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パンデミック(医学的視点)(その24)(アングル:新型コロナ 国ごと異なる「エンデミック」化の道筋、ゼロからわかる変異株の大物「オミクロン」の正体 感染症未来疫学センターの水谷哲也教授に聞く、オミクロン株が心配な人に知ってほしい最新事情 欧米で先行 日本国内での流行に備えは十分か、ブースター接種繰り返し 疫系に悪影響の恐れ EU当局が警告 寒い季節の到来に合わせるべきと) [パンデミック]

パンデミック(医学的視点)については、昨年10月30日に取上げた。今日は、(その24)(アングル:新型コロナ 国ごと異なる「エンデミック」化の道筋、ゼロからわかる変異株の大物「オミクロン」の正体 感染症未来疫学センターの水谷哲也教授に聞く、オミクロン株が心配な人に知ってほしい最新事情 欧米で先行 日本国内での流行に備えは十分か、ブースター接種繰り返し 疫系に悪影響の恐れ EU当局が警告 寒い季節の到来に合わせるべきと)である。

先ずは、11月7日付けロイター「アングル:新型コロナ、国ごと異なる「エンデミック」化の道筋」を紹介しよう。
https://jp.reuters.com/article/covid-endemic-idJPKBN2HP0MD
・『新型コロナウイルスの「パンデミック(世界的大流行)」が来年以降のいつ、どこで「エンデミック(一定地域で普段から継続的に発生する状態)」に移行するのか――。感染力の強いデルタ株の拡大が多くの地域で一服するとともに、世界中の科学者がこうした予測に乗り出している。ロイターが十数人の有力専門家を取材して分かった。 専門家の見立てでは、パンデミックから最初に脱却する国は、高いワクチン接種率と感染者が獲得した自然免疫の効果が組み合わさっているはずで、米国、英国、ポルトガル、インドなどが該当しそうだ。もっとも専門家らは、新型コロナは依然として予測不能なウイルスであり、ワクチン未接種の人々に広がる過程で変異を続けると警告する。 ウイルスがようやく獲得した免疫をすり抜ける形に進化してしまう、いわゆる「ドゥームズデー(終末)シナリオ」を完全に否定する向きも見当たらない。ただ、多くの国が向こう1年間にパンデミックの最悪局面を抜け出せるとの自信は、専門家の間で深まりつつある。 世界保健機関(WHO)で新型コロナ対応を主導している疫学研究者、マリア・バンケルコフ氏は「今から来年末までの期間に、われわれはこのウイルスを制御し、重症者と死者を大幅に減らせると想定している」とロイターに語った。 そうしたWHOの考えは、今後18カ月のパンデミックがたどる最も蓋然(がいぜん)性が高い経路を専門家と検討した結果に基づいている。来年末までにWHOが目指すのは、ワクチン接種率を世界の全人口の7割に高めること。バンケルコフ氏は「この段階に達すれば、疫学的に(今とは)非常に異なる状況になるだろう」とみる。 WHOが10月26日に公表した報告書によると、世界のほぼ全ての地域で8月以降、新型コロナウイルスの感染者と死者は減少が続く。例外は欧州で、ロシアやルーマニアといったワクチン接種率が低い国や、マスク着用義務を解除した国・地域をデルタ株の新たな感染の波が襲った。デルタ株は、ワクチン接種率こそ高いが、極めて厳格なロックダウンを実施したため自然免疫がほとんど得られなかった中国やシンガポールなどでも感染者が増えている。 ハーバードT・H・チャン公衆衛生大学院の疫学研究者、マーク・リプシッチ氏は「(エンデミックへの)移行は各地域で違ってくる。なぜならそれは自然感染による免疫を獲得した人の数と、当然ながら国ごとにとてもばらつきがあるワクチン配分量に左右されるからだ」と述べた。 複数の専門家は、米国のデルタ株感染の波は今月で峠を越え、これが最後の大規模な感染急増局面になると見込む。米食品医薬品局(FDA)元長官のスコット・ゴットリーブ氏は「われわれはパンデミックの局面からエンデミック、つまりこのウイルスが米国で持続的な単なる1つの病気となる段階へと移ろうとしている」と説明した。 ワシントン大学の疾病予測分野の有力な専門家の1人、クリス・マレー氏も、米国のデルタ株感染急増は今月で終わり、新たに大きな存在となるような変異株が出現しなければ、来年4月にはコロナ感染症の収束が始まるとみている。 パンデミック局面の規制撤廃に伴って足元で感染者が急増している英国などでも、ワクチンのおかげで入院患者は増えていないもよう。インペリアル・カレッジ・ロンドンの疫学研究者、ニール・ファーガソン氏は、緊急事態としてのパンデミックは大方が過去の話になったと言明した』、「「われわれはパンデミックの局面からエンデミック、つまり・・・持続的な単なる1つの病気となる段階へと移ろうとしている」、楽観的過ぎる印象も受けるが、「WHO」の前提は「ワクチン接種率を世界の全人口の7割に高める」、前提も楽観的過ぎるのかも知れない。
・『<緩やかに改善>  新型コロナウイルスはこれから何年も、マラリアのような他の風土病と同じく、人々に病気や死をもたらす大きな要因となり続けるだろう。WHOのバンケルコフ氏は「エンデミックは(ウイルスが)無害になるという意味ではない」とくぎを刺した。 一部の専門家は、新型コロナウイルスがいずれ、ワクチン接種率の低い地域で感染が急増するはしかのような存在になると話す。インフルエンザのように、より季節性がある呼吸器疾患となりつつあるとの声も聞かれる。また別の専門家によると、新型コロナウイルスは次第に致死率が低下し、主に子どもが感染する方向に進んでいく可能性があるが、そうなるまでに何十年もかかる可能性があるという。 インペリアル・カレッジのファーガソン氏は、英国では新型コロナウイルスのために呼吸器疾患の死者が長期平均を超える状況があと2─5年続く半面、それで医療提供体制がひっ迫したり、社会的距離を確保する措置が再び求められたりする公算は小さいとの見方を示した。 同氏は「進化は緩やかに進んでいく。われわれは新型コロナウイルスをより永続的なウイルスとして扱うことになる」と述べた。 新型コロナウイルスの動向を追ってきたフレッド・ハッチンソンがん研究センターの計算ウイルス学者、トレバー・ベッドフォード氏は、米国で新型コロナウイルスは来年から2023年の間にエンデミックに移行すると想定。年間死者数は5万─10万人と、インフルエンザの3万人より多いと試算した。 その上で、新型コロナウイルスは変異を続けそうなので、最新の流行株に狙いを定めたワクチンを毎年接種しなければならなくなるとの見通しを示した』、「米国で新型コロナウイルスは来年から2023年の間にエンデミックに移行すると想定。年間死者数は5万─10万人と、インフルエンザの3万人より多いと試算」、「エンデミック」に移行しても、死者数が高水準なのに驚かされた。

次に、12月4日付け東洋経済オンライン「ゼロからわかる変異株の大物「オミクロン」の正体 感染症未来疫学センターの水谷哲也教授に聞く」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/473053
・『新型コロナウイルスの変異ウイルスである「オミクロン株」に対する警戒感が日増しに高まっている。日本政府は11月30日から全世界を対象に外国人の入国を禁止すると発表した。 11月24日に南アフリカが初めてWHO(世界保健機関)に報告したオミクロン株に対し、VOC(懸念すべき変異株)としてWHOが指定したのは11月26日。 全世界で猛威を振るったデルタ株ですら、インドで確認されてからVOCに指定されるまで6カ月間の期間があった。報告から2日というオミクロン株の指定は、ほかの変異株も含めて最速である。 異例の速さで“マーク”されたオミクロン株はどういう特徴を持っているのか。コロナウイルスを専門に研究している、東京農工大学農学部附属感染症未来疫学研究センターの哲也教授に話を聞いた(Qは聞き手の質問、Aは水谷氏の回答)』、興味深そうだ。
・『悪いところを“総取り”  Q:オミクロン株はなぜこんなにも警戒されているのでしょうか? A:デルタ株以降、“大物”の変異株はあまり出てこなかった。WHOがデルタ株をVOC(懸念すべき変異株)として指定したのは2021年4月。その後ラムダ株が6月、ミュー株が8月にVOCの前段階である「注目すべき変異株」に指定されたが、どちらもデルタ株の流行に入る隙間がなくて消えてしまった。 オミクロン株はデルタ株に代わって拡大している地域もあるようなので、久しぶりの“大物”になるかもしれない、ということだ。 その可能性の根拠として考えられているのは、ヒトの細胞に感染するときの足がかりになる「スパイクタンパク質」に起きている変異が、従来とは比べものにならないほど多いことだ。 スパイクタンパク質は、いくつものアミノ酸が連なって構成されている。ラムダ株であれば、その内7カ所のアミノ酸が別のものに変わる変異が起きている。一方のオミクロン株では30カ所以上のアミノ酸が変異しており、これまでVOCに指定されたどの変異株と比べても明らかに数が多い。 単に変異の数が多いだけではない。イギリスや南アフリカで最初に確認されたアルファ株やベータ株、インドで確認されたデルタ株など、これまで感染が拡大した変異株の悪いところを総取りしたような特徴がある。 Q:総取り、ですか? 重要なのは、感染の足がかりになるスパイクタンパク質の中でもその一部、「受容体結合領域」と呼ばれる場所で起きている変異だ。ヒトの細胞に侵入する際、直接細胞と接する領域で、ここに変異が起きていると感染のしやすさなどに変化が起こりやすい。 オミクロン株の受容体結合領域の変異を一つ一つ見ると、実験室レベルではヒト細胞とウイルスとの融合を促進することがわかっているもの、中和抗体から逃れる可能性があるもの、それからすでに感染性を高めることがわかっているものなどがある。 さらに、受容体結合領域の外側ではあるものの、領域の構造に影響を与えて感染性を高める変異も起きている。 オミクロン株の変異の特徴は、(イギリス、南アフリカ、ブラジルで最初に確認された)アルファ・ベータ・ガンマ株に近い。そこにインド由来のデルタ株の変異も一部が入ってきたようなイメージだ。 感染しやすくなるなどの特徴がすでにわかっている変異が、これまでの変異株には2?3つだったところ、オミクロン株には少なくとも4つは入っている』、「オミクロン株」には「これまで感染が拡大した変異株の悪いところを総取りしたような特徴がある」、「悪いところを総取り」とはいかにも恐ろしそうだ。
・『かなり厄介な存在の可能性も  Q:ほかにも懸念すべき点はありますか? A:新型コロナが細胞に侵入するとき、「フーリン」と呼ばれるタンパク質分解酵素がスパイクタンパク質を切断するプロセスがある。気になるのは、オミクロン株では初めて、フーリンによって切断される部位の近くにも変異が起こっていることだ。 同じコロナウイルスであるSARSやMERSコロナウイルスは、フーリンによって切断されるこの部位そのものを持っていない。新型コロナウイルスは、この切断部位を持ったことで感染効率が上がり、SARSやMERSコロナウイルスよりも感染が広がったといわれている。 そのため、もしこれがより切断されやすくなるような類いの変異なのであれば、明らかに感染しやすくなっていることになる。変異が起きている場所(フーリンによって切断される部位の近く)だけを見ると、オミクロン株はこれまでの変異株に比べてかなり厄介な感じに見えるのは確かだ。 Q:その一方で、現在主流のデルタ株に比べてどれだけ感染しやすくなっているのかや、重症化しやすくなっているのかなど、まだ詳しいことはわかっていない状況です。) たくさんの変異があるからといって、本当にそれが全体としてウイルスにとって有利な変異になっているのかはわからない。確かに、オミクロン株に起きているこうした変異を1つひとつ見れば、より感染しやすくなっているように見える。 だが大事なのは、スパイクタンパク質全体の「構造」がどう変わっているかだ。変異が起きている部分を個別に見て、感染しやすさや重症化のしやすさを判断することはできない。 フーリンによる切断部位に入った変異も、そこに変異が入ることによって結果的にさらに切断されやすくなって感染性が増すのか、逆に切断されにくくなっているのか、どちらの可能性もありうるため、実際のところはまだわからない。これから出てくる研究成果を見なければいけない。 Q:改めて、ウイルスにとって変異とはどんな意味を持つのでしょうか? A:そもそも一般的には、変異をすること自体ウイルスにとっては不利なことだ。変異前には一定の感染性があったのに、ランダムに変異が入ることでウイルスとして駄目になってしまうことのほうが多いはずだからだ』、「一般的には、変異をすること自体ウイルスにとっては不利なことだ。変異前には一定の感染性があったのに、ランダムに変異が入ることでウイルスとして駄目になってしまうことのほうが多いはず」、なるほど。
・『変異株の大半は人知れず消える  Q:つまり「変異ウイルス=人間にとって危険」というわけではないのですね。(水谷氏の略歴はリンク先参照) A:感染しにくくなるような変異が起きればもちろんその株は流行しないし、逆に感染者の致死率が高くなるような変異が起きてもウイルスは広まることができない。こういう変異は数多く起きているはずだが、ほとんどの変異株は人知れず消えていってしまう。 だからわれわれは、結果的に今回のように感染が広がって生き残った後の変異株しか確認できない。疫学的にも調べないと結論は出ないが、本当にこのままオミクロン株がデルタ株に代わって感染の主流になっていくのであれば、感染しやすくなるような変異が起きた、と考えるのが自然だ。 Q:オミクロン株ではワクチンなどによる中和抗体の効き目の低下が懸念されていますね。 A:中和抗体からどのようにウイルスが逃れているのかは、実際に中和抗体を持った人の血清を使うなどして研究する必要があるので、効果の有無を確認するのには時間がかかる。 とはいえ、中和抗体がまったく効かなくなるということはないだろう。中和抗体は、スパイクタンパク質上にある複数のアミノ酸を認識して結合している。そのため、いくつかのアミノ酸が変異したとしても、中和抗体はほかの部分でウイルスを認識して感染を抑えられる。程度はわからないが、くっつき方が悪くなるようなイメージだ。 Q:今後、主流になったデルタ株に代わって世界中に広まっていくのでしょうか? A:繰り返しになるが、本当に感染しやすくなっているかどうかは起きている変異を一つ一つ見るだけではわからないので、結論が出るのは時間がかかる。 ラムダ株やミュー株も、変異している場所を見て厄介なウイルスなのではないかと思ってはいた。それでも、先んじて流行していたデルタ株に代わる主流にならなかった』、「変異株の大半は人知れず消える」ので、「われわれは、結果的に今回のように感染が広がって生き残った後の変異株しか確認できない」、言われてみればその通りだ。
・『かなりの警戒が必要  変異によってズバ抜けて感染しやすくなるとか、より効率的に体内でウイルスを複製できるようになるとか、そういうことがない限り簡単には世界中で感染の主流になることはない。 だが実際にデルタ株の感染が減る一方でオミクロン株が増えていくのであれば、未知な部分が多いだけにかなりの警戒が必要だ。 デルタ株の流行が続いているアメリカではデルタ株とオミクロン株のせめぎ合いが起きる。一方、今、日本にはほとんど感染者がいない。そこにポンッと入ってくれば、一気にオミクロン株が主流になって広がる可能性もある』、「日本」でも既に「オミクロン株が主流」になりつつあるようだ。

第三に、12月23日付け東洋経済オンラインが掲載した医療ガバナンス研究所理事長の上 昌広 氏による「オミクロン株が心配な人に知ってほしい最新事情 欧米で先行、日本国内での流行に備えは十分か」を紹介しよう。
・『オミクロン株の感染が世界中で拡大している。筆者が考えるオミクロン株の主要な論点について議論したい』、興味深そうだ。
・『オミクロン株はアジアで流行するか  私の最大の関心事だ。11月に南アフリカでオミクロン株が検出された時、筆者はこの変異株が北半球で流行するか否か懐疑的だった。ベータ株(南アフリカ株)、ガンマ株(ブラジル株)、ラムダ株(ペルー株)など、南半球由来の変異株が北半球で流行しなかったからだ。 一方、日本で大流行したアルファ株(イギリス株)、デルタ株(インド株)などの変異株は、いずれもユーラシア大陸由来だ。その本当の発生地は兎も角、最初の流行がユーラシア大陸で確認されている。 私は、この事実を知ると、1997年にアメリカ・カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のジャレド・ダイアモンド教授が表した名著『銃・病原菌・鉄』を思い出した。この本の中で、ダイアモンド教授は、東西に同緯度の陸地が広がる北半球では疾病は拡散しやすく、南北に細長い南半球では、気候帯が異なるため、感染症は広がりにくいと論じていた。私は、全く同じ事が新型コロナウイルス(以下、コロナ)にも通用するかもしれないと考えていた。 ただ、この考えはほどなく否定された。イギリス、そしてアメリカでオミクロン株の流行が拡大したからだ。12月18日、イギリスでは1日あたりのオミクロン株の新規感染者数が、前日の3倍以上となる1万59人となり、翌19日も1万2133人に増加した。状況はアメリカも同じだ。12月20日、アメリカ疾病対策センター(CDC)は、12月18日までの1週間で確認されたコロナの73%がオミクロン株だったと発表した。 では、オミクロン株はアジアでも流行するのか?アルファ株がそうだったように、英米で大流行すれば、常識的にはアジアでも流行するだろう。果たして、本当にそうだろうか。私がひっかかるのは、今冬に限っては、アジアと欧米の流行状況が全く違うことだ。 欧米でデルタ株、およびオミクロン株が大流行している中、アジアで感染が拡大しているのは韓国、ベトナム、ラオスくらいだ(図)。この3カ国で流行しているといっても、その規模は欧米と比較して小さい。12月19日の1日あたりの感染者数(人口100万人あたり、1週間平均)は、イギリス1138人、アメリカ392人であるのに対し、ベトナム185人、ラオス179人、韓国132人だ。(外部配信先では図表や画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください) コロナは流行当初から、欧米と比べ、アジアでの感染は小規模だった。ただ、今冬ほど、その差が極端だったことはない。今夏、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム、そして日本の流行は欧米とほぼ同レベルだった。なぜ、今夏、このような国で大流行したデルタ株が、流行の本番である真冬に抑制されているのか、ワクチン接種(追加接種)や既感染による免疫では説明がつかない』、確かに不思議だ。
・『沖縄米軍基地でクラスターが発生したものの・・・  オミクロン株についても、英米との交流が多いシンガポール、インド、フィリピンなどで感染は拡大していない。また、日本でも沖縄米軍基地の職員の間で150人以上のクラスターが発生しているが(米軍は、このクラスターがオミクロン株によるとは認めていないが、基地に出入りする日本人からオミクロン株が検出されているため、オミクロン株が原因と考えていいだろう)、基地外に感染が拡大したという話は聞かない(12月19日現在)。 オミクロン株は強い感染力を有する。12月17日、イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者は、オミクロン株の再感染リスクはデルタ株の5.4倍というモデル研究の結果を発表した。私の知人でイギリス在住の医師も「オミクロン株の感染力は麻疹なみ」という感想を伝えてきた。その理由についても、香港大学の研究者が、デルタ株と比べて、オミクロン株は気管で増殖しやすいために、周囲に広まりやすく、逆に肺で増殖しにくいため、肺炎にならずに重症化しにくいなど、幾つかの仮説を提唱している。欧米で急速にオミクロン株の流行が拡大したのも納得できる。) ただ、欧米の研究でわかったことはアジアでも通用するのか、現時点ではわからないということだ。デルタ株の流行が抑制されているアジアで、オミクロン株が流行するのか、現状では何とも言えない。データに基づいた冷静な議論が必要だ』、「クラスター」は「沖縄米軍基地」の他にも、「岩国」、「横須賀」などのの米軍基地」でも発生(人数はそれぞれ、574人、529人、213人(1月7日付けしんぶん赤旗)。
・『水際対策と同時に国内大規模検査を  では、わが国は何を最優先すべきか。もちろん、オミクロン株が日本でも流行しうるという前提にたって対策を講じることだ。優先すべきは、水際対策と国内でのスクリーニングだ。水際対策の重要性は改めて言うまでもない。 問題は国内スクリーニングだ。日本は、水際対策が成功していると主張してきたため、国内でのオミクロン株の大規模検査を実施してこなかった。12月15日現在の国民1000人あたりの検査数は0.36件で、主要先進7カ国(G7)で最も多い英国(18.0件)の50分の1だ。デルタ株の流行が抑制されているという点では日本と変わらないインド(0.84件)の半分以下である。 クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号で、厳格な船内検疫を実施していたころに、すでに国内感染が拡大していたし、オミクロン株の流行でも、オランダでは、外国との渡航を禁止することを決めた1週間以上前に国内に入っていた。検査数が少ない日本では、オミクロン株が国内に流入していたとしても、検出できていない可能性が否定できない。 日本を含むアジアがオミクロン株に抵抗力があるのでなく、何らかの幸運で、日本国内に流入するのが遅れているだけなら、国内の検査を怠ることで、蔓延を許してしまう。 こうならないためには、国内での検査体制の強化が喫緊の課題であるが、前途は多難だ。それは、厚生労働省が、安倍晋三・元首相の頃から一貫してPCR検査を抑制しているからだ。この状況は現在も変わらない。 岸田文雄首相は自民党総裁選出馬にあたり、9月2日に「岸田4本柱」を発表し、その中に「検査の無料化・拡充」を盛り込んだ。ところが、11月12日、新型コロナ感染症対策本部が発表した「次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像」では、無料検査の対象を「感染拡大の傾向が見られる場合、都道府県の判断により」実施するか、あるいは「健康上の理由等によりワクチン接種を受けられない者」に限定した。「感染拡大の傾向」が確認されてから検査をしても手遅れだ。 この状況について、岸田首相には既視感があるはずだ。今年1月、岸田首相のおひざ元である広島県が、広島市の中心に位置する4区の住民約80万人を対象とした無料PCR検査の実施を計画し、県議会は10億3800万円の予算を可決したが、最終的に8000人規模に縮小された。 これは、「医系技官の意向を反映したもの(厚労省関係者)」だ。広島県が計画を発表後、政府は広島市を「緊急事態宣言に準じた措置」の対象地域に該当しないという見解を示し、休業補償などで広島県を冷遇したからだ。広島県は厚労省の意向に従わざるをえなかった。岸田首相はこのあたりの状況について、地元の支援者から聞いているはずだ。 現在、内閣官房で、コロナ感染症対策推進室長を務める迫井正深氏は、広島大学附属高校から東京大学医学部に進んだ医系技官だ。このまま医系技官たちの抵抗を許すのか、あるいは、彼らを方向転換させるのか、岸田首相の手腕が問われている』、「医系技官」が「PCR検査」件数を抑制しようととするのは、迫井氏の前任者からの伝統だ。
・『ワクチン追加接種の必要性は?  検査体制の強化と並ぶ、もう1つのオミクロン株対策の肝は、ワクチン追加接種の促進だ。オミクロン株に限らず、コロナ対策での追加接種の重要性については、「善戦で始まった岸田政権のコロナ対策に映る不安」(12月1配信)でも述べた。 日本が迷走する中、世界は追加接種を進めた。12月18日現在の主要先進国の追加接種完了率はイギリス40%、ドイツ30%、フランス24%、イタリア24%、アメリカ18%、カナダ11%だ。冬場の本格的流行が始まる前に、高齢者や医療従事者の接種を終えていることになる。12月1日から、医療従事者向けに追加接種を開始した日本は、先進国では異例の存在だ。 南アフリカの研究者たちは、デルタ株と比べて、オミクロン株の毒性は低いと報告しているが、感染者の多くが若年者である南アフリカの経験を、そのまま日本にあてはめることはできない。12月16日にインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームが発表した報告によると、イギリスではオミクロン株の重症度はデルタ株と変わらない。) では、オミクロン株に追加接種は有効なのか。オミクロン株は、コロナワクチンが標的とするスパイク(S)蛋白質に30カ所以上の変異があるため、ワクチンが効きにくい。追加接種しても駄目だろうとお考えの読者も多いだろう。確かに、12月10日にアメリカ疾病管理センターは、オミクロン株感染者43人中、14人は追加接種を終えていたと報告している。 ただ、その後に発表された研究によれば、悲観する必要はなさそうだ。12月9日、アメリカ・ファイザー社は、同社製のワクチンを追加接種することで、オミクロン株の阻止効果は25倍増強されると報告している。さらに、12月13日、イスラエルのシェバ・メディカルセンターの研究チーム、12月20日にはアメリカ・モデルナ社からも同様の報告がなされている。 12月15日にはアメリカ・バイデン政権の首席医療顧問であるアンソニー・ファウチ医師が、オミクロン株に特化したワクチンの追加接種は不要という見解を表明している。つまり、追加接種は完全ではないが、オミクロン株の感染リスクを相当レベル低下させるというのが、現時点での世界のコンセンサスだ。このような状況を知れば、日本は一刻も早く追加接種を進めなければならないことがわかる。2回目接種から6カ月とか8カ月とかの議論をしている場合ではない』、「追加接種は完全ではないが、オミクロン株の感染リスクを相当レベル低下させるというのが、現時点での世界のコンセンサスだ」、「日本は一刻も早く追加接種を進めなければならない」、その通りだ。
・『エビデンスに基づいた議論を  以上が、私が考えているオミクロン株の論点だ。アメリカ国立医学図書館データベース(PubMed)によると、「オミクロン」という単語をタイトルに含むコロナ関係の論文は、すでに63報が発表されているが、日本からは金沢大学呼吸器内科の研究チームが『呼吸器医学』誌に発表した一報だけだ。 ワクチン、治療薬については、「国産」の重要性を声高に主張する政府や有識者たちも、臨床研究による現状把握を求める人は少ない。これが、わが国のコロナ対策が迷走する理由だ。データに基づいた合理的な議論が必要である』、「臨床研究による現状把握」を含めて「データに基づいた合理的な議論が必要」、強く同意する。

第四に、1月13日付け東洋経済オンラインがブルームバーグを転載した「ブースター接種繰り返し、免疫系に悪影響の恐れ EU当局が警告、寒い季節の到来に合わせるべきと」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/502217
・『欧州連合(EU)の医薬品規制当局は11日、新型コロナウイルスワクチンのブースター(追加免疫)接種を頻繁に行うと免疫系に悪影響を及ぼす恐れがあると警告した。 欧州医薬品庁(EMA)は、4カ月ごとのブースター接種を繰り返すと最終的に免疫力が低下する可能性があると指摘。各国はブースター接種の間隔をより空け、インフルエンザ予防接種戦略で示された青写真のように寒い季節の到来に合わせるべきだとの見解を示した』、「接種を頻繁に行うと免疫系に悪影響を及ぼす恐れ」とは穏やかではない、どういうことなのだろう。
・『オミクロン変異株、数週間で欧州人口の半数以上が感染も-WHO  オミクロン感染が急速に広がる中、一部の国は2回目のブースター接種を行う可能性を検討している。イスラエルは今月に入り、60歳以上を対象に4回目のワクチン接種(2回目のブースター)を開始。英国は現時点では2回目のブースターは必要ないが、必要に応じてデータを見直すとしている。 ブースター接種についてEMAでワクチン戦略などの責任者を務めるマルコ・カバレリ氏は「一度や二度ならともかく、何度も繰り返すべきと考えるものではない」と指摘。「現在のパンデミック(世界的大流行)の状況から、よりエンデミック(地域的流行)の状況にどう移れるかを考える必要がある」と記者会見で語った』、確かに「接種を頻繁に行うと免疫系に悪影響を及ぼす恐れ」とは、あり得る問題だ。有効な「免疫」が期待できる上限回数はどの程度なのだろう。
タグ:(その24)(アングル:新型コロナ 国ごと異なる「エンデミック」化の道筋、ゼロからわかる変異株の大物「オミクロン」の正体 感染症未来疫学センターの水谷哲也教授に聞く、オミクロン株が心配な人に知ってほしい最新事情 欧米で先行 日本国内での流行に備えは十分か、ブースター接種繰り返し 疫系に悪影響の恐れ EU当局が警告 寒い季節の到来に合わせるべきと) パンデミック(医学的視点) ロイター 「アングル:新型コロナ、国ごと異なる「エンデミック」化の道筋」 「「われわれはパンデミックの局面からエンデミック、つまり・・・持続的な単なる1つの病気となる段階へと移ろうとしている」、楽観的過ぎる印象も受けるが、「WHO」の前提は「ワクチン接種率を世界の全人口の7割に高める」、前提も楽観的過ぎるのかも知れない。 「米国で新型コロナウイルスは来年から2023年の間にエンデミックに移行すると想定。年間死者数は5万─10万人と、インフルエンザの3万人より多いと試算」、「エンデミック」に移行しても、死者数が高水準なのに驚かされた 東洋経済オンライン 「ゼロからわかる変異株の大物「オミクロン」の正体 感染症未来疫学センターの水谷哲也教授に聞く」 「オミクロン株」には「これまで感染が拡大した変異株の悪いところを総取りしたような特徴がある」、「悪いところを総取り」とはいかにも恐ろしそうだ。 「一般的には、変異をすること自体ウイルスにとっては不利なことだ。変異前には一定の感染性があったのに、ランダムに変異が入ることでウイルスとして駄目になってしまうことのほうが多いはず」、なるほど。 「変異株の大半は人知れず消える」ので、「われわれは、結果的に今回のように感染が広がって生き残った後の変異株しか確認できない」、言われてみればその通りだ。 「日本」でも既に「オミクロン株が主流」になりつつあるようだ。 上 昌広 「オミクロン株が心配な人に知ってほしい最新事情 欧米で先行、日本国内での流行に備えは十分か」 「クラスター」は「沖縄米軍基地」の他にも、「岩国」、「横須賀」などのの米軍基地」でも発生(人数はそれぞれ、574人、529人、213人(1月7日付けしんぶん赤旗) 「医系技官」が「PCR検査」件数を抑制しようととするのは、迫井氏の前任者からの伝統だ。 「追加接種は完全ではないが、オミクロン株の感染リスクを相当レベル低下させるというのが、現時点での世界のコンセンサスだ」、「日本は一刻も早く追加接種を進めなければならない」、その通りだ 「臨床研究による現状把握」を含めて「データに基づいた合理的な議論が必要」、強く同意する。 ブルームバーグ 「ブースター接種繰り返し、免疫系に悪影響の恐れ EU当局が警告、寒い季節の到来に合わせるべきと」 「接種を頻繁に行うと免疫系に悪影響を及ぼす恐れ」とは穏やかではない、どういうことなのだろう。 確かに「接種を頻繁に行うと免疫系に悪影響を及ぼす恐れ」とは、あり得る問題だ。有効な「免疫」が期待
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