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公務員制度(その7)(コロナ禍で社会支える「非正規公務員」悲惨な待遇 女性たちを沈黙させる「会計年度任用職員」、[新連載]霞が関人材クライシス 若手官僚はなぜ辞めるのか、繰り返される「公務員の不祥事」の背景にあるもの 問題は個人にあるのか 組織か…専門家に取材) [国内政治]

公務員制度については、昨年12月21日に取上げた。今日は、(その7)(コロナ禍で社会支える「非正規公務員」悲惨な待遇 女性たちを沈黙させる「会計年度任用職員」、[新連載]霞が関人材クライシス 若手官僚はなぜ辞めるのか、繰り返される「公務員の不祥事」の背景にあるもの 問題は個人にあるのか 組織か…専門家に取材)である。

先ずは、本年3月17日付け東洋経済オンラインが掲載した ジャーナリスト・和光大学名誉教授の竹信 三恵子氏による「コロナ禍で社会支える「非正規公務員」悲惨な待遇 女性たちを沈黙させる「会計年度任用職員」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/538781
・『コロナ禍は「女性不況」と呼ばれるほど女性に深刻な影響を与えています。女性の非正規労働者は2021年11月で1415万人と、コロナの感染拡大前の2019年11月より68万人減少。路上に出たり炊き出しの列に並んだりする女性もなお目立ちます。また働く女性を中心に、2020年の女性の自殺者数も前年比で15%増えました。 ところが、女性の失業率は男性を下回り続けるなど打撃の大きさは表面化しておらず、「沈黙の雇用危機」の様相を示しています。いったいどういうことなのか。 貧困や非正規雇用の問題を報じてきたジャーナリストの竹信三恵子さんは、「働く女性の訴えを抑え込んでいく『社会の装置』がある」と言います。その「装置」の実態について、竹信さんが女性の働く現場からさぐっていきます。 自治体によるDV相談や健康・福祉相談などの住民支援サービスの大半は、不安定で低賃金の非正規公務員が担う。その4人に3人は女性だ。こうした女性たちは、コロナ禍拡大のさなかに一線で住民対応に奔走し、年度末には契約を打ち切られるという「二重の惨劇」に見舞われている。 コロナ禍でも休めないエッセンシャルワーカーの役割が注目され始めたいまも、これら非正規女性公務員たちからの声はなお弱い。そこからは、女性たちの沈黙を生む「会計年度任用職員」という「装置」が見えてくる』、「働く女性の訴えを抑え込んでいく『社会の装置』がある」、とは穏やかでない。どういうことなのだろう。
・『ダブルワークを余儀なくされる非正規公務員  2021年6月、藍野美佳は53歳で、広島県内の自治体のDV相談員をやめた。10年ほど前、夫からDV被害に遭って離婚、シングルマザーとなった。自治体職員は安定し、恵まれた働き方と思われがちだが、DV相談員はみな、短期契約で低賃金の非常勤だった。 DV被害者の支援は、DV防止法、生活保護法、男女雇用機会均等法など多角的な法的知識や支援の専門知識が必要だ。生命の危険にさらされる被害女性たちからは昼夜問わずSOSが入り、加害者の脅しにも直面する。気の抜けない重責にもかかわらず、非常勤の年収は手取り200万円程度だった。 子育てしながらの生活費にはとても足りず、夕方から深夜までファミリーレストランで働き、他の女性相談機関でもアルバイトするダブルワーク、トリプルワークの日々が続いた。それでもやめなかったのは、自らのつらい経験を他の被害者のために役立てたいという強い思いがあったからだ。 だが2020年4月、事態はさらに悪化した。「会計年度任用職員」制度が導入されたからだ。) 1980年代以降の「行政改革」や小泉政権の「聖域なき構造改革」の中で、短期契約で低賃金の非正規公務員は増やされ続けてきた。警察や消防、教育部門などを除いた自治体の一般行政部門で非正規は4割を超え(2020年4月)、こうした働き方に「官製ワーキングプア」(行政がつくった働く貧困者)との批判も高まっている。 これに対し、「非正規の位置づけを法律で明確にし、待遇を改善する」として生まれたのが、「有期雇用の法定化」ともいえる1年有期の「会計年度任用職員」だ。 「会計年度任用職員」は非正規の9割近くを占め、その76.6%が女性だ。有期でも正規職員と同じ労働時間契約の「フルタイム会計年度任用職員」になれば、正規と同じく給与や退職金が認められるから待遇は改善する、とされた。だが、5分でも10分でも労働時間が少ないと、基本的には従来どおりの待遇で退職金もない「パート」となる。つまり、パートを増やせば人件費を抑えられる仕組みだ。 その結果、2020年4月時点での総務省調査では、「パート」が会計年度任用職員の88.8%を占め、また、「制度導入前より報酬水準が減額された職種がある」は都道府県で53.2%にのぼった』、「DV被害者の支援は、DV防止法、生活保護法、男女雇用機会均等法など多角的な法的知識や支援の専門知識が必要だ。生命の危険にさらされる被害女性たちからは昼夜問わずSOSが入り、加害者の脅しにも直面する。気の抜けない重責にもかかわらず、非常勤の年収は手取り200万円程度だった』、仕事内容に比べ、「年収」は驚くほどの低さだ。「有期でも正規職員と同じ労働時間契約の「フルタイム会計年度任用職員」になれば、正規と同じく給与や退職金が認められるから待遇は改善する、とされた。だが、5分でも10分でも労働時間が少ないと、基本的には従来どおりの待遇で退職金もない「パート」となる。つまり、パートを増やせば人件費を抑えられる仕組みだ。 その結果、2020年4月時点での総務省調査では、「パート」が会計年度任用職員の88.8%を占め、また、「制度導入前より報酬水準が減額された職種がある」は都道府県で53.2%にのぼった」、これでは、制度改正ではなく、改悪だ。
・『時給制になり、手取りは年140万円程度に  そんななか、藍野らも、1日7時間労働の「パート」となった。退職金がないのはもちろん、月給制から時給制に変わり、5月の連休など休みの多い月は大幅な減収になった。名目的な労働時間は減っても仕事量は変わらないため残業が恒常化した。そのため気が引けて残業代を申請できず、タダ働きも増えた。手取りは年140万円程度に落ち込んだ。 そんなとき、コロナの感染拡大が始まった。バイト先の外食店の仕事もなくなり、副収入が入らなくなった。感染への不安や生活苦から、暴言や執拗な苦情をぶつける住民も増えた。同僚の「会計年度任用職員」たちは、「住民からの電話を取るのが怖くて手が震える」と言い始めた。 DV対応での緊張感に、こうした心労が加わり、睡眠薬がないと眠れない日が続いた。疲労から仕事で移動中に車の運転ミスを起こし、あわや大けがという自損事故を起こした。 もう体力が続かない、と思い始めた2021年春、定年を迎えた正規職員の男性3人が、年収500万円の「会計年度任用職員」として再雇用された。藍野らが「職務に見合った賃金を」といくら求めても「財源がない」と相手にされなかったのに、男性の定年組にはあっさりと高賃金の「会計年度任用職員」の座が用意された。心の糸が切れた。 そんなとき、東京の困窮者支援団体から女性支援を担当してほしいという誘いが来た。子どもが独立した時期でもあり、その誘いに倒れ込むようにして、藍野は郷里を出た。) 会計年度任用職員たちによれば、制度の導入後、藍野のようにしてやめていく女性たちは増えているという。背景には、先に述べた「1年有期の法定化」から来るあきらめと、「女性軽視」の二重の壁がある。 公務サービスは住民の基本的人権にかかわるものが多い。このため安定したサービスの提供が求められ、恒常的な仕事は常勤が行うことが原則とされてきた。にもかかわらず、恒常的な職務に就く非正規をここまで円滑に増やせたのは、「女性は夫の扶養があるから安定雇用は必要ない」という偏見に便乗することができたからだ。 例えば、2021年度末に再任用を拒否され、奈良県の人事委員会に不服申し立てをした会計年度任用職員の女性は、上司から「世帯主でないから退職してもらう」と面と向かって言い渡されている。「夫の扶養」を前提に低待遇で雇い、雇用を打ち切るときも「夫の扶養」が理由にされる。そんな、真綿で首を絞めるような社会の圧力が、女性たちの沈黙を生む。 相談支援など第一線の仕事は、コロナ禍でも休めない住民の命綱だ。だが、これらの仕事のほとんどが非正規職員に担われてきた結果、決定権を持つ正規職員や管理職はその現場を知らず、改善を訴えても理解してもらえない。それでも声を上げると、1年有期を理由に契約を打ち切られることも少なくない』、「藍野らが「職務に見合った賃金を」といくら求めても「財源がない」と相手にされなかったのに、男性の定年組にはあっさりと高賃金の「会計年度任用職員」の座が用意された」、「相談支援など第一線の仕事は、コロナ禍でも休めない住民の命綱だ。だが、これらの仕事のほとんどが非正規職員に担われてきた結果、決定権を持つ正規職員や管理職はその現場を知らず、改善を訴えても理解してもらえない。それでも声を上げると、1年有期を理由に契約を打ち切られることも少なくない」、これでは馬鹿馬鹿しくてやってられない筈だ。
・『「マタハラの合法化」といえる状況も  「1年有期」の合法化という沈黙の装置は、「マタハラの合法化」といえる状況も強めた。2020年度末には、神奈川県庁で10年間福祉関係の専門職として働いてきた会計年度任用職員の女性が、5月初旬の出産を間近に控えて3月末の雇い止めを通告された。3月末から産前休暇に入り、産休・育休を取得して職場復帰できるはずが、1年有期に阻まれた形だ(『神奈川県の非正規公務員に対する「マタハラ」雇止め問題~法的課題を中心に~』参照)。 同じころ、東海地方の学校で働いていた会計年度任用職員が、出産を前に雇い止めを通告されたという報が入った。取材を申し入れると、雇い止めは一転、撤回された。1年有期の法定化が招いた安易なクビとしか思えない対応だ。 相次ぐ女性非正規たちの惨状に、2021年3月、当事者たちが「公務非正規女性全国ネットワーク(はむねっと)」を結成した。7月に「はむねっと」が発表したオンライン緊急アンケート結果では、1252件の有効回答のうち、年収200万円未満が5割を超え、勤続年数も3年未満が4割を占める不安定ぶりが明らかになった。 そんな働き方のなかで、45.8%がメンタル不調を訴え、93.5%が将来への不安を感じると回答。「契約の更新時が来ると、仕事がつながるかどうかの不安でメンタル不調が激しくなる」という声もあった。 しかし、同年7月から総務省が全地方自治体を対象に実施した初のメンタルヘルス調査で、非正規公務員は対象から事実上外された。 調査は、コロナ禍による業務量、住民のクレームの増大などによる公務員の心の不調対策を目指し、第一線に立つ機会が多い会計年度任用職員にこそ必要だったはずだ。非正規も加えることを求めた「はむねっと」の要望書に総務省は、今回の調査は「自治体の事務負担を考慮し、まずは首長部局の正規職員を対象としたもの」とし、再度行うときは改めて検討する、と文書で回答した。 こうした排除の一方、同年末のボーナスでは、非正規を正規並みに削減する自治体が相次いだ。コロナ禍による民間の引き下げに合わせ、人事院が国家公務員のボーナス0.15カ月分の引き下げを勧告したことに合わせた措置だった。低賃金で期末手当の実額が少ない非正規にとって引き下げの打撃は大きく、正規との格差もさらに広がる形となった。) そんな「女性非正規公務員の沈黙」は、住民にも返ってくる。 千葉県習志野市でも2020年4月、非正規職員が会計年度任用職員に転換された。約400人は1日7時間45分の「フルタイム」職員だったが、このうち約200人が、一律1日7時間、週35時間の「パート」に仕分けされた。 1年契約を反復更新し、20年近く相談支援業務にあたってきた小川さやか(仮名)も、1日7時間45分のフルタイム契約から、「パート」に切り替えられた。「パート」では退職金の対象にならない。加えて、フルタイムのときは正規と同じ共済保険に加入できたが、パートは共済保険に加入できず、健診などが受けられなくなった。 それ以上に困るのは、7時間という契約のため、役所は午後5時15分まで開いているのに勤務は午後4時30分まで、となったことだ。相談に来た市民に「勤務終了時間なので打ち切ります」とは言えない。残業が恒常化して残業代の申請がしにくくなり、労働時間の減少とあいまって、年収は約50万円減った。「職員のことも市民のことも考えずに『パート化』をやってしまったせい」と小川は言う』、「総務省が全地方自治体を対象に実施した初のメンタルヘルス調査で、非正規公務員は対象から事実上外された。 調査は、コロナ禍による業務量、住民のクレームの増大などによる公務員の心の不調対策を目指し、第一線に立つ機会が多い会計年度任用職員にこそ必要だったはずだ」、本来必要だった「会計年度任用職員」を調査対象から外したとは、小細工も極まれりだ。「20年近く相談支援業務にあたってきた小川さやか(仮名)も、1日7時間45分のフルタイム契約から、「パート」に切り替えられた。「パート」では退職金の対象にならない。加えて、フルタイムのときは正規と同じ共済保険に加入できたが、パートは共済保険に加入できず、健診などが受けられなくなった」、制度変更時に不利益な扱いが扱いが横行するとは、組合は何をしているのだろう。
・『総務省は「制度の趣旨に合わない」  これらの矛盾の指摘に、総務省も「財政上の制約のみを理由にフルタイム雇用を抑制するのは制度の趣旨に合わない」という趣旨の通知を出した。これを生かし、労組による交渉や市議会の質問での是正要求が相次いだ。 市は、コロナで通常の業務量が判断できないので「不適切なパート」かどうか判断できず、すぐフルタイムに戻すのは無理としつつ、「今後、制度の見直しも含めて検討していく」と答えている(2021年3月市議会での総務部長答弁)。 大阪府摂津市では2022年1月、前年に起きた児童虐待問題の報告書が発表された。ここでは、専門性が必要な職務なのに「虐待対応を担う職員は1年目から3年目が多くを占める体制だった」と指摘された。こうした部署にも1年有期の会計年度任用職員は配置されていた。 関東地方の自治体の労組役員は「『会計年度』で募集すると応募はさっぱり。『常勤』に変えるとどっと来る。1年でクビと知っていて応募しますか?」と言う。 女性非正規公務員たちを沈黙させてきた「装置」のツケは、広くて重い』、「これらの矛盾の指摘に、総務省も「財政上の制約のみを理由にフルタイム雇用を抑制するのは制度の趣旨に合わない」という趣旨の通知を出した。これを生かし、労組による交渉や市議会の質問での是正要求が相次いだ」、「労組」も「総務省」「通知」を活かして「是正」に向け努力すべきだ。

次に、5月31日付け日経ビジネスオンライン「[新連載]霞が関人材クライシス 若手官僚はなぜ辞めるのか」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00460/053000001/
・『深夜残業の多いブラック職場、旧態依然とした年功序列型の組織、自己成長の実感が薄い――。悪評が定着した霞が関の不人気は深刻化し、応募者の減少傾向に歯止めがかからない。それでも官僚が今、そして未来の日本を支える頭脳集団であることに変わりない。多岐にわたる関係者と調整し、課題を解決する力は、企業のイノベーションにとっても必要だ。司令塔の地盤沈下が進む国に未来はない。官僚の威信と魅力を取り戻す道を探る。 今後のラインアップ ・霞が関人材クライシス 若手官僚はなぜ辞めるのか(今回) ・ブラック職場とは言わせない 霞が関、働き方改革の最前線 ・立ち上がった民間出身官僚 「個の犠牲」に頼らない風土を ・官僚だってやりたい仕事がある 2割の時間を「本業外」に ・現役官僚座談会「同窓会で給料の話になったらトイレに行く」 ・農水省発、官僚YouTuberの挑戦 「等身大の霞が関」を国民へ ・民間で光る「官僚力」 企業と日本の活力に ・総務省出身のDeNA岡村社長「官僚の総合力、企業経営で生かせ」 など  5月20日、いつにも増して静まり返る財務省を幹部が朝から駆け回っていた。未明に電車内で他の乗客に暴行を振るったとして、総括審議官(当時、20日付で大臣官房付に更迭)の小野平八郎容疑者が逮捕された。その後処理に追われていたのだ。 省内で「周囲に声を荒らげることはなく、仕事もそつなくこなす」(主税局関係者)と評されていた小野氏に何があったのか。 総括審議官は政府の経済財政諮問会議に絡む業務が多い。複数の関係者の話を総合すると、6月上旬に閣議決定される「骨太の方針」について、小野氏は財務省の意向を反映させるため自民党との調整に追われていた。 自民党には財政再建派の「財政健全化推進本部」(額賀福志郎本部長)と、積極財政派の「財政政策検討本部」(西田昌司本部長)がある。国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を2025年度に黒字化する政府目標の取り扱いを巡って対立しているが、参院選を7月に控える今は、政局化を避けることで内々に合意していることで知られている。 財政健全化推進本部は5月19日、小野氏が作成したドラフトを基に官邸宛ての提言をまとめようとした。しかし財政政策検討本部側に抵抗されて断念。結局、額賀本部長が預かって骨太の方針に押し込む流れになった。 機関決定の見送りは、小野氏にとって財務省から課せられたミッションの失敗を意味する。その日の夜、小野氏は複数の会合を重ねて痛飲したとみられる』、「今後のラインアップ」のうち、「今回」を除くと全て有料なので、紹介できるのは「今回」のみである。「小野氏」の「ミッションの失敗」は不運だ。
・『「出世しても潰れる」不安   財務省の中堅幹部はこう漏らした。「いくら昇進レースで懸命に勝ち残っても、一寸先は闇ということだ。もちろん許される行為ではないが、霞が関の一員としてむなしいし、正直に言うと少なからず同情できる面もある」 今回の事件が霞が関に広げた波紋は、単なる「有力幹部の不祥事」レベルにとどまらない。特に若いキャリア官僚の間では、「順調に出世して事務次官のポストが見えていても、強いストレスによって潰れてしまう」(総務省課長補佐)という捉え方にみられるように、自らの将来を不安視する向きが強まっている。 働くステージとして、霞が関の人気は右肩下がりが続いてきた。21年の国家公務員総合職(キャリア)の採用試験申込者数は1万7411人と、5年連続で過去最少を更新した。22年春の試験は1万5330人と6年ぶりに増加に転じたものの、底を打って低迷を完全に抜け出すだけの目ぼしい材料はない。 中央省庁は国政の基盤を作る役割を担うだけに、もともと「働きがい」ならどの職種にも勝るとも劣らないはずだ。しかし過酷な残業が、それを打ち消してしまう』、「中央省庁は国政の基盤を作る役割を担うだけに、もともと「働きがい」ならどの職種にも勝るとも劣らないはずだ。しかし過酷な残業が、それを打ち消してしまう」、その通りだ。
・『3割が「過労死ライン」  内閣人事局が20年秋に国家公務員約5万人の働き方を調べたところ、20代のキャリア官僚の3割が「過労死ライン」とされる月80時間を超える残業をこなしていた。 19年4月施行の改正労働基準法で、民間企業の時間外労働時間は原則として1カ月当たり45時間以内、特別条項が適用されると1カ月100時間未満、複数にわたる月平均は80時間以内と定められた。 国家公務員は労働基準法の適用対象外だが、人事院の規則に従えば1カ月間の時間外労働は原則45時間以内でなければならない。しかし罰則はなく、国会対応などで業務の比重が高い部署には月100時間未満の超過勤務を認める例外規定もある。 首相官邸は、労働の実態に合わせて超過勤務手当を支払うよう各省庁に求めた。すると22年度の一般会計当初予算は、本省分の残業代として総額約403億円を計上。補正分を含めた前年度より17.5%も膨らんだ。本来はもらえていたはずの残業代が、やっと支払われるようになってきた形だが、旧態依然とした労働環境はなかなか改善できない。 「ブラックな働き方と知りながら、政策を作りたくて入ってきている。昔も今もこれからも、残れるやつだけ残ればいいのが霞が関という世界だ」。ある省で将来の事務次官候補に挙がる課長はこう語り働き方改革の推進に対して難色をあらわにする。 経済産業省で10年代に勤務した一般職の女性は、管理職が部下に「辞めろ、死ね」と怒鳴っていた姿が忘れられない。「経産省を出れば何もできないであろう人が幅を利かす」組織に失望した。若手・中堅を中心に退職者が増えてきたのも、こうした組織風土と無関係ではないだろう』、「ブラックな働き方と知りながら、政策を作りたくて入ってきている。昔も今もこれからも、残れるやつだけ残ればいいのが霞が関という世界だ」、「ある省で将来の事務次官候補に挙がる課長はこう語り働き方改革の推進に対して難色をあらわにする」、こんな昭和的考え方が大手を振っているようでは、「ブラック」からの脱却は困難だろう。
・『忙しくても報酬は少ない  日本の国家公務員は、諸外国と比べて仕事量が多いのに、もらえる報酬は少ない。大阪大学大学院法学研究科の北村亘教授が経済協力開発機構(OECD)のデータを基に試算したところ、政府全体の歳出を公務員数で割った数値は日本が他の先進民主主義国より圧倒的に高かった。 国の歳出は規模が大きくなればなるほど、運用が煩雑になり、公務員が担う仕事量は多くなる。北村教授が浮き彫りにしたのは、1人当たりの負担が世界でも群を抜いて大きい日本の国家公務員の姿だった。 一方で、政府の人件費が政府全体の歳出に占める割合をみると、日本が最小クラスであることも分かった(上のグラフを参照)。 北村教授は「予算が膨張する一方で職員の定数が減らされ続けているため、国家公務員の業務は量が増えつつ複雑・高度化している」と指摘。「国家公務員の志願者がさらに減れば質の確保が難しくなり、人数以上の仕事を処理できなくなる」と警鐘を鳴らす』、「北村亘教授」の「試算」は、確かにその通りのように思えるが、意外な落とし穴がある可能性もある。
・『極端に減った「ボトムアップ」  霞が関OBも、キャリア官僚の業務スタイルが変わったのを感じ取っている。1993年に通商産業省(現経産省)に入った古谷元さんは、当時を「霞が関が日本を動かしているという自負が強かった」と振り返る。省内にさまざまな人が出入りし、あらゆる先進的な情報が自分の机に座っていれば得られた。夜は仲間と政策を議論し、固まったものが1年たった頃に実現していく。そんなダイナミズムがあった。 米シリコンバレーへの留学を経験し、政府主導の産業育成に疑問を感じて2000年に退職。米コンサルティング大手などで働いていたが、かつての上司から19年初めに連絡があった。「若手の退職が増えているから戻ってきてほしい」。経産省で管理職の公募制度が始まるタイミングに合わせた勧誘に、古谷さんは「民間を知るからこそ分かる政府の役割とやりがいを伝えたい」と一念発起。スタートアップ企業育成の中核となる新規事業創造推進室のトップに就いた。 ところが20年ぶりの現場では、昔のようにボトムアップで政策が日の目を見ることが極端に少なくなっていた。代わりに増えたのは、トップダウンの意思決定。古谷さんからすれば、理由は明らかだった。「とにかく若手の官僚が情報を収集できていない」。延長もあり得る期限付きの復帰だったが、希望せずに霞が関を離れた』、「20年ぶりの現場では、昔のようにボトムアップで政策が日の目を見ることが極端に少なくなっていた。代わりに増えたのは、トップダウンの意思決定」、「コンサル」などが「トップ」にセ-ルスしているのが影響しているのだろうか。
・『東大生は「コンサルか商社」  霞が関の地盤沈下は、エリート層が敬遠するようになった現実とも無関係ではないだろう。象徴的なのが東京大学出身者の動向だ。優秀な学生がこぞって中央省庁入りを目指し、東大が「キャリア官僚の育成機関」とまで言われた時代ではなくなった。 キャリア官僚の採用試験で合格した東大出身者は16年度から減少を続け、20年度には300人台に突入した。法学部2年の男子生徒は「周囲では起業するか、外資系コンサル会社や商社を志望する学生が多くなっている。キャリア官僚も悪くないが、やはり労働環境の悪さがネックになる」と明かす。 「霞が関に入ることを家族に相談したが、全力で止められた」と笑うのは、法学部3年の男子生徒だ。大手IT幹部の父親は、データを示しながら「年収が低いし、下積みの期間が長くて効率が悪い。大企業を目指すか、コンサルで経験を積んで起業すべきだ」と説得したという。 21年は法案や条約の関連文書に多数の誤記が見つかり、組織の劣化が懸念された霞が関。このまま自滅するわけにはいかない──。危機感を高めた霞が関は今、モデルチェンジを急いでいる』、「21年は法案や条約の関連文書に多数の誤記が見つかり、組織の劣化が懸念された霞が関」、確かに「モデルチェンジ」が急務だが、次の「モデル」のイメージはいまだ不確定だ。

第三に、12月9日付け東洋経済オンラインが掲載したフリーライターの一木 悠造氏による「繰り返される「公務員の不祥事」の背景にあるもの 問題は個人にあるのか、組織か…専門家に取材」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/637499
・『補助金の不正受給や4630万円の誤振り込み、住基ネットから個人情報収集など、この1年を振り返ってみても公務員の不祥事が止まらない。 こうした職員の不祥事が繰り返されてしまう原因はどこにあるのか?公務員の組織に詳しい太田肇・同志社大学教授、職員の副業推進など組織改革を精力的に進めている小紫雅史・奈良県生駒市長に聞いた。 公務員不祥事が止まらない。11月5日、東京都内の区役所の職員が住基ネットを操作し、個人情報を収集して知人に渡したとして住民基本台帳法違反の疑いで警視庁に逮捕された。 警視庁幹部によると、職員は区民課に勤務し住基ネットシステム(住民基本台帳ネットワークシステム)へのアクセス権限があり、収集された個人情報は男女20人以上におよぶという。警視庁は、個人情報が職員の知人を経て暴力団関係者に渡ったとみて捜査している』、こんな「住基ネットシステム」からの情報漏洩は調べれば、犯人はすぐ判明するのに、馬鹿なことをしたものだ。
・『今年5月には誤振り込みがあった  ここ数年だけで見てみても、公務員の不祥事やミスは留まるところを知らない。昨年には、補助金の不正受給でキャリア官僚2人が詐欺の罪で逮捕・起訴。今年5月にも、中国地方の某県で、低所得者463人分への給付金が誤って1世帯、金額にして4630万円が振り込まれた。受け取った男性が一時、全額を使い切ってしまい警察に逮捕されるという事件に発展した。 なぜこういったことが繰り返されてしまうのか。組織論が専門の太田肇・同志社大学教授は、「個人と組織両方に問題がある」と指摘したうえでこう説明する。 「まず個人の問題だが、公務員は個人情報など、職員でないと接することができないような情報に日々接していることが多い。職員のなかにはこれを自分が預かってるからとか、自分が自由にしていいとか、そうした錯覚に陥っている人たちがいる。一般の市民と同じ感覚で、その情報に接しないといけないという認識が希薄だったのではないでしょうか」 今回の事件では、部下に対する上司の監視体制が不十分だったと思われても仕方ない。事実、逮捕された職員が住基ネットのシステムにアクセスするにあたり、ログインには静脈認証が必要だったが、検索自体は自由にでき、上司の許可は必要なかったという。また職員が所属していた区民課が扱う個人情報は膨大だったことから、職員1人ひとりの業務が煩雑になっていて、区民課内部での相互のチェックも行き届いていなかったようだ。 一方で、太田教授は「私は組織の問題のほうが大きいように思う」とも述べる。 「役所に限らないが、日本の組織というのはおおむね閉鎖的であり、内部の論理で動く。私はそれを『共同体型組織』と呼んでいる。その共同体型の組織の特徴で顕著なのがジョブローテーションであり、部署や仕事の特性に応じたマネジメントが十分に行われない傾向がある」 「大事なのは、そこで情報の取り扱いについて厳しく指導が行われたかどうかということ。役所全体が共同体になっていると、外部と役所内部との間に大きな壁ができる。常に外部の目、つまり社会の目にさらされているというような感覚が鈍くなっていく」 さらに、相互のチェックがききにくい公務員組織の特徴として、「役所の業務がそれぞれの部署でタコツボ化している」点を指摘する。 「まず、仕事の役割分担が明確になってないということが、職員個人が組織のなかに溶け込んでしまっている原因だと思う。職員個人の役割が明確になっていれば、その場の空気で物事が決められたり、組織を隠れ蓑にした無責任な仕事が行われたりすることがなくなる」』、「低所得者463人分への給付金が誤って1世帯、金額にして4630万円が振り込まれた」、上司のチェックが入らなかったとすれば、それも問題だ。「役所全体が共同体になっていると、外部と役所内部との間に大きな壁ができる。常に外部の目、つまり社会の目にさらされているというような感覚が鈍くなっていく」、説明責任を厳格に課す必要がある。
・『奈良県生駒市の取り組み  こうした公務員の組織の問題に対して、リーダー自らが率先して動き、根本的な解決策を見出そうとしている自治体もある。 奈良県の北西部に位置する生駒市では、かつて市内の消防署で不祥事が相次いだ。消防士長が窃盗容疑で書類送検されたほか、救急隊が搬送先を間違えるなど、ミスは数件に及んだ。これを受け、当時副市長だった小紫雅史市長が全消防職員約130人と面談を行い、現場の悩みを吸い上げて改善策に反映させた。 小紫市長は当時のことをこう振り返る。 「消防署員全員と面接して、細かい問題点が次々と明らかになった。同時に署員1人ひとりは強い使命感を持っていて、とくに一部の若い署員からは、組織を変えていきたいという気概も感じた。一方で、署員の意見を取り入れて消防のあり方を変えていこうというリーダーシップが、組織として非常に遅れていたことを痛感した」 今回の事件についても、「周囲の気づきがあったかどうかが重要」だと述べる。 「不祥事の発覚した部署では、誰かが事前に問題点に気づいているもの。ただ、それを指摘したり改善しようと行動したりする人材がすごく少ない。変えていくことには、リスクや責任が伴うかもしれないけど、職員が自分の裁量で、もっと自主性を持って自分で判断して、その場その場の問題に対処していかなければならないと思う」 組織の問題を改善していくうえで一番大事なのが、「リスクに対する職員の理解を深めること」だと小紫市長は強調する。 「リスクというのは、つまり『悪いことしたらやばいよね』『こんなことが起こったら大変だよね』という感覚のこと。だからこそ、普段から起こりうるリスクをすべて掘り出しておく。また、実際に不祥事が起きたときに、まず何をするのかということを順位付けして具体的にシミュレーションしておくことで、起こったあとの対処も迅速に進めることができる」』、「リスクというのは、つまり『悪いことしたらやばいよね』『こんなことが起こったら大変だよね』という感覚のこと。だからこそ、普段から起こりうるリスクをすべて掘り出しておく。また、実際に不祥事が起きたときに、まず何をするのかということを順位付けして具体的にシミュレーションしておくことで、起こったあとの対処も迅速に進めることができる」、なるほど。
・『どのような公務員が求められるか  縦割りなど、旧態依然たる役所のさまざまな「病巣」を取り除いていくためにも、今後どのような公務員が求められていくのだろうか。前出の太田教授は、これからの組織のリーダーには、これまでのリーダーとは違う能力が求められると考える。 「従来型の管理ではなく、サポート・支援するという方向にウエイトが移っていくだろう。これも部下の自律性が高まってはじめて可能になるわけだが、能力を引き出して活躍できるような場を与えたり、情報を提供したりする。イメージとしては管理職というよりも、ファシリテーターやコーディネーターのような役割を果たすようになってくると思う」 そのためには、組織の問題の具体的な解決策として「外部の力を借りるなどさまざまなアプローチが重要」と指摘する。 「やっぱり外部から人材を獲得したり、活用したりすることは大事だと思う。ただ、そこで民間企業からという発想になるのではなく、例えば欧米では公務員の間での労働市場があるように、日本でも公務員、あるいは準公務員、NPOやNGOなど広い意味で公的な仕事に携わる人たちのなかで人材の市場ができればいい。メリットとしては、公的な仕事の経験者なら少なくとも機密情報の扱いについては安心して任すことができるだろう」 職員1人ひとりが分け隔てなく臆せずものが言える組織づくりをリーダー自身が率先して進められるかどうか。公務員組織の未来はリーダーたちの気概にかかっているといえそうだ』、「組織の問題の具体的な解決策として「外部の力を借りるなどさまざまなアプローチが重要」と指摘する。 「やっぱり外部から人材を獲得したり、活用したりすることは大事だと思う。ただ、そこで民間企業からという発想になるのではなく、例えば欧米では公務員の間での労働市場があるように、日本でも公務員、あるいは準公務員、NPOやNGOなど広い意味で公的な仕事に携わる人たちのなかで人材の市場ができればいい。メリットとしては、公的な仕事の経験者なら少なくとも機密情報の扱いについては安心して任すことができるだろう」、「職員1人ひとりが分け隔てなく臆せずものが言える組織づくりをリーダー自身が率先して進められるかどうか。公務員組織の未来はリーダーたちの気概にかかっているといえそうだ」、その通りなのだろう。
タグ:(その7)(コロナ禍で社会支える「非正規公務員」悲惨な待遇 女性たちを沈黙させる「会計年度任用職員」、[新連載]霞が関人材クライシス 若手官僚はなぜ辞めるのか、繰り返される「公務員の不祥事」の背景にあるもの 問題は個人にあるのか 組織か…専門家に取材) 公務員制度 東洋経済オンライン 竹信 三恵子氏による「コロナ禍で社会支える「非正規公務員」悲惨な待遇 女性たちを沈黙させる「会計年度任用職員」」 「働く女性の訴えを抑え込んでいく『社会の装置』がある」、とは穏やかでない。どういうことなのだろう。 仕事内容に比べ、「年収」は驚くほどの低さだ。「有期でも正規職員と同じ労働時間契約の「フルタイム会計年度任用職員」になれば、正規と同じく給与や退職金が認められるから待遇は改善する、とされた。だが、5分でも10分でも労働時間が少ないと、基本的には従来どおりの待遇で退職金もない「パート」となる。つまり、パートを増やせば人件費を抑えられる仕組みだ。 その結果、2020年4月時点での総務省調査では、「パート」が会計年度任用職員の88.8%を占め、また、「制度導入前より報酬水準が減額された職種がある」は都道府県で53.2%にのぼった」、これでは、制度改正ではなく、改悪だ。 「藍野らが「職務に見合った賃金を」といくら求めても「財源がない」と相手にされなかったのに、男性の定年組にはあっさりと高賃金の「会計年度任用職員」の座が用意された」、「相談支援など第一線の仕事は、コロナ禍でも休めない住民の命綱だ。だが、これらの仕事のほとんどが非正規職員に担われてきた結果、決定権を持つ正規職員や管理職はその現場を知らず、改善を訴えても理解してもらえない。それでも声を上げると、1年有期を理由に契約を打ち切られることも少なくない」、これでは馬鹿馬鹿しくてやってられない筈だ。 「総務省が全地方自治体を対象に実施した初のメンタルヘルス調査で、非正規公務員は対象から事実上外された。 調査は、コロナ禍による業務量、住民のクレームの増大などによる公務員の心の不調対策を目指し、第一線に立つ機会が多い会計年度任用職員にこそ必要だったはずだ」、本来必要だった「会計年度任用職員」を調査対象から外したとは、小細工も極まれりだ。 「20年近く相談支援業務にあたってきた小川さやか(仮名)も、1日7時間45分のフルタイム契約から、「パート」に切り替えられた。「パート」では退職金の対象にならない。加えて、フルタイムのときは正規と同じ共済保険に加入できたが、パートは共済保険に加入できず、健診などが受けられなくなった」、制度変更時に不利益な扱いが扱いが横行するとは、組合は何をしているのだろう。 「これらの矛盾の指摘に、総務省も「財政上の制約のみを理由にフルタイム雇用を抑制するのは制度の趣旨に合わない」という趣旨の通知を出した。これを生かし、労組による交渉や市議会の質問での是正要求が相次いだ」、「労組」も「総務省」「通知」を活かして「是正」に向け努力すべきだ。 日経ビジネスオンライン「[新連載]霞が関人材クライシス 若手官僚はなぜ辞めるのか」 「今後のラインアップ」のうち、「今回」を除くと全て有料なので、紹介できるのは「今回」のみである。「小野氏」の「ミッションの失敗」は不運だ。 「中央省庁は国政の基盤を作る役割を担うだけに、もともと「働きがい」ならどの職種にも勝るとも劣らないはずだ。しかし過酷な残業が、それを打ち消してしまう」、その通りだ。 「ブラックな働き方と知りながら、政策を作りたくて入ってきている。昔も今もこれからも、残れるやつだけ残ればいいのが霞が関という世界だ」、「ある省で将来の事務次官候補に挙がる課長はこう語り働き方改革の推進に対して難色をあらわにする」、こんな昭和的考え方が大手を振っているようでは、「ブラック」からの脱却は困難だろう。 「北村亘教授」の「試算」は、確かにその通りだが、意外な落とし穴がある可能性もある。 「北村亘教授」の「試算」は、確かにその通りのように思えるが、意外な落とし穴がある可能性もある。 「20年ぶりの現場では、昔のようにボトムアップで政策が日の目を見ることが極端に少なくなっていた。代わりに増えたのは、トップダウンの意思決定」、「コンサル」などが「トップ」にセ-ルスしているのが影響しているのだろうか。 「21年は法案や条約の関連文書に多数の誤記が見つかり、組織の劣化が懸念された霞が関」、確かに「モデルチェンジ」が急務だが、次の「モデル」のイメージはいまだ不確定だ。 一木 悠造氏による「繰り返される「公務員の不祥事」の背景にあるもの 問題は個人にあるのか、組織か…専門家に取材」 こんな「住基ネットシステム」からの情報漏洩は調べれば、犯人はすぐ判明するのに、馬鹿なことをしたものだ。 「低所得者463人分への給付金が誤って1世帯、金額にして4630万円が振り込まれた」、上司のチェックが入らなかったとすれば、それも問題だ。「役所全体が共同体になっていると、外部と役所内部との間に大きな壁ができる。常に外部の目、つまり社会の目にさらされているというような感覚が鈍くなっていく」、説明責任を厳格に課す必要がある。 「リスクというのは、つまり『悪いことしたらやばいよね』『こんなことが起こったら大変だよね』という感覚のこと。だからこそ、普段から起こりうるリスクをすべて掘り出しておく。また、実際に不祥事が起きたときに、まず何をするのかということを順位付けして具体的にシミュレーションしておくことで、起こったあとの対処も迅速に進めることができる」、なるほど。 「組織の問題の具体的な解決策として「外部の力を借りるなどさまざまなアプローチが重要」と指摘する。 「やっぱり外部から人材を獲得したり、活用したりすることは大事だと思う。ただ、そこで民間企業からという発想になるのではなく、例えば欧米では公務員の間での労働市場があるように、日本でも公務員、あるいは準公務員、NPOやNGOなど広い意味で公的な仕事に携わる人たちのなかで人材の市場ができればいい。 メリットとしては、公的な仕事の経験者なら少なくとも機密情報の扱いについては安心して任すことができるだろう」、「職員1人ひとりが分け隔てなく臆せずものが言える組織づくりをリーダー自身が率先して進められるかどうか。公務員組織の未来はリーダーたちの気概にかかっているといえそうだ」、その通りなのだろう。
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