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労働(その3)(再来した大リストラ時代と「雇用流動化」礼賛の幻想、リスク管理に鈍感なトップが捨て石にする「定年人材」、タクシー会社「600人解雇騒動」が混迷続く実情 ロイヤルリムジン 直前まで積極拡大の謎) [社会]

労働については、2018年11月28日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その3)(再来した大リストラ時代と「雇用流動化」礼賛の幻想、リスク管理に鈍感なトップが捨て石にする「定年人材」、タクシー会社「600人解雇騒動」が混迷続く実情 ロイヤルリムジン 直前まで積極拡大の謎)である。

先ずは、昨年10月15日付け日経ビジネスオンラインが掲載した健康社会学者(Ph.D.)の河合 薫氏による「再来した大リストラ時代と「雇用流動化」礼賛の幻想」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00044/?P=1
・『「もうね、会社としてはできるだけ65歳まで雇いたくないんです。なのに今度は70歳まで雇えって言ってるでしょ。その結果、何が起こってると思います? 強烈な肩たたきです。 うちの会社では48歳になると希望退職制度を利用できるんですが、雇い続けたい人からやめてしまうんです。だからターゲットを絞って、圧迫面接を繰り返す。あの手この手でじわじわ追い詰めるんです。特にメンタルを低下させてる社員は狙われます。50代になってメンタルやってる人って、やっぱり色々と問題がありますからね。 ただ、あまりやりすぎるとパワハラになってしまうから気をつけなきゃなんですけど、会社側もわりと強気で。多分、以前より転職しやすくなったとか、日本型雇用はもたないっていう意見が増えてるからだと思います。 僕は圧力をかける方なんで、正直しんどいですよ。 圧力かければかけるほど相手は意固地になる。根比べです。人事には数値目標が与えられるので仕事なんだと自分に言い聞かせてますけど、俺何やってんだろうと思うことは正直あります」 これは半年ほど前にインタビューしたある執行役員の男性が話してくれたこと』、「圧力かければかけるほど相手は意固地になる。根比べです。人事には数値目標が与えられるので仕事なんだと自分に言い聞かせてます」、立場上とはいえ嫌な役回りだ。
・『すでに大リストラ時代が再来している  彼の話を聞いたときには「まぁ、そうなるだろうね。だって会社は50歳以上は戦力外としか見てないんだもん」とやるせない気分に陥っただけだったが、今は絶望的な気分に襲われている。 先日東京商工リサーチが公表した「希望・早期退職」者数の合計によると、なんと今年1~9月までの上場企業が募った「希望・早期退職」者数の合計が1万342人で、6年ぶりに年間1万人超えが確定したというのである。 問題はその理由だ。これまでは「景気が悪くなる→希望退職者を増やす」が定説だったが、業績の良い企業でも将来を見込んで続々と「お引き取りください!」攻勢に出ているというのだからたまったもんじゃない。 「バブル期に大量入社した社員の過剰感を是正し、人員削減で浮いた金を若手や外部人材に回す。今後もこの動きは続く可能性は高い」(東京商工リサーチ関係者談) 具体的には、最も多かったのが富士通の2850人で、ルネサスエレクトロニクス(約1500人)、ジャパンディスプレイ(約1200人)、東芝(1060人)、コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングス(950人)、アステラス製薬(約700人)、アルペン(355人)、協和キリン(296人)、中外製薬(172人)、カシオ計算機(156人)と続いていた。 既に一年前から、東芝はグループで7000人削減、富士通はグループで5000人を配置転換、NECは3000人削減、三菱UFJフィナンシャル・グループは9500人分、三井住友フィナンシャルグループは4000人分、みずほフィナンシャルグループは1万9000人分の「業務量」削減……などなど、50代のバブル世代に「リストラの嵐」が吹き荒れていたけど、「将来」を見越して、“おじさん・おばさん社員”が切られている。「将来」っていったいいつ? その「将来」に切りまくっている経営陣は会社にいるのか?) 私はこれまで何度も、「追い出し部屋もやむなし。だって、日本ではクビにしたくてもできない」「日本の正社員ほど守られてる会社員はいない」という意見を耳にしてきた。 そして、二言目には「終身雇用が悪い」「解雇規制が厳しすぎる」「流動性がない」とのたまい、解雇規制を緩和すべし、流動性を高めるのが先決、そうしないと経済成長はない!と鼻息を荒くする人たちに何度も会った。 解雇規制が厳しい、解雇のハードルが高い、といわれる国で、これだけの人たちが「希望退職」という美しい言葉の名のもとに仕事を打ち切られている。しかも、それが景気や企業の業績に関係なく進められているのだ。 そこで今回は、 +「解雇のハードルが高い」は本当か? +雇用の流動性は本当に低いのか? +流動性が高まれば経済成長するのか? という点を様々なデータから整理した上で、「リストラの先」にあるものについて考えてみる。これらの“当たり前”とされていることの真偽を確かめることで、隠されている本当の問題に向き合おうと思っている次第だ』、「業績の良い企業でも将来を見込んで続々と「お引き取りください!」攻勢に出ている」、確かにかつてとは様相が違ってきたようだ。
・『「日本は解雇のハードルが高い」は間違い  まず、解雇のハードルの高さについて、経済協力開発機構(OECD)で使われるEPL指標(Employment Protection Legislation Indicators)で、欧米諸国と比べてみよう。EPL 指標は、雇用保護法制の強さを指数化したもので、指数が高ければ高いほど、規制が厳しいことを意味する。 欧州、特にオランダ、デンマーク、スウェーデンなどでは、1970年代から流動的な労働市場政策を進めてきた。一方、ドイツは欧州の中でも比較的解雇規制が厳しいとされている。なので、ここではこれら4つの国に米国を加えて比較してみる(OECD Employment Outlook2013より)。 正規雇用の場合、日本のEPLは2.09。これはOECDの平均2.29を下回り、雇用保護が低い=解雇しやすいグループに入る。一方、米国は1.17とかなり低い。 一方、デンマーク2.32、スウェーデン2.52、オランダ2.94といった国々では、いずれも日本を上回り、解雇規制が厳しいドイツ2.98とさほど差はない。 では、非正規雇用ではどうか。 OECD平均が2.08なのに対し、日本は1.25。スウェーデン1.17 、オランダ1.17、ドイツ1.75、デンマーク1.79、米国0.33だ。 つまり、「日本は終身雇用制度があるから、クビにできないから追い出し部屋やむなし」「解雇規制が厳しいから希望退職で圧力をかけるしかない」というのは間違い。EPLで比較する限り、正規雇用・非正規雇用とも日本はどちらかといえば解雇しやすい国に分類される。解雇への制約の存在を「日本型雇用システムの最大の特徴」と捉えるのは適切とはいえないのである。 また、雇用の流動性が高いというイメージのある米国も、近年は転職率が低下しているという指摘がある。企業側が長期雇用の利点を生かそうとしている動きに加え、IT技術の進歩が速いために転職する場合に「今のスキルが陳腐化している」という現実があり、働く人にとっても転職の利点が激減しているのだ。 そもそも欧州の国々では「労働者の人権を守る」哲学が浸透しているので、解雇するには正当な理由をかなり厳しく要求する法制が細かく決められている。さらに、こちら(「正社員「逆ギレ」も、非正規の待遇格差が招く荒れる職場」)でも書いた通り、欧州は原則的に有期雇用は禁止だ。 有期雇用にできる場合の制約を詳細に決めていて、期間も限られている。日本のように、非正規で何年も雇い続けることができない上に、非正規は「企業が必要な時だけ雇用できる」というメリットを企業に与えているとの認識から、非正規雇用には不安定雇用手当があり、正社員より1割程度高い賃金を支払うのが“常識”である。 OECDが日本に改善を求めているのも、実はこの点である。日本では「正社員は保護されすぎ」という意見が一般的だが、そうではなく非正規を都合よく使っていることを問題視しているのだ』、「正規雇用・非正規雇用とも日本はどちらかといえば解雇しやすい国に分類される」、とは初めて知った。「欧州は原則的に有期雇用は禁止」、「非正規雇用には不安定雇用手当があり、正社員より1割程度高い賃金を支払うのが“常識”である」、通説の誤りを明確に示してくれた。
・『日本の雇用流動性は必ずしも低いわけではない  では、次に雇用の流動性についてみてみよう。雇用の流動性が高ければ、次の職場に簡単に移動できるため失業期間が短くなるはずである。ところがここでも驚く結果が得られている(『データブック国際労働比較2018』独立行政法人 労働政策研究・研修機構)。(出典:・・・) ご覧の通り、OECDのデータでは6カ月以上1年未満でほとんど差がない。この傾向はその他の失業率を示したデータでも同様に認められている。一方、1年以上の長期失業率は日本39.5%に対し、デンマーク22.5%、オランダ42.7%、スウェーデン16.8%、米国13.3%となっている。 「ほらね! やっぱり日本は流動性が低いから長期失業の人が多い!」と解釈するのは短絡的だ。失業期間や失業者の定義は国によって違うし、景気動向や年齢構成によっても異なる。日本では女性が育児のために一時的に労働市場から離れる割合が高いのと、高齢化の影響もある。日本の高齢者が欧米に比べ70歳まで働きたい、働かざるを得ない状況にあることは、周知の事実だ。 もちろん失業率のデータだけで一概に結論づけることはできないけど、少なくとも日本の流動性が低いと言い切れる数字ではなく、欧州の国々と比較しても、日本の労働市場のパフォーマンスは必ずしも悪くないのである。) 次に、流動化を進めれば経済成長するのかということを、賃金の変化から見てみよう。転職には、自分キャリアアップのためにする自主的な場合と、希望退職も含めて会社都合の解雇があるが、ここでは後者にスポットを当てる。 流動性の高い米国ではこの手の調査が蓄積されていて、全体的には「転職で賃金が減る」という結果の方が圧倒的に多い。割合にすると15%程度の減額で、その状態は5年以上続き、回復したとしても2~3%程度とされている。特に景気が悪い時に解雇されると、20年近くも低賃金の状態が持続するという実証研究もある。 デンマークの場合も同様で、解雇された年は12~15%程度下がる。ただ、3年目以降は徐々に回復するとされている。 つまり、「流動性が高くなる→スキルが活かせる→賃金が上がる」という方程式は必ずしも成立しないのだ。 特に日本の場合、どんなに流動性が高まってもいったん「正社員」の座を離れると「非正規」として雇用されるケースが圧倒的に多く、特に50代では正社員雇用を望むのはまず無理。 実際、「雇用動向調査」でも、20~30代では転職後に賃金が増加する人の割合が高いが、特に男性は40代後半以降、減少する人の方が多く、これが「将来」的に改善するとは到底思えない。 さらに、大企業では50歳以上でリストラした人を子会社や関連会社に押し付けるケースも散見され、その人の賃金を払うために他の従業員の賃金が抑制されるという不都合な真実も存在する。 つまるところ、雇用流動化論を強く主張する人たちが想定しているような、「生産性の低い産業や企業から生産性の高い産業や企業に人々が移れば、経済全体の成長率も高まる」という都合のいい現象は起きていない。 逆に、生産性の低い産業に、低賃金で、不安定な状態で雇用されるパターンが実態に近いので、「流動性を高めることで生産性を高める」という理論は妄想に近いかもしれないのだ』、「「流動性を高めることで生産性を高める」という理論は妄想に近いかもしれないのだ」、データで示されると説得力が増すようだ。
・『リストラは残った社員にも悪影響を与えている  最後に、解雇が労働者に与える影響、すなわち「リストラの先」にあるものについて、得られている知見を紹介する。 基本的な理解として、リストラや失業が、体の健康や精神健康と関連が深いことは、以前から指摘されてきた。たとえば、失業している男女は、超過死亡(予想される死亡数に対しての増加分)の頻度が高いほか、主観的健康度も低いというのが研究者の一致した見解だった。 そんな中、リストラという“イベント”そのものが健康に悪影響を及ぼすのか、それとも失業しているという“状態”が悪いのかを検討するために、1990年代、イギリスで大規模な調査が行われた。 その結果、リストラ直後にほとんどの人の精神健康が悪化したのに対し、失業期間との関連は認められなかった。また、周りが次々とリストラされ、「自分もリストラされるかもしれない」との不安を感じた人は、リストラされた人と同じくらい精神的健康度の低下が認められたのだ。 つまり、リストラというイベントは当人だけでなく、周りの社員にも「自分もいつか……」という恐怖を与え、会社からすれば「わが社の社員として頑張ってほしい!」と期待している人のメンタルにまで悪影響を及ぼしかねない「悪行」なのだ。 また、米国の実証研究では、リストラで平均余命が1年から1年半ほど短くなるとの結果もある。同様の結果は、ノルウェーでも認められていて死亡率は14%上昇する。 さらに、リストラの影響は「次世代」にも影響する。 カナダで行われた調査では、父親のリストラがその子どもが大人になったときの年収を9%下げることが分かった。父親のリストラで収入が下がるため、子供の教育費用を減少させたり、父親が不健康になることが子どもの成長に悪影響を与えるのだ。 これらの結果から言えるのは、リストラが社会に及ぼす影響は広範囲にわたるってこと。本当に「未来を見据える」のであれば、安易にリストラに手を出すのは本末転倒。「今いる社員」が仕事への意欲を高められるような施策を講じることが先だ。 実際、日本が「世界」の代表と仰ぎみる米国では、社員を長期雇用する企業が増えており、長期雇用におけるプラス面の研究が近年急速に広がっている。 念のため断っておくが、私は転職したい人のスキルが生かせるような流動性は必要だと考えている。だが、ただ流動性さえ高まれば万事うまくいくみたいな幻想は危険だし、捨てた方がいい。 どんなに希望退職や早期退職というオブラートに包んだ表現を使っても、その実質はリストラであり、それは1人の人間の人生を大きく翻弄する“刃(やいば)”であり、周りにも悪影響を及ぼす最悪の「経営手段」だ。 こうした意識が薄らいでいるのは、その凶器に対して鈍感な人が増えてしまったのか、あるいは「自分には関係ない」と思っている人たちの発言力が増しているからなのか。そして、きっと「だから50代はコストが高いわりに働きが悪いことが問題なんだよ!」と、年齢の問題にされてしまうのでしょうね、きっと』、「どんなに希望退職や早期退職というオブラートに包んだ表現を使っても、その実質はリストラであり、それは1人の人間の人生を大きく翻弄する“刃”であり、周りにも悪影響を及ぼす最悪の「経営手段」だ」、「リストラの影響は「次世代」にも影響する」、には驚かされた。河合氏の説得力溢れた主張には、全く同感である。

次に、本年1月28日付け日経ビジネスオンラインが掲載した同じ河合 薫氏による「リスク管理に鈍感なトップが捨て石にする「定年人材」」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00060/?P=1
・『このところどこにいっても、「定年」が話題となる。 「定年って、本当になくなるんですかね」「定年とか、もう時代に合わないですよね」「定年がなくなることはないよ。賃金を下げるきっかけがなくなるから」といった一般論的な話から、 「うちの会社では定年がなくなるらしいって話が出てるんですが、『いつまで働きゃいいんだ』とか反対する輩(やから)がいる。やめることさえ自分で決められないかと思うと悲しくなります」 「定年なくすとかやめてほしい。そんなことされたら妻にずっと働け!とか言われそう……」などといった、「うちの会社」「うちの家庭」の話まで。 さらには…… 「うちの会社で定年がなくなると聞いたので、安心して転職活動をしていたら、人事に呼ばれて、『早期退職するか、会社が紹介する関連会社に行くか決めてほしい』と迫られた」(男性) 「え? 転職活動していることが問題なんですか?」(河合) 「いや、そのことは知らないと思います。定年はなくすけど、会社がいらない人ははじくってことなんでしょう。会社の外の状況についても、社内の自分の立場についても、完全に見誤りました。自分の認識の甘さが嫌になります」(男性)』、「定年なくすとかやめてほしい。そんなことされたら妻にずっと働け!とか言われそう……」、との意見には微笑まざるを得なかった。
・『早期退職やフリーランス化が推奨される  定年──。かつては現役から老後への切り替えの儀式だったものが、役職定年、定年後雇用延長など、コストの高い会社員の賃金を下げる節目になった。そして今、定年という言葉が消滅するかも? という時代に突入している。 ご存じのとおり、今国会には、企業に70歳までの就業機会確保への努力義務を課す「高年齢者雇用安定法」の改正案が提出される。その一方で、将来的には「努力義務→義務化」となることを見込んで「今のうちに切っちゃえ~!」と40代後半以上をターゲットにした早期退職の募集・実施は増える一方だ。 東京商工リサーチが1月15日に発表した調査結果によると、2019年(1~12月)に早期・希望退職者を募集した上場企業は延べ36社、対象人数は計1万1351人。過去5年間では最多で、最も少なかった18年と比べると、社数、人数ともに約3倍だった。 実施企業のうち6割は業績不振によるリストラだが、業績が良い中での先行型も目立つ。「製薬」分野の企業は4社中3社が直近の決算が増収増益だった。今年も既に9社が実施を公表し(対象人数は計1550人)、9社のうち直近の決算で最終赤字、減収減益となったのはそれぞれ1社。他の7社は業績が堅調な業界大手が占める。 義務化に加え、定年後雇用延長で賃金が激減するのを不服とする裁判も増えているので、今後もこの動きに拍車がかかる可能性は高い。 いずれにせよ、かつて65歳までの雇用が義務化されたときに、低賃金で雇用延長に応じる仕組みを導入する企業が多かったように、今後もあの手この手で企業はコスト負担がかからない方法を繰り出すはずだ。 もっとも、政府の方針にもその布石は打たれている。 政府は「70歳雇用」の選択肢として、現行の定年延長、定年廃止、契約社員などでの再雇用の3パターンに加え、「他企業への就職支援」「フリーランスとして働く人への業務委託による支援」「起業支援」「社会貢献活動などへの支援」の選択肢を提示。 タニタが、社員が「個人事業主=フリーランス」として独立するのを支援する新しい制度を導入して物議をかもしたが、どんなハサミも使いようで刃(やいば)になる。あまり考えたくはないけど、悪知恵を働かせて「雇用する責任」を放棄しようと思えばどうにでもなる。 「元気で意欲のある高齢者に経験や知恵を社会で発揮してもらえるように法改正を目指す」(by 安倍晋三首相)ではなく、「ますます元気と意欲を萎えさせる法改正」になりかねない。政府が70歳まで働ける法律を厳しくすればするほど、シニアだけではなく、すべての働く人たちの雇用環境が厳しさを増す可能性が高いと覚悟した方がいい。 本来「会社」とは、単なる市場労働の場ではなく、社会組織であり、共同体であり、そこで働く人たちが安全に暮らせるようにすることを最大の目的とする社会的リソースだが、その役割自体が大きな節目にさしかかっている。 言い方を変えれば、「トップ次第」。今まで以上にトップが、何に価値を置き、どう動くか。トップの質が問われていると言っても過言ではない。 面白い調査結果を紹介する。 +65歳まで働く制度がある企業は99.8% +8割弱が「定年後継続雇用制度」を導入 +定年を65歳にしているのは17.2% +60歳で会社を辞める人は約15% +「継続雇用を希望したが、雇用されなかった人」は0.2%  これは(「令和元年『高年齢者の雇用状況』集計結果」)の内容だが、企業規模別の分析に注目すると以下のようになる。 +定年を65歳にしている企業は、中小企業が17.9%で、大企業の10.6% より多い +希望者全員が66歳以上になっても働ける企業は、中小企業が12.6%なのに対し、大企業は4.2%とかなり少ない  体力のある大企業より、体力のない中小企業の方が、コストが高いとされるシニアが長く働いているのだ』、「2019年・・・に早期・希望退職者を募集した上場企業は延べ36社、対象人数は計1万1351人。過去5年間では最多で、最も少なかった18年と比べると、社数、人数ともに約3倍」、「実施企業のうち6割は業績不振によるリストラだが、業績が良い中での先行型も目立つ」、企業側はいち早く手を打っているようだ。
・『元気な中小企業は60代を生かしている  おそらく中小企業が大企業を上回った点について、「人手不足だから切りたくても切れないんだろう」と安直に考える人もいるに違いない。 だが全国津々浦々さまざまな企業を訪問していると、中小企業では元気な60代が目立つし、そういった企業は決まって業績もいい。そして、例外なく企業のトップが現場に近い。 学生の大企業志向が高まる中でも、大学や高校にリクルーターが出向いたり、独自の賃金体系で人材確保に努めたりしている。外国人の労働者も「はい、いらっしゃい~」とただ迎えるのではなく、トップ自らが海外に足を運び、大学や企業と連携。来日してからは「異国で暮らすのは大変だから」と、日本人より高い賃金で雇っている企業も少なくない。 経営学者で東京大学教授の藤本隆宏先生にお会いしたときに、「かわいそうな中小企業はあるけど、中小企業がかわいそうというのは嘘。社長が走り回って仕事をつくり、付加価値が生まれる現場を大切にしている」とおっしゃっていたけど、まさにその通りだ。 「日本型雇用の限界」だの、「危機感のない50代が多い」だのと嘆く前に、トップ自らが動き、きちんと経営する。会社=働く人たちが安全に暮らせるようにすることを最大の目的とするリソース、という当たり前を、トップが頭と体を120%使って維持しているのである。 念のため断っておくが大企業でも、「50代問題? そんなのうちにはないよ。本人のやる気があれば70歳まで働けるし、AI(人口知能)とかリモートワークをうまく使ってシニア社員が能力を発揮できる制度を色々と進めてますから」とあっけらかんと話すトップもいる。 そういった企業は例外なく、「すべての社員が生き生きと働ける職場」をゴールに、女性、障害者、外国人も含めた元気になる仕組みを社内の隅々までつくり、頑張った人が報われる制度と手を挙げた人をサポートする教育制度をつくり、社員に裁量権を与え、人への投資をしている企業だった。 とにもかくにも国から強制されずとも長期雇用し、年齢で区切ることのバカらしさが分かっているトップは、「信頼の上に信頼は生まれるのであって、不信が信頼を生み出すことはない」という当たり前を行動で示している。 身もふたもない言い方になってしまうけど、要はトップ次第。トップの経営の器量が定年への考え方に如実に表れるのである』、「「日本型雇用の限界」だの、「危機感のない50代が多い」だのと嘆く前に、トップ自らが動き、きちんと経営する。会社=働く人たちが安全に暮らせるようにすることを最大の目的とするリソース、という当たり前を、トップが頭と体を120%使って維持しているのである」、こうした「トップ」が例外的存在のようなのは残念だ。
・『自社のリスクを冷静にとらえられない日本企業  そんな中、絶望的になる記事が日本経済新聞の一面に掲載された(1月23日付朝刊)。 日本経済新聞社が上場企業3300社を対象に有価証券報告書で開示が義務付けられている「事業等のリスク」の文字データをテキスト解析したところ、日本企業が気候変動や高齢化がもたらすリスクに言及した割合は1割にとどまり、海外勢に比べかなり遅れていることが分かったという(以下、抜粋し要約)。 +人材確保や税制の変更、減損といったリスクを米国では9割前後の企業が開示している。ところが東証1部に上場する代表的な225銘柄で構成する日経平均株価の採用企業では6割程度で、全上場企業だとたったの3~4割にすぎない。例えば人手不足などで24時間営業の取りやめなど見直しを迫られているコンビニ各社でさえ、人材に関する言及がなく、具体的な対策の記述が乏しかった。 +気候変動がもたらすリスクへの言及は、米企業も44%と過半に満たないが、日本ではさらに低く、全上場企業のたったの13%だ。 +米国では日用品や医薬など65%がブランドイメージ低下のリスクを記載したのに対し、日本はたったの2割だった。  記事によれば、「日本企業の開示は、自然災害(全上場企業で72%)など、多くの企業にあてはまる一般的なリスクが中心で、企業固有のものや業務に関わるリスクへの言及が少ない」(by SOMPOリスクマネジメントの松原真佑子上級コンサルタント)とのことだ。 つまり、「自分の会社が見えてない」のだ。50代以上の社員をお荷物扱いする企業は、「シニア社員は自分の立場を分かってない」と揶揄(やゆ)するけれど、企業トップも自分の会社のことが客観的に見えてない。自分を客観的に見て受け止めないと、人が成長しないように、企業も「自分」を客観的に見ることなくして成長などない。 自分が見えないと、改革はおろか、改善もできず、目先のカネばかりに目がいくようになる。そして、企業が存在する意義、価値判断が重要な時代なのに、他者判断に流される経営しかできなくなる。 これは……絶望的、だ。) いつぞや「現場の不正問題」が明らかになったときに、記者会見でこう逆ギレ気味にふてくされた顔で言い放ったトップを覚えているだろうか。 「私が朝会社にきて最初にやるのは私宛のお客様からのご意見、ご要望、社員の文書確認。支社長には現場の声を上げろと言っているが全部は把握できない。なので、私としてはもうちょっと現場を回る、お客様を回るという活動をしておるところでございます。ただ、これでも全部が分かるわけじゃないので、吸い上げる仕組みというのは今後もつくって参ります」 吸い上げる仕組み? ふむ、いったいこのトップは何を言っているのだろうか。日本の企業のリスク開示が壊滅的に低いのは、このトップと似通った考えを持っているトップによるものだと考えていい。 どんな仕組みをつくったところで、下が上に伝えるのは「自分の責任にならない」ことのみ。トップが「下」におり、自ら手に入らない情報を探す気構えがなければリスク管理などできるわけがないのである。 元気な企業も成功するチームも例外なく全員が戦力で、全員が考え、動き、話し、働いている。その全員には「トップ」も入っていなきゃダメだ。「吸い上げる仕組み」となどと、のうのうと言ってる場合ではないのである』、「事業等のリスク」の開示は始まったばかりなので、内容がお粗末なのもやむを得ない気がする。ただ、「日本企業の開示は、自然災害(全上場企業で72%)など、多くの企業にあてはまる一般的なリスクが中心で、企業固有のものや業務に関わるリスクへの言及が少ない」、との批判には真摯に対応するべきだろう。「元気な企業も成功するチームも例外なく全員が戦力で、全員が考え、動き、話し、働いている。その全員には「トップ」も入っていなきゃダメだ。「吸い上げる仕組み」となどと、のうのうと言ってる場合ではないのである」、同感である。
・『定年は50歳にした方がいい  さて、定年問題に戻る。 かつていち早く定年廃止を打ち出した日本マクドナルドが、「定年を延長したら若者が育たなくなった」として定年廃止を廃止した(ややこしい)ことがある。定年延長や定年廃止は、決して単純な問題ではない。 先の「高齢化がもたらすリスクなどへの言及は1割」「人材などに関する言及が3~4割」で、「具体的な対策がない」企業が圧倒的に多いとするなら、「70歳まで雇用義務化」は、想像以上に複雑な問題を引き起こしかねないとみるべきだろう。 個人的な意見を言えば、私は定年は思い切って50歳にした方がいいと考えている。その上で企業には、今回政府が提示した「7つの支援策」を行う義務を課せばいい。50歳になった途端、役職定年だのなんだのと戦力外扱いを始めるより、のれん分けのように起業したり、個人契約で今までと同じ業務に携わったり、他の企業で心機一転スタートしたり、NPO活動などで頑張る選択肢がある方がいい。それを会社が支援する。 50代なら体力もあるし、気力もある。たとえ失敗しても「なにくそ!」と踏ん張ることができる。だって、気持ちは40代、いや、中にはずうずうしくも20代のつもりの人も少なくないからだ。だが、60代になると……気力も体力も確実に落ちる。50代でもなりたてのときと、後半にさしかかるのとでは比べものにならないくらい違う。 私はこれまでも「長期雇用=職務保証」の重要性を繰り返し訴えてきたが、50歳を節目に、会社は形を変えて長期雇用すればいい。 そして、本人と企業が一緒に「高齢化リスク」を考え、シニアの経験や知識、新しい知識の吸収、体力のある若い人、ITやAIなど、社内外のリソースをモザイクのように組み合わせ補う働き方を模索する。1+1=2が、3にも4にもそれ以上にもなるような働き方は色々とあると思う。 どんな形であれ、“The whole is greater than the sum of its parts(河合訳:全体は部分の総和に勝る).”というアリストテレスの言葉を信じ、すべてのメンバーが生き生きと働く「共同体=会社」を維持する方法を模索すべきじゃないか。 もちろんそのためには、働く人も「定年がなくなったら、いつまで働きゃいいんだか分からなくなる」なんてことを言ってないで、自分の生き方・働き方は自分で決める覚悟を持ってほしい』、「定年は50歳にした方がいい」、同感である。「全体は部分の総和に勝るというアリストテレスの言葉」、ギリシャ文明の偉大さを再認識した。

第三に、5月27日付け東洋経済オンラインが掲載したライターの栗田 シメイ氏による「タクシー会社「600人解雇騒動」が混迷続く実情 ロイヤルリムジン、直前まで積極拡大の謎」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/350182
・『ロイヤルリムジングループ(以下、ロイヤルリムジン)が4月8日、従業員600人に対して一斉に解雇を言い渡した問題は、解雇発表から1カ月以上が過ぎた今なお混迷が続いている。 当初は、失業手当(失業保険給付)を受給させて再雇用を図るという、従業員の生活を守るための“美談”のように取り扱われたが、むしろほころびが目立ち始めたのだ。 同社は、従業員に失業手当を速やかに申請するためという理由で、解雇発表後に『退職合意書』の提出を迫り、形式上は合意退職として事態を収めようとした。ところが不当解雇に当たる、と不服を申し立てた従業員たちが立ち上がり、団体交渉は現在も継続中だ。 一部の従業員は地位確認を明らかにするため、金子健作社長に解雇撤回を求めた。状況を見かねたロイヤルリムジンは解雇撤回を労働組合に伝え、発言や態度を二転三転させるという対応も明らかになっている』、こんな馬鹿な話があるかと呆れたが、いまだに決着してないことに驚かされた。
・『5月16日から一部の事業を再開したが…  その後、解雇は無効だとして従業員としての地位確認を求める仮処分を申し立てていた従業員81名は、生活困窮で訴訟継続が困難になったという理由で訴えを5月11日に取り下げた。そんな混沌とした状況でも、同社は傘下の目黒自動車交通で5月16日から一部の事業を再開している。 こういった問題はロイヤルリムジン以外のタクシー会社にも起こっている。東京・国分寺市に本社を置くタクシー会社の龍生自動車は、4月15日に新型コロナウイルスの影響による業績悪化を理由に、従業員33名全員に解雇を通告した。 4月8日のロイヤルリムジンの騒動から、わずか1週間後での発表だった。5月8日、龍生自動車の従業員らは、解雇は不当だとして地位確認の申し立てを東京地裁に起こしている。 ロイヤルリムジンに端を発した一斉解雇の余波は、今後タクシー業界にさらに広がっていくことも予測される。 コロナ禍で、タクシー業界が苦しい状況にあることは間違いない。筆者は、ある大手タクシー会社の運転手(40代)に給与明細を見せてもらった。 東京都内に勤務する彼は隔日勤務(1回の勤務で休憩を挟んで20時間程度働く形態)で勤務日の上限にあたる13日間フルに働いて、手取り金額は8万円だった。平常時は1カ月当たり40万円程度だというので、単純計算で5分の1の収入になった。現在の惨状をこう嘆く。 「タクシーは地域の公共交通機関としての側面もあります。タクシーを出さずに休業手当を受けて休む方が収入はよくても、ドライバーはある程度は出勤しないといけません。 夜間帯の利用客は、医療関係者と霞が関の役人くらいのものです。0人の日もあるし、2人乗せられればいい方ですよ。本当は出勤したくないし、お客もいない中で出勤しても儲からないわけですが、誰かがその役割を担わないといけません」 タクシードライバーたちの生活は貧窮しており、毎月の家賃の支払いすら難しい状況に追い込まれた者もいるという。そんな背景から、従業員を解雇し、コロナ収束後に再起を図るという経営判断には一見して理があるようにも思える』、「コロナ収束後に再起を図る」際に「解雇」した「従業員」を再雇用するのでは、初めの「解雇」が偽装だったことになる筈だ。
・『直前まで買収を実施していた  しかし、取材を進める中で、ロイヤルリムジンの“600人解雇”は見切り発車だったことは否めない。 冒頭の申し立てとは別に、70代ドライバーの男性は1人でロイヤルリムジンの金子健作社長ら役員2人に対し、220万円の損害賠償を求めて東京地裁に4月28日に提訴している。 この男性は代理人である馬奈木厳太郎弁護士を通して、5月初旬に筆者に以下の言葉を寄せた。 「これは会社と私個人だけの問題ではありません。このような事例を認めてしまえば、第2、第3のロイヤルリムジンが出てくる可能性もあります。さらに言えば業種問わず同じような状況が全国に広がっていく危険もある。 団体交渉で解雇を撤回したという報道も聞きましたが、それだけで済まされる問題ではない。従業員の収入や生活に対してどう考えているのでしょうか」 代理人の馬奈木厳太郎弁護士が言う。「本来であれば、解雇のためには使用者は解雇の理由となる経営状況を説明する義務があります。ただ、ロイヤルリムジンの経営陣は具体的な数字をもって解雇者に明示することを放棄している。 また、(解雇回避努力義務の履行のために)代表や役員の報酬のカットなど、考えうる対策を講じたかも不透明です。具体的な経営実態がわからず、客観的な判断ができない状況です」 経営不振による従業員の解雇を整理解雇といい、その有効性の判断基準として「整理解雇の4要件」というものがある。使用者側の事情による人員削減には、①人員整理の必要性があること、②解雇回避努力義務の履行、③被解雇者選定の合理性、④解雇手続きの妥当性が求められる。 ロイヤルリムジンには解雇との整合性が見受けられない点が複数ある。ロイヤルリムジンの関係者が明かす。 「正直、会社側はここまでの大問題に発展することは予測していなかったと思います。甘くみていたところがあった。突然解雇を発表し、思わぬ形で世間やマスコミが反応したことで、退職同意書も後から急いで回収しようとした。 これまで買収によって拡大してきた会社で、本当の経営状況は経営陣しかわかりませんが、いきなり会社都合で解雇します、と言われても納得できない人が出てくるのは当然です」 さらに、ロイヤルリムジンが今年4月3日付で、兵庫県三田市に拠点を置くファイブスタータクシー株式会社を買収していることも明らかになっている。 筆者はその内部資料を入手したが、親会社となったロイヤルリムジン側から管理者が来るという記述も明記されていた。 この買収により、ロイヤルリムジングループは、東京都に5社、兵庫県に2社のタクシー業者を子会社として持っていたことになる。 果たして、600人の解雇という判断をした会社が直前に企業買収をするという判断は正しいといえるのだろうか』、「600人の解雇という判断をした会社が直前に企業買収をする」、これでは「整理解雇の4要件」を満たす筈もないだろう。
・『休業・離職・継続の3択を迫る文書を通知  さらに、買収されたファイブスタータクシー株式会社は、買収からわずか10日後の4月14日に、従業員に対して雇用対策の通知を書面で行っている。その書面も同様に入手したが、そこには休業、離職、継続と3つの項目が記されていた。内容を読めば、「会社の存続ができない状況」ともいえる厳しい経営状況と乗務員への待遇悪化が見て取れる。 ファイブスタータクシーの関係者は、こう打ち明ける。「いきなりの通知で驚きました。ましてや、買収が発表されて間もないタイミングで不安が募っていましたから。市場環境や会社が厳しいのは充分承知しています。ただ、本質的には体のよいリストラみたいなものですね。すでに会社を去った従業員もいます。会社側が乗務員という人的資源の価値を過小評価している。その認識がタクシー業界の賃金水準の低さや、仕事への誇りの低さにつながっていることが、ただただ悔しい……」 突然グループ傘下になったかと思えば、親会社の都合で遠回しにリストラ案を提示される。ファイブスタータクシー関係者の訴えは切実だ。ロイヤルリムジンの経営判断が、多くのドライバーや業界全体に大きな影響と混乱を及ぼしたことになる。 親会社であるアイビーアイ社に、ロイヤルリムジンとファイブスタータクシーの通知書との直接的な関係について質問書を送り、筆者が電話を通じて回答を求めたところ、5月18日の期限日までに返答はなかった。代表取締役の金子健作氏にも5月18日に電話で問い合わせたところ「お答えできません」という回答だった。 また、ファイブスタータクシー株式会社にも同様に、ロイヤルリムジンの意向によって雇用対策の通知書を送ったのか、という質問書を筆者が送付したところ、「弊社としては無用な賛否両論を避けさせていただきたく、コメントを差し控えさせていただきます。また、従業員に対しては常に回答できる体制を整えておりますので、貴殿に対する回答は控えさせていただきます」との回答があった』、「ロイヤルリムジン」は「タクシー会社」を買収した上で、「従業員」は解雇し固定費負担を減らして、需要回復を待つという戦略なのだろうか。しかも、雇用保険に大きな負担をかけるとすれば、許されざる身勝手な行動だ。
・『コロナショックは会社単体では到底解決できない  ロイヤルリムジンの関係者はこんなことも漏らしていた。 「会社の対応に不満はありますが、正直、このコロナ禍では会社単体で解決できる問題の範疇は越えています。政府の対応などが遅れれば、会社も体力的にもたないでしょうから」 この発言は、政府のコロナ対策に対する悲鳴ともとれる。 休業手当の原資ともなる雇用調整助成金は、20万件以上の相談件数に対して実際の支給決定件数は4500件余り(5月11日時点)。相談から申請に至るまでの手続きも難しく、十分に機能しているとはいえない。 そして今回のロイヤルリムジンのような失業手当の濫用ともとれる経営判断は、失業保険制度の問題点も噴出させている。このような危機に直面したとき、窮状に陥るのは今回のような従業員だ。 ロイヤルリムジン社の一斉解雇騒動を悪しき先例として片付けることはできない。だが、望む、望まないにかかわらず、こういった判断をする経営者が出てきてもまったく不思議ではないのだ。コロナが巻き起こした解雇問題はタクシー業界に限らず、あらゆる業種で起こりうる。決してひとごとではなく、自身にも降りかかる可能性を秘めているのだ』、「雇用保険」の申請はあった筈なのに、所轄官庁が沈黙を守っているのは何故だろう。制度の「抜け穴」が発覚したので、沈黙せざるを得ないのだろうか。いずれにしろ、奇妙奇天烈な案件だ。
タグ:労働 東洋経済オンライン 正規雇用 日経ビジネスオンライン 河合 薫 栗田 シメイ (その3)(再来した大リストラ時代と「雇用流動化」礼賛の幻想、リスク管理に鈍感なトップが捨て石にする「定年人材」、タクシー会社「600人解雇騒動」が混迷続く実情 ロイヤルリムジン 直前まで積極拡大の謎) 「再来した大リストラ時代と「雇用流動化」礼賛の幻想」 圧力かければかけるほど相手は意固地になる。根比べです。人事には数値目標が与えられるので仕事なんだと自分に言い聞かせてます すでに大リストラ時代が再来している 今年1~9月までの上場企業が募った「希望・早期退職」者数の合計が1万342人で、6年ぶりに年間1万人超えが確定 これまでは「景気が悪くなる→希望退職者を増やす」が定説だったが、業績の良い企業でも将来を見込んで続々と「お引き取りください!」攻勢に出ている 「日本は解雇のハードルが高い」は間違い OECD)で使われるEPL指標 日本のEPLは2.09 雇用保護が低い=解雇しやすいグループに入る EPLで比較する限り、正規雇用・非正規雇用とも日本はどちらかといえば解雇しやすい国に分類される 欧州は原則的に有期雇用は禁止 非正規雇用には不安定雇用手当があり、正社員より1割程度高い賃金を支払うのが“常識”である 日本の雇用流動性は必ずしも低いわけではない 「流動性を高めることで生産性を高める」という理論は妄想に近いかもしれないのだ リストラは残った社員にも悪影響を与えている リストラの影響は「次世代」にも影響する 「リスク管理に鈍感なトップが捨て石にする「定年人材」」 「定年なくすとかやめてほしい。そんなことされたら妻にずっと働け!とか言われそう……」 早期退職やフリーランス化が推奨される 早期・希望退職者を募集した上場企業は延べ36社、対象人数は計1万1351人。過去5年間では最多で、最も少なかった18年と比べると、社数、人数ともに約3倍 元気な中小企業は60代を生かしている 自社のリスクを冷静にとらえられない日本企業 定年は50歳にした方がいい 全体は部分の総和に勝るというアリストテレスの言葉 「タクシー会社「600人解雇騒動」が混迷続く実情 ロイヤルリムジン、直前まで積極拡大の謎」 従業員600人に対して一斉に解雇を言い渡した問題 不当解雇に当たる、と不服を申し立てた従業員たちが立ち上がり、団体交渉は現在も継続中 5月16日から一部の事業を再開したが… コロナ収束後に再起を図る 直前まで買収を実施していた 600人の解雇という判断をした会社が直前に企業買収をする 「整理解雇の4要件」 休業・離職・継続の3択を迫る文書を通知 「ロイヤルリムジン」は「タクシー会社」を買収した上で、「従業員」は解雇し固定費負担を減らして、需要回復を待つという戦略なのだろうか。しかも、雇用保険に大きな負担をかけるとすれば、許されざる身勝手な行動だ
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アベノミクス(その34)(日本経済の没落を招いた安倍政権の「利権トライアングル」、コロナの後に必ずくる「日銀リスク」というアベノミクスのツケ 円をドルに換えておいたほうがいい、"アホノミクス"…安倍晋三が日本国民を見捨てたとき コロナ大恐慌を自ら悪化させる気か) [経済政策]

アベノミクスについては、1月11日に取上げた。今日は、(その34)(日本経済の没落を招いた安倍政権の「利権トライアングル」、コロナの後に必ずくる「日銀リスク」というアベノミクスのツケ 円をドルに換えておいたほうがいい、"アホノミクス"…安倍晋三が日本国民を見捨てたとき コロナ大恐慌を自ら悪化させる気か)である。

先ずは、4月28日付け日刊ゲンダイが掲載した元経産官僚の古賀茂明氏による「日本経済の没落を招いた安倍政権の「利権トライアングル」」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/272471
・『なぜ日本の経済が、ここまで没落したのか。 それは、安倍政権が総理関心事項である安保・外交やアベ友案件では強権発動で官僚を無理やり従わせるのに、行政改革や規制改革、IT化などには無関心で官僚丸投げだからだ。その結果、自民党族議員、官僚、業界の利権トライアングルがフル稼働し、成長のための改革が進まないのだ。 それを象徴するのが、世界銀行の「ビジネス環境ランキング」。その国での事業のしやすさの順位を示すものだ。安倍政権になってから、順位は下がり、2020年版ランキングでは世界29位。ロシアに抜かれ、中国も31位と背後に迫る。アジアでも7位。上位を占めるシンガポール、香港、韓国などに大きく離されてしまった。 その原因のひとつは、法人設立、納税などの手続きが煩雑なことだ。そこで情報通信技術の活用で効率化しようと19年に提出された「デジタル手続法」。お役所仕事の象徴「はんこ不要」を目指したが、印鑑業界と族議員の反対で止められた』、「印鑑業界」が象牙取引の規制に反対するのはともかく、「デジタル手続法」を流産させるほどの政治力があったとは驚きだ。
・『ビジョンなき亡国政権は交代しかない  この関連で呆れる話は山ほどある。桜田義孝・元サイバーセキュリティー担当相は、パソコン使用経験なし、USBメモリーも知らずで世界を笑わせた。竹本直一IT担当相は79歳。しかも「はんこ議連」のトップと、こちらも笑わせる。北村誠吾規制改革担当相も73歳。国会でまともな答弁ができず、審議中断は日常茶飯事だ。IT化や規制改革が進まなくて当然だろう。 新型コロナウイルス対策でも、安倍政権の官僚丸投げ利権体質があらわになった。人工呼吸器の増産が遅れるのは、厚労省利権の規制を緩和しなかったためだ。最近緩和されたが2カ月は遅れをとった。 院内感染防止に不可欠な遠隔診療を初診から認めることにも、医師会と厚労省が利権のために反対し、最近ようやく認められた。こちらは安倍政権発足当初からの課題だから、7年遅れと言った方がいい』、「竹本直一IT担当相は79歳。しかも「はんこ議連」のトップ」、恐るべき政治力というより、こんな人物を大臣にした安部首相のやる気のなさの方が問題だ。
・『副作用が懸念されるアビガン(抗インフルエンザ剤)の使用をことさら推奨する安倍総理の背後には、アベ友経営者がいるという話もある。 理美容業界への休業要請で大モメしたのも、業界と癒着した安倍側近議員たちの影響だ。 一方、今国会で審議中の国家公務員法改正案では、公務員の定年を65歳まで延長する。60歳まで役職定年なしで昇給継続、60から65歳までは最高給料の7割保証と、アベ友案件で服従・忖度した官僚たちに破格のご褒美だ。 こんな政権の下では、コロナ禍から立ち上がった後も、日本経済がどこへ向かうのか全く見えない。「ビジョンなき亡国のアベノミクス」から脱却するには、「政権交代」しかない。(おわり)』、幸い安部政権も満身創痍で退陣も時間の問題のようだ。

次に、5月28日付けPRESIDENT Onlineが掲載した元米モルガン銀行日本代表の藤巻健史氏による「コロナの後に必ずくる「日銀リスク」というアベノミクスのツケ 円をドルに換えておいたほうがいい」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/35653
・『今年3月末の国の借金は約1114兆円となった。元米モルガン銀行日本代表の藤巻健史氏は「毎年10兆円ずつ返しても111年かかる。日銀はアベノミクスの第一の矢として大胆な金融緩和に突き進んだが、その結果、歯止めの利かない事態に陥っている」という――』、「藤巻」氏は維新の会から参議院議員となり、昨年落選。伝説の「ディーラー」の見解とは興味深そうだ。
・『日銀の「Mr.時期尚早」、元ディーラーの「ハイパーフジマキ」  国会議員時代、黒田東彦日銀総裁に「異次元緩和からの出口を教えてください」と何度も聞いたが「時期尚早」との答えばかりだった。そこで私は総裁のことを「Mr.時期尚早」と揶揄していた。その私は、世間では「ハイパーフジマキ」と揶揄されているそうだ。 「政府も日銀もこんなことをするとハイパーインフレが来る」と言いまくっているからだ。私が、ハイパーインフレが来る、と主張している理由は、1000兆円を超える国の巨額な借金はもう尋常な方法では返済できないと思うからだ。 「年収が630万円の家庭が毎年1000万円使って借金を1億1140万円まで貯めたら、まず自己破産です」と話すと「国は家庭とは違う。徴税権がある」との返事が返ってくる。しかし、いくら国に徴税権があるといっても、ここまで借金が溜まると返せるとは思えない。 先日発表された今年3月末の国の借金総額は1114兆5400億円。これは毎年10兆円ずつ返したとしても111年かかる額だ。今年の税収+税外収入予想は70兆円だから歳出を60兆円に抑えて10兆円を浮かし、それで返済しても111年かかる。 しかも111年間は金利がゼロ%のままで支払金利額が増えず、かつ社会保障費も今後増えないという前提つきでの話だ。歳出を60兆円に抑えても111年かかるのに、今年度の歳出は当初予算で102.6兆円、第1次補正後で128兆円にものぼる』、「国に徴税権があるといっても」、政治的に行使できないのであれば、言い訳に過ぎない。
・『借金大国に残された2つの最終手段  これでは200年たっても、300年たっても返せっこない。となると残る手段は「借金踏み倒し」しかない。 「国の借金は国民の財産だから問題ない」と主張する人がいるが、鎌倉幕府や江戸幕府のことを考えて欲しい。彼らは、財政が苦しくなると、徳政令を発動して豪商からの借金を踏み倒した。幕府の借金は無くなるが豪商の資産もなくなった。 まさか現在の政府が徳政令など発令するとは思わないが、ハイパーインフレなら大いに可能性がある。ハイパーインフレは債権者から債務者への富の移行という意味で徳政令と同じである。 タクシー初乗りが100万円というハイパーインフレが来ると、10年間で一所懸命1000万円の預金を貯めた人(債権者)は10回タクシーに乗ると預金が無くなる。一方1114兆円の借金をもつ日本一の借金王である国は大いに楽になる。 タクシー初乗り100万円時代の1114兆円はたいした額ではない。なにせタクシーに人が乗るたびに10万円の消費税収があるのだから』、「ハイパーインフレ」は、日本円に対する投資家や国民の信認が揺らぎ、ドルやユーロなどへの乗り換えが発生し、輸入インフレが進み、国民は塗炭の苦しみに陥る恐ろしい現象だ。
・『財政楽観論者と大政翼賛会の宣伝読本の共通点  近年にもハイパーインフレで国民が財産を失い、財政再建に貢献した例がある。戦争中の戦時国債がそれだ。以下は、戦時中に大政翼賛会が国債購入促進のために、隣組に150万冊配った宣伝読本『戦費と国債』からの抜粋だ。 (問)国債がこんなに激増して財政が破綻はたんする心配はないか。 (答)国債がたくさん増えても全部国民が消化する限り、少しも心配は無いのです。国債は国家の借金、つまり国民全体の借金ですが、同時に国民がその貸し手でありますから、国が利子を支払ってもその金が国の外に出て行く訳ではなく国内で広く国民の懐に入っていくのです。(中略)従って相当多額の国債を発行しても、経済の基礎がゆらぐような心配は全然無いのであります。 最近よく聞く財政楽観者からの発言と全く同じだが、この戦時国債はハイパーインフレで紙くず同然となった。 ここまでの議論は、こうならざるを得ないという「べき論」に過ぎないのだが、実は政府・日銀は「ハイパーインフレへの道」をすでに歩み始めている。2013年4月に異次元緩和という財政ファイナンスを始めてしまったからだ』、「大政翼賛会」の『戦費と国債』の記述は、確かに「財政楽観論者」の主張と瓜二つだ。
・『白川日銀から180度の路線転換をした黒田総裁  2013年4月12日、黒田日銀総裁は、就任直後の読売国際経済懇話会で講演し、以下の発言をした。 「日本銀行による多額の国債買入れが、内外の投資家から、ひとたび『財政ファイナンス』(※)と受け取られれば、国債市場は不安定化し、長期金利が実態から乖離して上昇する可能性があります。これは、金融政策の効果を減殺するだけでなく、金融システムや経済全体に悪影響を及ぼしかねません」) その講演をしたご本人が率いる日銀が、国債爆買いを継続し、なんと今では発行国債の半分近くを保有するに至ってしまったのだ。 一方、前日本銀行総裁時代の白川総裁がフランス銀行「Financial Stability Review」(2012年4月号)に掲載した論文の邦訳(2012年4月21日)を見てみよう。 「歴史的にみれば、中央銀行による財政ファイナンスがインフレをもたらした事例は少なくない。例えば、1920年代前半のオーストリア、ハンガリー、ポーランド、ドイツのハイパーインフレ、第二次大戦後1950年頃までの日本のインフレは、いずれも、中央銀行の財政ファイナンスが原因となっている。そうした経験に学んできたからこそ、現在は中央銀行の独立性が重要という考え方が確立されており、多くの国で中央銀行による財政ファイナンスは認められていない」 黒田日銀が押し進めた「発行国債の半分近くを中央銀行が購入してしまった状態」を財政ファイナンスと言わずになんというのだろうか? この財政ファイナンスにより、日銀のバランスシートは巨大化した。それも世界断トツのメタボぶりだ。 私は、異次元緩和を開始するまでの日銀だったら、ハイパーインフレの心配など全くしない。物価のコントロールは日銀の主たる業務の一つで、そのための武器(=インフレへのブレーキ)を持っていたからだ』、確かに「黒田日銀」の「異次元緩和」は「財政ファイナンス」そのものだ。
・『出口論なき黒田日銀の金融緩和  異次元緩和を開始したことで日銀はそのブレーキを失ってしまった。ブレーキが無いから、冒頭に書いたように、黒田日銀総裁は「金融緩和からの出口論」を封じていたのだ。封じていたというより、無いものは答えられなかった、と言った方が正しいかもしれない。 それでも何とか答え始めたのが「ジャブジャブにした資金の回収」と「政策金利の引き上げ」だ。量の縮小の困難さに関しては前回、詳しく書いた。 政策金利の引き上げも非常に難しい。伝統的金融政策下での政策金利引き上げは簡単だった。中央銀行が民間銀行市場に供給する資金の量を少し減らすだけでよい。これは中央銀行当座預金残高が法定準備金とほぼ同額だったから出来た操作だ。 今のように銀行間市場にお金がジャブジャブしており、中央銀行当座預金残高が法定準備金よりはるかに多い状態では当時の手法での金利操作は不可能なのだ。 多くの中央銀行が異次元緩和を始め、銀行間市場にお金をジャブジャブに供給し始めた時、我々金融界の人々は「将来、どうやって利上げするんだろうね、後は野となれ山となれ政策かね?」と話しあったものだ。誰も手法を思いつかなったのだ』、その通りだ。
・『FRBが見つけ出した付利金利引き上げという新技  しかしFRB(米連邦準備制度)が見つけ出した。私も「さすがFRB」と感心したものだ。その手法とは民間銀行が預けてある当座預金の付利金利を引き上げるというものだ。中央銀行当座預金に1%付利すれば1%以下で企業に融資をする民間銀行はない。 中央銀行に預ければ1%の金利をもらえるのに、面倒くさい事務や信用リスクを取ってまで1%以下で企業に貸す理由など無いからだ。実際FRBは2015年暮れから2019年にかけて、その手法で政策金利を引き上げていった。しかし、それはFRBだからこそ出来たのであり日銀には不可能だ。 2015年のFRBの受取利息は1136億ドル(12.2兆円)もあった。保有債券の利回りが高かった(2018年1~6月は2.6%)からだ。保有国債の利回りが極めて低く(2019年9月末0.26%)利息収入が1兆4千億円しかない日銀とは大違いだったのだ。 FRBはこのように高い収入があったがゆえに中央銀行当座預金への付利金利を引きあげても損の垂れ流しを心配する必要が無かった。もっとも利上げとともに純利益は減少していき、2015年の999億ドル(10兆7千億円)から2018年には631億ドル(6.8兆円)まで減少した。 しかし減少したところで、まだ631億ドルも余裕がある。なお保有債券は、長期固定金利債が主なので金利収入は金利上昇期でも変わらずだ。実際、2015年の金利収入は1136億ドル。2018年のそれは1123億ドルと変わりない。 問題は日銀だ。日銀当座預金残高は395兆円(2020年3月末現在)。1%政策金利を上げるごとに金利支払いは3.95兆円ずつ増える。年間の利息入収入は1兆4000億円にすぎない。 FRBの例でみたように保有国債が長期固定金利だから収入サイドは、しばらくの間、ほとんど増えない。引当金勘定+準備金は9.4兆円しかない。1%の政策金利上げなら2年間、2%の政策金利上げなら1年間で債務超過になってしまう』、FRBは3月16日に 1%緊急利下げでゼロ金利復活させたので、「付利金利引き上げという新技」は封印した筈だ。日銀は、確かに「1%の政策金利上げなら2年間、2%の政策金利上げなら1年間で債務超過になってしまう」、全く余裕がない状態だ。
・『コロナ禍が過ぎ去っても日銀リスクが残り続ける  この問題は、日銀が先頭ではあるものの、どの中央銀行も大小の差こそあれ抱えている。景気回復期には、金融緩和の解消で政策金利の引き上げが必要になるからだ。 ところが日銀に関して言えば、コロナ禍が終わるのを待つまでもなく、今日、明日にでも大きな問題が発生する可能性がある。世界で最も脆弱な中央銀行なのだ。世界最大のメタボで保有資産も価格変動の大きいものばかりだから当然だ。 日銀が486兆円も保有して国債の平均利回りは0.26%(2019年9月末)に過ぎない。現在、ほぼ0.0%の10年金利が0.3%まで上昇すると評価損が発生する。0.3%など私がトレーダーだった時には1晩で動く金利幅だ。しかも保有額が大きいだけに、長期金利がさらに上昇すると、評価損はうなぎのぼりだ。 国会で金利が1%並行(=どの期間も1%)して上昇すると、どのくらいの評価損が出るのか聞いたところ、1%で24.6兆円。2%で44.6兆円、5%で88.3兆円、1980年のように11%まで10年金利が上がるなら140兆円、評価益が下がるとのことだった(459兆円保有していた2018年5月末時点)。当時、国債の含み益は9.6兆円だったから、当然、巨大評価損が発生する。 これを追求したところ、黒田日銀総裁はじめ幹部は皆「日銀は償却原価法(簿価会計の一種。国債の時価評価が損益に反映されない方式)を採用しているから評価損は表面化しない」と答弁された。 簿価会計など前世紀の遺物である欧米系金融機関にそんなロジックが通用するのだろうか? 簿価会計でOKならば山一証券もリーマンブラザーズも倒産などしていない』、会計上は「日銀」には「評価損は表面化しない」とはいえ、市場参加者は日銀は実質的に債務超過に陥っていると考え、日銀に厳しい対応を取る筈だ。
・『日本売りのリスクを過小評価してはいけない  私が勤めていた米銀では、会長のボーナス、ディーラーのボーナス、そして取引相手先の信用リスクの判断もすべて時価評価で決定していた。 そして邦銀から転職して驚いたのは、米銀は世界中の国に対しても中央銀行に対しても倒産の可能性があるとして取引限度枠を設けていたということだ。当然、日本国にも日銀相手にもある。 短期間の債務超過ならばともかく、当面純資産に戻らないとなると、欧米金融機関の審査部が判断したら、日銀に対する信用枠(=取引枠)は縮小もしくは廃止されるだろう。 債務超過とは民間で言えば倒産状態である。どの銀行も損を被りたくないのだから取引中止は当然のアクションだ。そうなると外資はドルを売ってくれなくなる。為替とは日銀当座預金を通じての取引だからだ。取引枠が無くなり日銀当座預金に円を置けない、すなわち円という対価を受け取れないのだから、外銀がドルを売ってくれるはずがない。 基軸通貨ドルとの関係を遮断された通貨など世界から相手にされない。円をドルに換え原油を買うことも、海外農産物を買うことも出来なくなる。円の暴落、ハイパーインフレ一直線となる。もちろん日本売りの発生だ。このリスクは過小評価しないほうがいい』、その通りだ。
・『債務超過になっても大丈夫な中央銀行の条件、日銀は……  長期金利が0.3%上昇すれば、このような事態は起きる。コロナ禍の最中に起こらなくとも、景気回復時には長期金利は間違いなく0.3%を超えて上昇するだろう。 世界中の金利が上昇を始めた時に、日銀はいつまで長期金利を抑え込めるのか? 黒田総裁は毎日ドキドキだろうと思料する。この厳しい現実は、見たくもない現実かもしれないが、起こりうる現実だ。 それならば、日銀はすべての国債を買ってしまえばいいではないか? という疑問があるかもしれない。しかしそんなことをしたら日銀当座預金残高は1000兆円にも膨れ上がる。未来永劫に政策金利を上げなくて済むのなら話は別だが、政策金利を1%上げるごとに日銀は支払金利を10兆円ずつ払わなければならなくなる。巨大な損のたれ流しだ。 そんなことが予想される中央銀行の通貨を外国人は信用しない。円の暴落、ハイパーインフレへの道筋は変わらない。なお、金融学的に中央銀行が債務超過になっても大丈夫なのは3つの条件が必要とされている。 1.債務超過は一時的であると国民が信じる 2.債務超過の原因が金融システムの救済であり、金融政策は厳格に運営されていると信じる 3.財政が緊縮に向かっている  日銀の状態は、残念ながらこの条件をどれも満たしていない。この状態では政府・日銀は全く頼りにならない。だからこそ私は保険として多少なりとも、円をドルに換えておいたほうがいいと皆さんにお勧めしている。 それにしても、世界最悪の財政状態を長年放置し、禁じ手中の禁じ手を行うことで危機を先延ばししてしまった政府・日銀の政策ミスはくれぐれも残念でならない。せめて後世の教訓にしなければならない』、「長期金利が0.3%上昇すれば、このような事態は起きる。コロナ禍の最中に起こらなくとも、景気回復時には長期金利は間違いなく0.3%を超えて上昇するだろう」、安部首相が退陣して済む問題ではない。アベノミクスを賞賛した学者やマスコミの責任も重大だ。

第三に、5月29日付けプレジデント Digitalが掲載した文筆家の古谷 経衡氏による「"アホノミクス"…安倍晋三が日本国民を見捨てたとき コロナ大恐慌を自ら悪化させる気か」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/35754
・『大恐慌をさらに悪化させたとされる清算主義  “恐慌によって腐った部分を経済システムから一掃してしまえば、生計費も下がり、人々はよく働くようになり、価値が適正水準に調整され、無能な連中がだめにしてしまった事業を再建する企業家も現れるだろう” これは1929年の世界恐慌時、米フーバー政権下で財務長官を務めたアンドリュー・メロンの言である(*「清算主義」対「リフレーション」の構図は正しいか?、田淵太一、東亞經濟研究會、2003)。要するにメロンは、大不況で「潰れるべきモノ(企業や人)」が淘汰されてしまえば、その代わりに優秀な企業や人が勃興するので、却って経済には良いと説いたのである。この考え方は「清算主義」と呼ばれ、これによってフーバー政権は世界恐慌時に何ら有効な経済対処を取らなかった。このことが、大恐慌をさらに悪化させたとされる。 この「清算主義」的発想は、安倍政権にも根強く存在すると私は見る』、安倍政権だけでなく、小泉政権の時も顕著だった。2000年に銀行団がそごう向けの債権放棄で合意したのに、大物政治家が苦言を呈したことで、法的処理(民事再生法)させられた例もある。「"アホノミクス"」は浜矩子氏も多用している。
・『「もたない会社は潰すから」自民党の正体見たり  自民党の安藤裕衆院議員が4月11日、ある自民党大物議員からの伝聞として〈自民党が冷たくなったよねというのはその通りで、提言の話で「損失補償、粗利補償しないと、企業は絶対潰れますよ」という話をある幹部にしたときに、「もたない会社は潰すから」と言うわけですよ〉と右派系ネット番組で発言したのだ。安藤議員はその後、日刊ゲンダイの取材に対してこの発言を釈明したが、自民党の正体見たりという実感がする。 第2次安倍政権が政権を握って早8年強。田中・竹下系の経世会の領袖だった小渕恵三首相が急逝(2000年)し、「密室内閣」と揶揄された森喜朗内閣に政権が交代すると、民主党時代の約3年半・麻生太郎内閣の約1年間を除けば日本はずっと、自民党清和会内閣が実に15年以上続いている状況である。かつて「クリーンなタカ派、ダーティーなハト派」と指摘されたように、ハト派で鳴らした田中・竹下系の派閥にはロッキードやリクルート事件は言うに及ばず、腐敗や疑獄が付きまとった。 一方清和会は典型的な親米タカ派路線だが、元来代議士一家や土着の資産家が多いので疑獄系の醜聞は比較的少ないように思える。こういった意味では、15年以上続いてきた清和会内閣で「政治とカネ」の問題は徐々にだがクリーンになっていったことは間違いない。しかしながら一方で、清和会による自民党支配は自民党という大衆政党の性質を一変させた。』、「清和会は典型的な親米タカ派路線だが、元来代議士一家や土着の資産家が多いので疑獄系の醜聞は比較的少ないように思える」、安部政権には例外的に疑獄系の醜聞もあるようだ。
・『大企業と都市部の中産階級さえ確保できれば政権維持できる  それまで、地方の職能団体(農協、漁協、郵便局、中小自営業者等)から支持を受け「一票の格差」を逆手にとって衆議院で過半数を保ち続けてきた田中・竹下系の性質からがらりと一変し、清和会は大企業、都市部の中産階級をその支持基盤として小選挙区下、一挙に大勝を重ねてきた。それまで自民党の伝統的な支持基盤だった地方の職能を「抵抗勢力」と名付けて敵視した小泉純一郎内閣以降、この傾向はますます揺らがない。 よって現在の清和会内閣は、かつての田中・竹下系内閣では「聖域」とされた農業分野までその構造改革のメスを入れている。代表的なものがTPP推進(―皮肉にもトランプ政権の意向により断念する格好となったが)だ。現在の自民党は、地方の足腰の弱い職能団体に利益を再分配するという構造は希薄で、大企業と都市部の中産階級さえ確保できれば政権党を維持できるという体制が出来上がっている』、言われてみれば、その通りなのだろう。
・『公明党の最終カードをちらつかせた強硬論  ここに清算主義の根本がある。足腰の弱い、支援なくば恐慌下で潰れてしまうような企業や人は、田中・竹下系の内閣では重要な票田だったが、清和会内閣ではそうではない。清和会内閣で一貫して法人税減税が行われてきたのはその派閥の性質によるところが多い。法人税減税は中小零細企業よりも大企業にとってより便益となるからである。 このような状況下で再分配傾向の薄い清和会内閣の補助・助力として期待されていたのが小渕恵三内閣時代から連立を組む公明党の存在である。公明党は元来、その支持母体・創価学会を中心として、大都市部の低所得者層や零細自営業者を支持基盤としており、田中・竹下系の政権と政策的に相性が良い。 公明党が初めて連立を組んだのが経世会の小渕内閣であったこともその証左である。ところが前述のとおり、小渕首相が急逝して「棚ぼた」的に清和会・文教族の森喜朗が首班につくと、公明党は政策的に肌が合わない自民党・清和会との連立を、実に20年の長きにわたって強いられたのであった。もっともこの部分には公明党の政権権力への拘泥があったし、また公明党の支持基盤自体が経済成長によって中産階級に成長した側面もあった。とはいえ今回のコロナ騒動で、当初「困窮世帯に限定して30万円」としたものを「一律10万円給付」に転換させたのは、公明党による「連立離脱」という最終カードをちらつかせた強硬論に官邸が押されたからと言えよう』、「清和会」と「公明党」はもともと相性が良くなかったとは初めて知った。
・『安倍晋三の経済対策はどれも後付け・小出し  大企業と都市部の中産階級の支持を受ける清和会内閣は、根底に「弱い者は潰れてしまっても、その溝を優秀な会社や起業家が埋めるので構わない」という清算主義的観念があるとはすでに述べた。コロナ禍で様々な経済対策が打ち出され、またされる予定だが、どれも後付け・小出しであり、「強者の発想」に拘泥する清和会内閣の根底に変化はないように思える。 東証一部上場企業では繊維業のレナウンがコロナ禍で倒産したが、この会社の倒産はコロナ禍以前からの経営基盤弱体をその始祖としていた。多くの大企業は、コロナ禍での一時的な利益の激減すらも内部留保や大規模融資によって概ね乗り切るだろう。それもこれも、2000年の森喜朗内閣から計15年以上も、大企業を支持基盤とした大企業優遇政策が清和会内閣によって実行されてきたからだ』、「「強者の発想」に拘泥する清和会内閣の根底に変化はないように思える」、鋭い指摘だ。
・『経済成長を支えた「非合理的不採算企業」  清和会内閣が支配する以前、田中・竹下系内閣が一時期自民党派閥の頂点として君臨してきた時代、「本来、市場の摂理に任せておけば倒産するべき不採算企業を、公的助成や支援で温存してきたために、日本経済の生産性は低くなっている」という批判が跋扈ばっこした。こういった批判が、のちの構造改革路線・新自由主義路線につながることとなる。 しかし50年代~70年代前半の高度成長下、いわゆる「非合理的不採算企業」は都市部・農村部を問わずいたるところに存在した。従業員が10人未満の下請け町工場が工業地帯には乱立し、都市下層民の雇用を支えた。当然、ひとたび不況の風が吹くとそれらの企業は倒産し、不況が収まると類似企業が息を吹き返した。こういった企業は、あきらかに「非合理的不採算企業」だが、当時はこういった企業の近代化の必要性は唱えられど、「潰れるべき企業は潰れてしまって構わない」という意識は希薄だった。なぜなら経済全体が成長していたし、そういった経済成長はとどのつまり大企業の下請けとして機能していた「非合理的不採算企業」が支えていたからである』、中小企業向け融資への返済繰り延べを認めた中小企業金融円滑化法は、清和会以外の流れなのだろう。
・『今こそ必要なのは迅速かつ大胆な支援である  ところが経済成長が一服して日本経済に成長余地が無くなると、こういった「非合理的不採算企業」への補助や支援は無駄だ、というように言われるようになった。市場原理という競争社会の中では、こういった企業は自然淘汰されていくべきだ、という考え方が主流になり出した。しかし現代的市場経済は、すべてにおいて市場原理主義を肯定しているわけではない。外部から見て不採算、非合理的と見なされる企業や人にも、社会の中で一定の役割を担い、ややもすればそこから大発明や天才が輩出されることもある。すべての企業や人を合理的か否か、不採算か否か、で決めてしまえば、小説も演劇も音楽も一切必要が無い、ということになる。 しかし社会の構造はそうなってはいない。たとえ一見不採算でも非合理的でも、社会の構成員として一定の役割を果たしている企業や人を、市場原理の名のもとに切り捨ててよい法は無いのである。清和会内閣として最も「長寿」を誇る第2次安倍内閣には、この視点が欠落しているように思えてならない。今こそ必要なのは「市場原理に任せておけば淘汰されかねない企業や人」への迅速かつ大胆な支援である。ここを怠ると、大変なしっぺ返しを食らうであろう』、同感である。
タグ:藤巻健史 日刊ゲンダイ ハイパーインフレ 大政翼賛会 古賀茂明 PRESIDENT ONLINE アベノミクス 財政ファイナンス 古谷 経衡 プレジデント Digital (その34)(日本経済の没落を招いた安倍政権の「利権トライアングル」、コロナの後に必ずくる「日銀リスク」というアベノミクスのツケ 円をドルに換えておいたほうがいい、"アホノミクス"…安倍晋三が日本国民を見捨てたとき コロナ大恐慌を自ら悪化させる気か) 「日本経済の没落を招いた安倍政権の「利権トライアングル」」 安倍政権が総理関心事項である安保・外交やアベ友案件では強権発動で官僚を無理やり従わせるのに、行政改革や規制改革、IT化などには無関心で官僚丸投げだからだ 世界銀行の「ビジネス環境ランキング」 2020年版ランキングでは世界29位。ロシアに抜かれ、中国も31位と背後に迫る 「デジタル手続法」 印鑑業界と族議員の反対で止められた ビジョンなき亡国政権は交代しかない 桜田義孝・元サイバーセキュリティー担当相は、パソコン使用経験なし、USBメモリーも知らずで世界を笑わせた 竹本直一IT担当相は79歳。しかも「はんこ議連」のトップ 北村誠吾規制改革担当相も73歳。国会でまともな答弁ができず、審議中断は日常茶飯事 「コロナの後に必ずくる「日銀リスク」というアベノミクスのツケ 円をドルに換えておいたほうがいい」 日銀の「Mr.時期尚早」、元ディーラーの「ハイパーフジマキ」 ハイパーインフレが来る、と主張している理由は、1000兆円を超える国の巨額な借金はもう尋常な方法では返済できないと思うからだ 国に徴税権があるといっても 政治的に行使できないのであれば、言い訳に過ぎない 借金大国に残された2つの最終手段 「借金踏み倒し」 財政楽観論者と大政翼賛会の宣伝読本の共通点 『戦費と国債』 「財政楽観論者」の主張と瓜二つだ 白川日銀から180度の路線転換をした黒田総裁 出口論なき黒田日銀の金融緩和 FRBが見つけ出した付利金利引き上げという新技 コロナ禍が過ぎ去っても日銀リスクが残り続ける 会計上は「日銀」には「評価損は表面化しない」とはいえ、市場参加者は日銀は実質的に債務超過に陥っていると考え、日銀に厳しい対応を取る筈 日本売りのリスクを過小評価してはいけない 基軸通貨ドルとの関係を遮断された通貨など世界から相手にされない 円の暴落、ハイパーインフレ一直線 債務超過になっても大丈夫な中央銀行の条件、日銀は… 1.債務超過は一時的であると国民が信じる 2.債務超過の原因が金融システムの救済であり、金融政策は厳格に運営されていると信じる 3.財政が緊縮に向かっている 長期金利が0.3%上昇すれば、このような事態は起きる。コロナ禍の最中に起こらなくとも、景気回復時には長期金利は間違いなく0.3%を超えて上昇するだろう 安部首相が退陣して済む問題ではない。アベノミクスを賞賛した学者やマスコミの責任も重大だ 「"アホノミクス"…安倍晋三が日本国民を見捨てたとき コロナ大恐慌を自ら悪化させる気か」 大恐慌をさらに悪化させたとされる清算主義 “恐慌によって腐った部分を経済システムから一掃してしまえば、生計費も下がり、人々はよく働くようになり、価値が適正水準に調整され、無能な連中がだめにしてしまった事業を再建する企業家も現れるだろう 「清算主義」的発想は、安倍政権にも根強く存在 「もたない会社は潰すから」自民党の正体見たり 自民党清和会内閣が実に15年以上続いている状況 「クリーンなタカ派、ダーティーなハト派」 清和会は典型的な親米タカ派路線だが、元来代議士一家や土着の資産家が多いので疑獄系の醜聞は比較的少ないように思える 大企業と都市部の中産階級さえ確保できれば政権維持できる 公明党の最終カードをちらつかせた強硬論 安倍晋三の経済対策はどれも後付け・小出し 「強者の発想」に拘泥する清和会内閣の根底に変化はないように思える 経済成長を支えた「非合理的不採算企業」 今こそ必要なのは迅速かつ大胆な支援である 今こそ必要なのは「市場原理に任せておけば淘汰されかねない企業や人」への迅速かつ大胆な支援
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女性活躍(その16)(世代を超え再評価熱高まる田嶋陽子さん「時代が追いついた」、田嶋陽子さん かつての女性論客を批判「みんなズルかった」、「女性リーダーの国」がコロナを抑え込む理由 敵はウイルスだけではなく「内なる感情」だ、コロナ禍で再確認された「男女格差」の根本問題 女性が"自然に働ける"会社がやっていること) [社会]

女性活躍については、3月1日に取上げた。今日は、(その16)(世代を超え再評価熱高まる田嶋陽子さん「時代が追いついた」、田嶋陽子さん かつての女性論客を批判「みんなズルかった」、「女性リーダーの国」がコロナを抑え込む理由 敵はウイルスだけではなく「内なる感情」だ、コロナ禍で再確認された「男女格差」の根本問題 女性が"自然に働ける"会社がやっていること)である。

先ずは、4月5日付けNEWSポストセブン「世代を超え再評価熱高まる田嶋陽子さん「時代が追いついた」」を紹介しよう。
https://www.news-postseven.com/archives/20200405_1552839.html
・『「漢字の『人』は人と人が支えあってなんて言うけど、あれはウソだね。人というのはただひとりで立っている姿を横から見た形(※白川静『常用字解』より)。支えあう、なんてデタラメ。あとね、『親』は親が木の上に立って子供を見るというのも違う。親の位牌を作る木を選んで、それで作った位牌を見て拝んだ形。それが漢字の語源。 みんな自分に都合いいように好き勝手言うけど、全然違ったりする。だから女の人はもっと勉強して人の言いなりにならないこと。やっぱり女性誌は、そういうことを発信しないといけないよ」 3月下旬、まだ寒さの残る東京都内の取材場所に懐かしい早口の言葉が響く。金のメッシュにカラフルなスカーフ、ビビッドなイエローのコートをまとってこの場に颯爽と現れたのは、田嶋陽子さん(78才)。 実年齢より20才も30才も若々しく感じられる彼女は、現在、テレビ出演やトークショーはもちろん、シャンソン歌手としても活躍。絵と書道をミックスした「書アート」にも熱中し、ひとりで暮らす長野・軽井沢と東京を往復する忙しい毎日を送る。 時代の変化とともに、ふたたび脚光を浴びることになった「怒れるフェミニスト」は、紅茶を一口のむと一息に言い放った──。 1990年代に彗星のごとく登場して歯に衣着せぬ物言いで注目を集め、あっという間にお茶の間の人気者になった田嶋さん。 そんな彼女を“再評価”する声が日増しに高まっている。 きっかけは2019年秋だった。創刊まもないフェミニスト雑誌『エトセトラ』が「We Love 田嶋陽子!」と銘打って一冊丸ごと田嶋陽子特集を組んだこと、そして1992年に出版された田嶋さんの著書『愛という名の支配』が新潮文庫で復刊されたことを機に、新聞、ラジオ、雑誌などが続々と田嶋さんをフィーチャーするようになったのだ。 《彼女は明晰な分析力を持つ研究好きの大学教授であり、恋愛経験によって生い立ちのトラウマを克服していった知性の人である。そんな嘘のない人を、嫌いになんかなれない。田嶋さんをテレビで見るようになってから、実に二十数年のタイムラグを経て、わたしは彼女のことが大好きになった》 そんな熱のこもった解説文を、復刊された『愛という名の支配』に寄せたのは作家の山内マリコさんだ』、「田嶋陽子」氏というば、元法政大学教授、元参院議員、テレビでの「衣着せぬ物言い」はかってよく観た。最近、復活してきたとは初めて知った。
・『『エトセトラ』の責任編集も務めた山内さんが言う。 「以前は『TVタックル』の印象からネガティブなイメージがありましたが、実際に著書を読んでみて、感銘を受けました。田嶋先生はご自分の体験や研究で得たものを女性たちと共有して、みんなにも楽になってもらいたいという情熱を抱いていた。その思いからテレビの仕事も引き受け、苦しみながらも出演されていた。長い間、誤解していたことを反省しました」 女性や社会問題を研究する富山大学非常勤講師の斉藤正美さんは、「いまの田嶋さんには世代を超えたファンがいる」と語る。 「昔から田嶋さんを見てきた60代以上のファンは、彼女の考え方や強い主張に共感して、“よくぞ言ってくれた”とスカッとする。結婚して家庭に入ることを強いられた世代ですから、同世代の田嶋さんがきれいなドレスとつけまつげをまとってシャンソンを歌い、人生を謳歌する姿にも元気をもらっています。 一方で山内マリコさんのような30~40代の女性は、社会に出て理不尽な経験をしてから田嶋さんを“再発見”する。当時はビートたけしさんや舛添要一さんとのバトルを笑って見ていたのが、改めて田嶋さんの思想に触れて、“こんなことを考えている人がいたんだ”とファンになるケースが多い」 しかし田嶋さんが初めてメディアに登場してから、すでに30年が経とうとしている。なぜいま、ここに来て彼女はブレークしているのか。 「田嶋さんは『早すぎた人』だったんです」そう指摘するのは、作家で生活史研究家の阿古真理さんだ。 「田嶋さんが1990年代に『セクハラは犯罪だ』『女は男の奴隷じゃない』と主張していた頃はまだ人々の意識が低く、『それ、言いすぎじゃないの』『セクハラを受け流せてこそ、いい女なんじゃないの』と受け止められました。ところがここ数年で『#MeToo』や『#KuToo』などのフェミニズム・ムーブメントが活性化して、時代が田嶋さんの主張に追いついた。彼女が非常にわかりやすい言葉で解説していることも、一般の人の心に届く理由でしょう」』、「田嶋さんは『早すぎた人』だったんです」、言い得て妙だ。「フェミニズム・ムーブメントが活性化して、時代が田嶋さんの主張に追いついた」、というのは確かだろう。

次に、この続き、4月6日付けNEWSポストセブン「田嶋陽子さん、かつての女性論客を批判「みんなズルかった」」を紹介しよう。
https://www.news-postseven.com/archives/20200406_1552862.html
・『・・・イギリスへの留学を経て大学教授として法政大学で英文学と女性学を教えていた田嶋さんが、ブレークするひとつのきっかけとなった『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日系)に初めて出演したのは1991年。 当時、女性の社会進出は進みつつあったものの、働く女性は「OL」とひとくくりにされて、結婚や出産で会社を辞めるのが当たり前だった。 実際、当時の厚労省の調査によれば“女性の”育休取得率は4割。そもそも制度のない会社も多かった。 1980年代後半は、空前のバブル景気によって着飾ってディスコで踊る強い女も喧伝されたが、会社や家庭では女性はあくまで男性のサポート役とみなされ、強気のバブル女子もその財源は気まぐれにもらえるお金持ちのあぶく銭。自立からはほど遠い時代だった。 そんな時代にテレビ映えするファッションで登場した田嶋さんは、〈男だってパンツを洗え!〉〈女性はパン(職業)を、男性はパンツ(家事)を〉といったセンセーショナルな発言を連発し、ビートたけしや嵐山光三郎氏、故三宅久之氏ら男性コメンテーターをタジタジにさせた。 激論の最中に、「もう帰る!」と席を立つ「先の読めなさ」も視聴者の心をつかみ、一躍時代の寵児となった。同番組プロデューサーの皇(すめらぎ)達也さんが振り返る。 「面白い大学教授がいる、ということで出演してもらったら、男性出演者とのバトルが大受けしました。田嶋さんは、いまでいう坂上忍や有吉弘行のように、テレビで本音を口にできる貴重な人。誰にだって本音はあるけれど、テレビでそれを言えるような勇気と度胸を持つ人は少ない。加えて、女性の論客として会ったことのないタイプだった。小池百合子さんのような女性論客は女性であることを意識して話すけど」、田嶋さんは女性である前に“田嶋”でした。ベースがしっかりして勇気があるので本音をしゃべれたのでしょう」』、「男だってパンツを洗え!」はまだ覚えている。「男性出演者とのバトル」も面白かった。
・『とりわけ白熱したのは、当時東大教授だった舛添要一さん(71才)との激しいバトルだ。時には互いに激高し、「ブス!」と声を荒らげる舛添さんに、田嶋さんが「ハゲ!」と怒鳴り返すこともあった。 「当時はコンビみたいにやりあっていましたが、台本なんてありませんでした」そう振り返るのは舛添さん。「彼女のように声を荒らげて議論する女性はそれまでいませんでした。当時はよく『男はパンツを洗え』と言われたけど、私は家族の洗濯係で女房のパンツまで洗って干していた。家事もやっていたから『すべての男をダメって言うな!』と反論したのを覚えています」』、「舛添要一」との「バトル」は確かに興味深かった。
・『うるさい女だ、いい加減にしろ!  多くの男性の反感を買った〈男はパンツを洗え〉発言で、家庭内がガラリと変わったと語る女性もいる。 「テレビを見た母から『田嶋さんが言うんだから、やってくださいよ』と言われた父がなんと翌日に洗濯機を買ってきて、自ら洗濯するようになったんです。それまで“家事は女がやるもの”という考えだった父は、田嶋さんのおかげで大きく変わり、その後は料理までするようになりました」(40代会社員) ほかにも〈男手放しても職手放すな〉や、若い女性の性被害を議論した際に言った〈たとえ鍵がかかっていない家でも勝手に入れば泥棒〉などの名言に救われたと振り返る女性は少なくない。 電車の中で突然見知らぬ女性が「私が言いたくても言えないことを言ってくれてありがとう」と泣きながら田嶋さんに告げたこともあった』、「父がなんと翌日に洗濯機を買ってきて、自ら洗濯するようになった・・・田嶋さんのおかげで大きく変わり、その後は料理までするようになりました」、こんなケースがあったとは、ずいぶん影響力があったようだ。
・『だが当時は「女は人前で怒ってはいけない」とされた時代だ。テレビを見た男性からは「生意気」「うるさい女だ」「いい加減にしろ」といった激しい批判が殺到し、女性のファンや味方が大勢いた半面、「あんなに怒って同じ女性として恥ずかしい」という意見も散見された。 このとき、当の本人は何を考えていたのか。 田嶋さんは、「賛否両論の否がつらくて、誰の声も届かない山奥に住んでお粥をすすっていた」と振り返る。 「あの頃の女性論客やフェミニストってみんなズルかった。テレビを軽蔑したふりをして私のように表に立って主張しませんでしたから。だから当時は男性視聴者のバッシングだけでなく、アカデミズムの女性学の人からもそっぽを向かれたんです。私だけが死ぬほど叩かれたけど、いちいち反応していたら病気になるから一切耳を傾けなかった」(田嶋さん) あまりの悪口に耐えかねて新聞もテレビも見なくなったが、それでも『TVタックル』の出演は辞めなかった。 「本を書いても数千部しか売れないことがほとんどだけれど、テレビに出ると1%の視聴率だったとしても、およそ100万人が視聴します。当時の私は20%を叩き出していたから、2000万人が見ているわけ。もちろん私の意見に賛成の人ばかりじゃないけど、2000万人の中にはわかってくれる人もいるはずだから、嫌な思いをするたびにいつやめようかと迷い、それでも少しでもフェミニズムを広められるなら、ここで頑張ってみるしかないって」(田嶋さん) テレビ出演の前に書き上げた『愛という名の支配』も田嶋さんの背中を押した。 同書で田嶋さんは、「女らしさ」という規範を押し付ける母親との関係に苦しみながら、その束縛と抑圧を乗り越えるまでの長い歩みを描いた』、「アカデミズムの女性学の人からもそっぽを向かれたんです」、孤軍奮闘しつつも、「少しでもフェミニズムを広められるなら、ここで頑張ってみるしかないって」、と覚悟してやったとは大したものだ。
・『「私は母親からいじめられてボロボロになったけど、本を書くことがセラピーになりました。自分なりのフェミニズムの視点を深めて、母の呪縛や支配から自立できました。自分を解放できたから、頭の中が岩のように固い世のオヤジたちから何を言われても怖くなかった。自分の頭で考えて自立することは、自信につながるんです。私はそのことをオヤジたちの向こう側にいる、多くの女性に伝えたかった。テレビの中ではオヤジたちと闘っているように見えたかもしれないけれど、私はつねにブラウン管の向こうに向けて発言していました」(田嶋さん) 同書に田嶋さんの原点があると語るのは作家の山内マリコさんだ。前述した『エトセトラ』の責任編集を務める山内さんは同書に解説文を寄せている、 「田嶋先生はご自分の体験から、苦しみの根っこにあるものは何だろうと考え抜いて、“構造としての女性差別”という答えにたどりついた。血の通った優しさがあって、そこが好きです。フェミニズムは女性を、いつの間にか背負わされている苦しみから解放してくれるんです」(山内さん) 2001年、田嶋さんは当時の土井たか子社会民主党党首に誘われて参議院選挙に出馬し、見事に当選した。 『TVタックル』の初出演から10年の時が流れていた。田嶋さんの登場以降、社会は少しずつ女性の自立に寄り添ったかのように見えた。1998年には江角マキコが主演したドラマ『ショムニ』(フジテレビ系)の“闘うOL”がブームに。同年ケアマネジャー試験も開始され、多くの女性が受験した。社会で闘い、働く人が目指すべきモデルとされた。その一方で、働く女性が専業主婦にノーを唱える「専業主婦論争」も勃発している。 女同士が綱引きをするなかで国会議員となった田嶋さんは児童虐待防止や原発反対を訴えた。しかし北朝鮮による拉致問題の対応などをめぐって社民党との間に亀裂が生じ、わずか1年で離党した。 田嶋さんと同じ時期に国会議員となった舛添さんは、「彼女は政治家に向いていなかった」と振り返る。 「政治家は組織人であり、党や支持者の縛りがあるから本音を語れません。田嶋さんのように媚びずに意見を忌憚なく言えるように見える福島瑞穂さんだって、党の公式見解以外のことは一切しゃべりません。田嶋さんは群れをなさない孤高の人で、自分の意見に合わないことには従えないから、きっぱりと政治家を辞めたのでしょう」(舛添さん)』、確かに「政治家に向いていなかった」、最近はシャンソン歌手としての活動に力を入れているようだ(田嶋洋子Wikipedhia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B0%E5%B6%8B%E9%99%BD%E5%AD%90

第三に、5月2日付け東洋経済オンラインが掲載したコミュニケーション・ステジトラストの岡本 純子氏による「「女性リーダーの国」がコロナを抑え込む理由 敵はウイルスだけではなく「内なる感情」だ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/347146
・『巨大クライシスを乗り越えた後の世界の秩序や常識はどうなるのか──。ポストコロナの「ニューノーマル」(新常態)について、さまざまな予測、提言、議論がされているが、リーダーシップとコミュニケーションについて長年、研究してきた筆者が予言、いや期待する「ニューノーマル」は「女性リーダーと新世代リーダーの台頭と活躍」だ。 ニュージーランド、台湾、ドイツ、フィンランド、デンマーク……。世界的に見て、このコロナ危機に上手に対処している国のリーダーに女性が多いということが話題になっている。こうした非常事態時には、力強さを体現する男性のほうが向いているのではないかという思い込みもあるが、なぜ、この未曽有の危機に女性リーダーが真価を発揮できるのか。その理由と女性リーダーの強みについて考えてみよう』、興味深そうだ。
・『成功する女性リーダーは「カメレオンタイプ」  ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相(39歳)。今回のコロナ危機では死者のいない段階でロックダウンを敢行するなど、迅速で的確な対応と人々の琴線に触れるコミュニケーションで、感染の抑え込みに成功、全世界から注目を集めている。 実は筆者は、昨年9月、とある仕事で彼女と直接会う機会があった。ニュージーランドから到着したばかりだという彼女だったが、印象に残ったのは、しっかりとカールされた髪、発色のいいルージュの口紅、ピンヒールというフェミニンないで立ちだ。一方で、かっちりとしたパンツスーツを着こなし、ロジカルで明快、熱量と勢いのある話し方など、柔らかさや優しさと、強さやカッコよさの絶妙なバランスを醸し出していた。 女性のリーダーとしてのスキルや才能は、男性と比べてまったく遜色はない。むしろ、優れている面も多い。しかし、政治、経済のリーダーの中での女性比率はまだまだ低く、とくに日本は男女平等度を示すジェンダーギャップ指数が153カ国中、121位という「女性活躍劣等国」である。 女性がリーダーになるためには数々の障壁と「ガラスの天井」があるわけだが、その中の1つに、「ダブルバインド」(二重拘束)というものがある。女性がコミュニケーションをするうえで、強い態度を見せる、例えば怒ったりすると「ヒステリック」「冷たい」と言われ、柔らかく、優しい態度を見せると「弱々しい」と批判されるというものだ。 だから、アメリカの大統領候補だったヒラリー・クリントン氏や立憲民主党の蓮舫氏のように、怒り、叫ぶ女性はことさらに、批判を浴びやすい(参考記事:「怒りながら叫ぶ女」はどうして嫌われるのか)。つまり、強すぎても弱すぎてもいけない、という非常に微妙なバランスを要求されるというわけだ。スタンフォード大学の研究では、最も成功する女性リーダーは「男性的特質と女性的特質を上手に使い分けるカメレオンタイプ」であると結論づけている。) 女性らしさ、男性らしさといった言葉は好きではないが、ジェンダーの枠を超えて、強さと優しさをベストマッチした女性リーダーが成功するということであろう。 そういった視点で見ていくと、コロナ対策に成功しているといわれるニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相(39歳)、台湾の蔡英文総統(63歳)、ドイツのアンゲラ・メルケル首相(65歳)、フィンランドのサンナ・マリン首相(34歳)、アイスランドのカトリーン・ヤコブスドッティル首相(44歳)、ノルウェーのアンナ・ソールバルグ首相(59歳)、デンマークのメッテ・フレデリクセン首相(42歳)、すべてが、まさにこの資質を満たしていることがわかる。 彼女たちの的確な対応の要因の1つに、リスクに対するとらえ方が挙げられる。例えば、ニュージーランドのアーダーン首相は「We must go hard and go early(厳しく早く)」あるべきと唱え、断固たる処置を一刻も早くとるという姿勢を堅持してきた。ドイツのメルケル首相も、物理学者の経験を生かして「科学の声」に耳を傾け、徹底した検査と行動制限で感染者数の抑え込みに成功している。 男性のほうが女性より、リスクの高い行動に出やすいといわれるが、このコロナ問題についても、女性のほうが男性よりはるかに心配をし、予防行動に出ていることがわかっている。男性の中には、「男らしさ」とはウイルスという敵を恐れず、戦い抜くことで、外出しないという選択肢は負けを認めること、ととらえるマッチョな人も、ごく一部にいる。 初期対応を誤り、「消毒薬を注射すればいい」など数々の虚言・妄言をはき続けるアメリカのドナルド・トランプ大統領や、外出制限にデモ活動を行う人々、一切の対策を拒否するブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領など、とくに強硬な保守層ほど、リスクを軽視し、科学を無視する傾向もある。リスクの受容度の違いが感染抑止の取り組みに影響を与える側面はあるだろう』、「ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相(39歳)。今回のコロナ危機では死者のいない段階でロックダウンを敢行するなど、迅速で的確な対応と人々の琴線に触れるコミュニケーションで、感染の抑え込みに成功、全世界から注目」、大したものだ。「「ガラスの天井」・・・の中の1つに、「ダブルバインド」」、確かにハンディだ。それを乗り切るのに、「最も成功する女性リーダーは「男性的特質と女性的特質を上手に使い分けるカメレオンタイプ」」、その通りなのだろう。
・『コロナ禍で発揮された女性リーダーたちの共感力  さらに、女性リーダーに共通しているのは際立ったコミュニケーション力だ。男女のコミュニケーションの特質的な違いについては、拙著『世界一孤独な日本のオジサン』に詳述しているが、とくに大きく異なるのが共感力だ。数々の研究から、女性のほうが、人の感情を読み取る、感情を表現する力が高いという結果が出ているが、人の気持ちを察し、同情する、悲しみや不安に寄り添うといった言動にためらいがない。 彼女たちは軒並み70%、80%台の高い支持率を得ているが、これだけの信頼を得ている理由として、この危機の特殊性もあるだろう。(仮想)敵国を叩くことで、「ゼロサムゲームを勝ち抜くのだ」と奮い立たせるようなレトリックはこのウイルスとの戦いでは役に立たない。 敵は見えないウイルスだけではなく、人々の恐怖や孤独、不安という内なる感情でもある。その痛みを感じる想像力、寄り添い、勇気づけ、たたえ、励ます共感力が求められるということだ。つながりを渇望する国民は女性リーダーの優しく力強い言葉に、「そうそう」「それそれ」と背中の痒い所をかいてもらうがごとく、感情のツボを刺激されてしまう。 例えば、デンマークのフレデリクセン首相やノルウェーのソールバルグ首相、フィンランドのマリン首相は、テレビを通じて子ども向け記者会見を開催、質問に丁寧に答え、共感を集めた。 フレデリクセン首相はロックダウンの最中に、歌を歌いながら皿洗いをする映像をFacebookにアップしたが、炎上することもなく、そのユーモアが評価されている。アーダーン首相は、子どもを寝かしつけた後、部屋着姿で国民にライブ中継でメッセージを送り、国民を励まし続けている。助け合いや支えあい、連帯を訴え、人間の根源的な「力」や「愛」を想起させるメッセージは不安で寂しい国民の心を打つのだ。 もちろんエモーショナルなサポートだけではない、極めてロジカルに説明する力もある。メルケル首相は、1人の感染者が新たに何人を感染させるかを示す「再生産数」について「再生産数が1.1に上昇すれば10月、1.2になれば7月、1.3になれば6月に医療システムが限界を迎えてしまう」と、正確なデータを持って語り、国民を納得させた。 たった2つしかICUベッドがない人口4万1500人のカリブ海のオランダ領シント・マールテンのシルベリア・ヤコブス首相は危機的状況に「シンプルに言います。動かないで。あなたの家にパンがないなら、クラッカーを食べて、シリアルを食べて、オーツ麦を食べて、イワシを食べて」と呼びかけ、単刀直入で迫力ある語り口がネット上で大きな話題になった』、「つながりを渇望する国民は女性リーダーの優しく力強い言葉に、「そうそう」「それそれ」と背中の痒い所をかいてもらうがごとく、感情のツボを刺激されてしまう」、その通りなのだろう。
・『日本を根本から変える好機に  「女は感情的だから、難局など乗り切れるわけがない」。そんな偏見はいまだにあるが、こうした極めて冷静沈着で肝が据わった女性リーダーと、メディアの質問に暴言をぶちまけたり、キレて嫌味を言ったり、野党の質問にヤジを飛ばしたりする男性リーダーたちを比べると、果たして「感情的な性はどちらなのか」と問いたくなる。 そして、「女の嫉妬より男の嫉妬のほうが怖いですよ。男同士の嫉妬は国だって滅ぼすほどだから。嫉妬を女偏にしないでほしい」とわが国の「緑のカメレオン」小池都知事も形容していたが、たぶん、男の嫉妬のほうが女の嫉妬よりよほど、たちが悪い。 結局のところ、「女性がリーダーになるためには、男性より優れていなければならない。男性の半分でも真剣に受け止めてもらうために、2倍働かなければならない」(英The Guardian)というように、男性社会の中で上り詰める女性は超優秀であるということだ。そのあたりは、おじさんたちへの媚びが評価されるわが国の一部の女性政治家とはスペックが随分と違う。 もちろん、女性だけではない。例えば、ギリシャでは、ハーバード大学卒業、マッキンゼーの元コンサルタントという52歳のキリアコス・ミツォタキス首相が、混乱するヨーロッパの中で、大健闘し、評価を高めている。 日本でも、地方自治体の若手首長が実力を発揮し、注目を集めている。国政においても、しがらみのない女性や次世代のリーダーにバトンを渡し、日本を根本から変える好機とするべきではないだろうか』、「男性社会の中で上り詰める女性は超優秀であるということだ。そのあたりは、おじさんたちへの媚びが評価されるわが国の一部の女性政治家とはスペックが随分と違う」、自民党の女性閣僚や議員の一部は余りに酷く、同感だ。

第四に、5月26日付け東洋経済オンラインが掲載した ライターの宮本 さおり氏による「コロナ禍で再確認された「男女格差」の根本問題 女性が"自然に働ける"会社がやっていること」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/351610
・『新型コロナウイルスへの対応に世界中が追われているが、そんな中、もともとあった問題が改めて再認識されることもある。その1つが、「男女格差」の問題だ。 日本で2月末、全国の小中学校と高校の休校が決まったとき、湧き起こったのは「家庭にいる子どもの面倒は誰が見るのか」という悲鳴だった。 親が休業できる強力な仕組みがセットで用意されればよかったのだが、日本の場合、それはなかった。休校にあたり学校から出されたのはドリルやプリント学習だが、休校が長引く中、新しい単元の学びまでもが宿題として出始め、否が応でも親は教える義務を負わされた。母親が家で見る前提で政策が決められていると、多くの働く母親たちが怒るのも自然なことかもしれない。 こうした有事に際し、改めて男女格差における日本の鈍さを感じざるをえない。 世界経済フォーラム(WEF)が毎年公表する、男女格差を表すジェンダーギャップ指数。政治・経済・教育・健康の4部門について、男?にどれだけの格差が存在しているかを分析、スコア化し、順位をつけるものだが、今年、調査対象となった153カ国のうち、日本は過去最低の121位、G7の中で最下位だった。 ここ10年、「輝く女性」「女性活躍」とスローガン的な言葉が生まれ、育休離職者の多さを表す、いわゆるM字カーブの溝は浅くなりつつあるが、男女格差の問題はなかなか改善されていない。 ポイントを引き下げているのが「政治」と「経済」の分野だ。女性の立場に立たない政治と経済に囲まれて、女性たちの葛藤は深まるばかりだ』、「全国の小中学校と高校の休校が決まったとき、湧き起こったのは「家庭にいる子どもの面倒は誰が見るのか」という悲鳴」、安部政権がこうした問題を顧みることなくいきなり休校宣言に踏み切ったのには、驚かされた。
・『学生が感じた違和感  筆者は2006年、アメリカ・シカゴ大学で日本でのウーマニズムを紹介するために開かれた、映画『30年のシスターフッド:70年代ウーマンリブの女たち』(山上千恵子・瀬山紀子監督)の上映会に参加した。その後のパネルディスカッションに続く質問タイムで、1人の日本人女子留学生が手を上げたのが印象的だった。 「私の時代はすでに家庭科も男女ともに受けていて、不平等と感じたことがありません。本当に今でも日本は男女不平等な社会なのでしょうか?」 学生だった彼女にとっては自然な感覚だったのだろう。近年、東京医科大学における入試差別が話題となったとはいえ、確かに学生のうちは性別による差をさほど感じることなく過ごす。 現在公表されているジェンダーギャップ指数の項目別の数字を見ても、日本は教育分野のポイントは0.983ポイント。数値が1に近いほど平等率が高い。順位としては世界91位だが、それでもほぼ平等に教育が与えられているということになる。 だが卒業した途端、その平等感にゆらぎが生まれる。 「学生までは男女隔たりなく同じゼミで学んでいたのに、会社に入り、ライフイベントがあると女性だけが苦しそう。差を感じます」と漏らすのは大手企業で働く入社7年目の男性だ。育休復帰後に家庭との両立に苦戦し、辞めていく女性を見るたびに不平等な気がすると話す。 「産後うつの話も割と身近です。昔のように会社が生涯、生活を保証してくれるわけでもない。禄高(収入)が年々上がる時代でもない。生活を安定させていくには、夫婦2馬力で働いていくのが妥当です」 妻にもしっかり働いてもらうためには、夫側も家事・育児を分担する必要があると、第2子が生まれたのを機に1年間の育休を取得した。だが、こういう男性はまだ珍しい。いまだに家事・育児に関わる時間では女性が圧倒的に高い状態の日本。女性たちが頑張ればなんとかなるという問題でもない』、「学生のうちは性別による差をさほど感じることなく過ごす・・・だが卒業した途端、その平等感にゆらぎが生まれる」、その通りだ。
・『会社主導で活躍を後押し  政治の世界と同様、企業の要職に女性が少ないことも、男女格差が縮まらない理由となっている。 今年2月に開催された女性活躍に関する「新世代エイジョカレッジサミット」(エイカレ)。特別講演に立った立命館アジア太平洋大学学長の出口治明氏は、「(女性の中に)管理職にしたい人材がいないという言葉を聞くが、では男性はみな資質があって管理職に登用されているのでしょうか?(管理職)になってから育てられる人もいるのでは」と疑問を投げかけた。 日本企業の管理職に、極端に女性が少ないのは事実だ。もっと管理職になる女性が増えることが望ましいという考えに異論を唱える人は大分減っているだろう。責任あるポジションにつく女性が増えれば、それだけ女性が働きやすくなる環境、また、女性視点を経営により反映できるということは言うまでもないことだ。 しかし、ここで忘れてはいけないことがある。そもそも、管理職になることだけが“活躍”と思う女性ばかりではない。ワークライフバランスが盛んに叫ばれるようになり、子育てしつつ、仕事も辞めることなく続けていくことを望む女性は増えた。育児と家庭を横に置き、がむしゃらに上り詰めてきたような、かつての女性活躍のロールモデルに違和感を感じる人たちも少なくないのだ。 こうした女性の間では、管理職ではない形で職場の中で落ち着き、家庭も大事にしながら働きたい、そんな価値観も当然のように存在している。 思えば、企業内の男性にも、そうした人はもともといたはずで、昇進して管理職になることを目指す人ばかりではない。管理職になって出世を目指す人もいれば、専門職として得意分野を究める人、そこまでハードに働こうとは思わない人もいる。女性の場合も同様で、どう働きたいかは大きく個人差がある。 育休復帰が一般化するようになった今の女性が直面している課題は、出世か窓際かの極端な2択ではなく、より自然なスタイルで働き続けることができるか、望むスタイルに近づけるかどうか、だろう。 とくに育児と仕事の両立に奮闘する子育て世代は、目の前の1日を生きることがやっとの状態。いきなり「活躍」「管理職」と言われても、気持ちがついていかないという本音がある。 しなやかに働き続けるうちに、「もっと責任のある仕事をしたい」という気持が醸成されることもあるだろう。 そこで大前提として必要なのは緩やかでも働き続けるということだ。この道筋をつけるためにはもちろん、男性側の育児参加は不可欠だ。そこが進めば、これまでひとくくりに考えられてきた「働く女性」の中にもダイバーシティーが生まれ、本当の意味での男女平等に結びつくだろう。 責任ある仕事に就きたいと思う女性も、今はペースダウンして家庭重視で働きたいという女性も、子どもを産んだ女性も、それぞれに存在できるという未来だ』、確かに「今の女性が直面している課題は・・・より自然なスタイルで働き続けることができるか、望むスタイルに近づけるかどうか」、「ダイバーシティー」が生かされることなのだろう。
・『家族内での理解を深める「家族会議」を実施  それではどうすれば、より女性が企業で働き続けやすくなるか。先述のエイカレの中に参考になる取り組みがあったので紹介したい。 エイカレが募集する実証実験のコンテストに参加した日本イーライリリー株式会社のチームでは、「プライベートの過ごし方」「働き方」「これからのキャリア」について家族で話し合う実験を行った。仕事の印象や理解度、率直な要望を家族で話し合うためのアンケートと称した家族会議用の資料を用意し自宅に持ち帰り、家族で話す時間を作ってもらうという実験だ。調査に参加したのは52人。 ① 労働時間について、社員が働きすぎだと思うことがありますか? ② 社員が家族と過ごす時間について、一緒に過ごす時間を十分に取れていると感じますか? ③ もっとプライベートの時間を確保できた場合、何を希望しますか? ④ 社員の仕事内容や会社についての理解度はいかがですか? ⑤ 機会があれば、職場や仕事内容を見てみたいですか? 参加者からは、「アンケートがきっかけとなり、家族がどんな思いでいるのか話すことができた」などの声が上がり、中には家事や育児の分担について話し合いを持てた家庭もあったという。) 「女性が働き続けるためには家族の理解がいります。また、全社で取り組んでいるノー残業デーについて、取り組み当初、できた時間の使い道に困っているという男性社員もいたのですが、アンケートを通して家族と話すことで、家族が関わってほしいと感じていることが見えてよかったという人もいました」と、担当者は一定の効果が見られたと評価する』、この「実験」は確かに「「アンケートがきっかけとなり、家族がどんな思いでいるのか話すことができた」、効果がありそうだ。
・『女性管理職倍増のオリックスの“仕掛け”  日本企業の中でいち早く女性活躍のための道を切り開いてきたのがオリックスグループだ。男女雇用機会均等法施行より早い1982年には女性総合職の採用を開始し、働き続けたいと願う女性社員のニーズに合わせてさまざまな策を打ってきた。 結果、産育休からの復帰者が増え、ワーキングマザー率は劇的に伸びた。2007年には女性総合職を対象としたフォーラムを開催。ダイバーシティー、女性活躍の担い手となる人材の育成を行ってきた。2005年には産休前、育休中の社員に向けての研修「ORIX Group Mom」を始め、同じ境遇の社員同士の交流や、先輩社員から復帰後1年のスケジュール、仕事と家事の両立についての話を聞く会を設けてきた。 続いて始めたのが女性だけでなく、パートナーも含めて仕事と家庭の両立について考える研修会。画期的だったのは他社に勤めるパートナーの参加も受け付けた点だ。 「外部講師を招いて研修を行っています。講師から示される家事タスク表を使って分担比率がどのくらいになっているのかを可視化。子育てしながら働き続けるためにはお互いにどんな協力をしたらいいのかを考える機会にしてもらっています。夫が自社、妻が他社社員というパターンの参加もあります。妻を通してワーママ部下の悩みや苦労を知ることはマネジメントに生かせる部分もあります」 そう話すのは、グループ人事部人材開発チーム課長代理の佐々木春香氏。家庭を巻き込んでの研修と意欲向上のためのプログラムの両輪を回した結果、10年でワーキングマザーの数は約3倍に飛躍し、女性の管理職数もグループ全体で11.6%から20.6%へと倍増を果たしている。 こうした研修制度をはじめ、定時を17時に早めたことも子育て世代のモチベーションを上げる要因となったと人事担当者は話す。 「自分だけが時短となると周りに気も使いますが、全員がそうならば気兼ねがなくなります」 なによりもモチベーション維持につながったのが、給与明細に“傷”がつかないことだという。 時短の場合、給与明細に早退した記録が残る。「17時退社でもマイナスが付かないことが気持ちを上向きにしている」(佐々木氏)。 退社時間が早まったことで社員全員が時間の有効活用を心がけるようになり、結果として、ダラダラ過ごす時間が減るという副産物まで生まれた。 育休復帰率の上昇はすでに見られるようになった日本。家族を巻き込む「巻き込み型研修」と、ダラダラとした時間を減らすなど、全社を挙げての「ムダの削減」。 コロナウイルスの影響で今までどおりに働くことはできなくなり、もっと効率的で合理的な働き方への関心が、男女ともに高まりつつある。今回紹介したような先進企業の事例も参考に取り入れ、男女ともに働きやすい職場への改善につなげてほしい』、「パートナーも含めて仕事と家庭の両立について考える研修会」、とは面白い試みで、効果も大きかったようだ。「退社時間が早まったことで社員全員が時間の有効活用を心がけるようになり、結果として、ダラダラ過ごす時間が減るという副産物まで生まれた」、あり得る話だ。「コロナウイルスの影響」で、「合理的な働き方」がさらに進み、女性活躍が広がることを期待したい。
タグ:エトセトラ 東洋経済オンライン 田嶋陽子 ビートたけしのTVタックル 女性活躍 ダイバーシティー Newsポストセブン 岡本 純子 (その16)(世代を超え再評価熱高まる田嶋陽子さん「時代が追いついた」、田嶋陽子さん かつての女性論客を批判「みんなズルかった」、「女性リーダーの国」がコロナを抑え込む理由 敵はウイルスだけではなく「内なる感情」だ、コロナ禍で再確認された「男女格差」の根本問題 女性が"自然に働ける"会社がやっていること) 「世代を超え再評価熱高まる田嶋陽子さん「時代が追いついた」」 怒れるフェミニスト 「We Love 田嶋陽子!」と銘打って一冊丸ごと田嶋陽子特集 『愛という名の支配』が新潮文庫で復刊 『TVタックル』 世代を超えたファンがいる 昔から田嶋さんを見てきた60代以上のファン 30~40代の女性は、社会に出て理不尽な経験をしてから田嶋さんを“再発見”する 田嶋さんは『早すぎた人』だったんです フェミニズム・ムーブメントが活性化して、時代が田嶋さんの主張に追いついた 「田嶋陽子さん、かつての女性論客を批判「みんなズルかった」」 〈男だってパンツを洗え!〉 男性出演者とのバトルが大受け 舛添要一さん(71才)との激しいバトル うるさい女だ、いい加減にしろ! アカデミズムの女性学の人からもそっぽを向かれたんです 少しでもフェミニズムを広められるなら、ここで頑張ってみるしかないって 「政治家に向いていなかった」 「「女性リーダーの国」がコロナを抑え込む理由 敵はウイルスだけではなく「内なる感情」だ」 ニュージーランド、台湾、ドイツ、フィンランド、デンマーク……。世界的に見て、このコロナ危機に上手に対処している国のリーダーに女性が多いということが話題に 成功する女性リーダーは「カメレオンタイプ」 「ガラスの天井」 「ダブルバインド」 最も成功する女性リーダーは「男性的特質と女性的特質を上手に使い分けるカメレオンタイプ」 際立ったコミュニケーション力 つながりを渇望する国民は女性リーダーの優しく力強い言葉に、「そうそう」「それそれ」と背中の痒い所をかいてもらうがごとく、感情のツボを刺激されてしまう 日本を根本から変える好機に 男性社会の中で上り詰める女性は超優秀であるということだ。そのあたりは、おじさんたちへの媚びが評価されるわが国の一部の女性政治家とはスペックが随分と違う 宮本 さおり 「コロナ禍で再確認された「男女格差」の根本問題 女性が"自然に働ける"会社がやっていること」 全国の小中学校と高校の休校が決まったとき、湧き起こったのは「家庭にいる子どもの面倒は誰が見るのか」という悲鳴 学生が感じた違和感 学生のうちは性別による差をさほど感じることなく過ごす だが卒業した途端、その平等感にゆらぎが生まれる 会社主導で活躍を後押し ワークライフバランスが盛んに叫ばれるようになり、子育てしつつ、仕事も辞めることなく続けていくことを望む女性は増えた 管理職ではない形で職場の中で落ち着き、家庭も大事にしながら働きたい、そんな価値観も当然のように存在している より自然なスタイルで働き続けることができるか、望むスタイルに近づけるかどうか、だろう 家族内での理解を深める「家族会議」を実施 女性管理職倍増のオリックスの“仕掛け” コロナウイルスの影響 「合理的な働き方」
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ホテル(その2)(「コロナ倒産」本格化、追い込まれたホテル業界 投資にのめり込んだ不動産会社に波及も、ユニゾHD<上>日本初の「従業員による買収」を成功させた、ユニゾHD<下>社長は「みずほのラスプーチン」と呼ばれた男) [産業動向]

ホテルについては、本年1月15日に取上げた。今日は、(その2)(「コロナ倒産」本格化、追い込まれたホテル業界 投資にのめり込んだ不動産会社に波及も、ユニゾHD<上>日本初の「従業員による買収」を成功させた、ユニゾHD<下>社長は「みずほのラスプーチン」と呼ばれた男)である。

先ずは、5月3日付け東洋経済オンライン「「コロナ倒産」本格化、追い込まれたホテル業界 投資にのめり込んだ不動産会社に波及も」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/347698
・『インバウンドの蒸発と外出自粛で刀折れ矢尽きた。 ホテル運営会社のファーストキャビンおよび子会社4社は4月24日、東京地⽅裁判所に破産⼿続開始の申し⽴てを⾏った。負債は合計約37億円となる模様だ。破産に伴い、直営5施設は営業を終了する。 同じくホテル運営会社のWBFホテル&リゾーツも27日、大阪地方裁判所に民事再生法の適用を申請し、同日に監督命令を受けた。負債総額は約160億円と、コロナ関連では最大の倒産となった。代理人を務める弁護士は、「複数の企業がスポンサーとして名乗りを上げているが、運営から撤退する施設も出て来るだろう」と話す』、「インバウンドの蒸発と外出自粛で刀折れ矢尽きた」、この2社は氷山の一角だろう。
・『もともと苦しい経営状況  2社の倒産の直接的な原因は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うホテルの休業だ。他方で、ホテル業界の苦境は今に始まったわけではない。いずれも新型コロナが引き金を引いたというよりも、もともと苦しい経営状況に追い打ちをかけたというほうが正確だ。 ホテルの月次データを公表している3つのREIT(上場不動産信託)のRevPAR(平均客室単価に客室稼働率を掛けた経営指標)を集計したのが下図だ。新型コロナのあおりをもろに食らった今年3月の下落が突出しているものの、業績自体は昨年中頃から軟調に推移していることがわかる。 昨年はホテル業界にとって悪いニュースが相次いだ。昨年7月、これまで増加の一途を辿っていた国内の延べ宿泊者数が横ばいとなり、8月には2年ぶりに前年割れへと転じた。日韓関係の悪化に伴い、韓国からの訪日客が減少したことが響いた。10月には台風19号が3連休を直撃したことも痛手となった。) 需要が冷え込んでも、インバウンド需要や東京五輪特需を当て込んだホテルの新規供給は止まらない。厚生労働省によれば、ホテルや旅館、簡易宿所といった宿泊施設数は、2013年度の7万9519から2018年度には8万5617へと増加。市場の需給バランスは著しく緩んだ。 冷え込む需要と止まらぬ供給。「以前は各店舗の稼働率は9割超だったが、足元では8割5分」。昨年7月、記者の取材に対してファーストキャビンの幹部はこう答えていた。限られた客をホテル同士が奪い合い、稼働率を維持するために宿泊単価を削るダンピング合戦の様相を呈した(2019年11月13日配信「過剰供給のツケ、『関西ホテルバブル』に変調」)。 大阪市内に本社を構えるWBF自身も、競争に巻き込まれたホテル会社の一つだ。市内で運営する「WBF淀屋橋南」について、WBFは「ホテル同士の競争が激しく、思ったほど収益が上がらないため撤退したい」と、ホテルを保有する投資法人みらいに対して通達。契約はまだ長期間残っていたが、違約金を払ってでも解約を進めたい意向だった』、「需要が冷え込んでも、インバウンド需要や東京五輪特需を当て込んだホテルの新規供給は止まらない」、「ホテルバブル」が崩壊したとなれば、深刻だ。
・『不動産業界にも飛び火  ホテル業界には日々、不穏なニュースが飛び込む。東京商工リサーチによれば、今年2月から4月27日までの間で、宿泊業の倒産は21件を数えた。さらに3月から4月にかけて、上場するほとんどのホテル運営会社が業績予想の下方修正を発表するなど、まさに総崩れだ。営業再開の見通しが立たないため、業績予想を「未定」とした企業も多く、日銭商売であるホテルの資金繰り不安は日増しに高まる。 外出自粛が長引けば、影響はホテル業界の外へと飛び火していく。筆頭は、ホテル運営会社から賃料を得ている不動産会社だろう。WBFの倒産を受けて、同社が運営する「ホテルWBFアートステイなんば」を保有するスターアジア不動産投資法人は、「今後の方策を検討する」とリリースを発表した。中堅デベロッパーのタカラレーベンに至っては、今年2月に京都市内で「ホテルWBF五条堀川」を開業させたばかりだ。今後の運営方針について、同社はコメントを避けた。 WBFが運営するホテルについて、東洋経済が不動産登記簿を取得したところ、複数のホテルの所有権が信託銀行に移転していた。このうち「ホテルWBF京都東寺」は、不動産ファンドのケネディクスが組成した私募ファンドに含まれている。ケネディクスは「運用方針についてはコメントできない」としているが、同ファンドには九州電力も出資しており、運営会社の倒産は投資家のリターンにも跳ね返る。 ホテルの賃料は一般的に、売り上げに連動する変動賃料と、売り上げにかかわらず毎月一定金額を支払う固定賃料とで構成される。ホテルの売り上げ減少を受け、受け取る変動賃料を「0円」と見積もる不動産会社は多いが、収入が途絶えているホテル運営会社にとっては固定賃料の支払いさえ難しい。運営会社の倒産を防ぐためにも、不動産会社は固定部分の減額にも踏み込まざるをえないだろう』、「ホテルバブル」崩壊が、「不動産会社」にも波及するのは当然だろう。
・『「回転型」ビジネスの功罪  現在進行形でホテルを保有している不動産会社だけでなく、開発したホテルを売却する不動産会社への影響も無視できない。不動産登記簿によれば、大阪市内に立つWBFが運営するホテルのうち少なくとも4棟は、関西地盤のデベロッパーである日本エスコンが開発、売却していた。 関西国際空港のすぐ近くでは、東急リバブルが「ホテルWBFグランデ関西エアポート」を開発中だ。今年7月の竣工予定で、その後は投資家へと売却する予定だが、「現時点では開発計画に変更はない」(同社)。 2019年9月にオープンした「ファーストキャビン柏の葉」。来海忠男社長は「ファーストキャビンを占う重要な店舗」と意気込んでいたが、わずか半年での閉店となった(記者撮影) ホテル業界が沸いていたここ数年、不動産各社はこぞってホテル開発に参入した。多くは開発したホテルを系列REITや外部の投資家に売却し、回収した資金でさらに多くのホテルを開発するという「回転型」ビジネスだ。「昔は興味を示さなかったマンションデベロッパーが、宿泊単価上昇を受けてホテル開発に参入してきた」(大手デベロッパーのホテル開発担当者)。 インバウンド需要を追い風に、オフィスや商業施設よりもホテルの収益性が勝った時代には、投資家もホテルを欲しがり、物件と資金がうまく「回転」していた。好循環が続く間は爆発的な利益をもたらす回転型ビジネスだが、ひとたび開発物件の売却が滞れば、資金繰りに窮するおそれがある。 もともと負債総額が多く、行方が注目されていたファーストキャビンとWBF。2社の倒産劇は、これから起こる波乱の幕開けにすぎない』、確かに「「回転型」ビジネス」は「ひとたび開発物件の売却が滞れば、資金繰りに窮するおそれがある」、要注意だ。

次に、5月13日付け日刊ゲンダイが掲載したジャーナリストの有森隆氏による「ユニゾHD<上>日本初の「従業員による買収」を成功させた」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/273051
・『演目は上場会社初の従業員による買収「エンプロイー・バイアウト(EBO)」である。 ユニゾホールディングス(以下、ユニゾと略)の小崎哲資社長が製作、監督、脚本、主演の4役をこなしたM&A劇だ。茶番狂言と酷評する向きもある。 ユニゾは旧日本興業銀行(現みずほ銀行)系の不動産会社だった。日本橋や八重洲といった東京の一等地にオフィスビルを所有し、ビジネスホテルを運営する。 4月3日、従業員と米投資ファンド、ローンスターが共同で設立したチトセア投資によるTOB(株式公開買い付け)が成立したと発表した。買い付け期間中に発行済み株式数の86・55%にあたる応募があった。買収額は1777億円で、全株を取得すると最終的には2050億円に達する。 6月上旬までに開催予定の臨時株主総会を経て上場廃止となる。 ユニゾの争奪戦は異例づくしだった。 2019年7月、旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)が敵対的TOBを仕掛けたことにさかのぼる。HISのTOBを阻止するため、ユニゾは友好的な買収者(ホワイトナイト)になってくれる支援先を探した。 ソフトバンクグループ系の米不動産ファンド、フォートレス・インベストメント・グループが8月、HISのTOB価格を上回る買い付け価格を提示しTOBを開始。HISの買収は失敗した。 ユニゾは当初、フォートレスによる買収に賛同したが、途中でこれを撤回。ホワイトナイトとして招いたファンドとユニゾが一転対立することとなった。HISを追い落とすカードとして使ったフォートレスは御用済みとなったわけだ。 3番手として登場したのが米不動産ファンド、ブラックストーン。 10月、TOBを実施する意向を表明し、敵対的買収を辞さない姿勢を示した。 ユニゾは市場価格を上回る買収価格をつけること、従業員保護の2つを条件にスポンサー選びを継続。米投資ファンド、ローンスターが、この時点で浮上した。 19年12月22日、従業員による買収(EBO)をローンスターの支援を受けて実施する、と発表した。従業員が73%、ローンスターが27%を出資してチトセア投資を設立。チトセアが12月24日から20年2月4日まで、1株5100円で公開買い付けをする。発行済み株式の3分の2を下限とし、全株の取得を目指す、とした。TOBに必要な資金は、ローンスターから最大1300億円の融資を受け、ローンスターに優先株を割り当てることによって同450億円を調達することにした。合計で1750億円の巨額ファイナンスである』、「ユニゾ」については、このブログの1月15日でも紹介した。「ユニゾは当初、フォートレスによる買収に賛同したが、途中でこれを撤回」、なりふり構わない、ずいぶんドライなやり方だ。
・『小崎社長が「俺が日本で初めてやった」と周囲に自慢  TOBが成立した暁には東証1部の上場を廃止する。 この間、ブラックストーンが提示価格をどんどん吊り上げた。チトセア投資は対抗上、3月18日、TOB価格を1株6000円に引き上げ、応募期間を4月2日までに延長した。 一連の騒動で株価は急騰。HISがTOBを公表する直前は1990円だった株価は3倍以上にふっ飛んだ。 EBOは小崎社長がシナリオを描いたとされている。19年11月、小崎社長は、社員を部署ごとに会議室に呼び出し、ファンドにつくか、「俺の会社に来るか」の踏み絵を迫ったと伝わっている。約300人の社員のうち、「小崎社長についていく」と決めたのは100人程度。この100人のサムライとサーベラスの出資でチトセア投資は設立された。 EBOの勝利に小崎氏は酔いしれているのだろうか。 〈小崎社長が周囲に「(EBOは)俺が日本で初めてやったんだ。すごいだろう」と自慢している様子が目撃されている。また、チトセアの代表に収まった山口雄平氏が「わけがわからないまま代表にさせられ、正直、内容はまったくわからない。早く終わってほしい」と吐露していたという証言もある〉(東洋経済オンライン20年2月26日付) M&Aの内実は、小崎社長がすべてを仕切っていたということなのか。 当代きっての軍師、知将、策士、謀略家と称される同氏が、檜舞台で六方を踏み大見えを切る図である。 EBOの狙いはどこにあったのか? それを解明することにした。=つづく』、「EBOは小崎社長がシナリオを描いたとされている」、なかなかのやり手のようだ。「「俺の会社に来るか」の踏み絵を迫ったと伝わっている。約300人の社員のうち、「小崎社長についていく」と決めたのは100人程度」、200人はどうしたのだろう。

第三に、この続きを、5月14日付け日刊ゲンダイ「ユニゾHD<下>社長は「みずほのラスプーチン」と呼ばれた男」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/273118
・『日本興業銀行(現・みずほ銀行)は、東京大学で最も優秀な学生しか入れない超エリート揃いの銀行だった。天下の大秀才が蝟集する興銀で、とびきりの“切れ者”と評されていたのが、ユニゾホールディングス社長小崎哲資、その人である。 1976年、東大法学部を卒業、興銀に入行。故西村正雄興銀頭取の信を得て、旧興銀側の実務責任者として99年8月、旧富士銀行、旧第一勧業銀行との3行の経営統合を成就させた。 2002年、3行の持ち株会社みずほホールディングス(HD)は不良債権処理で巨額の赤字を計上し、配当原資が枯渇する危機に直面した。事業再構築推進チーム委員長に就任した小崎は、みずほHDの親会社として、みずほフィナンシャルグループ(FG)を設立。持ち株会社を重ねる「二重持ち株会社方式」をひねり出した。グループ傘下の赤字企業をHD以外に振り分けることによって、HDの配当を実現した。 03年、不良債権の急増で自己資本比率が8%割れ寸前となり、みずほFGは「一時国有化」が不可避となった。この時も、経営企画部長の小崎は、取引先3500社を引受先とする1兆円の奉加帳増資を敢行した。みずほの2度にわたる絶体絶命の窮地を救った強腕ぶりを買われ、04年、みずほFGの常務取締役に就任。これ以降、FGの最高実力者となった前田晃伸会長(旧富士銀出身)の懐刀として辣腕を振るう。 〈「オレは“I(旧興銀)派”じゃない、“M(前田)派”だ」と豪語し、その権勢ぶりは「みずほのラスプーチン」の異名が付いた〉(「FACTA」10年4月号)。ロシア帝国末期に、「陰の皇帝」と呼ばれた怪僧ラスプーチンになぞらえたものだ。 09年、みずほFGの副社長(最高財務責任者・CFO)に就任。次期FG社長に王手をかけた。しかし、経営トップが6人もいるという異様に肥大化した組織に、“政変”が起こる。「誰が意思決定者なのかわからない」と金融庁が引導を渡した。 10年6月、旧3行を率いてきた前田晃伸ら3人の会長は辞任に追い込まれた。同時に、副社長の小崎も退任、旧興銀系のビル賃貸業、常和ホールディングス(現・ユニゾHD)社長に転出した。みずほを追放された小崎は、「脱みずほ」に経営の舵を切る。得意技はみずほ救済で予行演習済みの資本政策だ』、「「二重持ち株会社方式」をひねり出した」、「1兆円の奉加帳増資を敢行」、「「みずほのラスプーチン」の異名」に恥じない凄いやり手だ。
・『EBOで策士ぶりを発揮  ユニゾは18年5月までの過去5年間で4回の公募増資を実施。みずほグループの持ち株比率を徐々に薄めてきた。当然の帰結だが、みずほとの関係は悪化した。HIS、いや投資ファンドにTOB(株式公開買い付け)を仕掛けられたことを奇貨とし、小崎は再び策士ぶりを発揮し、従業員による買収(EBO)を成功させた。ユニゾはみずほと離別し、非上場会社となる。 小崎の強引なやり方に、従業員が反乱を起こした。「EBOの内容には虚偽記載がある」として、小崎を東京証券取引所や証券取引等監視委員会に告発した。告発内容は要約すると、小崎が主導しており、真のEBOではない。資産売却が進められており、従業員の利益が害されようとしているの2点である。 20年3月期の連結決算の業績予想を修正した。売上高を前期比26%減の413億円に引き下げたのに対して、純利益は同4・1倍の490億円に増額した。年明け以降、十数棟のオフィスビルの売却を進めており、売却金額は2341億円に上る。 4月以降、さらに物件の売却を加速させる。3月末で45棟保有しているオフィスビルのうち、ユニゾ御茶ノ水ビルなど14棟を900億円で、27棟のビジネスホテルのうちホテルユニゾ銀座一丁目など13棟を400億円でそれぞれ売却。合わせて1300億円の資金を調達する。TOBに要した資金はローンスターがいったん立て替え、TOB成立後に、ユニゾの従業員が返済するスキームになっている。その資金を物件の売却で工面しているというのだ。 ローンスターに全額返済した後のユニゾはどうなるのか。小崎に直接、尋ねたわけではないが、「非上場会社となったユニゾを小崎が自分の会社にする」(外資系証券会社の不動産担当のアナリスト)との見立てが浮上する。「ユニゾの不動産を売却。自分の懐を痛めることなく、ユニゾを手に入れるという巧妙なシナリオ」(同)なのだそうだ。 もしそうなら、ユニゾを「小崎王国」にする知略、恐るべし。「みずほのラスプーチン」と呼ばれた男は「ユニゾの皇帝」となって帰ってくる。=敬称略』、「従業員が・・・小崎を東京証券取引所や証券取引等監視委員会に告発」、結果はどうだったのだろう。小崎氏が有利なように思える。「「みずほのラスプーチン」と呼ばれた男は「ユニゾの皇帝」となって帰ってくる」、なかなか上手い表現だ。ただ、コロナショックの荒波は、「ユニゾ」にも及んでくる筈だが、「小崎氏」がこれまで直面した危機に比べれば、乗り切りは容易なのだろう。
タグ:ホテル 東洋経済オンライン 上場廃止 日刊ゲンダイ ファーストキャビン 民事再生法の適用を申請 有森隆 (その2)(「コロナ倒産」本格化、追い込まれたホテル業界 投資にのめり込んだ不動産会社に波及も、ユニゾHD<上>日本初の「従業員による買収」を成功させた、ユニゾHD<下>社長は「みずほのラスプーチン」と呼ばれた男) 「「コロナ倒産」本格化、追い込まれたホテル業界 投資にのめり込んだ不動産会社に波及も」 破産⼿続開始の申し⽴て 負債は合計約37億円 WBFホテル&リゾーツ 負債総額は約160億円 もともと苦しい経営状況 直接的な原因は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うホテルの休業 ホテル業界の苦境 もともと苦しい経営状況に追い打ちをかけた 3つのREIT(上場不動産信託)のRevPAR 今年3月の下落が突出しているものの、業績自体は昨年中頃から軟調に推移 韓国からの訪日客が減少 需要が冷え込んでも、インバウンド需要や東京五輪特需を当て込んだホテルの新規供給は止まらない 『関西ホテルバブル』に変調 不動産業界にも飛び火 ホテル運営会社から賃料を得ている不動産会社 ホテル運営会社にとっては固定賃料の支払いさえ難しい。運営会社の倒産を防ぐためにも、不動産会社は固定部分の減額にも踏み込まざるをえないだろう 「回転型」ビジネスの功罪 ひとたび開発物件の売却が滞れば、資金繰りに窮するおそれがある 「ユニゾHD<上>日本初の「従業員による買収」を成功させた」 上場会社初の従業員による買収 小崎哲資社長 日本橋や八重洲といった東京の一等地にオフィスビルを所有し、ビジネスホテルを運営 従業員と米投資ファンド、ローンスターが共同で設立したチトセア投資によるTOB(株式公開買い付け)が成立したと発表 ユニゾの争奪戦は異例づくし HISのTOBを阻止するため ユニゾは当初、フォートレスによる買収に賛同したが、途中でこれを撤回 ユニゾは市場価格を上回る買収価格をつけること、従業員保護の2つを条件にスポンサー選びを継続。米投資ファンド、ローンスターが、この時点で浮上 従業員が73%、ローンスターが27%を出資してチトセア投資を設立 TOBに必要な資金は、ローンスターから最大1300億円の融資を受け、ローンスターに優先株を割り当てることによって同450億円を調達 合計で1750億円の巨額ファイナンス 小崎社長が「俺が日本で初めてやった」と周囲に自慢 社員を部署ごとに会議室に呼び出し、ファンドにつくか、「俺の会社に来るか」の踏み絵を迫った 約300人の社員のうち、「小崎社長についていく」と決めたのは100人程度 「ユニゾHD<下>社長は「みずほのラスプーチン」と呼ばれた男」 興銀に入行。故西村正雄興銀頭取の信を得て、旧興銀側の実務責任者として99年8月、旧富士銀行、旧第一勧業銀行との3行の経営統合を成就させた 「二重持ち株会社方式」をひねり出した 1兆円の奉加帳増資を敢行 前田晃伸会長(旧富士銀出身)の懐刀として辣腕を振るう 「みずほのラスプーチン」の異名 金融庁が引導 前田晃伸ら3人の会長は辞任に追い込まれた。同時に、副社長の小崎も退任 旧興銀系のビル賃貸業、常和ホールディングス(現・ユニゾHD)社長に転出した EBOで策士ぶりを発揮 4回の公募増資を実施。みずほグループの持ち株比率を徐々に薄めてきた 従業員が反乱 小崎を東京証券取引所や証券取引等監視委員会に告発 TOBに要した資金はローンスターがいったん立て替え、TOB成立後に、ユニゾの従業員が返済するスキームになっている その資金を物件の売却で工面 非上場会社となったユニゾを小崎が自分の会社にする 「みずほのラスプーチン」と呼ばれた男は「ユニゾの皇帝」となって帰ってくる
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ソーシャルメディア(その5)(トランプ勝利に暗躍 英コンサル会社元幹部が世論誘導激白、木村花さんを死へ追い込んだ壮絶“ネットリンチ”連鎖の闇、木村花さんの死が問いかける ネット上の誹謗中傷の罪とプラットフォームの責任、三浦瑠麗氏 政府のSNS中傷対策に「言論統制につながることには反対です」) [メディア]

ソーシャルメディアについては、昨年10月24日に取上げた。今日は、(その5)(トランプ勝利に暗躍 英コンサル会社元幹部が世論誘導激白、木村花さんを死へ追い込んだ壮絶“ネットリンチ”連鎖の闇、木村花さんの死が問いかける ネット上の誹謗中傷の罪とプラットフォームの責任、三浦瑠麗氏 政府のSNS中傷対策に「言論統制につながることには反対です」)である。

先ずは、本年2月10日付け日刊ゲンダイ「トランプ勝利に暗躍 英コンサル会社元幹部が世論誘導激白」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/268644
・『衝撃のトランプ大統領“誕生”から4年。米国では今年11月の大統領選の候補者選びが3日スタートした。日本国内でも東京五輪後の衆院解散がささやかれ「選挙イヤー」となりそうだが、SNSによる世論操作に警鐘を鳴らすのは、英国の政治コンサルティング会社「ケンブリッジ・アナリティカ」(CA)の元幹部ブリタニー・カイザー氏(32)だ。ビッグデータを選挙に活用する危うさとは――。本人に聞いた。  CAは2016年6月にEU離脱を決めた英国国民投票や同年11月の米大統領選で暗躍。EU離脱派とトランプ勝利を誘導した会社として注目されたが、個人データを不正に利用した疑惑が浮上。18年5月に業務停止に追い込まれた。 CAが“強み”として喧伝していたのが、フェイスブックから得た大量の個人データの分析に基づく「マイクロターゲティング」と呼ばれる手法だ。SNSやネット広告を通じ、個人の行動を“操作”することで、EU離脱派やトランプ陣営に有利な選挙戦を展開したのである 「有権者の行動予測は現実に行われているし、皆が想像する以上に、簡単に有権者を納得させ、操ることができます。有権者に投票を促すのではなく、心理分析やデータサイエンスに基づいたターゲティング(広告やメッセージ)によって、対立する側へ賛成票を投じるのを『思いとどまらせる』のです」 カイザー氏はCAの事業開発の元責任者。同社を解雇された18年3月、英紙「ガーディアン」にCAの“悪行”を告発、英議会で証言した。 「ビッグデータが企業や政府、世界にとってどれだけ重要な『資産』であるか、そして、いかにたやすくデータが悪用されてしまうか警鐘を鳴らすためでした。かつて、通信業者や石油会社による市場の寡占は、消費者を守るため法律や規制によって禁止されましたが、ビッグデータ産業はほとんど野放しです」 フェイスブックはCAに8700万人分もの個人情報を流したとしてプライバシー侵害を問われ、昨年、米当局から制裁金50億ドル(約5400億円)を科せられた。 「メディアは、フェイスブックが不正売買で『50億ドル以上の利益を得ている』と追及しましたが、その通りでしょう。規制がないので、個人データの不正利用に“抑止力”が働かず、事態は4年前より悪くなっているように思います。2020年はビッグデータ企業を取り締まる年にしなければなりません。そうでないと、民主主義社会においてさえ自由な思想を持てなくなります」』、「ビッグデータ産業はほとんど野放し」、「フェイスブックはCAに8700万人分もの個人情報を流したとしてプライバシー侵害を問われ、昨年、米当局から制裁金50億ドル(約5400億円)を科せられた」、制裁金は儲けた分を取上げただけのようだ。「規制がないので、個人データの不正利用に“抑止力”が働かず、事態は4年前より悪くなっているように思います」、やはり規制すべきだ。
・『CAは潰れたが、同じような政治コンサル会社は世界で増え続けているという。日本にもその魔手が伸びつつある。 「CAの元従業員や元幹部が多数の企業を経営しています。オックスフォード大の論文によると、プロパガンダを手掛けている企業は数百ある。それらの企業はCAのようにテクノロジーを駆使して、SNS上に大量の偽アカウントを作成し、個人の行動を操作したり、特定の意見を抑圧したりしています」 つまり、英米以外にも、第2、第3のCAによって世論操作されている国があってもおかしくないということだ。もちろん、日本も例外ではない。 「CAに日本の政治分野の顧客はいませんでしたが、商業関係の顧客はいました。銀行や自動車会社などが主なカテゴリーだったと記憶しています。トランプ大統領が当選した後、どんな案件よりも商業関係の依頼が多くありました。おそらく、アメリカで日本企業を勧誘していたのではないか」 すでに自民党は全国に「ネットサポーター」を抱え、日々、ネット世論の“工作”に余念がない。CAの残党がいる限り、日本の憲法改正の国民投票や国政選挙に介入してくる可能性もある。 「フェイスブックのようなソーシャルメディアによって、選挙制度は破壊されてしまいます。政党や国民投票のロビー団体の背後には、資産を持つ個人や組織が存在します。政党やロビー団体を通じて、デジタルキャンペーンに大量の資金を流すこともあり得ます。あらゆる選挙が、ブレグジットよりも悪いケースになるかもしれません」 普段何げなく使っているスマートフォンアプリや検索エンジンから、個人データは収集される。悪用されるリスクを減らすには、個人情報を守る意識が重要だという。 「ビッグデータ企業を規制することはもちろん、個人のデジタルリテラシーを高めることが大切です。まずは個人情報の設定から見直す。アプリを使いたいのかどうか、企業が求めるデータを提供するかどうか、利用規約を読んでください。個人情報を守るために、少しでも良い選択をして欲しい」 個人データを利用した世論誘導に日本人ももっと敏感になった方がいい』、「CAの元従業員や元幹部が多数の企業を経営・・・プロパガンダを手掛けている企業は数百ある」、「英米以外にも、第2、第3のCAによって世論操作されている国があってもおかしくない」、「すでに自民党は全国に「ネットサポーター」を抱え、日々、ネット世論の“工作”に余念がない。CAの残党がいる限り、日本の憲法改正の国民投票や国政選挙に介入してくる可能性もある」、恐ろしいことだ。やはり、「まずは個人情報の設定から見直す」、ことが必要なようだ。

次に、5月25日付け日刊ゲンダイ「木村花さんを死へ追い込んだ壮絶“ネットリンチ”連鎖の闇」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geinox/273598
・『人気女子プロレスラーの木村花さん(享年22)が23日、亡くなったことがわかり衝撃が走っている。死因は明かされていないが、恋愛リアリティーショー「TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020」(以下テラハ/フジテレビ系・Netflix)の出演に関する“ネットリンチ”が原因といわれている。 木村さんは高身長で美形の悪役レスラーで、そのビジュアルの良さから「テラハ」に出演。しかしながら、男女6人の共同生活中、木村の大切なプロレスのコスチュームをメンバーの男性が誤って洗濯機で洗ってしまい変色、縮んで使えなくなったことに激昂。それ以降、木村さんのSNSには1件の投稿に100件を超える「死ね」「消えろ」など誹謗・中傷コメントが書き込まれる事態に発展。フジテレビの放映直後はもちろん、Netflixで後から観た視聴者とからもコメントが上書きされ、炎上が収まる様子はなかった。 そんな中、亡くなった23日未明に自傷写真と共に「もう人間なんかやりたくない 愛されたかった人生でした みんなありがとう、大好きだよ ばいばい」とツイート(現在は削除)し、この世を去った』、「炎上」で自死するとは、プロダクション関係者など周囲に相談したりしなかったのだろうか。
・『素顔は「とても礼儀正しい子」  元「週刊コング」女子プロレス担当記者でライターの伊藤雅奈子氏がこう言う。 「母で元女子プロレスラーの木村響子さん譲りの、恵まれた体格とエキゾチックな美人顔で所属団体の看板悪役レスラーでした。子供の頃はママの試合をリングサイドで応援し、母子二人三脚で戦う姿がキャラクターになっていました。彼女は一度会った人にも自分から走り寄ってきて挨拶する礼儀正しい子。常にお母さんや師匠の武藤啓司さんに迷惑をかけぬよう心がけているようで、羽目を外した話も聞いたことがありませんでした。女子プロ界では男性ファンへのウケを狙って、美人を“Sキャラの悪役”にすることが多く、彼女もその一人として『テラハ』でも悪役に徹したのでしょう」』、「“Sキャラの悪役”」はあくまで役の上でのことで、「素顔は「とても礼儀正しい子」」、といことはネットで叩かれることには慣れていなかったのだろう。
・『韓国ではスマホが唯一の憂さ晴らしの手段に  ITジャーナリストの井上トシユキ氏はこういう。「コロナ自粛のストレスや社会不満が木村さん1人にぶつけられてしまったのでは。ネットに書き込む人たちはつい最近、『#検察庁法改正案に抗議します』の法案見送りで大勝利を得ただけに、自己を正当化することにある種の快楽を覚えています。そのため、標的が定まると、いじめを正当化しようとする人にヤジも加わり、バッシングが加速する。さらに番組がネット動画でいつでも観られるせいで“デジタルタトゥー”化し、炎上が繰り返される。さらに、木村さんが“力の弱いタレント”だというのも標的として好都合になってしまいました。もしこれが、ダレノガレ明美さんのような大物タレントなら、法的手段で反撃される可能性がありますが、木村さんはそこまでの力を持ちえなかったのでしょう。みんなが叩いているから加勢してもいいだろうと思わせた。隣国・韓国は超格差社会で、手元のスマホが唯一の憂さ晴らしの手段になりネットいじめがより過激になっています。日本もコロナ禍で閉塞感を抱えており、今後ネットいじめが悪質化する可能性は高いと考えられます」 ネット上で問題になると、木村さんに対して酷い言葉を書き込んだ者たちは一斉にコメントを削除し保身に走っている。こんな匿名の卑怯者に前途ある命を奪われたことは残念極まりない』、「木村さんが“力の弱いタレント”だというのも標的として好都合になってしまいました」、「木村さんに対して酷い言葉を書き込んだ者たちは一斉にコメントを削除し保身に走っている」、「匿名の卑怯者」をのさばらせないような仕組みをじっくり検討すべきだろう。

第三に、5月24日付けYahooニュースが掲載した弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長の伊藤和子氏による「木村花さんの死が問いかける、ネット上の誹謗中傷の罪とプラットフォームの責任」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/byline/itokazuko/20200524-00179998/
・『SNSの言葉の暴力は命を奪う。  木村花さんが亡くなった。ご冥福を心からお祈りしたい。 木村さんによれば、誹謗中傷は1日100件ペースで最近まで続いていたという。 SNS、特にTwitter上の言葉の暴力は凶器のように心に突き刺さる、そのことを改めて社会に問いかける結果となってしまった。 彼女が「突っ張って見えるけど繊細だ」という報道があった。人は表面的に強く見えても誰しも人間である以上繊細な部分があり、第三者からの度を越した誹謗中傷には耐えられないものだ。 メンタルが強い、弱いという問題で片付けられないし、20代の女性にSNSの言葉の暴力に耐性を求めるのは酷である。 そして、著名人だからと言って例外ではない。著名人であればいかなる誹謗中傷にも「有名税」のように耐えるべきだという風潮はもう終わりにしてほしい。そうでなければ、このような不幸な犠牲は繰り返されるだろう』、「著名人であればいかなる誹謗中傷にも「有名税」のように耐えるべきだという風潮はもう終わりにしてほしい」、同感である。
・『心のバランスを崩す人たち。  韓国ではネット上の誹謗中傷に晒された若い芸能人の自殺が相次いでおり、日本も他人ごとではない。 昨年末には元国会議員の三宅雪子さんが亡くなられた。やはり直前にネット上の誹謗中傷を苦にされていたという。 また、性暴力被害を告発したジャーナリスト伊藤詩織さんに対するネット上の誹謗中傷やハラスメントは常軌を逸しており、伊藤さんが身の危険を感じて英国に移転を余儀なくされた。このことは、BBCの「日本の秘められた恥」という番組を通じ、国際的にも問題視されている。 日本でも、ネット上の誹謗中傷によってストレスを抱えたり、心のバランスを崩している人は多い。 実は、私の周囲にも驚くほどたくさんいる。中には著名な人や社会運動家も少なくない。 しばしば法律相談を受け、法的手段をとる手助けをしている。 中でも、被害にあいやすいのが女性である。特に若い女性の場合、突然の誹謗中傷に耐えられず、数年間たっても精神的な問題を抱え、就業にも支障をきたす人がいる。 ビジネスインサイダーはこう伝えている。 セキュリティソフト「ノートン」で知られるシマンテックが、16歳以上の日本人女性504人を対象にオンラインハラスメントの実態を調査したところ、46%、3人に1人が悪意のあるゴシップ、誹謗中傷、セクハラなどの被害を受けていた(2017年)。うつや不安神経症を発症した人は15%で、そのうち48%が専門家による精神医療を受けており、実生活へも深刻な影響があることが分かっている。 出典:ビジネスインサイダー 匿名性の故か、インターネット上の悪口や誹謗中傷を軽く考えている人がいると思うが、人を自殺に追いやり、多大なストレスを与え、長期にわたる精神疾患に陥れるなど、その効果は重大だ。 インターネット上の言葉の暴力が深刻な人権侵害であることをインターネット利用者もプラットフォームも十分に認識してほしい』、「16歳以上の日本人女性504人を対象にオンラインハラスメントの実態を調査したところ、46%、3人に1人が悪意のあるゴシップ、誹謗中傷、セクハラなどの被害を受けていた・・・うつや不安神経症を発症した人は15%で、そのうち48%が専門家による精神医療を受けており、実生活へも深刻な影響」、これほど被害が広がっているとは、驚かされた。
・『被害者は法によって保護されていない。  それでは、現在のシステムや法制度は、こうした誹謗中傷の被害から個人を守るものになっているか?というとそうではない。 こうした言動へのツイッター社のアカウント停止等対応ははっきりいって、手緩い。 ツイッターにはルールに違反したツィートを報告のシステムがあるが、それが適用されるのは非常にレアであり、多くの場合以下のような連絡が来て終了する。 ご利用ありがとうございます。ご連絡いただいたコンテンツを確認いたしましたが、Twitterルール違反に該当するものを確認できませんでした。今回の件につきましてご報告いただき感謝いたしております。今後も違反の可能性にお気付きの場合には、お知らせいただけますよう、ご協力をお願いいたします。 よろしくお願いいたします。 Twitter社は、多くの誹謗中傷から被害者を守ることができていない。 Twitterなどのプラットフォーム会社は国際展開しており、欧州等ではもっと厳しい規制に服しているのに、日本ではプラットフォームによって傷つけられる個人を守ることを怠っている。 いくらひどい書き込みがあるとしても、プラットフォームが適切に削除などの対応をしていれば、木村さんのような被害にあった人がここまで追い詰められずに済むはずだ。 プラットフォーム運営会社は企業の人権に対する責任を自覚し、安全に表現できる場を作るために施策を強化すべきだ。 一方、法制度はどうか?私も何度もクライアントへの誹謗中傷関連で警察に行ったことがあるが、警察は、ネット上の殺害予告等限定的なものしか対応しない。そして、対応しても処罰は微罪だ。 昨年、川崎在住の在日コリアンの女性に対する脅迫で罰金刑が下った。 Twitterの匿名アカウントで在日コリアンの女性に誹謗中傷を繰り返していたとして、川崎簡易裁判所は12月27日、神奈川県藤沢市の男(51)に罰金30万円の略式命令を出した。 これがニュースになっているのは、大変珍しい画期的なニュースだからだ。それでも罰金は30万円だ。 罪の大きさに相応しい対応を警察に求めたい。 被害者を特定して、民事の損害賠償請求をするのも一苦労である。 発信者情報開示手続も複雑で、仮処分や本裁判など、複数の法的手段を提起しないといけないが、それでもアカウントの個人情報を最後まで特定できないケースも少なくない。 なぜ、こうした誹謗中傷に対して、大金をかけて弁護士を雇って法的手段をとらなければならないのか?法律もシステムも十分とは到底言えない』、「プラットフォーム会社は・・・欧州等ではもっと厳しい規制に服しているのに、日本ではプラットフォームによって傷つけられる個人を守ることを怠っている」、ケシカラン話だ。「民事の損害賠償請求」も壁が高そうだ。
・『国際的な取り組み~プラットフォームの重い責任  ドイツやフランスでは近年、ヘイトスピーチに対し厳しい法律が制定された。 フランスでは、5月14日にインターネット上の有害コンテンツを通報から1~24時間以内に削除するようソーシャルメディア企業などに求める法律を可決した。 新たな法律では、テロや児童性的虐待とは無関係だが違法と見なされるコンテンツについても、通報から24時間以内の削除が義務付けられた。これには憎悪や暴力、人種差別、性的嫌がらせといった内容が含まれる。期限内に削除できなかった場合の罰金は最大で125万ユーロ(1億4500万円)に上る。出典:BBC という。 ドイツでもフランスに先立ち、ヘイトスピーチであると判断されるコンテンツを24時間以内に削除することがソーシャルメディア会社に義務付けられ、違反すると500万~5700万ドルの罰金が科されているが、書き込みをした個人の処罰の強化を含む、さらなる規制強化が検討されている。 また、国連の人権理事会では2018年、国連特別報告者から女性に対するオンライン上の暴力についての初めての調査報告書が提出された。 これを受けた国連人権理事会では2018年7月、女性に対するオンライン上の暴力を根絶する努力を加速させる決議が全会一致で採択された。 この決議の後、欧州でも、アジア地域でも対策が進み、女性も含めたオンライン上のハラスメントから被害者を守る法律の制定や対策が進んでいる。 日本政府はこの決議の提案国であるが、採択後、特に女性に対するオンラインの暴力を根絶する努力を加速させる政策はない。 報道によれば今年、ようやく総務省でネット上の誹謗中傷への検討が始まった。 インターネット上の書き込みなどでひぼうや中傷を受けた人が、投稿した人物の情報開示を請求できる仕組みについて、総務省は手続きにかかる時間を短縮できるかどうかなど、見直しの検討を始めました。SNSやブログなどインターネット上の書き込みでひぼうや中傷を受けた人は、人権侵害が明らかな場合に、投稿した匿名の人物の情報をインターネット接続やSNSのサービスを提供する企業などに開示するよう求めることができます。 しかし、手続きに時間がかかることや投稿者が特定できない事例が増えていることなどから、総務省は有識者会議を設けて見直しの検討を始めました。有識者会議では表現の自由やプライバシーの保護と両立させながら、裁判を起こさなくても情報開示を受けられる仕組みや、投稿者を特定するために開示する情報の対象にメールアドレスやIPアドレスだけでなく電話番号を加えることなどを検討することにしています。出典:NHK  政府、総務省には、国際的な水準で、プラットフォームの責任を強化する方向での議論を進めるよう期待したい』、「日本政府」は、国連「決議の提案国」であるにも拘らず、「総務省は有識者会議を設けて見直しの検討を始めました」、という対応は余りに遅い。
・『芸能人・著名人を守る仕組みを  メディアに出る芸能人など著名人が批判されるような言動をすることはしばしばある。モラルに反する内容や人権を貶める内容であれば、それは視聴者から批判の対象になるだろう。しかし、まず批判と誹謗中傷は違う。 また、著名人もキャラクターとして演じている場合が多いのではないか? 塩村あやか議員はこうつぶやいている。 塩村あやか・・・私もメディアに出ていた。スタッフは出演者を演者と呼ぶ。自発的にせよ完全台本にせよ、演者には役割がある。メディアに出るなら誹謗中傷くらい覚悟しろという人もいるけど、だからと言って心を壊すほどの罵詈雑言を投げつけていい訳がない。そろそろ本格的対策が必要では・・・ 女子プロレスラー・木村花さん死去 「テラスハウス」出演、誹謗中傷浴びていた(THE PAGE) - Yahoo!ニュース ネットフリックスで配信中の「テラスハウス」にも出演していたプロレスラー・木村花さんが23日、死去したことがわかった。22歳だった。所属の女子プロレス団体「スターダム」が発表した。死因については明かさ - Yahoo!ニュース(THE PAGE)・・・ 私見であるが、そもそも当然批判が来るようなモラルに反する言動、いじめやハラスメント、差別を助長するような言動はすべきでないのであり、メディア側がガイドラインを作って、芸能人がそうした言動をメディアを通じて流さないように配慮すべきではないか? 木村さんのテレビでの言動は、賛否があるとしても、そもそもモラルに反するような言動ではなかった。 しかし、反発を呼びそうなキャラクターを演じさせる場合はとりわけ、所属事務所が芸能人・著名人を誹謗中傷から守る仕組みを作り、個人を追い詰めないで責任を果たしてほしいと願う。(了)』、「総務省の有識者会議」がどこまでやるのかは分からないが、取り敢えず、「所属事務所が芸能人・著名人を誹謗中傷から守る仕組みを作り、個人を追い詰めないで責任を果たしてほしい」、全く同感だ。

第四に、5月26日付けYahooニュースが東スポWebを転載した「三浦瑠麗氏 政府のSNS中傷対策に「言論統制につながることには反対です」」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6e2ccc8847fd15630642208144ecbfad46faaec5
・『国際政治学者の三浦瑠麗氏(39)が26日、自身のツイッターを更新し、政府がSNS上の誹謗中傷などの対策に動き出したことに触れて持論を展開した。 SNS上で誹謗中傷を受けていた女子プロレスラー・木村花さん(享年22)が23日に死去したことを受け、高市早苗総務相(59)はこの日、ネット上の発信者の特定を容易にし、悪意のある投稿を抑止するための制度改正に取り組むと明言。また、三原じゅん子参院議員(55)はツイッターで、自民党政務調査会の中に、自身が座長を務める「インターネット上の誹謗中傷・人権侵害等の対策PT」を立ち上げ早速、役員会を開いたことを報告した。 政府の迅速な動きに三浦氏は「私は数えきれないほどの女性憎悪を浴び、誹謗中傷を受けてきましたが、規制強化を言い出したらYahooニュースへのコメントなどそもそも成立しないし、何をヘイトや中傷とするのかの判断は極めて難しいはずです」と指摘。 さらに「本来、この議論はユーザーがなるべく不快なものを見ないような方向でプラットフォーム側が自助努力をしてきたはずです」とした上で「公人でなくともいじめのLINEやチャットもあれば、オンラインでない誹謗中傷もある。世の中には名誉毀損で訴えるという手段もあります。言論統制につながることには反対です」と意思表示した』、「プラットフォーム側が自助努力をしてきたはず」、実際には日本ではそれをサボっており、「名誉毀損で訴える」ためには投稿者を「プラットフォーム側」から教えてもらう必要があり、壁が高いことも事実だ。ただ、規制が「言論統制につながることには反対です」、は同感である。したがって、規制のあり方は慎重に検討すべきだろう。

なお、先ほどのYahooニュース(スポーツ報知)によれば:「「テラスハウス」打ち切りを発表…木村花さんの急死を受けて」となったようだ。また、番組自体にも問題があったようだが、これらは、後日、取上げるつもりである。
タグ:yahooニュース 日刊ゲンダイ ソーシャルメディア 東スポWeb 伊藤和子 高市早苗総務相 (その5)(トランプ勝利に暗躍 英コンサル会社元幹部が世論誘導激白、木村花さんを死へ追い込んだ壮絶“ネットリンチ”連鎖の闇、木村花さんの死が問いかける ネット上の誹謗中傷の罪とプラットフォームの責任、三浦瑠麗氏 政府のSNS中傷対策に「言論統制につながることには反対です」) 「トランプ勝利に暗躍 英コンサル会社元幹部が世論誘導激白」 「ケンブリッジ・アナリティカ」(CA) 元幹部ブリタニー・カイザー氏 EU離脱派とトランプ勝利を誘導した会社として注目 個人データを不正に利用した疑惑が浮上。18年5月に業務停止に追い込まれた 「マイクロターゲティング」 SNSやネット広告を通じ、個人の行動を“操作”することで、EU離脱派やトランプ陣営に有利な選挙戦を展開 昨年、米当局から制裁金50億ドル(約5400億円)を科せられた 規制がないので、個人データの不正利用に“抑止力”が働かず、事態は4年前より悪くなっているように思います CAの元従業員や元幹部が多数の企業を経営 プロパガンダを手掛けている企業は数百ある 英米以外にも、第2、第3のCAによって世論操作されている国があってもおかしくない 自民党は全国に「ネットサポーター」を抱え、日々、ネット世論の“工作”に余念がない CAの残党がいる限り、日本の憲法改正の国民投票や国政選挙に介入してくる可能性もある まずは個人情報の設定から見直す 「木村花さんを死へ追い込んだ壮絶“ネットリンチ”連鎖の闇」 木村さんのSNSには1件の投稿に100件を超える「死ね」「消えろ」など誹謗・中傷コメントが書き込まれる事態に発展 素顔は「とても礼儀正しい子」 “Sキャラの悪役” 韓国ではスマホが唯一の憂さ晴らしの手段に コロナ自粛のストレスや社会不満が木村さん1人にぶつけられてしまったのでは 木村さんが“力の弱いタレント”だというのも標的として好都合になってしまいました 木村さんに対して酷い言葉を書き込んだ者たちは一斉にコメントを削除し保身に走っている 匿名の卑怯者 「木村花さんの死が問いかける、ネット上の誹謗中傷の罪とプラットフォームの責任」 SNSの言葉の暴力は命を奪う 著名人であればいかなる誹謗中傷にも「有名税」のように耐えるべきだという風潮はもう終わりにしてほしい 心のバランスを崩す人たち 16歳以上の日本人女性504人を対象にオンラインハラスメントの実態を調査したところ、46%、3人に1人が悪意のあるゴシップ、誹謗中傷、セクハラなどの被害を受けていた うつや不安神経症を発症した人は15%で、そのうち48%が専門家による精神医療を受けており、実生活へも深刻な影響 被害者は法によって保護されていない Twitterなどのプラットフォーム会社は国際展開しており、欧州等ではもっと厳しい規制に服しているのに、日本ではプラットフォームによって傷つけられる個人を守ることを怠っている 民事の損害賠償請求 国際的な取り組み~プラットフォームの重い責任 ドイツやフランスでは近年、ヘイトスピーチに対し厳しい法律が制定 国連の人権理事会 女性に対するオンライン上の暴力を根絶する努力を加速させる決議が全会一致で採択 日本政府はこの決議の提案国であるが、採択後、特に女性に対するオンラインの暴力を根絶する努力を加速させる政策はない 総務省は有識者会議を設けて見直しの検討を始めました 芸能人・著名人を守る仕組みを 所属事務所が芸能人・著名人を誹謗中傷から守る仕組みを作り、個人を追い詰めないで責任を果たしてほしい 「三浦瑠麗氏 政府のSNS中傷対策に「言論統制につながることには反対です」」 ネット上の発信者の特定を容易にし、悪意のある投稿を抑止するための制度改正に取り組むと明言 三原じゅん子参院議員 自民党政務調査会の中に、自身が座長を務める「インターネット上の誹謗中傷・人権侵害等の対策PT」を立ち上げ早速、役員会を開いた 言論統制につながることには反対です 名誉毀損で訴える
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哲学(その2)(飲茶氏のシリーズ:「リベラリズム」と「リバタリアニズム」の違い 説明できますか?、自由主義者は「自由」のために 殺人を肯定する?、「人殺しを悪とする」2つの考え方、正義は「ロジカル」に定義できる? ある哲学者の主張、ソクラテス『善い行いをしろと言ったら 嫌われて死刑になった』) [文化]

哲学については、昨年6月22日に取上げた。今日は、(その2)(飲茶氏のシリーズ:「リベラリズム」と「リバタリアニズム」の違い 説明できますか?、自由主義者は「自由」のために 殺人を肯定する?、「人殺しを悪とする」2つの考え方、正義は「ロジカル」に定義できる? ある哲学者の主張、ソクラテス『善い行いをしろと言ったら 嫌われて死刑になった』)である。

先ずは、昨年7月7日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した会社経営者で哲学サロンを主催している飲茶氏による「「正義の教室」:「リベラリズム」と「リバタリアニズム」の違い、説明できますか?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/207986
・『哲学史2500年の結論! ソクラテス、ベンサム、ニーチェ、ロールズ、フーコーetc。人類誕生から続く「正義」を巡る論争の決着とは? 哲学家、飲茶の最新刊『正義の教室 善く生きるための哲学入門』の第5章のダイジェスト版を公開します。 本書の舞台は、いじめによる生徒の自殺をきっかけに、学校中に監視カメラを設置することになった私立高校。平穏な日々が訪れた一方で、「プライバシーの侵害では」と撤廃を求める声があがり、生徒会長の「正義(まさよし)」は、「正義とは何か?」について考え始めます……。 物語には、「平等」「自由」そして「宗教」という、異なる正義を持つ3人の女子高生(生徒会メンバー)が登場。交錯する「正義」。ゆずれない信念。トラウマとの闘い。個性豊かな彼女たちとのかけ合いをとおして、正義(まさよし)が最後に導き出す答えとは!?』、飲茶氏については、前回のブログでも紹介した。堅い話を平易にする舞台設定はさすがだ。どんな展開になるのだろう。
・『リベラリズム、リバタリアニズムの違いって?  前回記事『自由主義とは「富裕層からたくさん税金をとれ!」という思想でもある。』の続きです。 先生はそう言って、黒板にふたつの言葉を書き出した。 『リベラリズム、リバタリアニズム』 「キミたちはこれらの言葉を知っているだろうか。ちなみに、一方は、リベラルとも言うが、もしかしたらそっちの方が馴染みがあるかもしれない」 あ、たしかに。リベラルはニュースとかで聞いたことがある。……まあ、あまり意味はよくわかってはいないのだけども。 「リベラリズム、リバタリアニズム。両方とも自由主義の特定の立場を表す専門用語であり、両方とも日本語に訳すと『自由主義』という意味になる言葉であるのだが―誤解を恐れずざっくり言うと、さっきの、弱者に優しい福祉社会を作る考え方がリベラリズムであり、弱肉強食の自由競争を推進する考え方がリバタリアニズムである」 「多くの自由主義の入門書が、多種多様で混乱ぎみな自由主義の全体像を読者につかませようと、まずこのリベラリズムとリバタリアニズムの違いについて説明を試みるのだが―これが非常にわかりにくい! とっつきにくいと言ってもいい。実は、自由主義の学びを阻害する最大の障壁がここにある。その障壁、それは―」 先生は話を止めて一旦沈黙する。そして、十分に間を取ったあと、満を持して重々しく言った。 「名前が似ていることだ」 テレビのバラエティならここで椅子から滑り落ちて大ゴケするシーンなのかもしれないが、先生の真剣な顔つきから、どうやらウケ狙いで言ったわけではなく真面目に本当にそう思っているようだった。 「リベ……リバ……リベ……リバ。ほら、言い始めのところが特に似ているだろう。リバ……リベ……リバ……リベ。ほら、もうどっちが、どっちだか、わからない。いや、冗談みたいな話に聞こえるかもしれないが、実際に想像してみてほしい。たとえば、こんな文章」 『リベラリズムは、これこれについて賛成だが、リバタリアニズムでは反対である』 『この政策は、むしろリバタリアニズム寄りのリベラリズムと言ってよい』 「どうだろう。自由主義の入門書では、こんなふうに両者を対比、関連させて説明することが多いのだが、所詮、初学者には耳慣れない言葉だ。日常的に使う言葉ではないし、語感も似ているのだから、1ヵ月もしないうちに、どっちが、どっちだか、わからなくなる」』、「リバタリアニズム」は自由至上主義ともいわれるが、確かに分かり難い。
・『「リベラリズム」の意味は、国によって違う  いえ、先生、もうすでにわからなくなってます。今いきなり授業で「さっき説明したように、リベラリズムはリバタリアニズムと違って」と言われても、まったくついていけない自信があります。 「最初の章で用語の定義を説明し、次の章からその用語を駆使して深い説明を始めるというのは、本の書き方として定番であるが、しかし、用語同士が似すぎていると頭に入らず、その状態で先を読み進めるのはただ苦痛なだけである。しかもだ。せめて、その似ている用語がふたつだけであれば、まだ我慢できるが、さっきリベラリズムをリベラルと呼んだように、それぞれにさまざまな言い回しがある」 先生は、黒板に書いたふたつの単語の後ろに、さらにつけ足した。 『リベラリズム、リバタリアニズム、リベラル、リベラリスト、リバタリアン』 うわ、リベとリバがさらに増えたぞ。こんな用語が次々と出てくる入門書なら僕的にはもうお手上げだ。 「しかもだ」 え、まだあるの? 「『リベラリズム』という用語を使ったとき、最低でもそれの意味が、ひとつに固定されていればまだいい。それなら、ある程度時間をかけて用語に慣れていけばなんとかなるだろう」 「しかし、実際には、ヨーロッパとアメリカと日本で、リベラリズムの意味合いはそれぞれで全然違ってしまっており、だから、ある人の本を読んで、『リベラリズムってこういうものなんだ、福祉国家を目指すことなんだ』と理解したつもりになっても、別の人の本を読んだら、その理解とまったく違う、福祉国家の否定が書かれていたりすることがある」 「なぜなら、『リベラリズム』とは、それが『どこの国』の話なのかという文脈によって中身が変わってしまう用語だからだ」 ……難易度高っ! 「そういえば、忘れていたが、リベラリズムとひと口に言っても、ニュー・リベラリズム、ソーシャル・リベラリズム、ネオ・リベラリズム、モダン・リベラリズムと色々あるので、それぞれをごっちゃにしないようにして文章を読まなくてはならない」 ……戦意喪失。というか、ニューとネオをまぜるな……。 「だから、私はキミたちに自由主義を語るにあたって、これらの用語をすべて捨て去ろうと思う。通常、自由主義を初学者に教える場合、今述べたようなさまざまな種類の自由主義について、それぞれの違いや歴史を淡々と語っていくのがセオリーなのであるが、私は学びの最初に、そこに時間をかけることは間違っていると思っている」 「そうした用語の違いを網羅的に把握するよりも、本質……核心……。自由主義とは結局、何を正しいとする主張なのか? その本質をまずキミたちに伝えるべきだと思うのだ」 そう言って、先生は何やら図のようなものを描き始めた。 「さまざまなリベとリバは置いておこう。さっきの用語はもういっさい忘れ去ってよい。私は、自由主義を知りたい人は次のふたつだけを理解すればよいと考えている」』、「「リベラリズム」の意味は、国によって違う」、のも悩ましい。「自由主義を知りたい人は次のふたつだけを理解すればよい」、どんなことなのだろう。

次に、この続き、7月8日付けダイヤモンド・オンライン「「正義の教室」:自由主義者は「自由」のために、殺人を肯定する?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/207989
・・・「強い自由主義」と「弱い自由主義」とは?  前回記事『「リベラリズム」と「リバタリアニズム」の違い、説明できますか?』の続きです。 先生が描いた図には、「強い自由主義」と「弱い自由主義」というふたつの文字が書かれていた。 ん? 強い、弱い? 今までと比べて急にわかりやすそうになったぞ。ただ、さすがに子どもっぽくなった感は否めないが。 「『強い自由主義』と『弱い自由主義』……。これは私オリジナルの言い回しであるが、とにかく、単純に、自由主義には強い方と弱い方の2種類があると思ってもらえばいい。私がこの授業で語りたいのは『強い自由主義』の方であり、こちらだけが真の自由主義であると最終的には主張したいのだが、それは後にして、まずは弱い自由主義とは何かというところから片づけていこう」』、「強い、弱い」での説明は初めて聞いた。
・『弱い自由主義とは?  「仮に地球上にいる人間全員に『キミは自由主義者か?』と問いかけて、『そうだ』と答えた者を1か所に集めたとしよう。その自由主義者の集まりは―あくまでも私の考えではだが―『弱い自由主義者』と『強い自由主義者』のふたつのグループに分けることができる」 「このうち『弱い自由主義者』というグループに分けられた者たち。彼らは、自由主義者全体の中でも大半を占めるほどの人数であり、しかも一見すると意見がバラバラ、何の類似性もない集まりのように見えるが、実は全員がある共通の、同じ思想を持っている」 「それは、『自由に生きることが人間の幸福であり、社会は個人の自由を尊重しなくてはならない』という思想だ」 「もっともらしく聞こえるかもしれない。しかし、自由主義としては、この思想はいまいち『弱い』と言わざるを得ない。なぜなら、自由よりも幸福を上位に置いているからだ。すなわち、『幸福 > 自由』。それは彼らの思想を分解すればよくわかる」 (1)幸福になるには自由が必要だ (2)よし、自由を尊重しよう 「これが彼らの思想のロジックであり、このような論理展開から自由を尊重している以上、彼らの最優先は『自由』ではなく、『幸福』であることは明らかだ」 「さて、我々は、これに似た主義をどこかで聞いたことがあるはずだが……正義くん」 「功利主義ですよね!」多少食い気味に僕は答えた。 「そう、その通りだ。弱い自由主義者たちが掲げる思想は、自由という単語を使ってはいるものの、その内実は功利主義そのものである。なぜなら、彼らの目的はハッピーポイントの増大、とどのつまり『人々の幸福度の増大』にあるからだ。したがって彼らにとって、自由はあくまでも、幸福度を増大させるための道具、手段のひとつにすぎない」 「だから、ある特定の自由が『人々の幸福度の減少につながる』としたら、彼らは平気でその自由を制限しようとするだろう。彼らにとって、あくまでも大切なのは人々の幸福の方であって、自由は、結局のところは二の次であるからだ」 「つまり、『弱い自由主義者』たちは、自由主義とは名ばかりで、その実、『自由主義の皮をかぶった功利主義者』にすぎないのである」 今までさんざん、微妙な自由主義の話を聞かされるたびに、「いや、それ功利主義だろ」と内心で突っ込んでいたので、そのカテゴリ分けは、かなりすっきりする』、「『弱い自由主義者』たちは、自由主義とは名ばかりで、その実、『自由主義の皮をかぶった功利主義者』にすぎない」、なるほどと納得した。
・『強い自由主義とは?  「さて、次は強い自由主義の話だ。さっき私は『幸福 > 自由』である者たちを『弱い自由主義者』と分類した。なぜ彼らが『弱い』かというと、幸福の方が大事である以上、状況次第でいつ手のひらを返して自由を制限してくるかわからないからだ。ゆえに、私はそれを自由主義として『弱い』思想だと定義する」 「では、その逆、『強い』とは、『強い自由主義』とは何だろうか? それは弱い自由主義のちょうど正反対、『自由 > 幸福』を旨とする者たちのことを言う。彼らにとって幸福はあまり関係ない、いやまったく関係ないと言っていい。強い自由主義者にとって重要なのは、人間に与えられたもっとも基本的な権利である『自由』を守ることであり、そこから生じる結果についてはいっさい問わない。その意味で強い自由主義者は、とてもシンプルだと言える」 『自由を守ることは、結果にかかわらず、正義であり、 自由を奪うことは、結果にかかわらず、悪である』 「そこに結果も事情も幸福も関係ない。いかなるケースにおいても、単純に、愚直に、たとえ誰が不幸になろうとも、自由を守ることが正義だと考える、それが強い自由主義だ」 想像以上に自由な自由主義だった。でも、それって大丈夫なのだろうか? ふと先生と目が合った。疑問があればどうぞと質問を促す目をしていたので、それにつられるように僕は手をあげた。 「そうすると、殺人とか、泥棒とか、明らかに不幸を生み出すことでも、強い自由主義は肯定するということでしょうか?」 「良い質問だ、正義くん。当然の疑問だろうね」 スキンヘッドを撫で回しながら、先生は言った。促されたとはいえ、生徒の自主的な質問にとても嬉しそうだ。 「正義くんのその質問への答えは、否だ。強い自由主義では、その手の不当行為については、やってはいけないこと、悪いことだと否定する。その理由は、先に述べたようにシンプル―『自由を奪うことは、結果にかかわらず、悪である』からだ」 「功利主義であれば、人を不幸にするから、もしくは苦痛を生み出すから、という理由で殺人を否定するだろう。だが、強い自由主義にとって、殺人は人を不幸にするから悪なのではなく、他人の自由を奪うから、望まない痛みを強制するから、悪なのである」 「だから、強い自由主義については、次の標語、合い言葉で理解するといい」と言って、先生は黒板に短い文を書いた」 『自由にやれ。ただし、他人の自由を侵害しないかぎりにおいて』、アメリカの「リバタリアニズム」には国家の役割を警察・国防に限定(夜警国家論)するような極端な一派もあるようだ。

第三に、この続き、7月27日付けダイヤモンド・オンライン「「人殺しを悪とする」2つの考え方」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/210022
・・・「宗教の正義」とは何か?  「宗教の正義。もしかしたら、この正義を主張する者は、自分が『宗教的である』という自覚を持っていないかもしれない。そもそも多くの場合、我々は宗教というと何か特定の神さまを信じることだと思っている。だから、神さまを信じてさえいなければ、自分が宗教とは何の関わりもない人間だと思ってしまっている人が多い」 「が、実際にはそうではない。『宗教的である』ということは、神さまを信じること、宗教団体に入ることとはまったく関係のない、別のことなのだ」 「では、『宗教的である』とは、もともとどういうことで、どう区別すべきものであるのか? 私は、『物質または理性を越えたところにある何かを信じていること』、それが宗教的であることの唯一の条件であり、その一点によって、宗教的かどうかの是非を見分けるべきであると考えている」 そう言って、先生は黒板に大きな丸い枠を描いた。 「今、黒板に書いた枠―これを、何でも包み込める巨大な袋だと思ってほしい。さて、何でも包み込めるのだから、せっかくだし、我々が住むこの宇宙全体をこの枠の中に入れてしまおう」 先生は、黒板に描いた枠の内側に「宇宙(物質の世界)」という文字を追加した。 「というわけで、宇宙のすべてがこの枠の内側に入ったわけだが……そうすると、今、我々の宇宙で何が起ころうと、今後どのような事象が発生しようと、それはすべてこの枠の『内側』での出来事ということになる」 そりゃまあ、そういうことになるだろうな。枠の中に宇宙があるわけだから。 「では次に、人間の思考について考えてみてほしい。仮に、ランダムに文章を作り出すコンピューターがあったとしよう。人間が使う言葉、単語をすべてインプットしておいて、適当にその組み合わせを作って出力する機械だ。その機械を動かすと、大半は無意味な文章が出力されるわけだが、繰り返せばいつかは意味のある文章が出てくる。いや、それどころか何度も繰り返すうちに、偶然シェイクスピアが書いた小説が出力されることだってあるだろう」』、単なる比喩だが、「コンピューター」が「偶然シェイクスピアが書いた小説が出力される」可能性はなくはないが、確率的には天文学的な確率でほぼゼロに近いといえる。
・『善や正義は言葉で説明できない?  どこかで聞いた話だな。キーボードの上で猫を歩かせたら、偶然シェイクスピアの作品が出来上がることもあるみたいな話だっけ? まあ、シェイクスピアの作品がどれだけ長いか知らないが、一応、言葉の組み合わせでできている以上、組み合わせを延々とやっていけば、いつかは同じものが出力されるのは当然のことではある。 「さて、もっとスケールを大きくしよう。このコンピューター、文章をランダムに作り出す機械を『無限』に動かしたと考えてみてほしい。すると、あらゆる言葉の組み合わせを網羅した文章……とんでもない量の文章が出力されるわけであるが……、この膨大な文章をすべて同じように枠の中に入れてしまおう」 先生は、再び枠の中に文字―今度は、「理性(言葉の世界)」という文字を書き入れた。「というわけで、人間がその思考活動によって生じうる、すべての文章が、今この枠の内側に入ったわけだが……そうすると、今後どんな知識人がどんな本を書こうが、どんな説明を、どんな論文を、どんな学説を作り出そうが、その文章はこの枠の内側にすでにあるということになる」 ランダムな文章を無限に生成したわけだから……、いま書店にある本もそうだし、将来、書店に並ぶであろう本もすべて、この枠の内側にすでに存在している……これもまあ、その通りだろうな。 「それだけじゃない。キミたちがまさに今考えていること、そして、今後、考えるであろうことも、無限の文章の組み合わせの中に含まれるのだから、枠の内側にすでにあると言える」 本当にスケールの大きな話だった。何が起ころうと、何を考えようと、とにかくそれらはすべて、枠の内側に必ずあるということか。 「では、ここで問おう。善とは、正義とは、どこにあるだろうか? 正義くん」 意図がよくわからなかった。でも、起こりうる、考えうる、すべての出来事が枠の中にあるのだから、当然、「枠の内側でしょうか?」と僕は答えた。左隣から視線を感じたので、ちらりと見ると、倫理が僕のことをにらんでいた。どうやら間違ったようだ。 「正義くんの左隣、副会長だったか、キミはどう思うかな?」 先生は倫理に問いかけた。ちなみに右隣は千幸。ミユウさんは、いつものように遠く後ろの席に座っている。 「はい。善や正義は、言葉や理屈で説明できるものではありません。だから、枠の内側にはなく、もしあるとしたら―それは枠の外側だと思います」』、確かに、「善や正義」は、「理性(言葉の世界)」に属さない。
・『人殺しに対する「2つの考え方」  「ふむ、そうだな。まさに『宗教の正義』では、そのように正義を捉えている」 そう言って、先生は枠の外側に小さな点線の丸を描き、その中に「善」「正義」という文字を書き入れた。 「いや、正義くんの答えも間違いではない。それは主義の違いの問題だ」 たとえば、功利主義―『全体の快楽の増加が正義である』という考え方において、快楽とは『脳の状態』という物理現象なのだから、当然、この巨大な枠の内側での出来事だと言える。 そして、功利主義の『快楽の増加が正義』という論も、文章すなわち思考活動であるわけだから、これも枠の内側に属するものであると言える。 このように功利主義は、すべて枠の内側で成立する主義主張であると言えるわけで、功利主義を採用する人にとって『正義』は、枠の内側の存在であると言える」 なるほど。で、一方、宗教の正義では「枠の外側」―つまり「物質の世界」や「言葉の世界」を超えたところに正義があると考えているわけか。 「さて、ちょっとここで、『なぜ人を殺してはいけないか?』という問題について考えてみてほしい。キミたちならこの質問に何と答えるだろうか?」 「たとえば、一例として、『他人から殺されるかもしれない社会では不安でオチオチ眠れない。そこで、みんなで殺人はダメという暗黙のルールを作った。だから、人を殺してはいけないのだ』という回答の仕方があるだろう」 「これは功利主義的な回答であるが、合理的な思考活動の結果であり、まさに枠の内側での回答と言える。もちろん、それ以外にも、さまざまな回答の仕方があるだろうが、いずれにせよ、この問いに何か合理的な答えを与えようと『考えた』時点で、それは共通して『枠の内側での回答』ということになる」 「では、『宗教の正義』の立場の人ならどう答えるだろうか? 簡単だ。彼にとっては議論も思考も必要ない。なぜなら、それらを行ったところで、それはただ、枠の中をグルグル回るだけにすぎないからだ。そして、枠の中には正義は存在しない。だとしたら、そんな行為は無意味である。だから、彼は、ただ黙って枠の外にある正義を直接『指差す』。そして、こう叫ぶだろう」 「『人殺しは悪いことだ! 正義に反する! そんなことは考えなくてもわかるはずだ!』と」 次回に続く』、「功利主義」の考え方と、『宗教の正義』の考え方には大きな違いがあることは理解できた。

第四に、1つ飛ばして、8月3日付けダイヤモンド・オンライン「ソクラテス『善い行いをしろと言ったら、嫌われて死刑になった』」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/210780
・・・相対主義VS絶対主義  前回記事『正義は「ロジカル」に定義できる? ある哲学者の主張』の続きです。 「今から哲学史の授業を始めたいと思う」 「本来、哲学史の授業は、古代ギリシアの時代から順番に、一人ひとりの哲学者の主張を細かく説明していくのが定番であるのだが……、それをやっていては間違いなく途中で飽きてしまう」 「歴史を学ぶときに重要なのは、まずざっくりと大まかな流れを把握すること。だから、今日は詳細を省き、概要だけ駆け足で一気に説明していきたいと思う」 「それから―これは歴史を学ぶ意義そのものでもあるのだが―これから私が説明する歴史の流れの中には、『時代が移り変わっても、変化しない人類の営み』、もう少し言えば『人類の普遍的な悩み事』『恒久的課題』が隠されている。それについても、ぜひ見つけ出してみてほしい」 いつの時代になっても、人類がずっと悩み続けていることか……。 時は移り、所は変われど、人類の営みに何ら変わることはない―そんな格言から始まるアニメが昔あったと思うけど、きっと歴史ってそういうものを学びとるためのものなんだろうな……、というか、そうであってほしい。意味なく出来事と年号を覚えさせられるのは、もううんざりだ。 「さて、いま私が黒板に書いたふたつの主義、相対主義と絶対主義……これは古代という遠い昔、およそ2500年ほど前に興った哲学思想であるが、線を挟んで左右に書いたことからわかるように、これらふたつの主義は対立関係にある。つまり、両者はまったく真逆の内容になっているということだ」 「では、まず右側、相対主義。これは、『物事の価値は、他との関係性によって決まるのだから、絶対的なものはない』という考え方のことである。たとえば、私が今持っているチョーク、これは『大きい』だろうか? それとも『小さい』だろうか? こうして指でつまめるのだから、私にとっては『小さい』と言えるかもしれない。だが、アリからすればとても『大きい』塊に見えることだろう」 「他には、私が今立っているこの地球、これは確実に『大きい』と言えるだろうか? いや、それもあくまでも、私にとって『大きい』のであって、たとえば太陽ですら、それこそ銀河系全体で比較したら砂粒のように、ものすごく『小さい』と言えるだろう」 「結局、大きい、小さい、熱い、冷たい、善い、悪い、何でもいいが、そういった価値判断は絶対的なものではなく、それを判断する相手との相対的な関係性によって決まるのであって、ようするに、人それぞれのものにすぎないのである」 なるほど。すごくよくわかる話だけど、でもこれって2500年前の話なんだよな?』、「歴史の流れの中には、『時代が移り変わっても、変化しない人類の営み』、もう少し言えば『人類の普遍的な悩み事』『恒久的課題』が隠されている」、その通りなのだろう。
・『なぜソクラテスは死刑になったか?  その頃って科学も発展してない時代だから、象が世界を支えてるとか、変な先入観で迷信や宗教を頑固に妄信してる人たちばかりだと思っていたけど、「価値観なんて人それぞれだよ」という現代的な視点が、そんな時代からもうあったのか。 「一方、それに対立するのが、絶対主義だ。これは、相対主義の逆で『絶対的に正しい、絶対的に善い、といったものが、ちゃんとこの世には存在するんだよ』という考え方のことである。この主義を唱えたのが、かの有名なソクラテスだ」 ソクラテス。 哲学の知識はゼロの僕でも、名前くらいは知っている。哲学者といえば、という連想で、一番最初に名前が出てくる人だよな。 「そのソクラテスが生きていた当時、世の中は相対主義が優勢だった。つまり『正義なんて国や人によって変わるのだから絶対的に正しいものなんてない』という考え方が流行っていた時代だったというわけだ」 「そこへソクラテスがやってきて、『いやいや、絶対的な正しさ、正義は存在するのだ』と強く訴えかけ、人々に『善く生きる』ことを勧める。これは端的に言えば『正義を志して生きろ』ということであるが、当時の風潮からすれば、少々暑苦しい説教話であり、結局、権力者たちから疎まれたソクラテスは無実の罪で投獄され、最終的には死刑となってしまう」 死刑……。善い行いをしろと言ったら、人から嫌われて死刑か。なんだか身につまされる話だな……。次回に続く』、「相対主義が優勢だった」なかで、「『善く生きる』ことを勧める」ソクラテスが、権力者たちから疎まれ・・・最終的には死刑となってしまう」、有名な話で漸く思い出した。ソクラテスを生み出したギリシャ文明は、西欧哲学の原点になった点でも、確かに素晴らしいものだ。飲茶氏のシリーズはこれ以降も続くが、紹介はここまでにしたい。著者略歴とシリーズ一覧は、下記。
https://diamond.jp/ud/authors/5d02f88177656117f6000000
タグ:哲学 飲茶 相対主義 ダイヤモンド・オンライン (その2)(飲茶氏のシリーズ:「リベラリズム」と「リバタリアニズム」の違い 説明できますか?、自由主義者は「自由」のために 殺人を肯定する?、「人殺しを悪とする」2つの考え方、正義は「ロジカル」に定義できる? ある哲学者の主張、ソクラテス『善い行いをしろと言ったら 嫌われて死刑になった』) 「「正義の教室」:「リベラリズム」と「リバタリアニズム」の違い、説明できますか?」 『正義の教室 善く生きるための哲学入門』 リベラリズム、リバタリアニズムの違いって? 弱者に優しい福祉社会を作る考え方がリベラリズム 弱肉強食の自由競争を推進する考え方がリバタリアニズムである 「リベラリズム」の意味は、国によって違う 「「正義の教室」:自由主義者は「自由」のために、殺人を肯定する?」 「強い自由主義」と「弱い自由主義」とは? 弱い自由主義とは? 『自由に生きることが人間の幸福であり、社会は個人の自由を尊重しなくてはならない』という思想だ 自由よりも幸福を上位に置いている 彼らの最優先は『自由』ではなく、『幸福』であることは明らかだ 弱い自由主義者たちが掲げる思想は、自由という単語を使ってはいるものの、その内実は功利主義そのもの 『弱い自由主義者』たちは、自由主義とは名ばかりで、その実、『自由主義の皮をかぶった功利主義者』にすぎない 強い自由主義とは? 人間に与えられたもっとも基本的な権利である『自由』を守ることであり、そこから生じる結果についてはいっさい問わない 夜警国家論 「「人殺しを悪とする」2つの考え方」 「宗教の正義」とは何か? 善や正義は言葉で説明できない? 人殺しに対する「2つの考え方」 宗教の正義では「枠の外側」―つまり「物質の世界」や「言葉の世界」を超えたところに正義があると考えている 「ソクラテス『善い行いをしろと言ったら、嫌われて死刑になった』」 相対主義VS絶対主義 物事の価値は、他との関係性によって決まるのだから、絶対的なものはない 「歴史の流れの中には、『時代が移り変わっても、変化しない人類の営み』、もう少し言えば『人類の普遍的な悩み事』『恒久的課題』が隠されている なぜソクラテスは死刑になったか? ソクラテスが生きていた当時、世の中は相対主義が優勢だった ソクラテスがやってきて、『いやいや、絶対的な正しさ、正義は存在するのだ』と強く訴えかけ、人々に『善く生きる』ことを勧める 権力者たちから疎まれたソクラテスは無実の罪で投獄され、最終的には死刑となってしまう
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環境問題(その6)(気候変動でオランダ最高裁が「驚くべき判決」 オーストラリアは山火事で追加利下げ?、地球温暖化CO2犯人説は眉唾?懐疑論者が語る「信憑性に欠ける証拠」、メガバンク 「脱炭素化」に大きく舵を切る理由 投融資方針を相次ぎ転換 抜け道の批判も) [世界情勢]

環境問題については、昨年10月4日に取上げた。今日は、(その6)(気候変動でオランダ最高裁が「驚くべき判決」 オーストラリアは山火事で追加利下げ?、地球温暖化CO2犯人説は眉唾?懐疑論者が語る「信憑性に欠ける証拠」、メガバンク 「脱炭素化」に大きく舵を切る理由 投融資方針を相次ぎ転換 抜け道の批判も)である。

先ずは、本年1月28日付け日経ビジネスオンラインが掲載したみずほ証券チーフMエコノミストの上野 泰也氏による「気候変動でオランダ最高裁が「驚くべき判決」 オーストラリアは山火事で追加利下げ?」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00122/00054/?P=1
・『日本のメディアはほとんど報じなかったようだが、昨年12月20日にオランダ最高裁が下した判決は、「気候変動」問題への政策対応の必要性に西欧先進国の司法機関が積極的に関与したという意味で、世の中が以前とは大きく変わってきたことを示す意義深いものになったと、筆者は受け止めている。 時事通信は「オランダ最高裁、政府に温室ガス削減命令=来年末までに25%」という表題で、判決の内容を報じていた。それによると、オランダの最高裁判所は12月20日、政府に対して2020年末までに温室効果ガス排出量を1990年比で少なくとも25%削減するよう命じる判決を下した。これは、同国の環境保護団体の訴えを認めた一、二審の判決を支持したものである。 最高裁は、科学者や国際社会に「先進国の排出量は20年までに少なくとも25~40%削減する必要があるという意見の一致がある」と認定。政府はこれを下回る目標設定に正当な理由を示していないと判断した。また、気候変動は「(市民の)生命や幸福を脅かす」と指摘。欧州人権条約や国連の気候変動枠組み条約に基づき、政府に市民保護への十分な対応を取るよう促した』、下記のように「オランダ政府の現在の温室効果ガス削減目標は20%」のに対し、「最高裁判所」が「少なくとも25%削減するよう命じる判決」、とは画期的だ。
・『司法が具体的な数値目標示したオランダ  オランダ政府の現在の温室効果ガス削減目標は20%である。今回の判決は、司法府が行政府に対して気候変動対策の強化を迫るのみならず、具体的な数値目標まで示す、画期的なものになった。ウィーベス経済・気候政策担当相はこの判決を受けて、対応策を示すと表明。「政府は25%に向け努力を続ける」とした。オランダは国土の約3分の1が海抜0メートル未満であるため、国民が気候変動の問題に特に敏感であるという。 日本の憲法学ではずいぶん前から、日本国憲法第13条が定める幸福追求権を根拠にして、基本的人権の1つとしての「環境権」、すなわち人間として良好な環境の下で生活を営む権利を国民が有することが、確立していると思われる。 だが、日本で最高裁が政府に対して気候変動対策の強化を具体的に命じるような判決を出すことは、現時点ではなかなか想定できないように思う。日本の場合、司法は今後も、個別の政策課題への対応については民意を反映して成立している政府の裁量を重視する立場を取り続けるのではないか。 オランダの隣のドイツでは昨年、発電量に占める再生可能エネルギーの比率が初めて化石燃料を逆転したという(1月4日付日本経済新聞)。また独政府は、温暖化ガス排出が少ない鉄道の利用を促進するため50キロメートル以上の長距離鉄道利用にかかる付加価値税率を19%から7%へ大幅に引き下げることを決定。これは実質的にドイツの鉄道運賃を約10%引き下げることと同じであり、その減税分を補うために航空業界の税負担を増やすことも検討されているという(2019年12月13日配信東洋経済オンライン)。 昨年12月に就任したフォンデアライエン欧州委員長(ドイツ出身)が主要政策に位置付ける「欧州グリーンディール」の一環で、「(50年に実質ゼロの)実現の道筋を示せれば、EUが世界を引っ張ることができる」と、同委員長は訴えている。 「石炭など化石燃料に依存する国々の再生可能エネルギーへの転換などを支援するのが主な目的だ。欧州委は『脱化石燃料』に向けた一歩としたい考えで、同分野での技術革新などを通じ、新たな成長戦略とする構えだ」という(1月15日付日本経済新聞)。 欧州各国で先導的に急速に進んでいる気候変動対策の展開は、日本の政策担当者も金融市場関係者も、よく見ておく必要があるように思う。 さらに、ドイツの隣のオーストリアでは1月1日、中道右派政党である国民党のクルツ党首が緑の党と連立を組むことで合意した(緑の党のコグラー党首は副首相に就任)。オーストリアで緑の党が政権入りするのは初めてのことである。気候変動対策を求める声が強まる中で、欧州ではスウェーデンやフィンランドでも緑の党が政権入りを果たしている』、「オランダは国土の約3分の1が海抜0メートル未満であるため、国民が気候変動の問題に特に敏感」、「最高裁判所」までが踏み込んだ背景が理解できた。「独政府は、温暖化ガス排出が少ない鉄道の利用を促進するため50キロメートル以上の長距離鉄道利用にかかる付加価値税率を19%から7%へ大幅に引き下げる」、というのも画期的だ。「欧州委員長」が「欧州グリーンディール」で、「(50年に実質ゼロの)実現の道筋を示せれば、EUが世界を引っ張ることができる」というのも意欲的だ。
・『この間、南半球のオーストラリアでは、2019年9⽉頃から続く⼤規模な森林火災がいっこうに鎮火する気配を見せず、国の経済全体への悪影響が危惧されるようになっている。連邦政府の対応が後手に回る中で、中央銀行が追加利下げに踏み切る必要性ありと市場が見なすようになっている。 家屋の焼失、コアラをはじめとする野生動物の被害などが話題になったが、1月に入るとメルボルンで大気汚染が深刻化し、テニス全豪オープンで棄権する選手が出るなど、影響はさらに拡大。農業や観光業へのダメージ、消費マインドへの下押し圧力を含めて、オーストラリア経済全体への悪影響を真剣に考える必要が増大している。 そこで森林火災がオーストラリア経済にもたらしている深刻な影響が、中央銀行の背中を押すのではないかと考える向きが多くなっている。具体的には、経済⾒通しが再評価される2⽉4⽇の次回理事会、あるいは3月以降のいずれかの理事会で、今回の山火事が直接のきっかけになり、オーストラリア準備銀行(RBA)が追加利下げに動くのではないかという見方である。 19年6・7・10月に計3回利下げしつつ、将来の量的緩和にも含みを持たせることで、RBAは、同年5月にニュージーランドから始まった先進国中央銀行による「緩和競争」の中で、かなりの存在感を発揮してきた。政策金利であるキャッシュレートは過去最低の0.75%になっている<図1>。 ■図1:オーストラリアとニュージーランドの政策金利(リンク先参照) ロイターが集計して1月14日に報じたエコノミスト調査では、20年の同国の成長率予想は前年比+2.3%、21年は同+2.5%にとどまった。長期平均が+2.75%とされるこの国では、弱めの数字の並びである。しかも、19年7~9月期までの物価指標はインフレ目標対比で弱い』、「オーストラリア準備銀行」は5月になって2回にわたり合計0.5%利下げし、過去最低の0.25%としたようだ。
・『今後も続く異常気象  オーストラリアの気象局によると、19年は観測史上で最も気温が高く、最も湿度が低い年になり、これが山火事の拡大につながった。 世界気象機関(WMO)は1月15日、19年は世界の平均気温が観測史上2番目に高かったと発表した。15~19年の5年間、10~19年の10年間の平均気温はいずれも過去最高。10年間の平均気温は80年代以降、過去最高を更新し続けており、地球温暖化の進展を裏付けている。WMOのターラス事務局長はオーストラリアの大規模な山火事に言及し、「残念ながら今年も今後数十年間も異常気象に直面することになるとみられる」と述べて危機感を表明した。 1月23日に発表された昨年12月のオーストラリアの雇用統計が市場予想よりも強い内容になったため、2月にすぐ追加利下げがあるという読み筋はいったん後退を余儀なくされた。だがその一方で、この国の経済と密接なつながりがある中国で新型肺炎が流行し始めたという、新たな景気の悪材料も出てきている。 いずれにせよRBAの追加利下げは時間の問題だろう。それが現実になれば、気候変動(地球温暖化)がもたらす経済的悪影響が先進国の政策金利引き下げにつながった、恐らく初の事例として、歴史に残るものになるかもしれない』、ただ、5月の追加利下げは、新型コロナウィルスによる「悪材料」への対応といった面の方が強そうだ。

次に、3月22日付けダイヤモンド・オンライン「地球温暖化CO2犯人説は眉唾?懐疑論者が語る「信憑性に欠ける証拠」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/231987
・『スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんが国連で行ったスピーチが話題になり、再び注目を集めている地球温暖化問題。ただし、対策を真面目に考えているのは日本だけだ。2030年までに総額100兆円も使う予定だが、その実効はほとんど期待できない。そもそも人為起源CO2を温暖化の主因と見る前提そのものが大いに疑わしい。著書に『「地球温暖化」狂騒曲』(丸善出版)と訳書『「地球温暖化」の不都合な真実』(日本評論社)がある東京大学名誉教授の渡辺正氏に話を聞いた』、「懐疑論者」の最右翼はトランプ大統領だが、日本にもいたようなので、参考までに紹介した次第である。「対策を真面目に考えているのは日本だけ」、というのは「渡辺正氏」の決めつけだ。
・『地球温暖化脅威論の発端は1988年  地球温暖化はデータから見ると不自然な点も少なくありません。「人為起源CO2が地球を暖めている」という言説が世界に広まったのは1988年のこと。国連傘下の組織「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が報告書でそう指摘した。報告書は、温暖化を自明の事実とみた上、「温室効果ガスをこのまま大気に排出し続けると、生態系や人類に重大な影響を及ぼす気候変動が進む」と警告し、それが広く注目を集めた。 1997年12月、地球温暖化に対する国際的取り決めのための会議(COP3)が京都で開かれ、名高い「京都議定書」が採択された。 京都議定書は先進国に、「2008~2012年に温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンなど)を1990年比で約5%削減せよ」と要求した。国ごとの排出削減目標として、EUは8%、アメリカは7%、カナダと日本は6%の削減を課せられた。 日本は排出量取引などの「数字合わせ」で目標を達成したが、アメリカは2001年3月末に議定書から離脱し、カナダも2007年4月に「6%削減の断念」を発表(2011年12月に離脱を表明)するなど、世界全体の足並みはそろっていなかった。 国連の意図は、温暖化問題を口実に、先進国から途上国への財政支援を促すことにあった(前掲の訳書に詳しい)。京都議定書の中で中国は、排出削減義務のない「途上国」に分類された。1980年代の排出量は少なかったが、日本の8倍もCO2を出して世界最大の排出国になった現在、もはや国連のもくろみは破綻している』、「中国」が「「途上国」に分類され」たのは確かに片手落ちだった。
・『気温が上がっているのは都市部だけという事実  2015年12月には、地球温暖化対策の新ルール「パリ協定」が発効した。京都議定書が先進国だけに温室効果ガス削減を求めたのに対し、パリ協定は途上国を含むすべての締約国が対策を実施することとなった。ただし、今なお「途上国」に分類される中国は、「2030年まで実質的な排出削減はしない」という趣旨の発言をしている。 日本は、2013~30年の18年間で、CO2を13年度比で26%(内訳は『エネルギー起源CO2』が21.9%、『その他温室効果ガス』が1.5%、『吸収源対策』が2.6%)の削減を目標に掲げる。 しかし、そもそも地球の気温と大気中のCO2濃度に相関関係はほとんどない、と渡辺氏は断言する。 「地球温暖化脅威論者は、『気温上昇の主因は人為的CO2の増加』と主張しますが、いろいろな気温データを見るかぎり、とてもそうとは思えません。人為的なCO2の排出が激増したのは1940年代以降ですが、過去150年ほどの気温は、1940年代より前にも、昇降を繰り返してきました。つまり地球の気温を変える要因として、人為的CO2以外(主に都市化と自然変動)が随分大きいのです」 「たとえば、1910~40年には最近とほぼ同じ勢いの昇温が起きたし、1940~70年代の地球は寒冷化し、氷河期の再来を警告する科学者が随分いました。それだけでも、CO2と地球温暖化の相関関係は小さいとわかります」 年配者は、「子ども時代の夏はもっと過ごしやすかった」と語る向きも少なくない。しかし渡辺氏によれば、それは主に都市部で起きた現象にすぎず、非都市部(田舎)には気温がほぼ横ばいの場所も多いという。 「走行中の乗用車1台は30キロワットのヒーターですから、これほど車が増えた東京なら暑くなって当然。また、東京の気温は100年以上、大手町のビル街、気象庁の構内に置いた1本の温度計で測ってきました。ビルの建設が風通しを悪くし、周囲を走る車も増えたため、温度計の読みが上がっても当然です。その証拠に、2014年の暮れに温度計を北の丸公園へ移したところ、年平均気温が1.4℃も下がりました。同じ東京都でも、三宅島の気温はほぼ横ばいですから、やはり都市化の寄与はそうとう大きいでしょう」 「ちなみに、種々の世界気温データを総合すると、温暖化が問題にされ始めた1988年から30年余の温度上昇はせいぜい0.3℃しかなく、10年あたりなら0.1℃です。体感もできないその昇温が、異常気象を引き起こすとは思えませんね」』、「地球の気温を変える要因として、人為的CO2以外・・・が随分大きい」、のは事実だろうが、気象庁のホームページで世界の年平均気温偏差の経年変化(1891〜2019年)をみると(下記)、100年あたり0.74℃の割合で上昇しているようだ。「気温が上がっているのは都市部だけ」には首を傾げざるを得ない。
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_wld.html
・『日本政府は100兆円投じるが効果は微々たるもの  CO2増加と地球の気温上昇に直接の関係はない…と語るデータが多いのに、渡辺氏によると、日本政府は温暖化対策の名目で現在、国税・地方税などもろもろ合わせて年間5兆円以上(ほぼ防衛費並み)も使っているという。 「CO2地球温暖化説は、妄想やファンタジーです。研究者の内輪話なら何も言いません。けれど、CO2削減策だと称し、京都議定書時代の2006年から、パリ協定時代の2030年へと至る25年間に、日本は100兆円も使うことになるのです。その100兆円には、2012年の民主党政権が導入した『再生可能エネルギー発電促進賦課金』が40兆~50兆円ほど含まれます。家庭が払う電気料金の約1割に上り、昨年の実績だと年2兆8000億円に上りました」 100兆円を使ったとしても地球はまったく冷えないというから、驚くほかない。 「2014年のIPCC第5次評価報告書が正しいなら、2013~30年の18年間で地球の気温は0.27℃上がります。自然変動や都市化の影響もあるため、人為起源CO2の効果は、多めに見て0.27℃の半分、つまり0.15℃としましょう。すると、世界の3.5%しかCO2を出さない日本が、人間活動による21.9%を減らした場合、0.15℃×0.035×0.219という計算から、たったの0.001℃しか地球を冷やさないわけです。むろん、気温上昇の大部分が都市化や自然変動のせいなら、その0.001℃すら過大評価だということになりますね」 年間の国家予算に近い100兆円という大金のムダづかいを国民が認識するようになれば、地球温暖化騒動も幕引きに向かうのではないだろうか。渡辺氏が続ける。 「要するに温暖化対策は、竹やりでB29爆撃機に立ち向かうようなもの。いや、それだけなら笑い話で済みますが、巨費を防災や感染症対策など大事な用途に回せなくなるわけだから、勢い余って竹やりで戦友を刺し殺すような自滅行為、というのが素顔ですね」』、「2030年へと至る25年間に、日本は100兆円も使う」、「『再生可能エネルギー発電促進賦課金』が40兆~50兆円ほど含まれます」、財政支出と、電力料金への賦課金とは全く違う概念なのに、内訳とするのは信じられないような暴論だ。
・『CO2増加は食物や緑を豊かにする  大気中のCO2増加と地球温暖化にきれいな相関がないのは、素人目にも明らかだ。メディアはCO2を悪者扱いにするが、CO2増加のメリットは計り知れないと渡辺氏は言う。 「植物は光合成でCO2を物質に変えます。少し考えてみればわかるとおり、私たちの食卓に上るもののうち光合成と縁がないのは、水と食塩の2つだけ。増えるCO2が植物の生育を促す結果、作物の収量が増えて緑化も進み…と、いいことずくめです。そのプラス面をメディアがまったく報じないのは不思議ですね。脅威論を叫ぶ人々も、この話には口をつぐみます。到底科学者とは思えません」 実際ここしばらく、農作物の収量は全世界で増え続けている。米国農務省が発表したデータでも、2000年度に18.5億トンだった世界の穀物生産量が、2019年度には26.6億トンまで増えた。 もちろん農耕技術や肥料、農薬などの進歩も大きいとはいえ、大気に増え続けるCO2がかなり効いていると考えてもおかしくはない。 北京大学の朱再春ほか31人が2016年4月の『ネイチャー・クライメート・チェンジ』誌に出した論文によると、1982~2012年の32年間に及ぶ衛星観測の結果、「地球全体で植物の量は10%ほど増え」、「緑を増やした要因のうち、大気に増えるCO2がほぼ7割と推定される」という。 メディアは「CO2=悪」のイメージを国民の心に植え付けてきた。しかし、気温や気象など多彩な科学データを見るかぎり、人為起源CO2が地球温暖化の主因だと断定できる段階ではない。CO2排出削減を目玉とする「温暖化対策」に100兆円ものお金を使おうとしている(うち約40兆円は支出済み)日本政府の行いは、非科学の極みだといえよう』、「CO2増加は食物や緑を豊かにする」のは事実だが、「渡辺氏」の主張とは違って温暖化が異常気象、海面上昇などのマイナス効果をもたらすとすれば、効より罪の方が大きいのではなかろうか。

第三に、5月16日付け東洋経済オンライン「メガバンク、「脱炭素化」に大きく舵を切る理由 投融資方針を相次ぎ転換、抜け道の批判も」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/350494
・『日本のメガバンクが気候変動対策を相次いで強化している。 みずほフィナンシャルグループは4月15日、石炭火力発電所の新規建設を資金使途とする投融資を今後行わない方針を表明した。石炭火力発電所向け与信残高を現在の約3000億円から減らしていき、2050年度までにゼロにする。森林破壊や先住民への人権侵害が問題になっているパーム油や木材・紙パルプ分野では、新規融資時のみならず、融資実行後のチェックも厳格化する』、遅ればせながら漸く重い腰を上げたようだ。
・『みずほの対応をNGOは評価  一方、三井住友フィナンシャルグループは4月16日、「ESG(環境・社会・ガバナンス)に関するリスクの考え方」と題した方針を発表し、新設の石炭火力への支援について「原則として実行しない」と明記した。水力発電や石油・ガス開発など環境負荷や地域社会への影響が大きい分野については、投融資に際して環境・社会リスク評価などを行っていく考えを示した。 三菱UFJフィナンシャル・グループも5月13日付で環境・社会配慮に関する方針改定を表明。石油・ガス開発や大規模水力発電に関してリスク評価のプロセスを明確にしていく。 メガバンクはこれまで、二酸化炭素排出の多い石炭火力発電に多額の融資をしてきたとして、環境NGOによる厳しい批判にさらされてきた。また、森林関連分野への投融資についても、人権や環境影響に関するチェックの甘さが問題視されてきた。 「みずほの新たな投融資方針では、投融資先企業に『森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ』の順守など、環境・社会への配慮を求めていることが注目される。また、FPIC原則(地域住民の『自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意』の尊重)に基づく対応を求めていくとしたことも画期的だ。森林分野にかかわる産業全体にわたってこうした方針を盛り込んだのは、アジア地域の銀行ではみずほが初めてだ」 国際環境NGOのレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)のハナ・ハイネケン氏は、みずほの方針をこう評価する。 インドネシアやマレーシアなどでは、現地の大手財閥グループがパーム油や木材・紙パルプ生産を推進。メタンなどの温室効果ガスを大量に排出する泥炭地の開発が続いているうえ、先住民の強制立ち退きや労働法違反がたびたび発生し、大きな社会問題となってきた。メガバンク各社はこれらの財閥グループに多額の融資を実施してきた。 RANなどの国際環境NGOはそうした企業による森林破壊や人権侵害の実態を詳細に調査したうえで、メガバンクの貸し手としての責任を追及するキャンペーン活動を世界規模で展開。その一方でメガバンクと対話も続けてきた』、欧米の機関投資家がESG投資を重視している以上、「メガバンク」もそれに従ってゆく必要がある。
・『「責任ある銀行原則」が後押し  みずほは石炭火力発電所向け投融資方針も大幅に見直した。従来は発電効率が最も高い超々臨界圧方式の石炭火力であれば投融資を実行するとしてきたが、今回の方針変更ではこうした高効率の石炭火力発電所であっても新規の投融資を行わないとした。 こうした動きについて、環境NGO「気候ネットワーク」の平田仁子理事は、「脱石炭火力発電という点において、みずほは日本の金融機関の中において、最も前向きな方針を示した。石炭火力の推進を掲げる政府の方針の枠外に一歩出ようとするものであり、ビジネス界に与える影響は大きい」と高く評価する。 ではなぜ、メガバンクはこうした動きに舵を切ったのか。企業の脱炭素化への取り組みに詳しい東京大学の高村ゆかり教授は「『責任ある銀行原則』に署名したことによる影響が大きい」と指摘する。 国連環境計画・金融イニシアティブが主導する同原則は、2019年9月にニューヨークで開催された国連サミットに合わせて正式に発足し、日本のメガバンクも欧米やアジアの有力銀行とともに名前を連ねた。高村氏は「同原則の特徴は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)や地球温暖化対策の新たな枠組みであるパリ協定に、自社のビジネスを整合させることを銀行に求めている点にある。メガバンクの署名により、間接金融においてもパリ協定との整合性を踏まえた脱炭素化の機運が高まっている」と指摘する。 メガバンクはG20の金融安定理事会が設立した「気候関連財務情報開示タスクフォース」(TCFD)の提言に基づく、気候変動リスクの分析や情報開示も進めている。 この分野で先行したのが三井住友FGだ。同社は気候変動が原因で発生するとみられる災害による想定損失額を試算し、開示している。世界で最も早くTCFD最終報告書の趣旨を踏まえた試算結果を開示したことをきっかけに、「サステナビリティをめぐる投資家などとの面談の回数が、2019年には前年比で10倍にも増加している」(末廣孝信・サステナビリティ推進室長)という。 環境分野に関する銀行の取り組みは、世界規模で加速している。 2015年12月にパリ協定が合意されて以降、EU内の大手銀行の多くが石炭火力発電向け融資を取りやめている。アメリカではゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなどが、2019年末以降、石炭火力発電や北極圏での石油・ガス開発への新規投融資を取りやめると相次いで宣言した』、「EU内の大手銀行」の動きはさすが早かったようだ。
・『メガバンクの方針に「抜け道」との指摘も  世界最大手の資産運用会社ブラックロックは、投資先の経営者に宛てた2020年の年頭書簡の中で、サステナビリティに関連した情報開示で十分な進展を示せない企業について、株主総会で経営陣と取締役の選任に反対票を投じる考えを表明した。 ヨーロッパとは異なり、アメリカの金融機関は石油・ガスなど化石燃料分野への投融資額が大きく、脱炭素化に消極的な姿勢を示す企業が多かった。それだけに、今回の方針策定に関わったみずほの幹部が「米銀の姿勢の変化も横目に見ながら方針の強化を検討してきた」と明らかにするように、アメリカの金融機関の姿勢の変化は日本のメガバンクにも影響を与えている。 もっとも、「メガバンクの方針には抜け道が少なくない」との指摘もあり、メガバンクが真価を問われるのはこれからだ。 「『環境・持続社会』研究センター」(JACSES)の田辺有輝理事は、みずほの石炭火力発電に関する新方針にある「運用開始日(6月1日)以前に支援意思表明済みの案件は除く」との記述を問題視する。 田辺氏は、「政府間の合意があることを理由として、みずほなどと国際協力銀行は、5月中にベトナムのブンアン2石炭火力発電事業に支援表明をする可能性がある」と予測する。ブンアン2石炭火力発電所については、日本のインフラ輸出戦略の一環として官民での支援が検討されている。) 新たな方針を実施する6月1日を待たずに、石炭火力発電プロジェクトへの新規融資を決めることになれば、みずほは厳しい批判にさらされる可能性が高い。 気候ネットワークは3月16日、「気候関連リスクおよびパリ協定の目標に整合した投資を行うための計画の開示」を求める株主提案をみずほに提出した。気候ネットワークは、その後のみずほによる石炭火力発電への投融資厳格化を評価しつつも、「パリ協定との整合性が不明確であること」を理由に、株主提案を取り下げない方針だ』、「運用開始日(6月1日)以前に支援意思表明済みの案件は除く」、との条項はこうしたプロジェクト融資案件では、どうしても必要なので、やむを得ない。
・『欧州はグリーンリカバリーの流れに  冒頭に触れたように、みずほは現在、約3000億円かかるとされる石炭火力発電所向けの与信残高を2030年度までに半減させ、2050年度までにゼロとする方針だ。しかし、パリ協定で盛り込まれた世界の平均気温上昇を2℃以内に抑える目標を達成するには「2050年度まで残高が残るという選択肢はありえない」(平田氏)。 しかも、みずほが開示した石炭火力発電所向け与信残高は、石炭火力発電に使途を限定したプロジェクトファイナンスの残高であり、そこには資金使途を限定しない電力会社向けの通常の融資や電力債の引き受けは含まれていない。そうした形態での投融資については石炭火力発電向けの金額算定が難しいこともあり、みずほは削減目標を示していない。 RANのハイネケン氏は、三井住友が示した投融資方針について、「森林や石油・ガスなど各セクターでどのようなリスクがあるかを示したことは評価できるが、『森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ』の遵守までは求めておらず、石油・ガスセクターではどのような場合に投融資を行わないかが明示されていない」と指摘する。 【2020年5月16日18時30分追記】初出時のハイネケン氏のコメントを表記のように追加・修正いたします。 三菱UFJの新方針についても、石炭火力発電に関する対応方針に変化が見られないことなどを理由に、国際環境NGOからは「失望を禁じえない」(NGO350.org JAPANの横山隆美代表)といった声があがっている。 現在、金融界は新型コロナ対応にかかりきりだが、経済復興の過程において、CO2排出量の多いエネルギー使用を再び増やすことは脱炭素化の方向性と相容れない。パリ協定を重視するヨーロッパなどでは、「グリーンリカバリー」(化石燃料中心のエネルギーから、再生可能エネルギーなど温室効果ガス排出を伴わないエネルギーへのシフトを通じた経済復興)の必要性が提唱されている。 日本がコロナ後を見据えて、脱炭素化を視野に入れた経済改革を進めるうえで、メガバンクの役割と責任はきわめて大きい』、「日本がコロナ後を見据えて、脱炭素化を視野に入れた経済改革を進めるうえで、メガバンクの役割と責任はきわめて大きい」、同感である。
タグ:環境問題 オーストラリア 気象庁 東洋経済オンライン みずほ オーストラリア準備銀行 三井住友フィナンシャルグループ 日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン 上野 泰也 (その6)(気候変動でオランダ最高裁が「驚くべき判決」 オーストラリアは山火事で追加利下げ?、地球温暖化CO2犯人説は眉唾?懐疑論者が語る「信憑性に欠ける証拠」、メガバンク 「脱炭素化」に大きく舵を切る理由 投融資方針を相次ぎ転換 抜け道の批判も) 「気候変動でオランダ最高裁が「驚くべき判決」 オーストラリアは山火事で追加利下げ?」 オランダの最高裁判所は12月20日、政府に対して2020年末までに温室効果ガス排出量を1990年比で少なくとも25%削減するよう命じる判決 司法が具体的な数値目標示したオランダ オランダは国土の約3分の1が海抜0メートル未満であるため、国民が気候変動の問題に特に敏感 独政府は、温暖化ガス排出が少ない鉄道の利用を促進するため50キロメートル以上の長距離鉄道利用にかかる付加価値税率を19%から7%へ大幅に引き下げる 「欧州グリーンディール」 「(50年に実質ゼロの)実現の道筋を示せれば、EUが世界を引っ張ることができる」 ⼤規模な森林火災 5月になって2回にわたり合計0.5%利下げ 今後も続く異常気象 「地球温暖化CO2犯人説は眉唾?懐疑論者が語る「信憑性に欠ける証拠」」 「地球温暖化」狂騒曲』(丸善出版) 東京大学名誉教授の渡辺正 地球温暖化脅威論の発端は1988年 気温が上がっているのは都市部だけという事実 世界の年平均気温偏差の経年変化(1891〜2019年) 100年あたり0.74℃の割合で上昇し 日本政府は100兆円投じるが効果は微々たるもの その100兆円には、2012年の民主党政権が導入した『再生可能エネルギー発電促進賦課金』が40兆~50兆円ほど含まれます 財政支出と、電力料金への賦課金とは全く違う概念 CO2増加は食物や緑を豊かにする 「メガバンク、「脱炭素化」に大きく舵を切る理由 投融資方針を相次ぎ転換、抜け道の批判も」 石炭火力発電所の新規建設を資金使途とする投融資を今後行わない方針を表明 パーム油や木材・紙パルプ分野では、新規融資時のみならず、融資実行後のチェックも厳格 みずほの対応をNGOは評価 新設の石炭火力への支援について「原則として実行しない」 三菱UFJフィナンシャル・グループも5月13日付で環境・社会配慮に関する方針改定を表明。石油・ガス開発や大規模水力発電に関してリスク評価のプロセスを明確にしていく ESG 「責任ある銀行原則」が後押し 国連環境計画・金融イニシアティブが主導 日本のメガバンクも欧米やアジアの有力銀行とともに名前を連ねた 「気候関連財務情報開示タスクフォース」 気候変動リスクの分析や情報開示も進めている パリ協定が合意されて以降、EU内の大手銀行の多くが石炭火力発電向け融資を取りやめている アメリカではゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなどが、2019年末以降、石炭火力発電や北極圏での石油・ガス開発への新規投融資を取りやめると相次いで宣言 メガバンクの方針に「抜け道」との指摘も 運用開始日(6月1日)以前に支援意思表明済みの案件は除く 欧州はグリーンリカバリーの流れに 日本がコロナ後を見据えて、脱炭素化を視野に入れた経済改革を進めるうえで、メガバンクの役割と責任はきわめて大きい
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リニア新幹線(その5)(JR東海がひた隠す「リニア・リスク」 実用技術「完成」は嘘八百、「完成度8割」 新型リニア車両「残る2割」は何か 既存車をブラッシュアップ 5月走行試験開始、新型コロナで万事休すか リニアを待つ無残な末路 人口減少フェーズのなかコロナショックで出張の需要は激減) [国内政治]

リニア新幹線については、昨年12月4日に取上げた。今日は、(その5)(JR東海がひた隠す「リニア・リスク」 実用技術「完成」は嘘八百、「完成度8割」 新型リニア車両「残る2割」は何か 既存車をブラッシュアップ 5月走行試験開始、新型コロナで万事休すか リニアを待つ無残な末路 人口減少フェーズのなかコロナショックで出張の需要は激減)である。

先ずは、選択2019年12月号「JR東海がひた隠す「リニア・リスク」 実用技術「完成」は嘘八百」のポイントを紹介しよう。
・「すれちがい実験」さえしていない  山梨実験線で走行実験をしている「営業線仕様」のL0系は、先頭車両の屋根に黒い煤が付着。これは、社(正しくは「車」)内の照明などが消費する電力をガスタービン発電しているため。大量の燃料を搭載して時速500Kmで走行させているのは危険。昨年12月に発表した「改良型試作車」では、ガイドウェイから非接触で電気を取り入れるが、実験に着手したばかり。L0系での「すれちがい実験」をするそぶりさえ見せない。すれちがいでは相対速度で1000Kmと、未知の領域。空力的問題はもちろん、電磁場の相互作用も実験で知見を得るしかない。実験線でリニアが走行できるのは片側のみ。これ以外にも、超電導磁石には突然磁力を失う「クエンチ」現象。国鉄時代から技術者を悩ませてきたが、JR東海はその実態を明らかにせず。1999に実験線で「クエンチ」が起きたと山梨日日新聞が報道したのみ。電磁波の人体への影響は車両に乗っていれば大丈夫だが、非常時に脱出した場合の対応もJR東海は口を閉ざしたまま。都合のいい一部の論文のみしか「技術流出防止」を口実に公開せず。「実際にはそれは単なる言い訳で、自信がないのだろう」(JRの開発を知るOB)。ドイツがかつてリニア開発を国がかりで推進したが、実験線での死亡事故で頓挫、中国の上海に輸出して幕引き』、「ガスタービン発電」については、次に紹介する新型車両では、「ガイドウェイから非接触で電気を取り入れる」ことになりそうだ。「実験線でリニアが走行できるのは片側のみ」なので、いまだに「すれちがい実験」をしてないとは信じ難い。本線完成までしないのだろうか。クエンチ現象は、宮崎実験線で91年に事故になったようだが、詳細は非公開。
・『財政投融資の詐取か  超電導リニア開発を断念しても、中央新幹線は現在の新幹線方式で走行可能。トンネルの大きさや経路勾配も。超電導リニアの頓挫を織り込んだ「保険」が準備。しかし、地元自治体への説得、財政投融資の投入。これで単なる鉄輪式新幹線になれば、「融資詐欺」。メディアは、こうした電導リニアの危うさに口を閉ざす。これは、経営環境に最も恵まれ、広告出稿を武器にメディアを黙らせる力を持っていることや、技術的な調査が出来る記者が根本的に不足しているため』、「中央新幹線は現在の新幹線方式で走行可能。トンネルの大きさや経路勾配も。超電導リニアの頓挫を織り込んだ「保険」が準備」、とはいっても、「これで単なる鉄輪式新幹線になれば、「融資詐欺」になりかねないだけに、簡単に「保険」に頼る訳にもいかない。「メディア」は、「広告出稿を武器」にした圧力があるとはいえ、「電導リニアの危うさ」に一切口をつぐんだままでは、存在意義が問われることになろう。

次に、3月30日付け東洋経済オンライン「「完成度8割」、新型リニア車両「残る2割」は何か 既存車をブラッシュアップ、5月走行試験開始」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/340228
・『瀬戸内海に面したこの工場には何度も足を踏み入れているが、この日は工場の通用門で体温チェック、マスク着用が必須という異例の状況。全国で新型コロナウイルスが猛威を振るう状況下では仕方ない。しかし、目の前に姿を見せた白い車体の輝きが、「コロナ鬱(うつ)」と呼ばれる不安な気持ちを一瞬忘れさせた。 3月25日、JR東海が開発するリニア中央新幹線「L0(エルゼロ)系」改良試験車の先頭車両が、山口県下松市にある日立製作所の笠戸事業所で報道公開された。SL(蒸気機関車)から新幹線まで製造してきた日立にとっても、この車両の製造は新たな歴史の1ページとなる』、リンク先の写真ではスマートな車体だ。
・『運転室があるかのようなデザイン  JR東海は山梨リニア実験線で超電導リニア車両の走行試験を重ねている。L0系は2002~2008年に走行した試験車両「MLX01-901」に続いて2013年に登場、2編成計14両が製造された。「営業線仕様の第1世代」と位置づけられる。 居住性を確保するため、飛行機のような丸形ではなく角型の車体断面としたほか、座席の上に荷物収納スペースを設置して、車内空間は新幹線車両に近いデザインとなった。 今回登場したのは、そのL0系をブラッシュアップした「改良型試験車」。先頭車両と中間車両が1両ずつ製造され、既存のL0系と組み合わせて運用される。先頭車両を日立が製造した。中間車両を製造するのはJR東海の子会社、日本車両製造だ。 東海道新幹線でおなじみの白い車体にブルーのラインはリニアにも踏襲された。L0系では直線的なラインだったが、改良型試験車では曲線となった。 運転席のようなものも見える。リニアは無人走行するため先頭車両に運転室はないが、従来の先頭車両では下部に設置されていた前方視認用カメラや前照灯の位置が上部に設置されたことで、あたかも運転室があるかのように見えるのだ。これが一般的な鉄道車両のような安心感を与える。 先頭車両のノーズ部分の長さは15mで従来のL0系と変わらないが、先端部はL0系よりも丸みを帯びている。また、ノーズ全体にも凹凸が目立ち、ノーズから客室部への移行が滑らかだ。JR東日本の新幹線試験車両「ALFA-X(アルファエックス)」のような雰囲気がある。 丸いノーズがどことなく愛嬌を感じさせる。「時速500kmの走行性能と愛嬌(のギャップ)が矛盾を感じさせるかもしれません」と、JR東海の寺井元昭リニア開発本部長が笑いながら話す。 こうした外観の変更は、デザインを重視したからではない。今回の改良型試験車の開発は営業仕様のブラッシュアップ、すなわち乗り心地の改善が主な目的だ。先頭形状の変更によって、先頭部の空気抵抗が約13%下がり、車外騒音が低減するという』、「あたかも運転室があるかのように見える」、気のせいとはいえ、やはり「安心感」も重要だ。
・『完成度は「8~9割」  では、今回のL0系改良試験車は完全な営業レベルの車両に仕上がったのか。リニアに関する国の技術評価委員会は、2017年に「営業に必要な技術開発は完了した」という結論を出している。しかし、寺井氏は、「リニアは技術としては完成しているが、快適性、居住性をもっとブラッシュアップしなくてはいけない」と話す。営業運転時の完成度を100とすると、現在の完成度は「8~9割」という。だとすると、残りの1〜2割は何か。 L0系についてはこれまで、報道陣向けの試乗会がしばしば実施されている。その乗り心地については以下のように報じられている。(いずれも原文ママ) 新幹線より車体の幅と高さが約50センチずつ小ぶりなため、多少の圧迫感を感じた。縦揺れ、横揺れ共に途切れないが、ふわふわと漂うような感覚は不快ではなかった。【2014年9月23日・朝日新聞】 全体として体に負担は感じなかったが、時速500キロ走行の際、「ゴーッ」と低く響く雑音や車内での揺れは、東海道新幹線に比べるとやや大きく感じた。【2014年9月23日・産経新聞】 揺れ具合を見ようと、座席前のテーブル上にプラスチック製のペンを置いていた。動きはほとんどない。(中略)途中、飛行機に乗った際のように耳に空気圧を感じる場面もあった。【2014年9月26日・読売新聞(東京)】 400キロを超えると、それまでの「ウーン」という騒音に「ゴッー」という重低音が加わった。ただ車内での会話や飲食、歩行には問題ない。【2014年9月29日・日経MJ(日経流通新聞)】』、「400キロを超えると、それまでの「ウーン」という騒音に「ゴッー」という重低音が加わった」、これは長時間だと気になりそうだ。
・『細かいチューニングの積み重ね  以上はいずれも2014年9月22日に実施された試乗会のもようだ。その後も報道陣が乗車する試乗会が何度か行われており、乗り心地に関する記述もある。 時速500キロメートルに達すると、ほぼ揺れは気にならないが、耳に圧迫感を感じた。速度を落とし、タイヤを付ける時には、再び飛行機の着陸のような揺れや音が生じた。【2016年11月16日・読売新聞(東京)】 乗り物酔いしないかと不安だったが杞憂だった。それほど音は気にならず、速さも揺れも特別なものとは感じなかった。【2018年10月30日・朝日新聞】 JR東海によれば、L0系の試験運行開始以降、乗り心地の改善に向けて細かなチューニングを重ねているという。そう言われてみると、記事の執筆者は異なるかもしれないが、2014年、2016年、2018年と、乗り心地が少しずつ改善しているようにも見える。その結果の「8~9割」だとすれば、今回の改良試験車が何度も走行して、そのデータを元に100%の完成度に近づけるのだろう。) 乗り心地改良のポイントの1つが、前記の試乗ルポにもしばしば出てきた「耳ツン」対策だ。 鉄道の場合、耳ツンはトンネル突入による気圧の変化で起きるが、リニアのルートの一部の駅間には標高差がある。その急勾配区間を高速で走行すると、高層ビルのエレベーターに乗ったときに感じるような耳ツンが生じるのだ。そのため、車内の圧力変化をいかに緩やかにするかが改良試験車の課題となる。このほかに「ゴーッ」という重低音の対策も必要となる』、なるほど。
・『電気は「ワイヤレス充電」の原理で  L0系改良試験車では、それまでのリニア車両で採用されていたガスタービン発電装置が非搭載となり、誘導集電方式が全面採用されることとなった。 意外に思われるかもしれないが、リニア車両の空調や客室照明はこれまで、燃料を燃やした燃料ガスで車両に搭載したタービンを回して生じた電気で賄っていた。地上から浮上して走行するだけでなく、パンタグラフがないため、外部から車内に電力を送電する手段がなかったためだ。かつてのリニア車両をよく見ると、屋根上の排出口から排気ガスが出ていることがあったが、これはガスタービン発電を行っていたためだ。 誘導集電とは、地上に設置した地上ループに電気を流し、その上を車両が走ることで磁界を変化させ、車両に設置したコイルに電気を供給する仕組み。「スマホのワイヤレス充電と同じ原理です」(寺井氏)。従来のL0系はガスタービン発電装置と誘導集電装置の両方を採用していたが、誘導集電技術の進歩により、全面採用に踏み切ったというわけだ。 改良試験車は4月上旬に山梨リニア実験線に搬入し、5月末に走行試験を開始する予定だ。車両開発は着々と進んでいる。残る課題はルート。静岡県工区はいつ着工できるのか。2027年の開業に向けて、今年は正念場だ』、「ガスタービン発電」よりは、「誘導集電」の方が安全だろう。ただ、「すれちがい実験」をせずに、工事が進むというのは大丈夫なのだろうか。

第三に、5月18日付けJBPressが掲載した経済評論家の加谷 珪一氏による「新型コロナで万事休すか、リニアを待つ無残な末路 人口減少フェーズのなかコロナショックで出張の需要は激減」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60543
・『新型コロナウイルス対策の長期化がほぼ確実になったことで、鉄道各社の業績懸念が高まっている。特に新幹線への依存度が高く、リニア中央新幹線の建設を行っているJR東海への影響は大きい。JR各社は民間企業とはいえ、もともとは国鉄であり、極めて公共性が高い。コロナ後の社会を見据えた上で、鉄道網をどう運営していくのか国民的な議論が必要だろう』、その通りだ。このままでは、与件が変わったのに、当初の戦略のままに突っ走って悲惨な結果をもたらした太平洋戦争の過ちを繰り返しそうだ。
・『GW期間中の新幹線利用者数は95%減  JR各社は2020年5月7日、ゴールデンウィーク(GW)期間中の鉄道利用状況を公表した。いつものGWであれば、通勤路線の利用が激減し、旅行や帰省などで長距離路線が混雑するというのが定番だったが、今年は緊急事態宣言の発令によって移動自粛が求められており、新幹線もガラガラという状況だった。 JR東日本のGW期間中の利用者数は、新幹線が前年比95%マイナス、在来線の特急列車の利用者数は同じく95%のマイナスだった。JR東海は新幹線がマイナス94%、在来線がマイナス96%、JR西日本は山陽新幹線がマイナス95%、在来線特急も95%のマイナスとなっており、各社とも総じて95%程度、利用者数が減少している。 政府が緊急事態宣言の延長を表明したことを受けて、JR各社はGW明け後も、本数を減らした形で新幹線を運行している。JR東海では「のぞみ」の運転本数を半分以下に、東海道新幹線全体としても3割程度、本数を削減した。JR西日本も3割ほど新幹線の本数を減らしており、これにともなって5月16日から1400名の乗務員や駅員などを一時帰休させている。 コロナウイルスを完全に封じ込めるには、厳しい措置の継続が必要というのが感染症専門家の一致した見方だが、足元では経営が成り立たなくなる企業も増えており、自粛解除に向けた動きも目立つようになっている。しかしながら、冬には再び感染が拡大すると予想する専門家は多く、当分の間、何らかの形で経済活動の抑制が続く可能性が高い。 ちなみに、約100年前に発生したスペイン風邪では、完全終息に3年を要している。ワクチンがなく特効薬も確立していないという点では今と同じ状況であり、感染症専門家の多くがスペイン風邪のデータを参考にしている現実を考えると、人やモノの移動は当分の間、制限されると考えた方がよいだろう。 鉄道会社は事業の性質上、人やモノの移動頻度が収益に直結する。経済活動の抑制が長引けば、当然、業績への影響も大きくなってくる』、「東海道新幹線全体としても3割程度、本数を削減」、その後、解除が近いとして、削減は止めたようだが、解除後の乗客の戻りは遅れる可能性がありそうだ。
・『今後、高速鉄道に対する需要は激減?  しかも困ったことに、今回のコロナショックによって、日本の商習慣が変わる兆しも見え始めている。感染を防ぐためテレワークに移行した企業も少なくないが、一部の業種では人がオフィスに集まらなくても業務の遂行が可能であることが証明されてしまった。 もっともテレワークは一時的な措置であり、感染が終息すれば、いつもようにオフィスに出勤する光景が戻ってくるだろう。だが、出張については必ずしもそうとは言い切れない。テレワークとオフィスワークを比較すれば、オフィスの方が効率がよいのは明らかだが、出張については顕著なマイナス効果はあまり出ていないと考えられる。 現場を持つ業界の場合、出張で直接、人が訪問することの重要性は変わらないだろうが、事務的な業種における出張は、今後、見直されていくかもしれない。しかも日本は人口が急激に減っており、鉄道を利用する人の絶対数も減少が予想されている。新幹線に代表される長距離高速鉄道に対するニーズは、長い目で見た場合、すでにピークを超えた可能性が高い。 一連の状況を総合的に考えると、場合によってはJR各社の経営戦略も見直しが必要かもしれない。特に新幹線への依存度が極めて高く、リニア中央新幹線という巨額の先行投資を行っているJR東海が受ける影響は大きい。 リニア中央新幹線は、東京~名古屋間が2027年、東京~大阪間については2037年に開業予定となっている(当初は2045年だったが8年前倒し)。すでに工事が始まっているが、今回のコロナ危機によって半数の区域で工事が中断しており、今後の見通しが立てられない状況となっている。 一部の自治体が環境問題をめぐってJR側と対立していることから、ただでさえ工期の後ズレが懸念される状況だった。コロナによる感染拡大が長期化した場合、開業スケジュールに影響する可能性は否定できないだろう』、確かに「事務的な業種における出張は、今後、見直されていく」ことをはじめ、「新幹線に代表される長距離高速鉄道に対するニーズは、長い目で見た場合、すでにピークを超えた可能性が高い」、その通りだろう。
・『もはやJR東海1社で手に負える問題ではない?  事業の収支予想についても疑問符が付く。もともとリニア新幹線は政府が建設を主導するはずだったが、結局、JR東海の単独事業となり、同社は9兆円の建設費を自己負担している。同社は新幹線とリニアから得られる収益で借入れを返済する必要があるが、仮に予定通り開業できたとしても、見通しは厳しいというのが現実である。 JR東海が以前に公表したリニアの収支計画では、新幹線と乗客を分け合う形となるため、名古屋開業時点における鉄道部門の売上高は現在と同水準、大阪延伸後でも10%の増加にとどまっている。 しかも巨額の減価償却負担が業績に重くのかかることから、名古屋開業時点の予想経常利益の水準は、現時点との比較で大幅に減少する見通しとなっている。端的に言ってしまうと、リニアを開業するとJR東海は儲からない企業体質に変貌してしまうのだ。 しかも、この収支見通しはコロナが発生するはるか以前に行われたものであり、インバウンド需要の減少や出張の抑制などをまったく織り込んでいない。 本来、政府主導で行うはずのプロジェクトであったにもかかわらず、財政難から政府はサジを投げてしまった。インバウンド需要の増加やアベノミクスの大成功など、過度に楽観的な見通しを前提にJR東海に資金負担を丸投げした状態であり、そもそもの計画自体に無理があったといわざるを得ない。 高速鉄道の建設や運行は、公的な色彩が濃い。前代未聞の危機が発生し、経済構造の大転換が予想される現状を考えると、JR東海という民間企業1社で手に負える問題ではなくなっている』、その通りだが、「JR東海」が財政投融資資金の投入を条件に自分でやると引き受けた責任は、やはり重大だ。とはいえ、破綻させる訳にはいかないので、政府がファンド経由で実質的に救済することになるのだろう。
・『日本は今後、急ピッチで人口が減少する  日本は今後、急激な人口減少フェーズに入ることが確実視されており、IMF(国際通貨基金)では人口減少に伴って日本のGDPが今後40年の間に、現時点との比較で25%減少するとの試算を公表している。この数字は大げさでも何でもなく、マクロ経済のモデルに沿って計算すれば、誰がやっても似たような結果を得ることができる。 つまり日本は何もしなくても経済が急激に縮小することが確実な状況であり、日本は望むと望まざるとにかかわらず、コンパクトな社会にシフトする必要に迫られている。今回のコロナ危機は、短期的にはもちろんのこと、中長期的にも、人やモノの大規模な移動を抑制し、ITを使った効率的な社会の建設を促すことになるだろう。 コロナが発生する以前から、経済のコンパクト化が必要との声があったにもかかわらず、安倍政権はむしろ逆の方向性を目指しており、昭和の時代に戻ろうという意図すら見受けられた。オリンピックについては開催ありきで話が進み、リニアについても同様に建設ありきのプロジェクトだった(リニアが夢の超特急として話題になったのは昭和40年代のことである)。 だが、コロナ危機が台頭した今、こうした惰性によるプロジェクトを継続する余力はもはや残っていない。現時点において感染拡大防止が最優先事項であることは言うまでもないが、一方で、日本経済の中長期的な戦略見直しの議論もスタートさせる必要がある。当然だが、議論の中にはリニア新幹線の計画についても含めるべきだろう』、私はもともとリニア建設には反対だったので、「加谷」氏の主張には賛成だ。走りだしたら止まらないのが、日本の組織の通弊だが、「惰性によるプロジェクトを継続する余力はもはや残っていない」、のを契機に「中長期的な戦略見直しの議論もスタートさせる必要」があるのは確かなようだ。
タグ:東洋経済オンライン リニア新幹線 JBPRESS 加谷 珪一 (その5)(JR東海がひた隠す「リニア・リスク」 実用技術「完成」は嘘八百、「完成度8割」 新型リニア車両「残る2割」は何か 既存車をブラッシュアップ 5月走行試験開始、新型コロナで万事休すか リニアを待つ無残な末路 人口減少フェーズのなかコロナショックで出張の需要は激減) 選択2019年12月号 「JR東海がひた隠す「リニア・リスク」 実用技術「完成」は嘘八百」 「すれちがい実験」さえしていない ガスタービン発電しているため。大量の燃料を搭載して時速500Kmで走行させているのは危険 実験線でリニアが走行できるのは片側のみ 超電導磁石には突然磁力を失う「クエンチ」現象 1999に実験線で「クエンチ」が起きたと山梨日日新聞が報道したのみ 財政投融資の詐取か 超電導リニア開発を断念しても、中央新幹線は現在の新幹線方式で走行可能。トンネルの大きさや経路勾配も。超電導リニアの頓挫を織り込んだ「保険」が準備 単なる鉄輪式新幹線になれば、「融資詐欺」 広告出稿を武器にメディアを黙らせる力を持っている 「「完成度8割」、新型リニア車両「残る2割」は何か 既存車をブラッシュアップ、5月走行試験開始」 運転室があるかのようなデザイン 「改良型試験車」 完成度は「8~9割」 400キロを超えると、それまでの「ウーン」という騒音に「ゴッー」という重低音が加わった 細かいチューニングの積み重ね 電気は「ワイヤレス充電」の原理で 誘導集電 「新型コロナで万事休すか、リニアを待つ無残な末路 人口減少フェーズのなかコロナショックで出張の需要は激減」 GW期間中の新幹線利用者数は95%減 今後、高速鉄道に対する需要は激減? 事務的な業種における出張は、今後、見直されていくかもしれない 新幹線に代表される長距離高速鉄道に対するニーズは、長い目で見た場合、すでにピークを超えた可能性が高い もはやJR東海1社で手に負える問題ではない? インバウンド需要の増加やアベノミクスの大成功など、過度に楽観的な見通しを前提にJR東海に資金負担を丸投げした状態であり、そもそもの計画自体に無理があった 日本は今後、急ピッチで人口が減少する リニアについても同様に建設ありきのプロジェクトだった(リニアが夢の超特急として話題になったのは昭和40年代のことである コロナ危機が台頭した今、こうした惰性によるプロジェクトを継続する余力はもはや残っていない 日本経済の中長期的な戦略見直しの議論もスタートさせる必要がある
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GAFA(その3)(“GAFAの天敵”の覚悟「ネット神話を打ち破る」 欧州委員会のベステアー委員インタビュー(上)、“GAFAの天敵”の覚悟「ネット神話を打ち破る」 欧州委員会のベステアー委員インタビュー(上)、GAFAらの横暴な戦略を抑えるためにできること スティグリッツ教授が説く市場支配の経済学) [産業動向]

GAFAについては、昨年8月8日に取上げた。今日は、(その3)(“GAFAの天敵”の覚悟「ネット神話を打ち破る」 欧州委員会のベステアー委員インタビュー(上)、“GAFAの天敵”の覚悟「ネット神話を打ち破る」 欧州委員会のベステアー委員インタビュー(上)、GAFAらの横暴な戦略を抑えるためにできること スティグリッツ教授が説く市場支配の経済学)である。

先ずは、本年1月10日付け日経ビジネスオンライン「“GAFAの天敵”の覚悟「ネット神話を打ち破る」 欧州委員会のベステアー委員インタビュー(上)」を紹介しよう(Qは聞き手の質問)。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00067/010600056/?P=1
・Q:2014年に競争政策の担当トップに就いてから、どのような基本方針でEU競争法違反の適用を検討してきましたか。18年にはグーグルが基本ソフト(OS)「アンドロイド」関連のビジネスで自社サービスを不当に優遇したことがEU競争法違反に当たるとし、単独企業としては過去最大の43億4000万ユーロ(約5300億円)の制裁金の支払いを命じました。 欧州委員会のマルグレーテ・ベステアー委員(以下、ベステアー氏):最も明白な例は、市場独占によってプラットフォーム主導、データ主導、ネットワーク主導の経済にどのような影響が出るかです。米グーグルに対する私たちの決定事項には、3つの要素があります。 1つは、過去の行動を罰する罰金。次に、事業の停止や終了を求めることがあります。やっていることをやめてもらう。最後の要素として、市場の修復があります。 ある企業が市場を勝ち取り、それが違法な手段によるものであった場合、競合他社がその市場を取り返すのは非常に難しい。私たちは、競合他社が公平な機会を得られるように、こうしたケースがあれば、違反した企業に積極的な行動を求めていきます。 1つ目として、グーグルは罰金を払いました。2つ目の対策として、彼らは検索機能とブラウジングをアプリ配信サービスで切り離しました。しかし、3つ目として、メニュー画面を選択制にしたことが、どれだけうまく機能するかは分かりません。 問題は、競合他社がその市場に参入するのが依然として非常に難しいことです。知名度は低いし、参入に関心はあっても成功する自信がないのかもしれません。そのため、グーグルが携帯電話メーカーとの間で、(アンドロイド端末に)グーグル検索とブラウザーがインストール済みであるように合意している場合、ユーザーがボックスを開くと選択肢が表示されるようになりました。あなたがロシア語圏の言語圏にいるときに、グーグルではなくロシア由来の検索エンジンを使える可能性があります。そうなれば彼らにも入り込める余地があります。 しかし、これがどのような効果を発揮するかはまだ不明です。それこそが、私たちが今後取り組むべきことの1つだと考えています。デジタル市場はその性質上、支配的な企業が市場を勝ち取った場合に、競合他社が取り戻すのが非常に難しいのです。エリートたちによって支配されている場合は特にそうです。』、ベステアー委員は、デンマーク教育相、社会自由党党首、経済相などを経て。14年から欧州委員会の委員として競争政策の担当トップになった女性だ。政治家で、これだけ、「競争政策」を語れるとは大したもので、日本の政治家とは段違いだ。EC裁判所で、GAFAの優秀な弁護団とやり合うなかで揉まれたのかも知れない。
・『勝者が事実上のルール決定者に  Q:グーグルにはその他に2件のEU競争法違反を適用し、3件の合計で1兆円近い制裁金の支払いを命じています。グーグルへの対応からどんなことを学びましたか。また、将来の市場の中でグーグルをどのように位置付けていますか。 ベステアー氏:今の時点ではっきりと分かっているのは、3番目の要素、市場の修復に取り組む必要があるということです。この新たな市場ではその20~30%を争うのではなく、市場全体を支配するために競争することになります。 そのため、勝者が事実上のルール決定者になります。民間のルール設定者であり、公的なルール設定者ではありません。民主的な考え方に基づく公共機関でもない。私的なルール設定になってしまいます。 「公正な競争のルールを設定すれば、全てはうまくいくはず」という考えもありました。しかし、これまでの3件のグーグルの事例から、うまくは運ばないと分かってきました。彼らが設定したルールが最初にあったのです。 だからこそ、ここでやるべきことがあります。(プラットフォーム上のランキングなどにおいて)ランク付けの理由と方法を知る権利があります。ランキングから外れた途端、サービスを見つけてもらえない状態を、どうすればいいのでしょうか。プラットフォーム上でビジネスをしている企業には、サービスを提供してくれているプラットフォーム側に問題を解決してもらう権利はありそうですが、これまではそうなっていません。 だからこそ、グーグルのケースはプラットフォーマーが公正な競争に基づき機能するために、規制される必要があります。それが主な課題と感じている点です。規制に関する次の一手は、まだ決めていません。物事は変化しており、その都度、規制も必要になるのです。 Q:独禁法の適用において、グーグルは常に一歩先を行っているのでしょうか。 ベステアー氏:例えば、アンドロイドの設定メニューをどう機能させるかについての基準がないのは、グーグルがユーザーに選択させることに関して世界で一番優れているからです。私たちは、そうした能力でグーグルにかなうとは全く思っていません。だからこそ、今後どのように効果を発揮していくのかは分かりません。 「メカニズムが公平でない」あるいは、「このメニューを紹介するときに自社について言及する必要はない」と、私たちはいつでも言うことができます。しかし、設計の中にこそ彼らのコア・コンピテンスがあるため、私たちには分からない部分がたくさんあります。(グーグルが控訴しているため)裁判の決着がつくまで、市場に実際の変化が現れるとは思いません。裁判所が我々とグーグル、どちらが正しいかを検討している限り、目立った変化はないと思います。裁判所が決断を下したとき、2つの事案が決着します。皆さんはそのときになって初めて、何が問題になっていたのかを認識するはずです。 Q:あなたはグーグルだけでなく、アップルやフェイスブック、アマゾンなどのGAFAにEU競争法違反の調査を進めています。そして、規制の動きは欧州から世界に広がっています。 ベステアー氏:グローバルな議論の変化を興味深く見ています。 私が欧州委員会の競争法担当になった5年前とは異なる議論が、今の米国では巻き起こっています。多くの人々は、市場が実際にどのように機能しているのかを心配しているのです。民主主義ではないものによって、物事のルールが決められるのは受け入れられません』、「設計の中にこそ彼らのコア・コンピテンスがあるため、私たちには分からない部分がたくさんあります」、確かに「ベステアー氏」には攻め難いところなのかも知れない。
・『(GAFAを)恐れている、とは決して言わない  Q:GAFAはとても強大な企業で、様々な影響力を持っています。「GAFAの天敵」と言われ、こうした巨大ハイテク企業と対立することに尻込みすることはないでしょうか。 ベステアー氏:それはありません。私が恐れるとすれば、家族や犬のことです。私の犬はもう11才半ですが、まだ元気いっぱいです。私は(GAFAを)恐れている、とは決して言いません。 これはとても重要な観点です。私たちは誰もが投票できて、法に守られた社会に住んでいます。そして、私たちはそれを維持するために多くのことをしています。その生活を守ること自体が、とても重要な闘いでもあるのです。今の社会を当たり前と考えることもできません。それこそが重要なことなのです。 私が非常に問題意識をかき立てられ、何かできないかと思うことがあります。それは、グーグルのアカウントやフェイスブックのアカウント、またはアップルのIDを使用し、様々なサービスにログインすることがどんどん一般的になっていることです。 私は今の状態を望んでいません。自分のIDでログインできるようになってほしいのです。通常のパスポートを持っていれば、身分を証明するのに十分な情報を提供できるように整理されています。これがパスポートのそもそもの趣旨です。 グーグルなど、いずれかの企業アカウントで身分を登録すると、彼らはあなたが何をしているのか、取れる限りの情報を集められるようになります。このことは、インターネットが非常に商業化された世界になったという事実の表れです。 インターネットは、人々が互いに自由につながり合える、監視のない自由な開かれた社会を持つ方法であるという神話があります。ですが、この神話を打ち破る必要があります。 神話では、インターネットこそがユートピアだった。それが私たちの夢でした。しかし今、私たちの手元にあるのは、巨大なモールのようなもの。人々が出会って交流するすてきなカフェはいくつかありますが、基本的には商業化された場所になっています。 どうやって自分の身分を識別するかの問題は、そのことを非常によく表しています。人々はこうした状況を認識しなければなりません。さもなければ、人々は気がつかないまま常に情報を提供し続けることになります。 Q:あなたはGAFA以外にも多くの事案でEU競争法違反と認定しています。独シーメンスと仏アルストムは鉄道事業を統合し、世界で闘う体制を作ろうとしていたが、ベステアーさんはEU競争法違反だと判断しました。世界と競ううえで、この種の欧州の巨人は必要だと思いますか。 ベステアー氏:我々の経験からすると、競争に参加して得られることの1つは成長です。誰かがあなたと競おうとしていれば、自身の技術を磨き、プロセスを改善し、コスト効率も高めようとするでしょう。とはいえ、入札への参加を妨げるルールはありません。欧州以外の契約に応札することも大歓迎です。 シーメンスとアルストムの事業統合は、合併ルールが問題を引き起こしたのではありません。合併ルールとは無関係の理由で解決できなかった非常に特殊事例です。合併の大部分はうまくいっていたと思います。非常に重要な2つの事案についてのみ、うまくいきませんでした。 本線の信号方式と超高速鉄道の2つに問題がありました。本線の信号方式については、既にほとんど競合がありません。世界中が欧州の信号方式とその規則を参考にしているため、非常に集中した市場であり、シーメンスとアルストムは既に世界的な巨大企業です。 信号方式は重要な市場です。私たちには新しい欧州規格がある。より多くの列車が国境を越えてより多くの列車が走ることができるように、加盟国にこの規格に投資してほしいと考えています。それを多くの人が望んでいると思います。 だから、加盟国が投資しやすいように手ごろな価格にしたい。これは、市場での競争があれば達成できるはずです。両社が事実上独占している状態では、こうはなりません』、「(GAFAを)恐れている、とは決して言わない」、強がりなのだろうか。「神話では、インターネットこそがユートピアだった。それが私たちの夢でした。しかし今、私たちの手元にあるのは、巨大なモールのようなもの。人々が出会って交流するすてきなカフェはいくつかありますが、基本的には商業化された場所になっています・・・人々は気がつかないまま常に情報を提供し続けることになります」、鋭い問題意識だ。
・『我々は鉄道料金を手ごろな価格にしたい  もう1つが、超高速鉄道です。これは飛行機との競争がある分野です。市の中心街から他の市の中心街へ行く場合、例えばブリュッセル→パリやパリ→ボルドーであれば、電車で行くほうが飛行機よりもはるかに便利です。 ここでも、私たちは超高速鉄道(の運賃)を手ごろな価格にしたいと考えています。そうでなければ、欧州の鉄道や超高速鉄道は進化せず、飛行機に乗る機会は減りません。鉄道のほうが飛行機よりもはるかに二酸化炭素(CO2)排出量が少ない利点があります。 こうした課題は、一企業だけでは解決しようとしない、または解決できない問題です。ですので、私たちはこういう重要な理由があるために合併を進めることはできない、と説明しました。課題が解決されてさえいれば、問題はありません。 企業同士が合併して巨大企業になることはできます。セメントや乳製品、ビールなどでは欧州から世界的な巨大企業が生まれています。合併ルールがあるからといって、巨大企業になれないわけではありません。要は、欧州市場でも引き続き競争にさらされることを受け入れるということです。 Q:シーメンスとアルストムの事案後、競争ルールを改定するよう求める声が大きくなっています。最近、ベステアー委員はこの件に触れ、市場の定義方法といったテーマについても話しました。ルールブックを改定する場合の優先事項について教えてください。 ベステアー氏:恐らく、ルールが時代に適したものであるようにと念を押したのは私が初めてだったのではないでしょうか。私たちは多くの力を注いできました。ルールブックをチェックするのに3人の特別顧問がいましたし、公聴会も開きました。この規則が我々の目的に合っているか議論するために、ここブリュッセルで大規模な会議も開きました。 こうした意見から、一般的な目から見ればこの規則は私たちの目的に沿うものであると考えています。本質的なルールは本質的な課題を解決できるのですから。 重要なのは、私たちが市場をどのように定義するかをどうやって外の世界に説明するかに関する通達が、20年前のものだということです。20年前、我々は携帯電話を持っていたでしょうか。持っていても、恐らく非常にシンプルなものでしょう。タブレット端末のようなものはなく、オンラインストリーミングもない。この20年で、あらゆるものが変わってきました。 だからこそ、この通達が、私たちの活動とどう一致しているかを伝えたいと思っています。今の通知を読んだら、私たちが世界市場を見据えていることに気付かないと思いますので。 データが重要な役割を果たす合併が増えています。欧州委員会への委託があった米マイクロソフトと米リンクトインの合併がありました。米アップルと英シャザム・エンターテインメントの合併もありました。こうした合併が今後ますます増えると予想しており、また、ビジネスモデルが変わらないだろうとも推測しています。 サービスの対価として、データを受け取るようになっているという事実があります。まず、今すべきことは完全にオープンな議論をすること。それも、法案をまとめたり、正式な公聴会を開いたりするよりも前に、です。私たちは政治的な意見だけでなく、競争コミュニティーからも意見を取り入れたいと思っています』、「私たちが市場をどのように定義するかをどうやって外の世界に説明するかに関する通達が、20年前のもの」、こうした部分も手直しするのは大変な作業だろう。
・『ソフトバンクについてはいずれ触れたい  Q:シェアリングエコノミーについて、米ウーバーテクノロジーズは膨大なデータを取得しています。今後は調査の対象にはなるのでしょうか。 ベステアー氏:現在、ウーバーのケースは対象としていません。他にもいくつかのデータの扱いに由来するケースがあります。最近あったのはアマゾンのケースです。アマゾンが、すべてのベンダーからあらゆるデータを取得しています。個々の販売者は、自分の顧客に関する独自のデータをほとんど持っていない可能性があります。 アマゾンがプラットフォーム上の全てのデータにアクセスできるという権力を悪用し、プラットフォーム上の個々の販売者との非競争的な行為をすることがないようにしなければなりません。 Q:データの取得という点では、ソフトバンクの戦略はユニークです。ウーバーなど大量のデータを保有する企業に巨額出資し、大株主になっています。こうした事例は調査の対象になるのでしょうか。 ベステアー氏:今のところは分かりません。データの売買は全て私たちの規則の対象になるわけではありません。しかし、それにはまだ議論していないので、いずれ触れたいと思っています』、さすが慎重な口ぶりだ。
・『ドイツの自動車メーカーも調査  Q:ドイツの自動車メーカーが排ガス浄化の技術競争を阻害しているとして、EU競争法違反が疑われています。現在はどのような手続きの状況にあるのでしょうか。 ベステアー氏:私たちは今、先入観にとらわれることなく自動車メーカーの話を聞いています。私たちが疑いを持っているのは、彼らが排ガス浄化に最適な技術を使用しているかどうかです。 これは非常に興味深い案件です。なぜならばこれと同時に、彼らが安全性の課題に協力すれば、それが車の最高速度を上げるのと同じくらい魅力の向上につながると伝えているからです。誰もがそんな車を欲しがり、乗っていることを高く評価します。我々も便益を生むための協力は惜しみません。 問題と見なすのは、消費者に利益をもたらさないことが分かったときです。このケースはまだ終わっていませんが、順調に進んでいます。いつ終わるかは分かりません。 Q:あなたの主な役割の1つは、欧州をデジタル時代に適合させ、リーダーシップを発揮することです。欧州のデジタル化が遅れている理由は何でしょうか。 ベステアー氏:(滞っている)理由はたくさんありますが、そのいくつかははっきりしています。米国と中国のハイテク企業が大きく成長した理由の1つは、単一市場が欧州よりもうまく機能しているからです。また、中国にはさまざまな方言や地域があるものの、複数の言語には統一性があります。米国も同じで、3億2000万人の消費者へのアクセスは簡単です。 そういった国内市場を持っていると、そこで多くの力を蓄えて、他の市場にも参入できるようになります。これが、単一市場を維持、開拓することの優先度が非常に高い理由です。 ただ、単一市場があるからといって全てが順調だと考えるのは間違いです。単一市場は芝生のようなもの。維持しないと、あらゆる種類の雑草が入り込みます。突然イラクサが出てきたり、ベタベタするものが生えたり、注意していないと木だって生えます。 手入れは週単位でやるべきものです。私たちが見聞きしている範囲では、どこだろうと貿易障壁は嫌がられ、外国のサプライヤーは国内のサプライヤーよりも時間がかかる。そうした類いのゲームです。単一市場の優先度は非常に高いのです。 私たちが知っている単一市場と、その単一市場のデジタル側を融合して、1つの市場と考えられるようにすることも重要です。欧州委員会は、デジタル単一市場の消費者側への対応に専念しています。 欧州のデジタル化を進めるためには3つの鍵があります。1つ目はデジタル単一市場において企業が機能することです。2つ目は、資本金へのアクセスです。多くの企業が資本金のために移転したり、買収されたりしています。企業が銀行だけでなく、投資家にもアクセスできなければなりません。 そして3つ目はスキルです。現在、中小企業の25%が、スキルを持った人材を雇うことが主な懸念であると調査で答えています。2年前の10~15%から増加しました。適切な人材を獲得するうえで非常に厚い壁があります』、「単一市場は芝生のようなもの。維持しないと、あらゆる種類の雑草が入り込みます。突然イラクサが出てきたり、ベタベタするものが生えたり、注意していないと木だって生えます」、との比喩はなかなか味わい深い。
・『欧州も世界をリードできる  欧州は、いわゆるデジタル市民の権利に関してリーダーシップを発揮してきました。だが、それだけではありません。欧州企業のデジタル環境を見ると、世界に勝るソリューションがあります。だから、欧州に世界をリードするテクノロジーがないわけではなく、消費者の立場ではそう頻繁に目にしないということです。私たちは普段、ソーシャルメディアを見て、買い物の機会を狙っているだけなのですから。 しかし、デジタルソリューションが製造業を変え、バリューチェーンによる関係性を変えるといったビジネスは、消費者からは見えません。この分野において、欧州企業が提供できるものはたくさんあります。 Q:米国や中国を見るばかりでなく、欧州はもっと自信を持つ必要があるということでしょうか。 ベステアー氏:その通り。だから、「地政学的な委員会にする」とウルズラ・フォンデアライエン委員長が主張しているのをうれしく思っています。 この言葉はまさに、欧州から世界に提供できるものがたくさんあることを言い表しています。私たちはこの土地を地球上で最も住みよい場所にしてきたし、世界80カ国にとっての貿易相手でもあります。米国や中国とは全く別物です。 米国の貿易相手国は20カ国程度で、私たちよりだいぶ少ないと思います。欧州はこれまでに達成してきたことだけでなく、足元にある暗黙知を使って達成できることについても、もっと自覚すべきです。 もちろん、私たちには伝統的な仕事もあり、それらを避けることはしません。文化的支援のほか、EUの結束を固めることに関して力を入れます。これは、連合である以上、非常に重要なことだと思います。しかし、近代化も必要です。研究や技術革新、若者、国境管理などに、もっと投資しなければなりません。そうでなければ、市民に私たちの働きを分かってもらえません』、EUは「世界80カ国にとっての貿易相手でもあります・・・米国の貿易相手国は20カ国程度で、私たちよりだいぶ少ない」、「貿易相手」としてカウントする際の足切り基準は揃っているのだろうが、「米国の貿易相手国:の少なさは意外だ。

次に、この続き、1月14日付け日経ビジネスオンライン「GAFA解体に反対「1つの頭を切れば2倍になる」欧州委員会のベステアー委員インタビュー(下)」の無料部分を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00067/010900058/
・『欧州委員会のマルグレーテ・ベステアー委員が、GAFA  米グーグル、米アップル、米フェイスブック、米アマゾン・ドット・コム)の責任を追及しているのはEU競争法違反だけではない。課税逃れでもGAFAを追及しており、アップルとアイルランド政府には143億ユーロ(約1兆7400億円)の追徴課税を、ルクセンブルクとアマゾンにも追徴課税を命じている。こうした動きに関連し、欧州各国では巨大テック企業への課税を強化するために、デジタル課税を導入する動きがある。 米国では2020年の大統領選の主な争点として、GAFA解体が浮上している。インタビューの前半、「“GAFAの天敵”の覚悟 『ネット神話を打ち破る』」で見たように、GAFAの責任追及の急先鋒(せんぽう)である欧州委員会のベステアー委員は、解体論をどのように捉えているのか。インタビューの後半では、欧州委が重視する環境政策など広範なテーマについて聞いた。 Q:あなたはEU競争法違反とは別に、課税逃れでもGAFAを追及しています。市場を席巻している国で納税せず、税率の低い国で一括して納税処理をしているのは不公平と判断しています。こうした追徴課税は今後も追及できると思いますか。 マルグレーテ・ベステアー委員(以下、ベステアー氏):できると思います。好むと好まざるとにかかわらず、彼ら(巨大テック企業)は税金を支払わなければなりません。 巨大企業は、資本金や市場へのアクセス、スキルを持った人材の獲得など様々な面で優位に立っています。そんな彼らが社会とビジネスの場に貢献していないとしたら、いかがでしょうか。 デジタル課税について、私はあらゆる手段の中で経済協力開発機構(OECD)の協定がベストだと考えています。欧州委員会のフォンデアライエン委員長が、OECD協定を締結することができない場合には、欧州でも議題として取り上げるという確固たる意思を見せているのを非常にうれしく思っています。 勢いを保つことは非常に重要です。欧州の国々が「先陣を切る」と言い出す気持ちも分かります。欧州で非常に優れたビジネスを展開している企業が、そのビジネスの場としている社会に貢献しない理由の説明がつきません。 Q:19年にデジタル課税をいち早く導入したフランスの判断は正しかったと思いますか。 ベステアー氏:正しかったと思います。 Q:欧州裁判所から19年9月に米スターバックスへの追徴課税の請求に対する差し戻しがありました。どのように捉えていますか。 ベステアー氏:追徴課税の体系に問題があり、差し戻しとなりました。裁判所は内容については何も言わず、「これではスキームと言えない」と言いました。 フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とスターバックスへの追徴課税を巡る裁定では、FCAに対しては100%勝訴し、スターバックスについては引き分けでした。楽観的な見方かもしれませんが、私たちは最も重要な引き分けを勝ち取ったと思います』、「デジタル課税」を「いち早く導入したフランス」、意思決定の遅いEUを待ってられないので、独自に導入したようだ。
・『支配的な立場になれば特殊な責任を負う  Q:米国ではGAFA解体を巡る議論が過熱しています。2020年の大統領選挙ではGAFA解体を主張する政治家の支持率が高まっています。あなたはGAFA解体には賛同していないと聞いていますが、それはなぜでしょうか。 ベステアー氏:欧州の法律に基づけば、最終的にGAFAを解体できるでしょう。しかし、競争法に関わる問題であれば、私たちも力のバランスを考えなければなりません。もたらしている悪影響の大きさに対して厳し過ぎる措置を取ることはできません。 また、私たちはできるだけ(消費活動の)邪魔にならない措置を取る責任があるとはいえ、その方法ははっきりとは分かりません。企業を「解体する」とは、何を意味するのでしょうか。 次に考えるべきは、GAFAを解体したとして、何が得られるのか、という点です。私はギリシャ神話のヒドラのことを思い浮かべています。1つの頭を切り込むと、頭の数が2倍になってしまうという、あれです。解体後に何が起こるかは分かりません。 興味深い論点の1つは、彼らが市場を支配する会社として、どのような責務を担っているか、ということです。10~15年前は、市場を支配するような企業は、物理的な性質を持つものでした。つまり、何かを生み出すためには、何かを投じなければなりませんでした。当時、支配的な企業になるためには、今よりももっと力を尽くさなければなりませんでした。 限界費用(マージナルコスト)は現在でも無視できません。今では、支配的な企業であってもマージナルコストがゼロということがあり得る。従って、近隣の市場に入り込んでいくことの意味が、旧来の物理的でアナログだった大企業とは全く異なるのです。 それがどういう意味なのかを考えてみたり、解釈を見直したりするのは面白いことです。欧州では、成功は非難されるものではありません。ユーザーがあなたのサービスを気に入って、会社が成長するのであれば、問題はありません。 しかし、成功した末に市場に対して支配的な立場になるのであれば、特殊な責任を背負うことになります。私はこの考え方は、とても欧州的だと思います。小さな会社ではできたことが、支配的な巨大企業ではできません。 例えば犬でも、子犬のうちはほえたりジャンプしたり、何でも好き放題にしています。人間は子犬を最終的には拾い上げられると思っているうちは気にしません。ところが、巨大な犬がうなり声を上げ始めると、状況が変わってきます。 私たちも、小規模なベンダーにはあらゆることを許しています。何でも試してみればいいし、成功すれば市場の5%を獲得できるでしょう。しかし、大手がわずかにでも契約を変更し始めると、市場全体に影響が及んでしまいます。そうしたとき、支配的な企業が果たすべき責任があります。 Q:12月に発足した欧州委員会の新体制で、あなたは競争政策の担当トップに加えて、デジタル政策の担当トップにも就きました。世間からのプレッシャーは強くなります。 ベステアー氏:判断が分かれる部分は、裁判所に任せます。私たちは全ての活動で透明性を保っています。新しいポストを打診される以前から多くのことを考えてきました。最も重要だと思うのは、私たちがしたこと、していないことについて、不平や不満を受け付けるということです。大切なことの1つは、「何をしたか」と「何をしていないか」を透明にしておくことです。 私たちが何をして、何をしていないかについて、世間の人々も不満をぶつけることができます。そうした苦情に対して、私たちは公の場で対応しなければなりません。そうすることで、人々が私たちの活動を見て、正しい方向に進んでいるか、確認できるのです。(以下は有料会員限定のため省略)』、「GAFA解体には賛同していない」、「私はギリシャ神話のヒドラのことを思い浮かべています。1つの頭を切り込むと、頭の数が2倍になってしまうという、あれです。解体後に何が起こるかは分かりません」、なかなか面白い比喩だ。「判断が分かれる部分は、裁判所に任せます。私たちは全ての活動で透明性を保っています」、頼もしい存在だ。日本の経産大臣に爪の垢でも煎じて飲ませたい。

第三に、1月16日付け東洋経済オンライン「GAFAらの横暴な戦略を抑えるためにできること スティグリッツ教授が説く市場支配の経済学」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/323899
・『グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフトといった巨大テック企業は、驚くほどの利益を上げている。それなのに、アメリカはかつてないほどの格差に苦しみ、多くの市民はイノベーションの恩恵を受けているようには見えない。中流階級の生活は手の届かないものとなってしまい、所得階層の上位1%と残りの99%との間の溝は広がるばかりだ。 ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・E・スティグリッツは、『スティグリッツ PROGRESSIVE CAPITALISM』の中で、格差が拡大し、富が分配されない要因を詳細に分析している。今回、『スティグリッツ PROGRESSIVE CAPITALISM』から、この問題に対するスティグリッツの考え方を、一部抜粋してお届けする』、興味深そうだ。
・『ピーター・ティールの驚きの主張  アメリカでは、ごく少数のエリートが経済を支配しており、日増しに増える底辺層にはほとんど資源が行き渡っていない。 ある調査によれば、アメリカ人の40パーセントは、子どもが病気になったり車が故障したりして400ドルが必要になったとしても、それを賄う力がないという。 その一方で、アメリカで最も裕福な3人、ジェフ・ベゾス(アマゾン)、ビル・ゲイツ(マイクロソフト)、ウォーレン・バフェット(バークシャー・ハサウェイ)の資産の合計は、アメリカの所得階層の下位半分の資産の合計よりも多い。 これは、最上層にいかに多くの富が集まり、最下層にいかにわずかな富しかないかを示している。 標準的な経済学の教科書を見ると、競争の重要性が強調されており、政治家もよくそのようなことを口にする。 だが、過去40年の間に経済学的な理論や証拠が積み重ねられ、大半の市場ではおおむね自由競争が行われているという主張や、アメリカ経済はある種の「競争モデル」といえるといった考え方は崩れてきた。 かなり前の時代であれば、アメリカ経済では、なるべく低いコストでなるべくよい製品やサービスを消費者に提供しようとする無数の企業が容赦ないイノベーション競争を展開している、といえたかもしれない。 しかし現在のアメリカ経済では、ごく少数の企業が莫大な利益を独占し、何年にもわたり支配的な地位を悠々と維持している。 テクノロジー業界の新たなリーダーたちはもはや、競争を支持する姿勢さえ見せない。短期間トランプ政権の顧問を務めたこともあるシリコンバレーの大企業家の1人、ピーター・ティールはあからさまにこう主張している。「競争は負け犬がするものだ」。 世界一イノベーションが進んでいるように見えるアメリカ経済がこれほどの低成長を記録し、その成長の果実が一般市民にまでほとんど行き渡らないのはどうしてなのか? この疑問に対する答えのかなりの部分を、市場支配力の増大で説明できる。市場支配力がある企業は、その力がなければできないような高い価格を設定するなど、さまざまな方法で消費者を搾取できる。 こうした高価格は、低賃金同様に労働者を苦しめる。市場支配力がなければ、競争の力により超過利潤はゼロになるはずだ。アメリカの格差拡大の根底には、この超過利潤がある。 一部の企業の市場支配力が増大しているのはほぼ間違いない。では、なぜ増大しているのだろう?かつてウォーレン・バフェットは、企業が利益を確実に維持したければ、参入障壁となる堀で周囲を囲い、新規参入企業との競争により利益が損なわれないようにするのがいちばんいいと述べた。 実際アメリカでは、きわめて収益性の高い最新の「イノベーション」として、この堀をつくり、広げる能力、その結果手に入れた市場支配力を利用する能力を高めるイノベーションが生み出されている』、「アメリカでは、きわめて収益性の高い最新の「イノベーション」として、この堀をつくり、広げる能力、その結果手に入れた市場支配力を利用する能力を高めるイノベーションが生み出されている」、こんな小細工までが「イノベーション」とは情けない話だ。
・『マイクロソフトの反競争的行為  例えばマイクロソフトは、新たな形態の参入障壁や、既存の競合企業を追い払うずる賢い方法を生み出す能力に長けていた。20世紀末の時代に、競争を制限しようとしたかつての大企業を手本に、そのような面で先進的なイノベーションを築き上げたのだ。 その好例が、1990年代のインターネットブラウザーをめぐる闘いである。当時はこの分野で、ネットスケープが際立った活躍を見せていた。パソコンのオペレーティングシステム(OS)でほぼ独占状態を築いていたマイクロソフトは、この新興企業に利益が侵害されるのを恐れ、同社を追い払おうと考えた。 だがマイクロソフトが当時開発していたインターネットエクスプローラーには、ネットスケープほどの魅力がなく、その実力だけでネットスケープに勝てる見込みはない。 そこでマイクロソフトは、パソコンのOS市場での市場支配力を利用して、アメリカのほとんどのパソコンにインターネットエクスプローラーを組み込んだ。OSと抱き合わせ、無料で提供したのだ。無料で提供されるブラウザーに対抗できるブラウザーなどあるだろうか? しかし、これだけでは不十分だったため、マイクロソフトはさらに、ネットスケープは相互運用性に問題があるというFUD(恐怖・不安・疑念)戦術を展開した。ネットスケープをインストールすればパソコンの機能が損なわれるおそれがあるとユーザーに警告したのだ。 結局マイクロソフトは、そのほかさまざまな反競争的行為を通じてネットスケープを市場から追い出した。21世紀の初めには、ネットスケープを利用する人はほとんどいなくなっていた。 こうして独占状態を確立すると、その反競争的行為が3つの大陸で規制機関により禁止されても、マイクロソフトの市場支配は続いた。ブラウザー市場に新規参入者(グーグルやファイアフォックスなど)が割り込んでくるのは、その後の話である。 現在でも、市場支配力を乱用するテクノロジー系の大手企業はあとを絶たない。例えば、ヨーロッパの競争監視機関は繰り返し、グーグルが反競争的行為を働いていると指摘している。 インターネット検索において自社のサービスを有利な立場に置いている、携帯電話市場で市場支配力を乱用している、といった内容である。EUはこれらの行為に対し、それぞれ28億ドルと51億ドルという記録的な制裁金を科している。 大手テクノロジー企業は、さまざまな場面で市場支配力が利用できることを心得ている。 例えばアマゾンは、同社が第2の本部を設立すればその街に何千もの雇用が生まれることをちらつかせ、その誘致をアメリカ中の都市に競わせる際に、減税などの優遇措置を求めた。 だが地方政府がそれに応じれば当然、減税のしわ寄せがほかの市民に行くことになる。また、小企業にこのようなまねはできないため、アマゾンは地方の小売企業よりはるかに有利な立場を手にすることになる。 こうした「底辺への競争」〔訳注政府が企業の誘致や産業振興のため、減税や労働基準などの緩和を競うことで、社会福祉や労働環境などが最低水準に向かうこと〕を防ぐ法的な枠組みが必要だ』、「マイクロソフト」が「ネットスケープは相互運用性に問題があるというFUD(恐怖・不安・疑念)戦術を展開した」、汚い手だが、ネットスケープ側は法的手段を何故取れなかったのだろう。「アマゾン」が「底辺への競争」で「地方の小売企業よりはるかに有利な立場を手に」したのは確かに巧みだ、
・『イノベーションに対抗するイノベーション  新たに登場した大手テクノロジー企業は、その市場支配力で、1世紀以上前に存在した独占企業以上に広く深い影響を及ぼすことになるかもしれない。 かつて、スウィフト、スタンダード・オイル、アメリカン・タバコ、アメリカン・シュガー・リファイニング、USスチールといった企業は、その市場支配力を行使して、食料品や鉄鋼、タバコ、砂糖、石油の価格を吊り上げた。 だが、現在の大手テクノロジー企業の問題は、価格だけに限らない。その市場支配力が最も顕著に表れるのが、例えばフェイスブックがそのアルゴリズムを変更するときだ。 このアルゴリズムにより、各ユーザーが目にするもの、目にする順番が決まる。このアルゴリズム次第で、あるメディアをたちまち失墜させることもできる。大衆の心に訴える新たな手段(フェイスブック・ライブなど)を生み出すこともできれば、それを絶つこともできる。 これほどの市場支配力があるため、大手テクノロジー企業に対しては、規制当局の十分な監視が欠かせない。標準的な監視ツールを活用するだけでなく、革新的な方法で市場支配力を拡大・行使する企業にも対抗できる新たなツールを開発する必要もあるだろう。 現在必要なのは、このイノベーションに対抗するイノベーションだ。競争を回復し、よりバランスのとれた経済を生み出すイノベーションである』、「競争を回復し、よりバランスのとれた経済を生み出すイノベーション」が強く求められているのは同感である。
タグ:アマゾン 東洋経済オンライン 日経ビジネスオンライン 底辺への競争 GAFA (その3)(“GAFAの天敵”の覚悟「ネット神話を打ち破る」 欧州委員会のベステアー委員インタビュー(上)、“GAFAの天敵”の覚悟「ネット神話を打ち破る」 欧州委員会のベステアー委員インタビュー(上)、GAFAらの横暴な戦略を抑えるためにできること スティグリッツ教授が説く市場支配の経済学) 「“GAFAの天敵”の覚悟「ネット神話を打ち破る」 欧州委員会のベステアー委員インタビュー(上)」 グーグルが基本ソフト(OS)「アンドロイド」関連のビジネスで自社サービスを不当に優遇したことがEU競争法違反に当たるとし、単独企業としては過去最大の43億4000万ユーロ(約5300億円)の制裁金の支払いを命じました ベステアー委員は、デンマーク教育相、社会自由党党首、経済相などを経て。14年から欧州委員会の委員として競争政策の担当トップになった女性 勝者が事実上のルール決定者に 設計の中にこそ彼らのコア・コンピテンスがあるため、私たちには分からない部分がたくさんあります (GAFAを)恐れている、とは決して言わない 神話では、インターネットこそがユートピアだった。それが私たちの夢でした。しかし今、私たちの手元にあるのは、巨大なモールのようなもの。人々が出会って交流するすてきなカフェはいくつかありますが、基本的には商業化された場所になっています 人々は気がつかないまま常に情報を提供し続けることになります 我々は鉄道料金を手ごろな価格にしたい 鉄道のほうが飛行機よりもはるかに二酸化炭素(CO2)排出量が少ない利点 私たちが市場をどのように定義するかをどうやって外の世界に説明するかに関する通達が、20年前のもの ソフトバンクについてはいずれ触れたい ドイツの自動車メーカーも調査 単一市場は芝生のようなもの。維持しないと、あらゆる種類の雑草が入り込みます。突然イラクサが出てきたり、ベタベタするものが生えたり、注意していないと木だって生えます 欧州も世界をリードできる 「GAFA解体に反対「1つの頭を切れば2倍になる」欧州委員会のベステアー委員インタビュー(下)」 デジタル課税 いち早く導入したフランス 支配的な立場になれば特殊な責任を負う GAFA解体には賛同していない 私はギリシャ神話のヒドラのことを思い浮かべています。1つの頭を切り込むと、頭の数が2倍になってしまうという、あれです。解体後に何が起こるかは分かりません 判断が分かれる部分は、裁判所に任せます。私たちは全ての活動で透明性を保っています 「GAFAらの横暴な戦略を抑えるためにできること スティグリッツ教授が説く市場支配の経済学」 スティグリッツ PROGRESSIVE CAPITALISM ピーター・ティールの驚きの主張 「競争は負け犬がするものだ」 アメリカでは、きわめて収益性の高い最新の「イノベーション」として、この堀をつくり、広げる能力、その結果手に入れた市場支配力を利用する能力を高めるイノベーションが生み出されている マイクロソフトの反競争的行為 ほとんどのパソコンにインターネットエクスプローラーを組み込んだ。OSと抱き合わせ、無料で提供 ネットスケープは相互運用性に問題があるというFUD(恐怖・不安・疑念)戦術を展開 グーグルが反競争的行為 インターネット検索において自社のサービスを有利な立場に置いている、携帯電話市場で市場支配力を乱用し 第2の本部を設立すればその街に何千もの雇用が生まれることをちらつかせ、その誘致をアメリカ中の都市に競わせる際に、減税などの優遇措置を求めた 地方の小売企業よりはるかに有利な立場を手に イノベーションに対抗するイノベーション 現在必要なのは、このイノベーションに対抗するイノベーションだ。競争を回復し、よりバランスのとれた経済を生み出すイノベーションである
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黒川検事長問題(その2)(安倍政権と黒川検事長の「蜜月」はここから始まった カギ握る「松山時代」と「小沢潰し」、検察は安倍首相を逮捕しない…「検察庁法改正」の根本的問題と今後 これは疑獄事件の一幕だ、黒川検事長 「賭けマージャンで辞職」の衝撃度 問われる検察とメディアの「不透明な関係」) [国内政治]

黒川検事長問題については、5月17日に取上げた。今日は、(その2)(安倍政権と黒川検事長の「蜜月」はここから始まった カギ握る「松山時代」と「小沢潰し」、検察は安倍首相を逮捕しない…「検察庁法改正」の根本的問題と今後 これは疑獄事件の一幕だ、黒川検事長 「賭けマージャンで辞職」の衝撃度 問われる検察とメディアの「不透明な関係」)である。

先ずは、5月19日付けAERAdot「安倍政権と黒川検事長の「蜜月」はここから始まった カギ握る「松山時代」と「小沢潰し」〈AERA〉」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/aera/2020051800040.html?page=1
・『安倍政権が強引に定年を延長し、法改正までして検察トップに担ぐ黒川弘務氏。抗議の世論は、積み重なった数々の疑念が一気に噴き出したと言える。AERA 2020年5月25日号の記事を紹介する。 【黒川検事長の定年延長をめぐる主な動き】「官邸の門番」の異名をとる黒川弘務・東京高等検察庁検事長。安倍政権が法解釈を変えてまで要職に就けようとする彼が中央政界と関わるきっかけとなったのは、2010年8月。愛媛の松山地方検察庁に検事正として赴任した時期だった。 検事正は捜査・公判など刑事事件の最終責任者であり、同時に捜査の実務を担う検察官や事務官の人事を掌握する地検のトップだ。また、地元の警察、経済界、メディア、政界とも密接な関係を持ち、地検の対外的な「顔」の役割も果たす。当時の黒川氏を知る地元経済界の一人はこう回想する。 「人当たりが良くて、決して肩で風を切って歩くようなタイプではない。人前で天下国家を熱く語ることもない。何事も表ではなく裏でまとめる物静かで優秀な調整役という印象でした」 松山という新天地で黒川氏が出会った人物が、愛媛1区を地盤とし、第1次安倍政権で官房長官を務めた塩崎恭久衆議院議員だ。黒川氏と、日銀出身で経済通の塩崎氏は意気投合。しかし、同年9月に発覚した大阪地検特捜部の前田恒彦検事による証拠改ざん事件のあおりを受け、黒川氏は就任2カ月で本庁の大臣官房に呼び戻される。 黒川氏は同事件を受けて法務大臣の私的諮問機関として設置された「検察の在り方検討会議」の事務局を担当。有能な「能吏」として実務をとり仕切った。政治との距離が近くなったのは、この大臣官房時代だという。 「大臣官房は法務省の予算や関連法案を通すために、政府との実務交渉を担う重要ポスト。その一方、政治から独立しているという検察の規範を、身をもって示さなくてはならない。そんな二律背反の世界において、黒川氏は得意のロビーイングと調整能力を武器に存在感を示しました」(法務省関係者) 当時の民主党政権において、最も政治と検察との間に緊張関係が走ったのは、小沢一郎元民主党代表の資金管理団体「陸山会」をめぐる事件だった。最終的に裁判では小沢氏本人は無罪で決着。この時、一部メディアで「小沢潰しの黒幕」と名指しされたのが黒川氏だった』、「「検察の在り方検討会議」の事務局を担当。有能な「能吏」として実務をとり仕切った」、やはり余程の「能吏」なのだろう。「小沢潰しの黒幕」、裁判が「無罪で決着」というのも予め織り込み済みだったのだろう。
・『東京高裁で「小沢無罪」が確定した翌月、政権交代が起きる。こうして誕生した第2次安倍政権下で、再び「政治とカネ」をめぐる事件が立て続けに勃発。中でも、安倍首相の側近中の側近である甘利明元経済再生担当大臣に関わる疑惑は、政権の致命傷となる大事件に発展する可能性があった。容疑はあっせん利得処罰法違反。甘利大臣が、千葉県内の建設会社と都市再生機構(UR)の補償交渉を口利きした見返りに報酬を受け取ったとされる疑惑だ。前出の関係者はこう振り返る。 「東京地検特捜部はUR側への強制捜査に乗り出したものの、結果的には甘利氏本人、口利き業者との交渉を担った秘書を含め、全員が不起訴。秘書と業者とのやりとりは全て録音されていて、甘利氏自身が大臣室で現金を受け取ったなどの証言まであった。なぜ、この絵に描いたような有罪事件を、特捜部は起訴できなかったのか。多くの法曹関係者が『できなかったのではなく、意図的にしなかったのでは』と勘ぐりました。そしてこの時、黒川氏が官邸側の防波堤の役割を果たしていたのでは、という疑惑が広まったのです」 「パソコンをドリルで破壊した」と話題になった小渕優子元経済産業大臣の政治資金をめぐる疑惑でも、起訴されたのは秘書だけ。「特捜の権威は地に堕ちた」と非難が殺到した。 検察の信頼を揺るがす事件が続いた直後、法務省内である人事が発表される。16年、黒川氏が、法務省の事務方トップである法務事務次官に就任したのだ。今話題になっている黒川氏の定年延長問題の源流は、この人事にあると前出の法務省関係者は証言する。 「法務事務次官は検事長を経て、検察のトップである検事総長になるには避けては通れないポストなのです。歴代の検事総長も同じ道をたどっています。実は、この人事を法務省にのませたのが首相の意をくんだ菅義偉官房長官、当時の官邸でした」 長期政権をもくろむ安倍政権は、政権との実務交渉を担っていた黒川氏の危機管理能力を非常に高く評価していた。政権は中央官庁の幹部人事を「内閣人事局」を通じて一元管理していたが、法務省人事だけは、官邸が直接介入をすることはなかった。また、検事総長の座を巡っては、法務省内での熾烈なポスト争奪戦もある。だが、黒川氏の人事は別で、事務次官から東京高検検事長、と着実に検事総長への階段を上っていった』、甘利の「絵に描いたような有罪事件」を「特捜部は」・・・「意図的に(起訴)しなかったのでは」、安部首相の窮地を救ったようだ。「黒川氏が・・・法務事務次官に就任」、「この人事を法務省にのませたのが首相の意をくんだ菅義偉官房長官」、大いにありそうな話だ。
・『ただし、それを阻む唯一の壁が「定年」だった。検事総長の定年は65歳。検事長以下の定年は63歳と検察庁法で定められている。20年2月8日で満63歳となる黒川氏は、検事総長のポストに就く前に退官すると、省内の誰もが思っていたと検察関係者は語る。 「ところが誕生日の直前に、黒川氏だけを定年延長すると政府が言いだしたのです。しかも、その根拠が検察庁法ではなく、定年延長が可能な国家公務員法の規定を適用したと言うのですから2度、驚きました。検察官の定年に国家公務員法が適用されないことは、過去の政府の法解釈を見ても明らか。法務省内では自身の出世に関わることなので、この規定を知らない者は誰もいません。政府主導による全くの禁じ手です」 この露骨で前代未聞の人事を正当化するために、安倍政権はコロナ禍の非常事態であるにもかかわらず検察庁法改正案を国会に提出。しかも、国家公務員法改正案と束ねて、法務大臣の出席を必要としない内閣委員会での審議を画策した。これに対し立憲、国民、共産、社民など野党は徹底抗戦の構えだ。 背景にあるのはツイッターで広がった「#検察庁法改正案に抗議します」のうねりだ。多数の著名人を含む数百万人が抗議の意思表示をした。反対の声は与党内にも広がっている。 それでも政権が今国会での成立を急ぐのは、「モリ・カケ・桜」の不祥事に加え、進行中の河井克行前法務大臣への捜査を意識しているからではないか。5月14日、映像配信プロジェクト「Choose Life Project」主催の緊急記者会見で、立憲民主党の安住淳国対委員長は本誌の質問にこう答えた。 「結局、黒川氏を定年延長したこと自体に政治的なうさん臭さが漂っている。そこが一番の問題。野党はコロナ関連法案には協力すると伝えている。しかし、土井たか子さんじゃないけど、ダメなものはダメなんです  15日午後、かつてロッキード事件の捜査に関わった元検事ら十数人が法務省に改正案反対の意見書を提出した。意見書はこう締めくくられている。 「正しいことが正しく行われる国家社会でなくてはならない。(中略)検察の組織を弱体化して、時の政権の意のままに動く組織に改変させようという動きであり、ロッキード世代として看過し得ないものである」』、15日に「元検事総長らが意見書提出 定年延長改正案に反対」、とのニュースには驚かされた。お粗末な事情で辞任したのには、それ以上に驚かされた。

次に、5月21日付け現代ビジネスが掲載した桐蔭横浜大学教授・副学長の河合 幹雄氏による「検察は安倍首相を逮捕しない…「検察庁法改正」の根本的問題と今後 これは疑獄事件の一幕だ」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/72724
・『日本における「検察の役割」  今国会での成立が見送られた検察庁法改正案――その議論において、高等な法律論が繰り広げられている。法律論として、これは全く正しいが、そもそも法曹で、この法案に賛成する者は特別な人である。 むしろ根本は、日本国のなかでの検察の役割の問題である。 福田赳夫、芦田均、田中角栄と、検察に起訴された首相は幾人もいる。その長い歴史のなかに、この疑獄事件を位置付けたほうがわかりやすい。 堀田力が、この法案の「真の狙いは、与党の政治家の不正を追及させないため以外には考えられません」と述べているように、これは疑獄事件の一幕なのである。 現在の検察と自民党との関係が形成されたのは1948年の昭和電工事件である。このとき福田赳夫大蔵主計課長、西尾国務大臣、芦田均元首相(首相辞職後、則逮捕)など64名が検挙され44名が起訴された。 ところが、福田赳夫、芦田均ともに多額の現金を贈賄側から受領したことが事実認定されたにもかかわらず、無罪判決。理由は、賄賂だとの認識がなかった、職務権限がなかったなど、現在の制度では文句なしに有罪になる理由であった。贈賄側のみ有罪。 続く、1954年造船疑獄事件では、自由党幹事長佐藤栄作、池田勇人を逮捕しようとした検察に対して、犬養法務大臣が指揮権発動し検事総長に逮捕をやめるように促し、将来の首相候補たちは逮捕を免れた。贈賄側は厳罰であった。 これらの事件は、GHQがらみの複雑な事件であるが、その部分は脇に置きたい。そのうえで、一言でまとめると、表面上の無罪理由はともかく、政治家を見逃してもらうことと引き換えに現在の特捜部が検察に与えられたと理解されている。 これが、特捜の誕生秘話である』、「政治家を見逃してもらうことと引き換えに現在の特捜部が検察に与えられたと理解されている」、初めて知った。それにしても、「昭和電工事件」、「造船疑獄事件」とも「贈賄側のみ有罪」とは酷い話だ。
・『排除すべき政治家とそうでない政治家  それ以降、検察官は、巨悪と呼ぶかどうかはともかく、大物政治家の贈収賄事件を検挙することを熱望して活動してきた。 法改正して、収賄罪の構成要件(定義)を広げ、金品の受領を証明すれば有罪にできるようにし、法務大臣の指揮権をさけるために自由民主党の派閥争いを活用し、三木派の法務大臣の時に田中角栄を逮捕、宮澤首相、後藤田法務大臣の時に金丸逮捕と工夫した。 この他にも、検察人事と贈収賄事件をめぐる暗闘は継続されてきており、検察と自由民主党の間には、長期にわたる緊張関係があることを理解しておかなければならない。 たとえば、田中角栄の汚職を追究した立花隆は、堀田力が検事総長になれなかったのは、大物政治家を検挙しようとしたからだと解釈している。 ここまでは業界にとっては常識だと思うが、以下は、私の大胆な見方である。逮捕されたりされかかった政治家が、ことごとく首相クラスであることに注目すべきである。 明治維新以降、国会を作って西洋の真似事の法治国家だと言ってはいるが、昔からボスが密かに料亭で話し合うのが日本の意思決定の仕組みである。 そこでお世話になった人々は、お礼しなければおかしい。手ぶらで人に物を頼みに行くのは非常識も甚だしい。金品の受け渡しが政治権力者に対してあったことで逮捕していたのでは、日本の政治家は皆逮捕しなければならない。 そこで、検察側は、良い賄賂と悪い賄賂を区別するというよりも、国益という視点で排除すべき政治家と、そうでない政治家を判断してきた。 私の知る限りでは、最高検察庁の会議室で、○○政治家を検挙するかどうか検事総長以下、東京地検特捜部に連なるラインの幹部で議論して決めていた。 その結果、多くの政治家の逮捕は、見送られてきたと推察している。実際、先ほど名前を挙げた政治家が政治生命を失っていれば、日本の歴史は異なったものになっていたであろう。 1950年代後半以降1980年代はじめまでは、世界の中での日本の発展は見事なもので、多くの政治家検挙を見送ったことは正しかったとの主張には一定の説得力がある。 唯一の例外が、田中角栄逮捕である。このときだけは、田中の大きな貢献と、大きな弊害をどう考えるか特別に吟味したと、私は伝え聞いている。 富士山麓のある宿泊施設で、検察幹部だけでない有識者も加えて、田中逮捕した場合と、見送った場合の、その後の日本社会がどうなるか1週間もかけて議論したと言われている』、「検察側は・・・国益という視点で排除すべき政治家と、そうでない政治家を判断してきた」、なるほど。「田中角栄逮捕」では、「富士山麓のある宿泊施設で」「1週間もかけて議論」、とは初めて知った。
・『検察の目があるから長期政権があった  以上のような歴史を踏まえれば、検察は、政府と距離を取って腐敗監視する役割をすることと引き換えに特捜という特別な権力を与えられている構造が理解できる。 検察は、日本のためにというより、何よりも検察のために必ず腐敗を追及しなければならない。検察庁法改正を強行すれば、特捜による厳しい追及を避けられない。 国民との関係で言えば、検察が見張ってくれているから自民党に投票してきた人が多いのではないか。 自民党がオゴリ過ぎてはいけないということが言われるが、国民サイドから見れば、検察によるチェックがあればこそ長期政権を認めてきたと私には見える。 政治学のほうから、派閥による疑似政権交代ということが、自民党の長期政権の説明に使われるが、検察の存在も大きいように思う。いずれも長期政権が陥りがちな腐敗を防ぐ歯止であった。これを失えばどうなるのか。 結論は簡単である。自民党の長期政権は続かない。たとえ一時的に栄華を誇ったとしてもである。自民党の幹部の誰かが安倍首相を諌めなければならない状況と私には見える』、「検察庁法改正を強行すれば、特捜による厳しい追及を避けられない」、説明不足で理解し難い。「国民サイドから見れば、検察によるチェックがあればこそ長期政権を認めてきたと私には見える」、国民はそこまで「検察」を意識してないのではなかろうか。
・『日本政治の劣化はどこまで進むか  今後の予想を少ししておこう。 検察は、安倍首相は逮捕しない。「桜を見る会」の問題で逮捕は技術的には簡単であるが、これは逆の意味で行き過ぎである。 三権の長である首相逮捕は、日本の行く末を検察が決めることになり、三権分立の精神にも反する。田中角栄の例外はあるが、首相クラスの逮捕には謙抑的である。 他方、検察が忖度してくれると勘違いしている首相周辺の政治家は、次々に起訴していくであろう。検察庁法改正法が成立してもしなくても、ここは同じである。自民党本部へのガサ入れも十分あり得る。それを検察外部の許可なくできるのが特捜である。 最後に、もし仮に、政権側と検察側の力の均衡が破れ、検察が政権に手出しできなくなったらどうなるか述べておこう。 そのさいには、いつか安倍首相が退陣した後に安倍首相逮捕となるであろう。これはしばしば第三世界の国々で観察されるパターンである。日本政治の劣化がそこまでいかないことを希望する』、「三権の長である首相逮捕は、日本の行く末を検察が決めることになり、三権分立の精神にも反する」、というのは法治国家の建前と矛盾することになる。「検察が政権に手出しできなくなったらどうなるか・・・」、については異論はない。

第三に、5月22日付け東洋経済オンラインが掲載した政治ジャーナリストの泉 宏氏による「黒川検事長、「賭けマージャンで辞職」の衝撃度 問われる検察とメディアの「不透明な関係」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/351769
・『「官邸の守護神」とも呼ばれてきた東京高検の黒川弘務検事長が辞職することになった。 緊急事態宣言下の5月1日と13日に、黒川氏が懇意の記者の自宅マンションで賭け麻雀に興じていたことを、5月21日発売の週刊文春が暴露したためだ。安倍晋三首相の意向も踏まえた事実上の更迭となるとみられる。 前代未聞の定年延長によって検察ナンバー2に居座った黒川氏だが、検察首脳としての資格や資質を疑わせるスキャンダルが明らかになり、すみやかに辞職するしか道はなかったとみられる。政府は検察庁法改正案の今国会成立を見送ったばかりで、支持率低下に焦る安倍首相にはさらなる追い打ちとなる』、面白くなってきた。
・『法務・検察は「最悪のタイミングだ」  週刊文春は「黒川弘務検事長は接待賭けマージャン常習犯」との見出しで大々的に報じた。グラビアを含めて9ページにわたる記事は、麻雀を終えて5月1日未明にマンションを出る黒川氏らの写真付きで、「言い逃れができないスクープ」(自民幹部)だった。 他の3人のメンバーは黒川氏と親しい産経新聞記者2人と朝日新聞社員とされ、朝日新聞は「不適切な行為」と謝罪。産経新聞は「不適切な行為があれば、適切に対処する」とコメントした。 この内容は5月20日午前に伝わり、一気に政官界に広がった。野党側は同日の衆院内閣委員会で取り上げ、菅義偉官房長官に黒川氏を辞任させるよう迫った。菅氏は「事実を確認できていないのでコメントは控える」とかわし、記者会見でも「法務省が適切に対応する」と苦しげな表情で繰り返した。 与党内からは「事実なら、辞任は避けられない」との声が相次ぎ、野党は「言語道断」「直ちに辞職させるべきだ」と即時更迭を求めた。当事者である法務・検察当局も「最悪のタイミングだ」と事態の深刻さを認め、21日午後までの事情聴取に対して黒川氏も辞職の意向を示したことから、後任も含めた交代人事を急ぐことになった。 黒川氏は2月に63歳で定年退官予定だったが、政府が過去に例のない解釈変更による閣議決定で定年を半年間延長。政官界には「官邸に近い黒川氏を総長に据える布石だ」との憶測が広がった。賭け麻雀疑惑について、野党は「余人をもって代えがたいどころか、検察トップに据えてはいけない人物」(立憲民主幹部)と安倍首相らの責任を追及している。 東京高検検事長がスキャンダルで辞任するのは、1999年4月に当時の則定衛同検事長(現弁護士)の愛人疑惑を、朝日新聞が1面トップで報じて辞任に追い込まれて以来のことだ。これにより、「黒川検事総長」説は完全に消滅した。) 黒川氏の定年延長や検察庁法改正案に含めた定年延長の際の特例措置などについて、安倍首相は「そもそも法務省が提案したことだ」と繰り返し、黒川氏との関係についても「2人で会ったこともない」と親密な関係を否定してきた。政府与党が目指す秋の臨時国会での法案成立も「(安倍首相は)意欲を示していない」(周辺)とされる。 これまで政府与党内でも「黒川氏をことさら重用してきたのは菅義偉官房長官」(自民幹部)との見方が多かった。このため、首相サイドには「今回の混乱は菅氏の責任」との声もある。2019年秋以来、ことあるごとに政界で取り沙汰されてきた「官邸にすきま風」との憶測を裏付けた格好でもある』、「安倍首相」は「法務省」や「菅義偉官房長官」に責任転嫁したいのだろうが、そうは問屋が卸さないだろう。
・『検察と新聞記者の不透明な関係  東京都の小池百合子知事が不要不急の外出自粛を呼びかけ、安倍首相も人との接触8割減を強く求めていた緊急事態宣言下で、黒川氏と新聞記者が麻雀卓を囲んでいたことで、検察と報道機関の不透明な関係も一気に表面化した。 黒川氏と大手新聞の記者らが未明まで麻雀に興じたうえ、黒川氏は産経新聞の用意したハイヤーで帰宅したとされる。それは「癒着以外の何物でもない」(司法関係者)のは明らかで、部屋に4人が密集して麻雀卓を囲むのは「3密」の典型だ。 さらに、刑法上は賭けが少額でも賭博罪に該当し、国家公務員の倫理規程にも抵触する可能性がある。当事者である新聞社の対応も含め、「新聞報道への国民の信頼を踏みにじる」(有識者)との批判は免れない。司法担当記者の間では「黒川氏の麻雀好きは昔から有名だった」(通信社記者)とされるが、本来の司法とメディアの緊張関係を無視するような双方の姿勢は、「国民の知る権利を奪いかねない事態」(政界関係者)とみえる。 21日朝刊の報道ぶりも「何やら及び腰で、切れ味の悪さが目立った」(有力大手紙OB)のは否定できない。当事者となった朝日新聞は「黒川検事長が辞意」と1面トップで大きく報じ、社会面で「本社社員も参加おわびします」との見出しで反省のコメントを掲載した。 一方、産経新聞は3面に「黒川検事長賭けマージャン報道」とやや地味な報道ぶりで、「取材源秘匿は責務、不適切行為あれば対処」との見出しで編集局長の見解を載せた。読売、毎日はどちらも1面で報じたが、検察とメディアの関係について踏み込んだ社はなかった。 政府は21日に関西圏の緊急事態宣言解除と、首都圏と北海道の宣言継続を決めた。安倍首相はその際のインタビューで、黒川氏の辞職について「法務省の対応を了承した。首相として当然責任がある」と平静を装った。ただ、政界には今回の黒川氏の辞任劇による安倍政権への打撃が「今後の政府のコロナ対応にも悪影響を及ぼす」(自民長老)との不安も広がっている』、「検察」とマスコミの「癒着」は、従来からで、検察からのリークを記事にするのは、ゴーン事件でも目立った。「黒川検事長」への処分が軽い「訓戒」で退職金6700万円は減額されないようだが、今後、批判を浴びるだろう。「賭博罪」での立件の可能性もある。今後の展開が楽しみだ。
タグ:東洋経済オンライン 週刊文春 賭博罪 現代ビジネス 黒川弘務 AERAdot 泉 宏 黒川検事長問題 (その2)(安倍政権と黒川検事長の「蜜月」はここから始まった カギ握る「松山時代」と「小沢潰し」、検察は安倍首相を逮捕しない…「検察庁法改正」の根本的問題と今後 これは疑獄事件の一幕だ、黒川検事長 「賭けマージャンで辞職」の衝撃度 問われる検察とメディアの「不透明な関係」) 「安倍政権と黒川検事長の「蜜月」はここから始まった カギ握る「松山時代」と「小沢潰し」〈AERA〉」 官邸の門番 松山地方検察庁に検事正として赴任 塩崎恭久衆議院議員 大阪地検特捜部の前田恒彦検事による証拠改ざん事件のあおりを受け、黒川氏は就任2カ月で本庁の大臣官房に呼び戻される 「検察の在り方検討会議」の事務局を担当。有能な「能吏」として実務をとり仕切った。政治との距離が近くなったのは、この大臣官房時代 大臣官房は法務省の予算や関連法案を通すために、政府との実務交渉を担う重要ポスト。その一方、政治から独立しているという検察の規範を、身をもって示さなくてはならない。そんな二律背反の世界において、黒川氏は得意のロビーイングと調整能力を武器に存在感を示しました 「小沢潰しの黒幕」と名指しされたのが黒川氏 甘利明元経済再生担当大臣に関わる疑惑 絵に描いたような有罪事件 できなかったのではなく、意図的にしなかったのでは 黒川氏が官邸側の防波堤の役割を果たしていた 小渕優子元経済産業大臣の政治資金をめぐる疑惑 黒川氏が、法務省の事務方トップである法務事務次官に就任 この人事を法務省にのませたのが首相の意をくんだ菅義偉官房長官、当時の官邸でした それを阻む唯一の壁が「定年」 誕生日の直前に、黒川氏だけを定年延長すると政府が言いだした 国家公務員法の規定を適用 検察官の定年に国家公務員法が適用されないことは、過去の政府の法解釈を見ても明らか 安倍政権はコロナ禍の非常事態であるにもかかわらず検察庁法改正案を国会に提出 「#検察庁法改正案に抗議します」のうねり 「モリ・カケ・桜」の不祥事に加え、進行中の河井克行前法務大臣への捜査を意識しているから 河合 幹雄 「検察は安倍首相を逮捕しない…「検察庁法改正」の根本的問題と今後 これは疑獄事件の一幕だ」 日本における「検察の役割」 堀田力が、この法案の「真の狙いは、与党の政治家の不正を追及させないため以外には考えられません」 昭和電工事件 福田赳夫、芦田均ともに多額の現金を贈賄側から受領したことが事実認定されたにもかかわらず、無罪判決 贈賄側のみ有罪 造船疑獄事件 犬養法務大臣が指揮権発動し検事総長に逮捕をやめるように促し、将来の首相候補たちは逮捕を免れた。贈賄側は厳罰 政治家を見逃してもらうことと引き換えに現在の特捜部が検察に与えられたと理解 特捜の誕生秘話 排除すべき政治家とそうでない政治家 国益という視点で排除すべき政治家と、そうでない政治家を判断してきた 田中角栄逮捕 富士山麓のある宿泊施設で 1週間もかけて議論 検察の目があるから長期政権があった 日本政治の劣化はどこまで進むか 三権の長である首相逮捕は、日本の行く末を検察が決めることになり、三権分立の精神にも反する。田中角栄の例外はあるが、首相クラスの逮捕には謙抑的である 「黒川検事長、「賭けマージャンで辞職」の衝撃度 問われる検察とメディアの「不透明な関係」」 東京高検の黒川弘務検事長が辞職 法務・検察は「最悪のタイミングだ」 「黒川弘務検事長は接待賭けマージャン常習犯」 「言い逃れができないスクープ」 3人のメンバーは黒川氏と親しい産経新聞記者2人と朝日新聞社員 野党は「余人をもって代えがたいどころか、検察トップに据えてはいけない人物」(立憲民主幹部)と安倍首相らの責任を追及 黒川氏をことさら重用してきたのは菅義偉官房長官 検察と新聞記者の不透明な関係 癒着以外の何物でもない 麻雀卓を囲むのは「3密」の典型
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