安倍元首相暗殺事件(その5)(安倍晋三とエリザベス女王の「国葬」を改めて総括してみよう《田中康夫・浅田彰》「憂国呆談」第4回(前)、旧統一教会から訴えられた有田芳生氏が裁判で詳らかにする「教団による空気銃の大量輸入」衝撃の内容、旧統一教会問題第一人者が語る「空白の30年」 なぜ日本で対カルトの法律ができなかったのか) [国内政治]
安倍元首相暗殺事件については、10月12日に取上げた。今日は、(その5)(安倍晋三とエリザベス女王の「国葬」を改めて総括してみよう《田中康夫・浅田彰》「憂国呆談」第4回(前)、旧統一教会から訴えられた有田芳生氏が裁判で詳らかにする「教団による空気銃の大量輸入」衝撃の内容、旧統一教会問題第一人者が語る「空白の30年」 なぜ日本で対カルトの法律ができなかったのか)である。
先ずは、11月2日付け現代ビジネス「安倍晋三とエリザベス女王の「国葬」を改めて総括してみよう《田中康夫・浅田彰》「憂国呆談」第4回(前)」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/101670?imp=0
・『田中康夫・浅田彰の名物世相対談「憂国呆談」、今回は二つの「国葬」を終えた内外の情勢から、二人の対話は始まります』、興味深そうだ。
・『産経でさえ「よくなかった」59・2% 田中 千代田区北の丸公園の日本武道館で9月27日に実施された「故安倍晋三国葬儀」は、さまざまな意味で令和4年・皇紀2682年・西暦2022年の日本国を体現していた。 いまだにSNS上では甲論乙駁状態だけど、産経新聞社が10月17日に発表した世論調査でも国葬儀は「よくなかった」59・2%、「よかった」35・2%だった。唯一、賛成が上回ったのは前回も話したように、ツイッターの捨て垢で1人が幾度も投票可能だった『月刊Hanada』の緊急アンケートのみ。 雌雄は決せられた感じだね。 浅田 前にも言ったように、戦後の日本に国葬の制度はないし、唯一の前例である吉田茂元首相と比べてさえ、安倍のように左翼を敵としそれをねじ伏せる形で強引に右傾化を進めたdivisiveな(対立を生む)政治家は国葬にふさわしくない。 選挙運動中に銃撃されて亡くなったのは気の毒だけれど、犯人が実家を家庭崩壊に追い込んだ旧・統一教会を恨み、旧・統一教会とつながりのある安倍を狙ったことが分かって、安倍派が右翼ナショナリズムを標榜しながら反共反日カルトから選挙応援を受けてたことが明るみに出ちゃった。これでは最初同情論が強かった世論が国葬反対に傾いたのも当然。 田中 別(わ)けても微苦笑を禁じ得なかったのは1958年に岡義武が上梓した岩波新書『山縣有朋 明治日本の象徴』が話題の中心になったことだ。筋金入りの「好戦論者」として知られ、安倍晋三応援団長を自任していたJR東海名誉会長の葛西敬之(よしゆき)(5月25日に81歳で逝去)から勧められて「熟読玩味」していたと明かされた。 とは言え、蛇蝎(だかつ)の如く「朝日・岩波文化人」を敵視していた2人の「置き土産」として、非業の最期から丁度3週間後の7月29日に岩波ホールを閉館した岩波書店に注文が殺到し、出版不況の中で思わぬ「御下賜金(ごかしきん)」が転がり込む展開になるとは、創業者の岩波茂雄もビックリだ。 改めて彼に関して検索したら、美濃部達吉の「天皇機関説」を支持する投稿を朝日新聞に行うも朝日サイドがビビッて不掲載にしたので「意気地なしだ」と批判する一方、高額納税者だったので貴族院多額納税者議員に互選されていたんだね。この辺りも香ばしい「朝日・岩波文化人」の面目躍如とも言える(苦笑)。 どうせなら、文藝春秋の専務も務め、「薩長嫌い」で知られる『文藝春秋』編集長だった歴史家の半藤利一(はんどう・かずとし)が1990年に上梓している『山縣有朋』も葛西が勧めていたらと、無い物ねだりをしたくなる。 軍人勅諭、教育勅語を設け、政党政治に反対し、黒岩涙香(るいこう)が1892年(明治25年)に創刊した、権力者の醜聞を糾す『萬朝報(よろずちょうほう)』の記者だった幸徳秋水を冤罪に陥れるべく「大逆事件」を捏造させ、第55代内閣総理大臣の石橋湛山をして「死もまた社会奉仕」と言わせしめた山縣の人となりを知る上でも。 浅田 その山縣を頂点とする長州閥の流れを汲むのが安倍だからね。 京都には庭が趣味だった山縣の別荘・無鄰菴(むりんあん)があって、日露戦争に向かう政権中枢の会議の舞台にもなったけど、公家や大名家の出身ならともかく、軍や政府の要職を歴任したとはいえ所詮は国家公務員の身であんな広壮な別荘が作れたんだから、どれだけ裏金が動いてたかってこと。 南禅寺エリアの庭園群と同じく琵琶湖疎水の水を庭に引いてるけど、あれも内相時代に疎水建設を認可したことへの返礼でしょう』、「安倍のように左翼を敵としそれをねじ伏せる形で強引に右傾化を進めたdivisiveな・・・政治家は国葬にふさわしくない。 選挙運動中に銃撃されて亡くなったのは気の毒だけれど、犯人が実家を家庭崩壊に追い込んだ旧・統一教会を恨み、旧・統一教会とつながりのある安倍を狙ったことが分かって、安倍派が右翼ナショナリズムを標榜しながら反共反日カルトから選挙応援を受けてたことが明るみに出ちゃった。これでは最初同情論が強かった世論が国葬反対に傾いたのも当然」、「京都には庭が趣味だった山縣の別荘・無鄰菴(むりんあん)があって、日露戦争に向かう政権中枢の会議の舞台にもなったけど、公家や大名家の出身ならともかく、軍や政府の要職を歴任したとはいえ所詮は国家公務員の身であんな広壮な別荘が作れたんだから、どれだけ裏金が動いてたかってこと」、「安倍派が右翼ナショナリズムを標榜しながら反共反日カルトから選挙応援を受けてたことが明るみに出ちゃった」、全くみっともない限りだ。
・『あの「選曲」は何だったのか? 田中 成る程ね(苦笑)。その「国葬儀」で選ばれた楽曲も「話題」を呼んだ。 陸上自衛隊中央音楽隊が黙祷の間に演奏したのは明治時代の軍歌「國の鎮め」、今上天皇の勅使、皇后宮使、上皇使、上皇后宮使が拝礼の際には「悠遠なる皇御國(すめらみくに)」 。 式典開始直前に流れていたルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーベンの交響曲第6番「田園」は、現首相の岸田文雄が掲げる「デジタル田園都市国家構想」をアシストしていると報じられた(苦笑)。 一番の“白眉”は献花の際に流れた、イタリアのジョヴァンニ・ヴェルガの小説『カヴァレリア・ルスティカーナ』を基にピエトロ・マスカーニが作曲し、1890年(明治23年)に初演されたオペラ『カヴァレリア・ルスティカーナ(田舎騎士道)』だ。 「日本を愛し、日本のために自身の健康を犠牲にしてまで総理大臣として活躍なさった方をお見送りするときにぴったりの選曲でした」と賞賛する一般人のブログでさえ、この楽曲に関しては「三角関係のもつれから主人公トゥリッドゥが決闘の末、死をとげるオペラの筋書きを考えると、安倍晋三元首相の国葬にはふさわしくない気もしますね」と述べている。 しかも作曲者のマスカーニは、ミラノのスカラ座の監督を狙って、ファシスト党政権下でベニート・ムッソリーニに猟官運動をしたのがブーメランとなって、イタリアが無条件降伏後に全財産を没収されてしまった数奇な運命の持ち主だ。 そこまで知った上で内閣府大臣官房の国葬儀事務局が選曲を担当したなら、それはそれで驚きだけど。 浅田 フランシス・フォード・コッポラ監督の『ゴッドファーザー』三部作は、マイケル・コルレオーネがシチリア島パレルモのマッシモ劇場で息子がオペラ歌手としてデビューするのを見たあと、帰りに正面の階段で銃撃されて娘(監督の娘ソフィア・コッポラが演ずる)が身代わりに死ぬのを目の当たりにするところが最後のクライマックス。 そのオペラが『カヴァレリア・ルスティカーナ』で、銃撃シーンのあとマイケルが廃人のようになって死ぬ終幕までその甘美な間奏曲が流れる。うまい選曲だよ。 日本政府の担当者がそこまで知ってて選んだのなら相当なものだけれど、まあ単に無知なんだろうな……。 田中 もとより「分断社会」の中で、賛成か反対かは多分に個々人の主観的な判断だけど、少なくとも英国には明確な「国葬」基準が設けられている。 国家元首の女王、国王は国葬。王以外を国葬とする場合は王室と議会の同意が必要。王以外の王室メンバー、首相経験者らは国葬に準じる「儀礼葬 ceremonial funeral」なので、ウェールズ公妃だったダイアナ・フランセス、元首相のマーガレット・サッチャーは儀礼葬。 日本は国会決議すら省いた「国葬儀」。このアバウトさでは、理詰めの言葉で闘う「外交」の土俵で成果を得られる訳もないよね。同じ島国でも、彼我(ひが)の差は大きい。 その意味では、HPの「NHKの概要・沿革など」トップに「みなさまに支えられて」と臆面もなく大書きしている日本放送協会を筆頭に、在京民放4局も全国ネットで生中継する中、テレビ東京の番組編成が話題となった。 14時からの「国葬儀」は生中継せず、13時40分から5分間だけ武道館前から式典直前の様子を伝える「報道特番」をオンエアした後は13時45分から15時40分まで米国映画『ベートーベン』(1992年公開)を放映した。 ランディ・エデルマンが音楽を担当していたから僕も観たことがあるけど、波瀾万丈な「運命」になりそうな犬だからと名付けられたセント・バーナードのベートーベンが巻き起こすドタバタ劇。 「国葬儀」当日は愛犬家がテレビ東京に大集合だ、とツイートしたけど、 若しかしたら「田園」だけでなくピアノソナタ第8番「悲壮」も流れた「国葬儀」へのオマージュだったのかも。だとしたら、実にあっぱれな番組編成方針だ(苦笑)』、「国家元首の女王、国王は国葬。王以外を国葬とする場合は王室と議会の同意が必要。王以外の王室メンバー、首相経験者らは国葬に準じる「儀礼葬 ceremonial funeral」なので、ウェールズ公妃だったダイアナ・フランセス、元首相のマーガレット・サッチャーは儀礼葬。 日本は国会決議すら省いた「国葬儀」。このアバウトさでは、理詰めの言葉で闘う「外交」の土俵で成果を得られる訳もないよね。同じ島国でも、彼我(ひが)の差は大きい」、本当に「このアバウトさ」にはほとほと呆れ果てる。
・「理想的」なシンボルを失った英国の今後 浅田 イギリス女王エリザベス2世は9月8日に96歳の生涯を閉じた。エリザベス1世はイギリスがスペインに勝って世界の海を支配する道を踏み出す時期の女王だったとしたら、2世は大英帝国の最後を象徴する女王だった。 戦争で疎開する子どもたちにラジオで励ましの挨拶を送った王女時代から、新型コロナウイルス感染症によるロックダウン下の国民にTVで励ましの挨拶を送った晩年まで、激動する世界の中で「古き良きイギリス」の象徴としての役割を見事に演じきったのは確か。 だけど、旧植民地国など56カ国からなるコモンウェルス(旧・英連邦)の長であり、そのうちカナダやオーストラリアを含む15の英連邦王国の元首でもあった彼女は、恐るべき暴力で世界を支配した大英帝国の象徴であり、植民地主義や白人至上主義について反省や謝罪を一切口にしなかったばかりか、イギリスがEUを離脱しても「グローバル・ブリテン」として自由に雄飛できるという妄想を国民に抱かせた張本人でもある。 そういう文脈で、欧米各国はもちろんイギリスでさえ、マス・メディアは女王を讃える論者とともに大英帝国の象徴として批判する旧植民地出身者らを必ず入れるようにしてた。 ところが、日本のマス・メディアは女王を礼賛し、ついでに「日本の皇室との心温まる交流」をフィーチャーするばかり……田中さんの言う国民の「眠度」にふさわしいのかもしれないね。 浅田 そもそも、彼女が女王になったのは、伯父エドワード8世が離婚歴のあるアメリカ人女性と結婚するため王位を投げ出し、父が吃音に苦しんでいたにもかかわらず急遽王位を受け継いでジョージ6世になったから。 こんど国王チャールズ3世となった長男も、王太子時代にダイアナ・スペンサーと結婚しながら、友人の妻だったカミラ・パーカー・ボウルズ(こんど王妃となった)との不倫関係を続けて離婚に至り、離婚後のダイアナがエジプト人の恋人と1997年に交通事故死したときは王室の対応が冷たいという批判が殺到、急遽、女王の母(クイーン・マザーとして人気のあった2002年に逝去のエリザベス・ボーズ=ライアン王太后)のために用意されてた計画を使って大規模な葬儀を行なう騒ぎだった。 次男のアンドルー王子も、少女売買春で悪名高いジェフリー・エプスタインの顧客リストに名前があった件で公務から外された──母の葬儀には「女王への特別な敬意の印」として軍服で参列することを許されたけど。 チャールズの次男ヘンリー(ハリー)王子も、アフリカ系の母をもち離婚歴のあるアメリカ人メーガン・マークルと結婚して以来、妻が英王室の人種差別を批判するなどして軋轢が生じ、王室を離脱するに至った──これまた祖母の葬儀には出席してたけど。 こうして見ると、エリザベス2世という「理想的」なシンボルを失った英王室は、早晩危機に直面するんじゃないか。 ちなみに、エリザベス2世は死の直前の9月6日にリズ・トラスを首相に任命した。即位のとき首相だったウィンストン・チャーチルから数えて15人目の首相。しかし、それが在職わずか50日で退陣に追い込まれたのは、エリザベス2世以後のイギリスの運命を暗示してるような感じも。 まあ、労働党左派の両親から生まれ、オックスフォード大学で自由民主党を代表して王政廃止論の論陣を張ったこともあるのに、保守党に入ってからは新自由主義に転じ、首相になってサッチャー=レーガン主義そのままの金持ち・大企業減税を打ち出したところ、ポンドの大暴落で政権を投げ出さざるを得なかったトラスが、浅はかすぎたんだけどね。 ただ、ポンドの暴落をもしのぐ円の暴落にもかかわらず、日本銀行が「異次元の金融緩和」を続け、国債を無際限に買い続けるから、政府が財源の裏付けもないのに29兆円を超える「補正予算」を組むっていう日本の現状を見ると、危機感の欠如って点でイギリスより病いが深いと言うほかないね。中編につづく』、「エリザベス2世という「理想的」なシンボルを失った英王室は、早晩危機に直面するんじゃないか」、その通りだろう。「異次元の金融緩和」については、昨日、小幅手直しが行われた。なお、「中編」以降の紹介は省略する。
次に、12月8日付けAERAdot「旧統一教会から訴えられた有田芳生氏が裁判で詳らかにする「教団による空気銃の大量輸入」衝撃の内容」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2022120700110.html?page=1
・『「今回の裁判は旧統一教会との『最終決戦』です」 1980年代の「霊感商法追及キャンペーン」以来、およそ35年間にわたって旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の闇に迫り続けてきたジャーナリストの有田芳生さん(70)は、教団から名誉毀損で訴えられたことについて、静かにそう語った。衝撃の内容を詳(つまび)らかにする。 事の始まりは8月19日。 日本テレビ系の情報番組「スッキリ」で有田さんが旧統一教会に対して次のように発言したことだった。 「霊感商法をやってきた反社会的集団だっていうのは警察庁ももう認めているわけですから」 これに対して旧統一教会は10月27日、都内で記者会見を開き、「事実ではない」と反論。日本テレビと有田さんに対して名誉毀損で訴訟を起こすと説明した』、「旧統一教会」が「日本テレビと有田さんに対して名誉毀損で訴訟」を起こしたのは、勝敗よりも組織防衛のためだろう。
・『旧統一教会の「有田退治」 これまで有田さんはメディアに出演する際、取材に基づいた慎重な発言を心がけてきた。うかつな発言をすれば執拗に反撃してくる旧統一教会の体質を熟知しているからだ。 同様に、有田さんがそんな人物であることは百も承知であろう旧統一教会があえて名誉毀損で訴えたのは、言論萎縮を目的とした「スラップ訴訟」である可能性もある。 そう、水を向けると、有田さんは「訴えられてからテレビの出演は一切なくなった」と言う。 「今回の件について、背景を語ってほしいという局もありました。スタジオに行く準備をしていたら、『ダメになった』と、連絡があった。あれは日本テレビでの発言ですから、他局が扱うのは問題ないはずですが、どこからも出演依頼がこなくなった。萎縮しているのか、わかりませんが……」 有田さんが入手した旧統一教会内部文書によると、教団は「有田対策」「有田退治」に力を注いできた。今回の訴訟も一見すると、旧統一教会の思惑どおりに進んでいるようにも見える。 だが、果たしてそうだろうか。) 有田さんは今回の訴訟について、こう語った。 「旧統一教会への圧力になると思うので、何年かかっても徹底的にやります。旧統一教会を社会的に包囲する。そのような裁判にしなければ意味がない」 先述した「スッキリ」での発言については、「そういう事実があった。ただ、それだけなんですよ」と語る』、「旧統一教会があえて名誉毀損で訴えたのは、言論萎縮を目的とした「スラップ訴訟」である可能性もある」、その通りだろう。
・『「オウムの次は統一教会」 有田さんが「朝日ジャーナル」(朝日新聞社)を舞台に旧統一教会について取材を始めたのは1986年。最初の記事から「異国(韓国)の団体(旧統一教会と国際勝共連合)」が日本の政治に介入していることについて深く切り込んだ。 その後、有田さんはオウム真理教事件をきっかけに、カルト宗教に詳しいジャーナリストとしてテレビでひっぱりだことなる。警察が有田さんと接触し始めたのはこのころだった。 「オウムの件で定期的に会っていました。向こうは情報が欲しかったし、こちらも同じだった」 主に会っていたのは警視庁公安部のS総務課長。さらに、「要所要所で警察庁公安第1課のT課長が出てきた」。T課長は全国の公安警察にオウム真理教関連の捜査を徹底させ、後に警視庁副総監となった人物である。 「地下鉄サリン事件」が起こった95年の秋のこと。 有田さんはこの2人から「旧統一教会についてレクチャーしてほしい」と依頼された。「そこに誰が集まっているのかは聞かないでほしい」と念押しされ、東京・麹町のホテルの一室を訪れた。 「目つきの鋭い男たち20~30人が狭い会議室にぎっしりと着席していました。おそらく全国の公安警察の幹部だと思います。二人は『オウムの次に統一教会を摘発の対象にしている』と、言っていました。さらに『相当な情報源ができた。経済問題から捜査に入る』と、具体的に語っていました」 95年といえば、まだオウム真理教事件の捜査の真っ最中である。オウム真理教とは違い、警察はかなり以前から旧統一教会の動向について目を光らせてきた』、「95年の秋」、「東京・麹町のホテルの一室を訪れた。 「目つきの鋭い男たち20~30人が狭い会議室にぎっしりと着席していました。おそらく全国の公安警察の幹部だと思います。二人は『オウムの次に統一教会を摘発の対象にしている』と、言っていました』、その当時は、公安警察はやる気十分だったようだ。
・『旧統一教会は「軍事組織」 有田さんの取材によると、警察は旧統一教会について「軍事組織」をも持っているという見方をしていたという。 「統一教会は60年代後半に2500丁の空気散弾銃を日本に持ち込んでいる。銃砲店もつくった。なので、当時から警察は統一教会を単なる宗教団体とは見ていなかった。『文鮮明機関』ですからね」と、有田さんは言う。 「文鮮明機関」とは何か?) 78年11月、米下院国際関係委員会国際機構小委員会、通称「フレイザー委員会」は旧統一教会の対米工作などについて最終報告書を公表した。報告書のなかで、フレイザー委員会は文鮮明を頂点とする旧統一教会を「文鮮明機関」と規定した。 報告書は、旧統一教会と韓国政府、韓国中央情報部(KCIA)との密接な関係のほか、教団の関連企業が韓国の軍需産業の一翼を担ってライフル銃や対空砲の部品生産を行い、第三国へ輸出する工作さえしようとした、と指摘している。 この軍需企業が、日本へ空気銃を輸出した「統一産業」である。68年に輸入したのは「幸世物産」で、ともに名の知れた旧統一教会の関連企業である。 「空気銃」といっても、おもちゃのようなしろものではまったくない。73年4月の衆議院内閣委員会での答弁によると、「鋭和3B」空気銃は10メートル離れた厚さ2センチの板を貫通する威力がある。当時の通商産業省重工業局長は、「(鋭和3Bは)現実に輸入されましたものが1万5700丁でございます」と説明。中路雅弘衆院議員(当時)も、「非常に殺傷能力を持った銃」と語っている』、「68年に輸入したのは「幸世物産」で、ともに名の知れた旧統一教会の関連企業」、「「空気銃」といっても、おもちゃのようなしろものではまったくない・・・「鋭和3B」空気銃は10メートル離れた厚さ2センチの板を貫通する威力」・・・「現実に輸入されましたものが1万5700丁」、かなりの「威力」のある「銃」が「1万5700丁」も輸入されたようだ。現在これらはきちんと登録されているのだろうか。
・『教団を守った「政治の力」 オウム真理教事件の直後、警察幹部は「次は統一教会を潰す」と、あれほど意気込んでいたにもかかわらず、結局、動かなかった。 なぜか。 いまでもよく覚えていますが、ぼくがレクチャーしてから10年後、Sさんら警視庁公安部の人たちに『いまだから言えることを教えてください』と、尋ねてみたのです。すると、驚くような事実をいくつもしゃべった。ただ、摘発できなかった理由についてはひと言だけ、『政治の力だよ』と、口にした」 有田さんは裁判を通じて、警察がなぜ旧統一教会を反社会的団体と認識していたのか、その根拠を明らかにしていくつもりだ。裁判が長引けば長引くほど、世間の目は旧統一教会にずっと向けられる。35年もの間、旧統一教会を追ってきた有田さんが今後、教団とどのような闘いをするのか、明らかになる』、「摘発できなかった理由についてはひと言だけ、『政治の力だよ』と、口にした」、自民党がそんなに以前から「旧統一教会」を守るような動きをしていたとは、驚かされた。今後、「有田さんは裁判を通じて」明らかにしてゆきのを期待したい。
第三に、12月17日付け東洋経済オンラインが掲載した弁護士/リンク総合法律事務所所長の紀藤 正樹氏による「旧統一教会問題第一人者が語る「空白の30年」 なぜ日本で対カルトの法律ができなかったのか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/639144
・『安倍晋三元首相の銃撃事件をきっかけに、カルト宗教の問題がクローズアップされました。高額献金、児童虐待、さらに政治との関係など、さまざまな問題が議論されています。30年以上も前からカルト宗教の問題に警鐘を鳴らし、被害者に寄り添ってきた紀藤正樹弁護士。ようやくカルト問題が社会問題化し、法整備の段階に至った今、その思いを著書『カルト宗教』から一部引用・再構成して紹介します』、興味深そうだ。
・『カルト宗教の問題は今に始まったことではない 2022年7日8日、参議院選挙における街頭演説中に安倍晋三元首相が銃撃されて殺害されました。その犯行の動機に、「世界基督教統一神霊協会」(現「世界平和統一家庭連合」。以下、「統一教会」)が関係しているのではないかとされたことをきっかけに、カルト宗教の問題がメディアなどで大きく取り上げられるようになります。 統一教会は以前から問題が指摘されていた宗教団体です。安倍元首相銃撃事件以降、さまざまなメディアで統一教会の実態が報じられ、霊感商法、高額献金、家族破壊、政治への浸透など、カルト宗教の問題に世間の目が向けられました。日本社会に大きな波紋が広がっていったのです。 カルト宗教における労働収奪、性的収奪、児童虐待などの問題が表面化するにしたがって、そうした人権蹂躙の負の連鎖を断ち切るための社会的、法的、行政的なしくみを構築する必要があるとの声が強くなっています。) 銃撃事件が起きる2年ほど前、私は、雑誌『中外日報』に「後を絶たない『カルト被害』」と題したコラムを寄稿しました。オウム真理教による地下鉄サリン事件から25年が経過しているにもかかわらず、カルト宗教による被害がまだ続いていることと、被害者の救済対策が今なお不十分であることを強く主張したのです。記事の一部を抜粋して引用しましょう。 日本は、カルト被害の救済に対する姿勢がなお不十分であり、途上であるというべきである。オウム真理教事件を体験した以降も、日本のカルト対策はあいかわらず貧困な状態にあり。それが現在の後を絶たない日本のカルト被害問題の原因となっている。 実際に、松本、地下鉄サリン両事件での死者だけでも20人以上、死傷者は約6千人にも上る。世界でも未曾有のこの事件について、日本は、政府として、未だに総括も調査もしていないし、報告書も作成していない。立法府である国会も特別な調査委員会すら設置していない。なぜ事件がおきたのか、そしてどうすれば今後二度と事件をおこさないですむのか、という問いに対し、日本としての答えが、未だにない状態にある。(中略) カルト対策は、「信者収奪型」の事件にいかに向き合うかが大切である。信者の自己責任として放置しない法制をどう構築していくのか、二度とオウム事件を引き起こさないためにも、日本の未来に託された課題である。 安倍元首相銃撃事件について、後日警察から、容疑者(当時)の犯行動機が「統一教会への恨み」に端を発するものであったと公表されました。まさに、「日本の未来に託された課題」が解決されないまま、危惧していたことが現実になってしまったのです』、「松本、地下鉄サリン両事件での死者だけでも20人以上、死傷者は約6千人にも上る。世界でも未曾有のこの事件について、日本は、政府として、未だに総括も調査もしていないし、報告書も作成していない。立法府である国会も特別な調査委員会すら設置していない。なぜ事件がおきたのか、そしてどうすれば今後二度と事件をおこさないですむのか、という問いに対し、日本としての答えが、未だにない状態にある」、驚くべきことだ。日本は過去の総括が大の苦手のようだ。
・『国もメディアも動いてくれなかった「空白の30年」 銃撃事件から遡ること30年――1992年に統一教会が主催する合同結婚式や、霊感商法がクローズアップされたことがありました。それ以来、統一教会が社会の表舞台に登場することはありませんでした。しかし、私や、カルト被害者の救済に取り組む同志たちは、その後も統一教会による被害が続いているということ、そして、その対策を講じる必要があるということを、さんざん訴えてきました。 それにもかかわらず、国は動いてくれませんでした。メディアも、なかなか取り上げようとはしてくれませんでした。こうして、ずっと野放しにされてきた結果、「空白の30年」が生まれ、元首相が銃撃されるという非常にショッキングな事件を引き起こすきっかけとなってしまったのです。 もしも空白の30年がなかったら、事件の発生を未然に防ぐことができたと断言はできませんが、可能性を小さくすることはできたのではないかと思います。少なくとも、霊感商法等で金銭を収奪される被害者や、生まれたときから生き方や考え方を強要される宗教2世(両親がカルト宗教の信者)の数を大きく減らすことはできたでしょう。統一教会のみならず、カルト宗教や自己啓発セミナーなどのカルト的な団体に苦しめられる人を少なくすることができたはずです。) 欧米では80年代以降、教義の是非に立ち入ることなく、カルト的な団体が引き起こす現象に焦点を当て、厳正に対処していくための法整備がなされました。その結果、カルト被害は大きく減っています。なぜ、諸外国にできて日本にはできないのか。私は不思議で仕方がありません。 日本には「信教の自由」の限界が論じられてきた歴史がありません。だから、国も憲法学者も、「こういう場合はだめ」という具体的な指標に言及したがらない風潮があります。私にいわせれば、たんなる怠慢です。個人の自由な意思や信教を侵害するカルト宗教を、信教の自由を理由に擁護するのは本末転倒でしょう。 例えば、表現の自由については名誉毀損やプライバシーの侵害という概念が広く浸透しています。国民の多くは、表現の自由にも限界があることを理解しています。一方、信教の自由は、「あり・なし」「許される・許されない」「合法・違法」を分かつラインが曖昧です。限界がどこにあるのか、いまだに判然としません。このような現状が続くかぎり、政治家、官僚、学者らがカルト問題に対していつまでも及び腰となり、カルトの暴走を止めることはかなわないのです』、「欧米では80年代以降、教義の是非に立ち入ることなく、カルト的な団体が引き起こす現象に焦点を当て、厳正に対処していくための法整備がなされました。その結果、カルト被害は大きく減っています。なぜ、諸外国にできて日本にはできないのか。私は不思議で仕方がありません。 日本には「信教の自由」の限界が論じられてきた歴史がありません。だから、国も憲法学者も、「こういう場合はだめ」という具体的な指標に言及したがらない風潮があります。私にいわせれば、たんなる怠慢です。個人の自由な意思や信教を侵害するカルト宗教を、信教の自由を理由に擁護するのは本末転倒でしょう」、「信教の自由は、「あり・なし」「許される・許されない」「合法・違法」を分かつラインが曖昧です。限界がどこにあるのか、いまだに判然としません。このような現状が続くかぎり、政治家、官僚、学者らがカルト問題に対していつまでも及び腰となり、カルトの暴走を止めることはかなわないのです」、その通りだ。
・『カルト宗教についての知識があなたの身を守る 私の目的、願いは終始一貫しています。とにもかくにも、カルト被害者を減らし、救済すること。そして究極的には、カルト宗教を根絶させることです。そのためなら、努力は惜しみません。これからも、法律的規制の整備の必要性を国に訴えつつ、情報を提供したり、活動に協力したりしていきます。 それに加え、社会的規制も強化していかねばならないとも考えています。オウム真理教が事件を起こした直後は、カルトに対する社会の目が厳しくなり、一時的にカルト的な団体は息を潜めました。しかし、社会の関心もほどなく薄れていきました。カルトに対する社会的規制を恒常的に敷き続けるためには、多くの人々にカルトの実態を把握していただくことが必要です。これが被害者をなくすための、まさに第一歩となるのです。 カルト的な団体を野放しにしてはいけないということを、みなさんになにがなんでも知っていただきたい。だから私はカルトに関する情報を広く世の中に発信し続けています。 そもそもカルト宗教とはどういうものなのか。マインド・コントロールなどの勧誘の手口や活動内容。収奪や虐待など人権蹂躙の実態。カルト宗教と政治(家)との関係。家族や知人を脱会させる方法と脱会後について。国や私たちがこれからすべきこと。こういったカルト宗教に関する深い知識を身につけることが、あなた自身の身を守るために、家族や知人が被害に遭わないために、そして、被害に遭ってしまった人たちを救うことにつながる、そう信じています』、「カルトに対する社会的規制を恒常的に敷き続けるためには、多くの人々にカルトの実態を把握していただくことが必要です。これが被害者をなくすための、まさに第一歩となるのです」、同感である。旧統一教会の被害者救済法案、会期内に成立の見込みとなった。不完全なものでも、「被害者救済」の第一歩となることを期待したい。
先ずは、11月2日付け現代ビジネス「安倍晋三とエリザベス女王の「国葬」を改めて総括してみよう《田中康夫・浅田彰》「憂国呆談」第4回(前)」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/101670?imp=0
・『田中康夫・浅田彰の名物世相対談「憂国呆談」、今回は二つの「国葬」を終えた内外の情勢から、二人の対話は始まります』、興味深そうだ。
・『産経でさえ「よくなかった」59・2% 田中 千代田区北の丸公園の日本武道館で9月27日に実施された「故安倍晋三国葬儀」は、さまざまな意味で令和4年・皇紀2682年・西暦2022年の日本国を体現していた。 いまだにSNS上では甲論乙駁状態だけど、産経新聞社が10月17日に発表した世論調査でも国葬儀は「よくなかった」59・2%、「よかった」35・2%だった。唯一、賛成が上回ったのは前回も話したように、ツイッターの捨て垢で1人が幾度も投票可能だった『月刊Hanada』の緊急アンケートのみ。 雌雄は決せられた感じだね。 浅田 前にも言ったように、戦後の日本に国葬の制度はないし、唯一の前例である吉田茂元首相と比べてさえ、安倍のように左翼を敵としそれをねじ伏せる形で強引に右傾化を進めたdivisiveな(対立を生む)政治家は国葬にふさわしくない。 選挙運動中に銃撃されて亡くなったのは気の毒だけれど、犯人が実家を家庭崩壊に追い込んだ旧・統一教会を恨み、旧・統一教会とつながりのある安倍を狙ったことが分かって、安倍派が右翼ナショナリズムを標榜しながら反共反日カルトから選挙応援を受けてたことが明るみに出ちゃった。これでは最初同情論が強かった世論が国葬反対に傾いたのも当然。 田中 別(わ)けても微苦笑を禁じ得なかったのは1958年に岡義武が上梓した岩波新書『山縣有朋 明治日本の象徴』が話題の中心になったことだ。筋金入りの「好戦論者」として知られ、安倍晋三応援団長を自任していたJR東海名誉会長の葛西敬之(よしゆき)(5月25日に81歳で逝去)から勧められて「熟読玩味」していたと明かされた。 とは言え、蛇蝎(だかつ)の如く「朝日・岩波文化人」を敵視していた2人の「置き土産」として、非業の最期から丁度3週間後の7月29日に岩波ホールを閉館した岩波書店に注文が殺到し、出版不況の中で思わぬ「御下賜金(ごかしきん)」が転がり込む展開になるとは、創業者の岩波茂雄もビックリだ。 改めて彼に関して検索したら、美濃部達吉の「天皇機関説」を支持する投稿を朝日新聞に行うも朝日サイドがビビッて不掲載にしたので「意気地なしだ」と批判する一方、高額納税者だったので貴族院多額納税者議員に互選されていたんだね。この辺りも香ばしい「朝日・岩波文化人」の面目躍如とも言える(苦笑)。 どうせなら、文藝春秋の専務も務め、「薩長嫌い」で知られる『文藝春秋』編集長だった歴史家の半藤利一(はんどう・かずとし)が1990年に上梓している『山縣有朋』も葛西が勧めていたらと、無い物ねだりをしたくなる。 軍人勅諭、教育勅語を設け、政党政治に反対し、黒岩涙香(るいこう)が1892年(明治25年)に創刊した、権力者の醜聞を糾す『萬朝報(よろずちょうほう)』の記者だった幸徳秋水を冤罪に陥れるべく「大逆事件」を捏造させ、第55代内閣総理大臣の石橋湛山をして「死もまた社会奉仕」と言わせしめた山縣の人となりを知る上でも。 浅田 その山縣を頂点とする長州閥の流れを汲むのが安倍だからね。 京都には庭が趣味だった山縣の別荘・無鄰菴(むりんあん)があって、日露戦争に向かう政権中枢の会議の舞台にもなったけど、公家や大名家の出身ならともかく、軍や政府の要職を歴任したとはいえ所詮は国家公務員の身であんな広壮な別荘が作れたんだから、どれだけ裏金が動いてたかってこと。 南禅寺エリアの庭園群と同じく琵琶湖疎水の水を庭に引いてるけど、あれも内相時代に疎水建設を認可したことへの返礼でしょう』、「安倍のように左翼を敵としそれをねじ伏せる形で強引に右傾化を進めたdivisiveな・・・政治家は国葬にふさわしくない。 選挙運動中に銃撃されて亡くなったのは気の毒だけれど、犯人が実家を家庭崩壊に追い込んだ旧・統一教会を恨み、旧・統一教会とつながりのある安倍を狙ったことが分かって、安倍派が右翼ナショナリズムを標榜しながら反共反日カルトから選挙応援を受けてたことが明るみに出ちゃった。これでは最初同情論が強かった世論が国葬反対に傾いたのも当然」、「京都には庭が趣味だった山縣の別荘・無鄰菴(むりんあん)があって、日露戦争に向かう政権中枢の会議の舞台にもなったけど、公家や大名家の出身ならともかく、軍や政府の要職を歴任したとはいえ所詮は国家公務員の身であんな広壮な別荘が作れたんだから、どれだけ裏金が動いてたかってこと」、「安倍派が右翼ナショナリズムを標榜しながら反共反日カルトから選挙応援を受けてたことが明るみに出ちゃった」、全くみっともない限りだ。
・『あの「選曲」は何だったのか? 田中 成る程ね(苦笑)。その「国葬儀」で選ばれた楽曲も「話題」を呼んだ。 陸上自衛隊中央音楽隊が黙祷の間に演奏したのは明治時代の軍歌「國の鎮め」、今上天皇の勅使、皇后宮使、上皇使、上皇后宮使が拝礼の際には「悠遠なる皇御國(すめらみくに)」 。 式典開始直前に流れていたルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーベンの交響曲第6番「田園」は、現首相の岸田文雄が掲げる「デジタル田園都市国家構想」をアシストしていると報じられた(苦笑)。 一番の“白眉”は献花の際に流れた、イタリアのジョヴァンニ・ヴェルガの小説『カヴァレリア・ルスティカーナ』を基にピエトロ・マスカーニが作曲し、1890年(明治23年)に初演されたオペラ『カヴァレリア・ルスティカーナ(田舎騎士道)』だ。 「日本を愛し、日本のために自身の健康を犠牲にしてまで総理大臣として活躍なさった方をお見送りするときにぴったりの選曲でした」と賞賛する一般人のブログでさえ、この楽曲に関しては「三角関係のもつれから主人公トゥリッドゥが決闘の末、死をとげるオペラの筋書きを考えると、安倍晋三元首相の国葬にはふさわしくない気もしますね」と述べている。 しかも作曲者のマスカーニは、ミラノのスカラ座の監督を狙って、ファシスト党政権下でベニート・ムッソリーニに猟官運動をしたのがブーメランとなって、イタリアが無条件降伏後に全財産を没収されてしまった数奇な運命の持ち主だ。 そこまで知った上で内閣府大臣官房の国葬儀事務局が選曲を担当したなら、それはそれで驚きだけど。 浅田 フランシス・フォード・コッポラ監督の『ゴッドファーザー』三部作は、マイケル・コルレオーネがシチリア島パレルモのマッシモ劇場で息子がオペラ歌手としてデビューするのを見たあと、帰りに正面の階段で銃撃されて娘(監督の娘ソフィア・コッポラが演ずる)が身代わりに死ぬのを目の当たりにするところが最後のクライマックス。 そのオペラが『カヴァレリア・ルスティカーナ』で、銃撃シーンのあとマイケルが廃人のようになって死ぬ終幕までその甘美な間奏曲が流れる。うまい選曲だよ。 日本政府の担当者がそこまで知ってて選んだのなら相当なものだけれど、まあ単に無知なんだろうな……。 田中 もとより「分断社会」の中で、賛成か反対かは多分に個々人の主観的な判断だけど、少なくとも英国には明確な「国葬」基準が設けられている。 国家元首の女王、国王は国葬。王以外を国葬とする場合は王室と議会の同意が必要。王以外の王室メンバー、首相経験者らは国葬に準じる「儀礼葬 ceremonial funeral」なので、ウェールズ公妃だったダイアナ・フランセス、元首相のマーガレット・サッチャーは儀礼葬。 日本は国会決議すら省いた「国葬儀」。このアバウトさでは、理詰めの言葉で闘う「外交」の土俵で成果を得られる訳もないよね。同じ島国でも、彼我(ひが)の差は大きい。 その意味では、HPの「NHKの概要・沿革など」トップに「みなさまに支えられて」と臆面もなく大書きしている日本放送協会を筆頭に、在京民放4局も全国ネットで生中継する中、テレビ東京の番組編成が話題となった。 14時からの「国葬儀」は生中継せず、13時40分から5分間だけ武道館前から式典直前の様子を伝える「報道特番」をオンエアした後は13時45分から15時40分まで米国映画『ベートーベン』(1992年公開)を放映した。 ランディ・エデルマンが音楽を担当していたから僕も観たことがあるけど、波瀾万丈な「運命」になりそうな犬だからと名付けられたセント・バーナードのベートーベンが巻き起こすドタバタ劇。 「国葬儀」当日は愛犬家がテレビ東京に大集合だ、とツイートしたけど、 若しかしたら「田園」だけでなくピアノソナタ第8番「悲壮」も流れた「国葬儀」へのオマージュだったのかも。だとしたら、実にあっぱれな番組編成方針だ(苦笑)』、「国家元首の女王、国王は国葬。王以外を国葬とする場合は王室と議会の同意が必要。王以外の王室メンバー、首相経験者らは国葬に準じる「儀礼葬 ceremonial funeral」なので、ウェールズ公妃だったダイアナ・フランセス、元首相のマーガレット・サッチャーは儀礼葬。 日本は国会決議すら省いた「国葬儀」。このアバウトさでは、理詰めの言葉で闘う「外交」の土俵で成果を得られる訳もないよね。同じ島国でも、彼我(ひが)の差は大きい」、本当に「このアバウトさ」にはほとほと呆れ果てる。
・「理想的」なシンボルを失った英国の今後 浅田 イギリス女王エリザベス2世は9月8日に96歳の生涯を閉じた。エリザベス1世はイギリスがスペインに勝って世界の海を支配する道を踏み出す時期の女王だったとしたら、2世は大英帝国の最後を象徴する女王だった。 戦争で疎開する子どもたちにラジオで励ましの挨拶を送った王女時代から、新型コロナウイルス感染症によるロックダウン下の国民にTVで励ましの挨拶を送った晩年まで、激動する世界の中で「古き良きイギリス」の象徴としての役割を見事に演じきったのは確か。 だけど、旧植民地国など56カ国からなるコモンウェルス(旧・英連邦)の長であり、そのうちカナダやオーストラリアを含む15の英連邦王国の元首でもあった彼女は、恐るべき暴力で世界を支配した大英帝国の象徴であり、植民地主義や白人至上主義について反省や謝罪を一切口にしなかったばかりか、イギリスがEUを離脱しても「グローバル・ブリテン」として自由に雄飛できるという妄想を国民に抱かせた張本人でもある。 そういう文脈で、欧米各国はもちろんイギリスでさえ、マス・メディアは女王を讃える論者とともに大英帝国の象徴として批判する旧植民地出身者らを必ず入れるようにしてた。 ところが、日本のマス・メディアは女王を礼賛し、ついでに「日本の皇室との心温まる交流」をフィーチャーするばかり……田中さんの言う国民の「眠度」にふさわしいのかもしれないね。 浅田 そもそも、彼女が女王になったのは、伯父エドワード8世が離婚歴のあるアメリカ人女性と結婚するため王位を投げ出し、父が吃音に苦しんでいたにもかかわらず急遽王位を受け継いでジョージ6世になったから。 こんど国王チャールズ3世となった長男も、王太子時代にダイアナ・スペンサーと結婚しながら、友人の妻だったカミラ・パーカー・ボウルズ(こんど王妃となった)との不倫関係を続けて離婚に至り、離婚後のダイアナがエジプト人の恋人と1997年に交通事故死したときは王室の対応が冷たいという批判が殺到、急遽、女王の母(クイーン・マザーとして人気のあった2002年に逝去のエリザベス・ボーズ=ライアン王太后)のために用意されてた計画を使って大規模な葬儀を行なう騒ぎだった。 次男のアンドルー王子も、少女売買春で悪名高いジェフリー・エプスタインの顧客リストに名前があった件で公務から外された──母の葬儀には「女王への特別な敬意の印」として軍服で参列することを許されたけど。 チャールズの次男ヘンリー(ハリー)王子も、アフリカ系の母をもち離婚歴のあるアメリカ人メーガン・マークルと結婚して以来、妻が英王室の人種差別を批判するなどして軋轢が生じ、王室を離脱するに至った──これまた祖母の葬儀には出席してたけど。 こうして見ると、エリザベス2世という「理想的」なシンボルを失った英王室は、早晩危機に直面するんじゃないか。 ちなみに、エリザベス2世は死の直前の9月6日にリズ・トラスを首相に任命した。即位のとき首相だったウィンストン・チャーチルから数えて15人目の首相。しかし、それが在職わずか50日で退陣に追い込まれたのは、エリザベス2世以後のイギリスの運命を暗示してるような感じも。 まあ、労働党左派の両親から生まれ、オックスフォード大学で自由民主党を代表して王政廃止論の論陣を張ったこともあるのに、保守党に入ってからは新自由主義に転じ、首相になってサッチャー=レーガン主義そのままの金持ち・大企業減税を打ち出したところ、ポンドの大暴落で政権を投げ出さざるを得なかったトラスが、浅はかすぎたんだけどね。 ただ、ポンドの暴落をもしのぐ円の暴落にもかかわらず、日本銀行が「異次元の金融緩和」を続け、国債を無際限に買い続けるから、政府が財源の裏付けもないのに29兆円を超える「補正予算」を組むっていう日本の現状を見ると、危機感の欠如って点でイギリスより病いが深いと言うほかないね。中編につづく』、「エリザベス2世という「理想的」なシンボルを失った英王室は、早晩危機に直面するんじゃないか」、その通りだろう。「異次元の金融緩和」については、昨日、小幅手直しが行われた。なお、「中編」以降の紹介は省略する。
次に、12月8日付けAERAdot「旧統一教会から訴えられた有田芳生氏が裁判で詳らかにする「教団による空気銃の大量輸入」衝撃の内容」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2022120700110.html?page=1
・『「今回の裁判は旧統一教会との『最終決戦』です」 1980年代の「霊感商法追及キャンペーン」以来、およそ35年間にわたって旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の闇に迫り続けてきたジャーナリストの有田芳生さん(70)は、教団から名誉毀損で訴えられたことについて、静かにそう語った。衝撃の内容を詳(つまび)らかにする。 事の始まりは8月19日。 日本テレビ系の情報番組「スッキリ」で有田さんが旧統一教会に対して次のように発言したことだった。 「霊感商法をやってきた反社会的集団だっていうのは警察庁ももう認めているわけですから」 これに対して旧統一教会は10月27日、都内で記者会見を開き、「事実ではない」と反論。日本テレビと有田さんに対して名誉毀損で訴訟を起こすと説明した』、「旧統一教会」が「日本テレビと有田さんに対して名誉毀損で訴訟」を起こしたのは、勝敗よりも組織防衛のためだろう。
・『旧統一教会の「有田退治」 これまで有田さんはメディアに出演する際、取材に基づいた慎重な発言を心がけてきた。うかつな発言をすれば執拗に反撃してくる旧統一教会の体質を熟知しているからだ。 同様に、有田さんがそんな人物であることは百も承知であろう旧統一教会があえて名誉毀損で訴えたのは、言論萎縮を目的とした「スラップ訴訟」である可能性もある。 そう、水を向けると、有田さんは「訴えられてからテレビの出演は一切なくなった」と言う。 「今回の件について、背景を語ってほしいという局もありました。スタジオに行く準備をしていたら、『ダメになった』と、連絡があった。あれは日本テレビでの発言ですから、他局が扱うのは問題ないはずですが、どこからも出演依頼がこなくなった。萎縮しているのか、わかりませんが……」 有田さんが入手した旧統一教会内部文書によると、教団は「有田対策」「有田退治」に力を注いできた。今回の訴訟も一見すると、旧統一教会の思惑どおりに進んでいるようにも見える。 だが、果たしてそうだろうか。) 有田さんは今回の訴訟について、こう語った。 「旧統一教会への圧力になると思うので、何年かかっても徹底的にやります。旧統一教会を社会的に包囲する。そのような裁判にしなければ意味がない」 先述した「スッキリ」での発言については、「そういう事実があった。ただ、それだけなんですよ」と語る』、「旧統一教会があえて名誉毀損で訴えたのは、言論萎縮を目的とした「スラップ訴訟」である可能性もある」、その通りだろう。
・『「オウムの次は統一教会」 有田さんが「朝日ジャーナル」(朝日新聞社)を舞台に旧統一教会について取材を始めたのは1986年。最初の記事から「異国(韓国)の団体(旧統一教会と国際勝共連合)」が日本の政治に介入していることについて深く切り込んだ。 その後、有田さんはオウム真理教事件をきっかけに、カルト宗教に詳しいジャーナリストとしてテレビでひっぱりだことなる。警察が有田さんと接触し始めたのはこのころだった。 「オウムの件で定期的に会っていました。向こうは情報が欲しかったし、こちらも同じだった」 主に会っていたのは警視庁公安部のS総務課長。さらに、「要所要所で警察庁公安第1課のT課長が出てきた」。T課長は全国の公安警察にオウム真理教関連の捜査を徹底させ、後に警視庁副総監となった人物である。 「地下鉄サリン事件」が起こった95年の秋のこと。 有田さんはこの2人から「旧統一教会についてレクチャーしてほしい」と依頼された。「そこに誰が集まっているのかは聞かないでほしい」と念押しされ、東京・麹町のホテルの一室を訪れた。 「目つきの鋭い男たち20~30人が狭い会議室にぎっしりと着席していました。おそらく全国の公安警察の幹部だと思います。二人は『オウムの次に統一教会を摘発の対象にしている』と、言っていました。さらに『相当な情報源ができた。経済問題から捜査に入る』と、具体的に語っていました」 95年といえば、まだオウム真理教事件の捜査の真っ最中である。オウム真理教とは違い、警察はかなり以前から旧統一教会の動向について目を光らせてきた』、「95年の秋」、「東京・麹町のホテルの一室を訪れた。 「目つきの鋭い男たち20~30人が狭い会議室にぎっしりと着席していました。おそらく全国の公安警察の幹部だと思います。二人は『オウムの次に統一教会を摘発の対象にしている』と、言っていました』、その当時は、公安警察はやる気十分だったようだ。
・『旧統一教会は「軍事組織」 有田さんの取材によると、警察は旧統一教会について「軍事組織」をも持っているという見方をしていたという。 「統一教会は60年代後半に2500丁の空気散弾銃を日本に持ち込んでいる。銃砲店もつくった。なので、当時から警察は統一教会を単なる宗教団体とは見ていなかった。『文鮮明機関』ですからね」と、有田さんは言う。 「文鮮明機関」とは何か?) 78年11月、米下院国際関係委員会国際機構小委員会、通称「フレイザー委員会」は旧統一教会の対米工作などについて最終報告書を公表した。報告書のなかで、フレイザー委員会は文鮮明を頂点とする旧統一教会を「文鮮明機関」と規定した。 報告書は、旧統一教会と韓国政府、韓国中央情報部(KCIA)との密接な関係のほか、教団の関連企業が韓国の軍需産業の一翼を担ってライフル銃や対空砲の部品生産を行い、第三国へ輸出する工作さえしようとした、と指摘している。 この軍需企業が、日本へ空気銃を輸出した「統一産業」である。68年に輸入したのは「幸世物産」で、ともに名の知れた旧統一教会の関連企業である。 「空気銃」といっても、おもちゃのようなしろものではまったくない。73年4月の衆議院内閣委員会での答弁によると、「鋭和3B」空気銃は10メートル離れた厚さ2センチの板を貫通する威力がある。当時の通商産業省重工業局長は、「(鋭和3Bは)現実に輸入されましたものが1万5700丁でございます」と説明。中路雅弘衆院議員(当時)も、「非常に殺傷能力を持った銃」と語っている』、「68年に輸入したのは「幸世物産」で、ともに名の知れた旧統一教会の関連企業」、「「空気銃」といっても、おもちゃのようなしろものではまったくない・・・「鋭和3B」空気銃は10メートル離れた厚さ2センチの板を貫通する威力」・・・「現実に輸入されましたものが1万5700丁」、かなりの「威力」のある「銃」が「1万5700丁」も輸入されたようだ。現在これらはきちんと登録されているのだろうか。
・『教団を守った「政治の力」 オウム真理教事件の直後、警察幹部は「次は統一教会を潰す」と、あれほど意気込んでいたにもかかわらず、結局、動かなかった。 なぜか。 いまでもよく覚えていますが、ぼくがレクチャーしてから10年後、Sさんら警視庁公安部の人たちに『いまだから言えることを教えてください』と、尋ねてみたのです。すると、驚くような事実をいくつもしゃべった。ただ、摘発できなかった理由についてはひと言だけ、『政治の力だよ』と、口にした」 有田さんは裁判を通じて、警察がなぜ旧統一教会を反社会的団体と認識していたのか、その根拠を明らかにしていくつもりだ。裁判が長引けば長引くほど、世間の目は旧統一教会にずっと向けられる。35年もの間、旧統一教会を追ってきた有田さんが今後、教団とどのような闘いをするのか、明らかになる』、「摘発できなかった理由についてはひと言だけ、『政治の力だよ』と、口にした」、自民党がそんなに以前から「旧統一教会」を守るような動きをしていたとは、驚かされた。今後、「有田さんは裁判を通じて」明らかにしてゆきのを期待したい。
第三に、12月17日付け東洋経済オンラインが掲載した弁護士/リンク総合法律事務所所長の紀藤 正樹氏による「旧統一教会問題第一人者が語る「空白の30年」 なぜ日本で対カルトの法律ができなかったのか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/639144
・『安倍晋三元首相の銃撃事件をきっかけに、カルト宗教の問題がクローズアップされました。高額献金、児童虐待、さらに政治との関係など、さまざまな問題が議論されています。30年以上も前からカルト宗教の問題に警鐘を鳴らし、被害者に寄り添ってきた紀藤正樹弁護士。ようやくカルト問題が社会問題化し、法整備の段階に至った今、その思いを著書『カルト宗教』から一部引用・再構成して紹介します』、興味深そうだ。
・『カルト宗教の問題は今に始まったことではない 2022年7日8日、参議院選挙における街頭演説中に安倍晋三元首相が銃撃されて殺害されました。その犯行の動機に、「世界基督教統一神霊協会」(現「世界平和統一家庭連合」。以下、「統一教会」)が関係しているのではないかとされたことをきっかけに、カルト宗教の問題がメディアなどで大きく取り上げられるようになります。 統一教会は以前から問題が指摘されていた宗教団体です。安倍元首相銃撃事件以降、さまざまなメディアで統一教会の実態が報じられ、霊感商法、高額献金、家族破壊、政治への浸透など、カルト宗教の問題に世間の目が向けられました。日本社会に大きな波紋が広がっていったのです。 カルト宗教における労働収奪、性的収奪、児童虐待などの問題が表面化するにしたがって、そうした人権蹂躙の負の連鎖を断ち切るための社会的、法的、行政的なしくみを構築する必要があるとの声が強くなっています。) 銃撃事件が起きる2年ほど前、私は、雑誌『中外日報』に「後を絶たない『カルト被害』」と題したコラムを寄稿しました。オウム真理教による地下鉄サリン事件から25年が経過しているにもかかわらず、カルト宗教による被害がまだ続いていることと、被害者の救済対策が今なお不十分であることを強く主張したのです。記事の一部を抜粋して引用しましょう。 日本は、カルト被害の救済に対する姿勢がなお不十分であり、途上であるというべきである。オウム真理教事件を体験した以降も、日本のカルト対策はあいかわらず貧困な状態にあり。それが現在の後を絶たない日本のカルト被害問題の原因となっている。 実際に、松本、地下鉄サリン両事件での死者だけでも20人以上、死傷者は約6千人にも上る。世界でも未曾有のこの事件について、日本は、政府として、未だに総括も調査もしていないし、報告書も作成していない。立法府である国会も特別な調査委員会すら設置していない。なぜ事件がおきたのか、そしてどうすれば今後二度と事件をおこさないですむのか、という問いに対し、日本としての答えが、未だにない状態にある。(中略) カルト対策は、「信者収奪型」の事件にいかに向き合うかが大切である。信者の自己責任として放置しない法制をどう構築していくのか、二度とオウム事件を引き起こさないためにも、日本の未来に託された課題である。 安倍元首相銃撃事件について、後日警察から、容疑者(当時)の犯行動機が「統一教会への恨み」に端を発するものであったと公表されました。まさに、「日本の未来に託された課題」が解決されないまま、危惧していたことが現実になってしまったのです』、「松本、地下鉄サリン両事件での死者だけでも20人以上、死傷者は約6千人にも上る。世界でも未曾有のこの事件について、日本は、政府として、未だに総括も調査もしていないし、報告書も作成していない。立法府である国会も特別な調査委員会すら設置していない。なぜ事件がおきたのか、そしてどうすれば今後二度と事件をおこさないですむのか、という問いに対し、日本としての答えが、未だにない状態にある」、驚くべきことだ。日本は過去の総括が大の苦手のようだ。
・『国もメディアも動いてくれなかった「空白の30年」 銃撃事件から遡ること30年――1992年に統一教会が主催する合同結婚式や、霊感商法がクローズアップされたことがありました。それ以来、統一教会が社会の表舞台に登場することはありませんでした。しかし、私や、カルト被害者の救済に取り組む同志たちは、その後も統一教会による被害が続いているということ、そして、その対策を講じる必要があるということを、さんざん訴えてきました。 それにもかかわらず、国は動いてくれませんでした。メディアも、なかなか取り上げようとはしてくれませんでした。こうして、ずっと野放しにされてきた結果、「空白の30年」が生まれ、元首相が銃撃されるという非常にショッキングな事件を引き起こすきっかけとなってしまったのです。 もしも空白の30年がなかったら、事件の発生を未然に防ぐことができたと断言はできませんが、可能性を小さくすることはできたのではないかと思います。少なくとも、霊感商法等で金銭を収奪される被害者や、生まれたときから生き方や考え方を強要される宗教2世(両親がカルト宗教の信者)の数を大きく減らすことはできたでしょう。統一教会のみならず、カルト宗教や自己啓発セミナーなどのカルト的な団体に苦しめられる人を少なくすることができたはずです。) 欧米では80年代以降、教義の是非に立ち入ることなく、カルト的な団体が引き起こす現象に焦点を当て、厳正に対処していくための法整備がなされました。その結果、カルト被害は大きく減っています。なぜ、諸外国にできて日本にはできないのか。私は不思議で仕方がありません。 日本には「信教の自由」の限界が論じられてきた歴史がありません。だから、国も憲法学者も、「こういう場合はだめ」という具体的な指標に言及したがらない風潮があります。私にいわせれば、たんなる怠慢です。個人の自由な意思や信教を侵害するカルト宗教を、信教の自由を理由に擁護するのは本末転倒でしょう。 例えば、表現の自由については名誉毀損やプライバシーの侵害という概念が広く浸透しています。国民の多くは、表現の自由にも限界があることを理解しています。一方、信教の自由は、「あり・なし」「許される・許されない」「合法・違法」を分かつラインが曖昧です。限界がどこにあるのか、いまだに判然としません。このような現状が続くかぎり、政治家、官僚、学者らがカルト問題に対していつまでも及び腰となり、カルトの暴走を止めることはかなわないのです』、「欧米では80年代以降、教義の是非に立ち入ることなく、カルト的な団体が引き起こす現象に焦点を当て、厳正に対処していくための法整備がなされました。その結果、カルト被害は大きく減っています。なぜ、諸外国にできて日本にはできないのか。私は不思議で仕方がありません。 日本には「信教の自由」の限界が論じられてきた歴史がありません。だから、国も憲法学者も、「こういう場合はだめ」という具体的な指標に言及したがらない風潮があります。私にいわせれば、たんなる怠慢です。個人の自由な意思や信教を侵害するカルト宗教を、信教の自由を理由に擁護するのは本末転倒でしょう」、「信教の自由は、「あり・なし」「許される・許されない」「合法・違法」を分かつラインが曖昧です。限界がどこにあるのか、いまだに判然としません。このような現状が続くかぎり、政治家、官僚、学者らがカルト問題に対していつまでも及び腰となり、カルトの暴走を止めることはかなわないのです」、その通りだ。
・『カルト宗教についての知識があなたの身を守る 私の目的、願いは終始一貫しています。とにもかくにも、カルト被害者を減らし、救済すること。そして究極的には、カルト宗教を根絶させることです。そのためなら、努力は惜しみません。これからも、法律的規制の整備の必要性を国に訴えつつ、情報を提供したり、活動に協力したりしていきます。 それに加え、社会的規制も強化していかねばならないとも考えています。オウム真理教が事件を起こした直後は、カルトに対する社会の目が厳しくなり、一時的にカルト的な団体は息を潜めました。しかし、社会の関心もほどなく薄れていきました。カルトに対する社会的規制を恒常的に敷き続けるためには、多くの人々にカルトの実態を把握していただくことが必要です。これが被害者をなくすための、まさに第一歩となるのです。 カルト的な団体を野放しにしてはいけないということを、みなさんになにがなんでも知っていただきたい。だから私はカルトに関する情報を広く世の中に発信し続けています。 そもそもカルト宗教とはどういうものなのか。マインド・コントロールなどの勧誘の手口や活動内容。収奪や虐待など人権蹂躙の実態。カルト宗教と政治(家)との関係。家族や知人を脱会させる方法と脱会後について。国や私たちがこれからすべきこと。こういったカルト宗教に関する深い知識を身につけることが、あなた自身の身を守るために、家族や知人が被害に遭わないために、そして、被害に遭ってしまった人たちを救うことにつながる、そう信じています』、「カルトに対する社会的規制を恒常的に敷き続けるためには、多くの人々にカルトの実態を把握していただくことが必要です。これが被害者をなくすための、まさに第一歩となるのです」、同感である。旧統一教会の被害者救済法案、会期内に成立の見込みとなった。不完全なものでも、「被害者救済」の第一歩となることを期待したい。
タグ:「カルトに対する社会的規制を恒常的に敷き続けるためには、多くの人々にカルトの実態を把握していただくことが必要です。これが被害者をなくすための、まさに第一歩となるのです」、同感である。旧統一教会の被害者救済法案、会期内に成立の見込みとなった。不完全なものでも、「被害者救済」の第一歩となることを期待したい。 東洋経済オンライン 「信教の自由は、「あり・なし」「許される・許されない」「合法・違法」を分かつラインが曖昧です。限界がどこにあるのか、いまだに判然としません。このような現状が続くかぎり、政治家、官僚、学者らがカルト問題に対していつまでも及び腰となり、カルトの暴走を止めることはかなわないのです」、その通りだ。 日本には「信教の自由」の限界が論じられてきた歴史がありません。だから、国も憲法学者も、「こういう場合はだめ」という具体的な指標に言及したがらない風潮があります。私にいわせれば、たんなる怠慢です。個人の自由な意思や信教を侵害するカルト宗教を、信教の自由を理由に擁護するのは本末転倒でしょう」、 「欧米では80年代以降、教義の是非に立ち入ることなく、カルト的な団体が引き起こす現象に焦点を当て、厳正に対処していくための法整備がなされました。その結果、カルト被害は大きく減っています。なぜ、諸外国にできて日本にはできないのか。私は不思議で仕方がありません。 紀藤 正樹氏による「旧統一教会問題第一人者が語る「空白の30年」 なぜ日本で対カルトの法律ができなかったのか」 「摘発できなかった理由についてはひと言だけ、『政治の力だよ』と、口にした」、自民党がそんなに以前から「旧統一教会」を守るような動きをしていたとは、驚かされた。今後、「有田さんは裁判を通じて」明らかにしてゆきのを期待したい。 「68年に輸入したのは「幸世物産」で、ともに名の知れた旧統一教会の関連企業」、「「空気銃」といっても、おもちゃのようなしろものではまったくない・・・「鋭和3B」空気銃は10メートル離れた厚さ2センチの板を貫通する威力」・・・「現実に輸入されましたものが1万5700丁」、かなりの「威力」のある「銃」が「1万5700丁」も輸入されたようだ。現在これらはきちんと登録されているのだろうか。 産経でさえ「よくなかった」59・2% 「国家元首の女王、国王は国葬。王以外を国葬とする場合は王室と議会の同意が必要。王以外の王室メンバー、首相経験者らは国葬に準じる「儀礼葬 ceremonial funeral」なので、ウェールズ公妃だったダイアナ・フランセス、元首相のマーガレット・サッチャーは儀礼葬。 日本は国会決議すら省いた「国葬儀」。このアバウトさでは、理詰めの言葉で闘う「外交」の土俵で成果を得られる訳もないよね。同じ島国でも、彼我(ひが)の差は大きい」、本当に「このアバウトさ」にはほとほと呆れ果てる。 現代ビジネス「安倍晋三とエリザベス女王の「国葬」を改めて総括してみよう《田中康夫・浅田彰》「憂国呆談」第4回(前)」 「安倍のように左翼を敵としそれをねじ伏せる形で強引に右傾化を進めたdivisiveな・・・政治家は国葬にふさわしくない。 選挙運動中に銃撃されて亡くなったのは気の毒だけれど、犯人が実家を家庭崩壊に追い込んだ旧・統一教会を恨み、旧・統一教会とつながりのある安倍を狙ったことが分かって、安倍派が右翼ナショナリズムを標榜しながら反共反日カルトから選挙応援を受けてたことが明るみに出ちゃった。これでは最初同情論が強かった世論が国葬反対に傾いたのも当然」、 「松本、地下鉄サリン両事件での死者だけでも20人以上、死傷者は約6千人にも上る。世界でも未曾有のこの事件について、日本は、政府として、未だに総括も調査もしていないし、報告書も作成していない。立法府である国会も特別な調査委員会すら設置していない。なぜ事件がおきたのか、そしてどうすれば今後二度と事件をおこさないですむのか、という問いに対し、日本としての答えが、未だにない状態にある」、驚くべきことだ。日本は過去の総括が大の苦手のようだ。 「旧統一教会があえて名誉毀損で訴えたのは、言論萎縮を目的とした「スラップ訴訟」である可能性もある」、その通りだろう。 AERAdot「旧統一教会から訴えられた有田芳生氏が裁判で詳らかにする「教団による空気銃の大量輸入」衝撃の内容」 「京都には庭が趣味だった山縣の別荘・無鄰菴(むりんあん)があって、日露戦争に向かう政権中枢の会議の舞台にもなったけど、公家や大名家の出身ならともかく、軍や政府の要職を歴任したとはいえ所詮は国家公務員の身であんな広壮な別荘が作れたんだから、どれだけ裏金が動いてたかってこと」、「安倍派が右翼ナショナリズムを標榜しながら反共反日カルトから選挙応援を受けてたことが明るみに出ちゃった」、全くみっともない限りだ。 「旧統一教会」が「日本テレビと有田さんに対して名誉毀損で訴訟」を起こしたのは、勝敗よりも組織防衛のためだろう。 「95年の秋」、「東京・麹町のホテルの一室を訪れた。 「目つきの鋭い男たち20~30人が狭い会議室にぎっしりと着席していました。おそらく全国の公安警察の幹部だと思います。二人は『オウムの次に統一教会を摘発の対象にしている』と、言っていました』、その当時は、公安警察はやる気十分だったようだ。 安倍元首相暗殺事件 (その5)(安倍晋三とエリザベス女王の「国葬」を改めて総括してみよう《田中康夫・浅田彰》「憂国呆談」第4回(前)、旧統一教会から訴えられた有田芳生氏が裁判で詳らかにする「教団による空気銃の大量輸入」衝撃の内容、旧統一教会問題第一人者が語る「空白の30年」 なぜ日本で対カルトの法律ができなかったのか) 「エリザベス2世という「理想的」なシンボルを失った英王室は、早晩危機に直面するんじゃないか」、その通りだろう。「異次元の金融緩和」については、昨日、小幅手直しが行われた。なお、「中編」以降の紹介は省略する。