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韓国(尹錫悦大統領)(その2)(韓国が「先進国になった」「日本を超えた」と騒ぐウラで いまひっそり「ヤバすぎる危機」が進行していた…!、“先進国”韓国が「経済崩壊」のカウントダウンで…! もはや「日本超えできない」“危ないシナリオ”が浮上してきた…!、韓国サムスンに引き抜かれた日本人研究者の証言、給料1.7倍で「天国のような環境」 ヘッドハンティングされて韓国で暮らした10年(前編)、韓国サムスンで10年働いた研究者は見た、すぐクビになる日本人と生き残る日本人の差 ヘッドハンティングされて韓国で暮らした1 [世界情勢]

韓国(尹錫悦大統領)については、7月2日に取上げた。今日は、(その2)(韓国が「先進国になった」「日本を超えた」と騒ぐウラで いまひっそり「ヤバすぎる危機」が進行していた…!、“先進国”韓国が「経済崩壊」のカウントダウンで…! もはや「日本超えできない」“危ないシナリオ”が浮上してきた…!、韓国サムスンに引き抜かれた日本人研究者の証言、給料1.7倍で「天国のような環境」 ヘッドハンティングされて韓国で暮らした10年(前編)、韓国サムスンで10年働いた研究者は見た、すぐクビになる日本人と生き残る日本人の差 ヘッドハンティングされて韓国で暮らした10年(後編)(一部)、韓国経済に黄信号  中国が「お得意さま」からライバルに急変した理由)である。

先ずは、9月3日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したライターの田中 美蘭氏による「韓国が「先進国になった」「日本を超えた」と騒ぐウラで、いまひっそり「ヤバすぎる危機」が進行していた…!」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/98856?imp=0
・『「先進国」になった韓国でひっそり進む「危機」  韓国では、少子高齢化がとどまるところを知らない。 そんな韓国の高齢者たちは一見するとアクティブで、スマホといった最新機器も積極的に使いこなしたり、パワフルで、感心させられることが多い。 しかし、その反面で、社会が急速に変化し、世代間などで生じる対立や分断も深まる中、高齢者たちを取り巻く環境は実に厳しいものとなっている。 韓国といえば、「家族との付き合いが深い」というイメージがある。 このため、家族の集まりや旧盆、旧正月といった伝統行事は妻の立場である女性たちにとってこの上にない精神的な負担と苦痛であることが少なくない。 さらに、義両親があれこれと息子、娘夫婦の孫の育児や教育事情など家庭全般に口出しをして介入してくることで、摩擦が生じることはよくある話である。 だからこそ、ママ友同士で集まれば自然と義実家の愚痴話に花が咲くのである。 一方、中高年の女性たちが集まりながら自分の子どもや嫁、孫の自慢話をしてマウンティングを繰り広げるというのは、これもまた“韓国あるある”な話であり、ドラマなどでもよく描かれる。 これだけを聞けば、韓国の女性たちの老後は子どもや孫の存在が「生きる糧」になっているような印象を受けるが、必ずしもそうではないようである』、「子どもや孫の存在が「生きる糧」に「必ずしもそうではないようである」、どういうことなのだろう。
・『広がる「絶望」  先日、朝鮮日報で韓国のジェンダー問題について特集した記事の中で、60代以上の女性で「メンタルの不調」と訴えるケースが急増していて、その原因の一つに「孫育て」が含まれているというのだ。 日本と同様に共働き家庭が多い韓国では、夫または妻の両親の助けを借りながら育児をする。その理由が「若い頃は義実家に縛られ、老後では孫に縛られ、いつまでも自分のためではなく家族のために生きなくてはならない」ということに虚しさを感じ、自分の人生を悲観するというものである。 5年ほど前に大手建設会社KCC建設のCMが大きな反響を呼んだ。高齢の女性が孫とおぼしき子どもを背負いながら、台所で食事の準備をするシーンが描かれたCMでは、その女性の顔に疲れの色と憂いの表情が浮かんで見えるが、これが「孫育て」をする韓国の高齢女性のありのままの姿といえる。 一人当たりGDPで日本を間もなく抜き去り、「先進国になった」「日本を超えた」という韓国だが、そのウラではこのような社会の歪が起きているわけだ。 日本でも孫の面倒を見ることに疲れやストレスを感じている高齢者は多いという話を聞くが、韓国も日本も「世のすべての祖父母が孫が可愛い、ずっと一緒にいたい」と思っているというのは幻想であり、現実は心に葛藤を抱えている。ここへきて韓国ではウォン高、物価高、金利高の「三重苦」に悩まされている韓国経済だが、新たに高齢者問題が「四重苦」として注目されてきた。 後編記事『“先進国”韓国が「経済崩壊」のカウントダウンで…! もはや「日本超えできない」“危ないシナリオ”が浮上してきた…!』では、そんな韓国経済でいま起きている“危ない現実”についてレポートしよう』、「韓国も日本も「世のすべての祖父母が孫が可愛い、ずっと一緒にいたい」と思っているというのは幻想であり、現実は心に葛藤を抱えている」、その通りなのだろう。

次に、この続きを、9月3日付けダイヤモンド・オンライン「“先進国”韓国が「経済崩壊」のカウントダウンで…! もはや「日本超えできない」“危ないシナリオ”が浮上してきた…!」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/98856?imp=0
・『ウォン高、物価高、金利高の「三重苦」に苦しむ韓国で、いま新たに高齢者問題が浮上してきている。 最新の調査では、60代以上の女性で「メンタルの不調」と訴えるケースが急増していて、その原因の一つが「孫育て」だということがわかり、いま話題になっている。よもや家族を支える高齢者が“離脱”すれば、韓国で新たな家族問題に発達しかねない。 そこへ追い打ちをかけるように、韓国では高齢者をめぐって新たな問題も浮上してきた。「先進国」になったと騒ぐ韓国にあって、いま危ない危機が進行し始めているわけだ。その最前線をレポートしよう』、「韓国では高齢者をめぐって新たな問題も浮上」、どんなことなのだろう。
・『高齢女性たちの「深刻すぎる貧困問題」  韓国では、高齢世代の女性たちの「貧困問題」も深刻化している。 映画『ミナリ』でアカデミー賞助演女優賞を獲得したユン・ヨジョンが主演を務めた『バッカスレディ』は、生活のために売春を行う高齢女性の姿を赤裸々に描いた作品である。 「バッカス」は韓国を代表する栄養ドリンク剤の名前であり、ソウルなど都市部の高齢者が集まる場所に現れ、「バッカス」を中高年相手に売りながら、売春を行うというというものである。 一見すると都市伝説のような話であるが、現実であるからこそ、映画にもなり、社会問題としても注目されるのである』、「高齢世代の女性たちの「貧困問題」も深刻化」、「売春」を行うこともあるとは驚かされた。
・『年金、金利、不動産、高齢労働…  最近では高齢女性に限らず、高齢男性がタクシー運転手や配達員、警備員などをして働く姿も目にする。 かつての韓国では50代で仕事をリタイヤするケースがほとんどであった。 それでも、今とは比較にならないほど、物価は安く、銀行の金利は高かった時代でもあり、小さくとも不動産を所有し、それを貸し出すことで得た収入の利息でも受けて蓄えを増やす人も多かった。 そして、老後の生活や介護は子ども、特に長男が無条件に見ることが当然のこととされていた。 つまり、「年金や蓄えがなくとも子どもがいれば何も心配はない」ということだったのだ。 しかし、現在ではどうであろうか――。子どもたちも自分の生活を支えていくだけで精一杯であるうえに、とても高齢の親の家計や介護までを担うことは困難である』、「子どもたちも自分の生活を支えていくだけで精一杯であるうえに、とても高齢の親の家計や介護までを担うことは困難である」、韓国だけでなく、日本でも同様だ。
・『500万世帯に迫る「独居高齢者」  年金制度も開始されて30年ほどで、公務員や教員、軍人といった一部の職業を除けばあとは国民年金であり、その支給額にはやはり大きな差がある。 このため、現在、60代以上の高齢者は少しでの生活の足しを得るために、働かざるを得ない状況なのである。 また、独居高齢者の数は2020年に161万8000世帯で、年々増加傾向にあり、30年後の2050年頃には467万1000世帯にまで増えると見られている。 この背景には、核家族化が進んだことや、日本でいうところの「熟年離婚」の増加が挙げられる。 女性が結婚生活に不満や理不尽さを感じても、昔であれば「離婚はマイナスイメージ」というのが強い上に、女性が一人で生きていくことはほぼ不可能であり、じっと耐えるしかできなかった。 それが、今では迷わず離婚を選ぶことも普通になった』、日本でも「独居高齢者」は2015年で5.7百万人、「熟年離婚」も増えているのも同様だ。
・『完全に崩壊した「人生のモデルケース」  とはいえ、公的年金や高齢者向けの職業斡旋も充実しているとは言い難い。 まして、家族や親族に頼ることが当たり前であった韓国で、いまや子どもに頼ることもできず、高齢者たちにとっては非常に厳しい時代であるといえる。 韓国のみならず、中国でも長きにわたる「一人っ子政策」の弊害が少子化を加速させ、貧困の高齢者問題も深刻化している。 日本も韓国や中国と比較すれば、まだマシと言えるかもしれない。 が、それでも、筆者と同世代の40代は「就職氷河期世代」と言われ、この世代が高齢者の仲間入りをする20~30年後の生活や日本の状況は厳しいと予測されている。 韓国も日本も親世代が歩んで来た「結婚し、子どもを生み育て定年まで勤め上げれば老後は安泰」というモデルケースが完全に崩壊したのだ』、「人生のモデルケース」が「完全に崩壊した」のは「韓国も日本」も同様だ。
・『「日本を超えた」などと言っている場合ではない  いま、高齢者の生活苦や孤独死といった問題はさらに増えていくことであろう。 特に中年世代はこれからの年の重ね方や老後の過ごし方、さらには「終活」についてもシュミレーションをしておく必要があるかもしれない。 この問題を放置しておけば、韓国経済が足元から崩れていくリスクすら秘めている。このままでは「日本を越えた」などと言っていられないほどの危機に直面する危険性すら出てきたというわけだ。 さらに連載記事『韓国が「先進国になった」「日本を超えた」と騒ぐウラで、いまひっそり「ヤバすぎる危機」が進行していた…!』では、そんな韓国で広がる高齢者たちの新たな問題についてレポートしよう』、「韓国」も「日本を超えた」のであれば、「日本」を比較材料にするのではなく、絶対的な指標を重視するべきだろう。

第三に、9月6日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したビジネスライターの佐久間 俊氏による「韓国サムスンに引き抜かれた日本人研究者の証言、給料1.7倍で「天国のような環境」 ヘッドハンティングされて韓国で暮らした10年(前編)」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/308940
・『技術者の「日本離れ」が進んでいる。国内大手企業に勤めるエンジニアや研究者が海外メーカーに引き抜かれ、技術が海外に流出するのだ。長く勤めて安定した大企業正社員の立場を捨てて、海外に出る技術者は、何を魅力に感じて転職するのか?2010年にサムスンに引き抜かれ、10年間勤めたある日本人研究者が、どのように&どんな条件でサムスンに誘われたのか、勤めてみて分かったサムスンと日本の一般企業の違い、韓国社会のどこが良かったかなどについて語る。 閉鎖的な島国、日本の技術の海外流出に歯止めが効かない。 2021年のノーベル物理学賞を受賞した、日本出身で米国籍の気象学者、眞鍋淑郎氏の言葉は記憶に新しい。真鍋氏は「日本人は調和を重んじる。イエスがイエスを意味せず、常に相手を傷つけないよう、周りがどう考えるかを気にする。アメリカでは、他人にどう思われるかを気にせず好きなことができる。私は私のしたいことをしたい」また「私は日本に戻りたくない(略)なぜなら調和の中で生きる能力がないから」と話している。 眞鍋氏でなくても、現在の日本で研究者が自由に研究に打ち込むことは難しくなって来ているのは事実だ。日本でそんな違和感を抱え、私は韓国という新天地を選んだ』、「真鍋氏は「日本人は調和を重んじる。イエスがイエスを意味せず、常に相手を傷つけないよう、周りがどう考えるかを気にする。アメリカでは、他人にどう思われるかを気にせず好きなことができる。私は私のしたいことをしたい」また「私は日本に戻りたくない(略)なぜなら調和の中で生きる能力がないから」と話している」、「日本」でのやり難さを的確に指摘している。
・『今の給与の1.7倍払うので、サムスンで素材開発をしてほしい  2010年当時、私は国内大手材料メーカーで研究者として勤務していた。 朝から雨が降っていたある日、総務課経由で私宛に外線が入っていると連絡があった。いぶかしがりながら回送されてきた受話器を取ると、それは怪しいヘッドハンターからの電話だった。 当時は日本社会全体としてエンジニアの転職(引き抜き)が活発であった時期であり、私も以前から同じような勧誘は何度か受けたことがあったので、特に驚きはしなかった。私はいわゆる古いタイプの会社員であることを自覚している。定年まで勤め上げるのが当たり前、転職には全く興味がなかったし、むしろ転職していく元同僚を憐れんでいた方ですらあった。「怖いもの見たさで、一度くらい話を聞いてみるのもいいか。酒の席で話のネタになるかな……」などと思い、その人と自宅近所の駅の喫茶店で会うことにした。 初回面談の内容はこんな話だった。「サムスンで素材開発を行ってほしい」「あなたの特許出願内容を見て声をかけた」「来て頂けるなら給与は現行の1.5倍出す」と言う。それまで勤めていた会社で心身ともに少し疲れていたタイミングだったこともあり、提示された年棒と残りの会社員人生の期間をあざとく計算しつつ、再度面談するということで一旦別れた。 2回目の面談では、給与は現行の1.7倍に上がり、より具体的な職務内容が提示された。しかしこれまでのキャリアや人脈を捨て、日本を出て韓国にある研究所へ移籍することになるのだ。身軽な単身者とは言え、そうは簡単に決められない』、「身軽な単身者とは言え、そうは簡単に決められない」、慎重なようだ。
・『ヘッドハンターは、心が弱っているときにやってくる  これから海外に行って何年務めることができるか不安があったし、体力的、精神的な限界もあるだろう。急な病気・事故などに遭うこともあるかもしれない。将来貰えるであろう日本での退職金や厚生年金が激減することも容易に計算できた。また、サムスンを退職した後で日本の会社で再就職できるのかという不安もあった。それに、一部には「韓国企業に引き抜かれて転職した人は裏切り者だ」という極端な考え方の人がいることも知っている。 そんな後ろ向きなことばかり色々と考えていると、数日後には3度目の面談を要請された。今度は高級料亭で、しかも先方の役員クラスがわざわざ韓国から出張してきて説得するというではないか。 私は当時40代になったばかり。国内の会社ではふるいに掛けられ、これ以上役職としては上がれそうもなかった。しかし逆に言えば、日本企業に勤め続ければ法律に守られている。あくせく必死に働かずとも、適当に優先度の低い実験をしながら定年まで勤め上げれば、安定した生活を送ることもできる。実際、そういう人間は研究所には多くいた。 そう思っていたはずなのだが、面談を進めていくうちに気持ちが変わってきた。そんなぼんやりとした人生を送るよりも、研究者として世界的大企業に求められて働くほうが、断然刺激的な気がしてきたのだ。3回目の面談の最後には、「これから自分は世界で戦うんだ」という、一種の使命感のようなものまで感じるようになっていたのをよく覚えている。 ヘッドハンティングは、新興宗教の勧誘に近いものがあるのかもしれない。心が弱っているときにやってきて、それまでの自分の考え方をがらりと変えてしまう。 そうこうしているうち、気が付くとソウル行きの航空券と高級ホテルが用意されていた。週末を利用した韓国ツアーだ。韓国に着くと、設備見学や担当役員、上長予定の人との面談が待っていた。細かい契約を文書化して締結し、初めて電話を受けてから3カ月後には、人生初の退職届を出していた』、「3度目の面談」、「先方の役員クラスがわざわざ韓国から出張してきて説得」、「最後には、「これから自分は世界で戦うんだ」という、一種の使命感のようなものまで感じるようになっていた」、さすが説得が巧みだ。
・『サムスンの素晴らしい福利厚生  こうして私は韓国に引っ越し、サムスンで働くことになった。ここからは少し社内外の環境について述べたいと思う。 サムスンは韓国を代表する大企業なだけのことはあり、基本的にはほぼあらゆる面で日本の会社と同等以上のサービスが用意されている。韓国人社員がつくるサムスンの企業文化は、日本の会社にとてもよく似ている部分もあるが、日本では見かけない、ユニークな面もいろいろあった。 例えば福利厚生。私の前職の会社との比較しかできないが、福利厚生で利用できるカフェテリアポイントは日本企業と同じようにいろいろと利用でき、契約している宿泊施設や遊興施設も数多い。また、通販にも利用できるので、家庭を持っている社員には好評のようだ。 また、特筆すべきは年1回の健康診断である。サムスン系列の病院で行うのだが、まるでホテルのように豪華だ。検診には最新鋭の装置を使い、診断後2週間以内には結果が送付されてくる。サムスンの健康診断はどんな小さな異変も見逃さないと、韓国内でも定評があるらしい。特に胃腸の内視鏡検査はすばらしく、睡眠薬で眠っている間に全て完了する。これは是非日本でも普及してほしいと切に思う。 また、社内食堂ではバラエティーに富んだ食事が1日3回無償で提供される。サムスンには労働組合がないのだが(※類似の働きをする組織はあるが、組合ではない)、他にも、誕生日や結婚記念日には会社からプレゼントがもらえるほか、運動会や文化イベント、夕食会など飽きが来ないようにイベントが目白押しだ(※コロナ前)。 面白いのは、文在寅政権になってから週40時間労働制が推進されたおかげで、勤務時間が明らかに短くなったことだ。それまでは土曜日にも当たり前のように出勤していたのだがその習慣もなくなり、無意味な残業が激減したように思う。サムスンのトップはいろいろな罪で頻繁に収監されていたが、会社は国のお手本になろうと努力しているように見えた。 しかしこれだけ恵まれた環境でも、起業や進学といった理由でサムスンを去る韓国人社員は多かった。彼らの上昇志向には感服する』、「これだけ恵まれた環境でも、起業や進学といった理由でサムスンを去る韓国人社員は多かった。彼らの上昇志向には感服する」、「上昇志向」の強さは韓国の強味だ。
・『やりすぎ感のある社内情報セキュリティー  もう一つサムスンの社内環境で印象深かったのは、セキュリティーの厳しさだ。仕事に支障をきたすほど厳格に情報セキュリティーを推進していた。 日本からサムスンの会社、工場、研究所などへ出張で来たことがある人なら、建物に着いてから入場までの時間の長さに辟易(へきえき)したことがあるだろう。社内で使用する全ての紙にはメタルファイバーが埋め込まれており、カバンに隠していても出入口の金属探知機を通過することができないのは有名な話だ。 USBメモリやSDカードなどを持っていても、社内のパソコンでは認識されないので誰も使わない。それどころか、個人用に支給されるパソコンの内部ハードディスクにはデータを記録することができず、特別なクラウドに保管するようになっている。パソコンを記録媒体として使わないのだ。 また、個人所有のスマホには特別なアプリをインストールされ、社内ではカメラが起動できないようになっている。さすがに会社も全社員に強制することはできないので、アプリのインストールを拒否することも可能だ。ただ、そうなると、カメラのレンズ部分に特殊なシールを貼られるまで入場できない。なお余談になるが、社員は皆、スマホはGalaxyを持っているイメージだったが、実際には「かっこいいから」という理由でiPhoneを持っている率も結構高かった』、「社内情報セキュリティー」の厳しさはさすがだ。
・『韓国社会&暮らしのいいところ  ミセモンジ(微細粉塵)で晴れ間が少なく、曇りの日が多い韓国。韓国暮らしについても少し紹介しておこう。 韓国では、新しいテクノロジーを使いこなしている部分と伝統を守っている部分がうまい具合に混じり合い、日本人の目にはユニークな社会を形成しているように見える。みんながスマホまたはパソコンを持っているという前提で社会インフラができており、日本のように弱者に合わせた“優しい社会”ではない。高齢者の方はどう考えているか分からないが、スマホが使える私の年齢だと、とても合理的に見える。 例えば、外国人登録証と銀行口座を紐づけして登録しているので、役所の手続きなどはほとんどオンラインで完結する。最近の例では、新型コロナウィルス関連の生活支援金がこういったシステムのおかげで当日入金されたのは有名だ。日本でこうしたことが進まないのは個人情報を守るべきだという声があるからだろうが、韓国にいると、個人情報の心配より利便性だと感じるし、日本のマイナンバーカードは帰国したらすぐに登録しなければと強く思った。 また、法的規制が少ないのか規制されるのが遅いのか分からないが、韓国ではEVやドローン、電動キックボード等の最新のインフラは、話題になるとすぐに街中で見かけるようになる。日本に比べると規制がゆるく、新しい技術の恩恵をすぐに享受できるので(後に規制が入る場合もあると思うが)社会がダイナミックに見える。もしかすると、日本以外の国はみんなそうで、韓国が特別なわけではないのかもしれないが……。 また、交差点にパラソル(信号待ちの人に日陰を作るため)を設置したり、散歩道や公園が整備されたりと、生活に密着したところに分かりやすく税金が投入されているので、納税者としての満足度も高い。このあたりは税金の使途が分かりにくい日本に比べて、とてもうらやましい点だ。) 住環境に関しては、韓国は日本よりも大変かもしれない。 サムスンに勤める日本人には、単身者でも60~80平方メートル前後、2~3LDKのアパートが貸与される。私の住んでいたアパートは、築年数や駅からの距離、室内設備などから考えると、日本人の感覚としては2000万~3000万円程度の物件にしか見えなかったが、ポストに投函されるチラシを見ると7000万円超のマンションらしい。韓国の不動産バブルが垣間見える瞬間である。 物価面ではよく言われていることだが、光熱費、交通インフラなどが安く、食料品は高い。全体としては日本よりも高いかもしれない。コロナ禍の前には、若い韓国人社員がよく日本出張のついでにiPadを買いたいなどと話していた。確かに、たまに帰国すると日本は安いなと感じてしまう(特に飲食関係)。 ここまで紹介したことはすべて、私が在籍した10年間で急激に変化したことだ。この国の進歩の速さはおそろしい。 後編では、サムスンで働いていたときに感じていたこと、働きやすさや人間関係などについて詳しく紹介する。 >>後編「韓国サムスンで10年働いた研究者は見た、すぐクビになる日本人と生き残る日本人の差」に続く』、「韓国ではEVやドローン、電動キックボード等の最新のインフラは、話題になるとすぐに街中で見かけるようになる。日本に比べると規制がゆるく、新しい技術の恩恵をすぐに享受できるので(後に規制が入る場合もあると思うが)社会がダイナミックに見える」、「生活に密着したところに分かりやすく税金が投入されているので、納税者としての満足度も高い」、「日本」も学ぶべきだ。

第四に、この続きを9月6日ダイヤモンド・オンライン「韓国サムスンで10年働いた研究者は見た、すぐクビになる日本人と生き残る日本人の差 ヘッドハンティングされて韓国で暮らした10年(後編)」の無料部分を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/308941
・『日本の大手材料系メーカーに約20年勤めていたが、研究者としてもっと活躍したいという気持ちから、サムスンのヘッドハンティングに応じた筆者。2010年、40代前半で韓国へ渡り、サムスンで働き始めた。韓国ナンバーワン企業であるサムスンでの仕事は、社内の文化も、専門職へのサポート体制も、外国人社員の国籍構成も、日本企業とは大きく異なっていた。筆者同様に引き抜かれた日本人社員の中には、1年程度で去って行った者も多く、さらには文在寅政権下で極端な反日キャンペーンが張られていた時期でもあった。内側から見たサムスンの強みや独自性、そして外国人社員がサムスンで生き抜くために気を付けるべき人間関係について、生々しく語る』、興味深そうだ。 
・『研究者にとっては天国のような環境だが、技術以外のものも求められる  2010年、サムスンに引き抜かれて始まった韓国暮らし。前編ではヘッドハンティングの経緯と韓国で暮らして感じたことを述べたが、後編は実際にサムスンで働いてみて気がついたこと、社内事情などについて紹介していこうと思う。 入社して2年を過ぎた辺りからは生活に慣れ、3年を過ぎると日本へ一時帰国するのが面倒になってきた。単身者だったということもあるが、サムスンのフルサポート付きでの海外生活は、研究だけに集中すれば良いので研究者としてはまさに天国のような環境なのである。言葉の壁がある分、わずらわしい人間関係が無いのも良かった。サムスン社内において、日本人の敵は日本人であることが多いのだ。 昔はスペシャルな技術ノウハウを持った人であれば、数年在籍するだけで大金を稼げたそうだが、今は日本人が韓国企業に勤める場合、韓国人と一緒に働くための技術面以外の能力も必要になってきている。ヘッドハンティングされる人は、基本的な技術、ノウハウは当然みな持っているものだが、課題に対して韓国人社員が納得できるような技術指導ができなかったり、社内でのリーダーシップが取れなかったりする日本人は多い。 社内でのリーダーシップを獲得するためには、日本人社員は韓国人社員から嫌われたり、なめられたりしてはいけない。普段は会議も通訳を介して行うため、直接的な表現はマイルドにされて伝わり、言い争いになるようなことは滅多にない。しかし、韓国人と日本人は情緒的に驚くほど似ており、怒りや自信の無さなど気持ちのブレはすぐに読みとられてしまう。さらに日本語を理解している社員もとても多いので、そういう人にはもちろん伝わってしまうし、また、社内では日本人同士の会話も気を使わなければいけない。 結局は、仕事に対しても、人間関係についても、真摯に取り組まなければならないということだ。海外人材とはいえ、そういう態度でなければ厳しい状況に追い込まれてしまうのは、どこの世界でも同じであろう。 今後サムスンに入社する人へちょっとしたアドバイスをするとすれば、「日本のマンガ」の知識を習得しておくべきだと思う。韓国人は『ONE PIECE』(ワンピース)、『スラムダンク』、『ドラゴンボール』で育った人が多い。この3大マンガの大まかなストーリーくらいは把握している方が良い。かめはめ波の一発でも打てれば、人気者間違いなしだ。(これ以下は有料)』、「サムスンのフルサポート付きでの海外生活は、研究だけに集中すれば良いので研究者としてはまさに天国のような環境なのである。言葉の壁がある分、わずらわしい人間関係が無いのも良かった」。うらやましい。「サムスン社内において、日本人の敵は日本人であることが多いのだ」、これはよくあることだ。「人間関係についても、真摯に取り組まなければならないということだ。海外人材とはいえ、そういう態度でなければ厳しい状況に追い込まれてしまうのは、どこの世界でも同じであろう」、当然の厳しさだ。

第五に、9月6日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏による「韓国経済に黄信号、中国が「お得意さま」からライバルに急変した理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/309190
・『8月、韓国の製造業PMI(購買担当者景況感指数)は事業環境の改善と悪化の境目である50を下回り49.8に下落した。一つの要因として、中国が韓国の“お得意さま”から、競争上の脅威に変わり始めたことがある。中国は韓国から輸入してきた半導体や自動車などの国産化を急いでいて、これまでのように韓国企業が中国の需要を取り込んで成長を目指すことは難しくなっている。韓国経済が直面する環境の急変は、わが国にとっても他人事ではないはずだ』、「これまでのように韓国企業が中国の需要を取り込んで成長を目指すことは難しくなっている」、これは大変だ。
・『中国が、韓国の“お得意さま”からライバルに変化  足元で、韓国経済の減速懸念が急速に高まっている。背景として、中国経済の低迷に加えて、これまで“お得意さま”だった中国企業との関係が変化していることがある。中国企業の急成長によって、中国が韓国にとっての“お得意さま”からライバルに変化しつつある。そうした変化は、過去、わが国と韓国・台湾企業との間にも見られた構造変化だ。 また、ゼロコロナ政策に固執する共産政党の経済施策や、歴史的な渇水によって経済活動が低迷する中国経済は景気の回復が遅れている。その結果、韓国は最大の輸出先である中国の需要を、これまでのようなペースで獲得することが難しくなっている。 最近では、電気自動車(EV)、車載用バッテリーなどの分野で、中国企業が急速に価格競争力を強めている。サムスン電子が健闘しているスマートフォンに関しても、中国企業がシェアを奪取する可能性は高い。それに加えて、ウクライナ危機などによって世界経済の脱グローバル化が加速し、天然ガスなどの供給体制が不安定化したことも韓国にマイナスだ。 1990年代の初頭以降、韓国はグローバル化を追い風にして加工貿易体制を強化した。それが中国の需要取り込みに決定的な役割を果たした。今後の経済成長をどう実現するか、韓国は正念場を迎えている』、「中国企業の急成長によって、中国が韓国にとっての“お得意さま”からライバルに変化しつつある。そうした変化は、過去、わが国と韓国・台湾企業との間にも見られた構造変化だ」、この構造的変化は「韓国」にとっては打撃だ。
・『中国と韓国の経済的関係は構造的に変化している  8月、韓国の製造業PMI(購買担当者景況感指数)は事業環境の改善と悪化の境目である50を下回り49.8に下落した。2020年9月以来の50割れだ。ウクライナ危機が発生して以降、世界経済の中でもわが国を含むアジア地域の景況感は相対的に底堅さを保ってきたが、韓国の景況感は急速に弱含み始めた。 一つの要因として、中国が韓国のお得意さまから、競争上の脅威に変わり始めたことがある。産業振興策である「中国製造2025」が推進されたことは大きい。半導体や車載用などのバッテリー、量子コンピューティング、人工知能(AI)などの最先端分野に対して共産党政権は産業補助金を積み増した。 また、共産党政権は国有・国営など主要企業に土地も供与した。このことで中国企業の固定費負担は主要先進国の企業と比較して大きく低下した。その後、米中対立などによって中国の最先端の半導体製造技術の確立は遅れたが、車載用のバッテリー分野やスマートフォン、有機ELパネルなどのディスプレー分野で中国企業の成長は加速している。韓国企業が高シェアを維持した、あるいは事業運営体制を強化している分野で中国企業の台頭が鮮明だ。 中国と韓国の経済的関係は構造的に変化している。1960年代以降、韓国ではサムスングループなど財閥の事業運営体制が強化された。それと同時に、当時の韓国政府はわが国などからの技術移転を加速させた。こうして、鉄鋼、家電、自動車など工業化が進んだ。 97年に発生したアジア通貨危機の後、韓国は資材を輸入し、国内でテレビなどの大量生産を行い、ウォン安を追い風にして中国などへの輸出競争力を高めた。近年は、メモリ半導体などの供給体制が急速に強化され、経済面で韓国の対中依存度は高まった。 しかし、中国は韓国から輸入してきた半導体や自動車などの国産化を急いでいる。これまでのように韓国の企業が中国の需要を取り込んで成長を目指すことは難しくなっている。今後、韓国企業はより熾烈(しれつ)な中国企業との競争に対応しなければならなくなるだろう』、「中国は韓国から輸入してきた半導体や自動車などの国産化を急いでいる。これまでのように韓国の企業が中国の需要を取り込んで成長を目指すことは難しくなっている。今後、韓国企業はより熾烈(しれつ)な中国企業との競争に対応しなければならなくなるだろう」、同様なことは、日本と「韓国」の間でも発生した発展段階の必然だ。
・『韓国経済を直撃する中国経済「想定外」の失速  目下、韓国経済は中国経済の失速に直面している。中国経済は成長の限界を迎えつつあり、背景にはゼロコロナ政策に固執する共産党政権の経済運営など複合的な要因がある。一部の経済専門家からは、「中国が経済規模などの面で米国を上回るのは難しくなった」との見方さえ出始めている。 無視できないファクターの一つは不動産バブル崩壊だ。20年8月に共産党政権が導入した「3つのレッドライン」によって、想定外に中国経済は悪化した。不動産市況の悪化は止まらず、債務問題が深刻化。不動産デベロッパーなどの民間企業のデフォルト懸念が追加的に高まっている。 加えて、家計や地方政府も含めて経済全体で不良債権の増加懸念が上昇している。そのため共産党政権は、人民元安加速のリスクを冒してまで追加利下げを実施しなければならない状況に追い込まれた。 また、ゼロコロナ政策の徹底によって中国国内の人流・物流はかなり不安定だ。最悪期を脱して生産活動は徐々に持ち直しているものの、個人消費の戻りはかなり鈍い。 3月下旬から5月、習近平政権は有無を言わさぬ姿勢で、最大の経済都市である上海でゼロコロナ政策を徹底した。その結果、物流が途絶えて食料不足が発生するなど、市民生活はかなりの苦境に陥った。これは人民にあまりに強いショックを与えたと考えられる。「生活と安全を自力で守らなければならない」と先行きに危機感を強める人が増え、節約志向が強まっているようだ。 さらに、脱グローバル化の負の影響も増大している。ウクライナ危機の発生以降、ロシアから欧州などに対する天然ガスなどの供給が減少した。供給体制は不安定化し、各国で物価は高騰している。中国では主食の豚肉価格が高騰し、消費者物価が徐々に上昇していることが消費者心理をさらに冷え込ませている。 その結果、22年4~6月期の中国の実質GDP成長率は、前期比マイナス2.6%だった。日米と同様に前期比年率換算で見ると、中国の実質GDPは前期から10%減少(失速)した。それが韓国の景況感を悪化させたのだ』、「中国経済「想定外」の失速」は、確かに「韓国経済を直撃する」不運な材料だ。
・『厳しさ増す韓国経済を取り巻く環境  今後、韓国が経済成長を目指すことは追加的に難しくなる恐れが高まっている。90年代以降、世界経済のグローバル化が加速し、国際分業体制が強化された。これにより世界全体で緩やかに経済が成長すると同時に物価が上昇しづらい環境が出現した。 それを追い風に韓国の財閥系大手企業は積極的に設備投資を行って大量生産を行い、世界の需要変化に機敏に対応して輸出を増やす経済体制を急速に整備した。その象徴として、サムスン電子などはデジタル家電のユニット組み立て型の生産体制を強化しつつ、半導体の受託製造(ファウンドリー)事業を強化して最先端分野の需要をより効率的に獲得した。ちなみに、この裏返しとしてわが国の家電、半導体、液晶パネルなどの競争力が失われた。 中国共産党政権は半導体やバッテリー、EV、脱炭素関連の技術やAIなどの開発、生産体制をさらに強力にサポートするだろう。それによって、韓国企業から中国勢へ、シェアや技術の移転が加速するだろう。 加えて、米国では北米生産のEVに補助金が支給されるなど、物価上昇圧力に対応しつつ雇用を支えるために、各国は自国の事情を優先せざるを得ない。他方、韓国統計庁によると21年の合計特殊出生率は前年比0.03ポイント低下の0.81だった。国内需要の縮小均衡は避けられず、景気を支えてきた対中輸出の伸び悩みがさらに鮮明化すれば、韓国全体で不満、閉塞感が一段と上昇するだろう。 韓国経済が直面する環境の急速な変化は、わが国にとって他人事ではない。少子高齢化などによって、わが国の需要は伸び悩んでいる。一方で、天然ガス価格などの上昇は経済に逆風だ。 世界経済の先行き懸念が高まる中で、わが国政府は超高純度の半導体部材や精密な工作機械、脱炭素などに寄与する新しい素材など、企業が世界的な強みを維持している分野での新しい取り組みをより積極的にサポートしなければならない。それが本邦企業の成長を支え、経済と社会の中長期的な安定に無視できない影響を与えるだろう』、「国内需要の縮小均衡は避けられず、景気を支えてきた対中輸出の伸び悩みがさらに鮮明化すれば、韓国全体で不満、閉塞感が一段と上昇するだろう」、「わが国政府は超高純度の半導体部材や精密な工作機械、脱炭素などに寄与する新しい素材など、企業が世界的な強みを維持している分野での新しい取り組みをより積極的にサポートしなければならない。それが本邦企業の成長を支え、経済と社会の中長期的な安定に無視できない影響を与えるだろう」、同感である。
タグ:「国内需要の縮小均衡は避けられず、景気を支えてきた対中輸出の伸び悩みがさらに鮮明化すれば、韓国全体で不満、閉塞感が一段と上昇するだろう」、「わが国政府は超高純度の半導体部材や精密な工作機械、脱炭素などに寄与する新しい素材など、企業が世界的な強みを維持している分野での新しい取り組みをより積極的にサポートしなければならない。それが本邦企業の成長を支え、経済と社会の中長期的な安定に無視できない影響を与えるだろう」、同感である。 「中国経済「想定外」の失速」は、確かに「韓国経済を直撃する」不運な材料だ。 「中国は韓国から輸入してきた半導体や自動車などの国産化を急いでいる。これまでのように韓国の企業が中国の需要を取り込んで成長を目指すことは難しくなっている。今後、韓国企業はより熾烈(しれつ)な中国企業との競争に対応しなければならなくなるだろう」、同様なことは、日本と「韓国」の間でも発生した発展段階の必然だ。 「中国企業の急成長によって、中国が韓国にとっての“お得意さま”からライバルに変化しつつある。そうした変化は、過去、わが国と韓国・台湾企業との間にも見られた構造変化だ」、この構造的変化は「韓国」にとっては打撃だ。 「これまでのように韓国企業が中国の需要を取り込んで成長を目指すことは難しくなっている」、これは大変だ。 「真鍋氏は「日本人は調和を重んじる。イエスがイエスを意味せず、常に相手を傷つけないよう、周りがどう考えるかを気にする。アメリカでは、他人にどう思われるかを気にせず好きなことができる。私は私のしたいことをしたい」また「私は日本に戻りたくない(略)なぜなら調和の中で生きる能力がないから」と話している」、「日本」でのやり難さを的確に指摘している。 佐久間 俊氏による「韓国サムスンに引き抜かれた日本人研究者の証言、給料1.7倍で「天国のような環境」 ヘッドハンティングされて韓国で暮らした10年(前編)」 「韓国」も「日本を超えた」のであれば、「日本」を比較材料にするのではなく、絶対的な指標を重視するべきだろう。 「人生のモデルケース」が「完全に崩壊した」のは「韓国も日本」も同様だ。 日本でも「独居高齢者」は2015年で5.7百万人、「熟年離婚」も増えているのも同様だ。 「子どもたちも自分の生活を支えていくだけで精一杯であるうえに、とても高齢の親の家計や介護までを担うことは困難である」、韓国だけでなく、日本でも同様だ。 「高齢世代の女性たちの「貧困問題」も深刻化」、「売春」を行うこともあるとは驚かされた。 「韓国では高齢者をめぐって新たな問題も浮上」、どんなことなのだろう。 ダイヤモンド・オンライン「“先進国”韓国が「経済崩壊」のカウントダウンで…! もはや「日本超えできない」“危ないシナリオ”が浮上してきた…!」 「韓国も日本も「世のすべての祖父母が孫が可愛い、ずっと一緒にいたい」と思っているというのは幻想であり、現実は心に葛藤を抱えている」、その通りなのだろう。 「子どもや孫の存在が「生きる糧」に「必ずしもそうではないようである」、どういうことなのだろう。 田中 美蘭氏による「韓国が「先進国になった」「日本を超えた」と騒ぐウラで、いまひっそり「ヤバすぎる危機」が進行していた…!」 ダイヤモンド・オンライン ダイヤモンド・オンライン「韓国サムスンで10年働いた研究者は見た、すぐクビになる日本人と生き残る日本人の差 ヘッドハンティングされて韓国で暮らした10年(後編)」 「韓国ではEVやドローン、電動キックボード等の最新のインフラは、話題になるとすぐに街中で見かけるようになる。日本に比べると規制がゆるく、新しい技術の恩恵をすぐに享受できるので(後に規制が入る場合もあると思うが)社会がダイナミックに見える」、「生活に密着したところに分かりやすく税金が投入されているので、納税者としての満足度も高い」、「日本」も学ぶべきだ。 「社内情報セキュリティー」の厳しさはさすがだ。 真壁昭夫氏による「韓国経済に黄信号、中国が「お得意さま」からライバルに急変した理由」 「サムスンのフルサポート付きでの海外生活は、研究だけに集中すれば良いので研究者としてはまさに天国のような環境なのである。言葉の壁がある分、わずらわしい人間関係が無いのも良かった」。うらやましい。「サムスン社内において、日本人の敵は日本人であることが多いのだ」、これはよくあることだ。「人間関係についても、真摯に取り組まなければならないということだ。海外人材とはいえ、そういう態度でなければ厳しい状況に追い込まれてしまうのは、どこの世界でも同じであろう」、当然の厳しさだ。 「これだけ恵まれた環境でも、起業や進学といった理由でサムスンを去る韓国人社員は多かった。彼らの上昇志向には感服する」、「上昇志向」の強さは韓国の強味だ。 「3度目の面談」、「先方の役員クラスがわざわざ韓国から出張してきて説得」、「最後には、「これから自分は世界で戦うんだ」という、一種の使命感のようなものまで感じるようになっていた」、さすが説得が巧みだ。 「身軽な単身者とは言え、そうは簡単に決められない」、慎重なようだ。 (その2)(韓国が「先進国になった」「日本を超えた」と騒ぐウラで いまひっそり「ヤバすぎる危機」が進行していた…!、“先進国”韓国が「経済崩壊」のカウントダウンで…! もはや「日本超えできない」“危ないシナリオ”が浮上してきた…!、韓国サムスンに引き抜かれた日本人研究者の証言、給料1.7倍で「天国のような環境」 ヘッドハンティングされて韓国で暮らした10年(前編)、韓国サムスンで10年働いた研究者は見た、すぐクビになる日本人と生き残る日本人の差 ヘッドハンティングされて韓国で暮らした1 韓国(尹錫悦大統領)
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相次ぐ警察の重大ミス(その8)(犯罪も事故も減ったのに 日本の警察官の仕事が一向に減っていない本当の理由 仕事の範囲がどんどん広がっている、元公安警察官は見た 「國松長官狙撃事件」で公安部と刑事部が対立 その結果起きたこと、「大阪女性殺害の容疑者自殺」なぜ起きた?ずさんな留置管理の実態) [社会]

相次ぐ警察の重大ミスについては、2020年4月10日に取上げた。久しぶりの今日は、(その8)(犯罪も事故も減ったのに 日本の警察官の仕事が一向に減っていない本当の理由 仕事の範囲がどんどん広がっている、元公安警察官は見た 「國松長官狙撃事件」で公安部と刑事部が対立 その結果起きたこと、「大阪女性殺害の容疑者自殺」なぜ起きた?ずさんな留置管理の実態)である。

先ずは、昨年9月21日付けPRESIDENT Onlineが掲載したノンフィクション作家の野地 秩嘉氏による「犯罪も事故も減ったのに、日本の警察官の仕事が一向に減っていない本当の理由 仕事の範囲がどんどん広がっている」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/50049
・『近年、国内の犯罪や交通事故は減少傾向にある。しかし日本の警察官の仕事は一向に減っていない。なぜなのか。ノンフィクション作家の野地秩嘉さんが解説する――。 ※本稿は、野地秩嘉『警察庁長官 知られざる警察トップの仕事と素顔』(朝日新書)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・『犯罪も交通事故も減っているのに仕事は増えている  犯罪白書(令和元年版)を見ると、犯罪、交通事故も、ともに減っていることがわかる。刑法犯の認知件数は2002年の285万3739件をピークに減少し、2018年で81万7338件。検挙率は平成期の前半では低下傾向だが、後半では上昇傾向にある。犯罪の件数が減ったから、検挙にあたる警察のマンパワーが相対的に増えたのだろう。 減っているのは窃盗だ。ここのところ戦後最少を更新し続けている。気になるのは特殊詐欺である。認知件数は2011年から増加している。ただ、2018年だけは前年比9.4%減っている。 特殊詐欺とあおり運転はニュースに取り上げられる頻度が高い。このふたつが話題になっている限り体感治安はなかなかよくはならないだろう。 交通事故も近年は減っている。ピークは2004年の95万2720件で、2018年は43万601件。コロナ禍で緊急事態宣言が発出された2020年は30万9178件だ。前年比で19.0%も減少している。なんとピーク時の3分の1以下になった。 では、なぜ、犯罪は減ったのか』、「刑法犯の認知件数」の激減、「交通事故」の減少は顕著だ。
・『少年犯罪から暴力団対策までを網羅した5箇条  減っているのは2002年以降だ。当時、増えつつある犯罪件数を見て、警察組織は震撼し、警察庁長官、佐藤英彦が犯罪を減らすことに大号令をかけた。 そして、さまざまな施策を打ち出した。2003(平成15)年の犯罪対策閣僚会議では次のような施策を発表している。むろん、起案したのは警察庁のキャリア官僚だ。 「犯罪に強い社会の実現のための行動計画 世界一安全な国、日本の復活を目指して」 1 平穏な暮らしを脅かす身近な犯罪の抑止 地域連帯の再生と安全で安心なまちづくりの実現、犯罪被害者の保護等 2 社会全体で取り組む少年犯罪の抑止 少年犯罪への厳正・的確な対応、少年を非行から守るための関係機関の連携強化等 3 国境を越える脅威への対応 水際における監視、取締りの推進、不法入国・不法滞在対策等の推進等 4 組織犯罪等からの経済、社会の防護 組織犯罪対策、暴力団対策の推進、薬物乱用、銃器犯罪のない社会の実現等 5 治安回復のための基盤整備 刑務所等矯正施設の過剰収容の解消と矯正処遇の強化、更生保護制度の充実強化等』、なるほど。
・『捜査手法が進化した街頭の防犯カメラ  ここにあるような基礎的な治安対策がじわじわと効いてきたから犯罪が減少したのだろうが、ある長官経験者に聞いてみると、「ポイントはふたつ」と言った。 「入国管理を厳しくしたことで外国人の犯罪者が減ったこと、もうひとつは街頭に設置された防犯カメラだ」 特に防犯カメラについてはカメラもそれを使った捜査手法もともに進化したこともあり、効果を上げている。 しかし、防犯カメラを使った捜査とはただ、画面を見ていればそれで済むわけではない。カメラがなかった頃よりもかえって、人手を取られるようになった。警察にとってITの発達はいい面とそうではない面がある。時間と人手がかかる典型だったのが渋谷で起こったクレイジーハロウィーン事件である』、「防犯カメラについてはカメラもそれを使った捜査手法もともに進化したこともあり、効果を上げている。 しかし、防犯カメラを使った捜査とはただ、画面を見ていればそれで済むわけではない。カメラがなかった頃よりもかえって、人手を取られるようになった。警察にとってITの発達はいい面とそうではない面がある」、具体例として挙がっている「クレイジーハロウィーン事件」を見てみよう。
・『約250台のカメラ、約4万人から犯人をあぶりだした  2018年のハロウィーンから2カ月後の年末のことだった。警視庁は渋谷交差点近くの雑踏で軽トラックを横転させた4人を逮捕した。事件にかかわったのは外国籍を含む17~37歳の男、計15人である。いわゆる「クレイジーハロウィーン事件」の犯人たちだ。 ニュースを動画で見た人も多いと思うが、あの日の渋谷には仮装した人、見物に来た人など約4万人であふれかえっていた。お面やマスクをかぶっていた人間もかなりの人数だった。 それなのに捜査官たちは防犯カメラを見て、その後を追跡、犯人を特定したのである。目が充血するのもいとわぬ捜査で容疑者を追い詰めたのだが、近年はこうした捜査が増えているのである。 捜査が始まったのは事件の翌日からだ。警視庁は所轄の渋谷署だけでなく、他の署からも捜査員を集め、渋谷を中心に合計約250台の防犯カメラの映像を回収した。捜査員たちは容疑者の画像を追い、容疑者が使ったとみられる最寄りの駅でICカード乗車券の履歴を調べた。また、容疑者が降りたと思われる駅すべてに聞き込みをし、追跡したのである。 こうした捜査手法が主流になっていくと犯罪は減っているにもかかわらず、仕事は膨らんでいく。画面を見るだけではなく、裏付けのために駅などへの聞き込みをしなくてはならないからだ。捜査員は目も使うし、体も酷使する』、「警視庁は所轄の渋谷署だけでなく、他の署からも捜査員を集め、渋谷を中心に合計約250台の防犯カメラの映像を回収した。捜査員たちは容疑者の画像を追い、容疑者が使ったとみられる最寄りの駅でICカード乗車券の履歴を調べた。また、容疑者が降りたと思われる駅すべてに聞き込みをし、追跡したのである」、確かに「こうした捜査手法が主流になっていくと犯罪は減っているにもかかわらず、仕事は膨らんでいく」、このケースの場合は、「仕事は膨らんでいく」が、そうでないケースもあり得る点は注意が必要だ。
・『捜査手法が多様化し、市民サービス的な仕事も増えた  いくらAIが画面を分析するようになっても、結局のところ、容疑者の家を訪ねたりするのはロボットではない。対人捜査は警察官が行わなければならないから、現場の仕事は減らない。 警察が直面している大きな課題は捜査手法が多様化したために業務の種類が増えたことだろう。加えて、犯罪捜査以外の市民サービス的な仕事も増えている。 業務の量が増えていることに対して、警察庁長官と幹部はどう判断するのだろうか。 警察庁長官が、今やらなくてはいけないのは警察の本質を新たに決め、それに沿った未来の姿を考え、庁内に示すことではないか。 ただし、任期が2年から3年というなかで、ひとりの長官が警察の将来を決定することは簡単ではない。 民間会社の敏腕社長であれば5年から6年の在職中に長期的な計画を立てることができるし、新分野にも足場を築くことができる。一方、警察庁長官の任期を延ばすのは難しいだろうから、2年から3年の間に通常業務とは別に警察の仕事を革新的にしたり、新分野を追加することは極めて困難だ。 市民としては、警察の守備範囲が広がるのは困ることではない。一方で、何から何まで担当してもらわなくともいいとも思っている。 戦前に実在した特高のような思想警察、衛生警察(警視庁及び府県警察部衛生課感染症対策から飲食店の食事、医療の一部まで担当)が出現するのは困る。 「警察の仕事はここからあそこまでですよ」とはっきりさせてほしいのである』、この記事は安倍元首相暗殺事件前だが、暗殺事件で要人警護の穴が明らかになった。
・『「個人の生命、身体及び財産」の解釈が広がっている  警察官なら誰もが知っていて、暗記している法律がある。警察法の第二条第一項がそれだ。 「警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする。」 日本の警察のあり方、守備範囲を決めている法律である。第二条にはふたつの責務が書いてあり、どちらにも軽重はない。ともに大事なものとなっている。 A 「個人の生命、身体及び財産の保護」 B 犯罪の予防、鎮圧および捜査などから始まる「公共の安全と秩序の維持」 世界の警察の場合も両方が責務だが、重点はBの犯罪捜査と公共の安全と秩序の維持だろう。 一方、日本の警察はAの個人の生命、身体及び財産の保護も重要な仕事で、前述のように、この領域は拡大を続けている。そして、遺失物捜査、つまり落とし物を捜すことも市民財産の保護なのである。 ただ、特措法改正のため、今後、新しい感染症が蔓延するたびに何かと言えば警察官は駆り出されるだろう』、「特措法改正のため、今後、新しい感染症が蔓延するたびに何かと言えば警察官は駆り出されるだろう」、「感染症」と「警察官」の関係が理解できない。
・『交番にとって負担の多い「巡回連絡」  しかし、なんでもかんでも引き受けていたら、警察は本来やるべき犯罪捜査に回す人手が足りなくなってしまう。新型コロナウイルスを鎮静させても、窃盗や強盗や詐欺が増えたら、何にもならない。 なんといっても、日本の警察官は世界の警察官よりも忙しい。たとえば彼らは「巡回連絡」をやっている。 巡回連絡とは、交番勤務のおまわりさんが自宅にやってきて、「変わりはないですか? ご家族は何人ですか」などと調べて回る仕事だ。昔は住民も当たり前のように扉を開けて、お茶の一杯も出して話していたけれど、近頃は日中、訪ねても留守の家が多くなった。また、たとえ家にいても、独身女子や高齢者の一人住まいは扉を開けないことが多い。犯罪の抑止、災害防止、住民との良好な関係を保つためには重要な仕事だけれど、交番のおまわりさんにとっては負担の多い仕事でもある。 ただ、巡回連絡がきちんと行われていれば、特殊詐欺の電話の掛け子たちや夜中に豚舎や梨畑で窃盗を繰り返す人間たちがアパートの一室で暮らすような状態の抑止にはなる。市民にとってはありがたいサービス業務なのだけれど、不意打ちのように自宅に来られるのはうれしくはないのが一般の感情だろう』、私は「巡回連絡」は大きなお世話で、必要ないと考えている。
・『でも生活のもめごとは警察に解決してほしい  市民は警察が衛生警察や思想警察になるのは嫌だけれど、生活まわりの支援サービスについてはもっとやってもらいたいと思っている。 たとえば、隣の家がゴミ屋敷だったとする。市役所にいくら連絡してもなかなか返事は来ない。市役所の係員がゴミ屋敷の住人に忠告したとしても、なかなか従わない。しかし、警官が訪ねていくと、それだけで状況は変化することがある。 市民は生活のもめごとに関しては迷惑系ユーチューバーと同じような意識になっている。とにかく面倒くさいことは警察にワンストップでやってもらいたいのである。 警察が「個人の生命、身体、財産の保護」をやらなければならない限り、その範囲は今後もどんどん増えていく。 余計なお世話なのはわかっているけれど、警察庁長官は増える一方の政府と市民からの要請に対して、どこまで応えるかを決めなくてはならない。 具体的に言えば警察法第二条を改正して、「ここまでが警察の仕事ですよ」と記すことなのだが……』、「市民は生活のもめごとに関しては迷惑系ユーチューバーと同じような意識になっている。とにかく面倒くさいことは警察にワンストップでやってもらいたいのである。 警察が「個人の生命、身体、財産の保護」をやらなければならない限り、その範囲は今後もどんどん増えていく」、こんな「市民」の勝手を「警察」が聞き入れる必要はないと思う。
・『なぜ、警察庁は「警察法の改正」をできないのか  だが、警察法の改正はこれまた難しい。 かつての長官、後藤田正晴は大学紛争時代、こんなことを言っている。 「自民党は警察に火炎びん処罰法を立法化せよ、といっているが、政治家のいうなりに警察が法案を立案したら大変だ。最後には与野党の取り引き材料になって法案はつぶれ、警察だけが悪者にされる。(略)日本の国会では『警』の字のつく法案なんて交通以外はムリだ」(前掲『警察庁長官の戦後史』) 後藤田の言ったことは今も続いている。国会でも交通、情報通信以外の警察活動についての法案を通すのは簡単ではない。警察法を改正するというと、国民もマスコミも警戒するから、それを乗り越えるのは簡単ではない。他の中央官庁の最大の仕事は法律の企画、立案だ。しかし、警察庁では事実上、その部分に枷がはめられている』、「警察法を改正するというと、国民もマスコミも警戒」、「警察」に対して「国民もマスコミも」健全な「警戒感」を持っているのは好ましいことだ。

次に、昨年11月16日付けデイリー新潮「元公安警察官は見た 「國松長官狙撃事件」で公安部と刑事部が対立、その結果起きたこと」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2021/11160600/?all=1
・『日本の公安警察は、アメリカのCIAやFBIのように華々しくドラマや映画に登場することもなく、その諜報活動は一般にはほとんど知られていない。警視庁に入庁以後、公安畑を十数年歩き、数年前に退職。この9月『警視庁公安部外事課』(光文社)を出版した勝丸円覚氏に、公安部と刑事部の対立について聞いた。 公安警察と刑事警察は不仲とされる。これは昔から言われていることで、捜査一課の刑事と公安が対立するシーンは映画やドラマでもよく描かれる。 「実際、仲は良くありません。特に刑事警察は、公安に対して一方的に反感を抱く傾向にあります」と語るのは、勝丸氏。 「叩き上げの刑事の中には、公安に対して『あいつら適当に時間を潰して遊んでやがる』と的外れな批判をする人もいます。『スパイなんて大袈裟に騒いでいるけど、会社の情報を売っているただのコソ泥を捕まえるために大層なことしやがって』などと言う人さえいます」』、「刑事と公安」の「対立」は想像以上のようだ。
・『捜査に対する考え方が根本的に違う  なぜ、公安と警察は仲が悪いのか。 「捜査に対する考え方が根本的に違うからです。公安は、事件が起こる前に未然に防ぐことを目的とします。それが防犯に繋がると。ところが刑事警察は、起こった事件を捜査して犯人を逮捕する。悪人を社会から取り除くのです。犯人に刑を負わせれば、それが犯罪の抑止力に繋がると考えています」 そのため公安は事件を解決したという実績が残りにくいという。 「公安の仕事は、数字として表れないので刑事から見れば半ば遊んでいるように見えるんでしょうね。公安と刑事警察の対立による弊害が最も鮮明になったのが、1995年3月に起きた『國松孝次警察庁長官狙撃事件』でした」 オウム真理教による地下鉄サリン事件の10日後の3月30日に起きた。午前8時31分頃、國松長官が東京・荒川区の自宅マンションを出たところ、黒っぽいレインコートに白いマスクをした男が拳銃を4回発砲、うち3発が腹部に当たり瀕死の重傷を負った。 「殺人未遂事件ですから、本来なら刑事警察の領域となります。しかし、犯人がオウム信者の可能性があったので、公安の捜査対象にもなりました」 射撃犯として、すぐにオウム信者の平田信の名前が上がった。一方、公安では、警視庁の元巡査長だった人物の名前が浮上したという。 「オウムは、狙った土地の所有者を監禁し土地の権利書を奪う事件を何度も起こしているのですが、公安が強制捜査を行った時、押収した書類の中に信者の名簿があったのです。そこには、結構な数の自衛官と数名の警察官の名前がありました。そして元巡査長の名前も確認されました」 公安部で、名簿にあった警察官を尾行したところ、元巡査長が活発な信者であることがわかったという』、「公安部で、名簿にあった警察官を尾行したところ、元巡査長が活発な信者であることがわかったという」、なるほど。
・『公安だけで事件を解決  「そこで、公安で元巡査長の事情聴取を行ったところ、國松長官を撃った、拳銃は神田川に捨てたと自供したのです。この情報は、公安内部だけに留め、警視庁刑事部や警察庁とは共有しませんでした。公安の捜査だけで事件を解決に導こうとしたわけです。これで捜査がおかしな方向へ行ってしまった。途中で捜査を止めることもできませんでした」 実際、公安部は警察庁や警視庁刑事部に元巡査長の供述を5カ月間報告しなかったという。 「元巡査長の供述は矛盾が多かった。供述も二転三転として、証拠固めが困難となりました。最初から刑事部と情報を共有していれば、結果は違ったものになったかもしれません。公安はスパイの尾行や監視、資料の分析などを得意としますが、事情聴取や実況見分、鑑識は刑事部のように場数を踏んでいませんからね」 事件発生から数年後、刑事部と公安部で異例の人事異動があったという。 「公安の資料分析担当者が何人も刑事部へ行きました。逆に公安は、刑事部の事情聴取担当者や鑑識担当者を引き抜いたのです。刑事部へ異動となった元公安の知り合いに連絡をすると、オウムのサティアンから押収した大量の薬品や資料を分析しているとのことでした。押収品の中には極めて重要な書類もあったそうですが、その情報は正式には公安に報告されませんでした。刑事部も公安と同様、情報を共有したくなかったのです」 結局、刑事部と公安部の縄張り争いが続き、2010年3月に事件は公訴時効を迎えてしまった。 「時効になった時、青木五郎公安部長が記者会見を行って、この事件がオウムの信者による組織的なテロリズムであるとの見解を示しました。結局、教団から訴えられて損害賠償を払うことになってしまった。なぜ、あんな踏み込んだ発言をしてしまったのか、理解に苦しみます」 勝丸氏は、刑事と公安は絶対に協力関係を築くべきだと言う。 「才能ある刑事や優秀な公安捜査官は、うまく情報交換を行っています。身内で争っている場合ではないのです」』、「公安内部だけに留め、警視庁刑事部や警察庁とは共有しませんでした。公安の捜査だけで事件を解決に導こうとしたわけです。これで捜査がおかしな方向へ行ってしまった。途中で捜査を止めることもできませんでした」 実際、公安部は警察庁や警視庁刑事部に元巡査長の供述を5カ月間報告しなかったという」、「最初から刑事部と情報を共有していれば、結果は違ったものになったかもしれません。公安はスパイの尾行や監視、資料の分析などを得意としますが、事情聴取や実況見分、鑑識は刑事部のように場数を踏んでいませんからね」、「結局、刑事部と公安部の縄張り争いが続き、2010年3月に事件は公訴時効を迎えてしまった」、「青木五郎公安部長が記者会見を行って、この事件がオウムの信者による組織的なテロリズムであるとの見解を示しました。結局、教団から訴えられて損害賠償を払うことになってしまった」、「損害賠償」まで払わされるとは、「公安」はお粗末過ぎる。

第三に、本年9月6日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した事件ジャーナリストの戸田一法氏による「「大阪女性殺害の容疑者自殺」なぜ起きた?ずさんな留置管理の実態」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/309187
・『大阪府高槻市で昨年7月、保険金目的で高井直子さん(当時54)を殺害したとして、殺人と詐欺未遂などの疑いで逮捕されていた養子の凜容疑者(28)が1日、福島署の留置施設で首をつって自殺した。府警の留置管理を巡っては2018年にも、富田林署から樋田淳也受刑者(34)=強盗致傷や強制性交など計20件の罪で懲役17年が確定=の逃走を許し、厳しい批判を浴びた。府警が失態を繰り返したとも言えるが、実は留置施設での自殺は少なくなく、留置管理の難しさも浮き彫りとなった』、「大阪府警」は2度も「留置管理」で失敗するとは、本当にたるんでいる。
・『女装で外出したり殺し屋を探す不可解  高槻市の事件は昨年7月26日、高井さんが自宅の浴槽で右手首に結束バンドを巻かれた状態で死亡しているのが見つかり、府警が殺人事件として捜査を開始。今年7月20日、高井さんと養子縁組届を出した際に証人をねつ造したとして、有印私文書偽造・同行使の疑いで凜容疑者を逮捕した。 同8月25日には、高井さんを浴槽で溺れさせて殺害し、保険金計1億5000万円をだまし取ろうとしたとして、殺人と詐欺未遂の疑いで再逮捕。事件性が疑われ保険金は支払われなかったが、養子として約1億円の遺産を相続していた。 全国紙社会部デスクによると、凜容疑者は殺人と詐欺未遂の容疑について黙秘していたが、高井さんが死亡したとみられる昨年7月22日、東京の自宅マンションから女装して外出。何度も服を着替えながら大阪まで移動する姿があちらこちらの防犯カメラに写っていた。) スマートフォンは自宅に置いたままで、位置情報を利用し在宅を偽装した疑いがある。23日には高井さんのスマホから凜容疑者にメールが送信されており、事前に設定した日時に送信できる機能を使い、死亡推定日時をずらそうとしたのではないかとみられる。 ただ、高井さんは殺害される5カ月前に凜容疑者と養子縁組したが、同居するわけでもなく、なぜ縁組したのか理由は不明のまま。凜容疑者は当時、勤務先の同僚に「殺し屋を知らないか」と物騒な相談を持ちかけていたという』、「東京の自宅マンションから女装して外出。何度も服を着替えながら大阪まで移動」、大阪への「移動」は保険金の審査を考慮したためか、かなり周到な偽装工作をしたようだ。
・『監視が強化される中でTシャツでひもを作る  逮捕後、凜容疑者は取り調べに「逃走を考えている」と話したり、留置施設から署員の様子をうかがったりしていたため、監視を強化する「特異被留置者」に指定。消灯する午後9時から起床時間の翌午前7時まで、1時間に4回程度の巡回を5回に増やしていた。 しかし結局、凜容疑者が自殺を図った当日、留置管理の担当者は午前6時44分、布団で寝ている姿を確認したが、起床の点呼をしていた午前7時2分、意識がない状態で発見された。留置施設には複数のTシャツの裾部分を重ねたひもの様なものが残されていた。 かつて懇意にしていた刑事から聞いた話だが、一般的に容疑者は「あらぬ疑い」を向けられた場合、身の潔白を証明しようと躍起になるものらしい。黙秘は「言質を取られないように」警戒している証拠で「半ば、自供しているようなもの」と話していた(例外として身内をかばうケースもあるらしい)。 凜容疑者の自殺は「もう逃げ切れない」と観念し、犯人であることを認めたとも言える。ただ、やはり公判で本人が真実を語る機会が失われたことで、府警は慚愧(ざんき)の念に耐えないだろう』、「午前6時44分、布団で寝ている姿を確認したが、起床の点呼をしていた午前7時2分、意識がない状態で発見された」、初めの「午前6時44分、布団で寝ている姿を確認」、というのは疑わしいのではなかろうか。
・『繰り返されるずさんな留置管理  府警の留置管理で失態と言えば「富田林署逃走事件」を思い起こす読者も多いのではないだろうか。樋田受刑者が18年8月12日夜、富田林署の接見室で弁護士と面会後、アクリル製の隔離板を蹴破って逃走。自転車を盗み四国で49日間にわたり、1000キロ超をお遍路していた事件だ。 府警は富田林署長を更迭するなど計7人を懲戒処分としたが、接見室の扉が開くとブザーが鳴る装置の電池が1年以上前から入っていなかったり、当時の留置担当だった巡査部長がスマホでアダルト動画を見ていたりというお粗末な実態が明らかになった。 「府警の杜撰(ずさん)な留置管理態勢がなおざりにされた」という見方もできるが、一方で警戒に警戒を重ねても、特定の留置人を24時間常時監視というのはほぼ不可能で、自殺や自傷行為を完全に防止するのは困難とも聞く。 11年11月に兵庫県尼崎市の貸倉庫でドラム缶に入れられた女性(当時66)の遺体が見つかり、その後、8人が死亡、3人が行方不明になっていることが明らかになった「尼崎連続変死事件」をご記憶の読者も多いと思う。 計7人が起訴されたが、主犯格とされる角田美代子元被告(当時64)は「悪いのはすべて私です」と起訴内容を認める一方、留置担当者に「死にたい。どうやったら死ねるか」「生きていても意味がない」などと自殺をほのめかしていた。 そのため「特別要注意者」として監視を強化していたが、最初の逮捕から10カ月後の12年12月、留置担当者が巡回で寝息を立てているのを確認した後のわずか10分の間に、布団の中でシャツの両袖を首に巻き付けて自殺しているのが見つかった。 この時も兵庫県警は厳しい批判にさらされたが、当時の記事によると留置管理課幹部は「現時点で落ち度はなかったと考えている。今後、詳細を調べる」と話していた』、「兵庫県警」の場合は確かに「落ち度はなかった」のかも知れない。
・『留置管理担当は刑事への登竜門  このほかにも最近では▽5月、新潟署で50代の男▽3月、埼玉県警春日部署で37歳の男▽21年10月、同川口署で52歳の男▽19年12月、警視庁本所署で30代の男▽19年10月、福島県警南相馬署で29歳の男、などが留置施設で自殺している。 実はあまり知られていないが、一命は取り留めたものの意識不明で搬送されたり、自傷行為で治療を受けたりするケースは枚挙にいとまがない。 それでは、容疑者や被告と向き合う留置管理の担当者は警察内部でどんな立ち位置なのだろうか。) 留置人の見回りという閑職だから、出世コースを外れた人というイメージを持たれるかもしれないが、実は希望者が多い刑事への登竜門だ。最近はハコヅメ(警察署地域課の交番勤務)から刑事課というパターンもあるようだが、昔は犯罪者の動静や態様を学ぶため、留置管理の担当に配属させるという流れが一般的だった。 標準的な警察署では、捜査には直接かかわらない警務課留置管理係が、3交代制で担当。留置人は午前7時起床、同8時朝食、正午の昼食まで聴取。午後1時から再び聴取、午後6時に夕食で、その後は自由時間で午後9時に消灯というのが一般的だ。聴取もよっぽどの事件でない限り、午前・午後とギチギチに詰め込まれるわけではない。 そのため、留置人と雑談する時間もあり、刑事訴訟法をレクチャーすることで自分の知識を反芻(はんすう)したり、前述のように「動静や態様を学ぶ」ことにつながっていたり、という側面があったらしい。 今回の事件、結果論として福島署留置担当者の失態であったことは否定できないが、すべて人間のやること。留置人が本気で殺を考えたら、おそらく完全に防ぐことは不可能だろう。 死者にむち打つのは気が引けるが、凛容疑者は自身が無関係なのか、犯人なのか、真相を語ることなく自ら命を絶った。事件ジャーナリストとしては、同情する気持ちはさらさらなく「ひきょう者」という感情しかない。 ただ、留置管理のあり方に一石を投じたという意味では、凛容疑者の自殺は意味があったのかもしれない』、「留置人の見回りという閑職だから、出世コースを外れた人というイメージを持たれるかもしれないが、実は希望者が多い刑事への登竜門だ。最近はハコヅメ・・・から刑事課というパターンもあるようだが、昔は犯罪者の動静や態様を学ぶため、留置管理の担当に配属させるという流れが一般的だった」、「留置人」が「刑事への登竜門」とは意外だが、確かに「犯罪者の動静や態様を学ぶ」意味もあったのだろう。
タグ:「大阪府警」は2度も「留置管理」で失敗するとは、本当にたるんでいる。 戸田一法氏による「「大阪女性殺害の容疑者自殺」なぜ起きた?ずさんな留置管理の実態」 「警察法を改正するというと、国民もマスコミも警戒」、「警察」に対して「国民もマスコミも」健全な「警戒感」を持っているのは好ましいことだ。 野地 秩嘉氏による「犯罪も事故も減ったのに、日本の警察官の仕事が一向に減っていない本当の理由 仕事の範囲がどんどん広がっている」 PRESIDENT ONLINE 「警視庁は所轄の渋谷署だけでなく、他の署からも捜査員を集め、渋谷を中心に合計約250台の防犯カメラの映像を回収した。捜査員たちは容疑者の画像を追い、容疑者が使ったとみられる最寄りの駅でICカード乗車券の履歴を調べた。また、容疑者が降りたと思われる駅すべてに聞き込みをし、追跡したのである」、確かに「こうした捜査手法が主流になっていくと犯罪は減っているにもかかわらず、仕事は膨らんでいく」、このケースの場合は、「仕事は膨らんでいく」が、そうでないケースもあり得る点は注意が必要だ。 「防犯カメラについてはカメラもそれを使った捜査手法もともに進化したこともあり、効果を上げている。 しかし、防犯カメラを使った捜査とはただ、画面を見ていればそれで済むわけではない。カメラがなかった頃よりもかえって、人手を取られるようになった。警察にとってITの発達はいい面とそうではない面がある」、具体例として挙がっている「クレイジーハロウィーン事件」を見てみよう。 「刑法犯の認知件数」の激減、「交通事故」の減少は顕著だ。 野地秩嘉『警察庁長官 知られざる警察トップの仕事と素顔』(朝日新書) 「市民は生活のもめごとに関しては迷惑系ユーチューバーと同じような意識になっている。とにかく面倒くさいことは警察にワンストップでやってもらいたいのである。 警察が「個人の生命、身体、財産の保護」をやらなければならない限り、その範囲は今後もどんどん増えていく」、こんな「市民」の勝手を「警察」が聞き入れる必要はないと思う。 「特措法改正のため、今後、新しい感染症が蔓延するたびに何かと言えば警察官は駆り出されるだろう」、「感染症」と「警察官」の関係が理解できない。 この記事は安倍元首相暗殺事件前だが、暗殺事件で要人警護の穴が明らかになった。 「公安内部だけに留め、警視庁刑事部や警察庁とは共有しませんでした。公安の捜査だけで事件を解決に導こうとしたわけです。これで捜査がおかしな方向へ行ってしまった。途中で捜査を止めることもできませんでした」 実際、公安部は警察庁や警視庁刑事部に元巡査長の供述を5カ月間報告しなかったという」、「最初から刑事部と情報を共有していれば、結果は違ったものになったかもしれません。公安はスパイの尾行や監視、資料の分析などを得意としますが、事情聴取や実況見分、鑑識は刑事部のように場数を踏んでいませんからね」、「結局、刑事部と 「公安部で、名簿にあった警察官を尾行したところ、元巡査長が活発な信者であることがわかったという」、なるほど。 ダイヤモンド・オンライン 「刑事と公安」の「対立」は想像以上のようだ。 デイリー新潮「元公安警察官は見た 「國松長官狙撃事件」で公安部と刑事部が対立、その結果起きたこと」 「留置人の見回りという閑職だから、出世コースを外れた人というイメージを持たれるかもしれないが、実は希望者が多い刑事への登竜門だ。最近はハコヅメ・・・から刑事課というパターンもあるようだが、昔は犯罪者の動静や態様を学ぶため、留置管理の担当に配属させるという流れが一般的だった」、「留置人」が「刑事への登竜門」とは意外だが、確かに「犯罪者の動静や態様を学ぶ」意味もあったのだろう。 「兵庫県警」の場合は確かに「落ち度はなかった」のかも知れない。 「結局、刑事部と公安部の縄張り争いが続き、2010年3月に事件は公訴時効を迎えてしまった」、「青木五郎公安部長が記者会見を行って、この事件がオウムの信者による組織的なテロリズムであるとの見解を示しました。結局、教団から訴えられて損害賠償を払うことになってしまった」、「損害賠償」まで払わされるとは、「公安」はお粗末過ぎる。 「午前6時44分、布団で寝ている姿を確認したが、起床の点呼をしていた午前7時2分、意識がない状態で発見された」、初めの「午前6時44分、布団で寝ている姿を確認」、というのは疑わしいのではなかろうか。 「東京の自宅マンションから女装して外出。何度も服を着替えながら大阪まで移動」、大阪への「移動」は保険金の審査を考慮したためか、かなり周到な偽装工作をしたようだ。 相次ぐ警察の重大ミス
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暗号資産(仮想通貨)(その23)(価格固定のはずが-暗号資産ステーブルコインを暴落させた不安の増幅ブロックチェーンゆえの振幅の大きさ、ここへきて「仮想通貨」「株」が大ピンチに…投資家も目を逸らす「ヤバすぎる危機」) [金融]

暗号資産(仮想通貨)については、6月4日に取上げた。今日は、(その23)(価格固定のはずが-暗号資産ステーブルコインを暴落させた不安の増幅ブロックチェーンゆえの振幅の大きさ、ここへきて「仮想通貨」「株」が大ピンチに…投資家も目を逸らす「ヤバすぎる危機」)である。

先ずは、6月17日付け現代ビジネスが掲載した帝京大学経済学部教授・博士(経済学)の宿輪 純一氏による「価格固定のはずが-暗号資産ステーブルコインを暴落させた不安の増幅ブロックチェーンゆえの振幅の大きさ」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/96328?imp=0
・『株価より高い暗号資産の暴落率  一般的な暗号資産(仮想通貨)の価格が“乱高下”するのは、法定通貨ではなく単なる金融商品であることを考えれば、当たり前といえば当たり前である。暗号資産の代表銘柄、ビットコインは、最高値6万7000ドル超(2021年11月)まで行ったが、6月中旬、“3分の1”の2万2000ドルあたりまで暴落した。 ちなみに、IMFの注意にも関わらず、ビットコインを通貨としたエルサルバドルや中央アフリカはこの急落で「通貨危機」という皮肉な状況になっている。 第2位のイーサリアムもピークから5割下落している。ハイテク株が多いナスダックでも約2割の下落となっており、暗号資産の暴落幅はいかにも大きい。 今回の下落の主因は、株式市場と同じく、米国の中央銀行、連邦準備制度理事会(FRB)のハイペースな利上げである。今回FRBは高いインフレ率に基づいて判断している。そのため、FRBは経済成長率以上にハイペースで利上げを行っている。株式市場はFRBの利上げと先行きの利上げ継続ムードと合わせて不安定化した。 この不安定な暗号資産の市場が、もともとある金融システムに悪影響を与えるのではないかと懸念されている。しかしこれは、新しい金融商品が登場するときには通る道であり、仕方ないステップである。 奇しくも、6月3日、暗号資産の一種であり資産の裏付けなどで価格固定を謳った「ステーブルコイン(StableCoin)」を対象とする「改正資金決済法」が制定され、裏付け資産の国内保管義務が発生するなど、投資家保護の規制も巡らされてきている』、「ビットコイン」の価格は、6月中旬以降、2万ドル前後で低迷。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-09-07/RHTJPXT1UM0W01
「改正資金決済法」については、金融庁の説明資料が詳しい。
https://www.fsa.go.jp/common/diet/208/03/setsumei.pdf
・『ステーブルコインは価格が固定的なはずだが  変動する暗号資産に対して、ステーブルコインは価格が固定されている暗号資産である。例えば1ドル=1ステーブルコインと固定されている。 暗号資産を中心に取引する投資家は、変動する暗号資産の取引を一旦止めるときに、暗号資産取引の外に出すよりも、暗号資産取引の中で、固定的なステーブルな暗号資産に移すことがある。外の他の金融資産に移すのはいろいろと手間が掛かるためである。 一般的な暗号資産の変動下落は当たり前であるが、ところが最近、価格が固定されているステーブルコインが大幅に暴落するという、暗号資産の仕組み全体を揺るす事件が発生している。 ステーブルコイン「テラ」(テラ:Terraはもともとは「兆」の意味)の取引量は、185億ドルある。ステーブルコインの取引量で、テザー、USDコインに続き第3位であった。それほどの取引量を誇っていた。 ステーブルコインには担保でその価値を保証する「担保型」と「無担保型」がある。今回の「テラ」はその無担保型にあたり、供給量をコントロールすることで価格を安定させる「アルゴリズム型」だった。 しかも、テラは、独自の貸借市場メカニズム「アンカープロトコル」を持ち、運営者はそのメカニズムで年20%の利回りを得ることが出来るとして、資金を集めていた』、「テラ」の8月10日以降の価格は2.17ドルから1.54ドルの間にある。
https://www.coindeskjapan.com/price/terra/
・『「テラ」暴落のメカニズム・疑心暗鬼  この20%の利回りというメカニズムは、現在の金融経済情勢で、通常の仕組みでは到底、維持可能とは考えられない。暗号資産の暴落が始まって、このメカニズムをもつテラからも、引き出しが相次ぎ、取り付け騒ぎのようになり、固定価格が耐えられなくなり、暴落したということである。 ステーブルコインであるにも関わらず、一般の暗号資産の暴落に連られ、安定的な価格を維持できなくなり、9割以上暴落した。その売られ方はさながら通貨危機の状況であった。 さらにマズいのは、相場としての取引というよりは、そのステーブルコイン自体の「仕組み」にまで疑念が及んでしまったことである。投資家は「なにか知らされていないリスクがあるのでは」という疑心暗鬼の状況になってしまった。この状態は、新しい金融商品にとって非常にまずい。特に暗号資産全体の評価にも影響を及ぼすことになった。 ブロックチェーン技術を使用した「デジタル金融資産」の範疇には、暗号資産に加えて「NFT」もある。NFTとはNon-Fungible Token(非代替性トークン)のことである。もっとわかりやすい言い方をすれば「デジタル権利書」のことである。筆者は今後、一般化・発展してくるものと考えている。 ところがその、NFTも今回の仮想通貨やステーブルコインの暴落の時期に合わせ、その平均価格が8000ドルから1000ドルまで大幅下落してしまった。つまりは「デジタル金融資産」全体が残念な状況となってしまっている』、「ステーブルコイン自体の「仕組み」にまで疑念が及んでしまったことである。投資家は「なにか知らされていないリスクがあるのでは」という疑心暗鬼の状況になってしまった。この状態は、新しい金融商品にとって非常にまずい。特に暗号資産全体の評価にも影響を及ぼすことになった」、「NFTも今回の仮想通貨やステーブルコインの暴落の時期に合わせ、その平均価格が8000ドルから1000ドルまで大幅下落」、確かに「「デジタル金融資産」全体が残念な状況」のようだ。
・『不安増幅-ブロックチェーン型プログラムの問題  昨今のデジタル金融商品は、ブロックチェーン技術をベースとしたものが主流であるが、そこで使われる技術がDAO(Decentralized Autonomous Organization)である。日本語訳すると「自律分散型組織」となる。 そもそもデジタルの世界は、発展したIT技術によって、中央集権的に情報を集め、早く確実に判断を下す仕組みとして普及した。 それに対して、DAOは中央管理者が介在せず、当事者だけで判断を下し実現する自立稼働するプログラムである。いわゆる分散型金融(DeFi:Decentralized Finance)であり、今までのデジタル化された中央集権型のシステムと比べると分散していることもあり、サーバー攻撃も相次ぐという問題も発生している。 最近ではDAOは導入が結構進んでいる。一言でいうと、シンプルでコストが安いシステムということもできるかと考えている。さまざまな取引システムにも取り入れられている。 ところが実はそのことが、最近の為替相場の動きのように、相場の波の振れが大きくなるという現象につながっている様である。管理者という冷静な第三者的な視点が存在せず、取引当事者の個別の判断だけで動くので、不安心理などに歯止めがかからない事態も起きやすいと考えられる。 安定した運用のためには、システム自体の役割、そして基本的な目的の確認が必要となる。すべての参加者が善人であるとは限らず、この分野でもガードレールが必要となる』、「管理者という冷静な第三者的な視点が存在せず、取引当事者の個別の判断だけで動くので、不安心理などに歯止めがかからない事態も起きやすいと考えられる」、やむを得ないようだ。
・『今後の対処法として  筆者は、暗号資産よりも「デジタル権利書」としてのNFTに将来性があると考える。新たな金融市場を形成していくことになろう。 残念なことであるが、暗号資産の業界には、ハッキング(詐欺)の事件が多い。現在、暗号資産やNFTの取引をするのは、暗号資産交換業者である。現在、日本の登録業者は30社ある。 金融機関の決済を始めとしたネットワークは、各金融機関をつなぎ共有されたインフラとなっている。例えば、日本が世界に誇る「全銀システム」は、銀行、信用金庫、信用組合など、現在、937機関を繋いでいる、大きなデジタル化した組織となっている。その最終決済は日本銀行である。今後、仕組みとしてCBDC(Central Bank Digital Currency :中央銀行デジタル通貨)も検討されている。 ハッキング事件の対応として、暗号資産交換業者は“それぞれ”に堅固なシステムを構築した。その全体の状況は、その基本機能である「ブロックチェーン」のような個別の塊がいくつもあるような形状であり、一体化することはない。金融システムのような相互のネットワークを作り上げていくことが大事なことと考える。 新しい金融商品の業界が立ち上がっていくときに、大事なのが「業界の自主規制団体」である。現在、急ピッチで統合が進んでいる。現在では、暗号資産やNFTを決済手段とし、また取引の場となるであろうメタバースの業界は、「日本デジタル空間経済連合」と「メタバース・ジャパン」の2つの団体にまとまりつつある。これは極めて重要なことである。 今後、デジタル金融商品の世界は、犯罪への個々の守りを固め、横のネットワークを繋ぐ段階を迎える。特に社会全体に対するリテラシー(知識)教育を実施することが最も大事と考えている。そうすれば、市場が成熟する前の取引量が薄い市場においても、その暗号資産やNFTを始めとしたメタバースで使用され取引される商品の価格の不安定性への耐久力が付く。 そして、何よりも、詐欺をはじめとした犯罪の発生可能性を低下させるものと信じている。筆者も微力であるが、最大限協力していきたいと思っている』、「デジタル金融商品の世界は、犯罪への個々の守りを固め、横のネットワークを繋ぐ段階を迎える。特に社会全体に対するリテラシー(知識)教育を実施することが最も大事と考えている。そうすれば、市場が成熟する前の取引量が薄い市場においても、その暗号資産やNFTを始めとしたメタバースで使用され取引される商品の価格の不安定性への耐久力が付く。 そして、何よりも、詐欺をはじめとした犯罪の発生可能性を低下させるものと信じている」、同感である。

次に、9月5日付け現代ビジネスが掲載した多摩大学特別招聘教授の真壁 昭夫氏による「ここへきて「仮想通貨」「株」が大ピンチに…投資家も目を逸らす「ヤバすぎる危機」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/99431?imp=0
・『金融緩和という「固定観念」  米国連邦準備理事会(FRB)の数課に亘る金利引き上げにも拘らず、消費者物価指数は前年対比で8%を超える水準にとどまっている。 FRBは、さらに金利引き上げなどを続けることになる。 ある意味では、FRBはかなり追い込まれた状況になっている。 今年に入って、FRBは既にゼロ近辺だった金利を2%以上まで引き上げ、これまで供給してきた市中の資金も吸い上げ始めている。 それにも拘らず、7月の連邦公開市場委員会(FOMC)後は、ビットコインや米国の一部の株式などは上昇した。 その背景には、主要投資家の間でこれまでの金融緩和期の記憶が一種のアンカー(固定観念)として残っていたのだろう。 主要投資家にとって、その固定観念は強い。 景気後退懸念が高まればFRBは経済と金融市場に配慮するという思い込みに浸る投資家は多い。 一方、9月以降FRBは、市中のお金を吸い上げて量的引き締めを本格化し、追加利上げを続けるとみられる。 それによって、市中に流れるお金の量は徐々に縮小することになるはずだ。 これまで、“金余り”に支えられてきた一部の株式や、ビットコインなどの価格は不安定化する可能性が高いと見とくべきだ』、「主要投資家にとって、その固定観念は強い。 景気後退懸念が高まればFRBは経済と金融市場に配慮するという思い込みに浸る投資家は多い」、しかし、「9月以降FRBは、市中のお金を吸い上げて量的引き締めを本格化し、追加利上げを続けるとみられる。 それによって、市中に流れるお金の量は徐々に縮小することになるはずだ」、「投資家」の「思い込み」は、客観的な見方を鈍らせるだけに恐ろしい。
・『「低金利が続く」と信じた人たち  1990年代の初頭以降、世界経済はグローバル化した。 自由貿易の促進、中国の工業化などによって国境を超えたヒト、モノ、カネの再配分が加速した。 韓国や台湾ではデジタル家電や半導体の受託製造を行う企業が急成長を遂げ、国際分業体制が強化された。 米国ではアップルなどが生産設備を自前で整備する負担から解放され、ソフトウェア開発に集中して取り組むことによって事業運営の効率性が高まった。 グローバルにサプライチェーンが張り巡らされ、企業は需要変化に即座に対応し、供給を行う体制を整備した。 それが、経済成長と低物価環境の同時進行を支えた。 ITバブルや住宅バブルの膨張局面を除き、FRBは失業率の上昇などに配慮して金融緩和を進め、経済と金融市場の安定を目指しやすくなった。 1980年から89年末まで、米国の政策金利の平均値10.3%だった。 1990年から99年末までは5.4%、2009年までの10年間では3.0%と政策金利水準は切り下がった。 その結果、低金利環境が続くと信じる投資家が増えた。 米国など先進国では国債から十分な利得を得られなくなり、ジャンク級社債、成長期待の高いIT関連の株式に投資資金が流入した。 その状況下、2013年にキプロスショックが発生するとビットコインが注目を集めた。 民間企業などが発行する仮想通貨には価値を一定に保つ仕組みがない。 ビットコインの価値は不安定であり、どうしても投機の対象になりやすい。 それでも、世界の低金利環境が続くとの楽観が投資家のリスクテイクを支えた。 買うから上がる、上がるから買うという強気心理が連鎖し、ビットコインや株価の上昇は鮮明化した。 コロナショックによって株価などが下げた2020年3月中旬以降もFRBによるドル資金供給や積極的な金融緩和が楽観論の回復を支え、仮想通貨や株式の価格は高騰した。 グローバル化が低金利環境を支えるという主要投資家の思い込みは強いと考えられる』、「投資家」は自分が儲かる楽観的見方を信じ込み易いようだ。
・『インフレ退治に追い込まれた中央銀行  世界的に金利には上昇圧力がかかりやすくなっている。 近年の世界経済ではグローバル化とは逆の動き(脱グローバル化)が加速した。 その一つとしてウクライナ危機のインパクトは大きい。 ロシアからドイツなどへの天然ガス供給量が減少するなど、世界全体で需要を満たすことが難しくなった。 世界経済は1980年代以前のようにインフレが進みやすい環境を迎えたと考えられる。 足許、景気後退懸念が高まっているが、米国の労働市場は非常にタイトだ。 旺盛な個人消費がコストの価格転嫁を支え、インフレ予想は高止まりしている。 FRBは追加利上げなどによって需要を削ぎ、インフレ退治を最優先しなければならない。 失業率が上昇するのは避けられない。 そうしたFRBの覚悟がジャクソンホール会合で示された。 9月からはQT(量的引き締め)が加速する。 状況によってはFRBがQTのさらなる加速を検討する可能性も否定できない。 一方、7月のFOMC後から8月半ばまで、ビットコインなどの仮想通貨や低格付けの社債、ナスダック上場銘柄などが値を戻した。 それを支えたのが、7月のFOMC後の記者会見でパウエル議長が日和見姿勢を示したことだ。 FRBが景気に配慮して金融を緩和するという投資家の思い込みは依然として強いといえる。 インフレ退治のための金融政策のインパクトを主要投資家が本当に認識するには、時間がかかる。 FRBは徹底して金融を引き締め、インフレ率を2%程度に安定させなければならない。 それは失業率の上昇など痛みを伴う。 その後、需要が盛り返し始めると、近年に経験しなかったペースで物価は再上昇する可能性が高い。 世界的に金利は上昇し、株式や仮想通貨などの価格には下落圧力がかかりやすくなるだろう。 その中でも、価値の裏付けがないビットコインなど仮想通貨の価値は大きく調整する展開が懸念される』、「インフレ退治のための金融政策のインパクトを主要投資家が本当に認識するには、時間がかかる」、「FRBは徹底して金融を引き締め、インフレ率を2%程度に安定させなければならない。 それは失業率の上昇など痛みを伴う。 その後、需要が盛り返し始めると、近年に経験しなかったペースで物価は再上昇する可能性が高い。 世界的に金利は上昇し、株式や仮想通貨などの価格には下落圧力がかかりやすくなるだろう」、「物価」や「金利」の「再上昇」が現実にあるか否かはともかく、あり得るシナリオで、要注意だ。
タグ:「インフレ退治のための金融政策のインパクトを主要投資家が本当に認識するには、時間がかかる」、「FRBは徹底して金融を引き締め、インフレ率を2%程度に安定させなければならない。 それは失業率の上昇など痛みを伴う。 その後、需要が盛り返し始めると、近年に経験しなかったペースで物価は再上昇する可能性が高い。 世界的に金利は上昇し、株式や仮想通貨などの価格には下落圧力がかかりやすくなるだろう」、「物価」や「金利」の「再上昇」が現実にあるか否かはともかく、あり得るシナリオで、要注意だ。 「投資家」は自分が儲かる楽観的見方を信じ込み易いようだ。 「主要投資家にとって、その固定観念は強い。 景気後退懸念が高まればFRBは経済と金融市場に配慮するという思い込みに浸る投資家は多い」、しかし、「9月以降FRBは、市中のお金を吸い上げて量的引き締めを本格化し、追加利上げを続けるとみられる。 それによって、市中に流れるお金の量は徐々に縮小することになるはずだ」、「投資家」の「思い込み」は、客観的な見方を鈍らせるだけに恐ろしい。 真壁 昭夫氏による「ここへきて「仮想通貨」「株」が大ピンチに…投資家も目を逸らす「ヤバすぎる危機」」 「デジタル金融商品の世界は、犯罪への個々の守りを固め、横のネットワークを繋ぐ段階を迎える。特に社会全体に対するリテラシー(知識)教育を実施することが最も大事と考えている。そうすれば、市場が成熟する前の取引量が薄い市場においても、その暗号資産やNFTを始めとしたメタバースで使用され取引される商品の価格の不安定性への耐久力が付く。 そして、何よりも、詐欺をはじめとした犯罪の発生可能性を低下させるものと信じている」、同感である。 筆者は、暗号資産よりも「デジタル権利書」としてのNFTに将来性がある 「管理者という冷静な第三者的な視点が存在せず、取引当事者の個別の判断だけで動くので、不安心理などに歯止めがかからない事態も起きやすいと考えられる」、やむを得ないようだ。 「ステーブルコイン自体の「仕組み」にまで疑念が及んでしまったことである。投資家は「なにか知らされていないリスクがあるのでは」という疑心暗鬼の状況になってしまった。この状態は、新しい金融商品にとって非常にまずい。特に暗号資産全体の評価にも影響を及ぼすことになった」、「NFTも今回の仮想通貨やステーブルコインの暴落の時期に合わせ、その平均価格が8000ドルから1000ドルまで大幅下落」、確かに「「デジタル金融資産」全体が残念な状況」のようだ。 「テラ」の8月10日以降の価格は2.17ドルから1.54ドルの間にある。 https://www.coindeskjapan.com/price/terra/ 「ビットコイン」の価格は、6月中旬以降、2万ドル前後で低迷。 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-09-07/RHTJPXT1UM0W01 「改正資金決済法」については、金融庁の説明資料が詳しい。 https://www.fsa.go.jp/common/diet/208/03/setsumei.pdf 価格固定を謳った「ステーブルコイン(StableCoin)」を対象とする「改正資金決済法」が制定され、裏付け資産の国内保管義務が発生するなど、投資家保護の規制 宿輪 純一氏による「価格固定のはずが-暗号資産ステーブルコインを暴落させた不安の増幅ブロックチェーンゆえの振幅の大きさ」 現代ビジネス (その23)(価格固定のはずが-暗号資産ステーブルコインを暴落させた不安の増幅ブロックチェーンゆえの振幅の大きさ、ここへきて「仮想通貨」「株」が大ピンチに…投資家も目を逸らす「ヤバすぎる危機」) 暗号資産(仮想通貨)
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健康(その22)(和田秀樹「血圧と血糖値はちょっと高いぐらいがいい」…高齢者が薬とうまく付き合う3つの原則 薬で数値を下げると 生活の質まで下がってしまう、「脳の健康を守り 平均寿命を伸ばす」70代になったら積極的に食べたほうがいい"3つの食べ物" 1000年以上前から健康食として知られている、一流のマッチョはみんな食べている…鶏のササミよりも栄養価が優れている「ある野菜」【2022上半期BEST5】 「アミノ酸スコア」が野菜のなかではダントツに高い) [生活]

健康については、8月10日に取上げた。今日は、(その22)(和田秀樹「血圧と血糖値はちょっと高いぐらいがいい」…高齢者が薬とうまく付き合う3つの原則 薬で数値を下げると 生活の質まで下がってしまう、「脳の健康を守り 平均寿命を伸ばす」70代になったら積極的に食べたほうがいい"3つの食べ物" 1000年以上前から健康食として知られている、一流のマッチョはみんな食べている…鶏のササミよりも栄養価が優れている「ある野菜」【2022上半期BEST5】 「アミノ酸スコア」が野菜のなかではダントツに高い)である。

先ずは、8月25日付けPRESIDENT Onlineが掲載した精神科医・国際医療福祉大学赤坂心理学科教授の 和田 秀樹氏による「和田秀樹「血圧と血糖値はちょっと高いぐらいがいい」…高齢者が薬とうまく付き合う3つの原則 薬で数値を下げると、生活の質まで下がってしまう」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/60708
・『いつまでも元気にすごすにはどうすればいいか。精神科医の和田秀樹さんは「血圧や血糖値はちょっと高めぐらいのほうが活力を維持してくれる。医者が処方する薬をそのまま飲むのではなく、本当に必要な薬なのかを点検してほしい」という――。※本稿は、和田秀樹『老人入門 いまさら聞けない必須知識20講』(ワニブックス)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・『飲んで不調になるなら薬を止めるしかない  医者は薬を処方しますが、それを飲むのは患者です。 したがって、その薬を飲み続けることで何らかの不調を感じたら、そのことをはっきりと言わなければいけません。言わない限り、医者は薬を出し続け、患者は不調に苦しみ続けることになるからです。 「フラフラする」「眠くなる」「頭がボーッとする」どんなことでもいいです。 それをはっきりと訴えて、まさか「気にしなくていいです」とか「我慢しなさい」という医者はいないと思いますが、無反応な医者はときどきいます。患者の訴えに取り合わず、結局、いつもと同じ薬を同じ量だけ出します。 もしそういう医者にいま診てもらっているのでしたら、医者を替えてください。 でも医者が処方する薬を「仕方ない」と思って諦めて飲んでいる人はいないでしょうか。 「これを飲むと頭がボーッとするんだけど、薬だから仕方ないのかな」 どんな薬にも副作用があることは知っています。ある程度の不調は薬の功罪の罪の部分で、功もそれなりにあるんだからと受け止める人です。「実際に血圧が下がっているんだから我慢すればいいのかな」と考えてしまいます。これはとんでもない考え方です。 なぜ薬を飲むのかといえば、不調を治すためです。いくら血圧の数値が下がったとしても飲めば調子が悪くなる薬なら意味がありません。そうなるくらいなら、血圧が高くても調子がいい状態に戻ったほうがじつは身体のためです。薬は飲まないほうがいいのです』、「いくら血圧の数値が下がったとしても飲めば調子が悪くなる薬なら意味がありません。そうなるくらいなら、血圧が高くても調子がいい状態に戻ったほうがじつは身体のためです。薬は飲まないほうがいいのです」、「薬」漬けからは脱却したいものだ。
・『放っておくと薬の種類と量は増えていく  血圧や血糖値が高めというだけで薬を出されますから、50代後半ぐらいから何らかの薬を毎朝、飲む人が出てきます。高齢になるにつれて検診で引っかかる項目が増え、実際に糖尿病や心血管系の病気にかかる人も増えてきますから、薬の種類も量も次第に増えてきます。 そのままいけば80代90代になったころにはどうなるのか、慢性的な不調はすべて歳のせい、病気のせいと思い込んでいるかもしれませんが、じつは薬のせいかもしれないのです。 そろそろ薬に対する考え方を根本的に見直したほうがいいでしょう。 飲まなくていい薬は飲まない。飲んでも飲まなくてもいいような薬も飲まない。飲んだほうがいい薬を必要なぶんだけ飲む。 この3つを守るためにはまず、医者とは堂々と付き合ってください。薬で調子が悪くなるときははっきり説明して「減らしたい」「飲みたくない」と申し出ましょう。医者の私が言うのも何ですが、自分の専門領域しか眼中にない医者ほど、とりあえず病気の原因となる検査項目の数値、血圧や血糖値を下げようとします。予防や悪化させないためですからこれは仕方ありません』、「慢性的な不調はすべて歳のせい、病気のせいと思い込んでいるかもしれませんが、じつは薬のせいかもしれないのです。 そろそろ薬に対する考え方を根本的に見直したほうがいいでしょう。 飲まなくていい薬は飲まない。飲んでも飲まなくてもいいような薬も飲まない。飲んだほうがいい薬を必要なぶんだけ飲む。 この3つを守るためにはまず、医者とは堂々と付き合ってください。薬で調子が悪くなるときははっきり説明して「減らしたい」「飲みたくない」と申し出ましょう」、私はこれまで前立腺肥大の薬を飲んでいたが、もう飲む必要なしとして、全く飲んでいない。
・『かかりつけの薬局を1つ作って薬を整理してもらう  でも、心血管系の病気でも糖尿病のような基礎疾患でも、こういった項目の数値を下げるのが治療の第一歩と見なされますからどの医者も同じような薬を処方します。3つも4つもクリニックに通っていたらたまったものではありません。しかも2カ月分くらいどさっと出します。 そこで、せめて薬局をひとつにしましょう。医者が処方した薬をクリニックに近い薬局から出されるままに持ち帰るのでなく、できれば自宅に近い薬局を選んでお薬手帳も1冊にまとめ、薬剤師に話して用途がダブっている薬を取り除いてもらいます。 意外に知られていないのですが、薬を取り巻く状況はだいぶ変わってきました。 薬局の役割が大きくなってきます。「薬剤管理」などの名目で個人の薬剤情報の一元管理を目指しています。多剤処方や重複投薬を防止する方向に進んでいるのです。 医者が処方する薬を「仕方ない」と諦めてそのまま飲むのでなく、ぜひかかりつけの薬局を作って無用な薬は飲まないようにしてください。薬のことだけなら医者より薬剤師のほうが精通しています。) もちろん理想を言えば、薬への不満をしっかりと受け止めてくれる医者と出会うことです。「調子悪くなります」と訴えたときに、「少し減らしてみましょう」と臨機応変に対応してくれるかかりつけ医を見つけることでしょう。 いちばんいいのは、話しやすくて会うと気持ちが楽になる医者、つまり相性のいい医者を探すことです。我慢してまで気に入らない医者と付き合う必要はありません。 そのためにも、薬を飲んで不調になるときにはそのことをはっきりと医者に申し出てください。そこがスタートです』、「理想を言えば、薬への不満をしっかりと受け止めてくれる医者と出会うことです。「調子悪くなります」と訴えたときに、「少し減らしてみましょう」と臨機応変に対応してくれるかかりつけ医を見つけることでしょう。 いちばんいいのは、話しやすくて会うと気持ちが楽になる医者、つまり相性のいい医者を探すことです。我慢してまで気に入らない医者と付き合う必要はありません」、私にはかかりつけ医はいないので、何となく不安だ。やはり近所で探してみよう。
・『高齢者が薬で「正常値」にする副作用  ほとんどの薬は血圧、血糖値、コレステロール値などの数値を下げるためのものです。 では、そういう数値を下げれば老いても元気に暮らしていけるのでしょうか。そもそもなぜ数値を下げようとするのかといえば、正常値とされる数値より高いからです。平均値を挟んで大半の人を正常とし、高過ぎたり低過ぎたりする人を異常とする統計的なものです。 でも人それぞれの体質や環境があります。少しぐらい高めでも毎日元気で、自分でも体調がいいと感じている人もいれば、正常値でも病気になったり不調を感じる人もいます。 たしかに脳梗塞や心筋梗塞のような病気の予防には、先に挙げた3つの項目の数値は高いより正常であったほうがいいでしょう。 でも薬を使ってまで下げる必要があるのかどうか、とくに高齢者の場合は疑問です。 私にも経験があるのですが、血圧や血糖値を薬で下げるとボーッとしたりだるくなったりすることがあります。コレステロール値を下げる薬は男性ホルモンを抑えますから活力のないしょぼくれた老人になってしまいます。コレステロールは免疫細胞の材料でもありますから免疫機能も低下します』、私は「コレステロール値」がやや高目だが、「コレステロール値を下げる薬」の副作用を考慮すると、飲まずに放置することにしたい。
・『血圧や血糖値、コレステロール値はちょっと高いぐらいがいい  それだけではありません。薬だけでなく食事にもつい気を遣うようになります。しょっぱいものとか味の濃いものを避け、肉料理のような脂っこいものも避けてしまいます。何だか食べる楽しみが薄れてしまいます。 その結果、数値がどんなに正常に近づいてもこれといって楽しみもなく、しかもボーッとしたり元気の出ない生活を送ることになってしまいます。これでは老いがどんどん加速されるでしょう。ただ数値を下げるためだけに薬を飲んでも、QOL(生活の質)までが下がってしまったら意味がありません。 むしろ血圧や血糖値、コレステロール値はちょっと高めぐらいのほうが高齢者の活力を維持してくれます。本人がそれで元気なら何も問題はないというのが私の考えです』、「血圧や血糖値、コレステロール値はちょっと高めぐらいのほうが高齢者の活力を維持してくれます」、筆者の和田氏は、嬉しいことを言ってくれる有難い先生だ。

次に、8月29日付けPRESIDENT Onlineが掲載した精神科医・国際医療福祉大学赤坂心理学科教授の和田 秀樹氏による「「脳の健康を守り、平均寿命を伸ばす」70代になったら積極的に食べたほうがいい"3つの食べ物" 1000年以上前から健康食として知られている」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/60903
・『いつまでも健康でいるためにはなにを食べればいいか。老年医学の専門家である和田秀樹さんは「それは納豆と肉と野菜だ。これらの食材は脳を健康にする効果がある。特に70歳を過ぎたら、積極的に食べたほうがいい」という――。(第1回)※本稿は、和田秀樹『70歳の正解』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・『平安時代から健康食として認められていた納豆  30年余り精神科医を続け、約6000人の患者さんと接するなか、最も頻繁に受けてきた質問は、「食」と「睡眠」に関するものです。「何を食べれば、頭と体にいいのですか?」「よく眠れないのですが、どうすればいいでしょう?」というような問いですが、そうした質問に答えていきましょう。 まずは「食」ですが、前著『80歳の壁』では、「肉を食べる」ことの重要性を強調しました。牛肉や豚肉は、トリプトファンというアミノ酸をたっぷり含み、それが脳内の神経伝達物質の司令塔、セロトニンの材料になり、脳の活性化につながる――というのが、その大きな理由です。 本稿では、肉とともに、高齢者こそ摂りたい他の食べ物について、お話ししていきましょう。まずは、健康食の代表格、「納豆」です。話が飛ぶようですが、平安時代の宮廷医に、丹波康頼たんばのやすよりという人がいました。日本史に名を残す「最初の名医」といえる人物で、984年に日本最古の医学事典『医心方いしんほう』を著しています。 同書は、世界記憶遺産への登録運動も始まっている名著であり、大著です。2012年、古典医学研究家の槇まき佐知子さちこ氏の全訳が完成し、医学界で大きな話題になりました。私も、全巻読破とはいかなくとも、拾い読みしてみたのですが、その中に「納豆はひじょうに優秀な食品で、解毒げどく作用がある」という意味の一節がありました。1000年以上も前の医師が、すでに納豆の食品としての優秀性に気づいていたのです』、「納豆」が「平安時代から健康食として認められていた」とは初めて知った。
・『「ブレインフード」とも呼ばれている大豆  「納豆が脳にも体にもいい」ことは、医学・栄養学の研究者の衆目一致するところです。良質の植物性タンパク質を、最も効果的にとれる食材だからです。しかも、値段が安い。スーパーに行けば、3連パックが100円ほどで手に入ります。納豆は、最安値の“サプリメント”といってもいいでしょう。 一般に、高齢者は、体重1キロ当たり、1日に1.2〜1.5グラム程度のタンパク質をとるのが望ましいとされています。体重60キロの人で70〜90グラムです。これは、肉70〜90グラムではなく、純粋のタンパク質の重量ですから、摂取するのはなかなか大変です。朝はタマゴ、昼は魚、夜は肉くらいのつもりで、タンパク質性の食材を食べて、初めて摂取できる量です。そこで、大いに活用したいのが、納豆などの大豆を素材とする食品なのです。 大豆食品は、脳にとっても、強い味方です。近年、大豆は、脳の働きを活発にする点でも注目され、「ブレインフード」とも呼ばれています。 脳内では、神経細胞(ニューロン)から神経伝達物質が分泌され、刺激や情報が別の神経細胞へ伝わっています。脳が活発に働いている状態とは、「神経伝達物質の量が多くなり、シナプス間を活発に行き来している状態」といっていいのですが、大豆は、その神経伝達物質の重要な原料「レシチン」をたっぷり含んでいるのです。 レシチンは、脳内でアセチルコリンという神経伝達物質に変化します。アセチルコリンが不足すると、脳内の情報伝達がうまくいかなくなります。認知症患者の人には、アセチルコリン不足の人が多いことがわかっています。大豆を素材とする食品、納豆や豆腐、豆乳、みそ、きな粉などを食べれば、そのレシチンをたっぷり摂取できます。中でも、納豆は、大豆の栄養をほぼそのままの形で摂取できる優秀な食材なのです』、「大豆は、その神経伝達物質の重要な原料「レシチン」をたっぷり含んでいるのです。 レシチンは、脳内でアセチルコリンという神経伝達物質に変化します。アセチルコリンが不足すると、脳内の情報伝達がうまくいかなくなります。認知症患者の人には、アセチルコリン不足の人が多いことがわかっています。大豆を素材とする食品、納豆や豆腐、豆乳、みそ、きな粉などを食べれば、そのレシチンをたっぷり摂取できます。中でも、納豆は、大豆の栄養をほぼそのままの形で摂取できる優秀な食材なのです」、確かに素晴らしい「食材」だ。
・『70歳を過ぎたら、むしろコレステロールが必須  私が講演などで「高齢者ほど肉を食べたほうがいい」とお話しすると、かならず「コレステロール値が上がるのが心配で」という質問の声が上がります。 そうした不安に答えるため、ここで、声を大にしていっておきますが、「コレステロールは、体に悪い」というのは、フェイクニュース、間違った思い込みです。むしろ、老後、元気に暮らすためには、コレステロールは不可欠な物質なのです。) そもそも、コレステロールは、人間を含めた動物の体を形づくる脂質の一種。性ホルモンや細胞膜の材料になるなど、生命体に欠かせないものです。加えて、コレステロールは、脳内で「セロトニンを運ぶ」という大役を果たしています。セロトニンは、脳の神経細胞間で、刺激や興奮を伝える神経伝達物質のひとつです。 神経伝達物質といえば、ドーパミンやアドレナリンが有名ですが、セロトニンはそれらの分泌量のコントロールにも一役買っている神経伝達物質の司令塔であり、「心」のコントロール役をつとめています。コレステロールは、そのセロトニンを運んでいるため、コレステロール値の高い人のほうが、うつ病にかかりにくいことがわかっています。また、いったん、うつ病にかかっても、治りやすいのです』、「コレステロールは、脳内で「セロトニンを運ぶ」という大役を果たしています。セロトニンは、脳の神経細胞間で、刺激や興奮を伝える神経伝達物質のひとつです。 神経伝達物質といえば、ドーパミンやアドレナリンが有名ですが、セロトニンはそれらの分泌量のコントロールにも一役買っている神経伝達物質の司令塔であり、「心」のコントロール役をつとめています。コレステロールは、そのセロトニンを運んでいるため、コレステロール値の高い人のほうが、うつ病にかかりにくいことがわかっています」、「「コレステロールは、体に悪い」というのは、フェイクニュース、間違った思い込みです。むしろ、老後、元気に暮らすためには、コレステロールは不可欠な物質なのです」、私が「コレステロール」値が高いとして悩んだのは馬鹿馬鹿しくなった。
・『肉を食べることで、さまざまな健康効果が期待できる  さらに、コレステロールは、主要な男性ホルモン、テストステロンの材料にもなります。日本人がセックスレスになりがちなのも、「コレステロールを減らしたほうがいい」という誤った言説が広まった結果、男性ホルモンを減らしたことが原因のひとつだと、私は見ています。 さらには、コレステロール値が低いと、がんになりやすいというデータもあります。これは免疫細胞の材料が不足するからでしょう。また、コレステロールが多すぎると、「高コレステロール血症」となり、動脈硬化を引き起こすリスクが高まるのはたしかですが、少なすぎても、血管がもろくなり、脳卒中を起こしやすくなります。 そもそも、現在、日本人の平均寿命が世界トップクラスになった理由のひとつは、戦後、戦前とは比べものにならないほど「肉を食べる」ようになり、コレステロールの摂取量が格段に増えたことです。コレステロール摂取量が増えたことで、血管が強く、しなやかになり、出血性の脳卒中による死亡者が激減したのです』、「コレステロールは、主要な男性ホルモン、テストステロンの材料にもなります。日本人がセックスレスになりがちなのも、「コレステロールを減らしたほうがいい」という誤った言説が広まった結果、男性ホルモンを減らしたことが原因のひとつだと、私は見ています」、なるほど。
・『ビタミンは体だけではなく脳の健康にも深く関わっている  次はビタミンです。知っておいていただきたいのは、ビタミンは、体の健康だけでなく、脳の健康にも深く関わっていることです。 アメリカでは、知能指数とビタミンCとの関係について、次のような実験が行われました。幼稚園児から大学生までの351人を2つのグループに分け、Aグループには、血中のビタミンC濃度が高くなるような食事を与え、一方のBグループには、ビタミンCが不足するような食事を与えました。その状態でIQテストを行ったところ、Aグループの平均が113.2、Bグループの平均が108.7と、有意差が生じたのです』、「血中のビタミンC濃度が高くなるような食事を与え、一方の・・・ビタミンCが不足するような食事を与えました」、「IQテストを行ったところ、Aグループの平均が113.2、Bグループの平均が108.7と、有意差が生じた」、ずいぶん明確な差が出たことに驚かされた。
・『頭をよくするビタミンCの「抗酸化作用」  ビタミンCが頭をよくする理由は、酸化を防ぐ抗酸化作用にあります。 脳細胞の酸化が進み、傷つくと、脳全体の働きが弱ってしまいます。また、血管内で酸化が進んでも、脳に必要な酸素や栄養が行き渡らなくなってしまいます。そのため、脳や血管の酸化は、認知症全体の約7割を占めるアルツハイマー型認知症の原因のひとつとされているのですが、ビタミンCには、それを防ぐ力があるのです。 ビタミンCには、酸化の逆である還元作用を起こす力があります。その作用によって酸化を防ぎ、脳細胞や血管を守るのです。むろん、ビタミンCは、脳や血管だけでなく、体全体にとっても必要です。老後、新鮮な野菜やフルーツをたっぷり食べている人は、男性で6年、女性で1年、寿命が伸びるというデータもあります。 ご承知のように、ビタミンCは、野菜や果物に含まれていますが、サプリメントで補給することもできます。ビタミンCは、古くから「健康にいい」と注目されてきたため、早い時期から、錠剤が作られ、その値段はサプリメントの中でも、最安値の部類に入ります。大いに利用しましょう』、「ビタミンCは、古くから「健康にいい」と注目されてきたため、早い時期から、錠剤が作られ、その値段はサプリメントの中でも、最安値の部類に入ります。大いに利用しましょう」、なるほど。
・『やっぱり「酒」と「たばこ」は健康に良くない  常識的なことではありますが、70歳前後ともなれば、飲酒は、ほどほどを心がけることです。 酒は、ストレスの発散効果があるとはいえ、基本的には脳にダメージを与える物質です。大酒を飲んだとき、記憶がなくなるのも、脳内で記憶に関して重要な役割を果たしている「海馬」という部位が麻痺するために起きる現象です。 脳には、「血液脳関門」という有害物質の侵入を阻止する“関所”が設けられているのですが、アルコール類はその関所を突破して、脳内に入り込みます。そうして、海馬を麻痺させてしまうのです。一時的な“記憶喪失”は、酒からさめれば解消されるとしても、毎日のように大酒を吞のんでいると、前頭葉が確実に萎縮していきます。実際、アルコール依存症患者の脳を調べると、前頭葉と海馬が萎縮しているケースがひじょうに多いのです。とりわけ怖いのは「ひとり吞み」で、アルコール依存症のリスクが大きく高まります。 一方、タバコも、やめるに越したことはありません。脳への影響についていうと、ニコチンは血管を縮めるため、体内の血のめぐりが悪くなるうえ、脳に流入する血液量が減っていきます。すると、脳はたえず酸素不足の状態に陥り、うまく機能しなくなってしまうのです。 いわば、ヘビースモーカーの脳は、つねに酸素不足で、いわば金魚が口をパクパクしているような状態。そんな状態では、脳の衰えを防ぐことはできません。 ただ、最近の研究では、ニコチンにはアルツハイマー型認知症を防ぐ効果もあるとされています。どうしても禁煙できないという人は、酸素不足の起こりにくい電子タバコでがまんするのが、現実的な解決法といえるかもしれません』、「ヘビースモーカーの脳は、つねに酸素不足で、いわば金魚が口をパクパクしているような状態。そんな状態では、脳の衰えを防ぐことはできません」、私は既に禁煙しているが、こんな恐ろしい事実を知っていれば、もっと早く禁煙したろう。
・『「食べる」ことと「噛む」ことは健康に大きく影響している  「食べる」ことに関連して、「噛む」ことの重要性について述べておきたいと思います。 以前、「ガム」に関して、次のような記憶力テストが行われたことがあります。対象は、小学生。色付きボードの配置を30秒間で覚え、その通りにカードを並べ直すというテストです。このテスト、ガムを噛みながら行うと、正解率が2倍にもアップしたのです。 そこで、ガムを噛んでいるときの、脳の状態を調べると、血流量が増えていることがわかりました。とりわけ、記憶を司つかさどる海馬の血流量が増えていたのです。そのメカニズムは、以下の通りです。 ガムを噛むと、あごの「咬筋こうきん」が動きますが、その咬筋は三叉さんさ神経によって脳とつながっています。そのため、咬筋を動かしたことによる信号が、大脳や扁桃体へんとうたいなど、認知機能を司る部位を刺激し、血流が増えるという仕組みです。 加えて、ガムを噛むと、歯の歯根膜しこんまくが圧力を受けます。歯根膜への刺激も脳に信号として伝わり、脳を刺激します。これもまた、脳の活性化につながるのです。逆にいうと、歯が悪いことは、認知症の原因になります』、「歯が悪いことは、認知症の原因になります」、幸い、私の歯はいいので安心した。
・『ガムやスルメを食べるだけで脳の衰えを防ぐことができる  その理由は2つあって、第一には、噛む回数が減ることで、脳への刺激が減り、認知機能が衰えること。第二には、噛む力が衰えると、生野菜などの硬い食べ物を避けて、麺類など、やわらかいものを食べる機会が増えることです。すると、ビタミン不足に陥り、これもまた、認知症の発生リスクを高めるのです。 実際、歯が20本以上ある人に対して、歯のほとんどない人は、認知症の発症率が1.85倍も高いというデータもあります。また、アルツハイマー型認知症の患者は、野菜の摂取量が少ないこともわかっています。私は、健康に長生きしたければ、義歯やインプラントなど、歯にはお金をかけたほうがいいと思います。 なお、脳を刺激するには、咬筋を動かせばいいのですから、噛むものは、ガムではなく、スルメでもOK。私も、ときおり昔懐かしい「都こんぶ」を買ってきては、噛んでいます。というわけで三度の食事をとるときは、若いとき以上に、よく噛んで食べるようにしたいものです。それだけのことで、脳の衰えを防ぐことができるのです』、「歯が20本以上ある人に対して、歯のほとんどない人は、認知症の発症率が1.85倍も高いというデータもあります。また、アルツハイマー型認知症の患者は、野菜の摂取量が少ないこともわかっています」、「噛むものは、ガムではなく、スルメでもOK。私も、ときおり昔懐かしい「都こんぶ」を買ってきては、噛んでいます」、私はキシリトールのガムを噛んでいるが、「都こんぶ」も買ってくることにしよう。

第三に、9月3日付けPRESIDENT Onlineが掲載した「筋肉食堂」マネージャーの谷川 俊平氏による「一流のマッチョはみんな食べている…鶏のササミよりも栄養価が優れている「ある野菜」【2022上半期BEST5】 「アミノ酸スコア」が野菜のなかではダントツに高い」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/61177
・『2022年上半期(1月~6月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。食生活部門の第2位は――。(初公開日:2022年4月1日) 体作りのためには、どんな食事が望ましいのか。高タンパク・低カロリー食レストラン「筋肉食堂」を運営する谷川俊平さんは「ブロッコリーがおすすめだ。タンパク質が多く、アミノ酸スコアが高い食材で、筋トレをする人たちは必ず食べている」という――。 ※本稿は、谷川俊平『食べる筋トレ。』(かんき出版)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・『筋トレ民が大好き「ブロッコリー」の驚くべき効能  筋トレをする人(以下、トレーニーと呼ぼう)に人気の食材は、鶏肉をはじめとする肉類だろう。しかし、ここでどうしても紹介しておきたい食材がある。それは、ブロッコリーだ。 実は、ブロッコリーには、100グラムあたり、5.4グラムものタンパク質が含まれている。アミノ酸スコアも80と、野菜のなかではダントツに高い。しかも、糖質は1.5グラムと非常に低い。 同じ緑黄色野菜のニンジンと比べてみよう。ニンジンの100グラムあたりのタンパク質は、0.8グラムしかない。逆に、糖質は6.3グラムも含まれている。アミノ酸スコアは55だ。 こう聞くと、ブロッコリーがいかに優れた食品かがわかるだろう。 とはいえ、タンパク質の量だけを考えれば、肉や魚などのほうが優れているように思える。しかし、それ以外にもブロッコリーには数多くのメリットがある。 その1つが、「ジインドリルメタン」と「I3C」という成分だ。これらは、男性ホルモンを増強し、筋肉をつきやすくしてくれると言われている。これも、ブロッコリーが多くのトレーニーに好まれている理由だろう。 さらに、ブロッコリーには大量のビタミンCが含まれている。その量は100グラムあたり、140ミリグラム。ちなみに、ビタミン豊富と言われるレモンの可食部(皮などを除いた部分)は20ミリグラムだ』、「ブロッコリーには、100グラムあたり、5.4グラムものタンパク質が含まれている。アミノ酸スコアも80と、野菜のなかではダントツに高い。しかも、糖質は1.5グラムと非常に低い」、「それ以外にもブロッコリーには数多くのメリットがある。 その1つが、「ジインドリルメタン」と「I3C」という成分だ。これらは、男性ホルモンを増強し、筋肉をつきやすくしてくれると言われている。これも、ブロッコリーが多くのトレーニーに好まれている理由だろう。 さらに、ブロッコリーには大量のビタミンCが含まれている。その量は100グラムあたり、140ミリグラム。ちなみに、ビタミン豊富と言われるレモンの可食部・・・は20ミリグラムだ」、なるほど。
・『クリスティアーノ・ロナウドが毎日繰り返し食べている2つの食材  ご存じの方も多いと思うが、ビタミンCには、疲労回復効果がある。トレーニング後の回復だけでなく、日々の仕事の疲れもとれやすくなるので、積極的に食べないという選択肢はないのではないだろうか。 なお、ビタミンCには抗酸化作用もあるため、肌をきれいに保てるなど、若々しさを持続することにもつながる。 ちなみに、美しい筋肉の持ち主として知られるサッカー界のレジェンド、クリスティアーノ・ロナウドの毎日の食事は、「ライス、ムネ肉、ブロッコリーの繰り返し」だそうだ。 私自身も、ブロッコリーは毎日欠かさず食べている。塩茹でしたブロッコリーを1日に半株くらいは消費している。 塩味がついているのでそのまま食べてもいいし、ポン酢をつけてもいい。夏場はそうめんのつゆにつけるのもサッパリしておすすめだ。 なお、ブロッコリーを茹でて調理すると、ビタミンCが流れ出てしまうというデメリットがある。気になる人は、電子レンジで蒸して調理するといいだろう』、「クリスティアーノ・ロナウドの毎日の食事は、「ライス、ムネ肉、ブロッコリーの繰り返し」だそうだ」、そんな偏食で大丈夫なのだろうか。
・『体内で合成できない9種類の必須アミノ酸の中身  先ほど「アミノ酸スコア」という言葉が出てきたが、ここでタンパク質を選ぶ目安である「アミノ酸スコア」について詳しくお伝えしよう。 少し専門的な話になるが、タンパク質は20種類のアミノ酸で構成されている。そのうち体内で合成できないアミノ酸が9種類ある。 「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」「トレオニン」「リシン」「メチオニン」「フェニルアラニン」「トリプトファン」「ヒスチジン」というアミノ酸がそれだ。 これらを「必須アミノ酸」と呼ぶ。体内で合成できないということは、「食品から摂取するしかない」ということだ。 実は、この9種類の必須アミノ酸がすべてそろわないと体内で十分なタンパク質が生成されない。 だから、その食材に必須アミノ酸がどれくらいバランスよく含まれているかが大事になってくる。それを示す数値を「アミノ酸スコア」という。 ちなみに、アミノ酸スコアは100が上限で、この値が高ければ高いほど、同じ量を食べても筋肉がつきやすいということだ』、「9種類の必須アミノ酸がすべてそろわないと体内で十分なタンパク質が生成されない。 だから、その食材に必須アミノ酸がどれくらいバランスよく含まれているかが大事になってくる。それを示す数値を「アミノ酸スコア」という。 ちなみに、アミノ酸スコアは100が上限で、この値が高ければ高いほど、同じ量を食べても筋肉がつきやすいということだ」、「ブロッコリー」が80というのは野菜のなかではダントツだ。
・『菜食主義者のカール・ルイスでも立派な筋肉はつく  図表1を見てほしい。 【図表1】主な食品のアミノ酸スコア出所=『食べる筋トレ。』より 牛肉、鶏肉、豚肉などの食肉、マグロやアジなどの魚、卵など、動物性タンパク質のアミノ酸スコアは、ほぼ100だ。 一方、野菜類などの植物性タンパク質は、大豆など一部を除いてアミノ酸スコアが低い傾向がある。 ということは、「植物性タンパク質を食べても十分にタンパク質を生成できないのでは?」と思うかもしれないが、植物性タンパク質でも筋肉はつく。 いろいろな種類の植物性タンパク質を組み合わせることで、必須アミノ酸のバランスが整うからだ。 たとえば、陸上のカール・ルイスは菜食主義者だが、立派な筋肉のついた体で世界記録を出している。 また、牛肉や豚肉は部位によって脂肪など余分なものも多いことがあるので、カロリー過多になりやすい。 一方、植物性タンパク質のなかでも、大豆や大豆加工品のアミノ酸スコアは100だ。しかし、豆類には糖質も多い。したがって、タンパク質はできるだけいろいろな食材からとるのが望ましい。 私自身も、動物性タンパク質と植物性タンパク質をとり交ぜながら摂取している。 そう考えると、大切なのは、各食材の特徴についての知識を蓄えて、それをもとにさまざまな食材からタンパク質を摂取することではないだろうか』、「植物性タンパク質でも筋肉はつく。 いろいろな種類の植物性タンパク質を組み合わせることで、必須アミノ酸のバランスが整うからだ。 たとえば、陸上のカール・ルイスは菜食主義者だが、立派な筋肉のついた体で世界記録を出している」、「大切なのは、各食材の特徴についての知識を蓄えて、それをもとにさまざまな食材からタンパク質を摂取することではないだろうか」、その通りだ。
・『鶏肉でオススメなのはササミよりもムネ肉  最後に、トレーニーにとっての最強食材である鶏肉について補足しておこう。 昔から、ボディビルダーたちのあいだでは、「筋肉をつけたいなら鶏肉がベスト」と言われてきた。なぜなら鶏肉は、高タンパク・低カロリーのお手本のような食品だからである。 そんな鶏肉のなかでも特におすすめの部位は「ササミ」というのが定説だった。タンパク質の含有量は、ササミもムネ肉も100グラム中、約23グラムだが、ムネ肉は脂質が100グラム中、1.9グラムあるのに対し、ササミは0.8グラム。鶏肉のなかでも最も脂質が少ないのがササミだからだ。 ちなみに、モモ肉は鶏肉のなかで最も脂肪が多く、皮つき肉の脂質は19.1グラムになる(ただし、皮を取り除けば4.8グラムに減る)。 しかし、私はどちらかというと、ムネ肉を推奨している。その理由は、疲労回復に役立つ成分が含まれているからだ。 渡り鳥は何日間も眠らずに飛び続けることができる。人間には到底、不可能な芸当だ。そんなことができるのは、翼を動かしているムネ肉に「イミダペプチド」という物質が含まれているから。 このイミダペプチドは、われわれ人間の疲労回復にも威力を発揮することがわかっている。ニワトリは、渡り鳥ではないが、そのムネ肉にもイミダペプチドは含まれている。 筋トレをした後に、鶏ムネ肉を食べると、イミダペプチドの効果で疲れが早くとれるというわけだ』、「渡り鳥は何日間も眠らずに飛び続けることができる・・・そんなことができるのは、翼を動かしているムネ肉に「イミダペプチド」という物質が含まれているから」、「ニワトリは、渡り鳥ではないが、そのムネ肉にもイミダペプチドは含まれている。 筋トレをした後に、鶏ムネ肉を食べると、イミダペプチドの効果で疲れが早くとれる」、「疲れが早くとれる」というのは魅力的だ。
・『筋肥大を目指すなら皮も食べたほうがいい  また、鶏ムネ肉は牛肉や豚肉だけでなく、同じ鶏肉のササミやモモ肉と比べても、値段が安い。牛肉を毎日食べ続けるのは経済的に厳しいという人も、ムネ肉なら毎日食べることができるのではないだろうか。 なお、鶏ムネ肉は多くの場合、皮がついたまま売られている。この皮の正体はほとんど脂身なので、体を引き締めたいならば、包丁でとることをおすすめする。 一方、筋肉を大きくしたいときは皮も食べたほうがいい。詳しくはここでは省くが、脂質は筋肉をつけるためには欠かせない栄養素だからだ。 鶏ムネ肉は塩コショウだけでも十分おいしいが、毎日食べていると飽きがくる。そんなときは「味変」で乗り切ろう。 私の働いている「筋肉食堂」では日替わりで鶏肉のソテーを提供しているが、あるときはトマトソース、あるときは大葉ジェノベーゼソースというように、さまざまなソースで変化をつけている。 梅干し、キムチ、ガーリックなどの食材とも相性が抜群だ。ぜひ味変に挑戦して、ムネ肉を存分に摂取してほしい』、「筋肉を大きくしたいときは皮も食べたほうがいい。詳しくはここでは省くが、脂質は筋肉をつけるためには欠かせない栄養素だからだ」、「あるときはトマトソース、あるときは大葉ジェノベーゼソースというように、さまざまなソースで変化をつけている。 梅干し、キムチ、ガーリックなどの食材とも相性が抜群だ。ぜひ味変に挑戦して、ムネ肉を存分に摂取してほしい」、「味変」とは面白そうで、一度、挑戦してみたい。
タグ:「歯が20本以上ある人に対して、歯のほとんどない人は、認知症の発症率が1.85倍も高いというデータもあります。また、アルツハイマー型認知症の患者は、野菜の摂取量が少ないこともわかっています」、「噛むものは、ガムではなく、スルメでもOK。私も、ときおり昔懐かしい「都こんぶ」を買ってきては、噛んでいます」、私はキシリトールのガムを噛んでいるが、「都こんぶ」も買ってくることにしよう。 「筋肉を大きくしたいときは皮も食べたほうがいい。詳しくはここでは省くが、脂質は筋肉をつけるためには欠かせない栄養素だからだ」、「あるときはトマトソース、あるときは大葉ジェノベーゼソースというように、さまざまなソースで変化をつけている。 梅干し、キムチ、ガーリックなどの食材とも相性が抜群だ。ぜひ味変に挑戦して、ムネ肉を存分に摂取してほしい」、「味変」とは面白そうで、一度、挑戦してみたい。 「渡り鳥は何日間も眠らずに飛び続けることができる・・・そんなことができるのは、翼を動かしているムネ肉に「イミダペプチド」という物質が含まれているから」、「ニワトリは、渡り鳥ではないが、そのムネ肉にもイミダペプチドは含まれている。 筋トレをした後に、鶏ムネ肉を食べると、イミダペプチドの効果で疲れが早くとれる」、「疲れが早くとれる」というのは魅力的だ。 「植物性タンパク質でも筋肉はつく。 いろいろな種類の植物性タンパク質を組み合わせることで、必須アミノ酸のバランスが整うからだ。 たとえば、陸上のカール・ルイスは菜食主義者だが、立派な筋肉のついた体で世界記録を出している」、「大切なのは、各食材の特徴についての知識を蓄えて、それをもとにさまざまな食材からタンパク質を摂取することではないだろうか」、その通りだ。 「9種類の必須アミノ酸がすべてそろわないと体内で十分なタンパク質が生成されない。 だから、その食材に必須アミノ酸がどれくらいバランスよく含まれているかが大事になってくる。それを示す数値を「アミノ酸スコア」という。 ちなみに、アミノ酸スコアは100が上限で、この値が高ければ高いほど、同じ量を食べても筋肉がつきやすいということだ」、「ブロッコリー」が80というのは野菜のなかではダントツだ。 「クリスティアーノ・ロナウドの毎日の食事は、「ライス、ムネ肉、ブロッコリーの繰り返し」だそうだ」、そんな偏食で大丈夫なのだろうか。 「ブロッコリーには、100グラムあたり、5.4グラムものタンパク質が含まれている。アミノ酸スコアも80と、野菜のなかではダントツに高い。しかも、糖質は1.5グラムと非常に低い」、「それ以外にもブロッコリーには数多くのメリットがある。 その1つが、「ジインドリルメタン」と「I3C」という成分だ。これらは、男性ホルモンを増強し、筋肉をつきやすくしてくれると言われている。これも、ブロッコリーが多くのトレーニーに好まれている理由だろう。 さらに、ブロッコリーには大量のビタミンCが含まれている。その量は100グラム 谷川俊平『食べる筋トレ。』(かんき出版) 谷川 俊平氏による「一流のマッチョはみんな食べている…鶏のササミよりも栄養価が優れている「ある野菜」【2022上半期BEST5】 「アミノ酸スコア」が野菜のなかではダントツに高い」 「歯が悪いことは、認知症の原因になります」、幸い、私の歯はいいので安心した。 「ヘビースモーカーの脳は、つねに酸素不足で、いわば金魚が口をパクパクしているような状態。そんな状態では、脳の衰えを防ぐことはできません」、私は既に禁煙しているが、こんな恐ろしい事実を知っていれば、もっと早く禁煙したろう。 「ビタミンCは、古くから「健康にいい」と注目されてきたため、早い時期から、錠剤が作られ、その値段はサプリメントの中でも、最安値の部類に入ります。大いに利用しましょう」、なるほど。 「血中のビタミンC濃度が高くなるような食事を与え、一方の・・・ビタミンCが不足するような食事を与えました」、「IQテストを行ったところ、Aグループの平均が113.2、Bグループの平均が108.7と、有意差が生じた」、ずいぶん明確な差が出たことに驚かされた。 「コレステロールは、主要な男性ホルモン、テストステロンの材料にもなります。日本人がセックスレスになりがちなのも、「コレステロールを減らしたほうがいい」という誤った言説が広まった結果、男性ホルモンを減らしたことが原因のひとつだと、私は見ています」、なるほど。 「コレステロールは、脳内で「セロトニンを運ぶ」という大役を果たしています。セロトニンは、脳の神経細胞間で、刺激や興奮を伝える神経伝達物質のひとつです。 神経伝達物質といえば、ドーパミンやアドレナリンが有名ですが、セロトニンはそれらの分泌量のコントロールにも一役買っている神経伝達物質の司令塔であり、「心」のコントロール役をつとめています。コレステロールは、そのセロトニンを運んでいるため、コレステロール値の高い人のほうが、うつ病にかかりにくいことがわかっています」、「「コレステロールは、体に悪い」というのは、 「大豆は、その神経伝達物質の重要な原料「レシチン」をたっぷり含んでいるのです。 レシチンは、脳内でアセチルコリンという神経伝達物質に変化します。アセチルコリンが不足すると、脳内の情報伝達がうまくいかなくなります。認知症患者の人には、アセチルコリン不足の人が多いことがわかっています。大豆を素材とする食品、納豆や豆腐、豆乳、みそ、きな粉などを食べれば、そのレシチンをたっぷり摂取できます。中でも、納豆は、大豆の栄養をほぼそのままの形で摂取できる優秀な食材なのです」、確かに素晴らしい「食材」だ。 「納豆」が「平安時代から健康食として認められていた」とは初めて知った。 和田 秀樹氏による「「脳の健康を守り、平均寿命を伸ばす」70代になったら積極的に食べたほうがいい"3つの食べ物" 1000年以上前から健康食として知られている」 「血圧や血糖値、コレステロール値はちょっと高めぐらいのほうが高齢者の活力を維持してくれます」、筆者の和田氏は、嬉しいことを言ってくれる有難い先生だ。 (その22)(和田秀樹「血圧と血糖値はちょっと高いぐらいがいい」…高齢者が薬とうまく付き合う3つの原則 薬で数値を下げると 生活の質まで下がってしまう、「脳の健康を守り 平均寿命を伸ばす」70代になったら積極的に食べたほうがいい"3つの食べ物" 1000年以上前から健康食として知られている、一流のマッチョはみんな食べている…鶏のササミよりも栄養価が優れている「ある野菜」【2022上半期BEST5】 「アミノ酸スコア」が野菜のなかではダントツに高い) 健康 私は「コレステロール値」がやや高目だが、「コレステロール値を下げる薬」の副作用を考慮すると、飲まずに放置することにしたい。 「慢性的な不調はすべて歳のせい、病気のせいと思い込んでいるかもしれませんが、じつは薬のせいかもしれないのです。 そろそろ薬に対する考え方を根本的に見直したほうがいいでしょう。 飲まなくていい薬は飲まない。飲んでも飲まなくてもいいような薬も飲まない。飲んだほうがいい薬を必要なぶんだけ飲む。 この3つを守るためにはまず、医者とは堂々と付き合ってください。薬で調子が悪くなるときははっきり説明して「減らしたい」「飲みたくない」と申し出ましょう」、私はこれまで前立腺肥大の薬を飲んでいたが、もう飲む必要なしとして、全 「いくら血圧の数値が下がったとしても飲めば調子が悪くなる薬なら意味がありません。そうなるくらいなら、血圧が高くても調子がいい状態に戻ったほうがじつは身体のためです。薬は飲まないほうがいいのです」、「薬」漬けからは脱却したいものだ。 和田秀樹『老人入門 いまさら聞けない必須知識20講』(ワニブックス) 和田 秀樹氏による「和田秀樹「血圧と血糖値はちょっと高いぐらいがいい」…高齢者が薬とうまく付き合う3つの原則 薬で数値を下げると、生活の質まで下がってしまう」 PRESIDENT ONLINE
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終末期(その8)(バキバキと骨が折れても心臓マッサージは続く…救急科の看護師が目を背けたくなった「延命治療」の壮絶さ 家族と対面するときには 変わり果てた姿になっている、マスコミは不安をあおっているだけ…東大名誉教授が「孤独死は立派なことだ」と褒める理由 猫の生き方に学ぶ「自分軸」のつくりかた、和田秀樹が見た「後悔しながら死ぬ人 満足して死んでいける人」を分ける意外な要素 年をとったら もっと遊んだほうがいい) [人生]

終末期については、5月1日に取上げた。今日は、(その8)(バキバキと骨が折れても心臓マッサージは続く…救急科の看護師が目を背けたくなった「延命治療」の壮絶さ 家族と対面するときには 変わり果てた姿になっている、マスコミは不安をあおっているだけ…東大名誉教授が「孤独死は立派なことだ」と褒める理由 猫の生き方に学ぶ「自分軸」のつくりかた、和田秀樹が見た「後悔しながら死ぬ人 満足して死んでいける人」を分ける意外な要素 年をとったら もっと遊んだほうがいい)である。

先ずは、7月27日付けPRESIDENT Onlineが掲載した看護師の前田 和哉氏による「バキバキと骨が折れても心臓マッサージは続く…救急科の看護師が目を背けたくなった「延命治療」の壮絶さ 家族と対面するときには、変わり果てた姿になっている」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/59928
・『救命救急の現場では、どのような治療が行われているのか。『自分らしい最期を生きた人の9つの物語』(KADOKAWA)を上梓した看護師の前田和哉さんは「ICUに運び込まれてくれば、延命治療が最優先になる。このため胸の骨をバキバキと折りながら、心臓マッサージを続けることもあった。私はそんな現場に疑問を持って、救急科を離れることになった」という――』、看護師にとっては「救急科」にも予想外の落とし穴があるようだ。
・『新人ナース時代に感じた“違和感”  私が看護師としてのキャリアをスタートしたのは、2009年のこと。静岡県内の総合病院に就職し、救急科の集中治療室(ICU)に配属されました。 救急科には昼夜問わず、ひっきりなしに重篤な患者さんが運ばれてきます。中には治療によって回復する人もいましたが、運ばれてきた時点ですでに心肺停止に近い状態で、手の施しようのない方もたくさんいました。 1分1秒を争うような厳しい現場で患者さんの治療やケアに奔走していた私は、看護師として日々やりがいを感じながらも、ある違和感をおぼえるようになりました。 それは、今後回復が一切見込めない、高齢の患者さんに対しても、次々と心肺蘇生や延命治療が行われていくことでした』、「今後回復が一切見込めない、高齢の患者さんに対しても、次々と心肺蘇生や延命治療が行われていくこと」、確かに現在の医療の矛盾点だ。
・『骨が“バキバキ”と折れても心臓マッサージは行われる  実際に救急の現場でどのような救命措置や延命治療が行われていたのか。 まず、患者さんが心肺停止に陥った場合、即座に心臓マッサージが行われます。ただ、強い力で胸骨を圧迫するため、骨がバキバキと音を立てて折れてしまいます。特に高齢の方の場合は骨ももろくなっており、若い人以上にダメージが大きいのは間違いありません。 衝撃だったのは、その折れた骨が肺に刺さって、たびたび出血するということ。患者さんはこの時点で自発呼吸が弱まっているため、人工呼吸器の管を付けることになりますが、その際に吐血のように血が噴き出してくるのです。 さらに患者さんはショック状態に陥っていて、血も止まりにくくなっている。とめどなく流れる血液を吸引したり、拭き取ったりする処置をし続けなければなりませんでした。 血圧も大きく下がってしまいますから、点滴を大量に投与して血圧を上昇させます。すると、全身がむくみ出し、身体に吸収されなかった水分が小さな傷口や点滴の痕などからどんどん出てきてしまいます。吸収シートで全身をぐるぐると巻いて、流れ出る水分を拭き取る処置も欠かせません。 むくみの影響は顔面にも及び、誰だか見分けがつかなくなるほど顔が膨れ上がることもありました。まぶたも閉じなくなり、眼が開いたままの状態になることも……。乾燥を防ぐために、眼の表面に保湿剤のワセリンを塗って、ラップフィルムをかぶせる。そうした処置もナースの仕事の一つでした。 あまりに痛々しくて、目を覆いたくなるような場面もありましたが、実際に医療現場でどのようなことが起こっているのか、知っていただきたいと思い、ありのまま書かせてもらいました。 医療系ドラマの救命のシーンのように、「命が助かってよかった」と軽々しく言えないほど、壮絶な現場であったことは確かです』、「血圧も大きく下がってしまいますから、点滴を大量に投与して血圧を上昇させます。すると、全身がむくみ出し、身体に吸収されなかった水分が小さな傷口や点滴の痕などからどんどん出てきてしまいます。吸収シートで全身をぐるぐると巻いて、流れ出る水分を拭き取る処置も欠かせません。 むくみの影響は顔面にも及び、誰だか見分けがつかなくなるほど顔が膨れ上がることもありました。まぶたも閉じなくなり、眼が開いたままの状態になることも……。乾燥を防ぐために、眼の表面に保湿剤のワセリンを塗って、ラップフィルムをかぶせる。そうした処置もナースの仕事の一つでした」、確かに救急医療行為の副作用は想像以上に酷いようだ。
・『延命治療をしてよかったのかと悔やむ家族  そのことを最も痛切に感じたのは、間近で見ているご家族ではないかと思います。もちろん、医師や看護師が処置をしている最中はご家族に見せることはありません。 ですが、救命や延命措置が行われた後、たくさんの管につながれながら、変わり果てた姿でベッドに横たわっている。その姿を見て、本当にこうした措置を行ってよかったのかと、後悔の念にさいなまれるご家族がいたことも事実です』、「救命や延命措置が行われた後、たくさんの管につながれながら、変わり果てた姿でベッドに横たわっている」、「家族」にも覚悟が必要なようだ。
・『なぜ、救命救急の現場でこのような措置が取られるのか?  まず、心肺蘇生や延命治療を行うかどうかについては、ご本人の意識がないため、ご家族に確認します。ところが、ご家族もご本人の意思を把握していないことが多いので、なかなかすぐに決断ができません。その上、救急搬送されたショックもあり、思わず「命を助けてほしい」と、同意してしまうケースが多いのです。 ご家族と連絡がつかない場合も、医師の判断で救命措置がとられることになります。病院はまず「命を救う」ことが第一優先だからです。 ただ、「命を救う」という認識が、病院側とご家族の間で必ずしも一致していないのも事実。ご家族は「どうにか本人の命を助けてほしい」と救命や延命措置に同意しますが、病院はあくまで「救命すること」が目的であって、倒れる以前の状態まで回復できるとは限りません』、「病院はあくまで「救命すること」が目的であって、倒れる以前の状態まで回復できるとは限りません」、その通りだろう。
・『一命を取りとめたとしても、重篤な後遺症をもたらす可能性がある  蘇生行為によって一命を取りとめたとしても、意識不明のままであったり、重篤な後遺症をもたらしたりすることもあります。 それに加え、延命治療を途中でストップすることは困難です。現行の法律に「尊厳死」はなく、もし延命治療を中止した場合、医師の刑事責任が問われる恐れがあります。 そのため、人工呼吸器を一度装着したら、自発呼吸が見られるなど回復の兆候が見えない限り、外すことはできず、意識がないまま何年、何十年と延命され続けるケースも少なくありません。 その間、家族が通院して介護することになり、精神面、肉体面のみならず、経済的にも多大な負担を強いられます』、「蘇生行為によって一命を取りとめたとしても、意識不明のままであったり、重篤な後遺症をもたらしたりすることもあります。 それに加え、延命治療を途中でストップすることは困難です」、「人工呼吸器を一度装着したら、自発呼吸が見られるなど回復の兆候が見えない限り、外すことはできず、意識がないまま何年、何十年と延命され続けるケースも少なくありません」、「人工呼吸器」の装着は事前に家族の了解を取るのだろう。
・『何度も話し合いを重ねることで「本人の意思」をくみ取れる  人生の最終段階において、自分がどういう最期を迎えたいのか? 家族や医療・ケアチームと前もって話し合う、「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」、通称「人生会議」の重要性が叫ばれています。 「ACP(人生会議)」は、厚生労働省を中心に普及活動が行われていますが、中でも強調されているのが、本人と家族、医療・ケアチームの間で「繰り返し話し合う」という点です。 なぜ、話し合いを重ねたほうがいいのかというと、心身の状態によって本人の意思が変わる可能性があったり、家族の側が本人に対して望むこともあったりするからです。 例えば、本人は「家族に迷惑をかけたくないから、延命治療はしたくない」という想いを持っていても、家族は「できるだけの治療を受けて長く生きてほしい」と願っている場合もあります。お互いに想いをすり合わせることが、本人だけではなく残される家族にとっても、悔いのない最期につながりやすくなるのです。 近年の終活ブームにより、エンディングノートを書く人が増えましたが、書いておくだけでは残念ながら不十分です。 せっかく書き記しても机の引き出しにしまったままでは、いざというときに見つけてもらえず、自分の意に沿わない最期を迎えるリスクもあります。自分の意思は家族や身近な人と共有してこそ、初めて意味を成すものだと考えます』、「せっかく書き記しても机の引き出しにしまったままでは、いざというときに見つけてもらえず、自分の意に沿わない最期を迎えるリスクもあります。自分の意思は家族や身近な人と共有してこそ、初めて意味を成す」、大いに気をつけたい。
・『術後のリスクや後遺症を事前に理解しておくべき  また、人生会議を行う際には、かかりつけ医や担当の医師など、医療従事者を交えることをおすすめしたいです。というのも、延命治療にはどういうものがあり、その治療によって実際にどういうリスクがあるのか、医療者の立場でないと詳しくわからない部分があるからです。 これは私自身の家族のケースになりますが、以前こんな出来事がありました。 祖母が脳腫瘍を患い、手術をするかどうか家族内で話し合った時のことです。 祖母は、「どうしても手術がしたい。失敗しても自分が死ぬだけだから、責任は自分で取る」と言っていたため、家族もその想いに同意したのですが、現役の看護師でもある私は「待った」をかけました。そこでこう告げたのです。 「厳しいようだけど、もし手術が失敗した場合、重い障害が残り、寝たきりになるリスクもある。そのままずっと介護が続く恐れもあるよ」と。すると、家族は「そこまで想像していなかった」と言い、改めて手術をするべきかどうか考え直したのです。 結果的に手術を受けることになりましたが、術後のリスクや起こり得る後遺症を理解し、覚悟を持った上で治療に挑むのと、何も知らずに挑むのとでは、その後の事態の受け止め方が変わってきます。 私の場合はたまたま医療従事者の立場から意見が言えましたが、そうした医療の面からの視点も加えることで、より納得のいく決断がしやすくなるでしょう』、「人生会議を行う際には、かかりつけ医や担当の医師など、医療従事者を交えることをおすすめしたいです」、理想論ではあるが、現実には「医療従事者を交える」ことは難しいそうだ。
・『本人の意思を伝えられる代理人の存在が重要  終末期における延命治療については、さまざまな方法があります。いわゆる三大延命治療と言われているのが、「人工呼吸」「人工栄養」「人工透析」です。 中でも、口から栄養が取れなくなった場合に行われる「人工栄養」は種類も幅広く、点滴で注入する「末梢まっしょう静脈栄養法」、心臓に近い太い静脈に注入する「中心静脈栄養法」、鼻からチューブで胃に送る「経鼻経管栄養法」、胃に直接チューブで送る「胃瘻いろう」などがあります。 これらの治療は具体的にどのように行われるのか? 治療を行うことによってどのようなリスクがあるのかなど、それぞれのメリット・デメリットについて、医師から十分な説明を聞くと同時に、不安な点を確認しておくといいでしょう。 患者さん本人が自分の意思を明確に伝えられる場合はよいのですが、終末期の時にはすでに話せる状態にないことも多いかもしれません。 その場合には、本人に成り代わって、意思や希望を伝えられる代理人(代理意思決定者)となる人がいるとスムーズです。 例えば、「父(母)は、昔から食べることが好きで、『口から食べられなくなったら寿命だ』と言っていた。だから、胃瘻いろうの造設はしないでほしい」といったことや、「本人は延命治療を望んでいないが、痛かったり苦しかったりするのはとても嫌だと言っていた。最期、苦痛だけでも取り除いてもらえないか」など、本人の望みをまるで“影武者”のように医師に伝えられるとベストです。 そのためにも、「自分がどういう最期を迎えたいのか」を日頃から家族や身近な人に伝えておくと同時に、家族自身も本人の意向や考え方を知る努力が必要だと言えます。 幸せな最期とは、自分の望んだ形で人生のゴールテープを切れること――。多くの終末期の患者さんやご家族を見てきて、そう実感しています』、私の母の場合には、「人工栄養」は断ったので、最後の時はそれだけ早く来たが、それでよかったと思っている。

次に、8月24日付けPRESIDENT Onlineが掲載した東京大学名誉教授の矢作 直樹氏による「マスコミは不安をあおっているだけ…東大名誉教授が「孤独死は立派なことだ」と褒める理由 猫の生き方に学ぶ「自分軸」のつくりかた」を紹介しよう。
・『孤独死は避けるべきものなのか。東京大学名誉教授の矢作直樹さんは「一人でいることは決してネガティブなことではなく、家で孤独死することは本来褒められることだ。人の不安をあおってばかりいるテレビニュースなどを見ず、猫のように自分軸を持って生きることをお勧めする」という――。※本稿は、矢作直樹『閉塞感がニャくなる魔法の言葉88』(ワニブックス)の一部を再編集したものです』、「人の不安をあおってばかりいるテレビニュースなどを見ず、猫のように自分軸を持って生きることをお勧めする」、面白い考え方だ。
・『孤独死は特別なことでも寂しいことでもない  猫は気高く誰にも見られずに死ぬ、と言われています。これは、身体が弱ってきたときには誰の目にもつかないところに逃げ込むという防衛本能によるものだとも言われています。 今、世間では孤独死を、よくないこととして、問題として扱っている風潮があります。私はそうは思いません。 一人で家で死ぬということは、つまり、それまで一人で家で生活していたということです。 これは褒められこそすれ、非難されるようなことではありません。 家族と同居していたとしても、亡くなるときは一人です。たとえ、家族に見守られ、手を取られていたとしても、肉体を脱いで、あの世へ帰るときは誰もが一人です。 孤独死という言葉が独り歩きをして独居の人の不安をあおっていますが、なんの心配もありません。逆を言えば、誰もが孤独に死ぬのですから、孤独死は別に特別なことではありません。 寂しくもありません。先に逝った、あなたにとって懐かしい人が迎えに来るからです。両親かもしれませんし、配偶者や友人かもしれません。もしかしたら、飼っていたペットも一緒に迎えに来てくれるかもしれません。死は終わりではなく、こちらからあちらへ処替ところがえするだけです。楽しみに待っていていいのです。 独居の方は、家族や友人と毎日連絡を取り合うなどしていれば、万が一のときに時間がかからず発見されます。もし、時間が経ってしまっても、あなたの魂に傷はつかないし、なんの問題もありません。脱いだ服が少々傷いたんでしまうだけです』、「家族と同居していたとしても、亡くなるときは一人です。たとえ、家族に見守られ、手を取られていたとしても、肉体を脱いで、あの世へ帰るときは誰もが一人です。 孤独死という言葉が独り歩きをして独居の人の不安をあおっていますが、なんの心配もありません。逆を言えば、誰もが孤独に死ぬのですから、孤独死は別に特別なことではありません」、「独居の方は、家族や友人と毎日連絡を取り合うなどしていれば、万が一のときに時間がかからず発見されます。もし、時間が経ってしまっても、あなたの魂に傷はつかないし、なんの問題もありません」、発想法一つで世間の常識が頼りにならないことを示している。
・『一人でいても自由に好きなことができる  仲間がいないのを嘆くことはありません。一人でも楽しいことはたくさんあります。一人でできることに楽しみを見つけることができればいいのです。一人は気ままで自由です。 そういうと、そうした人生に意味があるのか、などとにらまれそうです。でも、人生に意味などいるのでしょうか。一匹で歩いている猫を見て不幸と感じるでしょうか。一人の気ままな自由を実感したら、きっと、人生に意味を見出す必要などないと思うでしょう。 私は学生のときから、一人でいるのが好きでした。山登りや自転車やランニングが好きなのは一人でできるからです。自分のペースで、誰に気兼ねする必要もありません。 山へはだいたい一人で行きます。長い時は3週間近く、人に会わないこともあります。冬は寒いです。風呂にも入れません。食事も質素なものになります。「何が楽しいの?」と友人に真顔で聞かれますが、荷物を詰め、山の準備をしているときは、まるで遠足前の子どもです。 また、私は一人暮らしのうえに留守がちなので、動物は飼えず、その代わりに植物を育てています。ランやグズマニアをいただいて鉢分けしたり、近所の花屋で買ったハイビスカスやブーゲンビリアなども育てていて、冬なのに花を咲かせていたりすると本当にけなげだと思います。話しかけると、まるで答えてくれるようなのです。 音楽を聴いたり、地図を見たり、本を読んだり、私の好きなことはすべて一人でできるものです。人嫌いなわけではありません。小さい頃から、一人でいる時間が多いのです。そこに、童心に戻れるような瞬間が少しでもあれば、それが幸せというものです』、「私は一人暮らしのうえに留守がちなので、動物は飼えず、その代わりに植物を育てています」、もともと独身のようだ。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%A2%E4%BD%9C%E7%9B%B4%E6%A8%B9
・『私がテレビのニュースを見ない理由  猫はたぶん、テレビを見ません。ですから、擬人化された漫画や小説の中の猫でもない限り、ニュースを見て世の中を嘆いたりはしません。 私は一方的にたれ流されるテレビのニュースは見ないようにしています。必要な情報はネットや文献から取捨選択します。 私たちができるのは、自分の心持ちをしっかりさせることだけです。それができないのなら、なるべくネガティブなニュースを見聞きしないようにしましょう。これは、逃げではありません。自分にインプットする情報は自分で選べるのです。同様に、つきあう友だちも自分で選べます。できる限り、自分が心地良いものを取り入れるようにしましょう』、「なるべくネガティブなニュースを見聞きしないようにしましょう。これは、逃げではありません。自分にインプットする情報は自分で選べるのです」、私は「ニュース」は「ネガティブな」ものであっても「インプットする」ようにしている。「なるべくネガティブなニュースを見聞きしないようにしましょう」、とすると、自分の判断基準がおかしくなってしまう懸念があるためだ。
・『マスコミは心配をあおることばかりする  たとえば、子どもへの虐待が後を絶たない、というニュースをよく目や耳にしますが、本当にそうでしょうか。ネットに公表されている警察庁の公式データを見ると、2009年から子供の虐待死の数は減少しています。 その一方、虐待事件の件数は増えています。これには理由があります。児童虐待防止法が制定されて虐待の範囲が大幅に拡大されたからです。この法律に基づいて警察が虐待の捜査や検挙に積極的に取り組むようになったために見た目の数字が増えました。ニュースは、データに基づいて正確に読み取る必要があります。マスコミは心配をあおることばかりするものです。 世の中の不条理を悲しんだり、怒ったりすることは不要。世の中を変えることなんてできないと割り切って楽しそうに幸せそうに生きていれば、それが世の中に影響を与えます』、「世の中の不条理を悲しんだり、怒ったりすることは不要。世の中を変えることなんてできないと割り切って楽しそうに幸せそうに生きていれば、それが世の中に影響を与えます」、私は「世の中を変えること」の難しさは理解した上で、それでも「変える」努力をすることに意義を見出している。
・『「万が一の事態」に向けて心がけることは…  「備え」をして、「恐れ」を手放してください。猫のようにいつも泰然自若としていましょう。 でも、「恐れ」だけで、「備え」がおろそかになってはいませんか。自分なりに備えれば、「あとはなんとかなる」と覚悟が定まるものです。 たとえば地震や台風など災害についていえば、家族が3日間過ごせるように備えることが目安です。3日間の内に、自治体の対策が整ってきます。そのための備えが必要、というわけです。具体的な準備については、消防庁のホームページなどに一般的な案内が載っています。 いろいろなものが入った「非常袋」を今はかんたんに買うこともできます。他に、赤ちゃんのオムツとか、ペットを飼っているならペットフードの備えとか、自分なりにアレンジする必要もあるでしょう。 私はいつも登山用のヘッドライトをカバンの中に入れています。電源が落ちても、明かりがあればとりあえず安全な場所へ動くことはできます。準備は想像力を働かせて行いましょう。 「○○になったら、○○する」というシミュレーションも必要です。これも想像力が必要です。自家用車を持っているなら、水没しそうになったら窓を割る、ということでカナヅチなどを運転席に備えておくこともいいでしょう。 準備が終わったら心配するのはやめましょう。もし、日本国民のすべてが「地震が来たら怖い」と思っていると、その集合意識が現実に地震を創ってしまうかもしれません。かといって、何も起こらないと思うのは謙虚さが足りません。地球に対して失礼です。「もし動くならば、穏やかな変化でお願いします」と祈ればよろしいと思います』、「「恐れ」だけで、「備え」がおろそかになってはいませんか。自分なりに備えれば、「あとはなんとかなる」と覚悟が定まるものです。 たとえば地震や台風など災害についていえば、家族が3日間過ごせるように備えることが目安です」、これは同感である。

第三に、9月1日付けPRESIDENT Onlineが掲載した精神科医・国際医療福祉大学赤坂心理学科教授の和田 秀樹氏による「和田秀樹が見た「後悔しながら死ぬ人、満足して死んでいける人」を分ける意外な要素 年をとったら、もっと遊んだほうがいい」を紹介しよう。
・『老年医学の専門家として、長年にわたり現場で高齢者たちをみてきた精神科医の和田秀樹さんは「お年寄りはもっと遊ぼう。それが心身の健康度を上げ、健康寿命を延ばすことにつながります」という。新著『70歳から一気に老化する人しない人』を上梓した和田さんがすすめる「70歳からの新しい生き方」とは──。(第1回/全2回) ※本稿は、和田秀樹『70歳から一気に老化する人しない人』(プレジデント社)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・『男性は73歳、女性は75歳が「老化の分かれ道」  日本人の平均寿命は、2020年(令和2年)の調査によると、男性が81.64歳、女性が87.74歳です。これは、「何歳まで生きるか」という平均年齢を示すものです。と同時に、ズバリ言うと「何歳で死ぬか」という平均値でもあります。 では、「男性は9年間」「女性は12年間」──この年数がいったい何を示すかわかりますか。実はこれ、病気や認知症などで寝たきりになったり、誰かに介助されたりしながら生きる平均年数を表したものです。 「健康寿命」という言葉を聞いたことのある人も多いと思います。心身ともに自立していられる年齢のことを意味します。 その年齢は、男性が72.68歳、女性が75.38歳です(令和元年調べ)。つまり、平均して男性は73歳、女性は75歳で、誰かの介助が必要になるのです。病気や認知症で寝たきりになるレベルでなくても、身の回りのことを一人でできなくなり始める平均年齢です。 先に記した男性9年間、女性12年間とは、平均寿命から健康寿命を引いた数字。身の回りのことを一人でできずに過ごす年数がこれだけ長いことに驚く人もいるかもしれません。もちろんこれは統計上の数字にすぎませんが。
・『健やかな老後を過ごしたい…  「人生100年」といわれる時代になりました。日本にはいま100歳オーバーの人が8万6000人もいるそうです。皆さんの周りにも、とても元気な100歳前後の人がいるでしょう  しかし当然ですが、「100年時代」といっても全員が90歳、100歳を迎えられるわけではありません。 また、90歳、100歳を迎えたとしても、全員が健康で幸せであるという保証もありません。介助を受けてベッドで過ごしている、ボケてしまって自分が誰かわからない、ということも考えられます。 先に平均寿命と健康寿命について説明しましたが、できればその差──身の回りのことを一人でできずに過ごす年数──を短くし、健やかな老後を過ごしたいと考えるのが、人情というものでしょう』、「平均寿命と健康寿命について説明しましたが、できればその差──身の回りのことを一人でできずに過ごす年数──を短くし、健やかな老後を過ごしたいと考えるのが、人情というものでしょう」、同感だ。
・『誰もが人生の最後に通る「道」  当然のことながら、人はそれぞれ年齢も体型も違います。性格や考え方も違います。生活の環境や仕事も家族構成も違う。一人ひとりは、まったく違う人生を歩むまったくの別人です。 しかし、すべての人に共通することがあります。それは、全員が「やがて死んでいく」ということです。これだけは避けようがありません。 死に至るまでには、2つの道があります。 1つは、幸せな道です。最期に「いい人生だった。ありがとう」と満足しながら死んでいける道です。もう1つは、不満足な道です。「ああ、あのときにこうすればよかった」とか「なんでこんなことに」と後悔しながら死んでいく道です。 どちらの道を選びたいか? それは聞くまでもありませんね』、「不満足な道です。「ああ、あのときにこうすればよかった」とか「なんでこんなことに」と後悔しながら死んでいく道」、は送りたくない。やはり「幸せな道です。最期に「いい人生だった。ありがとう」と満足しながら死んでいける道」、を送りたいものだ。
・『「ない」ものを数える人、「ある」ものを大切にする人  最期に満足しながら死ぬために大切なこととは何でしょうか。 突き詰めるとそれは、たった1つに集約できます。老いを受け入れ、できることを大事にする、という考え方です。これが「幸せな晩年」と「不満足な晩年」の境目になると思っています。 「幸せ」とは、本人の主観によるものです。つまり、自分がどう考えるかによって決まるものです。 たとえば、自分の老いを嘆き、「あれができなくなった」「これだけしか残されていない」と「ない」「ない」を数えながら生きる人がいます。かたや、自分の老いを受け入れつつ、まだこれはできる、あれも残っていると「ある」「ある」を大切にしながら生きる人がいます。 どちらの人が幸せなのでしょうか? 私のこれまでの臨床経験では、「ある」「ある」で生きる人のほうが幸せそうに見えました。家族や周囲の人とも、楽しそうにしている人が多いと感じます』、「「幸せ」とは、本人の主観によるものです。つまり、自分がどう考えるかによって決まるものです」、「自分の老いを受け入れつつ、まだこれはできる、あれも残っていると「ある」「ある」を大切にしながら生きる人がいます・・・私のこれまでの臨床経験では、「ある」「ある」で生きる人のほうが幸せそうに見えました。家族や周囲の人とも、楽しそうにしている人が多いと感じます」、なるほど。
・『70歳からは「“幸”齢者」を目指そう  いま日本では、65歳以上を「高齢者」、75歳以上を「後期高齢者」と呼んでいます。でもなんだか機械的な響きで、ちょっと切なくありませんか。 ここまで頑張って生きてきたのですから、もっと明るくて希望の持てる呼び方にすべきだと、私は常々思っています。そこで提案したいのです。 70歳を超え、楽しく充実した暮らしを送っている人は、高齢者ではなく「“幸”齢者」──。 この呼び方なら、温かみや年をとることへの希望も感じられるでしょう。幸せな晩年を過ごして、人生をまっとうしたい。私たちが目指すべきは「幸齢者」なのではないでしょうか』、「幸齢者」とは確かに上手いネーミングだ。
・『70代からは「個人差」を受け入れる  70代になると、世代全体の10%が認知症になります。しかし残りの9割は依然として頭がはっきりしていて、健康な人とそうでない人の差が、それまでになくはっきりと分かれてきます。 70代では、外見の面でも社会的地位についても、それぞれ取り巻く状況が大きく異なってきます。そのため、なにかと他人と比べて引け目を感じやすくなり、人によってはそれが重荷になってくるケースもありえます。 同世代の人よりもちょっとだけ早く老いを受け入れざるをえなくなった70代の人にとっては、「老いを受け入れる」ことは「個人差を受け入れる」とほぼイコールの行為でもあると私は思います。 自分を他人と比べている限りは抱えている苦しさから抜け出せません。他人にはできて、自分にはできないことについて思いを巡らせて悶々もんもんとするよりは、「いまの自分に何ができるのか」ということを前向きに考えたほうが、ずっと健康的に生きられます。 また、「働いているほうが偉い」「社会的地位が高いほうが偉い」「見た目が若々しいほうが偉い」といった50代、60代までの価値観にいつまでも縛られているのもよくありません。 人と比較するより、自分の生き方を模索するほうが賢明だと、私としては信じています』、私も現在では、「人と比較するより、自分の生き方を模索するほうが賢明だと」考えるようになった。
・『年をとったら、もっと遊ぼう  もう1つ指摘したいことがあります。それは、高齢になると、「健康のために遊ぶ」「健康のためにお金を使う」ことも大きな意味を持ってくる、ということです。 日本では、高齢者は地味に暮らすのが当然だと思われていますから、「年金でカラオケに行くのはいかがなものか」「年金生活者がパチンコに行くとはけしからん」などといった非難を浴びがちです。 しかし家の外に出て遊ぶことで、前頭葉が刺激されます。また、楽しむことで免疫機能にもよい影響を与えることができます。ですから、むしろ「お年寄りはもっと遊べ」と言うべきでしょう。 感情の老化を予防するには、年をとるほど強い刺激が必要です。脳の老化によって弱い刺激には反応しにくくなることに加えて、積み重ねた人生経験から多少のことでは心に響かなくなるからです』、「家の外に出て遊ぶことで、前頭葉が刺激されます。また、楽しむことで免疫機能にもよい影響を与えることができます。ですから、むしろ「お年寄りはもっと遊べ」と言うべきでしょう」、同感である。
・『お金を使ってよい刺激を受ける  仕事などで経験を積んだおかげで先が読めるから、ものごとをそつなくこなしてしまいます。失敗することがなくなるのはいいのですが、面白さは薄れてしまいます。 「先が読めてしまう」と、刺激が失せるだけでなく、興味や関心までも色いろ褪あせるわけです。それだけに、いままで以上に、意識して強い刺激を与えてくれる遊びをしたほうがいいのです。 資本主義社会とは、「お客様は神様です」の社会です。お金を使うことによって、よりよいサービスが受けられます。それに、社会の第一線から退いたと感じている高齢者は、お金を使うことで自己愛が満たされることでしょう。 お年寄りの多くがお金を使って遊ぶと、これまで少なかった高齢者向けのビジネスも盛んになるでしょう。高齢者がしっかり遊んでくれたほうが、消費が拡大し、経済が回ります。国内の景気のためにもいいのです。 「生涯現役」とは、高齢になっても働き続けるという意味だけでなく、「生涯現役の消費者である」という意味も含まれているのです』、私の場合、消費のうち、選択的消費の主なものとしては、旅行、音楽、付き合いでの飲み会、程度で、とても「これまで少なかった高齢者向けのビジネスも盛んになる」にはほど遠い。しかし、「生涯現役の消費者である」と考えて消費するのは気分が良さそうだ。その効用はきっと大きいだろう。
タグ:「幸齢者」とは確かに上手いネーミングだ。 「「幸せ」とは、本人の主観によるものです。つまり、自分がどう考えるかによって決まるものです」、「自分の老いを受け入れつつ、まだこれはできる、あれも残っていると「ある」「ある」を大切にしながら生きる人がいます・・・私のこれまでの臨床経験では、「ある」「ある」で生きる人のほうが幸せそうに見えました。家族や周囲の人とも、楽しそうにしている人が多いと感じます」、なるほど。 「不満足な道です。「ああ、あのときにこうすればよかった」とか「なんでこんなことに」と後悔しながら死んでいく道」、は送りたくない。やはり「幸せな道です。最期に「いい人生だった。ありがとう」と満足しながら死んでいける道」、を送りたいものだ。 「平均寿命と健康寿命について説明しましたが、できればその差──身の回りのことを一人でできずに過ごす年数──を短くし、健やかな老後を過ごしたいと考えるのが、人情というものでしょう」、同感だ。 「せっかく書き記しても机の引き出しにしまったままでは、いざというときに見つけてもらえず、自分の意に沿わない最期を迎えるリスクもあります。自分の意思は家族や身近な人と共有してこそ、初めて意味を成す」、大いに気をつけたい。 「人工呼吸器を一度装着したら、自発呼吸が見られるなど回復の兆候が見えない限り、外すことはできず、意識がないまま何年、何十年と延命され続けるケースも少なくありません」、「人工呼吸器」の装着は事前に家族の了解を取るのだろう。 PRESIDENT ONLINE 私の場合、消費のうち、選択的消費の主なものとしては、旅行、音楽、付き合いでの飲み会、程度で、とても「これまで少なかった高齢者向けのビジネスも盛んになる」にはほど遠い。しかし、「生涯現役の消費者である」と考えて消費するのは気分が良さそうだ。その効用はきっと大きいだろう。 「家の外に出て遊ぶことで、前頭葉が刺激されます。また、楽しむことで免疫機能にもよい影響を与えることができます。ですから、むしろ「お年寄りはもっと遊べ」と言うべきでしょう」、同感である。 私も現在では、「人と比較するより、自分の生き方を模索するほうが賢明だと」考えるようになった。 和田秀樹『70歳から一気に老化する人しない人』(プレジデント社) 和田 秀樹氏による「和田秀樹が見た「後悔しながら死ぬ人、満足して死んでいける人」を分ける意外な要素 年をとったら、もっと遊んだほうがいい」 「「恐れ」だけで、「備え」がおろそかになってはいませんか。自分なりに備えれば、「あとはなんとかなる」と覚悟が定まるものです。 たとえば地震や台風など災害についていえば、家族が3日間過ごせるように備えることが目安です」、これは同感である。 「世の中の不条理を悲しんだり、怒ったりすることは不要。世の中を変えることなんてできないと割り切って楽しそうに幸せそうに生きていれば、それが世の中に影響を与えます」、私は「世の中を変えること」の難しさは理解した上で、それでも「変える」努力をすることに意義を見出している。 「なるべくネガティブなニュースを見聞きしないようにしましょう。これは、逃げではありません。自分にインプットする情報は自分で選べるのです」、私は「ニュース」は「ネガティブな」ものであっても「インプットする」ようにしている。「なるべくネガティブなニュースを見聞きしないようにしましょう」、とすると、自分の判断基準がおかしくなってしまう懸念があるためだ。 「私は一人暮らしのうえに留守がちなので、動物は飼えず、その代わりに植物を育てています」、もともと独身のようだ。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%A2%E4%BD%9C%E7%9B%B4%E6%A8%B9 「家族と同居していたとしても、亡くなるときは一人です。たとえ、家族に見守られ、手を取られていたとしても、肉体を脱いで、あの世へ帰るときは誰もが一人です。 孤独死という言葉が独り歩きをして独居の人の不安をあおっていますが、なんの心配もありません。逆を言えば、誰もが孤独に死ぬのですから、孤独死は別に特別なことではありません」、「独居の方は、家族や友人と毎日連絡を取り合うなどしていれば、万が一のときに時間がかからず発見されます。もし、時間が経ってしまっても、あなたの魂に傷はつかないし、なんの問題もありません」、 「人の不安をあおってばかりいるテレビニュースなどを見ず、猫のように自分軸を持って生きることをお勧めする」、面白い考え方だ。 矢作直樹『閉塞感がニャくなる魔法の言葉88』(ワニブックス) 矢作 直樹氏による「マスコミは不安をあおっているだけ…東大名誉教授が「孤独死は立派なことだ」と褒める理由 猫の生き方に学ぶ「自分軸」のつくりかた」 私の母の場合には、「人工栄養」は断ったので、最後の時はそれだけ早く来たが、それでよかったと思っている。 「人生会議を行う際には、かかりつけ医や担当の医師など、医療従事者を交えることをおすすめしたいです」、理想論ではあるが、現実には「医療従事者を交える」ことは難しいそうだ。 「病院はあくまで「救命すること」が目的であって、倒れる以前の状態まで回復できるとは限りません」、その通りだろう。 「救命や延命措置が行われた後、たくさんの管につながれながら、変わり果てた姿でベッドに横たわっている」、「家族」にも覚悟が必要なようだ。 「血圧も大きく下がってしまいますから、点滴を大量に投与して血圧を上昇させます。すると、全身がむくみ出し、身体に吸収されなかった水分が小さな傷口や点滴の痕などからどんどん出てきてしまいます。吸収シートで全身をぐるぐると巻いて、流れ出る水分を拭き取る処置も欠かせません。 むくみの影響は顔面にも及び、誰だか見分けがつかなくなるほど顔が膨れ上がることもありました。まぶたも閉じなくなり、眼が開いたままの状態になることも……。乾燥を防ぐために、眼の表面に保湿剤のワセリンを塗って、ラップフィルムをかぶせる。そうした処置 「今後回復が一切見込めない、高齢の患者さんに対しても、次々と心肺蘇生や延命治療が行われていくこと」、確かに現在の医療の矛盾点だ。 看護師にとっては「救急科」にも予想外の落とし穴があるようだ。 前田 和哉氏による「バキバキと骨が折れても心臓マッサージは続く…救急科の看護師が目を背けたくなった「延命治療」の壮絶さ 家族と対面するときには、変わり果てた姿になっている」 (その8)(バキバキと骨が折れても心臓マッサージは続く…救急科の看護師が目を背けたくなった「延命治療」の壮絶さ 家族と対面するときには 変わり果てた姿になっている、マスコミは不安をあおっているだけ…東大名誉教授が「孤独死は立派なことだ」と褒める理由 猫の生き方に学ぶ「自分軸」のつくりかた、和田秀樹が見た「後悔しながら死ぬ人 満足して死んでいける人」を分ける意外な要素 年をとったら もっと遊んだほうがいい) 終末期
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GoTo問題(その4)(岸田首相の唐突な「GoTo再開」発言のウラに霞が関の予算消化と公明党への配慮、GoToトラベルの再開で期待できる経済効果は、【最新】全国旅行支援 再開に向け準備 県民割とGoToトラベルとの違いとは) [パンデミック]

GoTo問題については、3月13日に取上げた。今日は、(その4)(岸田首相の唐突な「GoTo再開」発言のウラに霞が関の予算消化と公明党への配慮、GoToトラベルの再開で期待できる経済効果は、【最新】全国旅行支援 再開に向け準備 県民割とGoToトラベルとの違いとは)である。

先ずは、3月13日付け日刊ゲンダイ「岸田首相の唐突な「GoTo再開」発言のウラに霞が関の予算消化と公明党への配慮」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/302482
・『岸田首相が政府の観光支援策「Go To トラベル」事業について12日、「適切な時期が来たら迅速に再開できるよう準備を進めたい」と表明した。同事業は2020年末から中断しており、コロナ禍で疲弊しているホテルなど宿泊業や観光地にとって励みになることは間違いない。 しかし、SNSなどでは〈旅行や飲食を推奨するのはいいとは思うが、特定の業者だけに税金を投入するのはやめた方がいい〉〈それよりガソリン価格の高騰をなんとかして欲しい。消費税減税や医療従事者の支援に税金を回した方がいい〉といった声も上がっている。 11日に東日本大震災から11周年を迎え、被災地の復興支援のために「Go To トラベル」事業を再開するというならまだしも、今回の“首相の決断”には政治的な思惑が見え隠れする。支出済みを含めて「Go To トラベル」の事業予算は計2兆6400億円。21年度に繰り越された残予算1兆5500億円のうち7200億円は3月末に消化期限を迎える。「せっかく確保した予算は全部使い切りたい」という霞ヶ関の論理に岸田首相が振り回されている印象は否めない』、3月11日には新規感染者数の週間平均は9101人と、6次ピークの2月2日の18194人から半減していただけに、首相としても「Go To トラベル」「再開」のアドバルーンを上げたのだろう。
https://www.google.com/search?q=%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%84%9F%E6%9F%93%E8%80%85%E6%95%B0&rlz=1C2TKQJ_jaJP987JP987&sxsrf=ALiCzsZbLJW-1Ql8PxpLFWBvzQE93Fz5Gw%3A1662366424639&source=hp&ei=2LIVY7PLJOGYr7wP9tyZuAI&iflsig=AJiK0e8AAAAAYxXA6NR8rNQvaUc9niP1nwmU4LNftn47&oq=%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%84%9F%E6%9F%93&gs_lcp=Cgdnd3Mtd2l6EAEYATILCAAQgAQQsQMQsQMyCwgAEIAEELEDELEDMgsIABCABBCxAxCDATILCAAQgAQQsQMQsQMyEQgAEIAEELEDEIMBELEDEIMBMggIABCABBCxAzIFCAAQgAQyBQgAEIAEMgUIABCABDIICAAQsQMQgwFQAFgAYMkRaABwAHgAgAFSiAFSkgEBMZgBAKABAqABAQ&sclient=gws-wiz
・『自公の間に吹いていたすきま風  もう一つは公明党の存在だ。夏の参院選での選挙協力をめぐり、すきま風が吹きつつあった自民党と公明党は11日、相互推薦することで合意。自民党は比例代表でも公明党を支援することを決めた。 「自民党から距離を置き始めた公明党に自民党が慌てて歩み寄った格好です。その公明党が昨年の衆院選前から子育て支援の『10万円給付』と並行して重点政策として掲げていたのが『新・Go To キャンペーン』。岸田首相が『Go To トラベル』事業再開を唐突にぶち上げた背景には、公明党への配慮もあります」(与党関係者) 新型コロナウイルスの感染第6波はいまだ収束せず、10日時点でワクチン3回目接種も総人口の3割にとどまっている。しかもウクライナがロシアに攻め込まれているこの時期に、岸田首相の「さあ税金を使って旅行に行きましょう」という発言にどれだけの国民が賛同するだろうか』、新規感染者数の週間平均は9月4日で12622人とピークの8月1日の32108人よりは減ったとはいえ、高水準だ。

次に、4月4日付けエコノミストOnlineが掲載した大和総研エコノミストの鈴木雄大郎氏による「GoToトラベルの再開で期待できる経済効果は」を紹介しよう。
・『2021年の年の観光業は、20年に続き新型コロナウイルスに翻弄された1年だった。「GoToトラベルキャンペーン」は再開のめどが立たず、結果的に旅行需要はコロナショック前を大幅に下回る状況が続いた。 22年はオミクロン株の急拡大によって厳しい滑り出しになった。当初は1月ないしは2月からGoToトラベルの再開が検討されていたが、斉藤鉄夫国土交通相は1月7日の記者会見で1月中の再開を見送る方針を明らかにした。 足元ではオミクロン株の新規感染者数がピークアウトし、3月12日には岸田文雄首相がGoToトラベルについて「適切な時期が来れば迅速に再開できるよう、準備は進めていきたい」と発言した。そして、まん延防止等重点措置は3月22日に全面解除され、居住する都道府県内の旅行(都道府県単位)を助成対象としていた「県民割」は、4月から関東や近畿など地方ブロック単位に拡大された。こうした動きからも、全国を対象とするGoToトラベル再開の機運が高まっている。 はじめにコロナショックが観光需要に与えた影響を確認しておこう。20年以降の観光関連業種の動向を、経済産業省発表の「第3次産業活動指数」で見たものが図1である。いずれの業種も1回目の緊急事態宣言が全国に発出された20年4~5月にかつてないほど落ち込んだ。 その後は緊急事態宣言の全面解除やGoToトラベルの開始によって需要は回復に向かった。「旅館」や旅行代理店が含まれる「国内旅行」の指数は20年11月におおむね感染拡大前の水準まで回復した。 他方、「ホテル」はピーク時でもショック前の7割程度までしか戻らなかった。インバウンド需要の消失や、テレワークなどの普及による出張需要の回復が鈍かったことが要因として考えられる。「鉄道」や「国内航空」の需要も回復が鈍く、それぞれ感染拡大前の7割、5割程度で低迷した。こちらは感染を警戒し、公共交通機関を利用した長距離の移動を伴う旅行が避けられたことなどが背景にある。 21年前半はいずれの業種も低迷したが、感染状況が落ち着いた21年10月以降は急速に持ち直した。しかし、22年1月にはオミクロン株の急速な拡大やまん延防止等重点措置の適用を受け急落した。 観光庁の「旅行・観光消費動向調査」で旅行者の行動の変化を見ると、観光・レクリエーション目的の旅行で主に利用する交通機関(最長交通機関)が新幹線である割合は19年下期の9・8%から6・9%へ、航空は6・4%から3・7%へと低下した。一方で自家用車は54・3%から68・9%へと大幅に上昇した。また、レンタカーの需要は20年11月に感染拡大前まで回復した。 宿泊日数も短くなった。19年下期で全体の58・0%を占めていた1泊の旅行は20年下期に70・5%へと上昇した。さらに、パック・団体旅行の割合が低下し、個人旅行の割合が上昇した。このように、キャンペーン期間中の需要回復の中心は小規模・短期型の旅行であったことが統計から見て取れる』、「キャンペーン期間中の需要回復の中心は小規模・短期型の旅行であった」、なるほど。
・『平日利用を優遇  観光庁によると、キャンペーン期間中に少なくとも延べ8781万人分の宿泊利用があったという。予算の利用額は約5400億円に上り、これを基に大和総研で試算すると経済効果は1兆5000億円程度であったとみられる。 キャンペーンが再開された場合、前回の問題点を踏まえて制度が一部見直される予定だ。観光庁は21年11月19日に制度概要を公表したが、これをまとめたものが表である。本稿執筆の3月25日時点では実施期間についての発表はされていないものの、期間ごとに割引率などが段階的に引き下げられる見込みだ。21年11月時点では開始後からゴールデンウイークまでとゴールデンウイーク明けから夏休み前までの期間で分けられていたが、再開が遅れたため、当社ではそれぞれ、ゴールデンウイーク明けから夏休み前まで(前半期間)と夏休み明けから11月まで(後半期間)に後ろ倒しされると予想している。 前半期間は前回と比べ、割引額の上限は1泊当たり1万4000円だったのが、交通機関とのセットは1万円、宿泊のみは7000円、日帰りの場合は7000円が3000円にそれぞれ引き下げられ、割引率も旅行代金の35%だったのが30%に引き下げられる。地域共通クーポンも旅行代金の15%から平日は1泊当たり3000円、休日は同1000円に変更される。 観光庁によると、割引額の上限や割引率の引き下げ、地域共通クーポンの定額化は中小事業者に配慮したという。このうち、地域共通クーポンの定額化は低価格帯の需要回復に一定の効果があるとみられる。 例えば宿泊料が1万円のホテルに泊まる場合、休日に関しては、前回と付与額は大きく変わらないものの、平日の場合は実質的な割引率が高まることになる。価格が低い所に泊まるほど、消費者にとってお得感が強い制度であるため、平日の低価格帯で需要が増えることが予想される。 GoToトラベルが再開された場合、その経済効果はどれくらいあるのだろうか。内閣府の資料によると、事業関連予算総額のうち、未執行分は21年11月時点で約1兆3000億円に上る。この全額が旅行代金の助成に充てられた場合、GDP(国内総生産)ベースの経済効果は直接効果(キャンペーンの利用額と利用者の自己負担分の合計)が3兆2000億円、波及効果も含めると4兆円という試算結果が得られた(図2)。 この試算は19年の国内旅行者の平均消費額を前提に作成した。後半期間は割引率の上限が引き下げられる予定だが、ここでは割引率が30%のケースで計算している。 ただし、ここで示した試算結果は予算額に対してどの程度の経済効果がもたらされるのかを示したものであり、キャンペーンがなくても行われていただろう旅行支出の代替分が含まれている。そのため実際の個人消費の純粋な押し上げ効果は試算結果よりも小さくなる可能性がある点には留意が必要である。 前回の利用状況を踏まえると、再開後は延べ2・2億人分の宿泊需要の創出が見込まれる。東京発着の旅行が助成対象に加わり、地域共通クーポンも開始された20年10~11月と同様のペースで予算(約1兆3000億円)を消化すると想定すると、9・4カ月間キャンペーンを継続することができる。約5カ月実施された前回と比べ予算は2倍以上残っており、再開することができれば前回以上に旅行需要の回復を後押ししよう。 20年のGoToトラベル実施期間中の旅行需要を都道府県別に確認すると、茨城、栃木、群馬、山梨、奈良、佐賀など大都市近郊で明確に回復が見られた。 他方、空路が大都市からの主要な訪問手段である北海道や沖縄に加え、大都市から長距離の移動を伴う地域である青森、岩手、秋田、鳥取、四国4県、鹿児島などは県外からの宿泊客の戻りが鈍い傾向にあった。マイカーなどを利用した旅行に需要がシフトしたことで、需要回復に地域差が生じた。 先行きについて、感染リスクが高止まりしている間はこうした近場の旅行の方が相対的に需要が回復しやすいだろう。一方、旅行者のマインドが改善すれば、幅広い地域で需要が回復する可能性もある。むしろ、20~21年に長距離の移動を伴う地域への旅行を避けていた人々が「リベンジ消費」として、こうした地域を旅行先として選択することも考えられよう』、「感染リスクが高止まりしている間はこうした近場の旅行の方が相対的に需要が回復しやすいだろう」、なるほど。
・『どうする停止基準  GoToトラベルの再開に当たっては以下の視点が求められよう。まず、前回の経験を生かし、感染再拡大時に一時停止する際の基準をあらかじめ設けるべきだ。20年9月に有識者会議が、感染状況が「ステージ3」相当となった地域はキャンペーンを停止することを提言したものの、政府はこれに応じずに現場が混乱した。観光庁は「専門家の意見を踏まえて詳細を決定する」としているが、本稿執筆時点では明らかになっていない。 次に、制度の終了に向けてソフトランディングを図ることが必要だ。キャンペーンは経済効果が大きい分、制度終了後に需要が急減することが懸念される。後半期間は同キャンペーンを国ではなく都道府県による事業とし、上限はそれぞれの地域で設定する。需要の平準化を図るためにも各地域には、その時の需要動向を見極めたうえで、柔軟に割引率などを設定することなどが求められよう。 観光業は成長戦略の柱であり、地方創生の切り札として期待されてきた。人口減少が加速する地域において、地域や地域の人々と多様に関わる者を示す「関係人口」を増加させるきっかけにもなってきた。観光需要は宿泊施設や土産物屋のみならず、飲食関連、交通関連などその地域の経済にさまざまな好循環をもたらした。GoToトラベルを契機として観光業界が再び盛り上がることを期待したい。そしてキャンペーンを一時的な観光ブームとすることなく、持続的な需要につなげていくことも各地域に求められるだろう』、「後半期間は同キャンペーンを国ではなく都道府県による事業とし、上限はそれぞれの地域で設定する。需要の平準化を図るためにも各地域には、その時の需要動向を見極めたうえで、柔軟に割引率などを設定することなどが求められよう」、その通りだ。

第三に、旅行サイトのAirstairの9月5日付け「【最新】全国旅行支援、再開に向け準備 県民割とGoToトラベルとの違いとは」を紹介しよう。
https://airstair.jp/goto-new/
・『斉藤国土交通大臣は 8 月 15 日、開始を延期していた「全国旅行支援」について、感染状況が改善次第、速やかに実施する意向を示すとともに「準備はきちんと進めている」と述べました。 当初 7 月前半から開始を予定していた「全国旅行支援」は、開催を延期。代わりに「県民割」を 9 月末まで延長して開催しています。直近では新規感染者数は減少に転じており、10 月以降の動向に注目が集まっています。 「全国旅行支援」は、新幹線やフライト等とセットになった旅行で 1 人 1 泊最大 8 千円を上限に旅行代金が 40% 割引になるキャンペーンで、さらに飲食店等で利用できるクーポン券を 1 人 1 泊最大 3 千円分配布します。 今回は 7 月前半から開始されることが発表された「全国旅行支援」の割引率や開催日、申込方法、宿泊対象期間、割引対象などの詳細を解説します。 新型コロナウイルスの感染拡大が続いていましたが、直近では、前週同曜日を大幅に下回る日が続いており、ピークアウトしています。 斉藤国土交通大臣は 8 月 25 日の記者会見で、全国旅行支援の開催時期について「感染状況の改善が確認できれば速やかに実施する」と方針を明らかにしています。 現在は、県民割を 9 月末まで延長して開催していますが、このまま新規感染者が減少一途をたどれば、「全国旅行支援」の 10 月開始は現実味を帯びると言えるでしょう』、このテーマでは情報が日々更新されているので、あえて旅行サイトを情報源とした。
・『「全国旅行支援」と観光支援策まとめ  旅行代金が最大 7 千円お得になる「県民割」は、4 月から全国を関東・近畿といった 6 つに分けたブロック内の居住者であれば、割引を利用できる「地域ブロック割」に拡大して開催しています。 旅行代金が最大 11,000 円お得になる「全国旅行支援」は、当初 7 月前半から開始する予定でしたが、新規感染者の全国的な増加を受けて、開催延期が発表されました。 「全国旅行支援」の開始は延期となる一方で、旅行代金が最大 7 千円お得になる「県民割」は、 8 月末期限を改め、9 月末まで延長して開催します』、「「県民割」は、4 月から全国を関東・近畿といった 6 つに分けたブロック内の居住者であれば、割引を利用できる「地域ブロック割」に拡大して開催」、なるほど。
・『図解「全国旅行支援」とは  「全国旅行支援」は、1 人 1 泊最大 8 千円を上限に旅行代金が 40% 割引になるキャンペーンで、さらに飲食店等で利用できるクーポン券を 1 人 1 泊最大 3 千円分配布します。 旅行割引では、交通付(鉄道、バス、フライト付き)プランか宿泊プランかで割引上限額が異なり、交通付プランは上限 1 万円、宿泊プランは上限 7 千円です。交通付プランのほうが割引額が高く設定されてます。 また、旅行需要の平日分散化の観点から、クーポン配布額が平日と休日で異なり、平日の場合は、1 人 1 泊あたり 3 千円分、休日の場合は 1 人 1 泊あたり 1 千円分が配布されます。平日のほうがよりお得になります』、「平日のほうがよりお得に」したのは賢明だ。
・『「全国旅行支援」実施期間(新型コロナウイルスの感染拡大のため、開催延期を発表。開始は早くて 10 月以降となります。 「全国旅行支援」対象者(全国民) 「全国旅行支援」利用条件 利用者は、ワクチン 3 回接種証明書、または PCR検査・抗原定量検査(検体採取日+ 3 日)・抗原定性検査(検体再採取日+ 1 日)の陰性証明書が条件です。 「全国旅行支援」概要(リンク先参照) 「全国旅行支援」のクーポン券  「全国旅行支援」では、割引利用者に対して、平日の場合は、1 人 1 泊あたり一律 3 千円分、休日の場合は 1 人 1 泊あたり一律 1 千円分が配布されます。平日のほうが補助率が高いというのが特徴です。 クーポン券は、旅行当日にホテルでチェックイン時に配布される他、旅行代理店で予約時に配布されます。 平日と休日の定義  正式な発表はまだありませんが、奈良県で開始されている「いまなら。キャンペーン」では以下のような定義でキャンペーンが開催されています。 平日:宿泊日とその翌日のいずれかが平日(月~金)に該当する場合 休日:宿泊日とその翌日の双方が休日(土・日・祝)に該当する場合)  クーポン券の利用期間  クーポン券は、旅行期間中のみです。宿泊旅行の場合は、チェックインからチェックアウトまでの期間利用できます。 クーポン券の利用可能店舗(クーポン券は、登録された旅行先の土産物店、小売店、飲食店、交通事業者等、様々な店舗・施設等で利用できます。 「全国旅行支援」と「県民割」の主な変更点  旅行代金が最大 11,000 円お得になる「全国旅行支援」は、7 月前半から開始予定でしたが、開催延期を発表しました。代わりに 7 月 15 日を期限としていた「県民割」を 8 月末まで延長します。 割引率では、上限 50% から 40% へ引き下げる一方、鉄道、バス、フライト等とセットになったツアーで割引額上限を現在の 1 人 1 泊 5 千円から 8 千円に引き上げます。 さらに、割引利用者に配布されるクーポンについても、従来の県民割では1 人 1 泊あたり最大 2 千円の配布でしたが、「全国旅行支援」では、平日 3,000 円、休日 1,000 円と変更します。 また、補助額についても、1 人 1 泊あたり 7 千円( 5 千円割引& 2 千円クーポン)だった県民割に対して、「全国旅行支援」では、特に補助額が大きい平日であれば、 1 人 1 泊あたり 11,000 円( 8 千円割引& 3 千円クーポン)となります。 割引上限額の引き上げ  旅行代金が 50% 割引となった県民割に対して、「全国旅行支援」では、割引率は 40% に引き下げとなっています。その一方、鉄道、バス、フライト等とセットになった交通付プランでは上限額を 1 人 1 泊 5 千円から 8 千円に引き上げます。 「交通付プラン」がよりお得!  県民割では、対象の宿泊プランであれば割引額が変わることはありませんでしたが、「全国旅行支援」では、予約する旅行プランによって割引上限額が変わります。 鉄道、バス、フライト等の交通付プランの場合、割引上限額は 1 人 1 泊あたり 8,000 円、たんに宿泊だけのプランの場合は、1 人 1 泊あたり 5,000 円となるため、交通付プランのほうがお得となります。 平日利用でクーポン3千円分  平日と休日で割引額に差を設けなかったことで、利用が休日に集中したという反省点を踏まえ、平日分散化という観点から、飲食店などで利用できるクーポンの配布額が、利用日によって大きく変わります。 県民割では、平日でも休日でも変わらず最大 2 千円分のクーポンが配布されていましたが、「全国旅行支援」では、平日 3,000 円分、休日は 1,000 円分のクーポンが配布されます』、「利用が休日に集中したという反省点を踏まえ、平日分散化という観点から、飲食店などで利用できるクーポンの配布額が、利用日によって大きく変わります」、反省を踏まて合理的な仕組みになったようだ。
・『「全国旅行支援」と「GoToトラベル」の違い  「新GoToトラベル」と「全国旅行支援」を比較すると、大きな差がないことがわかります。 「新GoToトラベル」は見送りとなりましたが、「新GoToトラベル」とほとんど近い観光支援策が開始されるということで、グッドニュースなのではないでしょうか』、なるほど。
・『「全国旅行支援」開始までは、県民割の利用を推奨  県民割は、旅行代金が宿泊割引とクーポン配布で最大 7 千円お得になる旅行割引キャンペーンです。現在は、地域ブロック単位で旅行割引を利用できるようになっています。 長らく割引がなかった東京都についても、6 月 10 日から東京都民を対象とした独自の旅行需要喚起策「もっとTokyo」が 7 月末までトライアル的に開催されています。 「全国旅行支援」は延期となったため、8 月 31 日までは「県民割」の利用がオススメです。7 月 15 日以降の予約受付は、まだ開始されていないオンライン予約サイトも多く、参加が遅れてしまった方でも再度予約のチャンスがあります』、幸いコロナの新規感染者数は減少傾向にある。「もっとTokyo」は9月30日までに完了する旅行商品が対象のようだ。どの程度の利用になるのだろう。
タグ:幸いコロナの新規感染者数は減少傾向にある。「もっとTokyo」は9月30日までに完了する旅行商品が対象のようだ。どの程度の利用になるのだろう。 「利用が休日に集中したという反省点を踏まえ、平日分散化という観点から、飲食店などで利用できるクーポンの配布額が、利用日によって大きく変わります」、反省を踏まて合理的な仕組みになったようだ。 「平日のほうがよりお得に」したのは賢明だ。 「「県民割」は、4 月から全国を関東・近畿といった 6 つに分けたブロック内の居住者であれば、割引を利用できる「地域ブロック割」に拡大して開催」、なるほど。 このテーマでは情報が日々更新されているので、あえて旅行サイトを情報源とした。 「【最新】全国旅行支援、再開に向け準備 県民割とGoToトラベルとの違いとは」 Airstair 「後半期間は同キャンペーンを国ではなく都道府県による事業とし、上限はそれぞれの地域で設定する。需要の平準化を図るためにも各地域には、その時の需要動向を見極めたうえで、柔軟に割引率などを設定することなどが求められよう」、その通りだ。 「感染リスクが高止まりしている間はこうした近場の旅行の方が相対的に需要が回復しやすいだろう」、なるほど。 「キャンペーン期間中の需要回復の中心は小規模・短期型の旅行であった」、なるほど。 鈴木雄大郎氏による「GoToトラベルの再開で期待できる経済効果は」 エコノミストOnline 新規感染者数の週間平均は9月4日で12622人とピークの8月1日の32108人よりは減ったとはいえ、高水準だ。 https://www.google.com/search?q=%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%84%9F%E6%9F%93%E8%80%85%E6%95%B0&rlz=1C2TKQJ_jaJP987JP987&sxsrf=ALiCzsZbLJW-1Ql8PxpLFWBvzQE93Fz5Gw%3A1662366424639&source=hp&ei=2LIVY7PLJO 3月11日には新規感染者数の週間平均は9101人と、6次ピークの2月2日の18194人から半減していただけに、首相としても「Go To トラベル」「再開」のアドバルーンを上げたのだろう。 日刊ゲンダイ「岸田首相の唐突な「GoTo再開」発言のウラに霞が関の予算消化と公明党への配慮」 (その4)(岸田首相の唐突な「GoTo再開」発言のウラに霞が関の予算消化と公明党への配慮、GoToトラベルの再開で期待できる経済効果は、【最新】全国旅行支援 再開に向け準備 県民割とGoToトラベルとの違いとは) GoTo問題
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原発問題(その20)(福島原発の賠償負担金 密かに軽減されていた 電気代高騰の陰で電力会社が293億円の恩恵、「次世代革新炉」で原子力の「失われた10年」は取り戻せるか ウクライナ戦争によるエネルギー危機が岸田首相を動かした) [国内政治]

原発問題については、6月19日に取上げた。今日は、(その20)(福島原発の賠償負担金 密かに軽減されていた 電気代高騰の陰で電力会社が293億円の恩恵、「次世代革新炉」で原子力の「失われた10年」は取り戻せるか ウクライナ戦争によるエネルギー危機が岸田首相を動かした)である。

先ずは、7月5日付け東洋経済オンライン「福島原発の賠償負担金、密かに軽減されていた 電気代高騰の陰で電力会社が293億円の恩恵」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/600992
・『大手電力各社が負担している福島原発事故の損害賠償費用の一部について、きちんとした説明もないまま、負担額がひそかに軽減されていたことがNPO法人の調べでわかった。 軽減額は2021年度の1年間で293億円にのぼる。この事実を突きとめたNPO法人原子力資料情報室の松久保肇事務局長は「電力ユーザーである国民にきちんとした説明もなく、やり方が不透明だ」と批判している』、事実だとすれば、確かに「不透明」極まるやり方だ。
・『電力各社の負担を約2割軽減  原発事故の被害者向けの賠償費用をまかなうために、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に基づき、東京電力ホールディングスなど大手電力9社と日本原子力発電、日本原燃の計11社は一般負担金と呼ばれる費用を負担してきた。 11社の一般負担金額は合計で年間1630億円と決められ、2011年度、2012年度はその一部、2013年度以降は全額を原子力損害賠償・廃炉等支援機構(以下、原賠機構)に支払っていた。なお、2020年度には後述の「過去分」と呼ばれる追加負担として、別途305億円が上乗せされている。 松久保氏の指摘を踏まえて立憲民主党の山崎誠衆院議員が質問主意書を提出したところ、政府は2021年度の一般負担金の実質的な軽減額が293億円である旨を回答。同年度の実質的な負担は1337億円になっていた。 松久保氏によると、中部電力と日本原子力発電を除く9社の負担は2020年度比で約20%軽減されていた。中電は2.8%の負担増、日本原電の軽減率は約14%で、原発事故前から廃炉を進めていたという特殊事情があったという。 軽減について、原賠機構の担当者は「大手電力各社の経営状況が厳しい中、福島原発事故以前の利益水準をもとに決められていた従来の一般負担金の水準について、各社から引き下げを求められていた」と説明している。 経済産業相の認可を経て原賠機構が3月31日に公表した2021年度の一般負担金総額は、前年度比15億円増の1947億円だった。前出の担当者は「一般負担金の総額自体は2020年度と比べて大きく変わっておらず、電力ユーザー全体への負担は変わらない。一般負担金は毎年度法令に基づいて決めているもので、『軽減した』ということではない」と説明している。 だが、この説明にはからくりがある。 一般負担金には2種類あり、1つが福島原発事故の賠償に関連した負担金。もう1つが2015年、賠償費用が当初想定した金額を大幅に上回ることが判明した際に、増額分を託送料金(送配電線の利用料金)に上乗せして回収するために作られた過去分の一般負担金である。日本で初めて商用原発が稼働した1966年から福島原発事故が起こる2011年までに本来、徴収しておくべきだったのに徴収されていなかったとして、2020年度の下半期から新たに徴収されるようになった。 過去分の金額は1年分を徴収するようになった2021年度で約610億円。2021年度は過去分の前年比増分(305億円)があったために、前者の負担金の軽減額(293億円)が覆い隠される格好となった』、複雑怪奇な仕組みだ。
・『経産省、原賠機構はきちんと説明を  従来からの一般負担金のかなりの部分は電気料金の原価に算入され、ユーザーに転嫁されている。それを軽減したのであれば、本来電気料金引き下げの原資とすべきではないか。 電気料金を認可する立場の経済産業省がきちんと説明していないのも問題だ。重要な公共料金の改定に際しては、消費者庁や消費者委員会がチェックする仕組みもある。しかし、今回の一般負担金軽減については電気料金の改定と関係していないこともあり、消費者庁は「特段の協議もなく、情報提供を受けた事実もない」という。 一方、消費者委員会のある委員は、「初めて聞いた話で驚いている。やり方が不透明だ」と東洋経済の取材に答えている。 電気料金は仕組みや決定方法が複雑であるうえ、原発に関連する費用は事故が起きてから過去にさかのぼって新たに徴収されるなど、屋上屋を積み重ねる形で料金に上乗せされてきた。しかも、「一般負担金の決まり方はブラックボックスになっている」(松久保氏)。 現在、天然ガスなど化石燃料価格の高騰によって電気料金が値上がりし、家計の状況は厳しくなっている。その裏側で電力会社が秘かに負担軽減を認められていたという事実は、電力行政への疑念を引き起こしかねない。経産省や原賠機構は軽減の実態をつまびらかにすべきだ』、「電力会社が秘かに負担軽減を認められていたという事実は、電力行政への疑念を引き起こしかねない。経産省や原賠機構は軽減の実態をつまびらかにすべきだ」、同感である。

次に、9月2日付けJBPressが掲載したNHK出身で経済学者・アゴラ研究所代表取締役所長の池田 信夫氏による「「次世代革新炉」で原子力の「失われた10年」は取り戻せるか ウクライナ戦争によるエネルギー危機が岸田首相を動かした」を紹介しよう。
・『8月24日に開かれた政府の「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」の会合で、岸田首相は「次世代革新炉の開発・建設」を「将来にわたる選択肢として強化するため、検討を加速してほしい」と指示した。 昨年(2021年)決まった第6次エネルギー基本計画では「可能な限り原発依存度を低減していく」という方針だったが、今回の方針はその大転換である。何も決めない「検討使」といわれた岸田首相に、何があったのだろうか』、「検討使」とは言い得て妙だが、興味深そうだ。
・『注目を集める「次世代革新炉」  まず「新増設」とは何だろうか。これは新設と増設という意味だが、常識的には新たな敷地に原発を建設するか、現在の敷地の中に原子炉を増やすことだろう。このうち前者は政治的には不可能に近いが、後者は不可能ではない。 図のように現在、全国で再稼動している原発は10基だが、原子力規制委員会が設置変更許可を出している原発が7基ある。合計17基が来年夏までには動くというのがGX実行会議の見通しだが、それ以外に審査中が10基あり、最大27基が運転できる。(出所:資源エネルギー庁) この他に、東電の東通原発や電源開発の大間原発、中国電力の島根3号機が建設中である。それ以外に廃炉になった原発が24基もあり、これを廃炉にすると敷地は空く。ここは立地について地元の合意を得ているので、政治的な障害は大きくない。 最大の問題は、どういう技術を採用するかの選択である。これについてGX実行会議では具体的な技術が挙げられていないが、経産省が今年つくった革新炉ワーキンググループでは、次の6つの原子炉を挙げている。 ・革新軽水炉(第3世代)・小型モジュール炉(SMR)・高速炉 ・高温ガス炉 ・溶融塩炉 ・核融合炉  このうち現実に稼働しているのが、革新軽水炉である。 現在の軽水炉の致命的な欠陥は、電源を喪失すると冷却できなくなり、燃料棒が過熱して炉心溶融が起こることだ。これを防ぐためにECCS(緊急炉心冷却装置)があるが、福島第一原発のように全電源が失われると冷却水が循環しなくなり、数時間で「メルトダウン」が起こる。 これを防ぐために、第3世代軽水炉ABWRは、従来のBWR(沸騰水型)に比べて、外部からの注水だけでなく、原子炉内部の再循環ポンプで冷却できるように設計して安全性を高めている。東電の柏崎刈羽6・7号、北陸電力志賀2号、中部電力浜岡5号で実績がある』、「第3世代軽水炉ABWR」が「柏崎刈羽6・7号、北陸電力志賀2号、中部電力浜岡5号で実績」、既に4基が稼働しているようだ。
・『SMRの弱点は安全審査  いま注目を集めているのはSMRである。その代表は米ニュースケール社の原子炉で、セールスポイントは受動的安全性である。出力が7万キロワット程度と小さいため、電源を喪失した場合も、大型軽水炉ほど大きな熱が出ないので自然循環で冷却できる。 しかし受動的安全性は、現在の軽水炉でも実装できる。中国がすでに運転しているウェスティングハウス社のAP1000は、電源がなくなっても自然循環で3日間運転できる受動的安全性を備え、ABWRやEPR(欧州加圧水型炉)などの第3世代原子炉でも受動的安全性は可能である。 SMRの弱点は経済性である。出力が小さいので、大量生産しないと規模の経済が生かせない。プレハブ住宅のように工場でモジュールを大量生産できるというのが売り物だが、日本のプレハブ住宅の生産台数は13万台である。廃炉になった原発24基をすべてSMRで置き換えても300基程度。これで規模の経済が生かせるのだろうか。 SMRのキロワット単価の目標は30万円前後といわれるので、1基のコストは約200億円。15基を1カ所に集めて管理すると約3000億円で、現在の軽水炉と大きく変わらないが、この価格を実現するには大量生産できる生産体制と需要拡大が必要である。 最大の問題は安全審査である。原子力規制委員会の田中俊一前委員長は、SMRの経済性について否定的である。 《田中氏は、出力10万キロワット級の小型モジュール炉であっても、求められる安全性は従来の大型原発と同じだと指摘。経済性が成り立たないことは、中小型炉が長年実用化に至っていないことからも明らかで、「電力会社は全く見向きもしないと思う」と述べた。》(ブルームバーグ) 7万キロワット級のSMRに今の100万キロワット級の原子炉と同じ安全審査をしていては、採算が合わないことは明らかだ。この点を改善するため、イギリスでは建設前に原子炉モジュールの安全性を審査する「包括的設計審査」という手法が導入されている。 逆にいうと、電機製品の型式認定のように出荷段階で安全審査がほとんど終われば、あとはサイト内で組み立てるだけなので、安全性のコストは大幅に下がる。日本でもこのような安全審査の改革をしないと、SMRの導入は無理だろう』、「1基のコストは約200億円。15基を1カ所に集めて管理すると約3000億円で、現在の軽水炉と大きく変わらないが、この価格を実現するには大量生産できる生産体制と需要拡大が必要である」、「原子力規制委員会の田中俊一前委員長」「は、出力10万キロワット級の小型モジュール炉であっても、求められる安全性は従来の大型原発と同じだと指摘。経済性が成り立たないことは、中小型炉が長年実用化に至っていないことからも明らかで、「電力会社は全く見向きもしないと思う」と述べた」、確かに「経済性が成り立たないことは、中小型炉が長年実用化に至っていないことからも明らか」、その通りだ。
・『原子力はエネルギー安全保障のコアである  今回のGX実行会議の資料の特徴は、今まで「次世代炉」として経産省が力を入れていた高速炉と核燃料サイクルにほとんど言及していないことだ。青森県六ヶ所村の再処理工場が稼働して使用済み核燃料を再処理しても、できるプルトニウムには使い道がない。 プルトニウムを燃やすには高速炉が適しているが、日本ではもう開発を断念した。これが今まで「次世代炉」を考える上で大きな障害だったが、今回は核燃料サイクルをあきらめたようにみえる。 高温ガス炉は水を熱分解して水素をつくれるメリットがあり、日本原子力研究開発機構が開発を進めているが、まだ実験炉の段階である。核融合は、まだ核融合反応が持続できる段階にも至っていない。 以上のようにみると、次世代革新炉に決定打はないが、技術的に安定しているという点では、第3世代の軽水炉が現実的だろう。SMRは原理的にメルトダウンが起こらないというイメージの良さは政治的に有利だが、安全審査体制を根本的に変えないと、日本に導入することは難しい。 それよりも大事なのは、政権の姿勢である。今回のGX実行会議では「エネルギーをめぐる世界の断層的変動」が強調され、ヨーロッパの「ガス途絶リスク」が問題意識となっている。「原発1基動かせばLNG(液化天然ガス)100万トン」という岸田首相の言葉も、対米協調でヨーロッパのエネルギー危機を救済しようというものだろう。 原子力は、日本のエネルギー安全保障のコアである。3・11以来「失われた10年」が続いてきたが、ウクライナ戦争で局面は変わった。既存の原発を再稼動・延命するだけでなく、新たに開発しないと人材も技術も失われ、製造業が壊滅してしまう。今回が最後のチャンスである』、「次世代革新炉に決定打はないが、技術的に安定しているという点では、第3世代の軽水炉が現実的だろう。SMRは原理的にメルトダウンが起こらないというイメージの良さは政治的に有利だが、安全審査体制を根本的に変えないと、日本に導入することは難しい」、「原子力は、日本のエネルギー安全保障のコアである。3・11以来「失われた10年」が続いてきたが、ウクライナ戦争で局面は変わった。既存の原発を再稼動・延命するだけでなく、新たに開発しないと人材も技術も失われ、製造業が壊滅してしまう。今回が最後のチャンスである」、しかし、「原発」は廃棄物処理とセットで考える必要があり、これが難題だ。「原発」問題は多面的なので、矛盾が最小になるような組み合わせが求められる。
タグ:(その20)(福島原発の賠償負担金 密かに軽減されていた 電気代高騰の陰で電力会社が293億円の恩恵、「次世代革新炉」で原子力の「失われた10年」は取り戻せるか ウクライナ戦争によるエネルギー危機が岸田首相を動かした) 原発問題 池田 信夫氏による「「次世代革新炉」で原子力の「失われた10年」は取り戻せるか ウクライナ戦争によるエネルギー危機が岸田首相を動かした」 「電力会社が秘かに負担軽減を認められていたという事実は、電力行政への疑念を引き起こしかねない。経産省や原賠機構は軽減の実態をつまびらかにすべきだ」、同感である。 JBPRESS 複雑怪奇な仕組みだ。 事実だとすれば、確かに「不透明」極まるやり方だ。 東洋経済オンライン「福島原発の賠償負担金、密かに軽減されていた 電気代高騰の陰で電力会社が293億円の恩恵」 「次世代革新炉に決定打はないが、技術的に安定しているという点では、第3世代の軽水炉が現実的だろう。SMRは原理的にメルトダウンが起こらないというイメージの良さは政治的に有利だが、安全審査体制を根本的に変えないと、日本に導入することは難しい」、「原子力は、日本のエネルギー安全保障のコアである。3・11以来「失われた10年」が続いてきたが、ウクライナ戦争で局面は変わった。既存の原発を再稼動・延命するだけでなく、新たに開発しないと人材も技術も失われ、製造業が壊滅してしまう。今回が最後のチャンスである」、しかし、 「1基のコストは約200億円。15基を1カ所に集めて管理すると約3000億円で、現在の軽水炉と大きく変わらないが、この価格を実現するには大量生産できる生産体制と需要拡大が必要である」、「原子力規制委員会の田中俊一前委員長」「は、出力10万キロワット級の小型モジュール炉であっても、求められる安全性は従来の大型原発と同じだと指摘。経済性が成り立たないことは、中小型炉が長年実用化に至っていないことからも明らかで、「電力会社は全く見向きもしないと思う」と述べた」、確かに「経済性が成り立たないことは、中小型炉が長年 「第3世代軽水炉ABWR」が「柏崎刈羽6・7号、北陸電力志賀2号、中部電力浜岡5号で実績」、既に4基が稼働しているようだ。 「検討使」とは言い得て妙だが、興味深そうだ。
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インフラ輸出(その14)(インドネシア高速鉄道が「中国の中古車両が走る中国の鉄道」に成り果てる可能性、中国鉄道メーカー 欧州で「車両契約解消」の衝撃 2年経っても運行認可出ず 今後の展開に暗雲、なぜ世界一の「日本の新幹線」が海外で売れないのか…日本人は「技術の売り方」を根本的に勘違いしている 「付加価値」への努力の方向性が間違っている)

インフラ輸出については、1月23日に取上げた。今日は、(その14)(インドネシア高速鉄道が「中国の中古車両が走る中国の鉄道」に成り果てる可能性、中国鉄道メーカー 欧州で「車両契約解消」の衝撃 2年経っても運行認可出ず 今後の展開に暗雲、なぜ世界一の「日本の新幹線」が海外で売れないのか…日本人は「技術の売り方」を根本的に勘違いしている 「付加価値」への努力の方向性が間違っている)である。

先ずは、4月30日付け現代ビジネス「インドネシア高速鉄道が「中国の中古車両が走る中国の鉄道」に成り果てる可能性」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/94929?imp=0
・『3兆ルピアを国庫から負担  インドネシアの首都ジャカルタと西ジャワ州の州都バンドン間150kmを結ぶ高速鉄道計画が壁に直面している。 インドネシア側と中国側で合弁を組む「インドネシア中国高速鉄道会社(KCCI)」などによると、建設費用が不足しており、このままでは2022年度中の開業も難しい局面になりかねない、というのだ。 資金不足は主に用地買収の遅れや建設現場周辺への環境対策によるものとされ、当初の見通しの甘さや杜撰な資金計画が浮き彫りとなっている。 この高速鉄道計画は2015年、ジョコ・ウィドド政権が公表し、日本や中国など海外業者の入札を求めた。鉄道技術では世界有数の日本は官民連携でこの入札に応じたが、インドネシア政府は突如入札の延期を発表、その直後に再度の入札を実施して中国が落札した経緯がある。 当時の菅官房長官は、安全性を最優先して有力視されていた日本から突然中国に鞍替えしたインドネシアの姿勢に「常識的に考えられない」と不快感を露わにした。 中国側は、早期着工・早期完成・開業をうたい上げ、環境アセスメントもいい加減なものと言われる。一説にはインドネシア側が日本の環境アセス資料を裏で流し、中国はそれに少し手を加えて提出したともいわれるなど、いわくつきの落札だった。 さらに建設に関わる一切の費用について「国庫負担を求めない」としたことが、「自分の懐が痛まない」と歓喜したインドネシア側が中国に落札させた最大の決め手と言われた。ところが、建設費は様々な要因から不足し、2021年11月にはインドネシアが当初の約束に反する不足費用の国庫負担を決め、3兆ルピア(約357億円)を支出することになった。 このころから最初は諸手を上げて大規模国家プロジェクトである高速鉄道計画を持ち上げていたインドネシアメディアの中にも「本当に実現できるのか」という疑心暗鬼が生まれ、以後、ジョコ・ウィドド政権に対して否定的な報道もみられるように事態が変化した』、「安全性を最優先して有力視されていた日本から突然中国に鞍替えしたインドネシアの姿勢に「常識的に考えられない」と不快感」、「建設費は様々な要因から不足し、2021年11月にはインドネシアが当初の約束に反する不足費用の国庫負担を決め、3兆ルピア(約357億円)を支出」、「インドネシアメディアの中にも「本当に実現できるのか」という疑心暗鬼が生まれ、以後、ジョコ・ウィドド政権に対して否定的な報道もみられるように事態が変化」、当然の帰結だ。
・『資金不足はなぜ生じたのか  高速鉄道計画は当初、建設に関わる資金として55億ドルを金利2%で中国開発銀行から融資を受け、40年で返済することになっていた。ところが建設に際し土地の収用が思ったように進まず、建設地周辺の環境問題も発生、そこにコロナ禍が追い打ちをかけ、工事中断や中国からの労働者の入国制限、労働者のPCR検査費用などが膨れ上がり、資金不足に陥ったとされる。 これにより2018年完工という当初の目標は何度も延期され、現在では2023年初めの完工となっている。 2022年初めにはインドネシアは2022年中の完工としており、11月にバリ島で開催予定のG20会議(主要20カ国・地域の首脳・財務相、中央銀行総裁会議)に出席予定の中国の習近平国家主席とジョコ・ウィドド大統領が完成した高速鉄道に試乗する計画を打ち上げたが、これさえも危うくなっている。 そのため、一部区間だけの完成を急ぎ、その限定区間だけの試乗ならあり得るかも知れないとの観測も出ている。 資金不足に直面したインドネシア政府は2021年11月、国庫の支出に踏み切らざるを得なくなった。中国との間では「インドネシア側に国庫負担は負わせず、資金の保証も求めない」と約束していたにもかかわらず、約4.3兆ルピア(約357億円)の支出を決めたのだった。 この国庫支出は、高速鉄道の運営にあたる「インドネシア中国高速鉄道会社(KCCI)」に出資している「国営インドネシア鉄道(KAI)」への融資という形をとっている。 KCCIは一応、国費投入の資金不足は工事費増大とは直接関係なく、インドネシア側の企業連合体からKCCIへの出資額が不足していることが主な要因と説明している。 こういうわけで「資金不足の悪夢」が再びインドネシアを襲ったのだが、インドネシア政府への融資増額という国庫への負担はなく、胸をなでおろしたものの、2023年6月への完工延期、工事進捗率が82%に過ぎず全路線で13あるトンネルのうち3本が未完であること、高架工事でミスがあり橋脚撤去工事中に事故が起きるなど、依然として不安材料は山積している』、「完工」は「2023年6月へ」「延期」したが、「工事進捗率が82%に過ぎず全路線で13あるトンネルのうち3本が未完であること、高架工事でミスがあり橋脚撤去工事中に事故が起きるなど」、からもっと「延期」される可能性もあろう。
・『中国側にさらなる追加融資依頼へ  こうした中、4月21日、高速鉄道計画は再び資金不足に陥り、今回は中国側に追加融資を要請することになりそうだと米系メディアが報じた。 それによると、インドネシア側は約20億ドルに及ぶ不足分の75%を中国開発銀行に求めるものとみられるという。当然、どうして再び資金不足となったのか、あまりにも杜撰ではないかとの批判が噴出している。 コロナ禍という予期せぬ未曾有の出来事があったために出資が膨れ上がったとしても、そもそもの中国の応札時の見積もりに不備があったなどと、今さらあれこれ言っても詮無いこととはいえ、当然のことながら、中国の杜撰な計画を鵜呑みにして進めたインドネシア側にも責任はあるだろう』、「中国の杜撰な計画を鵜呑みにして進めたインドネシア側にも責任はある」、その通りだ。
・『首都移転計画の前途にも暗雲  インドネシア政府は2045年の独立100周年までに現在の首都ジャカルタを約1200キロ北に離れたカリマンタン島(マレーシア名ボルネオ島)東カリマンタン州の熱帯雨林地帯に移転する大型国家プロジェクトを抱えている。 このジョコ・ウィドド大統領の肝いり政策とされる国家的プロジェクトにも大きな問題があり、早くも実現は難しい、一部移転に留まるのでは、などという後ろ向きの見方がでている。 資金問題に関しては高速鉄道計画と同様、政府はその多くの費用を外国や外国企業からの投資に頼っている。日本のソフトバンクも孫正義会長が2021年1月にジャカルタを訪問、ジョコ・ウィドド大統領、ルフット・パンジャイタン調整相(海事・投資)らと会談して、首都移転計画に賛同して融資する方針を明らかにした。 孫氏は英国のブレア元首相らとともにインドネシア政府の首都移転問題審議委員会のメンバーに選ばれており、インドネシア側の期待が大きかったことをうかがわせた。 だが2022年3月、ソフトバンクは突然、インドネシアの首都移転計画への融資を取りやめると、インドネシア側に理由を詳しく明かさないまま撤退を通告した。 ソフトバンク側は予定していた融資額については明確にしていないが、インドネシアのルフット・パンジャイタン調整相(海事・投資)などからは「資金額は200?400億ドルだった」と大きな失望の声が漏れた。 あわてたインドネシア政府は「今後は別の企業、さらに中国にも支援を求めていきたい」と表明、再び中国頼みの巨額プロジェクトとなりそうな気配が漂っている。 国際協力機構(JICA)がインドネシアの日系企業に勤める日本人を対象にした調査では、「首都移転が実現するかどうかは半信半疑」との回答が実に77%に達した。「実現の可能性は低い」は8.5%、「移転は確実に実現する」は14.5%という結果が出たという。 インドネシア側も、首都移転に伴う財政的裏付けの確保に躍起の財務省を中心に、政府部内にも実現の可能性に疑問を抱く声が広がっているという。 首都移転計画では国会や各省庁の機能が移転するが、経済的な機能を持つ関係省庁はジャカルタに残す方針だ。これは首都移転に伴い、ジャカルタに進出している外国企業の事務所や営業所、工場などの大半が移転を計画していないことなどが影響しているという。 先のJICAの調査でも72%が現地法人・駐在員地味所を新首都に移転させる可能性は「低い、またはない」と回答している』、「首都移転計画」に「ソフトバンク」が投資する約束を撤回したとは初めて知ったが、「インドネシア」側のいい加減な姿勢を考慮すれば、当然だ。
・『どうなる高速鉄道計画  中国主導で進められてきた高速鉄道計画は、4月には一部で線路の着工が始まるなど建設工事自体は止まっていない。しかし資金問題を抱え、このままでは中国の銀行からの増資を受けることになり、ますます中国依存が高まり、「中国の鉄道」となりかねない。 すでにジャカルタに到着したという中国製車両も、当初予定の新型ではなく「中古」の車両だったとの報道もある。KCCI側はあくまで試験用車両と説明しているが、このまま資金不足が続けば、中国の中古車両が走る中国の高速鉄道となる可能性も残る。 中国が一方的に推し進める「一帯一路」政策の甘い罠に乗ってしまったインドネシアは今後、中国による「債務の罠」にはまる危険性も十分あり、ジョコ・ウィドド政権の冷静な目による観察と判断が求められている』、「「一帯一路」政策の甘い罠に乗ってしまったインドネシアは今後、中国による「債務の罠」にはまる危険性も十分あり、ジョコ・ウィドド政権の冷静な目による観察と判断が求められている」、同感である。

次に、5月15日付け東洋経済オンラインが掲載した欧州鉄道フォトライターの橋爪 智之氏による「中国鉄道メーカー、欧州で「車両契約解消」の衝撃 2年経っても運行認可出ず、今後の展開に暗雲」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/588917
・『チェコの民間鉄道会社レオ・エクスプレスが、購入契約を結んでいた中国中車(CRRC)製の新型電車「シリウス」3編成の契約を解消したと、チェコの情報サイト「Zdopravy.cz」が4月25日に報じた。同サイトは、複数の情報筋から契約破棄に関する情報を入手したとしており、その1つはレオ・エクスプレスからのものだとしている。 レオ・エクスプレスのスポークスマン、エミール・セドラジーク氏は同サイトの取材に対し、「契約上の取り決めにより、レオ・エクスプレスとCRRCの機密関係や進行中の交渉についてコメントすることはできません」と返答したが、契約終了について否定はしていない。契約は、すでに製造された3編成分の受け取り拒否はもちろんのこと、30編成分の追加発注オプションも含め、すべて破棄される見込みのようだ』、「契約は、すでに製造された3編成分の受け取り拒否はもちろんのこと、30編成分の追加発注オプションも含め、すべて破棄」、どんな事情があったのだろう。
・『2年経っても認可を得られず  新型車両「シリウス」は、ヨーロッパにおける運行認可を取得するため、チェコのVUZヴェリム試験場で2年以上前の2019年9月からテストが続けられている。レオ・エクスプレスは当初、「新型車は2020年の春~夏頃から運行を開始する予定だ」と述べていたが、いまだに運行認可を取得できていない。 「シリウス」は、最高速度こそ現有車両のスイス・シュタドラー製FLIRTと同じ時速160kmであるが、直流3kV専用車のFLIRTと異なり、交流25kV・50Hzにも対応した複電圧車で、直流と交流区間が混在するチェコ国内の運用範囲拡大、および国際ルートの拡充を目論んでいた。また、中国メーカー製ではあるが、全パーツの5分の1はチェコ製で、信号システムなど主要部品もチェコ製を採用していた。) アルミ製車体・連接構造の「シリウス」は全長111.2m。現有車両より若干長いことからプラハ中央駅のレオ・エクスプレス専用ホームは長さが足りず、出発信号機の閉塞区間にも干渉してしまう問題があったが、対応工事を実施し完了していた。すでに製造された3編成のうち、2編成がチェコのヴェリム試験場へ送られていたが、契約解消後も当面はヴェリムに残るとされている。 契約破棄となると、両社とも今後の計画を見直す必要に迫られることになる。まず、車両を発注したレオ・エクスプレスは、この新型車両の導入に合わせて運行本数の増大や運行区間の拡大を予定していたが、これらの計画はすべていったん白紙撤回することになる』、「新型車両「シリウス」は。2年以上前の2019年9月からテストが続けられている・・・が、いまだに運行認可を取得できていない」、「「シリウス」は、直流3kV専用車のFLIRTと異なり、交流25kV・50Hzにも対応した複電圧車で、直流と交流区間が混在するチェコ国内の運用範囲拡大、および国際ルートの拡充を目論んでいた」とはいえ、2年以上経っても認可が得られないというのは、異常事態だ。
・『レオの株主にはスペインメーカー  気になるのは、レオ・エクスプレスの株式の55%を保有するのはスペイン資本で、その一部にはスペインの鉄道車両メーカー大手のCAF社が絡んでいる点だ。具体的には、スペインの鉄道会社Renfeが49.9%の株式を保有し、5%はスウェーデンに拠点を置くEuroMaint Gruppe(ユーロメイント)という会社が保有しているが、この会社は2019年にCAFが買収し、同社の100%子会社となっている。 この先はあくまで憶測にすぎないが、CAFは以前よりチェコ鉄道の車両入札へ応札したり、ポーランドのバスメーカーであるソラリスを傘下に収めたりと、中欧市場へかなり関心を持っていることがうかがえる。また、2021年にはアルストムから連接車両「コラディア・ポリヴァレント」と「タレント3」のプラットフォームおよび生産拠点を取得するなど、事業の拡大を進めている。 これらの動向から、シリウスが2年以上にわたってテストを続けるも一向に運行認可を取得できないことを口実としてCRRCとの契約を破棄させ、代わりに同社製の車両を導入させることも視野に入れているのではないか、というシナリオが見えてくる。 実際、今回契約を破棄されたとされるシリウスも、すでに営業を行っているシュタドラーFLIRTも、最高時速160kmの連接式車両という点でコラディア・ポリヴァレントやタレント3と共通している』、「シリウスが2年以上にわたってテストを続けるも一向に運行認可を取得できないことを口実としてCRRCとの契約を破棄させ、代わりに同社製の車両を導入させることも視野に入れているのではないか、というシナリオが見えてくる」、大いにあり得るシナリオだ。
・『CRRCは今後どうする?  一方のCRRCは、シリウス3編成をすでに製造し、テスト走行も開始している。しかし前述の通り、ヨーロッパ域内での走行認可が取得できなければ営業運行ができないため、ヨーロッパ域内ではどこの鉄道会社とも契約することはできない。となると考えられるシナリオは2つある。1つは認可取得へ向けて引き続きテストを行い、その傍らで他の運行会社との交渉を地道に続けること、もう1つはヨーロッパ域内での運行を諦め、他の国や地域へ売却することだ。 こうした認可や運行許可は、あくまでヨーロッパ域内での話で、標準軌で直流3kVもしくは交流25kV・50Hzで電化されている国であれば、理論上は運行することが可能なので、この基準に合致する国を探すというのが手っ取り早い。極端な話ではあるが、例えば中国は交流25kV・50Hzで電化されているので、同社が引き取って持ち帰ったとしても運行できないわけではない。 CRRCはすでにオーストリアのウィーンに支社を置き、ヨーロッパへの販路拡大に注力しているが、今のところヨーロッパ市場へ参入できているとは言い難い。 今回、契約を破棄されたレオ・エクスプレス向けシリウスとは別に、同社は2つのプロジェクトを推進している。1つはハンガリーの貨物会社レールカーゴハンガリア(Rail Cargo Hungaria・RCH)向けの電気機関車バイソン、もう1つはオーストリアの民間鉄道会社ウェストバーン(Westbahn)向けの新型2階建て電車で、これらはいずれもリース契約となっている。 RCH向け電気機関車は、すでにテスト走行を開始しており、こちらも運行認可の取得が課題となっている。ウェストバーン向けの新型2階建て電車は、先日中国より出荷され、5月4日にチェコのヴェリム試験場に到着、今後はテスト走行と認可の取得へ向けた準備に入る。 リース契約は、車両の保有権はあくまでCRRCにあり、運行開始後は同社の責任のもとで運行会社がリース料を払いながら使用するという形で、契約にはフルメンテナンスも含まれている。一定期間のリース終了後、鉄道会社がその車両に満足すればそのまま残りの資産価値分を支払って買い取ることもできるし、不要となれば契約解除できるという点は、自動車のリース契約と同じ仕組みだ。実際に運行を始めるまではリース料の支払い義務はないから、鉄道会社側は運行開始が遅れてもリスクを負うことはない』、リスクは「CRRC」が負っている形だ。
・『CRRCは欧州に踏みとどまれるか  RCHやウェストバーンがレオ・エクスプレスと異なるのは、CRRC製の車両導入が今後を見据えた長期計画に基づくものではなく、あくまで「買い増し」のような位置付けであることだ。つまり、現有車両の置き換えや増発計画といった会社の戦略に影響を及ぼすものではなく、レオ・エクスプレスのように、車両を導入できないことが経営計画に大きく響くことはない。 ウェストバーンに至っては、自社の予算ですでにシュタドラーから新型電車を大量導入しており、CRRC製の車両は「もしうまく走るようになれば、今後はそちらから買うことを検討するよ」というスタンスだ。もともと計画に組み込まれていない買い増しであることに加え、営業運転が開始されるまで費用を払う必要はないのだから、ウェストバーンが大きなリスクを背負うことはない。 逆にCRRCは、ここからが正念場となる。契約破棄という汚名を返上するためにも、リース契約を承諾している2つの会社へ、まずはきちんと車両を納入し、さらにこの2つの顧客を満足させるだけのパフォーマンスを見せなければならない。当然ながら、ヨーロッパの鉄道会社のほとんどはこのニュースを注視しているはずで、2つのリース契約で成果を上げなければ、ヨーロッパ市場への進出という野望は霧散することになる。 はたして今回の契約破棄という失敗を糧に、ヨーロッパ市場へ食い込み、踏みとどまることができるか。世界最大の鉄道車両メーカー、巨人CRRCの真価が問われる』、「世界最大の鉄道車両メーカー」といえども、「契約破棄という汚名を返上するためにも、リース契約を承諾している2つの会社へ、まずはきちんと車両を納入し、さらにこの2つの顧客を満足させるだけのパフォーマンスを見せなければならない」、大株主の意向だったとはいえ、「契約破棄」の代償は安くはないようだ。

第三に、8月30日付けPRESIDENT Onlineが掲載した元住友商事社員・YouTuberの小林 邦宏氏による「なぜ世界一の「日本の新幹線」が海外で売れないのか…日本人は「技術の売り方」を根本的に勘違いしている 「付加価値」への努力の方向性が間違っている」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/60717
・『日本は世界の鉄道建設で中国に敗れ続けている。元住友商事社員の小林邦宏さんは「日本はいまだに鉄道の価値を『速さ』だと思っている。すでに鉄道の価値は速さから『快適さ』に移りつつある。そこに勘違いがあるので、中国勢に負けてしまう」という――。 ※本稿は、小林邦宏『鉄道ビジネスから世界を読む』(インターナショナル新書)の一部を再編集したものです』、「「日本はいまだに鉄道の価値を『速さ』だと思っている。すでに鉄道の価値は速さから『快適さ』に移りつつある」、言われてみれば、その通りだ。
・『20年間で根本的に変わった「移動している時間」  世界中を旅していると、時間の感覚が妙に敏感になることがある。 ある国の駅から高速鉄道で別の国の駅に向かっていて、自分は「未来に向けて旅しているのだ」などと考えてしまうのだ。たしかに、到着時刻は出発時刻から見れば明らかな未来なのだが、普段は地球上の2点間の物理的距離を移動しているという認識しかない。日常の生活では到着時刻という数時間先を未来と考えることは少ないが、旅という特殊な環境(私にとっては日常かもしれない)が、今まで気づかなかったことに気づかせてくれることもあるようだ。 人間の1日の行動を「○○している時間」という視点で区切って考えてみると、たとえば「眠っている時間」に人間がやっていることは100年前とほとんど変わっていない。100年前に比べてベッドで寝る人が増えたとか、変化といってもその程度だろう。「働いている時間」は、ITの発達やテレワークの普及などで変化もあるが、それでも100年前にデスクワークしていた人は、現代でもデスクの前に座っているはずだ。 なんといっても、この20年間でもっとも大きく根本的に変わったのは「移動している時間」だろう。 簡単にいってしまえば、かつての移動時間というのは“死んだ時間”だった。出発して目的地に着くまでの数時間、基本的に通信も途絶状態だった。そのため、昔のサラリーマンは新幹線に乗り込むと「どうせ数時間は仕事ができない」と諦めて駅弁を開き、缶ビールを飲んでいた。しかし、現代のビジネスマンが新幹線に乗って、まず開くのはラップトップPC。もちろん、通信も可能だ』、「かつての移動時間というのは“死んだ時間”だった。出発して目的地に着くまでの数時間、基本的に通信も途絶状態だった」、「現代のビジネスマンが新幹線に乗って、まず開くのはラップトップPC。もちろん、通信も可能だ」、確かに「移動時間」はかつてに比べ激変したようだ。
・『リニアをはじめとする高速鉄道は本当に必要なのか  こうなると、新幹線の速度が上がって目的地までの所要時間が1時間短縮されたところで、さほどうれしくもないだろう。むしろ、列車の速度よりも「快適な作業環境」こそが、利用者が鉄道に求めているものではないのか。たとえば、豪華なクルーズ船というのは、そもそも「速さ」よりも「快適さ」を重視した移動手段だが、現在では衛星回線を利用したインターネットも使用できるようになっている。今後はビジネス・エグゼクティブの移動手段としての需要が増えてもおかしくないはずだ。 世界各地の入札で中国に敗れ続けながらも、日本は新幹線を輸出するべくアプローチを続けている。2015年にはバンコク―チェンマイ間(約670km)の高速鉄道建設で日本はタイ政府と合意し、正式契約も締結された。しかし、高速鉄道は本当に「今求められるもの」なのだろうか? また、品川―名古屋間を40分で結ぶリニア中央新幹線は、本当に必要なのか?』、「バンコク―チェンマイ間(約670km)の高速鉄道建設」、は感覚的に需要があるとは思えない。「リニア中央新幹線」についても、このブログで何回も取上げているが、既存の新幹線で十分に用が足りるので不要と思う。
・『高速鉄道が成功を収める地理的条件  世界初の長距離高速鉄道として1964年に開業した東海道新幹線は営業面でも成功を収め、現在でもJR東海の圧倒的主力路線として活躍中である。しかし、この成功の背景には、ある「地理的な条件」が存在していたはずだ。 東京―新大阪間の路線距離は515km。この程度の距離で、しかも同じ本州に位置する日本の首都と当時の第2の都市を結んだことが、東海道新幹線の成功の理由だろう。そう考えれば、台北市・南港駅から高雄市・左営駅の345kmを約90分で結ぶ台湾高速鉄道も成功の条件を満たしている。実際に集客力も高いようだ。 一方で、バンコク―チェンマイ間を結ぶタイの高速鉄道は前述の通り、日本が開発援助のパートナーとなったが、契約はしたもののプロジェクトは本格始動していない。現地では、この高速鉄道の採算性を問題視する声もあるという。670kmという距離に問題があるのだろうか。 東海道・山陽新幹線で東京駅から670kmというと、岡山のあたり。高速鉄道の限界ギリギリかもしれない。行き先が広島なら、多くの人が飛行機を利用するだろう。また、ニュージーランドのように首都ウェリントンと第2の都市クライストチャーチが南北の島に分かれている国も、高速鉄道建設には向いていないはずだ』、「バンコク―チェンマイ間を結ぶタイの高速鉄道」は「採算性を問題視する声もある」、「本格始動していない」のを幸いと止めるべきだろう。北海道新幹線も、「札幌」までなら、飛行機にはからわないだろう。
・『クルマ社会では「降りた後の移動手段」も重要  さらに、2022年3月には米国のバイデン大統領が雇用プランの一環として、テキサス州に日本の技術で高速鉄道を建設するプロジェクトを発表したが、これはどうだろう。ヒューストン―ダラス間、約380kmを90分で結ぶというから、距離は台湾高速鉄道と同程度。しかし、バイデン大統領は「公共交通の整備」も雇用プランに掲げているが、アメリカの社会を考えると「高速鉄道に乗るまで、降りた後の移動手段は?」と心配になってしまう。 ちなみに、私は22年4月にダラスに滞在していたが、現地のビジネスマンと会話しても誰もこのプロジェクトを知らなかった。私がプロジェクトが現在進行中であることを伝えると、彼らは一様に 「そんなのカネの無駄遣いだ。プロジェクトを主導している政治家はアメリカのことがわかっているのか クルマ社会のテキサスで、駅に着いてからどうすればいいんだよ」と語っていた』、「ヒューストン―ダラス間、約380kmを90分で結ぶ」「高速鉄道」も、「カネの無駄遣いだ」ろう。
・『カップ麺が1分で完成しても価値は3倍にはならない  では、着々と建設が進められてきたリニア中央新幹線は成功するのだろうか? 2027年に開業が予定されている品川―名古屋間は約285km。この距離が、最高時速505kmのリニアモーターカーによって約40分で結ばれるという。突発的に「1時間以内に東京から名古屋に行かなければいけない」という事態に遭遇した人には、唯一の移動手段となるだろう。しかし、そんな人がどれだけいるだろうか。それ以外の人々にとって、リニア新幹線の速さはどれだけの価値を持つのだろうか。 そもそも前述の通り移動手段の価値基準は「速さ」から「快適さ」へと重心が移りつつあるが、それ以前から「速さ」がもたらす価値には一定の限界があったはずだ。 たとえば、お湯を注いで3分で食べられるカップ麺は世界的ヒット商品となったが、調理時間を1分に短縮したところで売り上げが3倍にならないことは、すでに実証されている。また、調理時間が5分という商品も、市場で特に劣勢というわけではない。つまり、カップ麺の調理時間に求められる「速さ」は、3分前後で価値をもたらす限界に達するということだ』、次のブロックでコメントしたい。
・『リニアは速すぎて従来の鉄道と同じ通信手段を使えない  現代の移動手段では、ある意味で速さよりも重要になる「快適な作業環境」という要素はどうだろうか。前述したクルーズ船や、飛行機では衛星回線を使ったインターネット・サービスが利用できるが、鉄道で衛星回線を利用している例はまだ聞いたことがない。そして、リニア中央新幹線は従来の鉄道と同じ通信手段を使うには「速過ぎる」という問題を抱えている。 JR東海はホームページにリニア中央新幹線に関するFAQのコーナーを設けていて、 トンネルの中でも電波はありますか。(車内で携帯電話やPCのインターネットは繋がりますか。)(原文ママ、以下同) という質問に対して次のように回答している。 営業線での携帯電話やインターネット接続サービスは、今後の世の中の技術の動向やお客さまのニーズを踏まえ、より良いサービスの形を今後検討していきます。 要するに、現時点では問題が存在し、それが解決できるかもわからない、ということだ。大丈夫か 編集部註:JR東海は、プレジデントオンラインに対し「リニアの走行環境における通信について、現時点で実用化の見込みは立っている」と回答しています』、「品川―名古屋間」が94分から40分になっても、私は乗りたいとは思わない。まして、「携帯電話やインターネット接続サービス」が使えないのであれば、乗りたくない。
・『日本人はテクノロジーを向ける先の把握が苦手  2005年から15年までフランスのブガッティ・オトモビルが生産していたスーパーカー「ヴェイロン」は、標準モデルでも最高時速407kmという驚愕きょうがくのスペックを誇った。時速200kmで飛ばしているクルマを、さらに200km以上速い速度でブチ抜けるというのだから尋常ではない。「東京から成田まで最高速度で巡航すればわずか10分。ただし、道路が直線ならば(笑)」といわれたほどだ。 しかし、限定生産300台の内、日本には15台が割り当てられていたが、実際の販売は3台にとどまった。日本での販売価格は1億6000万円以上だったが、この手の商品に価格はあまり関係ない。「最高速度の時速407kmを出すには、一度停まって、ウィングを出す必要がある」という“意味不明”のメカニズムがユーザーに敬遠された可能性はあるが、やはり「最高時速・407km」は必要の限界を超えた速さだったのだろう。 自動車の開発者が速いクルマを作りたくなるのは当然だ。それは、自動車に関わるすべての技術者の本能かもしれない。 しかし、ビジネスの焦点は、必ずしもそこにはないということだ。実際に、スーパーカーのマーケットは自動車産業全体の一部に過ぎない。軽自動車のマーケットも存在するし、大型トラックのマーケットも存在するのだ。軽自動車マーケットで儲けようというのなら「速さ」とは異なるセールス・ポイントが必要になるのは、いうまでもない。 つまり、テクノロジーを向ける先を正確に把握することが必要なのだが、私には、どうも日本人はここも苦手にしているように思えてならない』、「日本人はテクノロジーを向ける先の把握が苦手」、同感である。
・『テレビの「リモート出演」もいつの間にかスタンダードになった  たとえば、テレビ放送や受信用モニターは驚くべき貪欲さで画質を向上させているが、この開発競争はどこまで意味があるのか。多くの人が「もう、いいでしょ」と感じているはずだ。人間の眼には限界がある。一定のレベルを超えれば、どんなに画質を向上させてもヴェイロンの過剰なスピードと同じになってしまうのだ。 そして、コロナ禍は図らずも「テレビにこれ以上の画質は必要ない」ということを多くの人に体験的に認識させてしまった。ワイドショーの出演者の多くが、スタジオで密状態になることを避けてインターネット回線を利用してリモートで出演するようになったが、ほとんどの視聴者がその低画質によるストレスを感じないからスタンダード化している』、「テレビ画面」の液晶、有機ELなどのキレイさの競争もこのところ落ち着いた印象がある。「テレビにこれ以上の画質は必要ない」との「認識」が広がってきたためだろうか。
・『温水洗浄便座が世界的ヒットになったワケ  私にも、日本の大手家電メーカーに勤める友人がいる。彼は、私に会うと自分が携わっている新商品の話をしてくれる。 「今度の商品には、こんな機能がついている。さらに、こんな機能も。そして、スマホを活用すれば、こんなことだって可能だ」 私は、聞きながら「その機能って、必要か?」と考えている。友人も、それらの新機能に大きな価値がないことはわかっているから、話しているうちに声のトーンも落ちてくる。一説によると、撃沈された戦艦大和も“無駄なテクノロジー”の塊だったそうだ。日本人には、誤った方向へテクノロジーを発展させていく性癖があるのかと思えてしまう。 近年、日本人の創意工夫が正しい方向に向かってヒット商品を作った例といえば、ウォシュレットなどの温水洗浄便座ぐらいのものかもしれない。この商品では日本のテクノロジーが正しい方向に向かったということだが、その理由も明確な気がする。 まず、この商品では開発に際してテクノロジーを向ける先が、間違えようもないほどハッキリしている。排便後の肛門周辺を洗浄するということだ。そして、従来はそこにトイレットペーパーが置いてあっただけ。目的を見誤ることなく、存分の創意工夫を働かせる余地があったから、日本の温水洗浄便座は中国などでもヒット商品となったのだ』、確かに「温水洗浄便座」は「テクノロジーを向ける先が、間違えようもないほどハッキリしている」、ので成功したのだろう。
・『どんな技術にも「価値の限界」がある  しかし、今後はわからない。「インターネットを利用して、帰宅時刻に合わせて便座を温めておける!」とか「毎朝、尿の状態を便器から直接、5G通信で医療検査機関に送って健康チェック!」なんていうアイデアが反映され、他の家電商品と同様に国際的競争力を失ってしまうかもしれない。 どんな技術にも「価値の限界」があるということでもある。1970年代の日本のテレビCMで頻繁に目にした家電製品といえば電気シェーバーだが、最近では通販番組でもほとんど見かけない。もちろん、世の中からシェーバーがなくなったわけではない。どういうことかといえば、もはやシェーバーにはテレビCMを放送してまでアピールするべき新技術は残されていないということだろう』、「どんな技術にも「価値の限界」がある」、その通りだ。
・『中国との価格競争は「してはいけない競争」だった  日本の家電製品が世界市場で競争力を低下させていった背景には、もちろん中国をはじめとする新興工業国の製品との価格競争もあった。しかし、その競争は「してはいけない競争」ではなかったか。日本で非正規雇用の労働者が急増した背景には、間違いなく、この価格競争が存在している。 価格競争で日本が中国に敗れるというのは、アフリカにおける鉄道開発の受注争いと同じだ。そして、価格面の不利を補うために日本側が採用する戦略も同じで、「付加価値をつける」というものだ。この付加価値を考えようとして、日本人は往々にして誤り、テクノロジーを「はぁ?」と思うような方向へ発展させてしまうのだろう。 テクノロジーを正しい方向に向けることができれば、価格競争に巻き込まれることのない価値を持った商品を開発することができる。たとえば「デロンギ」などに代表されるイタリアの一部のコーヒーメーカーは、価格とは関係なしの価値を認められ、世界中のコーヒーファンに愛用されている。コーヒーメーカーに求められるテクノロジーも結局は「美味いコーヒーをいれる」という一点が核心で、高い技術力をそこに集約できれば、競争力のある商品を生むことができるのだ』、ダイソン社の「掃除機」、「扇風機」、ルンバ社の「掃除機」などは洗練されたデザインと、設計で一世を風靡している。
・『本当に求められる技術を考える  日本では一般的に「汎用性のある技術」が高い評価を得る傾向にあったと思うが、現在の世界市場で生き残るために必要な技術は「唯一無二の価値を生む技術」なのだ。「白物家電」などといったカテゴライズで考えるのではなく冷蔵庫なら冷蔵庫で、洗濯機なら洗濯機で、本当に求められる技術はなにかを、もう一度、検討するべきではないかと思う。 よく冷える冷蔵庫、汚れがよく落ちる洗濯機……そういえば「吸引力の落ちない掃除機」はヒット商品になったではないか。それを開発する技術力が日本になかったとは思えない。やはり、テクノロジーを向ける先を正確にフォーカスできていなかった』、ダイソン社やルンバ社のように、ありふれた「掃除機」、「扇風機」などの機能を徹底的に洗練させた瓢箪から駒のような商品で、世間をあっと言わせている。こうした余地がまだ残っているようだ。
タグ:インフラ輸出 「品川―名古屋間」が94分から40分になっても、私は乗りたいとは思わない。まして、「携帯電話やインターネット接続サービス」が使えないのであれば、乗りたくない。 「世界最大の鉄道車両メーカー」といえども、「契約破棄という汚名を返上するためにも、リース契約を承諾している2つの会社へ、まずはきちんと車両を納入し、さらにこの2つの顧客を満足させるだけのパフォーマンスを見せなければならない」、大株主の意向だったとはいえ、「契約破棄」の代償は安くはないようだ。 (その14)(インドネシア高速鉄道が「中国の中古車両が走る中国の鉄道」に成り果てる可能性、中国鉄道メーカー 欧州で「車両契約解消」の衝撃 2年経っても運行認可出ず 今後の展開に暗雲、なぜ世界一の「日本の新幹線」が海外で売れないのか…日本人は「技術の売り方」を根本的に勘違いしている 「付加価値」への努力の方向性が間違っている) リスクは「CRRC」が負っている形だ。 ダイソン社やルンバ社のように、ありふれた「掃除機」、「扇風機」などの機能を徹底的に洗練させた瓢箪から駒のような商品で、世間をあっと言わせている。こうした余地がまだ残っているようだ。 「かつての移動時間というのは“死んだ時間”だった。出発して目的地に着くまでの数時間、基本的に通信も途絶状態だった」、「現代のビジネスマンが新幹線に乗って、まず開くのはラップトップPC。もちろん、通信も可能だ」、確かに「移動時間」はかつてに比べ激変したようだ。 東洋経済オンライン 「ヒューストン―ダラス間、約380kmを90分で結ぶ」「高速鉄道」も、「カネの無駄遣いだ」ろう。 「「一帯一路」政策の甘い罠に乗ってしまったインドネシアは今後、中国による「債務の罠」にはまる危険性も十分あり、ジョコ・ウィドド政権の冷静な目による観察と判断が求められている」、同感である。 「新型車両「シリウス」は。2年以上前の2019年9月からテストが続けられている・・・が、いまだに運行認可を取得できていない」、「「シリウス」は、直流3kV専用車のFLIRTと異なり、交流25kV・50Hzにも対応した複電圧車で、直流と交流区間が混在するチェコ国内の運用範囲拡大、および国際ルートの拡充を目論んでいた」とはいえ、2年以上経っても認可が得られないというのは、異常事態だ。 「バンコク―チェンマイ間を結ぶタイの高速鉄道」は「採算性を問題視する声もある」、「本格始動していない」のを幸いと止めるべきだろう。北海道新幹線も、「札幌」までなら、飛行機にはからわないだろう。 PRESIDENT ONLINE 安全性を最優先して有力視されていた日本から突然中国に鞍替えしたインドネシアの姿勢に「常識的に考えられない」と不快感」、「建設費は様々な要因から不足し、2021年11月にはインドネシアが当初の約束に反する不足費用の国庫負担を決め、3兆ルピア(約357億円)を支出」、「インドネシアメディアの中にも「本当に実現できるのか」という疑心暗鬼が生まれ、以後、ジョコ・ウィドド政権に対して否定的な報道もみられるように事態が変化」、当然の帰結だ。 ダイソン社の「掃除機」、「扇風機」、ルンバ社の「掃除機」などは洗練されたデザインと、設計で一世を風靡している。 「契約は、すでに製造された3編成分の受け取り拒否はもちろんのこと、30編成分の追加発注オプションも含め、すべて破棄」、どんな事情があったのだろう。 「どんな技術にも「価値の限界」がある」、その通りだ。 確かに「温水洗浄便座」は「テクノロジーを向ける先が、間違えようもないほどハッキリしている」、ので成功したのだろう。 橋爪 智之氏による「中国鉄道メーカー、欧州で「車両契約解消」の衝撃 2年経っても運行認可出ず、今後の展開に暗雲」 「首都移転計画」に「ソフトバンク」が投資する約束を撤回したとは初めて知ったが、「インドネシア」側のいい加減な姿勢を考慮すれば、当然だ。 「バンコク―チェンマイ間(約670km)の高速鉄道建設」、は感覚的に需要があるとは思えない。「リニア中央新幹線」についても、このブログで何回も取上げているが、既存の新幹線で十分に用が足りるので不要と思う。 「テレビ画面」の液晶、有機ELなどのキレイさの競争もこのところ落ち着いた印象がある。「テレビにこれ以上の画質は必要ない」との「認識」が広がってきたためだろうか。 現代ビジネス「インドネシア高速鉄道が「中国の中古車両が走る中国の鉄道」に成り果てる可能性」 「日本人はテクノロジーを向ける先の把握が苦手」、同感である。 「中国の杜撰な計画を鵜呑みにして進めたインドネシア側にも責任はある」、その通りだ。 小林 邦宏氏による「なぜ世界一の「日本の新幹線」が海外で売れないのか…日本人は「技術の売り方」を根本的に勘違いしている 「付加価値」への努力の方向性が間違っている」 「シリウスが2年以上にわたってテストを続けるも一向に運行認可を取得できないことを口実としてCRRCとの契約を破棄させ、代わりに同社製の車両を導入させることも視野に入れているのではないか、というシナリオが見えてくる」、大いにあり得るシナリオだ。 「「日本はいまだに鉄道の価値を『速さ』だと思っている。すでに鉄道の価値は速さから『快適さ』に移りつつある」、言われてみれば、その通りだ。 「完工」は「2023年6月へ」「延期」したが、「工事進捗率が82%に過ぎず全路線で13あるトンネルのうち3本が未完であること、高架工事でミスがあり橋脚撤去工事中に事故が起きるなど」、からもっと「延期」される可能性もあろう。
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大学(その11)(日大新理事長・林真理子氏内定も…「78歳」「元総長」の学長選出に落胆の声、講義1回の対価が7500円 あまりにひどい大学非常勤講師の待遇 講義1回の対価が7500円 あまりにひどい大学非常勤講師の待遇、東工大 東京医科歯科大の統合協議で 「第二東大」目指した盟友・一橋 東京外大はどこへ向かうか キーワードは「大学ファンド」「国際卓越研究大学」) [社会]

大学については、5月2日に取上げた。今日は、(その11)(日大新理事長・林真理子氏内定も…「78歳」「元総長」の学長選出に落胆の声、講義1回の対価が7500円 あまりにひどい大学非常勤講師の待遇 講義1回の対価が7500円 あまりにひどい大学非常勤講師の待遇、東工大 東京医科歯科大の統合協議で 「第二東大」目指した盟友・一橋 東京外大はどこへ向かうか キーワードは「大学ファンド」「国際卓越研究大学」)である。

先ずは、6月2日付け日刊ゲンダイ「日大新理事長・林真理子氏内定も…「78歳」「元総長」の学長選出に落胆の声」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/306109
・『日大の新理事長候補に作家の林真理子氏(68)が内定した。田中英寿前理事長(75)による脱税事件を含めた一連の不祥事を受けて、7月から新体制を発足する。 現理事長で学長の加藤直人氏(70)は今年4月、今後の対応方針を説明する会見で、「身内意識が強いという指摘を真摯に受け止め、次の体制には多様性のある運営を目指してほしい」と述べていた。その際、次期理事長を外部の人材から選出する方針を示していた。 林氏は田中前理事長とは無関係な人選ではあるが、同大芸術学部出身のOG。とはいえSNSでは、〈火中の栗を拾った林氏には健闘して頂きたい〉と期待の声も広がった。 一方で、学長候補に元総長の酒井健夫氏(78)が選ばれたことが判明し、批判が相次ぐ。 〈先祖がえりでなく、若手大学人にバトンタッチしないのかと絶望感〉〈田中理事長が逮捕されても変わらないどころか、旧体制復帰?〉などといった具合だ。 「酒井氏は日大農獣医学部(現・生物資源科学部)卒。日大教授を経て、2008年9月から11年8月まで日大総長(当時の学長にあたる役職)を務めてきました。高齢であることも含め、新しい風を入れたとは言えない。また、田中前理事長が理事長を就任してきたのは08年から21年。酒井氏は距離を置いていたとしても、田中氏が学校法人を私物化していた時代に“被っていた”という事実に疑念を抱く関係者もいます。もっとも、日大側は林氏を起用し、〈女性〉や〈知名度〉を生かした改革をしたつもりでしょうが、経営にどこまで踏み込めるかは未知数。学長候補を聞いて複雑な学生や保護者は多いでしょう」(大学ジャーナリスト) もう一人の学長候補者には、東大教育学部出身で文理学部教授の広田照幸氏(62)だった。結局身内で固めたが、ブランドイメージはどうなるか』、「学長」には「酒井健夫氏」が6月3日付けで選任された。「林真理子氏」は7月1日付けで「理事長」に就任。酒井氏は2度目で、「田中氏が学校法人を私物化していた時代に“被っていた”」、のはやはり気になるところだ。手垢のついてない林理事長の活躍に期待したい
ところだが、マンモス組織を束ねていくのはかなりの困難が予想される。

次に、6月8日付けNewsweek日本版が掲載した教育社会学者の舞田敏彦氏による「講義1回の対価が7500円、あまりにひどい大学非常勤講師の待遇」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2022/06/17500-1.php
・『<大学講師の講義給の「1コマ」は1カ月4回分のことで、そこには事前の準備や試験の採点など付随業務も含まれている> 上智大学で、非常勤講師への賃金不払いが取り沙汰されている。学科コース全体で使うオンライン教材の作成など講義時間外の賃金の支払いを請求したところ、大学側は「講義給に含まれている」として支払いを拒んだという。 大学講師への給与は、講義への対価として支払われるが、事前の準備、質問対応、試験の採点等、もろもろの付随業務も含むと理解されるのが普通だ。教材作成への対価を別に払ってほしい、という訴えは珍しい。コロナ禍でオンライン用教材の作成等、負担が大きくなっていることから、この部分もきちんと評価するべきだと、ということなのだろう。 講義の対価がそれなりの額なら不満は起きないだろうが、ここに書くのがはばかられるほど安い。相場は「1コマ3万円」だ。誤解する人が多いが、これは1回90分の講義の額ではない。1カ月分(4回の講義)の対価だ。1回の講義は7500円、上記の付随業務も含めると時間給はかなり低くなる。最近はオンライン教材の作成等の負担も増えているので、コンビニバイト並みになっているかもしれない』、「1カ月で6時間教えて、「7500円」とは最低賃金に近い。
・『なり手はいくらでもいる  首都圏大学非常勤講師組合の機関誌『控室』(1997年1月19日)に、「バカにするな!-1コマの意味を理解していて本当に良かった-」という記事が出ている。その筆者は、とある児童文学者の方だ。1コマ2万7000円の講義を3コマ頼まれたのだが、提示された額を1回90分の講義の額と勘違いし、「2.7万円×3コマ×4回=32.4万円」の月収を想定していたが、振り込まれたのはその4分の1。通帳を見て飛び上がり、事務に電話をして1コマの意味を教えてもらったという。 その後、母校から「1コマ2万円で講義しないか」と話が来るが、よほど頭に来たのだろう。「バカにするな!」という強い文言ではねつけている。民間人を非常勤に呼ぶ大学が増えているが、トラブルもさぞ多く起きているかと思う。 こういう待遇でも、大学の非常勤講師のなり手はいくらでもいる。1990年代以降の大学院重点化政策により、行き場のないオーバードクター(博士学位を取得して定職に就いていない人)があふれかえっているためだ。声を掛ければ、給与も聞かずに飛びついてくる。<図1>のグラフは大学教員数の変化だが、増分が大きいのは本務先のない兼務教員(非常勤講師)だ。この多くが、定職のないオーバードクターと考えていい。 上智大学でのトラブルで、仮に大学が非を認めて支払いに応じた場合、どういう事態になるか(今件では、中央労働基準監督署が上智大学に対して賃金支払いの是正勧告を行なっている)。同じ訴えを起こす講師が続出し、全国の大学は大変なことになるだろう。非常勤講師への依存度が高い大学は、経営が一気に火の車になる。 防衛の策として、契約書に「講義、教材作成、学生への個別対応、試験採点、その他付随業務全部を含めて1カ月3万円」と書くのだろうが、これなどは民法が禁じる「公序良俗に反する契約」に当たると考えていいのではないか。 社会をよくする「知」を創造する大学で、このようなことがまかり通って良いはずがない。今回の騒動を機に、非常勤講師の待遇を真剣に見直すべきだ』、「定職のないオーバードクター」の存在が「待遇」改善のブレーキ役になっているようだ。「上智大学で、非常勤講師への賃金不払い」問題に関しては、大学側の主張に理があると思っていたが、「中央労働基準監督署が上智大学に対して賃金支払いの是正勧告を行なっている」、ということであれば、「同じ訴えを起こす講師が続出し、全国の大学は大変なことになるだろう」。今後の成り行きが注目される。

第三に、8月29日付けPRESIDENT Onlineが転載したAERAdot「東工大、東京医科歯科大の統合協議で、「第二東大」目指した盟友・一橋、東京外大はどこへ向かうか キーワードは「大学ファンド」「国際卓越研究大学」」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/60963
・『利害が一致した。思惑が合致した――。東京工業大と東京医科歯科大が、統合へ向けた協議を始めることがわかった。なぜ、2校が統合するのか。キーワードとなるのは、「大学ファンド」「国際卓越研究大学」である。 政府は大学の国際競争力をつけるため、10兆円規模の大学ファンド(基金)を創設し、その運用益をもとに数大学に年数百億円ずつ配る(2024年度からの予定)。その対象となる「国際卓越研究大学」を公募する。 東京工業大、東京医科歯科大が統合すれば、研究力が強化され、「大学ファンド」による資金獲得が得られやすい。2大学の統合協議は、資金獲得という利害、思惑がピタリと合ったから、と見ていい』、「資金獲得という利害、思惑がピタリと合った」、これは「統合」には強力なインセンティブになる。
・『一橋、東京外大、東京芸大を加えた「5大学連合」構想  ところで、東京工業大、東京医科歯科大の統合話は、今回が初めてではない。 2000年代前半、行政改革が進むなか、中央省庁の統合再編が行われた。文部省と科学技術庁が統合して文部科学省が誕生したのも、このときだ。そして、行政改革の流れは国立大学にも及び、大学の統合話が持ち上がってくる。 その最たる動きが、前述の東京工業大、東京医科歯科大に一橋大、東京外国語大、東京芸術大を加えた「5大学連合」構想だった。人文社会、自然科学がほぼそろっており、東京大に匹敵する規模となる。 2000年、こんな記事が出ている。とても興味深いので長くなるが引用する。 <一橋大の石弘光学長、東京外国語大の中嶋嶺雄学長、東京工業大の内藤喜之学長の三人は昨年四月、ドイツへ一緒に出張した。本場のビールを飲み、すっかり意気投合した。帰国後、再会して、「われわれは一緒がいいですね」と胸の内を確かめ合った>(「AERA」2000年3月6日号)このときの「一緒」案は、単位互換などの教育連携の域を超えた「統合」を意識したようにも思える。3大学が「一緒」を求めたのは、これまで東京大、京都大など旧制の帝国大学を起源とする大学に、煮え湯を飲まされた思いを抱いていたからだ。予算規模で東京外国語大は東京大の30分の1程度、東京工業大全体は東京大工学部の半分、といわれていたからだ』、「3大学」の「一緒」構想を思い出した。3人の学長が「ドイツへ一緒に出張」したのが契機とは初めて知った。
・『「鬼に金棒だ」「艶が出ていいですね」  そんな状況を打開すべく、「一緒」話はさらに盛り上がっていく。記事の引用を続けよう。 <六月、ビールを酌み交わしながら、内藤氏が切り出した。「もう一、二校、増やしませんか」異論はない。早速、別の二人の学長に声をかけた。 一人は東京医科歯科大の鈴木章夫学長だ。石氏も、「医学の知識をもって弁護士になるなら、鬼に金棒だ」と歓迎する。鈴木氏も喜ぶ。「これからの大病院、大学病院の院長に経営の知識は欠かせない」 もう一人、東京芸術大の澄川喜一学長を迎え入れた。 「文化の香りがします」「艶が出ていいですね」と学長たちは、はしゃいだ」>(「AERA」2000年3月6日号) このころ、メディアで5大学連合=第二東大の誕生か、と報じられている。東京大にはない芸術学部という「艶」があり、第二東大は本家の東京大をしのぐのでは、と5大学関係者のあいだでは期待する向きもあった。 しかし、この構想は頓挫してしまう。「艶」の東京芸術大が「オンリーワンになる学生をつくる」という理由で、5大学連合から抜けてしまう。その後、4大学連合構想は、「一緒」=統合という形では着地できなかった。学内で支持を得られない、新しい学長に「一緒」案が引き継がれなかった、という背景があったとされる。 なお、4大学連合構想に入らなかった、お茶の水女子大、東京農工大、電気通信大、東京学芸大の都内国立大学関係者は異口同音に、「取り残された感じで、心中穏やかではなかった」と振り返っている。 4大学連合は統合に至らなかったが、このうち東京医科歯科大、東京工業大、一橋大、東京外国語大の4大学で教育連携が行われるようになった。総合生命科学、海外協力、生活空間研究などのコースが設置され、4大学のどの学生も他の3大学の授業を受け単位を取得できる。それは、今日まで続いている。 それゆえ、今回の東京医科歯科大、東京工業大の統合協議について、一橋大のある教員は落胆していた』、「5大学連合」から「東京芸術大が「オンリーワンになる学生をつくる」という理由で」抜けたのはやむを得ないだろう。「4大学連合」では「教育連携」が行われているようだ。
・『「仲間はずれにされたのか」「つらくなりそう」  「うちは文系学部中心なので、自然科学系分野で『国際卓越研究大学』になれない。だから、仲間はずれにされたのか。ぬけがけにも思えた」東京外国語大のある教員はこう話す。 「うちは一橋大との統合かな。でも、文系同士なのでお金を稼げない。大学ファンドはむずかしそう。これから、つらくなりそうです。東京農工大、電気通信大などを巻き込んで大学統合するしかないのでは」 東京外国語大、東京農工大、電気通信大、一橋大は西東京(多摩地域)にある。東京学芸大も近い距離なので、いわば西東京5大学統合への期待であろう。 繰り返すが、東京工業大、東京医科歯科大の統合構想は資金獲得という側面がかなり強い。これは地方都市の大学に影響を与えるかもしれない』、「東京外国語大、東京農工大、電気通信大、一橋大は西東京(多摩地域)にある。東京学芸大も近い距離なので、いわば西東京5大学統合」、も地域制を活かした「統合」候補になり得るだろう。
・『過去に議論された地方大学の統合  地方大学の統合についても、過去に議論された前例がある。 前述の2000年代前半の行政改革において「第二東大」構想が起こったとき、文科省内では大学の具体的な名前をあげての統合シミュレーションが語られていた。 たとえば次のような統合である(大学名はいずれも当時、のちに高知医科大が統合により高知大医学部となったケースなどがある)。 ◆北東北3大学 弘前大、岩手大、秋田大 ◆北陸地区国立大学連合 富山大、富山医科薬科大、高岡短期大、金沢大、北陸先端科学技術大学院大、福井大、福井医科大 ◆四国国立大学協議会 徳島大、鳴門教育大、香川大、香川医科大、愛媛大、高知大、高知医科大 (文科省ウェブサイトでいまでも閲覧可) 大学統合に関する議論は以前からあった。戦後、旧制の大学、高等学校、専門学校などが統合再編し、新制大学(現在の大学)をつくった当初から議論にのぼっている。 かなり古い話を紹介しよう。75年前である。 北陸地方では、1947年、石川県内に「北陸総合大学設立準備委員会」をつくり、石川、富山、福井の3県で北陸総合大学構想が浮上した。 四国においては、四国4県で「四国総合大学」構想があった。大学史にこう記されている。) <香川県はこの案を四国における地理的条件から至当であると賛意を示し、徳島県も徳島医学専門学校の大学昇格運動と連動して総合大学設置を協力すると表明して、4県一体となって文部当局に要望することを決議された>(『香川大学五十年史』) このとき、現在の高知大(旧制高知高等学校)と愛媛大(旧制松山高等学校)のあいだで文学部と理学部をどこに置くかで、もめにもめた。 同じころ、九州でも熊本、大分、宮崎、鹿児島4県の「南九州総合大学」案が持ち上がっている。 <南九州に総合大学をつくる点では各県とも意見が一致した訳だが、それが決ってから中心をどこにするかは今後の問題であり、熊本を中心にするためには県民が余程の熱意を示さねばなるまい>(『熊本大学三十年史』) このとき大学本部の所在地を熊本にするか、鹿児島にするかで対立している。 こうした統合話はどうなったか。北陸、四国、南九州いずれも県を超えたブロック、地域単位の総合大学は生まれなかった。国が国立大学を都道府県に1大学設置する政策を徹底させたからである。 だが、この原則は、2000年代前半の行政改革による統合再編案で破られようとしていた。 そして、現在の話、「大学ファンド」である。どの大学も運営資金はのどから手が出るほど欲しい。そのために歴史、伝統をかなぐり捨てるような動きが出てくる。とくに地方では生き残りをかけて、「大学ファンド」のため近隣の大学が結束し、統合する話が進むかもしれない。 大学が統合した際、たいてい主導権争いが起こる。学長はどこから出すのか、学部の振り分けをどうするか、本部機能をどこに置くのか、細かな学則をどこに合わせるのか。 東京医科歯科大、東京工業大の統合協議はどのように進むのか。1法人2大学で名称は変わらない、あるいは、1法人1大学として、「東京医科歯科工業大学」になるのか。 2大学は統合への協議が明らかになったあと、同じ文章を発表した。 <両法人の統合は今後100年において日本の科学技術と社会、さらには地球環境等の課題解決に向けて極めて有効な選択肢であると考えておりますが、その最終決定は今後の両法人における協議に委ねられており、現時点では何も決定したことはありません。今後、本法人内でもより多くの構成員の意見を聞きながら集中的に協議を進めて参ります>(両大学のウェブサイト) 一字一句変わらず、とてもお役所的なもの言いなのが、残念である。2大学の特徴が何も見えない。両大学が何をしたいのか、抱負というか、野望を見せてほしかった』、「北陸、四国、南九州いずれも県を超えたブロック、地域単位の総合大学は生まれなかった。国が国立大学を都道府県に1大学設置する政策を徹底させたからである」、「どの大学も運営資金はのどから手が出るほど欲しい。そのために歴史、伝統をかなぐり捨てるような動きが出てくる。とくに地方では生き残りをかけて、「大学ファンド」のため近隣の大学が結束し、統合する話が進むかもしれない」、「大学が統合した際、たいてい主導権争いが起こる。学長はどこから出すのか、学部の振り分けをどうするか、本部機能をどこに置くのか、細かな学則をどこに合わせるのか」、「東京医科歯科大、東京工業大の統合協議」の場合は、分野が違うので、「主導権争いが起こる」余地が少なく、やりやすそうだ。
タグ:「学長」には「酒井健夫氏」が6月3日付けで選任された。「林真理子氏」は7月1日付けで「理事長」に就任。酒井氏は2度目で、「田中氏が学校法人を私物化していた時代に“被っていた”」、のはやはり気になるところだ。手垢のついてない林理事長の活躍に期待したい ところだが、マンモス組織を束ねていくのはかなりの困難が予想される。 「資金獲得という利害、思惑がピタリと合った」、これは「統合」には強力なインセンティブになる。 日刊ゲンダイ「日大新理事長・林真理子氏内定も…「78歳」「元総長」の学長選出に落胆の声」 AERAdot「東工大、東京医科歯科大の統合協議で、「第二東大」目指した盟友・一橋、東京外大はどこへ向かうか キーワードは「大学ファンド」「国際卓越研究大学」」 「5大学連合」から「東京芸術大が「オンリーワンになる学生をつくる」という理由で」抜けたのはやむを得ないだろう。「4大学連合」では「教育連携」が行われているようだ。 PRESIDENT ONLINE 「定職のないオーバードクター」の存在が「待遇」改善のブレーキ役になっているようだ。「上智大学で、非常勤講師への賃金不払い」問題に関しては、大学側の主張に理があると思っていたが、「中央労働基準監督署が上智大学に対して賃金支払いの是正勧告を行なっている」、ということであれば、「同じ訴えを起こす講師が続出し、全国の大学は大変なことになるだろう」。今後の成り行きが注目される。 「1カ月で6時間教えて、「7500円」とは最低賃金に近い。 (その11)(日大新理事長・林真理子氏内定も…「78歳」「元総長」の学長選出に落胆の声、講義1回の対価が7500円 あまりにひどい大学非常勤講師の待遇 講義1回の対価が7500円 あまりにひどい大学非常勤講師の待遇、東工大 東京医科歯科大の統合協議で 「第二東大」目指した盟友・一橋 東京外大はどこへ向かうか キーワードは「大学ファンド」「国際卓越研究大学」) 大学 「東京外国語大、東京農工大、電気通信大、一橋大は西東京(多摩地域)にある。東京学芸大も近い距離なので、いわば西東京5大学統合」、も地域制を活かした「統合」候補になり得るだろう。 舞田敏彦氏による「講義1回の対価が7500円、あまりにひどい大学非常勤講師の待遇」 Newsweek日本版 「北陸、四国、南九州いずれも県を超えたブロック、地域単位の総合大学は生まれなかった。国が国立大学を都道府県に1大学設置する政策を徹底させたからである」、「どの大学も運営資金はのどから手が出るほど欲しい。そのために歴史、伝統をかなぐり捨てるような動きが出てくる。とくに地方では生き残りをかけて、「大学ファンド」のため近隣の大学が結束し、統合する話が進むかもしれない」、 「3大学」の「一緒」構想を思い出した。3人の学長が「ドイツへ一緒に出張」したのが契機とは初めて知った。 「大学が統合した際、たいてい主導権争いが起こる。学長はどこから出すのか、学部の振り分けをどうするか、本部機能をどこに置くのか、細かな学則をどこに合わせるのか」、「東京医科歯科大、東京工業大の統合協議」の場合は、分野が違うので、「主導権争いが起こる」余地が少なそうだ。
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高齢化社会(その19)(幹部は呆れ 社員は逃げ出し…日本電産 「永守帝国」の崩壊がついに始まった、脳卒中からの社会復帰…有名実業家が提言する「生きやすい社会」 障害が「生みだされて」いる、和田 秀樹氏2題:本当に危険なのは「高齢者の運転」なのか…和田秀樹が「うっかり免許返納をしないほうがいい」と訴える理由 アクセルとブレーキの踏み間違え事故を起こす"真犯人"、実は若者と老人の記憶力には差はない…「年をとるほど忘れやすくなる」という誤解が広がる本当の理由 いくつになっても脳は鍛えることができる) [社会]

高齢化社会については、8月6日に取上げた。今日は、(その19)(幹部は呆れ 社員は逃げ出し…日本電産 「永守帝国」の崩壊がついに始まった、脳卒中からの社会復帰…有名実業家が提言する「生きやすい社会」 障害が「生みだされて」いる、和田 秀樹氏2題:本当に危険なのは「高齢者の運転」なのか…和田秀樹が「うっかり免許返納をしないほうがいい」と訴える理由 アクセルとブレーキの踏み間違え事故を起こす"真犯人"、実は若者と老人の記憶力には差はない…「年をとるほど忘れやすくなる」という誤解が広がる本当の理由 いくつになっても脳は鍛えることができる)である。

先ずは、7月25日付け現代ビジネス「幹部は呆れ、社員は逃げ出し…日本電産 「永守帝国」の崩壊がついに始まった」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/97715?imp=0
・『7月20日の決算発表では、過去最高益をマークしたと発表した日本電産。しかし、同社のカリスマ創業者・永守重信氏(77歳)はこのところ、社内の状況に強い怒りを抱いているという。 「『ゆでガエル』集団」「計画達成のためには部門長は社員の先頭になって休日返上で、率先垂範で当たること。休むなどもってのほか」……永守会長が幹部に送ったという「檄文メール」には、そんな目を疑うような文言が並んでいた。さらに、永守氏が自ら日産から引き抜いた社長・関潤氏との対立も激化している。前編記事「『休むなどもってのほか』衝撃メールにア然…日本電産・永守会長の『復活』で社内は大混乱」にひきつづき、日本電産の内情をジャーナリスト・井上久男氏がすっぱ抜く』、「永守氏」が後継含みで引き抜いたのに、失敗したのは初めてではなく、数回目だ。
・『永守会長への関社長の「反論」  永守氏が関氏を批判したのは、短期的な収益と株価を第一に考える永守氏と、「売上高10兆円」の目標達成だけでなく、全ての判断を永守氏に依存する組織風土の改革も同時並行で進めたい関氏との間に、経営方針を巡って食い違いが出始めたからだった。 ある幹部がこう語る。 「会長が『役員や幹部への賞与をカットしろ』と命じたのに対し、『業績が悪いわけではないし、これから売上高10兆円達成のために今まで以上に頑張ってもらうことを考えたら、社員に借りを作る局面ではない』と社長が反論したことも対立要因になったようだ」 要は、関氏はボトムアップで「脱永守商店」を進めなければ今後の成長はないと考えたのだが、これが永守氏には面白くなかった。氏のモットーの一つは「足下悲観、将来楽観」である。短期的に危機感を持って死に物狂いで仕事をすれば、将来は道が開けるという意味だ。 檄文を発したころから永守氏は関氏を遠ざけ、3月上旬までの4ヵ月近く、コロナが蔓延する欧州に追いやった。全体を見るCEOの仕事を事実上取り上げ、自身が経営の指揮にあたったのだ。 その間に、関氏の後継となる人材を再び外部に求めた。元三菱商事常務執行役員の吉田真也氏に白羽の矢を立てると、2月1日付で密かに顧問として次期社長含みで入社させたのである』、「檄文を発したころから永守氏は関氏を遠ざけ、3月上旬までの4ヵ月近く、コロナが蔓延する欧州に追いやった。全体を見るCEOの仕事を事実上取り上げ、自身が経営の指揮にあたったのだ。 その間に、関氏の後継となる人材を再び外部に求めた。元三菱商事常務執行役員の吉田真也氏に白羽の矢を立てると、2月1日付で密かに顧問として次期社長含みで入社させた」、創業経営者ならではの強引なやり方だ。
・『永守氏を襲った「3つの誤算」  永守氏は「大企業ブランド人材」が大好きだ。過去にはシャープ社長だった片山幹雄氏や、日産タイ法人社長だった吉本浩之氏を後継候補として採用したが、いずれも長続きせずに退任させた。 今年に入っても1月1日付でソニーモバイル社長だった岸田光哉氏、2月1日付ではソニーグループ執行役員で車載半導体に詳しい大村隆司氏を、それぞれ役員として採用している。 永守氏は体調不良を理由に関氏を退任させる方針を固め、関氏もその意向をのんだとされるが、永守氏には3つの誤算が生じた。 まずは1月に入り、米ブルームバーグが「永守会長が関社長に失望感」といった記事を配信したことを契機に、欧米の機関投資家数社が相次いで永守氏に対して「関氏を解任すれば株を売る」と通告してきたという。関氏を評価していた機関投資家は「関氏が辞めれば日本電産は市場から後継者難の会社とみなされ、将来展望が暗くなる」と考えたのだろう。 2つ目は、事業における永守氏の指導力の低下だ。これまで日本電産を支えてきた精密小型モータ事業(現小型モータ事業)は、'22年3月期の売上高が4%減の4249億円、営業利益は37%減の424億円だった。 確かに半導体不足やウクライナ危機などの要因もあったが、同事業は昨年秋から永守氏が実質指揮を執っていたにもかかわらず、業績が上向かないどころか沈んでいる。こうしたことも株価低迷に影響しているだろう』、「欧米の機関投資家数社が相次いで永守氏に対して「関氏を解任すれば株を売る」と通告してきた」、「事業における永守氏の指導力の低下だ」(「精密小型モータ事業」で、「昨年秋から永守氏が実質指揮を執っていたにもかかわらず、業績が上向かないどころか沈んでいる」)。これでは株価も下がる筈だ。
・『「永守神話はもう終わった」  市場はすでに、効率性よりも滅私奉公を求める永守氏流の経営は時代遅れだとみなしている。衰えを隠せない77歳の永守氏がCEOに復活したことを、「老害化」だと見ている投資家も多いのだ。 実際、ブルームバーグ報道後の1月27日に株価は1万円を割り始め、永守氏のCEO復帰を発表した翌日の4月22日の株価は前日比10円安の8960円だった。かつては永守氏が復帰すると株価は上がったものだが、今回は全く反応しなかった。 こうした状況から社内では「永守神話はもう終わった」という人もいるほどだ。しかし、永守氏はその責任を、精密小型モータ事業本部長だった宮部俊彦・副社長執行役員にすべて押し付け、副社長のポストをはく奪したうえで、執行役員からも外してメキシコの現地法人に左遷した。 宮部氏は'83年入社の生え抜きで、滅私奉公で尽くしてきた幹部。人望も厚かったが、非情な人事に社員たちは震え上がった。 そして3つ目の誤算は、関氏の解任に永守氏の側近が反対したことだ。創業メンバーで今も副会長として残っている小部博志氏や、受付嬢から這い上がり、人事部長などを務めた生え抜きの平田智子執行役員らは、反対しただけでなく関氏を慰留した。 これまで、永守氏が外部から採用した社長候補を追い出す時には誰も反対しなかったが、今回は様相が変わった』、「関氏の解任に永守氏の側近が反対したことだ。創業メンバーで今も副会長として残っている小部博志氏や、受付嬢から這い上がり、人事部長などを務めた生え抜きの平田智子執行役員らは、反対しただけでなく関氏を慰留」、やはり「永守神話はもう終わった」ようだ。
・『仲良しクラブは許さん  こうした流れを見た永守氏は、態度を軟化させ、COO降格受け入れを条件に関氏を慰留したという。ある幹部が語る。 「関さんが結局残ることにしたのは、会長に頼まれたからではなく、現場から辞めないでくれと切望されたから。これからもっと厳しい経営状況になるかもしれないのに、自分だけ逃げるわけにはいかないと考え直した、と聞いています」 苦学して防衛大に進んだ関氏は義理人情に厚く、現場からの信頼も厚い。それが永守氏は気に食わないのだ。元役員は「自分のこれまでの社内での人気が取られたように感じて、嫉妬しているのだろう」とも言う。 株主総会後の記者会見で後継者問題について聞かれた永守氏は、「会社は仲良しクラブになったら終わり。羊の集団でもリーダーが狼に変われば、羊はみな狼に変わる」と述べるとともに、「逃げない限りCEO候補として育てる」とも言い、関氏を復活させることに含みを持たせた。しかし、これは永守氏の本心ではないと見る向きが多い。ある幹部が語る。 「最近の会長は、すぐに人のせいにする。今後の業績悪化を想定して、『責任要員』として関氏を残しているのだろう。副社長降格もあり得るが、そうなると関氏はさすがに辞めるのではないか」 こうした見立てが日本電産の幹部層では広がっており、一部役員からは「関社長が辞めるのであれば、私も一緒に責任を取って辞める」といった声まで出ているそうだ。 旧態依然とした永守氏の思考と経営に、上層部から現場に至るまで、多くの社員が離反し始めた。永守氏が自らの足元を省みることができなければ、日本電産が「EV時代の雄」として飛躍することは難しいだろう』、「永守氏が自らの足元を省みることができなければ、日本電産が「EV時代の雄」として飛躍することは難しいだろう」、その通りだ。

次に、8月8日付け現代ビジネスが掲載したライフネット生命創業者・立命館アジア太平洋大学(APU)学長の出口 治明氏による「脳卒中からの社会復帰…有名実業家が提言する「生きやすい社会」 障害が「生みだされて」いる」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/98079?imp=0
・『脳卒中で倒れ、歩くことも、言葉を発することもできなくなってしまった出口治明氏。それでもなお、悲観的になることなく「立命館アジア太平洋大学(APU)」の学長に復職するためチャレンジを続けようと考えたのはなぜか? 強靭な精神力で、長きにわたるリハビリに取り組み病気を克服。発症からおよそ1年3ヵ月後、ついにAPU入学式の祝辞に登壇し現場復帰を飾る』、あの「出口」氏が「脳卒中で倒れ、歩くことも、言葉を発することもできなくなってしまった」、「長きにわたるリハビリに取り組み」、「ついにAPU入学式の祝辞に登壇し現場復帰を飾る」とは、興味深そうだ。
・『1年3ヶ月ぶりの復帰  2022年3月下旬、僕は電動車いすに乗って、別府のAPUキャンパスへ復帰しました。およそ1年3ヵ月ぶりです。 多くの教職員の出迎えを受け、僕が不在の間、学長代行を務めてもらった米山裕(ひろし)副学長から復帰祝いの花を手渡されると、目頭に熱いものがこみあげてきました。 そして4月1日、APUは「2022年春入学式」を行い、新たに918名の入学者を迎え入れました。 入学者の内訳は33ヵ国・地域出身からなる学部生が国内学生675名、国際学生219名。16ヵ国・地域出身の大学院生が国内学生1名、国際学生23名です。また、交換留学生・科目等履修生の受け入れ数は18ヵ国・地域から国内学生45名、国際学生35名の計80名となっています。 この入学式で、僕は次のように祝辞を述べました。 祝辞 皆さん、入学おめでとうございます。心から歓迎いたします。 僕は、去年、脳出血で倒れましたが、早く別府市で皆さんと会いたい想いで、この1年間リハビリをがんばってきました。 今日、別府で皆さんに会えることを心待ちにしてきました。 ぜひ、皆さんは、APUでたくさんの人と出会い、本を読み、広い世界を旅して、いろんなことにチャレンジしてください。 僕もチャレンジを続けます。いっしょにチャレンジしましょう。 世界に平和な一日が一刻も早く訪れますように。 2022年4月1日 立命館アジア太平洋大学学長 出口治明 祝辞の内容はAPUのスタッフと一緒に考えました。実は久しぶりの登壇であがってしまい、言い忘れてしまったところがあるのが残念でした。しかしリハビリの甲斐あって、1年と少し前は「あー」とか「はい」くらいしか声を出せなかった僕が、大勢の聴衆の前でこれくらいしゃべれるようになりました』、「1年と少し前は「あー」とか「はい」くらいしか声を出せなかった僕が、大勢の聴衆の前でこれくらいしゃべれるようになりました」、やはり「リハビリ」の効果は大きいようだ。
・『障害が「生みだされて」いる  突然の脳出血で右半身の麻痺と言語障害が出て、リハビリ生活を送った経験から僕が学んだこと、はじめて気が付いたことはたくさんあります。今後はこれらについて世の中に発信し、問題提起をしていこうと考えています。 身体に障害が出ると肉体的に以前と同じようには動けなくなりますが、障害者の制約となるのは個人の身体機能だけではありません。バリアフリーの不備をはじめ、社会や環境の在り方によってもさまざまな「障害」が生みだされてくるのです。 たとえば出勤のため、車いすで山手線を利用するとしましょう。山手線の車両は11両編成で、各車両には片側4つの乗降口がついています。 つまり、11両×4つで合計44の乗降口が駅に着くと開閉しますが、駅職員の介助なしに車いすの乗客が自力で乗り降りできるのは6号車と7号車の4番ドアのわずか2ヵ所しかありません。車両と駅プラットフォーム間のすき間や段差といった問題があり、その対策が必要だからですが、車いすの使用者は移動が制限されてしまいます。せめて自力で車いすが利用できる乗降口を2倍の4車両とし、いずれは10車両へと拡大してほしい。赤ちゃんも同じことです』、障害者からの視点での「世の中に発信し、問題提起」、には期待できそうだ。
・『一人の障害を持つ者として  一方、障害者の移動はコストが高くつくという別の問題もあります。たとえば僕はいま、自宅と大学の往復(タクシー代)に毎日1万円ほど費用がかかっています。これだけ移動にかかる負担が重ければ、行きたいところがあっても出かけるのをやめてしまう人もいるでしょう。 こうした物理的、あるいは環境的な障壁が、障害者の行動や、ひいては人生の足かせになっています。また、それらの障壁が存在する背景には、「障害をもっているのだから仕方がない」といった、人々の意識の面での障壁もあると思います。 しかし、やりたいことや行きたいところはいっぱいあるのに、なぜ障害があるからといって我慢しなければいけないのか。こんな理不尽な話はありませんが、そうした現状があることを自分の身をもって感じました。 昔に比べれば、バリアフリーの整備はかなり進んでいます。障害者やバリアフリーに関する法律が整備され、鉄道駅のエレベーター設置や段差解消をはじめ、公共交通施設や地域の一体的なバリアフリー化やユニバーサルデザインの導入が推進されてきました。しかし、まだまだ取り組むべき課題はたくさんありますから、社会的な障壁の解消推進に、一人の障害を持つ者として挑戦していきたい』、「社会的な障壁の解消推進に、一人の障害を持つ者として挑戦していきたい」、楽しみだ。
・『「知識は力」そして「迷ったらやる」  僕が患った脳卒中はかつて日本人の死亡原因の1位でしたが、近年は死亡率が減少し、がん、心疾患、老衰に次ぐ4位になっています。 ただし、これは医学の進歩によって亡くなる患者が減少したことが大きく、厚生労働省の患者調査によると、脳血管疾患で継続的な治療を受けていると推測される総患者数は2017年の段階で111万5000人にものぼります。 脳血管や循環器系の疾患は、加齢とともに患者数が増加する傾向があります。病気を予防できるのが一番ですが、これから高齢者人口が増えていけば、どうしても脳卒中などで障害を持つ人は出てくるでしょう。となれば、その対策は急務です。 しかもさまざまな社会的障壁を取り除くことは、障害者や高齢者の社会参加を促すだけでなく、障害の有無や年齢などにかかわらず、あらゆる人々が生きやすい、暮らしやすい社会づくりにつながっていくでしょう。 APUだけでなく、僕自身のチャレンジもまだまだ続きます。 「知識は力なり」をモットーに、これからも「迷ったらやる」を実行していきます』、「脳血管疾患で継続的な治療を受けていると推測される総患者数は2017年の段階で111万5000人」、今後、増加すると見込まれるので、出口氏の情報発信は大いに役立ってくれるだろう。

第三に、8月27日付けPRESIDENT Onlineが掲載した精神科医・国際医療福祉大学赤坂心理学科教授の 和田 秀樹氏による「本当に危険なのは「高齢者の運転」なのか…和田秀樹が「うっかり免許返納をしないほうがいい」と訴える理由 アクセルとブレーキの踏み間違え事故を起こす"真犯人"」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/60709
・『高齢者は運転免許を返納したほうがいいのか。精神科医の和田秀樹さんは「高齢者が特に事故を起こしやすいというデータはなく、免許返納を求める根拠はない。高齢者から免許を奪うことは老いを一気に加速させ、生きる楽しみも奪ってしまうことになる」という――。 ※本稿は、和田秀樹『老人入門 いまさら聞けない必須知識20講』(ワニブックス)の一部を再編集したものです』、私も子どもたちから、「免許返納」をうるさく言われているので、ありがたい援軍を得た感じだ。
・『高齢者にとって免許更新のハードルは高くなっている  70歳を過ぎると、運転免許の更新のたびに高齢者講習を受けなければいけません。 74歳までの前期高齢者で普通自動車免許所持の方は実車ありの2時間の講習ですが、75歳を過ぎた後期高齢者になると、この講習にくわえ、運転技能検査と認知機能検査が必要になります。 認知機能検査ではっきりと認知機能の低下が認められれば医師の診断書の提出や臨時適性検査を義務付けられ、そこでもし認知症と判断されれば本人がいくら希望しても免許は取り消しあるいは停止となります。 ところが現状はどうかといえば、まず高齢者講習は居住地に近い自動車教習所か試験場で受けることになります。膨大な層をなす団塊世代が該当しますから、この予約がなかなか取れません。後期高齢者に義務付けられている認知機能検査も予約制ですが、これもなかなか取れません。 コロナのせいもあって予約人数を制限している教習所もかなり多いといいます。高齢者にとって免許更新のハードルはだんだん高くなっているのです』、私が昨年、免許を更新した時は「高齢者講習」は問題なく取れたが、「認知機能検査」も「なかなか取れません」というのは困ったことだ。なお、妻は「自主返納」した。
・『「返納したほうが…」と弱気になってはいけない  「何だか面倒くさくなってきたな」ついそんな気持ちになってしまう人もいるでしょう。 「あちこちの教習所に電話してもなかなか都合の合う日の予約が取れない。最近はたまにしか運転しないんだから、免許なんかなければないでやっていけるかな」 ふとそう考えてしまいます。 しかも講習通知書の裏面には免許返納の手続きの説明が印刷されてあります。 「そうか、身分証明書代わりの『運転経歴証明書』というのがあるのか」 あれこれ迷ってしまい、家族に「返納したほうが安心だよ」と言われると、つい弱気になってしまうかもしれません。) でも、都会暮らしでふだん運転することがないとしても、ここで弱気になってはいけません。ふと車で長い旅行に出たくなったり、旅行先でレンタカーを借りたりすることもあるからです。自由な時間を楽しみ尽くすというのが、これからの人生のテーマです。そのためにも、移動手段の選択肢を減らしてはいけません。 まして地方に住んでいて、週に1度の買い物や通院に車を使っているような人は、免許返納をしてはいけません。不便になるだけでなく、生活の自由度が大きく低下して、老いを一気に加速させる可能性があるからです』、私も「都会暮らしでふだん運転することがない」が、年数回は温泉旅行に行くので、クルマは必須だ。
・『ブレーキとアクセルの踏み間違いの原因  高齢者の運転は危険だというイメージがあります。暴走して事故を起こすたびにマスコミに大きく報道されます。高速道路での逆走、交差点や駐車場でのブレーキとアクセルの踏み間違いなど、たしかに不自然で認知症が原因だと思われてしまいます。 でも私は、こういった普段はしないような不自然な事故の原因のほとんどが薬による意識障害ではないかと考えています。というのは、こういう事故を起こした人のほとんどは普段は暴走や逆走をしていないからです。 いっぽう、高齢になると複数の薬を常用している人が多く、代謝も落ちていますから副作用が出やすくなっているのです。低血圧や低血糖、低ナトリウム血症などになると意識障害も起こしやすくなります。 事故を起こしたドライバーがそのときの状況を「よく覚えていない」と言うことがありますが、これも認知症より意識障害を疑っていい証言でしょう』、私は「低血圧や低血糖、低ナトリウム血症など」には無縁なので問題ないが、「意識障害を起こしやすく」なるというのは、恐ろしい話だ。
・『「高齢者は事故を起こしやすい」は本当か  そもそも、高齢になれば事故を起こす確率が高くなるというデータなどありません。 警察庁交通局が発表する交通事故状況(平成30年版)によれば、原付以上の免許を持っている人口10万人当たりの年齢層別事故件数でいちばん多いのは16歳から19歳の年齢層でおよそ1500件、次いで20歳から24歳が876件です。 25歳から29歳でも624件です。高齢者はといえば、70代で500件前後、80代前半でも604件です。その他の年齢層の30代から60代が概ね450件前後ですから高齢者が特別、事故率が高いとは言えません。) さすがに85歳以上となると645件と増加しますが、この数字だって24歳以下の若年層よりは低いのです。本気で事故を減らそうと考えるなら、高齢者より若年層に講習でも受けさせたほうが効果的でしょう。 ブレーキとアクセルの踏み間違いは慌てたりうっかりしたときには若い人でもあります。事実、ペダルの踏み間違いが原因の事故はどの年代でも起きていて、しかもすべての事故に占める割合は1%程度です。つまり高齢者に免許返納を求めるのは根拠がないのです』、「ペダルの踏み間違いが原因の事故はどの年代でも起きていて、しかもすべての事故に占める割合は1%程度です。つまり高齢者に免許返納を求めるのは根拠がない」、嬉しい事実だ。
・『周囲には「たかが運転」、高齢者には「されど運転」  そしていちばん見逃してならないのは、免許を返納することで高齢者が要介護になるリスクが高まるということです。筑波大などの研究チームは、運転をやめた高齢者は運転を続けた高齢者に比べて6年後には要介護と認定される人が約2.2倍になるという調査結果をまとめています。 言うまでもなく、運転ができなくなることで家に閉じこもりがちの生活になり、運動機能も脳機能も衰えてしまったからです。自発的な免許返納は良識的な判断のように思われがちですが、実際には老いを加速させ、生きる楽しみを高齢者から奪ってしまうことにしかならないのです。 たかが運転ぐらいでと思うかもしれませんが、それくらい高齢者は危ういバランスを保ちながら生活しています。 運転をやめることで外出の機会が減り、人と会ったり話したりすることも減ると、活動量もどんどん減ってしまいます。とくに外出の手段が限られる地方に暮らす高齢者ほど、車の運転をやめてはいけません。たったそれだけのことでも、維持できるさまざまな機能や楽しみや意欲があります。免許返納は、それをすべて自分から手放すことになりかねないのです』、「運転をやめた高齢者は運転を続けた高齢者に比べて6年後には要介護と認定される人が約2.2倍になるという調査結果」、「自発的な免許返納は良識的な判断のように思われがちですが、実際には老いを加速させ、生きる楽しみを高齢者から奪ってしまうことにしかならないのです」、当面、「運転」を続けるつもりだ。

第四に、この続きを、8月30日付けPRESIDENT Onlineが掲載した精神科医・国際医療福祉大学赤坂心理学科教授の和田 秀樹氏による「実は若者と老人の記憶力には差はない…「年をとるほど忘れやすくなる」という誤解が広がる本当の理由 いくつになっても脳は鍛えることができる」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/60904
・『「年をとると忘れやすくなる」というのは本当なのか。老年医学の専門家である和田秀樹さんは「若者と年配者の記憶力に大差はない。しかし『高齢者は忘れやすい』という先入観を植えつけられると、年配者は記憶する意欲を失いやすい」という――。(第2回) ※本稿は、和田秀樹『70歳の正解』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・『記憶力が衰えるのは「覚えようとする意欲」が低下するから  「80代になると、認知症の有病率が60代の12倍になる」ということが知られていますが、脳の健康寿命を延ばすには、60代から70代にかけて、とにかく「脳」を使い続けることが必要です。 高齢者の場合、筋肉を使わないでいると、たちまち「廃用現象」が起きて衰えてしまうのですが、それは脳に関しても同じこと。頭を使わないで暮らしていると、脳はいよいよ衰えてしまうのです。 たとえば、老化の象徴のようにいわれる「記憶力」に関していうと、たしかに「年をとると、記憶力が落ちる」というのは、一般的に“常識”といえるでしょう。しかし、ここではっきりいっておきますが、脳機能上は、75歳くらいまでは、記憶力はさほど衰えません。急激に衰えるのは、「覚えようとする意欲」です』、「脳機能上は、75歳くらいまでは、記憶力はさほど衰えません。急激に衰えるのは、「覚えようとする意欲」、後期高齢者になった私は衰え出すようだ。
・『若者と年配者の記憶力にはあまり差がない  米タフツ大学のアヤナ・トーマス博士らのグループは、次のような実験を行いました。18〜22歳の若者、60〜74歳の年配者を各64人ずつ集め、多数の単語を覚えてもらったあとに、別の単語リストを見せて、それらの単語がもとのリストにあったかどうかを尋ねたのです。 その際、まえもって「これは、ただの心理学実験です」と説明していたときには、若者と年配者の正解率は、ほとんど変わりませんでした。ところが、テストまえに「この記憶試験では、高齢者のほうが成績が悪い」と告げておくと、年配者グループの正解率のみが大幅に低下したのです。 要するに、この実験では、フラットな状態では、若者と年配者の記憶力に大差はないが、「高齢者のほうが成績が悪い」という先入観を植えつけられると、年配者は記憶する意欲を失い、一気に“記憶力”を減退させたというわけです』、「この実験では、フラットな状態では、若者と年配者の記憶力に大差はないが、「高齢者のほうが成績が悪い」という先入観を植えつけられると、年配者は記憶する意欲を失い、一気に“記憶力”を減退させた」、「記憶する意欲」がカギのようだ。
・『努力をすれば誰でも記憶力は維持できる  若い頃のことを思い出してください。たとえば、英単語を覚えるとき、単語帳や単語カードをせっせとつくって、通学電車の中などで、それらを繰くって何度も復習し、頭に叩き込んだことを。そもそも、それくらいの努力をしなければ、人は、物事を覚えることはできないのです。あなたは老後、いや中年以降、そんな努力をしたことがあったでしょうか。 むろん、そのような努力をしている人は、ごくごく少数派です。努力をしなければ、「最近、物覚えが悪くなった」「覚えても、すぐに忘れてしまう」のも、当たり前のことなのです。また、努力を怠ると、前述したように、人間の体や脳では、「廃用現象」が起きはじめます。使わない筋肉が衰えていくのと同じように、使わない記憶力は衰えていくのです。 俳優の伊東四朗さんは、70歳を過ぎて「百人一首」の暗記にチャレンジしたそうです。さすがの名優も、70歳を超えると、思うようにセリフを覚えられなくなってきた。そこで、記憶力を鍛え直すため、「百人一首」の暗記を始めたと聞きます。 脳科学の立場からいえば、これは「廃用現象」を防ぐ賢明な方法です。私にも経験がありますが、「百人一首」ほど、覚えにくいものはありません。“古語度”が高く、意味が取りにくい。記憶の入力、定着ともに難しい素材です。だからこそ、伊東さんは、その暗記にチャレンジしたのでしょう。記憶力を維持し、脳を鍛え直すには、格好の素材と判断したのだと思います』、「脳」でも「廃用現象」が起きるのであれば、やはり「鍛え直す」必要がありそうだ。
・『21世紀に入ってから立証された脳科学の新常識  「脳は、いくつになっても鍛えることができる」――これは、脳科学的には、21世紀になってから立証された新たな常識です。 20世紀までは、専門家の間でも、「脳の神経細胞は、成人になってからは減る一方で、増えることはない」と信じられていました。それで、専門家も「大人になると、記憶力は衰える」と思い込んでいたのです。ところが、ミレニアムの2000年、この“常識”は否定されました。 ロンドン大学の認知神経学の研究者、エレノア・マグワイアー博士が、「脳の神経細胞は、大人になっても増えることがある」と報告したからです。これは、それまでの脳科学の常識をくつがえす大発見でした。 マグワイアー博士は日頃、ロンドン市中を走るタクシー運転手の「記憶力」に関心をもっていました。「彼らは、なぜロンドン市街の複雑な裏道、路地を記憶できるのか?」と不思議に思っていたのです。そこで博士は、タクシー運転手と一般人の脳の比較研究を始めました。すると、タクシー運転手の脳の「海馬」が、一般人よりも大きく発達していることがわかったのです。 海馬は、大脳辺縁系にあって、記憶の入力を司る部位です。ベテラン運転手ほど、その発達の度合いは大きく、タクシー運転歴30年を超える大ベテランは、海馬の体積が3%も増えていることがわかったのです』、「ロンドン」の「タクシー運転歴30年を超える大ベテランは、海馬の体積が3%も増えていることがわかった」、確かにあんなに複雑な道路を覚える訓練を続けていたら、「海馬の体積が3%も増えている」のは理解できる。
・『ベテランタクシー運転手は記憶力が向上していた  ベテラン運転手は、頭の中に道路地図を詳細にインプットしたうえで、乗客から行き先を告げられると、瞬時にルートを思い浮かべ、時間帯による道路の混み具合や工事の有無なども勘案しながら、スムーズに走れるルートを導き出します。 そうした、記憶し、記憶を引き出すという作業を日々、繰り返すうちに、ベテラン運転手の海馬の神経細胞は増え、大きく発達することになったのです。つまり、「成人になってからでも、脳の神経細胞は鍛え方しだいで増える」ことがわかったのです。 その後の研究で、脳の神経細胞以上に、脳を鍛えると、神経細胞同士をつなぐシナプスの数が増えることがわかってきました。その複合効果で、年をとってからでも、若い頃よりも記憶の容量を大きくするのは、そう難しいことではないことがわかってきたのです。 というようにお話ししても、「実感からして、やっぱり記憶力は落ちているよ」という人もいるでしょう。そういう人は、試しに何かの“丸暗記”を始めてみるといいでしょう。伊東四朗さんのように百人一首でもいいし、子供のときのように国と首都の名前でもOKです。ちょっとトレーニングするだけで、記憶力がはっきりとよみがえってくることを実感できるはずです』、「脳の神経細胞以上に、脳を鍛えると、神経細胞同士をつなぐシナプスの数が増えることがわかってきました。その複合効果で、年をとってからでも、若い頃よりも記憶の容量を大きくするのは、そう難しいことではないことがわかってきた」、やはり「脳」を鍛え続ける方がいいようだ。
・『1万人以上の顔と名前を覚えている政治家の記憶術  私の知人に、70歳近くなっても、「1万人以上の人の顔と名前を記憶している」人がいます。その人(仮にT氏としておきます)の職業は、ホテルのドアマンではなく、「政治家」です。 むろん、T氏にとっては、有権者の顔と名前を覚えることが、当選への第一歩というわけですが、その秘訣ひけつを聞いたところ、「秘訣なんて、ありませんよ。それこそ、あらゆる方法を使って、覚えています」という答えが返ってきました。以下、その“あらゆる方法”の中から、参考になりそうな方法を紹介してみましょう。 ①名刺交換するとき、相手の名前を声に出して読み上げる これは、Tさんならずとも、多くの人が実践している方法でしょう。名刺をもらったとき、「○○さんですね。よろしくお願いします」と、相手の名前を声に出して読み上げると、目と口と耳という3つの器官から、相手の名前を入力することができるというわけです。 ②相手の顔の特徴的な部分に、相手の名前を“書き込む” 私が感心したTさん独特の手法は、「相手の顔の特徴的な部分に、名前を書き込む」という記憶法でした。出会ったとき、まず相手の顔のパーツから、最も印象的な特徴を見つける。おでこの広い人だったらおでこ、口の大きな人は口という具合です。そして、頭の中で、その特徴的なパーツの上に、その人の名前(漢字)を重ねてみるというのです。 広いおでこの上に「田中」さんとか、大きな鼻に「佐藤」さんなどという文字をイメージするのです。すると、その人と再会したとき、顔の特徴に注目するだけで、パーツ上に書いた文字の“残像”が浮かび上がってくるそうです』、①はたぶん多くの方もやっていると思うが、②の「相手の顔の特徴的な部分に、名前を書き込む」という記憶法はユニークだ。現役時代に知っていれば・・・と残念だ。
・『クラブのママが「俳優の○○さんに似てますね」という理由  と書きながら、思い出したのですが、以前、クラブのママから、こんな“種明かし”をされたことがあります。 クラブのホステスが、お客に向かって「俳優の○○さんに似ていらっしゃいますね」というのは、お客の気持ちをくすぐるためだけでなく、お客の顔と名前を覚えるためでもあるというのです。なるほど、初対面の人の顔を覚えるため、その人の顔を単純化し、分類するのは有効な方法といえます。漠然とした印象ではなく、「○○に似ている」と分類し、それを言語化してみる。そうすれば、相手の顔と名前を記憶に定着できる確率が大いに高まるというわけです。 ここで、年配者に限らず、誰でも使える記憶のコツについて、おさらいしておきましょう。 心理学では、記憶を「記銘」(入力)、「保持」(貯蔵)、「想起」(出力)の3段階に分けて考えます。「記銘」だけでなく、「保持」「想起」を心がけることも、“脳力”維持にとっては、重要です。「保持」に必要なのは、平たくいえば「復習」すること。記憶を定着させるには、とにかく「復習」することが大切です。 目や耳から脳に入力された情報は、まず「海馬」に一時保存されます。その後、海馬に保存された情報のうち、「必要性が高い」と認められた事柄だけが、「側頭葉」へ転写されるのです。側頭葉は、いわばハードディスクのようなもので、そこに転写されて初めて、記憶として定着します。一方、海馬に一時保存されたものの、その後「必要なし」と判断された情報は、側頭葉へ転写されることなく、海馬からも消えてしまいます』、「記憶を定着させるには、とにかく「復習」することが大切です。 目や耳から脳に入力された情報は、まず「海馬」に一時保存されます。その後、海馬に保存された情報のうち、「必要性が高い」と認められた事柄だけが、「側頭葉」へ転写されるのです。側頭葉は、いわばハードディスクのようなもので、そこに転写されて初めて、記憶として定着します」、なるほど。
・『“あれあれ、それそれ現象”を防ぐにはどうしたらいいか  では、脳が何をもって、その情報が必要かどうかを判断しているかというと、その情報が送り込まれてくる回数が最大の要因とされます。つまり、何回も復習すると、脳は重要な情報と判断し、側頭葉に転写して、長期記憶として定着させるというわけです。そして、記憶の仕上げは、「想起する」(思い出す)ことです。 高齢になると、人と話をしているとき、固有名詞がのど元まで出てきているのに、なかなか言葉にできないことが増えますが、専門的には、そうした“あれあれ、それそれ現象”を「舌端ぜったん現象」と呼びます。そうした現象を防ぐには、たびたび思い出しておくことが必要なのですが、では、どうやって想起すればいいのでしょうか? これは、人に話すのがいちばんです。とりわけ、人に教えることは、ひじょうに効果的な記憶の定着法です。復習(保持に役立ちます)になるうえ、理解も深まり、かつ想起することにもなるからです』、「“あれあれ、それそれ現象”を「舌端ぜったん現象」と呼びます」、「舌端ぜったん現象」とは初めて知った。「どうやって想起すればいいのでしょうか? これは、人に話すのがいちばんです。とりわけ、人に教えることは、ひじょうに効果的な記憶の定着法です」、なるほど。
・『人に教えることによって記憶の定着が格段に進む  実際、中学校や高校には、「模擬授業」を行っている学校があります。生徒のひとりが教師役となり、他の生徒に対して授業を行うという授業方法です。この方法は、教わる側ではなく、教える側の生徒にとって、ひじょうに効果的な学習法です。 「教える」側に回ると、ただ授業を受けているときよりも、理解や記憶の定着が格段に進むからです。人に教えるためには、深く理解し、細かな点まで記憶しなければなりません。そのため、人に教えなければならないと思うと、目的意識を一段と高めて、重要ポイントを頭の中で整理することになります。 人に教えるという目的があると、集中力も高まります。加えて、人に話し、質問に答えることが自然と反復学習となって、より深く記憶に残ることになります。というわけで、いちいち教壇に立つ必要はありませんが、老後は、覚えたこと、見知ったこと、読んだことをどんどん人に話すといいでしょう。家族や友人知人、相手は 誰だってOKです。人に教えれば教えるほど、理解が進み、記憶の定着もよくなるはずです』、「老後は、覚えたこと、見知ったこと、読んだことをどんどん人に話すといいでしょう。家族や友人知人、相手は誰だってOKです。人に教えれば教えるほど、理解が進み、記憶の定着もよくなるはずです」、さっそく実践してみたい。
・『記憶力が落ちていく3つのケース  とはいえ、年齢を重ねると、認知症にかからなくても、記憶力が落ちていくことはあります。それは、おおむね、次の3通りのケースです。 ひとつめは、自分で「記憶力が落ちた」と決めつけ、記憶する意欲をなくした場合です。前述したように、若い頃は誰しもそれなりに記憶しようと努力するものです。ところが、中高年になると、大半の人はそうした努力をしなくなってしまう。それなのに、「昔は簡単に記憶できた」ような“美しい錯覚”に陥り、「記憶力が落ちた」と慨嘆する。 そうした「マイナスの自己暗示」は、百害あって一利なし、です。それは、年配者に限った現象ではなく、たとえば20代の若い人でも、「高校生時代と比べると、記憶力が落ちた」といったマイナス暗示をかけると、記憶力は落ちていきます。 記憶力が落ちるふたつめの原因は、強すぎるストレスです。PTSD(心的外傷後ストレス障害)という言葉を、耳にしたことがあると思います。 強度のストレスにより、海馬などに異常が現れる障害で、もとはベトナム戦争や湾岸戦争の帰還兵に多く見られた症状でした。戦場での恐怖や死に対する極度のストレスにより、妄想や幻覚にも悩まされ、復員後も普通の生活が送れなくなる元兵士が続出したのです。そして、彼らの脳内をMRIという機械で調べたところ、海馬がかなり萎縮していることがわかりました。幼児期に虐待を受けた人も、同様の症状が起きることがわかっています』、「PTSD」などで「萎縮」した「海馬」は、「ストレス」がなくなって、カウンセラーなどのアドバイスに従って、時間をかければ元に戻るのだろう。
・『定年退職後は人生最大級のストレスにさらされる時期  なぜ、強すぎるストレスは、脳に悪影響を与えるのでしょうか? ストレスにさらされると、副腎皮質(腎臓の近くにある内分泌器官)から「コルチゾン」という物質が分泌されます。 コルチゾンは、脳内のさまざまな部位に悪影響を与えるのですが、その攻撃を真っ先に受けるのが、海馬なのです。海馬の神経細胞が損傷すると、人は新しい情報を受け入れられなくなってしまいます。これは、「昔の苦しい体験を思い出したくない」「悲しいことは忘れたい」という脳の自己防衛的な働きでもあります。 逆にいうと、脳を活性化させ、記憶力をよくするには、まずは落ちついた精神状態を保てる環境づくりが必要なのです。「定年退職して、今はストレスとは無縁」という人もいるかもしれませんが、じつは老後は、人生最大級のストレスにさらされる時期です。その原因は、配偶者の死、自らの病気、失業などです。 とりわけ、私は、最愛の妻を亡くした高齢男性が一気にボケてしまうケースを多数見てきました。人生最大級のストレスによって、海馬が傷つくことが原因というケースが多かったのだとみています』、「最愛の妻を亡くした高齢男性が一気にボケてしまうケースを多数見てきました」、私もどうするかを事前に考えることで備えておこう。
・『記憶力の低下には男性ホルモンの減少が影響している  記憶力が落ちる理由の最後のひとつは、生物学的な理由です。中高年以降、男性ホルモンが減少していきますが、それが記憶力の低下につながることは意外に知られていません。男性ホルモンの減少は、記憶に影響する神経伝達物質のアセチルコリンを減らすことにつながっているとみられているのです。 また、セロトニンなどが減ってうつ病になると、周囲に対する関心や注意が減るため、記憶力が急激に衰えます。とくに老年性のうつ病では、記憶力低下が著しく、認知症と誤診されることも珍しくありません。 ここからは、記憶力以外の“脳力”、思考力や判断力について、お話ししていきましょう。思考力や判断力を司っているのは大脳の前方にある前頭葉ですが、“使っているようで使っていない”のが、この前頭葉です。平穏無事な暮らしを送っている人ほど、その傾向は強まります。日常、さしたる問題がなければ、毎日、同じことをしていればいい。すると、前頭葉を使う機会は、ほとんどなくなってしまうのです』、恐ろしいことだ。私にとっては、このブログ作成が数少ない「前頭葉を使う機会」だ。
・『「なぜ?」と考える習慣をもつといい  前頭葉を働かさずにいると、前述した「廃用現象」が起きます。使わない機能、器官は衰えていくのですが、加齢するほどに、その傾向は強まります。前頭葉も急速に衰え、スカスカになっていくのです。一方、人間は、たとえば、トラブルに直面すると、「なんとか切り抜けなければ」と前頭葉を駆使することになります。 とはいえ、むろん、自分からトラブルの種をまく必要はありません。前頭葉を錆びつかせないためには、毎日「なぜ?」と考える習慣をもつといいでしょう。それだけでも、前頭葉を働かせることになります。たとえば、新聞を読み、テレビを見て、「なぜ、こんな事件が起こるのだろう?」と考えてみる。世の中には、「なぜ?」と思える事柄が、いくらでも転がっているはずです。 たとえば、ロシアのウクライナ侵攻に関して、「なぜ、ロシアは侵攻したのか?」「なぜ、ウクライナは善戦できたのか?」などと考えてみる。そうして、自分で疑問を設定し、観察力や推理力を働かせることが、前頭葉の錆びつきを防ぐのです。 また、前頭葉は「想定外の出来事」が大好きですので、「結果がわからない」「失敗するかもしれない」というチャレンジも、前頭葉を刺激します。たとえば、株の売買やギャンブルをしているとき、前頭葉はフルに働いています。株やギャンブルでは、想定外の出来事が次々と起きます。むろん、大きな失敗は困りますが、「小失敗は許容範囲」くらいのつもりで、取り組んでみるのもいいと思います。 人生、安全策ばかりでは、前頭葉がどんどん衰えていきます。「山より大きな猪は出ない」くらいのつもりで、年をとっても、起業を志すなど、不確実性の海に乗り出すことも、“脳力”を保つ秘訣のひとつです』、「株の売買やギャンブルをしているとき、前頭葉はフルに働いています」、このブログに加え、「株の売買」ももう少し真剣にやってみることにしよう。
タグ:「株の売買やギャンブルをしているとき、前頭葉はフルに働いています」、このブログに加え、「株の売買」ももう少し真剣にやってみることにしよう。 恐ろしいことだ。私にとっては、このブログ作成が数少ない「前頭葉を使う機会」だ。 「最愛の妻を亡くした高齢男性が一気にボケてしまうケースを多数見てきました」、私もどうするかを事前に考えることで備えておこう。 「PTSD」などで「萎縮」した「海馬」は、「ストレス」がなくなって、カウンセラーなどのアドバイスに従って、時間をかければ元に戻るのだろう。 「老後は、覚えたこと、見知ったこと、読んだことをどんどん人に話すといいでしょう。家族や友人知人、相手は誰だってOKです。人に教えれば教えるほど、理解が進み、記憶の定着もよくなるはずです」、さっそく実践してみたい。 「“あれあれ、それそれ現象”を「舌端ぜったん現象」と呼びます」、「舌端ぜったん現象」とは初めて知った。「どうやって想起すればいいのでしょうか? これは、人に話すのがいちばんです。とりわけ、人に教えることは、ひじょうに効果的な記憶の定着法です」、なるほど。 「記憶を定着させるには、とにかく「復習」することが大切です。 目や耳から脳に入力された情報は、まず「海馬」に一時保存されます。その後、海馬に保存された情報のうち、「必要性が高い」と認められた事柄だけが、「側頭葉」へ転写されるのです。側頭葉は、いわばハードディスクのようなもので、そこに転写されて初めて、記憶として定着します」、なるほど。 ①はたぶん多くの方もやっていると思うが、②の「相手の顔の特徴的な部分に、名前を書き込む」という記憶法はユニークだ。現役時代に知っていれば・・・と残念だ。 「脳の神経細胞以上に、脳を鍛えると、神経細胞同士をつなぐシナプスの数が増えることがわかってきました。その複合効果で、年をとってからでも、若い頃よりも記憶の容量を大きくするのは、そう難しいことではないことがわかってきた」、やはり「脳」を鍛え続ける方がいいようだ。 「ロンドン」の「タクシー運転歴30年を超える大ベテランは、海馬の体積が3%も増えていることがわかった」、確かにあんなに複雑な道路を覚える訓練を続けていたら、「海馬の体積が3%も増えている」のは理解できる。 「脳」でも「廃用現象」が起きるのであれば、やはり「鍛え直す」必要がありそうだ。 「この実験では、フラットな状態では、若者と年配者の記憶力に大差はないが、「高齢者のほうが成績が悪い」という先入観を植えつけられると、年配者は記憶する意欲を失い、一気に“記憶力”を減退させた」、「記憶する意欲」がカギのようだ。 「脳機能上は、75歳くらいまでは、記憶力はさほど衰えません。急激に衰えるのは、「覚えようとする意欲」、後期高齢者になった私は衰え出すようだ。 和田秀樹『70歳の正解』(幻冬舎新書) 和田 秀樹氏による「実は若者と老人の記憶力には差はない…「年をとるほど忘れやすくなる」という誤解が広がる本当の理由 いくつになっても脳は鍛えることができる」 「運転をやめた高齢者は運転を続けた高齢者に比べて6年後には要介護と認定される人が約2.2倍になるという調査結果」、「自発的な免許返納は良識的な判断のように思われがちですが、実際には老いを加速させ、生きる楽しみを高齢者から奪ってしまうことにしかならないのです」、当面、「運転」を続けるつもりだ。 「ペダルの踏み間違いが原因の事故はどの年代でも起きていて、しかもすべての事故に占める割合は1%程度です。つまり高齢者に免許返納を求めるのは根拠がない」、嬉しい事実だ。 私は「低血圧や低血糖、低ナトリウム血症など」には無縁なので問題ないが、「意識障害を起こしやすく」なるというのは、恐ろしい話だ。 私も「都会暮らしでふだん運転することがない」が、年数回は温泉旅行に行くので、クルマは必須だ。 私が昨年、免許を更新した時は「高齢者講習」は問題なく取れたが、「認知機能検査」も「なかなか取れません」というのは困ったことだ。なお、妻は「自主返納」した。 私も子どもたちから、「免許返納」をうるさく言われているので、ありがたい援軍を得た感じだ。 和田秀樹『老人入門 いまさら聞けない必須知識20講』(ワニブックス) 和田 秀樹氏による「本当に危険なのは「高齢者の運転」なのか…和田秀樹が「うっかり免許返納をしないほうがいい」と訴える理由 アクセルとブレーキの踏み間違え事故を起こす"真犯人"」 PRESIDENT ONLINE 「脳血管疾患で継続的な治療を受けていると推測される総患者数は2017年の段階で111万5000人」、今後、増加すると見込まれるので、出口氏の情報発信は大いに役立ってくれるだろう。 「社会的な障壁の解消推進に、一人の障害を持つ者として挑戦していきたい」、楽しみだ。 障害者からの視点での「世の中に発信し、問題提起」、には期待できそうだ。 「1年と少し前は「あー」とか「はい」くらいしか声を出せなかった僕が、大勢の聴衆の前でこれくらいしゃべれるようになりました」、やはり「リハビリ」の効果は大きいようだ。 あの「出口」氏が「脳卒中で倒れ、歩くことも、言葉を発することもできなくなってしまった」、「長きにわたるリハビリに取り組み」、「ついにAPU入学式の祝辞に登壇し現場復帰を飾る」とは、興味深そうだ。 出口 治明氏による「脳卒中からの社会復帰…有名実業家が提言する「生きやすい社会」 障害が「生みだされて」いる」 現代ビジネス 「永守氏が自らの足元を省みることができなければ、日本電産が「EV時代の雄」として飛躍することは難しいだろう」、その通りだ。 「関氏の解任に永守氏の側近が反対したことだ。創業メンバーで今も副会長として残っている小部博志氏や、受付嬢から這い上がり、人事部長などを務めた生え抜きの平田智子執行役員らは、反対しただけでなく関氏を慰留」、やはり「永守神話はもう終わった」ようだ。 「欧米の機関投資家数社が相次いで永守氏に対して「関氏を解任すれば株を売る」と通告してきた」、「事業における永守氏の指導力の低下だ」(「精密小型モータ事業」で、「昨年秋から永守氏が実質指揮を執っていたにもかかわらず、業績が上向かないどころか沈んでいる」)。これでは株価も下がる筈だ。 「檄文を発したころから永守氏は関氏を遠ざけ、3月上旬までの4ヵ月近く、コロナが蔓延する欧州に追いやった。全体を見るCEOの仕事を事実上取り上げ、自身が経営の指揮にあたったのだ。 その間に、関氏の後継となる人材を再び外部に求めた。元三菱商事常務執行役員の吉田真也氏に白羽の矢を立てると、2月1日付で密かに顧問として次期社長含みで入社させた」、創業経営者ならではの強引なやり方だ。 「永守氏」が後継含みで引き抜いたのに、失敗したのは初めてではなく、数回目だ。 現代ビジネス「幹部は呆れ、社員は逃げ出し…日本電産 「永守帝国」の崩壊がついに始まった」 (その19)(幹部は呆れ 社員は逃げ出し…日本電産 「永守帝国」の崩壊がついに始まった、脳卒中からの社会復帰…有名実業家が提言する「生きやすい社会」 障害が「生みだされて」いる、和田 秀樹氏2題:本当に危険なのは「高齢者の運転」なのか…和田秀樹が「うっかり免許返納をしないほうがいい」と訴える理由 アクセルとブレーキの踏み間違え事故を起こす"真犯人"、実は若者と老人の記憶力には差はない…「年をとるほど忘れやすくなる」という誤解が広がる本当の理由 いくつになっても脳は鍛えることができる) 高齢化社会
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