中国経済(その18)(中国 ゼロコロナ解除で「困難に直面」 WHOが指摘、抗議活動に負けてのゼロコロナ政策撤廃でコロナ感染爆発の危機、習近平政権「ダブル敗戦」の大打撃、一気に大緩和?中国・ゼロコロナ政策撤廃の現実 音楽家ファンキー末吉が経験した緩和直後のドタバタ劇、【習近平の大誤算】若者の失業率約18% 富裕層の国外脱出加速 米輸出規制で“科学技術立国の夢”が泡に) [世界情勢]
中国経済については、10月13日に取上げた。今日は、(その18)(中国 ゼロコロナ解除で「困難に直面」 WHOが指摘、抗議活動に負けてのゼロコロナ政策撤廃でコロナ感染爆発の危機、習近平政権「ダブル敗戦」の大打撃、一気に大緩和?中国・ゼロコロナ政策撤廃の現実 音楽家ファンキー末吉が経験した緩和直後のドタバタ劇、【習近平の大誤算】若者の失業率約18% 富裕層の国外脱出加速 米輸出規制で“科学技術立国の夢”が泡に)である。
先ずは、12月14日付けNewsweek日本版 がロイターを転載した「中国、ゼロコロナ解除で「困難に直面」 WHOが指摘」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2022/12/who-138.php
・『世界保健機関(WHO)のハリス報道官は13日、中国が新型コロナウイルス感染抑制に向けた厳格な「ゼロコロナ」政策を解除し、コロナとの「共生」を選択する中、「非常に厳しく、困難な時期」に直面するという認識を示した。 中国のコロナ規制緩和は国内で歓迎されつつも、感染急拡大を巡る懸念も高まっている。 ハリス報道官は「非常に厳格な管理体制からの脱却はどの国にとっても非常に難しい」と指摘。課題は国民のワクチン接種を確実にし、病院の受け入れ態勢を整えることとし、「移行を維持するためには、地域社会や病院、国家レベルで多くの措置を講じる必要がある」と述べた』、「中国が新型コロナウイルス感染抑制に向けた厳格な「ゼロコロナ」政策を解除し、コロナとの「共生」を選択する中、「非常に厳しく、困難な時期」に直面するという認識」、まして国産ワクチンは効果を疑問視されているのでは、本当に大変だろうと、同情を禁じざるを得ない。
次に、12月15日付け現代ビジネスが掲載した評論家の石 平氏による「抗議活動に負けてのゼロコロナ政策撤廃でコロナ感染爆発の危機、習近平政権「ダブル敗戦」の大打撃」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/103314?imp=0
・『事実上の「ゼロコロナ」政策放棄 12月7日、中国の国家衛生健康委員会は、10の項目からなるコロナ対策の新しいガイドライン「新十条」を発表した。その注目すべきいくつかの重要内容を羅列すれば以下のものである。 1)各地における「強制的な全員PCR検査の定期実施」は廃止。 2)公共交通機関と病院・学校を除く公共施設、商店、スーパー、オフィスビルなどを利用する際のPCR検査陰性証明の提示は廃止。 3)省や自治区などを超えて移動する際の陰性証明提示は廃止。 4)すべての感染者を隔離施設や病院に移す措置は廃止、無症状あるいは軽症の感染者の自宅隔離を認める。 5)感染拡大への封鎖措置に関しては、都市全体あるいは住宅団地全体の封鎖はやめ、封鎖は感染が確認された建物やフロアに限定される。 以上の内容からすれば、この新しいガイドラインの発表と実施はもはや「ゼロコロナ」政策の「緩和」程度のものではない。それは事実上、「ゼロコロナ」政策の放棄であって、180度の政策の大転換である。 「ゼロコロナ」政策というのは文字通り、コロナ感染をゼロにすること、つまりコロナの完全撲滅を目指した政策である。この政策実施の前提は、まさに「強制的・定期的なPCR全員検査」である。例えば都市部なら、地方によっては48時間内に一度、あるいは72時間内に一度、政府当局の手によって、市民全員に対するPCR検査は徹底的に行われるのである。 このような徹底的なPCR検査の実施によって、陽性者と感染者は漏れることなく迅速に割り出されて隔離施設へ送られることになるから、どこかでコロナが出たところ、それは直ちに「撲滅」されて感染の拡大は最小限に封じ込められるのである。 封鎖なくして中国のコロナ制圧なし、だったが その一方、市民全員はPCR検査を受ける度に、陽性でなければ、有効期間限定の「陰性証明」を発行してもらうが、市民の方は48時間か72時間という有効期限内に、この「陰性証明」を提示することによって初めて電車やバスなどの公共交通機関を利用できるし、病院や学校、スーパーやオフィスビルなどの公共施設に入れる。このような措置が取られることによって、陽性者や感染者が市中に出回って公共施設に出没するようなことは基本的に無くされているから、コロナの感染拡大は極力避けられている。 それでもコロナの感染拡大が発見された場合、最後の手段として政府当局は住宅団地の1つ、あるいは町1つ、都市1つを丸ごと封鎖するという極端な措置をとる。例えば筆者の出身地である四川省成都市(人口2100万人)の場合、今年8月31日に新規感染者数が156名になったところで、翌日の9月1日からまる2週間、都市全体がロックタウンされた。 こうしてみると、「強制的・定期的なPCR全員検査」と、あらゆる公共施設に出入りする場合の陰性証明提示、そして極端な封鎖策は、中国政府の「ゼロコロナ」政策の実効性を支える3本の柱であって政策が成り立つ前提であることが分かる。 しかし、前述の「新十条」の内容を点検してみると、特に1、2、5を点検してみると、「3本の柱」となる政策措置は完全に廃止されたり大幅に緩和されたりしていることが明々白々である。それでは「ゼロコロナ」政策はもはや成り立たない。政策そのものが放棄されてしまったと見て良い。 つまり、前述の「新十条」の発表と実施は、「ゼロコロナ」政策の単なる「緩和」ではなく、むしろ思い切った政策の大転換であることがよく分かる。しかし問題は、この政策転換は決して、「コロナの撲滅」という「ゼロコロナ」政策当初の目標を達成した上での政策転換ではない、という点である』、「前述の「新十条」の発表と実施は、「ゼロコロナ」政策の単なる「緩和」ではなく、むしろ思い切った政策の大転換である」、本当に「思い切った政策の大転換」だ。
・『最悪のタイミングで そもそも、オミクロンという新しい変異株が世界的に広がった時から、コロナの完全撲滅はすでに不可能になっている。実際、中国であれほど厳しい封じ込め策が実施されてきていても、感染拡大を完全に阻止できたわけではない。今年12月6日までの28日間連続、中国国内の新規感染者数は1万人を超えている。 そうすると、12月7日からの政策転換、すなわち「ゼロコロナ」政策の放棄は、まさに目標が全くできなかった中での政策の放棄であって、その意味するところはすなわち、「ゼロコロナ」政策そのものの敗退であって、約3年間にわたって政治権力によって強行された「ゼロコロナ政策」は結局、失敗に終わったわけである。 しかも、「ゼロコロナ」政策が放棄されたところ、今後の中国全土において再びコロナの感染拡大が起きてくることも予想されているから、国民に大きな犠牲と不自由を強いた「ゼロコロナ」政策は結局何の意味もない。政策の完全失敗である。 それでは習近平政権は、自らの宣言した「コロナとの戦い」にすでに敗戦していることは明らかであるが、さらに問題となってくるのは、今回の「ゼロコロナ」政策の転換が行われたタイミングである。 12月7日といえば、中国でも冬期の始まりである。周知のように、冬期というのはまさにコロナの感染しやすい季節だ。冬期の到来と同時に行われた中国政府のコロナ政策の大転換は拙速というしかないが、ましてや中国の場合、来年1月22日からは旧正月(春節)が始まって帰省などによる恒例の「民族大移動」は始まるという特別の事情もある。 このようなタイミングでの政策転換はどう考えても無謀かつ危険であろう。今月から来年1月にかけて、中国全土で爆発的な感染拡大が起きてくる確率は非常に高い。政策転換のタイミングはあまりにも悪すぎる』、「国民に大きな犠牲と不自由を強いた「ゼロコロナ」政策は結局何の意味もない。政策の完全失敗」、「今月から来年1月にかけて、中国全土で爆発的な感染拡大が起きてくる確率は非常に高い。政策転換のタイミングはあまりにも悪すぎる」、その通りだ。
・『民衆の抗議に負けてしまった しかし習政権は一体どうして、上述のような危険も承知の上で拙速な政策転換に踏み切ったのか。時間列的に見ればその理由は実に簡単である。11月25日から29日までに全国で勃発した「反ゼロコロナ政策」の抗議運動こそは、政策の転換を促した主な要因の1つではないのか。 抗議運動の実態は12月1日掲載の本欄が詳しく伝えたところだが、政権の「ゼロコロナ」政策に対する強い反発から始まった民衆運動はあっという間に全国に広がり、同時に「反習近平・反体制運動」的革命運動にまで発展した。その後、当局は警察力を動員して抗議デモを封じ込めその鎮静化に成功したものの、運動の全国的拡大と先鋭化はやはり、習政権に大きな衝撃を与えたはずである。 そして運動収束直後の12月7日、当局は上述の「新十条」を発表しそれを直ちに実施に移した。やはり習政権は、抗議運動の拡大と継続化を恐れて民衆の不平不満を和らげるために急遽「ゼロコロナ政策」からの転換を断行した、と思われる。そういう意味では、「ゼロコロナ」政策からの政権の撤退あるいは敗退は、民衆は自分たちの力で勝ち取った勝利でもある。 しかし、もしそうであれば、このことの政治的意味は実に重大である。要するに一党独裁体制下の中国で、政権は民衆の抗議運動に押された形で政策の大転換、大後退を余儀なくされたわけであり、立ち上がった民衆の力を前にして、政権が敗退したのである。言ってみれば、今の習政権は、コロナとの戦いに敗退したのと同時に民衆の力にも敗退してしまった。まさに屈辱の「ダブル敗戦」というものである』、「一党独裁体制下の中国で、政権は民衆の抗議運動に押された形で政策の大転換、大後退を余儀なくされたわけであり、立ち上がった民衆の力を前にして、政権が敗退したのである。言ってみれば、今の習政権は、コロナとの戦いに敗退したのと同時に民衆の力にも敗退してしまった。まさに屈辱の「ダブル敗戦」というものである」、「ダブル敗戦」とは言い得て妙だ。
・『政権への不信とコロナ感染再拡大と この「ダブル敗戦」は、今後の中国政治に及ぼす影響は決して小さくはない。それがもたらす政治的結果の1つはまず、習近平主席と習政権のさらなる権威失墜である。政権があれほど固執してきた「ゼロコロナ」政策は結果的に失敗に終わり、中国国民はもう一度、全国的感染拡大に直面していかなければならない。 この厳重な事実は、愚かな政策を強行した習主席自身と政権の愚かさをより一層露呈したのと同時に、国民一般の習主席と政権に対する不信感をさらに増幅させることとなろう。 その一方、民衆の抗議運動に押されたて行なった今回の政策大転換は実は、習近平政権の今後の政治に1つ、大きな「禍根」を残すとことなろう。政権が民衆の力に屈した形で政策転換を余儀なくされたのであれば、民衆側はこれで政権の足元を見てしまい、自分たちの力に対して大きな自信を持つこととなるに違いない。 それでは今後、政権のさまざまな政策に対してその不平不満が限界に達したとき、今回の「反ゼロコロナ政策運動」の成功に勇気つけられた民衆が新たな抗議運動に立ち上がる可能性は、以前より大きくなることは予想できる。つまり、習政権の「ダブル敗戦」は結局、今後における民衆運動あるいは反乱の発生を誘発する火種を自ら撒いた訳である。 中国国民と習政権にとっての大問題はもう1つがある。 今回、医療施設の充実や高齢者層へのワクチン接種の普及などの十分な準備はまだ整えられていない状況下で、主に政治的要因により「ゼロコロナ」政策が放棄されたことの結果、感染しやすい冬期の到来と相まって中国全国で爆発的な感染拡大が起きてくる確率は非常に高い。その中で重症者や死亡者が増える一方、医療機関の逼迫が深刻化してくるのであろう。 それでは政権は感染拡大をそのまま容認するのか、それとも「ゼロコロナ」政策に逆戻りするのかの選択を迫られることとなるが、封じ込めからやっと解放された中国国民はもう一度、広範囲な感染拡大に耐えていかなければならない。中国にとっての「コロナ問題」は、まさにこれからである』、「習政権の「ダブル敗戦」は結局、今後における民衆運動あるいは反乱の発生を誘発する火種を自ら撒いた」、「今回、医療施設の充実や高齢者層へのワクチン接種の普及などの十分な準備はまだ整えられていない状況下で、主に政治的要因により「ゼロコロナ」政策が放棄されたことの結果、感染しやすい冬期の到来と相まって中国全国で爆発的な感染拡大が起きてくる確率は非常に高い・・・政権は感染拡大をそのまま容認するのか、それとも「ゼロコロナ」政策に逆戻りするのかの選択を迫られることとなるが、封じ込めからやっと解放された中国国民はもう一度、広範囲な感染拡大に耐えていかなければならない。中国にとっての「コロナ問題」は、まさにこれからである」、本当にどうなるのか、大いに注目される。
第三に、12月16日付け東洋経済オンライン が掲載した音楽家のファンキー末吉氏による「一気に大緩和?中国・ゼロコロナ政策撤廃の現実 音楽家ファンキー末吉が経験した緩和直後のドタバタ劇」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/639893
・『新型コロナウイルス感染症に対し「ゼロコロナ」政策を厳しく続けてきた中国が一転、政策を緩和したのは12月上旬。全国に抗議活動が広がるなど混乱を受けて、習近平・国家主席の鶴の一声で緩和されることになった。 ロックバンド「爆風スランプ」のメンバーで現在は中国を中心に活動しているミュージシャンのファンキー末吉氏は、緩和された直後の北京に出向き、ゼロコロナ政策緩和直後の状況を目の当たりにする。これまでの中国のコロナ監視体制を経験、「IT武装も最後は『人力』頼みの中国コロナ監視体制」などを執筆したファンキー末吉氏は、PCR検査が必要だったりそうでなかったり、場所によって対応が変わったり……そんなドタバタ劇が起きている。中国社会の現実はいかに。 私は「布衣楽隊」という、中国で最も多くのツアーを行うバンドのドラマー兼プロデューサーとして中国全土をツアーして回っている。 2022年のツアーはコロナ禍のため例年より少なく57本を予定していたが、結局は14本がコロナのためにキャンセルとなって2022年9月末に終了。メンバーはそのまま、拠点として居住する中国西部・寧夏回族自治区の銀川(ぎんせん)市に帰ったのだが、私はレコーディング仕事があったのでそのまま北京に行った。 そうしたら、運のいいことに銀川市がロックダウン。しかし新たな感染者数が10人ほどで200万都市(周辺小都市を含めると700万人)をロックダウンして住民の自由を奪うのだから、中国のこのゼロコロナ政策というのはすさまじいと言うしかない』、「ロックバンド「爆風スランプ」のメンバーで現在は中国を中心に活動」、とは興味深い存在だ。コロナ問題を新聞とは違った角度で伝えてくれるだろう。
・『12月7日、突然訪れた「ゼロコロナ」緩和 銀川には帰れないのでそのまま1カ月半ほど北京に滞在していたら、北京がどんどん危なくなってきた。 私が銀川に帰った翌日にはすべての北京市民は毎日のPCR検査が義務付けられ、検査結果がスマートフォンにインストールする健康アプリに反映され、そこでのQRコードが緑色にならなければ商店や施設、タクシーにも乗れないというありさまである。 銀川はそれほど厳しくなく、外地から帰って来た人は3日間のうち2回PCR検査を受ければ健康アプリのQRコードは緑色のままとなり、それを施設入り口のリーダーにかざせばどこにでも自由に出入りすることができた。 帰ってきてから半月ほどは平和に過ごしていたのだが、2022年11月25日にいきなり都市封鎖の通達が来た。これは銀川の感染者数というより、中国全土の感染者数がこれまでになく増えたことで地方政府もそれぞれに危機感を高めたためではないかと思う。 今回のロックダウンは、いわば「ソフトロックダウン」程度のもので、飲食店はデリバリー以外の営業は禁止。私の住むマンション群は出入り禁止だが、そうでもなく自由に出入りできる地区もあり、どうやらマンション群の社区と呼ばれる自治体に判断を任されているようだ。 ところが、1週間の隔離も終わりにさしかかった11月24日に新疆ウイグル自治区で発生した火災で死亡者が出た。死亡者が出たのは、防疫用柵で消防隊の到着遅れたためではないかと考えられ、これをきっかけに中国全土でゼロコロナ政策に反対する抗議活動が起きた。 「第2の天安門事件(1989年)に発展するかも」と心配していたのだが、一転、政府はゼロコロナ政策を大幅に緩和することを発表した。2022年12月7日のことである。 これを受けて銀川では、スーパーや商業施設に入る際に必要だった48時間以内の陰性証明の提示が不必要となった。そんな頃である。北京でレコーディングの話が来た。 いや、話はだいぶ前からあったのだが、ゼロコロナ政策による厳しい行動制限や、外地からの流入規制、そして都会よりいつも1テンポ遅れて対策が変わるこの銀川に、北京から帰ってきてちゃんと入れるのかという心配があったので、「今は北京には行けない」と言うしかなかったのだ。 ところが、12月7日の規制緩和発表に続いて、中国で省をまたいで移動する際の陰性証明の提示が撤廃された。これはコロナ禍で長くツアーを回っていた私にとってはとてもうれしいニュースである』、「新疆ウイグル自治区で発生した火災で死亡者が出た。死亡者が出たのは、防疫用柵で消防隊の到着遅れたためではないかと考えられ、これをきっかけに中国全土でゼロコロナ政策に反対する抗議活動」、「政府はゼロコロナ政策を大幅に緩和することを発表した。2022年12月7日のことである。 これを受けて銀川では、スーパーや商業施設に入る際に必要だった48時間以内の陰性証明の提示が不必要となった」、「ゼロコロナ政策」も終わりはあっさりしたものだ。
・『PCR検査を課しても検査場は次々閉鎖 実はIT大国とされる中国で、便利に思えるそのアプリの数々、とくに省ごとに違う健康アプリのほとんどが、外国人には対応していないのだ。 そして、北京に住む友人の話によると、規制が緩和されたといっても飲食店などに入るためには48時間以内の陰性証明がいまだに必要なのに、12月7日の規制緩和によってPCR検査場が次々と閉鎖されたため、今度はその検査をきちんと受けられる検査場を探すのがたいへんになってしまった。とくに外国人にとっては、外国人に対応していないPCRR検査場というのがあるから、さらに探すのに一苦労、二苦労させられる。 こんな笑い話も伝わってくる。 「陰性証明が必要なんだけど、検査をやっているところがないじゃない!」「検査なら病院行ってやれ」 「その病院に入るのに、陰性証明が必要なんだよ!!」 銀川のような地方都市は対応が遅く、まだそこまで切羽詰まった状況にはならないが、北京などの大都市では急激な政策転換によってかなりの混乱が起こっているようだ。 そんな大混乱の中、12月9日に北京行きが決まった。出発の頃には北京で爆発的に感染者数が増えているという噂も聞くが、銀川の友人たちなんかは「お、いいじゃん!帰ってきたらメシ食おう」と笑う。感染したらメシどころじゃないのに何を言っているんだろうと不思議に思ったが、後にその意味がわかることになる。 さて、北京に行くとなると、心配なのはPCR検査をどう受けるかである。北京の友人夫婦は久しぶりに私と飲むことを楽しみにしてPCR検査を受けているのだが、毎日検査しても結果が健康アプリにまったく反映されず、結局8日間も検査を受けてないことになっており、飲食店どころかどこの施設にも入れないのだ。 そこで、北京で陰性証明をゲットするのは難しいだろうと思い、私は出発前に銀川でPCR検査をすることにした。 噂通り、PCR検査場が減ってきているので長蛇の列である。 検査は今までは無料だったのだが、今回から有料になっていた。3.5元。円安とはいえ70円程度で安い!10人分の検体を1つの試験管にまとめる方式の検査だ。 結果はだいたい半日後には出る。夜汽車に乗って北京に向かい、朝着くころには検査結果がアプリに反映されていることだろう。外国人はQRコードをかざして読み取るだけではダメで、さらにパスポート情報などを自分で入力するのだが、スペルなどちょっと間違えただけで結果は反映されない。私も実際、PCR検査を受けているのに反映されずにQRコードが黄色になってしまって困ったことがあったが、この検査場はいつも必ず反映されるので安心なのである。 さて、いつものように夜汽車に乗ったらすぐに眠れるようにガンガンに酒を飲んで銀川駅へ向かう。これまでは厳重な健康アプリや行動アプリのチェックがあったのだが、それらがまったくなくなり何もチェックされなかった』、「PCR検査」で「10人分の検体を1つの試験管にまとめる方式の検査」、1人でも陽性の人間がいると、何回か組み合わせを変えて検査を繰り返して、陽性の人間を絞り込むのだろう。これでも、個々人に検査をするより効率的なのだろう。
・『陰性証明が必要だったりなかったり 北京に着いた。スマホの地図アプリを開いたら、見慣れない赤いものがたくさんある。「疫情高??」。つまり「ここには感染者がいるからたいへんだよ」という意味だ。 北京西駅に着いてからもなんらチェックもまったくなく、以前検査場だった場所に看板だけが撤去されず残っていた。そこからは地下鉄に乗り換えるのだが、みればきっと同じ列車に乗ってきたのだろう、防護服を着ている親子連れらしき乗客もいた。 きっと感染爆発と言われている北京へ行くのに、娘だけには感染させないようにという親心なのだろう。「コロナは怖い病気だよ」と宣伝してゼロコロナ政策をやっていた中国政府が、いきなり「オミクロン株はまったく怖くない」と言い始めた。人民は自分の身は自分で守るしかない。全国の薬局から解熱剤などの風邪薬がすべて売り切れたという噂である。 地下鉄も、一時期はガラガラだったと聞いたがそうでもなくそこそこの乗客がいた。時間もあるので、先日大規模なデモがあったという北京市内東部の「亮馬橋」地区に行ってみたが、別にいつもと変わらない感じだった。上海では、デモが発生した場所の歩道が厳重に封鎖されたと聞いていたが……。 レコーディングまでには時間があるので、スターバックスにコーヒーを飲みに行ったら陰性証明の提出を求められた。それから、知り合いの中国人がやっている日本料理屋に行ったのだが、そこはホテルの施設内にあり、普段はより厳格な検査を行うのだが陰性証明の提出は必要なく、QRコードをスキャンして「この場所に来た」という足跡を残すのみであった。規制緩和を受けての対応が店によって違うのだろう。 日本語が上手な女将は病気で出勤してないということだが、来たことを告げると喜んでメッセージを送ってきた。「実はコロナにかかってしまったんです」と泣いている。女将さんはガンの闘病生活もしており、それにコロナはたいへんだろう。 「もうね、家とスーパーマーケットだけしか行ってなかったのに感染しちゃうなんて、なんてひどい国なの!」と怒っているが、女将さん、ここはあなたの国です……、といったメッセージをしばらくやり取りした後、スタジオに向かう。 出迎えてくれたのはドラムをレコーディングする歌手本人とエンジニアの2人。手にはアルコール噴霧器を持っていて、握手のたびに消毒したり、マスクを決して外さなかったり、とてもコロナを恐れているように見えて緊張した。ところが、理由はほかにあったことが後に判明する。 レコーディングは順調で、午後5時にはすべての作業を終えて「飲みに行こう」となった。歌手も一緒に行くのかと思ったら「帰る」というので、結局エンジニアと2人で飲むことに。場所は日本風の居酒屋だったのだが、そこでも陰性証明の提出は必要ではなくQRコードをスキャンして足跡を残すのみであった』、「全国の薬局から解熱剤などの風邪薬がすべて売り切れたという噂である」、最近は日本の薬局でも中国人が「風邪薬」を爆買いしているようだ。
・『どっぷりと濃い濃厚接触者になる 前述の友人ご夫婦も招待しようと連絡したら、ショッキングな事実を伝えられた。私と一緒に飲むのを楽しみにして飲み屋に入れるように毎日PCR検査を受けて、結果が出ないので毎日毎日検査を受け続けていたのだが、先日出た結果が「陽性」。厳密には「1つの試験管で検査した10人の中に陽性者がいた」というもので、彼ら自身が陽性なのかどうかはわからない。 そもそも10人が1つの試験管で検査するなんて、まるで毎日ロシアンルーレットをやっているようなものである。せめてもの救いが、昔なら有無をいわさず収容所のような隔離施設に送られるのだが、今は緩和されて自宅で自主隔離となっているようだ。 エンジニアと盛り上がって飲んでいるときに、またショッキングな事実を聞いた。 「歌手が『一緒に飲めなくてすみません』と謝ってましたよ。実は彼も陽性で」 それって陽性なのにスタジオ来てたの?というより、一瞬でそこまで緩くなったということか……。そして彼自身も私にショッキングなことを言った。 「実は妻も陽性で家で寝てるんです」 ということは、今の私は陽性者と同居している男とマスクを外して酒を飲んでいるのか!あれほど厳格に行われていた中国のゼロコロナ政策が、一瞬のうちにここまで緩くなっているのが信じられなかった。) 酔いも覚めてしまったので帰ろうと、北京の院子の同居人に連絡を取る。院子というのは中国伝統的な長屋式住居で、1つの庭(院子)を囲むように三方、もしくは四方の建物が建っており、院子を共有してそれぞれの棟は独立して緩い共同生活を営むという、友人と暮らすなら願ってもない生活環境である。 北京市内には、今ではこういった伝統的住居はなくなってしまい、すべて高層マンションになってしまったが、郊外などの辺鄙な場所にはまだ残っていて、私が住む院子も市内から30キロメートルほど離れた村の中にある。 連絡をしてみると、同居人は「村にはタクシーの乗り入れもできなければ、この村の住人である証明書(出入証)がなければ入れない」というのだ。もう緩いのか厳しいのかわからないゼロコロナ政策。あるところではとてつもなく厳しく、あるところではとてつもなく緩い』、「ゼロコロナ政策。あるところではとてつもなく厳しく、あるところではとてつもなく緩い」、これが緩め始めの実態だろう。
・『「早く帰ってきてうつしてよ!」 その日は友人宅に泊めてもらい、翌朝冷静になって考えてみて怖くなった。たとえマスクをしていたとしても、感染者と一緒に丸1日スタジオにいて、その後は感染者の同居人と一緒にマスクを外して酒を飲んでいた私は、普通で考えると当然感染しているのではないか。 少なくとも濃厚接触者であることだけは確かである。ほんの最近までなら、これだけで隔離施設行きである。私はもうすでに6回の隔離を経験していて、病気よりなにより隔離が怖い。また、もし感染していたとしたら、今度は人にうつしてしまうのが怖い。とくに一緒にバンドをやっているメンバーに、である。 スマホをみると、ちょうどバンドのメンバーによるグループチャットでは、感染についていろいろと面白おかしいやり取りがされていた。北京のスタッフに対して、「北京は大変なの?じゃあ、なんか菌が付いているのを郵送してよ」とか何の冗談なのかよくわからない。私だけ大真面目に前日のレコーディングの話をして、「このまま北京に滞在して様子を見ようか?」と提案してみる。 ところが、シリアスになっている私をよそに「イエィ!!」と盛り上がっている。「Funky、早く帰ってきてうつしてよ」とか「Funkyはぼくらの救世主だ」といったメッセージが来て、まったく訳がわからない。こちらは「とりあえず銀川に帰ったら1週間ぐらいは自主隔離かな」と思っていたのに、「じゃあ、火曜日のリハが終わったらみんなでFunkyを囲んでメシに行くからな!」と大盛り上がり……。 過去のチャット履歴を見ると、どうやらどこかのバンドのメンバーが感染してツアーが中止になったらしい。布衣楽隊の冬のツアーは本来ならもう始まっている予定だったが、2022年11月のゼロコロナ政策による締め付けのため、2023年1月から開始となった。だから、この12月の間にできればメンバー全員感染しておきたいのだ。) 「コロナは一度感染すると半年は感染しない」という医者の発言がネットで出回っている。もう、いったい何を信じていいのやらわからない。 銀川に戻ったが、私はまだ感染しているのかどうかはわからない。PCR検査を受ければ、もっといろんな面倒くさいことが起きるであろうから、怖くて受けられないのだ。 今ではPCR検査を受けなくても、この国で生きていける。省をまたぐ移動も何の障害もなくできる。このような無症状の感染者が平気で中国国内を自由に飛び回っているという事例はもっともっとたくさんあるのだ』、「省をまたぐ移動も何の障害もなくできる。このような無症状の感染者が平気で中国国内を自由に飛び回っているという事例はもっともっとたくさんあるのだ」、恐ろしいことだ。
・『自分の身は自分で守る それなのに、政府発表による中国のコロナ感染者の数は減っていく一方である。もう誰もPCR検査を受けないのに、いったい何を根拠にこの数字を出しているのか。そのうち中国政府はこう発表するかもしれない。 「わが国の偉大なるゼロコロナ政策は大成功を収め、ついにこの国ではひとりのコロナ患者もいなくなりました!」 上に政策あれば下に対策あり。この国の人民は、政府の発表に翻弄されながらもたくましく「自分の身は自分で守って」生きていくのだ。 銀川に着いたその日、政府は「行動アプリ」の撤廃を発表した。これまで、過去1週間(ちょっと前までは2週間だった)に行った都市の一覧が出るアプリだ。仲間内は大喜びで、このニュースを拡散した。 しかし、だからといって国民の行動の監視が緩まるわけではない。「コロナに関して」ということだけであることに間違いはなかろう。ゼロコロナ政策の緩和。まだまだ混乱は続きそうだが、このままうまく着地して収束してくれることを願うのみである』、今日のニュースでは、コロナ感染者の数や死亡者数の発表は止めたようである。医療体制が不十分な「中国」で医療崩壊が激化するようであれば、まさに悲劇だ。
第四に、11月21日付け現代ビジネス 「【習近平の大誤算】若者の失業率約18%、富裕層の国外脱出加速、米輸出規制で“科学技術立国の夢”が泡に」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/103521?imp=0
・『前編『「中国の地殻変動」と「習近平の大誤算」コロナPCR受診者16倍、不動産競売市場崩壊、検閲ソフトをかいくぐる白紙デモ』では、今中国で起きている劇的な地殻変動についてレポートしてきた。後編では、さらに連鎖的に発生している深刻な事態と、中国の未来の姿が窺い知れる分析についてお届けする』、興味深そうだ。
・『将来を見限った人々 経済成長の足かせになっているのは、長引く不動産不況だ。恒大集団をはじめとする多くの不動産デベロッパーが資金繰りに窮し、住宅の完成と引き渡しが滞る事例が各地で発生。これに対抗する形で、住宅購入者たちがローンの支払いを拒否する動きも頻発している。直近10月の不動産販売は前年同月比23・2%減と、不調ぶりが著しい。 「不良債権処理の市場となる競売すら機能していない」と語るのは、ジャーナリストの姫田小夏氏だ。 「これまで、ある程度の不動産はアリババなどが運営するオークションサイトといった競売市場に出せば、買い手がつく傾向にありました。ところが昨今は、市場が動かず、在庫が積みあがっている状況です。 たとえば、破産した巨大民営企業が手放した、上海の一等地にある、建築面積1万㎡を超える20戸の高級戸建て群が'21年8月に競売にかけられました。査定額は総額16億元(約320億円)と、上海競売史上、屈指の高額案件です。昔なら投資物件として人気を集めそうなものですが、誰一人入札者は出ませんでした」 当然、国も低迷する不動産市場に対して金融面の救済措置に動いた。11月21日には、政府の指示により国有銀行が相次いで不動産会社向け融資枠を設定。その額は3兆1950億元(約63兆円)とケタ違いの規模に上った。しかし、これで市場が回復するかといえば、そう簡単な話ではない。中国の不動産大手幹部は弱音を漏らす。 「今回の支援策の対象は最大手の碧桂園(カントリー・ガーデン)など有力な企業に限った話。恒大集団など過剰債務に陥っている企業はことごとく対象外です。習近平は問題を先送りにしたに過ぎませんよ。実際、支援策発表後も住宅販売は相変わらず低調です」』、「「今回の支援策の対象は最大手の碧桂園(カントリー・ガーデン)など有力な企業に限った話。恒大集団など過剰債務に陥っている企業はことごとく対象外です。習近平は問題を先送りにしたに過ぎませんよ」、「恒大集団」が「対象外」ということは、殆どの不動産企業も「対象外」になってしまう。
・『科学的分野の危機 せっかくのテコ入れも空振りに終わってしまいかねない不動産市場。同様に危機感を抱いているのがテクノロジー市場だ。習近平が夢見た「科学技術立国」も昔の話、今やその道は閉ざされている。 決定打となったのは、アメリカ・バイデン政権による対中輸出規制の強化だ。そこには先端的な半導体を製造するのに不可欠な米国製の装置や人的資本が含まれていた。この輸出規制が続けば、それだけハイテク分野の技術も発想力も削がれていく。科学的技術で世界をリードするという野心の実現も難しくなる。 経済が停滞し、これ以上の技術発展も見込めないとなれば、もう中国に将来はない—先見の明がある者ほど、こう考えて祖国を見限り、国外に脱出していくという。ITベンチャー企業を経営していた深圳から'21年に日本に移住してきた40代男性はこう語る。 「'22年は『中国を脱出する』という意味の『潤』という単語がSNSで流行し、資産をシンガポールや日本などに移し、脱出を図る富裕層が急増しました。さらに最近、企業レベルでも将来性の乏しい国内での事業を切り捨て、海外に出て行こうとする向きがあります。 その一つが、民間企業の海外視察ブームです。12月6日には、浙江省が1万社以上の企業を率いて、6日間の欧州視察ツアーを行ったことが報じられました。表向きは省レベルの海外投資戦略の一環ですが、経営者の中にはこれを機に、拠点の海外移転を決める者も多いと聞きます」 中国人経営者たちの憂いの目は、急速な少子高齢化の波にも向けられている。国連が発表した最新の中国の人口予測によれば、2047年までの人口の減少幅は総人口の6%にあたる約9000万人に上る。また、平均年齢も現在の38・5歳から50歳に急上昇する』、「資産をシンガポールや日本などに移し、脱出を図る富裕層が急増しました。さらに最近、企業レベルでも将来性の乏しい国内での事業を切り捨て、海外に出て行こうとする向きがあります。 その一つが、民間企業の海外視察ブームです」、「経営者の中にはこれを機に、拠点の海外移転を決める者も多いと聞きます」、これでは大変だ。
・『党内部もバラバラ それでいて、これから有望な働き手となるであろう16〜24歳の若年層の失業率が高止まりを続けているのも問題だ。背景には求職者と求人側とのミスマッチがある。 10月の失業率は5・5%とほぼ横ばいですが、一方で若年層は17・9%と高い水準にあります。原因は、1000万人の大台を超えた大卒者にあります。彼らには『大学に入った以上、こういう仕事に就きたい』という希望がある。特に習近平政権下の教育政策によって、『ブルーカラー=社会の底辺』という固定観念が根付いてしまったばかりに、仕事を選別するようになってしまった。結果として、ミスマッチが常態化しているわけです」(前出・阿古氏) ゼロコロナ、経済、そして教育。習近平が主導したあらゆる政策がことごとく裏目に出ている。それが今になって様々な問題を引き起こしているのは明らかだ。にもかかわらず、習近平の暴走は止まらない。最高指導部を構成する党政治局常務委員や下部組織の政治局員は、自らの側近とイエスマンで固められている。習近平が「これをやれ」と言えば、拒否できる者などいない。 中国問題グローバル研究所所長で筑波大学名誉教授の遠藤誉氏は、共産党指導体制内の信頼関係の欠如が、中国の地殻変動の根底にあると指摘する。 「ゼロコロナ政策の規制緩和も、実際には'21年1月には出されていました。しかし、現場を指揮する地方政府の役人たちは、『お上の指示に従って失敗したら自分が感染再拡大の責任を取らされる』と、自分自身が処罰される可能性に怯え、自らの保身のために2年近く動かなかったわけです」 そこで、中央は「規制緩和を守らない者は処罰する」と宣言。ここでようやく、各地方政府は「逮捕されるくらいなら」と緩和を実行に移したのだ。もはや信頼関係など存在しない。遠藤氏が続ける。 「そこにあるのは恐怖心です。恐怖による強権統治をやめないかぎり、どんな政策も現場との連携は取れないままで、中国は救われません」 幾多の危機に直面する中国。この国の地下で煮えたぎるマグマが噴出する日は近い』、「「ゼロコロナ政策の規制緩和も、実際には'21年1月には出されていました。しかし、現場を指揮する地方政府の役人たちは、『お上の指示に従って失敗したら自分が感染再拡大の責任を取らされる』と、自分自身が処罰される可能性に怯え、自らの保身のために2年近く動かなかったわけです」、「規制緩和」の「指示」の「実行」に「自らの保身のために2年近く動かなかった」、とは官僚主義もここに極まれりだ。急に「規制緩和」したことによる「感染爆発」による医療崩壊、死者急増の嵐が早く収まってくれることを期待する。
先ずは、12月14日付けNewsweek日本版 がロイターを転載した「中国、ゼロコロナ解除で「困難に直面」 WHOが指摘」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2022/12/who-138.php
・『世界保健機関(WHO)のハリス報道官は13日、中国が新型コロナウイルス感染抑制に向けた厳格な「ゼロコロナ」政策を解除し、コロナとの「共生」を選択する中、「非常に厳しく、困難な時期」に直面するという認識を示した。 中国のコロナ規制緩和は国内で歓迎されつつも、感染急拡大を巡る懸念も高まっている。 ハリス報道官は「非常に厳格な管理体制からの脱却はどの国にとっても非常に難しい」と指摘。課題は国民のワクチン接種を確実にし、病院の受け入れ態勢を整えることとし、「移行を維持するためには、地域社会や病院、国家レベルで多くの措置を講じる必要がある」と述べた』、「中国が新型コロナウイルス感染抑制に向けた厳格な「ゼロコロナ」政策を解除し、コロナとの「共生」を選択する中、「非常に厳しく、困難な時期」に直面するという認識」、まして国産ワクチンは効果を疑問視されているのでは、本当に大変だろうと、同情を禁じざるを得ない。
次に、12月15日付け現代ビジネスが掲載した評論家の石 平氏による「抗議活動に負けてのゼロコロナ政策撤廃でコロナ感染爆発の危機、習近平政権「ダブル敗戦」の大打撃」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/103314?imp=0
・『事実上の「ゼロコロナ」政策放棄 12月7日、中国の国家衛生健康委員会は、10の項目からなるコロナ対策の新しいガイドライン「新十条」を発表した。その注目すべきいくつかの重要内容を羅列すれば以下のものである。 1)各地における「強制的な全員PCR検査の定期実施」は廃止。 2)公共交通機関と病院・学校を除く公共施設、商店、スーパー、オフィスビルなどを利用する際のPCR検査陰性証明の提示は廃止。 3)省や自治区などを超えて移動する際の陰性証明提示は廃止。 4)すべての感染者を隔離施設や病院に移す措置は廃止、無症状あるいは軽症の感染者の自宅隔離を認める。 5)感染拡大への封鎖措置に関しては、都市全体あるいは住宅団地全体の封鎖はやめ、封鎖は感染が確認された建物やフロアに限定される。 以上の内容からすれば、この新しいガイドラインの発表と実施はもはや「ゼロコロナ」政策の「緩和」程度のものではない。それは事実上、「ゼロコロナ」政策の放棄であって、180度の政策の大転換である。 「ゼロコロナ」政策というのは文字通り、コロナ感染をゼロにすること、つまりコロナの完全撲滅を目指した政策である。この政策実施の前提は、まさに「強制的・定期的なPCR全員検査」である。例えば都市部なら、地方によっては48時間内に一度、あるいは72時間内に一度、政府当局の手によって、市民全員に対するPCR検査は徹底的に行われるのである。 このような徹底的なPCR検査の実施によって、陽性者と感染者は漏れることなく迅速に割り出されて隔離施設へ送られることになるから、どこかでコロナが出たところ、それは直ちに「撲滅」されて感染の拡大は最小限に封じ込められるのである。 封鎖なくして中国のコロナ制圧なし、だったが その一方、市民全員はPCR検査を受ける度に、陽性でなければ、有効期間限定の「陰性証明」を発行してもらうが、市民の方は48時間か72時間という有効期限内に、この「陰性証明」を提示することによって初めて電車やバスなどの公共交通機関を利用できるし、病院や学校、スーパーやオフィスビルなどの公共施設に入れる。このような措置が取られることによって、陽性者や感染者が市中に出回って公共施設に出没するようなことは基本的に無くされているから、コロナの感染拡大は極力避けられている。 それでもコロナの感染拡大が発見された場合、最後の手段として政府当局は住宅団地の1つ、あるいは町1つ、都市1つを丸ごと封鎖するという極端な措置をとる。例えば筆者の出身地である四川省成都市(人口2100万人)の場合、今年8月31日に新規感染者数が156名になったところで、翌日の9月1日からまる2週間、都市全体がロックタウンされた。 こうしてみると、「強制的・定期的なPCR全員検査」と、あらゆる公共施設に出入りする場合の陰性証明提示、そして極端な封鎖策は、中国政府の「ゼロコロナ」政策の実効性を支える3本の柱であって政策が成り立つ前提であることが分かる。 しかし、前述の「新十条」の内容を点検してみると、特に1、2、5を点検してみると、「3本の柱」となる政策措置は完全に廃止されたり大幅に緩和されたりしていることが明々白々である。それでは「ゼロコロナ」政策はもはや成り立たない。政策そのものが放棄されてしまったと見て良い。 つまり、前述の「新十条」の発表と実施は、「ゼロコロナ」政策の単なる「緩和」ではなく、むしろ思い切った政策の大転換であることがよく分かる。しかし問題は、この政策転換は決して、「コロナの撲滅」という「ゼロコロナ」政策当初の目標を達成した上での政策転換ではない、という点である』、「前述の「新十条」の発表と実施は、「ゼロコロナ」政策の単なる「緩和」ではなく、むしろ思い切った政策の大転換である」、本当に「思い切った政策の大転換」だ。
・『最悪のタイミングで そもそも、オミクロンという新しい変異株が世界的に広がった時から、コロナの完全撲滅はすでに不可能になっている。実際、中国であれほど厳しい封じ込め策が実施されてきていても、感染拡大を完全に阻止できたわけではない。今年12月6日までの28日間連続、中国国内の新規感染者数は1万人を超えている。 そうすると、12月7日からの政策転換、すなわち「ゼロコロナ」政策の放棄は、まさに目標が全くできなかった中での政策の放棄であって、その意味するところはすなわち、「ゼロコロナ」政策そのものの敗退であって、約3年間にわたって政治権力によって強行された「ゼロコロナ政策」は結局、失敗に終わったわけである。 しかも、「ゼロコロナ」政策が放棄されたところ、今後の中国全土において再びコロナの感染拡大が起きてくることも予想されているから、国民に大きな犠牲と不自由を強いた「ゼロコロナ」政策は結局何の意味もない。政策の完全失敗である。 それでは習近平政権は、自らの宣言した「コロナとの戦い」にすでに敗戦していることは明らかであるが、さらに問題となってくるのは、今回の「ゼロコロナ」政策の転換が行われたタイミングである。 12月7日といえば、中国でも冬期の始まりである。周知のように、冬期というのはまさにコロナの感染しやすい季節だ。冬期の到来と同時に行われた中国政府のコロナ政策の大転換は拙速というしかないが、ましてや中国の場合、来年1月22日からは旧正月(春節)が始まって帰省などによる恒例の「民族大移動」は始まるという特別の事情もある。 このようなタイミングでの政策転換はどう考えても無謀かつ危険であろう。今月から来年1月にかけて、中国全土で爆発的な感染拡大が起きてくる確率は非常に高い。政策転換のタイミングはあまりにも悪すぎる』、「国民に大きな犠牲と不自由を強いた「ゼロコロナ」政策は結局何の意味もない。政策の完全失敗」、「今月から来年1月にかけて、中国全土で爆発的な感染拡大が起きてくる確率は非常に高い。政策転換のタイミングはあまりにも悪すぎる」、その通りだ。
・『民衆の抗議に負けてしまった しかし習政権は一体どうして、上述のような危険も承知の上で拙速な政策転換に踏み切ったのか。時間列的に見ればその理由は実に簡単である。11月25日から29日までに全国で勃発した「反ゼロコロナ政策」の抗議運動こそは、政策の転換を促した主な要因の1つではないのか。 抗議運動の実態は12月1日掲載の本欄が詳しく伝えたところだが、政権の「ゼロコロナ」政策に対する強い反発から始まった民衆運動はあっという間に全国に広がり、同時に「反習近平・反体制運動」的革命運動にまで発展した。その後、当局は警察力を動員して抗議デモを封じ込めその鎮静化に成功したものの、運動の全国的拡大と先鋭化はやはり、習政権に大きな衝撃を与えたはずである。 そして運動収束直後の12月7日、当局は上述の「新十条」を発表しそれを直ちに実施に移した。やはり習政権は、抗議運動の拡大と継続化を恐れて民衆の不平不満を和らげるために急遽「ゼロコロナ政策」からの転換を断行した、と思われる。そういう意味では、「ゼロコロナ」政策からの政権の撤退あるいは敗退は、民衆は自分たちの力で勝ち取った勝利でもある。 しかし、もしそうであれば、このことの政治的意味は実に重大である。要するに一党独裁体制下の中国で、政権は民衆の抗議運動に押された形で政策の大転換、大後退を余儀なくされたわけであり、立ち上がった民衆の力を前にして、政権が敗退したのである。言ってみれば、今の習政権は、コロナとの戦いに敗退したのと同時に民衆の力にも敗退してしまった。まさに屈辱の「ダブル敗戦」というものである』、「一党独裁体制下の中国で、政権は民衆の抗議運動に押された形で政策の大転換、大後退を余儀なくされたわけであり、立ち上がった民衆の力を前にして、政権が敗退したのである。言ってみれば、今の習政権は、コロナとの戦いに敗退したのと同時に民衆の力にも敗退してしまった。まさに屈辱の「ダブル敗戦」というものである」、「ダブル敗戦」とは言い得て妙だ。
・『政権への不信とコロナ感染再拡大と この「ダブル敗戦」は、今後の中国政治に及ぼす影響は決して小さくはない。それがもたらす政治的結果の1つはまず、習近平主席と習政権のさらなる権威失墜である。政権があれほど固執してきた「ゼロコロナ」政策は結果的に失敗に終わり、中国国民はもう一度、全国的感染拡大に直面していかなければならない。 この厳重な事実は、愚かな政策を強行した習主席自身と政権の愚かさをより一層露呈したのと同時に、国民一般の習主席と政権に対する不信感をさらに増幅させることとなろう。 その一方、民衆の抗議運動に押されたて行なった今回の政策大転換は実は、習近平政権の今後の政治に1つ、大きな「禍根」を残すとことなろう。政権が民衆の力に屈した形で政策転換を余儀なくされたのであれば、民衆側はこれで政権の足元を見てしまい、自分たちの力に対して大きな自信を持つこととなるに違いない。 それでは今後、政権のさまざまな政策に対してその不平不満が限界に達したとき、今回の「反ゼロコロナ政策運動」の成功に勇気つけられた民衆が新たな抗議運動に立ち上がる可能性は、以前より大きくなることは予想できる。つまり、習政権の「ダブル敗戦」は結局、今後における民衆運動あるいは反乱の発生を誘発する火種を自ら撒いた訳である。 中国国民と習政権にとっての大問題はもう1つがある。 今回、医療施設の充実や高齢者層へのワクチン接種の普及などの十分な準備はまだ整えられていない状況下で、主に政治的要因により「ゼロコロナ」政策が放棄されたことの結果、感染しやすい冬期の到来と相まって中国全国で爆発的な感染拡大が起きてくる確率は非常に高い。その中で重症者や死亡者が増える一方、医療機関の逼迫が深刻化してくるのであろう。 それでは政権は感染拡大をそのまま容認するのか、それとも「ゼロコロナ」政策に逆戻りするのかの選択を迫られることとなるが、封じ込めからやっと解放された中国国民はもう一度、広範囲な感染拡大に耐えていかなければならない。中国にとっての「コロナ問題」は、まさにこれからである』、「習政権の「ダブル敗戦」は結局、今後における民衆運動あるいは反乱の発生を誘発する火種を自ら撒いた」、「今回、医療施設の充実や高齢者層へのワクチン接種の普及などの十分な準備はまだ整えられていない状況下で、主に政治的要因により「ゼロコロナ」政策が放棄されたことの結果、感染しやすい冬期の到来と相まって中国全国で爆発的な感染拡大が起きてくる確率は非常に高い・・・政権は感染拡大をそのまま容認するのか、それとも「ゼロコロナ」政策に逆戻りするのかの選択を迫られることとなるが、封じ込めからやっと解放された中国国民はもう一度、広範囲な感染拡大に耐えていかなければならない。中国にとっての「コロナ問題」は、まさにこれからである」、本当にどうなるのか、大いに注目される。
第三に、12月16日付け東洋経済オンライン が掲載した音楽家のファンキー末吉氏による「一気に大緩和?中国・ゼロコロナ政策撤廃の現実 音楽家ファンキー末吉が経験した緩和直後のドタバタ劇」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/639893
・『新型コロナウイルス感染症に対し「ゼロコロナ」政策を厳しく続けてきた中国が一転、政策を緩和したのは12月上旬。全国に抗議活動が広がるなど混乱を受けて、習近平・国家主席の鶴の一声で緩和されることになった。 ロックバンド「爆風スランプ」のメンバーで現在は中国を中心に活動しているミュージシャンのファンキー末吉氏は、緩和された直後の北京に出向き、ゼロコロナ政策緩和直後の状況を目の当たりにする。これまでの中国のコロナ監視体制を経験、「IT武装も最後は『人力』頼みの中国コロナ監視体制」などを執筆したファンキー末吉氏は、PCR検査が必要だったりそうでなかったり、場所によって対応が変わったり……そんなドタバタ劇が起きている。中国社会の現実はいかに。 私は「布衣楽隊」という、中国で最も多くのツアーを行うバンドのドラマー兼プロデューサーとして中国全土をツアーして回っている。 2022年のツアーはコロナ禍のため例年より少なく57本を予定していたが、結局は14本がコロナのためにキャンセルとなって2022年9月末に終了。メンバーはそのまま、拠点として居住する中国西部・寧夏回族自治区の銀川(ぎんせん)市に帰ったのだが、私はレコーディング仕事があったのでそのまま北京に行った。 そうしたら、運のいいことに銀川市がロックダウン。しかし新たな感染者数が10人ほどで200万都市(周辺小都市を含めると700万人)をロックダウンして住民の自由を奪うのだから、中国のこのゼロコロナ政策というのはすさまじいと言うしかない』、「ロックバンド「爆風スランプ」のメンバーで現在は中国を中心に活動」、とは興味深い存在だ。コロナ問題を新聞とは違った角度で伝えてくれるだろう。
・『12月7日、突然訪れた「ゼロコロナ」緩和 銀川には帰れないのでそのまま1カ月半ほど北京に滞在していたら、北京がどんどん危なくなってきた。 私が銀川に帰った翌日にはすべての北京市民は毎日のPCR検査が義務付けられ、検査結果がスマートフォンにインストールする健康アプリに反映され、そこでのQRコードが緑色にならなければ商店や施設、タクシーにも乗れないというありさまである。 銀川はそれほど厳しくなく、外地から帰って来た人は3日間のうち2回PCR検査を受ければ健康アプリのQRコードは緑色のままとなり、それを施設入り口のリーダーにかざせばどこにでも自由に出入りすることができた。 帰ってきてから半月ほどは平和に過ごしていたのだが、2022年11月25日にいきなり都市封鎖の通達が来た。これは銀川の感染者数というより、中国全土の感染者数がこれまでになく増えたことで地方政府もそれぞれに危機感を高めたためではないかと思う。 今回のロックダウンは、いわば「ソフトロックダウン」程度のもので、飲食店はデリバリー以外の営業は禁止。私の住むマンション群は出入り禁止だが、そうでもなく自由に出入りできる地区もあり、どうやらマンション群の社区と呼ばれる自治体に判断を任されているようだ。 ところが、1週間の隔離も終わりにさしかかった11月24日に新疆ウイグル自治区で発生した火災で死亡者が出た。死亡者が出たのは、防疫用柵で消防隊の到着遅れたためではないかと考えられ、これをきっかけに中国全土でゼロコロナ政策に反対する抗議活動が起きた。 「第2の天安門事件(1989年)に発展するかも」と心配していたのだが、一転、政府はゼロコロナ政策を大幅に緩和することを発表した。2022年12月7日のことである。 これを受けて銀川では、スーパーや商業施設に入る際に必要だった48時間以内の陰性証明の提示が不必要となった。そんな頃である。北京でレコーディングの話が来た。 いや、話はだいぶ前からあったのだが、ゼロコロナ政策による厳しい行動制限や、外地からの流入規制、そして都会よりいつも1テンポ遅れて対策が変わるこの銀川に、北京から帰ってきてちゃんと入れるのかという心配があったので、「今は北京には行けない」と言うしかなかったのだ。 ところが、12月7日の規制緩和発表に続いて、中国で省をまたいで移動する際の陰性証明の提示が撤廃された。これはコロナ禍で長くツアーを回っていた私にとってはとてもうれしいニュースである』、「新疆ウイグル自治区で発生した火災で死亡者が出た。死亡者が出たのは、防疫用柵で消防隊の到着遅れたためではないかと考えられ、これをきっかけに中国全土でゼロコロナ政策に反対する抗議活動」、「政府はゼロコロナ政策を大幅に緩和することを発表した。2022年12月7日のことである。 これを受けて銀川では、スーパーや商業施設に入る際に必要だった48時間以内の陰性証明の提示が不必要となった」、「ゼロコロナ政策」も終わりはあっさりしたものだ。
・『PCR検査を課しても検査場は次々閉鎖 実はIT大国とされる中国で、便利に思えるそのアプリの数々、とくに省ごとに違う健康アプリのほとんどが、外国人には対応していないのだ。 そして、北京に住む友人の話によると、規制が緩和されたといっても飲食店などに入るためには48時間以内の陰性証明がいまだに必要なのに、12月7日の規制緩和によってPCR検査場が次々と閉鎖されたため、今度はその検査をきちんと受けられる検査場を探すのがたいへんになってしまった。とくに外国人にとっては、外国人に対応していないPCRR検査場というのがあるから、さらに探すのに一苦労、二苦労させられる。 こんな笑い話も伝わってくる。 「陰性証明が必要なんだけど、検査をやっているところがないじゃない!」「検査なら病院行ってやれ」 「その病院に入るのに、陰性証明が必要なんだよ!!」 銀川のような地方都市は対応が遅く、まだそこまで切羽詰まった状況にはならないが、北京などの大都市では急激な政策転換によってかなりの混乱が起こっているようだ。 そんな大混乱の中、12月9日に北京行きが決まった。出発の頃には北京で爆発的に感染者数が増えているという噂も聞くが、銀川の友人たちなんかは「お、いいじゃん!帰ってきたらメシ食おう」と笑う。感染したらメシどころじゃないのに何を言っているんだろうと不思議に思ったが、後にその意味がわかることになる。 さて、北京に行くとなると、心配なのはPCR検査をどう受けるかである。北京の友人夫婦は久しぶりに私と飲むことを楽しみにしてPCR検査を受けているのだが、毎日検査しても結果が健康アプリにまったく反映されず、結局8日間も検査を受けてないことになっており、飲食店どころかどこの施設にも入れないのだ。 そこで、北京で陰性証明をゲットするのは難しいだろうと思い、私は出発前に銀川でPCR検査をすることにした。 噂通り、PCR検査場が減ってきているので長蛇の列である。 検査は今までは無料だったのだが、今回から有料になっていた。3.5元。円安とはいえ70円程度で安い!10人分の検体を1つの試験管にまとめる方式の検査だ。 結果はだいたい半日後には出る。夜汽車に乗って北京に向かい、朝着くころには検査結果がアプリに反映されていることだろう。外国人はQRコードをかざして読み取るだけではダメで、さらにパスポート情報などを自分で入力するのだが、スペルなどちょっと間違えただけで結果は反映されない。私も実際、PCR検査を受けているのに反映されずにQRコードが黄色になってしまって困ったことがあったが、この検査場はいつも必ず反映されるので安心なのである。 さて、いつものように夜汽車に乗ったらすぐに眠れるようにガンガンに酒を飲んで銀川駅へ向かう。これまでは厳重な健康アプリや行動アプリのチェックがあったのだが、それらがまったくなくなり何もチェックされなかった』、「PCR検査」で「10人分の検体を1つの試験管にまとめる方式の検査」、1人でも陽性の人間がいると、何回か組み合わせを変えて検査を繰り返して、陽性の人間を絞り込むのだろう。これでも、個々人に検査をするより効率的なのだろう。
・『陰性証明が必要だったりなかったり 北京に着いた。スマホの地図アプリを開いたら、見慣れない赤いものがたくさんある。「疫情高??」。つまり「ここには感染者がいるからたいへんだよ」という意味だ。 北京西駅に着いてからもなんらチェックもまったくなく、以前検査場だった場所に看板だけが撤去されず残っていた。そこからは地下鉄に乗り換えるのだが、みればきっと同じ列車に乗ってきたのだろう、防護服を着ている親子連れらしき乗客もいた。 きっと感染爆発と言われている北京へ行くのに、娘だけには感染させないようにという親心なのだろう。「コロナは怖い病気だよ」と宣伝してゼロコロナ政策をやっていた中国政府が、いきなり「オミクロン株はまったく怖くない」と言い始めた。人民は自分の身は自分で守るしかない。全国の薬局から解熱剤などの風邪薬がすべて売り切れたという噂である。 地下鉄も、一時期はガラガラだったと聞いたがそうでもなくそこそこの乗客がいた。時間もあるので、先日大規模なデモがあったという北京市内東部の「亮馬橋」地区に行ってみたが、別にいつもと変わらない感じだった。上海では、デモが発生した場所の歩道が厳重に封鎖されたと聞いていたが……。 レコーディングまでには時間があるので、スターバックスにコーヒーを飲みに行ったら陰性証明の提出を求められた。それから、知り合いの中国人がやっている日本料理屋に行ったのだが、そこはホテルの施設内にあり、普段はより厳格な検査を行うのだが陰性証明の提出は必要なく、QRコードをスキャンして「この場所に来た」という足跡を残すのみであった。規制緩和を受けての対応が店によって違うのだろう。 日本語が上手な女将は病気で出勤してないということだが、来たことを告げると喜んでメッセージを送ってきた。「実はコロナにかかってしまったんです」と泣いている。女将さんはガンの闘病生活もしており、それにコロナはたいへんだろう。 「もうね、家とスーパーマーケットだけしか行ってなかったのに感染しちゃうなんて、なんてひどい国なの!」と怒っているが、女将さん、ここはあなたの国です……、といったメッセージをしばらくやり取りした後、スタジオに向かう。 出迎えてくれたのはドラムをレコーディングする歌手本人とエンジニアの2人。手にはアルコール噴霧器を持っていて、握手のたびに消毒したり、マスクを決して外さなかったり、とてもコロナを恐れているように見えて緊張した。ところが、理由はほかにあったことが後に判明する。 レコーディングは順調で、午後5時にはすべての作業を終えて「飲みに行こう」となった。歌手も一緒に行くのかと思ったら「帰る」というので、結局エンジニアと2人で飲むことに。場所は日本風の居酒屋だったのだが、そこでも陰性証明の提出は必要ではなくQRコードをスキャンして足跡を残すのみであった』、「全国の薬局から解熱剤などの風邪薬がすべて売り切れたという噂である」、最近は日本の薬局でも中国人が「風邪薬」を爆買いしているようだ。
・『どっぷりと濃い濃厚接触者になる 前述の友人ご夫婦も招待しようと連絡したら、ショッキングな事実を伝えられた。私と一緒に飲むのを楽しみにして飲み屋に入れるように毎日PCR検査を受けて、結果が出ないので毎日毎日検査を受け続けていたのだが、先日出た結果が「陽性」。厳密には「1つの試験管で検査した10人の中に陽性者がいた」というもので、彼ら自身が陽性なのかどうかはわからない。 そもそも10人が1つの試験管で検査するなんて、まるで毎日ロシアンルーレットをやっているようなものである。せめてもの救いが、昔なら有無をいわさず収容所のような隔離施設に送られるのだが、今は緩和されて自宅で自主隔離となっているようだ。 エンジニアと盛り上がって飲んでいるときに、またショッキングな事実を聞いた。 「歌手が『一緒に飲めなくてすみません』と謝ってましたよ。実は彼も陽性で」 それって陽性なのにスタジオ来てたの?というより、一瞬でそこまで緩くなったということか……。そして彼自身も私にショッキングなことを言った。 「実は妻も陽性で家で寝てるんです」 ということは、今の私は陽性者と同居している男とマスクを外して酒を飲んでいるのか!あれほど厳格に行われていた中国のゼロコロナ政策が、一瞬のうちにここまで緩くなっているのが信じられなかった。) 酔いも覚めてしまったので帰ろうと、北京の院子の同居人に連絡を取る。院子というのは中国伝統的な長屋式住居で、1つの庭(院子)を囲むように三方、もしくは四方の建物が建っており、院子を共有してそれぞれの棟は独立して緩い共同生活を営むという、友人と暮らすなら願ってもない生活環境である。 北京市内には、今ではこういった伝統的住居はなくなってしまい、すべて高層マンションになってしまったが、郊外などの辺鄙な場所にはまだ残っていて、私が住む院子も市内から30キロメートルほど離れた村の中にある。 連絡をしてみると、同居人は「村にはタクシーの乗り入れもできなければ、この村の住人である証明書(出入証)がなければ入れない」というのだ。もう緩いのか厳しいのかわからないゼロコロナ政策。あるところではとてつもなく厳しく、あるところではとてつもなく緩い』、「ゼロコロナ政策。あるところではとてつもなく厳しく、あるところではとてつもなく緩い」、これが緩め始めの実態だろう。
・『「早く帰ってきてうつしてよ!」 その日は友人宅に泊めてもらい、翌朝冷静になって考えてみて怖くなった。たとえマスクをしていたとしても、感染者と一緒に丸1日スタジオにいて、その後は感染者の同居人と一緒にマスクを外して酒を飲んでいた私は、普通で考えると当然感染しているのではないか。 少なくとも濃厚接触者であることだけは確かである。ほんの最近までなら、これだけで隔離施設行きである。私はもうすでに6回の隔離を経験していて、病気よりなにより隔離が怖い。また、もし感染していたとしたら、今度は人にうつしてしまうのが怖い。とくに一緒にバンドをやっているメンバーに、である。 スマホをみると、ちょうどバンドのメンバーによるグループチャットでは、感染についていろいろと面白おかしいやり取りがされていた。北京のスタッフに対して、「北京は大変なの?じゃあ、なんか菌が付いているのを郵送してよ」とか何の冗談なのかよくわからない。私だけ大真面目に前日のレコーディングの話をして、「このまま北京に滞在して様子を見ようか?」と提案してみる。 ところが、シリアスになっている私をよそに「イエィ!!」と盛り上がっている。「Funky、早く帰ってきてうつしてよ」とか「Funkyはぼくらの救世主だ」といったメッセージが来て、まったく訳がわからない。こちらは「とりあえず銀川に帰ったら1週間ぐらいは自主隔離かな」と思っていたのに、「じゃあ、火曜日のリハが終わったらみんなでFunkyを囲んでメシに行くからな!」と大盛り上がり……。 過去のチャット履歴を見ると、どうやらどこかのバンドのメンバーが感染してツアーが中止になったらしい。布衣楽隊の冬のツアーは本来ならもう始まっている予定だったが、2022年11月のゼロコロナ政策による締め付けのため、2023年1月から開始となった。だから、この12月の間にできればメンバー全員感染しておきたいのだ。) 「コロナは一度感染すると半年は感染しない」という医者の発言がネットで出回っている。もう、いったい何を信じていいのやらわからない。 銀川に戻ったが、私はまだ感染しているのかどうかはわからない。PCR検査を受ければ、もっといろんな面倒くさいことが起きるであろうから、怖くて受けられないのだ。 今ではPCR検査を受けなくても、この国で生きていける。省をまたぐ移動も何の障害もなくできる。このような無症状の感染者が平気で中国国内を自由に飛び回っているという事例はもっともっとたくさんあるのだ』、「省をまたぐ移動も何の障害もなくできる。このような無症状の感染者が平気で中国国内を自由に飛び回っているという事例はもっともっとたくさんあるのだ」、恐ろしいことだ。
・『自分の身は自分で守る それなのに、政府発表による中国のコロナ感染者の数は減っていく一方である。もう誰もPCR検査を受けないのに、いったい何を根拠にこの数字を出しているのか。そのうち中国政府はこう発表するかもしれない。 「わが国の偉大なるゼロコロナ政策は大成功を収め、ついにこの国ではひとりのコロナ患者もいなくなりました!」 上に政策あれば下に対策あり。この国の人民は、政府の発表に翻弄されながらもたくましく「自分の身は自分で守って」生きていくのだ。 銀川に着いたその日、政府は「行動アプリ」の撤廃を発表した。これまで、過去1週間(ちょっと前までは2週間だった)に行った都市の一覧が出るアプリだ。仲間内は大喜びで、このニュースを拡散した。 しかし、だからといって国民の行動の監視が緩まるわけではない。「コロナに関して」ということだけであることに間違いはなかろう。ゼロコロナ政策の緩和。まだまだ混乱は続きそうだが、このままうまく着地して収束してくれることを願うのみである』、今日のニュースでは、コロナ感染者の数や死亡者数の発表は止めたようである。医療体制が不十分な「中国」で医療崩壊が激化するようであれば、まさに悲劇だ。
第四に、11月21日付け現代ビジネス 「【習近平の大誤算】若者の失業率約18%、富裕層の国外脱出加速、米輸出規制で“科学技術立国の夢”が泡に」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/103521?imp=0
・『前編『「中国の地殻変動」と「習近平の大誤算」コロナPCR受診者16倍、不動産競売市場崩壊、検閲ソフトをかいくぐる白紙デモ』では、今中国で起きている劇的な地殻変動についてレポートしてきた。後編では、さらに連鎖的に発生している深刻な事態と、中国の未来の姿が窺い知れる分析についてお届けする』、興味深そうだ。
・『将来を見限った人々 経済成長の足かせになっているのは、長引く不動産不況だ。恒大集団をはじめとする多くの不動産デベロッパーが資金繰りに窮し、住宅の完成と引き渡しが滞る事例が各地で発生。これに対抗する形で、住宅購入者たちがローンの支払いを拒否する動きも頻発している。直近10月の不動産販売は前年同月比23・2%減と、不調ぶりが著しい。 「不良債権処理の市場となる競売すら機能していない」と語るのは、ジャーナリストの姫田小夏氏だ。 「これまで、ある程度の不動産はアリババなどが運営するオークションサイトといった競売市場に出せば、買い手がつく傾向にありました。ところが昨今は、市場が動かず、在庫が積みあがっている状況です。 たとえば、破産した巨大民営企業が手放した、上海の一等地にある、建築面積1万㎡を超える20戸の高級戸建て群が'21年8月に競売にかけられました。査定額は総額16億元(約320億円)と、上海競売史上、屈指の高額案件です。昔なら投資物件として人気を集めそうなものですが、誰一人入札者は出ませんでした」 当然、国も低迷する不動産市場に対して金融面の救済措置に動いた。11月21日には、政府の指示により国有銀行が相次いで不動産会社向け融資枠を設定。その額は3兆1950億元(約63兆円)とケタ違いの規模に上った。しかし、これで市場が回復するかといえば、そう簡単な話ではない。中国の不動産大手幹部は弱音を漏らす。 「今回の支援策の対象は最大手の碧桂園(カントリー・ガーデン)など有力な企業に限った話。恒大集団など過剰債務に陥っている企業はことごとく対象外です。習近平は問題を先送りにしたに過ぎませんよ。実際、支援策発表後も住宅販売は相変わらず低調です」』、「「今回の支援策の対象は最大手の碧桂園(カントリー・ガーデン)など有力な企業に限った話。恒大集団など過剰債務に陥っている企業はことごとく対象外です。習近平は問題を先送りにしたに過ぎませんよ」、「恒大集団」が「対象外」ということは、殆どの不動産企業も「対象外」になってしまう。
・『科学的分野の危機 せっかくのテコ入れも空振りに終わってしまいかねない不動産市場。同様に危機感を抱いているのがテクノロジー市場だ。習近平が夢見た「科学技術立国」も昔の話、今やその道は閉ざされている。 決定打となったのは、アメリカ・バイデン政権による対中輸出規制の強化だ。そこには先端的な半導体を製造するのに不可欠な米国製の装置や人的資本が含まれていた。この輸出規制が続けば、それだけハイテク分野の技術も発想力も削がれていく。科学的技術で世界をリードするという野心の実現も難しくなる。 経済が停滞し、これ以上の技術発展も見込めないとなれば、もう中国に将来はない—先見の明がある者ほど、こう考えて祖国を見限り、国外に脱出していくという。ITベンチャー企業を経営していた深圳から'21年に日本に移住してきた40代男性はこう語る。 「'22年は『中国を脱出する』という意味の『潤』という単語がSNSで流行し、資産をシンガポールや日本などに移し、脱出を図る富裕層が急増しました。さらに最近、企業レベルでも将来性の乏しい国内での事業を切り捨て、海外に出て行こうとする向きがあります。 その一つが、民間企業の海外視察ブームです。12月6日には、浙江省が1万社以上の企業を率いて、6日間の欧州視察ツアーを行ったことが報じられました。表向きは省レベルの海外投資戦略の一環ですが、経営者の中にはこれを機に、拠点の海外移転を決める者も多いと聞きます」 中国人経営者たちの憂いの目は、急速な少子高齢化の波にも向けられている。国連が発表した最新の中国の人口予測によれば、2047年までの人口の減少幅は総人口の6%にあたる約9000万人に上る。また、平均年齢も現在の38・5歳から50歳に急上昇する』、「資産をシンガポールや日本などに移し、脱出を図る富裕層が急増しました。さらに最近、企業レベルでも将来性の乏しい国内での事業を切り捨て、海外に出て行こうとする向きがあります。 その一つが、民間企業の海外視察ブームです」、「経営者の中にはこれを機に、拠点の海外移転を決める者も多いと聞きます」、これでは大変だ。
・『党内部もバラバラ それでいて、これから有望な働き手となるであろう16〜24歳の若年層の失業率が高止まりを続けているのも問題だ。背景には求職者と求人側とのミスマッチがある。 10月の失業率は5・5%とほぼ横ばいですが、一方で若年層は17・9%と高い水準にあります。原因は、1000万人の大台を超えた大卒者にあります。彼らには『大学に入った以上、こういう仕事に就きたい』という希望がある。特に習近平政権下の教育政策によって、『ブルーカラー=社会の底辺』という固定観念が根付いてしまったばかりに、仕事を選別するようになってしまった。結果として、ミスマッチが常態化しているわけです」(前出・阿古氏) ゼロコロナ、経済、そして教育。習近平が主導したあらゆる政策がことごとく裏目に出ている。それが今になって様々な問題を引き起こしているのは明らかだ。にもかかわらず、習近平の暴走は止まらない。最高指導部を構成する党政治局常務委員や下部組織の政治局員は、自らの側近とイエスマンで固められている。習近平が「これをやれ」と言えば、拒否できる者などいない。 中国問題グローバル研究所所長で筑波大学名誉教授の遠藤誉氏は、共産党指導体制内の信頼関係の欠如が、中国の地殻変動の根底にあると指摘する。 「ゼロコロナ政策の規制緩和も、実際には'21年1月には出されていました。しかし、現場を指揮する地方政府の役人たちは、『お上の指示に従って失敗したら自分が感染再拡大の責任を取らされる』と、自分自身が処罰される可能性に怯え、自らの保身のために2年近く動かなかったわけです」 そこで、中央は「規制緩和を守らない者は処罰する」と宣言。ここでようやく、各地方政府は「逮捕されるくらいなら」と緩和を実行に移したのだ。もはや信頼関係など存在しない。遠藤氏が続ける。 「そこにあるのは恐怖心です。恐怖による強権統治をやめないかぎり、どんな政策も現場との連携は取れないままで、中国は救われません」 幾多の危機に直面する中国。この国の地下で煮えたぎるマグマが噴出する日は近い』、「「ゼロコロナ政策の規制緩和も、実際には'21年1月には出されていました。しかし、現場を指揮する地方政府の役人たちは、『お上の指示に従って失敗したら自分が感染再拡大の責任を取らされる』と、自分自身が処罰される可能性に怯え、自らの保身のために2年近く動かなかったわけです」、「規制緩和」の「指示」の「実行」に「自らの保身のために2年近く動かなかった」、とは官僚主義もここに極まれりだ。急に「規制緩和」したことによる「感染爆発」による医療崩壊、死者急増の嵐が早く収まってくれることを期待する。
タグ:中国経済 (その18)(中国 ゼロコロナ解除で「困難に直面」 WHOが指摘、抗議活動に負けてのゼロコロナ政策撤廃でコロナ感染爆発の危機、習近平政権「ダブル敗戦」の大打撃、一気に大緩和?中国・ゼロコロナ政策撤廃の現実 音楽家ファンキー末吉が経験した緩和直後のドタバタ劇、【習近平の大誤算】若者の失業率約18% 富裕層の国外脱出加速 米輸出規制で“科学技術立国の夢”が泡に) Newsweek日本版 ロイターを転載した「中国、ゼロコロナ解除で「困難に直面」 WHOが指摘」 「中国が新型コロナウイルス感染抑制に向けた厳格な「ゼロコロナ」政策を解除し、コロナとの「共生」を選択する中、「非常に厳しく、困難な時期」に直面するという認識」、まして国産ワクチンは効果を疑問視されているのでは、本当に大変だろうと、同情を禁じざるを得ない。 現代ビジネス 石 平氏による「抗議活動に負けてのゼロコロナ政策撤廃でコロナ感染爆発の危機、習近平政権「ダブル敗戦」の大打撃」 「前述の「新十条」の発表と実施は、「ゼロコロナ」政策の単なる「緩和」ではなく、むしろ思い切った政策の大転換である」、本当に「思い切った政策の大転換」だ。 「国民に大きな犠牲と不自由を強いた「ゼロコロナ」政策は結局何の意味もない。政策の完全失敗」、「今月から来年1月にかけて、中国全土で爆発的な感染拡大が起きてくる確率は非常に高い。政策転換のタイミングはあまりにも悪すぎる」、その通りだ。 「一党独裁体制下の中国で、政権は民衆の抗議運動に押された形で政策の大転換、大後退を余儀なくされたわけであり、立ち上がった民衆の力を前にして、政権が敗退したのである。言ってみれば、今の習政権は、コロナとの戦いに敗退したのと同時に民衆の力にも敗退してしまった。まさに屈辱の「ダブル敗戦」というものである」、「ダブル敗戦」とは言い得て妙だ。 「習政権の「ダブル敗戦」は結局、今後における民衆運動あるいは反乱の発生を誘発する火種を自ら撒いた」、「今回、医療施設の充実や高齢者層へのワクチン接種の普及などの十分な準備はまだ整えられていない状況下で、主に政治的要因により「ゼロコロナ」政策が放棄されたことの結果、感染しやすい冬期の到来と相まって中国全国で爆発的な感染拡大が起きてくる確率は非常に高い・・・ 政権は感染拡大をそのまま容認するのか、それとも「ゼロコロナ」政策に逆戻りするのかの選択を迫られることとなるが、封じ込めからやっと解放された中国国民はもう一度、広範囲な感染拡大に耐えていかなければならない。中国にとっての「コロナ問題」は、まさにこれからである」、本当にどうなるのか、大いに注目される。 東洋経済オンライン ファンキー末吉氏による「一気に大緩和?中国・ゼロコロナ政策撤廃の現実 音楽家ファンキー末吉が経験した緩和直後のドタバタ劇」 「ロックバンド「爆風スランプ」のメンバーで現在は中国を中心に活動」、とは興味深い存在だ。コロナ問題を新聞とは違った角度で伝えてくれるだろう。 「新疆ウイグル自治区で発生した火災で死亡者が出た。死亡者が出たのは、防疫用柵で消防隊の到着遅れたためではないかと考えられ、これをきっかけに中国全土でゼロコロナ政策に反対する抗議活動」、「政府はゼロコロナ政策を大幅に緩和することを発表した。2022年12月7日のことである。 これを受けて銀川では、スーパーや商業施設に入る際に必要だった48時間以内の陰性証明の提示が不必要となった」、「ゼロコロナ政策」も終わりはあっさりしたものだ。 「PCR検査」で「10人分の検体を1つの試験管にまとめる方式の検査」、1人でも陽性の人間がいると、何回か組み合わせを変えて検査を繰り返して、陽性の人間を絞り込むのだろう。これでも、個々人に検査をするより効率的なのだろう。 「全国の薬局から解熱剤などの風邪薬がすべて売り切れたという噂である」、最近は日本の薬局でも中国人が「風邪薬」を爆買いしているようだ。 「ゼロコロナ政策。あるところではとてつもなく厳しく、あるところではとてつもなく緩い」、これが緩め始めの実態だろう。 「省をまたぐ移動も何の障害もなくできる。このような無症状の感染者が平気で中国国内を自由に飛び回っているという事例はもっともっとたくさんあるのだ」、恐ろしいことだ。 今日のニュースでは、コロナ感染者の数や死亡者数の発表は止めたようである。医療体制が不十分な「中国」で医療崩壊が激化するようであれば、まさに悲劇だ。 現代ビジネス 「【習近平の大誤算】若者の失業率約18%、富裕層の国外脱出加速、米輸出規制で“科学技術立国の夢”が泡に」 「「今回の支援策の対象は最大手の碧桂園(カントリー・ガーデン)など有力な企業に限った話。恒大集団など過剰債務に陥っている企業はことごとく対象外です。習近平は問題を先送りにしたに過ぎませんよ」、「恒大集団」が「対象外」ということは、殆どの不動産企業も「対象外」になってしまう。 「資産をシンガポールや日本などに移し、脱出を図る富裕層が急増しました。さらに最近、企業レベルでも将来性の乏しい国内での事業を切り捨て、海外に出て行こうとする向きがあります。 その一つが、民間企業の海外視察ブームです」、「経営者の中にはこれを機に、拠点の海外移転を決める者も多いと聞きます」、これでは大変だ。 「「ゼロコロナ政策の規制緩和も、実際には'21年1月には出されていました。しかし、現場を指揮する地方政府の役人たちは、『お上の指示に従って失敗したら自分が感染再拡大の責任を取らされる』と、自分自身が処罰される可能性に怯え、自らの保身のために2年近く動かなかったわけです」、 「規制緩和」の「指示」の「実行」に「自らの保身のために2年近く動かなかった」、とは官僚主義もここに極まれりだ。急に「規制緩和」したことによる「感染爆発」による医療崩壊、死者急増の嵐が早く収まってくれることを期待する。