この後、外交日程がありますので」と一時間で終えようとする長谷川氏に対し、フリーランスや何人かの政治部記者たちは抗議の声を上げている。長谷川氏は「紙でお答えしますので、後で私宛に質問を出して欲しい」として打ち切った。 その後、朝日新聞と中国新聞、日刊ゲンダイは、河井夫妻の逮捕と首相の任命責任について官邸報道室に質問を出していたが、官邸報道室の回答は「国民の皆様にお詫び」「責任を痛感」「真摯に受け止め政権運営に当たりたい」など、中身のない官僚作文だった。会見の場で安倍首相が同じように答えていたならば、到底納得されない内容だ。「舐めるのもいい加減にしろ」と怒りに震えた記者もいるだろう。 ただ、それも長年、安倍政権のメディアコントロールを許してきたせいだ。首相会見も官房長官会見も、時間制限や指名の偏りに抗議の声を上げず、司会進行の主導権を奪われても抵抗せず、会見のあり方を改革しようとしてこなかった。 内閣記者会は世間からも見放されつつある。オフレコ取材を重視し、会見が形骸化すれば、会見も記者クラブも存在の意義がなくなるばかりか、今回の首相会見のように権力に利用されてしまう。 このままでは日本のジャーナリズムは完全に崩壊することになる。政治部記者はもっと危機感をもつべきだろう。 そんななか、既存のTVメディアの報道に限界を感じたディレクターたちが中心となって立ち上げたネットTV「Choose Life Project」が検察庁法改正案の議論が沸騰する最中、野党各党の幹部を呼んで連日、活発な議論を行い、ネット上で盛り上がったのは光明だった。どういう思いで議論やニュースを発信していくのか。そんな報道人としての根本的な姿勢がジャーナリズムとして大事であることを再確認できた出来事だった』、「オフレコ取材を重視し、会見が形骸化すれば、会見も記者クラブも存在の意義がなくなるばかりか、今回の首相会見のように権力に利用されてしまう。 このままでは日本のジャーナリズムは完全に崩壊することになる。政治部記者はもっと危機感をもつべきだろう」、同感である。「Choose Life Project」は面白い試みのようだ。今後、注目していきたい。

第四に、7月21日付けAERAdot「官邸記者アンケートから見えた政治取材“忖度”の実態…記者たちの苦悩の裏側〈dot.〉」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2020071700088.html?page=1
・『「なぜ、もっと食い下がらない」「記者は聞くべきことを聞いているのか」――。 いま政治取材の現場で何が起きているのか。官邸記者クラブの本音の一端がわかるアンケート結果を、朝日新聞政治記者として現場を踏んできた新聞労連委員長・南彰氏の著書『政治部不信 権力とメディアの関係を問い直す』(朝日新書)から、一部を抜粋・改編してお届けする。 官邸記者クラブのメンバーは何を考えているのか。 新聞労連は昨年5月、官邸での記者会見の役割をどのように考えるのか、現場の記者の「本音」を知ることを目的とした官邸記者アンケートを実施した。 望月記者が官房長官記者会見に参加するようになった17年6月以降に官邸記者クラブに在籍したことのある記者を対象に労働組合を通じて呼びかけ、33人(新聞・通信社27人、テレビ・放送3人、その他・答えたくない3人)から有効回答を得た。 望月記者の質問スタイルについて感じていることを、12の選択肢から複数回答可で選んでもらうと、「質問が長い」が17人、「質問が主観的・決めうちである」が16人、「質問に事実誤認が多い」が10人に上った。 新聞労連が19年3月に抗議声明を出すにあたり、筆者自身もこんな経験をした。 官邸が「事実誤認」と記者クラブに申し入れを行った18年12月26日の望月記者の質問内容について、官邸記者クラブの旧知の記者とやりとりすると、「彼女の質問は間違いが多いからな」と言われた。 日常的に官邸側から望月記者への不満を聞かされるなかで、刷り込みがされ、相互に不満を高め合っていたことがうかがえる。 アンケートでは、東京新聞や望月記者に対する不満を吐露する回答も多かったが、官邸での記者会見や取材に関して感じていることを尋ねた自由記述では、相互監視のなかで身動きがとれない官邸記者クラブ員の様子が浮き彫りになった。 興味深かったのは「長官会見で期待されている役割」について、「読者・視聴者から」と「会社から」に分けて聞いた設問への答えだ』、「日常的に官邸側から望月記者への不満を聞かされるなかで、刷り込みがされ、相互に不満を高め合っていたことがうかがえる」、新聞記者も「刷り込みがされ」るとは情けない。
・『【設問1】読者・視聴者からどのような役割を最も期待されていると思いますか +権力の監視:41.9% +政府の公式見解の確認:45.2% +速報:3.2% +その他:9.7% 【設問2】会社からどのような役割を最も期待されていると思いますか +権力の監視:25.8% +政府の公式見解の確認:51.6% +メモ起こし(会見録作成):6.5% +取材先との信頼関係構築:3.2% +速報:3.2% +その他:9.7% 「読者・視聴者からの期待」は、権力監視と政府の公式見解の確認が拮抗しているが、「会社からの期待」では権力監視が落ち込み、「メモ起こし」や「取材先との信頼関係構築」といった回答まで出ていた。こうした両者からの期待の間をとるように、「あなた自身は長官会見で、どのような役割を最も重視していますか」と尋ねた設問への回答は次のようになった。 +権力の監視:35.5% +政府の公式見解の確認:41.9% +速報:6.5% +日々の情報蓄積:6.5% +その他:9.7% また、「官邸取材で体験したこと・見聞きした項目」を尋ねた設問では、「事前通告のない質問を記者会見でして官邸側から文句を言われた」「夜回りなどのオフレコ取材で官邸側から特定の記者だけを排除するよう言われた」という回答がそれぞれ7人に上り、「官邸側から他の政治家、官僚などの発言内容を教えるよう求められた」「官邸側から記者の和を乱すことをとがめられた」という回答も2人ずついた。 自由記述の欄には、「官邸と内部で繋がっている社がある以上、記者会では動けない。まずは権力寄りのメディアの記者の意識をまともにしなければならない」「官房長官の夜回りでは、携帯電話やICレコーダーを事前に回収袋に入れて、忠誠を誓っている。非常に息苦しい」という意見まで綴られていた。 いずれも近年の政治取材の現場でささやかれていた話だ。 例えば、安倍首相のぶら下がり取材で厳しい質問をぶつけた記者に対して、安倍首相の側近はその質問をした記者がいると無視し、各社の夜回りに応じない対応をとった。「連帯責任」を求めてくるのだ。そうして、周囲の記者が困り果て、「君がいるとみんなが取材にならない。取材内容は後で教えるから来ないでほしい」と言い出す事件もあった』、「「夜回りなどのオフレコ取材で官邸側から特定の記者だけを排除するよう言われた」という回答が・・・7人に上り、「官邸側から他の政治家、官僚などの発言内容を教えるよう求められた」「官邸側から記者の和を乱すことをとがめられた」という回答も2人ずついた」、「官邸側」の巧みなコントロールの実態が示されたようだ。
・『アンケートの自由記述からは、「会社」と「読者・視聴者」が求めていることのずれを感じながら、相互監視が進む息苦しい官邸取材のなかで、自分の果たすべき役割に葛藤している状況が浮かび上がった。 +「官邸担当は過度な重要度を背負わされ、政権中枢から情報を取ることがメインの仕事として求められている。それぞれの社全体でジャーナリズムを守る覚悟を決めない限り、望月氏の独り相撲という構図は変えられない。官邸記者が望月氏と同様の振る舞いをして、社からどんな扱いを受けるかよく考えるべきだ。苦々しい思いをしながら、件の申し入れを読んだ官邸記者がどれだけいたか。変革を求められるのは、現場記者より、編集権者だ」 +「望月記者の件は突出しているものの、権力監視のあり方が揺らいでいるのは間違いない。この解決を望月記者の件に依存して論じると、状況の悪化を加速させることになりかねない。本質的な議論をすべきだ」 +「長官の記者会見で、番記者以外が質問すると官邸側が極端にいやがり、結果として番記者のオフ取材に影響が出ることが懸念される。このような事態をどうにか打破しないといけない。情報を取れなくなるのは恐ろしいが、このままではメディアとしての役割を果たせなくなるのではないか。会社にも危機感を持って欲しい」 この結果を踏まえた19年6月のシンポジウムで、官邸記者クラブに在籍していた経験のある毎日新聞の与良正男・専門編集委員は「(現場の記者の)本音、悩み、苦しみは僕にもわかる」と語った。 記者会見など公の場で質問せず、単独で取材する方が評価される風潮が背景にあると解説し、自由記述にある「自身に責任を負わせないで欲しい」といった現場の声について「企業に属した記者・ジャーナリストの難しさがあると想像する」と分析した。 そのうえで、30年間政治記者を務めてきた経験を振り返り、「社の方針と現場の記者の考えが違う時はどうするべきか。記者の考えに会社(の考え)を合わせてやるくらいの気持ちが必要だ」と主張した』、「望月記者の件は突出しているものの、権力監視のあり方が揺らいでいるのは間違いない。この解決を望月記者の件に依存して論じると、状況の悪化を加速させることになりかねない。本質的な議論をすべきだ」、「「長官の記者会見で、番記者以外が質問すると官邸側が極端にいやがり、結果として番記者のオフ取材に影響が出ることが懸念される。このような事態をどうにか打破しないといけない。情報を取れなくなるのは恐ろしいが、このままではメディアとしての役割を果たせなくなるのではないか。会社にも危機感を持って欲しい」、など良心的な意見があるようだが、それを個人的見解に留まっているようなのは残念だ。
・『一方、ロイター通信の勤務を経て、メディア研究をしている林香里・東京大大学院教授は、相互監視のなか、多くの記者が自らの行動の基準を「社」としていることに注目し、官邸記者クラブを「閉ざされた部族社会」と表現した。 「番記者制度や夜討ち朝駆けの取材手法が、政治家の情報の出し方を甘やかしてきた」と分析し、「ICレコーダー回収などの実態をどう思うか」と問われると、失望を隠さなかった。 「ジャーナリズム研究をしていて、2019年になっても記者クラブの話を聞かれる。全然先に議論が進まない。この『部族社会』は独特な文化があって外からは見えない。なんとなく噂を聞いてエピソードを集め、それを繰り返して30年。それが嫌になっている」 「小宇宙の中での良い記者のイメージがどんどん閉じこもってしまっている。政治の事情通の人が良い記者ということになっている。しかし、世の中が求めているイメージは全然違う。社会が求めている今日の記者の素養は何か、立ち返ってほしい。官邸はそういったところに敏感で、メディアを制限したり分断したりしているが、記者は自分たちの規範や理念を、社会を通じて振り返るべきではないか」』、「小宇宙の中での良い記者のイメージが・・・記者は自分たちの規範や理念を、社会を通じて振り返るべきではないか」、さすが「メディア研究」者だけあって、説得力に富み、全面的に同意したい。
タグ:佐高信 日刊ゲンダイ 内閣記者会 総理会見 現代ビジネス litera 安倍政権のマスコミへのコントロール AERAdot 立岩陽一郎 (その14)(フジ産経の世論調査のインチキは“架空回答”だけではない! 安倍政権擁護や極右政策推進のためのペテン的調査手法、実態は総理の慰労会 “国民だまし”に加担するメディアの罪、望月衣塑子 怒る…官邸にしっぽを振る「矜持なき記者たち」のダメっぷり、官邸記者アンケートから見えた政治取材“忖度”の実態…記者たちの苦悩の裏側〈dot.〉) 「フジ産経の世論調査のインチキは“架空回答”だけではない! 安倍政権擁護や極右政策推進のためのペテン的調査手法」 電話調査をせずに架空の回答を入力 (日本テレネットで)管理職が指示して架空の回答を入力させている』という告発があったようだ。放っておくと、マスコミに報道される可能性があったため、先に発表するしかないと判断したんだろう FNNと産経の世論調査では、組織をあげて安倍政権に有利な結果になるよう加工しているのではないかという疑惑もささやかれてきた 内閣支持率以外の安倍政権の政策をめぐる世論調査では、質問を恣意的にすることで、他社よりも評価が高くなる仕掛けも平気で行なっていた 誘導的な文章にしたため 生前退位に必要なのは皇室典範の改正だけで、改憲が必要というのはネトウヨや安倍応援団お振りまいたデマだったのだが、産経はそのデマに乗っかって、あたかも改憲以外に生前退位の方法はないかのような誘導質問を行うことで、「改憲必要」の高い数字を引き出したのだ 安倍政権も「国民の反対」を否定するためFNN産経の世論調査の恣意的な数字を利用 FNN産経の世論調査はもともと「客観的な調査」にほどとおい、世論誘導のための恣意的なシロモノであり、ペテンや詐欺的手法も平気で駆使してきた FNN産経の世論調査のペテンは政権も共犯関係にあるといっていいだろう 「実態は総理の慰労会 “国民だまし”に加担するメディアの罪」 「演説会」 「単なる安倍総理の慰労会」 実態は安倍総理の慰労会 事実を確認するという作業ではなく、安倍総理の真摯な姿勢を国民に見せるための仕掛けでしかない 「慰労会」の主催は官邸記者クラブだ。つまりメディアが総理をもてなす場ということだ。もちろん、一部には、まともな記者会見を行ったジャーナリストはいた。恐らく、その人は次の「慰労会」には呼ばれない 「望月衣塑子、怒る…官邸にしっぽを振る「矜持なき記者たち」のダメっぷり」 『なぜ日本のジャーナリズムは崩壊したのか』 記者の凋落を示すダメ会見 しっぽを振る記者たち 現在は、実質的な司会進行を内閣府広報官の長谷川栄一首相補佐官に委ねており、「内閣記者会主催」はかたちばかりだ。結果、会見を官邸の“宣伝(プロパガンダ)”に利用されている 政治取材に長けたみなさんは、この首相会見でいったい、何をうまく引き出したのだろうか。しっぽをふっているのに餌がもらえなかった犬に見えるが、あとで「路地裏」で残飯でももらえれば「勝ち犬」なのだろう 政権のメディアコントロール オフレコ取材を重視し、会見が形骸化すれば、会見も記者クラブも存在の意義がなくなるばかりか、今回の首相会見のように権力に利用されてしまう。 このままでは日本のジャーナリズムは完全に崩壊することになる。政治部記者はもっと危機感をもつべきだろう 「Choose Life Project」 「官邸記者アンケートから見えた政治取材“忖度”の実態…記者たちの苦悩の裏側〈dot.〉」 た新聞労連委員長・南彰氏の著書『政治部不信 権力とメディアの関係を問い直す』(朝日新書) 官邸記者アンケート 33人(新聞・通信社27人、テレビ・放送3人、その他・答えたくない3人)から有効回答 日常的に官邸側から望月記者への不満を聞かされるなかで、刷り込みがされ、相互に不満を高め合っていたことがうかがえる 「夜回りなどのオフレコ取材で官邸側から特定の記者だけを排除するよう言われた」という回答 7人に上り、「官邸側から他の政治家、官僚などの発言内容を教えるよう求められた」「官邸側から記者の和を乱すことをとがめられた」という回答も2人ずついた 望月記者の件は突出しているものの、権力監視のあり方が揺らいでいるのは間違いない。この解決を望月記者の件に依存して論じると、状況の悪化を加速させることになりかねない。本質的な議論をすべきだ 「長官の記者会見で、番記者以外が質問すると官邸側が極端にいやがり、結果として番記者のオフ取材に影響が出ることが懸念される。このような事態をどうにか打破しないといけない。情報を取れなくなるのは恐ろしいが、このままではメディアとしての役割を果たせなくなるのではないか。会社にも危機感を持って欲しい 林香里・東京大大学院教授 小宇宙の中での良い記者のイメージがどんどん閉じこもってしまっている。政治の事情通の人が良い記者ということになっている。しかし、世の中が求めているイメージは全然違う。社会が求めている今日の記者の素養は何か、立ち返ってほしい。官邸はそういったところに敏感で、メディアを制限したり分断したりしているが、記者は自分たちの規範や理念を、社会を通じて振り返るべきではないか」
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中国情勢(軍事・外交)(その7)(中印国境紛争で垣間見えた 中国「一帯一路」の真の目的とインドの本気、科学者を犯罪に走らせる中国「千人計画」の正体 海外の高度技術を違法に取得 米国が本格的な取り締まりへ、戦略性を失った習近平「四面楚歌」外交の末路) [世界情勢]

中国情勢(軍事・外交)については、6月5日に取上げた。今日は、(その7)(中印国境紛争で垣間見えた 中国「一帯一路」の真の目的とインドの本気、科学者を犯罪に走らせる中国「千人計画」の正体 海外の高度技術を違法に取得 米国が本格的な取り締まりへ、戦略性を失った習近平「四面楚歌」外交の末路)である。

先ずは、6月26日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャーナリストの姫田小夏氏による「中印国境紛争で垣間見えた、中国「一帯一路」の真の目的とインドの本気」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/241426
・『長年にわたり国境紛争を抱える中国とインドは6月15日夜、ヒマラヤ高地のギャルワン渓谷で衝突。報道では両国で数十人の死者が出たもようだ。今回の衝突で見えてきたのは中国の「一帯一路」の真の目的と、新型コロナウイルスの影響で疲弊するインドがトランプ政権を後ろ盾に先鋭化する可能性だ。 インドの銃口から一撃が放たれれば、中国は手加減しない――。1962年に起きた中印国境紛争以来、ヒマラヤの高地で銃弾が飛び交ったことはないが、6月15日の夜に起きた衝突では、4000メートル級の高地に数多くの遺体が並べられるという息をのむような展開となった。 中印国境地帯では日常的な小競り合いが何度となく繰り返されてきたが、今回のギャルワン渓谷での衝突を発端に、中国は大がかりな準備に乗り出した。鉄道による装甲車の輸送を開始し、空中巡邏(じゅんら)部隊、通信部隊、攻撃部隊が組織され、チベット自治区のラサ市では民兵団の入団式が行われた。これが示唆するのは「待ってました」と言わんばかりの準備万端ぶりだ』、インド側には死者20名といわれるが、中国側の死者数は不明だ。ただ、どうも「準備万端」の中国側に一方的にやられたようだ。
・『中印はもとより不安定  もともと中国とインドは仲が悪かった。62年に国境問題から紛争に至った両国では、政治面・外交面で緊張した関係が続いていたが、2013年に蜜月時代を迎え、劇的な変化を見せた。 国境でにらみ合いが発生したにもかかわらず、同年10月に中国はインドに対し「新型大国関係」を提案した。中国がシルクロード構想をカザフスタンで提唱したのは同年9月であったが、中国はこのとき「一帯一路」の沿線国の参与を視野に動いていたといえる。 ところが、インド人民党党首のナレンドラ・モディ氏が14年5月にインド首相に就任すると次第に風向きは変わり、17年にはブータンと中国の係争地で中印が対立、関係は再び不安定化した。インドも当初はインフラの建設や製造業で中国の協力に期待していたにもかかわらず、「一帯一路」に懸念を示すようになった。領土問題を抱える中印関係の難しさの一端が垣間見える。 ちなみにインドは今、コロナまん延があまりにもひどい。そのため、アジアインフラ投資銀行(AIIB)に融資を申し入れ、先ごろ7億5000万米ドル(約885億円)の申請に対し認可が下りたところだ。5月にも同銀行から5億米ドル(約590億円)の借り入れを行っている。「一帯一路」は領土問題の存在からも支持していないが、AIIBに対しては創設メンバーとして関わっている。 インドではコロナ拡大の封じ込めに失敗、45万人の感染者を出し現時点で世界のワースト4だが、実態は国家が発表する数字からは著しくかけ離れているともいわれている。コロナ禍で家族を失い、仕事を失った国民の爆発寸前の不満を、今後中国という「仮想敵」でガス抜きしようとする可能性も否定できない』、「AIIB」でカネを借りておきながら、「コロナ禍で家族を失い、仕事を失った国民の爆発寸前の不満を、今後中国という「仮想敵」でガス抜きしようとする可能性」、モディ首相も「中国側」が準備しているなかで攻撃し、多大な損害を出すとは、何を考えているのだろう。
・『軍事利用される「一帯一路」  奇しくも3月のコロナ禍に、中国の友人がある動画を共有してくれた。それは、19年4月に、北京を出発した中国の旅行愛好家が、20台の車両を連ねて新疆ウイグル自治区のカシュガル市に向かう一部始終を記録したものである。 四川省成都市からチベット自治区のラサ市を結ぶ川蔵公路を西に向かってひた走り、シガツェ市から新蔵公路(国道219号)を使ってカシュガル市に向かい北上する。途中、中国が実効支配するアクサイチン(インドは「ラダック」と呼称し領有権を主張している)を経由する、実に約6500キロ(北京―ラサ3718キロ、ラサ―シガツェ640キロ、シガツェ―カシュガル2140キロ)にわたるルートである。 ギネスにも載る「世界で最も海抜の高い幹線道路」を20台の車列が流れるように走る。今回の衝突の現場となったパンゴン湖を通過し、海抜4000メートルの盆地をひたすら北進する。荒涼たる月面世界のような“無人の地”に、中国のインフラ開発で舗装された道路が貫通し、北京とアクサイチン、ついにはカシュガル市にまで到達したことに度肝を抜かれる。 チベット自治区ガリ地区のプラン県も国境沿いの町だが、すでに漢字文化圏と化していることにも面食らった。飲食店、雑貨店を中心にした街づくりはまさに中国流で、屋外の看板のほとんどに漢字が表記されている。走っている四輪車も二輪車も見覚えのある中国製だ。チベット文化圏の家屋といえば、日干しレンガを積み重ねて漆喰(しっくい)を塗るという素朴な構造が通例だが、立派な民家も立ち並ぶ。“祈りの生活”が中心だったチベットの山奥で、中国流の「富裕モデル」の移植が進んでいるのは一目瞭然だ。 動画には「このエリアは電子機器、遠距離武器を配置しやすい」とか「道路を通して大兵団を送ることができる」など、専門的なコメントが挿入されている。「戦争になればこの情報が役に立つだろう」――などという言葉さえもが刻まれていたが、中国はまさに「その日」のために、1950年代から着々と準備を進めていたということなのか。 有事の際は、カシミールの領有権をめぐり長年インドと紛争を続けるパキスタンが加勢し、新疆ウイグル自治区とチベット自治区の協力のもとに勝利に持ち込める。後方支援は準備万端整った――と、中国は強気に構えている』、どうみても「インド」側に有利な材料はなさそうだ。
・『互いの敵は米国だ  過去のパターンからすると、このような局面で中国のネット民たちは愛国心を強くたぎらせるのだが、今回はいささか様子が違い、ネット世論は落ち着いている。中国の某人気ブロガーが発するのは、「アメリカの思うつぼにハマるな」というメッセージだ。 「背後には米国がいる。彼らは中国とインドに戦争をやらせようとしている。トランプとポンペオは火をつけてあおり、両国もろともに消耗させるのが米国の狙いだ」 確かに、この中印衝突を喜んでいるのは米国だ。仮にこの紛争が発展すれば、中国から資本が流出し、中国経済の失速が加速する。中国による世界覇権を望まない米国からすれば、中国の自滅の道は願ってもないシナリオだ。 一方で、インドは米国からの武器購入に大枚をはたくだろう。遠隔操縦航空機の「MQ-9B」22機をすでに20億米ドル(約2360億円)で購入している。 米国はインドを「世界最大の民主国家」だとし、「大切なパートナーだ」と吹聴しているが、南シナ海で失敗した米国はインドに希望を見いだしているにすぎない。「武器商人の米国」にとってインドは客先であり、単なる手駒だ。 だからインドよ、目覚めてほしい――。それが中国のブロガーの真意である。 また、「中国とインドはむしろ共通点が多い」とするオピニオンもある。その共通点の1つ目は「世界史観」だ。米国は植民地時代を入れてもわずか数百年の歴史しかないことと対照的に、中国もインドも共に5000年の歴史があるという主張である。 2つ目は「人口規模」だ。世界人口77億人のトップ2は、中国14.3億人、インド13.6億人であり、世界の3分の1強を占めている。この2大国による衝突は、世界の期待が集まる消費市場にも大きく影響するどころか、一歩間違えば世界大戦に発展しかねないという危険をはらむ(ちなみに、パキスタンは人口2.1億人で世界5位、アメリカは3.3億人で世界3位。中パを足せば16.4億人だが、米印を足せば16.9億人と、数の上で逆転する)。 そして3つ目は「現代史観」だ。ともに植民地化された経験を持ち、第2次世界大戦後に独立し、近代化を目指し続けている第三世界であるという点だ。「巨竜」と「巨象」はいわば兄弟のようなものであり、「米国こそが真の敵だ」とする主張である。 中国が打ち出した「一帯一路」構想から早7年、「現代のシルクロード」と交易の重要性を掲げながらも、実は武器輸送や兵団輸送のルートにも化ける。そんな恐ろしさを露呈させたのが今回の中印衝突だ。ベールを剥ぐ中国の野望。これに抵抗するモディ政権は大統領選を控えたトランプ政権を後ろ盾に、本気で対抗姿勢を示すかもしれない』、「トランプ」再選の可能性が小さくなっても、民主党政権でも「インド」支持が得られると踏んでいるのだろうか。「巨竜」と「巨象」が手を結ぶのは、日米にとっては悪夢だろう。

次に、7月15日付けJBPressが掲載した産経新聞ワシントン駐在客員特派員・麗澤大学特別教授の:古森 義久氏による「科学者を犯罪に走らせる中国「千人計画」の正体 海外の高度技術を違法に取得、米国が本格的な取り締まりへ」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61293
・『米国の連邦捜査局(FBI)長官が、中国の「千人計画」は米国など諸外国の軍事関連などの高度技術を違法に取得する手段だとして厳しい警告を発した。千人計画とは、中国政府が海外人材を破格の好待遇で集めて、中国の発展に協力させる計画である。 FBI長官は最近の千人計画の参加者による米国の高度技術の不法奪取の実例をあげて、取り締まりの強化を宣言した。 千人計画には日本の科学者も参加したと報じられている。米国政府によるその違法性の追及は日本の対中関係にも影響を及ぼしかねない』、「千人計画とは、中国政府が海外人材を破格の好待遇で集めて、中国の発展に協力させる計画」、「日本の科学者も参加したと報じられている」、日本もしっかり対応すべきだろう。
・『千人計画への関与を口止め  FBIのクリストファー・レイ長官は7月7日、ワシントンの大手研究機関ハドソン研究所で「中国の政府と共産党による米国の経済、国家安全保障への脅威」と題する講演を行った。 同長官は「現在FBIが捜査中の、外国機関による米国の官民に対する約5000件の各種犯罪案件のうち、半数は中国関連だ」として、中国の政府機関や軍組織、国有企業、民間企業などがそれぞれの組織と人員を投入して、米国の経済や安全保障を害する犯罪行為を働いている、と言明した。 それらの犯罪活動は、米国政府機関に対するスパイ活動、米国官民からの高度技術の不法取得、米国官民へのディスインフォーメーション(虚偽情報)による影響力行使など広範に及ぶという。 レイ長官はとくに中国の「千人計画」の米国にとっての危険性を強調し、同計画に関わる最近の犯罪事例を報告した。 千人計画(中国での正式呼称は「海外高層次人才引進計画」)とは、中国政府の国務院と共産党中央組織部が主体となって2008年末にスタートしたプログラムだ。諸外国の理工系の最高級人材を破格の好待遇で集め、中国の軍事、経済の発展に寄与させることを目的としている。 中国政府は同計画の存在を公表し、2017年までに合計7000人の理工系の科学者、研究者を集めたとされている。だが、その具体的な活動内容はこれまで秘密にされてきた。 米国ではこの千人計画への警戒が高まり、連邦議会上院の国土安全保障政府問題委員会が特別調査を実施して、2019年11月にその結果を報告書にまとめて公表した。 同報告書によると、中国当局は千人計画で募集した科学者たちに、米国など諸外国の高度技術を盗用してでも入手し、中国の軍事や経済に活用することを求めている。しかも外国の科学者たちには、同計画に関与することを一切口外しないよう命令しているという』、「2017年までに合計7000人の理工系の科学者、研究者を集めた」、「科学者たちに、米国など諸外国の高度技術を盗用してでも入手し、中国の軍事や経済に活用することを求めている」、由々しいことだ。
・『こんなにある千人計画関連の犯罪  こうした背景の下、レイFBI長官は講演の冒頭で、千人計画関連の犯罪案件として以下の具体的な事例を明らかにした。 +ハーバード大学化学・化学生物学科長の教授チャールズ・リーバーは、2020年6月、千人計画への関与を隠した虚偽証言の罪により刑事訴追された。リーバーはハーバード大学と米国国立衛生研究所(NIH)に雇用されながら、千人計画を通じて中国の武漢工程大学でも専属の「戦略科学者」として働いていた。 リーバーは千人計画から毎月5万ドルの給料や15万ドルの生活費を得ていたうえ、中国内に専門の研究所を開設するために150万ドルの資金を受け取っていた。 +オクラホマ州の米国石油企業に勤務していた中国人で米国永住権を持つ科学者ホンジン・タオは千人計画に加わり、その価値が10億ドルにも達する同社の高度技術の秘密を盗んだ容疑で逮捕された。2020年初めに有罪が確定し、現在服役中である。 +テキサス州で研究活動をしていた中国系科学者のシャン・シーは、潜水艦に使われる高度技術製品「シンタクティックフォーム」(軽量かつ高強度の複合材料によるプラスティック)に関する秘密技術を米国側から盗んだ罪で、2020年初めに有罪が確定した。シーも千人計画に応募しており、米国の高度技術を「消化」し「吸収」して中国の国有企業に役立てることを中国側に約束していた。 +中国系技術者のハオ・ザンは2020年6月、複数の米国企業から無線機器の企業秘密技術を盗んだ罪で刑事訴追された。ザンも千人計画に関わっていた。この技術は米国企業が開発に20年もの年月をかけてきた企業財産だった。 +オハイオ州の「クリーブランド・クリニック」で分子医学と循環器病遺伝子学の研究をしていた中国人研究者チン・ワンと、アーカンソー大学で米国航空宇宙局(NASA)関連の研究をしていた中国系科学者サイモンソー・テンアンは、2020年5月、ともに詐欺容疑で逮捕された。2人とも米国公的機関から研究資金を受け取りながら、中国の千人計画への参加を隠していた。 +ジョージア州のエモリー大学の前教授で中国系学者のシャオジァン・リは2020年5月、税金の虚偽申告容疑を認めた。千人計画から受け取った巨額の収入を申告せず、エモリー大学で米国連邦政府から50万ドルの助成金を得てハンチントン病の研究を続けながら、千人計画への参加を隠していた。 レイFBI長官は、千人計画に関わる米国での犯罪事例を以上のように列挙し、中国が米国に対して不法な知的財産盗用の組織的な活動を続けてきたことを明らかにした。そうした活動に対して、米国政府は法的な取り締まりを本格的に開始した。米国での犯罪取り締まりの最大組織であるFBIの長官が、こうして中国の活動に焦点を絞り、強硬な態度を明示することは、最近のトランプ政権全体の対中姿勢の硬化を反映していると言えよう』、既に「千人計画関連の犯罪」がこんなに行われているのであれば、民主党政権に代わっても、取り締まりは強化されるだろう。
・『「日本人の参加を把握していない」日本政府  では日本はどうなのか。 千人計画に日本人の学者や研究者が参加したことは、中国当局が認めている。2009年9月、共産党中央組織部が、千人計画に外国人の学者や研究者204人が新たに参加することが決まったと公表した。そのなかに「日本からの招致」も明記していたのだ。 日本の国会では、2020年6月2日に開かれた参議院財政金融委員会の会議で、千人計画への日本の関わりについて質疑応答があった。自民党委員の有村治子議員が米国での最近の動きをあげて、日本としての懸念を提起し、政府当局に見解を問うた。 日本の学者には、日本を拠点として安全保障や軍事関連の研究をしてはならないという自粛方針がある。しかし、千人計画に加われば中国の軍事関連の研究に期せずして関わるのではないか、という懸念を有村議員は強調していた。 だが日本政府当局者は、「政府は日本人学者らの千人計画への関わりについてはなにも把握していない」と答えたのである。 米国の高度技術の不法な取得活動を展開する中国政府組織への日本人の関与が確実なのに、日本政府は実態を何も知らないという。その対応が適切でないことは明確であろう』、「日本政府は実態を何も知らない」、情けないことだ。日本の情報機関は一体何をしているのだろう。

第三に、7月17日付けNewsweek日本版が掲載した中国出身評論家の石平氏による「戦略性を失った習近平「四面楚歌」外交の末路」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/sekihei/2020/07/post-11_1.php
・『<アメリカやイギリス、カナダ、オーストラリア、インドそして日本......なぜ中国は同時にいくつもの国といざこざを起こすのか。計算もしたたかさもない習近平の「気まぐれ外交」は負のスパイラルに陥っている>  中国にとって、2020年の国際環境はまさしく「最悪」というべきであろう。 まず、中国にとって最重要な2国間関係である米中関係は今、1979年の国交樹立以来、最悪の状態にある。特に7月に入ってから、米政府は南シナ海に対する中国の領有権主張と軍事的拡張を「違法行為」だと断罪し、「ウイグル人権法案」を根拠に陳全国・共産党政治局員ら高官に対する制裁を発動し、国家安全維持法が施行された香港への優遇措置を廃止し、台湾への新たな武器売却を承認......と、外交・軍事両面における「中国叩き」「中国潰し」に余念がない。 その一方、経済でも米政府は中国製品に対する莫大な制裁関税を継続し、米企業の中国からの移転をうながしつつ、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)への封じ込めに一層力を入れている。そして、トランプ大統領は6月18日、「中国との完全なデカップリング(切り離し)」に言及した。 こうした厳しい現状を中国側も当然認識している。7月3日、人民日報系の環球時報は中国共産党中央委員会対外連絡部の周力・元副部長の論文を掲載したが、「外部環境の悪化」をテーマとするこの論文は冒頭から米中関係の「劇的悪化」取り上げ、「米中間の闘争の全面的エスカレートに備えよう」と呼びかけている。公職から退いたとはいえ、共産党元高官が「闘争」という言葉まで持ち出して米中関係を論じるのはまさに異例だ。 アメリカの隣国であるカナダとの関係も全く良くない。6月19日、中国が2人のカナダ人をスパイ罪で起訴すると、カナダ政府はそれを「恣意的」だと批判。トルドー首相は「非常に失望している」と述べ、6月26日にファーウェイ幹部でカナダ当局に拘束されている孟晩舟とこの2人のカナダ人との交換を拒否した。この問題をめぐって、中国とカナダとの確執は今後も続くだろう。 もう一つの英連邦国家であるオーストラリアとの関係も悪くなる一方である。本来、オーストラリアは中国と良好な関係にあった。だが今年4月、オーストラリアのモリソン首相が国際社会に新型コロナウイルスの発生源に関する独立した調査を訴えると、それが中国の逆鱗に触れた。中国は5月以降、豪州産の大麦の輸入に法外な制裁関税をかけたり、オーストラリア旅行の自粛を中国人に呼びかけるなど陰湿な手段を使っての「豪州いじめ」を始めた。 これで中豪関係は一気に冷え込んだが、6月末に中国が香港国家安全維持法を強引に成立させると、オーストラリア政府は香港との犯罪人引渡し条約を停止。中国側のさらなる強い反発を招いた。オーストラリア政府は最近、中国の一層の反発を覚悟の上で、香港からの移民受け入れの検討に入ったという』、「計算もしたたかさもない習近平の「気まぐれ外交」は負のスパイラルに陥っている」、「習近平」以前の中国外交は「計算もしたたかさも」あったのに、「習近平」は「大国意識」に酔ってしまったのだろうか。、
・『中国政府にとっての「顔面直撃パンチ」  中国は英連邦の「宗主国」であるイギリスとも険悪な関係になっている。前述の香港国家安全維持法の成立を受け、イギリス政府は300万人の香港市民に対し英国の市民権や永住権の申請を可能にする方針を表明した。中国政府はそれを「重大な内政干渉」だと非難し、方針の撤回を求めた。しかしイギリス政府は中国側の反発を完全に無視。そして7月14日、ついに5G関連の設備からファーウェイを排除すると決めた。これはファーウェイだけでなく、中国政府にとってもまさに顔面直撃のパンチ、大きな外交的失敗となった。 アジアに目を転じても、中国と一部周辺国との関係に摩擦や紛争が生じている。この原稿を書いている7月16日現在、中国当局の公船が94日連続で日本の尖閣諸島周辺の接続水域に入っており、2012年9月の尖閣国有化以降で連続日数の最長を更新した。そのうち、中国海警局の船が7月2日から3日夜にかけ、およそ30時間にわたって日本の領海に侵入したが、これは尖閣周辺の日本領海への侵入時間としては国有化以降の最長であるという。 日本の自民党内でも中国に対する反発が高まり、7月8日には習近平国家主席の国賓訪日中止を要請する決議案が党外交部会で可決され、首相官邸に提出された。もちろん中国政府は反発を強めている。 中国はまた、アジアのもう1つの大国であるインドと本格的な国境紛争を起こしている。6月中旬、国境地帯で中印両国の軍隊による殴り合いの「準軍事衝突」が起き、インド軍側に20名の死者が出たと発表された。その結果、インド国内の反中感情が急速に高まり、中国製品ボイコットの動きや対中関係見直し論がインド全体に広がっている。 以上、最近の中国と世界・アジア主要国との関係の現状を点検してみたのだが、中国は今、世界最強の超大国であるアメリカだけでなく、先進国のイギリス、カナダ、オーストラリアやアジア主要国の日本・インドとも「闘争」を展開している。これほど多くの「敵」に囲まれて「奮戦」している中国の国際環境は、まさに中国発の四字熟語である「四面楚歌」に近い状況だろう。上述の共産党元高官の周力氏が「外部環境の悪化」を嘆いているのも杞憂ではない。 中国と主要国との関係悪化は、全部中国の責任であるとは一概に言えないかもしれない。だが、中国自身にもやはり大きな責任と問題点がある。例えばCさんという人間は、Aさんとだけ喧嘩しているならどちらが悪いかはよく分からないが、しかしもし、CさんがAさんともBさんともDさんともEさんともFさんとも同時に揉め事や争いをしているなら、誰から見てもこのCさんに問題がある。Cさん自身のおかしさこそが、いろんな人とイザコザを起こす原因であるに違いない。中国という国は、まさにこのCさんなのである』、「イギリス政府」が「ファーウェイを排除すると決め」る前までは、「ファーウェイ」は「イギリス」に研究開発の拠点を設置すると言明していたが、これも流産したのだろう。「中国と主要国との関係悪化は・・・中国自身にもやはり大きな責任と問題点がある」、同感である。
・『無意味なけんかを他国に売る  例えばオーストラリアの場合、新型コロナの発生源を追及すべきという同国政府の正当な要求に対し、いきなり制裁関税などの嫌がらせや恫喝を行なったのは中国政府である。インドとの国境紛争にしても、インド軍兵士の死者数の多さから見て、中国軍が積極的に紛争を起こしたと考えられる。そして日本との領海摩擦についても、新型コロナウイルスの拡散以前、習近平国家主席の国賓訪日がほぼ確実になっていた良好な関係性からすれば、中国がこの数カ月間、どうしてあれほど執拗に日本の接続水域や領海への侵入を繰り返しているかまったく理解に苦しむ。日中関係をわざと壊すかのようなやり方である。 国際環境の悪化、主要国との関係悪化を作り出した主な原因が中国自身にあることは明々白々だが、問題は中国がどうしてほぼ同時進行的に主要国との関係を自ら壊し、「外部環境の悪化」を招いたのかである。 昔の中国ならもっとも上手に、もっとも戦略的に外交を進めていたのではないか。中国という国は古来、いわば外交戦略や外交術に長けていることで知られてきた。今から二千数百年前の戦国時代に、中国の先人たちは「遠交近攻」や「合従連衡」などの高度な国際戦略を開発した。「遠交近攻」とは、遠方の国々と親交を結ぶ一方、近隣の国を攻めるという戦略である。「合従連衡」の「合従」は、戦国七雄が並立する中で、秦国以外の6カ国が連携して最強の秦に対抗する戦略であるが、それに対し、秦国は他の6カ国のいくつかと個別的に連盟することによって「合従連合」を打ち破ろうした――それが「連衡」の戦略である。 この2つの国際戦略の着眼点は同じだ。要するに、多くの国々が並立する中で、多数の国々と同時に敵対するようなことは極力避けること、そして敵となる国を1つか2つに絞り、他の国々と連携し良好な関係を保った上で、力を集中して当面の敵国と対抗していくことである。 このような戦略的発想は、中国共産党政権にも受け継がれ、彼らのいう「統一戦線戦略」となっている。例えば1970年代、中国は主敵のソ連と対抗するためにかつての宿敵アメリカと手を握り、アメリカの同盟国の日本までその「統一戦線」に巻き込もうとした。あるいは江沢民時代、中国は一時日本に対してかなり敵視政策を取っていたが、一方で努めてアメリカとの良好な関係を維持していた。胡錦濤時代になると中国は「全方位外交」を唱え、できるだけ仲間を増やして国際的地位の安定を図ろうとしていた。 胡錦濤時代までは無闇に敵を作らず、主敵と対抗するためできるだけ多くの国々を自陣営に取り入れ、良好な関係を保つのが中国外交の伝統であり、不変の戦略だった。しかし習近平政権になった後、特に習近平国家主席が個人独裁体制を確立して外交の指揮権を完全に掌握したこの数年間、中国外交にはかつての戦略性やしたたかさは跡形もない。「一帯一路」のような大風呂敷の国際戦略を漫然たる手法で展開する一方、ほとんど無意味なところで他国にけんかを売り、敵を次から次へと作り出している』、「習近平国家主席が個人独裁体制を確立して外交の指揮権を完全に掌握したこの数年間、中国外交にはかつての戦略性やしたたかさは跡形もない。「一帯一路」のような大風呂敷の国際戦略を漫然たる手法で展開する一方、ほとんど無意味なところで他国にけんかを売り、敵を次から次へと作り出している」、「習近平」はどうなってしまったのだろう。チェック&バランスが効かない独裁政権の弱点を、世界中にさらしてしまったようだ。
・『「1国2制度による台湾統一」を台無しに  そして原稿の冒頭で記したように、今年の夏に入ってから、無闇に敵をつくるばかりの習近平外交が「佳境」に入っているようである。アメリカという強敵の全面攻撃を前にして、本来ならできるだけ仲間を増やして対処していくべきところ、習政権はその正反対のことをやっている。主敵のアメリカと戦いながら、カナダにもオーストラリアにも日本にもけんかを売っていくのはもはや狂気の沙汰で、「統一戦線」の面影もなければ戦略性のかけらもない。アメリカと対峙している最中、アジアの大国であるインドと準軍事的衝突を起こすとは、理解不可能な行動である。 もちろん習近平政権は「統一戦線」の伝統を完全に忘れたではない。6月22日、習は欧州連合(EU)のミシェル大統領及びフォンデアライエン欧州委員長とのテレビ会談に臨み、中国と欧州が「世界の安定と平和を維持する二大勢力となるべきであり、世界の発展と繁栄を牽引する二大市場となるべきであり、多国間主義を堅持し世界の安定化を図るための二大文明であるべきだ」と述べ、欧州と連携して第3勢力(すなわちアメリカ)と対抗していく姿勢を示した。 言ってみれば、習近平の「連欧抗米」戦略らしきものであるが、しかしそれからわずか1週間後、習政権がとった政治的行動が、欧州との連携を事実上不可能にした。香港国家安全維持法の強行で、中国はイギリスだけでなく、欧州の主な先進国との関係が亀裂を生じたのだ。実際、EU外相にあたるボレル外交安全保障上級代表は7月13日、香港国家安全維持法に対してEUが対抗措置を準備していることを明らかにした。せっかく「連欧抗米」戦略を考案しながら、自らの行動でそれを直ちにつぶす――まさに習近平外交の不可思議なところである。 台湾政策もそうだ。2019年1月、「1国2制度による台湾統一」を自らの台湾政策の一枚看板として打ち出したのは習近平であるが、それから現在に至るまで、習政権は香港問題でとった行動の1つ1つが、まさに「1国2制度」の欺瞞性を自ら暴き、「1国2制度は嘘ですよ」と自白したかのようなものである。挙げ句の果てに、香港国家安全維持法の制定で自ら1国2制度を完全に壊し、「1国2制度による台湾統一」という構想を台無しにしてしまった。自分の打ち出す政策を自分の蛮行によって打ち壊すとは、習近平外交はもはや支離滅裂の境地に達している。 このような戦略なき「気まぐれ外交」を進めていくと、中国の国際的孤立はますます進み、中国にとっての外部環境の悪化がますます深刻化していくのがオチではなかろうか』、「自分の打ち出す政策を自分の蛮行によって打ち壊すとは、習近平外交はもはや支離滅裂の境地に達している。 このような戦略なき「気まぐれ外交」を進めていくと、中国の国際的孤立はますます進み、中国にとっての外部環境の悪化がますます深刻化していくのがオチではなかろうか」、軍事的挑発などにつながらないよう祈るばかりだ。
タグ:石平 ダイヤモンド・オンライン JBPRESS Newsweek日本版 中国情勢 (軍事・外交) 古森 義久 姫田小夏 (その7)(中印国境紛争で垣間見えた 中国「一帯一路」の真の目的とインドの本気、科学者を犯罪に走らせる中国「千人計画」の正体 海外の高度技術を違法に取得 米国が本格的な取り締まりへ、戦略性を失った習近平「四面楚歌」外交の末路) 「中印国境紛争で垣間見えた、中国「一帯一路」の真の目的とインドの本気」 両国で数十人の死者 中印はもとより不安定 コロナ禍で家族を失い、仕事を失った国民の爆発寸前の不満を、今後中国という「仮想敵」でガス抜きしようとする可能性 軍事利用される「一帯一路」 互いの敵は米国だ インドは米国からの武器購入に大枚をはたくだろう 「武器商人の米国」にとってインドは客先であり、単なる手駒だ 「中国とインドはむしろ共通点が多い」とするオピニオンもある 「巨竜」と「巨象」が手を結ぶのは、日米にとっては悪夢 「科学者を犯罪に走らせる中国「千人計画」の正体 海外の高度技術を違法に取得、米国が本格的な取り締まりへ」 千人計画とは、中国政府が海外人材を破格の好待遇で集めて、中国の発展に協力させる計画 日本の科学者も参加 千人計画への関与を口止め 2017年までに合計7000人の理工系の科学者、研究者を集めた 科学者たちに、米国など諸外国の高度技術を盗用してでも入手し、中国の軍事や経済に活用することを求めている こんなにある千人計画関連の犯罪 「日本人の参加を把握していない」日本政府 「戦略性を失った習近平「四面楚歌」外交の末路」 アメリカやイギリス、カナダ、オーストラリア、インドそして日本......なぜ中国は同時にいくつもの国といざこざを起こすのか。計算もしたたかさもない習近平の「気まぐれ外交」は負のスパイラルに陥っている 中国政府にとっての「顔面直撃パンチ」 中国と主要国との関係悪化は 中国自身にもやはり大きな責任と問題点がある 無意味なけんかを他国に売る 習近平国家主席が個人独裁体制を確立して外交の指揮権を完全に掌握したこの数年間、中国外交にはかつての戦略性やしたたかさは跡形もない。「一帯一路」のような大風呂敷の国際戦略を漫然たる手法で展開する一方、ほとんど無意味なところで他国にけんかを売り、敵を次から次へと作り出している 「1国2制度による台湾統一」を台無しに 自分の打ち出す政策を自分の蛮行によって打ち壊すとは、習近平外交はもはや支離滅裂の境地に達している。 このような戦略なき「気まぐれ外交」を進めていくと、中国の国際的孤立はますます進み、中国にとっての外部環境の悪化がますます深刻化していくのがオチではなかろうか
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ネットビジネス(その9)(憧れの職業「YouTuber」 戦国時代はこう稼ぐ 10代から大人向けにじわりシフトする実態、「迷惑系YouTuber」逮捕されても反省しない理由 山口県知事も激怒「へずまりゅう」とは何者か、パワハラで「全役員クビ」駅探vs株主の大バトル 委任状争奪戦は株主総会の前に事実上決着) [産業動向]

ネットビジネスについては、3月24日に取上げた。今日は、(その9)(憧れの職業「YouTuber」 戦国時代はこう稼ぐ 10代から大人向けにじわりシフトする実態、「迷惑系YouTuber」逮捕されても反省しない理由 山口県知事も激怒「へずまりゅう」とは何者か、パワハラで「全役員クビ」駅探vs株主の大バトル 委任状争奪戦は株主総会の前に事実上決着)である。

先ずは、3月23日付け東洋経済オンライン「憧れの職業「YouTuber」、戦国時代はこう稼ぐ 10代から大人向けにじわりシフトする実態」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/335978
・『言わずと知れたトップYouTuberのヒカキン、はじめしゃちょーなどが所属するUUUM 。YouTubeビジネスで圧倒的シェアを握る、そのYouTuberプロダクションに、実は異変が起きている。所属YouTuberの離脱が止まらないのだ。 「UUUMを卒業させていただきます」 2月1日にUUUMからの離脱を発表した木下ゆうか。チャンネル登録者数が540万人を超える人気YouTuberだ。2019年9月には人気上昇中の2人組 YouTuberのヴァンゆん(登録者数200万人)がUUUMから大手芸能事務所の太田プロダクションへ移籍すると発表。登録者数480万人のすしらーめん[りく]も辞めている。 その結果、UUUMの株価は暴落。2019年2月に6870円の最高値をつけたが、今年3月13日に1682円の年初来最安値を更新した。1000億円を超えていた時価総額は約380億円まで縮小している。株価下落は直近の決算発表を受けたもので、相次ぐYouTuberの離脱が直接的な原因ではない。しかし、YouTube業界を取材すると「次は、あのグループYouTuberがUUUMを辞めるよ」と、うわさが次々と耳に入ってくる』、私にとっては、全くの別世界だが、実態を知る意味で紹介する次第である。。
・『UUUMからYouTuberが離れていった?  はたして何が起こっているのか。UUUMに取材を申し込んだが、断られてしまった。その理由として、別のYouTuberプロダクションにも取材することが決まっていることを伝えると、「事業内容や規模が違う彼らと、同じ記事の中で並べてほしくない」という、UUUM側の強い意向が聞こえてきたのである。そこで今回は、「打倒UUUM」を目指す新興勢を中心に、YouTuberビジネスの最前線を追ってみた。 「毎月3000万円の広告収入があったら、600万円も抜かれるわけですよ。お金に対してのリターンが見合っていない」 2019年10月、YouTubeチャンネルを運用する会社としてギルドを立ち上げた、高橋将一代表はそう断言する。高橋代表は人気YouTuberのヒカルのマネジャーを務めるほか、今年1月からは芸人の宮迫博之のYouTubeチャンネルも運用している。ギルドは複数社に分散していたマネジメントやチャンネル運営事業を集約したことで、すでに年商は50億円規模に達する。主な収入源はマネジメント手数料よりも、企業とのタイアップ広告費だという。 UUUMを筆頭とする一般的なYouTuberプロダクションの場合、所属YouTuberとマネジメント契約を結び、手数料20%を徴収している。トップYouTuberの場合、月収3000万~8000万円を稼ぐ力があるので収入は膨大だ。その対価として、企業とのタイアップ案件を営業担当者が獲得してくる以外に、撮影スタジオを貸したり、税務処理や賃貸契約といった雑務をサポートしている。 ヒカキンやフィッシャーズといったトップYouTuberのタイアップ費は2000万~2500万円だが、それ以下のクラスとなると数十万~数百万円と幅広い。プロダクションとYouTuberで分配して受け取ることになるが、配分比率は会社や個人によってまちまちのようだ。 「視聴回数が減って、広告収入が落ちてきたYouTuberにとって、事務所の手数料20%は負担。単発のタイアップ企画なら個人でも受注できるので、マネジメント契約というビジネスモデルは限界を迎えている。海外にはほぼなくて日本くらい」(高橋代表)。 ギルドではマネジメント手数料を、税務処理など案件ごとに価格を決め、ガラス張りにしているという。そのうえで「企業からタイアップとして500万円を受け取ったら、YouTuberと一緒に400万円を使い、品質の高い動画を制作するイメージ」(同)。打ち合わせには、企業とギルド、YouTuberが一堂に顔を合わせ、企画を練り上げていく。実際の撮影の手配や編集、ロケ場所やスタッフの手配は、ギルドが行う』、「一般的なYouTuberプロダクションの場合、所属YouTuberとマネジメント契約を結び、手数料20%を徴収している。トップYouTuberの場合、月収3000万~8000万円を稼ぐ力があるので収入は膨大だ。その対価として、企業とのタイアップ案件を営業担当者が獲得してくる以外に、撮影スタジオを貸したり、税務処理や賃貸契約といった雑務をサポートしている」、「視聴回数が減って、広告収入が落ちてきたYouTuberにとって、事務所の手数料20%は負担。単発のタイアップ企画なら個人でも受注できるので、マネジメント契約というビジネスモデルは限界を迎えている。海外にはほぼなくて日本くらい」、確かに落ち目になったYouTuberにとっては、「マネジメント契約」に頼る意味は薄らいでいるのだろう。
・『企業とYouTuber、互いに相反する思惑  これだと、再生回数が伸びれば広告収入も見込めるので、企業にとってもYouTuberにとっても万々歳。逆にYouTuberから企画を相談されたら、予算を確保するため、企業にタイアップを売り込むことも多い。社内には営業電話専門のスタッフが常駐しているほどだ。初対面の企業には協賛を持ちかけるケースも多いが、「動画の反響に喜んで、次はタイアップしてくれるようになる」(同)。 一般的にYouTubeでは、テレビのような広告手法は通用しない。YouTuberが新商品の飲料を飲んで「おいしい」と褒めると、視聴者はCMのような商業的な”匂い”を嗅ぎつけ、興ざめしてしまう。その反面、YouTuberが自由奔放に新製品を扱うだけでは、薄い内容となって、企業側の満足度が下がりがちだ。その隙間を企画力で埋めることをギルドは目指しており、「テレビ業界の電通、博報堂のような存在になりたい」と高橋代表は意気込む。 「マネジメントと企業への営業だけでは、事務所を辞めたくなるYouTuberの気持ちもわかる」 こう語るのは、YouTuber事務所VAZの森泰輝社長。2015年の設立から、多くのYouTuberやインフルエンサーと新たなビジネスを立ち上げて成長してきたが、多くの離脱も経験した。今、目指しているのは、「ネットのハイブリッドタレントを作ること」(森社長)。 VAZに所属するねおは、ティーン雑誌『ポップティーン』の専属モデルを務めるなど、若者から絶大な人気を誇る。チャンネル登録81万人の中堅YouTuberだが、TikTokのフォロワー数190万人などを含めると、SNSの総フォロワー数は430万人を超えている。テレビ番組やAbemaTVでも幅広く活躍する18歳だ。 「ねおを編集長とした、小さな編集部という体制を築いている。具体的にはSNSやYouTube投稿の戦略や、企画の相談、データ分析をサポートしている。ネットからテレビまで、複数メディアを横断した年間計画で進めている」(森社長)。 YouTubeの広告収入に頼らず、他に稼げるポイントを一緒に開拓しているという。「個人プロデュースでは難しい領域を、チームで進めることで勝ちにいく。ねおの成功事例が未来のプロダクションのあり方になるのでは」と森社長は語る。 実際にYouTuber専業で生きていくのは至難の業だ。ボーダーラインは「チャンネル登録数10万人」と言われるが、平均再生単価0.1~0.3円で月間25本の動画をアップすると、月収は25万~75万円程度。そこから撮影や編集にかかる必要経費を差し引くと生活はギリギリなのだ。 もっとも、登録者数が10万人以下でも、黒字で運営しているチャンネルもある。Zeppyは投資家に特化したYouTuberプロダクションとして、2019年6月に設立し、投資チャンネルを運営している。チャンネル登録者数は7万人弱、動画の再生回数も1万~18万回と波が大きい。しかし井村俊哉CEOは「会社として単月黒字化している」と説明する』、「一般的にYouTubeでは、テレビのような広告手法は通用しない。YouTuberが新商品の飲料を飲んで「おいしい」と褒めると、視聴者はCMのような商業的な”匂い”を嗅ぎつけ、興ざめしてしまう。その反面、YouTuberが自由奔放に新製品を扱うだけでは、薄い内容となって、企業側の満足度が下がりがちだ。その隙間を企画力で埋めることをギルドは目指しており、「テレビ業界の電通、博報堂のような存在になりたい」と高橋代表は意気込む」、「YouTube」なりの難しさもあるようだ。「テレビ業界の電通、博報堂のような存在になりたい」、とは大きく出たものだ。「実際にYouTuber専業で生きていくのは至難の業だ。ボーダーラインは「チャンネル登録数10万人」と言われるが、平均再生単価0.1~0.3円で月間25本の動画をアップすると、月収は25万~75万円程度。そこから撮影や編集にかかる必要経費を差し引くと生活はギリギリ」、やはり甘くはなさそうだ。
・『株式=投資家向けなら、単価も上がりやすい  「Zeppyの場合、視聴者は30~40代が多く、再生単価は0.6~0.8円。企業からのタイアップでIR(投資家向け広報)の動画制作も行っている」(井村CEO)。株式投資という分野では視聴回数の大幅な伸びこそ期待できないが、購買力のある視聴者層が見込めるので再生単価が上がりやすい。企業にとって個人投資家に対するPRの場となれば、タイアップの広告費も出しやすい。 今年1月にはテレビ東京から追加出資を受けたほか、投資家YouTuberのもふもふ不動産を引き受け先として第三者割当増資を実施した。もふもふ不動産は登録者数15万人を超える人気チャンネルで、再生単価は2円に達したことがあるほどだ。「いずれはファンドを作って、個人投資家に向けた投資商品を売っていきたい」(井村CEO)。良質な視聴者を囲い込むことで、再生回数に頼らない新たなビジネスを見据えている。 実は今、YouTubeで進んでいるのが、こうした大人向けコンテンツの充実化だ。25歳以上を対象にした動画ではターゲティング広告の単価が上がりやすい。対照的に18歳以下はターゲティングできないようグーグルは決めており、若者を対象とした動画は再生単価が上がりづらくなっている。 これまでYouTubeは、ヒカキンやはじめしゃちょー、フィッシャーズの人気が象徴するように、10代の若者に支持されるチャンネルが存在感を放ってきた。その構図は今も変わらないものの、芸能人を筆頭とするYouTuberの参入が増えたことで視聴者が分散し、再生回数や再生単価を従来通りに稼ぐことが難しくなってきている。 視聴者の「変調」を最も敏感に察知するのは、ほかならぬYouTuber本人だ。ピークアウトに伴う収入減に備えて独立の道を選ぶのか、YouTube以外の稼ぎ口を求めて企業とのタイアップを増やすのか、それとも別メディアへ活躍の場を広げるのか――。その選択肢は全方位へと広がりつつある。YouTube関連ビジネスの市場拡大は、まさにこれからなのだ』、「実は今、YouTubeで進んでいるのが、こうした大人向けコンテンツの充実化だ。25歳以上を対象にした動画ではターゲティング広告の単価が上がりやすい。対照的に18歳以下はターゲティングできないようグーグルは決めており、若者を対象とした動画は再生単価が上がりづらくなっている」、「YouTuber」のビジネスも変化しつつあるようだ。

次に、7月18日付け東洋経済オンラインが掲載した ITジャーナリストの高橋 暁子氏による「「迷惑系YouTuber」逮捕されても反省しない理由 山口県知事も激怒「へずまりゅう」とは何者か」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/363706
・『「迷惑系YouTuber」という言葉を聞いたことがあるだろうか。 迷惑系YouTuberとは、その名の通り迷惑行為を繰り返すYouTuberを指す。7月11日、スーパーで魚の切り身を盗んで逮捕されたYouTuber「へずまりゅう」が代表例だ。 彼のような迷惑系YouTuberの動画に対して、「チャンネルを停止すればいい」「迷惑系ていうか迷惑だから逮捕しろ」などと言う人が多い。一方で、ある大学生は、「目立てて羨ましい。逮捕されないなら自分もやりたい」と羨望の目でみる。大学生いわく、「迷惑行為をするだけで名前が全国区になるなんて。自分もそうなれるなら真似したいくらい」そうだ。 周囲に迷惑をかける迷惑系YouTuberは忌み嫌われることが多いが、なぜ次々と現れるのだろうか』、「迷惑系YouTuber」を羨ましがる「大学生」までいるとはやれやれだ。
・『「へずまりゅう」とは何者か?  2020年7月、愛知県警は、YouTuberのへずまりゅうが5月に愛知県内のスーパーマーケットで魚の切り身を盗んだとして、窃盗容疑で逮捕。 へずまりゅうは会計前の魚の切り身を店内で食べ、空となった容器をレジに持っていき、「すいません食べてしまいました。腹減ってて」と会計を行う動画を撮影。「店の商品、会計前に食ってやったぜー」というタイトルで投稿していた。後日、動画を発見した店の店長が県警に相談し、逮捕に至ったというわけだ。 へずまりゅうは当初、普通の動画を投稿していたが、登録者数が伸びない状態が続いていた。そこで、ニコニコ動画で定着している「凸待ち」文化をYouTubeに持ち込むことを思いついた。 凸待ちとは、先方からの突撃を待つことを指す「突撃待ち」から生まれた言葉だ。その後、はじめしゃちょー、ラファエル、ねおなどの著名YouTuberに次々とコラボを迫る嫌がらせ行為を行っていた。 へずまりゅうはある動画内で無理やりコラボを迫りながら、「動画を回したいんですよ、回して自分の売名になるんですよ」という発言をしている。著名YouTuberにからむ目的は、あくまで自分の売名行為。彼は他の取材などでも、「知名度を上げたい、人気者になりたい、お金もほしい」という発言を繰り返している。 3月には人気YouTuberのラファエルの仮面を剥がそうとしたり、ストーカーまがいの行為をしてあわや告訴という事態に。6月には同じく人気YouTuberのシバターやその妻子と見られる人物の映像を、「シバターの嫁と娘を大公開」として公開し、シバターと口論になることもあった。 著名YouTuberに次々と突撃をしてUUUMやVAZなどの大手YouTuber事務所から弁護士経由で警告を受け、訴訟問題も抱えていたようだ』、「著名YouTuberにからむ目的は、あくまで自分の売名行為」、そこまでやるのかと、呆れるばかりだ。「大手YouTuber事務所」も積極的に「訴訟」に持ち込むべきだろう。
・『あまりの傍若無人ぶりに山口県知事も憤慨  6月には、首里城公園に設置された焼失した首里城正殿の復興を願う応援メッセージの寄せ書きの上から落書きをする動画を投稿したりもしている。動画の拡散を受け、ボードは管理者によって撤去されていた。 今月行われた東京都知事選では、NHKから国民を守る党の立花孝志党首の演説カーに乗り、自らの活動を宣伝する場面も見られた。 投稿した動画の大半は低評価となったものの、チャンネル登録者数は急増。同時に自身のTwitterアカウントには、「いいぞー、もっとやれ」など、面白がるファンからの応援も寄せられるようになっている。 逮捕後、へずまりゅうのメインのYouTubeチャンネルは、アカウント停止処分となった。しかしTwitterアカウントには「YouTube垢バン8回日本記録達成者!」と書かれており、アカウント停止をむしろ誇りに思っているふしが伺える。 7月17日の朝日新聞の報道によると、新型コロナウイルスに感染しながらマスクもせずに山口県の錦帯橋や笠戸島、防府天満宮といった観光地や飲食店に立ち寄り、SNSで行動を発信して人を集め、接触した男女などにコロナを感染させたという。山口県の村岡嗣政知事も同日開いた記者会見で、「一体何てことをしてくれたんだという思い」とへずまりゅうに対する憤りをあらわにしている。 迷惑行為を行うYouTuberは彼だけではない。2015年には、東京都でじゃがりこにつまようじを入れたり、万引きする動画をYouTubeに投稿、その後逃走を図り、「全力逃走中」などの動画を投稿していた19歳の少年が偽計業務妨害罪で逮捕。 2017年には、三重県で27歳の男がヤマト運輸の営業所でチェーンソーを使って従業員を脅す動画をYouTubeに投稿。暴力行為等処罰法違反容疑で逮捕。 2018年には、福井市で覚せい剤に見せかけた白い粉末入りのビニール袋を交番前の歩道に落として走り去り、警察官に追跡させる動画をYouTubeに投稿した32歳の男が、偽計業務妨害罪で逮捕。 2019年には、渋谷のスクランブル交差点にベッドを置いて寝る動画をYouTubeに投稿したチャンネル登録者数130万人を超えるジョーが、京都簡易裁判所から道路交通法違反で4万5000円の略式命令を出されている。 このような動画は、人騒がせなことをして動画の再生数を増やし、有名になったり、お金を儲けたりしたいと考えて投稿されていることが多い。実際、つまようじ事件の少年は、逮捕後に「報道のおかげで有名になれて嬉しかった」「発言力を増すためには英雄になるしかなかった」と述べており、これが動機と見られている』、「Twitterアカウントには「YouTube垢バン8回日本記録達成者!」と書かれており、アカウント停止をむしろ誇りに思っているふしが伺える」、「Twitter」の手には負えないようだ。当局が不法行為をどんどん取り締まることしかなさそうだ。
・『彼らが「迷惑動画」を投稿し続ける理由  YouTuberの世界はレッドオーシャンであり、ただ投稿しただけではまず動画を見てもらえない。そもそもYouTubeは発信するコンテンツがなければいけないが、そのようなものがない人も多い。そこで、安易に投稿できる迷惑系に飛びつくYouTuberが現れる。迷惑系動画であれば炎上し、それによって容易に注目が集まるためだ。 最近増えている「不謹慎系YouTuber」も同様だ。「志村けんの息子です」「木村花の元カレです」などの動画を見たことがあるかもしれない。不謹慎系YouTuberとは、このように、話題となっている事件の犯人や亡くなった人の家族を自称する動画を投稿するYouTuberを指す。アフィリエイト収入目的に急激に検索数が増えた話題を取り上げる、トレンドブログの動画版とも言うべきものだ。 不謹慎系動画も、発信するものがなくても投稿でき、簡単に注目してもらえる点は同様だ。不謹慎系を持ちネタとしているYouTuberもいるほど。こういうYouTuberを面白がってチャンネル登録したり視聴するユーザーも一定数いる。 YouTube側も黙ってみているわけではない。YouTubeの広告ガイドラインでは、「炎上を招く、他者を侮辱するコンテンツ」「個人もしくはグループに対する嫌がらせ、威嚇、いじめに当たるコンテンツ」は不適切とされ、広告が掲載されなくなる。 規約違反で通報制度、広告の無効化、3度の違反警告でチャンネル停止と対策は講じている。しかし、元々注目されていなかったYouTuberには、このような処分は特に困るものではない。 役立つ動画や楽しい動画を投稿しているYouTuberも多いが、このような少数の問題ある動画を投稿するYouTuberのために、YouTuber自体のイメージが悪化してしまっている。迷惑行為や他人を貶めるような動画を投稿することは、自分の欲望のために他人を蔑ろにする行為であり、社会的に許されることではない』、「少数の問題ある動画を投稿するYouTuberのために、YouTuber自体のイメージが悪化してしまっている」、困ったことだ。
・『「有名になりたいから」  冒頭で紹介した大学生は、インターネット上で有名になるのが夢だという。フォロワーが多いことに憧れるが、自分のアカウントではフォロワーがなかなか増えないそうだ。 ただ一度だけ、数万人のフォロワーを持つお笑いタレントに悪口コメントを送ったときにリプライをもらって軽く炎上したときには、フォロワーが一気に増えたという。 「やっぱり有名人にからむとフォロワーが増えるんだと思った。炎上して有名になる人も多いし、もっと本格的に炎上してもいいかなと思うことはある」 Twitterで犯行予告をした高校生も、迷惑動画を投稿したYouTuberも、「有名になりたいから」「お金持ちになりたいから」そのような行動をしたという。しかし炎上は支持と同義ではないし、悪事で有名になってもそれが本当に望むことなのだろうか。 投稿した動画は、他人に保存されるなどして残り、事件を起こしたり他人に迷惑をかけたりした事実も残り続ける。目先の自分の欲望に振り回されるのでなく、周囲に迷惑をかけずに周囲に認められる道を探してほしい』、正論ではあるが、百年河清を待つようなものだ。やはり、不法行為に走ったものを逮捕するなどの積み重ねが必要なのだろう。

第三に、6月25日付け東洋経済オンライン「パワハラで「全役員クビ」駅探vs株主の大バトル 委任状争奪戦は株主総会の前に事実上決着」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/358879
・『役員全員クビ――。乗り換え案内サービスを行う駅探に対して、大株主が取締役全員の解任を要求した。 駅探が提案する現経営陣を中心とする取締役案と大株主が提案する取締役案が対立。株主総会を6月29日に控え、事態は駅探と大株主の両社間による委任状争奪戦に発展したが、6月24日、駅探は自社の取締役案を取り下げると発表した。株主総会で大株主の提案が可決されれば、駅探の全取締役が交代する。 この大株主とは、医療システム開発を行うCEホールディングス(以下、CEHD)。2012年に駅探と資本業務提携を行い、現在は議決権ベースで駅探株式の30.871%を保有する筆頭株主だ』、「取締役全員の解任を要求」とは穏やかではないが、どんな事情があったのだろう。
・『乗り換え案内の老舗  乗り換え案内など経路検索サービスを行う会社は駅探のほかにヴァル研究所、ジョルダン、ナビタイムジャパンがある。ヴァル研究所はヤフーと、ジョルダンはグーグルというインターネット業界の巨人と経路検索で組んでいる。ナビタイムは独自路線を歩むものの、地図や道路情報と連携して公共交通機関だけでなく、自動車や徒歩も含めた経路をトータルで検索できるのが強みだ。 駅探の特徴はNTTドコモとの結びつきが強いことだ。もともと駅探は1997年に東芝の社内ベンチャーとしてスタートした乗り換え案内の草分け的な存在。1999年にNTTドコモが「iモード」を開始すると、駅探の乗り換え案内は最初の公式コンテンツに採用された。2003年に東芝から分社化、2011年に東証マザーズに上場した。 上場当時の筆頭株主は投資ファンドのポラリス第一号投資事業有限責任組合。そのファンドが保有していた株の売り渡し先がCEHD(当時の社名はシーエスアイ)だった。 当時、スマートフォンの普及が進み、ユーザーはネット上の経路検索を無料で行うようになりつつあった。携帯電話の会員が減少する中で、スマホで無料版を活発に利用してもらうことでユーザーの裾野を広げ、その中からより高機能の有料版に移行してもらうユーザーを増やしていくというのが駅探のビジネスモデルだったが、同時に新たな収益機会も模索していた。 そこへポラリスに変わる筆頭株主として登場したのがCEHDだ。CEHDは出資だけでなく、駅探と共同でのビジネス展開も見据えていた。 とはいえ、乗り換え案内と医療ビジネスでは関連性が薄いように見える。東芝出身で2006年から駅探の社長を務めてきた中村太郎氏は、「ちょっと遠いなという意識はあった」と、6月18日に行われた東洋経済の取材で話している。 それでも駅探は、同社のコンシューマーサービスとCEHDの医療機関の顧客基盤を組み合わせた新サービスの構築を目指して共同での事業展開に乗り出した。しかし、「障壁が大きく、うまく軌道に乗せることができなかった」(中村氏)。 2017年にはCEHDの杉本惠昭社長が駅探の社外取締役を退任した。その頃から、駅探とCEHDとの間で考え方のずれが出ていたようだ。 「CEHDさんは、ちょうどその時期から当社と共同でビジネスを行うよりも、株の売却を検討されていたのではないか」と中村氏は振り返る。今年に入ってからもCEHDから「買い手が必要なら紹介する」というようなことを言われたと明かす』、「共同での事業展開・・・障壁が大きく、うまく軌道に乗せることができなかった」、のであれば、「CEHD」による「株の売却」も時間の問題だったのだろう。
・『取締役全員の交代を提案  そんな矢先、5月21日にCEHDが6月開催の駅探株主総会で取締役7人を選任するという株主提案を行うと発表した。駅探側も現経営陣を主軸とする7人の取締役の選任を提案している。つまり、CEHDの提案は現経営陣を退任させ、CEHDが選んだ新たな取締役に交代させるというものだ。取締役の一部を交代させる株主提案はときどきあるが、取締役全員の交代という提案はあまり例がない。 CEHDは同日、提案に至った経緯を詳細に説明している。それによれば、駅探の取締役によるパワーハラスメントにより、駅探社員の大量退職やメンタル不調者が発生するといった経営上の深刻な問題が生じたからだという。CEHDによれば、駅探の3月1日時点の社員数は90人だが2014年4月から2020年3月までの6年間で79人が退職したという。また、部門長クラスのほとんどが退職しており、「事業展開の遅滞と企業価値の減少を招いている」という。 パワハラ問題の解決に向け、駅探の中村氏とCEHDの杉本氏ら両者の経営陣は3月13日に話し合いの場を持った。 CEHDは事実関係調査のための第三者委員会の設置やパワハラを行った取締役の職務停止などを提案したが、駅探の取締役から「たかが31%の株主がそのようなことを要請するのはいかがなものか」と、株主を軽視する発言があったという。さらに、中村氏がその取締役をいさめることすらしなかったことも問題視する。 CEHDは、株主提案の目的は「大量の退職者やメンタル不調者の発生など、組織運営上の重大な問題を発生させ、またそれを看過し、かつ株主を軽視する現経営陣の変更」であり、それによって「駅探の企業価値向上を実現」したいとしている。 これに対抗して、駅探は6月1日にCEHDの提案に対する反対意見を表明した。中村氏は東洋経済の取材に対して、「大量退職というが、その数字は過去の累計であり、多くの退職者が一度に固まって出てきたわけではない」として、大量退職という見方を否定した。パワハラがあったという指摘については、「パワハラを行った取締役が管掌している部署から大量の退職者が出たわけではなく、各部門から平均的に退職者が出ている」と反論した。 また、中村氏は、「幹部社員のほとんどが退職したという事実もなく、部長級ではこの5年間に5人ほど辞めたが、そのうち3人ほどは要求されるスペックと個人の能力がマッチせず退職した」としており、「課長級にしても、開発の部門のグループ長で辞めた人はいない。成長戦略に必要な課長級が辞めているということはなく、成長戦略が機能していないというのは、一方的な解釈だ」と言い切った。 さらに、「たかが31%の株主が」という発言については、「株主全体の価値を考えた場合に、30数%お持ちの株主のご意向だけで経営を決めるわけにはいかない」と話したものの、一部だけが切り取られたと憤慨した』、両者の主張は水と油で、真相は不明だ。
・『食い違う両者の主張  パワハラの疑いがあった取締役は5月21日から6月1日までの間に退任した。しかし、CEHDは3月13日の話し合いの際に中村氏が「経営陣として全体責任です」「これが事実なら私は善管注意義務違反になる」と発言したとして、CEHDは中村氏を含む全取締役が退任すべきだという姿勢を崩さない。 この点についても、中村氏は、「CEHDさんは、“その対象の取締役がこの場で辞任するなら不問に付す”とおっしゃられた。でも、調査もせずにある事業を管掌している取締役を退任させてよいはずがなく、私が“それこそ善管注意義務違反に当たる”と申し上げたことが、その言葉だけが切り抜かれた」と話した。両者の間には明らかに食い違いがある。 中村氏に衝撃を与えたのは、CEHDが提案する取締役の中に駅探の社員が3人いたことだった。その中には東芝時代に乗り換え案内システムを開発した者もいた。さらにこの3人とは別にCEHDが社長候補と考えている取締役候補者も東芝出身で、中村氏と一緒に仕事をしていた時期もある。気心の知れた人物だった。 「当社の社員の一部がCEHDの提案に乗っているのは非常に残念」と中村氏。「彼らとは長いつきあいだった」として、複雑な表情を隠さない。 ただ、「3人とも収益部門のマネジメントをしたことがない。成長戦略を示さず、経営に関与したことがない役員が入ってくると、企業価値を毀損するリスクがある」と懸念した。 6月1日、駅探はIT企業のTOKAIコミュニケーションズとMaaSエンジンの開発やそのサービス化で業務提携を結んだと発表した。公共交通機関を中心とした乗り換え案内は電車も飛行機もバスも全部スケジュール通りに運行されているものだが、MaaSの時代には、カーシェアリング、レンタサイクル、自動運転なども含まれるようになる。ビジネスモデルが大きく変わる可能性がある。 TOKAIコミュニケーションズはゼンリンデータコムとも提携をしており、駅探を含む3社提携に発展する可能性もある。中村氏は「TOKAIさんは生活インフラ的な情報を持ち、ゼンリンさんは地図情報から自動車カーナビに近いところまで持っている。当社の公共交通機関の情報と組み合わせれば、非常によい補完関係になる」として、提携による企業価値向上に強い期待を示した。 駅探とCEHDがそれぞれ株主からの委任状集めに奔走する中、6月17日には議決権行使助言機関のISS(インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ)が駅探の提案に賛成し、株主提案に反対するという意見表明を行った。ISSは、「CEHDは合理的で詳細な経営方針を提案できていない」「経営陣の完全交代を求めることは現実的ではない」と説明している。駅探にとっては追い風となるはずだった。 事態が動いたのは株主総会の1週間前となる6月22日ごろだ。この段階で株主提案に賛同する議決権数が会社提案を上回ることが確実になったのだ。少数株主の議決権を集めてもCEHD側が抑えた議決権を超えるのは難しかったようだ。 6月24日、駅探は取締役選任に関する議案を取り下げると発表した。取締役選任に関する議案は株主提案だけになり、可決されればCEHDの提案する取締役が駅探の経営を担うことになる。この日、中村氏は株主総会および総会終了後の取締役会をもって代表取締役社長を退任すると発表した』、せっかく「ISS」が経営陣支持を打ち出しながら、「少数株主の議決権を集めてもCEHD側が抑えた議決権を超えるのは難しかった」、のは何故だったのだろう。
・『ウェットな部分の対立だった  TOKAIコミュニケーションズの福田安広社長は6月18日に行われた東洋経済の取材に対し、「株主提案をめぐる件について当社は発言すべき立場にはない」とした上で、「あくまで会社と会社の業務提携なので、進捗が遅れることがなければ(どちらになっても)構わない」とコメントしていた。ただ、「もし、経営陣が総入れ替えになったときにうまく引き継ぎができるだろうか」と心配していた。この点について、駅探の現経営陣はTOKAIコミュニケーションズとの業務提携の推進に向けた引き継ぎは協力していくとしている。 ISSが意見表明したように、今回の駅探とCEHDの対立は、どちらの経営方針が株主にとって有益かという経済合理性を問うものではなく、役員のパワハラや不遜な発言といった、ウェットな部分の是非を問うものだった。中村氏も、「両社の関係をどうすべきかを考えるやり方がよくなかったのだろう。感情的な部分があったのかもしれないとも思っており、そこは真摯に反省しなければいけない」と、6月18日のインタビューで話していた。 デジタルなインターネットの世界でも経営を行うのは生身の人間である。その感情を無視すると手痛いしっぺ返しをくらう。今回の一件は、そんな教訓を残した』、「デジタルなインターネットの世界でも経営を行うのは生身の人間である。その感情を無視すると手痛いしっぺ返しをくらう」、全く同感である。
タグ:ネットビジネス ISS 東洋経済オンライン 高橋 暁子 (その9)(憧れの職業「YouTuber」 戦国時代はこう稼ぐ 10代から大人向けにじわりシフトする実態、「迷惑系YouTuber」逮捕されても反省しない理由 山口県知事も激怒「へずまりゅう」とは何者か、パワハラで「全役員クビ」駅探vs株主の大バトル 委任状争奪戦は株主総会の前に事実上決着) 「憧れの職業「YouTuber」、戦国時代はこう稼ぐ 10代から大人向けにじわりシフトする実態」 UUUMからYouTuberが離れていった? 一般的なYouTuberプロダクションの場合、所属YouTuberとマネジメント契約を結び、手数料20%を徴収している。トップYouTuberの場合、月収3000万~8000万円を稼ぐ力があるので収入は膨大だ。その対価として、企業とのタイアップ案件を営業担当者が獲得してくる以外に、撮影スタジオを貸したり、税務処理や賃貸契約といった雑務をサポートしている 「視聴回数が減って、広告収入が落ちてきたYouTuberにとって、事務所の手数料20%は負担。単発のタイアップ企画なら個人でも受注できるので、マネジメント契約というビジネスモデルは限界を迎えている。海外にはほぼなくて日本くらい」 企業とYouTuber、互いに相反する思惑 一般的にYouTubeでは、テレビのような広告手法は通用しない。YouTuberが新商品の飲料を飲んで「おいしい」と褒めると、視聴者はCMのような商業的な”匂い”を嗅ぎつけ、興ざめしてしまう。その反面、YouTuberが自由奔放に新製品を扱うだけでは、薄い内容となって、企業側の満足度が下がりがちだ。その隙間を企画力で埋めることをギルドは目指しており、「テレビ業界の電通、博報堂のような存在になりたい」と高橋代表は意気込む 実際にYouTuber専業で生きていくのは至難の業だ。ボーダーラインは「チャンネル登録数10万人」と言われるが、平均再生単価0.1~0.3円で月間25本の動画をアップすると、月収は25万~75万円程度。そこから撮影や編集にかかる必要経費を差し引くと生活はギリギリ 株式=投資家向けなら、単価も上がりやすい 実は今、YouTubeで進んでいるのが、こうした大人向けコンテンツの充実化だ。25歳以上を対象にした動画ではターゲティング広告の単価が上がりやすい。対照的に18歳以下はターゲティングできないようグーグルは決めており、若者を対象とした動画は再生単価が上がりづらくなっている 「「迷惑系YouTuber」逮捕されても反省しない理由 山口県知事も激怒「へずまりゅう」とは何者か」 「へずまりゅう」とは何者か? 著名YouTuberにからむ目的は、あくまで自分の売名行為 あまりの傍若無人ぶりに山口県知事も憤慨 Twitterアカウントには「YouTube垢バン8回日本記録達成者!」と書かれており、アカウント停止をむしろ誇りに思っているふしが伺える 彼らが「迷惑動画」を投稿し続ける理由 少数の問題ある動画を投稿するYouTuberのために、YouTuber自体のイメージが悪化してしまっている 「有名になりたいから」 「パワハラで「全役員クビ」駅探vs株主の大バトル 委任状争奪戦は株主総会の前に事実上決着」 取締役全員の解任を要求 乗り換え案内の老舗 駅探の特徴はNTTドコモとの結びつきが強いこと 東芝から分社化 同社のコンシューマーサービスとCEHDの医療機関の顧客基盤を組み合わせた新サービスの構築を目指して共同での事業展開に乗り出した。しかし、「障壁が大きく、うまく軌道に乗せることができなかった」 取締役全員の交代を提案 駅探の取締役によるパワーハラスメントにより、駅探社員の大量退職やメンタル不調者が発生するといった経営上の深刻な問題が生じたから 食い違う両者の主張 パワハラの疑いがあった取締役は5月21日から6月1日までの間に退任 経営陣支持 「少数株主の議決権を集めてもCEHD側が抑えた議決権を超えるのは難しかった」 ウェットな部分の対立だった デジタルなインターネットの世界でも経営を行うのは生身の人間である。その感情を無視すると手痛いしっぺ返しをくらう
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EC(電子商取引)(その6)(北米発「アマゾンキラー」がいま楽天と組む真意 コロナで浮き彫り 「アマゾン依存」のリスク、「楽天PCRキット販売中止」に学ぶ、ニセ医者を見抜くシンプルな方法 「海外の名門」に弱い日本人、アリババと京東「ライブコマース」強化の狙い 「618セール」の目玉に掲げて火花を散らす、「ZOZO離れ」に「アパ直」 企業の脱プラットフォームが進むワケ) [産業動向]

EC(電子商取引)については、3月4日に取上げた。今日は、(その6)(北米発「アマゾンキラー」がいま楽天と組む真意 コロナで浮き彫り 「アマゾン依存」のリスク、「楽天PCRキット販売中止」に学ぶ、ニセ医者を見抜くシンプルな方法 「海外の名門」に弱い日本人、アリババと京東「ライブコマース」強化の狙い 「618セール」の目玉に掲げて火花を散らす、「ZOZO離れ」に「アパ直」 企業の脱プラットフォームが進むワケ)である。

先ずは、5月7日付け東洋経済オンライン「北米発「アマゾンキラー」がいま楽天と組む真意 コロナで浮き彫り、「アマゾン依存」のリスク」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/348077
・『新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛要請を受け、日本でもネット通販(EC)への需要が急増している。 そんな中、中小EC事業者向けのプラットフォームを手がけるカナダのShopify(ショッピファイ)が4月7日、楽天のマーケットプレイスである「楽天市場」とのシステム連携を発表した。北米で楽天市場を利用するEC事業者を増やしたい楽天と、日本におけるビジネスを拡大したいショッピファイの思惑が合致した形だ。 ショッピファイは、EC事業者向けに商品の在庫管理から配送や決済まで管理するシステムを、定額課金(サブスクリプション)で提供しているSaaS企業だ。複数の決済手段や言語に対応した自社ECサイトを、初期費用を抑えて構築できるだけでなく、見た目や機能を自由にカスタマイズ可能なため、中小事業者を中心にショッピファイの利用は広がっている。 また、マーケットプレイスと違い、サイトでの販売額に応じた手数料がかからず、ユーザーの購買データも自社で蓄積可能な点もメリットだ。EC最大手であるAmazon(アマゾン)以外の販路を求める北米のEC事業者から支持を得ており、「アマゾンキラー」とも呼ばれている。 2019年末時点で100万以上の事業者がショッピファイを利用しており、とくに新型コロナの感染拡大が始まってからの新規契約先の増加は顕著だという。2015年にトロント証券取引所とニューヨーク証券取引所に上場しており、2020年4月末時点での時価総額は730億ドルを超えている。 楽天市場との連携を通じて、ショッピファイは何を目指すのか。日本のカントリーマネージャーを務めるマーク・ワング氏にその真意を聞いた(Qは聞き手の質問、Aはワング氏の回答)』、「ショッピファイ」と「楽天市場との連携」とは面白い展開だ。
・『マーケットプレイスだけが欠けていた  Q:ショッピファイが楽天市場と連携する狙いはどこにあるのでしょうか? A:ショッピファイはマルチチャネルのプラットフォームであり、EC事業者に多様な販売チャネルを提供することをミッションとしている。日本では、自社ECサイトはもちろん、FacebookやInstagramを通じた販売、Google Shopingなどにもすでに対応している。ただそうした中、唯一欠けていたのが大手マーケットプレイスとの連携だった。 今回の連携によってショッピファイを利用するEC事業者は、われわれのシステムを通じて自社サイトと楽天市場の情報や在庫を一元管理できる。つまり、ショッピファイを使えば管理の負担を増やさずに、(自社サイトと楽天市場の)両方で販売できるようになるので、より大きな価値をEC事業者に提供できるようになったと考えている。 また、越境ECにおけるショッピファイのプレゼンスを高めることもできそうだ。アメリカでは何十万というEC事業者がショッピファイを利用しているが、その中には、売上の50%以上を日本で稼いでいるという事業者も少なくない。そうした事業者が楽天市場を販売チャネルに加えられれば、日本でのさらなる成長を目指せる。日本に進出していない事業者にとっても、世界で4番目に大きなEC市場である日本に楽天市場を通じてモノを売れるようになる。 われわれの考えを理解してくれたのが楽天だった。正直なところ、ショッピファイという企業やサービスを知らない日本の企業も非常に多い。ショッピファイが日本での事業を自分たちだけで拡大していくのは難しい。一方で楽天は、日本の消費者や事業者からいちばん信頼されているブランドだ。その楽天と協業することで、そうした日本の伝統的企業にもアプローチしていきたい。 Q:世界最大のECプラットフォーマーはアマゾンであり、日本における存在感も大きいです。アマゾンと組んだ方がメリットを出せるように思えますが、なぜ楽天なのですか。 A:ショッピファイを利用するEC事業者は総じて、自分たちのブランドイメージを重視している。アマゾンの場合、どんな商品も同じ形式、同じデザインで表示されるが、楽天市場は違う。出店者ごとにサイトデザインが異なっており、アピールしたい内容に合わせてカスタマイズできる。 出店するEC事業者が1億人規模の消費者にリーチしつつ、かつ自分たちのブランドを維持できるのは楽天市場だと考えた。 企業理念や経営哲学も楽天と一致している。ショッピファイは、小さな事業者がブランドをつくる力を信じるという経営哲学を持ち、楽天は出店者とともに成長していくことをミッションに掲げる。どちらもEC事業者を支援する点で共通している』、「ショッピファイは、小さな事業者がブランドをつくる力を信じるという経営哲学を持ち、楽天は出店者とともに成長していくことをミッションに掲げる。どちらもEC事業者を支援する点で共通している」、偶然とはいえ珍しいことだ。
・『当面は楽天との連携に注力  Q:今後もアマゾンとの提携に踏み切る可能性はない? A:ショッピファイはEC事業者がマルチに販売チャネルを持つことの重要性を理解しているので、他のマーケットプレイスを排除するつもりはない。EC事業者にスケールメリットを提供できるならば、どんなパートナーとも組む。 ただ、当面は楽天との連携強化に注力したい。楽天市場とのシステム連携には合意までに2年ほどかかっており、システム構築にはさらに7カ月ほどかかっている。連携にはそれだけ複雑で重厚なシステム改修が必要であり、販売チャネルを増やすことは非常に大きな投資も伴う。マーケットプレイスとのシステム連携については、数を追うことでサービスの質を落とすようなことはしたくない。 Q:昨今は自社で企画・製造した商品をSNS等で宣伝し、自社ECサイトで販売する「D2Cブランド」が存在感を増しています。そうした事業者の中には、楽天などのマーケットプレイス色がつくことを嫌がるケースもあります。 A:確かにショッピファイでも、マーケットプレイスを嫌う事業者が存在する。一方で、マーケットプレイスと自社ECサイトを並行して運用している事業者もたくさんいるし、リソースが限られる中で自社ECサイトを優先してマーケットプレイスの運用を半ばあきらめている事業者もいる。事業者にもいろいろなパターンがあるということだ。 楽天との連携により、自社ECサイトだけでなく楽天市場のサイトも、ショッピファイのシステムを通じて一元管理できるようになった。マーケットプレイスでの販売も容易になったことで、EC事業者に大きなメリットを提供できるようになるはずだ。 また、マーケットプレイスに出店することでブランドに対する認知度が増し、消費者からの信頼を得やすいというメリットがある。マーケットプレイスを嫌っていた事業者も、そうしたメリットを享受することで考えを変えるかもしれない。  Q:新型コロナの感染拡大に伴い、ECへの需要が急拡大しています。業況は変わりましたか? A:世界中でリアルの小売店舗が営業自粛や閉鎖を余儀なくされている中、販路確保のためのオンラインシフトが急速に進んでいる。例えば3月2日から4月12日までの6週間で、ショッピファイを利用し、新たにECサイトを立ち上げた事業者(の数)は全世界で(それ以前と比べて)75%増えた。2019年の1年間での増加率は25%ほどだったので、3月からの伸びがどれだけ大きかったか分かるだろう。 またショッピファイで初めて購入したユーザーの数も、同期間中におよそ78%増えている。これまでECを利用したことがなかった人も、新型コロナを機にオンラインでモノを買うようになった。その証拠に新規ユーザーからの注文は同期間、20%ほど増えている。既存ユーザーへの販売も増えており、25%ほど増えている』、「楽天」との「システム構築にはさらに7カ月ほどかかっている。連携にはそれだけ複雑で重厚なシステム改修が必要」、「システム構築」にそんなに時間がかかるとは驚かされた。「新型コロナの感染拡大に伴い、ECへの需要が急拡大」、確かに想像以上に伸びているようだ。
・『外出自粛で編み物やパズルが売れている  Q:売れている商材やカテゴリーに傾向はありますか? A:外出自粛などもあって、自宅でできる娯楽関係の商品を買い求めるユーザーが増えているようだ。3月30日から4月5日までの1週間で、編み物関係の商品やジグソーパズルが従前の10倍以上売れている。ボードゲームやウェイトリフティング関連の商品も6倍以上の売りゆきだ。 新型コロナウイルスの感染拡大への対応策も進めている。例えば、商品受け取り時の接触を極力避ける方法として、「カーブサイド・ピックアップ」という、ドライブスルーのように受け渡しができる機能を提供し始めた。ユーザーがオンライン上で使えるギフトカードを、発行して販売できる機能も無償で事業者に提供し始めた。 人と対面で会えない中、バーチャルでギフトカードを贈れるようにすることでEC事業者の売上拡大に寄与したい。ユーザーとのコミュニケーションをEC事業者がとれるよう、メールマガジンなどを管理する機能の提供を前倒しにした。本来、2500通を超えるメールマガジンを送信すると追加費用がかかるが、2020年5月2日から10月1日の期間中はその上限がなく、事業者は完全に無料で同機能を利用できる。 Q:「コロナ後」のビジネスのあり方はどのように変わりますか。 A:それはまだ誰にもわからない。ただ、1つ間違いないのは、企業のECに対する考え方が変わる、ということだ。小売り事業を営む企業にとって、ECはなくてはならない存在になる。 日本やアメリカの小売店には、これまでオンラインでの販売を重視してこなかったところも多い。これからは、オンラインファーストになるか、オンラインで追加の売り上げを得られるようにするか、いずれかの戦略を採らざるをえないだろう。 こうしたオンラインシフトを小売店が実現するには、マーケットプレイスやプラットフォームの存在が不可欠だ。ショッピファイでも従来のようなECだけでなく、リアル店舗における購買体験に近いものをオンライン上でユーザーに提供することを目指している。商品を3Dモデルやビデオを使って紹介する機能などがその一例だ』、「オンラインシフトを小売店が実現するには、マーケットプレイスやプラットフォームの存在が不可欠だ」、なるほど。
・『「アマゾン一強」は続かない?  Q:バンク・オブ・アメリカの試算によると、アメリカのEC市場におけるアマゾンのシェアは約44%にのぼり、小売大手のウォルマート(約7%)やEC大手のイーベイ(約5%)などの競合を大きく引き離しています。2020年1月から3月までのEC関係の売上高は511.3億ドル(前年同期比25.8%増)とアマゾンの勢いは止まりません。コロナ後も「アマゾン一強」なのでしょうか? A:アメリカではアマゾンが実質上唯一のマーケットプレイスで、確かに市場の半分以上を占めていると思われる。だが足元では、新型コロナの影響で(注文が殺到し)、ユーザーがアマゾンで商品を買うことが難しくなっている。一時期は注文した商品が到着するまでに2~4週間もかかるような状態だった。 また、多数の中小EC事業者の在庫管理等を支援しているわれわれとは違って、アマゾンのフルフィルメント(在庫管理・物流)サービスは今や大手事業者しか使うことができなくなった。 アメリカにおいてアマゾンはいわば「単一障害点(ある1点が機能不全に陥るとシステム全体が機能しなくなること)」となっており、一大プラットフォーマーに頼りきりになることの社会的リスクが、新型コロナで明らかになったといえる。 ショッピファイは以前から、小売り事業におけるマルチチャネル化の必要性を訴えてきた。今まさに、われわれの言ってきたことが正しかった、と証明されたといえる。これからは、販売チャネルをいかに多様化していくのか、収益源を分散していくのかが小売事業者にとっての生命線となるはずだ』、「アマゾン一強」から「販売チャネル」の「多様化」が進むのか、大いに注目したい。

次に、5月9日付けPRESIDENT Onlineが掲載したフリーランス麻酔科医、医学博士の筒井 冨美氏による「「楽天PCRキット販売中止」に学ぶ、ニセ医者を見抜くシンプルな方法 「海外の名門」に弱い日本人」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/35245
・『4月30日、楽天は「新型コロナウイルスPCR検査キット」の販売中止を発表した。キットは楽天の出資先のジェネシスヘルスケア社が開発したが、同社の社長が急遽辞任したことから、当面の間、販売を見合わせるという。麻酔科医・筒井冨美氏は「ジェネシス社の代表が『ニセ医者』だったことが理由です。経歴の真偽はすぐ調べられるので、ぜひ注意してほしい」という――』、前の記事とは一転して、いかにも「楽天」らしいバッドニュースだ。
・『楽天「新型コロナPCR検査キット」販売見合わせのウラに経歴詐称疑惑  新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい、日本でも緊急事態宣言が延長された。 コロナ診断の決め手となる医療機関でのPCR検査件数は、検査希望者数には遠く及ばない。これを受けて、楽天は4月20日、法人向けに「新型コロナウイルスPCR検査キット」(1セット1万4900円、100セットから)の販売を始めた。 医療機関での検査を求めている日本医師会は「結果が信用できず混乱を招く」と懸念を表明していたが、楽天の三木谷浩史社長は4月22日、「日本復活計画」として「5000万人コロナPCR検査」「楽天トラベルで軽症者ホテルの手配」といったさらなる計画を発表した。 楽天の検査キットの販売窓口になったのが、「ジェネシスヘルスケア社」だった。 これは、2004年に代表の佐藤バラン伊里氏が夫と共同起業したバイオ系ベンチャー企業である。2017年から三井物産や楽天が同社に出資し、三木谷氏が社外取締役に就任した。恵比寿ガーデンプレイスに社屋を構え、参院議員で医師・弁護士の古川俊治氏を特別顧問に迎え、2018年にはニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手が出演するテレビCMを流すなど、遺伝子関連ビジネスの成功例として報じられることもあった。 その会社が、PCRキット販売でさらに飛躍しようとしていたわけだが、あっけなく頓挫した。4月28日、週刊文春(5月7日・14日合併号)がこう報じたのだ。 記事タイトルは、「楽天PCR検査キット計画“女医代表”に経歴詐称の過去」である。文春は、ジェネシスヘルスケア社の佐藤バラン伊里代表は、2006年頃に「才色兼備の米国心臓外科医」としてマスコミに登場し、遺伝子ダイエットを提唱していた佐藤芹香と同一人物であると報じた。 「我が大学の在校生・卒業生ではなく医師免許もない」(コーネル大) 週刊文春は2006年11月9日号において、「遺伝子ダイエット カリスマ女医『ニセ医者疑惑』」と題して、「佐藤芹香せりか」として活動していた佐藤氏のことを報じていた。当時、『遺伝子型ダイエット』(日経BP)を出版して女性誌を中心に話題を呼んだ佐藤氏は、「おはよう日本」(NHK)、「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京系)にも取り上げられ、「時代の寵児」のような扱いを受けていた。 経歴詐称を疑った同誌記者の取材に対して、佐藤氏は「米国コーネル大学政治学部および医学部を卒業」「6年間を政治学部と医学部のジョイントプログラム」「15歳で私は大学生になった。小五と高一で飛び級」「(医大卒業後は)心臓外科医」と、答えていたという。 不自然な受け答えに、記者は念のためコーネル大医学部に佐藤氏の旧姓を含めて考えられうるすべての氏名を照会した。すると、「当該人物は我が大学の在校生でも卒業生でもない。MD(医師免許)も保有していない」(コーネル大・記録課)という驚くべき答えが返ってきたそうだ』、「三木谷浩史社長」が「日本復活計画」とは、彼らしい大風呂敷だ。「2017年から三井物産や楽天が同社に出資し、三木谷氏が社外取締役に就任」、取締役会に出席していれば、何かおかしいと気付く筈だが、多忙にかまけて欠席していたのだろう。
・『「ニセ医者騒動の佐藤芹香と同一人物」という噂が医師の中で広がった  筆者も2006年のインタビュー記事を記憶していた。佐藤氏は当時、アメリカ留学から帰国したばかりの頃で、医師留学経験者のウェブ掲示板で話題になっていたからだ。 コーネル大学医学部や附属病院はニューヨーク市にあるが、その頃ニューヨーク市に留学していた日本人医師たちは誰も彼女を知らなかった。そもそもアメリカで医師になるには、4年制大学を卒業した後、4年制の医科大学院に進学しなければならず、大学入学から最低8年間が必要となる。 また、心臓外科専門医になるには、医大卒業後に「5年間の一般外科研修+2~3年間心臓外科研修」が必要となる。そう考えると佐藤氏の年齢と合致しないことになる。 さらに、「政治学部と医学部のジョイントプログラム」と言っても、コーネル大学政治学部のあるメインキャンパスはニューヨーク州イサカ市にあり、ニューヨーク市からは車で4~5時間かかる。同時に履修することは物理的に不可能である。 というわけで、当時、この記事を読んだ医師たちは異口同音に「あり得ない、ニセ医者のにおいがプンプン」ともっぱらだった。 その後、「米国心臓外科医の佐藤芹香」を見かけることはなくなったが、2017年の楽天が出資した頃から佐藤代表は「ジェネシスヘルスケア社の佐藤バラン伊里」として、また「遺伝子ビジネスに成功した女性社長」として再びメディアに登場するようになった。 今回は「コーネル大卒の心臓外科医」という経歴を名乗ってはいなかったが、顔写真や「遺伝子」「佐藤」「コーネル大」といったキーワードから「ニセ医者騒動の佐藤芹香と同一人物ではないか」という噂が医療関係者では広まり、数年前からSNSなどで指摘されていた』、「数年前からSNSなどで指摘されていた」、詐欺師に引っかかるとは、彼女の美貌が影響しているのかも知れない。
https://feizeus.com/satouserika/
・『「日本語が母国語でない事から、事実確認が不十分だった」  週刊文春の取材に対し、ジェネシスヘルスケア社が「(佐藤氏は)日本語が母国語でない事から、事実確認が不十分だった」と説明していたが、記事が出た4月28日付で佐藤氏は代表取締役を辞任。同社は4月30日に「代表取締役の異動に関するお知らせ」というプレスリリースを出して、こう説明した。 ジェネシスヘルスケア株式会社(本社:東京都渋谷区)は、2020年4月28日、取締役会を開催し、佐藤 バラン 伊里代表取締役から同日付けで、取締役辞任の申し出を受理しましたので、お知らせいたします。 佐藤は次のように述べています。「この度、世間の皆さまに、PCR検査キットの販売をめぐる混乱を招きましたことをまずはお詫び申し上げます。28日付で辞任を申し出、取締役会にて受理されました。今後、新たな経営体制の下で、当社のPCR検査キットが、早期に一人でも多くの感染者を検出することに効率的な方法で使用されることにより、または診療及び予防医療の有力な補助手段となり、医療崩壊も危惧されている診療現場の軽減負担につながることを切実に願っております。今後、速やかに引き継ぎを実施してまいります。」なお、今回の人事は、一部報道の内容と関係なく、また、新型コロナウィルス感染症向けの当社のPCR検査キットの性能及びその検査信頼性とも関係はございません。佐藤は、当社創業から16年の間に遺伝子領域を含め多くの特許を取得もしくは申請を主導しており、遺伝子領域において寄与してまいりました。 4月30日、楽天の三木谷社長はジェネシスヘルスケア社の社外取締役を辞任。楽天も「PCRキット販売代理を一時見合わせる」と発表した。 新型コロナウイルスの終息に一役買いたかった三木谷社長としては、内輪の「裏切り」ともいえる行為にはらわたが煮えくり返っているに違いないが、楽天のように信用度の高い企業が佐藤氏の素性を調べていなかったことは大失態だろう』、「三木谷社長」はトップダウン型の典型なので、部下も「素性を調べ」る気も起きなかったのだろう。これは、「三木谷社長」自らが招いた墓穴といえよう。
・『なぜ、外国医大卒のニセ医者が定期的に現れ、騙されるのか  いわゆる「ニセ医者」を騙る人物は過去にたくさん登場した。 ニセ医師は「出会い系サイト」や「健康診断アルバイト」や「結婚詐欺」といったステージでいつも暗躍している。近年では厚生労働省のホームページで名前を打ち込むと「資格検索」できるので医師を名乗り続けることは困難である。 しかし、この資格検索システムは日本の医師免許が対象で「外国の医師免許」は検索できず、今なお外国医大卒を名乗るニセ医者は後を絶たない。以下に、これまでの典型事例を紹介し、読者のみなさんに注意を促したい(カッコ内は、騒動が起きた年)。 ケース1:米田きよし氏、自称「カナダの小児救命救急医」(2011年) 外国人医師を名乗った詐欺事件でもっとも有名なのは、2011年の東日本大震災直後に現れた「米田きよし」氏である。「カナダの小児救命救急医、国境なき医師団メンバー」として、宮城県石巻市の避難所で250人以上を診察していた、と伝えられた。美談の医師である。 実際に診察をしており、その“評判”を聞きつけたテレビの情報番組「スッキリ」「ミヤネ屋」(日テレ系)が出演させ、同年8月10日にはなんと、あの格式高い朝日新聞「ひと」欄で「被災地で『ボランティアの専属医』を務める米田きよしさん」として紹介された。 だが、8月19日「医師法違反(医師名称使用)の疑い」で逮捕された。その後、朝日新聞は記事を撤回し、米田氏は「詐欺罪で実刑判決」の経歴があり、東日本大震災に関しても「助成金100万円」を受け取っていたことが報道された。 ケース2:森口尚史氏、自称「ハーバード大客員講師」(2012年) 2012年10月、iPS細胞研究で知られる山中伸弥教授のノーベル受賞で日本中がお祝いムードだった頃、「ハーバード大学客員講師」を名乗る森口尚史氏が「iPS細胞を使った世界初の心筋移植手術を実施」と発表し、読売新聞が一面トップで大々的に報じた。直後より、多方面からの疑義を受けて、その2日後に同新聞が記事を撤回した。 森口氏は医学部を志望して6年間浪人した後、東京医科歯科大医学部保健衛生学科(看護学専攻)に進学した。その後、医科歯科大修士課程から東大博士課程に進学し、博士号取得の後は東京大学医学部附属病院で特任研究員の職にあったが、この騒動で懲戒解雇された。 森口氏にとって、この虚偽発表による経済的メリットは考えにくく、医学研究者としてのキャリアは事実上断絶してしまった。動機については不明だが、自分で考えだした空想を信じ込んでしまう「空想虚言症」を指摘する意見もある。 ケース3:齋藤ウィリアム浩幸氏、自称「カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)卒医師、サイバーセキュリティ専門家」(2017年) 2010年代はじめ、齋藤氏は「日系2世としてカリフォルニア州に生まれ、UCLA医学部在学中にIT起業し、事業を米マイクロソフト社に売却」というプロフィールで紹介された。2013年に内閣府参与に就任し、驚くべきことに16年には紺綬褒章を受章した。日本航空の社外執行役員など有名企業の要職を歴任し、世界経済フォーラムや、BBCニュースなどでも活躍していた。 ところが、2017年に、「UCLA卒業者やカリフォルニア州医師リストに名前がない」などの経歴詐称疑惑が指摘され、内閣府参与や日本航空を辞職した。 ケース4:内藤理恵氏、自称「シンガポール医大卒の外科医、読者モデル」(2019年) この人は「シンガポール国立医大卒、アメリカの大学に留学し、現在は東大医科学研究所病院の外科医」と公表されていた。2015年頃から、女性ファッション誌「25ans(ヴァンサンカン)」読者モデルとして活躍し、いわゆる「港区セレブ女子」として芸能人や実業家が出席する多数のパーティーに参加していた。IT系の資産家男性と婚約・同棲し、SNSで「マラソン大会にボランティア医師として参加」などと発信していた。 だが、2019年8月に「携行する医師免許が偽造」だとして警視庁に被害届が出され、婚約も解消された、と報道された』、「外国医大卒のニセ医者が定期的に現れ」ていることに、改めて驚かされた。なかでも、「齋藤ウィリアム浩幸氏:は「2013年に内閣府参与に就任し、驚くべきことに16年には紺綬褒章を受章」、「紺綬褒章」も、性善説でやっているので、「経歴詐欺」などは露ほども疑わなかったのだるが、実にみっともない話だ。「日本の医師免許」については、「厚生労働省のホームページで名前を打ち込むと「資格検索」できるので医師を名乗り続けることは困難」、厚労省もたまにはいいことをやるものだ。
・『グーグル先生に聞けば、海外ニセ医者も見抜くことは可能  医師法第十八条には「医師でなければ、医師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない」と定められている。無資格者が医師を名乗ることは、単なる経歴詐称にはとどまらず犯罪として逮捕され処罰されるが、「外国の医師」詐称についての法律解釈は定まっていない。 現実に、「外国医大卒の医師」を確認するには、最も手っ取り早いのがネット検索だろう。「コーネル大の医師かどうか」を確認したいなら、姓を英語で入力し「○○○ cornell medical」と検索すればいい。実際に活躍している人材なら、何かしらの情報はヒットする。あるいは「遺伝子分野の研究者」を名乗るならば「google scholar」で「○○○ genetics(遺伝学)」を検索すれば、すぐに真偽の見当がつく。いずれも無料だ。 そもそも、日本の勤務医の労働環境は米国に比べて給与・労働時間とも著しく見劣りするので、「コーネル大やUCLA卒の米国の高給エリート医師が、わざわざ日本で働く」というストーリー自体が疑わしい。 今回の「佐藤バラン伊里氏」の騒動でつくづく残念に思うのは、日本の新興IT企業の旗手とされ、2012年に「英語公用語」宣言をしている楽天ですら、「英語で数分間ネット検索すればわかる」というレベルの経歴詐称を見抜けなかったことである。 新型コロナ騒動の終息が見えない現状では、今後、「怪しい診断薬や治療法を売り込む(自称)専門家」は出現するだろう。各社の担当者には、ぜひgoogle scholarなどで一度調べることをお勧めしたい』、「つくづく残念に思うのは、日本の新興IT企業の旗手とされ、2012年に「英語公用語」宣言をしている楽天ですら、「英語で数分間ネット検索すればわかる」というレベルの経歴詐称を見抜けなかったことである」、全く同感である。

第三に、6月4日付け東洋経済オンラインが中国の独立系メディアの財新 Biz&Techを転載した「アリババと京東「ライブコマース」強化の狙い 「618セール」の目玉に掲げて火花を散らす」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/353059
・『中国の電子商取引(EC)業界で、ライブコマース(訳注:生中継のネット動画による実演販売)が「コロナ後」の競争の主戦場になりつつある。5月25日、EC首位の阿里巴巴集団(アリババ)と同2位の京東集団(JDドットコム)がそれぞれ「618セール」(訳注:もともとは京東が創業記念日の6月18日に始めた大規模セール。現在は中国EC業界全体の上半期最大級のセールイベントとなっている)のマーケティング戦略を発表。激しく競合する両社が、そろってライブコマースを618セールの目玉に掲げた。 ライブコマースの草分けはアリババの消費者向けネット通販の「淘宝網」(タオバオ)だ。スタートから4年を経て、今やユーザーのトラフィックを集める有力ルートのひとつに成長している。アリババ副総裁の胡偉雄氏は、「618セールではライブコマースの販売規模だけでなく、(実演者と視聴者の)インタラクティブ性をより重視する」と意気込みを語った。 一方、京東は今年の618セールで初めてライブコマースを大展開する。芸能人やネットのインフルエンサーが実演販売する通常の形態はもちろん、ブランド企業のマネジャーや目利きのバイヤーなども招いてセール期間中に30万回を超える生中継を行う計画だ』、「中国の電子商取引(EC)業界で、ライブコマース・・・が「コロナ後」の競争の主戦場になりつつある」、「中国」での「618セール」はすっかり定着したようだ。
・『高い返品率や運営コストなどの課題も  両社がライブコマースを強化する背景には、新型コロナウイルスの流行期に打撃を受けた加盟店を鼓舞する狙いがある。「巣ごもり消費」はネット通販を通じた生活必需品の購入を押し上げた反面、アパレル、化粧品、大型家電などの分野では販売が大きく落ち込んでしまった。 そこで、ECプラットフォームのアリババや京東がライブコマースで618セールを大々的に盛り上げ、加盟店の販売促進を後押ししようという作戦だ。と同時に、自社のプラットフォームに対する加盟店のロイヤルティーを高め、コロナで減少した広告収入の回復につなげる目算もある。 もっとも、ライブコマースには有名ブランドの参画の少なさ、高い返品率、通常のネット販売に比べた運営コストの高さなどの課題もある。また、草分けのタオバオでも2019年のライブコマースの規模は2000億元(約3兆円)程度と、7兆元(約105兆円)を超える流通総額のなかではまだごく一部だ。それが618セールでどこまで伸びるか、目が離せない』、今後の展開を注目したい。

第四に、7月18日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したエミネンス合同会社代表パートナーの今枝昌宏氏による「「ZOZO離れ」に「アパ直」、企業の脱プラットフォームが進むワケ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/243281
・『アマゾン、楽天、ZOZO……今日の社会を生きる上でプラットフォームを利用しない人を見つけることは難しい。われわれの便利な生活を支えるプラットフォームだが、近頃、プラットフォームに参加していた事業者が離脱するニュースが相次いでいる。なぜ彼らはプラットフォームを離れるのか。背景にはプラットフォームの経年変化と、事業者が見据える新たなビジネスの活路があった。 プラットフォームがいかに有効なビジネスモデルかについて語られるようになってから久しい。顧客の存在が他の顧客を引き付ける効果を生み、プラットフォームの顧客はプラットフォームから離れられなくなる……はずであった。しかし最近、プラットフォームに参加していた事業者がプラットフォームを離脱し、自社で顧客接点機能を立ち上げるケースが相次いでいる。 ZOZOから離れていったユナイテッドアローズ(昨年ZOZOグループに委託していた自社ECサイトの開発・運営を自社主導に切り替えると発表。後に方針転換して再委託)、楽天トラベルなどのOTA (Online Travel Agency)から距離を置くアパホテルだけではない。コンビニ各社が、コンビニATMプラットフォームであるイーネットからセブン銀行やローソン銀行を設立して離脱したり、銀行側もコンビニでのATM使用に課金したりして自行で設置するATMへの誘導を強めている。Tポイントからは、三越伊勢丹やアルペン、ドトールコーヒーまでが離脱し、最大のアイコンであったヤフーもPayPayへとその機能を移行して、もはや見る影すら薄くなりつつある。 海外に目を移すと、さらに大胆な例が続出している。ヒルトンは、“Stop Clicking Around”というテレビCMキャンペーンを長期間わたって続けている。クリックするのをやめよう――つまり、プラットフォームではなくヒルトンのサイトで直接予約することを促すキャンペーンである。OTAを回避して直接予約した顧客を優遇しているのは、もはや古典的な例だ。ディズニーは、Netflixと決別して自社でディズニープラスを立ち上げた。昨年末にナイキがアマゾンでの販売を終了し自社オンラインサイトを通じた販売への切り替えを発表したのは、衝撃的ですらある』、「最近、プラットフォームに参加していた事業者がプラットフォームを離脱し、自社で顧客接点機能を立ち上げるケースが相次いでいる」、望ましい傾向だ。ただ、「ユナイテッドアローズが(昨年ZOZOグループに委託していた自社ECサイトの開発・運営を自社主導に切り替えると発表。後に方針転換して再委託」、というのは「自社ECサイトの開発・運営」が上手くいかなかったためなのだろうか。
・『なぜプラットフォームから大手企業が続々離脱しているのか  離脱する各社には、それぞれの事情があるだろう。しかし共通する大きな理由の1つは、言うまでもなく単純にプラットフォームによる課金負担が大きく、プラットフォームに参加している事業者はこれから逃れたいからだ。プラットフォームはデジタルな仕掛けだけを持ち、リアルな資産や人を抱えないだけでなく、在庫リスクや設備稼働のリスクなども一切抱えない。一方で、リスクを全て事業者に担わせる財務構造であるのに、平然と厚いマージンを要求してくる。コストダウンに血筋を上げるリアルなビジネスを行う事業者から見れば、10%程度のマージンであっても暴利と映るだろう。価格感応度が極めて高いネット上では、その10%をディスカウントに回せば、大きな集客力を持つことができる。 プラットフォームが従来自社がリーチできなかった顧客へのリーチを拡大し続け、機能的にもユーザーや参加事業者にとって便利な機能を次々追加している状況では、そのプラットフォームと付き合い続けることのメリットが大きい。もし事業者が自社サイトを構築しても、結局、顧客接点管理機能で規模や投資余力に勝るプラットフォームへの敗北を招いてしまう危険がある。しかし、プラットフォームによる集客速度や機能追加の速度に陰りが見え始めると、状況は変わる。 プラットフォームが使用しているテクノロジー自体は汎用的なものなので、明確な機能ビジョンさえあれば、顧客接点機能は自社でも十分構築可能で、離脱しても自社でやっていけると踏んでもおかしくない。事業者側から見れば、プラットフォームによる売り上げの増加や機能進化が止まっているのに、従来と同じマージンを払い続けなければならないというのはやるせないだろう。要するにネットワーク効果が絶大にみえたのは、成長という雪だるま式の好循環が強く働く局面を見ていたから。成長が一段落すると多くの人が考えていたほどのネットワーク効果は働かないということなのだ。 プラットフォームを通じた販売には、コーポレートブランディングとしても問題がある。顧客は、プラットフォームとの取引しか意識せず、結局は事業者にとって直接の顧客とはならない。顧客側の意識としても、事業者のブランド認知の前に、プラットフォームへの帰属意識が先に出てきてしまう可能性がある。多くの競合と一緒に並べられ、無残な比較コメントにさらされる形での販売を快しとする事業者はいないだろう。 プラットフォームからの離脱が進むもう1つの理由は、プラットフォーム間を比較したり、単純に情報を収集したりする比較サイトやまとめサイトなど、「プラットフォームのプラットフォーム」が出現してしまっているからでもある。トリバゴや価格ドットコム、Skyscanner、スマートニュース、Google Mapのような情報集約と比較のみを行うプラットフォーマーたちだ。 これらのプラットフォームは、既存プラットフォームとの二重課金を割けるため通常は広告のみに依存して無料であり、決済機能などは実装していない。そのため機能的に薄く軽いが、顧客との間に割って入ってしまうので、「従来のプラットフォーマー」としては疎ましい存在である。しかし、プラットフォームのプラットフォームが出現したことで、事業者としては既存のプラットフォームをスキップして自社サイトへ顧客を流入させる道筋が生まれた。事業者にとっては、これらのサイトの存在は顧客との関係維持を邪魔するものではあるが、既存プラットフォームを超えて顧客獲得のチャンスを広げてくれ、なにより既存プラットフォームから解放してくれる存在である』、「ネットワーク効果が絶大にみえたのは、成長という雪だるま式の好循環が強く働く局面を見ていたから。成長が一段落すると多くの人が考えていたほどのネットワーク効果は働かない」、「プラットフォームのプラットフォームが出現・・・事業者にとっては、これらのサイトの存在は顧客との関係維持を邪魔するものではあるが、既存プラットフォームを超えて顧客獲得のチャンスを広げてくれ、なにより既存プラットフォームから解放してくれる存在」、なるほど「プラットフォーム」離れが進むのも当然だ。
・『プラットフォームから事業者が離脱する最も本質的な理由とは?  しかし、これらにも増してプラットフォームから参加事業者が離脱していく最も本質的な理由がある。プラットフォームを介した取引では、顧客自身のプロファイルや行動、顧客による自社の製品・サービスの使用状況、使用にあたっての感想などについてのデータを収集することはできず、それらに基づいて顧客に個別プロモーションを行うことができなくなってしまっているということだ。顧客自身の情報のみならず、プラットフォームに参加する事業者が提供する製品やサービスの使用に関するデータや顧客からのフィードバックは、プラットフォーマーに独占されてしまうのである。 また、事業者が自身での顧客接点管理を行うことを重視し始めた背景として、デバイスがPCからスマホに置き換わり、顧客データ収集の可能性が増大していることがある。顧客のスマホにアプリとして入れてもらえば、常に顧客に密着していることが可能で、プッシュして情報を配信することも可能になる。顧客がどこを訪れているか、どこに住んでいるかなどを把握できるGPSや、誰と友達なのかがわかる友達リストや電話帳などのデータベース、顧客の活動状況を把握できる加速度センサ、さらにカメラやマイクまでもが顧客の許しさえあればすぐに手を出せるところにあるのだ。 顧客と直接のコンタクトを確立することにより、顧客ごとのプライシング(価格設定)が可能になるだけでなく、イベントに選択的に招待するといった個別プロモーションが可能になる。さらには顧客の置かれた場面を切り取ったようなプロモーションもスマホにより可能になる。このように増大した顧客コンタクトの機会をプラットフォーマーに独占させるわけにはいかないのである。 実際のサービス提供において直接顧客と接する機会がある事業は事業者側が顧客の属性や嗜好(しこう)、行動の情報を収集する機会は大きい。しかし、Netflixのように顧客の消費行動がプラットフォーム上で行われると、全ての顧客による使用データはプラットフォームに蓄積してしまう。 Netflixは、どの顧客がどのような種類の映画を見る傾向にあるのかを知っているだけでなく、どのような場面にくぎ付けになり、どのような場面で視聴を停止して離脱しやすいのかという情報をつぶさに把握している。さらに、Netflixはその情報を基にして、自身でも映画の制作に乗り出して、アカデミー賞までもさらっていってしまっているのである。これは、フィルムスタジオ側からは、特に許せない存在に映るだろう。アパレルであっても、顧客からの使用感のフィードバックや、どの顧客がどのようなプロモーションに反応するのかという情報があるのとないのでは、今後の製品づくりや売り方に大きな差が出るのは間違いない』、「顧客のスマホにアプリとして入れてもらえば、常に顧客に密着していることが可能で、プッシュして情報を配信することも可能」、「増大した顧客コンタクトの機会をプラットフォーマーに独占させるわけにはいかない」、確かに「プラットフォームから事業者が離脱する最も本質的な理由」のようだ。
・『業界リーダーのプラットフォーム離脱は「リアルの世界」でも起こっていた  少なくとも今のところは、プラットフォームを離脱しているのは、プラットフォーム企業と比較して遜色ないような大企業、大ブランドに限定されている。もちろん今後、プラットフォームからの事業者の離脱が相次げば、プラットフォームの力が低下して、さらなる離脱が加速するという負のスパイラルに陥る可能性はある。しかし、小さな事業者にとっては、自身で集客したり、プラットフォームが担っていた機能を構築したりすることの負担は相当に大きい。プラットフォームに依存し続けざるを得ないのは今後も変わらないだろう。そうだとすると、プラットフォームは、少なくとも小さな事業者の集まりとして今後も存在し続ける。 今後は、大手事業者においてはプラットフォームからの離脱と垂直統合によりプラットフォームに支払っていたマージンがなくなる分、アパのようになくなったマージン分を原資とした最低額保証を行うことにより商品の価格が低下する状況が続いていく。そうなるとプラットフォーム側は大量仕入れや稼働保証などによる低価格の追求を余儀なくされる。加えて、アマゾンによるプライベート・ブランドの増加やNetflixによる映画制作のようなファクトリー活動への進出が続き、結局プラットフォーム側も垂直統合に向かっていく。 実は、このような産業構造の進化は、ネットの世界に限ったものではない。花王や大正製薬のような業界リーダーが卸機能を自社で持つように、市場シェアが高いほど垂直統合性を上げている現象や、パナソニックやLIXILなどのメーカー自身によるショールーム展開に対抗して、伝統的なショールームオペレーターであるサンゲツが小規模メーカー買収策に出ているように、時間とともに産業が少数の垂直的な関係に整理されてしまう現象は今までのリアル世界でも生じていることなのだ。 結局、ネットワーク効果といわれていたものは、産業バリューチェーンにオンライン顧客接点管理という新しい機能が立ち上がる初期に見ることができた幻影であり、全てはインターネット登場以前からある産業構造進化のダイナミズムで説明できてしまうものかもしれない』、最後の部分の深い考察は刺激的だ。
・『プラットフォームVS事業者の戦い IoTや自動運転などの制御がカギになるか  アマゾンは、EC機能だけでは最終的な優位を確立できないことを最初から予想していたと思わせるフシがある。倉庫オペレーションを重視し、配送にまで進出するなど、一貫して入荷から配送まで全てのプロセスを補うフルフィルメント機能への投資を継続してきたからだ。ウェブのオペレーションは初期的には重要であるものの、結局は規模の経済が強烈に効く「リアルの機能」を握った者が勝てると考えていたのだろう。 しかし、ここには収穫逓減が働いてしまう。つまり、競合相手がそこそこの規模に達すれば、規模による優位性には限界が生じてしまう。味の素やヤマザキが自社物流に任せて市場支配を試みても、キユーソーやコンビニ物流のような代替手段が現れて思うように市場を独占できないように、結局は配送機能をもってしても決定的な支配に持ち込めない悩みに陥っていくのではないだろうか。そこでは、勝負はつかない。ナイキの離脱は、それを象徴している。 今後の戦いは、単純なネットワーク効果の発現を超えて、Netflixが行っているような顧客行動の分析やそれを使った製品・サービスの改良など、プラットフォーム機能を使った産業バリューチェーン全体の改良に移行していく。5Gをきっかけとしてメーカーや設備オペレーターは、製品やサービスとIoTで接続し、自動運転など製品・サービスの制御に関与できるためこの戦いを有利に進められるようにみえる。しかし、製品・サービスを超えた情報統合や顧客軸での情報統合には反対に弱い面があり、誰が支配的な顧客接点を構築し、それを競争優位に結び付けていくのかは、予断を許さない。 少なくとも言えることは、冷静な状況把握を常に行って、デジタルの顧客接点管理を的確に進化させなければ、産業バリューチェーンから退場を迫られるか、そうでなくても顧客接点に君臨する企業に従属し、成長できないプレーヤーに堕してしまいかねないということである』、「アマゾンは、EC機能だけでは最終的な優位を確立できないことを最初から予想していたと思わせるフシがある・・・一貫して入荷から配送まで全てのプロセスを補うフルフィルメント機能への投資を継続してきた」、「しかし、ここには収穫逓減が働いてしまう。つまり、競合相手がそこそこの規模に達すれば、規模による優位性には限界が生じてしまう・・・結局は配送機能をもってしても決定的な支配に持ち込めない悩みに陥っていく」、「冷静な状況把握を常に行って、デジタルの顧客接点管理を的確に進化させなければ、産業バリューチェーンから退場を迫られるか、そうでなくても顧客接点に君臨する企業に従属し、成長できないプレーヤーに堕してしまいかねない」、非常に深い分析だ。「プラットフォームVS事業者の戦い」、を今後も注目していきたい。
タグ:EC 東洋経済オンライン 週刊文春 ダイヤモンド・オンライン PRESIDENT ONLINE 三木谷浩史社長 (電子商取引) ライブコマース 財新 Biz&Tech (その6)(北米発「アマゾンキラー」がいま楽天と組む真意 コロナで浮き彫り 「アマゾン依存」のリスク、「楽天PCRキット販売中止」に学ぶ、ニセ医者を見抜くシンプルな方法 「海外の名門」に弱い日本人、アリババと京東「ライブコマース」強化の狙い 「618セール」の目玉に掲げて火花を散らす、「ZOZO離れ」に「アパ直」 企業の脱プラットフォームが進むワケ) 「北米発「アマゾンキラー」がいま楽天と組む真意 コロナで浮き彫り、「アマゾン依存」のリスク」 カナダのShopify(ショッピファイ)が4月7日、楽天のマーケットプレイスである「楽天市場」とのシステム連携を発表 マーケットプレイスだけが欠けていた ショッピファイを利用するEC事業者は総じて、自分たちのブランドイメージを重視 ショッピファイは、小さな事業者がブランドをつくる力を信じるという経営哲学を持ち、楽天は出店者とともに成長していくことをミッションに掲げる。どちらもEC事業者を支援する点で共通している 当面は楽天との連携に注力 外出自粛で編み物やパズルが売れている オンラインシフトを小売店が実現するには、マーケットプレイスやプラットフォームの存在が不可欠だ 「アマゾン一強」は続かない? 「販売チャネル」の「多様化」 筒井 冨美 「「楽天PCRキット販売中止」に学ぶ、ニセ医者を見抜くシンプルな方法 「海外の名門」に弱い日本人」 楽天は「新型コロナウイルスPCR検査キット」の販売中止を発表 楽天「新型コロナPCR検査キット」販売見合わせのウラに経歴詐称疑惑 「日本復活計画」として「5000万人コロナPCR検査」 「ジェネシスヘルスケア社」 佐藤バラン伊里氏が夫と共同起業したバイオ系ベンチャー企業 三井物産や楽天が同社に出資し、三木谷氏が社外取締役に就任 「楽天PCR検査キット計画“女医代表”に経歴詐称の過去」 「才色兼備の米国心臓外科医」 佐藤芹香と同一人物 「遺伝子ダイエット カリスマ女医『ニセ医者疑惑』」 コーネル大医学部に佐藤氏の旧姓を含めて考えられうるすべての氏名を照会した。すると、「当該人物は我が大学の在校生でも卒業生でもない。MD(医師免許)も保有していない」(コーネル大・記録課)という驚くべき答え 「ニセ医者騒動の佐藤芹香と同一人物」という噂が医師の中で広がった 「日本語が母国語でない事から、事実確認が不十分だった」 なぜ、外国医大卒のニセ医者が定期的に現れ、騙されるのか 厚生労働省のホームページで名前を打ち込むと「資格検索」できるので医師を名乗り続けることは困難 日本の医師免許が対象 ケース1:米田きよし氏、自称「カナダの小児救命救急医」 ケース2:森口尚史氏、自称「ハーバード大客員講師」 ケース3:齋藤ウィリアム浩幸氏、自称「カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)卒医師、サイバーセキュリティ専門家」 ケース4:内藤理恵氏、自称「シンガポール医大卒の外科医、読者モデル」 2013年に内閣府参与に就任し、驚くべきことに16年には紺綬褒章を受章 グーグル先生に聞けば、海外ニセ医者も見抜くことは可能 つくづく残念に思うのは、日本の新興IT企業の旗手とされ、2012年に「英語公用語」宣言をしている楽天ですら、「英語で数分間ネット検索すればわかる」というレベルの経歴詐称を見抜けなかったことである 「アリババと京東「ライブコマース」強化の狙い 「618セール」の目玉に掲げて火花を散らす」 「コロナ後」の競争の主戦場になりつつある 高い返品率や運営コストなどの課題も 今枝昌宏 「「ZOZO離れ」に「アパ直」、企業の脱プラットフォームが進むワケ」 最近、プラットフォームに参加していた事業者がプラットフォームを離脱し、自社で顧客接点機能を立ち上げるケースが相次いでいる なぜプラットフォームから大手企業が続々離脱しているのか ネットワーク効果が絶大にみえたのは、成長という雪だるま式の好循環が強く働く局面を見ていたから。成長が一段落すると多くの人が考えていたほどのネットワーク効果は働かない プラットフォームのプラットフォームが出現・・・事業者にとっては、これらのサイトの存在は顧客との関係維持を邪魔するものではあるが、既存プラットフォームを超えて顧客獲得のチャンスを広げてくれ、なにより既存プラットフォームから解放してくれる存在 プラットフォームから事業者が離脱する最も本質的な理由とは? 顧客のスマホにアプリとして入れてもらえば、常に顧客に密着していることが可能で、プッシュして情報を配信することも可能 増大した顧客コンタクトの機会をプラットフォーマーに独占させるわけにはいかない 業界リーダーのプラットフォーム離脱は「リアルの世界」でも起こっていた ネットワーク効果といわれていたものは、産業バリューチェーンにオンライン顧客接点管理という新しい機能が立ち上がる初期に見ることができた幻影であり、全てはインターネット登場以前からある産業構造進化のダイナミズムで説明できてしまうものかもしれない プラットフォームVS事業者の戦い アマゾンは、EC機能だけでは最終的な優位を確立できないことを最初から予想していたと思わせるフシがある 一貫して入荷から配送まで全てのプロセスを補うフルフィルメント機能への投資を継続してきた しかし、ここには収穫逓減が働いてしまう。つまり、競合相手がそこそこの規模に達すれば、規模による優位性には限界が生じてしまう 結局は配送機能をもってしても決定的な支配に持ち込めない悩みに陥っていく 冷静な状況把握を常に行って、デジタルの顧客接点管理を的確に進化させなければ、産業バリューチェーンから退場を迫られるか、そうでなくても顧客接点に君臨する企業に従属し、成長できないプレーヤーに堕してしまいかねない
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トランプ大統領(その47)(大前研一「なぜトランプ大統領の再選は、絶望的になったか」 11月選挙までの注目は副大統領候補、米民主主義の危機 大統領選で敗北してもトランプは辞めない、超法規の政府職員を動員してデモ制圧に乗り出したトランプ、小田嶋 氏:「中二病」という都民の宿痾) [世界情勢]

トランプ大統領については、6月20日に取上げた。今日は、(その47)(大前研一「なぜトランプ大統領の再選は、絶望的になったか」 11月選挙までの注目は副大統領候補、米民主主義の危機 大統領選で敗北してもトランプは辞めない、超法規の政府職員を動員してデモ制圧に乗り出したトランプ、小田嶋 氏:「中二病」という都民の宿痾)である。

先ずは、7月19日付けプレジデント 2020年7月31日号が掲載したビジネス・ブレークスルー大学学長の大前 研一氏による「大前研一「なぜトランプ大統領の再選は、絶望的になったか」 11月選挙までの注目は副大統領候補」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/36896
・『トランプ大統領の再選はなぜ絶望的になったか  米中西部のミネソタ州ミネアポリスで、アフリカ系黒人男性ジョージ・フロイド氏(46歳)が白人警官の暴力によって死亡する事件が起きた。フロイド氏は偽造紙幣でタバコを購入しようとした疑いで街中で拘束され、地面に組み伏せた警察官の膝で約9分間も首を圧迫され続け死亡したのだ。事件の一部始終を撮影した動画がネットにアップされたこともあって、人種差別と黒人に対する警察の暴力を非難する声が瞬く間に全米に広がり、各地で大規模な抗議活動が行われ、さらには世界的な人種差別反対運動へと発展した。 警察の暴力行為によって黒人が死亡する事件は、アメリカでは後を絶たない。そのたびに世論は沸騰し、抗議集会やデモが繰り返されてきた。新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)と、それによる不況下で起きている今回の抗議活動は、規模や国際的な広がりにおいて過去のそれとは異なった印象を受ける。しかし、何よりも異様さが際立つのは、トランプ大統領の言動である。 私は2016年の大統領選挙以来、時々刻々、リーダーとしての資質に疑問を呈してきたが、今回の抗議活動に対するトランプ大統領の言動は「異様」を通り越して「異常」としか思えない。統治者としてあり得ない判断ミスを犯したと思う。 抗議運動の初期には略奪や破壊行為も起きたし、一部で夜間外出禁止令も発令された。しかし、地面に片膝をついてただじっと人種差別への抗議を示すなど、ほとんどの抗議デモは平和的に行われてきた。にもかかわらず、トランプ大統領は暴徒化した一部のデモ参加者を「国内テロ」と非難し、「無政府主義者がデモを過激化させている」と主張した。各州の知事に対して十分な州兵を投入して「抗議デモを制圧せよ」と呼びかけ、応じない場合には、「全土に連邦軍の派遣も辞さない」と警告、実際に首都ワシントン近郊に陸軍の憲兵部隊を待機させたのだ』、「トランプ大統領の言動は「異様」を通り越して「異常」としか思えない」、同感である。
・『共和党にもバイデン支持者が増え始めている  連邦軍の投入には野党民主党ばかりか、与党共和党や国防総省内からも反対の声が上がった。ホワイトハウスでも、マーク・エスパー国防長官と米軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長が米軍の動員に異を唱えて説得に当たった結果、大統領は何とか思いとどまったという。 トランプ大統領は「法と秩序」というフレーズを好んで使うが、デモ鎮圧に強硬姿勢を示す最大無二の理由は、20年11月の大統領選挙に向けて己を「法と秩序の大統領」「秩序の回復者」とアピールするためだ。抗議デモの最中、ホワイトハウスからほど近いセント・ジョンズ教会にわざわざ徒歩で出向いて、教会前で聖書片手にメディアの撮影に応じたのも、「福音派」と呼ばれる自らの支持基盤の宗教保守派にアピールする狙いがあったと言われる。 このとき平和的に抗議活動していた人々を催涙ガスやゴム弾で強制排除していて、迷彩服を着て教会に同行したミリー統合参謀本部議長は「私があの場にいたことは国内政治への軍の関与という認識をつくり上げてしまった」と、自らの行動を悔いて謝罪した。 米軍は一貫して政治的中立を保つことで世界最大の民主主義国家の守護神として国民の信頼を得てきた。ところが、軍の最高司令官であるトランプ大統領は、「再選」という自らの野望のために米軍さえも政治利用しようとした。米軍と国民の信頼関係さえも平気で分断しようとしたのである。 国民に銃口を向けることをためらって最高司令官の命令に従わなければ、軍のシビリアンコントロールは崩壊する。かといって命令に従って平和的な抗議デモを力で鎮圧すれば、アメリカが非難してやまない天安門事件の再現である。どちらに転んでも分断の傷口は広がって、米国の民主主義は存続の危機に立たされることになるのだ。 トランプ政権は発足以来、閣僚や高官の解任や辞任が相次いで、発足3年半にして閣僚クラスが2回転以上も入れ替わっているという。それだけ愛想を尽かして政権を離れた人が多いわけで、ジョン・ボルトン元大統領補佐官のように暴露本を出版する人も出てくる。シリア駐留米軍の撤退に抗議して辞任したジェームズ・マティス前国防長官(退役海兵隊大将)も、抗議デモをめぐるトランプ大統領の一連の言動を痛烈に批判している。 「アメリカ軍のすべての将兵は、アメリカ国民をアメリカの敵から守るために命を投げ出すことになっても戦うことを憲法上誓約している。そのようなアメリカ軍を憲法上の権利を擁護しようと抗議運動に参加している国民に差し向けるとは何事か!」「トランプ氏は私の人生でアメリカ国民を1つにまとめようとしない、あるいは団結させようと見せかけもしない、それどころかアメリカ国民を分断させようとしている初めての大統領だ」 民主党のオバマ前大統領、クリントン元大統領、カーター元大統領など歴代の大統領からも政権批判が相次ぎ、オバマ前大統領は「本当の変化には抗議だけではなく、政治も必要。変化をもたらす候補者を確実に当選させるように組織化していかなければいけない」と訴えた。 大統領経験者が現職リーダーを正面切って批判するのは異例だが、同じ共和党内でもジョージ・W・ブッシュ元大統領やミット・ロムニー上院議員らが、20年11月の大統領選挙でトランプ大統領の再選を支持しないと表明した。同じ共和党重鎮のコリン・パウエル元国務長官も、トランプ大統領の抗議行動への対応は「憲法から逸脱している」と厳しく批判し、大統領選挙では民主党のジョー・バイデン前副大統領を支持すると言い切った。 また、歌手のテイラー・スウィフト氏も「就任以来、白人優位主義と人種差別の火をたきつけてきた」とトランプ大統領を批判、「11月に投票によってあなたを退陣させる」とツイートした。彼女のツイッターのフォロワーは8600万人。影響は決して小さくないだろう。 アメリカの新型コロナウイルスの感染者数は250万人を超え、死者数は12万人を超えた(20年6月29日現在)。トランプ大統領は事態を軽視して初動を誤ったとの批判もあるし、感染対策をめぐるニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事とのバトルではポイントを失った。ただし、誰が大統領でも感染拡大を防げなかったという見方もある。従って、トランプ離れ、反トランプの流れを加速した最大の理由は、やはり暴行死事件や抗議デモに対する自身の常軌を逸した言動なのだ』、「アメリカ軍のすべての将兵は、アメリカ国民をアメリカの敵から守るために命を投げ出すことになっても戦うことを憲法上誓約している。そのようなアメリカ軍を憲法上の権利を擁護しようと抗議運動に参加している国民に差し向けるとは何事か!」、との「マティス前国防長官」の批判は強烈だ。「トランプ離れ、反トランプの流れを加速した最大の理由は、やはり暴行死事件や抗議デモに対する自身の常軌を逸した言動なのだ」、「大前」氏の見立てはその通りなのだろう。
・『アメリカで注目を集めるのは副大統領候補  大統領選挙の世論調査を見ると、20年3月くらいまではトランプ大統領と民主党のバイデン氏の支持率は拮抗していたが、20年5月に入ってバイデン氏が完全にリードした。米国内のあらゆる世論調査でバイデン氏が優位に立ち、州別の分析でもトランプ大統領が有利な州は1つもなくなった。 先の大統領選挙でトランプ大統領の誕生を後押ししたプアホワイト(白人の低所得者層)にしても、この3年半でトランプ大統領に救われたわけではない。むしろ、コロナ不況でアメリカの失業率は急上昇して、プアホワイトの生活はより苦しくなっている。トランプ大統領は20年5月の失業率が改善したことを「アメリカ史上最大の復活」と臆面もなく自画自賛したが、20年5月の失業率は依然として10%オーバーの高水準。このまま大統領選挙に突入する公算が高いが、高失業率を改善できなかった「失業大統領」が勝ったことは、これまで1度もない。 一方、民主党のバイデン氏は、オバマ政権の副大統領として知名度はあるが、失言癖やセクハラ疑惑、外国企業をめぐる息子の汚職疑惑など、すねの傷もある。バイデン氏の場合に注目されるのは、当人のリーダーとしての資質よりも、副大統領候補に誰を指名するかだ。バイデン氏は「女性を選ぶ」と明言しているが、民主党にはカマラ・ハリス上院議員、エリザベス・ウォーレン上院議員など弁の立つ女性が揃っている。77歳というバイデン氏の年齢からすれば、指名された副大統領は、次の大統領の有力候補になるのだ。 トランプ陣営の副大統領候補はこのままいけばマイク・ペンス副大統領になるだろうが、こちらはまったくキャラが立たない。トランプ大統領は自分には手に負えないとばかりにペンス副大統領を新型コロナ担当に任命したが、存在感はちっともない。当然、再選の助けにもならない。 トランプ大統領が約3カ月半ぶりに開いた選挙集会は、空席ばかりが目立った。逆風に吹きさらされる中、「トランプ大統領は常にうまくいかない事業を投げ出してきた。今回の大統領選挙も共和党大会までに投げ出すのでは」という見方をする人さえ出てきている。 帽子から鳩が飛び出すようなマジックでも披露しない限り、状況は反転しそうにない。側近を身内で固めたトランプ再選の目は、限りなく厳しいと見る』、「バイデン氏」はあと1つパンチに欠けるが、強力な「副大統領候補」を立てて、勝利してもらいたいものだ。

次に、7月21日付けNewsweek日本版「米民主主義の危機 大統領選で敗北してもトランプは辞めない」との驚きのニュースを紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/07/post-94012_1.php
・『<大統領選挙で負けたら辞めるか、という質問に「単純にイエスとは言えない」「不正が行われるかもしれない」と、このまま居座る気満々。コロナ対策の郵便投票を不正の温床と批判しているのも、辞めないための狡猾な伏線だ> ドナルド・トランプ大統領が11月の大統領選で負けても辞めない可能性を考えて、米国民は備えをしておかなければならない――反トランプを掲げる非営利団体「スタンドアップ・アメリカ」はこう訴えている。 トランプは7月19日に放送されたFOXニュースのインタビューの中で、選挙に敗れたらどうするかという度重なる質問に、はっきりと答えなかった。草の根運動を展開する同団体はこれを受け、トランプは「アメリカの民主主義を脅かす」存在だと非難している。 トランプは選挙結果を受け入れるかという問いに対し、単純にイエスとは言えない」と答えた。「選挙で不正が行われれば辞めない」などと最後まで言い逃れを続けた。 スタンドアップ・アメリカはトランプのこうした発言について、票が投じられる前から、有権者の間に投票結果に対する疑念を植えつける「狡猾な」やり方だと批判している。11月の大統領選に関する各種世論調査では現在、民主党の指名獲得を確実にしているジョー・バイデンが優勢となっている。 トランプは(コロナ禍の影響で)急増している郵便投票について、本選の結果の正当性を損なうことになると証拠もなく繰り返し主張。「外国政府が数百万枚の郵便投票用紙を偽造して、一大スキャンダルになる!」などと根拠のない主張を行ってきた』、民主主義の根幹をなす選挙制度に対して公然と挑戦しているようだ。
・『2024年以降も居座る  トランプは2016年の大統領選についても、自分が一般投票で(クリントンに)負けたのは「何百万もの」不正投票があったせいだと主張したが、実際に不正投票があったことを示唆する証拠は出ていない。また米大統領は2期までという任期制限があるが、トランプは2期を超えて大統領の座にとどまる可能性も示唆しており、ツイッターに(2期目が終わる)2024年以降の4年毎の選挙スローガンを掲げる映像や、「トランプ2188」「トランプ9000」「トランプ4Eva(フォーエバー)」などの言葉を投稿している。 スタンドアップ・アメリカのショーン・エルドリッジ創業者兼社長は声明を発表し、トランプが選挙結果を受け入れるかどうか明言を拒んだことは、彼が「法の秩序をまったく尊重していない」ことを示していると批判した。 「トランプはこの5年間、外国政府に干渉をそそのかしたり、有権者の不正について根拠のない主張をしたり、2016年の選挙結果について嘘をついたりして、この国の選挙を台無しにしようとしてきた。アメリカ国民は、トランプが負けを認めることを拒んだ場合に備えるべきだ。我々はそれに立ち向かう備えをしておくつもりだ」 スタンドアップ・アメリカは6月に、同じく草の根運動を展開する組織「インディビジブル」と共同で「プロテクト・ザ・リザルツ(結果を守れ)」運動を立ち上げた。トランプが選挙結果の受け入れを拒んだ場合、あるいは結果が確定していないのに勝利を宣言しようとした場合に行動を起こすために、「何百万人ものアメリカ人」のネットワークを築くことが目的だ。 「嫌な予感がしている。トランプは過去3年半、この国の民主主義を弱体化させ、制度化された規範を無視してきた」と、インディビジブルのエズラ・レビン共同事務局長は言う。「彼は11月3日の投票後にも、それと同じことをしようとしている」 トランプが選挙結果の受け入れについて明言しなかったことについては、米議員の間からの批判の声が上がっている。大統領選に向けて民主党から立候補を表明し、3月に選挙戦を撤退したエイミー・クロブチャー上院議員は、「(投票結果が尊重されるから)私たちは投票するのであり......議会と憲法があるのだ」とツイッターに投稿。「私たちは独裁体制下に暮らしている訳ではない」と主張した』、「「プロテクト・ザ・リザルツ(結果を守れ)」運動を立ち上げた」、万が一、落選後も居座ろうとした場合、一体、どうするのだろう。
・『「公正な選挙ならトランプが勝つ」  ニュージャージー州選出のビル・パスクレル下院議員(民主党)は、こう述べた。「トランプだけではない。共和党の上院議員と下院議員あわせて248人のうち圧倒的多数が(弾劾裁判で)トランプを罷免せずに彼の権威主義を支持する票を投じた。共和党の指導部は、民主主義が自分たちの支配への脅威だと考えているからだ」 トランプ陣営の広報担当者であるティム・マートーは本誌への回答の中で、次のように述べた。「本人の希望に関係なく全ての登録有権者に投票用紙を郵送するなど、選挙を完全なものではなくそうとするのが、今や民主党の目標となっている。彼らは偽造投票への道を開こうとしている。郵便投票では、ニューヨークやニュージャージーなどで問題が起きている。死んだネコに投票用紙が送られた例もある」 マートーはさらにこう続けた。「こうした背景を考えると、ペテンの王様である民主党が11月に向けて何をしようとするか、分かったものではない。確かなのは、自由で公正な選挙では、トランプ大統領が勝利するということだ」』、「トランプ陣営の広報担当者」らしい主張だ。

第三に、7月21日付けNewsweek日本版が掲載した在米作家の冷泉彰彦氏による「超法規の政府職員を動員してデモ制圧に乗り出したトランプ」を紹介しよう。これも驚きのニュースだ。
https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2020/07/post-1177_1.php
・『<デモ隊を制圧した謎の「迷彩服集団」は、国土安全保障省が組織した政府職員のグループであることが判明> 今年5月末にBLM(Black Lives Matter)の運動が全国に拡大したなかで、トランプ大統領はデモ隊を敵視して、実力行使を宣言してきました。自分は「法と秩序を実現する大統領」だとして、デモ隊のもたらす無秩序を制圧するのが任務だというのです。 例えば、6月1日には、ワシントンDCにおける平和的デモを敵視して、正規軍の投入を示唆しましたが、この時にはエスパー国防長官が拒否しています。ちなみに、トランプの忠臣と思われていたエスパー長官は、この一件で大統領の不興を買ってクビになるという観測がありましたが、結果的に更迭はされませんでした。 その理由としては、連邦の正規軍が自国市民に銃口を向けることへの「拒絶」は「軍の総意」だったから、という見方があります。ですが、トランプはその後も、連邦政府としての実力行使によってデモ隊を制圧する構想を何度も口にしていました。 例えば、6月8日にワシントン州シアトル市の「キャピトル・ヒル」地区がデモ隊によって占拠され「解放区」となった際に、大統領は軍の投入による制圧を何度も匂わせましたが、そのたびにインスリー知事やダーカン市長などの強い拒絶にあっています。この占拠については、域内で発生した銃撃事件を契機に、シアトル市警が整然とした排除行動を行い、占拠側も順次退去したことで7月1日に終了しています。 大統領としては結果的に連邦政府としての介入のチャンスを失ったわけですが、それでも諦めていなかったようです。その後、7月17日になって、大統領は予想外の形で介入を始めたのです』、「トランプ大統領は・・・「法と秩序を実現する大統領」だとして、デモ隊のもたらす無秩序を制圧するのが任務だというのです」、「連邦の正規軍」投入が拒否されても、代替策を探っていたようだ。
・『ポートランドに出現した謎の集団とは  場所は、シアトルから南に3時間ほど走ったオレゴン州のポートランド市。ここも、リベラルなカルチャーの強い地区で、俗に言う「アンティファ(Anti-Fa、反ファシズムの略)」の拠点だと思われている街です。その「アンティファ」というのは、トランプが「テロ団体指定」をしているのですが、実際は組織ではなく、反ファシズムをスローガンに掲げた一種の文化運動のようなものですが、確かにポートランドはそうした運動が盛んな街に違いはありません。 ちなみに、「アンティファ」というのは、このポートランドで行われた右派の集会に対する「カウンター行動」として登場したのが契機と言われています。そのポートランドでは、5月以来「BLM」のデモは断続的に続いていました。トランプはこれを標的として動き始めたのです。 具体的には、迷彩服を着た謎の集団がデモ隊に襲いかかり、リーダー格の人間を一方的に拘束するという活動です。その迷彩服ですが、組織を示すエンブレムもないし、階級・氏名などを明示した正式な制服ではなく、謎に包まれた存在でした。ですが、その実体は「国土安全保障省(ホームランド・セキュリティ)」の職員ということが分かりました。 この行動に対して、オレゴン州のブラウン知事、ポートランドのウィーラー市長、そしてポートランド市警などは一斉に激怒しています。というのは、国土安全保障省がこのような形で、実力行使をするとか、捜査権を使ったり逮捕拘禁を執行したりという法律はないからです。つまり超法規的な私兵として、謎の迷彩服集団を投入してデモ隊に暴力を加えているということになります。 連邦議会でもこの超法規的な暴力集団については問題になっているのですが、調子に乗った大統領は、「民主党の地方政治が治安を悪化させている都市には順次投入する」と息巻いており、とりあえずシカゴ、ニューヨーク、フィラデルフィアなどに活動範囲を拡大すると言っています。 左右対立を煽って一緒に「敵」を叩くことで、支持者を喜ばせ、投票所に行かせるという行動を続け、政治的勢いをキープするのは大統領にとって常套手段です。そんなトランプ大統領としては、この「迷彩服集団」によってデモ隊を挑発し、暴力行為に駆り立てながら徹底的に叩くという図式を作りたいようです。 ですが、最悪の場合は地元警察が武装してデモ隊を守る構図も予想され、かえって自分の首を絞める危険もあります。何しろ根拠法のない暴力行為というわけですから、落選して退任した後には刑事責任を問われる可能性も十分にあるのです。 一連の「マスク着用拒否戦術」が、あまりに深刻な南部・中西部の感染拡大のために崩れた今、このような乱暴な手段でしか「対立を煽る」という「いつもの手段」を形にできない、大統領はそんなところまで追い詰められているのかもしれません』、「超法規的な私兵として、謎の迷彩服集団を投入してデモ隊に暴力を加えている」、法治国家でこんなことが行われたというのは信じ難い。「落選して退任した後には刑事責任を問われる可能性も十分にある」、当然のことだ。

第四に、7月3日付け日経ビジネスオンラインが掲載したコラムニストの小田嶋 隆氏による「「中二病」という都民の宿痾」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00116/00077/?P=1
・『昨年の夏に、Spotify(スポティファイ)という音楽配信サービスに会員登録した。実は、それ以前に、似たような会員制の配信サービスであるApple MusicとAmazon Musicに加入している。サービス内容がカブっていることは、承知している。ただ、いくつかのコンテンツやアーティストについては、サービス運営会社ごとに若干の異同があって、現状では、すべてを聴くためには、3つのサービスを網羅せねばならなかったりするのだ。なので、90%以上のコンテンツに関して、まったく同じ楽曲をカバーしているほぼ同一内容の3つの配信サービスを、重複して利用している。 無駄といえば無駄ではある。 でも、不思議ななりゆきではあるのだが、どうやら、私は、こと音楽に対しては、積極的に無駄遣いをしたいみたいなのだ。 事実、10代の頃から、この分野にはずっと不毛な投資を繰り返してきた。 アナログで揃えたコレクションを、CDで買い直しただけでは飽き足らず、目新しいリミックスが出たり、ボックスセットが発売されたりする度に、何度でも買い足してきた。そうした献身の果てに、私という人格が形成されている。 音楽が私を作ったというのは、さすがに言いすぎなのだろうが、無駄遣いが私を作った部分は、少なからずあると思っている。投資は、それが無駄で見返りのない蕩尽であればあるほど、カネを費やした当人を向上させる。私はそう思っている。なぜそう思うかというと、そうでないと計算が合わないからだ。 CDであれ楽曲ファイルであれストリーミングコンテンツであれ、鳴っている音楽に大きな違いはない。リミックスの方向性や味付けが多少違っていたところで、結果として出てくる音はほぼ同じだ。それに、私のオーディオ環境は、微妙なリミックスの差を再現できるような高級なブツではない。私自身の聴力も、長年のカナル型イヤホンによる酷使のせいなのか、同年配の人々のそれよりは明らかに早期劣化している。 それでも、音楽への投資はやめられない。 おそらく、私は、音楽自体を求めているのではない。 からくりとしては、音楽にカネを使ったという実感が、私に心理的な報酬をもたらす……という回路が形成されているのだと思う。 まるで実験室の中の、薬物の出るスイッチを押すネズミだ。 あるいは、資本主義の世界で暮らす人間である私たちは、貨幣を使うことによってしか満足を得られない主体として条件づけられているということなのかもしれない。 原稿を書く時は、そのSpotifyの「お気に入り」にマークアップした楽曲を、ランダム設定で流すことにしている。 で、さきほど、意外な曲に心を奪われて、音楽の力にあらためて感じ入っている次第だ。 それは、"Us and Them"というタイトルの5分ほどの曲で、ピンク・フロイドの"The Dark Side of the Moon(狂気)"という1973年発売のアルバムに収録されているものだ。 あるタイプの楽曲は、その曲に耽溺していた時代の自分自身の気分や経験を、正確に冷凍保存している。であるからして、うっかりしたタイミングで当該の楽曲を再生したリスナーは、手もなくタイムスリップしてしまう。 実は、昨晩、Spotifyの「お気に入り」をランダム再生していたところ、それこそ何十年かぶりに"Tubular Bells"というアルバムのB面が突然鳴り出して、おかげで私は、10代の頃の鬱屈と孤独と焦燥がないまぜになったどうにも整理のつかない気分のまま眠りに就いたのだが、朝起きてみて、PCを立ち上げてみたところが、今度は"Us and Them"である。 まったく油断もスキもあったものではない。 "Us and Them"は、私が最も偏向した考えに取り憑かれていた時代に、いやというほど繰り返し聴いていた曲で、それゆえ、これが鳴ると、私の脳内は、思うにまかせない世間への憎悪でいっぱいになってしまう』、「投資は、それが無駄で見返りのない蕩尽であればあるほど、カネを費やした当人を向上させる」、趣味とはそんなものなのかも知れない。
・『直訳すれば「オレたちとあいつら」といったほどの意味のタイトルを持ったこの曲は、しかしながら、内容的には、さして深遠な作品ではない。 いくつか思わせぶりなフレーズが散りばめられてはいるものの、素直に読めば若干のシニシズムを漂わせた、よくある70年代ロックのひとつに過ぎない。 ところが、「狂気」を毎晩ヘッドホンで聴いていた当時の私は、この歌の歌詞を思い切り大げさに解釈して、心から賛同しているパラノイアだった。 もちろん、全面的ないしは全人格的にパラノイアだったというわけでもないのだが、少なくとも音楽を聴いている間はパラノイアだった。結局、ロックミュージックにハマっていた当時の私は、多くの病んだマニアと同じく、パラノイアックな考えを脳内に展開するためのスイッチとして、音楽を利用していたということなのだろう。 そうでなくても、特定の作品から、作者が創った以上のものを引き出すことのできる人間をマニアと呼ぶのであれば、私は、当時、まぎれもないマニアだった。 とにかく、どういう道筋からそう考えていたのかは、いまとなってはわからないのだが、当時、私は、この作品の中で歌われている"Them"すなわち「あいつら」こそが、世界を牛耳っている者の正体なのである、という考えを心の中にあたためている穏やかならぬ若者だった。 「あいつら」は、特定の組織や体制ではない。 しかし、「あいつら」は、確実に実在する。 その、誰にとっても決して自分自身ではない永遠の他人である「あいつら」という不定形な人間集団こそが、この世界を自在に動かしている主体であり、また民主主義の「主」とされる「民」でもある……てなことを、私はわりと真剣に考えていたわけなのである。 「中二病」という言葉は当時はまだ発明されていなかった。 しかし、こうしてみると、私の17歳の自画像は、見事なまでに典型的な中二病の症状を呈している。なんというのか、私は世界の秘密を解明し得たつもりでいたのだね。哀れなことに。 その70年代当時のオダジマのものの見方をあてはめて、現在の世界を解釈してみると、たとえば、2日後に投票日がやってくることになっている東京都知事選挙は、あいつら(Them)が、自分たちの思惑を、オレたち(Us)の意思であるかのように見せかけるために仕組んだ巧妙な詐術だ、てなことになる。 なるほど。 「オレたち」は、もちろん「あいつら」よりも賢い。 なのに「オレたち」は、常に、その愚かな「あいつら」に敗北し続けている。 なぜだろう。 理由は簡単で、多数決民主主義が機能している場所では、少数派は必ずや多数派に敗北する決まりになっていて、しかも、ほとんどすべての評価軸において、賢明な人間は愚かな人間よりも数が少ないからだ  なるほど。 中二病の考察によれば、数の多さを競っている限りにおいて、上品な人間や賢い人間や趣味の良い人間は、絶対に下品な人間や愚かな人間や悪趣味な人々に勝てないらしい。 そして、われわれはまたしても敗北することになっている。 もう何十年も前に中二病を克服したにもかかわらず、だ。 中二病は、あるいは、都民の宿痾だったのだろうか。 それどころか、マッカーサー元帥が喝破した通り、われわれは永遠に12歳(注)だと、そういうお話なのだろうか』、「多数決民主主義が機能している場所では、少数派は必ずや多数派に敗北する決まりになっていて、しかも、ほとんどすべての評価軸において、賢明な人間は愚かな人間よりも数が少ないからだ  なるほど。 中二病の考察によれば、数の多さを競っている限りにおいて、上品な人間や賢い人間や趣味の良い人間は、絶対に下品な人間や愚かな人間や悪趣味な人々に勝てないらしい」、面白い考察だ。「マッカーサー元帥の「日本人12歳説」」、とは思い上がった見方だ。
(注)マッカーサー元帥の「日本人12歳説」:1951年、アメリカ上院軍事外交合同委員会で、科学、美術、宗教、文化などの発展の上から見て、アングロ・サクソン民族が45歳の壮年に達しているとすれば、ドイツ人もそれとほぼ同年齢である。しかし、日本人はまだ生徒の段階で、まだ12歳の少年であると述べた(国土技術センターJICEの部屋)
・『話題を変える。 これまで、公の場でのマスクの着用を頑なに拒んできたトランプ大統領が、7月に入るや、にわかにマスクの着用を「全面的に支持する」と言い始めているのだそうだ。 たしかに、トランプ氏のラリー(支持者集会)をとらえた映像を見ると、会場に結集した支持者たちは、ほぼ全員がマスクをしていない。あの動画は、さぞや各方面から悪評を招いたはずだ。 トランプ支持者がマスクをしないせいなのかどうかはわからないが、アメリカでは、いち早く対策を打ち出したニューヨークをはじめとするいくつかの州を除くと、新型コロナウイルスの感染拡大が一向に収束していない。 それで、トランプ氏は、マスク着用についての態度を改めたのだろうか。 理由はわからない。 ともあれ、彼が非を認めるのは極めて珍しい出来事ではある。 これは裏目に出るかもしれない。 というのも、トランプ氏の人気は、その頑迷さ(コアな支持層から見れば「強さ」)を含みおいた上のもので、「ブレるトランプ」てなことになったら、その魅力(←もちろん「支持者にとっての」という但し書き付きだが)は、半減してしまうはずだからだ。 この先のさまざまな政治日程の中で、私が個人的に最も気にかけているのは、11月の大統領選挙で、トランプ氏が再選されるのかどうかだ。 そのアメリカの大統領選挙の結果が全世界に及ぼすであろう影響力の大きさに比べれば、都知事選も、この秋にやってくるかもしれない総選挙も、たいした意味はないとさえ感じている。 理由は、日本のリーダーも、都民のリーダーも、結局のところ、アメリカのボスがどう振る舞うのか次第で態度を変える変数に過ぎないと思うからだ。 安倍首相ご自身にしてからが、アメリカのトップがオバマ大統領だった当時の振る舞い方と、トランプ氏がホワイトハウスに入ってから後の態度を比べてみると、驚くほど(もちろん悪い方に)変わってしまっている。 もちろん、モリカケ問題の端緒はオバマ時代から潜在していたわけだし、ネポティズムもお友達政治も、すべては政権発足当初から一貫した傾向だ。 しかし、それらの欠点を堂々と押し通す図々しさが、トランプ時代に入ってからよりあからさまになったことは誰の目にも明らかだと思う。 《安倍さんが露骨にグレたのは、アメリカのボスがトランプになって以来だと思います。なんか、中学校にあがって悪い友達ができたバカな中学二年生みたいな感じですよ。あたしとしては、本人の更生はもうどうでも良いです。それよりトランプ番長が少年院送りになることを願っています。ぜひ。午前0:33 2020年6月29日》 というこのツイートは、5000件以上の「いいね」を集めている。 バラけた原稿だと思っている読者がたくさんいるはずだ。 支離滅裂と思っている人も少なくないだろう。 中二病という視点から読み直してみると、一応ひとつながりのスジは通っている。そう思ってどうか、ご寛恕いただきたい。 読者のみなさんの多くは、すでに中二病を卒業した賢明な大人であるはずだ。 かく言う私も、さすがに還暦を過ぎて、中二病とは縁が切れたと思っている。 ただ、正直なところを申し上げるに、話題が政治となると、自分の中で中学二年生が動き出す傾向は否定しきれない。 わがことながらなさけないことだと思っている。 とはいえ、政治は、そもそも中二病患者が担うべき仕事なのかもしれない。 ひと回りして、そういう考え方もアリなんではなかろうか。 いっそ選挙権年齢を14歳に引き下げれば色々なことがはっきりするはずだ。 ……という結論は、いかにも中二病だな。もうしわけない』、「安倍さんが露骨にグレたのは、アメリカのボスがトランプになって以来だと思います。なんか、中学校にあがって悪い友達ができたバカな中学二年生みたいな感じですよ。あたしとしては、本人の更生はもうどうでも良いです。それよりトランプ番長が少年院送りになることを願っています」、秀逸な「ツイート」だ。安部首相は大統領選挙前に退陣する可能性もありそうだ。
タグ:大前 研一 日経ビジネスオンライン 冷泉彰彦 Newsweek日本版 トランプ大統領 小田嶋 隆 (その47)(大前研一「なぜトランプ大統領の再選は、絶望的になったか」 11月選挙までの注目は副大統領候補、米民主主義の危機 大統領選で敗北してもトランプは辞めない、超法規の政府職員を動員してデモ制圧に乗り出したトランプ、小田嶋 氏:「中二病」という都民の宿痾) プレジデント 2020年7月31日号 「大前研一「なぜトランプ大統領の再選は、絶望的になったか」 11月選挙までの注目は副大統領候補」 トランプ大統領の再選はなぜ絶望的になったか トランプ大統領の言動は「異様」を通り越して「異常」としか思えない 共和党にもバイデン支持者が増え始めている トランプ離れ、反トランプの流れを加速した最大の理由は、やはり暴行死事件や抗議デモに対する自身の常軌を逸した言動なのだ アメリカで注目を集めるのは副大統領候補 「米民主主義の危機 大統領選で敗北してもトランプは辞めない」 大統領選挙で負けたら辞めるか、という質問に「単純にイエスとは言えない」「不正が行われるかもしれない」と、このまま居座る気満々。コロナ対策の郵便投票を不正の温床と批判しているのも、辞めないための狡猾な伏線だ 2024年以降も居座る 「超法規の政府職員を動員してデモ制圧に乗り出したトランプ」 デモ隊を制圧した謎の「迷彩服集団」は、国土安全保障省が組織した政府職員のグループであることが判明 「法と秩序を実現する大統領」だとして、デモ隊のもたらす無秩序を制圧するのが任務 ポートランドに出現した謎の集団とは 国土安全保障省(ホームランド・セキュリティ)」の職員 実力行使をするとか、捜査権を使ったり逮捕拘禁を執行したりという法律はない 超法規的な私兵として、謎の迷彩服集団を投入してデモ隊に暴力を加えている 落選して退任した後には刑事責任を問われる可能性も十分にある 「「中二病」という都民の宿痾」 投資は、それが無駄で見返りのない蕩尽であればあるほど、カネを費やした当人を向上させる マッカーサー元帥が喝破した通り、われわれは永遠に12歳 多数決民主主義が機能している場所では、少数派は必ずや多数派に敗北する決まりになっていて、しかも、ほとんどすべての評価軸において、賢明な人間は愚かな人間よりも数が少ないからだ  なるほど。 中二病の考察によれば、数の多さを競っている限りにおいて、上品な人間や賢い人間や趣味の良い人間は、絶対に下品な人間や愚かな人間や悪趣味な人々に勝てないらしい 安倍さんが露骨にグレたのは、アメリカのボスがトランプになって以来だと思います。なんか、中学校にあがって悪い友達ができたバカな中学二年生みたいな感じですよ。あたしとしては、本人の更生はもうどうでも良いです。それよりトランプ番長が少年院送りになることを願っています
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黒川検事長問題(その3)(黒川氏の甘い処分巡るスクープ 官邸が怯える“リーク元”、“賭けマージャン”なぜ大甘処分になったのか 黒川弘務氏と検察が恐れる審査会、イトマン事件を指揮した元検事総長が黒川氏退職金問題を喝「法相とは口もきかない」〈週刊朝日〉、30年前にもあった「黒川検事長事件」 政治と検察の癒着の実態) [国内政治]

黒川検事長問題については、5月22日に取上げた。今日は、(その3)(黒川氏の甘い処分巡るスクープ 官邸が怯える“リーク元”、“賭けマージャン”なぜ大甘処分になったのか 黒川弘務氏と検察が恐れる審査会、イトマン事件を指揮した元検事総長が黒川氏退職金問題を喝「法相とは口もきかない」〈週刊朝日〉、30年前にもあった「黒川検事長事件」 政治と検察の癒着の実態)である。

先ずは、6月1日付けNEWSポストセブン「黒川氏の甘い処分巡るスクープ 官邸が怯える“リーク元”」を紹介しよう。
https://www.news-postseven.com/archives/20200601_1567428.html?DETAIL
・『首相官邸が霞が関の《クーデター》に怯えている。黒川弘務・前東京高検検事長の麻雀賭博報道は政権に打撃を与えたが、安倍首相と官邸の側近官僚たちが「文春砲」以上に肝を冷やしたのは黒川氏への大甘処分をめぐる共同通信の報道だった。 首相が新型コロナの緊急事態宣言の全面解除を決定した5月25日、その出鼻をくじくように共同通信がスクープ記事を配信した。 〈首相官邸に報告した法務省は、国家公務員法に基づく懲戒が相当と判断していたが、官邸が懲戒にはしないと結論付け、法務省の内規に基づく「訓告」となったことが24日、分かった。複数の法務・検察関係者が共同通信の取材に証言した〉 この記事は東京新聞が朝刊1面で取り上げたほか、ブロック紙と地方紙が一斉に報じている。安倍首相の「稲田伸夫検事総長が事案の内容、諸般の事情を考慮し処分を行なった」という国会での説明と食い違う内容で、官邸が黒川氏の処分についても“手心”を加えたと大きな批判を巻き起こしている。 官邸が重大視しているのは、情報のリーク元が「法務・検察上層部」と見られるからだ。 「特捜部の現場検事が捜査情報をリークするのは日常茶飯事だが、黒川処分をめぐる官邸とのやりとりの経緯は法務省と最高検の首脳部のごく一部しか知り得ないトップシークレットだ。官邸のお目付け役だった黒川が辞任した途端に、法務検察首脳部が官邸に弓を引いてきた」(官邸の安倍側近) 追い討ちをかけるように、法務検察トップの稲田検事総長がTBS(JNN)の単独インタビューで、「法務省側から訓告相当と言われ、『懲戒処分ではないのだな』と思った。法務省と内閣の間でどのようなやり取りがなされたかはわからない」と処分内容への自身の関与を否定した。検事総長が異例の単独インタビューに応じ、“私が決めた処分ではない”と首相答弁をひっくり返したのだから前代未聞のことだろう。元東京地検検事で、政府の年金業務監視委員長や総務省コンプライアンス室長などを歴任した郷原信郎・弁護士が語る。 「安倍政権が盤石な間は、官僚機構は官邸を怖がっていた。政権が無理なことや間違ったことをしても何も言えなかった。ところが、コロナ対策や検察庁法改正の失態で政権のガバナンスが低下すると、今まで従っていた官僚機構は見切りをつけ、圧力を恐れず告発に動き出すようになる。黒川前検事長の処分をめぐる法務検察関係者の証言は、その動きの一つでしょう」 政権にとって緊急事態と言っていい』、「共同通信」の「スクープ記事」を掲載した主要紙が「東京新聞」だけというのは、情けない。「政権のガバナンスが低下すると、今まで従っていた官僚機構は見切りをつけ、圧力を恐れず告発に動き出すようになる」、との「郷原信郎・弁護士」の指摘は、今後の「告発」にも期待できそうだ。
・『厚労官僚からもリークから  そしてコロナ対策でも官僚の造反が始まった。安倍首相は新型コロナ治療薬の有力候補とされる富士フイルム富山化学の「アビガン」について、5月4日の記者会見で「今月中の承認を目指したい」とスピード承認に前のめりになっていた。それにストップをかけたのも共同通信のスクープだ。 〈(アビガンについて)国の承認審査にデータを活用できると期待された臨床研究で、明確な有効性が示されていないことが、分かった。複数の関係者が共同通信に明らかにした〉(5月20日付配信) 報道後、加藤勝信・厚労相は、「現状においては独立評価委員会から科学的に評価することは時期尚早との考え方が示された」と5月中の承認を断念することを発表した。 しかし、この独立評価委員会は厳重な秘密保持義務があり、結果を外部に漏らすことはないとされる。「リークしたのは評価内容を知りうる厚労省以外にありえない」というのが官邸サイドの見方だ。それというのも、感染症対策や医薬品行政を所管する厚労省医薬・生活衛生局では首相のアビガン早期承認方針に反発が強いからだ。同省職員が語る。 「アビガンには催奇性(注)など強い副作用があることが知られている。安倍総理は無責任に早く承認しろというが、十分な治験と安全性の確認がないまま新型コロナの治療薬として承認し、健康被害が出た場合に責任を負わされるのは官僚です。過去には薬害エイズ事件で当時の生物製剤課長の有罪が確定した。安倍さんは何かあっても刑事責任は負わなくてすむ。そんな人の言葉には従えない」 暴露と造反の連鎖は止まらない。安倍首相が「有力な選択肢の一つであると考えている」と導入を推進した学校の9月入学問題では、早期導入に慎重とされる文科省が家計負担が3.9兆円にのぼるという試算を発表すると、PTAや教育学会などから批判が相次いで自民党ワーキングチームも見送りを提言した。役所が安倍首相の意に反する情報やデータを示したことで方針は次々に覆されている』、「健康被害が出た場合に責任を負わされるのは官僚です。過去には薬害エイズ事件で当時の生物製剤課長の有罪が確定した。安倍さんは何かあっても刑事責任は負わなくてすむ。そんな人の言葉には従えない」、当然だろう。「9月入学問題」など、「役所が安倍首相の意に反する情報やデータを示したことで方針は次々に覆されている」、今後もどんな造反が出てくるのか、楽しみだ。
(注)催奇性:奇形を生じさせる性質。催奇形性ともいう(goo辞書)

次に、7月20日付け文春オンライン「“賭けマージャン”なぜ大甘処分になったのか 黒川弘務氏と検察が恐れる審査会」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/39030
・『検事総長人事にも波及した前代未聞の身内の不祥事に、検察組織が出した結論は“大甘”なものだった。 コロナ禍の緊急事態宣言中に賭けマージャンをしていたという「週刊文春」(5月28日号)報道を受け、東京高検検事長を辞任した黒川弘務氏(63)。その後、常習賭博、単純賭博、収賄容疑で刑事告発されたが、東京地検は7月10日、単純賭博について犯罪行為を認めた上で罪に問わない「起訴猶予」とした。 司法記者が解説する。 「地検は黒川氏らが4月13日~5月13日に計4回、新聞記者ら3人と、1000点を100円に換算する『テンピン』のレートで賭けマージャンをしたことについて、賭博罪は成立すると判断。しかし、『賭け金は多額ではない』『処分を受けて辞職している』などとして不起訴にした。通常、検察は不起訴理由を詳しく説明しないが、今回はわざわざ記者会見を開いて不十分ながら説明をしました。こうした対応は、森友問題で佐川宣寿・元国税庁長官らを不起訴にした時以来で、後ろめたさがあったのでしょう」 不起訴が報じられると、「検察幹部の犯罪なのに、悪質性が低いわけがない」「テンピンを不起訴にするなら、違法な賭けマージャンを堂々とできてしまう」などの非難の声が上がった。 法曹関係者は「黒川氏は約3年前から月1~2回、賭けマージャンをしていたと認定されており、その常習性からも略式起訴して罰金刑という選択もあった。それをしなかったのは、黒川氏が今後、弁護士登録がしやすくなるよう、前科をつけないようにしたと思われても仕方がない」と話す』、「弁護士登録がしやすくなるよう、前科をつけないようにした」、身内に対しては実に温情溢れる処分だ。
・『市民団体が検察審査会に申し立て――黒川氏はどうなる?  また、このタイミングでの発表については、 「7月中に検事総長が稲田伸夫氏から林眞琴・東京高検検事長に交代するので、不祥事を新体制に持ち越さないよう、稲田氏が泥をかぶったという構図が見え見えです」(前出・司法記者) 加えて東京地検は6月25日、秘書が有権者に香典を配ったなどとして公職選挙法違反容疑で告発された自民党の菅原一秀・前経産相(58)も同じく不起訴処分(起訴猶予)としている。 「身内や国会議員の相次ぐ不起訴に『上級国民へのひいき』『強きを助け、弱きをくじく』との声が高まりつつある」(前出・法曹関係者) ただ、黒川氏の問題はこれで幕引きではない。 「13日、市民団体が不起訴処分について検察審査会に審査を申し立てました。一般市民によって構成される審査会が2度『起訴相当』と判断すれば、黒川氏は強制起訴されて法廷で裁かれることになる。検察はそれを警戒している」(同前) 国民は誰も「甘い判断」に納得していないはずだ』、「検察審査会」の人選が公正に行われ、『起訴相当』の判断が出ることを期待したい。

第三に、6月17日付けAERAdot「イトマン事件を指揮した元検事総長が黒川氏退職金問題を喝「法相とは口もきかない」〈週刊朝日〉」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/wa/2020061700057.html?page=1
・『元東京高検検事長の黒川弘務氏が、賭けマージャンで辞任に追い込まれて1か月。法務省は黒川氏に退職金、5900万円を今週にも支払うことを国会で明らかにした。 賭けマージャンが週刊文春に報じられた後、自己都合で退職したことで、退職金は一部が減額されたという。国民民主党・原口一博衆院議員はこう指摘する。 「賭けマージャンを認めて、内規の訓告処分を受けている黒川氏は、本来なら懲戒処分相当だ。それに賭けマージャンの全容がはっきりしておらず、さらに調査が必要だ。まだ問題は終わっていないのに、巨額の退職金を受け取ることに、違和感がある」 “官邸の守護神”と言われた、黒川氏。今後、安倍政権への批判にもつながりかねない。 「黒川は脇甘い、自覚が足りん。東京高検の検事長、次に検事総長という立場にいながら賭けマージャンやから、なおさらやな」 こう怒るのは、元検事総長の土肥孝治弁護士だ。 黒川氏の「賭けマージャン」「政治との深い関係」など一連の問題について、本誌のインタビューに応じた。 土肥氏は大阪地検特捜部時代にタクシー汚職事件で現職の国会議員を逮捕した経験を持つ。大阪地検検事正時代には戦後最大の経済事件と呼ばれた、イトマン事件などを手がけた。検事総長時代には、旧住専問題にメスを入れた。検事総長経験者では、数少ない現場派だ。 一方、黒川氏は法務省事務次官の座に5年間など、法務官僚としての手腕を買われて出世してきた「赤れんが」派だった。 「検事から法務省に出る、現場で頑張る検事、どちらも心の持ち方。検事としては、政治と近づきすぎてはいけない。政治家と特別、仲良くなってはいけない。そういうことが評判になることも、避けなければいけないのが検事の鉄則だ。定年延長を迎え、検事総長なるかと言われた黒川。結果的に官邸側、政治に寄っていたという気がする」(土肥氏) 土肥氏が検事総長就任間もない1996年――。検事総長の部屋と法務大臣の部屋は、同じフロアにあったそうだ。 「検事総長になって、間もなく、『そっちには行かないでください』と事務方から言う。なぜかと聞くと、『仕切りの向こうに法務大臣の部屋がありますので、それを超えないように』とぴしゃり。今も鮮明に覚えている。検事総長をとりまく検事や事務方も、それくらい政治との距離、関係について神経をとがらせていた。会合などで法務大臣と一緒になるときもあったが、挨拶程度しかしなかった。後は、知らん顔でしたね。写真撮られる時もニコニコせんと怖い顔していましたよ。仲良くなると、万が一、何か頼まれたりすると、断りにくい。法務大臣から頼まれるということは、指揮権発動にもつながりかねない」 メディアや政治家から、何を突っ込まれても、問題がないようにと自分を律し、常に緊張感を持っていたという。土肥氏はバッサリと黒川氏をこう斬った。 「黒川には律するという姿勢がなかったのか。次期検事総長が確実視され、普通の検事ではない、特別な存在という思いがなかったのか不思議でならんね。そういう気構えがないから、賭けマージャンに手を出してしまうんだ。要は、検事総長、トップにつく資質がなかったということだろう」 土肥氏が同じく現場派の吉永祐介氏から引き継ぎ、検事総長になった当時、検事らの大半が東京高検検事長で赤れんが派の根来泰周氏が次期検事総長の最有力候補とみていた。根来氏も3年以上、法務事務次官を経験。とりわけ、自民党の梶山静六元官房長官と親しいとされた。政治との距離が近すぎることが危惧され、検事総長への道が閉ざされたなどと当時は報道された。今回の黒川氏と根来氏は非常に似た状況だった。 「確かに、根来氏が黒川と同じような立場で、政治とのことはやっていたような感じでしたね、当時は。政治家と親しくなり、いろいろ相談されると法務省や検察に一言、言いたくなるもの。それが捜査などに悪影響、予断、忖度を与えてはいけません。だから、政治とは距離を置かねばならない。私は検事総長になってからは、会食があっても2次会には絶対に出席しませんでした。どこで誰が見ているかわかりませんし、政治家と鉢合わせすることも考えられますから」 土肥氏は賭けマージャンはしなかったという。 「やったのは若いころ、仲間内で一時期だったかな」 最後に河井前法務相夫妻ら政治家への捜査などに従事する後輩へこうメッセージを送る。 「検察とは何か、政治との関係はどうあるべきか。信頼回復には、もう一度、検察の原点に立ち返ることが、最も大切だ」』、「検事総長の部屋と法務大臣の部屋は、同じフロアにあったそうだ。 「検事総長になって、間もなく、『そっちには行かないでください』と事務方から言う・・・検事総長をとりまく検事や事務方も、それくらい政治との距離、関係について神経をとがらせていた。会合などで法務大臣と一緒になるときもあったが、挨拶程度しかしなかった。後は、知らん顔でしたね」、「政治家と親しくなり、いろいろ相談されると法務省や検察に一言、言いたくなるもの。それが捜査などに悪影響、予断、忖度を与えてはいけません。だから、政治とは距離を置かねばならない」、「土肥氏」時代の検察にあった厳しい矜持はどこへ行ってしまったのだろう。

第四に、7月14日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元週刊文春・月刊文芸春秋編集長の木俣正剛氏による「30年前にもあった「黒川検事長事件」、政治と検察の癒着の実態」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/242965
・『黒川事件だけではない検察人事に影響与える政治の動き  新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言中に、賭け麻雀の発覚で辞職に追い込まれた黒川弘務・東京高検検事長。黒川氏とメディアの記者たちとの癒着を暴いた『週刊文春』のスクープは、見事でした。元週刊文春編集長の私としては、後輩たちを誇りに思います。しかし黒川氏がいなくなっても、今後も「事件」は続くでしょう。 実際、検察人事に「政治」が影響力を持とうという動きは、過去に何度もありました。 「ミスター検察」といえば、故・吉永祐介検事総長です。ロッキード事件での田中角栄逮捕、リクルート事件の捜査指揮、佐川急便事件での金丸信逮捕と輝かしい「経歴」を持つ吉永氏にさえ、彼を検察トップにすることに反対する勢力が大勢いました。 リクルート事件の捜査が終結し、大量の逮捕者を出した自民党政権は、今回の黒川検事長とそっくりの事件を起こしました。標的は「エース」の吉永祐介。リ事件のあとの1991年3月、東京地検検事正だった彼は、広島高検の検事長に着任しました。この人事は、大阪高検検事長で検事人生が終わるということを意味し、特捜検察の象徴である吉永氏を検事総長にしないという思惑が絡んだ人事です。 そして、鬼のいぬ間になんとやら、「事件もみ消し」が多発しました。特に自民党の金丸信副総裁が5億円もの政治資金を佐川急便から入手していたにもかかわらず、微罪である政治資金規正法でしか立件できないことになり、国民の怒りが爆発しました。「検察庁」と大きな文字が刻まれた大理石に怒った市民が黄色いペンキをかけるなど、検察批判は強まるばかり。 当時は宮沢内閣。後藤田正晴氏が「吉永くんはどこにいるのだ」と発言したことが話題になり、作家・山崎豊子さんや立花隆さんも立ち上がり、文春で「吉永を中央に」という論陣を張りました。 こうして1993年、世論が吉永検事総長を実現させ、金丸信逮捕など再び強い検察が復活します。しかしそれでも、政治家は諦めません。 政界側が検察トップに据えたかったのは、根来泰周法務次官。今回の黒川氏のケースとは逆で、根来氏のほうが早く定年を迎えるため、吉永氏が総長になるとき任期半ばで引退して根来氏に渡す、という密約を提案したのです』、「政界側」が自らに都合の良い「検事総長」を指名しようとするのは、そんな昔にもあったとは初めて知った。
・『「ミスター検察」吉永祐介氏を守れ メディアが協力してキャンペーン展開  もちろん、そんなことはあってはならないこと。当時の検察記者は各社ともエース級でしたが、NHKの小俣一平記者、朝日新聞の松本正記者が中心となって、文春に詳細な情報を提供してくれます。文春は、根来氏と梶山幹事長の親密な関係を書き立てました。検察と永田町の間にNK(根来・梶山)ラインがあり、事件を潰しているというキャンペーンです。そして最終的には、週刊文春がとどめを刺しました。 当時、話題になっていたのは皇民党という右翼・民族派団体による「ほめ殺し事件」でした。全国で、この団体が街宣車を使って竹下・金丸コンビのことを褒め称える運動をしたのです。右翼に褒められることは、政治家にとって決していいことではありません。皇民党に対して、政治家側から何億もの「沈黙料」が提示されていたことも判明しています。 ところがそのさなか、根来法務次官が皇民党の名付けの親といわれる右翼の理論家、畑時夫氏に「お詫びの手紙」を書いていたことが発覚しました。ほとんど全文が週刊文春にスッパ抜かれ、国会で根来氏は問題にされます。これで検事総長の声は消えました。 黒川問題では、マスコミと検察の癒着も問題視されています。しかし、賭け麻雀をしている事実や日程を文春に教えたのもたぶん、メディアの人間でしょう。私の経験上も「検事が自分の趣味に記者を同行させるのは、普通のこと。新聞記事で黒川氏の趣味がカジノと麻雀だと知ったときから、必ず番記者と賭け麻雀をしているだろうなあ、なぜ文春は追っかけないのかなあ」と思っていただけに、見事に期待に応えてくれました。 さて、ミスター検察「吉永祐介」とはどんな人物なのでしょうか。 検事総長就任後、私が文春時代に人事異動で着任した新雑誌にインタビューで登場していただいたことがあります。雑誌発売後に謝礼をお支払いすると、「編集部で食事でもしてください」と手紙付きで全額返金してこられました。 そして私は、吉永氏とその家族の話が大好きです。 まだ、男女雇用機会均等法のない時代、大卒の女性の職場は限られていて、「親のコネがなければ教員か公務員」という時代でした。吉永氏の娘さんが「お父さんには、どこか頼めるところはないの?」と何気なく聞いたところ、「私は、そういうことをしてはいけない職にある」――そう言ったものの、娘には悪くて仏間にずっとこもっていたというのです。検事総長という立場は、それほど、責任と使命感が必要です。 黒川検事長の賭け麻雀は論外ですが、そんな責任感のない人物ほど、永田町から見れば安全な人物。国民は常に警戒すべきなのです』、「当時の検察記者は各社ともエース級でしたが、NHKの小俣一平記者、朝日新聞の松本正記者が中心となって、文春に詳細な情報を提供してくれます」、現在の安部政権べったりの記者クラブとは大違いだ。「吉永氏の娘さんが「お父さんには、どこか頼めるところはないの?」と何気なく聞いたところ、「私は、そういうことをしてはいけない職にある」――そう言ったものの、娘には悪くて仏間にずっとこもっていた」、素晴らしい「責任と使命感」だ。
・『冬の時代を迎えた検察 捜査を潰し続けた政治の思惑  現在は「安倍一強」政権と言われます。かつてはロッキード事件で逮捕されながら、田中角栄の派閥が膨張し続け、行政府としての法務省に圧力をかけ続けていました。この時期を、「検察、冬の時代」という人たちもいました。 そんな実態を初めて明らかにしたのが、1987年12月。『文藝春秋』に掲載されたノンフィクション作家、真神博氏のレポート「特捜検事はなぜ辞めたのか」でした。辞めた検事とは、のちに許栄中との関係により石橋産業事件で逮捕・起訴され、有罪となる田中森一氏です。 1986年、大阪地検特捜部から東京地検特捜部に異動。最初に注目を浴びたのが撚糸工連事件で、贈賄側の理事長を取り調べ、政治家との繋がりを自供させて、東京でも注目されるようになります。 しかし、その後の検察はまた沈滞します。田中氏が内偵捜査をしていたのは、三菱重工CB債権事件。三菱が転換社債(CB)を発行、1000億円の社債のうち100億円を発売前に政治家に販売し、その後社債価格は2倍になり、政治家たちは懐を潤します。後のリクルート事件とまったく同じ構図だったのに、捜査の手が及ぶことはありませんでした。 検察幹部が、法律系雑誌に「法的に逮捕は難しい」という論文を書くなど、大阪特捜育ちの田中氏は、「政治家の影がチラつくと『天の声』が降りてきて捜査ができなくなる」と愚痴を言っていました。 そして決定的だったのが、福岡県苅田町の税金横領事件でした。国会議員になった元町長が、「町の金庫から税金8000万円を横領し、自分の選挙資金に使ったのでは」という疑惑が持たれ、捜査が進められていました。 ところが「東京から遠い福岡の事件だから」と突然事件を福岡地検に移管し、その後事件は雲散霧消してしまいました。 田中検事には耐え難いことだったと思います。当時の社会部・検察担当記者たちも、「こんなことはあってはならない」と憤慨していました。今回の「麻雀記者」たちとは、わけが違っていたのです。 立ち上がったのは、前述のNHK小俣一平記者でした。私たちに、検察の情けない現状を教えてくれたのです。すぐに、田中森一検事に雑誌記者として接触を図りますが、当時の検事がそれほど簡単に文春の取材に応じてくれるわけではありません。雑誌が検事に直接取材できるなどあり得ない時代でした。 何度か通いますが、居留守を使われたり、門前払いをされたり――。 しかし、記者たちは諦めません。小俣氏だけでなく、他のメディアの検察記者たちの多くが動き出してくれたのです』、「雑誌が検事に直接取材できるなどあり得ない時代」に「NHK小俣一平記者」をはじめとする「検察記者たち」が、検察と文春の仲立ちをしてくれたようだ。
・『検察内部の劣化を白日の下に 田中森一氏と共闘した週刊文春  わかっているだけでも、朝日新聞の松本正記者、東京新聞の村串栄一記者らが、次々と取材メモを私たちに提供してくれました(もちろん、当時は彼らがウラで全員協力してくれているとは知りませんでした)。最終的には、小俣氏が各社の夜回りでの取材メモをまとめて、編集部に提供してくれます。 編集部は、それをまた、誰が書いたかわからないようにワープロで打ち直して、田中森一検事のところに持参します。 「あなたがしゃべらなくても、これだけのことを私たちは知っています。検察幹部がどんなことをしゃべっているかも知っている」 メモを見た田中氏は仰天して、「文春は恐ろしい情報網だ」と言いつつ、「我々のメモのこの部分は認める」といったやりとりができるようになりました。結果、特捜内部から見ても文句のつけようがないレポートができ上がりました。 もちろん検察の内部の話は、一般人にあまり興味のある話ではありません。しかし、プロにとっては恐るべき情報漏れが起こったと思ったはずです。検察内部の劣化が初めて白日の下に晒されたのは、メディアの志ある検察記者たちの協力によるものだったことは、お話ししておきたいと思います』、「検察内部の劣化が初めて白日の下に晒されたのは、メディアの志ある検察記者たちの協力によるものだった」、現在の検察記者クラブの記者たちはどう考えているのだろう。
・『今も問い続ける課題 「政治家に強い検察」を取り戻せるか  結局、田中森一氏は自分を取り巻く状況に限界を感じ、87年12月に検事を辞職します。それを機に、「政治家に強い検察を取り戻すべきだ」という議論が出始めました。いや、検察の役割を理解し、愛していた記者たちが文春を使って動き出したのです。 それは、検察が事件を潰したらそれを文春が報じ、政治家の汚職を正すには、ロッキード事件を指揮した吉永祐介氏を中央に戻すしかないというキャンペーンでした。前述の吉永氏は、84年に東京地検から宇都宮地検へと異動しており、リクルート事件に携わる前にも地方にいたのです。 そして、宇都宮地検検事正だった吉永祐介氏が最高検公判部長として戻ってきました。さらに翌88年6月、リクルート事件が発覚します。88年12月、吉永氏が東京地検検事正に着任し、田中角栄逮捕に続く戦後最大級の疑獄、リクルート事件の捜査が一気に加速しました。 このとき、文藝春秋に前代未聞の記事が出ました。それは、リクルート事件の捜査体制、検事たち全員のリストです。これを見れば、特捜部の総力を上げた捜査であることが誰しもかわるというものでした(その中には、次期検事総長といわれる若き日の林真琴氏も入っています)。 協力してくれた記者と相談して、わざと1人、名前を間違えて掲載しました。情報漏洩の調査があっても、記者なら絶対間違わないという言い訳をつくるためにです。取材源を守りながら、しかし大きな観点からメディア全体が協力し合う。今はその構造が崩れかけていることを痛感します』、「わざと1人、名前を間違えて掲載」、とは芸が細かくさすがだ。「取材源を守りながら、しかし大きな観点からメディア全体が協力し合う。今はその構造が崩れかけていることを痛感します」、誠に残念なことだ。司法担当記者たちの猛省を促したい。
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