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鉄道(その9)(多すぎる「東京の踏切」 パリの90倍もある理由とは、普通列車と違う?新幹線・特急の運転士は「特別」か 社内で「選抜」ある場合も SLは複数免許が必要、3大高速列車合併 「欧州鉄道網」大変革の予感 ユーロスターとタリス ルート拡大期待高まる) [産業動向]

鉄道については、昨年12月16日に取上げた。今日は、(その9)(多すぎる「東京の踏切」 パリの90倍もある理由とは、普通列車と違う?新幹線・特急の運転士は「特別」か 社内で「選抜」ある場合も SLは複数免許が必要、3大高速列車合併 「欧州鉄道網」大変革の予感 ユーロスターとタリス ルート拡大期待高まる)である。

先ずは、本年2月13日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した鉄道ジャーナリストの枝久保達也氏による「多すぎる「東京の踏切」、パリの90倍もある理由とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/295395
・『横浜市は1月25日、相鉄本線の一部区間を地下化し、10カ所の踏切を減らす計画を明らかにした。東京や大阪などでも大規模な高架化の計画があるが、予定より大幅に遅れるなど難航している。そもそも日本の主要都市における踏切の数は、海外と比べて多い。その理由はどこにあるのか』、興味深そうだ。
・『用地確保の難しさなどで進まぬ線路の立体交差化  横浜市道路局建設課は1月25日、相模鉄道本線の鶴ヶ峰駅付近を中心に西谷~二俣川駅間約2.1キロを地下化し、10カ所の踏切を除却する連続立体交差事業の都市計画決定を行ったと発表した。概算事業費は約784億円で、2022年度上期に事業認可を得て、下期に着工する計画だ。完成は2033年度を予定している。 相鉄ではこれ以前にも、2002年から2018年まで16年もの年月をかけて星川~天王町駅間を中心とする約1.9キロを高架化し、9カ所の踏切を除却している。駅前広場や周辺道路、高架下の整備などの付帯する事業も2021年度に完了した。総事業費は約550億円だった。 線路の立体交差化(高架化または地下化)は、踏切の除却による混雑・渋滞や事故の危険の解消、線路による地域分断の解消だけでなく、鉄道事業者にとっても事故多発ポイントである踏切の除去による運行の安定化向上、また高架下用地の活用が可能になるなど、三方が得をする事業である。 しかし用地の確保が困難な市街地で、運行を確保しながら線路を切り替える立体交差化工事は新線建設以上に困難で莫大な費用を要するため、なかなか進まないのが実情だ。 例えば近年行われた大規模な高架化としては、JR中央線三鷹~立川駅間約13.1キロでは、1995年から2010年まで15年の月日と約1790億円の事業費が費やされた。 また京急本線は2000年から2012年にかけて京急蒲田駅を中心とする平和島~六郷土手間約4.7キロおよび空港線蒲田~大鳥居間約1.3キロを高架化し28もの踏切を除却している。こちらの事業費は1650億円だった。 現在行われている工事の中で事業区間が最長なのは京王線笹塚~仙川駅間約7.2キロの高架化だ。事業費は約1701億円。2013年に事業化し2022年度に完了予定だったが、実際は昨年秋にようやく高架橋が建ち始めたところで、工事は大幅に遅れている。京王は今後の工程について精査した上で、事業期間の変更について関係者と調整したいとしている。 次いで長いのが、阪急京都線・千里線の淡路駅を中心とした約7.1キロの高架化工事だ。こちらは1997年に事業着手したが用地の取得が難航し、実際に着工できたのは2008年のことだった。それでも2017年度末の高架切り換えを予定していたが、2015年になって事業期間の7年延長を決定。付帯する工事も含めて全体が完了するのは、事業着手からちょうど30年後の2027年度ということになる。事業費は約1632億円だ』、「付帯する工事も含めて全体が完了するのは、事業着手からちょうど30年後の2027年度ということになる。事業費は約1632億円だ」、いずれも工事期間は延長されることが多いようだ。
・『立体交差化の財源の多くはガソリン税・自動車重量税  これらはいずれも鉄道を大幅に造り替える工事だが、鉄道事業者が事業費の多くを負担するわけではない。それどころか鉄道側の負担は非常に少ない。「連続立体交差事業」とは、鉄道事業者が自主的に線路を高架化または地下化するのとは異なり、渋滞解消など自動車交通の円滑化のために自治体が事業主体となって行われる「道路整備事業」だからだ。 そのため事業費の概ね90%は自治体が負担し、その半分を国が「ガソリン税・自動車重量税」を財源とする「社会資本整備総合交付金」で充当する。鉄道事業者の負担は、高架下利用と踏切事故解消などの受益分とされる残り10%程度(23区内は15%)にすぎない。 ただ連続立体交差事業による高架化・地下化は鉄道の改良工事ではなく、あくまで地上にあった設備と同程度のものに作り替えるのが原則なので、工事とあわせて設備を増強するとなれば話は別だ。 西武池袋線では1990年から2015年にかけて西武池袋線桜台~大泉学園間の連続立体交差事業が行われたが、高架化にあわせて練馬~石神井公園間が複々線化され、増額分の事業費は西武が全額負担した。 京王線柴崎~西調布駅間および相模原線調布~京王多摩川駅間約3.7キロで2003年から2014年にかけて行われた地下化でも、調布駅での京王線と相模原線の平面交差を解消するために線路も立体交差化したことから、事業費約1150億円のうち約650億円を京王が負担している。 上記のように近年、大規模な連続立体交差事業が次々と完成しているが、都心の踏切はなお多く残っている。国土交通省は昨年3月、1961年の制定以来5年ごとの時限立法として運用してきた踏切道改良促進法を恒久化するなど対策を強化しているが、そもそも諸外国と比較して都市部に踏切が多すぎる日本では、抜本的な解決には気の遠くなるような時間を要することになるだろう』、「渋滞解消など自動車交通の円滑化のために自治体が事業主体となって行われる「道路整備事業」だからだ。 そのため事業費の概ね90%は自治体が負担し、その半分を国が「ガソリン税・自動車重量税」を財源とする「社会資本整備総合交付金」で充当する。鉄道事業者の負担は、高架下利用と踏切事故解消などの受益分とされる残り10%程度(23区内は15%)にすぎない」、「都市部に踏切が多すぎる日本では、抜本的な解決には気の遠くなるような時間を要することになるだろう」、なるほど。
・『東京の踏切数はパリの約90倍  なぜこんなに踏切が多いのか。国土交通省の資料によると2014年度末時点の海外主要都市の踏切数は東京23区が620なのに対して、ニューヨークが48、ベルリンが46、ソウルが16、ロンドンが13、パリ(周辺3県含む)が7と、けたが違う。このうちソウルとパリは23区と面積がほぼ同等である。 日本は路線数が多いからと思うかもしれないが、都市部の鉄道に限ればどこの都市も遜色ないネットワークを有している。日本の都市鉄道は根本的に性質が異なるのである。 敷かれたレールに沿って走る鉄道にとって、線路上の障害物は事故に直結する。1830年に開業した世界初の鉄道と1872年に開業した日本初の鉄道は、どちらも開業初日に線路内に立ち入った人と接触する人身事故が起こっている。 煙を吐き、高速で走行する危険な鉄道は都市の内部には乗り入れさせず、中心部への移動は町はずれに置かれたターミナル駅から馬車鉄道(後に路面電車)などに乗り換えなければならなかった。しかし車体が小さく速度も遅い馬車鉄道(路面電車)では都市の輸送を捌ききれない。そこで危険な鉄道を都心まで安全に乗り入れさせるための工夫が始まった。 その最初の事例が1863年にロンドンで開業した世界初の地下鉄「メトロポリタン鉄道」である。続いて1871年、ニューヨークで高架鉄道が開業。どちらも線路と道路を立体交差させることで市街でも蒸気機関車を運転できるようにしようとしたものだ。 こうした事例は明治初期の日本にも伝わっていた。明治の東京の都市計画を主導した「市区改正委員会」は1888年、ロンドンやニューヨークを念頭に市内の鉄道は道路と立体交差とするとの原則を定めており、現在のJR中央線が新宿~牛込(現在の飯田橋駅付近)駅間の延伸を出願した際も、途中に踏切を設置する計画があったのを立体交差構造に改めさせている。 その後もメインストリートである新橋~上野間(現在の山手線・京浜東北線)や、さらにそれを乗り越える総武線御茶ノ水~両国間などの高架鉄道が建設されていく。日本も明治時代から都市に踏切は作るべきではないと分かっていたのである。それがなぜこのような事態になってしまったのか』、「日本も明治時代から都市に踏切は作るべきではないと分かっていたのである。それがなぜこのような事態になってしまったのか」、なるほど。
・『東京の急拡大で顕在化した踏切問題  問題は東京の急激な拡大だった。当時の行政区域である「東京市」は皇居を中心に半径5キロ(概ね山手線の内側から深川、押上、三ノ輪を結んだエリア)の範囲しかなかったが、1920年の時点で東京府(現在の東京都)の人口のおよそ3分の2にあたる約218万人が住んでいた過密都市であった。 後の23区内に相当する周辺地域(当時における「郊外」)の合計は約118万人で、既に郊外化は進み始めていたが、この流れは関東大震災で決定的なものとなる。1925年の調査では東京市の人口は10万人以上減少して約205万人となる一方、周辺地域は206万人となり一気に逆転した。この原動力となったのが大正時代から昭和初期にかけて相次いで開業した山手線に接続する私鉄だ。 前述のとおり東京市内の線路は道路と立体交差させなくてはならない。そのため私鉄は莫大な資金を要する独力での都心乗り入れはせず、山手線に都心直通を依存する形でその外側に路線を延ばしていった。その過程で多くの踏切が設置されたのである。 現在では「都心」に含まれる品川、渋谷や、高級住宅地を擁する世田谷区、大田区、杉並区も当時は市外であり、当時の交通量を踏まえれば莫大な費用を投じて立体交差化しなくても踏切で事足りた。 しかし郊外の人口はさらに増え続け、市街は発展し、交通量は激増。踏切の問題が顕在化する。東京市は1932年に周辺地域を組み入れ、現在の23区とほぼ同じ広さとなるが、踏切だらけの路線を都市鉄道に組み込めば当然無理が生じてくる。政策決定者は立体交差の必要性を認識し、対策を講じていたにもかかわらず、それを上回るほど短期間に都市圏が拡大してしまったのだ。 これに対して海外主要都市は都心の地下鉄道・高架鉄道が早くに開業し、市域の拡大とともに郊外へと延伸したため踏切が少ない。東京に地下鉄が開業したのは、郊外の私鉄があらかた開業し終わった1927年のことだった。 実は既にこの頃から立体交差化の必要性が認識されており、1940年には内務省と鉄道省が重要道路の立体交差を費用折半で進める協定を結んでいる。1952年には道路法が公布され、鉄道と道路は原則として立体交差にしなければならないと法律に明記された。その後、建設省と運輸省の間で連続立体交差事業の費用負担について協定が結ばれ、幾度の改定を経ながら現在の制度につながっていく。 全国連続立体交差事業促進協議会のウェブサイトによれば、1969年以降に全国で行われた連続立体交差事業の総延長は556.5キロ(これは奇しくも東海道本線東京~新大阪間とほぼ等しい)、除却できた踏切は1657だ。現在事業中の事業の総延長は約105.2キロ、除却できる踏切数は287だから徐々にだがスピードアップしていると言えるだろう。 それでも終わりは全く見えない。連続立体交差事業とは100年前から積み重ねてきた宿題を解くような地道な取り組みなのである』、「私鉄は莫大な資金を要する独力での都心乗り入れはせず、山手線に都心直通を依存する形でその外側に路線を延ばしていった。その過程で多くの踏切が設置された」、「政策決定者は立体交差の必要性を認識し、対策を講じていたにもかかわらず、それを上回るほど短期間に都市圏が拡大してしまった」、「連続立体交差事業とは100年前から積み重ねてきた宿題を解くような地道な取り組みなのである」、後手に回った行政の尻拭いには時間がかかるようだ。

次に、2月24日付け東洋経済オンラインが掲載したフリーライターの小林 拓矢氏による「普通列車と違う?新幹線・特急の運転士は「特別」か 社内で「選抜」ある場合も、SLは複数免許が必要」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/514209
・『新幹線、特急ロマンスカー、SL――。鉄道の運転士に憧れる子どもたちならば、いつかはこういった「かっこいい」列車の運転をしてみたい、という思いを抱くのは当然のことだろう。大人でもかつてそうだった、あるいは今もそう思うという人も少なくないのではないだろうか。 鉄道の運転士になるには、まず鉄道会社に入社して訓練を積み、試験を突破して運転免許を取得しなくてはならない。ただ、列車によってはさらに別の資格や社内での選抜が必要な場合もある。先に挙げたような列車を運転できるようになるにはどうすればいいのだろうか』、鉄道オタクでなくても、興味深そうだ。
・『どんな人が新幹線運転士に?  東京から新大阪、博多などを結ぶ「のぞみ」は鉄道好きな子どもたちの憧れの列車である。きりっとした制服に身を包み、ダイヤ通りの高速運転を正確に行う運転士は、そんな子どもたちからすると「神」のように見えるだろう。 新幹線を運転するには、在来線とは別の「新幹線電気車運転免許」を取得しなくてはならない。では、東海道新幹線を運行するJR東海ではどんな人が新幹線の運転士になれるのか。 JR東海に聞くと、主に駅係員、車掌、運転士など鉄道の運行に直接携わる職種で入社した場合に、駅係員や車掌などの経験を積んだのち、運転士の資格を取得したうえで新幹線の運転士業務に従事することが一般的だという。運転士の仕事ができるような採用区分に応募し、そこで仕事の実績を積んでいく。 現在のJR東海の採用方式ならば、「総合職」もしくは「プロフェッショナル職」の「運輸部門」に応募することになる。総合職は将来的にマネジメントを担う職種、プロフェッショナル職は「主に鉄道部門で高い技術力・専門性を発揮することを期待」される職種、つまり現場の第一線だ。総合職の場合は、ジョブローテーションの一環として新幹線の運転免許を取得する。 実は同社は以前、総合職全員に新幹線の運転免許を取得させていた。つまりオフィスで働くマネジメント系の社員もみな新幹線の運転ができたわけだ。これは何かあったときでも新幹線をきちんと動かせるようにしたいという考えが背景にあったためだが、現在は鉄道の運行に直接携わる職種のみに取得させているという。総合職の運輸部門は主に理系の大卒者が採用される。 JR東海の場合、新幹線の運転士は「選抜」されるという性質とは違うものの、本気でなりたいという人は、入社を志願する際にコースをよく見極める必要がある』、「JR東海の採用方式ならば、「総合職」もしくは「プロフェッショナル職」の「運輸部門」に応募することになる。総合職は将来的にマネジメントを担う職種、プロフェッショナル職は「主に鉄道部門で高い技術力・専門性を発揮することを期待」される職種、つまり現場の第一線だ。総合職の場合は、ジョブローテーションの一環として新幹線の運転免許を取得する」、なるほど。
・『ロマンスカーの運転士は「エース」  子どもたちの憧れの列車としては特急列車も大きな存在だ。さまざまな特急があるが、とくに小田急電鉄のロマンスカーは憧れの存在としてポジションを確立している。 小田急電鉄に話を聞いてみると、ロマンスカーの運転士は選抜度の高い仕事であることがわかった。まず同社にエキスパート職で入社し、駅業務や車掌業務を経て、電車の運転免許である「甲種電気車運転免許」を取得する。その後、3年間は一般車両の運転を経験する。そしてようやく、ロマンスカーの運転士になるための社内試験を受けるのだ。 まずは基礎試験として、筆記試験と実務試験。それに合格したら、任用試験で接遇のロールプレイが試される。不合格になる人もいるという。 ロマンスカーといえば展望席付き車両が有名だ。赤いロマンスカー「GSE」や3月に定期運行から引退する「VSE」の運転室は展望席上の2階にある。そこに乗り込む運転士の姿はカッコいいが、その運転台のタラップをのぼるには厳しい選抜基準を満たさなければならないのだ。 さて、新幹線、私鉄特急と見てきたが、鉄道の運転士の中でもさらになるのが難しそうなものがある。SLの運転士だ。そもそも蒸気機関車は、免許の種類が違うのだ。 「SL大樹」を運行する東武鉄道によると、まずSL運転士になるには、電車の運転士としての免許(甲種電気車運転免許)の保有が前提だ。そのうえで「東武鉄道のSL事業を積極的に牽引したいという高い意欲とともに、運転技能やサービスマインドを総合的に勘案したうえで、日光・鬼怒川エリアにおけるSL事業を担うSL機関士・機関助士としてふさわしい人材を選抜している」という。わかりやすくいうと、「力量」と「品格」が求められるといえようか。大相撲の横綱昇進基準のようである。 そうして選ばれた人たちが機関助士となり、甲種蒸気機関車運転免許を取得して機関士となる。ボイラー技士の免許も必要だ。人数も限られているだけに、「特別な列車」の中でもとくに選抜の度合いが厳しいといえそうだ。 【2022年2月27日20時20分 追記】記事初出時、免許取得についての記述に誤りがあったため上記のように修正しました。 このほかにも、鉄道事業者によっては職種が設定され、そのための選抜が行われるところがある。京急電鉄では、「運転主任」という職級が設けられている。これは「営業車の運転士」の上位職級である。分割・併合作業を含む車庫からホームまでにおける車両の出入庫、運転関連では信号・ポイントの切り替え指示というのがあり、営業運転者への指示や、検査修繕などを考慮した車両運用(車庫への列車格納配置の差配)を行っているという。 京急電鉄によると、「営業車の運転経験を活かし、列車の運転から運用へと、1段上の視座から業務を行う仕事で、鉄道部門業務の中間管理職」という。運転士になったあと、本人の選抜や適性を見て配属しているという』、「小田急電鉄に話を聞いてみると、ロマンスカーの運転士は選抜度の高い仕事であることがわかった。まず同社にエキスパート職で入社し、駅業務や車掌業務を経て、電車の運転免許である「甲種電気車運転免許」を取得する。その後、3年間は一般車両の運転を経験する。そしてようやく、ロマンスカーの運転士になるための社内試験を受けるのだ。 まずは基礎試験として、筆記試験と実務試験。それに合格したら、任用試験で接遇のロールプレイが試される」、選抜は予想以上に厳しそうだ。「「SL大樹」を運行する東武鉄道によると、まずSL運転士になるには、電車の運転士としての免許(甲種電気車運転免許)の保有が前提だ。そのうえで「東武鉄道のSL事業を積極的に牽引したいという高い意欲とともに、運転技能やサービスマインドを総合的に勘案したうえで、日光・鬼怒川エリアにおけるSL事業を担うSL機関士・機関助士としてふさわしい人材を選抜している」という」、「SL機関士・機関助士」の「選抜」はさらに厳しそうだ。
・『「特別手当」はあるのか  では、こういった「特別な列車」の運転士は特別な手当などはあるのだろうか。JR東海では運転士や車掌に出る手当はあるものの、新幹線運転士だけの特別な手当はない。小田急でも、ロマンスカー運転の特別手当はない。 ただ、東武のSL運転士の場合、SL(とそれを補佐するディーゼル機関車)には電車の運転と違う技能が求められるため、SLおよびDLの操縦にかかわる社員には特別な手当を支給しているという。京急の「運転主任」は、職能に応じた給与設定があるとのことだ。 「特別な列車」の運転士だからといって手当などの面で特別扱いはされないようだが、そういった面とは違うやりがいがあるからこそ子どもたちの憧れとなり、そして実際に目指す人も多いのだろう』、「特別手当」の有無に拘らず、厳しい「選抜」をくぐり抜けたことで、「子どもたちの憧れ」の対象になるのだろう。

第三に、6月1日付け東洋経済オンラインが掲載した在英ジャーナリストのさかい もとみ氏による「3大高速列車合併、「欧州鉄道網」大変革の予感 ユーロスターとタリス、ルート拡大期待高まる」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/593461
・『コロナ禍による移動需要の激減により、一時は瀕死の状態まで陥っていたイギリスと欧州大陸を結ぶ国際列車「ユーロスター」。欧州連合(EU)の政策執行機関である欧州委員会の競争当局は3月末、同社とフランス・ベルギー・オランダ・ドイツを結ぶ国際高速列車「タリス」の合併について承認し、このほど両社を束ねる持株会社が設立された。 2つの高速列車の合併プロジェクトは、欧州がコロナ禍に襲われる半年前の2019年9月、“グリーンスピード”という名称のもと、検討が開始された。しかし、コロナ禍での移動制限がもたらした利用者激減による多額の損失を受け、2年間にわたって保留となっていた。コロナ禍の落ち着きを受けて欧州各国間の往来が再び増え始めた2021年秋、両社は合併取得承認に向けた動きを再開。そしてこの春、欧州委による合併承認を得ることができた。 合併により、イギリスでは、「ロンドンから直通列車で行ける欧州大陸の都市が一気に増えるかも」と大きな期待が寄せられている』、「2つの高速列車の合併」により「「ロンドンから直通列車で行ける欧州大陸の都市が一気に増える」との「期待」も頷ける。
・『「レッド」と「ブルー」の2種類に  両社はユーロスターグループという持株会社を設立、ユーロスターとタリスの運行会社はその傘下となった。現在は従来通りの列車名で運行しているが、列車のブランド名はいずれタリスの名が消え、すべてユーロスターに統合される。 ただ、車両の色は現状を維持し、英国へ乗り入れているほうを「ユーロスター・ブルー」、現在のタリスを「ユーロスター・レッド」とすると報じられている。 合併10年目となる2032年の年間利用者数は3000万人を目標とする。業界では「コロナ後のV字回復を期待する“ショック療法”として提示された野心的すぎる数字ではないか?」との声もあるが、目標達成に向けて新たなルートの拡大を目指す一方、車両や乗務員数の最適化、ポイントプログラムの統合、ITや予約システムの統合などによるシナジー効果の創出を目指す。 コロナ禍の2年間、ユーロスターは最も影響を受けた乗り物のひとつだった。2019年には年間1110万人だった利用者数は、2021年には160万人まで減少。存続に向け、同年5月には株主および銀行から2億5000万ポンド(約390億円)の短期借入金の注入を受け、なんとか破綻の危機をしのいだ。 2021年秋以降は、イギリスやフランス政府によるコロナ感染対策の緩和で、観光需要が一気に回復した。筆者も在住するイギリスからフランスやドイツなどを訪れる機会があったが、すでに出入国時のコロナ検査などは省略されており、それが旅行業界の回復に一役買っている。検査の有無は旅行の日程を大きく左右する。フランスで日本への帰国前にPCR検査を受ける同行者と検査施設を訪れたが、旅行の最中に検査のためにまるまる午前中が潰れるというのは大変な手間だ。 ユーロスターの分析によると、ビジネス客の戻りは「観光客ほどには順調ではない」という。オンラインによるビデオ会議の普及はもとより、ブレグジットの完全実施でロンドン金融街シティーから欧州連合(EU)各国籍の金融マンの多くが職場を離れ、欧州大陸との往復需要が減少したことなどが重なったためだ。 タリスとの合併による「新生ユーロスター」の誕生後、「その効果が現れるのは、2〜3年先」(フランスの経済アナリスト)と予想される。共通ブランドで今後、さまざまなキャンペーンや企画運賃の導入などを図り、輸送量の増加やシェア再拡大を目指すことになる』、「タリスとの合併による「新生ユーロスター」の誕生後、「その効果が現れるのは、2〜3年先」」、意外に時間がかかるようだ。
・『英国で期待高まる「ドイツ直通」  2019年時点の“グリーンスピード”計画は、合併後のロンドン発着ユーロスターのネットワークとして、現在の3カ国(フランス・ベルギー・オランダ)に加え、ドイツへ乗り入れるとしていた。タリスのネットワークはもともとフランス・オランダ・ベルギー・ドイツに広がっており、合併後にユーロスターがドイツへ、というのは妥当な選択だろう。 同計画発表時の資料では、ロンドン発ドイツ行きはベルギーのブリュッセルからリエージュを経てドイツ領に入り、ケルンを目指すという形だ。さらにその先、デュッセルドルフ、デュイスブルクを経てドルトムントまでのルートも描かれている。 イギリス―ドイツ間の直通に関しては、ドイツ鉄道(DB)がロンドン乗り入れを目指した時期もあったが、結局さまざまな障害で実現しなかった経緯もある。本格的に英独直通列車が運行されるとなれば、両国の鉄道界にとって大きなインパクトとなるだろう。 ユーロスターグループの広報担当は、仏紙コネクシオン(Connexion)に対し「新規区間や運行開始時期を公表するのは時期尚早」としながらも、イギリスでは大衆紙デイリーメールをはじめとする複数メディアが「ロンドンからドイツ行き国際直通列車実現か?」と報じている。そのほか、旅行関係の雑誌各社もこぞって新生ユーロスターのルート拡大に期待を寄せる記事を発表しており、関心の高さがうかがえる。 一方、ビジネス路線として需要が極めて高い、ロンドン―フランクフルト間は前述の合併後のネットワーク計画には入っていない。タリスがフランクフルトに乗り入れていないからだ。 両都市間は飛行機だと2時間ほどだが、空港と市内中心部の行き来や出入国手続きの時間、そして時差(欧州大陸はイギリス+1時間)を考えると、ロンドンから朝一番のフライトに乗っても、フランクフルトの用務先にはランチタイムに間に合うかどうかギリギリだ。一方、ロンドンからユーロスター・ブルーでケルンへ行き、そこからDBのICEへの接続がしっかりできれば、列車でもランチタイムごろのフランクフルト到着が可能となりそうだ。 航空機にはない、列車ならではのメリットもある。車内で同行者とミーティングができ、携帯電話での通話やメールチェックなどの「穴」が出る心配もないからだ。都心発着の列車利用なら、航空機といい勝負になるかもしれない。 一般の人々の間に環境意識が大きく広まったことも新生ユーロスターにとっては追い風だ。「列車では所要時間がかかりすぎる」と思われる目的地へも列車利用で行こうと考える人が増加している。例えば、欧州投資銀行(EIB)の調査によると、欧州居住者の6割が「域内短距離フライトの廃止を支持し、大多数が昼行・夜行列車のネットワーク増強を支持」しているという』、「一般の人々の間に環境意識が大きく広まったことも新生ユーロスターにとっては追い風だ。「列車では所要時間がかかりすぎる」と思われる目的地へも列車利用で行こうと考える人が増加している。例えば、欧州投資銀行(EIB)の調査によると、欧州居住者の6割が「域内短距離フライトの廃止を支持し、大多数が昼行・夜行列車のネットワーク増強を支持」しているという」、飛び恥なる言葉が生まれるほど、環境意識は高まっている。「欧州居住者の6割が「域内短距離フライトの廃止を支持し、大多数が昼行・夜行列車のネットワーク増強を支持」、確かに「新生ユーロスターにとっては追い風だ」。
・『スペイン国鉄も英国進出目指す?  欧州の鉄道ネットワーク拡大に関しては5月末、DBとフランス国鉄(SNCF)がパリ―ベルリン間の直通高速列車を2023年中にも運行開始すると報じられた。「片道7時間かかっても列車利用のマーケットがある」と新規路線開設に踏み切るのは、今や列車の所要時間をさほど気にしない人が増えていることの現れと言えようか。 また、英仏海峡トンネルの運営会社であるゲットリンク(Getlink)は同区間のシャトルサービスを検討するスタートアップ企業に利用してもらうため、SNCFから中古TGV車両10編成を購入する意向を示している。実現すれば、年間で200万〜300万人の利用客は見込めるとされ、これは新生ユーロスターの大きな競争相手となるだろう。さらに、スペイン国鉄(Renfe)が、英国向け国際列車への参入に向け、パリに事務所を開設したという動きも伝わってきている。 コロナで大きく傷ついた欧州圏内の国際間移動だが、それ以前から、国際列車網は格安航空会社(LCC)の路線拡大でずいぶんと荒らされてしまっていた。経済の回復とともに、イギリスを取り巻く欧州の国際鉄道はどのような形で再興していくのだろうか』、「欧州の国際鉄道」、が「どのような形で再興していく」か、大いに注目される。
タグ:鉄道 (その9)(多すぎる「東京の踏切」 パリの90倍もある理由とは、普通列車と違う?新幹線・特急の運転士は「特別」か 社内で「選抜」ある場合も SLは複数免許が必要、3大高速列車合併 「欧州鉄道網」大変革の予感 ユーロスターとタリス ルート拡大期待高まる) ダイヤモンド・オンライン 枝久保達也氏による「多すぎる「東京の踏切」、パリの90倍もある理由とは」 「付帯する工事も含めて全体が完了するのは、事業着手からちょうど30年後の2027年度ということになる。事業費は約1632億円だ」、いずれも工事期間は延長されることが多いようだ。 「渋滞解消など自動車交通の円滑化のために自治体が事業主体となって行われる「道路整備事業」だからだ。 そのため事業費の概ね90%は自治体が負担し、その半分を国が「ガソリン税・自動車重量税」を財源とする「社会資本整備総合交付金」で充当する。鉄道事業者の負担は、高架下利用と踏切事故解消などの受益分とされる残り10%程度(23区内は15%)にすぎない」、「都市部に踏切が多すぎる日本では、抜本的な解決には気の遠くなるような時間を要することになるだろう」、なるほど。 「日本も明治時代から都市に踏切は作るべきではないと分かっていたのである。それがなぜこのような事態になってしまったのか」、なるほど。 「私鉄は莫大な資金を要する独力での都心乗り入れはせず、山手線に都心直通を依存する形でその外側に路線を延ばしていった。その過程で多くの踏切が設置された」、「政策決定者は立体交差の必要性を認識し、対策を講じていたにもかかわらず、それを上回るほど短期間に都市圏が拡大してしまった」、「連続立体交差事業とは100年前から積み重ねてきた宿題を解くような地道な取り組みなのである」、後手に回った行政の尻拭いには時間がかかるようだ。 東洋経済オンライン 小林 拓矢氏による「普通列車と違う?新幹線・特急の運転士は「特別」か 社内で「選抜」ある場合も、SLは複数免許が必要」 鉄道オタクでなくても、興味深そうだ。 「JR東海の採用方式ならば、「総合職」もしくは「プロフェッショナル職」の「運輸部門」に応募することになる。総合職は将来的にマネジメントを担う職種、プロフェッショナル職は「主に鉄道部門で高い技術力・専門性を発揮することを期待」される職種、つまり現場の第一線だ。総合職の場合は、ジョブローテーションの一環として新幹線の運転免許を取得する」、なるほど。 「小田急電鉄に話を聞いてみると、ロマンスカーの運転士は選抜度の高い仕事であることがわかった。まず同社にエキスパート職で入社し、駅業務や車掌業務を経て、電車の運転免許である「甲種電気車運転免許」を取得する。その後、3年間は一般車両の運転を経験する。そしてようやく、ロマンスカーの運転士になるための社内試験を受けるのだ。 まずは基礎試験として、筆記試験と実務試験。それに合格したら、任用試験で接遇のロールプレイが試される」、選抜は予想以上に厳しそうだ。「「SL大樹」を運行する東武鉄道によると、まずSL運転士になる 「特別手当」の有無に拘らず、厳しい「選抜」をくぐり抜けたことで、「子どもたちの憧れ」の対象になるのだろう さかい もとみ氏による「3大高速列車合併、「欧州鉄道網」大変革の予感 ユーロスターとタリス、ルート拡大期待高まる」 「2つの高速列車の合併」により「「ロンドンから直通列車で行ける欧州大陸の都市が一気に増える」との「期待」も頷ける。 「タリスとの合併による「新生ユーロスター」の誕生後、「その効果が現れるのは、2〜3年先」」、意外に時間がかかるようだ。 「一般の人々の間に環境意識が大きく広まったことも新生ユーロスターにとっては追い風だ。「列車では所要時間がかかりすぎる」と思われる目的地へも列車利用で行こうと考える人が増加している。例えば、欧州投資銀行(EIB)の調査によると、欧州居住者の6割が「域内短距離フライトの廃止を支持し、大多数が昼行・夜行列車のネットワーク増強を支持」しているという」、飛び恥なる言葉が生まれるほど、環境意識は高まっている。「欧州居住者の6割が「域内短距離フライトの廃止を支持し、大多数が昼行・夜行列車のネットワーク増強を支持」、確か 「欧州の国際鉄道」、が「どのような形で再興していく」か、大いに注目される。
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