SSブログ

中国経済(その19)(内部レポート入手!公式発表とは正反対 中国のコロナ感染こんなにヤバかった 東アジア「深層取材ノート」(第168回)、長すぎたゼロコロナでワクチンの効果激減 中国の感染爆発の本番はこれから なぜ中国の習近平国家主席のゼロコロナ政策は破綻したのか、春節を控えた中国で再び“コロナ感染爆発”が起こっている「2つの根本的原因」 なぜ今「ゼロコロナ政策」をやめたのか) [世界情勢]

中国経済については、昨年12月25日に取上げた。今日は、(その19)(内部レポート入手!公式発表とは正反対 中国のコロナ感染こんなにヤバかった 東アジア「深層取材ノート」(第168回)、長すぎたゼロコロナでワクチンの効果激減 中国の感染爆発の本番はこれから なぜ中国の習近平国家主席のゼロコロナ政策は破綻したのか、春節を控えた中国で再び“コロナ感染爆発”が起こっている「2つの根本的原因」 なぜ今「ゼロコロナ政策」をやめたのか)である。

先ずは、昨年12月25日付けJBPress が掲載したジャーナリストの近藤 大介氏による「内部レポート入手!公式発表とは正反対、中国のコロナ感染こんなにヤバかった 東アジア「深層取材ノート」(第168回)」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73283
・『日本はクリスマスで浮かれているというのに、中国がこの世の地獄のような事態に陥っている。全土に凄まじい勢いでコロナウイルスが蔓延し、数億人の発熱者と、大量の死者を出しているもようだ。 中国で日本の厚生労働省にあたる国家衛生健康委員会の12月24日の発表によれば、23日の中国全土の新規感染者数は4128人で、死亡者はゼロである。また前日の22日の新規感染者数は3761人で、死亡者数はゼロ。まったく問題のない状況だ。 だがこれこそ、「大本営発表」というものだ。実は、国家衛生健康委員会は12月21日午後4時から、極秘の緊急テレビ電話会議を開いていた。この会議の正式名称は、「新型コロナウイルス患者の医療救急活動を強化することに関するテレビ電話会議」。主催したのは、同委員会の李斌副主任で、全国の衛生健康委員会や主要病院などと回線をつないで行った』、死者急増で火葬場に長い順番待ちができているというのと、「大本営発表」には余りに大きなギャップがある。
・『当局によってSNS上から削除された「極秘会議」の概要  この極秘会議の概要を、おそらく参加者の一人が、あまりにいたたまれなくなって、SNS上にアップした。それはほどなく、当局によって削除されたが、その前にかなり拡散しており、私もその内容を入手した。 私はその概要を読んで、2019年の大晦日に、湖北省の省都・武漢で、李文亮医師が世界に先駆けて、新型コロナウイルスの感染爆発を告発したことを思い出した。李医師は公安(警察)に出頭命令を受けて、「デマを流した」ことにされた。 そしてそれから1カ月余り後に、新型コロナウイルスの治療に当たっていて自らも感染し、34歳の若さでこの世を去った。今回、内部告発した中国人も、おそらく李文亮医師と同じ気持ちから行ったのだろう。以下に、その内容を訳す』、どんな内容なのだろう。
・『12月20日の新規感染者数、3699万6400人!  <国家衛生健康委員会の馬暁偉主任は、次のような見解を示した。全国の防疫措置をさらに一歩、調整するにつれ、春節(2023年1月22日)の大移動と春節期間中、人々が大規模に流動するようになる。 おそらくさらに多くの地域で、ウイルスの蔓延は増加していくだろう。都市部と農村部の感染率が、ともに伸びていくことが見込まれる。 かつ農村部の医療体制は底が薄い。慢性病にかかった老人が多い。いったん感染が加速的に蔓延していけば、局面はさらに厳しいものとなるだろう。 全国31の省級行政地域の中で、北京市と四川省の感染状況が最も深刻で、それぞれ1位と2位だ。どちらも累計の感染率は、すでに50%を超えている。続いて、感染率が20%から50%の間が、深刻な順に、天津市、湖北省、河南省、湖南省、安徽省、甘粛省、河北省となっている。 12月20日の新規感染者数は、おそらく3699万6400人に上る。これは総人口の2.62%にあたる。18日よりも19日の方が、そして19日よりも20日の方が感染者数が増えている。 省別に言えば、20日の感染率が高かったベスト5は、四川省、安徽省、湖北省、上海市、湖南省の順だ。都市別で言うなら、トップ4都市は、成都市、蘭州市、合肥市、上海市の順だ。 累計の感染者数で言えば、2000万人を超えたのが、多い順に四川省、河南省、湖北省だ。1000万人から2000万人の間が、多い順に湖南省、河北省、広東省、北京市、安徽省、山東省だ。都市別に言えば、累計の感染者数が500万人を超えたのが、多い順に北京市、成都市、武漢市、天津市、鄭州市、重慶市だ』、「北京市と四川省の感染状況が最も深刻で・・・どちらも累計の感染率は、すでに50%を超えている」、「累計の感染率」の定義がよく分からないが、かなり高いことに驚かされる。
・『一部の都市ではピークアウトの兆しも見られるものの…  このように現在、各地域のウイルスの蔓延状況は、比較的大きな差異がある。そしてウイルスが多発している地域は、「密集空間」という特徴がある。 中でも、北京市・天津市・河北省、四川省と重慶市、湖北省と湖南省、華中地域のウイルスの拡散が比較的早い。一方、長江三角州、珠江三角州、西北と東北地方のウイルスの流行は、相対的に緩慢だ。 北京市・天津市・河北省地域のウイルス状況は現在、「高止まりの流行」の段階だ。ただ北京市はすでにピークを過ぎ、ここ数日は「緩やかに下降」の態勢だ。 それでも日々、大量の新規感染者が出ている。加えて現在、重症者のピークを迎えている。そのため、医療救急治療サービスは大きなプレッシャーに直面している。 天津市は、いままさに流行のピークを迎えている。おそらくあと2日か3日で、山を越えるだろう。河北省は全体的に「ウイルスの拡散スピードが速く、感染者が急増」している。おそらくあと3日から5日で、ウイルスのピークを迎えるだろう』、流行にはサイクルがあるので、「ピーク」も何度も来るようだ。
・『医療逼迫  四川省と重慶市地域、湖北省と湖南省地域のウイルスの拡散は迅速だ。特に四川省全域でウイルスは急速に増えており、北京に次いで2番目に感染率が50%を超えた地域となった。成都市を含む多くの都市が同時に流行のピークを迎えており、全省の救急医療の圧力は大きい。 重慶市に至っては、市内の主要地域から遠く郊外へと、急速に広がりつつある。おそらくこれから一週間前後でウイルスのピークを迎えるだろう。 湖北省全省はまさに、ウイルス流行のピークを迎えている。直近の二日間は、感染の波が下向きの傾向を示した。 12月1日以降、中国の19省で累計1100例の感染者のウイルスのゲノムから、12種類の配列のオミクロン変異株が発見されている。主要な流行株は「BA.5.2」「BF.7」「BM.7」だ。 その中で、北京市、黒竜江省、貴州省、新疆ウイグル自治区では「BF.7」の比重が高い。その他の省ではすべて、「BA.5.2」の比重が高い。いまのところ拡散力、感染力、免疫逃避で具体的に明らかにこれまでとは異なる新たな変異株は発見されていない』、単に偶然見つからなかったに過ぎないのだろう。
・『猛烈な感染拡大で新たな変異株発生のリスクも増大  昨今、全国のウイルスは全体的に、加速的に広がっている段階にある。一日の新規感染者数も増え続けている。12月になってから、人々の累計の感染率は(全人口の)17%を超えた。おそらく12月下旬が、全国の多くの省で、引き続き感染のピークを迎えるだろう。 加えて、現在ウイルスが広がっている省では、現在もしくはこれから「省の中心都市から中小の都市や農村地域への広がり」が進んでいく状況にある。そしてウイルス流行のピークの1週間前後に、重症及び非重症患者のピークを迎える。 全国の各地域では確実に、流行のピークに対する応対準備の活動を強化し、ウイルスの流行の進み具合に応じて、全面的な医療救急治療など各種の準備活動を行っていかねばならない。 馬暁偉主任はこう総括した。各地域の病院は、大量の病人の面倒を看るにあたって、「病人が病院の前にいまにもやって来るのに、(一部の病院は)まだ粗暴な対処しかできていなかったり、逃避しようとしている」。どの病院もそれぞれの地域に置かれた病院として、「あれこれ考えずに、これはやらねばならない任務なのだ」として、早めに準備し、チャレンジに立ち向かうのだ> 以上である。「大本営発表」の感染者数とはゼロが4つも違う「阿鼻叫喚の世界」が広がっているのだ。大半の若者たちは、数日の高熱の後、回復に向かっているようだが、少なからぬ高齢者が犠牲になっているもようだ。ちなみに中国国家衛生健康委員会は、12月25日より、感染者数の「大本営発表」すらやめてしまった。 それにしても、一日に約3700万人もが感染したと衛生健康委員会が推定した12月21日、習近平主席はロシアからドーミトリー・メドベージェフ前大統領(統一ロシア党党首)を北京に招いて、会見した。その時の「満面の笑顔」が、CCTV(中国中央広播電視総台)のトップニュースで流されたが、「恐るべき鈍感力」の持ち主だと畏れ入ってしまった。 今後、何より恐ろしいのが、概要でも指摘されていた「新たな突然変異」である。これだけ同時期にウイルスが拡散すれば、当然ながら「新たな突然変異」が起こる確率も高まってくる。 私たちはコロナウイルスを、「もはやカゼのようなもの」と認識し始めているが、とてつもなく深刻なウイルスに変異するかもしれないということだ。その意味で、いま中国で起きている惨事は、日本人にとっても他人事ではない』、「これだけ同時期にウイルスが拡散すれば、当然ながら「新たな突然変異」が起こる確率も高まってくる。 私たちはコロナウイルスを、「もはやカゼのようなもの」と認識し始めているが、とてつもなく深刻なウイルスに変異するかもしれないということだ。その意味で、いま中国で起きている惨事は、日本人にとっても他人事ではない」、その通りだ。

次に、12月28日付けJBPressが掲載した在英ジャーナリストの木村 正人氏による「長すぎたゼロコロナでワクチンの効果激減、中国の感染爆発の本番はこれから なぜ中国の習近平国家主席のゼロコロナ政策は破綻したのか」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73295
・『中国各地でゼロコロナ政策に反対する抗議デモが続発したことを受け、行動制限を緩和した中国の習近平国家主席が感染の急拡大に苦しめられている。英国の医療系調査会社エアフィニティは「現在、われわれのモデルでは1日当たりの感染者が100万人、死者は5000人を超えている恐れがある」との推計を12月21日に発表した。 直近の1週間で感染者数は1800人、死者はわずか7人(そのあと1人削除)という中国の“大本営発表”とは非常に大きな開きがある。エアフィニティのモデルでは新年1月に最初のピークを迎え、1日当たりの感染者は北京や広東省を中心に370万人、第二のピークとなる同年3月には他の地域にも広がり420万人に達すると予測している。 (中国におけるゼロコロナ政策転換後の感染者予測(英国の医療系調査会社エアフィニティの発表 はリンク先参照) エアフィニティのワクチン・疫学部長ルイーズ・ブレア博士はこう指摘している。「中国は集団検査を中止するとともに、無症状の感染者を報告しなくなっている。この組み合わせは公式データが中国全土で発生している感染の流行を正確に反映しているとは考えにくいことを意味している」 「中国はコロナ死者数の記録方式も変更し、陽性反応後に呼吸不全または肺炎で死亡した人のみを記録するようになった。これは陽性反応から一定期間内の死亡や、死因がコロナに起因していた場合にカウントする他の国の方式とは異なる。この変更により中国で報告される死者数の程度が過小評価されてしまう恐れがある」(ブレア博士)』、「中国はコロナ死者数の記録方式も変更」、「中国で報告される死者数の程度が過小評価されてしまう恐れ」、中国の「大本営発表」は何でもありのようだ。
・『「ゼロコロナ政策終了なら130万~210万人死亡」  英国家統計局(ONS)のデータから年齢、基礎疾患別の死者を見てみよう。年齢層別のコロナ死者の割合は85歳以上が40%、75~84歳が29%、65~74歳が17%、55~64歳が9%、45~54歳が4%、25~44歳が2%となっている。新型コロナウイルスが変異して弱毒化しても、基礎疾患を持っていることが多い高齢者の死亡率がずば抜けて高いことが分かる。) 基礎疾患別にみると、不定愁訴(原因ははっきりとは分からないが、体調が悪い状態)が27%、慢性下気道疾患が16%、泌尿器系の疾患15%、認知症およびアルツハイマー病14%、糖尿病13%、心不全および合併症と定義が不明確な心臓病13%、虚血性心疾患12%、高血圧性疾患10%、不整脈9%、脳血管障害6%。基礎疾患のない死亡例は13%だった。 コロナに感染した状態で死亡した人をコロナ死者として計上した英国や米国では膨大な死者を数えた。新型コロナウイルス変異株のオミクロン株は肺に与える影響が他の株に比べて小さい。さらに呼吸不全が直接の原因で死亡した感染者に数を限定すると統計上、コロナ死者の数を小さく抑えることができる半面、本当の被害を覆い隠してしまう恐れがある。 エアフィニティは11月にも「中国がゼロコロナ政策を終了した場合、低いワクチン接種率とブースター率、ハイブリッド免疫(感染とワクチン接種の両方)の欠如により、130万~210万人の命が危険にさらされる恐れがある」と警鐘を鳴らしている。中国では国産ワクチンが接種されたが、感染や死亡に対する防御力が低いことが明らかになっている。中国・シノバック製のワクチンを接種しても米欧のmRNAワクチンの接種者よりも3倍重症化しやすいという』、「エアフィニティは11月にも「中国がゼロコロナ政策を終了した場合、低いワクチン接種率とブースター率、ハイブリッド免疫(感染とワクチン接種の両方)の欠如により、130万~210万人の命が危険にさらされる恐れがある」と警鐘」、「中国・シノバック製のワクチンを接種しても米欧のmRNAワクチンの接種者よりも3倍重症化しやすい」、中国の「コロナ対応」の遅れは致命的だ。
・『米欧はワクチン接種後の集団感染でハイブリッド免疫(注)を獲得  エアフィニティによると、ワクチンによる免疫力は時間とともに低下する。中国ではブースター接種率が低く、ゼロコロナ政策で自然感染もしなかったため重症化しやすい。80歳以上のブースター接種率は40%。中国で感染が拡大した場合、1億6700万~2億7900万人の感染者が発生し、130万~210万人が死亡、医療システムは限界に達する恐れがあるという。 「高齢者人口を考えると、免疫力を高めるためワクチン接種を強化することが不可欠だ。将来の感染の波に対する抵抗力を強めるハイブリッド免疫を獲得することが必要だ。他の国や地域でも有効であることが証明されている。米欧では接種後の集団感染でハイブリッド免疫が形成され、感染拡大による影響を小さく抑えることができた」(前出のブレア博士)) 米保健指標評価研究所(IHME)は「中国では今後数カ月で大規模なオミクロン株の感染が起きる。新年4月ごろピークを迎え、総死者数は32万3000人と推定される。その後も感染しやすい人口は維持される。中国で使用されている国産ワクチンのオミクロン株に対する効果は比較的低く、人口の8割が感染しやすい状態だ」と警戒を呼びかけている。 中国の国産ワクチンのシノバックやシノファームは米欧のmRNAワクチンに比べ効果が低い。抗ウイルス剤も普及していない。ゼロコロナ政策を解除すれば80歳以上の死者数が大幅に増え、新年の死者数は100万人をはるかに上回る恐れがある。mRNAワクチンに切り替えるとともに高齢者のワクチン接種率を上げ、抗ウイルス剤を使えるようにする必要がある』、「中国の国産ワクチンのシノバックやシノファームは米欧のmRNAワクチンに比べ効果が低い。抗ウイルス剤も普及していない。ゼロコロナ政策を解除すれば80歳以上の死者数が大幅に増え、新年の死者数は100万人をはるかに上回る恐れがある」、恐ろしいことだ。
(注)ハイブリッド免疫:ワクチンと感染の両方による免疫を海外ではハイブリッド免疫と呼ぶ(日経新聞)。集団免疫とも呼ばれる
・『コロナ、インフルエンザ、RSウイルスの「トリプルデミック」の恐れも  これまで中国はゼロコロナ政策で感染爆発を回避してきたため、国民は感染しやすい状態にある。感染率が高ければ高いほど、新型株が発生する確率は高くなる。IHMEのモデルでは流行は新年1月中旬に始まるため、地方政府は病院の支援策を講じ、社会的距離政策やマスクの義務付けを再実施し、感染を遅らせる対策をとらなければならないという。 米国ではコロナ、インフルエンザ、RSウイルスの「トリプルデミック(三大流行)」が医療現場の病床を逼迫させており、中国も同じように「トリプルデミック」に直撃される恐れがあるという。中国当局は景気と学校教育への影響と、80歳以上の死亡のバランスをとる難しい選択を迫られることになるとIHMEは分析している。) 中国のソーシャルメディアでは「国家衛生健康委員会議事録」が出回り、それによると中国では12月20日の新規感染者数が3700万人にのぼり、同月1~20日までの累積感染者数が2億4800万人に達したという。“大本営発表”では同月1~22日の累積感染者数は約28万4700人とされ、大きな食い違いが生じている。 英イースト・アングリア大学医学部のポール・ハンター教授はこう指摘する。「中国は現在、明らかに非常に困難な状況にある。すべての国でコロナ規制を終了すると感染が急増した。これは避けられないことだ。ワクチン接種も自然感染も数カ月以上の防御を与えないことが分かっている。しかし重症化(呼吸困難、入院、死亡)に対する免疫はある程度長く続く」』、「中国のソーシャルメディアでは「国家衛生健康委員会議事録」が出回り、それによると中国では12月20日の新規感染者数が3700万人にのぼり、同月1~20日までの累積感染者数が2億4800万人に達したという。“大本営発表”では同月1~22日の累積感染者数は約28万4700人とされ、大きな食い違いが生じている」、こんな「“大本営発表”」では、中国国民も信じなくなるだろう。「ワクチン接種も自然感染も数カ月以上の防御を与えないことが分かっている。しかし重症化(呼吸困難、入院、死亡)に対する免疫はある程度長く続く」、なるほど。
・『英専門家「中国の問題はコロナ規制の解除が早すぎたことではない」  ハンター教授は続ける。「ワクチン接種後の免疫(50%以上の人)はおそらく1年程度だが、自然感染でやや長くなり、ハイブリッド免疫ではさらに長くなる。ハイブリッド免疫は少なくとも数年間は重症化に対する良好な予防効果を発揮する。中国では2月ごろからワクチン接種をほとんど行っていないため、感染に対する防御はほとんど失われている」 中国の人々は最近まであまり感染してこなかったので、ハイブリッド免疫を持っている人は非常に少ない。重症化に対する免疫も失われている。感染が拡大した米欧ではほとんどの人がハイブリッド免疫を持っているため、感染による死亡率は1年前よりはるかに低くなっている。一方で中国では高齢者のワクチン接種が若者に比べて遅れていると報じられる。) 「中国でのコロナ致死率がどの程度なのか現状では分からない。公表されているデータでは死者はほとんどいないようだが、多数の死者が出ているとの報道と矛盾する。現在、中国で何が起きているのか、統計の信頼性はどうなのか、全くわからない」とハンター教授は首を傾げた。 「中国の問題はコロナ規制の解除が早すぎたからではなく、ワクチン接種後のゼロコロナ政策が長すぎたため、ワクチン接種の予防効果がほとんどなくなってしまったことにある。ニュージーランドはワクチン接種後すぐに制限を解除し、予想通り感染者が急増したにもかかわらず、死者はほとんど出なかった」』、「「中国の問題はコロナ規制の解除が早すぎたからではなく、ワクチン接種後のゼロコロナ政策が長すぎたため、ワクチン接種の予防効果がほとんどなくなってしまったことにある」、なるほど。
・『ウィズコロナ政策に転換するタイミング  ハンター教授は世界保健機関(WHO)緊急事態対応責任者マイク・ライアン氏と同じように「ゼロコロナ政策が転換されたからではなく、規制が解除される以前から感染は猛烈に広がっていた」との見方を示した。ゼロコロナ政策で感染を食い止めることができなかったため、ゼロコロナは最善の選択ではないと判断して習氏は政策を転換したというわけだ。 ワクチンの集団接種で社会全体に「免疫の丘」を築いたあと、ゼロコロナではなくウィズコロナ政策への転換を唱えたハンター教授はロックダウン(都市封鎖)支持派から罵詈雑言を浴びせられた。効果的なワクチンで社会全体の免疫が高まっている時にわざわざ都市封鎖をする必要はないと主張した。この決断のおかげでハイブリッド免疫を獲得することができた。 「コロナは永遠に続くのだから、パンデミックは終わらない。私たちの孫の孫が感染することになる。しかし少なくとも米欧では感染の波が来るたびに、医療サービスへの影響が小さくなっている。中国の現在の状況が他の多くの国々に大きなリスクをもたらすとは思えない。 他の国はハイブリッド免疫を持っているのだから」とハンター教授は断言した。 英国の死者は21万人超。米国は約111万6000人。一方、ゼロコロナ政策を続けてきた中国の死者は“大本営発表”で5240人超。効果に限りのある国産ワクチンに見切りをつけ、米欧のmRNAワクチンに切り替えて再び集団接種を急ぎ、ウィズコロナ政策に転換できるのか。中国は14億人と人口が多いだけに死者も大きく膨らむ恐れがある』、「米欧のmRNAワクチンに切り替えて再び集団接種を急ぎ」、現在のところ「国産ワクチン」にこだわっているようなので、「ウィズコロナ政策に転換」は容易ではなさそうだ。

第三に、本年1月10日付け現代ビジネスが掲載した『週刊現代』特別編集委員・『現代ビジネス』編集次長の近藤 大介氏による「春節を控えた中国で再び“コロナ感染爆発”が起こっている「2つの根本的原因」 なぜ今「ゼロコロナ政策」をやめたのか」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/104472?imp=0
・『「民族大移動」の季節  1月22日、中国は春節(旧正月)を迎える。14億中国人は、1月1日の元日を「単なる一休日」としか見なしていない。春節こそが、絶対的に故郷で親族と過ごすべき「最重要の祝日」である。 中国政府の予測では、今年の春節期間(前後を含めた40日間)、延べ20億9500万人の「民族大移動」になる見込みだという。これは、「コロナ前」の2019年の延べ29億8000万人の約7割にあたる。すでに7日から、鉄道や航空などで、「春運」(チュンユン)と呼ばれる春節の帰省ラッシュが始まった。 「春運」で恐れられているのが、現在、都市部で猛威を振るっているコロナウイルスが、農村部にも拡散し、いよいよ「全民感染」の状態になることだ。 当然ながら農村部は都市部と較べて、医療体制が整っていない。かつ高齢者の住民が多いので、彼らが重症化して多数の死者を出すことも考えられる。すでに都市部では、火葬場に人々が殺到し、どこも機能不全に陥っている。 だがそれでも、最悪のコロナ禍の中で、「春運」は始まった……。 中国で、なぜいま再びコロナウイルスが猛威を振るっているのか。現地での個々の現象については、すでに様々な報道があるので重複しないが、その根本的原因とも言える中国の政治システムの「欠陥」について指摘しておきたい。 中国の政治システムには、少なくとも二つの大きな「欠陥」がある。一つは時期的なもので、もう一つは普遍的なものだ』、「中国の政治システム」には「少なくとも二つの大きな「欠陥」がある。一つは時期的なもので、もう一つは普遍的なものだ」、なるほど。
・『5年に一度の「空白の5ヵ月」  まず前者から述べる。 中国の政治は、憲法前文などが法的根拠となり、「共産党が政府を指導する」システムである。具体的には、5年に一度、秋に共産党大会を開催し、その人事と方針に基づいて、翌年3月に新政府が発足する。そして新政府が5年間、行政を司っていくというものだ。 ところがこのシステムを進めると、5年に一度、「陥穽(かんせい)」が生まれる。「空白の数ヵ月」と言ってもよい。 つまり、秋に共産党大会で新たな人事と方針が決まっても、それを実行していく新政府は、翌年3月にならないと発足しないのだ。それまでは「旧政府」が継続して行っていくことになる。 特に、10年に一度、政権が代わる時が要注意である。巨大な官僚機構から見ると、新しいボスは3月にならないとやって来ない。それまでは以前からのボスたちが司っているが、彼らは3月には去っていく。そのため万事「後ろ向き」で、「膨大な不作為」が起こるのである。 つまり、諸政策が停滞する。そしてそうした中から、「重大な危機」が起こるというわけだ。 一例を示そう。2002年11月に第16回共産党大会が開かれて、江沢民総書記から胡錦濤総書記にバトンタッチされた。しかし胡錦濤政権が発足したのは2003年3月で、その間に「空白の4ヵ月」が生まれた。その時起こったのが、SARS(重症急性呼吸器症候群)だった。 突如発生した未知のウイルスに対して、時の江沢民政権は有効な手立てを打てないまま、2003年3月に胡錦濤政権にバトンタッチした。その結果、新政権発足が華々しく行われた北京は、SARSが蔓延して修羅場と化した。 最終的には、中国を中心に8096人の感染者が報告され、うち774人が死亡したのだった。いまの新型コロナウイルスに較べれば小規模に思えるかもしれないが、感染者の1割近くが死亡するという点では、SARSの方が恐ろしかったとも言える。 ともあれ、それから20年を経た現在も、「空白の5ヵ月」の真っただ中なのである。本来なら、「2期10年」で引退すべき習近平総書記が、昨年10月の第20回共産党大会で、トップの座に居座った。しかも、序列2位の李克強首相を始めとする「気に入らない幹部たち」を、あまねく蹴散らしてしまった。それでも蹴散らされた面々は、3月まで残っているのだ。 こうした「変則形」は、巨大な官僚組織に、とてつもない「停滞」をもたらしている。国務院(中央政府)の「本丸」からして、李克強首相は共産党大会で「否定」されたのにまだ残っていて、代わって「肯定」された李強新首相が就くのは3月だ。そのため部下たちは、いま李克強首相に従えば、3月に李強新首相に蹴飛ばされると思うから、戦々恐々と委縮している。 そうした巨大な官僚機構の機能不全の中で起こっているのが、いまの中国の新型コロナウイルス騒動なのである。そのため、中国政府が万事、適正な政策を講じられるはずもないのだ』、「10年に一度、政権が代わる時が要注意である。巨大な官僚機構から見ると、新しいボスは3月にならないとやって来ない。それまでは以前からのボスたちが司っているが、彼らは3月には去っていく。そのため万事「後ろ向き」で、「膨大な不作為」が起こるのである。 つまり、諸政策が停滞する」、「国務院(中央政府)の「本丸」からして、李克強首相は共産党大会で「否定」されたのにまだ残っていて、代わって「肯定」された李強新首相が就くのは3月だ。そのため部下たちは、いま李克強首相に従えば、3月に李強新首相に蹴飛ばされると思うから、戦々恐々と委縮している。 そうした巨大な官僚機構の機能不全の中で起こっているのが、いまの中国の新型コロナウイルス騒動なのである。そのため、中国政府が万事、適正な政策を講じられるはずもないのだ」、その通りだ。
・『すでに14億中国人の過半数が感染  中国は、それまで3年近く続けてきた「ゼロコロナ政策」を転換するにあたって、ウイルスの急激な蔓延と、それに伴う影響などについて、適切な措置を取るよう準備していなかった。「空白の5ヵ月」にあたるため、「誰も責任を取らない状況」だったのだ。1月8日からは、新型コロナウイルスは「乙類乙管」という、それまでより低レベルの感染症に切り替えられた。 こうしたことによって「全民感染」という状況を引き起こした。中国では「津波」にたとえられている。はっきり統計を取っていないので実数は不明だが、すでに14億中国人の過半数が感染したとも言われる。 おそらく多数の重症化した高齢者が、死亡していることだろう。「おそらく」というのは、圧倒的多数のコロナウイルスによる死者が、「別の要因」をつけて葬られているため、実態が掴みきれないからだ。 昨年12月20日から、コロナウイルスによって心臓、脳、血管などに障害が起こって死亡した場合は、「コロナウイルスによる死亡」とはしないと定めた。ちなみに、国家衛生健康委員会が発表した1月7日の新規感染者数は7074人で、死者は2人である。 こうした状況に、憤りを隠せない現場の医師も多い。上海のある医師は、1月6日にSNSにこんな投稿をした。 〈 本来ならこんな文章を発表したくはない。だがあれこれ迷った末に、やはり出すことにした。(この文章を題材に)討論したり憤ったりすることを歓迎する。 私は上海で仕事をしていて、最近は大量の新型コロナウイルスの患者が入院しに来る。その中の少なからぬ人々に対して、病院側は新型コロナウイルスの患者と診断するなと言ってくる。 病人は咳(せき)と発熱で入院している。PCR検査をしたら陽性だった。胸部のCTスキャン検査をしたら肺に炎症を起こしている。入院後も肺の症状が悪化し、家族が延命措置を拒否したため、最後は血圧や心拍数が下がるなどして死亡した。 私は死亡通知書に、「死亡の原因は重症化した肺炎で、そこに至ったのは新型コロナウイルスのせいだった」と書いた。すると翌日、病院側から電話が来て、「死亡原因を変更するように」と言われた。「では何と書けばいいのか?」と聞いたら、向こうも押し黙ってしまった。 私は問いたい。一体なぜなのか? なぜ新型コロナウイルスにかかって死亡したと書いてはいけないのか? 患者の家族に対して、もうこれ以上の書き換えはしたくない 〉 まさに、「無理が通れば道理が引っ込む」というわけだ。この医者の投稿は瞬く間に削除されたが、多くの人々に回覧され、共感が広がった。 ともあれ、「空白の5ヵ月」の間、適切な政策が臨機応変に打てないことが、中国の政治システムの「時期的な欠陥」である。こうした状況が、春節を挟んであと2ヵ月ほど続くことになる』、「「空白の5ヵ月」の間、適切な政策が臨機応変に打てないことが、中国の政治システムの「時期的な欠陥」である。こうした状況が、春節を挟んであと2ヵ月ほど続くことになる」、やれやれだ。
・『「2023年世界の10大リスク」第2位  もう一つの中国の政治システムの「普遍的な欠陥」とは、先の第20回共産党大会によって、習近平総書記という今年、古稀を迎える高齢の政治家に、権力が集中してしまったことである。 このことは、アメリカで地政学を研究する著名な民間組織「ユーラシア・グループ」が、「2023年世界の10大リスク」の第2位に挙げている。ちなみに第1位は、「ならず者ロシア」だ。 以下、ユーラシア・グループの発表を引用する。 〈 リスクNo.2 「絶対的権力者」習近平 中国の習近平国家主席(共産党総書記)は2022年10月の第20回党大会で、毛沢東以来の比類なき存在となった。 共産党の政治局常務委員を忠実な部下で固め、国家主義、民族主義の政策課題を事実上自由に追求することができる。しかし、彼を制約するチェック・アンド・バランスがほとんどなく、異議を唱えられることもないため、大きな誤りを犯す可能性も一気に大きくなった。 習近平の中国では、恣意的な決定、政策の不安定さ、不確実性の増大が常態化することになる。国家資本主義の独裁国家が世界経済でこれほど大きな位置を占めるという前例のない現実を考えると、このグローバルで巨大な問題は過小評価されている…… 〉 一人に権力が集中することは、物事の決定を早めるというメリットもありそうだが、実際はそうなっていない。そもそも、これだけ複雑化している世の中で、森羅万象を一人で決めることなど、神でもなければ不可能だ。しかも小国ならまだしも、中国は14億という世界最大の人口大国なのだ。 ユーラシア・グループは、「習近平主席が犯した不手際」の例として、やはりコロナ対策を挙げている。 〈 昨年、私たちは中国がゼロコロナの罠に自らはまったと警告したが、残念ながらその通りであった。習近平は高品質の外国製mRNAワクチンを拒否し、国産ワクチンの接種率も不十分だった。中国国民は重症化しやすく、突然のゼロコロナ政策からの転換は致命的となった。(中略) わずか数週間前、習近平は2年以上前にゼロコロナ政策を開始した際と同様、恣意的な方法で同政策を終了させた。高齢者のワクチン接種率が低いにもかかわらず、市民や地方政府に警告することもなく、その結果発生する集団感染に対処する十分な準備もないまま、すべての制限を解除してウイルスを野放しにするという彼の即断により、100万人以上の中国人が死ぬことになるだろう(ほとんどはコロナによる死者と報告されないだろうが)。 このような途方もない、そして巨大なコストのUターンを実行できるのは、無敵の権力を持つ指導者だけである 〉 読んでいて、いずれも納得のいく指摘である。ちなみに先日、中国外交部の関係者と雑談していたら、外交部の退職者だけで、すでに50人以上「急死」していて、そのリストが回覧されているのだとか』、「習近平の中国では、恣意的な決定、政策の不安定さ、不確実性の増大が常態化することになる。国家資本主義の独裁国家が世界経済でこれほど大きな位置を占めるという前例のない現実を考えると、このグローバルで巨大な問題は過小評価されている……」、「ゼロコロナ政策を開始した際と同様、恣意的な方法で同政策を終了させた。高齢者のワクチン接種率が低いにもかかわらず、市民や地方政府に警告することもなく、その結果発生する集団感染に対処する十分な準備もないまま、すべての制限を解除してウイルスを野放しにするという彼の即断により、100万人以上の中国人が死ぬことになるだろう」、全く酷い話だ。
・『中国国内で噂される「4つの説」  それでは、習近平主席は昨年末になぜ突然、あれほど固執していた「ゼロコロナ政策」を放棄したのか? これには中国国内で、4つの説が噂されている。いずれも噂の域を出ないが、一応、列挙しておく。 【1.経済悪化深刻説】(昨年3月5日、全国人民代表大会の初日に、李克強首相が「今年は5.5%前後の経済成長を達成する」と華々しく述べた。ところが、「ゼロコロナ政策」が足を引っ張り、2022年の中国経済は悪化する一方だ。 足元で、第3四半期までの経済成長率3.0%、11月の輸出は前年同期比-8.7%、輸入は-10.6%、小売売上高(消費)は-5.9%、10月の若年層(16歳~24歳)失業率は17.9%……。 このままでは政府が掲げる「復工復産」(仕事と生産の復活)は厳しいと判断し、「ゼロコロナ政策」に終止符を打った。 【2.「白紙運動」影響説】(昨年11月24日に、新疆ウイルグル自治区の中心都市ウルムチで、マンション火災が発生。極端な「ゼロコロナ政策」によって住民が逃げ遅れたり、消防隊が駆けつけられなかったりして、10人が死亡した。 この事件の実態がSNSで拡散されたことで、中国各地の大学や市街地などで、いわゆる「白紙運動」が起こった。若者たちが白紙の紙をかざして、「習近平下台!」(習近平は退陣せよ)「共産党下台!」(共産党は退陣せよ!)などと叫んで抗議する様子は、日本でも広く報道された。 このように、あからさまに共産党や最高指導者を非難するデモが中国で発生したのは、1989年の天安門事件以来、33年ぶりのことだった。習近平総書記としては、10月に第20回共産党大会を開いて、異例の「総書記3期目」を確定させたばかりというのに、その威信にすっかり傷がついてしまった。 中国の若者たちが、ここまで怒りを爆発させたのは、中国がいつまでも理不尽極まりない「ゼロコロナ政策」を続けていたからだった。しかも、このままでは、習近平指導部としては望まない若者たちとの全面対決になるリスクがあった。 そこで、ひとまず「ゼロコロナ政策」の看板を一気に下ろして、国内的な宥和を図ろうとした。 【3.習近平主席感染説】(昨年11月18日と19日、タイのバンコクでAPEC(アジア太平洋経済協力会議)が開かれ、習近平主席も参加した。その中で習主席は19日、自らが昨年7月1日に任命した李家超香港行政長官と会談した。二人はマスクをつけずに握手を交わし、近距離で比較的長時間、話し込んだ。 その翌日に李家超長官が香港に戻った時、空港でPCR検査を受けたところ、コロナに感染していることが判明した。おそらく李長官は、自らが感染したこと以上に、畏れ多い習近平主席に移してしまったのではないかということを懸念したに違いない。何せ自分を香港トップに押し上げてくれた恩人なのだ。 だがやはり、習近平主席に感染していた。ただちに「中南海」(最高幹部の職住地)で緊急医療体制が組まれ、習主席は隔離静養生活に入った。 実際、19日の晩にバンコクから帰国して以降、25日にキューバのディアス・カネル主席と人民大会堂で会談するまで、丸5日間も公の場に姿を現さなかった。こうしたことは極めて異例だ。 ところが、習主席はほぼ無症状だった。「なんだ、コロナって、こんなものか」。それで習主席は、「ゼロコロナ政策」の解除を決断した。 【4.WHO圧力説】(WHO(世界保健機関)のテドロス・アダノム事務局長は、「習近平主席の盟友」とも揶揄されているが、昨年来、中国の極端な「ゼロコロナ政策」に頭を悩ませていた。そこでコロナ対策に関して、世界と足並みを揃えるよう、中国に何度も要請してきたが、馬耳東風だった。 WHOは昨年秋、中国が今後とも極端な「ゼロコロナ政策」を継続するならば、世界から中国だけを切り離して、2023年以降のコロナ対策を実行していくと、最終通告を出した。中国が一番恐れるのは、中国を除外することによって、台湾を加盟させたり、オブザーバーとして迎え入れたりすることだ。そこで渋々、「ゼロコロナ政策」に終止符を打った。 重ねて言うが、これ4説は、いずれも噂の域を出ておらず、何ら確証を得られたものではない。だが1月8日、中国は完全に「ゼロコロナ政策」と決別した』、4要因いずれも、当てはまりそうだ。
・『より深刻な新型が出現した場合  今後の展開だが、前述の「ユーラシア・グループ」が、こんな警鐘を鳴らしていることを、おしまいに紹介しておこう。 〈 もしコロナに深刻な新型が出現した場合、習近平の存在が理由で、中国国内外に広く拡散する可能性が高くなる。 中国は検査やゲノム解析に力を入れていないため、新型のウイルスを特定することができないだろう。医療制度が貧弱すぎるため、感染症が変化してより深刻になっていても気づくことができない。 これまでの習近平の透明性のなさから考えると、強力な変異体のニュースを公表することもできないだろう。世界はより致命的なウイルスに備えるための時間をほとんど、あるいは全く持てないだろう 〉』、「中国は検査やゲノム解析に力を入れていないため、新型のウイルスを特定することができないだろう。医療制度が貧弱すぎるため、感染症が変化してより深刻になっていても気づくことができない。 これまでの習近平の透明性のなさから考えると、強力な変異体のニュースを公表することもできないだろう。世界はより致命的なウイルスに備えるための時間をほとんど、あるいは全く持てないだろう」、中国を完全に切り離すことは不可能だ。現在でも、日韓両政府の水際対策強化に対し、中国側は理不尽な言いがかりをつけてきた。困ったことだ。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

災害(その13)(スーパーサイクルの超巨大地震が切迫する千島海溝 「死者8割減」対策が急務の理由〈AERA〉、石川県を襲う地震は1年半で140回も…相次ぐ揺れに専門家も「しばらく続く」と警鐘、日本にも存在「破局噴火」で壊滅リスクある火山6つ 住民の大量死や深刻な寒冷化を引き起こす) [社会]

災害については、昨年3月28日に取上げた。今日は、(その13)(スーパーサイクルの超巨大地震が切迫する千島海溝 「死者8割減」対策が急務の理由〈AERA〉、石川県を襲う地震は1年半で140回も…相次ぐ揺れに専門家も「しばらく続く」と警鐘、日本にも存在「破局噴火」で壊滅リスクある火山6つ 住民の大量死や深刻な寒冷化を引き起こす)である。

先ずは、昨年6月16日付けAERAdot「スーパーサイクルの超巨大地震が切迫する千島海溝 「死者8割減」対策が急務の理由〈AERA〉」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/aera/2022061500012.html?page=1
・『いつ来るか、その時の備えは十分か──。地震大国・日本では、地震と防災は多くの人にとって関心事だ。国や自治体などが公表する予測や最新被害想定から、迫りくる大地震を読み解く。AERA 2022年6月20日号の「地震」特集から。 【スーパーサイクルによる地震のイメージ図はこちら】 この日本地図は、全国地震動予測地図という。2020年からの30年間で震度6弱以上の揺れに襲われる確率を可視化したものだ。地震調査研究推進本部(地震本部)が公表している。https://www.jishin.go.jp/main/chousa/20_yosokuchizu/yosokuchizu2020_mm.pdf 一目で、日本で大地震が起こる確率がいかに高いかがわかる。日本のほぼ全域で黄色の「やや高い」以上、特に北海道や関東から中部、近畿、四国にかけての太平洋岸の確率が極めて高い。 太平洋岸の確率が高いのは、「海溝型地震」の存在があるからだ。東京大学地震研究所所長の佐竹健治教授はこう解説する。 「地震の種類をおおまかに分けると、陸のプレートと海のプレートの境界で起きる海溝型地震と、内陸の活断層で起きる地震があります。海溝型では、千島海溝や日本海溝、南海トラフで数十年から百数十年のサイクルで起きるマグニチュード(M)7~8以上の地震がいくつも知られています。沿岸は大きな揺れになり、津波も発生します」 一方、内陸で強い地震が起きないわけではない。活断層は地震の間隔が長く、千年単位とみられているところが多い。直近の確率は低いが、日本には無数の活断層が存在し、未知の断層もある。16年の熊本地震も活断層によるが、30年以内にM7クラスの地震を起こす確率は1%未満とされていた。当時、支援活動を行った男性(40)は言う。 「避難所で何度も『想像していなかった』という話を聞きました。いつどこで地震が来てもおかしくないと痛感しました」 高い確率で発生が予想されている大型地震もある。国が公表する被害想定も衝撃的だ。犠牲者の最大値は南海トラフ地震23万1千人、千島海溝地震10万人、日本海溝地震では19万9千人──。いずれも「最悪のケース」だが、荒唐無稽な数字ではない。) (スーパーサイクルによる地震のイメージ図 はリンク先参照) 国は東日本大震災以降、想定される地震の大幅な見直しを行い、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大な地震・津波を新たなモデルケースとして被害想定の算出を進めてきた。背景にあるのは、震災の反省だ』、「高い確率で発生が予想されている大型地震もある。国が公表する被害想定も衝撃的だ。犠牲者の最大値は南海トラフ地震23万1千人、千島海溝地震10万人、日本海溝地震では19万9千人──。いずれも「最悪のケース」だが、荒唐無稽な数字ではない」、日本は本当に「地震」列島だ。
・『想定外の大地震の理由  震災を受けて設置された中央防災会議「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」が11年9月に出した報告にはこうある。 「これまでの地震・津波の想定結果が、実際に起きた地震・津波と大きくかけ離れていたことを真摯(しんし)に受け止め、今後の地震・津波の想定の考え方を抜本的に見直さなければならない」 東日本大震災以前から、宮城県沖で大地震が繰り返し起きていることは知られていた。地震本部は00年、30年以内に宮城県沖でM7.5前後の地震が起きる確率を99%とし、ほかに青森県東方沖から房総沖にのびる日本海溝沿いの複数の領域でM7~8クラスの地震を想定した。 だが、実際に東日本を襲った地震はM9.0という超大型だった。マグニチュードが0.1上がると地震のエネルギー量は約1.4倍になる。M9.0のエネルギーは想定されてきたM7.5の約178倍だ。 この「想定外」の地震を説明するカギとして、佐竹教授は「スーパーサイクル」の存在を指摘する。プレート境界では、海のプレートが陸のプレートの先端を巻き込みながら下へ沈むことで、ひずみがたまる。一定期間かけて限界までたまるとプレートが滑り、大地震となって解放される。このメカニズムで、宮城県沖では平均37年間隔で大地震が起きてきた。だが、これではM9もの膨大なエネルギーが放出されたことの説明がつかない。また、東日本大震災では広い範囲のプレートが一気に動いたこともわかっている。 「宮城県沖地震ではひずみにわずかに滑り残す部分がありました。通常周期の地震の度に滑り残しが積み上がり、数百年に一度、それが一気に動いて超巨大地震を起こす。これがスーパーサイクルです」(佐竹教授)) (日本海溝・千島海溝沖の巨大地震被害想定・死者数 はリンク先参照) このスーパーサイクルによる次の超巨大地震が切迫していると考えられるのが、千島海溝だ。 北海道の択捉島沖から日高沖にのびる千島海溝では、M8クラスで津波を伴う十勝沖地震と根室沖地震が知られている。どちらも50~100年程度の間隔で、近年では十勝沖地震が1952年と2003年、根室沖地震が1973年に発生した』、「通常周期の地震の度に滑り残しが積み上がり、数百年に一度、それが一気に動いて超巨大地震を起こす。これがスーパーサイクルです」、「このスーパーサイクルによる次の超巨大地震が切迫していると考えられるのが、千島海溝だ。 北海道の択捉島沖から日高沖にのびる千島海溝では、M8クラスで津波を伴う十勝沖地震と根室沖地震が知られている。どちらも50~100年程度の間隔で、近年では十勝沖地震が1952年と2003年、根室沖地震が1973年に発生した」、不気味だ。
・『350年で超巨大地震  一方、津波堆積物を調べると、これら50~100年間隔の地震よりはるかに大規模な地震が浮かび上がる。この地域の地質調査を続ける産業技術総合研究所の澤井祐紀さんはこう話す。 「十勝平野や道東の湿地帯を調査すると、M8クラスの地震で津波が到来した場所よりはるかに内陸で、分厚い津波堆積物の層が見つかります。観測記録のある地震より大規模の地震・津波が起こっている証拠と言えます。痕跡は約6500年分の地質から最大で18回分見つかっていて、平均350年程度の間隔になります」 この超大型地震は十勝沖と根室沖が連動していると考えられている。直近は17世紀ごろで、既に400年近く経過した可能性が高い。次が超大型でも不思議はない。日本海溝北部でも9世紀、12~13世紀、17世紀などに起きたと見られる超巨大地震の痕跡が見つかっている。 先に引用した犠牲者数は、主に津波堆積物の調査結果から、その津波を再現するモデルを検討して算出された。地震の規模は千島海溝でM9.3、日本海溝ではM9.1。満潮時などの条件下だと、北海道えりも町と岩手県宮古市で最大30メートル弱、宮古以北の多くの地点で10~20メートルの津波に襲われると推計する。道東の釧路市でも21メートルの津波が予想される。同市出身の女性(34)は言う。 「釧路は平地で、広範囲が浸水しそうです。高齢の両親が避難できるのか。20分足らずで3メートルの津波が来るとも聞きました。いざ揺れたらどうするか、今から話しておきます」 被害想定は甚大だが、対策を進めた場合の効果も明記された。死者が最多となるのは冬の深夜に発生し、すぐ避難する人が20%の場合の見積もりで、津波避難ビルなども考慮していない。一方、施設の整備が進み、70%の人が地震発生から10分程度で避難を始め、それ以外の人にも効果的な呼びかけがあると、同じ冬の深夜でも日本海溝地震で約8割、千島海溝地震で約6割死者を減らすことができる』、「M8クラスの地震で津波が到来した場所よりはるかに内陸で、分厚い津波堆積物の層が見つかります。観測記録のある地震より大規模の地震・津波が起こっている証拠と言えます。痕跡は約6500年分の地質から最大で18回分見つかっていて、平均350年程度の間隔になります」 この超大型地震は十勝沖と根室沖が連動していると考えられている。直近は17世紀ごろで、既に400年近く経過した可能性が高い。次が超大型でも不思議はない。日本海溝北部でも9世紀、12~13世紀、17世紀などに起きたと見られる超巨大地震の痕跡が見つかっている」、「超巨大地震の痕跡」がそんなに沢山見つかったとは恐ろしいことだ。

次に、6月20日付け日刊ゲンダイ「石川県を襲う地震は1年半で140回も…相次ぐ揺れに専門家も「しばらく続く」と警鐘」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/307009
・『いつ、収まるのか。19日石川県能登地方を襲った地震は、マグニチュード5.4、最大震度6弱だった。ドーンと大きな揺れがあった後、立っていられないような強い揺れが数十秒続き、神社の境内の石灯籠が倒れるほどの大きな揺れだった。 石川県能登地方では20日午前10時31分ごろにも強い地震があり、珠洲市では震度5強を観測した。 気象庁は「この地域では1年以上、地震活動が続いている。当面、継続すると考えられる」と警戒を呼びかけている』、「能登地方」での群発地震とは意外感がある。
・『今年だけでも78回  能登地方で地震が相次いで発生するようになったのは2020年12月ごろ。これまでに震度1以上を観測した地震は140回。今年だけでも78回も発生している。 国土地理院によると、珠洲市の観測地点では累積で約4センチの隆起や1.6センチの水平移動が起き、地殻変動が続いているという。 気象庁は発生の原因について「特定にいたっていない」としている。東大の古村孝志教授は、「地下深くから上昇した水などが岩盤に入り込むことで地震を起こした可能性が考えられる。珍しいタイプで長期化する可能性が高い」と指摘している。) 1年以上も続く活動は、収まる気配がない。昨年9月16日にも最大震度5弱(マグニチュード5.1)を観測している。この地域の地震は、いつ頃、落ち着くのか。 立命館大環太平洋文明研究センター特任教授の高橋学氏はこう言う。 「石川県で頻発している地震は、あの地域で『ユーラシアプレート』と『北米プレート』が押し合った結果、起きていると考えられます。内陸直下型の地震です。1995年に起きた阪神・淡路大震災も内陸直下型でした。海溝型地震だと家屋の倒壊は少ないのですが、内陸直下型は被害が大きくなります。いま日本列島は、地震のエネルギーが蓄積された状態です。19日に発生したマグニチュード5.4程度では、まだエネルギーを放出しきっていないと考えるべきでしょう。マグニチュード5.4は、規模で言うと中程度の地震です。スーパー南海地震など、比較的大きな地震が発生するまでエネルギーは放出されず、しばらく石川県で地震が続く恐れがあります」 気象庁も「地震活動は当面、継続される」としている。警戒と備えは怠らない方がいい』、「『ユーラシアプレート』と『北米プレート』が押し合った結果、起きていると考えられます。内陸直下型の地震です。1995年に起きた阪神・淡路大震災も内陸直下型でした。海溝型地震だと家屋の倒壊は少ないのですが、内陸直下型は被害が大きくなります」、「スーパー南海地震など、比較的大きな地震が発生するまでエネルギーは放出されず、しばらく石川県で地震が続く恐れがあります」、やれやれだ。

第三に、本年1月3日付け東洋経済オンラインが掲載したジャーナリストの石 弘之氏による「日本にも存在「破局噴火」で壊滅リスクある火山6つ 住民の大量死や深刻な寒冷化を引き起こす」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/642292
・『地下のマグマが一気に地上に噴出し、壊滅的な被害や寒冷化を引き起こす超巨大噴火は「破局噴火」と呼ばれる。世界中には大噴火の過去をもつ大火山が分布しており、万が一噴火すれば、地球全体に影響がおよび、その地域では住民の大量死、さらには深刻な寒冷を引き起こしかねない。 では、今後起きるかもしれない破局噴火はどこにあるのか。著書に『噴火と寒冷化の災害史 「火山の冬」がやってくる』があるジャーナリストの石弘之氏が、主なものを6つ紹介する』、興味深そうだ。
・『全国のライフラインが完全に停止する可能性  ①阿蘇山カルデラ噴火 (阿蘇カルデラ、加久藤カルデラなど5つのカルデラの図はリンク先参照) 日本国内では、巨大カルデラ噴火を起こした火山は7つあり、そのうちの4つが九州に集中している。なかでも最大のものが、熊本地震で活発化が懸念される、阿蘇カルデラだ。神戸大学教授の巽好幸は『富士山大噴火と阿蘇山大爆発』のなかで、阿蘇山が破局噴火した場合、2時間ほどで火砕流が700万の人々が暮らす領域を焼き尽くす、火山灰が日本列島を覆い、北海道東部と沖縄を除く全国のライフラインは完全に停止する、と断言する。 日本列島では、これまで何度も富士山の宝永噴火の1000倍以上のエネルギーを放出する巨大カルデラ噴火を経験してきた。国内で最後に起きた巨大カルデラの鬼界噴火は、7300年前の縄文時代に遡る。 プリニー式噴火であるこのカルデラ噴火は、数十キロの高さにまで巨大な噴煙柱が上がり、周囲から取り込んだ空気が熱で膨張するため噴煙はさらに勢いを増していく。大量のマグマが噴出したことで空洞ができ、それが陥没してカルデラができる。火砕流が発生した場合には、その速度は時速100キロを超えることもあり、付近の谷を埋め山々を乗り越えていく。 九州の広い面積が焼き尽くされた後、中国・四国では空から火山灰が降り注ぎ、昼なお暗くなるだろう。そして降灰域はどんどんと東へと広がり、噴火開始の翌日には近畿地方へと達する。大阪では火山灰の厚さは50センチを超える。とくに雨が降れば火山灰の重量は約1・5倍にもなり、木造家屋はほぼ全壊する。さらに、首都圏でも20センチ、青森でも10センチもの降灰が予想される』、「日本国内では、巨大カルデラ噴火を起こした火山は7つあり、そのうちの4つが九州に集中」、「阿蘇山が破局噴火した場合、2時間ほどで火砕流が700万の人々が暮らす領域を焼き尽くす、火山灰が日本列島を覆い、北海道東部と沖縄を除く全国のライフラインは完全に停止する」、「大量のマグマが噴出したことで空洞ができ、それが陥没してカルデラができる。火砕流が発生した場合には、その速度は時速100キロを超えることもあり、付近の谷を埋め山々を乗り越えていく。 九州の広い面積が焼き尽くされた後、中国・四国では空から火山灰が降り注ぎ、昼なお暗くなるだろう。そして降灰域はどんどんと東へと広がり、噴火開始の翌日には近畿地方へと達する」、「大阪では火山灰の厚さは50センチを超える。とくに雨が降れば火山灰の重量は約1・5倍にもなり、木造家屋はほぼ全壊する。さらに、首都圏でも20センチ、青森でも10センチもの降灰が予想される」、さらに怖いのは、原発のディーゼル発電機が火山灰でフィルターが目詰まりする、他方で送電線が切れて電力での冷却もできなくなり、炉心溶融が続発せざるを得ないことだ。
・『②イエローストーン国立公園(図はリンク先参照) もしも最悪の破局噴火が起きるとしたら、その最有力の候補は「地上最大の活火山」といわれるアメリカのイエローストーン国立公園だ。世界初の国立公園に指定され、世界自然遺産に登録された世界で最も人気の高い国立公園の1つだ。カルデラを中心に広がる8991平方キロの公園は、あちこちで噴気が上がり熱水のプールが点在し、観光名所の間欠泉が1~2時間ごとに熱水を噴き上げる。草原では、バファロー(アメリカ野牛)やワピチ(大型のシカ)がのんびり草をはんでいる。 これまで、約210万年前、約130万年前、約64万年前の計3回、破局噴火を起こした。 3回目は比較的小規模だったが、それでも巨大噴火の代名詞でもある1883年に起きたインドネシアのクラカタウ噴火の50倍の規模があった。噴火の周期は約60万年で、最後の噴火からするとその周期を迎えている。地下1500メートルほどの浅い地殻に、この公園の面積に匹敵する巨大な「マグマ溜まり」があって刻々とエネルギーをため込んでいるとみられる。 このカルデラの北西部では、東京23区よりも広い地域が20年以上にわたって、年間10センチ前後の上下動を繰り返している。アメリカ地質調査所の科学者は、溜まった大量のマグマの移動によって上下動が起きるとみている。群発地震の頻度が増加し、噴気が活発化するなど危険な兆候が観察され、新たに立ち入り禁止区域を設置され、観測機器が増設されている。 イエローストーン国立公園が噴火した際には、人類の存亡の危機になると火山学者から警告されている。それは最大10億人の命を奪い、北米大陸を荒廃させる可能性がある。英国の科学者によるシミュレーションは、もしもイエローストーン国立公園で破局噴火が発生した場合、火砕流だけでも雲仙普賢岳噴火の1000万倍以上になり、3~4日以内に大量の火山灰がヨーロッパ大陸にまで運ばれる。 火山から半径1000キロ以内に住む90%の人が有毒ガスや火山灰で窒息死し、地球の年平均気温は10~12℃下がり、寒冷化は6~10年つづくと考える研究者もいる。「世界のパン籠(かご)」といわれるアメリカの農業地帯は崩壊することになる』、「イエローストーン国立公園で破局噴火が発生した場合、火砕流だけでも雲仙普賢岳噴火の1000万倍以上になり、3~4日以内に大量の火山灰がヨーロッパ大陸にまで運ばれる。 火山から半径1000キロ以内に住む90%の人が有毒ガスや火山灰で窒息死し、地球の年平均気温は10~12℃下がり、寒冷化は6~10年つづくと考える研究者もいる。「世界のパン籠(かご)」といわれるアメリカの農業地帯は崩壊」、まさに破局的な結末とならざるを得ないようだ。
・『③フレグレイ平野(イタリア)(図はリンク先参照) ナポリは、火山の脅威にさらされつづけてきた不運な都市だ。東に「世界で最も危険な火山」と称されるヴェスヴィオ山が眼前にそびえ、西に5キロほどの所にはイタリア語で「燃える平野」を意味する巨大カルデラのフレグレイ平野が広がる。 フレグレイ平野は、イエローストーン国立公園と同様に、そびえ立つ火山の火口から噴火するといった単純なものではない。カルデラの直径はヴェスヴィオ火山の150倍もあり、3万7000年前と1万2000年前に破局噴火を起こした。これらの噴火は、ヨーロッパでは過去20万年間で最大規模だった。この噴火が「火山の冬」を引き起こし、ネアンデルタール人を絶滅させた可能性がある。 最後に噴火した1538年以来、500年以上沈黙を続けている。この長い休止期間を終えて「近い将来、マグマが突然噴出して、破局噴火を引き起こす」とイタリア国立地球物理学火山学研究所は警告している』、「カルデラの直径はヴェスヴィオ火山の150倍もあり、3万7000年前と1万2000年前に破局噴火を起こした。これらの噴火は、ヨーロッパでは過去20万年間で最大規模だった。この噴火が「火山の冬」を引き起こし、ネアンデルタール人を絶滅させた可能性」、「最後に噴火した1538年以来、500年以上沈黙を続けている」、不気味だ。
・『④白頭山(北朝鮮・中国)(図はリンク先参照) アジア大陸にも危険な火山が潜んでいる。中国吉林省と北朝鮮両江道の国境地帯にまたがる白頭山(別名、長白山)である。北京の地質学研究所が、火砕流に埋もれていたカラマツの幹を発見して年輪分析から割り出したところ、946年に紀元後では世界最大規模の巨大噴火を起こしたことが突き止められた。噴出量は推定83~117立方キロという膨大なものだったが、この噴火の存在は氷床コアからは判明しなかった。 このとき、火山灰が偏西風に乗って日本に飛来し、『興福寺 年代記』に「天慶(てんぎょう)九年(946年)10月7日夜に雪のような灰が降った」という記録がある。北海道南部と東北地方北部では5センチも降り積もった。青森県の小川原湖(おがわらこ)の堆積物の分析から、噴火は1年の間隔をおいて2回あったらしい。 地震がほとんどなかった朝鮮半島で、東北地方太平洋沖地震後、多い月には300回以上も起き、規模もM3~4になることがある。温泉の水温上昇が相次いで報告され、山麓では火山ガスによる木の枯死が目立つ。いつ噴火してもおかしくない状態がつづく。 山頂に「天池(チョンジ)」と呼ばれる巨大なカルデラ湖がある。約10億トンという水が貯まり、噴火で決壊すれば、鴨緑江、松花江、 豆満江に流れ込んで下流に大洪水を起こしかねない。もしもマグマが湖に流入したらとてつもない水蒸気爆発を起こす可能性もある。中国の専門家は、白頭山が噴火すれば半径60キロ以内に住む約10万人に大きな災害がおよぶと警告している。 中国や韓国の研究者から大きな噴火があり得ると指摘され、ロシア非常事態省、韓国気象庁も警戒を強めている。北朝鮮と韓国は2011年に白頭山の共同調査に合意した。両国の協調姿勢は珍しい。大規模噴火の場合、北朝鮮や中国だけでなく、日本やロシア、さらには地球レベルの気象への影響が懸念される。 白頭山は朝鮮民族の発祥の地とされ、北朝鮮の国民にとっては思い入れの強い山である。第2次世界大戦前は抗日ゲリラの拠点ともなり、故・金正日(キムジョンイル)は白頭山山中の密営で生まれたとされ、北朝鮮の聖地になっている。 韓国、北朝鮮の国歌(愛国歌)の歌詞には白頭山が登場する』、「山頂に「天池(チョンジ)」と呼ばれる巨大なカルデラ湖がある。約10億トンという水が貯まり、噴火で決壊すれば、鴨緑江、松花江、 豆満江に流れ込んで下流に大洪水を起こしかねない。もしもマグマが湖に流入したらとてつもない水蒸気爆発を起こす可能性もある。中国の専門家は、白頭山が噴火すれば半径60キロ以内に住む約10万人に大きな災害がおよぶと警告」、「大規模噴火の場合、北朝鮮や中国だけでなく、日本やロシア、さらには地球レベルの気象への影響が懸念」、「北朝鮮」は「聖地」がなくなって大慌てだろう。
・『⑤北太平洋(図はリンク先参照) カムチャッカ半島から、アリューシャン列島、アラスカに至る北太平洋地域は環太平洋山帯の一部であり、世界で最も活動が盛んな「火山の巣」でもある。これまで記録に残るだけで300以上の火山が噴火している。20世紀以降の世界の巨大地震のトップ10のうち、この地域だけで5つを占める。この一帯には300以上の火山が存在し、カムチャッカ半島だけで29の活火山が活動している。毎年のようにどこかで噴火する。 ユーラシア大陸最大の活火山であるクリュチェフスカヤ山をはじめ、カリムスキー山、ベズイミャンヌイ山、シベルチ山などいつ噴火が起きてもおかしくない火山が並んでいる。とくに、カリムスキー山は、最初の噴火から数千年しかたっていない若い火山。過去200年あまりで20回以上も噴火した記録があり、2019年3月にも3000メートルに達する噴煙を上げた。 アリューシャン列島から千島列島にかけては323の火山がある。チュギナダック島の活火山クリーブランド山は、M4.0~5.5程度の激しい群発地震がつづいた後、2011年8月に10年ぶりに噴火した。ウムナック島のオクモック山では2008年に、1万5000メートルの噴煙が観測された』、「アリューシャン列島から千島列島にかけては323の火山がある」、こんなに多くの「火山」があるとは初めて知った。
・『⑥アイスランド(図はリンク先参照) 極北の島国アイスランドには、130ほどの火山がある。北海道と四国を合わせたほどの小さな国に火山がひしめき、地球上で最も火山活動の密度の高い国である。そのなかには、世界の気候を脅かした著名火山も少なくない。 現在でも、約30の活火山が断続的に活動している。このため、火山、間欠泉、温泉、溶岩洞窟、溶岩原などの火山ツアーが楽しめる。首都のレイキャビクでは、エネルギーの大部分を地熱発電でまかなっている。 この島は、ユーラシア・プレートと北米プレートの境界の上に位置する。プレートが生まれる海嶺のほとんどは海底にあるが、アイスランド島では世界で唯一地表に露出している。「火山博物館」といわれるゆえんだ。ここの特徴は、大規模な「割れ目噴火」を起こすことだ。空から見ると、火口が一列に並んでいる。大地が東西に引き裂かれてその割れ目からマグマが噴出してきたことが見て取れる。 危険視されている火山の1つが、この国最大のカトラ火山だ。「カトラ」はアイスランドの民話に登場する魔女を意味する。過去に16回の噴火が記録され、現在でも活発な活動をつづけている。最近になって、火山から大量の二酸化炭素が放出されていることがわかった。地下のマグマ溜まりが一杯になって、大噴火が迫っていると警告する研究者もいる。最近では2011年に小規模な噴火があった。 カトラ山のすぐ隣で、2010年にエイヤフィヤトラ・ヨークトル山が噴火した。長さ約800メートルの亀裂から溶岩が噴き出した。噴火口は氷河の下に隠されていて、衝撃で氷河湖が決壊して大洪水になった。アイスランドは人口が約36万人と少なく、噴火の直接的な被害は少ない。だが、国土の約11%が氷河に覆われ、3600立方キロの水が凍りついているため、噴火が引き起こす二次的な洪水が恐ろしい。火山灰や煙の影響で欧州の空の便を大混乱させたことは記憶に新しい』、「プレートが生まれる海嶺のほとんどは海底にあるが、アイスランド島では世界で唯一地表に露出している。「火山博物館」といわれるゆえんだ」、「地下のマグマ溜まりが一杯になって、大噴火が迫っていると警告する研究者もいる」、「国土の約11%が氷河に覆われ、3600立方キロの水が凍りついているため、噴火が引き起こす二次的な洪水が恐ろしい」、なるほど。
・『最後に、私が恐れている心配の1つをつけ加えたい。 自然災害や感染症の歴史を調べていると、「悪いことは重なる」事例がいろいろ見つかる。「偶然の一致」「こじつけ」という反論がある一方、「踏んだり蹴けったり」「弱り目に祟たたり目」という昔から親しんだ諺(ことわざ)もある。 例えば、第1次世界大戦の最中に史上最悪のスペイン風邪(1818~19年)の大流行が起きた。日本でも、原敬首相の暗殺、第1次世界大戦の戦後不況、株価大暴落、大逆事件(明治天皇暗殺計画)などの社会不安が起き、時をほぼ同じくして関東大震災(1923年)が発生した』、「「悪いことは重なる」事例がいろいろ見つかる」のが事実のようだ。
・『天災と人災の奇妙な一致  「こじつけ」を承知でいえば、その後もバブル崩壊と阪神・淡路大震災(1995年)、東日本大震災(2011年)と平成大不況や政治的混乱……。天災と人災は奇妙な一致がある。 かつて「世界第2の経済大国」として国際社会で畏敬された日本は、今や「衰退途上国」とさえ呼ばれるほどの経済の低迷がつづいている。豊かさを示す指標となる「1人当たりGDP」(市場為かわせ替レートによるドル表示)では、2021年には世界の30 位にまで低落した。2000年にはルクセンブルクに次ぐ世界第2位で、第5位のアメリカよりも高かったのに。 かつては高い技術力を誇ったが、新型コロナウイルスの国産ワクチンは流行に間に合わず、累計1兆円の開発費を投じながら、国産ジェット旅客機はついに日の目をみなかった。30年前に日本の半導体ICの世界市場シェアは50%を支配していたのが、2020年には6%にまで落ち込んだ。2020年版「世界競争力ランキング」によると、世界主要63ヵ国・地域のなかで日本は34位で、過去5年間で最低順位に落ち込んだ。 国債発行額は過去最高に積み上がり最悪の財政状態にある日本が、もしも大災害に直撃されたら直接的な被害だけでなく「経済破局」を招かないだろうか。災害史を調べていて「もしも大災害に襲われれば、日本は1755年にポルトガルの首都を襲った『リスボン地震』と同じ道を歩むのではないか」とする不安にとらわれた。) リスボンを直撃した地震は、M8.4という歴史上最も破壊的なものの1つだった。市内の9割の建物が倒壊し大火と大津波が発生して、当時約27万5000人のリスボンの人口のうち、3分の1人の約9万人の市民が犠牲になった。さらに、隣国スペインをはじめ北アフリカ、大西洋を越えてカリブ海やブラジルにまで津波が広がり、国外でも数万人が死亡したとみられる。 大航海時代以来、ポルトガルはブラジルなどの植民地からの収奪や奴隷貿易で蓄えた富で、華麗で裕福な海洋国家を築き上げた。だが、大地震によってGDPの43~57%が失われたとみられ、国土が荒廃し経済が崩壊して貴重な文化的遺産も失って国際的な地位も急落した。 「リスボン地震によってポルトガルの衰退がはじまった」といわれるゆえんである』、「大航海時代以来、ポルトガルはブラジルなどの植民地からの収奪や奴隷貿易で蓄えた富で、華麗で裕福な海洋国家を築き上げた。だが、大地震によってGDPの43~57%が失われたとみられ、国土が荒廃し経済が崩壊して貴重な文化的遺産も失って国際的な地位も急落した。「リスボン地震によってポルトガルの衰退がはじまった」、「リスボン」は2回ほど行ったが、「地震」があっためか、現在は繁栄から取り残された侘しさを感じる。
・『地球はリスクに満ちた惑星  地震後、復興をめぐって激しい権力争いが起きて政治は混乱し、国王ジョゼ1世の暗殺未遂事件まで起きた。国内の対立が収まると専制政治がはじまり国民はさらに苦境に立たされた。 日本では国内の被害のことしか考えていないが、リスボン地震の教訓から近隣国にも津波などの大きな被害がおよぶことも考えられる。逆に朝鮮半島で白頭山の大噴火が起きれば、日本にも被害がおよぶかもしれない。 地震・火山のようないつ発生するかわからない大災害の場合、「備えよ」といわれても個人ができることは限られている。 「連絡手段」「必需品の備蓄」「避難場所」「住宅の耐震・耐火化」といった自治体の広報の域を出ない。災害の起きにくい土地に転居することが最も効果的であっても、できる人はごく限られているだろう。 やはり、「地球」というリスクに満ちた惑星に住む自覚と覚悟を固めるしかないのかもしれない』、「日本」では「カルデラ噴火」に備え、原発の廃止を真剣に検討しておくべきだ。
タグ:災害 (その13)(スーパーサイクルの超巨大地震が切迫する千島海溝 「死者8割減」対策が急務の理由〈AERA〉、石川県を襲う地震は1年半で140回も…相次ぐ揺れに専門家も「しばらく続く」と警鐘、日本にも存在「破局噴火」で壊滅リスクある火山6つ 住民の大量死や深刻な寒冷化を引き起こす) AERAdot「スーパーサイクルの超巨大地震が切迫する千島海溝 「死者8割減」対策が急務の理由〈AERA〉」 「高い確率で発生が予想されている大型地震もある。国が公表する被害想定も衝撃的だ。犠牲者の最大値は南海トラフ地震23万1千人、千島海溝地震10万人、日本海溝地震では19万9千人──。いずれも「最悪のケース」だが、荒唐無稽な数字ではない」、日本は本当に「地震」列島だ。 「通常周期の地震の度に滑り残しが積み上がり、数百年に一度、それが一気に動いて超巨大地震を起こす。これがスーパーサイクルです」、「このスーパーサイクルによる次の超巨大地震が切迫していると考えられるのが、千島海溝だ。 北海道の択捉島沖から日高沖にのびる千島海溝では、M8クラスで津波を伴う十勝沖地震と根室沖地震が知られている。どちらも50~100年程度の間隔で、近年では十勝沖地震が1952年と2003年、根室沖地震が1973年に発生した」、不気味だ。 「M8クラスの地震で津波が到来した場所よりはるかに内陸で、分厚い津波堆積物の層が見つかります。観測記録のある地震より大規模の地震・津波が起こっている証拠と言えます。痕跡は約6500年分の地質から最大で18回分見つかっていて、平均350年程度の間隔になります」 この超大型地震は十勝沖と根室沖が連動していると考えられている。直近は17世紀ごろで、既に400年近く経過した可能性が高い。次が超大型でも不思議はない。日本海溝北部でも9世紀、12~13世紀、17世紀などに起きたと見られる超巨大地震の痕跡が見つかっている」、「超巨大地震の痕跡」がそんなに沢山見つかったとは恐ろしいことだ。 日刊ゲンダイ「石川県を襲う地震は1年半で140回も…相次ぐ揺れに専門家も「しばらく続く」と警鐘」 「能登地方」での群発地震とは意外感がある。 「『ユーラシアプレート』と『北米プレート』が押し合った結果、起きていると考えられます。内陸直下型の地震です。1995年に起きた阪神・淡路大震災も内陸直下型でした。海溝型地震だと家屋の倒壊は少ないのですが、内陸直下型は被害が大きくなります」、「スーパー南海地震など、比較的大きな地震が発生するまでエネルギーは放出されず、しばらく石川県で地震が続く恐れがあります」、やれやれだ。 東洋経済オンライン 石 弘之氏による「日本にも存在「破局噴火」で壊滅リスクある火山6つ 住民の大量死や深刻な寒冷化を引き起こす」 ①阿蘇山カルデラ噴火 日本国内では、巨大カルデラ噴火を起こした火山は7つあり、そのうちの4つが九州に集中 「阿蘇山が破局噴火した場合、2時間ほどで火砕流が700万の人々が暮らす領域を焼き尽くす、火山灰が日本列島を覆い、北海道東部と沖縄を除く全国のライフラインは完全に停止する」、「大量のマグマが噴出したことで空洞ができ、それが陥没してカルデラができる。火砕流が発生した場合には、その速度は時速100キロを超えることもあり、付近の谷を埋め山々を乗り越えていく。 九州の広い面積が焼き尽くされた後、中国・四国では空から火山灰が降り注ぎ、昼なお暗くなるだろう。そして降灰域はどんどんと東へと広がり、噴火開始の翌日には近畿地方へと達する」、「大阪では火山灰の厚さは50センチを超える。とくに雨が降れば火山灰の重量は約1・5倍にもなり、木造家屋はほぼ全壊する。さらに、首都圏でも20センチ、青森でも10センチもの降灰が予想される」、さらに怖いのは、原発のディーゼル発電機が火山灰でフィルターが目詰まりする、他方で送電線が切れて電力での冷却もできなくなり、炉心溶融が続発せざるを得な いことだ。 ②イエローストーン国立公園 「イエローストーン国立公園で破局噴火が発生した場合、火砕流だけでも雲仙普賢岳噴火の1000万倍以上になり、3~4日以内に大量の火山灰がヨーロッパ大陸にまで運ばれる。 火山から半径1000キロ以内に住む90%の人が有毒ガスや火山灰で窒息死し、地球の年平均気温は10~12℃下がり、寒冷化は6~10年つづくと考える研究者もいる。「世界のパン籠(かご)」といわれるアメリカの農業地帯は崩壊」、まさに破局的な結末とならざるを得ないようだ。 ③フレグレイ平野(イタリア) 「カルデラの直径はヴェスヴィオ火山の150倍もあり、3万7000年前と1万2000年前に破局噴火を起こした。これらの噴火は、ヨーロッパでは過去20万年間で最大規模だった。この噴火が「火山の冬」を引き起こし、ネアンデルタール人を絶滅させた可能性」、「最後に噴火した1538年以来、500年以上沈黙を続けている」、不気味だ。 ④白頭山(北朝鮮・中国) 「山頂に「天池(チョンジ)」と呼ばれる巨大なカルデラ湖がある。約10億トンという水が貯まり、噴火で決壊すれば、鴨緑江、松花江、 豆満江に流れ込んで下流に大洪水を起こしかねない。もしもマグマが湖に流入したらとてつもない水蒸気爆発を起こす可能性もある。中国の専門家は、白頭山が噴火すれば半径60キロ以内に住む約10万人に大きな災害がおよぶと警告」、「大規模噴火の場合、北朝鮮や中国だけでなく、日本やロシア、さらには地球レベルの気象への影響が懸念」、「北朝鮮」は「聖地」がなくなって大慌てだろう。 ⑤北太平洋 「アリューシャン列島から千島列島にかけては323の火山がある」、こんなに多くの「火山」があるとは初めて知った。 ⑥アイスランド 「プレートが生まれる海嶺のほとんどは海底にあるが、アイスランド島では世界で唯一地表に露出している。「火山博物館」といわれるゆえんだ」、「地下のマグマ溜まりが一杯になって、大噴火が迫っていると警告する研究者もいる」、「国土の約11%が氷河に覆われ、3600立方キロの水が凍りついているため、噴火が引き起こす二次的な洪水が恐ろしい」、なるほど。 「「悪いことは重なる」事例がいろいろ見つかる」のが事実のようだ。 「大航海時代以来、ポルトガルはブラジルなどの植民地からの収奪や奴隷貿易で蓄えた富で、華麗で裕福な海洋国家を築き上げた。だが、大地震によってGDPの43~57%が失われたとみられ、国土が荒廃し経済が崩壊して貴重な文化的遺産も失って国際的な地位も急落した。「リスボン地震によってポルトガルの衰退がはじまった」、「リスボン」は2回ほど行ったが、「地震」があっためか、現在は繁栄から取り残された侘しさを感じる。 「日本」では「カルデラ噴火」に備え、原発の廃止を真剣に検討しておくべきだ。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

政府財政問題(その10)(「また搾取か!」自動車ユーザーの悲鳴…「自賠責保険料値上げ」で財務省の失態を国民に転嫁する理不尽、自衛隊艦船に建設国債“流用”拡大で…老朽化インフラ問題どうなる?16年後に修繕費10兆円も、「防衛費だけでない」2023年度予算案のポイント 歳出総額が過去最高の膨張、税収増加も後押し) [経済政策]

政府財政問題については、昨年8月19日に取上げた。今日は、(その10)(「また搾取か!」自動車ユーザーの悲鳴…「自賠責保険料値上げ」で財務省の失態を国民に転嫁する理不尽、自衛隊艦船に建設国債“流用”拡大で…老朽化インフラ問題どうなる?16年後に修繕費10兆円も、「防衛費だけでない」2023年度予算案のポイント 歳出総額が過去最高の膨張、税収増加も後押し)である。

先ずは、昨年11月18日付け幻冬舎GOLD ONLINE「「また搾取か!」自動車ユーザーの悲鳴…「自賠責保険料値上げ」で財務省の失態を国民に転嫁する理不尽」を紹介しよう。
https://gentosha-go.com/articles/-/47266
・『鈴木俊一財務大臣は2022年11月11日、閣議後の記者会見で、自動車ユーザーが強制加入する「自賠責保険」の保険料の運用益約6,000億円が「一般財源」に貸し付けられている件について、直ちに返済するめどが立っていないことを明らかにしました。埋め合わせのため2023年から自賠責保険の保険料の引き上げが決まっており、鈴木財務大臣が10月に行った「走行距離課税」発言とも相まって、怒りの声が上がっています』、「保険料の引き上げ」を「自賠責保険」の収支と無関係な「「一般財源」に貸し付け」を理由に行うとは理不尽だ。
・『自賠責保険の保険料引き上げは国民に対する「しわ寄せ」か  自賠責保険の保険料は2023年4月から年間最大150円引き上げられることが決まっています。交通事故が著しく増加したわけではないのに保険料が引き上げられるのには、理不尽な理由があります。 自賠責保険の保険料は運用され、その運用益は、「自動車安全特別会計」という財源に組み込まれ、交通事故被害者保護のための施策に充てられることになっています。この「自動車安全特別会計」は交通事故被害者保護の施策に使うための独立の財源であり、「一般財源」とは独立したものとして扱われています。 「自動車安全特別会計」における用途は以下の通りです。被害者保護の増進に資する施策に充てられています。 ・自動車事故防止対策 ・救急医療体制の整備 ・自動車事故被害者対策 ・後遺障害認定対策 ・医療費支払適正化事業  ところが、税収不足を理由として、1994年、1995年に「自動車安全特別会計」から一般財源へ「繰り入れ」という名目で総額約1兆1,200億円の貸し出しが行われました。 貸し出したお金は返してもらわなければなりません。しかし、現在も約6,000億円が返済されていない状態です。 財務省は長らく、国の財政事情が苦しいことを理由に、返済を先送りしてきました。2018年から返済を再開しましたが、返済額は低く、2022年度も、前年度比7億円増額しても54億円にとどまっています。これは借入金総額約6,000億円の1%にも満たない額です。 しかし、そうなると、交通事故被害者保護のための「自動車安全特別会計」が逼迫してしまうことになります。 足りない分は積立金を取り崩すしかありませんが、一般会計から「自動車安全特別会計」への返済額が低いままだと、いずれは積立金を使い尽くしてしまうことになります。 そこで、自賠責保険の保険料に「賦課金」を上乗せして徴収することになったのです。いわば、財務省の失態を国民にしわ寄せするものです』、「返済額は低く、2022年度も、・・・54億円にとどまっています。これは借入金総額約6,000億円の1%にも満たない額」、「交通事故被害者保護のための「自動車安全特別会計」が逼迫」、「自賠責保険の保険料に「賦課金」を上乗せして徴収することになったのです。いわば、財務省の失態を国民にしわ寄せするものです」、こんな理不尽なことがまかり通るとは国庫を預かる財務省も落ちぶれたものだ。
・『自動車ユーザーはどこまで搾取し尽くされるのか  鈴木財務大臣は、補正予算で返済額に12.5億円を積み増しする意向を表明しています。しかし、自賠責保険の保険料の増額によりツケを回される形になった自動車ユーザーにとっては、理不尽な負担を押し付けられているといわざるをえません。 しかも、自動車に関する税制のあり方と合わせ、自動車ユーザーに過大な負担を負わせる結果になりかねません。 自動車の税制については、今回の件に先立つ10月20日、鈴木財務大臣が、参議院予算委員会において、EV(電気自動車)について、ガソリン税を徴収できない代わりに走行距離に応じて税金を課する「走行距離課税」導入の可能性について言及したばかりです。 「走行距離課税」の理由として、EVは車体が重いので道路に負担をかけるからということが挙げられますが、それでは「自動車重量税」と趣旨が同じということになってしまい、整合性がとれません。しかも、仮にEVに走行距離課税を導入したら、ガソリン車にも導入するのかという問題が生じます。 そもそも、自動車に関する税制は複雑で、「ガソリン税」「自動車重量税」などは存在意義・正当性に疑問があると指摘されています。また、「ガソリン税」に至っては、税金の上に消費税が上乗せされる「二重課税」の問題も指摘されています。 さらに、「ガソリン税」「自動車重量税」はもともと道路の維持管理・整備のための「道路特定財源」だったのが、2009年に「一般財源」に繰り入れられたという経緯があります。 これら自動車の税制に関する迷走ぶりと、今回の自賠責保険の保険料引き上げの件を全体としてみると、理由・名目は何でもよく、自動車ユーザーを、都合よく搾り取る対象としか見ていないのではないかと疑問を抱かれても仕方ないといえます。 国家というシステムを維持するためのコストとしての税金も、交通事故被害者を救済するための自賠責保険も、本来は、すべての国民、あるいは自動車ユーザーが公平に負担するべきものです。ところが、自動車に関する限り、実際には公平の理念が蔑ろにされているといわざるをえません。政府・国会には、自動車ユーザーに過度の負担を負わせ不当に搾取する結果にならないよう、納得感のある施策を行うことが求められています』、「自動車ユーザーを、都合よく搾り取る対象としか見ていないのではないかと疑問を抱かれても仕方ない」、「政府・国会には、自動車ユーザーに過度の負担を負わせ不当に搾取する結果にならないよう、納得感のある施策を行うことが求められています」、強く同意する。

次に、12月24日付け日刊ゲンダイ「自衛隊艦船に建設国債“流用”拡大で…老朽化インフラ問題どうなる?16年後に修繕費10兆円も」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/316363
・『もうタガが外れた。岸田政権が艦船など自衛隊兵器の一部経費への「建設国債」の充当を決めた。23日閣議決定する来年度予算案に盛り込む。数日前まで古い隊舎の修繕など自衛隊施設だけに充てる方針だったのに、あっさり対象を運用期間が比較的長い護衛艦や潜水艦などに拡大してしまった。航空機は対象外だ。予算案には兵器の財源として、数千億円の建設国債を盛り込む。 「建設国債の償還期限は60年と長く、道路など将来世代にも恩恵が幅広く及ぶ場合にしか認められません。軍事分野は技術進歩が激しく、現在の最新鋭兵器も10年経てば時代遅れ。それでも政府は軍事産業が潤えばいいという発想なのでしょうが、建設国債にはなじみません」(財政に詳しい立正大法制研究所特別研究員の浦野広明氏=税法) そもそも、この日本には建設国債を艦船に流用する余裕はないはずだ。インフラ老朽化問題は待ったなし。最近も老朽インフラの事故が相次いでいる。今年5月には愛知県で矢作川の取水施設「明治用水頭首工」で大規模な漏水が発生。工業用水の使用量削減や応急ポンプを設置して農業用水を供給する事態となった。昨年10月には和歌山市で紀の川に架かる鋼製アーチ橋が崩落(写真)。アーチと水道管をつなぐ吊り材の腐食が原因で、約6万世帯、約13万8000人が断水被害を受けた』、「建設国債の償還期限は60年と長く、道路など将来世代にも恩恵が幅広く及ぶ場合にしか認められません。軍事分野は技術進歩が激しく、現在の最新鋭兵器も10年経てば時代遅れ。それでも政府は軍事産業が潤えばいいという発想なのでしょうが、建設国債にはなじみません」、とあるが、「赤字国債」は1989年度以降は、借り換え禁止ルールが撤廃され、「建設国債」同様の60年償還となったので、両国債の差はルール上では実質的にはなくなった。しかし、「軍事分野は技術進歩が激しく、現在の最新鋭兵器も10年経てば時代遅れ。それでも政府は軍事産業が潤えばいいという発想なのでしょうが、建設国債にはなじみません」、はその通りだ。
・『2033年には道路橋6割が建設50年超  今後も高度成長期以降に整備された施設の老朽化が急速に進む。国交省によると、2033年には国所管施設のうち道路橋が約63%、トンネル約42%、河川管理施設(水門など)約62%、港湾岸壁約58%が、それぞれ建設後50年以上に達する。 維持管理・更新費も膨張の一途だ。国交省は18年度の5兆2000億円から20年後は1.3倍になると試算。この数値は損傷や劣化の進行前に適切な修繕を施す「予防保全」を基本としており、不具合が生じてから対策を講じる「事後保全」しかできないと1.9倍、9兆9800億円まで跳ね上がる。 「防災・減災の観点からもインフラの老朽化は深刻な問題です。日本は災害大国。岸田首相も『国民の命と暮らしを守る』と言うのなら、軍事より防災に力を入れるべきです」(浦野広明氏) 政府は27年度までに計約1.6兆円の建設国債を兵器に充てる方針だ。戦前に戦時国債を乱発し、戦争を拡大させた反省など、どこ吹く風なのか』、「維持管理・更新費も膨張の一途だ。国交省は18年度の5兆2000億円から20年後は1.3倍になると試算。この数値は損傷や劣化の進行前に適切な修繕を施す「予防保全」を基本としており、不具合が生じてから対策を講じる「事後保全」しかできないと1.9倍、9兆9800億円まで跳ね上がる」、「予防保全」が重要なようだ。

第三に、12月27日付け東洋経済オンラインが掲載した慶應義塾大学 経済学部教授の土居 丈朗氏による「「防衛費だけでない」2023年度予算案のポイント 歳出総額が過去最高の膨張、税収増加も後押し」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/642453
・『岸田文雄内閣は12月23日、2023年度予算政府案を閣議決定した。一般会計歳出総額が、114兆3812億円と過去最大となった。直前に、防衛費をめぐり将来の増税を提起したこともあり、何かと防衛費に注目が集まりがちだが、2023年度予算案にはどんな特徴があるか。詳しく見てみよう』、興味深そうだ。
・『歳出総額の増加幅は6.7兆円と過去最高  まず、一般会計歳出総額は、2022年度当初予算の107兆5964億円から6兆7848億円ほど増えるのだが、この増え幅は過去最高である。 どうしてこんなに歳出が増えたのか。それは、逆説的な言い方になるが、収入が増えたからである。一般会計予算は、歳入総額と歳出総額が同額になるように編成する。歳入が増えないと、歳出は増やせない。増やす歳出を賄うための財源を、いろいろと工面した結果ともいえる。 歳入が増えた最も大きな要因は、税収増である。消費税の標準税率を10%にした2019年10月以降の税収は好調で、コロナ禍でありながら、2020年度以降過去最高を更新し続けている。2023年度予算案の一般会計税収は、69兆4400億円と2022年度当初予算と比べて4兆2050億円も増えて過去最高となる見通しである。 2023年度予算案の税収増を支えているのは、消費税と法人税である。2022年度当初予算と比べて、消費税は1兆8110億円、法人税は1兆2660億円増えると見込んでいる。 それに加えて、防衛力強化の影響もある。12月16日に閣議決定された「防衛力整備計画」で、2023年度からの5年間で防衛経費の総額を43兆円程度とすることとしたのに伴い、その財源として「防衛力強化資金(仮称)」という財源管理をする「財布」を別に設けることとした。 その防衛力強化資金に繰り入れるとともに2023年度の防衛費に充てるために、特別会計の剰余金や独立行政法人の積立金、国有財産の売却収入などをかき集めて4兆5919億円の収入を得る(ただし、ほかの税外収入が減ることから、税外収入としては全体で3兆8828億円の増加となる)。この収入増も、歳入増に貢献した』、なるほど。
・『日銀納付金は防衛力強化資金の財源にしない  ちなみに、量的緩和政策をめぐり注目を集める日本銀行の財務状況に関連して、日銀納付金は税外収入として9464億円計上されているが、これは防衛力強化資金の財源にはしないこととしている。 防衛費のためにかき集めてきた財源のうち、1兆2113億円を2023年度の防衛費に使い、残りの3兆3806億円は防衛力強化資金に貯めておき、次年度以降の防衛費に充てる予定である。防衛力強化資金に回す支出は、例年の予算にはなく、それも歳出の増加要因として加わっている。 歳入面でのもう1つの注目点は、国債の新規発行額である。2023年度予算案では35兆6230億円と、2022年度当初予算より1兆3030億円ほど減った。この国債発行額が歳出総額に占める割合である公債依存度は、31.1%となり、3分の1を下回るところまで低下し、ようやくコロナ前の水準に戻ってきた。 コロナ禍が直撃した2020年度決算では、公債依存度が73.5%という異常な水準に達していた。2023年度は依然として高い水準ではあるものの、平時に戻る兆しが見え始めた。 ただ、前述のように税収が約4.2兆円増えているのに、公債発行額は約1.3兆円しか減っていない。それだけ、税収増を公債発行の抑制よりも歳出増に充てていることがわかる。財政健全化に向けてはまだまだ道半ばである。 歳出に目を移すと、やはり防衛費の増加が目立つ。防衛費(防衛力強化資金への繰り入れを除く)は、6兆7880億円と、2022年度当初予算より1兆4192億円増える。 2023年度予算案の歳出総額は、2022年度当初予算と比べて、防衛力強化資金への繰り入れを除くと3兆4042億円ほど増えるが、その4割強を占めるのが防衛費ということだ。それだけ、防衛費増加のインパクトは大きい。 例年ならば、政策的経費で最大費目である社会保障費がどれだけ増加するかに注目が集まるが、社会保障費の増加は6154億円で、そのうち年金給付のための支出増が物価スライドなどにより2200億円程度を占めている。 2023年度の社会保障費では大きな改革事項はなかったから、比較的静かな決着といえよう。ただ、翌2024年度予算で診療報酬・介護報酬の同時改定を控えており、山場は1年後に迎えることになる』、「日銀納付金は税外収入として9464億円計上されているが、これは防衛力強化資金の財源にはしないこととしている」、当然だ。「日銀」は、むしろ、「国債」利回りの上昇により保有「国債」の含み損が今後、拡大する懸念がある。。
・『巨額予備費が常態化、補正予算はもはや不要だ  ただ、予算編成上の課題も多く残されている。巨額の予備費は、2023年度予算案でも計上されている。新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費が4兆円、ウクライナ情勢経済緊急対応予備費が1兆円、計5兆円である。 コロナ前の補正予算の規模が3兆円だったことを踏まえると、当初予算から補正予算が上乗せされたような規模である。使途について議決を経ない巨額の予備費を常態化させれば、財政民主主義を形骸化させかねない。 この予備費があるのなら、2023年度はもはや巨額の補正予算は不要だといえるだろう。おまけに、過去には補正予算の財源になった決算剰余金を、今後は防衛費増加の財源に充てるつもりなのだから、補正予算はまともに組めない。これを機に、巨額の補正予算を断ち、日本経済の財政依存からの脱却を目指すべきである。) そして、もう1つの懸念は利払費である。2023年度予算案の利払費は、2022年度当初予算と比べて2251億円増える。これは、国債金利がほぼゼロといいながら、塵も積もれば山となり、残高が増えるだけ利払費も増える可能性を示唆している』、「巨額予備費が常態化、補正予算はもはや不要だ」、その通りだ。
・『日銀政策修正ですぐに利払費増とはならないが…  日銀が12月20日に決定した長短金利操作(YCC)の運用見直しで、10年物国債利回りの許容上限を0.25%から0.5%に引き上げた。これにより、直ちに一般会計の利払費が増大するわけではないが、中長期的には利払費の増加要因となる。 そもそも、決算段階でみても7兆円を超える利払費を国の一般会計で支出している。これは、増やした2023年度の防衛費(防衛力強化資金への繰り入れを除く)よりも多い。それだけ、国民が納めた税金が利払費に食われて政策的経費に回せないのだ。 確かに、この利払費は、国債保有者にとっては収益源にはなる。しかし、銀行預金などを通じて間接的に国債を保有している国民にしか、その収益は得られない。金融資産を持たない国民は、ただそのコストを税金の形で払わされるだけである。 国債の発行がほぼコストなしにできるという認識は早急に改め、いかに国債への依存を減らして財政政策を運営できるかを、もっと真剣に考えるときである』、「国債の発行がほぼコストなしにできるという認識は早急に改め、いかに国債への依存を減らして財政政策を運営できるかを、もっと真剣に考えるときである」、強く同意する。
タグ:政府財政問題 (その10)(「また搾取か!」自動車ユーザーの悲鳴…「自賠責保険料値上げ」で財務省の失態を国民に転嫁する理不尽、自衛隊艦船に建設国債“流用”拡大で…老朽化インフラ問題どうなる?16年後に修繕費10兆円も、「防衛費だけでない」2023年度予算案のポイント 歳出総額が過去最高の膨張、税収増加も後押し) 幻冬舎GOLD ONLINE「「また搾取か!」自動車ユーザーの悲鳴…「自賠責保険料値上げ」で財務省の失態を国民に転嫁する理不尽」 「保険料の引き上げ」を「自賠責保険」の収支と無関係な「「一般財源」に貸し付け」を理由に行うとは理不尽だ。 「返済額は低く、2022年度も、・・・54億円にとどまっています。これは借入金総額約6,000億円の1%にも満たない額」、「交通事故被害者保護のための「自動車安全特別会計」が逼迫」、「自賠責保険の保険料に「賦課金」を上乗せして徴収することになったのです。いわば、財務省の失態を国民にしわ寄せするものです」、こんな理不尽なことがまかり通るとは国庫を預かる財務省も落ちぶれたものだ。 「自動車ユーザーを、都合よく搾り取る対象としか見ていないのではないかと疑問を抱かれても仕方ない」、「政府・国会には、自動車ユーザーに過度の負担を負わせ不当に搾取する結果にならないよう、納得感のある施策を行うことが求められています」、強く同意する。 日刊ゲンダイ「自衛隊艦船に建設国債“流用”拡大で…老朽化インフラ問題どうなる?16年後に修繕費10兆円も」 「建設国債の償還期限は60年と長く、道路など将来世代にも恩恵が幅広く及ぶ場合にしか認められません。軍事分野は技術進歩が激しく、現在の最新鋭兵器も10年経てば時代遅れ。それでも政府は軍事産業が潤えばいいという発想なのでしょうが、建設国債にはなじみません」、とあるが、「赤字国債」は1989年度以降は、借り換え禁止ルールが撤廃され、「建設国債」同様の60年償還となったので、両国債の差はルール上では実質的にはなくなった。 しかし、「軍事分野は技術進歩が激しく、現在の最新鋭兵器も10年経てば時代遅れ。それでも政府は軍事産業が潤えばいいという発想なのでしょうが、建設国債にはなじみません」、はその通りだ。 「維持管理・更新費も膨張の一途だ。国交省は18年度の5兆2000億円から20年後は1.3倍になると試算。この数値は損傷や劣化の進行前に適切な修繕を施す「予防保全」を基本としており、不具合が生じてから対策を講じる「事後保全」しかできないと1.9倍、9兆9800億円まで跳ね上がる」、「予防保全」が重要なようだ。 東洋経済オンライン 土居 丈朗氏による「「防衛費だけでない」2023年度予算案のポイント 歳出総額が過去最高の膨張、税収増加も後押し」 「日銀納付金は税外収入として9464億円計上されているが、これは防衛力強化資金の財源にはしないこととしている」、当然だ。「日銀」は、むしろ、「国債」利回りの上昇により保有「国債」の含み損が今後、拡大する懸念がある。 「巨額予備費が常態化、補正予算はもはや不要だ」、その通りだ。 「国債の発行がほぼコストなしにできるという認識は早急に改め、いかに国債への依存を減らして財政政策を運営できるかを、もっと真剣に考えるときである」、強く同意する。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

医薬品(製薬業)(その8)(調剤大手さくら薬局、調剤報酬に生じた「疑惑」 経営再建中に調剤報酬を高く請求している疑い、和田秀樹氏が「優秀な医師ほど薬は飲まない」と考える理由 薬剤師の発言力がないことが問題、製薬企業が医師に払うお金の知られざる最新事情 製薬マネーデータベースで見る医療界の実態) [産業動向]

医薬品(製薬業)については、昨年8月8日に取上げた。今日は、(その8)(調剤大手さくら薬局、調剤報酬に生じた「疑惑」 経営再建中に調剤報酬を高く請求している疑い、和田秀樹氏が「優秀な医師ほど薬は飲まない」と考える理由 薬剤師の発言力がないことが問題、製薬企業が医師に払うお金の知られざる最新事情 製薬マネーデータベースで見る医療界の実態)である。

先ずは、昨年10月12日付け東洋経済オンライン「調剤大手さくら薬局、調剤報酬に生じた「疑惑」 経営再建中に調剤報酬を高く請求している疑い」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/623714
・『調剤薬局チェーンで売上高3位のさくら薬局グループが、調剤報酬の不正請求をしている疑いがあることが、東洋経済の取材でわかった。 店舗数の多いチェーンは調剤報酬の点数が下がる仕組みになっており、特別目的会社(SPC)を使って、複数の薬局をグループ外に切り出し、調剤報酬を高く請求している疑いがある。 さくら薬局グループは、クラフトホールディングスを中核とし、クラフト、さくら薬局、クラフト本社などで構成されている。一般的には、さくら薬局の名前で知られている。 さくら薬局グループのHPによれば、2020年時点でグループの店舗数は1000店を超え、2021年3月期の売上高は1907億円。2010年代、規模拡大のため積極的なM&A(合併・買収)を行ってきた。ところがM&Aのペースの割に資金回収が追い付かなかったためか、2022年2月に私的整理の1つである事業再生ADR(裁判外紛争解決手続)を申請した。 ADRでは再建計画について、金融債権を有する金融機関の全員の合意が必要だが、現時点では合意に至っていない。自主再建を断念し、経営権を譲渡する案も検討されているもようだ』、「2010年代、規模拡大のため積極的なM&A・・・を行ってきた。ところがM&Aのペースの割に資金回収が追い付かなかったためか、2022年2月に私的整理の1つである事業再生ADR・・・を申請」、興味深そうだ。
・『クラフトホールディングスからSPCに株式を譲渡  不正の疑いの舞台となっているのは、西日本に所在する調剤薬局の2社。2016年にクラフトホールディングスが、この2社のオーナーから買収した。合計7つの調剤薬局を運営している。 2021年後半、クラフトホールディングスは2社をSPCであるM社の傘下とした。現在、M社の代表取締役にはさくら薬局グループ元社員のA氏が就いている。 資本関係ではさくら薬局グループから外れた2社だが、そのことが調剤報酬の請求において、重要な変化をもたらすことになる。 調剤薬局で処方薬を受け取る際、その価格は大きく分けると2つの要素で決まっている。処方薬の価格である薬材料(薬価)と、調剤薬局が提供する労務・サービスへの対価である技術料だ。調剤薬局にとっては、店舗ごとに高い技術料を得られるかどうかで収益が違ってくる。) 厚生労働省は2年に1度、診療報酬の改定を行うが、調剤報酬は医療費削減のため、毎回引き下げられている。その中で、収益力を高めてきた大手の調剤薬局の技術料を下げる報酬改定が続いている。 具体的には2016年に、同一グループの処方箋受付回数が月4万回を超える薬局の一部で、技術料の1種である調剤基本料が引き下げられた。2022年の改定では、同一グループで300店舗以上を有する薬局の調剤基本料が引き下げられることになった』、なるほど。
・『高い調剤基本料を申請  前述2社の薬局の調剤基本料は、さくら薬局グループに属していたため、一部の店舗では低い区分で算定されていたが、M社の傘下になっていたことで、同一グループの制限から外れた。2022年4月には、7店舗のうち6店舗において最も点数の高い調剤基本料を取れるよう、所在地を管轄する厚生局(厚労省の地方機関)に申請し、受理された。 ここで論点となるのが、「同一グループ」の定義だ。東洋経済は、さくら薬局グループに、グループとM社との関係性について質問したところ、「当社グループとM社とは資本関係はない」と回答があった。 厚労省の調剤報酬の施設基準には、同一グループの定義について、資本関係のある親会社や関連会社のほか、これらと「同等以上の支配力を有すると認められる」法人も含まれるとされている。その内容について、同省の保険局医療課に問い合わせると、「議決権や資本金の状況のほか、個別の事情に応じて総合的に判断する」との回答があった。 つまり資本関係がなくても、会社を事実上支配していれば、「同一グループ」にあたる場合があるというわけだ。東洋経済は、さくら薬局グループが2社を事実上支配していることを示す書類や証言を得た。 まず人事についてだ。 2社のオーナーであった人物はさくら薬局グループに買収された後も、そのまま経営にあたってきたが、2022年5月に2社の取締役を解任された。その2週間前にM社から送られてきた解任通知書の通知人には、M社とクラフトホールディングスが併記されているのだ(上写真)。株主でないはずのクラフトホールディングスが、解任する側として登場していることになる。 また、現在M社の代表であるA氏は、さくら薬局グループのグループ会社であるSF・インフォネットの代表を2021年から務めている。つまり現在もさくら薬局グループに所属しているといえる。) さらに資金についても不可解な点がある。 2社のうち1つは2021年11月頃、運転資金がショート寸前だった。その際、解任されたオーナーの元にはクラフトが契約している会計事務所から資金を注入する旨の連絡が入った。後日、1100万円が振り込まれたが、その振込主はクラフトだった(上写真)。 関係者によると、この2社との窓口になっていたクラフトの社員は「2021年9月末にSPCであるM社に2社の株式を譲渡する」という趣旨の説明をしていた。この発言どおりであれば、M社への譲渡後にクラフトが資金を支援していたことになる』、こんな見え見えの「グループ外し」に騙された当局も問題だ。
・『専門家はSPCを使ったグループ外しだと指摘  今回の調剤報酬の申請を、競合他社や業界関係者はどのようにみるのか。 調剤大手の幹部社員は、「SPCを使ったスキームは誰しもが考える」としたうえで次のように証言する。「(2016年の)同一グループの定義ができたときに、資本関係のないSPCに子会社を移動し、同一グループの対象外とすることが可能か厚労省に匿名で問い合わせたが、認められないと回答が来た」。その結果、この調剤薬局ではSPCを用いたスキームはいっさい使っていない。 調剤薬局や病院など医療機関の経営を専門としている高崎健康福祉大学の木村憲洋准教授は、さくら薬局グループのスキームについて、「SPCを用いて同一グループの定義には入らないように見せているが、事実上、入るのではないか」と話す。 さくら薬局グループは取材に対し、「株式譲渡の目的や経緯については、守秘義務があり答えられない。(今回の請求方法に)不正請求はないと認識している」と回答した。 しかし不正請求の意図があったことをうかがわせるような発言をクラフトの社員がしている音声データを入手した。2021年9月、2社の関係者に対し、クラフトの社員は、「(2社の)オペレーションは私とB(当時クラフトの執行役員の実名)がやりますし、(店舗の運営などで)何か変わるということはございません」と述べている。 つまり、2社の薬局をM社傘下にすることは形式的なもので、さくら薬局グループが実質的に支配をしていくことを自ら認めているのだ。そしてB氏は後日「(M社の傘下に入ったことで)調剤基本料は高い算定がとれる」と明言している。 ただし、さくら薬局からの「グループ外し」が高い基本料を得るためだとしても、疑問は残る。1000店舗を超えるさくら薬局チェーンで、7店舗をSPC傘下にしても、たかがしれている。これについて、業界関係者は「グループ外しの狙いは、高い調剤報酬を得ることで店舗の収益を改善させた後、他社に少しでも高く売却して資金を得ることにあるのでは」と推測する』、「狙いは、高い調剤報酬を得ることで店舗の収益を改善させた後、他社に少しでも高く売却して資金を得ることにある」、そうであれば、わざわざ手間のかかる操作をした理由も納得できる。
・『「同一グループ」の定義は守られるか  現時点で、地元の厚生局には再調査の動きなどはない。しかし、子会社を資本関係のないSPCに移し、今までより高い調剤報酬を得るという請求方法がまかり通れば、「同一グループ」の定義は骨抜きにされてしまう。 調剤薬局は営利を追求する組織であると同時に、「保険医療機関」だ。保健医療機関には、健康保険事業の健全な運営を確保し、費用の請求に関する手続きを適正に行う義務がある。 さくら薬局グループには自社の再建策だけではなく、調剤報酬制度と真摯に向き合う姿勢が求められている』、問題があるのは、「さくら薬局グループ」だけでなく、「「同一グループ」の定義は骨抜きにされてしまう」のを放置した厚労省にも大きな問題がある。

次に、10月31日付けNEWSポストセブン「和田秀樹氏が「優秀な医師ほど薬は飲まない」と考える理由 薬剤師の発言力がないことが問題」を紹介しよう。
・『薬にはベネフィット(利益)とともにリスクがつきものだ。薬をたくさん飲みすぎる「多剤併用」の解消は多くの人にとっての課題だが、『80歳の壁』著者で精神科医の和田秀樹医師は「優秀な医者ほど、自分では薬なんて飲んでいませんよ」と明かす。和田医師が、日本の医療の「薬」に関する問題点を指摘する。 昔の医者は患者さんに薬は出すけど自分は飲みたがらない、という人が多かったように思います。 それが最近は、医者でも健康診断の数値が悪かったら、「血圧」や「コレステロール」を下げようとして薬を何種類も飲むような人が増えてきた。 その理由を突き詰めて言えば、医者に対する「教育」が悪いからです。 検査データをすべて正常値の範囲内に収めなければダメだと思い込んでいる。患者さんだけでなく、医者も“高血圧教”の信者になっているようなものです。 だから、例えば僕みたいに血圧が200以上になることがあると、焦って薬を飲んで数値を下げようとするわけです。 でも血圧のコントロールは食事、運動などの生活習慣の改善が必要なんですよ。そもそも、数値だけにこだわる必要がありません。医学的な統計上、高齢になるほど血糖値もコレステロール値もBMIも、基準値より少し高めのほうが元気で長生きできるのです。 最新の知見に基づく情報を正しく仕入れている優秀な医者ほど、そのことを知っているので薬は飲みません。 例えば健康診断では腹囲と血圧、血糖、脂質の数値をもとに「メタボ」かどうかが判定されます。しかし、その「メタボ」という言葉、概念を日本で広めた大学の先生自身が、ちっとも痩せていませんから(笑)。ご自身はそのほうが元気で長生きできると知っているのでしょう。 そもそも、病気か健康かの診断を分ける現在の「基準値」は厳しすぎます。もっと言えば、“間違って”いる。 薬を飲ませるために「基準値」を下げ、正常とされる範囲内に患者の数値を収めようとして、薬をどんどん出す。そうやって、多剤処方に歯止めがかからない構造を生み出しているのです』、「医学的な統計上、高齢になるほど血糖値もコレステロール値もBMIも、基準値より少し高めのほうが元気で長生きできる」、「最新の知見に基づく情報を正しく仕入れている優秀な医者ほど、そのことを知っているので薬は飲みません」、「「メタボ」という言葉、概念を日本で広めた大学の先生自身が、ちっとも痩せていませんから(笑)。ご自身はそのほうが元気で長生きできると知っているのでしょう」、検査数値に一喜一憂する患者こそいい面の皮だ。「そもそも、病気か健康かの診断を分ける現在の「基準値」は厳しすぎます。もっと言えば、“間違って”いる。 薬を飲ませるために「基準値」を下げ、正常とされる範囲内に患者の数値を収めようとして、薬をどんどん出す。そうやって、多剤処方に歯止めがかからない構造を生み出しているのです」、「基準値」を意図的に下げ、「多剤処方に歯止めがかからない構造を生み出している」、とはショッキングだ。
・『薬剤師の「発言力」がない  ただ、「医者は金儲けのために薬を出す」というのは誤解です。院外処方による医薬分業が進んだ今、医者は薬を出せば儲かるわけではない。薬を出すほど儲かるのは、院外薬局の経営者や製薬企業などです。 医薬分業が進む以前、自分のクリニックで薬を出していた頃は、金儲けのために薬をいっぱい出す医者もいましたが、その時代の医者は、薬なんて信じていない人が多く、自分では飲まなかった。そんな構造がありました。 院外処方になり、医者は薬で儲けられないにもかかわらず処方が減らないのは、今の医者が教科書に書いてある通りに薬を出し続けているからです。加えて製薬企業や薬局の人が必死に営業を仕掛け、それによって薬を多く出してしまうこともあるかもしれない。 さらに、「薬剤師の発言力不足」も大きな問題です。調剤薬局では、処方箋を持参した患者さんのおくすり手帳を見て、薬局の薬剤師が「不的確な処方」であると判断することがあります。 分かりやすいのは「併用禁忌」。別の病院で出されている薬との組み合わせを見て、薬剤師が併用禁忌を発見すれば、処方医に進言して薬を変えてもらうことができます。 ところが、「多剤併用」によるポリファーマシー(薬物有害事象)の懸念がある時は違います。薬剤師から医者に「大丈夫ですか」と進言する場面はまず考えられない。 薬剤師の職務上、本来は必要なことです。薬剤師に指摘されたら、医者の側も「そうですね、それでは減らしましょう」と思わなければいけません。しかし、そうした進言や注意はまず上がってこない。 これは医学界において薬剤師より医者のほうが「権威が上」になってしまっているからです。これはポリファーマシーを解決するうえで本当に大きな問題で、薬剤師から遠慮なくものが言える構造を作らなければいけません。 また、患者さんが複数の医療機関や診療科をまたいで受診するなかで、前に処方したほかの先生に対する「忖度」が働くこともあります。 例えば、すでに別の病院で処方されたAという薬を服用して「症状が改善しない」と訴える患者さんが来た時は、「じゃあBという薬を増やしてみましょう」となる。「Aをやめましょう」とはならない。前の先生の処方を「間違いだった」と結論付けることになるからです。私自身も、同じ病院の先生が出している薬について「飲むのをやめて」と正面から言うことは躊躇してしまいます』、「医学界において薬剤師より医者のほうが「権威が上」になってしまっているからです。これはポリファーマシーを解決するうえで本当に大きな問題で、薬剤師から遠慮なくものが言える構造を作らなければいけません」、その通りだ。
・『患者も“常識”を疑え  では、どうすれば患者さんは無駄な薬を飲まないようにできるのか。 それには、患者さん自身の意識の「アップデート」が必要です。 健康診断を受けて、医者に「数値が悪い」と言われたからとすぐに病院を受診し、薬を処方してもらう、というこれまでの流れから抜け出すということです。 そもそも健康診断の基準値が正しくて、それによって健康で長生きにつながるなら、なぜ今、男性と女性の「平均寿命」の差が広がっているのか、説明がつきません。 現在80代の人で、健康診断を毎年受けて、血圧が高ければ薬を飲んできた人は圧倒的に男性が多数です。かつて健康診断といえば、ほとんどが職場健診でしたから。 健診を受ける機会の少なかった女性より、長年受けてそれに合わせて薬を飲んできた男性のほうが長生きになって然るべきなのに、そうなっていない。つまり男女ともに平均寿命が延びたのは、健診のおかげなどではなく、栄養状態が改善したからにすぎません。 健診の数値が本当に自分の長生きや元気につながるのかを立ち止まって考えてみる。少しくらい数値が高いほうが元気で長生きできる事実をもっと見つめるようにする。そのように、医療の常識を疑う態度が必要かもしれない、ということです。 患者さんも情報を得られる今こそ、本当の健康について考え直す時代になっています』、「現在80代の人で、健康診断を毎年受けて、血圧が高ければ薬を飲んできた人は圧倒的に男性が多数です。かつて健康診断といえば、ほとんどが職場健診でしたから。 健診を受ける機会の少なかった女性より、長年受けてそれに合わせて薬を飲んできた男性のほうが長生きになって然るべきなのに、そうなっていない」、「男女ともに平均寿命が延びたのは、健診のおかげなどではなく、栄養状態が改善したからにすぎません」、同感である。

第三に、12月27日付け東洋経済オンラインが掲載した 医療ガバナンス研究所理事長の上 昌広氏による「製薬企業が医師に払うお金の知られざる最新事情 製薬マネーデータベースで見る医療界の実態」を紹介しよう。
・『医療ガバナンス研究所は、医師と製薬企業の金銭関係について研究を進めている。2019年1月には、公開情報を用いて、医師が製薬企業から受け取った金を検索できるデータベースを公開した。現在、2016年度から2019年度分を公開しており、誰でも無料で検索できる(製薬マネーデータベース『YEN FOR DOCS』)。 われわれが、このようなデータベースを作成するようになったきっかけは、2012年に表面化したノバルティスファーマ社(ノ社)の臨床研究不正だ。 ノ社から寄付金や講師謝金などを受け取る見返りに、臨床試験のデータを同社に都合がよいように改ざんしていたというものだ。責任者の教授たちは処分されるとともに、引責辞任し、ノ社は行政処分を受けた。日本製薬工業協会(製薬協)は、加盟各社が医師に支払った講演料や大学などへの寄付金を公開することとし、厚生労働省も臨床研究法を制定し、利益相反の開示などを義務化した。 ノ社事件から10年が経過した。製薬企業と医師の関係はどうなっただろうか』、「上 昌広氏」はパンデミックで独自の視点から政策提言をしているが、所属機関の「医療ガバナンス研究所」の研究内容については初めて知った。
・『薬を導入する見返りに寄付講座の延長を要求?  12月12日、写真週刊誌『FLASH』は広島大学病院の糖尿病・代謝内科長が小野薬品工業に対して行った「ある要求」についてスクープした。筆者にも取材がありコメントした。 小野薬品は、田辺三菱製薬、興和創薬(現興和)とともに、2018年4月から2021年3月までの予定で開講した寄付講座に、1500万円を提供していた。FLASHは、この寄付講座の責任者を務める医師が、小野薬品の販売する糖尿病治療薬グラクティブを院内に導入する見返りに、寄付講座の延長を求めたことや、部下の医師に対し「小野薬品本社の本部長に電話をし、グラクティブの院内採用が条件で、寄付の2年延長が約束されました」などというメールを送ったことなどを報じている。 記事の通り、薬を導入する見返りに、製薬企業に金を求めたのだとしたら、不適切と言わざるをえない。東洋経済が広島大学に取材したところ、本件については、「外部弁護士4人と学内役員3人による調査会を設置して、調査を進めており、2月中をメドに作業を完了(公表)する」(広島大学広報室)という。 一方、小野薬品は先駆けて三重大学病院において販促の見返りに奨学寄付金を提供していたことが発覚し、2021年1月、社員2名が贈賄罪で、同病院の元教授も第三者供賄罪で逮捕・起訴されている。東洋経済の取材に対し、小野薬品は、この事件を受けて「延長を含め、新たな寄付講座への寄付の取りやめを決め、寄付講座への寄付の延長を中止した」(小野薬品広報)と説明している。 そのためか、広島大学は「2021年4月以降は小野薬品による寄付講座への寄付の延長はなく、現在は別企業から2100万円の寄付を受けているが、その経緯についても調査会で調査している」(広島大学広報室)という。 奨学寄付金と寄付講座は、医師個人に支払われる講演料などと違い、表にでる金だ。さらに寄付を受けるのは、医師個人ではなく大学だ。贈収賄の対象外と考えられてきたノ社事件以降、多くの製薬企業は講師料などの支払いを減らし、こちらにウェイトを置いてきた』、「多くの製薬企業は講師料などの支払いを減らし、こちら(大学)にウェイトを置いてきた」、そうであれば、以前よりは透明化した筈だ。
・『製薬企業が奨学寄付金や医師に払う金の実態  表1は、2020年度に製薬協に加盟する企業が支払った奨学寄付金のランキングだ。中外製薬の13億5050万円を筆頭に、8位のアッヴィ(アメリカ)以外は、国内製薬企業が名を連ねる。小野薬品は7位で、その総額は5億3000万円だ。(外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください) (製薬会社が支払った奨学寄附金 表1はリンク先参照) 2020年度、医師個人への支払いは、表2のようになる。奨学寄付金ほどではないが、こちらも上位には国内製薬メーカーが名を連ねている。小野薬品は12億3473万円で、第一三共に次いで第2位だ。 (製薬会社が医師に支払った額 表2はリンク先参照) 製薬企業は営利企業だ。奨学寄付金や医師個人への金銭の支払いは、売り上げを上げるための営業活動の一環である。ライバル企業が類似の薬を販売しているとき、製薬企業は金によって処方を増やそうとする。逆に画期的な新薬は、このような形での販促を行わずとも医師が処方する。) 国内製薬企業と比べて、外資系製薬企業が奨学寄付金や寄付講座に費やす金が少ないのは、画期的な新薬を数多く抱えているからだ。 では、このような金の受け入れ先である大学の状況はどうだろう。寄付講座の教授の多くは40~50代前半で、将来は主任教授に昇格したいと考えている人が多い。主任教授への昇格は、先輩の主任教授たちが仕切る教授会で決まる。もし、先輩教授たちが、製薬企業との付き合いを気にしていれば、後輩たちは、それに従ったはずだ。 表3は、2020年度、製薬企業から講師謝金などの受け入れが多い広島大学の医師のランキングだ。コロナ禍で講演会などが激減した中、トップの教授は702万円もの金を受け取っている。1回の講演料は10万~20万円程度だから、年間に35~70回の講演をこなしていることになる。診療・研究・教育という医学部教授の本業そっちのけでアルバイトに勤しんでいたのかと思ってしまう。 (広島大学所属で製薬企業からもらった報奨金TOP10 表3 はリンク先参照) 医学研究を進めるうえで、医師と製薬企業の協力は欠かせない。一方、医師は自分の懐を痛めることなく、高額な薬を大量に処方できる。製薬企業が「リベート」を渡そうとするのも無理はない。だからこそ、寄付講座、奨学寄付金、講師謝金など、さまざまな名目で金が支払われる』、「医学研究を進めるうえで、医師と製薬企業の協力は欠かせない」、「寄付講座、奨学寄付金、講師謝金など、さまざまな名目で金が支払われる」、これらを徹底的に透明する他ないだろう。
・『情報開示の徹底しかない  この状況は日本だけの現象ではない。世界各国が共通に抱える問題だ。結局、この問題に対処するためには、情報開示を徹底するしかない。アメリカでは2014年9月からサンシャイン法に基づき、アメリカの厚生省が製薬企業から個別の医師への支払いを開示し、誰でも検索できるようにした。 ところが、日本は対応が不十分だ。厚労省には、アメリカに追随する動きはない。見るに見かねたわれわれは、独自に「製薬マネーデータベースYEN FOR DOCS」を立ち上げ、2016年度分のデータから開示していることは先に述べた。 医療は医師と患者の信頼関係がなければ成り立たない。この際、広島大学には徹底した情報開示を望みたい』、「この問題に対処するためには、情報開示を徹底するしかない。アメリカでは2014年9月からサンシャイン法に基づき、アメリカの厚生省が製薬企業から個別の医師への支払いを開示し、誰でも検索できるようにした。 ところが、日本は対応が不十分だ。厚労省には、アメリカに追随する動きはない」、そこで筆者の「医療ガバナンス研究所」が「独自に「製薬マネーデータベースYEN FOR DOCS」を立ち上げ、2016年度分のデータから開示」、https://yenfordocs.jp/』、「製薬企業から講師謝金などの受け入れが多い広島大学の医師のランキング」をみると、「トップの教授は702万円もの金を受け取っている。1回の講演料は10万~20万円程度だから、年間に35~70回の講演をこなしていることになる。診療・研究・教育という医学部教授の本業そっちのけでアルバイトに勤しんでいたのかと思ってしまう」、確かに「広島大学には徹底した情報開示を望みたい」。
タグ:医薬品(製薬業) (その8)(調剤大手さくら薬局、調剤報酬に生じた「疑惑」 経営再建中に調剤報酬を高く請求している疑い、和田秀樹氏が「優秀な医師ほど薬は飲まない」と考える理由 薬剤師の発言力がないことが問題、製薬企業が医師に払うお金の知られざる最新事情 製薬マネーデータベースで見る医療界の実態) 東洋経済オンライン「調剤大手さくら薬局、調剤報酬に生じた「疑惑」 経営再建中に調剤報酬を高く請求している疑い」 「2010年代、規模拡大のため積極的なM&A・・・を行ってきた。ところがM&Aのペースの割に資金回収が追い付かなかったためか、2022年2月に私的整理の1つである事業再生ADR・・・を申請」、興味深そうだ。 こんな見え見えの「グループ外し」に騙された当局も問題だ。 「狙いは、高い調剤報酬を得ることで店舗の収益を改善させた後、他社に少しでも高く売却して資金を得ることにある」、そうであれば、わざわざ手間のかかる操作をした理由も納得できる。 問題があるのは、「さくら薬局グループ」だけでなく、「「同一グループ」の定義は骨抜きにされてしまう」のを放置した厚労省にも大きな問題がある。 NEWSポストセブン「和田秀樹氏が「優秀な医師ほど薬は飲まない」と考える理由 薬剤師の発言力がないことが問題」 「医学的な統計上、高齢になるほど血糖値もコレステロール値もBMIも、基準値より少し高めのほうが元気で長生きできる」、「最新の知見に基づく情報を正しく仕入れている優秀な医者ほど、そのことを知っているので薬は飲みません」、「「メタボ」という言葉、概念を日本で広めた大学の先生自身が、ちっとも痩せていませんから(笑)。ご自身はそのほうが元気で長生きできると知っているのでしょう」、検査数値に一喜一憂する患者こそいい面の皮だ。 「そもそも、病気か健康かの診断を分ける現在の「基準値」は厳しすぎます。もっと言えば、“間違って”いる。 薬を飲ませるために「基準値」を下げ、正常とされる範囲内に患者の数値を収めようとして、薬をどんどん出す。そうやって、多剤処方に歯止めがかからない構造を生み出しているのです」、「基準値」を意図的に下げ、「多剤処方に歯止めがかからない構造を生み出している」、とはショッキングだ。 「医学界において薬剤師より医者のほうが「権威が上」になってしまっているからです。これはポリファーマシーを解決するうえで本当に大きな問題で、薬剤師から遠慮なくものが言える構造を作らなければいけません」、その通りだ。 「現在80代の人で、健康診断を毎年受けて、血圧が高ければ薬を飲んできた人は圧倒的に男性が多数です。かつて健康診断といえば、ほとんどが職場健診でしたから。 健診を受ける機会の少なかった女性より、長年受けてそれに合わせて薬を飲んできた男性のほうが長生きになって然るべきなのに、そうなっていない」、「男女ともに平均寿命が延びたのは、健診のおかげなどではなく、栄養状態が改善したからにすぎません」、同感である。 東洋経済オンライン 上 昌広氏による「製薬企業が医師に払うお金の知られざる最新事情 製薬マネーデータベースで見る医療界の実態」 「上 昌広氏」はパンデミックで独自の視点から政策提言をしているが、所属機関の「医療ガバナンス研究所」の研究内容については初めて知った。 「多くの製薬企業は講師料などの支払いを減らし、こちら(大学)にウェイトを置いてきた」、そうであれば、以前よりは透明化した筈だ。 「医学研究を進めるうえで、医師と製薬企業の協力は欠かせない」、「寄付講座、奨学寄付金、講師謝金など、さまざまな名目で金が支払われる」、これらを徹底的に透明する他ないだろう。 「この問題に対処するためには、情報開示を徹底するしかない。アメリカでは2014年9月からサンシャイン法に基づき、アメリカの厚生省が製薬企業から個別の医師への支払いを開示し、誰でも検索できるようにした。 ところが、日本は対応が不十分だ。厚労省には、アメリカに追随する動きはない」、そこで筆者の「医療ガバナンス研究所」が「独自に「製薬マネーデータベースYEN FOR DOCS」を立ち上げ、2016年度分のデータから開示」、https://yenfordocs.jp/』 、「製薬企業から講師謝金などの受け入れが多い広島大学の医師のランキング」をみると、「トップの教授は702万円もの金を受け取っている。1回の講演料は10万~20万円程度だから、年間に35~70回の講演をこなしていることになる。診療・研究・教育という医学部教授の本業そっちのけでアルバイトに勤しんでいたのかと思ってしまう」、確かに「広島大学には徹底した情報開示を望みたい」。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

保険(その8)(三井住友海上を悩ませる子会社アムリンの「呪縛」 英当局の罰金処分に透ける稚拙なリスク管理、富裕層が円安で「ドル建て養老保険」活用 節税策狭まる中での資産防衛術、節税保険に迫る「2025年問題」 今から備えるべき“4つの出口対策”) [金融]

保険については、昨年9月18日に取上げた。今日は、(その8)(三井住友海上を悩ませる子会社アムリンの「呪縛」 英当局の罰金処分に透ける稚拙なリスク管理、富裕層が円安で「ドル建て養老保険」活用 節税策狭まる中での資産防衛術、節税保険に迫る「2025年問題」 今から備えるべき“4つの出口対策”)である。

先ずは、昨年10月28日付け東洋経済オンライン「三井住友海上を悩ませる子会社アムリンの「呪縛」 英当局の罰金処分に透ける稚拙なリスク管理」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/629019
・『経営管理体制の不備を理由に、当局から罰金の支払いを命じられたアムリン。巨額買収後間もなく赤字体質に陥った問題児を、どう立て直すのか。 損害保険大手、三井住友海上グループの“問題児”が業界をざわつかせている。イギリスの子会社であるMSアムリンが10月20日、過去の経営管理体制の不備を理由に、同国の金融監督当局(PRA)から969.5万ポンド(約16億円)の罰金処分を受けたからだ。 「期待する基準を満たせなかったことの重大さを反映している」。監督当局がそう厳しく指弾した経営管理体制の不備とは、一体何か。 それは2014~2019年の間、アムリンの取締役会や引受業務などの各部門と傘下事業会社において、意思決定の基礎となる過去の契約データといった情報が十分に共有されず、結果としてリスク査定をたびたび見誤り、さらにその責任の所在を曖昧にする体制を延々と続けてきたことにある』、「買収」前には徹底的な資産査定を行うのが普通だが、不十分だったのだろうか。
・『組織改編が失敗し慢性赤字の問題児に  三井住友海上がアムリンを買収したのは2016年。それに先立つ2014年9月、アムリンは旧持ち株会社の中に「戦略ビジネスユニット」を組成しており、同ユニットが傘下にある3つの事業会社(MS AULなど)を横断するかたちで管理・運営する組織への改編を実施している。 アムリンとしてグループガバナンス(統治)の強化を狙ったものの、MS AULなど傘下事業会社の自律性を損ない、リスク管理の甘さが目立つようになるなど組織改編は大コケ。契約時におけるずさんなリスク査定が仇となり、2017年度には約1100億円の巨額赤字を計上するに至っている。 その後もアムリンは、組織体制において実効性のある改善策を打ち出せず、慢性赤字の状態に陥るなど問題児へと転落していった。 業を煮やした三井住友海上が、アムリンのテコ入れを本格化したのは2020年に入ってからだ。アムリンの持ち株会社を事実上解散し、MS AULなど傘下事業会社に直接出資するかたちで統治する体制に改めている。 今回の罰金処分について、三井住友海上は「アムリンが当社による買収(2016年2月)以前に開始した事業運営体制に関し(中略)2019年まで十分でなかったとの指摘および課徴金の支払いについて、(監督当局から)通知を受けたもの」という声明を出している。 あくまで2020年のテコ入れによってすでに解決済みの問題であり、騒ぎ立てるようなことではないのだと必死に火消しをしているようにも映る。では一体なぜ、そんな問題児を買収したのだろうか。 「統合リスク管理のお手本のような存在だ」。三井住友海上の経営陣がイギリスのロイズ保険市場で2番手の位置にいたアムリンをそう持ち上げ、約6350億円に上る大型買収を発表したのは2015年9月のことだ。 その数カ月前には、東京海上ホールディングスがアメリカのHCC、第一生命が同プロテクティブ、明治安田生命が同スタンコープ、住友生命が同シメトラの買収を発表しており、生損保が入り乱れるかたちで海外での大型買収の発表が相次いでいた。 当時、三井住友海上のある役員は海外に向かう機中で、同業大手の役員と鉢合わせしたこともあって、買収合戦の異様な盛り上がりを実感したという。そして、後れを取ってはいけないという「焦りがなかったと言えば、うそになる」と周囲に語っていた。 その焦りが経営陣の目を曇らせたのだろう。実はアムリンの買収交渉の過程では、2014年の組織改編をめぐってイギリスの監督当局が当時懸念を示していたことを、三井住友海上の国際部門は「把握していたものの、さして問題ではないと軽視していたようだ」(日本の金融庁幹部)』、「「統合リスク管理のお手本のような存在だ」。三井住友海上の経営陣がイギリスのロイズ保険市場で2番手の位置にいたアムリンをそう持ち上げ、約6350億円に上る大型買収を発表」、「買収合戦の異様な盛り上がり」で「後れを取ってはいけないという「焦り」「が経営陣の目を曇らせた」、「2014年の組織改編をめぐってイギリスの監督当局が当時懸念を示していたことを、三井住友海上の国際部門は「把握していたものの、さして問題ではないと軽視」、どうみても「三井住友海上」の対応のお粗末さが目につく。
・『2022年度に黒字転換を描くが…  イギリスの監督当局とすれば、三井住友海上が買収前からアムリンの問題点を認識していながら、それが顕在化して以降も遅々としてテコ入れを進めず、軽視するような態度をとられ続けたことになる。 さらに言えば、三井住友海上は10年前の2012年にも、イギリスの監督当局から罰金処分を受けている。そのときの理由もアムリンと同じく、欧州現地法人の経営管理体制の不備だった。 3年以上も前の組織体制の話を持ち出して罰金処分を課された裏側には、三井住友海上の稚拙なリスク管理と「海外監督当局との対話の乏しさ」(金融庁幹部)が隠れているわけだ。 買収前には毎年300億円前後の最終利益を上げながら、買収後は一転して赤字を垂れ流し続けるアムリンを、どう立て直していくつもりなのか。 三井住友海上は2025年度に400億円の最終利益を稼ぎ出す青写真を描いており、2022年度は約30億円の黒字転換を見込んでいる。 しかしながら、アメリカで9月に発生したハリケーン「イアン」の被害拡大によって、2022年度の黒字予想はもはや風前の灯火だ。アメリカのHCCを軸に海外事業で2500億円超の利益を稼ぎ出す東京海上とは、埋めがたい差がついてしまっている。 それでも海外事業の中核会社としてアムリンを位置付ける三井住友海上に、果たして勝算はあるのか。2022年度の最終赤字が現実となれば、株主からの売却圧力は一気に強まることになる』、「10年前の2012年にも、イギリスの監督当局から罰金処分を受けている。そのときの理由もアムリンと同じく、欧州現地法人の経営管理体制の不備だった」、背景に「三井住友海上の稚拙なリスク管理と「海外監督当局との対話の乏しさ」があるようでは、抜本的な立て直し策が不可欠だ。

次に、11月4日付けダイヤモンド・オンライン「富裕層が円安で「ドル建て養老保険」活用、節税策狭まる中での資産防衛術」を紹介しよう。
https://dw.diamond.ne.jp/articles/-/29876
・『『週刊ダイヤモンド』11月12日・19日合併号の第一特集は「円安・金利高・インフレに勝つ!最強版 富裕層の節税&資産防衛術」です。急激な円安や金利高、インフレの加速、ロシアによるウクライナ侵攻など社会を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。そうした中で、富裕層たちはいかにして節税および資産防衛を行っているのでしょうか。国税当局による節税策の封じ込めが激しさを増す中、富裕層が陥りやすいわなを含め、資産防衛術を赤裸々に明かします』、興味深そうだ。
・世界中でふさがれる節税手法 今の注目ポイントは?  コロナ禍以降、生命保険、暗号資産、世界の法人税下限の統一化、30万円以下の一括償却など、いわゆる節税手段がどんどんふさがれてきています。これに加えて生前贈与と相続の一体課税が行われるということも喧伝されています。 ありとあらゆる節税手段に、このようなふたをする動きは「税務当局の本気度がうかがえる状況」なのではないかと思います。コロナ禍で国の借金が膨らんでいますし、アフターコロナを見据え、大規模金融緩和や多額の財政出動という「広げた風呂敷」を畳むフェーズに入ってきているのでしょう。 「所得税・法人税は防衛費など大義名分がないと上げづらい。しかし消費税を上げたら選挙で不利」という状況下で、最初に上げやすいのが富裕層に対する税金である、贈与税・相続税となるのは当然の流れです。こういう情勢の今、富裕層の間でよく行われている節税手法にはどんなものがあるのでしょうか』、「富裕層の間でよく行われている節税手法」、私には縁遠いが、一応、みてみよう。
・『法人は養老保険とオペリの二者択一に ドル建ての保険は有望か  まずは法人、つまりもうかっている法人の経営者についてです。現在、法人側の税金対策に関してはほぼ手詰まりの状況です。 度重なる当局の対応により、生命保険を使った手軽な決算対策がほぼできなくなっています。日本生命保険などがこぞって節税商品として販売していた法人保険や、その後の名義変更プランがふさがれたのはかなり大きかったと思います。 一方で、飛行機などのオペレーティングリースに関しては、コロナ禍とロシアのウクライナ侵攻によって「事業リスク」が大きく顕在化しました。商品が出れば売れた時代から「より事業リスクの低いものを選んで買う」という状況に変化しています。 さらに、飛行機はドル建ての商品が多いので、円安になったために、「10年前、節税のために飛行機を買い、満期の今、為替の差益が30~40%程度も出てしまってどうしよう」という、うれしいような悲しいような状態になっている法人も多数あります。 また、昨年の税制改正によりドローンなどを30万円分一括償却して節税する手法もほぼ、ふさがれました。法人の決算対策という意味での節税に関しては、「生命保険のオーソドックスな養老保険の福利厚生プランで支払い保険料の半額を損金にする」か、または「オペレーティングリースにする」か、などといったところに限定されてしまったといえます。広まっていない手法は一部残されていますが、事業リスクが高過ぎて節税手法としては使い物にならないものも多いのです。 また、ちょっとひねったところでは、この円安下でドル建ての養老保険に法人で加入することで福利厚生プランにして半額損金を取っていく、という手段もあります。 契約形態は契約者を法人、被保険者を従業員、満期保険金受取人を法人、死亡保険金受取人を従業員の遺族とすることで、支払った保険料の半分が損金となる、といった仕組みです。これは従来の福利厚生プランと同じ仕組みで、通貨が円ではなくドルというだけです。ただ、ドル建ての養老保険になるので円建てよりも解約返戻率も高く、「経費で落としながらお金をためる」という使い方が可能になります。 一般的には5~10年後に満期保険金が法人に支払われる形です。もちろんドル建てなので為替リスクがありますが、当然リターンもあります。事業で為替に関して何らかの影響がある法人であれば、リスク回避の意味合いもあるので、ドル建てでお金をためておくということで本業のヘッジができる可能性もあります。もちろんドルを持たない輸出入企業以外の法人でも、通貨分散の一環として加入してもいいのではないでしょうか』、「ドル建ての養老保険になるので円建てよりも解約返戻率も高く、「経費で落としながらお金をためる」という使い方が可能になります。 一般的には5~10年後に満期保険金が法人に支払われる形です。もちろんドル建てなので為替リスクがありますが、当然リターンもあります。事業で為替に関して何らかの影響がある法人であれば、リスク回避の意味合いもあるので、ドル建てでお金をためておくということで本業のヘッジができる可能性もあります」、なるほど。
・『富裕層“御用達”税理士たちが赤裸々に実態を暴露  『週刊ダイヤモンド』11月12日・19日合併号の第一特集は「円安・金利高・インフレに勝つ!最強版 富裕層の節税&資産防衛術」です。 国税当局による相次ぐ「節税策つぶし」により、富裕層の節税や資産防衛は苦しさを増しています。そうした中で、急激な円安、インフレ、金利高、そしてロシアによるウクライナ侵攻など、社会情勢が不安定化しています。 そこで、富裕層“御用達”の税理士や資産コンサルの方々に、赤裸々トークを繰り広げてもらいました。今の海外節税の動向や海外移住、事業承継税制、ホールディングス化、国税による税務調査の実態など興味深い話が尽きません。詰まるところ、節税封じのはてに、「詐欺」が残ったと喝破しています。 加えて、富裕層に人気の金投資や航空機投資のやり方、注意すべき節税保険の実態、金融庁が大なたを振るった仕組み債の中身、コインランドリーや足場レンタルといった富裕層に人気の節税術の実態にも迫りました。 そして、富裕層を悩ます大問題の一つである、相続。こちらに関しては、生前贈与と生命保険、不動産の3大節税術を解説しています。併せて、大きな金額を節税できる不動産で陥りがちなわなも徹底解説しています。 節税策が閉じられていく中、富裕層がいかにして資産防衛を図っているのか、本特集をぜひご覧ください』、具体策は雑誌版にあるようだ。

第三に、12月23日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したアレース・ファミリーオフィス代表取締役の江幡吉昭氏による「節税保険に迫る「2025年問題」、今から備えるべき“4つの出口対策”」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/315016
・『業績好調な非上場企業の経営者であれば、多くが節税のために活用してきたであろう法人契約の生命保険。だが、2019年に税務取り扱いの大幅な変更があり、当時、駆け込み加入した保険の解約返戻金が2025年にピークを迎える。節税保険の加入を単なる「課税の繰り延べ」にしないための、出口戦略として有効な4つの手法について解説する』、興味深そうだ。
・『2025年にピークを迎える節税保険の解約払戻金  もうかっている非上場企業の経営者では大抵の方がお世話になってきた法人契約の生命保険。この所謂「節税保険」について2019年2月に大幅な税務取り扱いの変更があり、実質的に節税効果が期待できなくなりました。2019年2月14日に「節税保険の税務通達を見直す」という事前アナウンスがあり(バレンタインデーショックと呼ばれました)、その後、2019年6月末に新たな通達が出されました。 実はこの時、「新たな税務通達が出されるまでに節税保険に入っておけば、保険料を全損で経理処理ができるので、今のうちに新規に契約しておこう」ということで、2019年2月から6月にかけて節税保険の駆け込み加入がものすごい勢いでありました。 そして4年が経過し、2019年に駆け込み加入した節税保険の解約返戻金が2025年にピークに迎えるのです。その金額は一説には合計3.9兆円といわれているようです。保険業界全体の個人保険の新規年間保険料が大体1.3兆円ですので、その3倍である3.9兆円はかなり大きな金額といえるのではないでしょうか。 一般的にはこの手の法人保険はどの会社も加入者の年齢によって差はありますが、大体2025年をピークに解約返戻金が減っていくので、その前後に解約する必要があるのです。よって、節税保険の出口戦略は、経営者にとっての2025年問題だと考えています。 通常、こういった保険に加入する非上場企業は継続的にもうかっています。利益が出ている最中に2025年を迎え、「節税保険を解約したら多額の法人税がかかってしまって結局、課税の繰り延べにしかならない…」「何かいい出口戦略はないか」というのがよくある社長のセリフです。 継続的に利益を出し続けている会社でも「課税の繰り延べにならず、結果的に節税となる方法」はあります。その代表的なものが、保険の解約返戻金を社長の退職金と相殺することです。 仮に保険の解約返戻金が1億円として、会社が社長に退職金1億円を払えば、1億円の益金(解約返戻金)と1億円の損金(退職金)が相殺されることになり、保険を解約しても法人は税金を払わずに済み、社長個人は退職金を受け取れ、結果的に節税になります。 しかし、節税のためとはいえ、社長が退職を決断するのはなかなか難しいでしょう。そういった場合でも節税保険の出口として使える手法があるのでいくつか取り上げたいと思います』、どうやるのだろう。
・『生命保険の保全手続きとオペレーティングリース  第一に生命保険の保全手続きを使う方法です。 法人保険は「全部解約するか継続か」の2択ではありません。 全部を解約せず「一部減額」という形で、徐々に切り崩していくことも可能です。例えば解約返戻金のたまりが5000万円だとしても、何年かにかけて徐々に減額していくことで設備投資などの損金と相殺させるということが可能です。 5000万円のうちの1000万円を解約し、その1000万円で設備投資することで利益はゼロになり、課税の繰り延べが節税になったといえます。もちろん設備投資も即時償却から減価償却まで幅広いので、どのような設備投資を行うかは会社次第です。 それ以外にも保全変更の種類によっては、経理処理(益金計上)をしないで解約返戻金の進行をストップさせ、解約返戻金を高止まりさせたまま保険料を払わずに契約のみ継続させる手法も、保険会社によっては取り扱っています。いずれにせよ、生命保険は解約か継続かだけではないと認識いただきたいと思います。 第二にオペレーティングリースです。 オペレーティングリース自体は保険と比べて不確実性の高い金融商品ですので、万人向きではありません。しかし昨今、決算対策手法が限られる中、選択肢としては貴重な存在です。オペレーティングリースとは「船舶や飛行機、コンテナなどのリース事業に出資し、リース期間中に生じる損を経費として計上し、リース料や最終的なリース物件を売却することで投資金額を回収するもの」です。 メリットとしては、大きく次の2つがあります。 (1)2~3年で投資金額のほぼ全額を経費化できること(よくあるのは投資額の初年度7割損金、2年目2割損金…など) (2)支払うお金は投資時の1度だけで、保険のように毎年払わずに済むこと 一方、デメリットは事業リスクが保険と異なり高いことが挙げられるでしょう。 リーマンショック、コロナショック、ロシアのウクライナ侵攻など、各事業体のリスク(飛行機が飛ばないからリース料が入ってこないとか、賃借人である航空会社の破綻とか)が保険と比べて高いのが特徴です。そしてお金が戻ってくる償還期間も7~10年くらいが多く、短期的に投資資金を回収するという法人には向きません。 また、メリットにもデメリットにもなり得ますが、多くが基本米ドル建てで投資する必要があるので為替リスクがあります。 とはいえ、今、償還を迎えるものは円安のため為替差益が出ることになります。また、最低投資金額が3000万~5000万円以上の案件が多いので、100万円規模でもできる保険とは投資の大きさが異なります(リーマンショック時は償還時に大幅な為替差損で大変なことになりましたが)。 節税保険の解約返戻金を今後、オペレーティングリースに投資することで課税を繰り延べることはできても、10年後の償還時の計画的なタックスプランニングは必要です』、「オペレーティングリース」は「最低投資金額が3000万~5000万円以上の案件が多いので、100万円規模でもできる保険とは投資の大きさが異なります」、極めて大口のようだ。
・『意外と知られていない事前確定届出給与  第三に事前確定届出給与です。 これは課税の繰り延べではなく、節税保険の出口となる手法です。事前確定届出給与とは「事前に自社の株主総会で金額を確定し税務署に届け出る役員の賞与的給与」です。社長や役員の賞与は一般社員と異なり経費化できないので、支払わないことが一般的ですが、事前に税務署に届け出れば、役員の賞与も経費で落とせるのです。メリットは、社員と同様、自分たち社長や役員にも賞与を支払えること。 デメリットは、社長個人が受け取った賞与は「所得税、住民税などの対象になる」ので、年収がプロ野球選手のような高額所得の社長は税金も多額になり、選択肢にはなりません。 一方で会社の役員に「社長の妻や子供や母親がいるケース」でかつ「年間の役員報酬が1000万円前後の方」のような会社の場合、事前確定届出給与で例えば「取締役の妻に1000万円程度の役員報酬を払っている」ケースでは、課税される金額も社長に比べ低いものになりますので効果的です。 事前確定届出給与を決議するタイミングは「期末の決算報告時の株主総会」が一般的ですので、事前確定届出給与を支給したい事業年度の前の期における株主総会決議を経る必要があります。 例えば12月末決算の会社の場合、同年2月の定時株主総会でこの議案を通しておけば、その期中は任意のタイミング(これも株主総会で決議)で支給できます。ただし、社長の思い付きですぐに事前確定届出給与が使えるわけではないですし、日付と金額が少しでもずれると経費化できない厳格なルールがあるのでご注意ください。 国税庁のHPにも掲載されているにもかかわらず、意外に事前確定届出給与は企業経営者に知られていません。わざわざ事前確定届出給与にするくらいなら、新年度から社長の毎月の役員報酬を上げたほうが手間が少ないので、社長に案内しない税理士も多いようですが、検討すべきだと思います。 そして、第四は「地主が法人化しているケース」などで使える出口戦略です。具体的には大規模修繕費用と節税保険の解約返戻金を相殺する手法です。 地主は表向き農家ですが、実際はマンションやアパートなどの収益不動産を複数棟保有しているケースが多く、保有物件の外壁の塗り替えなどの大規模修繕を十数年に1度繰り返す必要があります。その費用は不動産の規模にもよって異なりますが、最低数百万円はかかります。規模が大きければ千万や億単位の費用がかかります。 これらの大規模修繕のための資金として保険の解約返戻金を充当し、解約返戻金の利益と大規模修繕の損金を相殺させるのです。 地主の多くは「大規模修繕ってお金がかかるから、10年後に備えて法人で農協の定期積立貯金を毎月一定額しているんだよね」とよくおっしゃいます。この定期積立貯金は経費で落ちませんが、節税保険であれば全額損金(2019年7月以降に新規で加入された方は4割損金の法人保険が多い)で落ちます。したがって、計画的な修繕に充てられる非常に効果的な手法です。 ただし、大規模修繕と一言で言っても、原状回復に関しては損金となりますが、設備のグレードアップなどの資本的支出(エレベーターの交換など)に関しては減価償却となりますので、ご注意ください。 このように、法人保険の出口戦略は特別なことをしなくても「普通に」いくつも存在します。しかしあらかじめ準備をせず、土壇場になって「来月決算だし、法人保険ピークだし、解約しなきゃ」というような場合では打つ手は限られてきてしまいます。本業のみならず、タックスプランニングによる「守り」の強化も、経営者にとって大事なことではないでしょうか』、「事前確定届出給与」は「会社の役員に「社長の妻や子供や母親がいるケース」でかつ「年間の役員報酬が1000万円前後の方」のような会社の場合、事前確定届出給与で例えば「取締役の妻に1000万円程度の役員報酬を払っている」ケースでは、課税される金額も社長に比べ低いものになりますので効果的です」、「法人保険の出口戦略は特別なことをしなくても「普通に」いくつも存在します。しかしあらかじめ準備をせず、土壇場になって「来月決算だし、法人保険ピークだし、解約しなきゃ」というような場合では打つ手は限られてきてしまいます。本業のみならず、タックスプランニングによる「守り」の強化も、経営者にとって大事なことではないでしょうか」、その通りなのだろう。
タグ:保険 (その8)(三井住友海上を悩ませる子会社アムリンの「呪縛」 英当局の罰金処分に透ける稚拙なリスク管理、富裕層が円安で「ドル建て養老保険」活用 節税策狭まる中での資産防衛術、節税保険に迫る「2025年問題」 今から備えるべき“4つの出口対策”) 東洋経済オンライン「三井住友海上を悩ませる子会社アムリンの「呪縛」 英当局の罰金処分に透ける稚拙なリスク管理」 「買収」前には徹底的な資産査定を行うのが普通だが、不十分だったのだろうか。 「「統合リスク管理のお手本のような存在だ」。三井住友海上の経営陣がイギリスのロイズ保険市場で2番手の位置にいたアムリンをそう持ち上げ、約6350億円に上る大型買収を発表」、「買収合戦の異様な盛り上がり」で「後れを取ってはいけないという「焦り」「が経営陣の目を曇らせた」、「2014年の組織改編をめぐってイギリスの監督当局が当時懸念を示していたことを、三井住友海上の国際部門は「把握していたものの、さして問題ではないと軽視」、 どうみても「三井住友海上」の対応のお粗末さが目につく。 「10年前の2012年にも、イギリスの監督当局から罰金処分を受けている。そのときの理由もアムリンと同じく、欧州現地法人の経営管理体制の不備だった」、背景に「三井住友海上の稚拙なリスク管理と「海外監督当局との対話の乏しさ」があるようでは、抜本的な立て直し策が不可欠だ。 ダイヤモンド・オンライン「富裕層が円安で「ドル建て養老保険」活用、節税策狭まる中での資産防衛術」 「富裕層の間でよく行われている節税手法」、私には縁遠いが、一応、みてみよう。 「ドル建ての養老保険になるので円建てよりも解約返戻率も高く、「経費で落としながらお金をためる」という使い方が可能になります。 一般的には5~10年後に満期保険金が法人に支払われる形です。もちろんドル建てなので為替リスクがありますが、当然リターンもあります。事業で為替に関して何らかの影響がある法人であれば、リスク回避の意味合いもあるので、ドル建てでお金をためておくということで本業のヘッジができる可能性もあります」、なるほど。 具体策は雑誌版にあるようだ。 ダイヤモンド・オンライン 江幡吉昭氏による「節税保険に迫る「2025年問題」、今から備えるべき“4つの出口対策”」 どうやるのだろう。 「オペレーティングリース」は「最低投資金額が3000万~5000万円以上の案件が多いので、100万円規模でもできる保険とは投資の大きさが異なります」、極めて大口のようだ。 「事前確定届出給与」は「会社の役員に「社長の妻や子供や母親がいるケース」でかつ「年間の役員報酬が1000万円前後の方」のような会社の場合、事前確定届出給与で例えば「取締役の妻に1000万円程度の役員報酬を払っている」ケースでは、課税される金額も社長に比べ低いものになりますので効果的です」、 「法人保険の出口戦略は特別なことをしなくても「普通に」いくつも存在します。しかしあらかじめ準備をせず、土壇場になって「来月決算だし、法人保険ピークだし、解約しなきゃ」というような場合では打つ手は限られてきてしまいます。本業のみならず、タックスプランニングによる「守り」の強化も、経営者にとって大事なことではないでしょうか」、その通りなのだろう。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

高齢化社会(その22)(老化を防ぐ「前頭葉」日本人がほぼ使えていない訳 未経験のことに挑戦する時に使うのだが…、「高齢ドライバーは事故率が高い」というデータはない…抗老化の専門医が「免許返納は早まるな」と説くワケ 外出の機会が極端に減って体力も気力も失われる、"昔話ばかりする人"が実は「老けない」という衝撃 「脳トレ」より効果がある「ドーパミン」の作り方) [社会]

高齢化社会については、昨年10月17日に取上げた。今日は、(その22)(老化を防ぐ「前頭葉」日本人がほぼ使えていない訳 未経験のことに挑戦する時に使うのだが…、「高齢ドライバーは事故率が高い」というデータはない…抗老化の専門医が「免許返納は早まるな」と説くワケ 外出の機会が極端に減って体力も気力も失われる、"昔話ばかりする人"が実は「老けない」という衝撃 「脳トレ」より効果がある「ドーパミン」の作り方)である。

先ずは、昨年12月11日付け東洋経済オンラインが掲載した精神科医の和田 秀樹氏による「老化を防ぐ「前頭葉」日本人がほぼ使えていない訳 未経験のことに挑戦する時に使うのだが…」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/636125
・『年齢を重ねると、脳は「前頭葉」から萎縮しはじめる。だから、前頭葉を鍛えることが脳の老化を防ぐことになる。前頭葉は意欲などをつかさどる部位で、経験したことがないことに挑戦するときなどに使う。しかし、日本ではとかく「前例踏襲」が好まれ、日本人は前頭葉を使っていないと、精神科医の和田秀樹氏は指摘する。日本の教育も前頭葉を鍛えるものになっていないという(本記事は、和田秀樹『50歳からの「脳のトリセツ」』の一部を抜粋・編集したものです)』、「脳は「前頭葉」から萎縮しはじめる。だから、前頭葉を鍛えることが脳の老化を防ぐことになる」、「日本ではとかく「前例踏襲」が好まれ、日本人は前頭葉を使っていない」、とは耳の痛い忠告だ。
・『詰め込み教育は「悪」ではない  日本という国は、前頭葉の機能が低下しやすい社会構造を持っています。簡単に言うと、前頭葉を働かせて新しいことをしようとすると、前頭葉を使わない「前例踏襲」の人たちにはじかれるという構造です。 少し考えただけでも思い当たるはずです。大多数の意見とは逆のことを言う人は、しばしば「異分子」として白眼視されます。人より目立ちすぎると、「出る杭」として打たれます。新しいアイデアを出しても、「前例がないから」と却下されることが多々あります。そうした社会から、新規性のある面白いビジネスが生まれるのは難しく、日本の国際競争力は落ちるばかりです。 その諸悪の根源は、教育システムにあると私は考えています。日本では、前頭葉を鍛える教育をまったくしていないのです。 こう言うと、50代の方は「詰め込み教育」を連想されるかもしれません。この世代は人数が多く、受験戦争が熾烈だったので、10代のころの猛勉強がつらい思い出になっている人もいるでしょう。そして、大量の知識を一律にインプットする初等・中等教育こそが「悪者」だとみなしがちです。 しかし、それは違います。小中高校での詰め込み教育は悪ではなく、むしろ不可欠なものです。この段階で詰め込まなければ、語彙も増えない、計算もできない、世の中のしくみにもまったく無知という状態で成人してしまいます。初等・中等教育において、必要な知識をひたすらインプットするのは、理にかなったことなのです。) 「とはいえ、好奇心やクリエイティブな感性を伸ばすことも重要では?」と考えた方もいるでしょう。「個性重視の教育」を対置して「詰め込み教育」を批判する声も、よく耳にするところです。 では、その考えはどこから来たものでしょうか。「欧米の教育は個性重視だから」ではないかと思います。しかしここにもまた、大きな誤解があります。 たしかに、1960年代~80年代初頭までのアメリカやイギリスでは、個性を重んじ、好奇心を伸ばすことを優先した教育が行われていました。しかしその結果、深刻な学力低下が起こり、アメリカもイギリスも方針転換せざるを得なくなりました。 その際に手本にしたのが、日本の詰め込み教育です。1980年代の日本の隆盛の基盤は初等教育にあるとして、教育改革を行ってテコ入れをし、学力を回復させています。つまり英米において、「詰め込み=悪」という考えは時代遅れとなって久しいのです。ついでに言うと、その後、アメリカからは世界的なIT企業が、イギリスでもダイソンのような昔の日本を彷彿させる企業が生まれています』、「小中高校での詰め込み教育は悪ではなく、むしろ不可欠なものです。この段階で詰め込まなければ、語彙も増えない、計算もできない、世の中のしくみにもまったく無知という状態で成人してしまいます。初等・中等教育において、必要な知識をひたすらインプットするのは、理にかなったことなのです」、「1960年代~80年代初頭までのアメリカやイギリスでは、個性を重んじ、好奇心を伸ばすことを優先した教育が行われていました。しかしその結果、深刻な学力低下が起こり、アメリカもイギリスも方針転換せざるを得なくなりました。 その際に手本にしたのが、日本の詰め込み教育です。1980年代の日本の隆盛の基盤は初等教育にあるとして、教育改革を行ってテコ入れをし、学力を回復させています。つまり英米において、「詰め込み=悪」という考えは時代遅れとなって久しいのです。ついでに言うと、その後、アメリカからは世界的なIT企業が、イギリスでもダイソンのような昔の日本を彷彿させる企業が生まれています」、米英が「手本にしたのが、日本の詰め込み教育です」、初めて知った。
・『「ゆとり教育」が失敗した理由  ところが日本は、アメリカやイギリスとは逆の道をたどりました。詰め込み教育に対して要らぬ反省をし、「ゆとり教育」へとシフトしたのです。これは、文部省(現・文部科学省)の中央教育審議会委員を務めた大学教授陣が、1960~70年代のアメリカに留学していたことが影響しています。 彼らは、教育改革をする「前」のアメリカの教育を理想化し、帰国後、それに倣うことを目指しながら着々と出世しました。そして教授になると「ゆとり教育」の基本方針を答申。1990年代半ばにゆとり重視の学習指導要領が導入され、2002年から現場で施行されます。 そのころ、日本はすでに台湾や韓国に中学生の数学力で後れをとりはじめているということが調査結果で明らかになっていました。にもかかわらず、わざわざ学力を落とす改悪をしたことが、現在のIT分野での惨敗を招いていることは火を見るよりも明らかです。) アメリカが1980年代に捨てた方針を、21世紀になってから踏襲するという的外れな施策が、なぜ行われてしまったのでしょうか。それは、教授たちの知識が留学時代から更新されていなかったからです。 いやしくも教育のプロならば、帰国後も勉強を続けて、常に最新の知識を得ておくべきところです。しかし日本の学界には、教授になれば勉強しなくても地位を保てるという、悪しきシステムがあります。この既得権益に、権威を得た教授たちが何十年もしがみつき、決定権を握って離さないのです』、「大学教授陣が、1960~70年代のアメリカに留学していたことが影響しています。 彼らは、教育改革をする「前」のアメリカの教育を理想化し、帰国後、それに倣うことを目指しながら着々と出世しました。そして教授になると「ゆとり教育」の基本方針を答申」、「いやしくも教育のプロならば、帰国後も勉強を続けて、常に最新の知識を得ておくべきところです。しかし日本の学界には、教授になれば勉強しなくても地位を保てるという、悪しきシステムがあります。この既得権益に、権威を得た教授たちが何十年もしがみつき、決定権を握って離さないのです」、「日本」の学識経験者の不勉強ぶりは酷いようだ。
・『日本の大学教育の質の低さは世界ワースト  この「偉い方々」は、世界で高く評価された日本の初等・中等教育を捻じ曲げただけでなく、小学校~高校の教員資格に免許更新制も導入しました。大学教授の資格こそ更新制にしろと、声を大にして言いたい思いです。 教員免許の更新制は弊害があまりにも大きく、2022年に廃止になりました。そして、最新の知識が必要な大学教授たちの免許更新はいまだに実現していません。日本が前頭葉の機能が低下しやすい社会構造を持っている元凶は、小中高校の詰め込み教育ではなく、大学教育にあります。 日本の大学教育の質の低さは世界ワーストレベルだと私は考えています。大学は本来、それまでインプットした知識を使って、自ら思考を組み立て、アウトプットする力を養う場です。諸外国での大学教育では、そこに力点が置かれます。だから、教授の言うことに逆らって議論できる学生が優秀とされます。 対して、日本のほとんどの大学で行われているのは、教授が教えた通りのことを試験で答えればよいという教育です。どちらが前頭葉を鍛える教育であるかは、言うに及ばないでしょう』、「日本が前頭葉の機能が低下しやすい社会構造を持っている元凶は、小中高校の詰め込み教育ではなく、大学教育にあります。 日本の大学教育の質の低さは世界ワーストレベルだと私は考えています。大学は本来、それまでインプットした知識を使って、自ら思考を組み立て、アウトプットする力を養う場です。諸外国での大学教育では、そこに力点が置かれます。だから、教授の言うことに逆らって議論できる学生が優秀とされます。 対して、日本のほとんどの大学で行われているのは、教授が教えた通りのことを試験で答えればよいという教育です」、全面的に同意したい。

次に、本年1月2日付けPRESIDENT Onlineが掲載した愛媛大学医学部附属病院 抗加齢・予防医療センター長の伊賀瀬 道也氏による「「高齢ドライバーは事故率が高い」というデータはない…抗老化の専門医が「免許返納は早まるな」と説くワケ 外出の機会が極端に減って体力も気力も失われる」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/64758
・『高齢ドライバーは運転免許を返納したほうがいいのだろうか。愛媛大学医学部附属病院 抗加齢・予防医療センター長の伊賀瀬道也さんは「65歳以上の高齢者による車の事故率が、他の世代と比べて特別に高いわけではない。運転をやめた人は続けた人より要介護リスクが2倍高くなるという研究結果も出ており、脳機能や運転能力が落ちないうちはなるべく続けたほうがいい」という――。 ※本稿は、伊賀瀬道也『100歳まで生きるための習慣100選』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです』、「運転をやめた人は続けた人より要介護リスクが2倍高くなる」、これは深刻なデメリットだ。「免許返納」は避けるべきというのは、第一の記事の著者の和田秀樹氏も主張している。
・『「高齢者の運転する車は事故率が高い」というデータは存在しない  高齢者になると、家族から運転免許の自主返納を促されることがあるでしょう。昨今、高齢者の運転は危険だという風潮が広がっているからです。 本当にそうなのでしょうか。あまり知られていないのですが、「65歳以上の高齢者による車の事故率が、他の世代に比べて特別高い」というデータは、今のところ出てきていません。 少し特殊な例かもしれませんが、ご高齢にもかかわらずアクティブに運転をされている方を一人紹介しましょう。 日本のレース黎明期ともいえる1960~1970年代に、国内トップカテゴリーで活躍したレーシングドライバーを総称して「レジェンドドライバー」と呼ぶのですが、彼らのつくった「レジェンドレーシングドライバーズクラブ」のお一人に武智勇三さんがいます。かつてダイハツのワークスドライバーとして活躍されました。 武智さんとは、私も友人としてお付き合いしていますが、80歳を超えた現在も本当にお元気で、ドイツ製のスポーツカーを運転されています。武智さんを含めたレジェンドドライバーのみなさんは、すでに平均年齢が75歳を超えているにもかかわらず、一年に一度「富士スピードウェイ」に集い、最高速度200km/hでの激しいバトルを見せてくれているのです』、「レジェンドドライバー」は例外中の例外とみるべきだ。
・『車の運転をやめた人が要介護になるリスクは2.09倍  このように、高齢になったからといって、即座に免許を返納する必要はないと私は思います。特に地方在住の高齢者(特に男性)は、運転免許を取得していて、自分で車を運転して行きたいところに行けるということが、1つのアイデンティティー(自分の存在証明)と考える方も多いと思います。 これまで外出の際に車を運転していた人は、免許を返納してしまうと外出の機会が極端に減ってしまうため、活動範囲が極端に狭まります。その結果、交友範囲が狭くなったり、運動量が減ったりして、数年のうちに介護が必要になったり、認知症になったりしてしまう人が少なくないのです。 実際、筑波大学の研究チームが、65歳以上の男女2800人を10年にわたって追跡調査したところ、車の運転をやめた人は、運転を続けた人に比べて、要介護になるリスクが2.09倍になったということです。車の運転をやめたことで、活動量が落ち、意欲も筋力も体力も減退してしまったと考えられます』、「要介護になるリスクが2.09倍」というのはやはり明白なデメリットだ。
・『免許返納の時期は家族と相談して決めておく  車の運転は脳機能や反射神経のトレーニングになりますし、買い物先のスーパーやショッピングモールを歩いたりすることは運動にもなります。友だちに会って楽しく話せば、それだけで認知症予防になります。 ただし、返納する時期については家族と相談して決めておきましょう。1年に1回は、運転能力に問題がないか、家族に同乗してもらい確かめてもらえば安心です。 ちなみに75歳以上の後期高齢者の場合には、認知機能検査に合格し、運転適性検査や実車指導を含む高齢者講習を受けなければ、免許更新手続きはできません。 少しでも長い間、安全な運転を続けていくためには、脳機能や運動能力を落とさないことが必要です。今のうちから健康的な生活を心がけておきましょう。 それでも、いつか免許を返納する日が来るかもしれません。でも、大丈夫です。運転ができなくなっても、他の健康習慣は十分に実践可能です。できることをコツコツと、楽しんでやってみてください』、「運転ができなくなっても、他の健康習慣は十分に実践可能です。できることをコツコツと、楽しんでやってみてください」、その通りだ。
・『長野県民の平均寿命の長さは有業率の高さと関係している  2015年の都道府県別生命表によると、長野県民の平均寿命は、女性が87.67歳で全国第1位、男性が81.75歳で第2位でした。1990年以降、長野県は男女ともに全国1位を何度も記録しています。 この状況を受け、長野県は長寿の理由を分析したところ、「県民の高い就業意欲や積極的な社会参加」「地域において医療保険活動が活発に行われたこと」「健康ボランティア活動が活発であること」などを挙げています。 確かに長野県は、65歳以上の高齢者の有業率は男性が41.6%で全国1位、女性が21.6%で1位です。このことと長野県民の長寿は関係があると思います。 なぜなら、働くことはフレイル(注)予防にはもってこいだからです。家から出るので足腰が鍛えられて「身体的フレイル」の予防になります。仕事仲間と会話をしたり、何か楽しみを見つけられれば「精神・心理的フレイル」や「社会的フレイル」からも遠ざかることができます。脳も使うので、認知症予防にもなるでしょう。 体がまだ元気ならば、定年を迎えたからといって家の中に引きこもるのはもったいないと思います。たとえアルバイトやパートであっても、外に出て働くほうが、さまざまな面で健康長寿に寄与するといえるでしょう。 もちろん、必ずしも仕事として働く必要はありません。地域のボランティア活動に参加するもよし、趣味のサークルに積極的に参加するもよし。外に出てやりたいことを思う存分やるのが、長寿のヒケツなのです。人生100年時代、60代70代で隠居なんて、早すぎると思いませんか?』、「体がまだ元気ならば、定年を迎えたからといって家の中に引きこもるのはもったいないと思います。たとえアルバイトやパートであっても、外に出て働くほうが、さまざまな面で健康長寿に寄与するといえるでしょう。 もちろん、必ずしも仕事として働く必要はありません。地域のボランティア活動に参加するもよし、趣味のサークルに積極的に参加するもよし。外に出てやりたいことを思う存分やるのが、長寿のヒケツなのです」、なるほど。
(注)フレイル:加齢により心身が老い衰えた状態(健康長寿ネット)
・『「部屋の片付けが億劫」そんなところから老化は進んでいく  部屋の片づけが億劫で、モノがあふれかえっている人はいませんか? 私は何千人ものご高齢の患者さんと接してきましたが、うつ症状があったり、認知機能が低下したりしている人は、部屋の片づけやお化粧といった、それまで当たり前にできていたことができなくなっていく傾向にあります。 老化と一言で言っても、さまざまな側面があります。筋肉や骨が衰えていく「身体的フレイル」に、気力ややる気がなくなっていく「精神・心理的フレイル」、閉じこもりや独居などの「社会的フレイル」など……、複数の要素が絡み合って老化は進行していきます。 部屋の片づけが億劫になるのは、このうち精神・心理的フレイルが進行している状態です。しかし、動かない生活で足腰が弱れば身体的フレイルも、そして部屋の中に引きこもってしまえば社会的フレイルも、同時に進行してしまいかねません』、「老化と一言で言っても、さまざまな側面があります。筋肉や骨が衰えていく「身体的フレイル」に、気力ややる気がなくなっていく「精神・心理的フレイル」、閉じこもりや独居などの「社会的フレイル」など……、複数の要素が絡み合って老化は進行していきます」、その通りだ。
・『不要なものを一気に捨てると気持ちが若返る  高齢者の中には、孤独死する人が年々増えています。ニッセイ基礎研究所の調査によると、65歳以上の孤独死者数は年間2万6000人と推計しています。中にはモノやゴミにあふれた部屋で亡くなっていく人が少なくないそうです。 これまでできていた片づけや掃除が億劫になってきたら、「フレイルの兆候だ」と気づき、健康のための運動というつもりで部屋の掃除を始めましょう。オススメは「不要なモノを一気に捨てる」ことです。部屋がスッキリ片づくと、心までスッキリしてきて、本当に大切なものが見えてきます。 このように、片づけは元気に100歳まで生きることに直結しています。部屋がきれいである限り、長生きできるのだと考えれば、やる気が起きるはずです』、「部屋がスッキリ片づくと、心までスッキリしてきて、本当に大切なものが見えてきます」、なるほど。
・『健康でいるためにきれいな空気を絶えず取り込む  人間が生きていくために、外から取り入れているものは、まず食料と水です。そして、もう1つ忘れてはならないのが「空気」です。体内に入るすべての物質を合わせた総重量の中で、空気が占める割合は8割を超えます。 伊賀瀬道也『100歳まで生きるための習慣100選』(飛鳥新社) つまり、「健康に悪い空気」を吸っていると、健康を害してしまうといえます。代表的な「健康に悪い空気」といえば、大気汚染の原因であるPM2.5や黄砂が思い浮かびます。PM2.5や黄砂の量が多いという報道があったときは外出を控えるか、マスクの着用をして外出をしたほうがいいでしょう。 また、部屋をきれいに保ち、定期的に換気をすることも大切です。特にガスで調理をしている家では、大量の窒素酸化物や硫黄化合物といった有害物質が発生しています。定期的に換気をして、空気の入れ替えをしましょう。 これは、石油ストーブなどの燃焼型の暖房器具も同様です。IH型のコンロや、電気ストーブなどに変更して、ガスを使わない生活をするのもよいでしょう。 部屋はモノを片づけるだけでなく、掃除もきちんと行うのが望ましいです。特に床が汚れていると、部屋の空気まで汚れてしまいます。私たちは床から上昇してくる空気の50%を体内に取り込んでいます。寝た状態だと70%以上です。 部屋の清潔感を保つと同時に、空気清浄機を利用してもいいでしょう。オススメは活性炭やセラミックで化学物質を吸い取るタイプの吸着型です。あるいは、空気清浄機代わりに備長炭を部屋に置くのも効果的です。備長炭は、1カ月程度で洗って乾燥させれば長く使い続けることができます。空気の汚れが気になる方は、ぜひ試してみてください』、「私たちは床から上昇してくる空気の50%を体内に取り込んでいます。寝た状態だと70%以上です。 部屋の清潔感を保つと同時に、空気清浄機を利用してもいいでしょう。オススメは活性炭やセラミックで化学物質を吸い取るタイプの吸着型です。あるいは、空気清浄機代わりに備長炭を部屋に置くのも効果的です」、確かによさそうだ。「備長炭は、1カ月程度で洗って乾燥させれば長く使い続けることができます」、というのは初めて知った。

第三に、1月5日付け東洋経済オンラインが掲載した脳科学者の茂木 健一郎氏による「"昔話ばかりする人"が実は「老けない」という衝撃 「脳トレ」より効果がある「ドーパミン」の作り方」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/642560
・『老けたくない、ずっと健康でいたい――多くの人が「いつまでも若々しくありたい」と望んでいます。老いと深い関係にある、脳。脳科学者の茂木健一郎氏は、「思考力が低下すると言われる70歳を超えても、脳の働きが若いころとあまり変わらない人もいる」といいます。そこで、年齢を重ねても「若い脳」でいるための秘訣を聞きました。 本稿は、茂木氏の著書『脳は若返る』より一部抜粋、編集してお届けします』、「"昔話ばかりする人"」は老化の典型だと馬鹿にしていたが、大間違いだったようだ。
・『若々しい脳の「スーパーエイジャー」になる!  毎朝、顔を洗うたびに、鏡に映った自分の顔を見て、「もうずいぶん歳をとってしまったな……」と、ガッカリしていませんか? 「いつまでも心身ともに健康でありたい」 「元気で若々しい脳を手に入れたい」 これは、多くの人が望むことではないでしょうか。人生100年時代といわれる昨今、日本人の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳(厚生労働省2022年発表)と年々更新しており、今後も私たちの平均寿命は伸び続けるといわれています(※但し、2021年はコロナの影響で短くなっている)。 とはいえ、誰にでも平等に訪れる老い―― 。それは脳も例外ではありません。つい物忘れが多くなり、「もしかして認知症なんじゃないか……」と、不安に感じたことがあるかもしれませんが、年齢を重ねるにつれて認知力が低下していき、思考が遅くなり、忘れっぽくなり、新しいことを学ぶのが苦手になっていくのは普通のことです。 しかし、脳の老化には個人差があり、歳をとっても思考力があまり低下しない人がいるのも事実です。なかには70歳を超えても、脳の働きが若いころとあまり変わらないという人がいることも、最新の脳科学研究ではわかっています。 平均寿命が伸びて長生きするのが当たり前になった現在において、年齢を重ねても若々しい脳を持っている人は、いったいどのような生活を送っているのか。その秘訣を探る研究が世界中でおこなわれています。) 有名な研究をご紹介すると、ハーバード大学関連医療機関のなかでも代表的な存在といわれるマサチューセッツ総合病院の神経科医、ブラッドフォード・ディッカーソンは、「スーパーエイジャー」の研究をおこなっています。 スーパーエイジャーとは、70歳以上のシニアのなかでも、同世代と比較すると圧倒的に高い認知能力を持つ人のことを指します。ときには20代、30代の若者に匹敵する脳の働きを持つともいわれています。 その理由のひとつとして、ディッカーソンは、常に新しいことへチャレンジすることを挙げています。これは脳科学的な視点からも理にかなっており、新しいことへのチャレンジが脳の萎縮を少なくするので、思考力、記憶力、判断力など脳の重要な働きが衰えず、たとえ年齢を重ねてもいつまでも若々しい脳の状態を保つことができるからです』、「新しいことへのチャレンジが脳の萎縮を少なくするので、思考力、記憶力、判断力など脳の重要な働きが衰えず、たとえ年齢を重ねてもいつまでも若々しい脳の状態を保つことができる」、夢のような話だ。
・『「脳トレ」よりも効果がある“秘策”  近年、脳の老化を防ぐべく、「脳トレ」と呼ばれるトレーニングメソッドがシニアの間でブームになっているようですが、残念ながら「脳トレ」は認知症予防という観点からはほとんど意味がないということが、最新の脳科学の研究で明らかになっています。 カナダ・ウェスタン大学の研究チームの最新研究では、脳トレゲームが記憶や言語能力などをどのくらい向上させているかを調査したところ、それらの能力は脳トレゲームをしない人と変わらないことが判明したといいます。 また、クロスワードや数独といったパズルを解いても知力低下は避けられないかもしれないと、イギリス発の最新研究が示唆しています。つまり、与えられた課題のトレーニングにはなっても、脳全体のトレーニングにはまったくなっていないことが確認されたというわけです。たしかに、脳トレが認知症を予防すると証明している研究を私は知りませんので、断言しておきましょう』、「脳トレゲームが記憶や言語能力などをどのくらい向上させているかを調査したところ、それらの能力は脳トレゲームをしない人と変わらないことが判明」、「クロスワードや数独といったパズルを解いても知力低下は避けられないかもしれない」、なるほど。
・『「脳トレをする必要は、まったくありません!」  実際、私の周りにいるスーパーエイジャーといえる元気で活発なシニアの方々を見ていても、脳トレをしている様子はまったくありません。もちろん、脳の専門家である私でさえ、これまでの人生で一度も脳トレをやったことはありません。 では、いったいどうやって若々しい脳を手に入れればいいのか。私の経験上、もっとも効果が高いと感じられるのは、次の3つです。 1. 社会や人とつながる 2. 常にお金の出入りがある 3. ストレスのない生活習慣 どんなに長生きしても、脳の健康を維持できなければ、誰もが例外なく人生の質を保つことはできません。脳が老化し、認知症になってしまえば、せっかく楽しい体験をしても記憶に残りません。それはもったいないことです。 そこで、いつまでも脳を若々しく保つために、この3つのポイントを意識することで、たとえ何歳になっても脳の若さを持続できるのです。) 脳の若さを保つ秘訣はまだまだあります。それは、脳の前頭葉を活性化して「ドーパミン」をたくさん出すことです。ドーパミンとは脳内の神経伝達物質で、うれしいことや楽しいことがあると分泌されることから、「脳内報酬」とも呼ばれ、さらにはやる気や幸福感を高めたり、ポジティブになるなどの効用もあります。 このドーパミン、実は私たちの日常生活のなかで出る機会はたくさんあります。それは、生まれて初めてのことを経験したときや、ドキドキわくわくしたり、感動したりしたとき。つまり、好奇心が刺激されると出ることがわかっています。子どもの脳が元気なのは、こうした好奇心をくすぐられる初めての体験が多く、ドーパミンが出る機会が多いからです。 ところが、大人になるにつれて知識が増え経験値が高くなるぶん、脳がさまざまな物事に動じにくくなってしまうのです。また、新しいことをするときや今までできなかったことができるようになったときにもドーパミンが出ます。これは、先に述べたスーパーエイジャーの研究結果が裏付けていますが、幸いなことに新しいことにチャレンジするのに年齢制限はありません。 私も、52歳のときに初めて東京マラソンに挑戦しましたが、完走できた瞬間というのは間違いなくドーパミンが出ていたはず。脳のたくましさとは、ドーパミンが放出される前にやっていた行動の回路が強化されることにあるのです。人間の脳は、いくつになっても完成形などありません。そして、脳には皆さんが想像する以上の底力があるのです。 何歳になっても、自分にとって新しい経験に興味を持って向き合うことで、脳はいつまでも成長し続けることができるからです』、「子どもの脳が元気なのは、こうした好奇心をくすぐられる初めての体験が多く、ドーパミンが出る機会が多いからです。 ところが、大人になるにつれて知識が増え経験値が高くなるぶん、脳がさまざまな物事に動じにくくなってしまうのです。また、新しいことをするときや今までできなかったことができるようになったときにもドーパミンが出ます」、「何歳になっても、自分にとって新しい経験に興味を持って向き合うことで、脳はいつまでも成長し続けることができる」、なるほど。
・『「昔話」をすると、脳は若返る  一方で、「新しい経験」ではなくても、シニアの方が昔の思い出話をしたり、若いときの話をしたりしているときに、とてもイキイキしているのを見かけます。これは、一般にいわれる「回想法」というもので、回想法とはアメリカの精神科医のロバート・バトラーによって確立された心理療法です。 昔の懐かしい写真や、昔使っていた馴染み深いものなどに触れながら、そのときの経験や思い出を語り合うことで精神的な安定感が得られ、認知機能にもよい影響を与えるとされています。 現在、回想法は認知症の症状に対する、薬を使わない療法として活用されています。自分の過去を話すことで、記憶をより鮮明に思い出すことができるためです。 私たちの記憶というのは、感情と深く結びついています。これを脳科学的にいえば、シニアの皆さんが昔を思い出すことは、脳機能の活性化に有用だということです。 昔の記憶がよみがえるというのは、情動反応の処理と記憶において主要な役割を持つ扁桃体が活性化し、さらには、前頭前野の血流量を増加させ、モチベーションの向上といった効果が期待できるといわれています。前頭前野は脳全体に指示を出し、脳のほかの部分を働かせるといった機能も持っているため、ここを刺激してあげることが脳全体の活性化にもつながります。) また、自分自身について見つめ直す機会ができることで「メタ認知」を立ち上げるという意味でも有効です。ちなみに、メタ認知とは自分自身に対して客観的な視点から観察し、評価する能力のことです。 こうした回想法を用いた脳科学的な観点からおすすめしたいのが、幼少期や若いときにやっていたことをもう一度やってみることです。さらに付け加えると、半永久的に終わりが来ないものがいいでしょう。 「子どものときに昆虫採集をしていた」 「若いころはバンドマンでギターを弾いていた」 もし、それが歳を重ねて離れてしまっていたら、それはもう一度脳の若々しさを取り戻すチャンスだと考えてください!』、「シニアの皆さんが昔を思い出すことは、脳機能の活性化に有用だということです。 昔の記憶がよみがえるというのは、情動反応の処理と記憶において主要な役割を持つ扁桃体が活性化し、さらには、前頭前野の血流量を増加させ、モチベーションの向上といった効果が期待できるといわれています。前頭前野は脳全体に指示を出し、脳のほかの部分を働かせるといった機能も持っているため、ここを刺激してあげることが脳全体の活性化にもつながります。 また、自分自身について見つめ直す機会ができることで「メタ認知」を立ち上げるという意味でも有効です」、「こうした回想法を用いた脳科学的な観点からおすすめしたいのが、幼少期や若いときにやっていたことをもう一度やってみることです」、はじめ年寄りの悪弊と馬鹿にしていたが、そんなに積極的な意味があるとは初めて知った。
・『夢中になった時、脳の老化は食い止まる  では、なぜそうした幼少期や若いときにやっていたことをもう一度やることで若々しい脳を手に入れることができるのか。それは、「三つ子の魂百まで」ではありませんが、幼少期や若いときに好きでやっていたことは、たとえ何歳になっても好きであり、楽しく取り組めることが多いからです。 シニアの皆さんはビートルズの世代だと思いますが、ジョン・レノンはこんな名言を残しました。 「Life is what happens to you when you're making other plans.(人生とは別の計画を立てているのに起こる事柄である)」 これは、人生とは他の計画を練っている間にどんどん過ぎてしまうという意味が込められています。 そこで、「今さら……」「そんなのムリ」などと思わずに、とにかくタイムマシンにでも乗ったつもりでやってみてはいかがでしょうか。シニアになった今だからこそ、より楽しめるということもあるかもしれません。 それに加えてもうひとつ、長生きをしていつまでも脳を若々しく保つために必要なこと。それはずばり、生きるうえでの「意欲」です。 歳を重ねても元気な人生の大先輩に時々お目にかかります。そうした大先輩に共通しているのは、生きるということに関する意欲の強さ、あえていえば「貪欲さ」であるように思うのです。歳を理由にあきらめず、チャレンジしましょう! 歳を理由に遠慮せず、アクティブになりましょう! 自分が本当に夢中になれることを追求し、本気で取り組んでみましょう。皆さんが本気になったとき、脳の老化を食い止め、若々しい脳を手に入れることができているはずです』、「歳を理由に遠慮せず、アクティブになりましょう! 自分が本当に夢中になれることを追求し、本気で取り組んでみましょう。皆さんが本気になったとき、脳の老化を食い止め、若々しい脳を手に入れることができているはずです」、嬉しいはげましだ。 
タグ:「小中高校での詰め込み教育は悪ではなく、むしろ不可欠なものです。この段階で詰め込まなければ、語彙も増えない、計算もできない、世の中のしくみにもまったく無知という状態で成人してしまいます。初等・中等教育において、必要な知識をひたすらインプットするのは、理にかなったことなのです」、「1960年代~80年代初頭までのアメリカやイギリスでは、個性を重んじ、好奇心を伸ばすことを優先した教育が行われていました。しかしその結果、深刻な学力低下が起こり、アメリカもイギリスも方針転換せざるを得なくなりました。 「脳は「前頭葉」から萎縮しはじめる。だから、前頭葉を鍛えることが脳の老化を防ぐことになる」、「日本ではとかく「前例踏襲」が好まれ、日本人は前頭葉を使っていない」、とは耳の痛い忠告だ。 和田秀樹『50歳からの「脳のトリセツ」』 和田 秀樹氏による「老化を防ぐ「前頭葉」日本人がほぼ使えていない訳 未経験のことに挑戦する時に使うのだが…」 東洋経済オンライン (その22)(老化を防ぐ「前頭葉」日本人がほぼ使えていない訳 未経験のことに挑戦する時に使うのだが…、「高齢ドライバーは事故率が高い」というデータはない…抗老化の専門医が「免許返納は早まるな」と説くワケ 外出の機会が極端に減って体力も気力も失われる、"昔話ばかりする人"が実は「老けない」という衝撃 「脳トレ」より効果がある「ドーパミン」の作り方) 高齢化社会 その際に手本にしたのが、日本の詰め込み教育です。1980年代の日本の隆盛の基盤は初等教育にあるとして、教育改革を行ってテコ入れをし、学力を回復させています。つまり英米において、「詰め込み=悪」という考えは時代遅れとなって久しいのです。ついでに言うと、その後、アメリカからは世界的なIT企業が、イギリスでもダイソンのような昔の日本を彷彿させる企業が生まれています」、米英が「手本にしたのが、日本の詰め込み教育です」、初めて知った。 「大学教授陣が、1960~70年代のアメリカに留学していたことが影響しています。 彼らは、教育改革をする「前」のアメリカの教育を理想化し、帰国後、それに倣うことを目指しながら着々と出世しました。そして教授になると「ゆとり教育」の基本方針を答申」、 「いやしくも教育のプロならば、帰国後も勉強を続けて、常に最新の知識を得ておくべきところです。しかし日本の学界には、教授になれば勉強しなくても地位を保てるという、悪しきシステムがあります。この既得権益に、権威を得た教授たちが何十年もしがみつき、決定権を握って離さないのです」、「日本」の学識経験者の不勉強ぶりは酷いようだ。 「日本が前頭葉の機能が低下しやすい社会構造を持っている元凶は、小中高校の詰め込み教育ではなく、大学教育にあります。 日本の大学教育の質の低さは世界ワーストレベルだと私は考えています。大学は本来、それまでインプットした知識を使って、自ら思考を組み立て、アウトプットする力を養う場です。諸外国での大学教育では、そこに力点が置かれます。だから、教授の言うことに逆らって議論できる学生が優秀とされます。 対して、日本のほとんどの大学で行われているのは、教授が教えた通りのことを試験で答えればよいという教育です」、 全面的に同意したい。 PRESIDENT ONLINE 伊賀瀬 道也氏による「「高齢ドライバーは事故率が高い」というデータはない…抗老化の専門医が「免許返納は早まるな」と説くワケ 外出の機会が極端に減って体力も気力も失われる」 伊賀瀬道也『100歳まで生きるための習慣100選』(飛鳥新社) 「運転をやめた人は続けた人より要介護リスクが2倍高くなる」、これは深刻なデメリットだ。「免許返納」は避けるべきというのは、第一の記事の著者の和田秀樹氏も主張している。 「レジェンドドライバー」は例外中の例外とみるべきだ。 「要介護になるリスクが2.09倍」というのはやはり明白なデメリットだ。 「運転ができなくなっても、他の健康習慣は十分に実践可能です。できることをコツコツと、楽しんでやってみてください」、その通りだ。 「体がまだ元気ならば、定年を迎えたからといって家の中に引きこもるのはもったいないと思います。たとえアルバイトやパートであっても、外に出て働くほうが、さまざまな面で健康長寿に寄与するといえるでしょう。 もちろん、必ずしも仕事として働く必要はありません。地域のボランティア活動に参加するもよし、趣味のサークルに積極的に参加するもよし。外に出てやりたいことを思う存分やるのが、長寿のヒケツなのです」、なるほど。 (注)フレイル:加齢により心身が老い衰えた状態(健康長寿ネット) 「老化と一言で言っても、さまざまな側面があります。筋肉や骨が衰えていく「身体的フレイル」に、気力ややる気がなくなっていく「精神・心理的フレイル」、閉じこもりや独居などの「社会的フレイル」など……、複数の要素が絡み合って老化は進行していきます」、その通りだ。 「部屋がスッキリ片づくと、心までスッキリしてきて、本当に大切なものが見えてきます」、なるほど。 「私たちは床から上昇してくる空気の50%を体内に取り込んでいます。寝た状態だと70%以上です。 部屋の清潔感を保つと同時に、空気清浄機を利用してもいいでしょう。オススメは活性炭やセラミックで化学物質を吸い取るタイプの吸着型です。あるいは、空気清浄機代わりに備長炭を部屋に置くのも効果的です」、確かによさそうだ。「備長炭は、1カ月程度で洗って乾燥させれば長く使い続けることができます」、というのは初めて知った。 茂木 健一郎氏による「"昔話ばかりする人"が実は「老けない」という衝撃 「脳トレ」より効果がある「ドーパミン」の作り方」 「"昔話ばかりする人"」は老化の典型だと馬鹿にしていたが、大間違いだったようだ。 「新しいことへのチャレンジが脳の萎縮を少なくするので、思考力、記憶力、判断力など脳の重要な働きが衰えず、たとえ年齢を重ねてもいつまでも若々しい脳の状態を保つことができる」、夢のような話だ。 「脳トレゲームが記憶や言語能力などをどのくらい向上させているかを調査したところ、それらの能力は脳トレゲームをしない人と変わらないことが判明」、「クロスワードや数独といったパズルを解いても知力低下は避けられないかもしれない」、なるほど。 「子どもの脳が元気なのは、こうした好奇心をくすぐられる初めての体験が多く、ドーパミンが出る機会が多いからです。 ところが、大人になるにつれて知識が増え経験値が高くなるぶん、脳がさまざまな物事に動じにくくなってしまうのです。また、新しいことをするときや今までできなかったことができるようになったときにもドーパミンが出ます」、「何歳になっても、自分にとって新しい経験に興味を持って向き合うことで、脳はいつまでも成長し続けることができる」、なるほど。 「シニアの皆さんが昔を思い出すことは、脳機能の活性化に有用だということです。 昔の記憶がよみがえるというのは、情動反応の処理と記憶において主要な役割を持つ扁桃体が活性化し、さらには、前頭前野の血流量を増加させ、モチベーションの向上といった効果が期待できるといわれています。前頭前野は脳全体に指示を出し、脳のほかの部分を働かせるといった機能も持っているため、ここを刺激してあげることが脳全体の活性化にもつながります。 また、自分自身について見つめ直す機会ができることで「メタ認知」を立ち上げるという意味でも有効です」、「こうした回想法を用いた脳科学的な観点からおすすめしたいのが、幼少期や若いときにやっていたことをもう一度やってみることです」、はじめ年寄りの悪弊と馬鹿にしていたが、そんなに積極的な意味があるとは初めて知った。 「歳を理由に遠慮せず、アクティブになりましょう! 自分が本当に夢中になれることを追求し、本気で取り組んでみましょう。皆さんが本気になったとき、脳の老化を食い止め、若々しい脳を手に入れることができているはずです」、嬉しいはげましだ。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

メディア(その35)(新聞・放送の記者は公式発言をフォローする取り組みに消極的だが…CIAの仕事の9割は首脳発言の分析、「貧しいニッポン」報道が 日本の貧困化を加速化させてしまう皮肉なワケ、なぜ被害者たちは「日本記者クラブ」ではなく「外国特派員協会」を選ぶのか…国内マスコミが抱える根本課題 「記者クラブ」に頼る取材は行き詰まっている) [メディア]

メディアについては、昨年10月26日に取上げた。今日は、(その35)(新聞・放送の記者は公式発言をフォローする取り組みに消極的だが…CIAの仕事の9割は首脳発言の分析、「貧しいニッポン」報道が 日本の貧困化を加速化させてしまう皮肉なワケ、なぜ被害者たちは「日本記者クラブ」ではなく「外国特派員協会」を選ぶのか…国内マスコミが抱える根本課題 「記者クラブ」に頼る取材は行き詰まっている)である。

先ずは、昨年11月2日付け日刊ゲンダイが掲載したジャーナリストの立岩陽一郎氏による「新聞・放送の記者は公式発言をフォローする取り組みに消極的だが…CIAの仕事の9割は首脳発言の分析」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/313786
・『10月11日に報じられたCNNのバイデン米大統領の独占インタビュー。「プーチン氏が何を考えているのかはわからないが、彼は(ロシア軍は)ウクライナから撤退できる。そして恐らく彼は権力の座にとどまれる。『ウクライナ侵攻の目的を達した。ロシア軍が撤退する時期だ』と宣言して」と語った。 バイデン氏の発言をフォローしている私には、それは大きな変化と感じられる。これまでのバイデン氏の発言はプーチン氏の失脚を目指していたと考えられるからだ。「Go get him(やっちまえ)」と語った一般教書演説や、「彼はそのポストに残れない」といった発言とは明らかに異なる。プーチン氏の失脚を狙わずに、ウクライナからのロシア軍の撤退を目指す方向に舵を切ったということだろう。ある意味で現実的な選択とも言える。G7のオンライン会議の直後のインタビューだけに、独仏首脳とのやりとりの中でバイデン氏が方向を修正したということだろう。 私は「国際ジャーナリスト」と紹介されることが多い。NHKの社会部で事件記者として過ごした私が、そう紹介されるきっかけはトランプ前米大統領だ。トランプ氏の言動をアメリカでフォローしていた私が最初にテレビへの出演を求められたのはトランプ氏が(北)朝鮮に対して「炎と怒りで対応する」と語った直後だった。(北)朝鮮の「専門家」が「米朝対決」とあおる中で、番組で私は、トランプ氏は金正恩氏に親近感を持っており、米朝会談もあり得ると予想した。まだ米朝会談の噂さえない2017年の8月のことだった。) また、最初の米朝会談を前にトランプ氏が金正恩氏を屈服させると力説する「専門家」を前に、「トランプ氏が朝鮮半島情勢や東アジアの安全保障に関する明確な方針を語った事実はない」と話し、それ故に会談で成果は望めないと指摘した。「専門家」から、「あなたはトランプ大統領を見誤っています」と言われたが、さて、その「専門家」はその言動をどう総括しているのか。しかし、ここでそれを書きたいわけではない。 結果的に私が言った通りになっている状況は、別にヤマをはったわけでも「逆張り」をしたわけでもない。単純に首脳の言動を追って判断しただけのことだ。トランプ氏、バイデン氏の公式な発言は確認することができる。それをフォローし、整理することで、米首脳の考えを一定程度、分析することが可能だ。 実はこれは、アメリカの大学で同僚だった元CIAの情報分析官が語ったことにヒントを得ている。その同僚によると、CIAの仕事の9割は首脳の発言の分析だったという。その発言とは、傍受するなどの非公式なものではなく、誰でも確認できる公式のものだという。 残念ながら、新聞、放送の記者は、公式発言をフォローするという取り組みに消極的だ。誰も知らない極秘情報の入手に努める傾向が強いということもあるが、成果主義で地味で根気のいる作業が敬遠される部分もある。当然、私はこの地味な作業を今後も続けていく』、「米朝会談」が「結果的に私が言った通りになっている状況は、別にヤマをはったわけでも「逆張り」をしたわけでもない。単純に首脳の言動を追って判断しただけのことだ。トランプ氏、バイデン氏の公式な発言は確認することができる。それをフォローし、整理することで、米首脳の考えを一定程度、分析することが可能だ。 実はこれは、アメリカの大学で同僚だった元CIAの情報分析官が語ったことにヒントを得ている。その同僚によると、CIAの仕事の9割は首脳の発言の分析だったという。その発言とは、傍受するなどの非公式なものではなく、誰でも確認できる公式のものだという」、「新聞、放送の記者は、公式発言をフォローするという取り組みに消極的だ。誰も知らない極秘情報の入手に努める傾向が強いということもあるが、成果主義で地味で根気のいる作業が敬遠される部分もある」、残念なことだ。

次に、12月29日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「「貧しいニッポン」報道が、日本の貧困化を加速化させてしまう皮肉なワケ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/315233
・『日本の貧しさを指摘しすぎると貧困化に拍車?  昨年(2021年)の今ごろ、経済ニュースの世界では「安いニッポン」が流行していたが、これからは「貧しいニッポン」の時代がやってきそうだ。 年の瀬に、景気の悪い話をして恐縮だが、日本の貧困化に警鐘を鳴らすようなニュースが、目に見えて増えてきている。筆者が目についただけでも、ざっとこんな感じだ。 ・日本人は外国人客急増の「貧しさ」をわかってない 円安と低成長で経済力低下、安い賃金に甘んじる(東洋経済オンライン12月25日) ・iPhoneが高すぎて買えない日本、30年でなぜこれほど貧しくなったのか? (ニューズウィーク日本版12月10日) ・働いても働いても貧乏から抜け出せない…経済大国ニッポンが「一億総貧国」に転落した根本原因(プレジデントオンライン 12月8日) また、このダイヤモンド・オンラインでも現在、『貧国ニッポン 「弱い円」の呪縛』という特集をやっている。多くのメディアや専門家の間で、「貧しいニッポン」という問題がのっぴきならない状況だというのが、いよいよ共通認識になってきたということなのだろう。 筆者もこの連載内で、18年ごろから日本の低賃金と貧困化について、度々指摘させていただいてきた。そういう意味では、このテーマが多くのメディアで取り上げられるようになって、議論が活発になってきていることは、素直にうれしい。 しかし、その反面で一抹の不安がある。「貧しいニッポン」報道が注目されることはいいのだが、そのことで逆に日本の貧困化に拍車がかかってしまう恐れもあるからだ』、「多くのメディアで取り上げられるようになって、議論が活発になってきている」のが、「日本の貧困化に拍車がかかってしまう恐れもある」、とはどういうことだろう。
・『大手マスコミを信じ込みやすい日本人がパニック  実は日本では、この手の「不安」を刺激されるような報道に過剰に反応をした人が、恐怖で冷静な判断ができずパニックになって、事態を悪化させてしまうケースが多い。わかりやすいのは、「トイレットペーパーデマ」だ。 忘れてしまった人も多いだろうが、新型コロナウィルスの感染拡大当初、SNSで「トイレットペーパーが品切れになる」という情報が拡散されたことがある。ほどなくデマだとわかって、拡散した人物が所属していた団体も謝罪し、一件落着となった。 しかし、ここで思わぬ事態が起きる。ワイドショーなど大手マスコミが「SNSでトイレットペーパーが品切れになるというデマが流されました」と大騒ぎをしたことを受けて、トイレットペーパーの買い占め騒動が起きたのだ。番組を見た視聴者は頭では「デマ」だと理解しているが、「もしかしたら本当に品切れするかも」と不安になって、ドラッグストアに押し寄せたのである。 そして、それをまたワイドショーが中継をして、「ご覧ください!あんな行列ができています!」と大ハシャギで報じて、それを観た視聴者が「乗り遅れてなるものか」とさらにドラックストアへ殺到…という悪循環となったのである。 なぜこんな不可解な現象が起きたのかというと、「報道」が群集心理をあおったからだと言われている。 実は、著名人や人気芸能人の自殺報道を朝から晩まで流すと、熱心なファンではない人まで後追い自殺をするという現象が世界中で確認されている。これは「アナウンス効果」と呼ばれるもので、WHO(世界保健機構)が報道機関に自制を求めているほど「効果」がある。 もうお分かりだろう。この「アナウンス効果」と同じことが、「トイレットペーパー・パニック」で起きたのである。 「マスゴミ」などと批判されることも多いが、実はマスメディアというのは、それくらい人々の行動にダイレクトに影響を及ぼす力を持っている。 特に日本人は先進国の中でも、異常なほどテレビや新聞を信用しているという国際比較調査もある。ほとんどの国では、マスコミというのは「偏向」して当たり前なので、受け取り手側が情報の真贋を見極めなければいけないと考えている人が多いが、日本人はなんやかんや文句を言いながら、「テレビや新聞は嘘をつかない」と頑なに信じているのだ』、「日本人は先進国の中でも、異常なほどテレビや新聞を信用しているという国際比較調査もある」、なるほど。
・『「貧しいから国が養え」という民意が強まるとどうなるか  さて、このように異常なまでにマスコミを過度に信じる国民のもとに、「貧しいニッポン」という報道が朝から晩まで大量におこなわれたらどんなことになるだろうか。 「そっか、日本は貧しいのか」と納得をするまではいいとして、問題はその次の行動だ。 海外であれば、政権に不満をぶつけ、クーデターや暴動が起こる。しかし、日本人は国民性からしても、「自民党政権をぶっつぶせ!」なんてクーデターにはまずならない。岸田首相をボロカスに叩いても、なんやかんや次の選挙でも、多くの人は自民党に投票をするだろう。これまでもそうだった。 となると、日本人に残された道は、「国が面倒を見ろ」と喉をからして叫ぶしかない。 要するに、減税、補助金、バラマキなど、とにかく政府が金を国民に配って、貧しくならないように保護をしろという「民意」が強くなっていくのだ。 政治家のビジネスモデルは基本的に、そのような「民意」をくみ取ったスローガンを掲げて、選挙に受かって高収入を得るというものなので、おのずと「消費税をゼロに」「積極財政」を掲げる人がポコポコと当選していく。 ただ、社会保障が破綻している今の日本の財政的に減税は難しい。ということで、選挙に通った政治家ができることは、「増税しながら金をバラまく」という不毛な政策しかない。この「3歩進んで2歩下がる」的な政治スタイルが、日本をここまで停滞させた諸悪の根源だ。 つまり、「貧しいニッポン」報道は、「バラまき政治」を加速させて、日本をさらに貧しくしていくことにしかならないのだ。 「バラまきの何が悪い!今の日本に必要なのは増税ではなく積極的な財政出動だろ」と主張する人もいらっしゃるだろうが、実は日本ではこの30年間、1000兆円以上の政府の負債を増やしてきたが、「失われた30年」から脱することができなかったのだ。 つまり、日本経済の「病巣」はそこではないのだ』、「日本人に残された道は、「国が面倒を見ろ」と喉をからして叫ぶしかない。 要するに、減税、補助金、バラマキなど、とにかく政府が金を国民に配って、貧しくならないように保護をしろという「民意」が強くなっていくのだ」、「「貧しいニッポン」報道は、「バラまき政治」を加速させて、日本をさらに貧しくしていくことにしかならないのだ」、「実は日本ではこの30年間、1000兆円以上の政府の負債を増やしてきたが、「失われた30年」から脱することができなかったのだ」、その通りだ。
・『政府が「甘やかし保護してきた中小企業」に見る問題  日本経済が成長できなかったのはこの30年間、日本人の賃金がまったく上がらなかったからだ。そして、この問題は、大企業の春闘やベアがどうしたとかいう話はほとんど関係がない。 日本人労働者の7割が働いて、全企業の99.7%を占める中小企業の賃金がこの30年間ほとんど上がっていないからだ。では、なぜ上がらないのかというと、日本政府が中小企業を「保護すべき弱者」として過剰に甘やかしてきたからだ。 厳しい言い方だが、各種優遇策や補助金やらで手厚く保護されてきたことで、まるで生活保護を受けている経済的困窮者のようになり、成長・拡大をするように追い込まれなくなってしまったのである。もちろん、中には競争力があって成長をしていく中小企業もあるが、それはほんの一部で、大多数の中小企業は「現状維持型」なので従業員の賃上げができない。 なぜこうなるかというと、株主など外部の厳しい目にさらされることがないので、オーナー社長が好き勝手に経営ができてしまうからだ。自分が乗る高級車を社用車扱いにしたり、働いていない妻や子どもに役員報酬を払ったり、やりたい放題ができてしまう。 そんな「現状維持型の低賃金企業」があふれる日本の中小企業に、大量の補助金がバラ撒かれたところで、経済が成長するわけがない。コロナ禍で飲食店にバラまかれた協力金が、経営者の懐に入って、店で働くパートやアルバイトにほとんど還元されなかった構図と同じだ。 日本ではこのような「負のスパイラル」が30年間延々と繰り返されてきた。労働者の賃金よりも経営者の身分保障を優先してきた結果、格差が広がって消費が冷え込み、それを受けて企業は賃金を低く抑える…という悪循環が続いてきた。 本来はこれを断ち切らないといけない。しかし、「貧しいニッポン」報道があふれかえるとそれも不可能になる。 「貧しい」と言われてパニックになった群衆は、「貧しくならないようにもっと金をよこせ」と減税やバラマキを掲げる政治リーダーを求めていく。金をバラまいて経済が強くなった国など世界のどこにも存在しないが、貧しくなるという恐怖に支配されて、冷静な判断ができなくなってしまうのだ。 なんてことを心配したところで、おそらくこの流れは食い止められない。 80年前、当時の軍部のエリートや、政府の人間が「アメリカと戦争をしたら100%負ける」という分析をしていたにもかかわらず、日本は無謀な戦争に突入した。 この件に関して、後世の日本人は「軍部が暴走した」「政治が悪い」の一言で片付けるが、実はそれは歴史の捏造だ。誰よりも戦争を望んでいたのは、実は「国民」である。当時、「アメリカを叩きつぶせ」と大衆は熱狂していて、政治家や軍部が「日米開戦を避けよう」なんて言えば、「腰抜けが!」と怒った。熱狂で冷静な判断ができなくなっていたのだ。実際、真珠湾攻撃をした時、日本はサッカーワールドカップでスペインを撃破した時以上のお祭り騒ぎだった。 こういう歴史の教訓に学べば「貧しいニッポン」は避けられないだろう。いよいよ来年は、我々も貧しい国なりの生き方を、模索していかなければいけないかもしれない』、「「貧しい」と言われてパニックになった群衆は、「貧しくならないようにもっと金をよこせ」と減税やバラマキを掲げる政治リーダーを求めていく。金をバラまいて経済が強くなった国など世界のどこにも存在しないが、貧しくなるという恐怖に支配されて、冷静な判断ができなくなってしまうのだ。 なんてことを心配したところで、おそらくこの流れは食い止められない」、同感である。

第三に、1月2日付けPRESIDENT Onlineが掲載した上智大学文学部新聞学科教授の水島 宏明氏による「なぜ被害者たちは「日本記者クラブ」ではなく「外国特派員協会」を選ぶのか…国内マスコミが抱える根本課題 「記者クラブ」に頼る取材は行き詰まっている」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/64957
・『2022年12月、陸上自衛隊での性暴力を告発した五ノ井里奈さんの記者会見が外国特派員協会(FCCJ)で開かれた。上智大学の水島宏明教授は「旧統一教会元2世信者や、TBS元記者から性被害を受けた女性が会見を開いたのも同じ場所だ。背景には、記者クラブ体制の機能不全がある」という――』、「記者クラブ体制の機能不全」とはどういうことだろう。
・『記者会見は各社が全国放送で報じた  12月19日(月)、テレビ各社が元陸上自衛官で所属部隊での“性暴力”“性被害”を顔出し実名で訴えている五ノ井里奈さんの記者会見の様子を報道した。 NHKとフジテレビ、テレビ東京は全国放送で報道しなかった。一方、日本テレビ、テレビ朝日、TBSは、夕方や夜の主要ニュース番組で、五ノ井さんが会見で語った「(男性隊員たちが)私に覆いかぶさり、腰を振る動作を繰り返していた」などの赤裸々な言葉を全国放送で報道した。この夜、こうした詳細を初めて報じた局もあった。テレビだけでなく、新聞各社もこの会見での五ノ井さんの言葉を翌朝の新聞に掲載した。 この記者会見が行われた場所は「外国特派員協会」(FCCJ)である。午後2時すぎに東京・丸の内のビルの一角で記者会見が行われた。 この外国特派員協会、実は、日本の主要メディア各社が運営する記者クラブではない。主体になっているのは欧米を中心にした世界の新聞・テレビなどの特派員たちで、いわば外国メディアのための記者クラブである』、「この記者会見が行われた場所は「外国特派員協会」」、どういうことなのだろう。
・『なぜ外国報道機関向けの記者クラブだったのか  五ノ井さんのケースは、日本での出来事なのになぜ日本のメディアが中心になっている国内報道機関が運営する記者クラブではなく、外国特派員協会という外国メディア向けの記者クラブで会見が行われたのだろうか。しかも、なぜ、それが国内の報道機関でのニュースになるのだろうか。 実は同じことが「宗教2世」の問題を告発している小川さゆりさん(仮名)の記者会見でも起きている。小川さんが外国特派員協会で記者会見したことで親が宗教団体に対して多額の寄付をするために生活がままならず極貧状態にあったり、子どもたちが宗教団体の決めた「養子縁組」で幼少期から家族がバラバラになったりする実態が大きく報道されることになった。 出入国在留管理庁の出先での人権侵害について会見が行われるのも多くが外国特派員協会だ。 なぜ、日本の記者クラブではなく、外国特派員協会なのか。その記者会見がなぜ日本のニュースに貢献しているのか。この問題を考えると、実はそこには日本の記者クラブが抱える問題が見え隠れしている』、「「宗教2世」の問題を告発している小川さゆりさん(仮名)の記者会見」、「出入国在留管理庁の出先での人権侵害について会見」も「外国特派員協会」で行われた。
・『報道機関の自律は記者クラブの基本だが…  外国特派員協会は、正式名称を「日本外国特派員協会」という。英語名The Foreign Correspondents' Club of Japanで略称はFCCJ。ホームページでは「世界で最も古く、最も権威のある記者クラブのひとつ」と自己紹介している。会員の資格として「日本を拠点とし、その記事の大部分が海外へ報道される記者」を対象にする組織だ。 米国のニューヨーク・タイムズ、CNN、英国のBBCなどの欧米の主要メディアの記者たちが所属している。記者クラブの自律的な判断でゲストを呼んで記者会見や講演会などを開いている。メンバーはそれぞれの会に自由に参加することができる。 日本のメディアの記者たちが所属する記者クラブも同じように「自律的な判断」に委ねられているはずだが、なぜ既存の日本のメディアの記者たちが所属する記者クラブでは、自衛隊内の性暴力問題や宗教2世の問題、それに入管での人権侵害の会見などが満足に行われないのだろうか』、「日本のメディアの記者たちが所属する記者クラブ」にはどういう問題があるのだろうか。
・『「縦割り」が障壁になっている  日本の個別の記者クラブは、それぞれ中央省庁や政党、大企業ごとに「縦割り」になっていることが大きな障壁になっている。官庁などと同じように「縦割り」のため、防衛省の記者クラブ、文部科学省の記者クラブ、東京の裁判所や検察庁、弁護士会などを担当する司法クラブなど細かく分別されていて、所属する記者たちはそれぞれ担当する組織の官僚らと同じような問題意識になりがちだ。 記者たちは記者室など官公庁などの建物を「間借り」している状態で、記者会見の場に当該組織の広報担当者なども聞きに来ることができるため、記者会見で話をする当人にとっては無言の圧力を受けやすい。記者の側も日頃情報提供を受けている組織に対する遠慮や忖度そんたくなどが働きやすい。 そういう意味では、役所等の中にある記者クラブが完全に「自律的に運営」されているのかどうかはかなり疑問だ。 さらに、「縦割り」の担当であるがゆえに、記者たちの視野が極端に狭くなりがちである。防衛省の記者クラブにいる記者たちは最新兵器や防衛システム、「敵基地攻撃能力」などの法概念については防衛省の幹部や自衛隊幹部と同じくらいの専門的な知識を求められるため、そうした問題に対しては関心が人一倍強い。その一方で、「女性隊員への性暴力」のような問題については門外漢で、どれほどの重要性があるニュースなのか、記者自身が判断できない場合が少なくない』、「日本の個別の記者クラブは、それぞれ中央省庁や政党、大企業ごとに「縦割り」になっていることが大きな障壁になっている」、「記者たちは記者室など官公庁などの建物を「間借り」している状態で、記者会見の場に当該組織の広報担当者なども聞きに来ることができるため、記者会見で話をする当人にとっては無言の圧力を受けやすい。記者の側も日頃情報提供を受けている組織に対する遠慮や忖度そんたくなどが働きやすい。 そういう意味では、役所等の中にある記者クラブが完全に「自律的に運営」されているのかどうかはかなり疑問だ」、かなり深刻な問題だ。
・『横断的なテーマに対応できない  五ノ井さんが受けた「性被害」「性暴力」の問題は当該官庁だけでなく、社会全体にかかわるジェンダー問題でもある。 2017年に米国ハリウッドの映画界で内部告発が相次いだ「#MeToo運動」以降も、解決すべき問題が様々な分野で根強く残っている。 メディア業界自体も強固な「男性優位」が続く社会だ。そこで働く記者たちも日頃からこうした問題について敏感とはいえない。ジェンダーがからむ「被害」については、今なお、当事者同士の問題だと考えがちで、「組織の問題」としては捉えない傾向も根強い。 五ノ井さんが性暴力被害への公正な調査を求めて、野党の議員らと防衛省で申し入れを行ったのは、8月31日(水)だった。そのときは防衛省の記者クラブが通常会見を開く記者会見室ではなく、建物の玄関先で、立ったままの「ぶらさがり」という形式で記者たちの質問に答えている。 10月17日(月)、五ノ井さんは自分に“性暴力”を行った加害者側の男性隊員4人から謝罪を受けたとして、記者会見を行って加害者側の手紙を読み上げた。このときの会見場所も、防衛省記者クラブでも官邸記者クラブでもなく、参議院または衆議院の院内会議室と思われる部屋で会見には野党の国会議員たち数人が同席していた。』、「ジェンダーがからむ「被害」については、今なお、当事者同士の問題だと考えがちで、「組織の問題」としては捉えない傾向も根強い」、「8月31日(水)だった。そのときは防衛省の記者クラブが通常会見を開く記者会見室ではなく、建物の玄関先で、立ったままの「ぶらさがり」という形式で記者たちの質問に答えている」、本来は「防衛省の記者クラブ」が場所を提供すべきだ。
・『各社の熱の入り具合が一変した  この会見については五ノ井さんを熱心に取材しているAERA dot.やTBSテレビは「覆いかぶさって腰を使った」などの「性被害」の詳細を報道した。しかし他の多くのメディアは「性被害」などと抽象的に短く表現しただけで詳細を伝えなかった。 12月15日(木)に性暴力の加害者側の自衛官5人が懲戒免職になったときも「性被害」でと各社が伝え、TBSテレビの「news23」だけが「キスを強要された」「胸を触られた」などの詳細を報じた。 ところが12月19日(月)に五ノ井さんが外国特派員協会で会見したときには状況が一変する。それまであまり詳しく報じていなかった日本テレビ「news zero」が「示談交渉で“呆れた言葉”」と見出しを打ち、(1人あたり30万円の示談を申し出た隊員側が)「個人責任を問われるか疑問だが」と発言して五ノ井さんが呆れ驚いたと伝えた。 さらに「性被害」の中身も「私に覆い被さり、腰を振る動作を繰り返していた」とそれまで以上に具体的に伝えた。テレビ朝日の「報道ステーション」も隊員側からの示談申し出の際の発言に五ノ井さんが呆れたことに付け加え、「セクハラ行為がまるでコミュニケーションの一部であるかのように感覚がまひしていた」と本人の言葉を伝えていた』、「五ノ井さんが外国特派員協会で会見したときには状況が一変する。それまであまり詳しく報じていなかった日本テレビ「news zero」が「示談交渉で“呆れた言葉”」と見出しを打ち、(1人あたり30万円の示談を申し出た隊員側が)「個人責任を問われるか疑問だが」と発言して五ノ井さんが呆れ驚いたと伝えた。 さらに「性被害」の中身も「私に覆い被さり、腰を振る動作を繰り返していた」とそれまで以上に具体的に伝えた
」、具体的に報道されると現実感が増す。
・『「日本記者クラブ」は会社ありき  外国特派員協会に匹敵するような組織が国内にないわけではない。 「日本記者クラブ」は国内メディアの記者向けに国内の報道機関が運営する組織だ。国政選挙の公示直前の党首討論や国際政治や軍事情勢、経済動向など大所高所からの大きなテーマについて専門家による情勢分析を中心にゲストを招いて話を聞くことが多い。 役所の縦割り主義に応じて縦割りの記者同士の担務になっている日本の記者クラブ制度は、守備範囲を決めにくい自衛官の性暴力などのテーマはどっちつかずになって手つかずになりがちな要因になっている。 こうした、いわゆる「記者クラブ」とは異なり、「日本記者クラブ」は横断的なテーマに対応している。 ところが、ここでも問題がある。ここに所属しているのは、基本的に各新聞社やテレビ局など大手メディアの論説委員や解説委員など一定の役職以上の人間だ。つまり、貴社各々が所属している報道機関に紐付いているような形態になっているのだ。 「会社」が何かと前面に出てくる日本のメディアが加盟する日本の記者クラブと比べると、それぞれのジャーナリストである「個人」が加盟するという個人主義の意識が強いのが外国特派員協会だ。その違いは対照的だ』、「「会社」が何かと前面に出てくる日本のメディアが加盟する日本の記者クラブと比べると、それぞれのジャーナリストである「個人」が加盟するという個人主義の意識が強いのが外国特派員協会だ。その違いは対照的だ」、「日本の記者クラブ」は余りに閉鎖的だ。
・『伊藤詩織さん事件でもそうだった  今回の五ノ井里奈さんのように性暴力の問題で日本の既存メディアの記者クラブが十分に対応できなかった前例はこれまでもある。ジャーナリストの伊藤詩織さんのケースだ。 伊藤さんは2015年、当時TBSのワシントン支局長だった山口敬之氏との食事中に昏睡こんすいさせられた末に「合意ないままに性行為を強要された」として、被害の実態と警察の捜査徹底を訴える記者会見を2017年5月29日に司法記者クラブで行った。当時は名字を伏せたが、下の名前と顔を出すかたちで会見した。 ところがこの会見が新聞やテレビなど主要な既存メディアで大きく報道されることはなかった。警察の幹部による、異例ともいえる逮捕の中止命令など、安倍政権中枢に近い「政治の力」が疑われるケースだったにもかかわらずだ。本人が顔を出して訴えたにせよ、片一方の当事者がこう言っているというだけにすぎないために記事にはできないと判断した社が多かったという事情もあったかもしれない。しかし、問題を深掘りしようとする記者がいなかったことは日本のメディアが抱える課題の深刻さを映し出しているように思う。 伊藤さんはその後、自分に起きた出来事をノンフィクション『Black Box』(文藝春秋)として上梓した。同時に2017年10月24日に外国特派員協会で記者会見を開き、以降、自分の性被害やSNSでのバッシング等に関する会見は主に外国特派員協会で行っている』、「警察の幹部による、異例ともいえる逮捕の中止命令など、安倍政権中枢に近い「政治の力」が疑われるケースだったにもかかわらずだ。本人が顔を出して訴えたにせよ、片一方の当事者がこう言っているというだけにすぎないために記事にはできないと判断した社が多かったという事情もあったかもしれない」、むしろ「加害者」のTBS幹部を庇う面もあった可能性がある。
・『国内ニュースに還流される構図がある  記者クラブはメディア側の「自律」が大切だが、実際には言葉が形骸化しているケースは少なくない。 官邸クラブでの会見を見ると、官僚が記者会見を進行していて、首相や官房長官が発表したいことを一方的に話すばかりで質問時間や回数も制限している。記者側の質問もまるで事前に用意した答弁を読み上げるだけの国会答弁のようで、政権への忖度やおもねりが見てとれる。形式上は記者会見となっているものの、その様子は台本のある儀式のようだ。 外国特派員協会では、そもそも忖度する先が存在しない。毎回、記者たちがその場で考えた質問をぶつけている。そんな真剣勝負の記者会見のやりとりはYouTubeでも公開されている。 それまで同じ問題で何度か会見を開いている人物でも、外国特派員協会では質問を受けてより深みがある言葉を引き出されていることも少なくない。 五ノ井里奈さんのケースを見ても、12月19日の日本テレビやテレビ朝日の報道のように、外国特派員協会での「自分に覆いかぶさって腰をふった」というような音声を使うことで、それまで実態が見えにくくなっていた問題を伝えることができていた。日本国内のニュースなのにそれが外国特派員協会という記者クラブでの記者会見を経由して、新たな付加価値が日本のメディアに「還流」していく構図があった』、忖度なしの「会見」により、「新たな付加価値が日本のメディアに「還流」していく構図があった」、なるほど。
・『レバノン逃亡後のカルロス・ゴーン氏も…  テレビも新聞も「マスゴミ」などと若者たちに批判されることがもう珍しくもない時代になった。 これほど外国特派員協会での会見ばかりがニュースで使われるようでは、日本の従来の記者クラブ体制がもはや機能不全に陥っているのではないかと疑わざるを得ない。 日本の記者クラブがやらなかった人物を外国特派員協会が会見をセットした例として、日産自動車の元会長カルロス・ゴーンのケースがある。 2018年に特別背任罪などの容疑でたびたび逮捕され、2019年に保釈中にプライベートジェットで国外逃亡した。外国特派員協会は逃亡先のレバノンとオンラインで結んでゴーンの会見を実現させたのである。日本の刑事当局からみれば「容疑者」であり、「逃亡犯」であっても、なぜ日本から逃げたのか。彼の言い分は何なのか。それを聞いてみないことにはわからない。 内戦下のシリアで武装集団に拘束され、3年ぶりに解放されたものの「自己責任」だと非難にさらされたジャーナストの安田純平氏の会見もここで行われた。 同調圧力が強く、忖度し合う日本の記者クラブでは避けてしまいがちなゲストを選んでいる』、「日本の記者クラブ」は自ら墓穴を掘っているようだ。
・『ジャーナリズムの基本精神に立ち返るべき  象徴的だったのは2019年12月19日の記者会見のゲストの選定だ。この前日、伊藤詩織さんが元TBSの山口敬之氏を相手取って損害賠償を求めた民事訴訟で、東京地裁が伊藤さんの主張を認める判決を出している。この日、外国特派員協会は“被害者”として勝訴した伊藤詩織さんだけでなく、“加害者”として敗訴した山口氏もゲストとして会見させている。 できる限り、その出来事の当事者に話を聞いて真実に接近しようとする営みがジャーナリストの活動であるのなら、外国特派員協会はその精神に忠実だといえる。 比べると、日本の記者クラブは、取材先組織ごとの縦割り体制やメディア同士の常識に縛られて、視野が狭くなってはいないか。「会社」中心の発想で深掘りする刃が鈍っていないか。「個人」として実直な疑問をぶつけるものになっているのだろうか。改めて自己点検が必要だ』、「外国特派員協会は“被害者”として勝訴した伊藤詩織さんだけでなく、“加害者”として敗訴した山口氏もゲストとして会見させている。 できる限り、その出来事の当事者に話を聞いて真実に接近しようとする営みがジャーナリストの活動であるのなら、外国特派員協会はその精神に忠実だといえる」、立派な姿勢だ。日本の記者クラブも爪の垢でも煎じて飲むべきだ。
タグ:(その35)(新聞・放送の記者は公式発言をフォローする取り組みに消極的だが…CIAの仕事の9割は首脳発言の分析、「貧しいニッポン」報道が 日本の貧困化を加速化させてしまう皮肉なワケ、なぜ被害者たちは「日本記者クラブ」ではなく「外国特派員協会」を選ぶのか…国内マスコミが抱える根本課題 「記者クラブ」に頼る取材は行き詰まっている) メディア 日刊ゲンダイ 立岩陽一郎氏による「新聞・放送の記者は公式発言をフォローする取り組みに消極的だが…CIAの仕事の9割は首脳発言の分析」 「米朝会談」が「結果的に私が言った通りになっている状況は、別にヤマをはったわけでも「逆張り」をしたわけでもない。単純に首脳の言動を追って判断しただけのことだ。トランプ氏、バイデン氏の公式な発言は確認することができる。それをフォローし、整理することで、米首脳の考えを一定程度、分析することが可能だ。 実はこれは、アメリカの大学で同僚だった元CIAの情報分析官が語ったことにヒントを得ている。その同僚によると、CIAの仕事の9割は首脳の発言の分析だったという。その発言とは、傍受するなどの非公式なものではなく、誰でも確認できる公式のものだという」、「新聞、放送の記者は、公式発言をフォローするという取り組みに消極的だ。誰も知らない極秘情報の入手に努める傾向が強いということもあるが、成果主義で地味で根気のいる作業が敬遠される部分もある」、残念なことだ。 ダイヤモンド・オンライン 窪田順生氏による「「貧しいニッポン」報道が、日本の貧困化を加速化させてしまう皮肉なワケ」 「多くのメディアで取り上げられるようになって、議論が活発になってきている」のが、「日本の貧困化に拍車がかかってしまう恐れもある」、とはどういうことだろう。 「日本人は先進国の中でも、異常なほどテレビや新聞を信用しているという国際比較調査もある」、なるほど。 「日本人に残された道は、「国が面倒を見ろ」と喉をからして叫ぶしかない。 要するに、減税、補助金、バラマキなど、とにかく政府が金を国民に配って、貧しくならないように保護をしろという「民意」が強くなっていくのだ」、「「貧しいニッポン」報道は、「バラまき政治」を加速させて、日本をさらに貧しくしていくことにしかならないのだ」、「実は日本ではこの30年間、1000兆円以上の政府の負債を増やしてきたが、「失われた30年」から脱することができなかったのだ」、その通りだ。 「「貧しい」と言われてパニックになった群衆は、「貧しくならないようにもっと金をよこせ」と減税やバラマキを掲げる政治リーダーを求めていく。金をバラまいて経済が強くなった国など世界のどこにも存在しないが、貧しくなるという恐怖に支配されて、冷静な判断ができなくなってしまうのだ。 なんてことを心配したところで、おそらくこの流れは食い止められない」、同感である。 PRESIDENT ONLINE 水島 宏明氏による「なぜ被害者たちは「日本記者クラブ」ではなく「外国特派員協会」を選ぶのか…国内マスコミが抱える根本課題 「記者クラブ」に頼る取材は行き詰まっている」 「記者クラブ体制の機能不全」とはどういうことだろう。 「この記者会見が行われた場所は「外国特派員協会」」、どういうことなのだろう。 「「宗教2世」の問題を告発している小川さゆりさん(仮名)の記者会見」、「出入国在留管理庁の出先での人権侵害について会見」も「外国特派員協会」で行われた。 「日本のメディアの記者たちが所属する記者クラブ」にはどういう問題があるのだろうか。 「日本の個別の記者クラブは、それぞれ中央省庁や政党、大企業ごとに「縦割り」になっていることが大きな障壁になっている」、「記者たちは記者室など官公庁などの建物を「間借り」している状態で、記者会見の場に当該組織の広報担当者なども聞きに来ることができるため、記者会見で話をする当人にとっては無言の圧力を受けやすい。記者の側も日頃情報提供を受けている組織に対する遠慮や忖度そんたくなどが働きやすい。 そういう意味では、役所等の中にある記者クラブが完全に「自律的に運営」されているのかどうかはかなり疑問だ」、かなり深刻な問題だ。 「ジェンダーがからむ「被害」については、今なお、当事者同士の問題だと考えがちで、「組織の問題」としては捉えない傾向も根強い」、「8月31日(水)だった。そのときは防衛省の記者クラブが通常会見を開く記者会見室ではなく、建物の玄関先で、立ったままの「ぶらさがり」という形式で記者たちの質問に答えている」、本来は「防衛省の記者クラブ」が場所を提供すべきだ。 「五ノ井さんが外国特派員協会で会見したときには状況が一変する。それまであまり詳しく報じていなかった日本テレビ「news zero」が「示談交渉で“呆れた言葉”」と見出しを打ち、(1人あたり30万円の示談を申し出た隊員側が)「個人責任を問われるか疑問だが」と発言して五ノ井さんが呆れ驚いたと伝えた。 さらに「性被害」の中身も「私に覆い被さり、腰を振る動作を繰り返していた」とそれまで以上に具体的に伝えた 」、具体的に報道されると現実感が増す。 「「会社」が何かと前面に出てくる日本のメディアが加盟する日本の記者クラブと比べると、それぞれのジャーナリストである「個人」が加盟するという個人主義の意識が強いのが外国特派員協会だ。その違いは対照的だ」、「日本の記者クラブ」は余りに閉鎖的だ。 「警察の幹部による、異例ともいえる逮捕の中止命令など、安倍政権中枢に近い「政治の力」が疑われるケースだったにもかかわらずだ。本人が顔を出して訴えたにせよ、片一方の当事者がこう言っているというだけにすぎないために記事にはできないと判断した社が多かったという事情もあったかもしれない」、むしろ「加害者」のTBS幹部を庇う面もあった可能性がある。 忖度なしの「会見」により、「新たな付加価値が日本のメディアに「還流」していく構図があった」、なるほど。 「日本の記者クラブ」は自ら墓穴を掘っているようだ。 「外国特派員協会は“被害者”として勝訴した伊藤詩織さんだけでなく、“加害者”として敗訴した山口氏もゲストとして会見させている。 できる限り、その出来事の当事者に話を聞いて真実に接近しようとする営みがジャーナリストの活動であるのなら、外国特派員協会はその精神に忠実だといえる」、立派な姿勢だ。日本の記者クラブも爪の垢でも煎じて飲むべきだ。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

健康(その26)(「夜間頻尿は年のせい」とあきらめる前に知っておきたい3大原因 悩ましい「夜中のトイレ」 原因を徹底解説!、尿漏れ 頻尿 男のチョイ漏れ… 誰もが悩む尿トラブル 単なる老化現象ではない! 人には言いづらい尿の悩み、「断食」がなぜビジネスパーソンに人気?痩せるだけではない驚きの効果) [生活]

昨日に続いて、今日は、健康(その26)(「夜間頻尿は年のせい」とあきらめる前に知っておきたい3大原因 悩ましい「夜中のトイレ」 原因を徹底解説!、尿漏れ 頻尿 男のチョイ漏れ… 誰もが悩む尿トラブル 単なる老化現象ではない! 人には言いづらい尿の悩み、「断食」がなぜビジネスパーソンに人気?痩せるだけではない驚きの効果)を取上げよう。

先ずは、12月30日付け日経ビジネスオンラインが掲載したライターの田村知子氏による「「夜間頻尿は年のせい」とあきらめる前に知っておきたい3大原因 悩ましい「夜中のトイレ」 原因を徹底解説!」を取上げよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00283/091500149/
・『加齢とともにトイレが近くなってきた――そう実感している人は多いだろう。日本泌尿器科学会によると、夜間に1回以上トイレに起きる「夜間頻尿」の人は、40代以上で約4500万人。実は、国民病とされる高血圧患者よりも多いのだ。トイレのために睡眠が妨げられることで、日中の体調不良に悩む人も多い。そこで新刊書籍『尿もれ、頻尿、前立腺の本』(日経BP)の内容を基に、夜間頻尿の解決策を探っていこう』、私の「夜間頻尿」は、4~5回と酷い状態が数年続いている。ただ、トイレに行ったらすぐ寝つけるのが救いだ。
・50歳を過ぎると約6割の人が「夜中に1回以上」トイレに起きている  「夜、寝ているときにトイレに行きたくなって目覚めてしまう」「1度トイレに起きると、その後なかなか寝つけない」「就寝中に何度もトイレに起きてしまうので、熟睡できない」など、「夜中のトイレ」に関する悩みは、多くの読者にとって身近な問題ではないだろうか。 夜、寝ている間に1回以上、排尿のために起きる症状を「夜間頻尿」と呼ぶ。わが国で行われた代表的な研究(*1)によると、40代では男女ともに約4割の人に夜間頻尿があり、50代では約6割、60代では約8割、70代以上になると約9割と、年齢を重ねるごとにその割合は増えてくる。 夜中のトイレが2回以上になる夜間頻尿に限っても、60代の男性で約4割/女性で約3割、70代の男性で約6割/女性で約5割、80歳以上の男性では約8割/女性では約7割という多さだ(図1)。 *1 本間之夫ほか. 排尿に関する疫学的研究.日本排尿機能学会誌. 2003;14:266-277. (図1 夜間頻尿の頻度 はリンク先参照)』、「夜中のトイレが2回以上になる夜間頻尿」が「70代の男性で約6割」ならやむえを得ないとあきらめる他ないようだ。
・『「夜間頻尿は年のせい」とあきらめる前に知っておきたい大切なこと  50代の約6割、60代では約8割。これだけ多くの人に夜間頻尿が認められると、「夜中にトイレに起きるのは、ある程度の年齢になれば仕方がない」――。そんなふうに半ばあきらめてしまっている人もいるかもしれない。 夜間頻尿は確かに、加齢に伴う生理現象の1つといえる側面もある。しかし、桜十字病院泌尿器科医長(前・国立長寿医療研究センター副院長/同センター泌尿器外科部長)の吉田正貴さんは「夜間頻尿には加齢以外にもさまざまな原因が複雑に絡み合っていることが多く、原因が1つということはまずありません」と話す。「夜間頻尿は年のせい」とあきらめる前に、原因を探り、適切な対策を取ることで、改善する可能性は十分にあるのだ。 近年、夜間頻尿に関する知見が蓄積され、夜間頻尿の症状に効果的な新しい薬が登場したことで、2020年に「夜間頻尿診療ガイドライン[第2版]」(日本排尿機能学会/日本泌尿器科学会)が発行された。2009年の初版発行から11年ぶりの改訂だ。吉田さんは、この最新の診療ガイドラインの作成委員長を務めた。 ガイドラインの改訂に当たっては、泌尿器科の専門医だけでなく、一般の医師向けに診療の手順などを示した診療アルゴリズムが新たに作成されるなど、注目すべき点がいくつかある。その1つが、夜間頻尿の原因によっては、日常生活の中で実践できる具体的な行動療法(セルフケア)を重視している点だ。夜間頻尿に困っている人にとっては朗報といえるだろう(セルフケアについては第2回、第3回で詳しく紹介予定)。 こうした最新知見を上手に取り入れるためにも、まず知っておきたいのは、自分の夜間頻尿の原因だ。夜間頻尿の背景には、加齢だけでなく、前立腺肥大などの泌尿器系の病気や、不眠症など泌尿器以外の病気が影響している場合もある。自分の夜間頻尿の原因をどのように見分け、対策を取ればいいのか。吉田さんに詳しく解説していただくとともに、記事後半に掲載したセルフチェック表で、自分に当てはまる症状がないかを見ていこう』、私の場合は、「前立腺肥大」で通院していたが、状態が改善しないので、ついに医者から通院不要と言い渡された。
・『トイレに起きる回数よりも、「どれくらい困っているか」がポイント  前述したように、「夜間頻尿」は夜間の就寝中に1回以上、排尿のために起きなければいけない症状のことを言う。しかし実際には、夜中に1回トイレに起きるだけで治療を必要とするケースは少ないと、吉田さんは話す。 「最近は夜間頻尿という言葉が一般にも知られるようになり、『自分も夜中に1回はトイレに起きるから、何か問題があるのではないか』と心配して受診される人が増えました。そうした方には、それによって困っていることが特になければ、様子を見ましょうと伝えます。治療を考える目安は、トイレに起きる『回数』よりも、『どれくらい困っているか』に基づきます。『1回でもつらい』という人もいれば、『3回起きても特に問題はない』という人もいます。特にご本人が問題を感じていなければ、トイレに起きる回数が多くても、治療の対象にはなりません」(吉田さん) 就寝中に1回程度なら、まあ仕方ないと考える人も多いだろう。だがこれが2回、3回と回数が増えていき、寝不足になるなど困ることが出てくれば、何らかの対応が必要になってくる。シニア世代は特に、夜間にトイレに行くときに転倒して骨折し、寝たきりの状態につながるリスクもあると、吉田さんは指摘する。 「東北大学の研究チームの報告(*2)によれば、70歳以上の高齢者では、夜中のトイレが2回以上の人の死亡率は、1回以下の人に比べて約2倍高く、回数が増えるにつれて死亡率が高まることが分かっています」(吉田さん) シニア世代の夜間頻尿は転倒・骨折につながるリスクがある一方で、適切な対策を取れば改善する可能性が高い。また、夜間頻尿の原因によっては、セルフケアで症状が軽減する場合も多い。まずは夜間頻尿が起きている原因を考え、必要な対策を知っていこう』、「70歳以上の高齢者では、夜中のトイレが2回以上の人の死亡率は、1回以下の人に比べて約2倍高く、回数が増えるにつれて死亡率が高まる」、やはり気を付ける必要がありそうだ。
・『夜間頻尿の主な原因は「夜間多尿」「蓄尿障害」「睡眠障害」の3つ  夜間頻尿の原因は、主に3つに大別することができる。「夜間の尿の量が増える『夜間多尿』、膀胱にうまく尿がためられなくなる『蓄尿障害』、夜間によく眠れない『睡眠障害』。これらの3つの原因が重なり合って夜間頻尿を引き起こしていることが多いですね」(吉田さん) (図2 夜間頻尿の3大原因 はリンク先参照) 夜間頻尿の主な原因は、夜間多尿、蓄尿障害、睡眠障害の3つ。 これら3つの主要原因について、詳しく説明していこう』、興味深そうだ。
・『夜間多尿はホルモンの減少や水分の過剰摂取、運動不足などが影響  「夜間多尿」という言葉は耳慣れない人もいるだろう。「夜間頻尿」は夜間のトイレの頻度(回数)が基準となるが、夜間頻尿の原因の1つである「夜間多尿」は、「夜間に出る尿量が多い状態」を言う。具体的には、1日の総尿量の33%以上が就床中に出ている状態を夜間多尿と呼ぶ。つまり、本来なら昼間に出る分の尿が、夜に出てしまっているのだ。 夜間多尿は、シニア世代の夜間頻尿の原因の大部分を占めるという。なぜ、シニア世代で夜間の尿量が増えるのか。「1つには、抗利尿ホルモンと呼ばれるホルモンの減少が挙げられます。抗利尿ホルモンは通常、夜間に多く分泌されて、尿量を減らす役割を果たしています。ところがこのホルモンは、加齢とともに分泌量が少なくなるので、それに伴って、夜間に作られる尿の量が増えていくのです」(吉田さん) また、加齢や運動不足などによって下半身の筋肉が衰えたり、心臓や腎臓の機能が低下してきたりすることで血液を全身に送るポンプ機能が弱まり、血液の循環が悪くなることも、夜間の尿の量を増やす原因になる。 「血液の循環が悪くなると、下半身の血管から水分が漏れ出して、細胞の間質にたまって足がむくみます。水分がたまった状態のまま、夜になって睡眠のために横になると、重力の影響を受けなくなった水分が血管に戻ります。すると、増えた水分を減らすために尿が作られ、膀胱にたくさんたまるようになるので、尿意を感じトイレに起きやすくなります」(吉田さん)』、「加齢や運動不足などによって下半身の筋肉が衰えたり、心臓や腎臓の機能が低下してきたりすることで血液を全身に送るポンプ機能が弱まり、血液の循環が悪くなることも、夜間の尿の量を増やす原因に」、「加齢」要因ばかりはどうしようもない。
・『高血圧や糖尿病が原因で起こる夜間多尿も  このほかにも、高血圧や糖尿病といった生活習慣病や、その治療薬が夜間多尿を引き起こしていたり、脳梗塞や心筋梗塞の予防のために水分を必要以上に多く飲んでいることが夜間多尿につながっていることもある。 高血圧には、塩分をため込みやすいタイプとそうでないタイプがあり、日本人は前者が多い。私たちの体には、血液中の塩分(ナトリウム)の濃度を一定に保つ機能が備わっている。そのため、塩分を多くとった場合は、尿として体外に排出される。しかし、塩分をため込みやすいタイプの高血圧の人は、塩分を多くとると、昼間に作られる尿だけでは塩分を排出しきれない。すると、残った塩分を排出するために、夜間にも尿が作られることで、夜中にトイレに起きやすくなる。 糖尿病の場合は、血液中の糖が多くなるため、体は糖を尿として排出しようとする。すると、尿の量や回数が増えて脱水状態になりやすく、のどが渇いて水分を多く飲むことで、さらに尿の量が増えてしまう。 また、高血圧の治療によく使われる「カルシウム拮抗薬」という種類の薬や、糖尿病の「SGLT2阻害薬」という種類の薬も、夜間多尿を引き起こすことがある。 高血圧や糖尿病の持病があり、夜間頻尿・夜間多尿もある場合には、まずはかかりつけ医に相談してみるといいだろう』、私の場合は「高血圧や糖尿病」は幸い該当しない。
・『夜間多尿の原因  抗利尿ホルモンの減少(夜間に作られる尿の量が増えてしまう) 心臓のポンプ機能の低下(血液の循環が悪くなり、下半身にたまった水分(むくみ)が夜間に尿として出てくる) 高血圧や糖尿病、およびその治療薬の一部  水分のとりすぎ)』、私の場合はこれも該当しない。
・『前立腺肥大症や過活動膀胱の一症状として夜間頻尿が表れる  2つ目の「蓄尿障害」は、膀胱にうまく尿がためられなくなる現象のこと。「蓄尿障害」も、加齢によって誰にでも起こり得る現象だ。腎臓で作られた尿は、膀胱にいったんためられる。加齢によって膀胱の筋肉が衰え、しなやかさが失われると、膀胱はあまり広がらなくなってしまう。その結果、ためられる尿の量が少なくなり、尿意を感じやすくなるのだ。 中高年男性に多い前立腺肥大症でも、蓄尿障害が起こる。「男性の場合は40~50代頃から前立腺が肥大してきて、尿が出にくい、尿の回数が多い、トイレに行く前に尿が漏れてしまうといった症状が出てきます。そうした症状の1つとして、夜間頻尿を訴える人がいます」(吉田さん) 夜間頻尿だけでなく、我慢できないほどの強い尿意を感じることがあったり、昼間のトイレも近かったりする場合は、過活動膀胱が原因になっている可能性もある。過活動膀胱は、膀胱や排尿に関する筋肉の衰えなどが原因で、少量の尿がたまった状態でも膀胱が過度に収縮して尿意を感じてしまう病気だ。男女ともに40代頃から起こってきて、加齢とともに増えてくる』、私は「前立腺肥大症」だ。
・『加齢や睡眠の病気で眠りが浅く、尿意で目覚めたと勘違いする  夜間頻尿の3つ目の原因が、「睡眠障害」だ。年齢を重ねてくると誰でも、睡眠はある程度、浅くなったり、短くなったりする。日中の活動量が減ったり、睡眠に関するホルモンの分泌量が低下したりするためだ。睡眠が浅いために夜中に目が覚めて、「尿意を感じて目が覚めた」と勘違いしているケースも見受けられるという。 加齢以外にも「睡眠障害」を起こす病気はあり、それらが原因で夜中に何度も目が覚め、トイレに行くことで結果として「夜間頻尿」になってしまうこともある。 「例えば、いびきをかきながら呼吸が一時的に止まってしまう『睡眠時無呼吸症候群』、脚にむずむずするような不快な感覚が生じる『むずむず脚症候群』、睡眠中に足の指や足首、膝などが勝手に動いてしまう『周期性四肢運動障害』といった病気は、夜間頻尿のリスク因子に挙げられます。これらの病気が夜間頻尿を引き起こしている場合には、その病気の治療をすることで、夜間の眠りが改善されて、夜間頻尿もよくなることがあります」(吉田さん)』、かつては『睡眠時無呼吸症候群』だったようだが、現在は自然に治っているようだ。
・『あなたの夜間頻尿はどのタイプ? 該当する項目をチェック!  夜間頻尿にはさまざまな原因があることがお分かりいただけただろうか。 ではここで、自身の夜間頻尿の原因を推測できるセルフチェックを行ってみよう。該当する項目が多いほど、その原因が夜間頻尿を引き起こしている可能性が高いと考えられる。ただし、これはあくまで原因を探るためのセルフチェックなので、夜間頻尿で仕事や生活に支障があったり、夜間頻尿以外に排尿時の痛みや不快感がある、血尿が出るといった症状があれば、まず泌尿器科を受診してほしい。 ○「夜間多尿」が原因の場合に見られることが多い症状(昼間の1回分の尿の量と、夜間の1回分の尿の量を比べてみて、昼間と同じくらいの量かそれ以上の量が出ている 夕方になると足のすねやふくらはぎがむくむ。夜間に2~3回以上トイレに行くと、朝はむくみがほとんどとれている 1日に1.5リットル以上の水分をとっている(食事に含まれる水分は除く) ○「蓄尿障害」が原因の場合に見られることが多い症状(前立腺肥大症や過活動膀胱と診断されている 男性で「尿の出が悪い」「残尿感がある」「昼夜を問わずよくトイレに行きたくなる」「尿を漏らすことがある」といった尿トラブルがある 男女ともに「突然、我慢できないほどの強い尿意が起こる」ことが週1回以上ある ○「睡眠障害」が原因の場合に見られることが多い症状(「就寝中にいびきをかいて、呼吸が一時的に止まることがある」「夕方以降に脚にむずむずするような不快な感覚がある」「睡眠中に足の指や足首、膝などが勝手に動く」のいずれかの症状がある  眠ってから3時間以内にトイレに起きる  夜、トイレに起きたあと、1時間以上眠れない (監修:吉田正貴氏)) さて、どの原因の項目に多くチェックが入っただろうか。先述した通り、夜間頻尿は複数の要因が絡み合っていることが多く、いずれも複数のチェックが入った人も多いかもしれない。その場合は、それぞれの原因に対処していく必要がある。その際は、夜間多尿と、それ以外の原因に分けて考えることが大切になる。 「夜間多尿が原因の場合は、生活習慣を見直すセルフケアで、症状の改善が期待できます。蓄尿障害や睡眠障害、それ以外の病気の影響がある場合などは、その病気の治療に加えて、夜間頻尿の症状を軽減する食事や水分のとり方をすると効果的です」(吉田さん) 次回、第2回(困った夜間頻尿 解決のカギは「夕方の足のむくみ」解消!)は「夜間多尿」にフォーカスして、夜間の尿量をより詳しく調べるための方法や、「夕方の足上げ」など、診療ガイドラインでも推奨されているセルフケアの方法を紹介する。そして、第3回(夜間頻尿を減らす「薬」「睡眠」「水分・塩分」のポイント)では、夜間頻尿を引き起こすさまざまな病気や治療の影響のほか、夜間頻尿全般に効果的な食習慣について解説していく』、「第2回(困った夜間頻尿 解決のカギは「夕方の足のむくみ」解消!)は「夜間多尿」にフォーカスして、夜間の尿量をより詳しく調べるための方法や、「夕方の足上げ」など、診療ガイドラインでも推奨されているセルフケアの方法を紹介する」、「第3回(夜間頻尿を減らす「薬」「睡眠」「水分・塩分」のポイント)では、夜間頻尿を引き起こすさまざまな病気や治療の影響のほか、夜間頻尿全般に効果的な食習慣について解説」、いずれも興味深そうだ。

次に、12月30日付け日経ビジネスオンライン「尿漏れ、頻尿、男のチョイ漏れ… 誰もが悩む尿トラブル 単なる老化現象ではない! 人には言いづらい尿の悩み」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00283/090800146/
・『しょっちゅうトイレに行きたくなる、ふとしたはずみに漏らしてしまう、夜中にトイレのために起きる…。そんな尿の悩みを、実に多くの中高年が抱えています。尿の悩みは人に相談しづらく、「ある程度の年齢になれば仕方のない」と諦めている人も少なくないでしょう。そこで、新刊書籍『尿もれ、頻尿、前立腺の本』(日経BP)の内容を基にその解決策を探っていきましょう。今回は、特に悩んでいる人が多い「頻尿」「尿漏れ」について、日本大学医学部泌尿器科学系主任教授の高橋悟さんによる解説を紹介します』、興味深そうだ。
・『尿の悩みを「単なる老化現象」で片づけてはいけない  「頻繁にトイレに行きたくなる」「急に尿意を感じて、トイレに駆け込む」「ふとしたはずみに尿が漏れてしまう」「排尿後に尿がジワッと漏れてズボンにシミができることがある」「夜中にトイレのために目が覚めてしまう」 中高年になると、こうした「頻尿」や「尿漏れ」などの尿トラブルを経験する人が増えてきます。日本排尿機能学会が2002年に40歳以上の日本人を対象に実施した調査では、日中に8回以上トイレに行く人は2人に1人、夜中に1回以上トイレに行く人は3人に2人という結果になっています(*1)。 尿にまつわる不調やトラブルはそれほど身近である一方、人にはなかなか相談しづらく、受診もためらいがちです。「ある程度の年齢になれば仕方のないこと」とあきらめてしまっている人も少なくありません。 しかし、頻尿や尿漏れは加齢が原因の一つとなってはいるものの、単なる老化現象ではありません。頻尿や尿漏れはれっきとした病気であり、症状に合わせたセルフケアや治療を行うことで改善が期待できます。 頻尿や尿漏れを放置していると、徐々に悪化していきます。尿トラブルが気になって仕事に集中できなくなったり、外出を控えるようになったりと、QOL(Quality of Life:生活の質)の低下にもつながります。また、尿トラブルの中には、膀胱(ぼうこう)がんや前立腺がんなど、命に関わるような別の病気が隠れていることもあります。頻尿や尿漏れで悩んだり困ったりしているなら、怖い病気を見つけるためにも早めに対処することが重要です。 頻尿・尿漏れといってもさまざまなタイプがあるので、まずはその種類や特徴を知っておきましょう』、興味深そうだ。
・『尿トラブルの中でも特に多い「頻尿」  頻繁にトイレに行きたくなる「頻尿」や、ふとしたはずみに尿が漏れてしまう「尿漏れ(尿失禁)」は、いずれも膀胱に尿がうまくためられなくなることで起こることから、「蓄尿症状」と呼ばれます。 頻尿と尿漏れはそれぞれ別の病態ですが、同じ蓄尿症状であることからも密接な関わりがあり、原因が絡み合っていることが多いものです。実際、尿漏れがある人の多くに、頻尿も見られます。そのため、対策の中には共通するものもあります。 頻尿は、朝起きてから就寝までの排尿が8回以上、夜間の就寝後の排尿が1回以上と定義されています。先ほども紹介した日本排尿機能学会の調査によると、40代以上で昼間頻尿がある人は約3300万人、夜間頻尿がある人は約4500万人と推測されており、ほかの尿トラブルと比べても特に多いことが分かります』、私の場合、「夜間頻尿」だけでなく、「昼間頻尿」もある。
・『「頻尿」は男女とも多いトラブル  40歳以上の男女を対象にした日本排尿機能学会の調査の結果。昼間頻尿は日中に8回以上、夜間頻尿は夜中に1回以上、トイレに行く場合。そのほかの症状は週1回以上。(出典:日本排尿機能学会誌. 2003;14(2):266-277. を基に作成) ただ、排尿の回数には個人差があり、昼間に8回以上、夜間に1回以上トイレに行くことがあっても、本人が困ったり悩んだりしていなければ、基本的には心配は要りません。もちろん、困っていなければ病院に行く必要もないでしょう。 しかし実際には、昼間に10回以上、夜間に2回以上の排尿があると、日常生活に何らかの影響が出てくることが多いようです。一方、1日の排尿回数が8回以下でも、本人が困っていれば頻尿と考えます。 夜間頻尿は40代で約4割、50代で約6割、60代で約8割、70代以上で約9割と、加齢とともに増えていきます。還暦を迎えた私自身も、週に1~2回は夜中にトイレに起きるようになりました。とはいえ、夜間頻尿の原因は加齢だけではありません。 夜間頻尿の主な原因は3つあります。1つめは夜間の尿の量が増える「夜間多尿」、2つめは膀胱に尿がうまくためられなくなる「蓄尿障害」、3つめは眠りが浅いなどの「睡眠障害」です。頻尿が夜間だけの場合は、夜間多尿や睡眠障害が原因となっていることが多く、蓄尿症状としての頻尿とは性質が異なります(参考記事「『夜間頻尿は年のせい』とあきらめる前に知っておきたい3大原因」)。 夜間頻尿だけでなく昼間の頻尿もある場合は、男女ともに「過活動膀胱」の影響も考えられます。日本排尿機能学会の調査から推測すると、過活動膀胱の人は現在では1000万人以上いると見られます。過活動膀胱は膀胱に尿を十分にためられなくなる病気で、そのために急に強い尿意を感じたり(尿意切迫感)、トイレまで我慢できずに尿が漏れてしまったり(切迫性尿失禁)、頻尿の症状が出たりします。 男性の場合は40~50代になってくると前立腺が肥大してきますが、この前立腺肥大症により尿道が圧迫されて尿が出にくくなることで、頻尿や尿漏れなどの尿トラブルが起こってきます。前立腺肥大症の約半数の人は、過活動膀胱を合併しているといわれています。 頻尿の原因にはそのほか、膀胱炎や前立腺炎などの尿路感染で膀胱の知覚神経が刺激される場合や、膀胱や尿道には問題がないのに、緊張や不安などから頻繁にトイレに行ってしまう心因性の場合があります』、私の場合、「前立腺肥大症の約半数の人は、過活動膀胱を合併しているといわれています」、多分、「過活動膀胱を合併」しているのだろう。
・『「尿漏れ」は女性に多く、男性特有の「チョイ漏れ」も  尿失禁(いわゆる「尿漏れ」)は、自分の意志とは関係なく、尿が漏れてしまう状態です。尿失禁で最も多いのは「機能性尿失禁」と呼ばれるもので、排尿の機能には問題がなく、脳の認知機能や身体の運動機能の問題によって起こります。機能性尿失禁は認知症や日常生活動作(Activities of Daily Living = ADL)の低下などで介護が必要な人に見られることがほとんどです。 一方、一般の人の尿漏れは、4つのタイプに分けられます。 尿漏れの4つのタイプ(○腹圧性尿失禁 … おなかに力が入ったときに、不意に起こる尿漏れ ○切迫性尿失禁 … 尿意が我慢できずに漏らしてしまう状態 ○混合性尿失禁 … 腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の両方がある状態 ○溢流(いつりゅう)性尿失禁 … 排尿障害によって、尿意とは関係なく、尿があふれ出てくる) 「腹圧性尿失禁」は、せきやくしゃみをしたり、笑ったり、重いものを持ち上げたりしておなかに力が入ったときに、不意に起こる尿漏れです。「切迫性尿失禁」は、尿意を我慢できずに漏らしてしまう状態です。腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁が合併している場合は、「混合性尿失禁」と呼ばれます。 女性に多い「腹圧性尿失禁」と「切迫性尿失禁」 これら3つのタイプの尿漏れは、閉経後の50代以上の女性に多く見られます。尿漏れに悩む女性が10人いた場合、腹圧性尿失禁が5人、混合性尿失禁が3人、切迫性尿失禁が2人の割合になるといわれています。つまり、尿漏れに悩む女性の8割は、腹圧性尿失禁があることになります。 腹圧性尿失禁は、40歳以上で肥満気味の女性や、2回以上の出産(産道となる膣を経て出産する経膣分娩)の経験がある場合によく見られます。主な原因は、妊娠・出産、女性ホルモンの減少などにより、膀胱や尿道を支える骨盤底筋群が緩むことと、尿道を締める尿道括約筋の機能が低下することが挙げられます。男性で腹圧性尿失禁が起きるのは、前立腺がんの手術後など限定的です。 切迫性尿失禁は、先ほども少し触れましたが、過活動膀胱の症状の一つです。我慢できないほどの強い尿意切迫感があり、実際に尿を漏らしてしまうと、切迫性尿失禁になります。切迫性尿失禁は男女ともに加齢に従って増えてくる傾向がありますが、女性の方が尿道が短いため、女性に多く見られます。過活動膀胱の有病率に男女差はほとんどないものの、切迫性尿失禁がある割合は、女性の方が高いといわれています。 「溢流性尿失禁」は、一般にはあまりないタイプで、高度な排尿障害をともなうことが多い尿漏れです。「溢流」とは、あふれ出てくる状態を表します。排尿がしづらいために、膀胱に尿がたまって残尿が多くなり、膀胱の容量を超えた尿があふれてきます。 溢流性尿失禁では、尿意がよく分からない、残尿感がある、おなかに力を入れていきまないと尿が出ない、尿に勢いがないといった症状があります。男性の場合は前立腺肥大症、女性の場合は骨盤内にある膀胱や子宮、直腸が垂れ下がる骨盤臓器脱と呼ばれる状態などにより、尿道や膀胱の出口が詰まって膀胱に尿がたまることが原因で起こります。そのほか、骨盤内にある臓器の手術で膀胱の神経が傷ついたり、糖尿病で末梢(まっしょう)神経がまひしたりすることでも、溢流性尿失禁が起こることがあります。 このほかに、男性特有の「排尿後尿滴下」という尿漏れもあります。これはいわゆる“チョイ漏れ”と呼ばれるもので、尿を出し切ったつもりでも、そのあとすぐに、下着の中でジワッと尿が漏れてくる現象です。40代以上になると起こりやすくなってきます。 排尿後尿滴下は、厳密には排尿症状である尿失禁ではなく、「排尿後症状」に分類されます。ただ、排尿後尿滴下に悩む男性は非常に多いため、尿漏れの一種として考えて差し支えないでしょう。 このように、頻尿や尿漏れにはさまざまなタイプと特徴があることがお分かりいただけたと思います。次回は、頻尿や尿漏れの原因になる過活動膀胱や、尿漏れに関わる骨盤底筋群や尿道括約筋について詳しく解説していきます。また、男性と女性の尿トラブルの特徴についても、次回以降にご紹介します』、「男性特有の「排尿後尿滴下」という尿漏れ」は、夏など薄い色のズボンを穿いていたので、目立ってきまり悪い思いをした。

第三に、本年1月1日付けダイヤモンド・オンライン「「断食」がなぜビジネスパーソンに人気?痩せるだけではない驚きの効果」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/314001
・『近年、体調を整える手段として注目を集めつつある「断食」。食を断つという言葉からダイエットに効果があることは想像に難くないが、他にも多くのメリットがあるという。忙しい社会人でも生活に取り入れることは難しくないという断食の効果や具体的な方法について、イシハラクリニック副院長の石原新菜氏に話を聞いた』、興味深そうだ。
・『過食気味な現代人が断食で得られる効果  「食事は3食」。このような固定観念に、とらわれてはいないだろうか。時間のない現代人の食生活は、高カロリー・高タンパク・高脂肪なメニューになりがちで、血液や腸内環境の悪化や免疫力・代謝の低下といった体の不調につながってしまうことが多い。 イシハラクリニック副院長の石原新菜氏によると、食事という行為にかかる体の負担は、一般人が想像するよりもはるかに重いのだという。 「例えば、ステーキを食べるという行為一つとっても、体内では多くの器官が働いています。口内で小さく分解された肉は、胃の中で胃酸に含まれるタンパク分解酵素によってドロドロに溶けていきます。さらに十二指腸で、胆汁やすい液によって細かく消化され、ようやく小腸のひだで吸収されて血液中に運ばれるのです」 また、肉を食べると体内から排出すべきアンモニアも発生するため、消化吸収に加えて排出まで行うべく、体内の各器官がフル稼働する。 「断食を行うと、消化時に負担のかかる体内の器官を休めてメンテナンスする時間を確保できます。断食中は、血液内に残存した余分な糖や脂肪をエネルギーとして使っていくため、断食によって血糖値や中性脂肪、コレステロールの値の低下が期待できます」 さらに、断食によってデトックス効果も期待できるそうだ。 「デトックスとは、毒素や便・尿、汗といった体に必要のないものを排出すること。消化吸収に血液を稼働させる必要がなくなるため、その分排せつに関わる臓器の血流が良くなります。すると、体内にたまっていた不要なものを体の外に出して、スッキリときれいにしてくれるのです」』、「ステーキを食べるという行為一つとっても、体内では多くの器官が働いています。口内で小さく分解された肉は、胃の中で胃酸に含まれるタンパク分解酵素によってドロドロに溶けていきます。さらに十二指腸で、胆汁やすい液によって細かく消化され、ようやく小腸のひだで吸収されて血液中に運ばれるのです」 また、肉を食べると体内から排出すべきアンモニアも発生するため、消化吸収に加えて排出まで行うべく、体内の各器官がフル稼働する。 「断食を行うと、消化時に負担のかかる体内の器官を休めてメンテナンスする時間を確保できます。断食中は、血液内に残存した余分な糖や脂肪をエネルギーとして使っていくため、断食によって血糖値や中性脂肪、コレステロールの値の低下が期待できます」 さらに、断食によってデトックス効果も期待できる」、「断食」の効果が理解できた。
・『オートファジーや長寿遺伝子 最も効果的な断食の時間とは  2016年、「オートファジー」の働きを解明した大隅良典・東京工業大学栄誉教授のノーベル生理学・医学賞受賞は、断食に注目が集まる大きな契機となった。 「オートファジーは、血液中の栄養素が少なくなると細胞中のタンパク質を一度壊して再活用するという働きです。オートファジーによって全身の細胞で若返りが起こるため、認知症の予防やパーキンソン病といった神経変性疾患と呼ばれる病気に対して効果があるとされています」 オートファジーは、食事による栄養の補給を断つことで働く。また“長寿遺伝子”が活性化するには30~40%摂取カロリーの減少が必要だ、と石原氏は語る。 「2000年にマサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガレンテ教授が発見したサーチュイン遺伝子が、長寿遺伝子と呼ばれる遺伝子です。この遺伝子が活性化すると、老化を抑える効果が期待できるとされています」 断食には、細胞の若返りや長寿につながるなど多くのメリットがありそうだが、それでは、日常に断食を取り入れる場合、断食の時間はどのくらいの長さを目安とすれば良いのだろうか。 「男性のビジネスパーソンを想定すると、12時間以上空けられると良いでしょう。最も望ましいのは16時間近く空けることですが、仕事の付き合いなどで夜の食事を抜くのは難しいという人も多いと思います。そういう人には朝食を野菜ジュースなどに置き換えることを薦めています」 例えば、夜8時に食事を取り、朝は野菜ジュースを飲む、昼の12時にそばやうどんといった軽めの食事。そして、夜はまた普通の食事を取るという生活リズムが、最も継続しやすいのだそうだ。 「週に1度、朝食を野菜ジュースや具なしのみそ汁などに置き換えるだけでも、断食の効果は期待できます。もちろん、続けられる人は毎朝の食事を置き換えると、より効果が実感できると思いますよ」 そもそも人間の体は、空腹に対処する機能を備えているのだと石原氏は語る。 「人間の体には、血糖値を上げるホルモンが10種類以上存在しています。例えば、アドレナリン、ノルアドレナリン、甲状腺から出るサイロキシンなどが該当します。ところが、血糖値を下げるホルモンというのは、インスリン一つしかありません。つまり、人間の体は空腹に対応する方法を知っていますが、過食に対処する術をほとんど知らないのです」 食べ過ぎに適応していない人間にとって、1日3食の食事を取る必要が本当にあるのかどうか、体にかかる負担を考慮して食事内容や回数を見直す必要が出てきているのだ。 また、断食の効果を実感してより多くの時間をかけて体のメンテナンスを行いたいと感じた場合は、断食を体験できる宿泊施設でじっくり取り組むことも可能だ。 断食コース(7泊8日プラン) 「私が副施設長を務めているヒポクラティック・サナトリウムでは、普段の食事をニンジンとリンゴのジュースやショウガ湯などに置き換えて、数日間の断食体験を行っていただいています。普段から朝の食事を置き換えている人が、年に2回、1週間ほどの断食を行うために訪れる人が多いですね。1日1日をリセットするイメージで、体のメンテナンスを楽しみながら取り組んでいますよ」 コロナ禍においても、感染対策に配慮しながら運営していたヒポクラティック・サナトリウムは、来訪者が減ることはなかったのだという。石原氏は「テレワークの普及などで生活習慣病を気にする人が増えたのではないか」と話す』、「「人間の体には、血糖値を上げるホルモンが10種類以上存在しています。例えば、アドレナリン、ノルアドレナリン、甲状腺から出るサイロキシンなどが該当します。ところが、血糖値を下げるホルモンというのは、インスリン一つしかありません。つまり、人間の体は空腹に対応する方法を知っていますが、過食に対処する術をほとんど知らないのです」、イスラム諸国では、「断食」がカレンダー上で決まっており、「断食」には合理的な理由があるようだ。
・『断食を行う上で注意すべきこと  多くの効果を期待できる断食だが、実際に断食するに当たって注意を払うべきこともある。 注意すべきは、断食明けの回復食です。断食直後に、ラーメンやチャーハンといった重たいものを食べてしまうと、逆に体の不調を招きます。おなかがすいたからといって断食明けに消化の負担が重い食事を取れば、せっかく排出した不要なものを短時間で体に取り込んでしまうことになります」 また、断食中は血糖値が上がりにくく血圧も下がり気味になるため、もともと低血糖や貧血、冷え性の人は断食を取り入れない方がいいそうだ。 「本当に危険なのは、水断食です。食事を全く取らずに水やお茶しか飲まないと、とにかく苦しくて断食を継続する気力が続きませんし、筋肉の分解が進み過ぎて代謝が働かなくなってしまい、断食の効果が得られなくなる場合も多いです。絶対に行うべきではありません」 何の栄養も取らない極端な断食を敢行して、栄養失調で倒れてしまっては元も子もない。断食のコツは、空腹を感じたときでも、体が軽く頭がさえた最高のコンディションを維持できていると「楽しむ」ことなのだそうだ。 「『ずっと断食をしなければいけない』と、強迫観念のように断食に取り組む必要はありません。ある日友人と食事を楽しみ過ぎてしまったから他の日に断食を取り入れて整えてみよう、そういったバランスで楽しみながら取り組んでほしいです」 忙しく働くビジネスマンほど、普段一生懸命働いてくれる自身の体をいたわる「断食」の時間が必要なのかもしれない。(石原新菜氏の略歴はリンク先参照)』、「「本当に危険なのは、水断食です。食事を全く取らずに水やお茶しか飲まないと、とにかく苦しくて断食を継続する気力が続きませんし、筋肉の分解が進み過ぎて代謝が働かなくなってしまい、断食の効果が得られなくなる場合も多いです。絶対に行うべきではありません」、「断食のコツは、空腹を感じたときでも、体が軽く頭がさえた最高のコンディションを維持できていると「楽しむ」ことなのだそうだ」、なるほど。
タグ:私の場合はこれも該当しない。 私の場合は「高血圧や糖尿病」は幸い該当しない。 「加齢や運動不足などによって下半身の筋肉が衰えたり、心臓や腎臓の機能が低下してきたりすることで血液を全身に送るポンプ機能が弱まり、血液の循環が悪くなることも、夜間の尿の量を増やす原因に」、「加齢」要因ばかりはどうしようもない。 「70歳以上の高齢者では、夜中のトイレが2回以上の人の死亡率は、1回以下の人に比べて約2倍高く、回数が増えるにつれて死亡率が高まる」、やはり気を付ける必要がありそうだ。 私の場合は、「前立腺肥大」で通院していたが、状態が改善しないので、ついに医者から通院不要と言い渡された。 「夜中のトイレが2回以上になる夜間頻尿」が「70代の男性で約6割」ならやむえを得ないとあきらめる他ないようだ。 私の「夜間頻尿」は、4~5回と酷い状態が数年続いている。ただ、トイレに行ったらすぐ寝つけるのが救いだ。 『尿もれ、頻尿、前立腺の本』(日経BP) 田村知子氏による「「夜間頻尿は年のせい」とあきらめる前に知っておきたい3大原因 悩ましい「夜中のトイレ」 原因を徹底解説!」 日経ビジネスオンライン 健康 (その26)(「夜間頻尿は年のせい」とあきらめる前に知っておきたい3大原因 悩ましい「夜中のトイレ」 原因を徹底解説!、尿漏れ 頻尿 男のチョイ漏れ… 誰もが悩む尿トラブル 単なる老化現象ではない! 人には言いづらい尿の悩み、「断食」がなぜビジネスパーソンに人気?痩せるだけではない驚きの効果) 私は「前立腺肥大症」だ。 かつては『睡眠時無呼吸症候群』だったようだが、現在は自然に治っているようだ。 「第2回(困った夜間頻尿 解決のカギは「夕方の足のむくみ」解消!)は「夜間多尿」にフォーカスして、夜間の尿量をより詳しく調べるための方法や、「夕方の足上げ」など、診療ガイドラインでも推奨されているセルフケアの方法を紹介する」、「第3回(夜間頻尿を減らす「薬」「睡眠」「水分・塩分」のポイント)では、夜間頻尿を引き起こすさまざまな病気や治療の影響のほか、夜間頻尿全般に効果的な食習慣について解説」、いずれも興味深そうだ。 日経ビジネスオンライン「尿漏れ、頻尿、男のチョイ漏れ… 誰もが悩む尿トラブル 単なる老化現象ではない! 人には言いづらい尿の悩み」 私の場合、「夜間頻尿」だけでなく、「昼間頻尿」もある。 私の場合、「前立腺肥大症の約半数の人は、過活動膀胱を合併しているといわれています」、多分、「過活動膀胱を合併」しているのだろう。 「男性特有の「排尿後尿滴下」という尿漏れ」は、夏など薄い色のズボンを穿いていたので、目立ってきまり悪い思いをした。 ダイヤモンド・オンライン「「断食」がなぜビジネスパーソンに人気?痩せるだけではない驚きの効果」 「ステーキを食べるという行為一つとっても、体内では多くの器官が働いています。口内で小さく分解された肉は、胃の中で胃酸に含まれるタンパク分解酵素によってドロドロに溶けていきます。さらに十二指腸で、胆汁やすい液によって細かく消化され、ようやく小腸のひだで吸収されて血液中に運ばれるのです」 また、肉を食べると体内から排出すべきアンモニアも発生するため、消化吸収に加えて排出まで行うべく、体内の各器官がフル稼働する。 「断食を行うと、消化時に負担のかかる体内の器官を休めてメンテナンスする時間を確保できます。断食中は、血液内に残存した余分な糖や脂肪をエネルギーとして使っていくため、断食によって血糖値や中性脂肪、コレステロールの値の低下が期待できます」 さらに、断食によってデトックス効果も期待できる」、「断食」の効果が理解できた。 「「人間の体には、血糖値を上げるホルモンが10種類以上存在しています。例えば、アドレナリン、ノルアドレナリン、甲状腺から出るサイロキシンなどが該当します。ところが、血糖値を下げるホルモンというのは、インスリン一つしかありません。つまり、人間の体は空腹に対応する方法を知っていますが、過食に対処する術をほとんど知らないのです」、イスラム諸国では、「断食」がカレンダー上で決まっており、「断食」には合理的な理由があるようだ。 「「本当に危険なのは、水断食です。食事を全く取らずに水やお茶しか飲まないと、とにかく苦しくて断食を継続する気力が続きませんし、筋肉の分解が進み過ぎて代謝が働かなくなってしまい、断食の効果が得られなくなる場合も多いです。絶対に行うべきではありません」、「断食のコツは、空腹を感じたときでも、体が軽く頭がさえた最高のコンディションを維持できていると「楽しむ」ことなのだそうだ」、なるほど。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

健康(その25)(「認知症の発症リスク」を4割減らせる12の要因 予防医学の第一人者が教えるカギは「楽しむ」、104歳で働く「沖縄のおばあ」に見る健康長寿の極意 沖縄の人が100歳まで生きる確率はアメリカ人の3倍) [生活]

健康については、昨年11月21日に取上げた。今日は、(その25)(「認知症の発症リスク」を4割減らせる12の要因 予防医学の第一人者が教えるカギは「楽しむ」、104歳で働く「沖縄のおばあ」に見る健康長寿の極意 沖縄の人が100歳まで生きる確率はアメリカ人の3倍)である。

先ずは、昨年11月28日付け東洋経済オンライン「「認知症の発症リスク」を4割減らせる12の要因 予防医学の第一人者が教えるカギは「楽しむ」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/635090
・『「認知症予防には○○がいい」など認知症予防について多くの情報が入り乱れている。何をすればいいのか悩む方も多いだろう。 週刊東洋経済 2022年12月3日号(11月28日発売予定)は「認知症 全対策」を特集。介護から予防、費用、相続まで認知症のあらゆる対策を網羅する。 「認知症予防はマラソンと同じ。楽しく、長くできることから始めたい」と日本認知症予防学会理事長の浦上克哉・鳥取大学医学部 認知症予防学講座教授は語る。浦上教授に「認知症予防の基本」を解説してもらった』、興味深そうだ。
・『認知症予防には3つの段階がある  Q1. 認知症は予防できますか Aまず「予防」の概念を知ってほしい。認知症予防には3つの段階がある。健康なときに行う発症予防が1次予防。発症後、症状がほとんどない段階か、軽度認知症段階での早期発見・治療・対応が2次予防。生活に大きな支障が出始める中度~重度認知症の段階で症状の進行を遅らせるのが3次予防だ。 4大認知症は、根本治療法が現状なく、発症を完全に防ぐことは不可能だ。だが、生活習慣を改めるなど基本的なことで発症リスクを下げられる。発症しても症状はゆっくり進行していく。早くに発症に気づき手を打てれば、進行をさらに遅くできる可能性がある。 予防はマラソンだと考えて、できることを楽しく、長くやることが肝心だ。3~5年など中期的に取り組める予防法の実行を心がけてほしい。 Q2. 1次予防で気をつけるべきことは A2020年、英医学雑誌『Lancet(ランセット)』に、生活習慣を改善することで認知症の発症リスクを40%下げられるという研究が発表された。発症リスクとして難聴や教育歴(知的好奇心の低さ)、高血圧などの生活習慣病まで12の項目が本研究では紹介されている。 また若年期(45歳未満)、中年期(45~65歳)、高齢期(66歳以上)の3段階で、この12の項目のどれに気をつけるべきかもわかっている。 とくに発症リスクを大きく高めるのが中年期の難聴。難聴を防げば、発症リスクが8%下がるとされている。一次予防ではこの12の項目のうちリスクの大きいものから意識して予防に取り組んでほしい。なかでも生活習慣病は認知症発症リスクを高めるという研究も多い。生活習慣病予防が1次予防では重要になる。 1次予防は、もの忘れなどの自覚症状のない人から「認知症予備軍」といえる「MCI(軽度認知障害)」の人までが対象。とくにMCIの段階で、早期に生活習慣の改善など適切な手を打つことが重要だ。MCIの段階で何もしないと4~5年で50%以上の人が認知症になってしまう。一方で適切な手を打てば年間16~41%の人が通常の認知機能の状態に戻るという報告もある。) MCIとは本人も家族など周囲の人間も認知症機能の低下に気づいているが、生活に支障がない状態を指す。65歳以上の高齢者の約2割がMCIという推計もあり、自分自身やご家族について「あれ、おかしいな」と思ったらMCIでないか疑ってみてほしい。心配な場合は、専門医のいる「もの忘れ外来」など専門外来を早めに受診することをおすすめする。 コロナ禍が長引く中、外に出て体を動かすことや他者とのコミュニケーションが減ることで、認知機能が低下しやすくなっているという報告もある。自分やご家族の認知機能が低下していないか特に気にかけてほしい』、「65歳以上の高齢者の約2割がMCI(軽度認知障害)という推計もあり、自分自身やご家族について「あれ、おかしいな」と思ったらMCIでないか疑ってみてほしい。心配な場合は、専門医のいる「もの忘れ外来」など専門外来を早めに受診することをおすすめする」、「MCIの段階で、早期に生活習慣の改善など適切な手を打つことが重要だ。MCIの段階で何もしないと4~5年で50%以上の人が認知症になってしまう。一方で適切な手を打てば年間16~41%の人が通常の認知機能の状態に戻るという報告も」、確かに放置するべきではなさそうだ。
・『予防を楽しむ  Q3. 具体的にどのような予防を行えばいいでしょうか Aまず意識してほしいのは「予防を楽しむ」ということだ。パズルなどの「脳トレ」も嫌々取り組むとストレスがかかり、脳の神経細胞を傷める。 どの段階でも予防の基本は生活習慣を整えること。また、運動・知的活動・コミュニケーションの3つを意識すると12の認知症リスク要因のほとんどを取り除ける。 運動では、週に2~3回、ウォーキングなどの有酸素運動や筋トレを疲れない程度に行うとよい。注意したいのは、有酸素運動をやりすぎないことだ。有酸素運動ばかり続けると筋肉量が落ち、転倒・骨折のリスクを高める。知的活動やコミュニケーションでは、新しいことにチャレンジするのがとくに有効だ。新しいことに取り組むと、脳の神経細胞は新たなネットワークを構築する。 認知症を発症し脳の神経細胞が死滅すると、記憶などの機能が失われる。しかし、残った神経細胞がネットワークを伸ばすことでその機能を代替できる。脳の神経細胞のネットワークが豊富なほど認知機能は衰えにくくなることがわかっている。脳に新しい刺激を与え、このネットワークを広げることが重要だ。 難しいことをやる必要はない。絵や手芸、楽器といった趣味や将棋などのゲーム、日記など手軽に始められるものから挑戦しよう。コミュニケーションでは可能な限りいろいろな人と話すことを意識したい。気の合う友人だけでなく、あまり話したことのない人とも会話することで脳へ新しい刺激を与えてほしい。 また、二次予防までの段階では、自身の低下した機能に特化して鍛える知的活動も有効だ。例えば日付や曜日が分からなくなるなどの見当識障害に対応する場合、日記など日付を意識的に考える活動をおすすめする』、「パズルなどの「脳トレ」も嫌々取り組むとストレスがかかり、脳の神経細胞を傷める」、「嫌々取り組む」と、逆効果とは初めて知った。「どの段階でも予防の基本は生活習慣を整えること。また、運動・知的活動・コミュニケーションの3つを意識すると12の認知症リスク要因のほとんどを取り除ける。 運動では、週に2~3回、ウォーキングなどの有酸素運動や筋トレを疲れない程度に行うとよい。注意したいのは、有酸素運動をやりすぎないことだ。有酸素運動ばかり続けると筋肉量が落ち、転倒・骨折のリスクを高める」、「有酸素運動をやりすぎない」とのアドバイスも貴重だ。
・『栄養バランスが取れた健康的な食事を  Q4. 3次予防ではどのような手法が有効ですか A今まで述べてきた中でできることに取り組んでほしい。しかし3次予防の段階では、新しいことに取り組むのは困難だ。本人が好きだった趣味を勧めてみるなど過去の楽しい記憶に基づいた予防法がいいだろう。 中度認知症でとくに介護者の負担となる、介護拒否などの行動・心理症状(BPSD)の進行を遅らせることも可能だ。介護をしていると心配するあまりつい叱ってしまうことがある。BPSDは本人にストレスがかかると表れやすい。お互いの負担を少なくするためにも、周囲に頼りながら、本人が安心できる環境を整えることがBPSDの予防につながる。 Q5. 認知症予防によい食事は Aなるべく多く野菜を食べるなど栄養バランスの取れた健康的な食事を意識してほしい。オリーブオイルを多く取る地中海式の食事や、塩分を控えた和食は認知症予防にいいとされる。だが、すべての食事を和食にしたりする必要はない。それぞれの食事で認知症予防にいいとされる食材、ドコサヘキサエン酸(DHA)を含む青魚やポリフェノールを多く含む緑茶などを意識的に摂取することから始めよう。無理なくバランスのよい食事を楽しんでほしい。 Q6.予防を始める年齢はいつ頃がよいか A40代から始めても早すぎることはないというのが私の意見だ。認知症は65歳以上で発症することがほとんど。だが、4大認知症のなかで代表的なアルツハイマー型認知症では、発症の20年以上前から(発症の原因の一つとされる)アミロイドβが蓄積しはじめると分かってきた。つまり、発症の20年前、40代から予防に取り組めば、より効果的に発症を防いだり、遅らせたりすることができるだろう。(監修鳥取大学医学部 認知症予防学講座教授・浦上克哉)』、「介護拒否などの行動・心理症状(BPSD)」は「本人にストレスがかかると表れやすい。お互いの負担を少なくするためにも、周囲に頼りながら、本人が安心できる環境を整えることがBPSDの予防につながる」、「認知症予防によい食事は・・・なるべく多く野菜を食べるなど栄養バランスの取れた健康的な食事を意識してほしい」、「予防」はなるべく意識的に取り組みたいものだ。

次に、11月28日付け東洋経済オンラインが掲載した研究者・探検家・作家のダン・ビュイトナー氏による「104歳で働く「沖縄のおばあ」に見る健康長寿の極意 沖縄の人が100歳まで生きる確率はアメリカ人の3倍」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/633475
・『どうしたら、生き生きと輝く毎日を過ごしながら長生きできるのだろう。 研究者で探検家であるダン・ビュイトナーは、雑誌『ナショナル・ジオグラフィック』とチームを組み、研究者たちをも巻き込んで、「長寿者」が多く暮らすエリア「ブルーゾーン」にそのヒントを探す旅に出る。そのきっかけは、「沖縄」だった。 100歳を超える長寿者「百歳人(センテナリアン)」たちの生活習慣を調べ、健康長寿の秘密を探るルポルタージュ『The Blue Zones(ブルーゾーン)2nd Edition(セカンドエディション)』から、一部を抜粋編集してお届けする』、「沖縄」の世界的な「長寿」の秘訣とは興味深そうだ。
・『長寿の極意は沖縄にあった  長寿研究において沖縄が重要な役割を果たしていることは、何年も前から聞いていた。沖縄が世界でもまれに見る長寿地域であることは、人口動態のデータが示している。 沖縄の人が100歳まで生き延びる確率は、アメリカ人の3倍にも達する。また、心臓疾患にかかる割合はアメリカ人の5分の1だし、健康で過ごせる年限が約7年も長い。これほどの健康長寿の秘密は、いったいどこにあるのだろう。 私は、雑誌『ナショナル・ジオグラフィック』に特集記事「長寿の極意」を書いたばかりだった。この記事では、世界の3つの長寿地域を取り上げた。これら、長寿者の多い場所を、私たちは「ブルーゾーン」と名づけた。 人口動態学者は、長寿者が多いイタリア・サルデーニャ島を調べていたときに、この名称を考えついた。私たちはこの概念をさらに広げ、世界の長寿地域すべてを「ブルーゾーン」と呼ぶことにしたのだ。沖縄は、このリストのトップにランクされている』、「沖縄の人が100歳まで生き延びる確率は、アメリカ人の3倍にも達する。また、心臓疾患にかかる割合はアメリカ人の5分の1だし、健康で過ごせる年限が約7年も長い」、「世界の長寿地域すべてを「ブルーゾーン」と呼ぶことにしたのだ。沖縄は、このリストのトップにランクされている」、なるほど。
・『“長寿界のセレブ”奥島ウシ・104歳を訪ねる  私が沖縄本島北部の大宜味にある奥島ウシの家に着いたのは、午後もだいぶ遅くなってからだった。 彼女の家は、典型的な沖縄の木造住宅だ。障子で仕切られた部屋がいくつかあって、畳敷き。私たちは靴を脱いで、家に上がった。ウシは女王であるかのように、静かに部屋の真ん中の椅子に腰掛けていた。 私たちが最初にウシに会ったころ、彼女はまだ無名だった。だがいまではセレブの仲間入りをして、長寿のダライ・ラマといった風情だ。水色のキモノを着た彼女は、私たちにもすわるよう手で合図した。そこで私たちは、幼稚園児のように、彼女の足元に足を組んですわった。 ウシは挨拶がわりに、筋肉もしっかりしているよ、ということを示すかのように、両手を頭の上まで持ち上げて叫んだ』、「104歳」で家の主人として堂々と振舞っているとは、大したものだ。
・『「元気、元気、元気」  “こりゃ、得がたいバイタリティーだな”と、私は感じ入った。たいていの人は、年を取ることを恐れる。しかしこの活発なおばあちゃんを見ると、加齢が楽しみであるかのように思えてくる。 私は雑誌『ナショナル・ジオグラフィック』に掲載された彼女の写真を見せた。これが巻頭特集になって表紙も飾っているのだから、私としても鼻が高かった。だが彼女はチラリと目をやっただけで床に置き、私に飴を勧めた。 私はウシに今日で2度目となるインタビューを始め、彼女の畑のことや友人たち、前に会ってからの5年間にどれほど状況が変わったかを尋ねた』、「たいていの人は、年を取ることを恐れる。しかしこの活発なおばあちゃんを見ると、加齢が楽しみであるかのように思えてくる」、超人的「おばあちゃん」だ。
・『畑仕事は減らしたが、近くのマーケットで、くだものを袋詰めする仕事をやっているという。1日の大半は、孫たちや、幼いころからの3人のおばあさん仲間と過ごす。夕食はほとんど野菜だけで、寝る前にはヨモギ酒を1杯だけ飲む。 「よく働いて、寝る前にヨモギ酒を飲み、ぐっすり眠る」 これが長寿の秘訣だ、と彼女は言った』、「畑仕事は減らしたが、近くのマーケットで、くだものを袋詰めする仕事をやっている」、「よく働いて、寝る前にヨモギ酒を飲み、ぐっすり眠る」、確かにこれほどの「長寿の秘訣」はないに違いない。
・『百歳人から健康と長寿の秘訣を学ぶ  世界のブルーゾーンで暮らしている、ウシのような人たちから聞いた話を私はルポルタージュとしてまとめた。言い換えれば、このルポルタージュは、世界で最も健康的で、最長寿の人たちが、長生きして心豊かな暮らしをする秘訣を語る教訓集でもある。 彼らが語る物語は、子育てから人に好かれるコツ、豊かになる方法から愛を見つけてそれを保つやり方まで、人生で大切なことを教えてくれる。 百歳人は自分がいかにして100歳まで生きたかを語ることはできる。だが、身長2メートルの人が自分はなぜ2メートルの身長に達したのかを説明できないのと同じように、自ら百歳人の秘密を解明することはできない。 ウシが毎晩、1杯のヨモギ酒を飲むことは、健康になんらかのプラスをもたらしているのだろうか。そうかもしれない。しかし、そのおかげで、彼女はがんに罹らず、心臓疾患も誘発していない、とは断言できない。彼女が104歳でなおこれだけのバイタリティーを持っていることの説明にも不十分だ。 ウシのような人から長寿の秘訣を学ぶとすれば、彼女のような人々がたくさん住む地域を見つけ出すこと、つまりそのような伝統文化を持ったブルーゾーンを見つけて調べるのが早道だ。そのような地域では、90歳代、100歳代の健康人の比率が高いに違いない。このような場所が見つかれば、科学的にも解明しやすい。 デンマークの双子を研究した有名なデータをもとに科学が突き止めたところでは、長寿の要因のうち遺伝子に左右されるのはわずか25パーセントで、あとの75パーセントはライフスタイルや日常生活で選択する習慣に関わっているという。 とすれば、もし私たちがライフスタイルを最適の状態に保つことができれば、生物的な限界のなかで最長の平均余命を満喫できるはずだ』、「長寿の要因のうち遺伝子に左右されるのはわずか25パーセントで、あとの75パーセントはライフスタイルや日常生活で選択する習慣に関わっているという。 とすれば、もし私たちがライフスタイルを最適の状態に保つことができれば、生物的な限界のなかで最長の平均余命を満喫できるはずだ」、「ライフスタイル」の「最適の状態」は、個々の人で違いがあり、全体としては多様なのではなかろうか。
・『世界の長寿地域「ブルーゾーン」5カ所  世界的に認められた長寿のホットスポットであるブルーゾーンはこの5カ所だ。 ・イタリア・サルデーニャ島のバルバギア地方 ・日本の沖縄 ・アメリカ・カリフォルニア州のロマリンダ ・中米コスタリカのニコジャ半島 ・ギリシャのイカリア島 これら5つの地域はそれぞれ文化が違い、長寿への道程も異なっていた。 世界のブルーゾーンには、何世紀あるいは数千年にわたって培われてきた人類の体験が隠されている。 人々が何を食べ、どのような形で隣人たちと付き合い、ストレスを発散させ、自分たちの気分を癒やし、病を退けてきたのか。どのような世界観を持っていれば長寿が実現できるのか──。ブルーゾーンには長い年月をかけて育まれた文化がある。自然の環境が種の生存を淘汰するのと同じように、彼らの文化が住民たちの長寿を醸成してきたに違いない。 これらの地域の文化から学ぶためには、住民たちの生きざまに、謙虚に耳を傾ける必要がある。 あなたも、耳を傾けてみようという気持ちになっているのではないだろうか。もし、そうならば、これからのブルーゾーンの旅が、あなたの人生を根本から変えるかもしれない。自分自身の将来がどうなるのかは、だれにもわからないのだから』、「これらの地域の文化から学ぶためには、住民たちの生きざまに、謙虚に耳を傾ける必要がある」、その通りなのかも知れない。 
タグ:健康 (その25)(「認知症の発症リスク」を4割減らせる12の要因 予防医学の第一人者が教えるカギは「楽しむ」、104歳で働く「沖縄のおばあ」に見る健康長寿の極意 沖縄の人が100歳まで生きる確率はアメリカ人の3倍) 東洋経済オンライン「「認知症の発症リスク」を4割減らせる12の要因 予防医学の第一人者が教えるカギは「楽しむ」」 「認知症予防の基本」 認知症予防には3つの段階がある 「65歳以上の高齢者の約2割がMCI(軽度認知障害)という推計もあり、自分自身やご家族について「あれ、おかしいな」と思ったらMCIでないか疑ってみてほしい。心配な場合は、専門医のいる「もの忘れ外来」など専門外来を早めに受診することをおすすめする」、 「MCIの段階で、早期に生活習慣の改善など適切な手を打つことが重要だ。MCIの段階で何もしないと4~5年で50%以上の人が認知症になってしまう。一方で適切な手を打てば年間16~41%の人が通常の認知機能の状態に戻るという報告も」、確かに放置するべきではなさそうだ。 「パズルなどの「脳トレ」も嫌々取り組むとストレスがかかり、脳の神経細胞を傷める」、「嫌々取り組む」と、逆効果とは初めて知った。「どの段階でも予防の基本は生活習慣を整えること。また、運動・知的活動・コミュニケーションの3つを意識すると12の認知症リスク要因のほとんどを取り除ける。 運動では、週に2~3回、ウォーキングなどの有酸素運動や筋トレを疲れない程度に行うとよい。注意したいのは、有酸素運動をやりすぎないことだ。有酸素運動ばかり続けると筋肉量が落ち、転倒・骨折のリスクを高める」、「有酸素運動をやりすぎない」とのアドバイスも貴重だ。 「介護拒否などの行動・心理症状(BPSD)」は「本人にストレスがかかると表れやすい。お互いの負担を少なくするためにも、周囲に頼りながら、本人が安心できる環境を整えることがBPSDの予防につながる」、「認知症予防によい食事は・・・なるべく多く野菜を食べるなど栄養バランスの取れた健康的な食事を意識してほしい」、「予防」はなるべく意識的に取り組みたいものだ。 東洋経済オンライン ダン・ビュイトナー氏による「104歳で働く「沖縄のおばあ」に見る健康長寿の極意 沖縄の人が100歳まで生きる確率はアメリカ人の3倍」 『The Blue Zones(ブルーゾーン)2nd Edition(セカンドエディション) 「沖縄」の世界的な「長寿」の秘訣とは興味深そうだ。 「沖縄の人が100歳まで生き延びる確率は、アメリカ人の3倍にも達する。また、心臓疾患にかかる割合はアメリカ人の5分の1だし、健康で過ごせる年限が約7年も長い」、「世界の長寿地域すべてを「ブルーゾーン」と呼ぶことにしたのだ。沖縄は、このリストのトップにランクされている」、なるほど。 「104歳」で家の主人として堂々と振舞っているとは、大したものだ。 「たいていの人は、年を取ることを恐れる。しかしこの活発なおばあちゃんを見ると、加齢が楽しみであるかのように思えてくる」、超人的「おばあちゃん」だ。 「畑仕事は減らしたが、近くのマーケットで、くだものを袋詰めする仕事をやっている」、「よく働いて、寝る前にヨモギ酒を飲み、ぐっすり眠る」、確かにこれほどの「長寿の秘訣」はないに違いない。 「長寿の要因のうち遺伝子に左右されるのはわずか25パーセントで、あとの75パーセントはライフスタイルや日常生活で選択する習慣に関わっているという。 とすれば、もし私たちがライフスタイルを最適の状態に保つことができれば、生物的な限界のなかで最長の平均余命を満喫できるはずだ」、「ライフスタイル」の「最適の状態」は、個々の人で違いがあり、全体としては多様なのではなかろうか。 世界の長寿地域「ブルーゾーン」5カ所 「これらの地域の文化から学ぶためには、住民たちの生きざまに、謙虚に耳を傾ける必要がある」、その通りなのかも知れない。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

台湾(その6)(元自衛隊陸将が解説 台湾有事で日本に起こりうる「シナリオ」と「課題」、中台の緊張激化の中、中国抑止をどう考えるのか 中国の台湾政策変遷の背景にある3つの変化、巨大中国が「台湾侵攻」に踏み出す決定的理由 「ロシア暴走」の教訓は覇権国争いに生きるのか) [世界情勢]

台湾については、昨年8月12日に取上げた。今日は、(その6)(元自衛隊陸将が解説 台湾有事で日本に起こりうる「シナリオ」と「課題」、中台の緊張激化の中、中国抑止をどう考えるのか 中国の台湾政策変遷の背景にある3つの変化、巨大中国が「台湾侵攻」に踏み出す決定的理由 「ロシア暴走」の教訓は覇権国争いに生きるのか)である。

先ずは、昨年9月4日付けAERAdot「元自衛隊陸将が解説 台湾有事で日本に起こりうる「シナリオ」と「課題」」を紹介しよう。
・『米海兵隊トップのバーガー総司令官は昨年4月、「遠征前進基地作戦(EABO)」を含む新しい作戦構想を発表した。元陸上自衛隊幹部は「イラクやアフガニスタンでの戦闘が終わり、米海兵隊は新しい戦略環境に対応できる能力を求められている」と語る。急いでいるのは現在保有していない地対艦ミサイルの開発だ。台湾有事の際、中国軍艦艇の展開を封じ込める狙いがある。 自衛隊関係者によれば、在沖縄海兵隊は昨年後半から、沖縄本島周辺での航空機やヘリによる降下訓練、輸送機の着陸訓練などを増やしている。米海兵隊は自衛隊に対し、宮古島や石垣島などでも共同訓練や防災・住民保護での協力をしたい考えを非公式に伝えているという。別の元陸自幹部は「米軍は自衛隊が駐屯している場所に展開したい。言葉の問題を解決できるし、現地住民との衝突を避け、米軍の責任も緩和できる」と話す。 陸上自衛隊は15年ほど前、「南西の壁」と名づけた構想をまとめた。対馬から九州、沖縄本島などを経て日本最西端の与那国島までに対空・対艦ミサイルと地上部隊を組み合わせた部隊を配置して防衛ラインを作り上げる構想だった。 陸自は現在、奄美大島と宮古島に12式地対艦誘導弾(12SSM)部隊を配備し、今年度末までに石垣島にも同部隊を配備する。台湾から約110キロしか離れていない与那国島には、沿岸監視部隊と電子戦部隊が配備されている。 中国軍のミサイルは今回、与那国島から80キロの沖合に着弾した。中国軍が設定した訓練区域の一部は、与那国島をはさむように設定された。 陸自中部方面総監などを務めた山下裕貴元陸将は「中国軍が台湾東部に上陸するためには、台湾と与那国島の間を通る可能性が高い。地対艦ミサイルの射程などを考えれば、中国は石垣島より西側の島々から妨害行動を受けることを想定し、戦域として考えているだろう」と語る。同時に「中国の立場では、日本が尖閣諸島を不法占拠していることになる。当然、尖閣も戦域に含まれる」と語る。 中国が与那国島や尖閣諸島などの日本領土を攻撃した場合は「武力攻撃事態」になり、自衛隊は防衛出動する。中国軍が、日本に退避してきた台湾軍の航空機や艦船を攻撃すれば、やはり武力攻撃事態になる。 一方、台湾有事になれば、米軍の海空軍が台湾の上空や近海で活動するだろう。米軍は自衛隊に補給支援を求めるほか、航空機や艦船が攻撃を受ければ、救助活動も要請する可能性が高い。その場合、日本が2015年に制定された安全保障法制に基づき、「重要影響事態」を宣言すれば、給油や弾薬提供、救難活動などの後方支援を行う』、「「中国軍が台湾東部に上陸するためには、台湾と与那国島の間を通る可能性が高い。地対艦ミサイルの射程などを考えれば、中国は石垣島より西側の島々から妨害行動を受けることを想定し、戦域として考えているだろう」と語る。同時に「中国の立場では、日本が尖閣諸島を不法占拠していることになる。当然、尖閣も戦域に含まれる」」、なるほど。
・『与那国島や石垣島での住民避難が課題になる  さらに、事態が進み、自衛隊が一緒に活動している米軍が攻撃されれば、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅(おびや)かされる」という「存立危機事態」の宣言が視野に入ってくる。集団的自衛権の行使が可能になり、防衛出動という状況になっていく。 山下氏は「米軍の行動とは切り離して、日本が単独で攻撃を受けた場合は武力攻撃事態になり、日本は一刻も早く米軍の来援を求めるだろう。逆に米軍の行動に関連して事態が推移し存立危機事態になる場合、日本は否応なく自動的に巻き込まれる」と語る。場合によっては、二つのシナリオが同時に別の場所で発生することもありうる。 日本は今、年末に向けて国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画の戦略3文書の改定を目指している。山下氏によれば、護衛艦や航空機などの保有数、地対艦ミサイル部隊を配備する石垣島と配備済みの宮古島の両部隊の増強、沿岸監視部隊と電子戦部隊しかいない与那国島に地対艦ミサイルなどの戦闘部隊を配備するのか──といった課題がある。 同時に、尖閣諸島を巡っても、自衛隊による平時からの領域警備を認めるかどうかという問題もある。中国軍による尖閣諸島攻撃の事態に備え、日米安保条約の発動を円滑に進める働きかけも重要になる。) 有事に備えた人員や弾薬、物資の補充も必要になる。自衛隊は現在、増額の必要性が唱えられている予算の範囲内で、弾薬や物資を備蓄している。有事では爆発的に使用量が増えるため、現在の弾薬や物資などの確保が課題になる。自衛隊が南西諸島への配備を進めている12式地対艦ミサイルなどの誘導弾も高価なため、数が絶対的に不足しているとみられる。 さらに、国民保護法制に基づき、与那国島や石垣島などでの住民避難が課題になる。山下氏は「どの時点で、どのくらいの規模で、どこに、どのように避難するのか、早急に訓練を始めるべきだ」と語る。 そして、こうした複雑な事態を指揮する政治家の判断も重要になる。「重要影響事態」と「存立危機事態」「武力攻撃事態」が同時に混在し、変化していく事態も起こりうる。山下氏は「中国軍の演習は、日本と台湾の危機意識を高め、日本や米国、台湾の軍にとって貴重な情報収集の機会にもなった。今回の事態を前向きに捉え、努力していくことも重要だ」と語った。(朝日新聞記者、広島大学客員教授・牧野愛博)※AERA 2022年9月5日号より抜粋』、「与那国島や石垣島などでの住民避難が課題になる。山下氏は「どの時点で、どのくらいの規模で、どこに、どのように避難するのか、早急に訓練を始めるべきだ」」、「こうした複雑な事態を指揮する政治家の判断も重要になる」、単に自衛隊に任せておくば済む話ではない。訓練の準備だけでも早急に始めるべきだ。

次に、9月21日付け東洋経済オンラインが掲載した東洋大学教授の薬師寺 克行氏による「中台の緊張激化の中、中国抑止をどう考えるのか 中国の台湾政策変遷の背景にある3つの変化」を紹介しよう。
・『アメリカのペロシ下院議長の台湾訪問(8月2日)以後、台湾海峡をはさんだ中台の緊張の高まりが恒常化している。 中国は「重要軍事演習」と称して台湾封鎖の予行演習を実施、実際にミサイルまで飛ばした。これに対しアメリカは議員団の訪台を繰り返す。中国は連日、台湾海峡の中間線を越えて台湾側に戦闘機を侵入させるだけでなく、離島にはドローンを飛ばし威嚇を続ける。するとアメリカ政府が新たに11億ドル(約1500億円)相当の武器売却方針を打ち出し、議会でも台湾への軍事支援を大幅に強化する法案が審議されている。 緊張のエスカレーションはとどまるところを知らないように見える。これが「新常態(ニューノーマル)」を作り状況を変えようとする中国流のやり方なのだろう。 尖閣諸島でも2012年の日本の国有化をきっかけに、今日に至るも連日のように中国海警局の船が日本の接続水域内に入り、時には領海内にまで侵入を続けている。人海戦術で同じ行為を長期間にわたって継続し、相手を疲弊させ諦めさせようとでもいうのだろう。だからと言って軍事力を使って一線を越えようとはしない。台湾海峡でも同じ手法だとすれば、戦闘機の中間線越えはこれから先も長く続くかもしれない』、「連日のように中国海警局の船が日本の接続水域内に入り、時には領海内にまで侵入を続けている。人海戦術で同じ行為を長期間にわたって継続し、相手を疲弊させ諦めさせようとでもいうのだろう」、「台湾海峡でも同じ手法だとすれば、戦闘機の中間線越えはこれから先も長く続くかもしれない」、覚悟する必要がありそうだ。
・『中国の台湾政策はどのように変遷してきたか  中台関係が一貫して緊張状態にあったわけではない。むしろ、今ほど関係が悪化しているのは例外的だ。その背景には3つの大きな変化を指摘できる。 まず、最もはっきりしているのは中国の変化だ。国民党と戦った毛沢東主席にとって台湾を武力解放し統一することは最大の目標だったが、アメリカに阻まれ実現できなかった。そこで毛沢東は「外交戦」に転じ、国連で多数派形成に力を入れ国連加盟と米中共同声明で国交樹立の実現へ向かうとともに、国際社会における台湾の孤立化に成功した。 続く〓小平(最高指導者1978~1989年)はさらに巧みだった。改革開放政策を進めるために日本やアメリカなど西側諸国に接近するとともに、台湾問題については「平和的統一」や「一国二制度」という柔軟な方針を打ち出して経済成長の基礎作りに成功した。 ところが江沢民(同1989~2002年)は〓小平が残した経済成長の成果に自信を持ったのか、台湾問題については「祖国の完全統一の早期実現」「武力不行使の約束はできない」などと柔軟性を欠く原則論にこだわった。 このころ台湾では民主化が進み総統選が導入された。中国と距離を置く勢力の台頭を抑えるため江沢民はミサイル発射など稚拙な手段で2度の総統選に介入したが見事に失敗した。その結果、「二国論」を唱えた李登輝や、独立指向の強い民進党の陳水扁の政権が誕生した。 江沢民のあとを継いだ胡錦涛(同2002~2012年)は力のない指導者だったと評されているが、台湾問題への対応は理にかなっていた。強引な手法は逆に台湾の人々の心を遠ざけてしまうことを知る胡錦涛は、統一という言葉を避けて「平和的発展」を打ち出した。さらに独立に走ろうとする陳水扁とそれをよしとしないアメリカとの隙間をつく巧みな外交でアメリカを味方につけた。その結果、陳水扁は自滅し中国寄りの馬英九・国民党政権が誕生し中台関係は一気に改善した。中台の良好な関係はこの時代がピークだった。 習近平(同2012年~)が主席になると状況は大きく変わった。国際社会で評価を得た胡錦涛だが、中国共産党内では「中台関係が改善しても、統一の話は一歩も進まず何の成果もない」などと批判が強かった。 〓小平や胡錦涛に批判的と言われる習近平は台湾政策をガラッと変えてしまい、「この問題を一代一代先送りはできない」と統一を急ぐ姿勢を前面に出した。一方の台湾でも総統が独立志向の強い民進党の蔡英文に交代した。習近平のかたくなな姿勢は今年8月に公表された「台湾統一白書」にも表れた。過去の白書にあった「統一後に駐留軍や行政官を派遣しない」という文言が消えたのだ。香港の現状が示すように習近平にとって「一国二制度」はもはや意味のない構想なのだ』、「香港の現状が示すように習近平にとって「一国二制度」はもはや意味のない構想なのだ」、もう恰好つけずに本音でいくようだ。
・『習近平とアメリカの不安、台湾の自尊心  習近平が統一を急ぐ理由は何か。 よく指摘されるのは政治的レガシーの欠如だ。毛沢東は国を作り、〓小平は経済大国を作った。これに対し習近平は権力を握って10年たつが大きな成果がない。異例の3期目に入ればさらに焦るだろうというのだ。 それ以上に自らの権力維持や共産党の一党支配の維持への不安もあるだろう。〓小平に始まる改革開放路線によって中国経済は成長を続け国民を豊かにしてきた。そのことが権力者に正統性を与えてきた。ところが成長のスピードが落ち、所得格差などさまざまな社会問題が顕在化してきた今、習近平や共産党の権力維持の正統性が揺らぎかねない状況となりつつある。そうした不安が習近平を焦らせているのかもしれない。 2つ目の変化はアメリカだ。1970年代のニクソン政権、続くカーター政権による国交正常化以後、アメリカは経済が発展すれば中国は民主化すると考え、中国に対する関与政策を続けてきた。しかし、現実は逆方向に進んだ。トランプ政権はそれまでの政策が誤りだったと判断し対中政策を180度転換した。その対中強硬政策はバイデン政権になっても継承されている。あらゆる政策で激しく対立する民主党と共和党が、中国問題については強硬論で一致しているのだ。 だからと言って全面的に対立するつもりはなく、経済関係などは活発に行われている。しかし、胡錦涛時代のように米中が手を取って台湾の独立派を抑えるというようなことはありえないだろう。 そして3つ目の変化が台湾の人々の意識だ。かつて台湾では、中国との統一について賛否が割れていた。ところが経済が発展し政治制度の民主化が進むと、共産主義中国との統一を支持する声が減っていき、現状維持を望む声が強まった。1990年代以降、台湾には台湾独自の文化や制度があるという「台湾アイデンティティー」という言葉が広がった。 さらに習近平がウイグルや香港で強引な政策を実行し、中国政府がこれまで掲げてきた「一国二制度」が空中分解すると、台湾の各種世論調査では過半数が台湾の独立を支持するようになってきた。一度、民主主義の自由を知れば、個人の言動が厳しく監視され規制される中国本土との統一など望む人はいないだろう。もちろん中国にとってこの変化を黙って見逃すことはできない。さまざまな手段で圧力をかけているしかないのだ』、「習近平や共産党の権力維持の正統性が揺らぎかねない状況となりつつある。そうした不安が習近平を焦らせているのかもしれない」、「対中強硬政策はバイデン政権になっても継承・・・民主党と共和党が、中国問題については強硬論で一致」、「「一国二制度」が空中分解すると、台湾の各種世論調査では過半数が台湾の独立を支持するようになってきた」、これでは「個人の言動が厳しく監視され規制される中国本土との統一など望む人はいないだろう」、「統一」には難しい局面だ。
・『中国の軍事行動を抑制するにはどうすべきか  3つの変化は、中国が掲げる台湾の統一をますます困難にしている。だからと言ってただちに軍事侵攻というわけにはいかない。ロシアのウクライナ侵攻が示すように、力による現状変更は軍事的にも経済的にも中国をいっそうの困難に陥れる可能性が高い。 前アメリカインド太平洋軍司令官のフィリップ・デービッドソンが「今後6年以内に中国が台湾に侵攻する可能性がある」と発言したことなどをきっかけに、軍事専門家の間では、中国の軍事侵攻と米中戦争の可能性が盛んに議論されている。その多くが軍事面での戦力や作戦の分析だ。こうした議論を受けて日本国内では、いざというときに備えた防衛力強化とそのために必要な防衛予算の大幅な増額が既定路線となっている。 確かに中国が台湾問題で何らかの軍事行動に出る可能性は高まっている。したがって日本を含む関係国が中国の誤った行動を抑えるために一定の抑止力を持つことは必要なことだ。しかし、抑止力の本来の目的は、相手国の軍事行動を押しとどめ、外交による問題解決を可能にすることにある。 また中国の台湾政策の変遷や習近平の対応を分析すれば、盤石といわれる習近平体制の強硬姿勢の背景にある政治的脆弱性が浮かんでくる。軍事的衝突を回避するためにも、多角的分析や思考を踏まえた解決の道を探っていかなければならない』、「抑止力の本来の目的は、相手国の軍事行動を押しとどめ、外交による問題解決を可能にすることにある」、「軍事的衝突を回避するためにも、多角的分析や思考を踏まえた解決の道を探っていかなければならない」、同感である。

第三に、12月21日付け東洋経済オンラインが掲載した社会学者・東京工業大学名誉教授の橋爪 大三郎氏と社会学者の大澤 真幸氏による「巨大中国が「台湾侵攻」に踏み出す決定的理由 「ロシア暴走」の教訓は覇権国争いに生きるのか」を紹介しよう。
・『市民動員の発令で国内の反発が広がり、苦戦続きのロシアだが、その様子をつかず離れずの位置でうかがう中国。2022年10月に開かれた中国党大会では習近平総書記の3期目入りが決まり、習一強体制がスタートした。台湾の強行統一を目論む中国は、ロシアの苦戦をどう見ているのだろうか。 アメリカ衰亡の中で目立ってきた中国とロシアという2つの専制主義陣営のパワーにどう対抗すべきか。橋爪大三郎氏、大澤真幸氏、2人の社会学者による『おどろきのウクライナ』(集英社新書)では、文明論、宗教学、歴史、社会学と、あらゆる視座から検証し、白熱した討論が展開される。本稿では、プーチン退場を視野に入れつつ、習近平一強体制をさらに固めた中国の今後を両氏が予測する』、興味深そうだ。
・『ロシア敗北でも中国は目的を果たす  大澤:今、実際に戦争をしているのはロシアとウクライナですが、その後ろにはもっと重要な中国という脅威があります。 もし、ロシアが破れかぶれで戦術核に手を出して戦争に敗北したとして、中国が台湾に侵攻する、あるいはその他の国に及ぼす中国の脅威には、それが必ずしも教訓にならない可能性がある。その点も踏まえ、中国とどう付き合うかは、またロシアとは別途に考えなければいけないと思うのですが、その辺はどうですか。 橋爪:ロシアは、ヨーロッパの盲腸のようなもので、サイズは大きいけど、いわばおまけですね。だけど、中国はどこかのおまけや付録じゃない。中国は中国なんですよ。それに中国は昔から気がついていて、イギリスが来て戦争に負けたときも「あれ?俺たちは本当はもっと中心的な存在ではないか」と思っていた。 さらに、日本があっという間に近代化して日清戦争に勝って、支那事変で中国の半分ぐらいを占領したときも「これはまずい、革命が必要だぞ」と国民党、共産党が出てきた。だから、中国が新しく本当の中国になるためには革命が必要だというのは中国の合意だったんですね。) そこで、ソ連と協力するかしないかで路線が分かれて、ソ連と協力するという人たちが中国共産党になった。本当はソ連と協力なんかしたくないんですよ。中国は中国なんだから。だけど、やむを得ず、共産党という選択をしたと思うわけ。共産党って、モスクワの手下になることですからね。でも、手下になってもいいことが一つもなかったので、中ソ論争の結果、早々とけんか別れしたということです。 その中ソ論争の結果、中国は共産主義だけど、中国というものになった。ここで今日の中国の基本ができたわけです。その後、アメリカや西側世界との関係をどうするかについては、一応協力するという選択をして改革開放になり、ソ連が解体したあとも前進を続け、今日の社会主義市場経済の巨大な中国になった。 大澤:その転換はうまくいきましたね。 橋爪:大成功です。アメリカをうまくだましたんです。いかにも民主主義になりそうなリップサービスをしておきながら、そのつもりは全然なかった。科学技術も資本も全部欲しいものは手に入れた。いよいよ中国を中心に世界を動かしますからねという話になってきた。それで今、アメリカも世界もびっくりしているという状態なのであって、負け惜しみでけんかを売っているロシアとは話が違うんですよ。 大澤:なるほど。いまや中国はアメリカと競る軍事大国ですからね。 橋爪:中国の場合は、通常戦力で勝てますから、核兵器を使う必要がない。核兵器は念のため奥の手にとってあればいいので、通常戦力でやるつもりでしょう。戦争の勝ち負けとはフェアな問題なのであって、戦争で勝って台湾が取られてしまえば、国際社会はこれを認めるしかない。これは主権が侵されたというウクライナとはちょっと違うと思います』、「アメリカをうまくだましたんです。いかにも民主主義になりそうなリップサービスをしておきながら、そのつもりは全然なかった。科学技術も資本も全部欲しいものは手に入れた。いよいよ中国を中心に世界を動かしますからねという話になってきた。それで今、アメリカも世界もびっくりしているという状態」、「中国の場合は、通常戦力で勝てますから、核兵器を使う必要がない。核兵器は念のため奥の手にとってあればいいので、通常戦力でやるつもりでしょう」、なるほど。
・『中国が覇権国となるカギは「台湾」  大澤:今は、ロシアのウクライナ侵略に対して、直接軍事行動はしなくても、西側諸国やアメリカの圧倒的なウクライナ応援がありますね。もし中国が台湾に侵略したとき、実際にアメリカ軍が動くのかどうかが常に話題になっているわけですが、どうなんでしょうか。 というのは、今回のロシアとウクライナの戦争が長引いていて、いろいろ応援はしているものの、やっぱりどこかで妥協しようよという感じが、ヨーロッパやアメリカで出てきています。あまりにもコストが大きいし、ロシアからの石油・天然ガスの禁輸も非常に負担が大きい。この理不尽な戦争を仕掛けられたウクライナに関してでさえ、そうなるんです。 まして、中国の台湾侵略に関してはどうなるか。ヨーロッパの人はどっちでもいいやみたいなところもあるでしょう。ウクライナは公式に独立の主権国家でしたけれど、一応中国に関しては「台湾は一つの中国」という建前もあります。そういう中で台湾が侵略されたとき、果たして大きなコストをかけて台湾を応援しようと西側諸国が思うのかどうか。それはかなり微妙な感じがします。その辺の実際上の見通しを橋爪さんにお聞きしたいんですが。) 橋爪:台湾が存在しているのであれば、西側世界は台湾を支持し続けると思うし、中国としては失敗だと思う。その意味で、台湾が存在しなくなるというのが、中国の戦略目標、戦争目的ですから、台湾が存在しなくなってしまえば、どうしようもない。 それを具体的に言うなら、中国が通常戦力で台湾に上陸して、台湾に新しい政府をつくるということです。それで、形も整うでしょう。そうなると、中国は一つだという中国に、外部から軍事介入する理由がなくなる。だから、これで終わりということになる。 その後どうなるかというと、「台湾を守ります」とかバイデンが言っていたのにそうならなかったわけだから、アメリカは約束を守る能力がなかったということになり、覇権国ではなくなる。そして、文字どおり、中国がアメリカに代わって世界の覇権国になり、まったく新しい時代が始まるということです。 大澤:なるほど、嫌な展開ですね。中国が覇権を持つと、周辺国はどうなりますか。 橋爪:ロシアとインドが中国に寄ってきて、東南アジアは中国圏になります。アフリカも中国になびき、ヨーロッパの貧しい国は中国にがんじがらめになる。さらに中央アジアが中国となって、ラテンアメリカも中国圏になり、残ったのはアメリカとヨーロッパ、そして日本だけという世界が待っているかもしれないという話です』、「中国が通常戦力で台湾に上陸して、台湾に新しい政府をつくるということです。それで、形も整うでしょう。そうなると、中国は一つだという中国に、外部から軍事介入する理由がなくなる。だから、これで終わりということになる」、「「台湾を守ります」とかバイデンが言っていたのにそうならなかったわけだから、アメリカは約束を守る能力がなかったということになり、覇権国ではなくなる。そして、文字どおり、中国がアメリカに代わって世界の覇権国になり、まったく新しい時代が始まる」、「ロシアとインドが中国に寄ってきて、東南アジアは中国圏になります。アフリカも中国になびき、ヨーロッパの貧しい国は中国にがんじがらめになる。さらに中央アジアが中国となって、ラテンアメリカも中国圏になり、残ったのはアメリカとヨーロッパ、そして日本だけという世界が待っているかもしれない」、嫌だが、ありそうなシナリオだ。
・『今まさに文明の衝突が起きている  大澤:それはまさに文明の衝突ということですかね、ビジョンとしては。 橋爪:うん、そう思う。イスラムも、ヨーロッパよりは中国のほうがいいと思うかもしれないな。新疆ウイグルでいじめられているけど、それなりに世話にもなっているし、イスラム教徒の扱いについては中国は慣れているからね。 大澤:『おどろきのウクライナ』でも話しましたが、いま起きているロシアとウクライナの戦争も、ある意味で文明の衝突なんですよね。 サミュエル・P・ハンチントンの『文明の衝突』(1996年)の話をするときに、もう一つ浮かぶのがフランシス・フクヤマの『歴史の終わり』(1992年)のビジョンです。歴史の終わりというのは、リベラルデモクラシーが勝利して、平和な世界が来るというイメージ。 一方、文明の衝突は、ある種のコンフリクトが地球に残っている状態を指しているわけだから、この2つは一見対立するビジョンに見えますけれど、実際には同じものの2つの側面を語っているともいえる。 つまり、文明の衝突があったとしても、プラクティカルに解決できる程度の文明の衝突であれば、ゆるやかでリベラルデモクラティックな多文化主義のようなものが地球レベルでできるということで、それなりに見通しは明るいという感じです。 ただ、その2つのビジョンが世に提示されて30年ぐらいの時間が経ってみると、文明の衝突ってそんなに生易しいものじゃないということがわかった。文明の衝突的なビジョンというのは、一番危険な場合はこうなるよというのを今回僕らは見せつけられているんだと思う。) 橋爪:うん、場合によってはもっと最悪なことも起こりかねない。 大澤:はい、そうですね。今後もしロシアが戦争に負けたとしても、広い意味での文明の衝突状態が続くとすれば、中国、インドが出てくると、もっと深刻な問題になります。 重要なことは、いま僕らに起きていることは、すべてつながっているということ。そのつながりをポジティブに利用する形で解決するしかないんですね。 コロナ危機でもそれがはっきりしたわけですが、コロナだけじゃない。気候変動の問題にしても、世界がいかに連帯に向かうかということが試されている。その場合に文明の衝突的な因子があると、いろんなことがうまくいかないわけです。 ほかの文明の場合は、ほっといても、経済的な意味でうまくいかないので弱体化していくんですよね。だけど、中国の場合は、改革開放以降、大変な成功を手中にしている。そういう状況の中でどうすればいいのか、誰にも見えないというか、少なくとも僕には見えないというのが今の現状なんですが、どうでしょうね』、なるほど。
・『中国は「新しい規格」を提供できるのか  橋爪:世界がつながっていて、まとまって対抗しなきゃいけないということと、覇権国、仕切り屋が複数あって、しかも文明の背景が違うから対立しなきゃいけないということは同時に起こるんですよ。これはちっとも矛盾することじゃない。 例えば二昔ぐらい前に、ビデオテープの規格でVHSとベータの覇権争いがあったじゃないですか。1つのほうが使う側には便利がいいに決まっているわけですよ。でも、2つが提案されて、ベータのほうが性能がよかったらしいんだけど、VHSのほうがメジャーなメーカーを複数押さえたことで標準規格を勝ち取った。だから、覇権があっても、覇権争いは起こるんですよ。 だから、西側世界がしばらく世界を仕切ってきて、いろんな規格を世界中に押しつけて、異なった文明は居心地の悪い思いをしながら従ってはきたものの、この規格でなくてもいいんじゃないかとみんな思っているわけだ。そのときに、別の規格が提案されて、そっちのほうが安く使えますというオファーが来たら、乗り換えることは十分考えられる。 今、中国と西側は、そういう関係になりかかっているんじゃないか。中国が世界中をこれで仕切るという新しい規格を提供する力があるのかどうか、世界はそっちに乗り換えるのかどうかという、そういう話なんですよ。 大澤:ああ、世界の規格がドラスティックに置き換わるという話なんですね。これはかなり怖い話ですよ。 橋爪:そのための一番手近な問題として台湾がある。台湾を解放できなければ、中国にはそういう能力がないということになるから、中国は世界を仕切るもう一つのオプションになることができない。しかし、台湾を中国の思うように解決すれば、もはや中国はローカルな政権ではなくて、グローバルな覇権国だということが明らかになる。こういう話だと思う。 ただ、イギリスがアメリカになったように、アメリカが中国になるかというと、全然系統が違うので、そのリスクは甚だしく大きいと思う。このことは簡単に証明できる。中華人民共和国憲法を見てみると、中国共産党の条項がない。 大澤:ポイントはそこですね』、「中国が世界中をこれで仕切るという新しい規格を提供する力があるのかどうか、世界はそっちに乗り換えるのかどうかという、そういう話なんですよ。 大澤:ああ、世界の規格がドラスティックに置き換わるという話なんですね」、「中華人民共和国憲法を見てみると、中国共産党の条項がない」、初めて知ったが、中国にとっては都合がよさそうだ。
・『人類の運命を一人の人間に預けていいのか  橋爪:前文に、中国共産党が頑張ったから、中華人民共和国ができたのでよかったというようなことが書いてあるんだけど、第1条から最後のほうまで読んでも、中国共産党の規定がないんですよ。普通の立憲君主制であれば、存在すべき団体はすべて憲法に書いていなければならない。アメリカ合衆国憲法だったら、大統領が存在し、議会が存在し、最高裁判所が存在し、ときちんと規定がある。 ところが、中華人民共和国憲法に中国共産党が書かれてないということは、中国共産党は国家機関じゃないということだ。中華人民共和国憲法によってコントロールされないということだ。 中国共産党は任意団体であって、超憲法的な存在として中華人民共和国を指導して、支配しているということなんです。これはもう世界中の憲法とまるで違う。似ているのはソ連の憲法くらい。ソ連の憲法は、ソ連共産党が超法規的に、ソビエト社会主義連邦共和国を支配していたので、それを真似したものが残っているんですね。 こんなものが世界標準になって、世界中を支配していいのか。憲法が中国共産党をコントロールしないとすれば、中国共産党は自分で自分をコントロールするしかない。しかし、中国共産党はそうではなく、中央委員会、政治局常務委員会、チャイナセブンといったものがコントロールしていて、そのトップの総書記が実権をすべて握っているわけです。これはもう完全な権威主義で独裁じゃないですか。 これは伝統的に中国のやり方ではあるが、人類の運命を一人の人間に預けてしまっていいのか。これを世界のやり方として認めていいのかどうか。まずそういう問題があることを深刻に認識したうえで、台湾の問題を考えなきゃいけないと思いますよ。 大澤:なるほど。説得力ありますね。巨大中国を取り仕切っている共産党が憲法の条項にも載っていない、ただの任意団体であるということは、『おどろきのウクライナ』でも言及しましたね。しかし、いまやそのトップがただならぬ権力を握っていて、世界に影響を及ぼそうとしている。おっしゃるとおり、これはもう人類の未来の問題といっていい。我々自由主義陣営がどう押し返すか、今が正念場だと僕も思います』、「中国共産党はそうではなく、中央委員会、政治局常務委員会、チャイナセブンといったものがコントロールしていて、そのトップの総書記が実権をすべて握っているわけです。これはもう完全な権威主義で独裁じゃないですか。 これは伝統的に中国のやり方ではあるが、人類の運命を一人の人間に預けてしまっていいのか。これを世界のやり方として認めていいのかどうか。まずそういう問題があることを深刻に認識したうえで、台湾の問題を考えなきゃいけないと思いますよ」、「もう人類の未来の問題といっていい。我々自由主義陣営がどう押し返すか、今が正念場だと僕も思います」、強く同意する。
タグ:AERAdot「元自衛隊陸将が解説 台湾有事で日本に起こりうる「シナリオ」と「課題」」 台湾 (その6)(元自衛隊陸将が解説 台湾有事で日本に起こりうる「シナリオ」と「課題」、中台の緊張激化の中、中国抑止をどう考えるのか 中国の台湾政策変遷の背景にある3つの変化、巨大中国が「台湾侵攻」に踏み出す決定的理由 「ロシア暴走」の教訓は覇権国争いに生きるのか) 薬師寺 克行氏による「中台の緊張激化の中、中国抑止をどう考えるのか 中国の台湾政策変遷の背景にある3つの変化」 東洋経済オンライン 「「中国軍が台湾東部に上陸するためには、台湾と与那国島の間を通る可能性が高い。地対艦ミサイルの射程などを考えれば、中国は石垣島より西側の島々から妨害行動を受けることを想定し、戦域として考えているだろう」と語る。同時に「中国の立場では、日本が尖閣諸島を不法占拠していることになる。当然、尖閣も戦域に含まれる」」、なるほど。 「与那国島や石垣島などでの住民避難が課題になる。山下氏は「どの時点で、どのくらいの規模で、どこに、どのように避難するのか、早急に訓練を始めるべきだ」」、「こうした複雑な事態を指揮する政治家の判断も重要になる」、単に自衛隊に任せておくば済む話ではない。訓練の準備だけでも早急に始めるべきだ。 「連日のように中国海警局の船が日本の接続水域内に入り、時には領海内にまで侵入を続けている。人海戦術で同じ行為を長期間にわたって継続し、相手を疲弊させ諦めさせようとでもいうのだろう」、「台湾海峡でも同じ手法だとすれば、戦闘機の中間線越えはこれから先も長く続くかもしれない」、覚悟する必要がありそうだ。 「香港の現状が示すように習近平にとって「一国二制度」はもはや意味のない構想なのだ」、もう恰好つけずに本音でいくようだ。 「習近平や共産党の権力維持の正統性が揺らぎかねない状況となりつつある。そうした不安が習近平を焦らせているのかもしれない」、「対中強硬政策はバイデン政権になっても継承・・・民主党と共和党が、中国問題については強硬論で一致」、「「一国二制度」が空中分解すると、台湾の各種世論調査では過半数が台湾の独立を支持するようになってきた」、 これでは「個人の言動が厳しく監視され規制される中国本土との統一など望む人はいないだろう」、「統一」には難しい局面だ。 「抑止力の本来の目的は、相手国の軍事行動を押しとどめ、外交による問題解決を可能にすることにある」、「軍事的衝突を回避するためにも、多角的分析や思考を踏まえた解決の道を探っていかなければならない」、同感である。 橋爪 大三郎 大澤 真幸 「巨大中国が「台湾侵攻」に踏み出す決定的理由 「ロシア暴走」の教訓は覇権国争いに生きるのか」 おどろきのウクライナ』(集英社新書 「アメリカをうまくだましたんです。いかにも民主主義になりそうなリップサービスをしておきながら、そのつもりは全然なかった。科学技術も資本も全部欲しいものは手に入れた。いよいよ中国を中心に世界を動かしますからねという話になってきた。それで今、アメリカも世界もびっくりしているという状態」、「中国の場合は、通常戦力で勝てますから、核兵器を使う必要がない。核兵器は念のため奥の手にとってあればいいので、通常戦力でやるつもりでしょう」、なるほど。 「中国が通常戦力で台湾に上陸して、台湾に新しい政府をつくるということです。それで、形も整うでしょう。そうなると、中国は一つだという中国に、外部から軍事介入する理由がなくなる。だから、これで終わりということになる」、「「台湾を守ります」とかバイデンが言っていたのにそうならなかったわけだから、アメリカは約束を守る能力がなかったということになり、覇権国ではなくなる。 そして、文字どおり、中国がアメリカに代わって世界の覇権国になり、まったく新しい時代が始まる」、「ロシアとインドが中国に寄ってきて、東南アジアは中国圏になります。アフリカも中国になびき、ヨーロッパの貧しい国は中国にがんじがらめになる。さらに中央アジアが中国となって、ラテンアメリカも中国圏になり、残ったのはアメリカとヨーロッパ、そして日本だけという世界が待っているかもしれない」、嫌だが、ありそうなシナリオだ。 「中国が世界中をこれで仕切るという新しい規格を提供する力があるのかどうか、世界はそっちに乗り換えるのかどうかという、そういう話なんですよ。 大澤:ああ、世界の規格がドラスティックに置き換わるという話なんですね」、「中華人民共和国憲法を見てみると、中国共産党の条項がない」、初めて知ったが、中国にとっては都合がよさそうだ。 「中国共産党はそうではなく、中央委員会、政治局常務委員会、チャイナセブンといったものがコントロールしていて、そのトップの総書記が実権をすべて握っているわけです。これはもう完全な権威主義で独裁じゃないですか。 これは伝統的に中国のやり方ではあるが、人類の運命を一人の人間に預けてしまっていいのか。これを世界のやり方として認めていいのかどうか。まずそういう問題があることを深刻に認識したうえで、台湾の問題を考えなきゃいけないと思いますよ」、 「もう人類の未来の問題といっていい。我々自由主義陣営がどう押し返すか、今が正念場だと僕も思います」、強く同意する。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感