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健康(その13)(「病気になりやすい職場」「なりにくい職場」の差 上司の質で「心臓病になるリスク」まで変化する、夜中にトイレに行く人が気を付けたい6つの事 ノンレム睡眠は加齢とともに浅くなっていく、神経科学が解き明かす 仕事より睡眠を優先すべき理由 「寝ていない」自慢は自己満足でしかない) [生活]

健康については、昨年12月18日に取上げた。今日は、(その13)(「病気になりやすい職場」「なりにくい職場」の差 上司の質で「心臓病になるリスク」まで変化する、夜中にトイレに行く人が気を付けたい6つの事 ノンレム睡眠は加齢とともに浅くなっていく、神経科学が解き明かす 仕事より睡眠を優先すべき理由 「寝ていない」自慢は自己満足でしかない)である。

先ずは、本年1月5日付け東洋経済オンラインが掲載した福島県立医科大学医学部疫学講座主任教授の大平 哲也氏による「「病気になりやすい職場」「なりにくい職場」の差 上司の質で「心臓病になるリスク」まで変化する」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/394018
・『人間は環境によって左右される生き物です。実は職場にも「病気になりやすい職場」と「なりづらい職場」があることをご存知でしょうか? 「職場環境」や「上司」が健康に与える影響を福島県立医科大学医学部の大平哲也疫学講座主任教授による新書『感情を“毒”にしないコツ』から一部抜粋・再構成してお届けします。 その人が就いている仕事と病気には、何か関連性があるのでしょうか。職業ストレスと疾患の関係については、さまざまな調査があります』、興味深そうだ。
・『「ストレスフルな仕事」の条件とは?  スウェーデンで産業ストレスを研究するロバート・カラセック氏が提唱するストレスモデルでは、職業ストレスを「仕事の要求度(仕事量、時間、内容)」と「仕事のコントロール度(裁量など)」の2つの軸から分析しています。 これをそれぞれの特性から、「要求度とコントロール度がともに低い仕事(消極的な仕事)」「要求度が高く、コントロール度が低い仕事(緊張を強いられる)」「要求度が低く、コントロール度が高い仕事(緊張性は低い)」「要求度とコントロール度がともに高い仕事(積極的な仕事)」の4つに分けます。 いちばんストレスが高いのは、「要求度が高く、コントロール度が低い仕事(緊張を強いられる)」でした。仕事の量など負担が大きいのに、コントロール度が低い、つまり自分の裁量でできない仕事です。 逆にストレスをためにくいのは、「要求度が低く、コントロール度が高い仕事(緊張性は低い)」でした。また「要求度とコントロール度がともに高い仕事(積極的な仕事)」は、仕事は大変ですが、自分の裁量でできるため、達成感も得られ、ストレスをためにくいといわれています。 「要求度とコントロール度がともに低い仕事(消極的な仕事)」は、ストレスは低いですが、やる気が削がれてしまうようです。職場などでストレスを改善するには、要求度を下げる、仕事のコントロール度を上げるなどの調整が必要ということになります。 また、仕事のストレスが高いと脳卒中になりやすいという日本のデータもあります。ストレスがもっとも低い「要求度が低く、コントロール度が高い仕事」を1とすると、ストレスがもっとも高い「要求度が高く、コントロール度が低い仕事」は、脳卒中になるリスクが2.73倍も高くなるという研究結果が得られました(図表11、日本人従業員6553人を11年間経過観察した研究:Tsutsumi A,et al.Arch Intern Med.2009)。『感情を“毒”にしないコツ』(青春出版社)より 「仕事のコントロール度」だけで比較した別の研究では、「仕事のコントロール度」が高い人を1とすると、「仕事のコントロール度」が低い人のほうが、自殺が4.1倍も高いことがわかりました(図表12、日本人従業員男性3125人を9年間経過観察した研究:Tsutsumi A, et al. Psychother Psychosom.2007)。『感情を“毒”にしないコツ』(青春出版社)より 仕事を自分のペースでおこなえることも、ストレスを左右するということです。 ただ難しいのは、自分のペースではなく、決められた仕事をきちんとおこなったり、単純作業を繰り返したりするのが好きだという人も一定数いるということです。そういう人にとっては、自分の裁量でおこなうことがストレスになります』、「仕事を自分のペースでおこなえることも、ストレスを左右する」、その通りだろう。「自分のペースではなく、決められた仕事をきちんとおこなったり、単純作業を繰り返したりするのが好きだという人も一定数いる・・・そういう人にとっては、自分の裁量でおこなうことがストレスになります」、例外的なケースにも目配りしているようだ。
・『仕事のストレスを緩和する方法  一方、「要求度が高く、コントロール度が低い仕事」に就いている人はどのように対処したらよいのでしょうか。 その1つは、ソーシャルサポートです。カラセック氏らの研究によれば、たとえ職業ストレスが高い仕事であっても、上司や同僚、そして家族のサポートがあると、ストレスの影響が緩衝されて弱くなることを報告しています。つまり、仕事のストレスが多い職場こそ、まわりの人のサポートが病気の予防のために重要なのです。 逆に上司のサポートがないどころか、上司がストレスになっているような職場だと、より病気になる可能性が高くなります。 私は大阪で勤務していたときに、教員のメンタルヘルスにかかわる仕事をしていました。小学校、中学校の教員は、子どもたちの教育や生活の指導のみならず、親との対応などで年々ストレスが増加しています。 忙しくてストレスが多い職場であっても、校長先生や教頭先生など上司がしっかりサポートしてくれる学校では、教員のモチベーションが高くメンタルヘルスが保たれている印象を受けました。逆にうつ状態になってしまった教員の多くは、上司からの理解や支援がないことを強く訴えていました。 ちなみに、職業によっても病気になるリスクに違いがあるという報告もあります。スウェーデンの研究で、バス運転手、タクシー運転手、トラック運転手の心筋梗塞のなりやすさをほかの職種と比べたところ、特にストックホルム市内のタクシー運転手とバス運転手のリスクがいちばん高いことがわかりました。 ほかの職種に比べてタクシー運転手で1.65倍、バス運転手で1.55倍も心筋梗塞のリスクが高かったのです。さらに、これらの関連は喫煙や体重などの因子とは関係なく見られました。これらの運転手の8割は職業ストレスが高いことが知られており、職業ストレスの影響だと考えられています(Gustavsson P, et al. Occp Environ Med.1996)』、「仕事のストレスが多い職場こそ、まわりの人のサポートが病気の予防のために重要なのです。 逆に上司のサポートがないどころか、上司がストレスになっているような職場だと、より病気になる可能性が高くなります」、「上司」の役割は重要なようだ。
・『上司の質で「心臓病になるリスク」が変わる  上司からのストレスに悩んでいる人は多いでしょう。実際、職場の上司との関係に悩み、うつになってしまう人があとを絶ちません。あなたの上司がどんな人かによって、うつどころか、心臓病になるリスクまで上げるかもしれないといったら、驚かれるでしょうか。 上司のリーダーシップと部下の虚血性心疾患の発症との関係を調べた研究があります。部下に以下のような質問を投げて回答してもらいました。 ①私の上司は私が必要な情報を与えてくれる(情報提供) ②私の上司は仕事の目標を明確に示してくれる(目標提示) ③私の上司が私に何を期待しているのかを把握している(期待) ④私の上司は部下の育成と管理に十分な時間をかけてくれる(育成管理) その回答結果から虚血性心疾患発症の相対危険度を調べました(図表13、年齢調整済み。スウェーデン人3122人を9.7年間追跡調査した研究)。『感情を“毒”にしないコツ』(青春出版社)より 「情報提供」してくれる上司がいる部下のリスクは0.65倍、以下「目標提示」は0.61倍、「期待」は0.77倍、「育成管理」は0.69倍と、いずれも低かったのです。つまり優秀な上司のもとで働いている部下は、そうでない人に比べて心臓病になるリスクが23?35%低いということになります。 上司は基本的に自分で選ぶことはできませんが、今、上司との関係でストレスを抱えている人は、自分の健康のためにも、部署の異動、あるいは転職を真剣に考えてもいいのではないでしょうか』、「優秀な上司のもとで働いている部下は、そうでない人に比べて心臓病になるリスクが23?35%低い」、かなりハッキリした違いのようだ。「今、上司との関係でストレスを抱えている人は、自分の健康のためにも、部署の異動、あるいは転職を真剣に考えてもいいのではないでしょうか」、同感である。

次に、1月20日付け東洋経済オンラインが掲載した 順天堂大学医学部名誉教授の新井 平伊氏による「夜中にトイレに行く人が気を付けたい6つの事 ノンレム睡眠は加齢とともに浅くなっていく」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/403912
・『肝臓の数値が気になったり、血圧を毎日測る人がいても、脳の健康状態を意識している人は多くはいません。特に脳の健康で気を付けたいのが睡眠です。順天堂大学医学部名誉教授の新井平伊氏が上梓した『脳寿命を延ばす―― 認知症にならない18の方法』を一部抜粋・再構成し、脳と睡眠の関係を紐解きます。 ①最適な睡眠時間は6.5~7時間  睡眠と脳の健康には、非常に深い関係があります。動物実験の結果、睡眠時間を短くしたラットの脳には、老廃物のアミロイドβが溜まってしまうことがわかっています。人間でも、一晩の寝不足でアミロイドβの蓄積が増えるというデータがあります。 アミロイドβは普通、寝ている間に代謝、分解されて、脳の外へ洗い流されます。ところが睡眠時間が短いと、排泄が遅れてしまうのです。寝不足が続けば、アミロイドβはどんどん蓄積されてしまうことになります。 最適な睡眠時間には、個人差があるものです。しかし疫学的なデータからみると、6時間半から7時間眠る人が最も認知症になりづらいことがわかっています。ところが、6時間未満と8時間以上はどちらも2倍、認知症になりやすい。寝不足も寝すぎもいけないというのは、興味深い事実です』、「6時間半から7時間眠る人が最も認知症になりづらいことがわかっています。ところが、6時間未満と8時間以上はどちらも2倍、認知症になりやすい」、私もたまたま同じ睡眠を取っている。
・『脳に悪影響を及ぼす睡眠障害  脳の健康に悪い影響を及ぼすのは、寝不足、言い換えると睡眠障害です。睡眠障害は、なかなか寝つけない入眠困難、長い時間寝ているはずなのに疲れが取れない熟眠困難、夜中や早朝に目が覚めてしまう早朝覚醒の3つに分けられます。 精神医学的な面から言うと、神経症の人は入眠困難が多く、うつの人には早朝覚醒が多い傾向があります。 ただし、現在は睡眠時間の短かさや質よりも、眠くて勉強や仕事ができないなど昼間の活動に支障があることを重視して、睡眠障害と定義するようになってきました。  ②昼間の覚醒と夜間の睡眠のリズムを整える(1日の4分の1から3分の1に当たるわけですから、人間はかなり長い時間寝ています。身体と脳を日ごとにリセットするには、それだけ長い時間が必要なのです。その6~7時間のうちに、レム睡眠とノンレム睡眠という波が交互に訪れることは、よく知られています。 レム(REM)とは「Rapid Eye Movement(急速眼球運動)」の略です。レム睡眠の時間帯には身体は休んでいるのですが、その名の通り目がぴくぴく動いています。脳は覚醒状態にあって活発に働き、記憶の整理や定着を行っています。夢を見るのは、レム睡眠の間です。 目が動かないノンレム(non─REM)睡眠は深い眠りで、脳も休んでいると考えられています。ところが、脳の休息に欠かせないノンレム睡眠は、加齢とともに浅くなります。たとえばトイレに起きやすくなるのは、眠りが浅くなるせいです。睡眠障害がなくても、老化によって睡眠は浅く短くなり、質が低下していくのです。 そのため、昼間の覚醒と夜の睡眠のリズムを整えることが、若い頃より意味をもちます。昼間の過ごし方が、質の高い睡眠をもたらすからです。 なるべく太陽光線を浴びたり、運動して身体を疲れさせるなど、夜になったら眠りにつきやすい環境を整えることです。 脳には体内時計があり、習慣のリズムに沿ってセッティングがされるのです。 「何時に寝て、何時に起きればいいか」は個人差があります。早寝早起きが基本ですが、夜9時に寝れば明け方の3時か4時に目覚めてしまい、昼間は眠気と戦わなければいけなくなる場合もあります。規則正しいことは大切ですが、正しいリズムとは言えません。 生活習慣や個人のライフスタイルによりますが、現代社会では、身体にとっては11時ごろに寝て、6?7時ごろに起きるのが自然でしょう。 ③寝具や空調などの環境を作る(寝具や空調などの環境作りも、気になる点です。眠気が訪れるのは、身体がいったん温まってから冷めるときだと言われています。寝る前に入浴すれば、湯上がりから冷めてベッドに入るタイミングで眠気がやって来ます。身体のリズムは、うまく利用すべきです。 室温はどのくらいが適当かという医学的なデータはありませんが、冬は暑すぎず、夏は涼しすぎず、身体に風が直接当たらない間接空調のほうが心地いいでしょう。いびきをかく人や副鼻腔炎がある人は、仰向けより横向きの姿勢が寝つきやすいはずです』、「現代社会では、身体にとっては11時ごろに寝て、6?7時ごろに起きるのが自然でしょう」、「寝る前に入浴すれば、湯上がりから冷めてベッドに入るタイミングで眠気がやって来ます。身体のリズムは、うまく利用すべきです」、なるほど。
・『「楽しいこと」を思い浮かべることが大事  ④時間と気持ちの余裕を持つ  時間と気持ちの余裕をもって、睡眠に入ることが大切です。翌日がゴルフで、ワクワクして眠れないのならいいですが、「明日も仕事だから早く寝なくちゃ」とか「あと5時間しかない」と思いながらだと、精神的な圧迫になってしまい、かえって寝付けないものです。 私は患者さんに、なるべく楽しいことを思い浮かべながら眠りにつきましょう、とアドバイスしています。 一定のルーティンを作っておくと、脳がそれを覚えて「これから眠りにつくんだな」と学習してくれます。昼間の活動的な交感神経から、夜の安らぎの副交感神経への切り替えを、身体のリズムにしてしまうことが大切です。 睡眠の質を高めることは、脳の老化防止になり、認知症の2次予防、3次予防にもなるのです』、「一定のルーティンを作っておくと、脳がそれを覚えて「これから眠りにつくんだな」と学習してくれます。昼間の活動的な交感神経から、夜の安らぎの副交感神経への切り替えを、身体のリズムにしてしまうことが大切です」、これは心して習慣化したい。
・『⑤医師の処方で薬の服用も検討する  生活のリズムを整えても熟睡できなかったり、昼間の睡魔に悩まされる人は、薬の服用を検討してみるのもいいでしょう。睡眠薬と聞くと抵抗があるかもしれませんが、いまは安全な睡眠導入剤がたくさん出ています。 安全と言う意味は、2つあります。1つは、脳内ホルモンに作用して自然な眠り、自然なリズムを作るという意味。もう1つは、副作用が少ないという意味です。 以前の睡眠薬はベンゾジアゼピン系といって筋弛緩作用があり、身体がふらつくなどの副作用がありました。 いまは、非ベンゾジアゼピン系の薬が使われています。ルネスタ、マイスリー、アモバンなどです。筋弛緩作用による副作用が少ないので、特に高齢者に適しています。 そのほか、睡眠や体内時計に深く関わる脳内ホルモンのメラトニンに働きかけるロゼレム、覚醒の脳内ホルモンであるオレキシンをブロックするベルソムラとデエビゴ、といった薬があります。医師の処方に従って、適切に使ってください』、私の場合は「睡眠薬」なしで大丈夫だ。
・『寝酒は睡眠が浅くなる原因  ⑥寝酒はお勧めできない  寝酒はお勧めできません。寝つきをよくするような気がしますが、睡眠は浅くなり、早く目が覚めてしまいます。 旅行に行ったときなど、酒を飲んで寝ると翌朝は早く起きて、家にいるときより朝ご飯をたくさん食べられたりします。あれはアルコールの作用で、睡眠が浅くかつ短くなっただけです。 毎晩の飲酒を脳にセッティングすると、浅くて短い睡眠となり、脳の老化が進んでしまいます。 そして、飲酒の習慣が肝臓と脳を痛めることは、改めて言うまでもないでしょう』、私は「寝酒」は週1回程度やっているが、これからは出来るだけ控えるようにしたい。

第三に、1月29日付けダイヤモンド・オンラインが転載したハーバード・ブジネス・レビュー「神経科学が解き明かす、仕事より睡眠を優先すべき理由 「寝ていない」自慢は自己満足でしかない」を紹介しよう。
https://www.dhbr.net/articles/-/7392
・『睡眠不足が生産性やパフォーマンスにネガティブな影響を与えることは、誰しも耳にしたことがあるだろう。問題は「寝ていない」自慢に代表される、大きな認識不足だ。睡眠時間を削ってまで仕事をすることが優秀な人材としての証だというのは、大きな間違いだ。本稿では神経科学の研究成果から、睡眠不足時の脳に何が起きているのかを解説し、睡眠の質と量を改善することで、仕事に必要不可欠な力、すなわち高い集中力と注意力と忍耐力、ポジティブな気分とマインドセットを手に入れるための心構えを説く。 ほとんどのものがそうであるように、睡眠も不足した時にその大切さを最も痛感する。 残念ながら、その経験をしている人はあまりに多く、3~4割の人が睡眠不足の問題を抱え、米国では実に7000万人、欧州でも4500万人が慢性的な睡眠障害に悩まされている。 睡眠時間が短くなるのは、決まって「やむをえない状況」によるが、上記の数字は、睡眠が生活のみならず仕事に対しても、いかに利益をもたらしているかが正しく理解されていないことを示している。 さらに気がかりなのは、睡眠障害による心身の健康へのネガティブな影響に関する一般的な認識不足だ。我々の多く、すなわちリーダーも同僚も友人も、相も変わらず睡眠時間を削って働くことに誇りを見出していることが何よりの証拠である。まるで、それが優等生や優秀な社員への道であるかのように、だ。 しかし、睡眠より仕事を優先するという人が実際にしていることは、単に質より量を取っているにすぎない。 もしあなたが、仕事や勉強、家庭生活においてベストコンディションで臨みたいと思うならば、夜間に十分な休息を取り、それによって得られる力を活用するのが得策だ。すなわち、より高い集中力と注意力と忍耐力、そしてよりポジティブな気分とマインドセットである。 初めて聞く助言ではないだろう。だが、睡眠の価値を理解するには、神経科学における最新の研究成果に耳を傾けるのが一番だ。神経科学は、睡眠が脳に与える影響や睡眠を十分に取らなかった場合の脳に対する影響についての研究に、多くの時間を費やしている分野だ』、「ナポレオンの睡眠は3時間」、といわれるが、昼寝を十分取っていたとの説もある。「もしあなたが、仕事や勉強、家庭生活においてベストコンディションで臨みたいと思うならば、夜間に十分な休息を取り、それによって得られる力を活用するのが得策だ。すなわち、より高い集中力と注意力と忍耐力、そしてよりポジティブな気分とマインドセットである」、その通りだろう。
・『睡眠不足の脳に何が起きているのか  具体的な話に入る前に、まず眠っている時の脳の状態を簡単に説明しておこう。 脳は、それ以外の身体器官が待機状態になっている間も活動を続け、言わば「オンライン」状態を維持していることが、複数の研究によって示されている。スマートフォンのように、夜は見ていないからといって、その間、働いていないわけではないのだ。 睡眠中の脳の主な機能は、科学者がよく「脳の老廃物(mental wastage)」と呼ぶ、日中にニューロンの間に蓄積された毒素を排出することである。この老廃物は、短期的にも長期的にも正常な認識機能を損なわせる可能性がある。 脳が老廃物を廃棄するのは、より重要で新しい学習経験を取り込むスペースを空けるためだ。パソコンの「自動削除」と考えるとわかりやすい。つまりゴミ箱の中身を永久に削除してスペースをつくり、処理速度を高めるようなものだ。 老廃物の排出は、基本的な学習記憶機能を支えるほか、気分や感情、性欲をコントロールするカギでもある。言い換えると、人間にとって睡眠は給油のようなものだ。「睡眠時間を削ってもっと働けば、生産性が高まる」という発想は、給油を省けば目的地に早く到着できるという発想と同じくらい論理的、つまりは非論理的なのだ。 極度の睡眠不足は、心身と仕事の両方に、以下のような影響を及ぼす』、「睡眠中の脳の主な機能は・・・「脳の老廃物(mental wastage)」・・・毒素を排出すること」、「より重要で新しい学習経験を取り込むスペースを空けるため」、なかなかよく出来た仕組みだ。
・『簡単なことでもやり方を忘れる  たった一晩の睡眠不足でも、脳の中で記憶や学習を司る海馬の正常な働きを損なうには十分だ。海馬は、情報を短期的および長期的に保持するうえで、中心的な役割を担う。また、方向感覚や空間認識能力も左右する。これについては、ロンドンのタクシー運転手の海馬が普通よりも大きいことを明らかにした有名な調査がある。 睡眠不足になると、忘れっぽくなったり、集中できなくなったり、数字を覚えられなくなったり、あるいは事実認識が困難になったりする。いずれも、仕事のパフォーマンスに深刻な影響をもたらす問題だ。オートパイロットモードを使ったり、反復作業やルーチン業務をこなしたりしているだけなら別だが、比較的簡単なタスクであっても、パフォーマンスが低下している感覚はあるだろう。 睡眠不足が二日酔いとよく似ていると感じるのは、こうした理由による。集中することが苦になり、それまで当たり前にこなしていたタスクにも、かなりの集中が必要になる』、「睡眠不足になると、忘れっぽくなったり、集中できなくなったり、数字を覚えられなくなったり、あるいは事実認識が困難になったりする」、なるほど。
・『長期記憶が損なわれる  前述したように、睡眠によって脳は、代謝老廃物を排出する時間を与えられる。老廃物の中には、蓄積されると脳細胞の間にプラークを形成するタンパク質もある。睡眠不足は、短期的には知能指数(IQ)の低下、長期的にはアルツハイマー病に関係すると考えられている。 86の科学的研究を検証した結果、睡眠時間が長い人のほうが、敏捷性、学習効率、集中力が高い傾向にあることが明らかになっている。これは、睡眠時間が長いほうが、老化に伴う認知能力の低下が緩やかであることを説明している。 睡眠衛生、すなわち睡眠の質と量を高めるための行動や環境の改善は、勉強や仕事のパフォーマンスの向上、そして高い知的発達につながる。複雑な仕事であるほど、学習や論理的思考、新たな問題の解決が求められ、睡眠が質と量ともにより必要になるということだ』、「睡眠不足は、短期的には知能指数(IQ)の低下、長期的にはアルツハイマー病に関係すると考えられている」、「長期的」な弊害は本当に怖い。
・『攻撃性や不安感を持ちやすい  睡眠は、気分や感情のコントロールに不可欠な化学反応を脳内に引き起こす。この反応に最も関係が深い脳内ホルモンは、メラトニンと呼ばれる。 メラトニンは、夜間に多量に分泌されて睡眠を促し、朝は目覚めるために分泌量が低下する。気分の変調とも関係があるとされている。メラトニンが分泌されて眠る時間であることを知らされても、無視して起きているような時に起きることが多い。 睡眠不足のせいで、周囲の目にも明らかなほど、機嫌が悪く、怒りっぽく、イライラするのは、メラトニンが脳の扁桃体に影響を与えているからだ。扁桃体は、その人がポジティブな経験をしている(安心している)のか、あるいはネガティブな経験をしている(怒りや恐怖を感じる)のかを判断する感情のレーダーのようなものだと思えばよい。 不安、攻撃性、衝動的な決断はすべて、扁桃体の過活動が引き起こしている。夜間に脳のこの領域に影響を与える変化は、どれも翌朝まで持ち越され、他者に対する忍耐力や共感力を含む、あなたの行動に影響を与える。 恐怖や不安といったネガティブな感情は、怖い夢や不快な夢という形で睡眠中にも出現する。睡眠不足の時にイライラして怒りっぽくなり、さらに質の悪い睡眠によって気分が不安定になり、悪夢という形で睡眠が妨げられるという悪循環に陥る人も多い。 要するに、自分が思いやりのある優しい同僚やパートナー、友人になりたければ、もっと睡眠を取るべきなのだ』、「睡眠不足のせいで、周囲の目にも明らかなほど、機嫌が悪く、怒りっぽく、イライラするのは、メラトニンが脳の扁桃体に影響を与えているからだ」、「睡眠不足の時にイライラして怒りっぽくなり、さらに質の悪い睡眠によって気分が不安定になり、悪夢という形で睡眠が妨げられるという悪循環に陥る人も多い」、「睡眠不足」の弊害は想像以上に深刻だ。
・『人間関係を危険に晒す  睡眠不足は、恋愛や人間関係にも害を及ぼす可能性がある。 成人のほとんどは、共同生活者や同居人と同じ寝室で眠っている。こうした条件に当てはまる人は、自分の人生やキャリアだけでなく、パートナーの人生やキャリアにも影響を及ぼしている。 案に違わず、睡眠と人間関係の質との間には相関関係がある。幸せな関係性があればよく眠れ、よく眠ることで関係もよくなる。 このような研究結果が豊富にあるにもかかわらず、きっと友人や同僚の「寝ていない」自慢は今後も続くだろう。いかにも、それが生産性の向上や成功につながっているかのように。 そうした時は、科学がそれとは逆のことを証明していると思い出そう。長時間にわたって脳を途切ることなく解放すれば、目覚めた時の頭の冴え、幸福感、そして健康が増進するのである』、「「寝ていない」自慢」は錯覚でしかない。しかも、「人間関係を危険に晒す」危険極まりないものである以上、「長時間にわたって脳を途切ることなく解放」していきたいものだ。
タグ:健康 東洋経済オンライン ダイヤモンド・オンライン (その13)(「病気になりやすい職場」「なりにくい職場」の差 上司の質で「心臓病になるリスク」まで変化する、夜中にトイレに行く人が気を付けたい6つの事 ノンレム睡眠は加齢とともに浅くなっていく、神経科学が解き明かす 仕事より睡眠を優先すべき理由 「寝ていない」自慢は自己満足でしかない) 大平 哲也 「「病気になりやすい職場」「なりにくい職場」の差 上司の質で「心臓病になるリスク」まで変化する」 人間は環境によって左右される生き物 「ストレスフルな仕事」の条件とは? ストレスモデル 、職業ストレスを「仕事の要求度(仕事量、時間、内容)」と「仕事のコントロール度(裁量など)」の2つの軸から分析 いちばんストレスが高いのは、「要求度が高く、コントロール度が低い仕事(緊張を強いられる)」 ストレスをためにくいのは、「要求度が低く、コントロール度が高い仕事(緊張性は低い)」 仕事を自分のペースでおこなえることも、ストレスを左右する」、その通りだろう。「自分のペースではなく、決められた仕事をきちんとおこなったり、単純作業を繰り返したりするのが好きだという人も一定数いる そういう人にとっては、自分の裁量でおこなうことがストレスになります」、例外的なケースにも目配りしているようだ 仕事のストレスを緩和する方法 仕事のストレスが多い職場こそ、まわりの人のサポートが病気の予防のために重要なのです。 逆に上司のサポートがないどころか、上司がストレスになっているような職場だと、より病気になる可能性が高くなります」、「上司」の役割は重要なようだ。 上司の質で「心臓病になるリスク」が変わる 「優秀な上司のもとで働いている部下は、そうでない人に比べて心臓病になるリスクが23?35%低い」、かなりハッキリした違いのようだ 「今、上司との関係でストレスを抱えている人は、自分の健康のためにも、部署の異動、あるいは転職を真剣に考えてもいいのではないでしょうか」、同感である 新井 平伊 「夜中にトイレに行く人が気を付けたい6つの事 ノンレム睡眠は加齢とともに浅くなっていく」 脳寿命を延ばす―― 認知症にならない18の方法 最適な睡眠時間は6.5~7時間 寝不足が続けば、アミロイドβはどんどん蓄積されてしまう 6時間半から7時間眠る人が最も認知症になりづらいことがわかっています。ところが、6時間未満と8時間以上はどちらも2倍、認知症になりやすい」、私もたまたま同じ睡眠を取っている 脳に悪影響を及ぼす睡眠障害 昼間の覚醒と夜間の睡眠のリズムを整える 寝具や空調などの環境を作る 現代社会では、身体にとっては11時ごろに寝て、6?7時ごろに起きるのが自然でしょう」 「寝る前に入浴すれば、湯上がりから冷めてベッドに入るタイミングで眠気がやって来ます。身体のリズムは、うまく利用すべきです」 「楽しいこと」を思い浮かべることが大事 一定のルーティンを作っておくと、脳がそれを覚えて「これから眠りにつくんだな」と学習してくれます。昼間の活動的な交感神経から、夜の安らぎの副交感神経への切り替えを、身体のリズムにしてしまうことが大切です」、これは心して習慣化したい ⑤医師の処方で薬の服用も検討する 寝酒は睡眠が浅くなる原因 ⑥寝酒はお勧めできない ハーバード・ブジネス・レビュー 「神経科学が解き明かす、仕事より睡眠を優先すべき理由 「寝ていない」自慢は自己満足でしかない」 「ナポレオンの睡眠は3時間」、といわれるが、昼寝を十分取っていたとの説もある もしあなたが、仕事や勉強、家庭生活においてベストコンディションで臨みたいと思うならば、夜間に十分な休息を取り、それによって得られる力を活用するのが得策だ。すなわち、より高い集中力と注意力と忍耐力、そしてよりポジティブな気分とマインドセットである 睡眠不足の脳に何が起きているのか 睡眠中の脳の主な機能は 「脳の老廃物(mental wastage)」 毒素を排出すること 「より重要で新しい学習経験を取り込むスペースを空けるため」、なかなかよく出来た仕組みだ 簡単なことでもやり方を忘れる 睡眠不足になると、忘れっぽくなったり、集中できなくなったり、数字を覚えられなくなったり、あるいは事実認識が困難になったりする 長期記憶が損なわれる 睡眠不足は、短期的には知能指数(IQ)の低下、長期的にはアルツハイマー病に関係すると考えられている」、「長期的」な弊害は本当に怖い 攻撃性や不安感を持ちやすい 「睡眠不足のせいで、周囲の目にも明らかなほど、機嫌が悪く、怒りっぽく、イライラするのは、メラトニンが脳の扁桃体に影響を与えているからだ」 「睡眠不足の時にイライラして怒りっぽくなり、さらに質の悪い睡眠によって気分が不安定になり、悪夢という形で睡眠が妨げられるという悪循環に陥る人も多い」 「睡眠不足」の弊害は想像以上に深刻だ 人間関係を危険に晒す 「寝ていない」自慢」は錯覚でしかない。しかも、「人間関係を危険に晒す」危険極まりないものである以上、「長時間にわたって脳を途切ることなく解放」していきたいものだ
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防衛問題(その15)(菅政権の「ヤバすぎる決断」 またアメリカに大金を支払うことに…イージス・アショア代替策の末路、馬毛島基地建設問題3題(<上>スガ案件の馬毛島基地建設めぐり…1.31市長選が激化、<中>5億円の塩漬け離島購入を官邸につないだキーマン激白、<下>種子島にも自衛隊施設建設の蠢き…土地買い占めの噂が)、自衛隊“幹部クラスター”を招いた“安倍前首相の甥”参加の忘年会) [国内政治]

防衛問題については、昨年3月11日に取上げた。今日は、(その15)(菅政権の「ヤバすぎる決断」 またアメリカに大金を支払うことに…イージス・アショア代替策の末路、馬毛島基地建設問題3題(<上>スガ案件の馬毛島基地建設めぐり…1.31市長選が激化、<中>5億円の塩漬け離島購入を官邸につないだキーマン激白、<下>種子島にも自衛隊施設建設の蠢き…土地買い占めの噂が)、自衛隊“幹部クラスター”を招いた“安倍前首相の甥”参加の忘年会)である。

先ずは、昨年12月17日付け現代ビジネスが掲載した防衛ジャーナリストの半田 滋氏による「菅政権の「ヤバすぎる決断」、またアメリカに大金を支払うことに…イージス・アショア代替策の末路」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/78434?imp=0
・『日本は「カネの成る木」…  政府は配備を断念した地対空迎撃システム「イージス・アショア」の代替策として、「イージス・システム搭載艦」2隻の建造を18日に閣議決定する。 価格の高騰に加え、地上配備の利点を強調しながら洋上配備とする矛盾は隠しようがなく、菅義偉政権の安全保障政策への信頼は根底から揺らぐことになる。 建造費は、イージス・アショアより高い4800億円から5000億円。防衛省は追加される別料金もあるうえ、細部を詰める過程で変更もあり得るとしており、価格は青天井となりかねない。 その多くが米政府に支払われるため、大統領が「バイ・アメリカン(米国製品を買え」と迫ったトランプ氏からバイデン氏に代わっても、日本は米国にとって「カネの成る木」であり続ける。 建造費が高騰する最大の理由は、地上配備を想定して設計された日本版イージス・アショアの大型レーダー「SPY7」を艦艇に搭載することにより、最新のイージス護衛艦「まや」型の船体を数メートル延長する必要があるためだ。 推進性能、船体構造、重量重心などの見直しにかかる経費が建造費に上乗せされる』、「「SPY7」を艦艇に搭載することにより、最新のイージス護衛艦「まや」型の船体を数メートル延長する必要がある」、「イージス・アショアより高い4800億円から5000億円」、とは飛んでもない話だ。
・『菅政権は正気なのか  本来、地上に置くべき大型レーダーを艦艇に載せる「イージス・システム搭載艦」は、城郭を海に浮かべるようなものだ。その珍妙なアイデアをカネに糸目を付けずに実現しようというのだから、菅政権は内外から正気を疑われても仕方ない。 米国で開発中のイージス艦専用の新型レーダー「SPY6」を採用すれば、「まや」型搭載のレーダー「SPY1」と同じサイズのため、船体の大規模改修は不要となり、価格を抑えられる。その事実は防衛省も承知している。 それでも「SPY7」にこだわるのは、2018年度防衛費で基本設計に6億円を投じたのに続き、2019年度の防衛費でイージス・アショア2基の取得費などに1757億円を計上し、米政府との間で支払い契約を済ませていることが大きい。うち196億円は支払い済みとなっている。 「SPY7」を採用しないとすれば、この196億円は戻らないうえ、違約金の支払いまで求められる可能性が高い。 防衛省は違約金の額を明らかにしていないが、仮に契約済の1757億円がそっくり没収されるとなれば、責任問題に発展しかねない。そこで地上配備を前提にした「SPY7」を無理やり洋上配備に置き換えたのだ』、「「SPY7」にこだわる」理由は、全く理解できない。財務省はきちんとチェックしているのだろうか。
・『「SPY7」採用に対する疑問  だが、そもそも「SPY7」を採用したこと自体が疑問である。 イージス・アショアの導入は2017年12月に閣議決定された。 レーダーは当初、米国のレイセオン社で開発中の「SPY6」が有力視されたが、年が明けた2018年1月になって突然、ロッキード・マーチン社が米本土防衛用にアラスカで建造中の長距離識別レーダー「LRDR」をイージス・アショア向けに転用する「LMSSR(後のSPY7)」を提案し、2社の競合となった。 防衛省で課長級の検討チーム、局長級・幕僚長級の諮問会議で比較検討した結果、基本性能、整備性などの後方支援、経費の3点で「LMSSR」に軍配が上がった。 だが、これには後日談がある。 ロッキード・マーチン社とレイセオン社は、米軍に収めるレーダーの競争相手であり、2013年の「SPY6」選定ではレイセオン社が受注した一方、2015年の「LRDR」の選定作業ではロッキード・マーチン社が勝利した』、両社で示し合わせた可能性もありそうだ。
・『「LMSSR推し」のナゾ  日本版イージス・アショアをめぐる受注競争は3度目の商戦だったことになる。 防衛省の選定時点で、米イージス艦への採用が決まり、開発が先行した「SPY6」に対し、「LMSSR」は構想段階に過ぎなかった。現物がないのだから性能を確認するための実射試験も行われていない。本来なら比較できない2つのレーダーを防衛省はカタログ性能だけで選んだことになる。 「SPY6」を採用すれば、海上自衛隊のイージス護衛艦と部品供給などの互換性があっただけに防衛省の選定には疑問が残る。 ロッキード・マーチン社が防衛省に積極的に売り込みをかける一方、レイセオン社は不思議なほど何もしなかったとされ、その結果、「米国防総省の一推しが『LMSSR』だとわかった」と話す防衛省幹部もいる。 その「LMSSR推し」のナゾは後になって判明する。 防衛省はイージス・アショアの運用開始を2023年度としていたが、「LMSSR」の開発遅れにより、レーダー性能を高める窒化ガリウム半導体を製造する富士通の参加が不可能になった。納期がさらに遅延するおそれがあるためで、防衛省が目指した国内企業参画は最初からつまずいた。 その一方で米国防総省は、当初の日米協議にはなかった模擬ミサイルを発射してレーダーの性能を確認する実射試験の費用負担を求めてきた。防衛省は応じることを決め、約5億ドル(約520億円)の支払いが見込まれている。 米国防総省は2019年になって「LMSSR」を「SPY7」と命名して制式化。これに伴い、「SPY7」の派生型レーダーをカナダ海軍とスペイン海軍に売却し、新型戦闘艦に搭載することが決まった。 つまり、米国は日本のカネを取り込んで「SPY7」を開発し、日本のカネで実射試験を行って性能を確認し、完成品を海外に売り込んでもうけようというのだ。米国の言い値で相手国に兵器を買わせ、納期も米国次第というトンデモ商法の「対外有償軍事援助(FMS)」を採用する米政府ならではの、いかにも図々しいやり方ではないか。 開発経費を負担する以上、意地でも「SPY7」を導入したい防衛官僚の気持ちはわからないでもない。しかし、地上配備を前提に設計したレーダーを艦艇に載せる愚は犯すべきではない。どれほどの維持・管理費がかかるかわからないからだ。契約を破棄して少しでも損失を抑えるべきではないだろうか』、「米国は日本のカネを取り込んで「SPY7」を開発し、日本のカネで実射試験を行って性能を確認し、完成品を海外に売り込んでもうけようというのだ。米国の言い値で相手国に兵器を買わせ、納期も米国次第というトンデモ商法の「対外有償軍事援助(FMS)」を採用する米政府ならではの、いかにも図々しいやり方ではないか」、こんな法外な米国商法の乗せられる日本は、諸外国の笑い者だ。
・『コストと期間が見合うのか  イージス・アショアは、安倍晋三前首相がトランプ米大統領に迫られて「爆買い」を約束した兵器のひとつだ。防衛省は2012年にはイージス護衛艦を4隻から8隻に倍増させることを決めていたのだから、イージス・アショアは過剰な兵器というほかない。 官邸主導で導入を決めた結果、防衛省は知恵を絞ってイージス・アショアの利点をひねり出すこととなり、配備候補地の秋田市と山口県萩市の住民に次の通り、説明した。 「わが国全土を24時間365日、切れ目なく防護することが可能」「イージス艦を本来の任務である海洋の安全確保任務に戻すことが可能」「長期間の洋上勤務が繰り返されるなど厳しい勤務環境に置かれているイージス艦乗組員の負担を軽減できる」 代替策が「イージス・システム搭載艦」に決まる以上、これらの利点はすべて消える。今度は「洋上配備なので推進装置の『ブースター』が落下して住民を直撃するおそれがない」などと正直に語るのかと思えば、防衛省は「情勢の変化に応じ、運用上最適な海域へ柔軟に展開することが可能」と主張し始めた。誠に官僚とは、理屈を考え出す仕事であることだ。 イージス護衛艦の場合、1隻あたり約310人、2隻で約620人の乗員数のため、「イージス・システム搭載艦」でも同程度の人数が必要になる。 イージス・アショアであれば、運用を担当する陸上自衛隊は警備要員なども含め1基あたり約250人、2基で約500人の隊員を配置する計画だった。14万人の隊員がいる陸上自衛隊であれば、問題なく供出できるが、深刻な隊員不足に悩む海上自衛隊は違う。 防衛省は、近く陸海空自衛隊の定年年齢を1歳引き上げ、海上自衛隊だけで約1000人を退官させず、引き止めることにする。艦内にWiFi環境を整備したり、時間で交代するクルー制を導入したりすることで若者を呼び込む策も進める。 職場環境の改善は結構なことだが、天井知らずの「イージス・システム搭載艦」の建造費に加え、約620人の人件費も防衛費の押し上げ要因となるのは確実だ。 護衛艦なら建造から配備までに5年を要するが、未知の艦艇でもある「イージス・システム搭載艦」は8年から10年かかるとの見方が浮上している。コストと期間が見合うのかどうか。イージス・アショアの配備断念を棚上げして、迷路に入り込んだツケは大きい』、「イージス・システム搭載艦」の配備は、今からでも見直すべきだろう。

次に、日刊ゲンダイの「馬毛島基地建設問題」のうち、1月22日付け「<上>スガ案件の馬毛島基地建設めぐり…1.31市長選が激化」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/284171
・『1月24日告示、31日投開票の鹿児島県西之表市(人口約1万5000人)の市長選と市議会選挙は要注目だ。鉄砲伝来とロケット打ち上げで知られる種子島(西之表市、中種子町、南種子町)地域に今度は米軍と自衛隊の戦闘機が飛ぼうとしている。西之表市の馬毛島で米空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)に伴う自衛隊基地建設を政府が推進しているからだ。 受け入れ派が市長になれば南西諸島の自衛隊基地配備もいよいよ揃い踏む。沖縄本島の基地化は周知の事実だが、南西諸島と呼ばれる九州・沖縄地方の離島では、与那国、石垣、宮古、奄美大島と弧を描くように自衛隊配備が急ピッチで進む。今回の馬毛島と種子島の基地化で総仕上げとなる。 種子島からわずか12キロ沖に位置する馬毛島は長年、事件屋も触手を伸ばすいわくつきの島だった。ところが2019年11月、防衛省は所有者から160億円もの高額で売買合意。「スガ(菅義偉官房長官=当時)案件」とも報じられた。これを機に種子島では数千億円と噂される基地利権を期待するムードが加速している。 戦後初とも言える政治状況の中で迎える市長選。予定候補者は2人。反対派は現職の八板俊輔(67)。朝日新聞記者出身で「馬毛島の利活用と基地に依存しない経済」を訴える。市民の反対署名6000筆を集めた馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会(三宅公人会長)と政策協定も結ぶ』、この問題は「31日投開票の鹿児島県西之表市・・・の市長選と市議会選挙」の結果を見てから取上げようとも思ったが、地元にとっては賛成補の開発の方に魅力を感じて、賛成補が勝利すると仮定して論を進める。
・『経済効果期待の“賛成派”を業界団体全面支援  一方、賛成派は当初、自民系の濱上幸十(69)と福井清信(71)が名乗りを上げた。元市議の濱上は前回の市長選では惜敗。年末、市内の事務所で話を聞くと「馬毛島の工事が始まると数千億円の金が投入される。1兆円という話もある。3000人から5000人の建設作業員も採用される。種子島に造られる自衛隊官舎に200世帯入ると言われ、中種子町はすでに受け入れ表明をしている」と積極的だった。 しかしクリーニング店を経営する商工会会長の福井が立候補。商工会、農協、漁協、建設業団体など市内有力業界団体が支援する。自衛隊官舎を誘致したいという福井は「米軍再編交付金も10年以上もらえるよう交渉する」と経済効果を期待する。福井からの一本化要請は拒否した濱上だったが、今月に入って、自民党の森山裕国対委員長が説得しに入島することを知り出馬を断念。基地建設をめぐり選挙は激しさを増している。 =つづく』、「馬毛島の工事が始まると数千億円の金が投入される。1兆円という話もある」、「種子島に造られる自衛隊官舎に200世帯入ると言われ」、地元には魅力的に映りそうだ。

第三に、この続きを、1月23日付け「<中>5億円の塩漬け離島購入を官邸につないだキーマン激白」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/284229
:立石建設(立石勲社長=東京都)が、1995年に約5億円で買った馬毛島(鹿児島県西之表市)。子会社のタストン・エアポート社に所有権を移し長年、塩漬けになっていた離島だが、2019年12月、菅義偉官房長官(当時)は防衛省が160億円で購入すると突如発表。「スガ案件だ」「加藤勝信(現官房長官)の口利きだ」と取り沙汰された。実は売買合意までの約2年間、立石氏、防衛省、官邸をつないだ人物が存在した。自民党の衆院議員、原田義昭前環境大臣だ。 原田は2年前、九州の知人から紹介され、立石勲氏と議員会館の事務所で初めて会ったという。 「当時は立石さんと防衛省はお互いににらみ合って行き詰まっていました。それで防衛省と連絡をとれないかと相談されました。馬毛島のゴタゴタは知っていましたし、地政学的にとても重要なポイント。安全保障上、きちっとやらないといけないと思いました」) その後、勲氏の会社にも訪問し週一で相談する関係に。勲氏は借金まみれで民事裁判を複数抱え、馬毛島にも抵当権が。原田は法律事務所を経営する弁護士でもあり、法に明るかった。 「民事関係が複雑で大変でした。家族間の訴訟もあった。勲さんに何回聞いても説明能力がないんです」』、「1995年に約5億円で買った馬毛島」を「160億円で購入すると突如発表」、さすが「スガ案件」はケタが違う。
・『「米国務省がとても喜んだ」  原田は大臣の仕事の合間を縫い、勲氏の家族や民事関係者に会い、政府との調整をしていった。 「当初は防衛省と調整しましたが、すぐにこれは全体の問題と考え、菅さんと時々連絡しながら進めました。菅さんは和泉(洋人・首相補佐官)が長く(馬毛島を)担当しているからということで、事務的な面は和泉さんとやりとりしました」 防衛省は19年1月にはタストン社代表の勲氏の息子と160億円で売買仮契約を締結したが、勲氏は納得せず代表を自身に戻す。) 「勲さんの評価額は450億円以上だから不満だった。島には採石場があり、石は辺野古の埋め立てに使えて、すごい価値があるとこだわっていました」 7月末には勲氏のもとに中国から4、5人の弁護士集団も買い付けにきたという。11月末に大きな借金の返済を控える勲氏は早く売りたいと原田氏に相談した。 「官邸も中国の動きは把握していました。和泉さんに200億円を超えないとだめと伝えた。しかし、いったん160億円という数字が出たら1円でも動かせないと。そこで160億円プラスアルファで立石氏に合意してもらいました。この説得が一番難しかった。馬毛島購入は防衛省よりも米国務省がとても喜んだことをその後に知りました」』、「和泉洋人・首相補佐官」は、建設省技官上がりだが、官邸で厚労省審議官の大坪寛子氏と公然たる不倫関係にあることでも有名だ。「馬毛島」担当だったとは初めて知った。「中国」が「採石場があり、石は辺野古の埋め立てに使えて、すごい価値がある」と関心を示しいていたとは初耳だが、高値を合理化するためのでっち上げの可能性もあろう。

第四に、この続きを、1月24日付け「<下>種子島にも自衛隊施設建設の蠢き…土地買い占めの噂が」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/284275
・『馬毛島(鹿児島県西之表市)への自衛隊基地建設と米軍の訓練移転により、数千億円に及ぶ基地経済の“恩恵”がもたらされると複数の地元西之表市民は話す。皮算用の根拠は不明だが、自衛隊施設建設工事、基地交付金に米軍再編交付金、漁業補償などだろう。 あとは地権者・立石勲氏の民事紛争が解決すれば、「防衛省はすぐにでも残りの約102億円を支払う」と、買収交渉に関わった原田義昭前環境大臣は話す。逆に言えば、防衛省はまだ完全に所有権を有していないわけだ。 しかし防衛省は、昨年3月時点で主要施設の設計図についてJVと約35億円で契約していたことが先月発覚。環境アセスメントも始まる前だった。鹿児島県の塩田康一知事も「地元への説明が不十分」と遺憾の意を表明。防衛省による説明不足に地元はいら立ちを見せている。 ところが話は既成事実のように進んでいる。今年に入り「馬毛島の工事はゼネコンはK、マリコンはGで決まり。そこから調整していく」と都内のブローカーが囁き始めた。そのような中、立石勲氏の資金繰りに関わってきた人物からにわかに信じられない話を聞いた。 「種子島に武器庫を造るという話が出回っている。種子島空港を自衛隊で使用できるようにし、近くの武器庫と地下でつなぐと。防衛省は難しいと言っているそうだが、土地の買い占めが起きていると。地元の藤田建設興業や東京のオリエンタル商事の原幸一社長が買ったと聞いた」』、「自衛隊基地建設と米軍の訓練移転により、数千億円に及ぶ基地経済の“恩恵”がもたらされると複数の地元西之表市民は話す」、「根拠は不明だが」、既にバブル的雰囲気が生じているようだ。
・『土地売買の真偽、役員・支店の関係性について質問すると  馬毛島基地に勤務する150人以上の自衛隊員は種子島の居住施設から定期船で通勤する計画。そこで中種子町議会は昨年10月に自衛隊誘致推進協議会を結成したが、種子島を基地化してしまうような計画は存在しない。与太話と思いつつも見過ごせない点も出てきた。 名前が出た藤田建設興業は西之表市の建設会社。社長の藤田護氏は鹿児島県建設業協会会長という要職に就く。31日投開票の西之表市長選で基地賛成派候補を支援する中心にいる。「馬毛島の工事は藤田さんが関わるだろう」と、馬毛島基地建設で藤田建設興業とのJVを持ちかけられたという建設会社関係者は話す。 一方のオリエンタル商事(東京都千代田区)の原社長は、東京電力の核廃棄物処分場誘致のために鹿児島で動いていたと報じられた人物。実は両社はきわめて密接な関係にあった。原氏は藤田建設興業の現取締役。また藤田建設興業の支店は以前、オリエンタル商事の本社と同住所にあり、護氏は過去に同社取締役だった。藤田建設興業の元社員によれば「会社が成長したのは東京にいる原氏の尽力による」と話す。 そこで両社に土地売買の真偽、役員・支店の関係性について質問した。しかし「社長が出張していて話ができていない」(藤田建設興業)、「原はすべてのマスコミ取材をお断りしています」(オリエンタル商事)と、いずれも期日までに回答を得られなかった。 立石勲氏の情熱で息を吹き返した島は、新たな共生者たちを誘っている。(おわり)』、選挙結果は賛成派の勝利になるのだろうか、要注目だ。反対派が勝利しても、「馬毛島」の売買契約は遂行されるのだろう。

第五に、1月24日付け文春オンライン「自衛隊“幹部クラスター”を招いた“安倍前首相の甥”参加の忘年会」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/42995
・『昨年末に防衛省が発表した海上自衛隊トップ、山村浩海上幕僚長らの新型コロナ感染。国防を揺るがす事態はなぜ起きたのか――。 山村氏のほか、海幕ナンバー2の西成人海上幕僚副長ら海上幕僚監部では計8名がコロナに感染。防衛省によれば、12月16日夜に、山村氏や西氏は都内のホテルで異動する幹部の送別会を開き、海自隊員ら計14人が参加したという。 「軍事組織は危機管理の点から、トップとナンバー2が同時に欠ける事態は絶対に防がなければなりません。そのため、コロナ禍では2人の同席を控えるのは常識。まして、菅義偉首相の8人会食が批判された直後の時期。山村氏の行動には『指揮官失格』との声も出ています」(防衛省関係者) 山村氏は将来の統合幕僚長とも目されるが、 「17日夜も広島県呉市のスナックで、前呉地方総監ら計5名で飲酒を伴う会食をしていた。この店は海自の行きつけで、カラオケも設置されています」(同前) 今回深刻なのは、自衛隊幹部のコロナ感染が「海」だけで封じ込められず、「陸」や「空」にも広がってしまったことだ。 防衛省は海上幕僚長の副官、陸上幕僚長の副官、航空幕僚長の副官の感染も公にしました。副官は各幕僚長を補佐するポスト。大臣から見て、副長が副大臣なら、副官は秘書官のようなポジションです」(同前) では、なぜ「海」「陸」「空」、各副官の感染が同時に発覚したのか』、軍事組織にあるまじき余りのだらしなさに、心底、驚かされた。
・『送別会と同じ日、安倍前首相の甥が参加した“忘年会”も…  「実は、山村氏らの送別会と同じ16日、同じ都内のホテルで副官3人が参加した別の“忘年会”が開かれていた。そしてこの宴席には同じ“秘書官”的な立場の統合幕僚長副官、防衛相副官、さらに岸信千世大臣秘書官も同席していたのです」(別の防衛省関係者) 岸信千世氏と言えば、岸信夫防衛相の長男にして安倍晋三前首相の甥。昨秋、30歳を前にフジテレビを退社し、11月13日付で秘書官に就任した。いずれ父親の地盤の山口2区か、子どものいない安倍氏の後継者として山口4区からの出馬が確実視されている。 「血筋からして“将来の最高指揮官”にもなり得る存在です。その信千世氏が参加する“忘年会”となれば、時期が時期とはいえ、副官たちには断れなかったのでしょう。信千世氏は陰性でしたが、副官3人は陽性だった。しかも、副官は恒常的に幕僚長と接するポストです。『海』の副官を通じて、山村海幕長が感染し、そこから海自内でさらに感染が広がった可能性も否定できません」(同前)  防衛省の回答。「(16日に)高官室の職員6名で会食し、そのうち計3名の陽性が確認されています。(信千世氏の参加は)お答えは差し控えます。(山村氏が17日夜に)隊員の送別のため、呉市内で乾杯程度の飲酒を伴う会食を実施したことは事実ですが、いわゆる接待を伴う店に該当しないものと承知しています。時間は2時間程度です」 これで国防は大丈夫?』、自民党や公明党の役員が銀座のクラブで夜遅くまで飲んでいたのが問題視されたが、「安倍氏の後継者として山口4区からの出馬が確実視されている」「岸信千世氏」が“「忘年会」の中心的存在だったとは、上に立つ人間は、世の中の規範になるとの意識が雲散霧消してしまったようだ。
タグ:日刊ゲンダイ 防衛問題 現代ビジネス 半田 滋 文春オンライン (その15)(菅政権の「ヤバすぎる決断」 またアメリカに大金を支払うことに…イージス・アショア代替策の末路、馬毛島基地建設問題3題(<上>スガ案件の馬毛島基地建設めぐり…1.31市長選が激化、<中>5億円の塩漬け離島購入を官邸につないだキーマン激白、<下>種子島にも自衛隊施設建設の蠢き…土地買い占めの噂が)、自衛隊“幹部クラスター”を招いた“安倍前首相の甥”参加の忘年会) 「菅政権の「ヤバすぎる決断」、またアメリカに大金を支払うことに…イージス・アショア代替策の末路」 日本は「カネの成る木」 「SPY7」を艦艇に搭載することにより、最新のイージス護衛艦「まや」型の船体を数メートル延長する必要がある イージス・アショアより高い4800億円から5000億円」、とは飛んでもない話だ 菅政権は正気なのか 「「SPY7」にこだわる」理由は、全く理解できない。財務省はきちんとチェックしているのだろうか 「SPY7」採用に対する疑問 「LMSSR推し」のナゾ 米国は日本のカネを取り込んで「SPY7」を開発し、日本のカネで実射試験を行って性能を確認し、完成品を海外に売り込んでもうけようというのだ。米国の言い値で相手国に兵器を買わせ、納期も米国次第というトンデモ商法の「対外有償軍事援助(FMS)」を採用する米政府ならではの、いかにも図々しいやり方ではないか」、こんな法外な米国商法の乗せられる日本は、諸外国の笑い者だ コストと期間が見合うのか 「イージス・システム搭載艦」の配備は、今からでも見直すべきだろう 「<上>スガ案件の馬毛島基地建設めぐり…1.31市長選が激化」 31日投開票の鹿児島県西之表市 の市長選と市議会選挙 経済効果期待の“賛成派”を業界団体全面支援 馬毛島の工事が始まると数千億円の金が投入される。1兆円という話もある 「種子島に造られる自衛隊官舎に200世帯入ると言われ」、地元には魅力的に映りそうだ 「<中>5億円の塩漬け離島購入を官邸につないだキーマン激白」 1995年に約5億円で買った馬毛島 「1995年に約5億円で買った馬毛島」を「160億円で購入すると突如発表」、さすが「スガ案件」はケタが違う 米国務省がとても喜んだ」 「和泉洋人・首相補佐官」は、建設省技官上がりだが、官邸で厚労省審議官の大坪寛子氏と公然たる不倫関係にあることでも有名だ 「馬毛島」担当だったとは初めて知った 「中国」が「採石場があり、石は辺野古の埋め立てに使えて、すごい価値がある」と関心を示しいていたとは初耳だが、高値を合理化するためのでっち上げの可能性もあろう <下>種子島にも自衛隊施設建設の蠢き…土地買い占めの噂が 自衛隊基地建設と米軍の訓練移転により、数千億円に及ぶ基地経済の“恩恵”がもたらされると複数の地元西之表市民は話す 皮算用の根拠は不明 自衛隊基地建設と米軍の訓練移転により、数千億円に及ぶ基地経済の“恩恵”がもたらされると複数の地元西之表市民は話す」、「根拠は不明だが」、既にバブル的雰囲気が生じているようだ 土地売買の真偽、役員・支店の関係性について質問すると 選挙結果は賛成派の勝利になるのだろうか、要注目だ。反対派が勝利しても、「馬毛島」の売買契約は遂行されるのだろう 「自衛隊“幹部クラスター”を招いた“安倍前首相の甥”参加の忘年会」 軍事組織にあるまじき余りのだらしなさに、心底、驚かされた 送別会と同じ日、安倍前首相の甥が参加した“忘年会”も 「安倍氏の後継者として山口4区からの出馬が確実視されている」「岸信千世氏」が“「忘年会」の中心的存在だったとは、上に立つ人間は、世の中の規範になるとの意識が雲散霧消してしまったようだ
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パンデミック(経済社会的視点)(その13)(厚労省「PCR拡充にいまだ消極姿勢」にモノ申す あの中国が国内感染を抑え込んだ本質は何か、菅首相は逃げの一手 “8割おじさん”西浦氏の予算委出席拒否、パワハラ調査に揺れる旭川医大「病院長電撃解任」の深層、感染症法改正 「罰金」でも“逮捕”は十分可能 罰則軽減で妥協すべきではない) [パンデミック]

パンデミック(経済社会的視点)については、1月11日に取上げた。今日は、(その13)(厚労省「PCR拡充にいまだ消極姿勢」にモノ申す あの中国が国内感染を抑え込んだ本質は何か、菅首相は逃げの一手 “8割おじさん”西浦氏の予算委出席拒否、パワハラ調査に揺れる旭川医大「病院長電撃解任」の深層、感染症法改正 「罰金」でも“逮捕”は十分可能 罰則軽減で妥協すべきではない)である。

先ずは、1月14日付け東洋経済オンラインが掲載した医療ガバナンス研究所理事長の上 昌広氏による「厚労省「PCR拡充にいまだ消極姿勢」にモノ申す あの中国が国内感染を抑え込んだ本質は何か」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/403436
・『1月7日、菅義偉首相は1都3県に2回目となる緊急事態宣言を発令した。飲食店を中心とした営業規制に批判が集中している。一連の議論で抜け落ちていることがある。それはPCR検査体制の強化だ。 日本では、PCR論争が続いている。日本が世界で例を見ないレベルでPCR検査を抑制してきたことは広く知られている。(外部配信先では図表やグラフを全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください) PCR検査の議論は聞き飽きたと言われる方もおられることだろう。一体、どういうことだろうか。実は、第3波以降、世界ではPCR検査の見直しが進んでいる。本稿でご紹介したい』、安部前首相も検査拡大努力を約束したのに、何故増えないのだろう。
・『なぜ日本でPCR検査が増えないのか  まずは日本の状況だ。なぜ、日本でPCR検査が増えないかといえば、厚生労働省で医療政策を担う医系技官と周囲の専門家たちがPCR検査を増やす必要がないと考えているからだ。この姿勢は流行当初から一貫している。 例えば、政府の新型コロナウイルス(以下、コロナ)感染症対策分科会のメンバーである押谷仁・東北大学大学院教授は、2020年3月22日に放映されたNHKスペシャル『”パンデミック”との闘い~感染拡大は封じ込められるか~』に出演し、「すべての感染者を見つけなければいけないというウイルスではないんですね。クラスターさえ見つけていれば、ある程度の制御ができる」、「PCRの検査を抑えているということが、日本がこういう状態で踏みとどまっている」と述べている。 今となっては、間違っていたことは明白なのだが、この姿勢は現在も変わらない。11月25日の衆議院予算委員会で枝野幸男・立憲民主党代表から、PCR検査が増えない理由を質問された田村憲久厚生労働大臣は、「『ランセット』に掲載されている論文だが、(感染の)蓋然性が高いところで定期的に検査をやると、当該集団から感染を29~33%減らすことができるが、一般の集団に広く検査をした場合には、接触者調査とこれに基づく隔離以上に感染を減らす可能性は低い」と答弁している。 さらに、そのことを支持する事実として、「アメリカは1億800万回検査しているが、毎日十数万人が感染拡大している」ことを挙げている。 この説明は適切でない。田村大臣が紹介したのは、6月16日に『ランセット感染症版』が掲載した「CMMID COVID-19ワーキンググループ」のモデル研究だ(「Early dynamics of transmission and control of COVID-19: a mathematical modelling study」2020年5月1日)。確かに、この中で、彼らは、一般集団を広く検査しても感染は5%しか減らせないが、発症者を見つけ、家族とともに隔離し、さらに接触者をトレースすれば、感染を64%も減らすことができると推定している。 ただ、その後の研究で、多くの無症状感染者がいることが判明し、彼らは態度を変えた。「CMMID COVID-19ワーキンググループ」は、11月10日に「コロナ感染を検出するためのさまざまな頻度での無症状感染者へのPCR検査の有効性の推定」という論文を発表し、無症状の人へのPCR検査が有効で、積極的に検査を活用すべきと結論している。この論文はイギリスでは大いに話題になったようだが、田村厚労大臣は触れなかった』、海外の事例も日々新たなものが出てくるので、参考にするにはきちんとフォローすべきだ。
・『実は欧米は検査数が足りていない  では、PCR検査を「闇雲」にやっても流行が抑制できない欧米の現状はどう考えればいいのだろう。実は、欧米は検査数が足りていないのだ。表をご覧いただきたい。主要先進国と東アジアにおけるPCR検査と感染状況を示している。 注目すべきはPCR検査数を感染者で除した数字だ。1人の感染者を見つけるために、どの程度のPCR検査を実施したかを示している。中国が1808.7回と突出し、韓国66.6回、カナダ24.3回、イギリス22.2回、ドイツ21.0回、日本19.5回と続く。最下位はアメリカの12.7回だ。中国の142分の1である。 実は、コロナ対策を考えるうえで、中国のように「闇雲」にPCR検査をやることは合理的だった。コロナの特徴は感染しても無症状の人が多いことだ。無症状の人が巷にあふれれば、偶然、症状が出た発症者と濃厚接触者をしらみつぶしに探すだけでは、大部分の無症状感染者を見過ごすことになる。 無症状感染者は、どこにいるかわからないから、彼らを「隔離」(自宅を含む)しようとすれば、網羅的に検査するしかない。仮に住民の0.1%が無症状感染だとすると、1人の感染者を見つけるためには、1000人の検査が必要になる。まさに、中国が採った戦略だ。 1月5日、北京近郊の石家荘で54人の感染者が確認されると、1100万人の検査を実施することを決めたのも、このような戦略に従っただけだ。) コロナ対策が成功した国として、中国以外にはニュージーランド、台湾、ベトナムなどが存在する。このような国と中国は違う。それは、このような国は水際作戦が成功し、国内へのコロナの侵入を食い止めているのに対し、中国はいったん国内で感染が蔓延したのを抑制し、現在にいたるまで、その状態を保っているからだ。 日本では武漢に対して、中国政府が命じた厳しい都市封鎖にばかり関心が集まっているが、注目すべきは再燃を許さなかったことだ。PCR検査を徹底して、感染が小規模なうちに封じ込んだのである。これぞ、合理的なコロナ対策といっていい。世界は、PCR検査数を増やすのに懸命だ。 前述したように、欧米先進国は感染者数に比して、検査数が足りない。多くの無症状感染者を見落とし、彼らが市中で感染を拡大している。中国とは政治体制が異なる欧米先進国は、中国とは異なる方法で検査数を増やそうとしている。注目すべきはアメリカだ。産官学が協同で検査体制を急ピッチで整備している』、「中国のように「闇雲」にPCR検査をやることは合理的だった」、「無症状感染者は、どこにいるかわからないから、彼らを「隔離」(自宅を含む)しようとすれば、網羅的に検査するしかない」、「日本では武漢に対して、中国政府が命じた厳しい都市封鎖にばかり関心が集まっているが、注目すべきは再燃を許さなかったことだ。PCR検査を徹底して、感染が小規模なうちに封じ込んだのである。これぞ、合理的なコロナ対策といっていい」、ズバリ本質を突いた指摘だ。
・『アメリカでは自宅でできる検査キットが広がる  例えば、カリフォルニア大学サンディエゴ校は1月に入り、11台のPCR検査自動販売機をセットした。今後、1~2週間でさらに9台を追加する。同大学の学生はIDカードをスワイプするだけで、無料で検査できる。これまでの2週間に1回から、毎週1回検査を受けるように推奨されるという。 アメリカでは各地で無料あるいは定額で検査が受けられるが、多忙な現役世代はわざわざ検査を受けに行けない。このような人たちへの商品開発も進んでいる。 11月17日に、自宅で利用できる検査キット(Lucira COVID-19 All-In-One Test Kit)に緊急使用許可が与えられた。30分程度で結果が出る。ただ、このキットを入手するには医師の処方箋が必要だ。12月15日には処方箋不要の抗原検査(Ellume COVID-19 Home Test)に対して緊急使用許可が与えられた。そして、1月6日には、アマゾンがデクステリティ社の検査キットのオンライン販売を開始した。1パック約1万1300円だ。 企業も検査体制強化に協力している。ネットフリックスやゴールドマンサックスなどの一部の企業は、無症状の感染者を判別するために、企業が費用を負担し、検査を提供しはじめている。グーグルは9万人の社員に対して、毎週検査を実施する。) アメリカが本気になると、体制整備は一気に進む。このことを象徴するのが複数の検査をまとめられる「プール検査」の確立だ。昨年11月、デューク大学の医師たちが、プール検査の研究成果を発表した。この研究では、5つのサンプルをまとめて検査し、もし、陽性が出た場合に、個別に検査するという方法を用いても、感度は損なわれず、80%試薬を節約でき、さらに再検査の場合でも18~30時間程度の遅れで済んだ。 この研究成果は、アメリカの疾病対策センター(CDC)が発行する週報「MMWR」が掲載し、『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』を発行するマサチューセッツ医師会も、この論文を『ジャーナル・ウォッチ』というニュース・レターの中で紹介した。そして、「プール検査の有効性は明白」と評している。一気にコンセンサスを確立したことになる。 プール検査の有効性については、昨年10月にルワンダの研究者が『ネイチャー』に報告しており、遅きに失した感があるが、アメリカが巻き返しに必死なのがわかる』、「アメリカ」では検査キットなどの開発競争が本格化してきたようだ。
・『日本は本気でPCR検査を増やすつもりがない?  日本は対照的だ。11月20日の衆議院経済産業委員会で、佐原康之・厚労省危機管理医療技術総括審議官は「現在、国立感染症研究所において、その検査性能および再検査を含む総コスト、時間等について研究を実施している」「非常に手間がかかるなど、実用化に向けても課題がある」と答弁し、いまだに臨床応用されていない。本気でPCR検査を増やすつもりがないことがわかる。 厚労省は流行当初から、PCR検査を懸命に抑制してきた。シンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ」(船橋洋一理事長)の調査により、政府中枢に対して「PCR検査は誤判定がある。検査しすぎると陰性なのに入院する人が増え、医療が崩壊する」と説明に回っていたことがわかっているし、7月16日には、コロナ感染症対策分科会は「無症状の人を公費で検査しない」と取りまとめている。 これは翌日に、塩崎恭久・元厚労大臣などが主導して、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」を閣議決定することへの対応だ。この中にPCRの拡大、感染症法の改正などが入っていた。 結局、日本におけるPCR検査の増加は、民間の動きを待つしかなかった。その嚆矢は12月4日に新橋駅前で操業を開始した「新型コロナPCR検査センター」だ。ウェブで予約すれば、検査センターを訪問して唾液を採取するだけで、翌日にはメールで結果が届く。1回の費用は3190円だ。同様の検査センターは続々と立ち上がっている。どこも希望者が殺到している。 ところが、このような動きを厚労省は快く思っていない。12月16日、朝日新聞は『民間PCR施設、都心に続々ばらつく精度、陽性なのに「陰性」も厚労省が注意喚起』という見出しの記事を掲載している。 私は、この記事を読んで、どのような根拠に基づき精度に問題があると主張しているのかわからなかった。根拠を示さなければ、単なる営業妨害だ。厚労省も、その意向をそのまま報じるメディアもいただけない。国家をあげて検査体制を強化しようとする世界とは対照的だ』、「アジア・パシフィック・イニシアティブ」の提言は厚労省の意向を踏まえたものの可能性がある。「理事長」の「船橋洋一」氏もとんだ食わせ者のようだ。
・『厚労省が方針転換しなければ迷走は続く  最近、政府は不特定多数の無症状者を対象とした無料のPCR検査を、都市部の繁華街や空港など多くの人が集まるところではじめる方針を打ち出した。 ただ、これは期待できないだろう。私はアリバイ作りと考えている。なぜなら、このような検査施設を立ち上げるのは3月とされているからだ。政府が本気でPCR検査を増やしたければ、民間検査センターを支援すればいい。検査サービスは多様化し、アメリカのように大学などさまざまな場所で検査を提供するようになるだろう。薬局で検査キットを販売し、通信販売を認めれば、さらに検査数が増える。 このような体制をとることは、厚労省が自らの過ちを認めることになる。これまでの彼らのやり方をみていると、そんなことは期待できない。現在、日本が適切な対応をとれない最大の障壁は厚労省医系技官と周辺の専門家の存在にあると私は思っている。彼らが責任を認め、人事を一新しなければ、このまま迷走が続くのは避けられない。菅首相のリーダーシップが問われている』、「現在、日本が適切な対応をとれない最大の障壁は厚労省医系技官と周辺の専門家の存在にある」、ここにメスを入れるには「菅首相のリーダーシップ」は頼りなさそうだ。

次に、1月26日付け日刊ゲンダイ「菅首相は逃げの一手 “8割おじさん”西浦氏の予算委出席拒否」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/284372
・『25日開かれた衆院予算委員会で、立憲民主党の長妻昭議員が、菅首相と自民党に対して抗議する場面があった。政府の新型コロナウイルス対策をめぐって、予算委に京都大教授の西浦博氏(理論疫学)の出席を求めたのに、自民党が「ブロック」したというのだ。 「民間人は呼ばない」というのが理由。しかし、コロナ第1波の際に人との接触を8割減らすことを求め、「8割おじさん」として名を馳せた西浦氏は現在も厚労省のアドバイザリーボードの指名委員を務めている。純粋な「民間人」にはあたらず、拒否の理由は通らない。 長妻議員は「都合の悪い方は呼ばないというのはあってはならない」「科学的に議論する姿勢が感じられない」と非難していたが、一体、どういう事情なのか。長妻議員にあらためて聞いた。 「西浦氏が今月13日のアドバイザリーボードに提出した資料について、予算委で議論しようと思っていました。緊急事態宣言の解除基準について、西村大臣は『東京で新規感染者が1日に500人を下回ることが目安になる』としましたが、西浦氏は『(2月に)500人で解除したら、4月14日には感染が元のレベルに戻ってしまう』と試算しています。資料は厚労省からもらったものなのに、なぜ拒否するのか」) 昨年春の緊急事態宣言時には、安倍前首相が「専門家の試算では、人と人との接触機会を『最低7割、極力8割』削減することができれば、2週間後には感染者を減少に転じさせることができる」と幾度も訴え、西浦氏の試算に乗っかっていた。だが、いまや菅政権にとって西浦氏は“煙たい存在”らしい』、「西浦氏の試算」は「緊急事態宣言の解除基準」に関わるので「予算委」の「出席」を「ブロック」されたのだろう。
・『実際、西浦氏は週刊文春(1月14日号)で、<緊急事態宣言の判断が遅かった><(変異種対策について)ビジネス往来を継続したのは生ぬるい>と批判。<安倍政権の頃と比較しても、感染症対策に関する専門家の意見が総理へと簡単には通らなくなっているかも知れません>ともこぼしている。前出の長妻議員が言う。 「普通なら西浦氏を拒否しませんよ。呼ばなければ、あること、ないこと言われますから。スキャンダルでもないのに。今の自民党には、そういう判断すらできる人がいないのでしょうか」 26日の予算委にも野党議員が西浦氏を呼ぼうとしたが、自民党が拒否したという。内閣支持率下落が止まらない菅政権には、逃げの一手しかないのか』、自民党の言論統制もここまで来たか、と溜め息しか出ない。

第三に、1月25日付けYahooニュースが転載したFRIDAY「パワハラ調査に揺れる旭川医大「病院長電撃解任」の深層」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0a7066f58970241f9404ed015d171231aee19bde
・『1月25日付で、旭川医科大学病院の病院長が電撃解任された。昨年来問題が指摘されてきた「学長」が、ではない。学長から「(コロナ患者を)受け入れるなら、代わりにお前が辞めろ」と言われた「病院長」の古川博之氏が解任されたのだ。 「こんな暴挙がまかり通るとは…学内は驚き、呆れています」(旭川医科大病院の職員のひとり)』、コロナ禍の乗り切りで皆、必死なのに、お家騒動とは。
・『突然の、一方的な「説明会」の果てに  昨年12月に発売された「週刊文春」(12月24日号)で「学長の暴言」が報じられたことが発端となった「旭川医大パワハラ疑惑」問題。簡単に経緯を説明すると、旭川市内の民間病院・吉田病院から新型コロナの患者受け入れ要請を受けた旭川医科大病院長の古川氏が、吉田晃敏学長に受け入れを提案したところ「(吉田病院が)コロナをぐじゅぐじゅと撒き散らして」と問題発言したうえに、患者を受け入れるなら「代わりにお前が辞めろ」と暴言を吐かれた。 吉田学長の一連の言動に対して、文部科学省が「パワハラの疑いがある」として、異例の調査に入ってた。その騒動の渦中での「解任」であるから、普通は、調査の対象となっている吉田学長が解任されたと思うところ。 しかし、実際に解任されたのは、「被害者」の立場にある病院長。驚きが広がるのも当然だ。 関係者によると、1月25日昼前、学内一斉メールで「一連の報道に関する、職員への説明の会」を開催するという連絡があったという。なにごとかとかけつけたおよそ400人の医師や職員の前で、大学役員会のメンバーからあった「説明」は「学内の情報を外部に流し、病院を混乱させた古川病院長を解任する」というものだった。 「役員会からは、吉田学長が病院長に『辞めろ』と言ったのは『その時点でコロナ受け入れの体制が整っておらず、職員を守るための選択だった』という旨の説明がありました。だから『パワハラにはあたらない、と役員会議が判断した』と。 こんな説明で納得できるわけがありません。問題のすり替えだし、ハラスメントかどうかは、受けた側が判断することでしょう」(病院関係者)』、「文部科学省が「パワハラの疑いがある」として、異例の調査に入ってた。その騒動の渦中での「解任」、よほど図太い神経のようだ。
・『いくらなんでも…  説明会では「院長解任」の発表に、驚きと同時に諦めの空気もあったという。そんななか、ひとりの教授が質問に手をあげた。 「『この解任は納得できません。決定の経緯が不透明すぎるのでは』という質問でした。みんなが諦めかけていた中で、この質問をするのは勇気がいったと思います」(出席者) この問いに対し、役員会は「4時間にわたって話し合った、その結果である」とあっさり返答。しかし、「病院長の解任という重大事案について、たった4時間の会合で決めること自体おかしい」という声も聞こえてくる。 病院長「だった」古川氏は、昨年からの新型コロナ対策の先頭に立ち、スタッフの信頼も厚かった。年頭の挨拶で、 「我々は地域の病院として、患者さんたちを守っていかなきゃならない。ここまで職員みなさんほんとうに頑張ってきた。あと一歩、頑張りましょう」 と話し、これを聞いた職員は「涙が出た」という。 現場のスタッフは「古川先生の働きを知っています。土日も出てきて、病院を支えてました。古川先生だから、私たちも踏ん張ってこられたんです」と悔しさをにじませながら語った。別の医師は、 「今は病院にとってだけでなく、旭川、北海道にとって『有事』のときです。こんな内部事情で混乱している場合じゃない。これまでもこの組織でやりづらさを感じていましたが、今回は本当に『辞めたい』と思いました」と本音を明かしたうえで、 「目の前に患者さんがいる。だから、手を抜くことも辞めることもできないんです。私たち医療者はそうやって仕事をしています。組織としてダメだからといって、質を落としたり量を落としたりすることはできませんから…。 役員会はさまざまな『理由』をつけて説明をしている。しかし、医療は、ルールの前に倫理。なんだったら、仮にルールにそえなくても、倫理を優先する。それが私たちの仕事なんです」と苦悩を漏らした。 説明会では「当事者なので今回の決定には関与していない」と繰り返しアナウンスされ、壇上に座っていた吉田学長。しかし、最後にはマイクをもって「職員を守る。みなさんはファミリーですから」と発言したという。 「今、この切迫した時期にこんなことをして…そのうえで『家族』と言われてぞっとしました」(出席した関係者) 同大学は26日に記者会見を開き、解任に至る経緯を外部に向けても説明。古川氏が内部の情報を外部に漏らしたと結論づけたことや、マスコミの取材を受け学内を混乱させたことなどを解任の理由として挙げた。 旭川医科大病院は、日本最北の医療の砦といわれる。今日も、多くの患者がここを頼り、命をつないでいる。そんな旭川医科大病院の院長室は今、無人になっている。混乱が収束し、大学と病院が正常に機能し続けることを願うばかりだ』、「役員会」は「学長」の支配下にあるようだ。文科省の調査はどうなるのだろう。一刻も古川氏の復職を含め早く正常化してもらいたいものだ。

第四に、1月27日付けYahooニュースが掲載した郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士の郷原信郎氏による「感染症法改正、「罰金」でも“逮捕”は十分可能、罰則軽減で妥協すべきではない」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/byline/goharanobuo/20210127-00219612/
・『22日に閣議決定された感染症法改正案で、入院拒否や入院先から逃亡した場合に「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」とする罰則導入の規定が設けられていることに対して、野党やマスコミから批判が高まり、日弁連、保健師協会、ハンセン病患者団体等側も反対を表明していることを受けて、26日に与野党の修正協議が開かれ、入院拒否に対する「懲役刑の削除」罰金の「100万円以下」から「50万円以下」への引き下げが検討されていると報じられている(【感染者の入院拒否に懲役、削除へ調整 野党の反対受け】)。 しかし、この感染症法改正による罰則導入については、罰則を導入することで、検査や感染報告を躊躇させることになり、かえって感染拡大につながりかねないという実質的面からの指摘がある。 それに加え、【感染症法改正「入院拒否罰則導入」への重大な疑問】でも述べたように、現行法で、「入院勧告」に従わない場合に、本人の意思によらない「強制的な入院措置」をとることを認めているのに、「入院拒否」に対する罰則を適用することの意味がわからないという問題がある(厚労省は、「入院措置」は、本人の意思にかかわりなく入院させることができる「即時強制」と説明しているが、実際には使われていない)。 罰則導入自体をやめるべきであり、懲役刑の削除とか罰金刑の引下げ等による「妥協」は行うべきではない。 懲役刑を削除し、罰金刑を「50万円以下」に引き下げても、実際に罰則が適用される場合の「刑罰による人権侵害」は質的に変わるものではなく、決して小さなものとはいえない。 当然のことだが、罰金も刑罰であり、その執行の手続きは、基本的に懲役刑と変わらない。 もし、罰則が導入され実際に、「入院拒否」「入院者逃亡」に対して罰則が適用されるのはどのような場面であろうか。 所定の期日までに入院をせず、或いは入院先から逃亡して、別の場所に所在しているということであり、入院を強く拒んでいるからこそ刑罰が適用されるのであり、その執行の手段は「逮捕」しかない。感染防護措置をとった警察官が逮捕状により逮捕した上、釈放して、入院させることになるだろう。 「罰金50万円以下の罪で逮捕などされるのか」と疑問に思う人もいるだろう。 しかし、罰金は、科料とは異なり、財産刑としては最も重い刑罰であり、逮捕、勾留については、懲役刑と基本的に変わるところはない。 被疑者の逮捕の要件を定める刑訴法199条は、「軽微な犯罪」については、「住居不定か出頭拒否の場合」に限って逮捕を認めている。この「軽微な犯罪」の範囲は、刑法犯、暴力行為処罰法などでは「30万円以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪」とされ、それ以外の特別法犯については、「罰金2万円以下」とされている。 つまり、特別法犯である感染症法違反の犯罪については、「罰金50万円以下」でも逮捕が可能なのである。 実際に、「郵便不正事件」では、2009年4月、障害者団体向け郵便料金割引制度を悪用したとされる郵便法違反事件で、大阪地検特捜部が、ダイレクトメール(DM)の不正送付に関与したとして、障害者団体、大手家電量販店会社、広告代理店、大手通販・印刷会社などの10名の関係者を逮捕した。これは、「不法に郵便に関する料金を免れ、又は他人にこれを免れさせた者は、これを三十万円以下の罰金に処する。」という郵便法84条の規定に違反したというもので、「罰金30万円以下」の法定刑の罪だった。 この事件の背景には、郵政民営化には凡そ似つかわしくない古色蒼然たる規定が並ぶ「郵便法」の中に、「第三種郵便」について法律の体系の矛盾を抱えたまま、「郵便料金を不正に免れさせる行為」に対して罰金30万円以下の罰則が残っていたということがあった。そこに目を付けた大阪地検特捜部が、政界、官界をめぐる事件の摘発を狙って、多数の関係者の逮捕を行い、それが、後に、村木厚子氏の逮捕・起訴が無罪判決、証拠改ざんの発覚という、検察の大不祥事に発展した。その根本にあったのが、体系に問題がある法律に「罰金だけの罰則」が残されていたことだった。 今回の感染症法改正では、「入院勧告」「入院措置」の関係すら明確ではないという法律の体系的な不備があるのに、それに目を背けたまま、政府の感染症対策の失敗の連続を糊塗する目的で、入院拒否等への罰則の導入が行われようとしている。「罰金だけの罰則」であっても、絶対に許してはならない。 今、行うべきことは、実質的な必要性もなく、法律上も重大な問題がある罰則導入ではない。現行の感染法は、精神障害者を強制的に精神科の病院に入院させる「措置入院」と同様の規定で、感染者に対する「入院措置」を認めている。それを、感染症法の前文に書かれている「過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすこと」「感染症の患者等の人権を尊重し」という理念に沿うよう、実施の手続・判断基準等を明確化し、「感染者の人権への最大限の配慮」と「感染防止対策の実効性の確保」の両立を図ることが、国会での議論の対象とされるべきである』、「罰則導入自体をやめるべきであり、懲役刑の削除とか罰金刑の引下げ等による「妥協」は行うべきではない」、「今回の感染症法改正では、「入院勧告」「入院措置」の関係すら明確ではないという法律の体系的な不備があるのに、それに目を背けたまま、政府の感染症対策の失敗の連続を糊塗する目的で、入院拒否等への罰則の導入が行われようとしている。「罰金だけの罰則」であっても、絶対に許してはならない」、「感染症法の前文に書かれている「過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすこと」「感染症の患者等の人権を尊重し」という理念に沿うよう、実施の手続・判断基準等を明確化し、「感染者の人権への最大限の配慮」と「感染防止対策の実効性の確保」の両立を図ることが、国会での議論の対象とされるべきである」、なるほど、やはり今回のドタバタの法律改正には、かない無理があるようだ。
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パンデミック(医学的視点)(その18)(新型コロナ 「ワクチンを打てば感染対策は不要」が間違いな理由、感染力高い変異種の病原性「弱いはずがない訳」 インフル研究の第一人者が見るコロナの先行き、いまだに「マスクに基準がない」という大問題 アメリカではようやく規格づくりが進んでいる) [パンデミック]

パンデミック(医学的視点)については、昨年12月14日に取上げた。今日は、(その18)(新型コロナ 「ワクチンを打てば感染対策は不要」が間違いな理由、感染力高い変異種の病原性「弱いはずがない訳」 インフル研究の第一人者が見るコロナの先行き、いまだに「マスクに基準がない」という大問題 アメリカではようやく規格づくりが進んでいる)である。

先ずは、本年1月10日付けダイヤモンド・オンラインが転載したヘルスデーニュース「新型コロナ、「ワクチンを打てば感染対策は不要」が間違いな理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/259387
・『ワクチンを打てばCOVID-19対策は不要?  新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンの接種が一部の国で開始され、国内でも今春の接種開始が見込まれている。1年にわたり、外出自粛やマスク着用などの物理的な手段に限られていた感染予防対策だが、ようやく医学的な手段でウイルスに対抗できることになる。感染後の重症化リスクの高い基礎疾患のある人は、優先的にワクチン接種を受けられる可能性があり、糖尿病患者の期待も大きい。 ワクチン接種さえ受ければ以前の日常を取り戻せると、期待を膨らませている人もいるだろう。しかし、感染症の専門家は、既に供給が開始されているファイザー社やモデルナ社のワクチン、あるいは現在開発中のワクチンのいずれであっても、接種したからといって感染予防策が不要になるわけではなく、引き続きマスクを着用し、社会的距離を維持する必要があると警告している。 専門家によると、これらのワクチンの安全性と有効性を検証した臨床試験では、主にCOVID-19の重症化や死亡を防ぐことができるかどうかに焦点が当てられているという。よって、ワクチン接種を受けた人が感染した場合は無症状で経過することが多いと考えられるものの、その人から周囲の人にウイルスが伝播してしまう可能性の有無は、まだ分かっていない。 米ヴァンダービルト大学医療センターのWilliam Schaffner氏は、「ワクチンを接種していても感染する可能性があり、かつ他者に感染させる可能性もある。COVID-19のワクチン接種後にそのようなことが起きた事例はまだ確認されていないが、それが起きないと否定できる根拠もない」と述べている。 この意見には他の専門家も同意している。米ジョンズ・ホプキンス大学健康安全保障センターのAmesh Adalja氏もその一人だ。「ワクチン接種を受けた後に症状のない状態が続いていたとしても、ウイルスを保持しておらず他者に感染させることはないとの保証はできず、引き続き注意が必要だ」と同氏は語っている。そして、ワクチン接種後にもマスクを着用し社会的距離を保つことで、自分が無症候性の保因者になるリスクを下げられるとしている』、「接種したからといって感染予防策が不要になるわけではなく、引き続きマスクを着用し、社会的距離を維持する必要があると警告」、「ワクチンを接種していても感染する可能性があり、かつ他者に感染させる可能性もある」、期待が大きかっただけに、いささか失望した。
・『同氏はまた、「ワクチン接種後に、もし糖尿病患者や60歳以上などのハイリスクの人をハグしたりすると、その人たちに感染させてしまうかもしれない」と警告を発している。 一方、ワクチンの有効性が十分でないと指摘する声も聞かれる。接種により罹患リスクが低下するが、それでもわずかながらリスクは存在するという。米マウントサイナイ医科大学のWaleed Javaid氏は、「ワクチンの有効性は95%だ。つまり、5%のリスクが残されているということだ」と指摘する。 ワクチンが広く行き渡るまでの期間も問題だ。米フィラデルフィア小児病院のPaul Offit氏は、「米国内のすべてのハイリスク者を守るために必要な、推定3億回分のワクチンを生産するには、2021年の秋までかかる可能性が高い」と述べている。これに関連し、前出のJavaid氏は「今は忍耐の時期だ」と語る。同氏は、「現在われわれは効果的なワクチンを手にし、その供給が急速に広がっている。ワクチン接種者の増加とともに、このパンデミックは終息していくだろう」と、展望を示している。(HealthDay News 2020年12月16日)』、「「ワクチンの有効性は95%だ。つまり、5%のリスクが残されているということだ」と摘する」、言われてみれば、その通りだ。「米国内のすべてのハイリスク者を守るために必要な、推定3億回分のワクチンを生産するには、2021年の秋までかかる可能性が高い」、しばらくは「忍耐の時期」のようだ。

次に、1月28日付け東洋経済オンラインが掲載したノンフィクション作家の辰濃 哲郎氏による「感染力高い変異種の病原性「弱いはずがない訳」 インフル研究の第一人者が見るコロナの先行き」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/407734
・『イギリスなどで蔓延している新型コロナウイルスの変異株(変異種)が日本にも上陸しているが、どう対処したらよいのだろう。インフルエンザ研究の第一人者で、1968年の香港かぜの伝播経路を突き止めた北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターの喜田宏特別招聘教授に話を聞いた。ウイルスが蔓延すれば、人に適合した変異株が必ず優勢になるのは自然のなりゆきだという。こういったウイルスは人の体内で増殖力が高く、つまりは病原性が高くなるとも指摘する(Qは聞き手の質問、Aは喜田氏の回答)。 Q:イギリスなどで新型コロナウイルスの変異株が出現し、世界中が警戒をしています。 A:大騒ぎになっているけど、これは当たり前のこと。人の間で感染を繰り返すうちに、体内で増殖しやすいウイルスが選ばれ、生き残った結果なんです。ウイルスは変異株の集団で、なかには増えやすい変異ウイルスもいる。その増えやすいウイルスが優勢になって感染を繰り返すと考えたらいい。 コロナウイルスの遺伝子RNAは、4種類の塩基が約3万個並んでいる。その配列に塩基が新たに挿入されたり、欠失したり、置換されたりして配列が変わることを遺伝子変異と呼んでいる。人の体内で細胞への侵入効率が高くなるなど、増殖しやすいウイルスが優勢になるわけです。それはイギリスや南アフリカ、ブラジルなど報告のあった国々だけでなく、日本でもまったく新しい変異ウイルスがいつ見つかるかわからない。すでに増殖しやすい変異ウイルスが生まれている可能性もある』、「ウイルスは変異株の集団で、なかには増えやすい変異ウイルスもいる。その増えやすいウイルスが優勢になって感染を繰り返すと考えたらいい」、なるほど。
・『増殖力の高いウイルスは要注意  Q:イギリスの変異株は感染性が70%高まったそうですが、一層の注意が必要になりますか。 A:70%というのが確実に証明されているわけではないが、感染性が高いということは、病原性が高いとみていい。人の体内でどんどん増えたら、重症化するのは当然でしょう。上気道や肺の細胞で増えるウイルスも、もしかしたら別の臓器、あるいは全身で増えるようなウイルスが優勢になるかもしれない。 昨年の春先に、あなた(聞き手の辰濃のこと)に「今のうちにかかったほうが得かも」って冗談で話したけど、人獣共通感染ウイルスが動物から人に感染してすぐは、さほど増殖効率がよくないはず。人から人に感染を繰り返すうちに、人に順応して体内でより増殖する、すなわち病原性の高い変異ウイルスが出てくることを警告したかった。 例えば、2009年の新型インフルエンザウイルス(H1N1)のパンデミックのとき、そのシーズンでの死者は国内で約200人でしたね。世界的にも15カ月で2万人足らずしか亡くなっていない。でも、その子孫ウイルスが起こす季節性インフルエンザでは、死者は何十倍にも膨れ上がっている。ウイルスが人に適合して、増殖する変異ウイルスが優勢になったから。 1918年にパンデミックを起こしたスペインかぜでも、第1波より、その子孫ウイルスが起こした第2波、第3波、すなわち季節性インフルエンザのほうが重症者も死者も多かった。感染性と病原性はリンクしていることを知っておいたほうがいい』、「人獣共通感染ウイルスが動物から人に感染してすぐは、さほど増殖効率がよくないはず。人から人に感染を繰り返すうちに、人に順応して体内でより増殖する、すなわち病原性の高い変異ウイルスが出てくる」、困ったことだ。
・『ウイルスを擬人化して議論するのは間違いのもと  Q:宿主を殺してしまうとウイルスが生存できないから、弱毒化すると話す専門家もいますが。 A:ウイルスを擬人化して進化論や適者生存、選択淘汰の議論をするのは、間違いのもと。ウイルスは賢いとか、ウイルスの戦略など「たとえ話」の範疇からはみ出している言葉が使われるのは嘆かわしい。何万年もかけて自然宿主との共生関係ができるのは、選択圧力(変異を促す要素)がなくなってから、の話です。いまの新型コロナウイルスには、当てはまらない。 第1に、毒性とか強毒化とか弱毒化とか言っている時点でおかしい。ウイルスは毒素ではないから正しくは「病原性」です。ウイルスの体内増殖に対する人の免疫応答が病気なのですから。 Q:先生は専門のインフルエンザウイルスの観点から、コロナウイルスを見ています。 A:新型コロナウイルスの正体を探るためには、インフルエンザウイルスを参考にするとわかりやすいかもしれません。インフルエンザウイルスの自然宿主はカモで、大腸で増殖して糞とともに排出されます。夏場はシベリアの営巣湖沼にいるが、秋になると南方へカモと一緒に飛来する。でも、病原性がないのでカモも死なないし、人に感染することもない。 でも、ウイルスが渡った先で他の鳥や動物に感染すると、新しい宿主で感染を繰り返すうちに、増殖する変異ウイルスが選ばれて感染が拡大する。それが鶏の間で受け継がれているうちに、養鶏場の鶏の全身で増殖する高病原性鳥インフルエンザウイルスが生まれるわけです。100%の致死率です。これは鶏の間で何百、何千代もの継代を経てやっと生まれる。新型コロナウイルスが人の間でどんどん感染を繰り返すうちに、増殖しやすいウイルスが優勢になるのと同じこと。 加えて、人の新型インフルエンザウイルスは、鳥のウイルスから直接、人に感染したものではない。 カギを握るのはブタです。ブタは人と鳥の両方のインフルエンザウイルスに感染するレセプターを持っている。レセプターとは、ウイルスの持つ鍵に合致する受容体のこと。 つまり、人と鳥の両方のインフルエンザウイルスの鍵穴を持っているブタに、両方のウイルスが同時感染し、体内で交雑してブタで受け継がれた結果、人に感染できるウイルスが生まれることがある。人類が経験したことのない型だと、これが新型インフルエンザウイルスとしてパンデミックを起こすことになる』、「人と鳥の両方のインフルエンザウイルスの鍵穴を持っているブタに、両方のウイルスが同時感染し、体内で交雑してブタで受け継がれた結果、人に感染できるウイルスが生まれることがある」、「ブタ」がパンデミックの仲介役になっているとはやれやれだ。
・『ウイルスの起源と伝播経路は未解明  Q:1968年の香港かぜの伝播経路を突き止めましたね。 A:カモ由来のウイルスがアヒルなどの家きんを経由してブタに感染し、同時に人のアジアかぜウイルス(H2N2)に感染したブタの体内で、この両方のウイルスが交雑して生まれたのが、H3N2の香港かぜであることを実証しました。2009年の新型インフルエンザウイルスも、メキシコかアメリカ南部のブタを介して生まれたことがわかっています。 全世界でブタの感染を注視しておくことが、新型インフルエンザウイルスの出現予測につながります。だから伝播経路の解明は大切なんです。重症急性呼吸器症候群(SARS)もコウモリが自然宿主だというのは確かかもしれないが、中間宿主が分かっていない。 新型コロナウイルスの伝播経路を解明するためにWHOの調査団が中国に入っているが、中国がどこまで調査に協力してくれるかにかかっている。そう簡単ではない。いずれにせよ、このウイルスの宿主と考えられるコウモリから直接、人に感染したとは思えない。必ず中間宿主がいるはず。 気になるのは、動物から人に感染を始めたばかりの新型コロナウイルスが、いきなりこれほど人に適合して中国・武漢で見られたような効率のいい感染爆発を起こすとは思えない。どこかで小規模の流行があって、インフルエンザと勘違いして見逃していた可能性もある。少なくとも、武漢の海鮮市場で人への感染が始まったという情報には疑問がある。 Q:変異株対策として、国境封鎖は有効ですか。 A:感染症に国境なんてありません。国境の封鎖がまったくダメだとは言わないが、いずれ入ってくるわけだし、日本だけで解決しようとしても意味はない。それに日本で増殖しやすい別種の変異株が生まれている可能性だってあります。全世界が連帯して対策を練らないといけないし、すべきことは、いまと同じです。マスクに消毒、それに3密をさけるなどの基本的な対策の徹底だ。) 実は、鳥インフルエンザウイルスの場合は、水を介して鳥に感染するのが主だが、感染した鳥を食べたカラスやアザラシが全身感染して死んでいるケースを何回も目撃した。個人的な感触だが、飛沫感染より胃に入ったほうが重症化するような気がする。だから、ウイルスの付いた手で食事をしないよう手洗いは重要だと、知人には伝えている。 とにかくいまは、感染拡大を止めることに力を注ぐべき。重要なのは経済か感染防御かで、あやふやな対策を講じないこと。そもそも両立させるのは無理です。優先順位を決めて失敗を恐れずにやること。命を最優先するためにはどうしたらよいかを考えるべきだと思います』、「いまは、感染拡大を止めることに力を注ぐべき。重要なのは経済か感染防御かで、あやふやな対策を講じないこと。そもそも両立させるのは無理です」、その通りだ。
・『ワクチンは感染を防がない  Q:ワクチンが間もなく日本でも接種される予定ですが。 A:変異株に対するワクチンの有効性は、塩基配列が少しくらい変わったとしても、抗体を誘導する抗原を決める部分に大きな変異がない限り大丈夫だとは思う。世界中の人に免疫ができた後、選択圧力が加わって、その部分に変異が起きる可能性はゼロではないが。流通し始めたメッセンジャーRNA(mRNA)のワクチンは、人類史上初めての試みで、効き目と副反応の程度については未知数です。 これまでのワクチンは不活化ワクチンが主流で、有効性に疑問符が付けられていた。今回のmRNAワクチンは90%とか95%とか言われる有効性だけど、そもそも感染を完全に防ぐことはできない。気をつけなければならないのは、ワクチンを打っても症状を抑えるが、無症候や軽症だとしても少量ながらウイルスは排出する。ウイルスを撲滅できるわけではない。 中国では、鳥インフルエンザのワクチン製造を国策として進めている。そのために鳥インフルエンザウイルスがなかなか消えないのと同じ理屈です。ワクチンは発症を抑えるが、感染しても、それに気づかない。結果的にウイルスが広がってしまっている。昨年から今年にかけて日本でも相次いでいるH5N8鳥インフルエンザウイルスによる養鶏場の被害も、このため。 新型コロナウイルスも、ウイルスの特性をよく解析したうえで対策を立てないと、間違った方向に進んでしまうと思いますよ』、「ワクチンを打っても症状を抑えるが、無症候や軽症だとしても少量ながらウイルスは排出する。ウイルスを撲滅できるわけではない」、「ワクチンは発症を抑えるが、感染しても、それに気づかない。結果的にウイルスが広がってしまっている」、大いに留意すべきだ。

第三に、1月17日付け東洋経済オンラインが転載したThe New York Times「いまだに「マスクに基準がない」という大問題 アメリカではようやく規格づくりが進んでいる」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/404218
・『現在、10万以上の種類のフェイスマスクが売られている。絹製のもの、綿製のもの、合成繊維のものがあり、フィルター付きのものとないものがある。またオーバーヘッドバンド式のものと耳に掛けるものがある。キラキラがついたもの、ひまわり柄のもの、友好的なあいさつや侮辱する言葉がついたもの、漫画のキャラクター柄がついたものがある。 こうしたマスクに欠けているのが、どの程度感染粒子を防ぐことができるかを示す表示であり、この欠如はコロナ禍にあって公衆衛生当局者をいらだたせている。専門家の多くは、デザインによってその効果に大きな幅があると指摘しており、中にはほとんど粒子を除去しないものもあるとしている』、日本では大学入試の共通試験で、鼻出しマスクをした受験生が監督者の注意に従わず、受験が無効化される問題が起きたばかりだ。「マスク」を軽視していたアメリカで「マスクに基準がない」のは当然だろう。
・『安全なマスクを身につけているかわからない  「もっとも根本的で、基本的な疑問はどれが最も安全なマスクなのか、そうしたマスクを自分や、自分の家族、子どもたちが持っているか、ということだ」と、昨年8月にアメリカ・メリーランド州の副書記官としての職を辞したフラン・フィリップス氏は語る。「われわれがいまだにそうした情報を持っていないというのは驚くべきことだ」。 それももうすぐ変わるかもしれない。疾病対策センター(CDC)は最低限度のフィルター効果基準を策定し、どの製品がそうした基準を満たすのかを示す表示を作ろうとしている。というのも、マスクやフェイスカバーの市場は巨大化していると同時に混乱しているからだ。 CDCの一部門であり、「NIOSH」として知られる国立労働安全衛生研究所は、ASTMインターナショナル(かつてのアメリカ材料試験協会)とともに粛々とガイドラインを書き続けてきた。それらは近々に公表されることが予想されている。 「基準を設けることによって、出回っているマスク製品を評価する首尾一貫した見方を得ることができ、どの程度の予防効果を期待できるのか知ることができる」と、NIOSHの国立個人用保護具技術研究所の所長マリアン・ダレッサンドロ氏は話す。 パンデミックが始まって以来、マスクやフェイスカバーに対するアメリカ政府の監督はほとんどなされてこなかった。食品医薬品局(FDA)とCDCそれぞれが産業を監督する権限を持っている。入手可能なうち最も予防力のあるN95マスクについてはFDAとNIOSHがそれぞれ監督権限を持っているが、多くのアメリカ人が身につけている布切れのようなマスクはいかなる規制当局も監督権限を持っていない。 昨年4月、FDAが緊急措置を公表したときはちょうど医療施設が防護服などを確保しようと躍起になっており、マスクの売り上げも急激に伸びた。この時の発表を見ると、マスクを販売する会社に対してFDAが規制等を講じることはない、と部分的には読み取れる』、「疾病対策センター(CDC)は最低限度のフィルター効果基準を策定し、どの製品がそうした基準を満たすのかを示す表示を作ろうとしている」、「国立労働安全衛生研究所は、ASTMインターナショナル・・・とともに粛々とガイドラインを書き続けてきた。それらは近々に公表されることが予想」、どんなものになるのだろう。日本の当局も直ぐ追随するのだろう。
・『「マスクの効果は0%〜80%」  一方、FDAは同時にこうしたマスクは「液体防御性やろ過効率の基準を満たすかもしれないし、満たさないかもしれない」とも述べていた。もっともこうした警告が市場を弱めることはなく、多くの効果が鈍い製品が売られているのはFDAの責任だと非難する専門家もいる。 「FDAには状況改善に向けてできることがたくさんあった。とくにどのマスクが有効で、どのマスクがそうでないのか、という研究が世に知れ始めた頃だったのだから」と、非営利の健康政策団体である国立健康研究センターの所長ダイアナ・ズッカーマン氏は話す。 「FDAはマスクをぴったり着用すること、少なくとも二層の布でできており、伸縮性の素材で作られていないことといったガイドラインを発表することだってできたはずだ。かわりに会社間の自由競争になってしまった」 マスクの効果は「素材の構成、層の数、層の接着の仕方によって0%から80%」の幅が生じることがある、と防護装備コンサルティングサービスの会長デール・フリーム氏は語る。同氏はまた、マスクのガイドライン作成に関わる基準策定作業部会のメンバーでもある。 マスクの絶対的な基準はN95である。このマスクはぴったり肌に密着し、とても小さな粒子でも少なくとも95%を除去することができる。だがN95マスクは一般的に医療従事者に用意されたものであり、感染爆発が起こって以来品薄になっている。一部の病院はN95を確保するために、闇市場で手に入れようとしていた。 こうした品不足分を補うためにFDAは昨春、KN95の販売を認可した。アメリカのN95に相当する中国産のものだ。しかしFDAはただちに不正かつ偽造の製品を見つけ、許容できるKN95の輸入範囲を狭くした。それでもいまだに不正品が横行しており、無数の会社がFDAの基準に満たないマスクに「KN95」の表示をつけている。 予防の観点でN95より一段劣るものが、FDAが認可した外科手術用マスクであり、特定の基準を満たさなければならない。外科手術用マスクもまた、多くの企業によってコピーされ、予防レベルが同等ではない模造品が出回るようになった。 そしてもちろん荒ぶる西部のスタイルがある。あらゆる使用可能な生地から作り上げた何百万とあるマスクのことだ。中にはバンダナやゲートルといったものもある。バンダナとゲートルは首の周りに巻き付けた生地をループ状にして1つにつなげたもので、伸ばして顔の下半分を覆うことができる』、「荒ぶる西部のスタイルがある]、いかにもアメリカらしい。,
・『国主導のマスク認可プログラムが必要  まったくマスクをしないよりは、どんなマスクでも付けたほうがいいと公衆衛生の専門家たちは言う。CDCはマスクに関する自らのガイダンスを何度となく改定し、密に編み込まれた多層構造の生地のほうが一層の生地もしくは緩いニットから作られたマスクよりも予防効果が高いとしている。これは装着している人だけでなく、その人が接触する人たちにとってもそうだとしている。 ただし、CDCのウェブサイトはフィルター付きのマスクがフィルターのないマスクよりも予防効果があるかどうかについて明らかにしていないし、合成繊維が綿やそのほかの素材と比較してどうなのかについても明らかにしていない。 「マスクをテストして認定する国主導の機関が必要だし、一般の人々にマスクの使い方や手入れ方法などを伝える必要性もある」と、バージニア工科大学で土木環境工学の教授を務めるリンゼイ・マー氏は語る。同氏は空気中の浮遊ウイルスに関する専門家でもある。 アメリカ政府と産業界の代表者で構成される作業部会は、製造業者が最高ろ過率と最低ろ過率を製品表示に入れられるようにした。最低の基準は20%で、最高は50%だ。 一見低いように見えるが、予防効果は低くない。ろ過効率とは0.3ミクロン大の粒子をろ過する場合の製品効率に基づく。0.3ミクロンは一般に最も貫通力のある粒子としてNIOSHのテストで基準とされている。 「0.3ミクロンで20%の効率ということは、1から2ミクロンの粒子では50%の効率ということになり、粒子をブロックする効率が80%の場合は、4から5ミクロンもしくはそれ以上の粒子ということになる」とマー氏は言う。「この数値のマスクであれば有用だと言える」。 マー氏によると、コロナウイルス自体は0.1ミクロンではあるが、だいたい0.5ミクロン以上のエアロゾルに包まれて運ばれる』、「アメリカ政府と産業界の代表者で構成される作業部会は、製造業者が最高ろ過率と最低ろ過率を製品表示に入れられるようにした」、やはりこうした標準は必要だろう。
・『信頼できる研究所での製品テストが必要  基準策定の助手を務めているジェフリー・スタル氏が語るには、作業部会は「呼吸しやすさ」の点でもマスクとフェイスカバーを評価していくという。基準策定プロジェクトは長期にわたる仕事だった、と彼は話す。 ASTMの規格を満たしていると表示するには生産業者はまず、自社製品を信用のある研究所で製品テストをしてもらう必要がある。また、マスクが国民の多くに十分にフィットすることも示さなければいけない。これをクリアできた場合、製品あるいはパッケージにASTMの規格を満たしていると表示することができる。ただし、表示は強制されるものではない。 ハーバード大学の政治学教授、ダニエル・カーペンター氏はNIOSHの基準を策定する仕事を「規制における起業化精神」と呼んだ。 「『たとえ正式な規制の道具を持っていないにしても、今持っている道具を使おう』と言っているようなものだ」とカーペンター氏は話す。「これは従来とは違う規制のあり方で、これによって極めて重要な規制効果を得ることができる。なぜならもし基準を満たしていなければ、承認の印を得ることができないのだから」 フリーム氏もこの基準が広まることを期待している。「今回できた基準は非常にいいものだ」と同氏は話す。「製造業者はこれに合わせて製品をデザインするだろうし、市場に出荷する製品とパッケージにも規格を満たしているか表示するだろう。消費者もその商品を信頼することができる」。 「ショッピングサイトで売り出されている多く、そして、隣人の車庫で作られているような製品の多くはこの規格を満たすことはできないだろう」 』、「ASTMの規格を満たしていると表示することができる」ためには、「自社製品を信用のある研究所で製品テストをしてもらう必要がある。また、マスクが国民の多くに十分にフィットすることも示さなければいけない」、などの努力も求められるようだ。日本でもマスクの規格づくりを検討すべきだ。
タグ:東洋経済オンライン The New York Times パンデミック ダイヤモンド・オンライン (医学的視点) ヘルスデーニュース (その18)(新型コロナ 「ワクチンを打てば感染対策は不要」が間違いな理由、感染力高い変異種の病原性「弱いはずがない訳」 インフル研究の第一人者が見るコロナの先行き、いまだに「マスクに基準がない」という大問題 アメリカではようやく規格づくりが進んでいる) 「新型コロナ、「ワクチンを打てば感染対策は不要」が間違いな理由」 ワクチンを打てばCOVID-19対策は不要? 接種したからといって感染予防策が不要になるわけではなく、引き続きマスクを着用し、社会的距離を維持する必要があると警告 「ワクチンを接種していても感染する可能性があり、かつ他者に感染させる可能性もある」、期待が大きかっただけに、いささか失望した 「「ワクチンの有効性は95%だ。つまり、5%のリスクが残されているということだ」と摘する」、言われてみれば、その通りだ 「米国内のすべてのハイリスク者を守るために必要な、推定3億回分のワクチンを生産するには、2021年の秋までかかる可能性が高い」、しばらくは「忍耐の時期」のようだ 辰濃 哲郎 「感染力高い変異種の病原性「弱いはずがない訳」 インフル研究の第一人者が見るコロナの先行き」 「ウイルスは変異株の集団で、なかには増えやすい変異ウイルスもいる。その増えやすいウイルスが優勢になって感染を繰り返すと考えたらいい」 増殖力の高いウイルスは要注意 「人獣共通感染ウイルスが動物から人に感染してすぐは、さほど増殖効率がよくないはず。人から人に感染を繰り返すうちに、人に順応して体内でより増殖する、すなわち病原性の高い変異ウイルスが出てくる」 ウイルスを擬人化して議論するのは間違いのもと 「人と鳥の両方のインフルエンザウイルスの鍵穴を持っているブタに、両方のウイルスが同時感染し、体内で交雑してブタで受け継がれた結果、人に感染できるウイルスが生まれることがある」、「ブタ」がパンデミックの仲介役になっているとはやれやれだ ウイルスの起源と伝播経路は未解明 「いまは、感染拡大を止めることに力を注ぐべき。重要なのは経済か感染防御かで、あやふやな対策を講じないこと。そもそも両立させるのは無理です」 ワクチンは感染を防がない ワクチンを打っても症状を抑えるが、無症候や軽症だとしても少量ながらウイルスは排出する。ウイルスを撲滅できるわけではない ワクチンは発症を抑えるが、感染しても、それに気づかない。結果的にウイルスが広がってしまっている 「いまだに「マスクに基準がない」という大問題 アメリカではようやく規格づくりが進んでいる」 鼻出しマスクをした受験生が監督者の注意に従わず、受験が無効化される問題が起きたばかりだ 安全なマスクを身につけているかわからない 「マスク」を軽視していたアメリカで「マスクに基準がない」のは当然だろう 疾病対策センター(CDC)は最低限度のフィルター効果基準を策定し、どの製品がそうした基準を満たすのかを示す表示を作ろうとしている 「国立労働安全衛生研究所は、ASTMインターナショナル・・・とともに粛々とガイドラインを書き続けてきた。それらは近々に公表されることが予想」 どんなものになるのだろう。日本の当局も直ぐ追随するのだろう 「マスクの効果は0%〜80%」 「荒ぶる西部のスタイルがある]、いかにもアメリカらしい 国主導のマスク認可プログラムが必要 「アメリカ政府と産業界の代表者で構成される作業部会は、製造業者が最高ろ過率と最低ろ過率を製品表示に入れられるようにした」、やはりこうした標準は必要だろう 信頼できる研究所での製品テストが必要 「ASTMの規格を満たしていると表示することができる」ためには、 「自社製品を信用のある研究所で製品テストをしてもらう必要がある。また、マスクが国民の多くに十分にフィットすることも示さなければいけない」 などの努力も求められるようだ
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日韓関係(その13)(日韓関係「再出発」の時 日本が兄貴分の時代は終わった、菅首相が離任する韓国大使との面会を拒否?後任大使も「外交欠礼」と驚き、文在寅が「慰安婦問題」で大博打へ…!日本からの「報復ブーメラン」で いよいよ万事休すか) [外交]

日韓関係については、昨年11月3日に取上げた。今日は、(その13)(日韓関係「再出発」の時 日本が兄貴分の時代は終わった、菅首相が離任する韓国大使との面会を拒否?後任大使も「外交欠礼」と驚き、文在寅が「慰安婦問題」で大博打へ…!日本からの「報復ブーメラン」で いよいよ万事休すか)である。

先ずは、11月18日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元外務審議官で日本総合研究所国際戦略研究所理事長の田中 均氏による「日韓関係「再出発」の時、日本が兄貴分の時代は終わった」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/254601
・『新政権の発足は外交関係修復のチャンス  新政権の発足は新しい政策を展開する大きな機会だ。 特に外交では首相交代期は、これまでの外交路線を吟味し、うまくいっていないと思われる政策について修正していく重要な契機になる。 典型が中曽根首相の訪韓だった。1983年1月首相に就任した直後、中曽根首相は電撃的訪韓をし、歴史教科書問題や韓国に対する政府借款供与の問題で悪化していた日韓関係を劇的に改善させた。 日韓関係は1965年の正常化以降最悪だといわれるが、日韓はともに東アジアで民主主義が根付き、米国との安全保障条約で結ばれている。日本にとって、韓国は18年連続で中国・米国に次ぐ第三の貿易相手国であり、また両国間の往来人数は1000万人を超える隣国だ。 最も重要な国の一つであることに疑問の余地はなく、菅政権の発足を日韓関係の再出発とする機会としなければならない』、反韓国の論調が多いなかで、「菅政権の発足を日韓関係の再出発とする機会としなければならない」との提言は貴重で、同感である。
・『文政権と安倍政権の相克 双方に信頼関係が欠落  日韓関係がここまで悪化した原因は何なのか。 最大の要因の一つは、文在寅政権と安倍晋三前政権の基本的な思想の違いだろう。 特に文大統領の支持基盤といわれる「86世代」(80年代の民主化運動に携わった60年代生まれの年代)は、分断された南北朝鮮の統一への思い入れがあり親北朝鮮、反米・反日の傾向が強い。 文政権はこのような世代の支持を受け、支持率が低下しても40%台の支持率を恒常的に確保している。 一方、安倍政権は「戦後体制からの脱却」「美しい国日本」を首相が標榜した保守政権であり、歴史問題などでも日本も主張すべきは主張しようという傾向が強い。 若い人々を中心に支持率は堅固で、選挙で勝ち続けた政権だった。 いつの間にか、日韓ともにお互い、強い主張をぶつけるべき相手となっていた』、確かに「文政権」と「安倍政権」では左派VS右派、と好対照だ。
・『個別案件が不信感に火を注いだ 被害者意識が時に強い反発に  日韓首脳のイデオロギー上の相克はあったものの、日韓の信頼関係が決定的に崩れたのは、2015年以降の慰安婦合意とその事実上の破棄、徴用工問題での韓国大法院判決、そして日本による半導体材料の対韓輸出管理の厳格化、それを受けた韓国側のGSOMIA廃棄問題を巡ってだ。 2015年の慰安婦合意については、日本国内では安倍首相の個人的な心情からすればよく踏み切ったものだという評価がされていたが、これが履行されず、事実上、崩壊することとなったことへの不満は強い。 元徴用工への大法院判決についても、韓国政府が、司法権には介入できないと判決を受け入れるかのような姿勢をとっているだけではなく、これまで一貫して日韓基本条約・請求権協定で「解決済み」としてきた立場を翻したものだという批判が強い。 日本政府内には、政府間の約束を守らずゴールポストを動かして条約の法的基礎を一方的に崩した韓国政府を相手にする必要はないという感情が充満した。 国民世論のベースでも、韓国に「良くない」イメージを持つ国民は2015年以降ほぼ一定で高いレベルに達している。 一方で韓国の対日感情も、もともと良くはなかったものの、2019年からこの1年間では急速に悪化の一途をたどっている。 おそらく同年7月の日本による半導体材料の対韓輸出制限措置が、政府だけでなく国民世論ベースにも大きな影響を与えたということだろう。 歴史的な経緯もあり、韓国では「“強い日本”からいじめられている」という意識があり、時にそれが日本に対する強い反発を生む。 日本政府は韓国の輸出管理が十分でないことを輸出規制の根拠に挙げているが、徴用工問題を巡る日本の報復措置だという印象を多くの韓国国民に植え付けたといってよい』、「半導体材料の対韓輸出制限措置」は経産省の思い付きだろうが、実効性に乏しく、自己満足的だったようだ。
・『「プロフェッショナルな外交」見られず 政権や一部勢力の反発を慮る  外交当局の間でも相互不信は強まっている。 韓国側の対応に起因することだと推察するが、日本の外務省ですらも韓国への嫌悪感を隠していない。 『外交青書』上の韓国に対する表現も、長年にわたり「価値や戦略的利益を共有する重要な隣国」という趣旨が盛られていたものが、ここ数年は単なる「隣国」あるいは「重要な隣国」という表現に留められている。 一方で、韓国側も「それなら我々は態度を改めよう」とはなっていない。むしろ現状では韓国側の日本に対する遺恨の念がますます深まってゆくことは想像に難くない。 プロフェッショナルな外交とは、国内世論が喝采する主張を発することではなく、国益にかなう結果を作り出す作業だ。 しかし残念ながら、今の日韓関係はそれぞれ外交当局が国内の反発などを慮り、いわば国内事情を人質にとられている状況で関係改善の動きがとられていない状況だ。 大統領制の韓国で大統領が持つ権威は大きいが、前述したように86世代を支持基盤にする文政権は日本に歴史問題で少しでも譲歩するような姿を示すことに抵抗が強い。 近年、政策決定プロセスにおける青瓦台(大統領官邸)の力は外交問題でも圧倒的となっており、外交通商部によるプロフェッショナルな意見具申は通りにくく、国内政治的な力学が強く働くと言ってもよいだろう。 議院内閣制の日本でも、近年、官邸の力が強まり、霞が関の幹部人事も差配されるようになっている。 そういう状況である以上、外務省は官邸と異なる意見を具申することには臆病にならざるを得ないということなのだろうか。それだけではなく、官邸の方針を忖度(そんたく)する結果、関係改善のため知恵を出して動くといった姿勢も感じられない』、「政策決定プロセスにおける青瓦台(大統領官邸)の力は外交問題でも圧倒的となっており、外交通商部によるプロフェッショナルな意見具申は通りにくく」、「日本でも、近年、官邸の力が強まり、霞が関の幹部人事も差配されるようになっている。 そういう状況である以上、外務省は・・・官邸の方針を忖度(そんたく)する結果、関係改善のため知恵を出して動くといった姿勢も感じられない」、日韓とも通常の外交チャネルが機能不全となっているようだ。
・『日韓共同世論調査では関係改善を求める声が多数  ところが興味深いのは、2020年の言論NPOと韓国東アジア研究院の共同世論調査では、韓国国民の82%、日本は約48%が「日韓関係は重要だ」としていることだ。 「重要でない」とするのは韓国の13%、日本の21%に過ぎず、関係改善に努力すべきという声が多数を占めている。 このことから思うのは、むしろ青瓦台や首相官邸が関係改善に向けて動くことは国内支持率を下げてしまうという思い込みが強すぎるのでは、ということだ。 あるいは世論全体の雰囲気というより、韓国の左派勢力、日本の保守勢力を慮るゆえに、両国政府が動くのにちゅうちょしているのではないか』、「日韓関係は重要だ」とする「国民はやはり「韓国」の方が多いようだ。
・『等身大で相手を見なければならない協力の可能性を示す「Nizi Project」  私が外務省のアジア大洋州局長だった2002年に韓国はGDP(国内総生産)で日本の7分の1だったが、今はその差が3分の1程度まで縮小し、1人当たり国民所得では肩を並べる存在となった。 企業も、例えばサムスンやLG、現代自動車といった韓国の大手企業は高い競争力を持つ世界のグローバル企業に育っている。従来のように日本がほぼすべての経済指標で優位に立ち、「兄貴分」として振る舞った時代は終わったのだ。 経済で言えば、今、求められる日韓関係とは双方がしのぎを削って競争するという図式ではなく、相互を補完し協力してグローバルに進出していくという図式なのだろう。 実際に日韓の第三国における共同プロジェクトは近年、飛躍的に増え、日本の精緻な素材生産技術と韓国の優れた商品化能力は協力し合い世界的トップの製品を生み出している。 また韓国の大企業はグローバルに展開する際、日本の銀行からも融資を受け日本の信用力を支えにしている。 エンターテインメントの世界でも日韓協力の可能性を示すプロジェクトが始まっている。 韓国の世界的な歌手・ダンサーであるJ.Y. Park氏らが企画した「Nizi Project」は日本各地でおよそ1万人の応募者の中から13人を選抜し、韓国で6カ月間の研修を実施し、最終的に9人のガールズ・グループをデビューさせるというプロジェクトだ。 日本の集団として“和”を重視する傾向と、徹底して“個”を磨こうとする韓国のアプローチが相互に作用し、世界に通用するグループを育成できるというわけだ。 韓国は国内マーケットが必ずしも十分大きいわけではないので、最初から世界に通用する人材を育てようとするし、日本はそれなりに大きな国内マーケットなので、むしろ和を乱さない人材を育成しようとする。 そうした日韓のマーケットや文化性の違いから、これまでのアーティストとは違う二国の良さを取り入れた新グループ“NiziU(ニジュー)”として、12月にメジャーデビューするという。 今後このグループが日韓双方で、また世界でどう評価されるのかは楽しみだ』、「1人当たり国民所得では肩を並べる存在となった」以上、「日本が」「兄貴」風を吹かす訳にはいかなくなった。対等の立場で、お互いの強味を生かして協力してゆくべきだろう。
・『日韓関係を再出発させる時期が来た コロナでの協力や東京五輪開催を契機に  日韓が信頼関係をとり戻すには、まずは相手を等身大で見て、日韓双方が相手の粗探しをするのではなく、優れた点を評価する姿勢を持つことだ。 新型コロナウイルス感染拡大でも韓国は早期の感染防止に成功したといわれ、日本も欧米などに比べれば感染者・死者ともに圧倒的に少ない。両国ともコロナ感染防止をしつつ経済回復を図るという難しい局面に来ているが、もし日韓がこの難しいプロセスを加速化するための協力ができれば、おそらく国際社会からは、その日韓関係を新たな「東アジアの奇跡」と評されることになるのだろう。 コロナだけでなく、2021年夏に開催される東京オリンピック・パラリンピックもそうした日韓の信頼関係回復の機会になり得る。 考えてみれば、1988年ソウル五輪、2018年平昌(ピョンチャン)冬季五輪はいずれも世界史に残る五輪になった。ソウル五輪は韓国を国際社会の中の揺るぎない存在とするきっかけとなったし、平昌冬季五輪は南北首脳会談、米朝首脳会談に道を開いた。 ソウル五輪の時に私は外務省の担当課長として日韓のテロ対策チームを立ち上げ、金大中拉致事件以降関係を断っていた日韓の治安当局の協力が実現したことが思い出される。 来年の東京五輪が、日韓両国政府の協力関係再出発の契機となることを心から期待したい。 年内中の開催がいわれている韓国での日中韓サミットに菅首相は参加するべきだし、首脳レベルでの日韓関係の重要性・将来に向けての揺るぎない協力関係の再確認ができれば、個々の懸案解決は決して難しいことではない。 双方の外交当局もお互いを満足させるような解決策を導き出す知恵を持っているはずだ』、日韓がいがみ合っている様子は欧米諸国には理解し難い筈だ。「東京五輪が、日韓両国政府の協力関係再出発の契機となることを心から期待したい」、同感である。

次に、1月18日付けRecord China「菅首相が離任する韓国大使との面会を拒否?後任大使も「外交欠礼」と驚き」を紹介しよう。
https://www.recordchina.co.jp/b868067-s0-c10-d0058.html
・『2021年1月18日、韓国・世界日報は、菅義偉首相が離任する南官杓(ナム・グァンピョ)駐日韓国大使との面会を「事実上拒否した」とし、「外交欠礼問題が浮上している」と伝えた。 記事によると、南大使は16日に韓国に帰国。菅首相が南大使の離任前に調整していた面会は見送られた。日本政府関係者は「慰安婦問題をめぐる韓国裁判所の賠償判決などを考慮し、面会が保留された」と説明したという。 一方、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は14日、離任する冨田浩司駐韓日本大使と面会し、日韓関係改善への意思を明らかにしていた。記事はこれについて「対照的な対応だ」と指摘している。安倍晋三前首相も2019年4月、離任する李洙勲(イ・スフン)韓国大使と面会した。南大使の後任に内定している姜昌一(カン・チャンイル)氏は17日にソウルで行われたオンライン記者懇談会で、「菅首相が南大使と面会しないことは外交欠礼だ」との指摘に対し「私もそう思う」とし、「なぜあいさつができなかったのか、面会できなかったの分からない」と述べたという。 これに韓国のネットユーザーからは「日本は器が小さい」「いくら嫌いでも外交の慣例なのに。本当に失礼」「こんな日本とはしばらく距離を置いた方がいい」など日本への批判の声が続出している。 一方で「『韓国とは親しくしたくない』という意思表示。これが現実だ」「日韓関係が最悪なのだから会ってくれなくて当然」「この程度で外交欠礼?。中国では文大統領が滞在中ずっと1人で食事をさせられたこともあった」「文政権が『未来志向的』と言うのは矛盾では?」などと指摘する声も寄せられている』、「菅義偉首相が離任する南官杓(ナム・グァンピョ)駐日韓国大使との面会を「事実上拒否した」」、「一方、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は14日、離任する冨田浩司駐韓日本大使と面会し」、いくら「「慰安婦問題をめぐる韓国裁判所の賠償判決」などがあったとしても、明らかに「外交欠礼」だ。「菅首相」に外交プロトコルの基本をレクチャーする勇気がある 外務官僚はいないのだろうか。

第三に、1月27日付け現代ビジネスが掲載した元駐韓国特命全権大使で外交評論家の武藤 正敏氏による「文在寅が「慰安婦問題」で大博打へ…!日本からの「報復ブーメラン」で、いよいよ万事休すか」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/79631?imp=0
・『追い詰められた文在寅  韓国大統領の文在寅氏が日韓関係修復に乗り出した。その発端が昨年の国家情報院長訪日と韓日議連会長訪日時に関係改善の意思を伝えてきたことである。 その意思をさらに明確に示したのが、1月18日の年頭記者会見における慰安婦問題判決に関する判決に「困惑している」とする一連のコメントである。 文在寅氏が日韓関係改善の意向を固める最大の要因となったのが、バイデン氏の大統領当選とこれに続く新政権の成立である。バイデン氏への政権移行が進む中、明らかになったことは、バイデン氏はトランプ氏と異なり、非核化への展望なく金正恩氏とのトップ会談に応じることは考え難く、これを支えるスタッフは実務経験を積んで北朝鮮に対しては厳しい見方を持っているということである。 そうした中で文在寅氏は、短期間に朝鮮半島問題で成果を出すには米国の要求に応じ、米国と協力する姿勢を取るほかないとの状況認識を持つに至ったのであろう。 米国はアジア外交で最も重視する中国封鎖戦略にあたって日米韓の連携強化が必要と考えている。そのため文在寅氏としては、日本との関係修復は不可欠と考えたのであろう。米国のこうした戦略に乗り、米韓関係を強化する中で米朝関係にも取り組んでもらおうとしているのである』、「文在寅氏が日韓関係改善の意向を固める最大の要因となったのが、バイデン氏の大統領当選とこれに続く新政権の成立である」、日本にとっても、いいチャンスだったのに、見逃したのは残念だ。
・『文在寅に正義連を捨てる「覚悟」はあるのか  文在寅大統領は1月21日、自らが主宰した安全保障会議(NSC)で「朝鮮半島を含めたインド太平洋地域の秩序が急激な転換期に入りつつある」と述べた。米中に対して中立的な姿勢で臨んできたこれまでの姿勢の転換を示唆しているのかも知れない。 文在寅氏が日韓関係改善のシグナルを送っても、日本政府の姿勢は冷ややかである。文在寅氏はそれでも日本と慰安婦問題を外交的に解決しようとするであろう。ただ、その最大の障害が正義連・挺対協であることをいまだ認識していない。 これまで慰安婦問題解決の最大の妨げとなってきたのが正義連・挺対協である。文在寅氏が日本と妥協を図ろうとしても抵抗し、再び妨害するであろう。正義連・挺対協と手を切る覚悟ができた時に、問題の外交的解決の道も見えてくるであろう。 文在寅氏は1月18日の年頭記者会見で、慰安婦問題の判決に対して「正直困惑している」と述べ、2015年の合意についても政府間の公式合意であったことを認めて「(合意を土台にして)おばあさんたちも同意できる解決方法を探していけるよう韓日間で協議している」と述べた。 この発言は、文在寅氏の側から見れば、同合意を「真実と正義の原則に背き、内容と手続きも共に誤り」としていた見解からの大転換であり、韓国側の大幅な譲歩に応え、日本側も歩み寄ってほしいと考えていたのではないだろうか。 しかし、日本側は従来の姿勢を変えなかった』、「正義連・挺対協と手を切る覚悟ができた時に、問題の外交的解決の道も見えてくるであろう」、これは明確なメッセージとして伝えておくべきだろう。
・『日本からの「報復」  日本側は文在寅氏が2015年の合意を公式合意としたことは一歩前進と評価しつつも「問題解決に向けた具体策は示さなかった」「解決案を注視する」といった従来の主張を繰り返し、「具体的行動がなければ日韓関係の改善はない」と強調した。 日本の茂木外相は1月23日、慰安婦判決が確定した時点で「外務大臣談話」を発表して、「国際法上、国家主権を有し、互いに対等な存在であることから、原則として、外国の裁判権に服することはない」「(この判決は)極めて遺憾であり、断じて受け入れることはない。韓国に対し、国家として自らの責任で直ちに国際法違反の状態を是正するために適切な措置を講ずることを改めて求める」との日本政府の立場を明らかにした。 そのため韓国政府は、1月23日さらに一歩進んで「政府レベルでは日本に追加請求しない方針」と表明した。 その一方で日本に対しては、外交的論争が避けられない法的賠償の代わりに「自ら表明した責任痛感と謝罪反省の精神に立脚して被害者らの名誉・尊厳回復と心の傷の治癒に向けた真の努力を見せるべきだろう」と要請した。 日本政府がこの判決に基づき、元慰安婦に「賠償金」を支払うことはあり得ず、韓国が日本政府の資産を強制執行すれば、それ相応の報復をするはずである。韓国政府が「日本に追加請求しない」とするのは当然のことである』、なるほど。
・『中央日報に書かれた「問題の核心」  韓国政府が日本に改めて「謝罪や反省を求める」とする点についても、謝罪や反省はすでに何度も行ってきていることである。ただ、それが元慰安婦の人々に正確に伝わっていないのは、正義連・挺対協が間に入り、これを否定してきたからである。それを改めて日本側に求めてくるのは筋違いだろう。 中央日報は、アンチフェミニストとして『フェミニズムはどのようにして怪物になったのか』という本の共著者であるオ・セラビ氏(女性)のインタビュー記事を掲載している。 この本では、政治権力と結託したフェミニズムを批判している。具体的には、「586運動圏(現在50代、80年代の民主化運動にかかわった、60年代生まれの世代)権力と女性団体運動は出発が同じだ。上層部の女性運動家のほとんどが『韓国女性団体連合』から活動を始めた。これは民主化運動がはじまった87年だ。今までこの団体出身の首相、閣僚、国会議員が11人いる」という。 そして、「エリート女性運動家は大きな志を抱いて活動する一般の女性運動家と女性たちを道具として使い、名声を築いた。彼らを政治権力を得るためのルートとして利用する」と批判している。 さらにインタビューでは「韓国女性運動と、正義連・挺対協の運動は同じ幹だ」とし、「正義連は慰安婦問題が本当に解決したら、正義連の存在価値は消えるから、慰安婦問題を本当に解決するつもりがあるのか疑問を感じるのだ。慰安婦問題を一日でも早く解決するためには、正義連のような市民団体に任せるのではなく、最初から最後まで政府が直接責任を取ってやらなくてはならない」と痛烈に語っている。 このオさんの発言は、まさに問題の核心をついている。慰安婦問題はこれまで何度も解決する機会があったが、これをことごとく妨害してきたのが、正義連とその前身である挺対協なのである』、「正義連」は確かに困った存在だ。
・『日韓合意を「妨害」する人たち  日韓の最初の取り組みは、日本側が設立した「アジア女性基金」を通じた解決であった。 7人の韓国人元慰安婦が同基金からのおカネを受け取ると、当時の挺対協のトップは「アジア女性基金からおカネをもらう人は、自ら進んで出かけた娼婦であることを認めるのと同様だ」と元慰安婦を最も傷つける言葉でののしった。 しかし、後でわかったことは、アジア女性基金の代わりに韓国政府からおカネを受け取った人のうち54人がアジア女性基金からもおカネを受け取っていたということである。当時の挺対協が邪魔しなければ、より多くの元慰安婦がアジア女性基金からおカネと総理の謝罪を記した書簡を受け取り、この問題は解決していたということである。 2015年の慰安婦合意の際には、当時韓国政府が設立した和解・癒し財団の理事長がすべての元慰安婦にこの合意を説明し、理解を求めたところ、当時存命であった、46人の元慰安婦のうち36人(78%)が受け入れに同意した。しかし、挺対協の反対を受け、文在寅氏は国民的理解が得られないと同財団を解散させてしまった。 その正義連・挺対協がこれまで何をしてきたかというと、元慰安婦のための寄付金や政府補助金の一部しか元慰安婦のためには使わず、その多くを私的にあるいはその他不適切な形で使ってきたことが、元慰安婦李容洙(イ・ヨンス)氏の告発で明らかになった。ここから明らかなことは、正義連としても寄付金を集め続けるため、慰安婦運動の存続を望んでいたということである。 それでも文在寅政権は、「慰安婦問題の大義を失うことがあってはいけない」と正義連を庇っている。正義連の尹美香(ユ・ミヒャン)前理事長は国会議員を続け、最近では、コロナ禍にもかかわらず、元慰安婦の誕生日を口実にワインパーティを行うなど反省の色を見せていない』、「正義連」の活動の実態を一般の韓国国民はどの程度知っているのだろうか。
・『文在寅の「卑屈」な姿勢  正義連は、1月18日に文在寅大統領が記者会見で2015年の日韓合意が公式合意であったことを認めた際にも、理事長が「日本政府に卑屈に移るほど守勢的に対応したり完全な沈黙で一貫したりする理由は何か」と失望感を表明した。 文在寅政権のむしろ正義連に対する「卑屈」な姿勢を見ると、文氏の日韓関係改善の努力はまたしても正義連の妨害を受けるのではないだろうか。 慰安婦問題を解決したければ、このような正義連とはたもとを分かち、正義連の着服し、横領した金銭を回収して元慰安婦の人々が安らかな老後を送れるような環境を整備することである。正義連のいうことを聞いていてはいつまでたっても堂々巡りである。 韓国政府が関係の改善の姿勢を示しても、日本として原則を守る以外ない。韓国内に請求権協定に対する不満があろうとも、慰安婦合意に対し正義連が反対しようとも、それを無効にし、再度交渉するなどということはできない。 また、日本がこれまで歴史問題で再三、謝罪と反省の意を表明してきたことも事実である。正義連がこれを認めず、これは真の謝罪ではないというのは言いがかりである。日本が改めて謝罪することはこの原則に背くことになる。 今後日本ができることと言えば、これまで日本政府として誠意をもって反省し、謝罪してきたことを再度確認することであろう。それは正義連が言ってきたことが真実でないことを明らかにすることになるが、それによって元慰安婦が日本政府の反省と謝罪を受け入れることになれば意味がある。 わたくしは大使時代、必要であれば、自分が一人一人の元慰安婦にあってこれを伝えてもいいと考えていた。その機会はなかったが、元慰安婦の人々に日本政府の思いを正確に伝えるためには大使が出ていくのは良いのではないかと今でも考えている』、「韓国政府」が「正義連」に厳しい姿勢を取れないのは何故なのだろう。「武藤」氏がやや反韓国的なのは、在韓国大使時代に苦労させられたためかも知れないが、私はむしろ冒頭の田中氏の考え方に同意する。 
タグ:日韓関係 ダイヤモンド・オンライン 現代ビジネス Record China 田中 均 武藤 正敏 (その13)(日韓関係「再出発」の時 日本が兄貴分の時代は終わった、菅首相が離任する韓国大使との面会を拒否?後任大使も「外交欠礼」と驚き、文在寅が「慰安婦問題」で大博打へ…!日本からの「報復ブーメラン」で いよいよ万事休すか) 「日韓関係「再出発」の時、日本が兄貴分の時代は終わった」 新政権の発足は外交関係修復のチャンス 反韓国の論調が多いなかで、「菅政権の発足を日韓関係の再出発とする機会としなければならない」との提言は貴重で、同感である 文政権と安倍政権の相克 双方に信頼関係が欠落 個別案件が不信感に火を注いだ 被害者意識が時に強い反発に 「半導体材料の対韓輸出制限措置」は経産省の思い付きだろうが、実効性に乏しく、自己満足的だったようだ 「プロフェッショナルな外交」見られず 政権や一部勢力の反発を慮る 「政策決定プロセスにおける青瓦台(大統領官邸)の力は外交問題でも圧倒的となっており、外交通商部によるプロフェッショナルな意見具申は通りにくく」 日本でも、近年、官邸の力が強まり、霞が関の幹部人事も差配されるようになっている。 そういう状況である以上、外務省は 官邸の方針を忖度(そんたく)する結果、関係改善のため知恵を出して動くといった姿勢も感じられない 日韓とも通常の外交チャネルが機能不全となっているようだ 日韓共同世論調査では関係改善を求める声が多数 等身大で相手を見なければならない協力の可能性を示す「Nizi Project」 「1人当たり国民所得では肩を並べる存在となった」以上、「日本が」「兄貴」風を吹かす訳にはいかなくなった。対等の立場で、お互いの強味を生かして協力してゆくべきだろう 日韓関係を再出発させる時期が来た コロナでの協力や東京五輪開催を契機に 「東京五輪が、日韓両国政府の協力関係再出発の契機となることを心から期待したい」、同感である。 「菅首相が離任する韓国大使との面会を拒否?後任大使も「外交欠礼」と驚き」 菅義偉首相が離任する南官杓(ナム・グァンピョ)駐日韓国大使との面会を「事実上拒否 「外交欠礼問題が浮上 「慰安婦問題をめぐる韓国裁判所の賠償判決などを考慮し、面会が保留された 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は14日、離任する冨田浩司駐韓日本大使と面会し、日韓関係改善への意思を明らかにしていた 「菅首相」に外交プロトコルの基本をレクチャーする勇気がある 外務官僚はいないのだろうか 「文在寅が「慰安婦問題」で大博打へ…!日本からの「報復ブーメラン」で、いよいよ万事休すか」 追い詰められた文在寅 文在寅氏が日韓関係改善の意向を固める最大の要因となったのが、バイデン氏の大統領当選とこれに続く新政権の成立である」、日本にとっても、いいチャンスだったのに、見逃したのは残念だ 文在寅に正義連を捨てる「覚悟」はあるのか 「正義連・挺対協と手を切る覚悟ができた時に、問題の外交的解決の道も見えてくるであろう」、これは明確なメッセージとして伝えておくべきだろう 日本からの「報復」 中央日報に書かれた「問題の核心」 慰安婦問題はこれまで何度も解決する機会があったが、これをことごとく妨害してきたのが、正義連とその前身である挺対協なのである』、「正義連」は確かに困った存在だ 日韓合意を「妨害」する人たち 「正義連」の活動の実態を韓国民はどの程度知っているのだろうか 文在寅の「卑屈」な姿勢 「韓国政府」が「正義連」に厳しい姿勢を取れないのは何故なのだろう 「武藤」氏がやや反韓国的なのは、在韓国大使時代に苦労させられたためかも知れないが、私はむしろ冒頭の田中氏の考え方に同意する
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トランプ VS バイデン(その3)(アメリカ分裂でバイデン政権の舵取りは困難に 当初から共和党と民主党左派の挟み撃ちに遭う トランプ後の共和党とQアノン アメリカのファシズム的未来、トランプ後の共和党とQアノン アメリカのファシズム的未来、米国という共和政国家の臨死体験 大統領が企てたクーデターの衝撃――マーティン・ウルフ) [世界情勢]

トランプ VS バイデンについては、昨年12月21日に取上げた。今日は、(その3)(アメリカ分裂でバイデン政権の舵取りは困難に 当初から共和党と民主党左派の挟み撃ちに遭う トランプ後の共和党とQアノン アメリカのファシズム的未来、トランプ後の共和党とQアノン アメリカのファシズム的未来、米国という共和政国家の臨死体験 大統領が企てたクーデターの衝撃――マーティン・ウルフ)である。

先ずは、1月14日付け東洋経済オンラインが掲載した米州住友商事会社ワシントン事務所 調査部長の渡辺 亮司氏による「アメリカ分裂でバイデン政権の舵取りは困難に 当初から共和党と民主党左派の挟み撃ちに遭う」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/403457
・『「ユナイテッド航空93便」。9.11アメリカ同時多発テロ事件で、首都ワシントンの連邦議会議事堂に突っ込むためにアルカイダ工作員がハイジャックしたフライトだ。乗客がハイジャック犯と戦い、議事堂に到達する前にペンシルベニア州で墜落した。熱狂的なトランプ支持者は、2020年大統領選を「93便選挙」と称していた。ジョー・バイデン政権発足によってアメリカ社会が変わることを、自らの手で阻止せねばならないといった決死の覚悟を示すものだ。 同時多発テロ事件から約20年が経過した1月6日、ホワイトハウス南側の広場でトランプ大統領の演説を聞いた支持者たちはペンシルベニア通りを南東に下り、連邦議会議事堂に乱入。アルカイダも実現しなかったことを成し遂げた。民主党支持者やアメリカのリベラル系メディアなど大手メディアの大半は、議会乱入者を抗議者とは呼ばず「反乱者」や「国内テロリスト」と称している。 9.11後、テロ攻撃に衝撃を受けたアメリカ国民の声を反映し対テロ政策導入に向け政治家は党を問わず団結した。今回も衝撃を受けた国民は多くいるが、政治家は団結するであろうか。議会を攻撃したのは国外のテロ組織ではなく身内で片方の政党の支持基盤であったこと、そして国は二極化していることからも、それは疑わしい』、「熱狂的なトランプ支持者は、2020年大統領選を「93便選挙」と称していた」、やはり彼らの熱量は相当高かったようだ。
・『共和党支持者の多くはトランプ勝利を信じている  トランプ支持者の議事堂乱入により自らの命が危険にさらされた後も、共和党出身の上院議員8人、下院議員139人が、一部の州のバイデン勝利の認定について異議を唱えた。共和党の支持基盤はトランプ氏の勝利を信じて疑わない。2020年12月時点で共和党支持者の72%が2020年選挙の結果を信用しないと回答している(NPRとPBS<いずれも公共の放送局>、マリスト大学による共同世論調査)。そのため、議員は自らの再選や大統領選出馬などを視野に入れて行動したようだ。 また、新興右派放送局のワン・アメリカ・ニュース(OAN)、ニュースマックス、そしてフォックスニュースのコメンテーターなども、今回の事件を糾弾するのではなく、議会乱入者は左翼の活動家ネットワークであるアンティファではないか、との陰謀説まで語っている。これらのメディアやソーシャルメディアを通じて情報を得る多くのトランプ支持者は、陰謀説による妄想の別世界にいる。事実上のクーデターに参画しているという自覚がない支持者が多数いるとも、指摘されている。 1月20日正午にバイデン政権が発足することは、トランプ氏も認め、確実となった。ようやくホワイトハウスの住人となるバイデン氏だが、トランプ政権から引き継ぐ国内外の危機は過去の大統領が経験したことがないほど深刻だ。1世紀ぶりのパンデミック、経済危機、人種問題をめぐる社会不安、そして気候変動問題など、政権が直面する課題は山積みだ。だが、発足当初から政権運営の最大の悩みの種となるのは、南北戦争(1861~1865年)以来とも指摘される社会の二極化であろう。議事堂乱入事件でそれが浮き彫りになった。 4年前までバイデン氏の上司であったオバマ前大統領も社会の二極化を危惧していた。オバマ氏が一夜で政界のスターに飛躍した2004年民主党全国大会の演説は、すでに国の団結を呼びかけたものであった。しかし、オバマ政権下でも二極化は進み、トランプ政権でさらに悪化した』、「これらのメディアやソーシャルメディアを通じて情報を得る多くのトランプ支持者は、陰謀説による妄想の別世界にいる。事実上のクーデターに参画しているという自覚がない支持者が多数いるとも、指摘されている」、恐ろしい「分断」だ。「発足当初から政権運営の最大の悩みの種となるのは、南北戦争(1861~1865年)以来とも指摘される社会の二極化」、その通りだろう。
・『バイデン氏の中道政策に反発、党内の亀裂も鮮明  大統領就任式はその2週間前にトランプ支持者がよじ登って占拠した連邦議会議事堂西側で開催される予定だが、バイデン氏はその場で国家の団結を改めて訴えるに違いない。 29歳の若さで上院に初当選し、半世紀近く首都ワシントンで過ごしたバイデン氏は「ワシントンの生き物」とも称される。上院幹部そして副大統領を経験し、ここまで政治経験が豊富な大統領は、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺後に引き継いだリンドン・ジョンソン大統領(1963~1969年)以来とも指摘される。バイデン氏はアメリカの分裂を修復することに楽観的な見方も示しているが、その長いワシントン経験によって実現できるのであろうか。 不正選挙でバイデン氏が大統領に就任したと信じるトランプ支持者は多数いるが、ほかにも懸念はある。自身を含む穏健派と急進左派やリベラル派との間で見られる民主党内の対立だ。バイデン氏は2020年12月末、メディアに対しアメリカ政治は中道にシフトしたと語り、中道の政策を推進する意志を明らかにした。 「アメリカを再び偉大に(Make America Great Again)」を掲げ当選しワシントン政治の伝統を破壊してきたトランプ大統領に対し、バイデン氏は「アメリカを再び正常に(Make America Normal Again)」とする政策だと、政治専門家は揶揄している。確かに有権者が政治の正常化を望んでいる面もあるだろう。 だが、民主党内で最も勢いを増している左派は、中道の政策を望んでバイデン氏を支持したわけではない。民主党を統一させる効果を発揮したのはバイデン氏の掲げる政策ではなく、トランプ氏の存在と同大統領の危機対応についての懸念であった。 1月5日、ジョージア州上院決選投票で民主党候補2人がともに勝利したことで大統領府、上下両院の3つすべてを握る「トライフェクタ(三冠)」を民主党は実現した。 上院で共和党が多数派を維持していたら、バイデン政権が成立を願う法案は共和党ミッチ・マコネル上院院内総務によって阻止される運命にあった。だが、上院奪還により民主党チャック・シューマー上院院内総務が議題を決定できることになる。またバイデン政権の閣僚など政府高官も上院で承認が容易になる。より大規模な対コロナ経済支援策、インフラ整備法案の可決なども可能性が高まる。バイデン政権にとっては公約実現のうえで、トライフェクタは朗報だ』、確かにその通りだが、楽観も禁物だ。
・『2022年に早くも下院過半数を失うおそれ  ところが、次回選挙を考慮すると必ずしもバイデン氏は喜べないかもしれない。共和党が上院多数派を維持していた場合、左派が望むグリーン・ニュー・ディール、オバマケアの大幅な改革をはじめ左寄りの政策に関わる法案を議会で可決できないことについて、バイデン氏は共和党に責任を転嫁できた。しかし、トライフェクタでは左寄りの政策の法案可決に期待が高まり、政権に対する左派からの圧力が強まる。 だが、上院では財政調整法を利用した一部の法案を除き、フィリバスター(議事妨害)を廃止しない限り、採決に入るためには60票の賛成票が必要だ。つまり、引き続き穏健派を含む民主党上院議員の50票すべてと共和党上院議員10票が必要となる。また、下院でも民主党の過半数確保はギリギリの状態(民主党222議席、共和党211議席、空席2議席)である。民主党提出の法案にすべての共和党議員が反対した場合、民主党6人が造反すれば可決できない。 そのため、バイデン政権は穏健派の動向に配慮し、左派が望む法案をすべて推進するわけにはいかない。バイデン氏は左派と穏健派の間で板挟みとなる。その結果、不満を抱く左派は2024年大統領選民主党予備選で独自の候補を擁立する可能性さえあろう。 一方、共和党は、民主党がトライフェクタを成立させたために、かえって、民主党の政策を過激なものだとして、反対運動を展開しやすくなる。2020年大統領選では、民主党に対して、社会主義、過激な左派、とのレッテルを貼ったが、2022年の中間選挙で同様のことを行えば、共和党は特に下院を奪還する可能性がある。2021年、共和党はバイデン政権に協力せず、妨害行為を拡大するかもしれない。 日々の大統領のツイッターなどで振り回された4年間のトランプ政権の混乱後、バイデン政権は政策に一貫性を取り戻し、表面上はアメリカ政治が落ち着きを取り戻したように見えるかもしれない。しかし、バイデン氏は、同氏が不正選挙で選ばれたと考える多くのトランプ支持者、さらには民主党左派といったさまざまな抵抗勢力に対応せねばならない。危機対応においては幅広い国民からの支持が欠かせない。バイデン氏の政権発足後のハネムーン期間は短いものとなりそうだ』、「トライフェクタでは左寄りの政策の法案可決に期待が高まり、政権に対する左派からの圧力が強まる」、「上院では・・・引き続き穏健派を含む民主党上院議員の50票すべてと共和党上院議員10票が必要となる。また、下院でも民主党の過半数確保はギリギリの状態(民主党222議席、共和党211議席、空席2議席)である」、微妙な綱渡り状態を余儀なくされrそうだ。

次に、1月18日付けNewsweek日本版が掲載した元CIA諜報員のグレン・カール氏による「トランプ後の共和党とQアノン、アメリカのファシズム的未来」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/glenn/2021/01/q-1_1.php
・『<議事堂で「トランプ愛」を叫んだ暴徒に対し、警察の対応が弱腰だったのはなぜか。トランプが去っても「トランプ」は終わらない。変貌した共和党とQアノン(注)の陰謀論は、この国の民主主義を今後何年も危険にさらし続けるだろう>(本誌「トランプは終わらない」特集より) 怒れるドナルド・トランプ大統領の支持者が米連邦議会議事堂を占拠した事件を目にしたアメリカ人は、催涙ガスや議事堂のバルコニーにぶら下がる暴徒の姿に衝撃を受けた。 まさに反乱と呼ぶしかない事態は、残り任期わずかとなった政権の内部崩壊と大統領の弾劾につながる可能性がある。(編集部注:1月13日、下院により再び弾劾訴追を受けた) アメリカ民主主義の中心である連邦議会で起きた悪夢は、60年間にわたって悪化してきた政治的緊張の論理的・必然的な帰結だ。トランプは1月6日の連邦議会への突入を直接扇動し、最初はテレビ画面を見ながら喜んでいたという。 だがトランプは、現在の共和党を特徴付ける分断と社会的保守主義を一瞬だけ代表するグロテスクで無能なリーダーにすぎない。この根深い潮流はアメリカの社会と政治をますます麻痺させ、今後何年もこの国の民主主義を危険にさらすだろう。 1月6日に議事堂を占拠した暴徒のほとんどは白人だった。彼らは驚くべき計画性と組織性を示した。 わずか2時間前、ワシントンの2キロ離れた場所で演説したトランプは、議会による大統領選の結果認定に圧力をかけようと総勢4万人とも言われる群衆を直接扇動し、連邦議会議事堂に向かわせようとした。 「徹底的に戦わなければ、この国を奪われることになる。ワイルドなことになるぞ!」と、トランプは言った。 多数のトランプ支持者がリーダーの指示に従い、議事堂を襲撃。アメリカ民主主義の中心を占拠した。トランプ派のジョシュ・ホーリー上院議員は議事堂に入るとき、こぶしを上げて彼らの到着を歓迎した。 しかし、昨年11月3日の選挙結果を覆すという彼らの試みは失敗に終わった。当然だろう。 暴徒にできたのは破壊することだけ、「トランプ主義」とは怒りと恨み以外にほとんど何もない代物だ。それでも暴れ回るトランプ支持派は、民主主義と法の支配というアメリカ共通の理想を蹂躙することには成功した』、「わずか2時間前、ワシントンの2キロ離れた場所で演説したトランプは、議会による大統領選の結果認定に圧力をかけようと総勢4万人とも言われる群衆を直接扇動し、連邦議会議事堂に向かわせようとした」、明らかにけしかけたようだ。「トランプ派のジョシュ・ホーリー上院議員は議事堂に入るとき、こぶしを上げて彼らの到着を歓迎した」、上院議員がすることとは思えない。
(注)Qアノン:アメリカの極右が提唱している根拠のない陰謀論(Wikipedoia)
・『警官の対応が弱腰だった理由  国や社会が崩壊し始めるとき、人々は「内部の裏切り」に非難の矛先を向ける傾向が強くなる。不本意ながら筆者は、連邦議会の防衛ラインを突破した暴徒が迷路のような議事堂のどこに行けばいいか知っているように見えたことを指摘しなければならない。 そして彼らは、議事堂内で議論する議員たちを守る役目の警官の一部から、少なくとも暗黙の支援を受けているようにも見えた。警備担当者の一部については、暴徒が議事堂周囲のバリケードを通り抜けるのを許し、彼らと一緒に自撮り写真に興じる姿が映像に残っている。 警察が完全に不意を突かれ、議事堂への暴徒の襲撃に対処する計画を立てていなかったとは考えにくい。 ジョー・バイデン次期大統領の就任式前の期間、アメリカでは誰もが首都での暴力の危険性を議論していた。ワシントン市長は不測の事態に備え、数日前に州兵を招集していた。つまり、トランプ支持派による議事堂襲撃計画は周知の事実だった。 連邦議会議事堂の警備を担当する議会警察(USCP)は、襲撃や暴動から議事堂を守る計画を立てるのが唯一の仕事だ。 連邦政府で数十年働いた筆者の経験でも、想定し得る全ての脅威や攻撃にどう対応するかを全ての建物と職場で計画し、訓練を行っていた。ところが議事堂を占拠した暴徒は、当局がようやく態勢を整えるまでの4時間、自由に動き回っていた。 もっとも、議会が暴徒に蹂躙されるような大惨事の原因は、悪意ある陰謀ではなく組織的無能の結果であることが多い。筆者も何度となく経験したことだ。 連邦議会の敷地の警護を任された600人の警官は、暴力的な無数のデモ隊による襲撃に対処する準備ができていなかった。議会警察の責任者は無計画のまま、現場の警官を置き去りにした。 だが賢明なことに、警察は武力の行使は避ける決意を固めていたようだ。武力行使は危険なデモを血の海に変え、アメリカ民主主義の中心たる議事堂の階段や廊下で数十人以上が命を落とす危険性があった。 国防総省はこの日のデモを見越して招集された300人の州兵の役割を交通整理などの「非対立的」な仕事に限定し、武装を禁止した。6カ月前、ホワイトハウス前で行われたBLM(ブラック・ライブズ・マター=黒人の命は大事)運動のデモに対する行き過ぎた対応の二の舞いを避けたかったのだろう』、「賢明なことに、警察は武力の行使は避ける決意を固めていたようだ。武力行使は危険なデモを血の海に変え、アメリカ民主主義の中心たる議事堂の階段や廊下で数十人以上が命を落とす危険性があった」、大規模な流血が避けられたことは、確かに不幸中の幸だ。
・『南北戦争以降で最悪の危機  そのため警官たちは、自分たちだけで暴徒と対峙する羽目に陥り、観光客を誘導するためのバリケード以外に何もない状態で襲撃に対処していた。 暴徒は1人の警察官を消火器で殴りつけ、殴られた警官はこのときの負傷が原因で死亡した。暴徒の1人は襲撃の際に射殺され、当局が4時間以上たって治安を取り戻すまでに、さらに3人が命を落とした。 賢明な自制心のためか、それとも内心でトランプ支持派に共感していたのか。それはともかく、暴徒の襲撃に対する警察の弱々しい対応は、半年前の完全に平和的なBLMのデモに対する暴動鎮圧用装備の兵士の対応と対照的だった。 議事堂で銃撃を受けて死亡した暴徒の女性がトランプ支持の極右陰謀論グループ「Qアノン」の思想を信奉していたことは意外ではない。Qアノンの陰謀論によれば、トランプはアメリカを救うために神が送り込んだ救世主だとされる。 トランプは、世界を牛耳る官僚や民主党員、ユダヤ人、CIA職員、国際金融資本などによる陰謀から一般庶民を守ろうとしていて、これらの勢力はトランプを抹殺しようとしている──と、Qアノンは信じている(ちなみに、筆者は元CIA工作員・元米連邦政府職員で、民主党を支持していて、子供時代にユダヤ人の町で育ち、金融機関で働いた経験もあるが、残念ながら世界を牛耳ってはいない)。 暴動は得てしてそういうものだが、議事堂で起きた出来事は、トランプ支持派にダメージを与える結果を招いた。 上院で誰よりも卑屈なまでにトランプ支持を打ち出していたホーリーとテッド・クルーズの両上院議員はこの一件で厳しい批判を浴び、2人の政治的立場は(少なくとも現時点では)今回の事件が起きる前よりもかなり苦しくなっている。 トランプ自身も、ついに大統領選での敗北を認めざるを得なくなった。 トランプ支持派の議事堂乱入は、アメリカにとって19世紀半ばの南北戦争以降で最悪の危機と言っていい。しかし、アメリカの民主主義に対してそれ以上に大きな危険の種は、昨年11月の大統領選でトランプに投票した膨大な数の有権者の思考の中に潜んでいる。 それにより、アメリカは、トランプが去った後も長期にわたり、社会的・政治的な分断と衝突に苦しめられるだろう。 共和党はこの60~80年ほどの間、右傾化し続けてきた。これは、圧倒的に白人中心だったアメリカ社会が多民族社会へ移行し、あらゆるグループに平等な権利を認めるようになり始めたことへの反発が生み出した結果だった。 共和党は白人の既得権、大企業の利益、一部の人への富の集中を擁護する政党に変貌している。今日の共和党的発想によれば、連邦政府の政策はほぼ全て、「昔ながらの生き方」と「自由」を否定し、白人に犠牲を強いてマイノリティーを「不公正に」(とこの勢力は考えている)優遇するものに見えている』、「暴徒の襲撃に対する警察の弱々しい対応は、半年前の完全に平和的なBLMのデモに対する暴動鎮圧用装備の兵士の対応と対照的だった」、「アメリカの民主主義に対してそれ以上に大きな危険の種は、昨年11月の大統領選でトランプに投票した膨大な数の有権者の思考の中に潜んでいる。 それにより、アメリカは、トランプが去った後も長期にわたり、社会的・政治的な分断と衝突に苦しめられるだろう。 共和党はこの60~80年ほどの間、右傾化し続けてきた。これは、圧倒的に白人中心だったアメリカ社会が多民族社会へ移行し、あらゆるグループに平等な権利を認めるようになり始めたことへの反発が生み出した結果だった」、深い分析だ。
・『トランプ後も変わらないもの  壊された議事堂の窓ガラスはいずれ修復され、建物に充満した催涙ガスの臭いはすぐに消えるだろう。そして、トランプはやがて嘲笑の対象になるだろう。トランプ後の共和党を主導する政治家たちが公然と暴動をけしかけることも考えにくい。 しかし、共和党を支持する社会的・人種的グループがアメリカ社会の支配的地位から滑り落ち続けることに変わりはない。共和党のリーダーたちはこれからも、役割を果たそうとする政府の足を引っ張り、社会変革と経済的再分配を妨害し続けるだろう。 共和党は、異人種に対して被害者意識を抱く人々の政党と化していて、政府の機能を有用なものと考えず、自分たちの「リーダー」を祭り上げることにより、民主政治の「抑制と均衡」の仕組みを弱体化させようとしている。 これは、もはやファシズム以外の何物でもない。問題は、そのような政党がアメリカの2大政党の1つであることだ。 4年半前の2016年7月、トランプがこの年の米大統領選の共和党候補者指名を獲得したとき、筆者は本誌への寄稿「自称『救世主』がアメリカを破壊する」の中でこう記した(2016年8月9日号)。 「古代ギリシャの哲学者は(トランプの)出現を予見していた......古代の賢人が警告してから2400年後、そして近代初の民主共和制の国アメリカが誕生してから240年後の今、賢者の警告を裏付けるようにトランプは出現し、アメリカの政治制度を破壊しようとしている」 アメリカ政治の麻痺状態は、今後もますます深刻化するだろう。共和党が政治的存在感を失い、政治システムが白人の怒りと不満と妨害行為を克服し、金融エリートたち(大半は白人だ)が経済的・政治的実権を握り続ける状況に終止符が打たれるまで、政治の機能不全は続く。 アメリカの民主政治は、トランプ政権の4年間で破壊される一歩手前まで来た。トランプと共和党が生み出したQアノンの狂気とファシズムは、その破壊をいっそう進行させるのかもしれない。 <2021年1月19日号「トランプは終わらない」特集より>』、「共和党は、異人種に対して被害者意識を抱く人々の政党と化していて、政府の機能を有用なものと考えず、自分たちの「リーダー」を祭り上げることにより、民主政治の「抑制と均衡」の仕組みを弱体化させようとしている。 これは、もはやファシズム以外の何物でもない。問題は、そのような政党がアメリカの2大政党の1つであることだ」、事実とすれば、恐ろしいことだ。著者は民主党系なので、共和党系の人の見解も知りたいところだ。

第三に、1月26日付けJBPressが:Financial Timesを転載した「米国という共和政国家の臨死体験 大統領が企てたクーデターの衝撃――マーティン・ウルフ」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/63799
・『起きたことは、以下の通りだ。 米国のドナルド・トランプ大統領は何カ月もの間、何の裏付けもなく、公正な選挙で自分が負けるはずはないと断言していた。 案の定、敗北すると不正な選挙のせいにした。この主張には今でも、共和党支持者が5人に4人の割合で同意している。 大統領は、選挙結果を覆すよう各州の当局者に圧力をかけた。 これに失敗すると、今度は各州から送られてきた大統領選挙人の投票結果に目をつけ、副大統領と連邦議会議員を脅してこれらを却下させようとした。 さらには、その求めに従うよう議会に圧力をかけるために、議事堂を襲撃するよう扇動した。 その結果、約147人の連邦議会議員(うち8人は上院議員)が、州から提出された投票結果を却下することに賛成した』、「マーティン・ウルフ」氏は、チーフ・エコノミクス・コメンテーターで、よく日経新聞んも寄稿している。「約147人の連邦議会議員(うち8人は上院議員)が、州から提出された投票結果を却下することに賛成した」、というのは深刻だ。
・『「大嘘」が反乱に発展  端的に言えば、トランプ氏はクーデターを企てた。 もっと悪いことに、共和党支持者の大多数は、こうした行動を取ったトランプ氏の理屈を受け入れている。ものすごい数の連邦議会議員が同調した。 クーデターが失敗したのは、裁判所が証拠のない訴えを棄却し、各州の当局者がきちんと務めを果たしたからだ。 だが、歴代の国防長官10人は、選挙に関与しないよう米軍に警告する必要性を感じた。 筆者は2016年3月、トランプ氏が共和党大統領候補に指名される前から、この人物は重大な脅威になると論じていた。 トランプ氏が、偉大な共和政国家の指導者に求められる資質を全く持ち合わせていないことは明らかだった。 ところがその後、甚だしい不適格さを補う「欠点」があることが判明した。 ある民主主義国について次のような話を聞かされたら、読者はどう反応するだろうか。 現職が明らかな敗北を喫した選挙が不正に行われたものだったという「大嘘」、この嘘を拡散した偏向メディア、それを信じた有権者、反乱を起こした暴徒による議会襲撃、そして、その嘘が作り出した疑惑に対処するために選挙を中断しなければならないと主張する議員たち――。 恐らく、この国は死の危険にさらされていると結論づけるだろう。 米国は多数決主義の国家ではない。小さな州はその少ない人口に見合わない議決権を持ち、人種差別による投票権行使抑制の歴史がある州すら存在する。 しかし、誰が政権を握るかは選挙で決めることになっている。 2大政党の片方の支持者の大半が、自分たちが負けた選挙は「盗まれた選挙」だと考えたら、果たしてこの仕組みは機能するだろうか。 平和的に権力を獲得し、正統にこれを保持することなど、できるものか。どちらが政権を担うかを決める要因は、暴力しか残らない』、「クーデターが失敗したのは、裁判所が証拠のない訴えを棄却し、各州の当局者がきちんと務めを果たしたからだ」、なるほど。「2大政党の片方の支持者の大半が、自分たちが負けた選挙は「盗まれた選挙」だと考えたら、果たしてこの仕組みは機能するだろうか。 平和的に権力を獲得し、正統にこれを保持することなど、できるものか。どちらが政権を担うかを決める要因は、暴力しか残らない」、恐ろしいことだ。
・『ポスト・トゥルースはプレ・ファシズム  米エール大学のティモシー・スナイダー氏が主張するように、「ポスト・トゥルースはプレ・ファシズムであり、トランプが我々のポスト・トゥルース大統領だった」。 もし真実が主観的なものなら、力が物事を決めるしかない。そうなれば、本当の意味での民主主義は存在し得ない。 互いににらみ合う乱暴者の集団が複数できるか、ボスが率いる圧倒的に大きな集団が1つできるかのいずれかだ。 米国という共和政国家の国際的な信用にとってこれがいかにひどい時代だったか、そして世界各地の独裁者たちをいかに喜ばせてきたか、楽観論者であっても同意せざるを得ないだろう。 しかし、楽観論者は次のように言うかもしれない。 米国は厳しい試練の時代をくぐり抜けてきた、今度もまた国内外で約束を新たにする、ちょうど1930年代に、今よりもはるかに危険だった時代にフランクリン・ルーズベルトがやったように――。 残念ながら、筆者はそう思わない。共和党は扇動のせいですっかり堕落してしまっている。 筆者が本稿を書くや否や、左派の暴力や社会主義者についての不満が語られ始めることは分かっている。 しかし、民主党の主要メンバーには、トランプ氏に相当する人物は絶対に見当たらない。プレ・ファシストがいるのは右派の方だ。 もっと悪いことに、トランプ氏自身は病原体ではなく症状でしかない。ジェームズ・マードック氏は先日、次のように語った。 「議会議事堂の襲撃は、我々が危険だと考えていたものが本当に、恐ろしいほど危険であることを証明している。視聴取者に嘘を広めてきた放送局は、気がつかないうちに拡散して手に負えなくなる勢力を野に放った。連中はこの先何年も、我々の近くに居続ける」 父親のルパート・マードック氏が築いた、あの有害なフォックス・ニュースのことを言っていたのだろうか』、「もっと悪いことに、トランプ氏自身は病原体ではなく症状でしかない」、確かにその通りなのかも知れない。
・『共和党が進む道  トランピズムのポスト・トゥルース的世界の創出において右翼メディアのバブルが一役買ったことは明らかだ。 富豪が資金を提供した「制度内への長征」(注)についても、同じことが言える。 この長征によって作り出された司法部門は一般庶民の武装、目に見えない政治献金、そして格差の拡大をもたらし、民主的な安定性を危険にさらしている。 最も厄介なのは、減税や規制緩和の実行に必要な有権者の支持を集めるために、人種による分断の政治という、米国史の非常に不愉快な一部分を共和党のエリートが兵器として利用したことだ。 早すぎる「絶望死」を経験しているのは、大学卒の学歴を持たない白人たちだ。しかし、右翼の真の敵はリベラル派であり、社会における少数派民族だ。 右派の政治が今の姿を保つ限り、大統領選以降に露わになった危険性が消えることはない。連邦議会の共和党議員は、ジョー・バイデン新大統領を失敗させようとするだろう。 狂信的な議員と、自分の出世を何よりも重視する議員は手を組み続ける。常軌を逸した右翼プロパガンダも吐き出され続けるだろう。 そのような運動が次の大統領候補に選ぶのは、果たしてどんな人物か。ミット・ロムニー氏のような従来型の保守政治家だろうか。そうではあるまい。 トランプ氏は道を示した。今後は多くの人々がその道をたどろうとするだろう。 あれほど多くの共和党議員が連邦政府を失敗させたり富める者をさらに富ませたりすることを目標に掲げている限り、同党の政治はそのように機能するに違いない』、「トランプ氏は道を示した。今後は多くの人々がその道をたどろうとするだろう。 あれほど多くの共和党議員が連邦政府を失敗させたり富める者をさらに富ませたりすることを目標に掲げている限り、同党の政治はそのように機能するに違いない」、困ったことだ。
(注)「制度内への長征」:1960年代、西ドイツの学生運動家のルディ・ドゥチュケが唱えた社会の機構の完全な一部となることにより、政府や社会の中から過激な変革を実現するという考え方(Wikipedia)。米国の動きとの関連は不明。
・『歴史の大きな転換点  我々は歴史の重要な転換点にさしかかった。 米国は世界で最も強く、最も大きな影響力を誇る民主的な共和制国家だ。過ちや欠点がどれほどあっても、世界の手本であり、民主的な価値観の守護者だった。 トランプ氏の指揮下で、これが消え失せた。トランプ氏は一貫して、この共和制国家の理想に体現された価値観や願望に敵対していた。 トランプ氏は失敗した。しかも、同氏がクーデターを企ててから、同氏の脅威が現実のものだったことを誰も否定できなくなっている。 だが、それでは十分ではない。もし米国の政治が今後、大方の予想通りに展開していくなら、トランプのような人物は増えていく。 そのなかには、トランプ氏本人よりも有能で無慈悲な人物がいて、成功を収めるかもしれない。 そのような事態を阻止するのであれば、米国政治は今こそ、真実を重んじる姿勢と排他的でないタイプの愛国主義へのシフトを断行しなければならない。 共和政を取っていた歴史上最後の超大国はローマだったとされる。しかし、富裕層と権力者が共和政を破壊し、軍事独裁政を敷いた。 米国が誕生する1800年も前の話だ。米国という共和政国家はトランプの試練を生き延びた。だが、まだ死の淵から救い出してやる必要がある』、「ローマ」帝国を持ち出すとはさすが、英国人のコメンテータらしい。「米国という共和政国家はトランプの試練を生き延びた。だが、まだ死の淵から救い出してやる必要がある」、「救い出す」にはかなり難路で、相当の努力も必要なようだ。
タグ:東洋経済オンライン JBPRESS Financial Times Newsweek日本版 渡辺 亮司 グレン・カール トランプ VS バイデン (その3)(アメリカ分裂でバイデン政権の舵取りは困難に 当初から共和党と民主党左派の挟み撃ちに遭う トランプ後の共和党とQアノン アメリカのファシズム的未来、トランプ後の共和党とQアノン アメリカのファシズム的未来、米国という共和政国家の臨死体験 大統領が企てたクーデターの衝撃――マーティン・ウルフ) 「アメリカ分裂でバイデン政権の舵取りは困難に 当初から共和党と民主党左派の挟み撃ちに遭う」 熱狂的なトランプ支持者は、2020年大統領選を「93便選挙」と称していた」、やはり彼らの熱量は相当高かったようだ 共和党支持者の多くはトランプ勝利を信じている これらのメディアやソーシャルメディアを通じて情報を得る多くのトランプ支持者は、陰謀説による妄想の別世界にいる。事実上のクーデターに参画しているという自覚がない支持者が多数いるとも、指摘されている」、恐ろしい「分断」だ 「発足当初から政権運営の最大の悩みの種となるのは、南北戦争(1861~1865年)以来とも指摘される社会の二極化」、その通りだろう バイデン氏の中道政策に反発、党内の亀裂も鮮明 バイデン政権にとっては公約実現のうえで、トライフェクタは朗報だ』、確かにその通りだが、楽観も禁物だ 2022年に早くも下院過半数を失うおそれ 「トライフェクタでは左寄りの政策の法案可決に期待が高まり、政権に対する左派からの圧力が強まる」 引き続き穏健派を含む民主党上院議員の50票すべてと共和党上院議員10票が必要となる。また、下院でも民主党の過半数確保はギリギリの状態(民主党222議席、共和党211議席、空席2議席)である」、微妙な綱渡り状態を余儀なくされrそうだ。 「トランプ後の共和党とQアノン、アメリカのファシズム的未来」 「わずか2時間前、ワシントンの2キロ離れた場所で演説したトランプは、議会による大統領選の結果認定に圧力をかけようと総勢4万人とも言われる群衆を直接扇動し、連邦議会議事堂に向かわせようとした」、明らかにけしかけたようだ 「トランプ派のジョシュ・ホーリー上院議員は議事堂に入るとき、こぶしを上げて彼らの到着を歓迎した」、上院議員がすることとは思えない 警官の対応が弱腰だった理由 賢明なことに、警察は武力の行使は避ける決意を固めていたようだ。武力行使は危険なデモを血の海に変え、アメリカ民主主義の中心たる議事堂の階段や廊下で数十人以上が命を落とす危険性があった」、大規模な流血が避けられたことは、確かに不幸中の幸だ 南北戦争以降で最悪の危機 アメリカの民主主義に対してそれ以上に大きな危険の種は、昨年11月の大統領選でトランプに投票した膨大な数の有権者の思考の中に潜んでいる。 それにより、アメリカは、トランプが去った後も長期にわたり、社会的・政治的な分断と衝突に苦しめられるだろう。 共和党はこの60~80年ほどの間、右傾化し続けてきた。これは、圧倒的に白人中心だったアメリカ社会が多民族社会へ移行し、あらゆるグループに平等な権利を認めるようになり始めたことへの反発が生み出した結果だった」、深い分析だ トランプ後も変わらないもの 共和党は、異人種に対して被害者意識を抱く人々の政党と化していて、政府の機能を有用なものと考えず、自分たちの「リーダー」を祭り上げることにより、民主政治の「抑制と均衡」の仕組みを弱体化させようとしている。 これは、もはやファシズム以外の何物でもない。問題は、そのような政党がアメリカの2大政党の1つであることだ」、事実とすれば、恐ろしいことだ 著者は民主党系なので、共和党系の人の見解も知りたいところだ 「米国という共和政国家の臨死体験 大統領が企てたクーデターの衝撃――マーティン・ウルフ」 マーティン・ウルフ」氏は、チーフ・エコノミクス・コメンテーター 「約147人の連邦議会議員(うち8人は上院議員)が、州から提出された投票結果を却下することに賛成した」、というのは深刻 「大嘘」が反乱に発展 クーデターが失敗したのは、裁判所が証拠のない訴えを棄却し、各州の当局者がきちんと務めを果たしたからだ 2大政党の片方の支持者の大半が、自分たちが負けた選挙は「盗まれた選挙」だと考えたら、果たしてこの仕組みは機能するだろうか。 平和的に権力を獲得し、正統にこれを保持することなど、できるものか。どちらが政権を担うかを決める要因は、暴力しか残らない」、恐ろしいことだ ポスト・トゥルースはプレ・ファシズム もっと悪いことに、トランプ氏自身は病原体ではなく症状でしかない 共和党が進む道 トランプ氏は道を示した。今後は多くの人々がその道をたどろうとするだろう。 あれほど多くの共和党議員が連邦政府を失敗させたり富める者をさらに富ませたりすることを目標に掲げている限り、同党の政治はそのように機能するに違いない」、困ったことだ 「制度内への長征」 歴史の大きな転換点 「ローマ」帝国を持ち出すとはさすが、英国人のコメンテータらしい 「米国という共和政国家はトランプの試練を生き延びた。だが、まだ死の淵から救い出してやる必要がある」、「救い出す」にはかなり難路で、相当の努力も必要なようだ。
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インフラ輸出(その11)(国が推進「オールジャパン鉄道輸出」悲惨な実態 円借款事業でも車両は海外メーカー製導入へ、あれから6年 日本が勝ち取った「タイ新幹線計画」は幻に終わるのか?、日本協力の在来線高速化にインドネシアが中国招請 高速鉄道計画で飲まされた煮え湯 今度は在来線高速化計画でも?) [インフラ輸出]

インフラ輸出については、昨年1月18日に取上げた。今日は、(その11)(国が推進「オールジャパン鉄道輸出」悲惨な実態 円借款事業でも車両は海外メーカー製導入へ、あれから6年 日本が勝ち取った「タイ新幹線計画」は幻に終わるのか?、日本協力の在来線高速化にインドネシアが中国招請 高速鉄道計画で飲まされた煮え湯 今度は在来線高速化計画でも?)である。

先ずは、昨年9月18日付け東洋経済オンラインが掲載したアジアン鉄道ライターの高木 聡氏による「国が推進「オールジャパン鉄道輸出」悲惨な実態 円借款事業でも車両は海外メーカー製導入へ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/375911
・『案の定というほかない。9月9日、ミャンマーの現地紙ミャンマータイムズは、ミャンマー国鉄(MR)幹部の話として、日本が円借款事業として進める「ヤンゴン・マンダレー鉄道整備事業(フェーズⅡ)」向けの電気式気動車180両をスペインの鉄道車両メーカー、CAFと三菱商事から調達する計画であると報じた。 現地の鉄道関係者によると、CAFの受注はほぼ確定しているという。この通り進めば、日本企業の受注を前提とした「本邦技術活用条件(STEP)適用案件」(日本企業からの調達が求められる)にて、日本の車両メーカーの応札なしという事態が再び発生したことになる。 これまでも筆者はミャンマーにおける鉄道整備事業を追跡し、その危うさを指摘してきたが、最悪の方向に進みつつある。政府が推し進める「オールジャパンの鉄道輸出」の悲惨な実態をレポートする』、「「本邦技術活用条件(STEP)適用案件・・・にて、日本の車両メーカーの応札なしという事態」、どういうことだろう。
・『「日本製」24両で打ち止めか  ヤンゴン・マンダレー鉄道整備事業は、ミャンマー第1の都市ヤンゴンと第2の都市マンダレーの間、約620kmの老朽化した設備を改修・近代化する事業である。新型車両の導入により、所要時間は現行の約14時間から8時間に短縮される予定だ。さらに、これと並行して、ヤンゴンの「環状線改良事業」も進んでいる。 車両関係でいえば合計270両という大量受注のチャンスが車両メーカーにはあった。しかし、5月16日付記事「再び中古車両頼み?日本の鉄道輸出『前途多難』」でお伝えした通り、環状線改良事業においても入札不調から調達期限を遵守できず、苦肉の策として中古車両を無償譲渡し、なんとか日本側の面目を保っている状況である。フェーズⅡ向け車両をCAFが受注すれば、実際に日本から輸出されるのは「フェーズⅠ」と呼ばれる先行整備区間向けの24両のみという結果に終わることになる。 折しも、フェーズⅠ向けのうち最初の6両がメーカーの新潟トランシスから出荷され、9月5日にミャンマーに上陸したところだった。ちなみに、同国はコロナ禍で外国人入国禁止措置が続いているが、車両立ち上げに関わる関係者はチャーター便にて現地入りしている。) 車両については、今後の246両も新潟トランシスが同一設計の車両(環状線向けは通勤仕様)を導入するだろうというのが一般的な見方だった。ただでさえ製造コストのかさむ電気式気動車であり、同社にとっては初の製造である。量産に移行してようやくペイできるかどうかといったところだろう。それでも、続いての入札には参加しなかったのだ。 筆者の個人的感覚で大変恐縮であるが、この新型車両が公の場に現れたとき、「これはないな……」というのが第一印象であった。良く言えばノスタルジックな車両、悪く言えば時代遅れなのである。 もちろん、日本の最新技術が搭載されていることは百も承知である。筆者がいうのはそのデザインである。そこからは、予算を限界まで削ったのであろうことが伝わってくる。新生MRのフラッグシップとなる車両である。これが発注者たるMRが要望した姿なのだろうかと。この時に悪い予感はあった。だから、案の定なのである』、「デザイン」はともかく、「電気式気動車」の「続いての入札には参加しなかった」理由は何なのだろう。
・『国内メーカーの製造能力に課題  それからもう一つ、JICAが公開している「ミャンマー国ヤンゴン・マンダレー鉄道整備事業フェーズⅡ準備調査ファイナルレポート」には車両の調達計画について気になる記述がある。 「現地組立を行わないことが決まったのち、特急列車用車両の調達についての検討が行われ、最終的に 180 両を調達することが決まった。複数の日本の車両製造業者に本プロジェクト期間中の製造能力を確認した結果、第一編成の引き渡しが着手から 36 か月、第二編成以降の引渡しは 1ヶ月/編成(6 両)の間隔が必要と判明したことから、平成 25 年(※)5月までに調達が可能と判断し MR に提案した。しかしながら、最終段階にて MR 側は 2024 年 12 月までにすべての調達が終了するよう強く要請し、結果として、日本側は調達のスケジュールの前倒しをすることでその要請を受け入れることとしたが、詳細設計において、メーカーの製造能力とスケジュールに関する詳細な調査が必要である」(原文ママ)(※平成25年は2025年の誤記であると思われる) なお、このレポートには同時に、前提条件として、「フェーズⅠの車両と共通して運用するために同じ仕様とすることが求められる」とも書かれていることを付け加えておく。 前述のミャンマータイムズの報道には、フェーズⅠ向けの新潟トランシス製車両の今後の到着予定も記されており、それによれば今年12月、そして2021年2月、4月の計3回に分けて残りの18両が現地に搬入されるという。これが正しければ、新潟トランシスでは現状、生産可能なのは2カ月に1編成(6両)ということになる。 さて、CAFと三菱商事という組み合わせを聞いて、思い当たる節がある方もいるのではないかと思う。フィリピンのマニラ首都圏大量旅客輸送システム拡張事業(マニラLRT1号線の延伸計画)である。 「本邦技術活用条件(STEP)適用案件」ながら、2016年に応札者なしで初回入札が不調に終わり、その後も応じる国内メーカーはなく、2017年に三菱商事とCAFのコンソーシアムが受注した。 この入札不調の後、国土交通省は「鉄道産業の抱える課題及び対応の方向性」を発表(2016年8月22日付記事「鉄道『オールジャパン」のちぐはぐな実態』」参照)したわけであるが、状況は何も変わらなかったのだ。 今回もマニラと同じスキームだとすれば、車両製造はCAFが実施することになるものの、電気式気動車の主回路装置部分については三菱電機が納入することになるだろう。新潟トランシス製車両も同社製の電装品を採用している。 ミャンマータイムズの記事によると、金額は180両で4億900万米ドルといい、1両あたり日本円にしておよそ2億4000万円だ。新潟トランシス製車両よりもやや安い』、「2016年に応札者なしで初回入札が不調に終わり、その後も応じる国内メーカーはなく、2017年に三菱商事とCAFのコンソーシアムが受注した」、「入札が不調に終わ」った理由は何だったのだろう。
・『日本の「鉄道輸出」の未来は?  現地報道によれば、環状線向け車両66両についてもCAF製車両が導入されるようだ。こうなってくると、今後の日本には2つの未来が待ち構えているといえそうだ。 まず1つ目は、日本の重電メーカー+海外車両メーカーという組み合わせが鉄道海外輸出の主流になるという未来である。日本製よりも安く、デザインなどもより柔軟に対応できる。しかも核心部は日本製であるため信頼が持てる。 日本政府の言う「官民一体」に当たらないだけで、現にこのような組み合わせの車両輸出は多い。円借款案件でもデリーメトロや北京地下鉄、武漢都市鉄道、マニラLRT2号線などがそうだ。当時「本邦技術活用条件(STEP)適用案件」という枠組みがなく、政府間契約において日本メーカーが全く海外メーカーに太刀打ちできなかったというのが正しいわけだが、これらの反省から、近年の鉄道案件は基本的に日本タイドとなった。 それが、いつの間にやら安倍政権の下「オールジャパン」などと掲げられるようになった。 ミャンマー向け車両受注では、すでにJR東日本・JR北海道向けに、類似した仕様の電気式気動車を量産している川崎重工が大本命と関係者の誰しもが予想していた。しかし同社は応札しなかった。 ほかに電気式気動車を製造する可能性があるメーカーとしては日本車輛製造、日立製作所なども挙げられるが、前者はアメリカ、そしてインドネシア案件で大幅な損失を出しており、当分海外案件には手を出さないだろうというのがもっぱらの噂である。車両輸出に積極的な後者は、タイのバンコクレッドライン、ベトナムのホーチミンメトロと円借款案件を抱えており手いっぱいだ。 その結果、海外案件から最も遠いと思われていた新潟トランシスが受注したわけであるが、フェーズⅡには繋がらなかった。 このような状況を反映してか、2018年には「円借款・本邦技術活用条件(STEP)の制度改善」が実施されており、入札不調の場合などの「原産地ルール」がやや緩和されている。日本製品が使用されていれば、どこで組み立てられようが構わないのである。つまり、「オールジャパンの鉄道輸出」など、実態の伴わない幻影になってゆく可能性が高い』、「近年の鉄道案件は基本的に日本タイドとなった。 それが、いつの間にやら安倍政権の下「オールジャパン」などと掲げられるようになった」、実際には「日本タイド」にはなっていないようだ。
・『日本への信頼失墜を招く恐れも?  そして2点目は、CAF製車両がミャンマーの環境に適さず、走行が困難になった場合、ミャンマー政府からの日本への信頼が失墜するという未来である。 これは最悪のシナリオだ。日本製機器が採用されても、その他の装置や仕様は完全にヨーロッパタイプの車両となる模様だ。ただでさえ車両メンテナンスに苦慮しているMRで2種類の新型車両が入ることになる。それだけではなく、すでに日本側は「鉄道車両維持管理・サービス向上プロジェクト」などを通じて、日本製の気動車車両の導入を前提とした教育を行っている。そこにヨーロッパタイプの車両が入ったとき、MRが対応できるかどうかは未知数である。 また、安く車両を売ってメンテナンスで稼ぐ(消耗品も含め純正品以外使えない)というヨーロッパ式のシステムに資金力のないMRが対応できないことが予想される。故障したら最後、スペアパーツが購入できず、車両は車庫で朽ち果てることにもなりかねない。 故障で使えないということになれば、メーカーがどこであれ日本が入れた車両であることに変わりはなく、言い逃れはできないだろう。最終的に日本が無償援助などでリハビリをすることになれば、結局高くつくのである。中国、韓国・インド、それにドイツがミャンマーへの鉄道支援を着々と進めている中で、これは大きな足かせにもなるだろう。 そもそもMRは当初、より安価でメンテナンスが容易な機関車+客車編成の導入を求めていた。とくに特急用車両ならば、費用対効果で見れば圧倒的に有利な方式である。しかし、今や日本では大型ディーゼル機関車も客車もほとんど生産していない。だから、日本側は電気式気動車の導入を半ば強引に提案した。しかし、それすらも導入できなかったのである。あまりにもだらしない話である。 簡単に言えば、日本は海外に鉄道車両を輸出できるほどの力がないのである。それを政府が認めないから歪が出るのだ。いっそのこと、「鉄道設備・信号輸出」にでも名前を変えたらどうだろうか。車両輸出に比べれば、まだ健闘している。すべてを「オールジャパン」でやるというのは非現実的だ』、「日本は海外に鉄道車両を輸出できるほどの力がないのである。それを政府が認めないから歪が出るのだ」、政府が「インフラ輸出」の旗を振り続けているのは、余りに無責任だ。
・『日本は「身の丈」を考えよ  筆者は日本の車両メーカーに技術がないと言っているのではない。電気式気動車にしても国内需要の少なさでコストダウンは難しく、従来の液体式気動車もメンテナンス技術が失われつつある。大型ディーゼル機関車も然りだ。海外輸出を満たせるほどの国内需要がないのが最大の要因だと言いたいのだ。 現状、日本が海外向けに生産できるのは通勤電車と新幹線だけというのは業界の人間ならば誰しもが認めることだ。しかし、世界に日本の高性能な通勤電車、そして新幹線を必要とする国がどれほどあるのだろうか。 政府は世界に日本の技術を広めるなどという崇高な理想を語る前に、国内の疲弊しきった鉄道システムを再興させることのほうが先決ではないか。利益至上主義で長距離・夜行列車は消え、台風が来るたびに被災したローカル線が復活することなく消えていく世の中だ。これは途上国以下のレベルである。 「官民一体となった鉄道インフラ輸出」など、言わば「人口が減ったから外国人を呼べばいい」と同じ安直な発想だ。身の丈も考えずに「オールジャパン」「鉄道海外輸出」と振りかざす日本政府、国交省ならびに関係者は猛省すべきである。そして、JICAは国民の血税をつぎ込んだ揚げ句、誰も得をしない開発援助案件など実行すべきでない』、全く同感である。

次に、1月18日付けYahooニュースが転載したGLOBE「あれから6年 日本が勝ち取った「タイ新幹線計画」は幻に終わるのか?」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/69d69b0185612363662dcbe1ff782fe69ef9691d
・『タイの首都バンコクと北部チェンマイを結ぶ高速鉄道(672キロ)の建設が、ぴくりとも動かない。日本とタイの政府の間で、新幹線の投入に合意してからまもなく6年。日本のインフラ輸出の目玉の一つと期待された事業は、まぼろしと消えゆくのか』、「6年」経っても「ぴくりとも動かない」とはただ事ではない。
・『6年越し1ミリも進まず その舞台裏は  バンコクから北へ約700キロ。観光客にも人気の古都チェンマイとの間には、飛行機や長距離バスが頻繁に往来している。格安航空なら片道数千円だ。チェンマイ中心部の人口は13万人程度。在来線で14時間かかるところが、高速鉄道で3時間半に短縮されたとしても、集客力には疑問符がつきまとう。 日本とタイの両国政府がバンコク―チェンマイに新幹線を整備する協力(正しくは「定」?)に合意したのは、2015年のこと。いまも実現に向けて調査が続いている。関係者の間では「永遠の調査路線」とも呼ばれ、タイの地元紙もときおり、「廃案検討」(英字紙バンコクポスト)と伝える。 鉄道ビジネスにかかわる日本企業の幹部は、あっさりと言う。「進まないのはなぜかって? 採算に合わない。それに尽きる」。事業費は、総額5000億バーツ(約1兆7千億円)近くと試算されている。一期工事として、バンコクから約380キロほど先にある都市ピッサヌロークまでに区切って建設するとしても、2700億バーツ、日本円にして1兆円近くかかるという。 日本政府はタイ政府に円借款を供与し、日本製の車両や信号など新幹線システムを売ったり沿線開発にかかわったりすることで、日本企業が潤うともくろんだ。この区間が赤字になったとしても日本には関係なく、タイ政府が公共交通を支えるだろう、と。 だが、タイ側は「新幹線」の運営会社を両国で設立し、日本企業も沿線でのビジネスだけでなく鉄道事業の経営を担ってほしい、と期待した。赤字になれば、ともに責任を負う仕組みだ。 日本企業はそっぽを向いてしまった。「中国の国有企業じゃあるまいし、民間企業がそんなリスクをとれるわけがない。日本政府の出資はさらにありえないでしょう。非現実的な計画を、両国の政治家がアドバルーンとして打ち上げた」。この幹部は解説する。 そんな計画が、どうして生まれ落ちたのだろう。 時計の針を、2014年まで巻き戻してみよう。 14年5月。タイで軍事クーデターによって成立した政権が発足した。元陸軍司令官のプラユット暫定首相が、軍事政権発足後に初めて来日したのは15年2月のこと。安倍晋三首相(当時)と会談し、いくつかの経済協力に合意した。「新幹線」は含まれていなかったが、日本はその呼び水として在来線の複線化工事などを約束した。翌3月。第3回国連防災世界会議に出席するため再び来日したプラユット氏に対し、安倍氏は新幹線を念頭に「鉄道協力」を持ちかけた。一行には、2月は東海道新幹線を東京から新大阪まで、3月は東北新幹線を東京から仙台まで試乗してもらった。 二つの来日の受け入れにかかわった日本政府高官は当時、私の取材に対して、こう話していた。「タイ側の反応はとても良かった。ほっとした。タイは中国とも話を進めており、全路線をとられてしまうわけにはいかない。新幹線をなんとしても走らせたい」 日本政府は焦っているように見えた。理由がある。これに先立つ14年12月。プラユット氏は中国を訪問していた。習近平国家主席、李克強首相と会談した。高速鉄道の北京―天津間を夫人とともに試乗し、高速鉄道の整備に向けた協力に合意した。ラオスに近い東北部ノンカイからバンコクを通りタイ湾に抜けるルート(約734キロ)など2区間である。「鉄道を中国から買い、タイからはコメやゴムを売る」という物々交換のような約束も、話題になった。 中国の動きが日本を刺激した。巻き返すべく、日本政府はプラユット氏の2度の来日をとらえて攻勢をかけたのだった。15年5月には、和泉洋人首相補佐官をバンコクに派遣した。安倍政権、菅義偉政権を通じて首相補佐官を務める和泉氏は、国土交通省(旧建設省)出身。国際協力銀行(JBIC)の前田匡史総裁(当時専務)とともに、日本のインフラ輸出の旗振り役である。その和泉氏が、タイ政府との間で高速鉄道の整備を協力する約束をとりつけた。この月末にタイのプラジン運輸相(当時)が来日し、閣僚間で正式に合意する。和泉氏も立ち合った。 日本の国土交通省の発表によれば、覚書には「バンコク~チェンマイ間高速鉄道に関し、日本の高速鉄道技術(新幹線)の導入を前提として詳細な事業性調査や事業スキーム等を日タイ間で協議」することが書き込まれている。 プラジン氏はタイメディアに対して「(タイ政府が)12年から調査をしており、日本側が納得できるデータが集まっている」と語り、翌16年にも着工できるとの考えを示した。今から思えば、あまりに甘い見通しである。 もっとも百戦錬磨の和泉氏らが、その見通しを真に受けていたとは思えない。タイの鉄道建設は時間がかかる。高速鉄道にしても、1990年代から計画はあったが、通貨危機や政変もあって立案されては消えていった。日本は中国と競い合いながら10年ほど前から強い関心を寄せてきた。日本の政治家や官僚は、タイ側の甘いささやきにのってみせることで、新幹線輸出を勝ち取った絵を描きたかったのだろう。 このとき合意を受けて、朝日新聞も「タイ、新幹線を採用 日本と合意」(15年5月28日朝刊)と報じた。「JR東日本、日立製作所、三菱重工業が連合を組み、事業への参加を検討している。インフラ輸出を成長戦略の柱の一つに掲げる安倍政権は、新幹線のトップセールスに力を入れている」。1兆円を超す総事業費の調達を課題としながらも、実現すれば「2007年の台湾に続く2例目の新幹線輸出」と期待が記されていた』、「タイの鉄道建設は時間がかかる。高速鉄道にしても、1990年代から計画はあったが、通貨危機や政変もあって立案されては消えていった。日本は中国と競い合いながら10年ほど前から強い関心を寄せてきた。日本の政治家や官僚は、タイ側の甘いささやきにのってみせることで、新幹線輸出を勝ち取った絵を描きたかったのだろう」、客観的にみれば、どう考えても日本側は中国よりも不利だ。
・『しかし、いや、案の定というべきか。プラジン氏がささやいた16年の着工はありえなかった。採算が疑問視されるなかで、日・タイ両政府は16年、バンコクからピッサヌロークまでを優先して建設することで合意した。全線の整備に踏み出すには、あまりにも採算が見通せなかったからだ。黒字化には一日あたり5万人以上の乗客が必要だが、1万人程度にとどまるとみられていた。 翌17年12月、日本政府は建設に向けた調査報告書をまとめ、タイ政府に渡した。ピッサヌロークまでの事業費は2700億バーツ(1兆円弱)、開業目標は2025年。タイの交通当局は当時「沿線開発によって長期的には黒字になる」と日本の国土交通省から説明を受けたと語っている。調査費は約7億円を使った。今も調査が続いているが、問題なのは巨額の円借款を用いることを前提とする事業にもかかわらず、結果の詳細は今も公表されていないことだ。日本政府は「政府間で協議中で事業費なども調整中のため公表の予定はない」(国土交通省鉄道局)と説明する。 タイに先行にして進むインドへの新幹線輸出にしても、工期の大幅な遅れと事業費の膨張が予想されている。こうした現況について、日本政府は想定とのずれや今後の見通しについて、きちんと情報開示すべきだ。 習政権の対外戦略「一帯一路」に沿って雲南省からラオスを抜けてタイまで高速鉄道を延ばしたい中国。安倍政権(当時)のもとでインフラ輸出を経済政策アベノミクスの一つの目玉とする日本。日中両国を競わせて、インフラ整備をよりお得に進めたいタイ。そんな3カ国の思惑が交錯しながら、タイを舞台にする高速鉄道の計画は動いてきた。 興味深い事実がある。タイを舞台にした日中の高速鉄道輸出の競いあいは、国際入札ではない。日中とも軍政の指名によって事業を獲得している。米国のオバマ政権(当時)が軍政に距離をおく傍らで進んだ。 オバマ氏は退任までプラユット氏をホワイトハウスには入れなかった。「早期の民政復帰」や「人権の尊重」を求めて高官の交流も止めていた。 それに比べれば、日本政府は中国政府同様、タイが軍事政権であるということは気にかけなかった。タイは日本企業にとって5千社以上が進出する東南アジアの拠点である。政治体制を問わぬよう日本の経済界の日本政府への要望が強かったからだ。日本の政府や企業には「日本が引くと中国に攻め込まれる」という危機感もあった。軍政時代のミャンマーに対して、日本が欧米に歩調をあわせて距離をとったことは、中国に商機を奪われた失敗として記憶に刻まれていた。 タイ軍政と米国との首脳会談が成立したのは、人権問題で中国以外の国に対してはオバマ政権ほどに注文をつけなかったトランプ政権になってからだ。台頭する中国を牽制する意味もあって、オバマ氏がやはり距離を置いていたフィリピンの強権的なドゥテルテ政権とも関係を修復した。 人権や民主主義をより重視するバイデン次期政権は、非民主的な国々に対してどんな対応をとるのか。価値観をどのような形でビジネスに持ち込むか。2019年に軍政から総選挙を通じて民政へ移管したタイではあるが、野党つぶしなどを受けて、親軍政勢力が政権を維持している。王室を含む権威主義的な体制に対して若者が批判を強めて街に出ている。タイなどの政治情勢とバイデン次期政権の動きしだいでは、日本はアジアで鉄道を含む経済協力のあり方を問われることになるかもしれない さて、タイの高速鉄道は、中国が協力する路線の歩みものろい。バンコク―ノンカイ線(約606キロ)は着工から3年で、建設できたのは3・5キロだけ。中国メディアに「かたつむり」と揶揄されるほどだ。 中国人技術者の滞在ビザの問題や建設資金の調達方法でもめた。タイ政府も世論も中国主導の建設を警戒した。中国の政府系銀行による高い金利を嫌って自ら調達することに切り替えた。車両など高速鉄道システムや技術は買っても、土木工事は自国の企業中心に持ち込んだ。ようやく工事が始まったのは2017年のこと。車両などの納入契約がまとまったのは20年末になってからだ。現在も環境アセスメントを終えられず、着工できない区間もある。第一区間とするナコンラチャシマ(約250キロ)までの開業目標は、23年から25年へ先送りされている』、「バンコクからピッサヌロークまでを優先して建設することで合意」、最終目的地である空港が入らなくて、採算がとれるのだろうか。「問題なのは巨額の円借款を用いることを前提とする事業にもかかわらず、結果の詳細は今も公表されていないことだ。日本政府は「政府間で協議中で事業費なども調整中のため公表の予定はない」(国土交通省鉄道局)と説明する」、少なくとも「協議」終了後は公開すべきだろう。
・『『王国の鉄路』や『タイ鉄道と日本軍』の著者で、タイの鉄道に詳しい横浜市立大学教授の柿崎一郎氏は指摘する。「中国だけでやっていれば今ごろ開業していたかもしれない。タイ政府は自らの利益や合法性を損なわないように中国主導を認めなかった。かたつむりかもしれないが、タイのペースで進めている。中国とラオスの鉄路は2021年末につながるが、中国からタイまでが一本の鉄路で結ばれるまでにはまだ10年かかるかもしれない」 1950年代の東西冷戦時代、ラオスがまだ「西側」だったころのこと。共産ドミノを回避したい米国は、ラオスへの生命線となるタイ東北部の鉄路を、国道とあわせて無償援助で敷いた。同じルートでいま、中国の技術を用いた鉄道が作られつつある。「国際情勢の変化を映している。米国にとって東南アジアの戦略的重要性が減った。その隙をついて、中国は権威主義的な政権との距離を縮めている」と柿崎氏。 タイ政府がもっとも力を入れる高速鉄道も視界不良だ。首都圏の3空港をつなぎ、日本企業も進出する東部経済回廊(EEC)を走る路線である。タイ最大の財閥チャロンポカパン(CP)グループが中国企業との協力で整備する。21年に着工し、26年の開業を目指すが、用地の引き渡しが遅れ、関係する企業の動きは鈍い。 中学時代をタイで過ごした柿崎氏がバンコク―チェンマイ間の寝台列車に初めて乗ったのは、1980年代半ば。日本製の車両だった。大学生からタイ鉄道研究を始め、約4000キロに及ぶタイの鉄路を乗り尽くしている。「もっとも必要なのはバンコク首都圏の渋滞を解消する都市鉄道の新設と、1割ほどしか進んでいない在来線の複線化でしょう」 バンコク北部で、壮大な新しい駅の建設が佳境を迎えている。バンスー中央駅。この駅とともに2021年11月にレッドライン(約26キロ)と呼ばれる都市交通も開業する予定だ。合計で2700億円規模の円借款が投じられ、三菱重工業や住友商事など日本企業が参画している。赤いつややかな車両は、日立製作所が笠戸事業所(山口県)で製造したものだ。電化がほとんど進んでいないタイでは珍しい電車で、最高時速120キロで走る。 プラットホームは24を数え、東南アジア最大だという。ホームの4本はレッドライン、8本は在来線、残る12本は高速鉄道用に残しておくそうだ。日本の新幹線や中国の高速鉄道が立派なホームに滑りこむ日は、いつか来るのだろうか』、「タイ政府は自らの利益や合法性を損なわないように中国主導を認めなかった」、「タイ政府は」意外に賢明なやり方をしているようだ。「タイ」で「もっとも必要なのはバンコク首都圏の渋滞を解消する都市鉄道の新設と、1割ほどしか進んでいない在来線の複線化でしょう」、新幹線計画よりは現実的だ。今後の「タイ政府」の舵取りを注目したい。

第三に、1月22日付けJBPressが掲載したフリーランス記者の大塚 智彦氏による「日本協力の在来線高速化にインドネシアが中国招請 高速鉄道計画で飲まされた煮え湯、今度は在来線高速化計画でも?」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/63758
・『王毅外相に直接要請  地元報道によると、1月12日にインドネシア訪問中の中国・王毅外相とルフト・パンジャイタン調整相(海事・投資担当)が会談。その中で、ジャカルタ―バンドン間の「高速鉄道計画」を、バンドンからさらに延伸してジャカルタ―スラバヤを結ぶ「高速化計画」につなげ、途中から一体化する構想への財政面での参加・支援をインドネシア側から中国に求めたのだという。 報道によれば、このインドネシア側の意向は、ジョコ・ウィドド大統領から習近平国家主席にもすでに伝えられていたという。 中国側はインドネシア側の要請を受けて「計画を調査する」との姿勢を見せ、今後専門家チームをインドネシアに派遣する予定だ。インドネシアの大規模インフラ整備計画への参画は、中国が世界的に進める「一帯一路」構想にもかなっており、前向きに検討する可能性が極めて高いとみられる』、「インドネシア側」が「中国」にすり寄っているのであれば、突き放してみるのも一考に値する。
・『日本の消極姿勢で中国参加要請か  ジャカルタ―バンドンの「高速鉄道計画」をさらに延伸し、ジャカルタ―スラバヤの「高速化計画」と一体化させるという案は、昨年6月にアイルランガ調整相(経済担当)がジョコ・ウィドド大統領の意向として突如表明。このときジョコ大統領は「日本に再度参加してもらおう」との考えを持っていることも伝えられた。 しかしバンドンまでの「高速鉄道計画」で建設中の線路と、スラバヤまでの「高速化計画」で改良予定の在来線の線路とではゲージ(軌間・線路の幅)が異なるため、技術的には極めて困難だ。そのため日本側は報道を通じて知ったジョコ大統領の意向に困惑、消極的な姿勢に終始せざるを得なかった。 ところがこうした日本の姿勢を、インドネシア側は「インドネシアと中国の共同事業体への参加を日本が拒否した」と受け止めていた模様だ。 中国が受注したバンドンまでの「高速鉄道計画」は2016年に着工したものの、当初の完工予定である2019年という目標は土地収用などが難航したことなどから、2021年に延期されていた。 さらに2020年には折からのコロナ禍により建設は実質的に中断に追い込まれ、工期の見直しが再度行われ、完工は2022年9月まで再び延期されている。 共同事業体であるインドネシア・中国高速鉄道(KCIC)は、土地収用はほぼ終わり2020年末までに建設工事全体の進捗率を70%とすることを目標にするとしていた』、「ゲージ(軌間・線路の幅)が異なるため、技術的には極めて困難だ。そのため日本側は報道を通じて知ったジョコ大統領の意向に困惑、消極的な姿勢に終始せざるを得なかった。 ところがこうした日本の姿勢を、インドネシア側は「インドネシアと中国の共同事業体への参加を日本が拒否した」と受け止めていた模様だ」、日本も遠慮せず、もっとハッキリ主張すべきだ。
・『中国以外からの投資も歓迎  2015年9月に日中が争っていた「高速鉄道計画」が中国に受注されることになった際、当時の菅義偉官房長官は「(日本が入札から外された)経緯については理解できない。全く遺憾である」と厳しい姿勢を見せ、受注過程の不透明さに対する不満を露わにした。 そこに日本がFS中の「高速化計画」にまで「中国の参加要請」したことに関して、日本はこれまでのところ静観しているが、今後のインドネシア側の説明次第では態度を硬化させる可能性もあるだろう。 インドネシア側は「高速化計画に関しては、中国にだけ投資面での参画を求めているわけではなく、国際社会に広く募っている」として理解と支持を求めている。「もちろん日本の参加も待っている」としているが、日本以外の有力な投資参加国として韓国の名前も取りざたされており、状況は不透明になってきている』、フィージビリティ・スタディ(FS)をする際には、予め条件を明確にしてからやらないと、またまたタダ働きさせられてしまうことになる。
・『日本は中国の出方に要警戒  インドネシアの「高速鉄道計画」では煮え湯を飲まされた日本ではあるが、これまでのように「安全や技術、運用といった面での優位性」だけでは、海外のインフラ投資において「とにかく財政面で有利な条件を提示する」中国に太刀打ちできない可能性が高まっている。 協力するにしても民間企業が主体となる日本としては採算性を度外視するわけにはいかず、かつ鉄道運行に関わる安全性確保も図らねばならないというのが原則的な考え方である。 これに対し中国は「金は出す、労働者も派遣し突貫工事で短期に完成させる」という、国家総動員での中国方式を使い、インドネシアのみならずアフリカや東南アジアでのインフラ整備計画などに臨んでいる。 インドネシアが、「高速化計画」の財政面で再び中国に依存する事態になれば、高速化事業そのものへの中国の発言力や介入が強まる懸念も出てくる。 中国主導で進捗が遅れている「高速鉄道計画」と、日本が協力する「高速化計画」とをドッキングさせ、中国の財政力と日本の技術力とを引き出し、2つの鉄道計画をうまく成就させようという腹積もりなのかも知れないが、インドネシア政府の思惑に従ってしまうと、中国への技術流出の懸念なども高まる。かといって中国を目の前にして、海外でのインフラ事業展開のチャンスから手を引いてしまうのは、日本のインフラ産業の将来を閉ざすことににもなりかねない。果たして日本はどう対応するのか。中国の出方を見守りながら、難しい判断を求められることになる』、日本は「インドネシア」から手を引いて、勝手にやれと突き放すのも一案とは思うが、少なくとも、面子を捨てて、「インフラ輸出」の旗を下して、自然体で、損しないよう上手く立ち回るべきなのではなかろうか。
タグ:東洋経済オンライン yahooニュース globe JBPRESS 高木 聡 インフラ輸出(その11)(国が推進「オールジャパン鉄道輸出」悲惨な実態 円借款事業でも車両は海外メーカー製導入へ、あれから6年 日本が勝ち取った「タイ新幹線計画」は幻に終わるのか?、日本協力の在来線高速化にインドネシアが中国招請 高速鉄道計画で飲まされた煮え湯 今度は在来線高速化計画でも?) 「国が推進「オールジャパン鉄道輸出」悲惨な実態 円借款事業でも車両は海外メーカー製導入へ」 日本が円借款事業として進める「ヤンゴン・マンダレー鉄道整備事業(フェーズⅡ)」向けの電気式気動車180両をスペインの鉄道車両メーカー、CAFと三菱商事から調達する計画であると報じた 「本邦技術活用条件(STEP)適用案件 にて、日本の車両メーカーの応札なしという事態 「日本製」24両で打ち止めか 「デザイン」はともかく、「電気式気動車」の「続いての入札には参加しなかった」理由は何なのだろう 国内メーカーの製造能力に課題 「2016年に応札者なしで初回入札が不調に終わり、その後も応じる国内メーカーはなく、2017年に三菱商事とCAFのコンソーシアムが受注した」、「入札が不調に終わ」った理由は何だったのだろう 日本の「鉄道輸出」の未来は? 近年の鉄道案件は基本的に日本タイドとなった。 それが、いつの間にやら安倍政権の下「オールジャパン」などと掲げられるようになった」、実際には「日本タイド」にはなっていないようだ。 日本への信頼失墜を招く恐れも? 日本は海外に鉄道車両を輸出できるほどの力がないのである。それを政府が認めないから歪が出るのだ」、政府が「インフラ輸出」の旗を振り続けているのは、余りに無責任だ 日本は「身の丈」を考えよ 身の丈も考えずに「オールジャパン」「鉄道海外輸出」と振りかざす日本政府、国交省ならびに関係者は猛省すべきである。そして、JICAは国民の血税をつぎ込んだ揚げ句、誰も得をしない開発援助案件など実行すべきでない 「あれから6年 日本が勝ち取った「タイ新幹線計画」は幻に終わるのか?」 タイの首都バンコクと北部チェンマイを結ぶ高速鉄道(672キロ)の建設が、ぴくりとも動かない 6年越し1ミリも進まず その舞台裏は タイの鉄道建設は時間がかかる。高速鉄道にしても、1990年代から計画はあったが、通貨危機や政変もあって立案されては消えていった。日本は中国と競い合いながら10年ほど前から強い関心を寄せてきた。日本の政治家や官僚は、タイ側の甘いささやきにのってみせることで、新幹線輸出を勝ち取った絵を描きたかったのだろう」、客観的にみれば、どう考えても日本側は中国よりも不利だ 「バンコクからピッサヌロークまでを優先して建設することで合意」、最終目的地である空港が入らなくて、採算がとれるのだろうか 「問題なのは巨額の円借款を用いることを前提とする事業にもかかわらず、結果の詳細は今も公表されていないことだ。日本政府は「政府間で協議中で事業費なども調整中のため公表の予定はない」(国土交通省鉄道局)と説明する」、少なくとも「協議」終了後は公開すべきだろう タイ政府は自らの利益や合法性を損なわないように中国主導を認めなかった」、「タイ政府は」意外に賢明なやり方をしているようだ 「タイ」で「もっとも必要なのはバンコク首都圏の渋滞を解消する都市鉄道の新設と、1割ほどしか進んでいない在来線の複線化でしょう」、新幹線計画よりは現実的だ。今後の「タイ政府」の舵取りを注目したい 大塚 智彦 「日本協力の在来線高速化にインドネシアが中国招請 高速鉄道計画で飲まされた煮え湯、今度は在来線高速化計画でも?」 王毅外相に直接要請 日本の消極姿勢で中国参加要請か ゲージ(軌間・線路の幅)が異なるため、技術的には極めて困難だ。そのため日本側は報道を通じて知ったジョコ大統領の意向に困惑、消極的な姿勢に終始せざるを得なかった。 ところがこうした日本の姿勢を、インドネシア側は「インドネシアと中国の共同事業体への参加を日本が拒否した」と受け止めていた模様だ」、日本も遠慮せず、もっとハッキリ主張すべきだ 中国以外からの投資も歓迎 フィージビリティ・スタディ(FS)をする際には、予め条件を明確にしてからやらないと、またまたタダ働きさせられてしまうことになる 日本は中国の出方に要警戒 日本は「インドネシア」から手を引いて、勝手にやれと突き放すのも一案とは思うが、少なくとも、面子を捨てて、「インフラ輸出」の旗を下して、自然体で、損しないよう上手く立ち回るべきなのではなかろうか。
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商社問題(その3)(三菱商事と伊藤忠 コロナで生じた決定的な差 明暗分かれた両社 5年ぶりに業界首位が交代へ、三井物産 新社長が目指す「万年3位」からの脱却 課題は「脱資源」、ヘルスケアなど非資源がカギ、伊藤忠の社長交代で透ける「岡藤会長」の存在感 成長のカギを握るファミマ経営陣もテコ入れへ) [産業動向]

商社問題については、昨年9月18日に取上げた。今日は、(その3)(三菱商事と伊藤忠 コロナで生じた決定的な差 明暗分かれた両社 5年ぶりに業界首位が交代へ、三井物産 新社長が目指す「万年3位」からの脱却 課題は「脱資源」、ヘルスケアなど非資源がカギ、伊藤忠の社長交代で透ける「岡藤会長」の存在感 成長のカギを握るファミマ経営陣もテコ入れへ)である。

先ずは、昨年11月13日付け東洋経済オンライン「三菱商事と伊藤忠、コロナで生じた決定的な差 明暗分かれた両社、5年ぶりに業界首位が交代へ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/388479
・『総合商社大手の三菱商事が、コロナ禍で喘いでいる。 同社は11月5日、2020年4月~9月期決算を発表した。純利益は前年同期比64%減の866億円と、苦しい結果となった。通期の業績見通しについては、純利益2000億円(前期比62%減)の当初計画を据え置いている。下半期(2020年10月~2021年3月期)も大きな回復は望めなさそうだ。 同日、電話会議で決算内容について説明した三菱商事の垣内威彦社長は、「業績が低迷していることを真摯に受け止め、緊張感のある経営を実行していきたい」と語った』、「三菱商事」は大丈夫だろうか。
・『踏ん張った伊藤忠  三菱商事はここ数年、総合商社5社の中でトップの純利益を叩きだしてきた。ところが今期に入ると、厳しい局面に立たされた。 前2020年3月期決算は業界2位だった伊藤忠商事がコロナ禍でも堅調な業績をみせ、今2020年4~9月期の純利益は2525億円と、前年同期比12%減ながら、上半期としては過去3番目の好業績だった。 コロナ禍でも幅広い事業部門が健闘したことがその理由だ。伊藤忠の鉢村剛CFO(最高財務責任者)は「エネルギー・化学品部門では合成樹脂の取引、衛生用品や日用品の取り扱いが堅調だった」と語る。鉄鉱石市況の高い状態が続いたことも、利益に寄与した。 伊藤忠は通期も純利益4000億円(前期比20%減)計画としていることから、5大商社の中で頭一つ飛び抜ける格好になる。三菱商事と伊藤忠商事の今期純利益計画は、その差が2倍に開く。 5番手の丸紅は食料事業や金属事業が好調なため、11月4日に今2021年3月期の通期純利益計画を従来の1000億円から1500億円に引き上げた(前期実績は1974億円の赤字)。これにより、三菱商事と丸紅の通期純利益の差は500億円に肉薄する。 2020年3月期には純利益5354億円を稼いだ三菱商事だったが、今期はコロナによる業績の下押し影響を約3000億円と見込んでいる。 中でも足を引っ張っているのが自動車関連の事業だ。三菱商事が20%出資する持分法適用会社の三菱自動車は、今2021年3月期の最終利益が3600億円の赤字と、前期に続いて水面下が続く見通しだ(前期実績は257億円の赤字)。三菱自の不調が打撃となり、三菱商事の自動車・モビリティグループは通期で500億円の赤字に転落する計画となっている。 これまで三菱商事の業績を下支えしてきた資源事業にも、コロナ影響が強く及んでいる。原料炭やLNG(液化天然ガス)は市況が低迷。原料炭は今上期純利益353億円(前期実績は896億円)、天然ガス事業も同86億円(前期は429億円)と、大きく目減りしている。垣内社長は原料炭やLNG、自動車について、「市況の回復まで我慢せざるをえない」と説明する。業績回復は早くても2022年3月期を待つことになりそうだ』、「資源」「商社」としては、「資源事業」が不振ではどうにもならないようだ。
・『資源価格低迷でも多額の減損計上せず  足元ではコロナの影響をまともに受けている三菱商事だが、中期的にはどうか。今後の業績を推察するうえで着目すべき点がある。 同社は資源価格の低迷にもかかわらず、多額の減損を計上する事態には至っていないのだ。2016年3月期には資源バブルの崩壊で1493億円の純損失を計上するなど、初の赤字に沈んだ。それ以来、資源価格が大きく下がっても利益を出し続けられる体質への転換を進めてきた。 2020年4月には原油先物(WTI)が一時マイナス価格に陥るような事態もあった。そのため、例えば石油元売り大手のENEOSホールディングスは上流事業の資産価値見直しを迫られ、2020年3月期に約900億円の減損を出した。 商社業界でも、三井物産は石油・ガス事業の複数のプロジェクトで475億円、丸紅も石油・ガス開発で1313億円の減損を2020年3月期に計上した。一方の三菱商事も北米シェールガス関連で約100億円を減損しているが、金額は大きくない。「うまくいかなかったこともあり、油を掘って売る事業(石油開発事業)はいまではほとんどなくなっている」(三菱商事の増一行CFO)ためだ。 三菱商事が力を入れてきたLNG事業は、販売価格が原油価格に一部連動するため、大きく利幅が縮小した。だが、顧客企業との契約が大幅な原油安になっても損が出にくい仕組みであるため、「びっくりするほど原油価格が安くならないとLNG事業は赤字にはならない」と、増CFOは説明する。 金属事業でも2015年度の資源バブル崩壊時の教訓が生きている。原料炭は2010年代の最もコスト高だったころと比べると、操業コストは約4割も減った。現在も鉱山のトラック自動化といった施策を展開して、一層の効率化を目指す。 低迷していた原料炭市況は、8月ごろから鉄鋼生産が回復基調にあったことから上昇していたが、中国で豪州産原料炭の輸入が滞っていることが伝えられると10月ごろに再び値を下げる事態となった。 背景には中国と豪州間の関係悪化があり、中国が通関規制をかけているとされる。一説には規制の影響で、中国国内産の原料炭価格は輸入炭よりも1トン当たり70ドルも高くなっているとされる。増CFOは「(こうした)経済不合理なことが続くとは思えない」としており、規制が緩和されれば原料炭の価格が回復し、三菱商事の業績を押し上げる要因になりそうだ』、「資源価格の低迷にもかかわらず、多額の減損を計上する事態には至っていない」、体質改善は進んだようだ。
・『赤字が続く関連会社の整理を急ぐ  足腰の強さがあるとはいえ、今後はさらなるグループ内の改革も求められる。 三菱商事には約1700社の連結事業会社がある。特に今上期ではコロナ禍で複数の連結事業会社が赤字に陥っている。サーモン養殖大手のセルマック社(ノルウェー)が打撃を受けている1社だ。コロナ禍でレストラン向けのサーモン需要が減少している影響を受けており、今上期時点では赤字に陥っている。このように赤字を抱える連結事業会社の規模は、足元で数百億円にのぼる。 三菱商事はコロナ前から赤字が続いてきた関連会社などについて合併や売却を含めた整理をできるだけ早く進める考えだ。増CFOは「インパクトの大きいもの(事業)からすでに始めている」と説明。垣内社長も「赤字になっている会社に対してはしっかりとした見直しをして赤字をなくす施策をとる」と強調する。膿を出す施策を果敢に進めることで再び成長軌道に乗せることができるか、真価が問われる』、「コロナ前から赤字が続いてきた関連会社などについて合併や売却を含めた整理をできるだけ早く進める考え」、当然だろう。

次に、本年1月13日付け東洋経済オンライン「三井物産、新社長が目指す「万年3位」からの脱却 課題は「脱資源」、ヘルスケアなど非資源がカギ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/403398
・『三井物産は「資源商社」から脱却できるのか。 大手商社の三井物産は安永竜夫社長(60)に代わり、堀健一専務(59)を4月1日付けで昇格させることを決めた。安永社長は会長に就く。 2015年に54 歳で社長に就任した安永氏は執行役員だった当時、32人抜きの大抜擢で社長に就任した。そのため、安永氏の時と同様、三井物産の次期社長も執行役員級の若い年次から抜擢される可能性がささやかれていた』、新社長が僅か1歳若いだけということは、「若い年次から抜擢」はあきらめたようだ。
・『化学品畑を歩んだ新トップ  堀氏は化学品畑を中心に歩み、アメリカの家畜飼料添加物メーカー・ノーバス社の買収にも関わった。その後、経営企画部長やニュートリション・アグリカルチャー本部長を経て2019年4月に専務に就任した。安永氏が執行役員から社長に大抜擢されたことを考えれば、今回の社長人事にサプライズはなかった。 2020年12月23日に開かれた記者会見で安永氏は、堀氏の課題解決能力の高さなどを挙げ、「新しいリーダーシップを発揮するに当たって最適の人物だ」と説明した。 三井物産はかつて、純利益で業界第2位を誇る名門商社として存在感を示してきた。ただ、近年は非資源事業に強い伊藤忠商事が伸長し、業界3位が定着している。記者会見で堀氏は、「成果、経営指標について(マーケットの)期待に応えられていない」と答えた。 三井物産は資源事業で強固な収益基盤を持ち、鉄鉱石や銅などの金属資源、LNG(液化天然ガス)など資源事業から上がる利益の割合が大きい。同社が「資源商社」と称される所以で、過去最高益を記録した2012年3月期の当期純利益4344億円のうち、約9割は高市況に沸いた資源事業が稼いだ。資源事業の割合は2020年3月期時点でも約6割を占める。 資源事業は、市況によって業績が大きく乱高下しがちだ。安定した収益構造への変革が安永氏の課題でもあった』、「当期純利益」のうち「資源事業の割合」は、「2012年3月期」で「約9割」、「2020年3月期」でも「約6割」とはかなり高いようだ。
・『非資源分野の育成目標は未達に  実際、安永氏は社長就任直後、資源バブルの崩壊に直面した。資源事業で約2500億円もの大型減損を計上したことなどから2016年3月期の業績は初めて最終赤字に転落した。社長就任早々に辛酸をなめた安永氏が取り組んだのが資源事業の収益改善だ。鉱山の操業コストを低減し、市況が悪化しても赤字になりにくい資源事業への転換を図った。 安永氏が取り組んだもう1つの収益改善策が非資源事業の育成だ。2018年~2020年3月期を計画期間とする前の中期経営計画では、機械・インフラや化学品などの非資源分野を伸ばす計画を策定した。計画期間中に非資源事業の純利益を2017年3月期比の4割増、2000億円にする計画だったが、2020年3月期の実績は1611億円にとどまっている。 ブラジルの農業事業や鉄道事業が不調に終わったことが原因だが、赤字続きの案件を処理するなど、みるべき成果もある。三井物産は飯島彰己・現会長の社長在任時の2011年、世界の穀物需要拡大を見込んで、累計470億円を投じてブラジルの農業生産・穀物物流事業を手掛けるマルチグレイン社を完全子会社化した。だが、競合激化で赤字決算が常態化していた。 安永氏はそのマルチグレイン社からの撤退を決め、2018年5月に公表した。現在は清算に向けて事業の整理を行っている。撤退を決めた結果、マルチグレイン社に割いていた人員などの経営資源を他の事業に振り向けられるようになった。 安永氏は「マルチグレインからの撤退などを進めた結果として、次の躍進につながる種まきはできてきている」と振り返る。その中でとくに成長が期待できるのがヘルスケア事業だ。今後は「環境と健康というキーワードに結び付いたビジネス以外は残れない」と強調する安永氏にとって肝煎りの事業だとも言える。 2019年3月には約2300億円を投じ、インドやマレーシアなどで80病院を経営するアジア最大級の民間病院グループ・IHHグループの筆頭株主となった。同グループの総病床数は1万5000床を誇り、病院運営だけでなく、医療データを使った健康維持など「未病領域」でのビジネス拡大も狙っている』、「市況が悪化しても赤字になりにくい資源事業への転換」は上手くいったようだが、「非資源事業の育成」は今一歩のようだ。「IHHグループ」のマネジメントは大丈夫なのだろうか。
・『次期中計の利益目標は4000億円  その矢先に直面したのが新型コロナウイルスの感染拡大だった。コロナ影響による資源市況の低迷などで、三井物産の2021年3月期の純利益は前期比54%減の1800億円に沈む見通しだ。 2020年5月に発表した2021年~2023年3月期までの中期経営計画では、最終年度の純利益目標として4000億円を掲げた。この半分以上をヘルスケアや機械などといった非資源事業で稼ぐ算段だ。 中でも低・脱炭素ビジネスについて。三井物産は業界内でいち早く2050年のGHG(温室効果ガス)排出量の実質ゼロを標榜。現中計にもすでに盛り込んでいる。2020年4月にはエネルギーソリューション本部を新設し、再生可能エネルギーや水素、EV(電気自動車)関連のインフラまで、既存の本部を横断するような形で取り組む。2030年に純利益200億円に成長させる方針だ。 商社3位からの脱却に向け、非資源事業の花をどのように咲かせるのか。堀新社長の手腕が問われる』、「低・脱炭素ビジネスについて。三井物産は業界内でいち早く2050年のGHG・・・排出量の実質ゼロを標榜。現中計にもすでに盛り込んでいる」、「エネルギーソリューション本部」の活躍に期待したい。

第三に、1月18日付け東洋経済オンライン「伊藤忠の社長交代で透ける「岡藤会長」の存在感 成長のカギを握るファミマ経営陣もテコ入れへ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/404678
・『躍進を続ける大手総合商社の伊藤忠商事は、経営の底上げを図るために首脳陣の大胆な交代に打って出た。 同社は1月13日、4月1日付で石井敬太専務執行役員(60)が社長COO(最高執行責任者)に昇格すると発表した。鈴木善久社長COO(65)は代表権のない副会長に就く。2018年4月に社長COOに就任した鈴木氏は、在任わずか3年で社長を退くことになる。 1月13日に行われたオンライン会見において、石井氏は2020年末に岡藤正広会長CEO(最高経営責任者、71)から新社長就任の打診を受けたことを明らかにした。石井氏は「(化学品部門という)地味な業界にいたので、社長就任は1ミリも考えていなかった。今までも私の名前が(報道などで社長候補として)挙がったこともない」と、自身にとってもサプライズであったことを率直に語った』、「鈴木氏は、在任わずか3年で社長を退く」、後任が「石井敬太専務執行役員(60)が社長COO」、まさに「サプライズ」人事だ。
・『6回も挙がった岡藤会長の名  石井氏は化学品部門が長く、アメリカ・ヒューストンやタイ・バンコクの駐在経験もある。2018年にはエネルギー・化学品カンパニーのトップに就任した。伊藤忠では繊維や食料、住生活といった生活消費関連事業がいわば花形で、石井氏が歩んできた化学畑はBtoBビジネスが多く、目立つ存在ではない。 だが、エネルギー・化学品カンパニーは蓄電池や再生可能資源由来のバイオマスプラスチック事業に参入するなど、伊藤忠が重視する環境配慮型ビジネスを手掛けており、そうした経験が買われて今回の起用に至ったものとみられる。 わずか30分のオンライン会見だったが、その中で存在感を放っていたのは、むしろ会見には姿を見せなかった岡藤氏だ。石井氏が「(岡藤)会長も言っているように……」と話すなど、鈴木氏と石井氏は会見中に合わせて6回も岡藤氏の名前を挙げて伊藤忠の方向性や社長就任の経緯について説明した。 岡藤氏は4月以降も会長CEOとして続投する。鈴木氏は「岡藤会長が続投して次期中期経営計画(2021~2023年度)をまっとうされると、私は理解している」と述べた。 岡藤氏は2010年4月の社長就任以来、伊藤忠を牽引している。この間に、伊藤忠の業績は大幅に伸びた。2010年3月期(アメリカ会計基準)の純利益は1281億円だったが、10年経った2020年3月期(IFRS)には純利益5013億円を稼ぐまでになった。「伊藤忠を躍進させたカリスマ」(商社業界関係者)の下、同社の時価総額は2020年6月に三菱商事を抜いて商社業界トップに立った。 現在の伊藤忠は各部門がバランスよく稼いでおり、突出して稼ぐ部門がないことが特徴だ。資源事業への依存度も低く、非資源事業が純利益の約8割を占める。岡藤氏は伊藤忠グループ各社の経営管理を徹底することで、利益を積み上げてきた。 2000年頃には1000社ある事業会社のうち黒字会社は約6割だったが、2020年3月期には事業会社を300社弱にまで減らし、黒字会社比率は約9割に達した』、「6回も挙がった岡藤会長の名」、「岡藤会長」の権威は極めて高くなったようだ。「関連会社の整理・黒字化は大きな成果を挙げたようだ。
・『肝煎り新組織で「縦割り」打破へ  その岡藤氏が目下、強く必要性を唱えているのがビジネスモデルの転換だ。伊藤忠に限らず、総合商社各社には商品軸の「縦割り」文化が根付いている。縦割りだったからこそ、商品知識に富んだプロフェッショナルが社内に育ち、取引先に付加価値を提供できた。 だが、顧客ニーズが多様化する現在では、それに応じた事業を展開するためには縦割り組織では対応し切れないケースが多く、この弊害をどう克服するかが各商社の課題となっている。 伊藤忠も単に製品を販売するのではなく、今後は川下領域の事業を通じて顧客ニーズをすくい上げることを重視する。部門にとらわれず、顧客ニーズをもとに新たなビジネスをつくる「マーケットイン」型への組織転換を目指す。 こうしたビジネスモデル変革に向けて打った布石が、2019年7月の第8カンパニーの設立だ。伊藤忠には機械や繊維部門などといった7カンパニーがある。第8カンパニーは岡藤氏肝煎りの組織で、他のカンパニーを巻き込みながら顧客起点のビジネスを具体化していくことが使命となっている。 とくに生活消費分野の核となるファミリーマート関連事業を一手に担う。この第8カンパニーのトップには、岡藤氏の「懐刀」と言われる細見研介執行役員が就いていた。 ファミマは伊藤忠の今後の成長エンジンと期待されるが、多くの課題を抱えている。例えば海外展開が遅々として進んでいない。中国では現地のパートナー企業が継続的な利益相反取引などを行っていたとして訴訟を継続しており、出口はまだ見えていない。国内でも、弁当などの商品開発力はコンビニ王者のセブン-イレブンに比べると見劣りする。 伊藤忠はファミマへのテコ入れを行うために、2020年7月から8月にかけて約5800億円を投じてTOB(株式公開買い付け)を実施。50.1%だった株式保有比率を最終的には9割超とする。伊藤忠が主導してファミマの経営課題の解決に当たる算段だ』、中国最大のコングロマリットのCITIC、タイのCPグループと業務・資本提携をしている。ただ、「中国では現地のパートナー企業が継続的な利益相反取引などを行っていたとして訴訟」、との関連は不明である。
https://www.itochu.co.jp/ja/business/alliance/index.html
・『注視すべきは細見氏の行方?  そして今回、新たに社長を送り込むことも決めた。第8カンパニーのトップである細見氏が3月1日付でファミマの新社長に就任する。細見氏はファミマの立て直しだけではなく、ファミマの強みを伊藤忠の成長に結びつけることが期待される。そのためには、全国で1日約1500万人もが来店するファミマの顧客購買データの活用が焦点のひとつになる。 そういった意味で注目されるのが、伊藤忠がファミマ、NTTドコモ、サイバーエージェントと組んで2020年10月に設立した「データ・ワン」という新会社だ。ファミマの購買データと、約4700万人が登録するドコモのdポイントカードの会員データ、そして顧客の位置情報を組み合わせてターゲッティング広告などを展開する。例えば、購買データを分析し、ユーザーに合わせてサプリメントの広告を配信するといったことが考えられる。 岡藤氏の描くマーケットインを重視する次世代の伊藤忠にとって、ファミマの事業強化・活用はグループのさらなる成長へのカギを握りそうだ。その点、ファミマのテコ入れや新たなビジネスの具体化といった重責を担う細見氏の今回の人事は、伊藤忠本体の社長交代よりも重要な意味を持つのかもしれない。 社内からは早くも、「細見氏はいずれ伊藤忠の社長になるだろう」(伊藤忠社員)との声が聞こえてくる。次の社長人事を占う意味でも、ファミマの動向に注視する必要がある』、確かに「ファミマの動向」は大いに注目される。
タグ:東洋経済オンライン 商社問題 (その3)(三菱商事と伊藤忠 コロナで生じた決定的な差 明暗分かれた両社 5年ぶりに業界首位が交代へ、三井物産 新社長が目指す「万年3位」からの脱却 課題は「脱資源」、ヘルスケアなど非資源がカギ、伊藤忠の社長交代で透ける「岡藤会長」の存在感 成長のカギを握るファミマ経営陣もテコ入れへ) 「三菱商事と伊藤忠、コロナで生じた決定的な差 明暗分かれた両社、5年ぶりに業界首位が交代へ」 踏ん張った伊藤忠 三菱商事はここ数年、総合商社5社の中でトップの純利益を叩きだしてきた。ところが今期に入ると、厳しい局面 三菱商事と伊藤忠商事の今期純利益計画は、その差が2倍に開く 「資源」「商社」としては、「資源事業」が不振ではどうにもならないようだ 資源価格低迷でも多額の減損計上せず 「資源価格の低迷にもかかわらず、多額の減損を計上する事態には至っていない」、体質改善は進んだようだ 赤字が続く関連会社の整理を急ぐ コロナ前から赤字が続いてきた関連会社などについて合併や売却を含めた整理をできるだけ早く進める考え」、当然だろう 「三井物産、新社長が目指す「万年3位」からの脱却 課題は「脱資源」、ヘルスケアなど非資源がカギ」 三井物産は「資源商社」から脱却できるのか 新社長が僅か1歳若いだけということは、「若い年次から抜擢」はあきらめたようだ 化学品畑を歩んだ新トップ 「当期純利益」のうち「資源事業の割合」は、「2012年3月期」で「約9割」、「2020年3月期」でも「約6割」とはかなり高いようだ 非資源分野の育成目標は未達に 市況が悪化しても赤字になりにくい資源事業への転換」は上手くいったようだが、「非資源事業の育成」は今一歩のようだ 「IHHグループ」のマネジメントは大丈夫なのだろうか。 次期中計の利益目標は4000億円 低・脱炭素ビジネスについて。三井物産は業界内でいち早く2050年のGHG 排出量の実質ゼロを標榜。現中計にもすでに盛り込んでいる 「エネルギーソリューション本部」の活躍に期待したい。 「伊藤忠の社長交代で透ける「岡藤会長」の存在感 成長のカギを握るファミマ経営陣もテコ入れへ」 「鈴木氏は、在任わずか3年で社長を退く」、後任が「石井敬太専務執行役員(60)が社長COO まさに「サプライズ」人事だ 6回も挙がった岡藤会長の名 岡藤会長」の権威は極めて高くなったようだ 「関連会社の整理・黒字化は大きな成果を挙げたようだ 肝煎り新組織で「縦割り」打破へ 中国最大のコングロマリットのCITIC、タイのCPグループと業務・資本提携をしている 「中国では現地のパートナー企業が継続的な利益相反取引などを行っていたとして訴訟」、との関連は不明 注視すべきは細見氏の行方? 確かに「ファミマの動向」は大いに注目される
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人権(その5)(DHC問題3題:【DHC現役社員が告発】ヘイト炎上の源泉は会長のヤバすぎる“差別通達”《タレントの出自に関する記述も》DHC現役社員が告発 #1、DHC会長が全社員に口コミサイトへ“サクラ投稿”奨励「ゴールド社員の称号を与える」《消費者庁は「非常にグレー」》 DHC現役社員が告発 #2、【内部文書入手】DHCのヤバすぎる勤務実態「産休取得で降格、査定基準に“愛社精神指数”、ボーナスのお礼を会長にファクス DHC現役社員が告発 #3) [企業経営]

人権については、昨年11月1日に取上げた。今日は、(その5)(DHC問題3題:【DHC現役社員が告発】ヘイト炎上の源泉は会長のヤバすぎる“差別通達”《タレントの出自に関する記述も》DHC現役社員が告発 #1、DHC会長が全社員に口コミサイトへ“サクラ投稿”奨励「ゴールド社員の称号を与える」《消費者庁は「非常にグレー」》 DHC現役社員が告発 #2、【内部文書入手】DHCのヤバすぎる勤務実態「産休取得で降格、査定基準に“愛社精神指数”、ボーナスのお礼を会長にファクス DHC現役社員が告発 #3)である。

先ずは、昨年12月28日付け文春オンライン「【DHC現役社員が告発】ヘイト炎上の源泉は会長のヤバすぎる“差別通達”《タレントの出自に関する記述も》DHC現役社員が告発 #1」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/42628
・『11月中旬、化粧品・健康食品大手「DHC」の公式サイトで公開された文書が、いまだ波紋を呼んでいる』、どういうことなのだろう。
・『DHCキャンペーン「ヤケクソくじ」  予想売上高の1%を、消費者に抽選くじの形式で還元するキャンペーン「ヤケクソくじ」についての同社代表取締役会長・吉田嘉明氏(79)の文章なのだが、特定の民族や国籍を差別する言葉が並べられており、12月中旬になってネットで炎上した。 《サントリーのCMに起用されているタレントはどういうわけかほぼ全員がコリアン系の日本人です。そのためネットではチョントリーと揶揄されているようです》(DHC公式サイト「ヤケクソくじについて」より) Twitterでは「#差別企業DHCの商品は買いません」というハッシュタグをつけた不買運動が展開されたが、現在に至るまで、サイトから当該文章が削除されることはなく、謝罪文の掲載などもない。文末には吉田氏の記名があり、ネットには吉田氏個人の責任を追及する声も多い』、化粧品メーカーの創業トップが、公然と差別発言をネット上に公開するとは心底、驚かされた。
・『50年間ワンマン体制でDHCを経営してきた吉田会長 「吉田会長は1972年、31歳の時にDHCを創業しました。社名の由来は『大学(D)翻訳(H)センター(C)』で、当初は翻訳事業がメインでした。しかし1980年から化粧品製造販売を開始。今に至るまで、約50年間ワンマン体制でDHCを経営しています。吉田氏自身は、2005年に国税庁から公表された高額納税者名簿では2004年の納税額で全国6位(約10億円)に記録されています。DHCは非上場企業です」(化粧品業界誌記者) 2014年にはみんなの党・渡辺喜美代表に8億円を選挙資金として貸した旨の手記を週刊新潮(4月3日号)に寄せたことが話題となった。当初渡辺氏は「個人的に借りた」としていたが、吉田氏は次々と渡辺氏とのメールの文面などを公表し、渡辺氏は最終的に「皆に迷惑をかけた」と辞職した。しかし吉田氏自身がメディアに登場する機会は少なく、パーソナリティについては謎に包まれた部分が多い。 吉田氏とは一体どんな人物なのか。DHCの女性社員A子さんが取材に応じた』、「渡辺喜美」の「借金問題」はおぼろげに覚えている。
・『人格についてはみな閉口  「会長の見た目は、普通のおじいちゃんです。もうすぐ傘寿という年相応の外見ですが、眼光は鋭く、常に何かに対して怒っているような険しい顔をしています。大学卒業後は英語が堪能だったことから企業で通訳を務めていたそうですが、商談相手のお偉いさん方を見て『俺もあっち側になる』と一念発起してDHCを起業したそうです」 DHCは吉田氏が一代で築き上げた企業だ。A子さんは「社員の誰もが吉田会長を尊敬のまなざしで見ている」と語るが、その表情は暗い。 「会長の実績を疑う人はいません。しかし人格については、みな閉口しているんです。実は、炎上した文章がサイトに載る数日前、社員に対して同様の内容がすでに開示されていました。みんなで『ひどい文章だね』と話し合いましたが、一方で『会長らしいね』という諦めにも似た感想も出ていました」 実は、吉田氏はこれまでもDHCの公式サイト上やメディアで“ヘイト投稿”を繰り返しているのだ』、「企業で通訳を務めていたそうですが、商談相手のお偉いさん方を見て『俺もあっち側になる』と一念発起してDHCを起業」、とは大したものだ。
・『ヘイト投稿の数々  《問題なのは日本人として帰化しているのに日本の悪口ばっかり言っていたり、徒党を組んで在日集団を作ろうとしている輩です。いわゆる、似非日本人、なんちゃって日本人です。(中略)似非日本人はいりません。母国に帰っていただきましょう》(2016年2月12日 公式サイト「会長メッセージ」より) 《我々は全くの異人種である韓国人と仲良くすることはあっても、そして多少は移民として受け入れることはあっても、決して大量にこの国に入れてはいけないのです》(2018年4月30日 iRONNA寄稿文より) 吉田氏のヘイト発言は社内でも常態化していたという。 「会長は『通達』と題された社内向けの文書で、これまで何度も差別的な言葉を使っているんです。文書には会長の印が押されています。『通達』は社内に掲示されていて、誰でも見ることができます」 「文春オンライン」特集班はその「通達」を含む内部文書を複数枚入手。そこには確かに差別的な言葉がたびたび用いられている。「ヤケクソくじ」の文書でも言及されていた、タレントなどの「出自」に関する記述もある』、「差別発言」は自分の信念から発せられた確信犯のようだ。
・『「文春オンライン」特集班が入手した内部文書  《現在、広告代理店は自社グループの伝々虫と業界最大手の電通の二社に限定している。(中略)今後は二社限定を解除する。ただし、名前は忘れたが、チョントリーの広告を専用にやっている代理店はもちろん使用禁止である》(2019年3月20日「通達」より) 《TVコマーシャルは社長、会長秘書部、広報部の最終判定を受け、その中の一人でも反対がある場合は却下とする。判定の対象は商品の出来栄え、タレントの出自と品性、製作費とする》(2018年12月14日「通達」より』、自社の広告をどうするかは勝手だ。
・『“正しい出自の持ち主が資格要件”  《(秘書の採用について)現在29歳のZ(※文書では実名)がトップになることから、20代であり、頭脳明晰、強い愛社精神、正しい出自の持ち主が資格要件となる》(2019年3月20日「通達」より) 「通達」では、吉田氏が特定の社員を名指しして人格否定ともいえる激しい批判に及ぶこともあった。その際にも差別的な文脈で韓国語が使われている』、パワーハラスメントの典型例だ。
・『差別的に使われている“ケンチャナヨ精神”  《体に入るもの、顔に触れるものは一度だって不良品を出すことは許されない。こういう研究室の体質は、おそらくX(※文書では実名)をはじめとする部員全体に充満しているいい加減な生まれつきの気質から来ているものと思われる。いわゆる「ケンチャナヨ精神」である。特にXは指導者としては欠陥が多すぎる。リーダーの資格がない。人格形成をやり直せ》(2020年8月12日「通達」より) ケンチャナヨとは、韓国語で「大丈夫」を意味する言葉だ。吉田氏はX氏の研究室の体質を批判する際にわざわざ「ケンチャナヨ」と韓国語を用いている。 しかしその発言を諫める社員はいないという。A子さんによると「DHCは会長を教祖とする宗教団体のよう」なのだという。 「会長は創業者としてこれまで50年に渡ってDHCを差配してきました。会長が黒と言えば白も黒になります。それに、会長の機嫌を損なった社員がこれまでどんな憂き目にあっているのか、社内中が知っていますから……」(A子さん)』、「韓国語」にも通じているのだろうか。
・『役員や社員の解雇を示唆  吉田氏からの「通達」では、前出のように名指しで特定の社員を批判するほか、役員や社員の解雇を示唆することもあるという。 《この前、数名の役員を解任した(中略)。役員の任を果たしていない人物、心からは信頼できない人物、これらは前もって一掃して、きれいにしておきたかった》(2019年3月20日「通達」より』、完全に自分のやりたい放題のようだ。
・『“不要な社員が多すぎる”  《全体の雰囲気がだらけているし、どの部署も費用対効果が非常に悪い。不要な社員が多すぎる。3200人近くいる従業員は2000人ほどに減らす必要がある。過去四年にさかのぼり個人一人一人の勤怠・業績・能力を精査し退職勧奨すべき従業員を現在急ピッチでピックアップする作業を開始している》(2020年8月20日「通達」より) A子さんが続ける。 「吉田会長は元々こういった厳しい言葉を使ったり、人事権を笠に着て社員を意のままに動かそうとしたりする傾向はありました。差別的な用語を遣うことも昔からです。ただコロナ禍以降、無茶苦茶な言動が増えてきた。社員が特に滅入っているのが“サクラ投稿業務”なんです」 “サクラ投稿業務”とは一体なんなのか。実際にその業務についたDHC社員・Bさんに話を聞くことができた。(#2につづく)』、「コロナ禍以降、無茶苦茶な言動が増えてきた」、困ったことだ。「“サクラ投稿業務”」をみてみよう。

第二に、この続きを、12月28日付け文春オンライン「DHC会長が全社員に口コミサイトへ“サクラ投稿”奨励「ゴールド社員の称号を与える」《消費者庁は「非常にグレー」》 DHC現役社員が告発 #2」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/42629
・『公式サイトに「チョントリー」など特定の人種や国籍を差別する文章を掲載したDHC代表取締役会長の吉田嘉明氏(79)。ネット上ではこの“ヘイト投稿”を受け「#差別企業DHCの商品は買いません」との不買運動が広がっている。 前稿#1では、吉田氏名義でDHC社内向けに不定期で出される内部資料「通達」と、現役社員(12月18日現在)の告発をもとに、吉田氏の常態化したヘイト発言について詳報した。 しかし、問題はこれだけではなかった。吉田氏は社員に対して、 “サクラ”として自社商品の口コミをネットに投稿するよう指示し、その対応如何によって、社員を“格付け”しているというのだ――』、「自社商品の口コミ」を「社員」に操作させようというのは悪質だ。
・『「なりふり構わず逆襲に出なければならない」  2020年8月20日、吉田氏名義で社内に“檄文”のような「通達」が社内に掲示された。そこにはこう記されている。 《同業者が空を覆いつくす飛蝗か野壺にうごめく蛆虫のごとく蝟集するこの業界においては、NO.1だけがかろうじて認識され、あとはクズインチキの扱いしか受けない》 《もう我慢ができない。なりふり構わず逆襲に出なければならない。DHCは宣伝がどこよりも稚拙である》 《ある国籍不明の国会議員が「一番ではなく二番ではダメなんでしょうか」と寝ぼけたことを言っていた》 現社員であるA子さんが語る。 「実はDHCの前期売上高が1000億円を切ってしまい、DHCが業界ナンバーワンの座から落ちてしまったんです。会長はそのことについて、かなり怒っているようでした。その怒りの矛先はまず宣伝部に向かいました。社内向け文書『通達』のなかで《DHCは宣伝がどこよりも稚拙である》《どこよりも売り方がへたくそである》と批判したのです。 そして、新たな宣伝活動を始めるとして、社員に対し『らくがき板の活用』を指示したんです」(同前)』、「DHCの前期売上高が1000億円を切ってしまい、DHCが業界ナンバーワンの座から落ちてしまった」、のでは「会長」がカリカリするのは理解できる。
・『DHCの“らくがき板”とは?  “らくがき板”とは、DHCの商品を通販で購入した消費者のもとに送られてくる葉書のことだ。そこに商品の口コミを書いて返送し、DHCが発行している会報誌に掲載された場合は1万円分の商品が当たる。 「商品が欲しいと思って口コミを書いてくださる消費者が多いので、いい口コミばかりが集まります。そうでないと採用されませんから。なので、会報誌に載るのはDHCの商品を絶賛した口コミだけです。 一方でSNSや化粧品口コミサイトには、DHCに対して厳しい評価が書き込まれることもあります。会長はそのことがずっと気に入らなかったようです」(同前)』、「SNSや化粧品口コミサイト」に「DHCに対して厳しい評価が書き込まれることもあります」、当然のことなのに、「会長は」不満とは勝手な人だ。
・『ついに“サクラ投稿”を募集  同「通達」で、ついに吉田氏は社内に向けてこんな募集を始めた。 《落書き版(原文ママ)に書かれた内容をデジタル化して、それをファンの人に成り代わってあらゆるメディアに次から次へと投稿していく、これを副業でやってくれる人を募集する。固定給制度でスタートは月給10万円。毎月一度報告をしてもらい、貢献度によって11万円、12万円、・・・、20万円と上がっていく。DHCに愛社精神があり、是非やってみたいと思う人は応募せよ》(2020年8月20日「通達」より) 「つまり、消費者の方が書いた口コミを、あたかも自分が商品を使用した口コミであるかのようにSNSやほかの口コミサイトに投稿せよという社員への“サクラ投稿”の指示だったのです。投稿先として、Instagram、Twitter、Facebook、YouTubeなどのSNSのほかに、『アットコスメ』などの大手口コミサイトも対象として指定されました」(A子さん) この募集に対して、当初は「多くの従業員が『こんな“グレーな業務”には関わりたくない』と目を伏せていた」(同前)という』、「消費者の方が書いた口コミを、あたかも自分が商品を使用した口コミであるかのようにSNSやほかの口コミサイトに投稿せよという社員への“サクラ投稿”の指示」、とは悪質だ。
・上司からの指示  「だから数人が応募したとしても、そんなに大規模な動きにはならないだろうと思っていました。なので、その後に会長から送られてきた『通達』を読んで驚きました」(同前) 《なんと応募者が二百数十名に達した。しかもその大半が、報酬は辞退したいというのである。会社の窮状を見て一灯をともしたいという愛社精神に満ちた社員がまだこれほどもいたのかと、小生はずっしりと重い申し込み用紙を抱いて落涙した》(2020年8月25日「通達」より) DHC社員は約3200名。なかには会長がいる本社から遠い店舗や工場に勤めている社員もいる。なぜこれほど希望者が集まったのか。 実際に“サクラ投稿”をしていたというDHC社員のBさんが語る。 「もちろんこんな業務に関わりたくはありませんでしたが、コロナ禍で家計が逼迫していたこともあり、私は8月20日の『通達』で案内されていた通り、月給10万円スタートの有償で引き受けることにしました。 しかし応募があまりなかったのか、ある部署では上司から『無償でやると手を挙げなさい』と言われ、無償で引き受けた社員も多かったと聞いています」』、「上司から『無償でやると手を挙げなさい』と言われ、無償で引き受けた社員も多かった」、「会長」にとっては都合がいい話のようだ。
・『DHCからB子さんに届いた分厚い封筒のなかみ  そうして2020年9月半ば頃から、“サクラ投稿”のプロジェクトが始まった。Bさんの自宅にはDHCから分厚い封筒が届けられたという。 「応募した後、自宅に大量の“らくがき板”のコピーが郵送されてきました。この中から、自分の年齢や性別と近しいお客さまの口コミを選別して自分のSNSに投稿せよ、とのことでした。 ルールは、口コミの文言を一字一句変えることなく投稿すること。あくまでユーザーの方の口コミであり『口コミを捏造したわけではない』と主張したいのだと思います。でも、なりすましであることに変わりはありませんよね……。投稿には罪悪感がありました」 Bさんが“サクラ投稿”をしている間にも、DHCからは細かい指示があり、そのたびに少しずつルールが変わっていったという。 「当初はアットコスメなど大手美容口コミサイトに投稿する社員が多かったのですが、『運営に目をつけられるかもしれないから』と投稿制限がかかりました。それ以降はInstagramやFacebookに投稿している人が多いようです』、「大手美容口コミサイト」では他社の目もあり、公正さが求められるので、「InstagramやFacebookに投稿」するように変わったようだ。
・『ついには要報告のノルマ化  最初はノルマもなく、空いた時間に1、2件投稿するだけでよかったのですが、最終的には家族にも投稿してもらうことや、1日2件以上投稿することが“有償投稿”の条件になりました」(同前) 口コミを投稿した後には会社への報告も義務付けられたという。 「どんな内容の口コミをどのSNSに投稿したのかを管理する専用サイトが作られ、自分の成果はそこに記録していました。実際に投稿した口コミのスクリーンショットをメールで秘書の方に送るようにも指示されていました」(同前) そのうち“サクラ投稿”に関わる社員だけのメーリングリストが作成され、吉田氏の秘書から「会長からのお言葉を連絡します」と、吉田氏の熱い感想が届くようになったという。 《諸君の熱心な投稿活動によって、本プロジェクトはすこぶる順調に推移している。必ずや成果につながるものと確信している。(中略)DHCの宣伝広告部隊の社員は商品知識が乏しく、他社に比べて驚くほど全てが稚拙である。(中略)もうDHC広告宣伝担当者には頼るな。お客様に頼っていこう(原文ママ)》(吉田氏の言葉が記載されたメール2020年10月12日) 社員の複雑な心中とは裏腹に、吉田氏は投稿を引き受けた社員、特に報酬を辞退した社員がいることに感激したようで、彼らに対し“称号”を与え、称賛した』、「報酬を辞退した社員」に、「“称号”を与え、称賛した」、そんな程度で済んだのだろうか。
・『「ゴールド社員」という称号  《報酬を辞退したいと申し出てくれた奇特な人達には、家で仕事をしてもらうわけにはいかないので、当然就業中の手がすいたときにやってもらうことになる。この人たちには「ゴールド社員」という称号を与え、その愛社精神を将来にわたって尊崇の対象としたい》(2020年8月25日「通達」より) 《無償ゴールド会員はいま専用のゴールドバッヂを作っているので、これも今しばらく待っていただきたい。無償ゴールド会員は賞与支給の際にその貢献度に応じて熱く報いるつもりである(原文ママ)》(メール2020年10月12日) こうした“サクラ投稿”は法的には問題ないのだろうか。消費者庁に取材したところ、「非常にグレーではある」という。 「口コミを事業主側が捏造した場合は景品表示法で取り締まりの対象となります。内容を捏造せず、あくまで消費者の感想を転載する場合に取り締まり対象になるかどうかは、個別のケース次第です。それでも事業者側が消費者の良い感想のみを意図的に選んで転用するという行為は、消費者の商品選択のために好ましい行為とはいえません」(同前)』、法的にはともかく、「口コミ」の公正さを揺るがす不正だ。
・『うまく法を潜り抜けようと  また文化庁の担当者に取材したところ、こういった見解を示した。 「口コミも、内容に創作性があり、ある程度の長さがあるものは著作物にあたります。そのため、事前に著作者に告知せずにほかの媒体等に転載・転用する場合は著作権法違反にあたります」 Bさんは、「会長は著作権法違反の恐れがあると途中で気が付いた」と明かす。 「10月から、お客様に送付されるらくがき板の葉書の仕様が変わったのです。『あなたに代わって活字に清書し、いろいろな活字媒体に掲載されるように取り計らいます』との但し書きが追加されました。著作権法を気にしてのことでしょう。しかし結局いま現在社員が“サクラ”をしているもののほとんどは、但し書きが付け加えられる数年前の感想です。いまになって但し書きを加えれば、許されるものなのでしょうか……」 Bさんが続ける。 「ゴールド社員の待遇からもわかるように、会長は、たとえ違反行為であっても、見返りを求めず、とにかく会社のために身を粉にして働く人が大好きなんです。社員のなかには生活のためや他の趣味のために働いて結果を出している人もいるのに、そういった人は『不要な社員』として見なされてしまう。 “愛社精神”が人事評価にも直結するんです」 「文春オンライン」はDHCの人事評価項目が記された文書を入手した。するとそこには目を疑う評価基準が記されていたのだ——。(#3につづく)』、「但し書きが付け加えられ」たとはいえ、少なくともそれ以前のものには但し書きは無効の筈だ。次に、「人事評価」の「評価基準」をみてみよう。

第三に、この続きを12月28日付け文春オンライン「【内部文書入手】DHCのヤバすぎる勤務実態「産休取得で降格、査定基準に“愛社精神指数”、ボーナスのお礼を会長にファクス DHC現役社員が告発 #3」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/42630
・『公式サイトに「チョントリー」など特定の民族や国籍を差別するような文書を掲載したDHC代表取締役会長の吉田嘉明氏(79)。ネット上ではこの“ヘイト投稿”を受け「#差別企業DHCの商品は買いません」との不買運動が広がっている。 「文春オンライン」の取材で、実は吉田氏の差別発言は常態化していたことが判明。吉田氏名義でDHC社内向けに不定期で出される内部資料「通達」と、現役社員(取材時)の告発をもとに、その実態を詳報した。(#1) しかし問題はこれだけではない。吉田氏は社員に対して、自社商品の口コミを書き込む“サクラ投稿”を指示していることが判明。消費者庁や文化庁に取材をしたところ、吉田氏が主導している“サクラ投稿”は景品表示法や著作権法に触れる可能性があるという。そのうえ吉田氏は、“サクラ投稿”を無償で引き受けた社員を「ゴールド社員」などと“格付け”していることも明らかになった。(#2) ヘイト発言に“サクラ投稿”——。こうした行為がDHC社内でまかり通ってしまう状況には、「人事」が影響を及ぼしているという。#1と#2で告発したDHCの社員A子さんとBさんが語る』、確かに「人事」が基本だ。
・『大っぴらに批判すれば人事評価で最低点に  「私たちも会長のヘイト発言や“サクラ投稿”には嫌気がさしています。しかしそれを大っぴらに批判することはできません。もし“会長派”の誰かが聞いていたら、告げ口のFAXを会長に送られたり、人事評価で最低点の『2.0』をつけられてしまうかもしれませんから。 DHCではボーナス前の時期に、社員同士で人事評価をし合う制度があるんです。しかもその評価軸が少し変わっているというか……」 取材班が入手した「平成30年より新人事評価」と題されたDHCの内部文書には、次のように記されている。 《4.0 誰が見ても著しく会社に貢献している。能力が並外れて高く、この人がいなくなると会社は大損害である。誰よりも愛社精神に満ち満ちている。 3.5 会社にとってかなり大切な人である。平均的な社員より間違いなく優秀であり、会社に確実に利益をもたらしている。愛社精神が感じられる。 3.0 給料分は働いている。勤労意欲はあるが、結果が優れているというわけでもない。大企業のどこにでもいる並みの社員である。 2.5 給料をもらうため、生活のために会社に来ている。こういう社員が蔓延すると会社は必ず衰退していき、やがては倒産につながる。 2.0 問題外の社員。穀潰し。即刻辞めてもらいたい。》「2.0」になったtら、次の期には辞めさせるための厳しい指導が始まるのだろうか。
・『“愛社精神”を周囲にアピールすることもポイント  A子さんが続ける。 「自分と同じ部署の社員に0.1ポイント刻みで点数をつけて、専用の用紙に点数を記入していきます。部署によっては1人だけの部署もあるので、そういうところは自己評価になりますが、2.4以下か3.6以上の点数をつけた場合は、その理由も記入する決まりです。平均点が3.0くらいになるように調整するので、2.0がつけられることはかなり稀ですが、誰か1人にでもこんな評価をされたら会長に目をつけられてしまいます。それにこの評価を見ればわかるように、結果を出していればそれでいいというわけではないのです。“愛社精神”を周囲にアピールすることも大切なポイントなんです」 そして2020年12月24日、DHCではまた新たな人事の評価基準が導入されたという。社内に掲示された「賞与と愛社精神について」と題された会長からの文書に社員らはどよめいた。 《12月28日に賞与を支給する。賞与の査定は従来、勤怠と会社への売上貢献度を中心に判定した「頑張り評価」を指数化(2.5から4.5)して行われたが、今後「頑張り評価指数」と「愛社精神評価指数(2.0~5.0)」の平均値で評価することとた(原文ママ)》 「穀潰し」などの通常の人事評価とは異なる、賞与査定時に用いられる新たなシステムだ』、なるほど。
・『「DHC特別社員」と命名  《会社勤務に当たって最も大切なものは何よりも愛社精神である。今回らくがき板のデジタル化の協力を社員に求めたが、120名の社員が無償で協力したいとの応募があり、今現在想定以上の多数の投稿が実施され、その効果の大きさに驚いている。これこそ愛社精神の発露以外の何物でもない。今後彼らがDHCの救世主になることは間違いない。涙が出るほどありがたい社員たちであり、彼らを「DHC特別社員」と命名することにした。特別社員はその投稿数によって3.0から5.0の指数を与えることとした》 《らくがき板のデジタル化の協力》とは#2で詳報した“サクラ投稿”のことだ。吉田氏は2020年8月にDHCの商品を絶賛する口コミをSNSなどに投稿する業務を担ってくれる社員を募った。そして、この“サクラ投稿”を無償で引き受けた社員を「ゴールド社員」と呼んでいたのだが、彼らを「DHC特別社員」と命名し、ボーナスの支給額をアップさせるというのだ』、「ゴールド社員」には「ボーナスの支給額をアップ」という実利がつくようだ。
・『「IT推進部は腐った部署」という評価  しかし「愛社精神評価指数」が導入されたことで、憂き目に遭っている社員もいる。「賞与と愛社精神について」にはこうも書かれている。 《最低評価2.5に該当するのは、大勢の部署で部署全体に協力しようとする者が誰もいない腐った部署である。IT推進部がそれにあたる(原文ママ)》 「なぜIT推進部がこんなにも酷い扱いを受けているかは誰もわかりません。噂では、らくがき板の“サクラ投稿”に誰も手を挙げなかったからだとか、IT推進部の社員が『ヤケクソくじ』が炎上した際に検索サイトで上位に表示されるように細工したから会長に目をつけられたのだろう、とか言われています。 IT推進部はDHCの通信販売を取り仕切ったりネット広告などを請け負う、今後のDHCには欠かせない部署なのに……」(A子さん)』、会長の理不尽な好き嫌いがこれほどストレートに出てくると、「IT推進部」がやる気を失ってしまうリスクがありそうだ。
・『ボーナスのお礼をファクスで  そのうえ、吉田氏の言う愛社精神は「アピールが上手いかどうかで決まるという側面もある」ようだ。A子さんが説明する。 「2020年8月7日に出された『通達』には、《(賞与の支払いについて)三千人もいる社員の中で小生にお礼のファックス送ってくれた社員はたったの一名のみであった。DHCは腐っている(原文ママ)》と書かれていました。《小生》というのはもちろん吉田会長のことです。ボーナスのお礼を社員がファクスで会長に伝えるなど、普通の会社ではあり得ませんよね? この会社では一生懸命仕事をするだけでは評価されない。やるせないですよ」 「賞与と愛社精神について」にはこうも記されている。 《特別社員の愛社精神指数の平均は3.4である。その分、今期の賞与支給において優遇されることとなる。今回は愛社精神を判定する材料が限られるので、ほとんどの社員が2.7~2.8程度となる。今後自薦他薦を含めて愛社精神を発揮している社員がいれば、その都度会長室迄ファックスをしてほしい。反社行動もまたしかりである。必ず愛社精神指数に反映することを約束する》 この評価が本人に明かされることはないのだという。 「自分自身がどのように評価されているかは全くフィードバックされません。理由が明かされないままに、給与や賞与がいつの間にか下がっているんです。そんなときには『何かまずいことしたかな……?』と不安になります」(A子さん) Bさんによると、こうしたボーナス前の人事評価アンケートとはまた別のアンケートも存在するという』、何なのだろう。
・『「昇格させたい人」「降格させたい人」を名指しで  「会長は『昇格させたい人』『降格させたい人』を名指しで書かせるアンケートを人事評価を行うタイミングで行っています。もし『降格させたい人』に名前が書かれた場合は人事が周辺の社員に聞き取りをして、評価が妥当だと判断されると降格させられてしまうこともあります」 しかも降格に際しては、上長から「自分から降格を申し出るように」と指示されることもあるというのだ。対象となるのは「産休・育休をとる女性社員」だ。A子さんが語る』、「産休・育休をとる女性社員」に「上長から「自分から降格を申し出るように」と指示されることもある」、悪質だ。
・『「産休・育休をとる女性社員」の降格  「主任や次長など、役職に就いている女性社員は産休・育休を取得する場合には職務解任処分、つまり降格する方がほとんどです。ただ、会社が妊娠・出産などを理由に一方的に降格人事をすることは法律で禁じられているため、ある先輩社員は妊娠が発覚した際に、上司に促され、自ら役職を降りる旨と『ご迷惑をおかけして申し訳ございません』と綴ったファックスを会長宛てに送付していました。指示されなくても『慣習だから』と自ら降格を申し出る方もいました。あくまで“自己都合”で降格するので、社内に公表される場合には『本人からの申し出により』と表記されます」 降格時期は女性社員が会社に妊娠を報告するタイミングによるというが、多くが産休に入る前に降格されるのだという。 「産休・育休が明けて復職してからも肩書は元に戻らず、子育てをしながらもう一度昇進を目指す必要があります。育休中に上司から『いつ戻ってくるのか』と催促メールが送られてきたという女性社員は、それに耐えかねて通常1年とれるはずの育休を4カ月にして復帰した人もいました」(同前) 妊娠・出産・育児等を理由とする不利益な扱いは、マタニティハラスメントとして男女雇用機会均等法9条3項、育児・介護休業法10条により禁止されている。 東京労働局の担当者が語る。 「会社から一方的に降格することは男女雇用機会均等法、育児・介護休業法における不利益取り扱いにあたります。一方的ではない場合も、本人の意に反して、降格を申し出るように強要することがあった場合は、同様に不利益取り扱いに当たる可能性があります」 「文春オンライン」特集班はDHCに文書で事実確認を行うとともに、吉田氏へもインタビュー取材を申し込んだが、期日までに回答はなかった』、「マタニティハラスメント」だけでなく、より一般的な「パワーハラスメント」に該当するケースは多そうだが、ワンマン「会長」のもとでは、訴えるには退職を覚悟する必要がありそうだ。週刊文春でここまで暴露記事が出た以上、同社の苦境はさらに強まりそうだ。
タグ:人権 文春オンライン 上司からの指示 (その5)(DHC問題3題:【DHC現役社員が告発】ヘイト炎上の源泉は会長のヤバすぎる“差別通達”《タレントの出自に関する記述も》DHC現役社員が告発 #1、DHC会長が全社員に口コミサイトへ“サクラ投稿”奨励「ゴールド社員の称号を与える」《消費者庁は「非常にグレー」》 DHC現役社員が告発 #2、【内部文書入手】DHCのヤバすぎる勤務実態「産休取得で降格、査定基準に“愛社精神指数”、ボーナスのお礼を会長にファクス DHC現役社員が告発 #3) 「【DHC現役社員が告発】ヘイト炎上の源泉は会長のヤバすぎる“差別通達”《タレントの出自に関する記述も》DHC現役社員が告発 #1」 DHCキャンペーン「ヤケクソくじ」 同社代表取締役会長・吉田嘉明氏(79)の文章なのだが、特定の民族や国籍を差別する言葉が並べられており、12月中旬になってネットで炎上 化粧品メーカーの創業トップが、公然と差別発言をネット上に公開するとは心底、驚かされた 50年間ワンマン体制でDHCを経営してきた吉田会長 「渡辺喜美」の「借金問題」 人格についてはみな閉口 企業で通訳を務めていたそうですが、商談相手のお偉いさん方を見て『俺もあっち側になる』と一念発起してDHCを起業」、とは大したものだ ヘイト投稿の数々 「差別発言」は自分の信念から発せられた確信犯のようだ 「文春オンライン」特集班が入手した内部文書 “正しい出自の持ち主が資格要件” 吉田氏が特定の社員を名指しして人格否定ともいえる激しい批判に及ぶこともあった 差別的に使われている“ケンチャナヨ精神” 役員や社員の解雇を示唆 コロナ禍以降、無茶苦茶な言動が増えてきた 「DHC会長が全社員に口コミサイトへ“サクラ投稿”奨励「ゴールド社員の称号を与える」《消費者庁は「非常にグレー」》 DHC現役社員が告発 #2 「自社商品の口コミ」を「社員」に操作させようというのは悪質だ 「なりふり構わず逆襲に出なければならない」 「DHCの前期売上高が1000億円を切ってしまい、DHCが業界ナンバーワンの座から落ちてしまった」、のでは「会長」がカリカリするのは理解できる DHCの“らくがき板”とは? 「SNSや化粧品口コミサイト」に「DHCに対して厳しい評価が書き込まれることもあります」、当然のことなのに、「会長は」不満とは勝手な人だ ついに“サクラ投稿”を募集 消費者の方が書いた口コミを、あたかも自分が商品を使用した口コミであるかのようにSNSやほかの口コミサイトに投稿せよという社員への“サクラ投稿”の指示」、とは悪質だ DHCからB子さんに届いた分厚い封筒のなかみ 「大手美容口コミサイト」では他社の目もあり、公正さが求められるので、「InstagramやFacebookに投稿」するように変わったようだ ついには要報告のノルマ化 「報酬を辞退した社員」に、「“称号”を与え、称賛した」、そんな程度で済んだのだろうか 「ゴールド社員」という称号 法的にはともかく、「口コミ」の公正さを揺るがす不正だ うまく法を潜り抜けようと 「但し書きが付け加えられ」たとはいえ、少なくともそれ以前のものには但し書きは無効の筈だ 「【内部文書入手】DHCのヤバすぎる勤務実態「産休取得で降格、査定基準に“愛社精神指数”、ボーナスのお礼を会長にファクス DHC現役社員が告発 #3」 大っぴらに批判すれば人事評価で最低点に “愛社精神”を周囲にアピールすることもポイント 「DHC特別社員」と命名 「ゴールド社員」には「ボーナスの支給額をアップ」という実利がつくようだ 「IT推進部は腐った部署」という評価 「昇格させたい人」「降格させたい人」を名指しで 「産休・育休をとる女性社員」に「上長から「自分から降格を申し出るように」と指示されることもある」、悪質だ 「産休・育休をとる女性社員」の降格 「マタニティハラスメント」だけでなく、より一般的な「パワーハラスメント」に該当するケースは多そうだが、ワンマン「会長」のもとでは、訴えるには退職を覚悟する必要がありそうだ。 週刊文春でここまで暴露記事が出た以上、同社の苦境はさらに強まりそうだ
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中国経済(その7)(中国「AAA社債」デフォルト 不正容疑で当局介入 国有大手の永煤集団、財務諸表を違法に改竄か、アントはなぜ「上場延期」に追い込まれたのか?、危機を脱したのは本当?、コロナ禍「一人勝ち」の中国・習近平体制が 揺らぎかねない難問) [世界経済]

中国経済については、10月5日に取上げた。今日は、(その7)(中国「AAA社債」デフォルト 不正容疑で当局介入 国有大手の永煤集団、財務諸表を違法に改竄か、アントはなぜ「上場延期」に追い込まれたのか?、コロナ禍「一人勝ち」の中国・習近平体制が 揺らぎかねない難問)である。

先ずは、昨年12月9日付け東洋経済オンラインが財新 Biz&Techを転載した「中国「AAA社債」デフォルト、不正容疑で当局介入 国有大手の永煤集団、財務諸表を違法に改竄か」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/392417
・『国河南省の国有石炭大手、永城煤電控股集団(永煤集団)が発行した社債が、発行体として「AAA」の格付けを得ていたにもかかわらずデフォルトした事件が波紋を広げている。同社が財務の実態を隠すため不正行為に手を染めていた疑いが強まり、当局が調査に乗り出した(訳注:事件の経緯は『中国の石炭大手、格付け「AAA」の社債デフォルト』を参照)。 11月27日夜、中国証券監督管理委員会 (証監会)は永煤集団および監査法人の希格瑪会計事務所を証券法違反などの容疑で立件・調査すると発表した。中国国務院金融安定発展委員会の「不正は一切容赦しない」という方針に基づき、関係部門と協力して厳しく取り調べる。 当局介入の引き金となった額面10億元(約159億円)の超短期社債「20永煤SCP003」のデフォルトは、中国の債券市場に大きな衝撃を与えた。永煤集団は償還期限の11月10日に「元利の支払いができない」と唐突に発表。その直後から、中国各地の石炭関連企業や(資金繰りの悪化がささやかれている)地方の国有企業が社債発行のキャンセルを迫られたり、発行済み社債の取引価格が急落したりするなどの連鎖反応を引き起こした』、「格付け「AAA」の社債デフォルト」、とは確かに衝撃的だ。
・『債務踏み倒しや市場操縦の嫌疑も  市場関係者の疑心暗鬼を招いた最大の要因は、永煤集団がデフォルトの20日前にも中期社債を発行したばかりで、その目論見書で開示した財務諸表には十分な資金が計上されていたことだ。 財務諸表によれば、同社には2020年9月末時点で328億2100万元(約5205億円)の現金および現金等価物があった。また、格付け会社の中債資信評估は「永煤集団の石炭事業は月間10億元を超える営業キャッシュフローを生み出しており、短期的な流動性は良好」との評価を付与していた。これらが事実なら、10億元程度の支払いは何ら問題ないはずだったのだ。 永煤集団の不正疑惑をめぐっては、証監会の介入に先立ち、銀行間債券市場の自主規制機関である中国銀行間市場交易商協会が自主調査を進めてきた。 関係者に対する財新記者の取材によれば、永煤集団には債務の踏み倒し、自社の社債を担保にした銀行借入、詐欺、市場操縦、不適切なデューデリジェンス(投資のリスクやリターンの適正評価手続き)、財務諸表の改竄、虚偽の格付け、ウソの情報開示など、多数の違法行為の嫌疑がかかっているという』、「デフォルトの20日前にも中期社債を発行したばかりで、その目論見書で開示した財務諸表には十分な資金が計上されていた」、というのでは、不正は「永煤集団」だけでなく、「格付け会社の中債資信評估」にも広がる可能性がありそうだ。

次に、12月9日付け日経ビジネスオンラインが掲載した中国の対外経済貿易大学教授の西村 友作氏による「アントはなぜ「上場延期」に追い込まれたのか?」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00109/00026/?P=1
・『アリババグループ傘下の金融テクノロジー企業「アント・グループ(螞蟻集団)」が計画していた上海と香港での新規株式公開(IPO)が延期された。 「決済」というアリババ経済圏の中核を担うアントの上場は注目度も極めて高く、個人投資家も殺到し、調達額も史上最大になると期待されていた。上場2日前の延期発表は市場に大きな衝撃を与えた。 突然の延期の理由は何だったのだろうか。 上海証券取引所の発表によると、同社の幹部が関連規制当局から聴取を受け、金融テクノロジー規制環境の変化を含む重要事項が報告されており、公募・上場の条件や情報開示の要件を満たさなくなる可能性があるためだという。 聴取を受けた幹部には、アントの議決権の5割強を握るアリババ創業者のジャック・マー(馬雲)氏も含まれており、10月下旬の講演会での彼の発言が問題視されている』、私も「上場2日前の延期発表」には驚かされ、中国の未熟さを再認識させられた。
・『ジャック・マー氏は何を語ったのか?  問題の講演は10月24日に上海市で開催された「第2回外灘金融サミット」の開幕式。王岐山・国家副主席がオンラインで祝辞を寄せ、周小川・中国人民銀行前行長(総裁)が基調講演を行うなど、中国の金融関係者が一堂に会する場だった。 そのような場でジャック・マー氏が展開したのは、金融業界に対する痛烈な批判だった。 マー氏は、「中国の金融は未熟」で「銀行は考えが古い」だから「イノベーションが必要」だと説いた。その上で、中国は「管理能力は強いが、監督能力が欠乏している」「昨日の方法では未来は管理できない」とし、古い規制で新しい取り組みを縛るとイノベーションは生まれないという考えを示した。 私が注目したのが、「バーゼル合意は老人クラブのようなものだ」と、多くの国で導入され、中国でも採用されている銀行規制を批判した点だ。バーゼル合意は、ヨーロッパでは金融デジタル化といったイノベーションの足かせとなっており、中国には合わないとも述べている。 中国ではフィンテック企業に対する規制強化の声が高まってきているが、上場を控えたアントに対しては規制で縛らずに自由にやらせるべきだ、と言いたかったのだろう。 金融とテクノロジーを融合したフィンテック企業は比較的新しい概念であり、新しいサービスも次々と開発され、事業の領域が複雑で曖昧だ。「フィン(金融)」企業と見るか、「テック(技術)」企業と見るかによって当然規制の在り方が変わってくる』、「マー氏」が「第2回外灘金融サミット」の開幕式で、「金融業界に対する痛烈な批判」を展開したとは、ずいぶん思い切った本音を語ったものだ。自分の名声に自信があったのだろうが、それは裏切られたようだ。
・『アントはフィン企業かテック企業か?  アリペイが代名詞のアントであるが、上場目論見書のセグメント情報を見ると、2020年上期(1~6月)の売り上げの63.4%を占めるのが「融資・投資・保険」事業だ。中でも、中小・零細事業者や個人向けの融資を行う部門が同39.4%と最も高い。 これを見る限り銀行業を営んでいるようにも見えるが、実際に融資を実施しているのは、アントではなく、提携先の金融機関だ。アントは、AIを駆使して自身が持つ膨大な顧客データの分析を行い、与信枠や金利などを算出、それを提携金融機関に提供して技術サービス料を得て稼いでいる。 つまり、アントは情報を提供しているにすぎず、実際の融資はほとんど行っていない。そのため、講演でマー氏も述べているように、アントは自らを「テクノロジー企業」と標榜している。 一方、実際に融資を行い、信用リスクを負うのは銀行だ。アントの情報が融資先の与信判断を左右するのは事実であり、それに対しアントがリスクを負わないというのは確かに不自然だろう。そして、金融規制を受けるのもアントではなく銀行というゆがみも生じる。そのため、金融当局はアントを「金融企業」と見なし、他の金融機関同様の規制強化が必要だと考えていた。 アントと当局の間でこのような綱引きが展開されていたと想像できるが、マー氏の講演直後に事態は急展開する。 国務院金融安定発展委員会は10月31日に会議を開催し、「フィンテックと金融イノベーションは急速に発展を遂げており、金融の発展、安定、安全のバランスを図る必要がある」とした上で、「イノベーションを奨励し、企業家精神を発揚させると同時に、監督管理を強化し、法に基づき金融活動を全面的に監督管理に組み込み、効果的にリスクを防止しなければならない」と表明した。つまり、フィンテック企業を「フィン」企業と位置づけ、金融規制の対象としたのである。 アントが上場を予定していたのは新興企業向け株式市場「科創板」。「科創」とは中国語で「科学技術・イノベーション」を指し、その名の通り、多くのテクノロジー企業が上場する。また、スタートアップ向けということで、上場基準も比較的緩やかだ。アントも「テクノロジー企業」として上場しようとしていたし、実際に、証券監督管理委員会からは認可も出ていた。 それが、土壇場で「金融企業」と見なされ、「公募・上場の条件や情報開示の要件を満たさなくなる可能性」(上海証券取引所)が出てきたため、急きょ上場延期となったと考えられる。 今後は金融企業としての条件を満たした上で、再度上場を目指すことになるだろう』、「テクノロジー企業」ではなく、「金融企業としての条件」とは厳しそうだ。
・『時間を要するアントの上場  上場で調達できる資金はアントの中長期的発展に欠かせない。フィンテックに対する規制強化が進む中、国内業務の多角化が必要であり、「ノウハウ輸出+戦略投資」モデルによる国際市場の開拓にも巨額の資金を要する。 ※上場した場合の調達資金の運用方法に関しては、「アリババ傘下アント、上場資金3.7兆円で『世界展開』へ」を参照。 アントは上場に向けすでに準備を始めている。中国メディアによると、新たに最高コンプライアンス責任者(CCO)の役職を設け、規制に対するコンプライアンス強化を図っているという。 しかし、上場の見通しは全く立っていない。中国証券監督管理委員会の方星海副主席は11月17日に開催されたフォーラムで、アント・グループの上場に関して、「政府がいかにフィンテック企業の監督管理の枠組みを再構築するかによるし、企業がいかにその環境に対応するかにもよる」と述べている。つまり、これから政府がフィンテック企業に対する規制を再構築するのを待ち、それに対するアントの対応が終わってようやくめどが立つ。 アントにとって悲願の上場は、長く険しい道となりそうだ』、「テクノロジー企業」ではなく、「金融企業としての条件」というのは、当然のことだ。

第三に、本年1月20日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元外務審議官で日本総合研究所国際戦略研究所理事長の田中 均氏による「コロナ禍「一人勝ち」の中国・習近平体制が、揺らぎかねない難問」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/260204
・『経済は回復軌道に乗ったが共産党統治と成長モデルの矛盾課題に  中国国家計画局が18日、発表した2020年の国内総生産(GDP)の実質成長率は前年比2.3%増で、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない主要国がマイナス成長の中で、いち早く経済回復軌道に戻りつつある。 他方で、中国経済を引っ張ってきたファーウェイやアリババなどの巨大IT関連企業は米国市場では中国当局とのつながりを疑われて排除の傾向が強まる一方で、中国国内では当局のより強い監視下に置かれようとしている。 グローバルな市場経済と結び付く中で高い成長を維持してきた中国の経済モデルは、「中国排除」の動きに対抗して国内の締め付けを強めようとする共産党独裁の政治体制との矛盾の中で重大な岐路にあるようだ。 共産党の統治がこれまで揺らぐことはなかったのは経済成長が維持されてきたことが大きいが、指導部は体制を守るために経済にブレーキをかけることになるのだろうか。場合によっては指導部内での路線闘争となり得る。 中国はどのような選択をしていくのか、世界に与える影響は大きい』、「中国の経済モデルは、「中国排除」の動きに対抗して国内の締め付けを強めようとする共産党独裁の政治体制との矛盾の中で重大な岐路にあるようだ」、その通りだろう。
・『公の場から姿を消したアリババ創業者 グローバルIT企業も監視下に  アジア最大のIT企業グループとなったアリババの創設者ジャック・マー氏がここ数カ月、公の場から姿を消している。 それに先立ち、昨年10月に上海で行われた金融サミットでは、ジャック・マー氏は中国には金融システムが存在せず市場の改革が急務であるとして中国の金融当局や国有銀行を激しく非難した。 その後、11月に香港・上海市場で予定されていたアリババ・グループの金融会社であるアント・フィナンシャルの調達額350億ドル(3兆6000億円)に上るといわれた史上最大規模のIPO(新規株式公開)が予定の2日前に突如、延期された。 これら一連の出来事から読み取れるのは、アリババに代表される巨大IT関連企業が中国の発展に大きく貢献していることは認識しつつも、共産党のコントロールが利かなくなることへの中国当局の強い警戒心だ。 昨年末の民主派議員の大量逮捕など、香港で起こっていることも同じような文脈で理解できる。 昨年6月に香港国家安全維持法(国安法)が導入されて以降、「香港の中国化」が急速に進んでいる。中国の思惑は今年9月に予定される立法会選挙までに民主派を事実上、排除することだろう。 国安法に基づき多数の民主派を逮捕拘束するのもその一環であり、中国政府を批判するメディアに対しても厳しいコントロールを行っている。 「一国二制度」に沿った香港の自治と自由な資本主義は形骸化した。中国にとって香港は、中継貿易や投資基地として、或いは人民元の国際化を図る上で大きなメリットをもたらしてきたが、国内でも上海や深センなどの金融拠点は育ちつつあり香港の重要性は下がった。 一方で香港の民主化運動が中国本土へ波及する可能性がある。中国の指導部はそのことを危惧し、経済的にはマイナスでも政治的には共産党のコントロール下に置くことが重要と考えたのだろう』、「アリババに代表される巨大IT関連企業が中国の発展に大きく貢献していることは認識しつつも、共産党のコントロールが利かなくなることへの中国当局の強い警戒心だ」、習近平指導部は規律強化にカジを切ったようだ。
・『「中国排除」に備え民営企業にも党の指導強化  米中対立も直接のきっかけは膨大な貿易不均衡を中心とした経済摩擦だったが、対立の本質は、貿易の量的バランスの問題から経済システムの問題にシフトした。 米国をはじめとする自由主義諸国から見れば、中国の共産党統治の下での「国家資本主義」は、補助金などによる国営企業優遇、さらには進出外国企業に対する技術移転の強要など、市場メカニズムを害する構造的問題となった。 それだけではなくファーウェイ排除にも見られるように、中国の情報通信機器を通じて情報が中国政府に筒抜けになってしまうことを危惧し、経済安全保障の観点からも中国排除の動きが進んできた。 こうした中で、中国はハイテク産業を中心に部品や素材も外国に依存しない国内生産体制の強化を掲げ、昨年秋の5中全会で決まった2021年からの「第14次5カ年計画」でも内需と外需の「双循環」を維持しつつも、内需への重点化が中心概念となっている』、かつて毛沢東時代に「自力更生路線」を採ったが、改革開放以降は、相互の結びつきの高まりから、もはや「自力更生」など出来る筈がない。
・『改革開放路線か、共産党の規律強化か 指導部で路線闘争再燃の可能性  中国は1970年代後半以降、鄧小平(とうしょうへい)氏によって唱えられた改革開放路線に従って外国資本・技術を取り入れ、安い労働力を駆使し「世界の工場」として輸出先導型経済成長を遂げ、世界2位の経済大国に上り詰めた。 韓国や香港、台湾、シンガポールといった欧米先進国に次いで経済成長を達成したアジア諸国・地域が、当初はいわゆる「開発独裁」といわれ、権力が政府・当局に集中する形で計画的に経済成長を達成したのと似ているが、中国の場合は共産党一党独裁の下での飛躍的な経済成長達成だった。 だが一方で、今の中国の成長はグローバリゼーションで圧倒的に深まった国際経済との相互依存関係を切り離して考えるわけにはいかない。 むしろ今の状況では、共産党の強い監督下で資本主義的発展を追求するのは限界に来ているのではないか。 グローバルな市場で民営企業が自由な経済活動を行うためには、共産党の締め付けは緩和していかざるを得ない。共産党の規律を強化し厳しい規制の下でしか経済活動も認められないのであれば、アリババのようなグローバル企業はなりたたない。 一方で他国からは、中国企業は中国当局との結び付きを疑われ、市場から排除されていく傾向がますます強くなるのだろう。 今後、中国の指導部内で路線の対立があるとすれば、最大の対立点はおそらくこの経済ガバナンスの問題なのだろう。 改革開放路線は基本的には民営大企業にグローバルな活動を認め、グローバルスタンダードに従った規制にとどめることを基本にする。これまで習近平体制では李克強首相らがこの路線の強力な推進者と考えられてきた。 しかし昨今の習近平路線は、民営企業でも共産党がより大きな指導力を発揮すべきという姿勢だ。 科学技術力強化の国家戦略、食料安全保障戦略など、米国への依存からの脱却を図り、内需を重視し、自由な経済活動に制約を設け、共産党体制を強化していくという方向性が明確に示されている。 この路線の下で「第14次5カ年計画」は進められていくのだろう』、「共産党の規律を強化し厳しい規制の下でしか経済活動も認められないのであれば、アリババのようなグローバル企業はなりたたない」、「他国からは、中国企業は中国当局との結び付きを疑われ、市場から排除されていく傾向がますます強くなるのだろう」、「習近平路線」は大きな試練に直面せざるを得ないだろう。
・『成長が失速すれば習体制の権力基盤揺らぐ  習近平体制が今後、安定を保つのかどうかのカギは、共産党の指導強化の下で経済発展が順調に続けられるのかどうかだ。 この点ではコロナ後の経済パフォーマンスが重要な意味を持つ。 世界銀行は中国の2021年の実質GDP成長率を前年比+7.9%と予測しているが、これはコロナ禍で成長率が落ち込んだ20年からの回復期なので、おのずと高い成長率になる面がある。 問題は2022年以降だろう。 22年以降も年率平均5%程度の成長を続けられれば、「ビジョン2035」に掲げられた1人当たりGDPを2035年までに中程度の先進国並みにするという中期目標や、中華人民共和国創立100周年の2049年までに「最も豊かな社会主義現代化強国」になることを掲げる「中国の夢」も達成可能だ。 しかし、いずれ米国の強い締め付けやハイテクを中心とした中国排除(デカップリング)の影響が出てくると予想される。加えて国内での金融・ITバブルの崩壊などで経済停滞の事態に陥る可能性は払拭できない。 もしそうなれば共産党の強い規律の下での資本主義的経済成長はやはり無理だということで、改革開放路線に基づき経済システムの再調整を余儀なくされるだろう。 このような状況になれば習近平国家主席(共産党総書記)の権力基盤は揺らぐだろうし、共産党統治の正統性に疑問符がつけられることになる。 2022年に共産党大会が予定されているが、過去2代の総書記の例に従えば、2期10年の任期を終える習近平総書記は引退することになるのだが、現状では中国ウオッチャーや専門家の多くは留任を予想している。 コロナ禍の経済回復が順調なことも背景にあるが、しかし経済に対するガバナンスが崩れていけば、シナリオ通りにいくのかどうかは予断を許さなくなる。 さらにより深刻な事態にもなり得る。共産党内で強硬路線が台頭し、権力闘争が激化することだ。 いまだ習近平総書記の後継候補が明らかになっていないこともあり、そうなれば中国は相当な混乱に陥るだろう』、「共産党内で強硬路線が台頭し、権力闘争が激化」、イヤなシナリオだ。
・『懸念されるのは台湾情勢 日本は開放路線支持を明確  習近平体制が揺らいだ時、最も懸念すべきは台湾情勢だ。 トランプ政権下の米国の台湾問題に対する姿勢は急速に変わってきており、閣僚や国務次官を含む政権幹部の訪台や武器売却が行われてきた。最近でもポンぺオ国務長官は、「一つの中国」に米国がコミットしているわけではなく、米国の台湾に対する自制はもはや存在しないと発言した。 バイデン政権がどのような軌道修正を行うのかを見守る必要があるが、香港問題もあって台湾の独立志向は一層、強まるだろう。 一方で中国にとって台湾統一は「核心的利益」とみなされ、平和的統一が無理であれば軍事的統一も辞さず、という強硬論が人民解放軍を中心に台頭する余地は大きく、中台間の軍事的衝突の可能性が出てくる。 これは何としてでも避けなければならない。 中国のガバナンスの唐突な崩壊は国際社会にとっても影響は大きい。隣国であり中国市場への依存度が大きい日本にとっても最も好ましいシナリオは、中国が改革開放路線を一層強化して企業の自由度、ひいては個人の自由度が拡大していくことだろう。 外から変化を促すには限界はあるにしても、中国内には改革を求める勢力も存在している。二国間の対話のほかにも、東アジアサミットやAPEC、さらには最近成立した「地域的な包括的経済連携協定(RCEP)」の枠組みを通じて改革開放路線の推進支持を明確にしていくことは重要だ』、「日本にとっても最も好ましいシナリオは、中国が改革開放路線を一層強化して企業の自由度、ひいては個人の自由度が拡大していくことだろう」、その通りだ。しかし、「中国内には改革を求める勢力も存在している。二国間の対話のほかにも、東アジアサミットやAPEC、さらには最近成立した「地域的な包括的経済連携協定(RCEP)」の枠組みを通じて改革開放路線の推進支持を明確にしていくことは重要だ」、正論ではあるが、残念ながら実効性は乏しそうだ。
タグ:東洋経済オンライン 中国経済 日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン 田中 均 財新 Biz&Tech (その7)(中国「AAA社債」デフォルト 不正容疑で当局介入 国有大手の永煤集団、財務諸表を違法に改竄か、アントはなぜ「上場延期」に追い込まれたのか?、危機を脱したのは本当?、コロナ禍「一人勝ち」の中国・習近平体制が 揺らぎかねない難問) 「中国「AAA社債」デフォルト、不正容疑で当局介入 国有大手の永煤集団、財務諸表を違法に改竄か」 国有石炭大手、永城煤電控股集団(永煤集団)が発行した社債が、発行体として「AAA」の格付けを得ていたにもかかわらずデフォルト 債務踏み倒しや市場操縦の嫌疑も デフォルトの20日前にも中期社債を発行したばかりで、その目論見書で開示した財務諸表には十分な資金が計上されていた」、というのでは、不正は「永煤集団」だけでなく、「格付け会社の中債資信評估」にも広がる可能性がありそうだ 西村 友作 「アントはなぜ「上場延期」に追い込まれたのか?」 創業者のジャック・マー(馬雲)氏も含まれており、10月下旬の講演会での彼の発言が問題視 ジャック・マー氏は何を語ったのか? 「中国の金融は未熟」で「銀行は考えが古い」だから「イノベーションが必要」だと説いた。その上で、中国は「管理能力は強いが、監督能力が欠乏している」「昨日の方法では未来は管理できない」とし、古い規制で新しい取り組みを縛るとイノベーションは生まれないという考えを示した 「マー氏」が「第2回外灘金融サミット」の開幕式で、「金融業界に対する痛烈な批判」を展開したとは、ずいぶん思い切った本音を語ったものだ。自分の名声に自信があったのだろうが、それは裏切られたようだ アントはフィン企業かテック企業か? 「テクノロジー企業」ではなく、「金融企業としての条件」とは厳しそうだ 時間を要するアントの上場 「テクノロジー企業」ではなく、「金融企業としての条件」というのは、当然のことだ。 「コロナ禍「一人勝ち」の中国・習近平体制が、揺らぎかねない難問」 経済は回復軌道に乗ったが共産党統治と成長モデルの矛盾課題に 「中国の経済モデルは、「中国排除」の動きに対抗して国内の締め付けを強めようとする共産党独裁の政治体制との矛盾の中で重大な岐路にあるようだ」、その通りだろう 公の場から姿を消したアリババ創業者 グローバルIT企業も監視下に アリババに代表される巨大IT関連企業が中国の発展に大きく貢献していることは認識しつつも、共産党のコントロールが利かなくなることへの中国当局の強い警戒心だ」、習近平指導部は規律強化にカジを切ったようだ。 「中国排除」に備え民営企業にも党の指導強化 かつて毛沢東時代に「自力更生路線」を採ったが、改革開放以降は、相互の結びつきの高まりから、もはや「自力更生」など出来る筈がない 改革開放路線か、共産党の規律強化か 指導部で路線闘争再燃の可能性 「共産党の規律を強化し厳しい規制の下でしか経済活動も認められないのであれば、アリババのようなグローバル企業はなりたたない」 「他国からは、中国企業は中国当局との結び付きを疑われ、市場から排除されていく傾向がますます強くなるのだろう」 「習近平路線」は大きな試練に直面せざるを得ないだろう 成長が失速すれば習体制の権力基盤揺らぐ 「共産党内で強硬路線が台頭し、権力闘争が激化」、イヤなシナリオだ 日本にとっても最も好ましいシナリオは、中国が改革開放路線を一層強化して企業の自由度、ひいては個人の自由度が拡大していくことだろう」、その通りだ しかし、「中国内には改革を求める勢力も存在している。二国間の対話のほかにも、東アジアサミットやAPEC、さらには最近成立した「地域的な包括的経済連携協定(RCEP)」の枠組みを通じて改革開放路線の推進支持を明確にしていくことは重要だ」、正論ではあるが、残念ながら実効性は乏しそうだ
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